説明

薬物保存および分配装置、ならびにそれらを含むシステム

薬物投与形態を患者へと分配するための薬物保存/分配装置が説明される。この分配装置は、分配装置をロックするためのプログラム可能なロックアウト特徴を有しており、患者の身元を検出することができる。さらに、本発明は、本発明の分配装置を使用して薬物投与形態を対象へと投与することによって、対象を治療するための方法を提供する。この分配装置によって、一度に複数の用量、単独の用量を分配することができる。本発明の分配装置の用途は、特定の種類の薬物または患者集団に限定されない。すなわち、本発明の分配装置は、小児、成人、ならびにヒトでない哺乳類である対象への薬物送達に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2006年1月6日に出願された米国仮特許出願第60/756,937号の優先権の利益を請求し、その開示はその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、薬物投与形態の投与のための分配装置、およびそれらを含むシステムに関する。さらに本発明は、患者の身元を検出するための手段、ロックアウト特徴、および保存された薬剤への許可されていないアクセスを防止するための手段を提供する分配装置を含む。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
現在、投与の経路、調合物、および投与管理を含め、入院患者および外来患者の両方における反復される薬物の治療的投与のための標準的な医療装置は、効能および毒性の両方に関して、明らかな限界を有している。
【0004】
制御された薬物送達および分配技術が、活発な研究の領域を呈しており、制御された薬物送達系は、現在の薬物送達系に比べ、安全性の向上、改良された患者コンプライアンスおよび便利さなど、多数の利点を提供する。
【0005】
特許文献1が、薬物取込後の患者の呼気の際に電気センサ技術および報告システムを使用してマーカーを検出することによって、治療薬剤の血中濃度を監視するためのシステムおよび方法を開示している。
【0006】
特許文献2が、薬物の用量、取込、および有効性を監視するための閉ループシステムを開示しており、そのようなシステムは、少なくとも1つの埋め込み型の医療装置とデータ通信をする丸薬分配器を含んでいる。システムは、高速コンピュータならびに患者履歴および装置情報に関するデータベースを含んでいる。
【0007】
特許文献3が、患者の呼吸情報を集めるためのシステムであって、ベースユニットおよび着脱可能なマウスピースを備えるシステムを開示している。
【0008】
特許文献4が、薬物送達ポンプなどの家庭用の医療装置を制御するための方法およびシステムを開示しており、装置の制御のための制御プログラムまたは「処方」が、可搬カードにコードされている。装置に関するデータをカードに保存することができ、認証された患者のみが医療装置を使用できるように保証するセキュリティプログラムが備えられている。医療装置へのリモートアクセスが、医療装置のコントローラと遠方に位置したコンピュータとの間の通信システムを介してもたらされる。
【0009】
特許文献5が、複数の丸薬を保持するように構成された容器を有する丸薬分配器を開示しており、丸薬解放機構が、丸薬を空気圧によって丸薬ホルダから脱離させるべく設けられ、センサが、分配される丸薬の存在を検出すべく出口ポートに配置され、分配される丸薬の存在が付随のコンピュータによって記録される。随意により、薬剤の権限なき分配を防止するために、ロック装置が丸薬分配ユニットへと取り付けられる。
【0010】
特許文献6が、処方された投薬計画のコンプライアンスを保証するために、家庭での自己治療を遠方で監視するためのシステムを開示している。
【0011】
特許文献7が、医師の処方した投薬計画の正確な実行に役立つ比較的小さなマイクロプロセッサ制御機械を備える薬剤送達系を開示している。機械を、独立型ユニットとして使用することができるか、あるいは中央制御される薬剤ネットワークへと統合することができる。
【0012】
特許文献8が、出力装置、およびラベルの印刷に使用する出力装置に連絡しているコンピュータを備える薬物治療コンプライアンスシステムを開示している。
【0013】
関連技術は、蓋または他のヒンジ式の開口を開閉することなく薬物投与形態を送達する分配装置を記載していない。
【0014】
現在利用可能な薬物分配装置は、さまざまな種類の薬物の投与において有効であるが、安全および制御されたアクセスを提供する薬物の自己投与のための改良された装置の必要性が依然として存在している。さらに、例えば保存されている薬物への許可されていないアクセスを防止するセキュリティ機能、過剰な投薬を抑止するロックアウト特徴、用量カウント機能、用量送達についての情報を保持するメモリ手段、病院での盗難に対する盗難抑止機能、およびコンピュータなどの他の装置との情報交換のためのインターフェイスなど、改良された安全性および使用容易性を提供する薬物分配装置の必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0054942号明細書
【特許文献2】米国特許第6,824,512号明細書
【特許文献3】米国特許第6,190,326号明細書
【特許文献4】米国特許第6,039,251号明細書
【特許文献5】米国特許第5,752,620号明細書
【特許文献6】米国特許第5,710,551号明細書
【特許文献7】米国特許第5,945,651号明細書
【特許文献8】米国特許第5,995,938号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、病院および院外の状況の両方のにおいて、例えば急性の痛み、間欠的な痛み、および突出痛の治療のために、薬物を分配するための改良された装置およびシステムの開発に、大きな関心が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明は、患者へ薬物投与形態を分配するための分配装置であって、一度に複数の用量、単独の用量を分配するための手段を有する装置を提供する。
【0017】
本発明の分配装置の用途は、特定の種類の薬物または患者集団に限定されない。すなわち、本発明の分配装置は、小児、成人、ならびにヒトでない哺乳類である対象への薬物送達に有用である。
【0018】
さらに、本発明は、患者へ薬物投与形態を分配するための分配装置であって、複数の個別の薬物投与形態で満たされた少なくとも1つのカートリッジを有する分配装置を提供する。
【0019】
本発明の薬物分配装置は、患者またはユーザの身元を検出するための検出手段を備えることができる。そのような検出手段は、典型的には分配装置に近接し、許可されていない個人による薬物投与形態に対する偶発的または意図的な改竄、乱用、またはアクセスを防止するように設計されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明の分配装置は、例えば病院の状況において盗難を抑止するための盗難抑止手段を備える。例示的な盗難抑止手段として、患者へと取り付けられたRFIDタグおよび分配器のRFIDタグ読み取り器が挙げられる。
【0021】
さらに、本発明の薬物分配装置は、分配装置をロックするためのプログラム可能なロックアウト特徴を備えることができ、分配装置がロックされているとき、分配は不可能である。
【0022】
本発明の薬物分配装置は、薬物投与形態の反復分配が可能であってよい。そのような薬物分配装置においては、分配機構が、薬物投与形態を分配するための機械的または電気機械的手段を提供する。
【0023】
本発明の薬物分配装置は、薬物を患者へと投与する際の分配装置への唾液の流入を最小限にするための手段を提供できる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態においては、本発明の分配装置とコンピュータネットワークとの間の通信のための手段が設けられる。さらに、本発明の薬物分配装置は、現場または遠方のコンピュータシステムとの双方向の通信リンクを含むことができ、コンピュータシステムが、分配装置による薬物投与形態の分配を可能にする信号をもたらす。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明は、薬物投与形態を患者へと反復分配するための分配装置であって、乱用あるいは偶発的または意図的な誤用を抑制するためのアクセス制御手段が設けられている分配装置を提供する。分配装置は、患者または医療専門家など、認証された者だけが装置を起動させることができるように設計される。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明は、患者への経口経粘膜での投与のために薬物投与形態を反復分配するための分配装置を提供する。例えば、投与形態は、約0〜約100ミリリットルの体積、および約0.01〜100mgの質量、約1.0〜約30.0mmの直径、約0.25〜約10.0mmの厚さ、および約0.01〜2.0g/mlの密度からなる群より選択されるサイズを有するNanotab(登録商標)である。
【0027】
1つの例示的な実施形態において、本発明は、経口経粘膜投与形態によって治療することができる対象の痛みを、本発明の分配装置を使用して治療上有効量の小容量薬物投与形態またはNanotab(登録商標)を対象へと投与することによって治療する方法を提供する。分配装置を、機械的方法、電気機械的方法、および/または両方を使用して動作させることができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、本発明は、上述のような薬物投与形態の分配または分配装置の使用のためのシステムを提供する。この投与形態分配系は、患者の身元を検出するための検出手段を備える薬物分配装置、カートリッジにて提供され、あるいは個々の投与形態として提供される薬物投与形態、ならびに患者を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
以下の開示は、本発明を構成する分配装置、システム、および方法を説明する。本明細書において、薬物を投与するための本発明の装置、システム、および方法について、詳細な開示が以下に提示される。本発明は、概して、(1)薬物分配装置、(2)薬物分配装置および薬物投与形態を含むシステム、ならびに(3)分配装置およびシステムを動作させるための方法を包含する。
【0030】
本発明は、概して、いくつかの種類の投薬形態のいずれかをいくつかの異なる投与経路によって分配するための分配装置、そのような分配装置の使用方法、およびそのような分配装置を有するシステムを対象としている。
【0031】
一例示的な実施形態において、本発明は、(1)NanoTab(登録商標)などの小容量投薬形態を投与するための分配装置、(2)NanoTab(登録商標)などの小容量経口投薬形態、および(3)患者を含むシステムを提供する。
【0032】
この実施形態の一態様においては、本発明の分配装置を使用して、痛みの治療のための薬剤の経口経粘膜送達のため、小容量投薬形態を送達することができる。この実施形態のさらなる態様において、本発明は、本発明の分配装置を操作する方法およびシステム、ならびにその急性痛、術後痛、または突出痛などといった痛みの治療における使用を提供する。この実施形態の一例においては、投薬形態がスフェンタニルまたはスフェンタニル類似物などのオピオイドを含んでいるNanoTab(登録商標)であり、分配装置を使用して、痛みの治療のために投薬形態を投与する。
【0033】
本発明は、特定の装置、システム、および方法論、あるいは本明細書において説明される症候群に限定されない(当然ながら、これらはさまざまでありうるため)。また、本明細書において使用される用語が、あくまで特定の実施形態を説明する目的のためにものにすぎず、本発明の技術的範囲を限定しようとするものではないことを理解すべきである。
【0034】
別途断らない限りは、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書において説明される方法、装置、および材料ならびに同様または均等な方法、装置、および材料を、本発明の実施またはテストにおいて使用することができるが、以下では、好ましい方法、装置、および材料を説明する。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈からそのようでないことが明らかでない限りは、複数をも指すことに注意する必要がある。したがって、例えば、「薬物調合物」と述べた場合、複数のそのような調合物が含まれ、「薬物送達装置」と述べた場合、薬物調合物ならびにそのような調合物の収納、保存、および送達のための装置を有するシステムが含まれる。
【0036】
本明細書において言及されるすべての刊行物は、本明細書に記載される発明に関連して使用することができるそれらの刊行物に記載の構成および方法論を説明および開示する目的において、その全体が本明細書に組み込まれる。本明細書において検討される刊行物は、それらの本件出願の出願日に先立つ開示についてのみ提示される。本明細書のいかなる内容も、本発明に先の発明によってそのような開示に先行する権利が与えられることを認めるものと解釈してはならない。
【0037】
用語の定義
本明細書において使用されるとき、用語「調合物」および「薬物調合物」あるいは「薬物投与形態」は、対象へと届けるためにいくつかある投薬形態にて提供されうる少なくとも1つの治療薬を含んでいる物質的な組成物を指す。投薬形態を、薬用舐剤、錠剤、カプセル、膜、ストリップ、液体、パッチ、フィルム、ガム、ゲル、スプレー、または他の形態として、患者へと提供することができる。
【0038】
本明細書において使用されるとき、用語「薬物」は、概して、動物の生理機能を変化させる任意の物質を指すことを意味する。本明細書において、用語「薬物」は、用語「治療薬」、「薬剤」、「薬効剤」、などと相互変換可能に使用される。本発明の「薬物」調合物が、2つ以上の治療薬を含んでもよく、治療薬の例示的な組合せが2つ以上の薬物の組合せを含むことを、理解できるであろう。
【0039】
用語「対象」は、通常は哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、有蹄動物、など)であり、成人または子供であるが、疾患の治療が望まれる任意の対象を含む。
【0040】
薬物などの用語「経粘膜」での送達は、粘膜を横断または通過するあらゆる送達の形態を包含することを意味する。特には、薬物の「経口経粘膜」での送達は、特には舌下、歯肉、および口蓋の粘膜組織など、口腔、咽頭、喉頭、気管、上気道、または上部消化管の任意の組織を横断しての送達を含む。
【0041】
本明細書において使用されるとき、用語「経口経粘膜での薬物の送達」は、薬物送達が実質的に経粘膜経路にて生じ、嚥下およびその後の胃腸での吸収によるものではない投薬形態を指す。そのような投与形態は、典型的には投与形態を舌下位置に配置することによって、口腔粘膜を介して最大の送達を可能にする溶解速度をもたらすように設計される。
【0042】
本明細書において使用されるとき、「舌下」は、文字どおり「舌の下方」を意味し、物質が消化管経由ではなく、舌の下方の血管を経由して迅速に吸収されるようなやり方での口経由の物質の投与の方法を指す。吸収が、血管が高度に発達している頬粘膜を介して生じ、物質を血液の循環へとより直接にアクセスさせることができ、胃腸の作用に左右されない直接的な全身投与がもたらされる。
【0043】
本明細書において、内科的な疾患または状態の「治療」または「管理」といった用語は、概して、対象を主観的基準、客観的基準、または両者による判断においてより快適にするための内科的な疾患または状態の症状の回復、抑制、または軽減を説明するのに使用される。
【0044】
本明細書において、用語「転用」は、偶発的または意図的であるかにかかわらず、概して、分配装置および/または分配装置内の薬物投与形態を、本来意図されている患者から他の許可されていない個人または意図されていない個人へと流用する行為または事例を説明するのに使用される。
【0045】
本明細書において、「投与形態の収容および送達装置」または「送達装置」、「分配器」、ならびに「分配装置」などは、調合物(投与形態、錠剤、投与形態、舐剤、ゲル、ガム、液体、ストリップ、またはフィルムなど)の保存および/または送達に適合されたあらゆる装置をいうのに使用される。
【0046】
本明細書において使用されるとき、「動作可能に接続される」は、構成要素が、目的を達成すべく意図されたとおりに機能するように装置内に設けられることを意味する。例えば、メモリ装置がCPU装置へと動作可能に接続され、さらにCPUが解放機構へと動作可能に接続されるとは、作動時にCPUが薬物送達の状態または履歴をチェックすべくメモリ装置と通信し、さらに薬物を解放して分配すべく(例えば、ソレノイドおよびスイッチを介して)解放機構と通信する旨を示すことを意味することができる。
【0047】
用語「フォブ」は、データのアップロード、データのダウンロード、分配器へのアクセスの制御、薬物投与形態へのアクセスの制御、あるいは分配器のユーザインターフェイスの向上または他の変更のために、分配器と同時に使用することができる小型の、可搬性の手持ち式電動電子ドッキング装置を指す。フォブは、有線または無線のやり方で分配器と通信およびドッキングすることができる。フォブを、とくには病院状況において、医師または介護士などといった医療従事者の首からぶら下げることができるよう、ひもへと取り付けられるように適合されうる。薬剤師は、フォブを介して医師または介護士と通信することができる。
【0048】
用語「リザーバ」は、分配装置から送達される調合物を保存しておくための分配装置または保存装置内のチャンバまたは収納空間を指す。
【0049】
本明細書において、用語「分配装置」、「薬物分配装置」、および「薬物送達装置」は、用語「分配装置」と相互変換可能に使用され、制御された送達を容易にするのに充分に小さく、患者への治療用量の薬剤を担持している投薬形態を分配する装置を指す。本発明の投与形態は、物理的に壊れやすくてよく、したがって物理的な取り扱いに適していない場合がある。分配装置が、本発明の投与形態に調合された薬剤の制御送達および安全送達のための機構を提供する。
【0050】
本明細書において使用されるとき、用語「薬物投与形態および分配装置を含むシステム」は、薬物投与の送達および監視のための薬物分配システムを指す。本発明のシステムを、送達される薬物の量、したがって効能、ならびに安全性が、現時点において利用可能なシステムに比べて向上されるよう、有効かつ最大の投与を監視および送達するために使用することができる。システムは、保存されている薬物への権限なきアクセスを防止するためのセキュリティ機能、盗難の防止に役立つ盗難抑止機能、投薬のロックアウト特徴、用量カウント機能、用量送達についての情報を保持するためのメモリ手段、ならびにユーザまたはコンピュータ等の他の装置との双方向の情報交換のためのインターフェイスなど、現在利用可能なシステムに比べて改良された安全性および使い易さを提供する1つ以上の特徴を有することができる。
【0051】
本明細書において、用語「急性痛」は、典型的には存在が1ヵ月未満の痛みに関して使用されるが、場合によっては、3ヵ月の長きにわたって存在する痛みも、特有の痛み現象そのものの継続時間が短い場合には、「急性」と考えられることがある。
【0052】
本明細書において、用語「慢性痛」は、典型的には1ヵ月よりも長きにわたって存在する痛みに関して使用される。
【0053】
分配装置の種類
院外の急性の状況
分配装置の例示的な1つの用途は、治療効果を迅速に生み出し、安全かつ便利に使用することができ、適切な時間期間にわたって治療効果をもたらす迅速作用の投与形態を提供することにある。本発明の分配装置を、院外の状況において使用することが可能である。院外の状況において、本発明の分配装置の一実施形態は、以下の構造的および機能的特徴を呈することができる。すなわち、分配装置は、単独の可搬性様式であってよい。分配装置は、数週間にものぼる治療が可能であってよい。分配装置は、使い捨てかつ/または再充填不可能であってよい。分配装置は、子供にとって操作できないものであってよい。分配装置は、投薬の間の固定のロックアウトを有してよい。分配装置は、固定の時間期間の後に停止を呈することができる。分配装置は、分配ボタン、音または音色、ならびにLEDに限定されたインターフェイスを有することができる。分配装置は、温度を監視することができ、薬物投与が安全限界を超える場合に停止することができる。ディスプレイ。分配装置は、用量カウンタを備えることができる。
【0054】
院外の急性(家庭、職場、現場、など)の状況において使用されるとき、本発明の分配装置は、院外での薬物投与において、技術水準を超えるいくつかの特徴および利点を提供する。分配装置によって、個人が、医師、医療提供者、または薬物のラベルの指針に従って、自身で薬物を投与することができる。いくつかの例示的な急性の院外の適応は、術後痛、身体外傷に関係する痛み、不安神経症、不眠症、高血圧症、狭心症、冠動脈疾患、うつ病、精神病、便秘、吐き気、中毒、ADHD、などである。例えば、ここでの言及によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/429,904号を参照されたい。急性の院外の状況において薬物の分配を効果的に助けるために、分配装置は、以下の特徴のうちの一部またはすべてを提供することができる:患者が薬剤を自身で投与できるようにする;投薬の履歴を記録する;投薬の履歴の読み出し、あるいはコンピュータ、ネットワーク、または他の電子装置への伝達を可能にする;改竄または流用を防止する;薬物投与形態を適切な場所(例えば、舌下、頬、口胃腸、直腸、眼、鼻、吸入、耳、経皮、または他の任意の投与経路)へと届ける;ならびに、投薬量の投与、処方の再充填の必要性、改竄の企て、装置の誤用、GPS位置、装置内に収容されている薬物の期限切れ、温度または湿度事象などといった事象を、所定の個人に(警報、警告、携帯電話メッセージ、テキストメッセージ、電子メール、あるいは他の有線または無線の通信手段によって)知らせる。本発明の分配装置は、院外の急性の状況において、任意の薬物投与形態にて、任意の薬剤を分配するために使用することができ、上述の特徴の任意の組合せを可能にすることができる。本発明の装置の用途のいくつかの例は、第1応答者、戦場の衛生兵、救急隊員、などのための急性の現場での看護にある。
【0055】
例えば、急性痛の治療は、必然的に、かなりの次善条件下の「現場」であることが多い。救急医療師または戦場の衛生兵などといった第1応答者は、IVまたはIM投与に使用される針が感染などの意図されない危険につながりかねない非殺菌の状況において、深刻な急性痛の治療をしばしば求められる。本発明の分配装置、システム、および方法は、この状況ならびに対象がアンギナ(本発明の分配装置を使用してニトログリセリンによって治療することができる)に苦しんでいるような状況において、有用である。
【0056】
院内の状況
本発明の分配装置の他の使用は、院内の状況において生じる。例えば、急性痛の迅速な治療の必要性が、術後の回復、関節リウマチ、術後腰下肢痛(failed back)、末期がん、など、病院の状況における多数のさまざまな臨床の状況において生じる。例えば、術後に患者は、最初の数日にわたって深刻な痛みに苦しみ、その後に軽度から中程度レベルの痛みの日々が続く。
【0057】
院内の状況において、薬物投与形態のための分配装置の一実施形態は、以下の構造的および機能的特徴を含むことができる:1〜5日間の治療のための充分な薬物;使い捨てまたは部分的に使い捨て可能な分配装置;充電可能であり、充電ステーション/ドック/携帯ドッキングフォブを有することができる分配装置;装置上にグラフィックディスプレイを有することができる分配装置;ドッキングステーションまたはフォブを有することができる分配装置;装置、ドック、またはフォブにキーパッドを有することができる分配装置;投薬履歴に関して照会することができる分配装置;典型的には認証されたユーザの特定が可能であって、アクセスを管理することができる分配装置;カウンタリセット機能を有することができる分配装置;典型的には子供が操作することができない分配装置;固定または可変のロックアウト時間を有することができる分配装置;再充填可能な分配装置;投薬のフィードバックが可能であってよい分配装置;リアルタイムでの更新のために無線または有線のネットワーク、装置、またはコンピュータへとつながることができる分配装置;典型的には盗難を抑止する分配装置;再使用可能なヘッドを有することができる分配装置。
【0058】
院内(病院、診療所、など)の状況において使用されるとき、本発明の分配装置は、技術水準の院内薬物投与を超えるいくつかの特徴および利点を提供する。分配装置によって、医療提供者が、PRN(「臨機の」)薬剤の自己投与のために、患者へと薬物投与形態を与えることができる。PRNとは、痛み、吐き気、便秘、不安神経症、などのために必要なときに取込まれる薬物を指す。院内の状況において効果的に動作するために、患者によって制御されるPRN分配装置は、必要に応じた自己投薬を可能にし、患者による過剰な投薬を防止し、投薬履歴を記録し、投薬履歴の読み出し、ダウンロード、あるいは他の方法での患者記録への移動を可能にし、薬物投与形態を適切な位置(例えば、舌下、頬、口胃腸、直腸、眼、鼻、吸入、膣、耳、経皮、または他の任意の投与経路)に送達し、権限なき個人による薬物へのアクセスを防止または抑止する必要がある。本発明の分配装置は、ここでの言及によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/473,551号に記載されているように、院内の状況において、任意の薬物投与形態にて、任意のPRN薬剤を分配するために使用することができ、上述の特徴の任意の組合せを可能にすることができる。
【0059】
本発明の分配装置を有するシステムは、装置からネットワークへと有線または無線モードで情報を双方向に伝達する可搬性ドックを有することができる。投薬履歴などのデータをコンピュータシステムへとダウンロードまたはアップロードするソフトウェアも、本発明のこの実施形態の一部である。
【0060】
院外の慢性の状況
本発明の分配装置のさらに別の実施形態は、慢性症状を抱える患者のために慢性投与が必要である院外の状況にある。
【0061】
院外の状況において薬物投与形態を送達するための分配装置の一実施形態は、以下の構造的および機能的特徴を含むことができる:分配装置は、1〜2年の治療が可能であってよい;分配装置は、充電可能であってよく、充電ステーション/ドック/携帯ドッキングフォブを含むシステムの一部であってよい;分配装置は、分配装置上にグラフィックディスプレイおよび表示灯を有することができる;分配装置は、ドックまたはフォブを含むシステムの一部であってよい;分配装置は、装置上にキーパッドを含むことができる;分配装置は、ドックまたはフォブを含むことができる;分配装置は、投薬履歴を記録することができる;分配装置は、投薬履歴の照会を可能にすることができる;装置は、1人以上の患者またはユーザのIDを保存することができる;分配装置は、典型的には盗難を抑止し、子供が操作できず、アクセスが管理されている;分配装置は、リセット可能なカウンタを有することができる;分配装置は、固定または可変のロックアウト時間を有することができる;分配装置は、再充填可能であってよい;分配装置を、ネットワークに接続することができる;分配装置は、警報機能を有することができる。
【0062】
院外の慢性(家庭、職場、現場、など)の状況において使用されるとき、この分配装置は、院外での薬物投与の技術水準を超えるいくつかの特徴および利点を提供する。分配装置によって、医師、医療専門家、または薬物のラベルの指針に従って、個人の自己の薬物投与を可能にすることができる。本発明の分配装置が有用である慢性の院外の適応として、慢性痛、慢性の突出痛、不安神経症、不眠症、高血圧症、冠動脈疾患、うつ病、精神病、中毒、ADHD、高血圧、糖尿病、などが挙げられる。慢性の院外の状況において薬物の分配を効果的に助けるために、分配装置は、以下の特徴のうちの一部またはすべてを提供することができる:分配装置は、患者の自身での薬剤投与を可能にすることができる;患者の投薬履歴を記録することができる;投薬履歴の読み出し、あるいはコンピュータネットワークまたは他の電子装置への伝達を可能にすることができる;医師または医療提供者による直接または遠隔での状況およびプログラミングの変更を可能にすることができる;所定の時刻、所定のスケジュール、または特定の事象の発生にもとづいて、情報を自動的にアップロードまたは伝達することができる;改竄または流用を防止することができる;薬物投与形態を適切な場所(例えば、舌下、頬、口胃腸、直腸、眼、鼻、吸入、耳、経皮、または他の任意の投与経路)へと送達することができる;投薬量の投与、処方の再充填の必要性、改竄の企て、装置の誤用、GPS位置、装置内に収容されている薬物の期限切れ、温度または湿度事象などといった事象を、所定の個人に(警報、警告、携帯電話メッセージ、テキストメッセージ、電子メール、あるいは他の有線または無線の通信手段によって)知らせることができる。本発明の分配装置は、院外の状況において、任意の薬物投与形態にて、任意の薬剤を分配するために使用することができ、上述の特徴の任意の組合せを可能にすることができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、分配装置は、ドッキングコネクタまたは無線ドッキング手段を有しており、ソフトウェアおよびコンピュータネットワークへのアクセスを含むシステムと通信することができる。この装置を含むシステムは、装置からネットワークへと有線または無線のモードによって情報を双方向に伝達する固定または可搬性ドッキングステーションを有しており、あるいは接続が、ドッキングコネクタまたは無線ドッキング手段、ならびに電話線、コンピュータ、またはネットワークへの接続手段によるものであってよい。
【0064】
本発明の薬物分配装置の物理的な態様
費用効果的であり、誤りの危険を最小にし、偶発的および意図的な誤用および転用に抗し、薬剤を取り扱う必要性をなくし、かつ労働集約的でないやり方で、所与の薬剤を正しい患者へと正確に分配することができる薬物分配装置について、未だ満たされていない要望が絶えず存在している。
【0065】
別の実施形態において、本発明は、制御された条件下での所与の薬剤の1回および複数回の投与の手配を大幅に簡単化する薬物分配装置を提供する。本発明の薬物分配装置の1つの例示的な用途は、オピオイドなどの制御された物質の投与にある。そのような場合、投薬形態は、制御された条件下で収容および投与される必要があるきわめて強力な、制御された麻薬を含んでいる。そのような調合物の保存および送達は、特別に設計された装置を必要とする。装置は、投薬形態を安全に保存する必要があり、乱用ならびに偶発的または意図的な誤用を防止または抑止する必要があり、当該薬物が処方された患者にのみ個々の投与が効果的かつ安全なやり方で与えられることを容易かつ正確に可能にする必要があり、使用の履歴を監視および報告するための手段を提供する必要がある。本発明の薬物分配装置は、これらの要望を満たす。
【0066】
他の実施形態において、分配装置は、1つまたは複数の薬物投与形態を保持するパッケージ、薬物投与形態を分配するための遠位オリフィス、投薬形態を分離させて解放する内部機構、所与の時間期間(ロックアウト時間)において分配することができる投薬形態の数を制御する内部の電子機器、装置へのアクセスを患者および/または1人以上の医療専門家に限定するセキュリティ機能、分配装置の盗難の可能性を少なくするセキュリティ機能、分配装置の使用履歴情報の保存および取り出しを可能にする照会可能なインターフェイス、装置へと唾液が進入することがないようにする手段、およびユーザが分配装置を作動させるための外部のスイッチを備える。分配装置は、典型的には手持ち式であり、ドッキングステーション(「ドック」)を介したデータ通信が可能であってよい。固定された可搬性ドックを、分配装置の充電を容易にするため、および正規の医療専門家によるデータへのアクセスのために、組み込むことができる。分配装置は、ユーザが患者IDに一致しない場合、投薬の試みが行われたときにロックアウト期間が未だ経過していない場合、またはセンサが、薬物形態が(湿度、熱、または有効期限ゆえに)もはや良好でない旨を知らせている場合に、停止することができる。分配装置は、機能的な問題が生じたときに、警報を発することができる。この実施形態の一態様においては、薬物投与形態および薬物分配装置が、例えば舌下空間への経口経粘膜薬物送達のために設計されている。
【0067】
別の実施形態において、本発明の分配装置は、指紋読み取り器、光学網膜読み取り器、音声認識システム、顔認識システム、歯形認識システム、視覚認識システム、またはDNA読み取り器など、患者の識別のための検出手段を含んでいる。分配装置は、システムが、分配要求が認証されたやり方または許可されていないやり方でなされたものであるかを判断できる、ユーザを識別するための1つ以上の手段を使用することができる。多数の潜在的な薬物および薬物投与形態の効果的な送達のために、薬物の偶発的または意図的な転用を防止すべく、分配装置が許可されていない個人によって偶発的または意図的に使用されることがないように保証することが重要である。そのような患者識別システムは、例えば入院の病院の状況において1人以上のユーザを認識でき、分配装置を、処方された患者ならびに看護師または医師などの認証された医療提供者を認識するようにプログラムすることができる。例えば、院外の家庭の状況においては、分配装置は、処方された患者にのみ応答することができる。分配装置は、指紋による識別、ブレスレット、ネックレス、クリップ、ベルト、ストラップ、接着パッチ、インプラント、またはタグの配置および固定手段に配置された能動または受動RFIDタグの使用によるRFID検出、網膜認証、DNA認証、音声認識、パスワードまたは符号の入力、物理的な鍵、電子または磁気鍵、人体または衣類をデータまたは信号管路として使用するパーソナル・エリア・ネットワーク識別、光学スキャナまたは顔認識、音波、亜音波、または超音波識別、あるいは個人を識別して身元を確認する他の任意の手段など、任意のユーザ識別手段を使用することができる。
【0068】
患者識別の1つの方法は、ブレスレット、ネックレス、接着パッチ、衣類タグ、経口で取り付けられた装置(歯列矯正用の保持具など)、ベルト、ストラップ、これらの何らかの組合せ、あるいは他の位置に取り付けられた短距離(「近接場」)受動RFIDタグの使用である。RFIDタグが、受信信号の波長の約16%として大まかに定められる「近接場」で使用されるとき、タグは、読み取り器とタグのアンテナとの間を磁気的に結合する、動作の誘導モードで挙動する。近接場は、少なくとも2つの特徴によって特徴付けられる:第1は、距離とともに急激に低下する磁界の強度であり、第2は、信号の強力な指向性である。近接場においては、信号強度がきわめて急激に低下し、信号強度の低下は、距離が10倍になるごとに約60dBである。送信機のアンテナとRFIDタグのアンテナとの間の良好な誘導結合のために、2つのアンテナが、それぞれのアンテナの中心を貫く軸を密に近接させつつ平行な平面に配置される。強力な信号強度(頑強な患者ID)は、装置がRFIDタグにきわめて近い場合にもたらされる。同時に、装置がタグから遠く離れているとき、きわめて弱い信号しかもたらされず、これが、装置の使用を企てる患者以外の者による許可されていない使用を防止するうえで役に立つ。この近接場領域において、良好なアンテナの整列での動作が好ましい。さらに、装置が適切な向きにてRFIDタグに近接していないとき信号の受信がきわめて困難であるように、正しい識別のために適切な信号強度のきわめて短い距離で動作することが好ましい。アンテナ間の短い距離および正しい整列を得るために、分配装置を、分配装置に取り付けられたRFIDアンテナをRFIDタグのアンテナ(例えば、リストバンドまたはブレスレット、あるいは襟の衣類タグ、あるいは手、腕、頬、首、または他の場所の接着パッチに取り付けられる)に近接して適切に位置させるように、設計することができる。さらに、リストバンドまたはブレスレットのRFIDタグのアンテナを、ブレスレットが手首において移動または回転しないようにする小さな接着パッチによって、正しい整列および位置に保持することができる。
【0069】
別の実施形態においては、分配装置が、13.56MHzの周波数帯またはその付近で動作する院内(病院、診療所、など)の状況で使用するための高周波RFID読み取り器を使用し、一致するRFIDタグおよびアンテナが、使い捨てのブレスレットまたはリストバンドにて患者に装着され、使い捨てのブレスレットまたはリストバンドが、取り外されたならばRFIDタグ、アンテナ、または関連の回路の別の構成要素が損傷または破壊されて機能できなくなるようなやり方で設計されている。他の例では、RFID通信の範囲が短く、好ましくは0インチ〜10インチの間、より好ましくは0〜5インチの間、最も好ましくは0〜3インチの間であり、さらには指向性であってよく、意図された患者による適切な使用を容易かつ確実にできると同時に、別の個人による不正な使用を困難、きわめて困難、または不可能にする。
【0070】
別の実施形態においては、院外の状況(例えば、家庭、職場、など)で使用するための本発明の分配装置に、電子指紋センサシステムを備えることができ、処方または最初の使用の際に患者の指紋を識別するために仕込むことができる。意図された患者が自身で投薬するとき、患者は、まずは識別を試みるべく指紋識別センサを使用する。分配装置は、ひとたび患者を装置の認証されたユーザであるとして成功裏に識別すると、短い時間期間(例えば、5秒間)にわたって実質的にロックを解除し、1回の投薬を可能にする。投薬が行われ、あるいは5秒が経過すると、分配装置は実質的に再びロック状態となり、さらなる投薬に先立ってさらなる指紋認証が必要である。
【0071】
別の実施形態において、本発明の分配装置は、心拍数の測定を可能にし、患者の心拍数が所定の範囲にない限りは、用量の分配を行わない。分配装置は、体温、呼吸数、血圧、血液化学、唾液化学、呼気化学、あるいは他の任意の生物学的状態または検出可能な入力などの生体測定パラメータを含む内外のパラメータの測定のために、いくつかの種類のセンサのいずれかを有することができるか、あるいは時刻、日付、温度、湿度、地球上での位置、などの外的なパラメータを含むことができる。
【0072】
別の実施形態において、本発明の分配装置は、装置の設定以後の全ての用量をカウントする全投薬カウンタ、および認証された医療担当者(例えば、看護師)によってリセットすることができ、最後のリセット以後の用量を記録するリセット可能な投薬カウンタなど、薬物の使用履歴を監視および保存する投薬カウント機能を有することができる。本発明の分配装置は、分配された用量の数および分配に備えて残されている用量の数を、カウントして表示することができる。
【0073】
さらに、別の実施形態において、本発明の分配装置は、経時的に送達される用量についての情報を保持するためのメモリ手段を有することができる。メモリ手段は、RAMおよび/またはROMを含むことができる。情報の処理および装置の種々の機能的要素の制御のための中央演算ユニット(CPU)も設けられる。
【0074】
別の実施形態において、本発明の分配装置は、使い易さを提供できる好都合な特徴をさらに有している。例示的な好都合な特徴として、使い捨て可能性、再使用可能性、再充填の容易さ、有線または無線での遠隔動作、充電可能な電池、および多数用量の可能性が挙げられる。
【0075】
別の実施形態において、さらに本発明の分配装置は、期限切れの薬物の不適切な投薬を防止できる、薬物の有効期限の警報機能;薬物の有効期限情報;コンピュータなどの他の装置と情報を交換するためのインターフェイス;薬物のアクセス管理のために日付および時刻を記録するクロック機能;および/または時間依存性であってよい他の通信能力を有することができる。
【0076】
別の実施形態において、本発明の分配装置は、患者が安全かつ効果的な用量を受け取るように電気的に監視および制御される制御された送達が可能な薬物分配装置を提供する。
【0077】
別の実施形態において、本発明の薬物分配システムは、容易に取り扱うことができ、持ち運ぶことができ、自己動力式であり、比較的安価である装置であって、過剰な投薬を防止すべく時限のロックアウト期間を可能にし、子供が操作できず、また、改竄しにくく、数日、数週間、または数ヵ月の薬剤を装置内に収容できるような複数単位の投薬が可能である装置である。
【0078】
別の実施形態において、本発明の薬物分配装置は、機能的に接続される以下の構成要素を含むことができる:薬物リザーバ、分配チップ、手動または動力式起動トリガまたはボタン、1つ以上の通信ポート、内部電源、入力および出力機能を有するユーザインターフェイス、マイクロプロセッサ、無線通信能力、患者およびユーザ識別(例えば、指紋読み取り器、RFID)能力、唾液の進入防止、内部の湿度および水分制御、オピオイドアンタゴニストリザーバ、再充填または他のアクセスポート、内部および外部の状態を検出するための1つ以上のセンサ、ならびに生体認証またはアクセスコードの入力を含むことができる。
【0079】
別の実施形態において、本発明の薬物分配装置は、種々の入力を監視するために分配装置の内側または外側の1つ以上のセンサを使用することができる。いくつかの入力は、装置内の錠剤の数、装置内での錠剤の位置、錠剤の成功裏の分配、成功しない分配の試み、特定の位置における錠剤の存在、錠剤カートリッジの存在、カートリッジの身元、分配機構の位置、装置内の温度または湿度、あるいは他の任意の内部の設定または状態の検出、など、内部システムの状態の指標であってよい。他の入力は、とりわけ温度、湿度、加速度、光、あるいはユーザ、他の者、または物体への近接など、装置の外部の状態の指標であってよい。これらの入力は、ユーザまたは他の者に特有であってよく、装置との直接または間接の相互作用、スイッチ、ボタン、または他の入力の動作または起動、体温、心拍数、呼吸数、血圧、血液化学、唾液化学、呼気化学、瞳孔拡張、あるいは他の任意の生物学的状態または検出可能な入力を含むことができる。センサは、入力を検出する任意の手段を使用することができる。温度、湿度、加速度、唾液の進入、または他の生体測定の入力を検出するための或る範囲のセンサが、所定の条件またはプログラム可能な条件下で装置の起動または停止を可能にするための手段として機能することができる。
【0080】
別の実施形態においては、薬物分配装置を、電池、コンデンサ、燃料電池、または他の動力供給源で動作させることができるか、あるいは電力を必要とせずに手動で動作してもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、本発明の薬物分配装置は、太陽電池で充電できるか、あるいは手で動かされるクランクまたはレバーによって手動で充電できる電池を含んでいる。充電式の電池または他の動力源を、充電ケーブルまたは他の手段によって、ドックにて充電することができる。
【0082】
図1Aは、薬物投与形態を患者へと送達するための分配装置10の一実施形態の概略図である。分配装置10は、グラフィックディスプレイ12、生体測定患者ID読み取り器13、ユーザインターフェイス14、分配ボタン16、および分配カートリッジが配置されたハウジング18を備えている。分配装置10は、複数の投与形態を保持するように構成されている。グラフィックディスプレイ12は、例えば分配装置10によって投薬の頻度、患者情報、および/またはスケジュール情報を監視および表示できるようにするLCDディスプレイを含んでいる。ユーザインターフェイス14を、グラフィックディスプレイ12に表示されたメニュー項目のナビゲーションおよび選択に使用することができる。分配ボタン16は、患者などのユーザによって押されたときに1回の用量を分配することができる。これにより、術後または不自由な状態である患者が、過度な身体運動を必要とせずに装置を操作することができる。また、付き添いの看護士または医師が、患者へと用量を分配することができ、投薬履歴を監視することができる。分配ボタン16が、投与形態を能動的に分配してもよく、あるいは装置内のプロセッサに分配要求がなされた旨を知らせる論理スイッチを作動させてもよい。患者ID読み取り器13は、偶発的または意図的な転用あるいは許可されていない個人による乱用を防止するために、ID(例えば、指紋読み取り器、光学網膜読み取り器、音声認識、歯形認識、顔認識システム、またはDNA読み取り器、RFID)またはアクセスコードの入力を要求する。
【0083】
例示的な一実施形態においては、分配装置10が、13.56MHzの周波数帯またはその付近で動作する院内(病院、診療所、など)の状況で使用するための高周波RFID読み取り器を使用でき、一致するRFIDタグおよびアンテナが、使い捨てのブレスレットまたはリストバンドにて患者に装着され、使い捨てのブレスレットまたはリストバンドは、ひとたび取り外されたならばRFIDタグ、アンテナ、または関連の回路の他の構成要素が損傷または破壊されて機能できなくなるようなやり方で設計されている。一例においては、RFID通信の範囲が短く、0インチ〜5インチの間であり、さらには指向性であってよく、意図された患者による適切な使用を容易かつ確実にできると同時に、他の個人による許可されていない使用を困難、非常に困難、または不可能にする。
【0084】
別の例示的な実施形態においては、院外の状況(例えば、家庭、職場、など)で使用するための分配装置10において、生体測定患者ID読み取り器13が、電子指紋センサシステムであり、処方または最初の使用の際に患者の指紋を識別するための学習を行うことができる。意図された患者が自身での投薬時に、まずは識別を試みるべく指紋識別センサを使用する。ひとたび分配装置10が患者を成功裏に識別すると、患者ID読み取り器13が、他の患者によって装置が偶発的または意図的に切り替えられる可能性を防止し、装置10の偶発的または意図的な誤用を防止する。
【0085】
図1Bは、薬物投与形態を患者へと送達するための分配装置10の概略図である。この実施形態において、分配装置10は、ドッキングコネクタ20を備えている。ドッキングコネクタ20によって、分配装置10を他の装置、周辺機器、またはコンピュータへと接続して、他の装置、周辺機器、またはコンピュータへのデータの取り出し、保存、通信を行うことができる。
【0086】
図1Cは、薬物投与形態を患者へと送達するための分配装置の分配チップの一実施形態の概略図である。分配チップは、分配端26の付近に分配シャトル機構24を備えている。
【0087】
図1Dは、薬物投与形態を患者へと送達するための分配装置10の別の実施形態の断面概略図である。分配装置10が、カートリッジアセンブリ30、1つ以上の電池32、プロセッサ/pcボード34、アンテナ36、およびアンタゴニストリザーバ38を備えている。分配装置10は、薬物投与形態をスタック(stack)から取り出すためのシャトル機構24などのシャトル機構を含むことができ、分配端が、分配ボタンが押されたときに1回の用量を分配するためのスライダ機構を有することができる。
【0088】
本発明の分配装置は、以下の特徴の1つ以上を有することができる:手持ち式または可搬性であり、グラフィックディスプレイ、インターフェイスボタン、スクロールボタン、および分配ボタンを有しており;正しい患者が装置を使用していることを識別および確認するための生体測定指紋読み取り器または他の手段を有しており;RFID読み取り器を有しており;用量カウント機能を有しており;投薬履歴についての情報を保持するためのメモリ手段を有しており;コンピュータなどの他の装置との情報の双方向の交換のためのインターフェイスを有しており;投与形態が分配されたときに起動するLED、光、音響、または触覚による表示器を有しており;一度に1つの投与形態を分配でき、投与形態の分配のために蓋または他のヒンジ付きの開口を開閉する必要がなく;アンタゴニストリザーバを有しており;投薬の時間を患者へと知らせる表示器を有し、あるいは潜在的な危険または有効でない投薬状況の事象において通知をもたらす表示器を有しており、あるいはロックアウト期間の終了までの残り時間を患者に知らせる表示器を有する。
【0089】
いくつかの実施形態においては、本発明の分配装置は、ピペットの外観(例えば、図1Aに示されている)を有しており、(棒付き舐剤の外観を有するACTIQ舐剤と対照的に)子供にとって魅力的でない。
【0090】
他の実施形態においては、分配装置を、患者の首からぶら下げることができるか、あるいは病院のベッドへと取り付けることができるよう、ひもへと取り付けられるように適合されていてよい。これは、病院の状況などにおいて、装置の置き間違えまたは盗難を避けるのに役に立つであろう。さらに、分配装置は、衣料品または病院のベッドへと取り付けることができるよう、クリップを有することもできる。
【0091】
分配装置は、装置または内部の薬物投与形態について許可されていない盗難または改竄を防止または抑止するための1つ以上の盗難抑止機能を使用することができる。そのような抑止を、病院、診療所、または医療の状況において、家庭、事務所、あるいは一時的または恒久的のいずれにせよ、装置の存在または機能が意図されており、あるいは意図されていない任意の他の場所において、装置の盗難または改竄を防止するために使用することができる。例示的な抑止として、物理的なロック、綱、ケーブル、クランプ、または他の物体または人間への物理的な他の取り付け(恒久的であっても、一時的であってもよい)が挙げられる。
【0092】
物理的な盗難抑止手段の例示的な実施形態は、一端が分配装置へとロックされ、他端がループ、固定機構、または他の取り付けによって病院のベッドへとロックされる可撓性ケーブルである。この実施形態において、ケーブル綱を、鍵、組合せ、または制御されたアクセスを可能にする他のロック機構によって薬物分配装置または病院のベッドから取り外し、患者の移動あるいは装置の廃棄または再使用を可能にすることができる。
【0093】
抑止手段は、分配装置、ドックまたは他の周辺装置、コンピュータ、あるいは有線または無線のネットワークにて警告を生じさせることができるか、あるいは他の遠方の装置に警告することができる警報または通知を含むことができる。警報または通知は、聴覚、触覚、視覚によるものであってよく、あるいは1以上の個人へと通知を行う他の手段を使用してもよい。一実施形態においては、そのような警報または通知が、分配装置が盗まれた旨、または盗まれようとしている旨を知らせることができる。警報に加え、時刻、日付、音声データ、画像データ、GPSまたは他の位置情報、あるいは分配装置または内部の錠剤の改竄の防止に役立つ他の任意の情報など、盗難の出来事についての情報を装置へと伝達できるか、あるいは装置から伝達できる。そのような抑止は、大音量のサイレン警報、電気ショック、装置の1つ以上の態様の停止または破壊、インクまたは他のマーカーの分配、あるいは内部の薬物を使用不能または不適にする作用など、分配装置の特徴の作動を含むことができる。本発明の分配装置は、1つ以上の盗難または改竄防止手段を使用することができる。
【0094】
そのような抑止手段の例示的な一実施形態を、院内(例えば、病院または診療所など)の状況における舌下鎮静剤の送達の場合によって例示することができる。そのような場合、分配装置は、分配装置が個人、物体、または物理的な位置に所定の近位から引き離されたときにこれを検出するために、RFIDまたは無線ネットワークのための検出器など、無線近位検出を備えている。分配装置が所定の位置または近位から引き離された旨が検出されると、分配装置は、通常の機能を停止し、音による警報を発し、遠方の装置またはネットワークへと無線の警報メッセージを送信して、全ての錠剤を濡らし、さらには/あるいは全ての錠剤を不活性にして、全ての錠剤を使用不能にするようなやり方で、錠剤カートリッジ内への液体の内部放出を生じさせる。
【0095】
別の例示的な実施形態においては、本発明の分配装置が、院外(例えば、家庭、事務所、など)の状況において舌下鎮静剤投与形態の送達に使用され、内部センサまたはスイッチが、許可されていないまたは意図されていない様相で分配装置が開かれ、分解され、損傷され、あるいは動力を失った場合にこれを検出する。この事象の検出によって、内部のマイクロプロセッサが、システムに能力があれば出来事を記録し、鎮痛薬としての使用を不可能にして舌下錠剤投与形態として使用できないようにするようなやり方で、錠剤カートリッジ内への液体鎮静剤アンタゴニスト(ナロキソンのような)の内部放出を生じさせる。
【0096】
一例示的な実施形態においては、分配装置が手持ち式の装置であって、制御インターフェイスが一端に位置し、分配装置の先端が他端に位置する。制御インターフェイスは、LCDモニタ画面(例えば、図1Aに示したグラフィックディスプレイ12)、ユーザフィードバック用のスピーカ、種々のインターフェイス、および/またはスクロールボタン(例えば、図1Aに示したユーザインターフェイス14)、分配ボタン(例えば、図1Aに示した分配ボタン16)、および生体測定拇印読み取り器(例えば、図1Aに示した生体測定患者ID読み取り器13)から選択されるいくつかの特徴を備える。分配端は、分配ボタンが押されたときに1回の用量を分配するスライダ機構(例えば、図1Aに示したユーザインターフェイス14)を有することができる。
【0097】
分配装置は、例えば患者、看護士、医師、薬剤師、あるいは他の認証された医療または介護関係者など、さまざまな種類の認証されたユーザのためにインターフェイスの1つ以上のレベルを使用することができる。これらの種々のインターフェイスは、キーパッド、ボタン、グラフィックにアイコンおよび指示、光、LED、単色またはカラーのグラフィックまたは文字表示、タッチ式スクリーン、LCD、音響、触覚フィードバック、音声認識インターフェイス、ならびに他の入力および出力の装置および手段、などといった構成要素を含むことができる。ユーザインターフェイスの活動、またはモードは、分配装置の動作モード、パスワードまたは符号の入力などといったユーザによるログインまたはアクセス行為、分配装置のドック、コンピュータ、またはネットワークへの接続または切り離し、あるいはキーおよび/またはRFIDタグなどといった認証アクセスキーの検出、あるいは同様の組合せによって決定できる。インターフェイスモードの変化時に、装置の機能を変化させることができ、上述のさまざまなインターフェイス構成要素の機能を有効化、無効化、または変化させることができる。装置を、それぞれに異なる機能が組み合わせられている1つ以上のインターフェイスモードを有することができるようにすることで、さまざまな使用に合わせて最適化することができる。
【0098】
一例示的な実施形態においては、本発明の分配装置が、院内(病院、診療所、など)の状況において舌下錠剤の投与に使用される。そのような装置は、マイクロプロセッサ、メモリ手段、LCD文字およびグラフィックディスプレイ、グラフィック式メニューの操作および機能の選択のためのいくつかのボタンを備えるキーパッド、ならびに舌下錠剤を分配するための分配機構を含みうる。
【0099】
図2は、薬物投与形態を届けるための分配装置において使用するためのカートリッジアセンブリ40の概略図である。カートリッジアセンブリ40は、キャップ42、ばね44、プランジャ46、投与形態48、およびカートリッジ管50を含んでいる。組み立てのために、薬物投与形態48がカートリッジ管50へと装填され、プランジャ46、ばね44、およびキャップ42が続けられる。このカートリッジは、ひとたび組み立てられると、分配装置10などの薬物分配装置へと挿入される。
【0100】
図3Aおよび3Bは、薬物投与形態を送達するための分配装置の単一用量アプリケータ52の一実施形態を示している。図3Aに示した分配装置は、薬物投与形態48の分配準備ができた単一用量アプリケータ52を示している。この実施形態に一態様においては、ユーザが単一用量アプリケータ56をつまむことで、図3Bに示されているとおり、アプリケータが開いて、薬物投与形態48が分配される。
【0101】
本発明の薬物投与形態分配器は、薬物送達のための所定の位置(例えば、口腔、舌下空間、眼、など)への投与形態の手動適用を可能にする手段によって、薬物投与形態を分配することができるか、あるいは使い捨てのアプリケータに取り付けまたは収容された薬物投与形態を分配することができる。一実施形態においては、単一用量アプリケータを、固形錠剤、液体カプセル、ゲルカプセル、液体、ゲル、粉末、フィルム、ストリップ、リボン、スプレー、ミスト、パッチ、または他の任意の適切な薬物投与形態など、さまざまな薬物投与形態のために使用することができる。単一用量アプリケータ(SDA)は、投与形態を内部に収容することができ、自身に取り付けまたは付着させて有することができ、水分、湿度、および光に対するシールを与えることができ、前記投与形態を薬物送達のための適切な位置に配置するため、患者、医療提供者、または他のユーザによって手動で操作することができる。SDAは、ピストン対、シリンジ、スティックまたは棒、ストロー、スポイト、噴霧器または霧化器の形態であってよく、単一の薬物投与形態の適用に適した他の任意の形態であってよい。使用後に、前記SDAを、分配器が唾液または他の汚染物質で汚染される危険を取り除くために、廃棄することができる。
【0102】
別の実施形態において、本発明の分配器は、複数のSDAをカートリッジにて、あるいは個々に梱包して含むことができ、患者、医療提供者、またはユーザによる使用のために、単一の薬物投与形態を含んでいる単一のSDAを分配することができる。分配器は、単一のSDAを、本発明において説明される単一の薬物投与形態の分配に有利である同じ特徴によって、同じやり方で、分配することができる。
【0103】
図3Aは、本発明のSDAの1つの例示的な実施形態を説明している。このアプリケータが送達のために配置されて押されたとき、図3Bに示されているとおり、可撓性ヒンジ部が変形し、投薬形態を舌下空間へと解放できるようにする。投与形態を適用した後、分配器を廃棄することができる。
【0104】
分配装置は、例えば患者、看護士、医師、または薬剤師など、さまざまな種類の認証されたユーザのために1つ以上のインターフェイスのレベルを使用することができる。これらの種々のインターフェイスは、キーパッド、ボタン、グラフィックアイコンおよび指示、光、LED、単色またはカラーのグラフィックまたは文字表示、タッチ式スクリーン、LCD、音響、触覚フィードバック、音声認識インターフェイス、ならびに他の入力および出力の装置および手段、などといった構成要素を含むことができる。ユーザインターフェイスの起動またはモードは、分配装置の動作モード、パスワードまたは符号の入力などといったユーザによるログインまたはアクセス行為、分配装置のドック、コンピュータ、またはネットワークへの接続または切り離し、あるいはキーなどの認証アクセスキーおよびRFIDタグの検出または同様の作用によって決定できる。インターフェイスモードの変化時に、装置の機能を変化させることができ、上述のさまざまなインターフェイス構成要素の機能を有効化、無効化、または変化させることができる。装置を、それぞれに異なる機能が組み合わせられている1つ以上のインターフェイスモードを有することができるようにすることで、さまざまなユーザの要望に合わせて最適化することができる。
【0105】
院内(病院、診療所、など)での使用のための分配装置の1つの例示的な実施形態は、マイクロプロセッサ、メモリ手段、LCD文字およびグラフィックディスプレイ、グラフィックメニューのナビゲーションおよび機能の選択のためのいくつかのボタンを備えるキーパッド、ならびに舌下錠剤を分配するための分配ボタンを含んでいる。この実施形態において、分配装置は、2つのインターフェイスモード、すなわち患者モードおよび医療関係者モード(例えば、看護士モード)を有するであろう。患者モードにおいては、分配ボタンのみが機能でき、ディスプレイおよびキーパッドは機能しない。医療関係者モードにおいては、ディスプレイおよびキーパッドが機能でき、看護士が、投薬履歴、投薬強度、患者ID、装置内に残る投薬量、および分配装置が看護士のアクセスのために有することができる他の任意の情報に、アクセスすることができる。看護士が、RFIDタグを有することができ、分配装置が、そのようなRFIDタグを医療関係者のアクセスタグとして認識し、そのようなRFIDタグが存在するときに医療関係者インターフェイスモードへとシフトし、存在していないときに患者インターフェイスモードへと戻ることができる。
【0106】
別の例示的な実施形態において、本発明の分配装置は、院内(病院、診療所、など)の状況において舌下錠剤の投与に使用される。分配装置が、マイクロプロセッサ、メモリ手段、多色のLED光、舌下錠剤を分配するための分配ボタン、ならびにドッキングコネクタまたは無線ドッキング手段を含んでいる。さらに、マイクロプロセッサ、メモリ手段、グラフィックおよび文字表示、キーパッド、ならびにドッキングコネクタまたは無線ドッキング手段を含む可搬性の手持ち式ドックが存在できる。この分配装置が患者モードで使用されるとき、LEDが、患者による投薬が可能である場合に或る色(例えば、緑色)を表示し、分配装置が時限のロックアウト期間にあるために患者による投薬が許されない場合に別の色(例えば、黄色)を表示でき、さらに分配装置は、分配装置の故障の場合に第3の色(例えば、赤色)を表示することができる。患者は、LEDが緑色であるときに舌下錠剤を自身で投与することができる。1つの筋書きにおいては、看護士または他の認証された医療関係者が、可搬性ドックを患者の部屋へと運び、分配装置へと物理的または無線にてドッキングさせ、医療関係者インターフェイスモードを動作可能にすることができる。医療関係者インターフェイスモードにおいて、看護士は、患者の投薬履歴、投薬強度、患者ID、装置内に残る用量、および装置が看護士のアクセスのために有することができる他の任意の情報を、閲覧することができる。さらに、看護士は、装置上の投薬カウンタをリセットでき、エラー状況を照会でき、必要であれば注射を送達することができる。可搬性ドックが分配装置から切り離されると、分配装置は患者インターフェイスモードに戻る。
【0107】
別の例示的な実施形態において、本発明の分配装置は、院外(家庭、事務所、など)の状況において舌下錠剤の投与に使用される。分配装置が、マイクロプロセッサ、メモリ手段、舌下錠剤を分配するための分配ボタン、小型の電子スピーカ、ならびにドッキングコネクタまたは無線ドッキング手段を含んでいる。さらに、マイクロプロセッサ、メモリ手段、ドッキングコネクタまたは無線ドッキング手段、ならびに電話線、コンピュータ、またはネットワークへの接続手段を含むことができる固定のドッキングステーションが存在できる。患者投薬モードにおいて、患者は、投薬が必要なときに分配ボタンを押し下げることができる。患者が投薬の間の時限のロックアウト期間の最中に分配ボタンを押した場合、音色が鳴り、分配装置が錠剤を分配できず、再投薬を待つ必要がある旨が、患者へと知らされる。患者が投薬の間の時限のロックアウト期間が経過した後に分配ボタンを押した場合、分配装置が錠剤を分配でき、確認の音色が鳴って、用量が分配された旨を患者に知らせる。分配装置は、物理的または無線にて固定のドックに接続されると、ドックあるいは医師のコンピュータまたは他の装置への他の通信手段によって患者の医師へと連絡でき、情報を交換して、医師が遠隔様相で患者の履歴を閲覧し、情報をダウンロードし、分配装置上のカウンタをリセットし、あるいは装置上の他の任意の機能を有効または無効にすることができるようにする。分配装置は、ドックから取り外されると、医師が分配装置に対して別途異なる指示をしていない限りは、患者インターフェイスモードへと復帰する。
【0108】
本発明の薬物投与分配装置は、錠剤または他の投与形態を、手、口腔、舌下、または個々の薬物送達要望に適した他の位置へと届けることができる。一実施形態においては、分配装置が、舌下送達系のために、固形の錠剤を口腔の舌下の空間へと送達する。この実施形態において、分配装置の内部の固形の投与形態が、分配までは乾燥したままある必要があり、送出の時点で、単一の錠剤が乾燥している装置から舌下の空間へと分配され、ここで錠剤および装置の先端が患者の唾液で濡らされる。分配装置への唾液の進入を防止する手段が、唾液が分配装置に進入して錠剤を濡らすことがないようにするため、あるいは内部の錠剤が乾いたままであるように、分配装置に進入する唾液を隔離するため、あるいは内部の錠剤が乾いたままであるように、分配装置に進入する唾液を吸収または吸着するため、あるいはこれらの方法の任意の組合せのために望まれる。
【0109】
唾液または他の水分の分配装置への進入を防止する手段として、これらに限定されないが、1つ以上の可撓性または剛性シール、1つ以上の可撓性または剛性ワイパー、1つ以上の吸湿材成分、手動または自動で開閉されるドアまたはラッチ、正の気圧および気流、あるいは錠剤送達オリフィスと唾液を運びうる口内の粘液膜組織との間に保たれる隙間または所定の距離を挙げることができる。
【0110】
図4A〜4Dは、薬物投与形態48を送達するための例示的な分配装置58の概略図であり、投与形態48を患者へと投与する際の分配装置58への唾液の流入を最小限にするための手段が設けられている。分配装置58は、プッシャー/スライダ60、ハウジング62、押しラック64、ピニオン66、およびハウジング内のチャネル68、ならびにばね72を含んでいる。図4A〜4Dは、分配装置58への唾液の進入を少なくするための手段としての薬物投与形態48の多段階分配を示している。図4Aにおいて、プッシャー/スライダ60が、装置58のハウジング62内に収容されたラック64およびピニオン66を押す準備ができている。チャネル68が、チャネル68内を自由に動くことができる空間をプッシャー60にもたらしている。薬物投与形態48は、ラック64の上部に乗せられており、ばね72が、ラック64および機構の運動および復帰に必要な張力をもたらしている。図4Bに示した分配装置58においては、プッシャー/スライダ60が、装置58のハウジング62内に収容されたラック64およびピニオン66を動かしている。薬物投与形態48が、ばね72がラック64へともたらす力によってチャネル68内を上方に押される。図4Cに示した分配装置58において、投与形態48がチャネル68の端部から対象(人間など)へと分配されている。次いで、これらの工程がが、図4Dに示されているとおり装置58への唾液の進入を最小限にする投与形態48の連続分配のために反復される。分配装置58への唾液の流入/進入は、装置の設計にシール、ワイパー、吸収剤、乾燥剤、排出式の装置、エアギャップ、またはこれらの組合せ、あるいは唾液の進入を最小限にする他の任意の手段を取り入れることによって最小にできる。装置への唾液の進入を許しつつ、装置内の残りの錠剤への唾液の到達を防止する手段として、1つ以上の可撓性または剛性の内部のワイパーまたはシール、個々に梱包または絶縁された複数の薬物投与形態を含んでいる薬物投与カートリッジ、唾液または水分が遡上できないような様相で曲がりくねっており、あるいは多段化されている薬物投与カートリッジから出口ポートへの錠剤の送達経路を挙げることができる。
【0111】
図5および6は、分配チップの例示的な幾何学的形状の概略図であり、シールを乾いた状態に保つための2つの手段が示されている。図5は、分配装置のチップの形状80の一例を示しており、図6は、チップの形状82の別の例を示している。
【0112】
一実施形態において、本発明は、効果的な用量が届けられると同時に、偶発的な過剰投薬を防止する時限のロックアウト特徴をもたらすように、複数の投与形態を舌下領域へと分配する分配装置を提供する。用量および対応するロックアウト時間を、対象の大きさおよび意図される治療目標に応じて調節することができる。
【0113】
本発明の装置または分配装置は、時限のロックアウト特徴を有することができ、装置が、投薬の間のロックアウト間隔を設定するための手段を有しており、そのようなロックアウト間隔は、固定の時間間隔、所定の時間間隔、所定の可変の時間間隔、アルゴリズムによって決定される時間間隔、ならびに遠方のコンピュータまたはドッキングステーションから装置へと伝えられる可変の時間間隔からなる群より選択される。
【0114】
分配装置は、安全でないあるいは処方外の様相での薬物の投薬を防止するロックアウト特徴を備えることができる。このロックアウト特徴は、ロックアウト期間の間、機構をロックすることによって、機構の構成要素を切り離すことによって、あるいはマイクロプロセッサおよびアルゴリズムによって分配機構を制御することによって、装置による用量の分配を機械的に防止することができる。ロックアウトは、固定の期間(例えば、10分間)であってよく、所定の可変の期間であってよく、「洗練された」可変の期間であってよく、あるいは内部または外部の事象または状態にもとづいて「トリガ」されるロックアウトであってよい。固定のロックアウトは、それぞれの投薬後に、続いての用量の分配を許可しない固定のロックアウト期間を可能する。所定の可変のロックアウトは、投薬後に、所定のロックアウトスケジュールに従う可変のロックアウト期間を可能にする(例えば、ロックアウト期間を、後続のそれぞれの投薬後に1分間だけ増加させることができる)。「洗練された」ロックアウトは、内部アルゴリズムにもとづく可変のロックアウト期間を可能し、投薬履歴、投薬要求、あるいはアルゴリズムによる決定に使用することができる他の任意のデータまたは入力が考慮される。例えば、洗練されたロックアウトにおいては、特定の薬物分子の薬物動態、ならびに人体が薬物を経時的にどのように自然に除去または代謝するのかを考慮して、投薬履歴にもとづくロックアウト期間が可能である。トリガによるロックアウトは、センサからのデータ(例えば、温度、湿度、心拍数、呼吸数、血圧)、内部信号(日付、時刻、またはGPSからの位置)、外部のコンピュータ、ネットワーク、または他の電子装置からの信号、物理的、磁気的、または電子的キーの存在、機械的または電子的なアクセス信号(パスワード、符号、RFID信号、あるいは他の任意の有線または無線信号、など)の受信、など、内部または外部のトリガに応答することができる。本発明の分配装置は、本明細書に記載のロックアウトのうちの1つ以上を使用することができる。
【0115】
1つの例示的な実施形態においては、分配装置が、投薬履歴および内部アルゴリズムにもとづき、最初の投薬に続く所定の時間期間について錠剤の投薬を防止する洗練されたロックアウトを備える。この実施形態において、ロックアウト時間は、すでに患者が取り込んだ薬物用量の履歴および薬物の薬物動態を知ることで、安全な投薬間隔を予測するように計算される。
【0116】
別の例示的な実施形態においては、分配装置が、小さな外来の整形外科手術の後の72時間の回復期間について投薬を可能にするようにプログラムされている。装置が最初に患者へと処方されるとき、装置の内部クロックが経過時間の記録を開始する。経過時間が72時間に達すると、装置がロックされ、分配装置が期限切れとなって、もはや用量を送達できない旨が患者に通知される。
【0117】
図7A〜7Dは、ロックアウト特徴を備える薬物分配機構84の一実施の形態の概略図である。薬物分配機構84が、押し棒86、ロック88、ボタン/プッシャー90、およびくさび92を含んでいる。使用時、ボタン/プッシャー90が、ロック88を押し棒86へと押す。ロック88が上げられているときは、ボタン/プッシャー90は、ロック88を押すことができず、機構はロックされている。図7A〜7Dが、薬物投与形態の分配に関して、ロックアウト機構の種々の段階を示している。図7Aは、所定のロックアウト期間が過ぎておらず、分配機構84が、依然としてロック88が上げられたロック位置にある状況を示している。図7Bにおいては、所定のロックアウト期間が過ぎ、ロック88が下方の位置にあって、ロックアウト機構が、分配機構を分配位置にすることを許可している。図7Cは、分配機構84の動作のさらなる工程を示しており、薬物投与形態(図示されていない)を分配すべくボタン/プッシャー90がロック88を押し棒86へと押している。図7Dは、次の分配までの所定のロックアウト期間のためのロック位置を示している。ロック装置を、薬剤の許可されていない分配を防止するために、薬物分配装置へと取り付けることができる。センサを、投与形態が成功裏に分配された旨を検出するため、出口ポートに配置することができ、投薬形態の成功裏の分配が、分配装置の内部に記録され、あるいは有線または無線で取り付けられたドックまたはコンピュータによって記録される。ロック装置の種類として、以下を挙げることができる:可動性押し棒;戻らない押し棒;電気‐機械レギュレータ;光学センサ対;磁気クラッチ:アクチュエータのロックアウト;ラックおよびピニオン;安全ボタンラッチ;ソレノイド;軸上のコレット;キー付きハブ;可動性接続;およびカムである。
【0118】
別の例示的な実施形態においては、分配装置が、小さな外来の整形外科手術の後の72時間の回復期間について投薬を可能にするようにプログラムされている。装置が最初に患者へと処方されるとき、装置の内部クロックが経過時間の記録を開始する。経過時間が72時間に達すると、装置がロックされ、分配装置が期限切れとなって、もはや投薬を送達できない旨が患者に通知される。
【0119】
さらに本発明は、最初の用量およびその後の用量の両者ならびにロックアウト時間を調節するための手段を提供できる。薬物血漿濃度の評価に続いて適切な投薬スケジュールおよびロックアウト時間を決定するために、患者を評価することができる。
【0120】
分配装置は、処方の長さ、時刻、病気または症状の進展などとともに変化できる可変の所定のロックアウトスケジュールを可能にすることができ、処方、薬剤、投薬履歴、および生体信号などの他の患者特有の情報(例えば、非侵襲性手段によって測定される呼吸数または血圧)にもとづき、活性薬剤の薬物動態との組合せにて、ロックアウトのスケジュールおよび継続時間を決定するためのアルゴリズムを利用することができる。
【0121】
患者が1回の投与からでは充分な治療の利益を達成しない場合に、ロックアウト付きの反復投薬の利点は、患者が再投薬を行うことで、安全な様相で薬物の血漿レベルを増減できる点にある。これを、治療の血漿レベルが達成されるまで反復することができる。
【0122】
本発明の分配装置の最初の用量およびロックアウト時間は、患者の年齢および体重ならびに病歴にもとづいて、治療の開始時に設定される。しかしながら、最初の用量およびロックアウト時間を、患者の応答、治療の継続期間、などに応じて後に調節することができる。
【0123】
本発明の分配装置の初期の時限のロックアウト期間は、典型的には、約1分〜約60分、3分〜40分、あるいは5分〜30分であり、特定の場合には、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60分など、1〜60分の任意の1分の間隔に設定される。
【0124】
本発明は、装置がロックされるときに分配装置をロックするためのプログラム可能なロックアウト特徴を備える分配装置を提供する。これは、乱用あるいは偶発的または意図的な誤用を防止または抑止する。ロックアウト特徴は、可動性押し棒、戻らない押し棒、電気‐機械レギュレータ、光学センサ対、磁気クラッチ、アクチュエータのロックアウト、ラックおよびピニオン、安全ボタンラッチ、ソレノイド、軸上のコレクト、キー付きハブ、送りねじ、回転アクチュエータまたは機構、可動性接続、およびカムからなる群より選択される手段によって動作する。
【0125】
本発明は、医療専門家以外による乱用あるいは偶発的または意図的な誤用を抑制するためのアクセス制御手段を備える分配装置を提供する。分配装置は、カートリッジが装填されておらず、ロックされており、医療専門家によって起動された場合には機能しない。
【0126】
本発明の分配装置は、複数回の使用が可能であってよく、あるいは最初に装置へと装填された薬剤のすべてが分配されたときに廃棄されるよう、使い捨てであってよい。
【0127】
さらに本発明は、本発明の装置を固体、液体、懸濁液、フィルム、ゲル、スプレー、ミスト、発泡体、テープ、パッチ、またはペーストである小容量投与形態の送達に使用することを想定している。したがって、本発明は、液体またはゲルの分配装置において投薬の間に所定の遅延をもたらすことができる分配装置を提供する。その機構は、例えば噴射剤またはばね付勢プランジャによってわずかに加圧された液体またはゲルのリザーバと、リザーバから第2のシリンダチャンバへとつながる細い出口管とを含んでいる。シリンダチャンバは、棒へと取り付けられた分配ピストン、ならびにリザーバへとつながる細い出口管よりもはるかに大きい分配ポートを含むことができる。分配ポートは、薬物が意図せず分配されてしまうことがないようにするバルブを備えることができる。薬物調合物の粘度、リザーバ内の圧力、ならびに細い出口管のサイズを、粘性のある薬物調合物が加圧されたリザーバからシリンダチャンバへとゆっくりと流れ、チャンバが満たされるまでピストンを後方へと駆動するように設計することができる。このプロセスは、あらかじめ定めることが可能な或る時間期間を要し、そのような時間期間を、薬物の投薬の間の適切なロックアウト時間に協調させることができる。シリンダチャンバが満たされたとき、分配バルブが薬物の逃げ出しを防止することができる。シリンダから薬物を分配するために、棒が押される。棒が操作されることで分配バルブも開き、液体またはゲルの送出が可能になる。1つの手法においては、薬物が優先的に分配ポートから押し出されるように、分配ポートが出口管よりもはるかに大きい。また、このシステムを使用して、シリンダチャンバが完全に満たされる前に薬物を分配することも可能である。チャンバが一定の速度で満たされる場合、分配される薬物の量は、チャンバが完全に満たされる点までは、チャンバへの注入が行われた時間に比例する。この理由で、分配装置が早めに作動されたならば、分配装置は液体またはゲルのボーラスの一部分のみを分配する。
【0128】
一実施形態において、本発明の分配装置は、薬物が投与されたときに投与量が分配された旨のフィードバックを患者へともたらす聴覚、視覚、または触覚信号(クリック、ビープ、または光などの視覚的表示、など)を生成するための手段を含んでいる。舌下に投与されるNanoTab(登録商標)などの小さなサイズの投与形態の例では、患者が舌下腔の薬物に気が付かない可能性があり、したがって別のフィードバック手段が必要であると考えられる。本発明は、この要望を満足する解決策を提供する。
【0129】
本発明の分配装置を、薬物用量の容易な識別を可能にするため、単位用量のアレイ(array)に関連付けることができる色のアレイにて製造することができる。装置は、内部に収容された投与量を知らせるための他の視覚、聴覚、または触覚の識別子を有することができる。
【0130】
本発明の分配装置は、内部に収容された投与形態の機械的な保護を可能にし、破損、欠け、水和、などを防止して、内部に収容された損傷のない投与形態の分配を可能にする。これは、小さくて壊れやすく、脆い投与形態において特に重要である。分配装置は、異方性または均一でない投与形態を、適切または所定の向きにて反復可能な様相で舌の下方に配置することができる。
【0131】
本発明の分配装置は、1つ以上の薬剤の分配において有用であり、いくつかの実施形態において、2つ以上の薬物、薬物投与量、または薬物形態、などを含む複数の分配装置を提供する。同様のやり方で、分配装置は、複数の機構および分配チャネルなどによって分配される複数の投薬形態を複数のカートリッジにて含むことができる。
【0132】
本発明の分配装置は、承認されていない個人によるアクセスを否定しつつ、承認または認証されたユーザ(医師、看護士、薬剤師、または他の医療関係者)による薬物投与形態の再充填を可能にするアーキテクチャを含んでいる。
【0133】
他の実施形態において、本発明の分配装置は、装置を交差汚染の危険なく複数の患者に使用することができるように、患者の体または口腔に接触する使い捨てのチップを含んでいる。
【0134】
別の実施形態において、本発明の分配装置は、メモリ手段および表示手段に連絡し、装置による投薬、投薬頻度、およびスケジュールの監視および制御、投薬へのアクセス、ならびにプログラムされた情報または履歴情報の保存を可能にするマイクロプロセッサ(CPU)を含んでいる。
【0135】
さらに別の実施形態においては、分配装置が、再充填の予想および計画を可能にするため、装置内に残る投薬物の総数を記録および連絡する能力を有するように適合されている。さらに分配装置は、薬物の使用を記録および追跡し、これを随意により無線のプロトコルまたは電子的なドッキングによって患者の薬物使用を監視すべく医療提供者へと連絡する能力を備えることもできる。
【0136】
いくつかの実施形態において、分配装置は、医師による監督および介護の管理を可能にするため、遠方からプログラム可能であってよい。エラーコード、投薬履歴、患者の使用履歴、残りの用量、電池レベル、などを遠方で監視できるよう、装置に通信および制御の手段をもたらす無線識別(RFID)システム、WiFi通信、または他の遠隔操作システムを備えることができる。そのようなシステムは、それぞれの装置に特有のキーを含むことができ、許可されていない個人による薬物の偶発的または意図的な改竄、乱用、またはアクセスを防止するために、操作のためには、そのようなキーが装置に近接しる必要がある。このような遠隔操作システムは、さらに、患者の間での装置の偶発的または意図的なスワッピングや、他の偶発的または意図的な転用を防止するために、患者のベッドの傍ら(おそらくは、スタンドまたはドック)に配置され、あるいは患者または患者の衣類(おそらくは、ブレスレット、ネックレス、接着パッチ、またはクリップ)へと取り付けられる特有のキーを提供することができる。
【0137】
本発明の分配装置がオピオイドなどの制御物質の分配に使用される実施形態においては、分配装置を、意図的な転用を防止する構成でのオピオイドアンタゴニストの収納をもたらすようなやり方で設計できる。分配装置に、わずかな圧力に保持され、カートリッジから投与物へとアンタゴニストを放出するように付勢された小さな液体鎮静剤アンタゴニストリザーバを備えることができる。作動中のシステムが、バルブまたは他の制御可能な導管によって、アンタゴニストリザーバがカートリッジに溢れることを能動的に防止している。電源断、大きな物理的損傷、あるいは悪意による改竄の事象において、アンタゴニストリザーバが鎮静剤アンタゴニストをカートリッジへと分配し、投与形態を使用に適さないようにする。この実施形態において、分配装置は、例えば、電源またはシステムの故障、装置の損傷または改竄の事象において薬物調合物と混ざり合う液体の形態で、別個のリザーバにて提供する。
【0138】
いくつかの実施形態においては、スポイル剤が、アンタゴニストの代わりに使用される。分配装置が強いて開かれた場合、スポイル剤が薬物調合物に接触して、薬物調合物を汚染し、いずれの許可されていない使用にも適さないようにする。
【0139】
薬物投与形態を湿度、唾液の進入、または他の水性の液体への偶発的な曝露による水分への曝露から保護するために、分配装置ならびに装置内で投与形態を収容している容器またはカートリッジは、乾燥剤を含むことができる。唾液の進入を防止するための機構は、乾燥剤、シール、吸収剤、吸着剤、吸着ワイパー、およびセンサを備えることを含む。乾燥剤は、水への親和性を有する固体、液体、またはゲルの形態の吸収剤(sorbant)であり、周囲から水分を吸収または吸着して、直近の環境の水分を制御する。典型的にはペレット、缶、パケット、カプセル、粉末、固体材料、紙、板、錠剤、接着パッチ、およびフィルムの形態をとり、射出成型可能なプラスチックなど、特定の用途に合わせて形成できる任意の市販の乾燥剤を、本発明の実施において適用することができる。シリカゲル(固体であってゲルではないケイ酸ナトリウム)、アルミノケイ酸塩、活性アルミナ、ゼオライト、分子篩、モンモリロナイト粘土、酸化カルシウム、および硫酸カルシウムなど、多数の種類の固体乾燥剤が存在し、その任意のいずれかを本発明の実施において使用することができる。異なる乾燥剤は、水分または他の物質に対して異なる親和性、異なる容量、ならに異なる吸収または吸着速度を有する。また、異なる種類の乾燥剤は、平衡に至ったときの周囲の相対湿度が相違する。投与形態および本発明の分配装置の内部を水分から保護するための手段として、1つ以上の乾燥剤を、分配チップにおいて、投与形態(例えば、錠剤)の送達経路の中または付近において、投与形態、錠剤容器、またはカートリッジの中または付近において、分配装置の射出成型部品として形成される分配装置の他の構成要素の中または付近において、あるいは装置の内部または外部の他の任意の場所において、使用することができる。
【0140】
本発明の使い捨て可能および再使用可能な薬物分配装置
本発明の分配装置の所望の使用が完了し、分配装置がもはや必要とされないとき、完全に使い捨てることができ、一部を使い捨てて一部を再使用することができるか、あるいは全体を再使用することができる。1つの例示的な適用においては、分配装置を用いて、舌下錠剤を患者の舌の下方に配置することができ、したがって、投薬の間に安全なロックアウト期間が経過するまで患者の自己投与での次の舌下錠剤の投与をロックする手段、投薬履歴を記録する手段、およびこの履歴をユーザ、コンピュータ、別の電子装置、またはネットワークへと通信する手段を与えることができる。
【0141】
本発明の分配装置の構成要素の多くは、高い価値を有しており、さらに分配端は、接触伝染性の病気の危険にさらされうるため、分配端を使い捨て、マイクロプロセッサ、メモリ手段、電池などを収容している端部を再使用することが有利である場合がある。再使用可能な分配装置分配器は、充電可能な電池、交換可能な電池、再充填可能な燃料電池、あるいはシステムの動力を補充する他の手段など、補充可能な動力源を必要とすると考えられる。分配装置を、以下の任意の組合せで構成できる:全体が使い捨てまたは再使用可能であるチップ部分、全体が使い捨てまたは再使用可能であるカートリッジ部分、全体が使い捨てまたは再使用可能であるヘッド部分、全体が使い捨てまたは再使用可能であるヘッドおよびチップの組合せ、アクセスおよびデータ伝送のための固定または可搬性のドック、充電ステーション、診断ステーション、およびキー付きのアセンブリおよび分解ステーションである。
【0142】
1つの例示的な実施形態において、院内(病院、診療所、など)用の分配装置は、使い捨てのチップ部分、使い捨ての薬物カートリッジ部分、および再使用可能なヘッド部分からなる。使い捨てのチップ部分は、分配チップ、分配機構、再使用可能なヘッドへの接続および固定のための手段、ならびに唾液がチップを超えて進入することがないようにするための手段を含むことができる。使い捨ての薬物カートリッジは、複数の薬物投与形態、再使用可能なヘッドまたは使い捨てのチップへと挿入されるための手段、および投与形態を整えて収容するための手段を含むことができる。再使用可能なヘッドは、マイクロプロセッサ、メモリ手段、電池などの動力源、ボタン、キーパッド、ディスプレイ、およびLED光などのユーザインターフェイス、使用の間の充電のための手段、使い捨てのカートリッジをヘッドへと挿入できるようにするための手段、ならびに使い捨てのチップへの取り付けおよび固定のための手段を含むことができる。認証されたユーザ(例えば、看護士)が患者による使用のために分配装置を準備する設定の際に、看護士は、新たな使い捨てチップを梱包から開き、新たな薬物で満たされたカートリッジを病院の薬物分配システムから入手し、充電済みの再使用可能なヘッドを充電ステーションから入手する。看護士は、薬物カートリッジを再使用可能なヘッドまたは使い捨てのチップへと挿入し、使い捨てのチップを再使用可能なヘッドへと組み立てて固定し、使い捨ての薬物カートリッジを組み立てられた装置の内部に囲むことができる。次いで、看護士は、装置の使用法を患者に示し、自己投薬のために患者へと与える。患者が分配装置での治療を終えた後の分解の際に、看護士は、再使用可能なヘッドを使い捨て本体から外し、内部の薬物カートリッジ(容器)を露わにすることができる。看護士は、病院の手順に従って薬物カートリッジおよび残っている薬物を廃棄し、使い捨てチップを鋭利な物またはバイオハザード容器に廃棄し、再使用可能なヘッドを殺菌ワイプで拭い、次いでヘッドを、電池の充電および将来の再使用のために充電ステーションに配置することができる。
【0143】
本発明は、再使用可能な単一投薬アプリケータを含む単一化分配機構を備える例示的な分配装置を提供する。単一化分配機構は、以下を含むことができる:再使用可能な単一用量アプリケータ、フォイルブリスタ、回転ステーション、排出器付きディスク、リボン剥がし器、リボンピッカー、ディスク単離器、可撓性ディスク、円弧またはらせん形の単一用量アプリケータ、押し棒スタック排出器、および回転スタック排出器である。
【0144】
特定のカートリッジを認識するという分配装置の能力は、カートリッジを検出および特定する機械式、光学式(例えば、バーコード)、電子式(例えば、マイクロチップ)、磁気式、高周波式、化学式、または他の手段を含むことができる。本発明の1つの例示的な実施形態においては、カートリッジが、分配装置のセンサまたはスイッチあるいは一連のセンサまたはスイッチによって物理的に検出されるカートリッジ上の物理的なキーイングの詳細を含むことができる。カートリッジが分配装置に装填されたとき、センサまたはスイッチアレイが、機械的なキーを読み取り、カートリッジおよびその中身ならびに/あるいは他の情報を識別することができる。
【0145】
別の例示的な実施形態においては、カートリッジが、固有の電子マイクロチップを備えて製造され、分配装置に、マイクロチップ読み取り器が装備され、カートリッジが分配装置に装填されると、分配装置がマイクロチップ上の情報を読み取って、カートリッジおよびその中身ならびに/あるいは他の情報を識別する。
【0146】
いくつかの実施形態においては、分配装置への装填の試みが成功または失敗したときに、装填された旨または装填が試みられた旨の情報が分配装置からカートリッジへと渡されるように、カートリッジを変更できる。そのようなシステムは、分配装置からカートリッジへの情報を記録する物理的、電子的、光学的、磁気的、化学的、または他の手段を含むことができる。
【0147】
ひとたび分配装置がカートリッジを識別し、あるいはカートリッジを識別しようと試みると、分配装置は、この情報にもとづいて、自身の機能を変えることができるか、あるいは自身の機能を停止させることができる。例えば、分配装置は、術後痛の治療のための特定の強度および作用の継続時間の舌下オピオイド投与形態を含んでいるカートリッジを検出および識別した場合に、投薬の間の特定のロックアウト手順、特定の患者識別手順、投薬履歴の記録の手順を制定することができるか、あるいは、とりわけ自身のユーザインターフェイスを適宜に変更することができる。
【0148】
さらに、カートリッジ上の識別またはキーイング機能を、分配装置の内部または外部での薬物へのアクセスの事象において、分配装置が分配装置への装填に先立ってカートリッジが開かれた旨を識別できるように、変更することができる。このやり方で、分配装置が、装填されたカートリッジが改竄されていないかどうか、あるいは過去に使用されたことがないかどうかを、検出することができる。
【0149】
本発明の薬物分配装置の機能的態様
図8Aは、小容量経口経粘膜薬物投与形態を送達するための分配装置100の例示的な分配機構の概略図であり、カラム方分配機構が休止位置にある。分配機構が、1つ以上のカートリッジアセンブリ102、作動ボタン104、モータ106、カム108、乾燥剤110、1つ以上のシール112、送達センサ114、ばねクリップ116、およびばね118を含んでいる。本発明の分配装置100は、積層にもとづいた投与形態あるいは管状のカートリッジまたはマガジン102に収容された複数の投与形態48の分配をもたらし、ばね120が一端に位置して投与形態のスタックへと装填力を加えている。図8Bは、図8Aの分配装置の概略図であり、分配機構、モータ、およびカムの位置は、休止位置にある。アセンブリ102および投与形態のスタック48が、投与形態のスタック48の軸に対して直角に可動性スライダ124に当接している。スライダ124は、単一の投与形態の投与形態のスタックの軸上での厚さ以下の厚さを有する薄いブレードである。スライダ124は、ばね120がスタックを押すことによって最初の投与量48がスライダ124の反対側の固体面に対して配置されるように、投与形態カートリッジ102の端部と固体面との間をスライドする。スライダ124は、最初の投与量48を受け入れるように寸法付けられた収容部128をカムの反対側に備えている。典型的なカートリッジ分配機構として、カラム型、リボン/テープ型、ディスク型、らせん型、バレル型、インデックス/ばね荷重型、ホッパー型、コンベア型、連続錠剤型、シュリンクラップ型、スナップアウト型、トラック型、バレルロック型、接着テープ、ポケットテープ型、単一用量アプリケータ、またはスタック付きフォイル型が挙げられる。
【0150】
本発明の分配装置は、投与形態を、ボタン、レバー、スライダ、ホイール、または他のアクチュエータの手動作動によって分配することができるか、あるいは機械的な作動、電気‐機械的な作動、ばね付勢による作動、空気圧による作動、液圧作動、磁気作動、重力による作動、熱による作動、燃焼による作動、相変化の膨脹または収縮による作動、音波による作動、および吸収剤による作動からなる群より選択される機構によって分配することができる。装置は、投与形態を、マイクロプロセッサによって制御されるアクチュエータによって分配することができる。
【0151】
薬物投与形態を分配するための分配機構は、薬物投与形態を分配するための機械的または電気機械的な手段を有することができる。
【0152】
本発明の薬物形態分配器は、押し棒、薬物投与カートリッジを分配器からの排出口または出口に接続するトラックまたは通路、ならびに分配器の内部または分配器の出口の1つ以上のシール、あるいはこれらの特徴の組合せで構成される薬物投与形態の分配手段を含むことができる。図4A〜4Dが、押し棒の設計を有する例示的な分配装置を示しており、薬物投与形態を送達するように設計された送達チャネルを通って薬物投与形態(例えば、錠剤)を押すように機能する。押し棒および薬物投与形態は、薬物投与形態が送達されるときに通過する送達トラックまたは通路ならびに1つ以上のシールとの取り合いなど、薬物投与形態の最適な取り扱いおよび送達を可能にする特徴または形態を含むことができる。図4A〜4Dは、薬物投与形態を口腔粘膜へと送達するための例示的な分配装置の概略図であり、投与形態を患者へと投与する際の分配装置への唾液の流入を最小限にするための手段が示されている。図5および6は、1つ以上のシールの湿りまたは濡れ表面への接触を防止する分配チップの例示的な形状の概略図である。図23Aおよび23Bが、例示的な薬物形状の図を提示している。図19A〜Fは、薬物投与形態の送達の際に薬物投与形態および押し棒の周囲に固有のシールを維持するように設計された他の例示的なスリット型隔膜シールの形状の概略図である。
【0153】
図8Cおよび8Dは、分配機構が取り出し位置にある分配機構100の概略図である。取り出し位置においては、モータ106がカム108を回転させてスライダ124を引き込み、最初の投与量48を収容部128に配置できるようにする。図8Cは、カム108の回転およびばね118による変位によって引き込まれたスライダ124を示している。この位置において、投与形態48がばね120によってスライダ124の収容カップ部126へと押される。
【0154】
図8Eおよび8Fは、分配機構が薬物投与形態を送達するための分配位置にある分配機構100の概略図である。分配位置においては、モータ106がカム108を回転させてスライダ124を最初の投与形態48とともに延伸させ、最初の投与量48を分配できるようにする。図8Eが、スライダ124を前方へと駆動して投与形態48をセンサ114およびシール112を通過して分配するように回転されたカム108を示している。スライダ124は、スタックから取り出された投与形態がカップ126から自由に落下し、あるいはばねクリップ116によってカップ126から強制的に押し出されて分配されるような点まで、移動を続ける。
【0155】
図8Gおよび8Hは、分配装置100の薬物投与形態の送達を検出するための光学検出機構の図であり、スライダ124および薬物投与形態48の位置が示されている。この実施形態において、スライダ124は、送達センサ114によって薬物投与形態48の通過および送達を検出するため、送達センサ114のためのスロット130を備えている。スライダ124が光学センサ114を過ぎて投与形態48を押すとき、光学センサ114は、投与形態がスライダ124のカップに存在していることを示す信号の中断を記録する。投与形態48がスライダ124のカップに存在していないならば、光学センサ114は信号の中断を記録せず、すなわち投与形態48が存在しなかったことを示す。
【0156】
本発明のまた別の実施形態においては、可撓性ブリスター層とフォイルまたは他の破壊可能な層との間に封じられた投与形態の長いテープまたはアレイが用意される。プッシャーが、投与形態の上方に配置され、動作の際にブリスターに押し当たり、投与形態をフォイルまたは破壊可能な層を貫いて押し出し、投与形態を分配する。
【0157】
図9A、9B、および9Cは、本発明の分配装置のさらなる実施形態を示しており、リボン型分配機構134が図示されている。図9Aは、休止位置にある分配機構を示しており、図9Bは、取り出し位置にある分配機構を示しており、図9Cは、分配位置にある分配機構を示している。この機構は、投与形態を接着剤で片面へと貼り付けてなる長いテープまたはアレイを含んでいる。投与形態48を分配するために、テープ136が、投与形態48が貼り付けられている表面が凸状を形成するようにローラ140を通過し、投与形態48を接着剤から引き剥がす。図示の実施形態においては、接着剤からの投与形態48の取り外しを助けるために、引き剥がしブレード142を取り入れることができる。
【0158】
図10は、分配機構134のさらなる実施形態を示しており、別の形状の引き剥がしブレード150が示されている。別の実施形態においては、投与形態48の取り外しを助け、あるいは分配機構134からの単一の投与形態48を引き外すために、気体の圧力を使用することができる。投与形態48を分配するために、テープ136が、投与形態が貼り付けられている表面が凸状を形成するようにローラ140を通過し、投与形態48を接着剤から引き剥がす。接着テープ136からの投与形態の取り外しを助けるために、引き剥がしブレードを取り入れることができる。接着剤からの投与形態48の取り外しを助けるために、引き剥がしブレード150を取り入れることができる。
【0159】
図11Aおよび11Bは、本発明の分配装置のさらに別の実施形態を示しており、ディスクカートリッジ146を利用するディスク型分配機構152が、休止位置(図11A)および分配位置(図11B)に示されている。分配機構152は、歯車151に係合する歯を備えるレバーハンドル150、ラック/プッシャー153、ハウジング内のチャネル154、およびばね156を含んでいる。チャネル154が、ラック/プッシャー153のためにチャネル154内を自由に移動できる空間を提供している。図11Aにおいては、ラック/プッシャー153が、投与形態48を押す準備ができている。レバー150が押されると、ばね156が圧縮され、歯車151が回転して、ラック/プッシャー153が薬物投与形態48に係合する。薬物投与形態48が、チャネル154内で押される。図11Bが、チャネル154の端部から対象(人間など)へと送出される投与形態48を示している。次いで、これらの工程が、投与形態48の続いての分配のために反復される。
【0160】
分配機構152は、以下からなる:分配トリガ150、戻しばね156、歯車減速機構151、プッシャー153、ディスクカートリッジ146、円形カム/ラチェット145、投与形態48、ハウジング144、およびシール143である。トリガ150が押し込まれると、歯車減速機構151が駆動され、プッシャー153が、単一の投与量48をディスクカートリッジ146から排出するような様相で、ディスクカートリッジ146によって駆動される。ディスクカートリッジ146は、個々の投与量区分をディスクの外周を巡って並べ、投与形態48を個々に封止および梱包すべく両面をフォイルで封じて製作されている。プッシャー153がディスクカートリッジ146によって駆動されるとき、プッシャー153が、それぞれの面のフォイルの封止を破り、投与形態48をディスクカートリッジ146から押し出し、シール143を通って分配器ハウジング144から送達する。
【0161】
図11Bは、薬物投与形態の分配のさらなる手段を示しており、分配位置154にあるディスク式の分配機構が示されている。この図は、プッシャー153を、投与形態48を、シール143を通ってディスクカートリッジ146から押し出した後の分配位置に示している。投与形態がハウジング144から送達された後で、戻しばね156が機構を復帰させ、円形カム/ラチェット145が、ディスクカートリッジ146を回転させることで、次の投与形態48が次の送達のための位置にあるようにディスクカートリッジ146の位置決めを行う。
【0162】
ディスク分配/位置決め機構を、本発明の分配器から薬物投与形態を送達するために使用することができる。ディスク分配機構を、手動または電気機械的に動作させることができ、送りねじ、歯車、機構、リンク、回転駆動、または送達機構による投与形態の送達を可能にする他の任意の前進手段を使用することができる。位置決めラチェットは、円形カム、逃げ、送りねじ、歯車列、リンク、ステッピングモータまたは別のモータ駆動、あるいはディスクを位置決めする他の任意の手段によって達成することができる。
【0163】
分配装置を、装置が装置内に投与量を有した状態で購入および保存されるように、いくつかの薬物投与形態であらかじめ満たすことができるか、あるいは薬局において現場で満たされてもよく、あるいは病院の作業場で看護士または他の医療専門家によって満たされてもよい。投与形態を、瓶、薬瓶、または他の容器内に錠剤群として梱包することができるか、あるいは薬物カートリッジ内に制御された向きで梱包されてもよい。薬物カートリッジは、投薬物を、スタック、列、円形ディスク、円弧ディスク、ストリップ、リボン、テープ、らせん、またはアレイ、あるいは上記のいずれかの組合せ(例えば、幾何学的アレイに配置された投薬物の多数のスタック)など、任意の構成で収容することができる。さらに、本発明は、これらまたは他の機構の組合せを含むことができる薬物投与形態のさらなる分配方法を提供する。例えば、システムが、スタックから投与形態を取り出すためのシャトル、および投与形態をシステムから強制的に押し出すプッシャーを含むことができる。
【0164】
図12A〜12Cは、薬物投与形態48の分配のために設計された典型的な押し棒158を示している。押し棒は、例えばステンレス鋼など、任意の適切な材料から製作できる。
【0165】
図13および14は、薬物投与形態を分配するための押し棒を備えている他の例示的な分配機構を示しており、押し棒が可撓性であるように設計されている。図13は、前進機構(回転ハブなど)へと取り付けられた可撓性シャフト176によって、薬物投与形態48を単離して、非直線または直線状の経路を通って前進させるための分配機構174を示しており、可撓性シャフトを非直線または直線状の経路において前進させ、あるいは引き込むことで、錠剤または他の投与形態48を非直線の経路を通って分配することができる。図14は、前進機構(回転ハブなど)へと取り付けられた可撓性シャフト182によって、薬物投与形態48を単離して、非直線または直線状の経路を通って前進させるための分配機構180を示しており、可撓性シャフトを非直線または直線状の経路において前進させ、あるいは引き込むことで、錠剤または他の投与形態48を非直線の経路を通って分配することができる。
【0166】
関連の手法において、本発明の分配装置は、上述の実施形態と同様に、スタックを含んでいる管状のカートリッジ、スタックを押しているばね、固体面、ならびにスライダまたはプッシャーを備える。この実施形態においては、スライダまたはプッシャーが穴を欠いており、ばねによって投与形態を固体面まで押すことができるよう、投与形態のスタックの下方から引き込まれる。作動時、プッシャー(単一の投与形態の厚さに等しく、単一の投与形態の厚さよりも大きく、あるいは単一の投与形態の厚さよりも小さい厚さを有している)がスタック内の最初の投与形態をカートリッジに対して直角に押し、側スロットから分配する。
【0167】
本発明の別の実施形態においては、投与形態が、その一端においてプッシャーに取り付けられ、その対向端において弾性ダイアフラムに保持されている投与形態のスタックを動かすことによって分配される。ダイアフラムは、最初の投与形態の位置に開口または穴あるいはスロットを含んでいる。動作時、押し棒がスタックを押すことで、単一の投与形態がダイアフラムの穴から現われ、この時点でプッシャーがわずかに引き込まれ、ダイアフラムが再び閉じてシールを形成できる。弾性ダイアフラムは、シールまたはワイパー型シールであってよい。
【0168】
図15A〜15Fは、例示的なロックアウト機構の概略図である。図15Aは、押し棒型ロックアウト機構186を示している。押し棒188が押されたとき、ソレノイド190が信号に反応し、ロックアウト期間の間の分配装置からの薬物投与形態48の分配を防止するために、戻りロック192をロック位置へと動かす。図15Bは、アクチュエータ型ロックアウト機構196を示している。ロックアウト機構196において押し棒200が押されたとき、ロック198がソレノイド202の助けによって押し棒200の動きに応答して動き、アクチュエータをロックアウトする。図15Cおよび15Dは、安全ボタン/ラッチ型ロックアウト機構204および214をそれぞれ示している。これらの図において、ラッチ206が押し棒210をロック位置にロックする。患者が、ラッチ206を解放すべくボタン208を露わにするために分配器212を押す。図15Eが、ソレノイドが装置をロックすべく移動するソレノイドI型ロックアウト機構216を示している。他のソレノイド式のロックアウト機構218が、図15Fに示されている。ソレノイド220が、押されたボタン222へと動き、装置をロックする。
【0169】
図16A〜16Dが、バレル型カートリッジ224、インデックス/ばね付勢型カートリッジ230、スナップ押し出し型カートリッジ244、およびトラック型カートリッジ250など、例示的な薬物カートリッジの概略図を提示している。図16Aは、それぞれのバレル228に積み重ねられた薬物投与形態48を分配し、作動に際して回転するバレル型カートリッジ224を示している。図16Bは、インデックス/ばね付勢型カートリッジ230を示している。プッシャー234がラック232へと押されるとき、ばね240がカートリッジ242に積み重ねられた薬物投与形態48へと加わる圧縮を最小限にするために使用され、押し棒238が投与形態48を押して分配する。図16Cは、スナップ押し出し型カートリッジ244を示している。カートリッジ244においては、薬物投与形態48を保持しているスティックが押し棒248に向かって動かされ、押し棒248が薬物投与形態48を押し、分配が完了するときにスティックにはまり込む。図16Dは、トラック型カートリッジ250を示している。トラック内に積み重ねられた薬物投与形態48が分配される。
【0170】
図17Aおよび17Bは、押し棒によってシールを通って押し出される薬物投与形態の概略図であり、シールの構成が、投与形態および押し棒の形状に合わせてあつらえられている。図17Aは、薬物投与形態48、カートリッジ255、隔膜またはシール256、および押し棒257を有する分配器254を示しており、薬物投与形態が分配のために積み重ねられている。図17Bの分配器254においては、薬物投与形態48が押し棒257によって隔膜256を通って押し出されており、隔膜256の幾何学的形状が、投与形態48および押し棒257の形状に合わせてあつらえられている。
【0171】
図18は、典型的な押し棒260、薬物投与形態48、および隔膜型シール264の幾何学的形状258の概略図である。例示的なスリット型隔膜シール264が、送達の際に薬物投与形態48および押し棒260の周囲に固有のシールを維持するように設計されている。さらに、シール、ワイパー、扉、吸収剤などを通って薬物投与形態を運ぶための手段は、唾液の進入を制限し、構成要素を通って錠剤を操作するように特別に設計された押し棒またシャトルの使用を含むことができる。
【0172】
図19A〜19Fは、薬物投与形態の送達の際に薬物投与形態および押し棒の周囲に固有のシールを維持するように設計された他の例示的なスリット型隔膜シールの幾何学的形状266、268、270、272、274、および276のそれぞれの概略図である。例示的なスリット型隔膜シールは、送達の際に薬物投与形態および押し棒の周囲に固有のシールを維持するように設計される。さらに、シール、ワイパー、扉、吸収剤などを通って薬物投与形態を運ぶための手段は、唾液の進入を制限し、構成要素を通って錠剤を操作するように特別に設計された押し棒またシャトルの使用を含むことができる。
【0173】
本発明の薬物分配装置を動作させる好ましい手段は、ボタン、レバー、スライダ、ホイール、または他のアクチュエータの手動作動などの機械的な手段である。しかしながら、本発明の薬物分配装置は、機械的な作動、電気‐機械的な作動、ばね付勢による作動、空気圧による作動、液圧作動、磁気作動、重力による作動、熱による作動、燃焼による作動、相変化の膨脹または収縮による作動、音波による作動、および吸収剤による作動など、別の作動手段に依存してもよい。
【0174】
装置は、投与形態を例えば口腔または舌下空間へと吐き出すために、種々の機械的または電気機械的方法を使用することができる。例えば、投与形態を、ひとたび起動されたならば、ばね、圧縮空気、または他の機構によって強制的に吐き出すことができる。
【0175】
本発明は、再使用可能な選択肢を含む例示的なアーキテクチャを提供する。本発明は、再使用可能な選択肢を含む例示的なアーキテクチャを提供する。再使用可能な装置を、治療の後で清掃し、充電し、再装填し、メモリをクリアし、再び使用することができる。本発明の薬物投与分配器は、高価または高価値の構成要素を再使用して廃棄物を減らすべく1つ以上の構成要素が再使用可能であり、汚損または汚染された構成要素、接触伝染性の病気の危険を呈する構成要素、あるいは未使用または被汚染の薬物を含んでいる構成要素を容易に廃棄できるようにすべく1つ以上の構成要素が使い捨てであるように、組み立てられる複数の構成要素を含むことができる。そのような1つの例示的な実施形態の分配器システムにおいては、使い捨ての薬物投与形態カートリッジを、分配器の使い捨て送達部へと装填することができる。次いで、分配器の再使用可能部分を、使い捨て部分へと、構成要素間に改竄抑止のロックを与えるように接続することができる。分配器の再使用可能部分は、カートリッジおよび分配器の使い捨て部分が適正に組み立てられた旨を検出でき、適切な組み立てを確認して、分配器の正常な使用を保証することができる。不適切または不完全な組み立ては、分配器の再使用可能部分のロック、およびエラーコードの表示またはエラー診断の通知につながる。
【0176】
分配器の2つ以上の構成要素のアセンブリは、内部の薬物の改竄または転用を防止または抑止するためのロック機構を含むことができる。ロック機構は、ソレノイド、モータ、圧電アクチュエータ、空気圧または油圧アクチュエータ、形状記憶アクチュエータ、ラッチ、ピン、スナップ、カム、スライダ、リンク、あるいは他の任意の機械的または電気機械的な手段によって付与されることができる。さらに、ロック手段を、物理的な鍵、組合せ、電子鍵、磁気鍵、パスコード、PIN、暗号化された論理信号または暗号化されていない論理信号、無線信号、RFID、指紋識別、あるいはロックを機械的または電気機械的に解除する他の手段によって、ロックまたは解放することができる。
【0177】
分配器の使用後の分解の際に、再使用可能な部分を将来の使用のために保持できる一方で、使い捨て部分を廃棄することができる。
【0178】
図20Aは、再使用可能なヘッドを有する例示的なアーキテクチャ278の概略図である。再使用可能な選択肢には、以下が含まれる:再使用可能なヘッド280、本体282、および充電ステーション284である。この実施形態278は、以下で構成されている:電源277を収容している再使用可能なヘッド280、マイクロプロセッサおよびプリント回路基板(PCB)275、アクチュエータ273、ユーザインターフェイス279、ユーザ識別手段281、使い捨て可能な薬物投与カートリッジ48を収容している使い捨て本体282、および充電ステーション284である。この実施形態においては、再使用可能なヘッド280が、使い捨て本体284にロック可能に着脱される。使用後に、使い捨て本体282、薬物投与形態、およびカートリッジ28が廃棄される一方で、再使用可能なヘッド20は、清掃され、電源の充電のために充電ステーション284に接続される。電源277は、充電可能または交換可能な電池、燃料電池、あるいは装置に動力をもたらす他の任意の手段であっよい。アクチュエータ273は、モータ、ソレノイド、直線アクチュエータ、圧電アクチュエータ、形状記憶アクチュエータ、空気圧または油圧アクチュエータ、あるいは機構を作動させる他の任意の手段であってよい。ユーザインターフェイス279は、グラフィックまたは数値表示、キーパッド、ボタン、スイッチ、ダイアル、スライダ、光、LED、LCD、スピーカ、マイクロホン、ブザー、あるいは他の任意のユーザとの通信手段であってよい。ユーザ識別手段281は、RFIDタグ読み取り器、WiFiシステム、指紋読み取り器、音声認識システム、画像または顔認識システム、人体によって通信する構内通信網、DNA認識システム、網膜スキャナ、あるいは個々のユーザまたは患者を特定する他の任意の手段であってよい。薬物投与カートリッジ48は、スタック、ディスク、テープ、単一用量アプリケータであってよく、1回の投与量または複数の投与量を含むことができる、PCB275は、プロセッサ、メモリ手段、電力調整器、充電サイクル、患者識別手段、グラフィックドライバ、ならびに分配器装置278の性能を作用する他の任意の構成要素またはシステムを含むことができる。分配機構を、使い捨て本体282に収容することができ、再使用可能なヘッド280に収容することができるか、あるいは両方の位置に部分的に収容することができる。充電ステーション284は、電源の充電が可能であり、再使用可能なヘッド280について診断を実行することができ、分配器装置と他の装置、コンピュータ、またはネットワークとの間の通信のために、有線または無線の情報ドックとして機能することができる。
【0179】
図20Bは、アクチュエータ273、PCB275、電源277、およびユーザ識別手段281を含んでいる再使用可能なヘッド280と、薬物投与カートリッジおよび薬物投与形態48を収容している使い捨ての本体290と、通信手段およびユーザインターフェイス279を含んでいるドッキングステーション292と、充電ステーション284とを有する例示的なアーキテクチャ286の概略図である。再使用可能な選択肢には、以下が含まれる:再使用可能なヘッド280、使い捨て本体282、ドッキングステーション284、およびドッキングステーション292である。
【0180】
図20Cは、アクチュエータ273、PCB275、電源277、ユーザ識別手段281、および薬物投与形態48を収容している薬物投与カートリッジを収容している使い捨て本体と、ユーザインターフェイス279を含んでいる可搬性ドッキングフォブ296と、充電ステーション284とを有する例示的なアーキテクチャ294の概略図である。再使用可能な選択肢には、以下が含まれる:可搬性ドッキングフォブ296を備える使い捨て本体282、およびフォブの充電のための充電ステーション284である。
【0181】
図20Dは、ドック能力を備える使い捨て本体282を有する例示的なアーキテクチャ302の概略図である。再使用可能な選択肢には、以下が含まれる:アクチュエータ273、PCB275、電源277、ユーザ識別手段281、および薬物投与形態48を備える薬物投与カートリッジを収容している使い捨ての本体282、ならびにユーザインターフェイス279を含んでいるドッキングステーション292である。再使用可能な選択肢は、以下:ドッキングステーションを備える使い捨て本体を含む。
【0182】
図20Eは、電源277、マイクロプロセッサおよびプリント回路基板(PCB)275、アクチュエータ273、ならびにユーザ識別手段281を収容している再使用可能なヘッド280と、薬物投与形態48を有する薬物投与カートリッジを収容している使い捨て本体と、ユーザインターフェイス279を含んでいる可搬性ドッキングフォブ296と、ヘッドおよびフォブのための充電ステーションとを有する例示的なアーキテクチャ308の概略図である。再使用可能な選択肢は、以下を含む:フォブ296を有する際使用可能なヘッド20、使い捨ての本体282、および充電ステーション284である。
【0183】
一実施形態において、本発明は、完全に使い捨て可能な装置を提供する。装置は、電源277、マイクロプロセッサおよびプリント回路基板(PCB)275、アクチュエータ273、ユーザ識別手段281、薬物投与形態48を有する薬物投与カートリッジ、ならびにユーザインターフェイス279など、薬物分配に必要であって使用後に廃棄できるすべての構成要素を取り入れたワンピース構成である。図20Fは、例示的なアーキテクチャ318の概略図であり、完全に使い捨て可能な本体282が示されている。
【0184】
さらに本発明は、可動性押し棒、戻らない押し棒、電気‐機械レギュレータ、光学センサ対、磁気クラッチ、アクチュエータのロックアウト、ラックおよびピニオン、安全ボタンラッチ、ソレノイド、軸上のコレット、キー付きハブ、継手、およびカムなど、ロック機能を備える分配装置を提供する。
【0185】
投与形態を患者へと投与するためのシステム
本発明の薬物分配装置を使用して患者へと投与形態を投与するためのシステムは、薬物分配装置、薬物投与形態、および患者を含む。システムに含まれることができるさらなる特徴は、ドッキングステーションまたは他のドッキング手段、現場または遠方のコンピュータシステムとの双方向通信リンク(有線または無線)などのコンピュータネットワークとの通信手段、装置を監視および制御する薬剤ネットワーク、装置からの薬物の送達についての情報を保存、記録、および伝達するコンピュータネットワーク、ならびに1つ以上のユーザインターフェイスである。
【0186】
1つの手法においては、本発明の分配システムからの投薬のコンピュータネットワークが、薬物分配装置からの薬物の送達についての情報を保存、記録、受信、および伝達するための手段;時刻および日付を追跡するための内部クロック、メモリのリセットまたは変更のための手段、呼吸数、温度、脈拍数、または血圧を測定するための非侵襲性手段(測定の結果は保存され、コンピュータネットワークを介して送信される)、ならびに薬物分配装置または分配器のロックアウト時間を変更するための手段のうちの1つ以上を含むことができる。本発明の実施において有用であるドッキングステーションが、他の装置、周辺機器、またはコンピュータとの間のデータの取り出し、保存、通信のために機能することができ、さらには/あるいは電池の充電に機能することができる。さらにシステムは、1つ以上のユーザインターフェイス、およびLCDディスプレイなどのグラフィックディスプレイを備える。
【0187】
図21は、薬物分配装置ならびに無線または他の双方向の通信ネットワークを介して接続された監視および制御装置を備える薬剤ネットワークを含む薬物分配システム326の機能的要素の概略図である。システム326は、RAM330およびROM332を有しており、ドッキングコネクタ334へと動作可能に接続され、RFIDアンテナ336、WI/FIアンテナ338と双方向のやり方で通信するマイクロプロセッサ352に制御される電池342を含んでおり、さらに薬物分配装置および薬剤ネットワークは、ユーザインターフェイス328、可聴警報350、グラフィックディスプレイ348、分配ボタンおよびセンサ346、および分配ボタンロックアウト344を備える。本発明の装置または分配装置は、現場または遠方のコンピュータシステムとの双方向の通信リンクを有することができ、コンピュータシステムが、装置による小容量薬物投与形態の分配を可能にする信号をもたらす。薬物送達装置は、多用量の小さな経口経粘膜の薬物調合物を保存および分配することができる。装置/システム326は、RAM330および/またはROM332などのメモリ手段と、情報の処理ならびに装置326のさまざまな機能要素および電池342の制御のためのマイクロプロセッサ352または中央演算ユニット(CPU)と、別の装置、周辺機器、またはコンピュータとの間でのデータの取り出し、保存、通信のため、および電池の充電のために、装置326を別の装置、周辺機器、またはコンピュータへと接続できるようにすることができるドッキングコネクタ334と、個々の装置326のそれぞれを容易に識別できるようにするRFIDアンテナ336または他の固有のタグと、無線システムを介して情報を双方向に通信できるようにするWi/Fiアンテナ338と、投与形態の成功裏の分配を感知すべく出口ポートに位置する分配センサとを含んでいる。
【0188】
図22Aは、RFIDタグ356、分配装置358、ベースステーション/ドック360、および医療提供者のパーソナルコンピュータ362を含むシステムの通信のダイアグラム354を示すブロック図である。薬物分配装置358は、使用の情報ならびに患者の呼吸状態または血圧に関する情報を規則的な間隔で医師へともたらすために、ドック360を介して有線または無線の通信方法によって医師または介護士と通信できる。
【0189】
図22Bは、RFIDタグ356、分配装置358、フォブ366、および医療提供者のパーソナルコンピュータ362を含むシステムの通信のダイアグラム364を示すブロック図である。薬物分配装置358は、使用の情報ならびに患者の呼吸状態または血圧に関する情報を規則的な間隔で医師へともたらすために、フォブ366を介して有線または無線の通信方法によって医師または介護士と通信できる。フォブ366を、医師または介護士の首からぶら下げることができるように、ひもへと取り付けられるように適合されうる。これは、病院の状況などにおいて、フォブ366の誤配置または盗難を防止するうえで役に立つであろう。
【0190】
本発明は、薬物分配装置および患者の身元を検出するための検出手段を含んでいる薬物分配システムを提供する。分配システムは、コンピュータ、ドッキングステーション、アクセス制御手段、および小容量薬物投与形態をさらに含むことができる。さらにシステムは、ドッキングステーションを有しており、ドッキングステーションがコンピュータネットワークへと電気的に接続され、情報が薬物送入装置または分配装置からコンピュータネットワークへと伝達される。コンピュータネットワークは無線であり、情報が無線ネットワークを介して薬物送達装置または分配装置からコンピュータネットワークへと伝達される。コンピュータネットワークが、薬物送達装置からの薬物送達についての情報を保存、記録、および伝達する。システムは、呼吸数、脈拍数、温度、または血圧を測定するための非侵襲性手段をさらに有することができ、測定の結果は保存され、コンピュータネットワークを介して送信される。一実施形態においては、システムが、薬物送達装置のロックアウト時間を変更するための手段をさらに有している。他の実施形態においては、システムは、アンタゴニストリザーバを備える薬物送達装置を有することができ、システムまたは電源の故障、装置の損傷または改竄の場合に、アンタゴニストと薬物とを混ぜ合わせることができる。さらに、血液化学、呼気化学、唾液化学、などを検出すべくセンサを使用する手段が設けられる。
【0191】
装置のさらなる実施形態は、履歴使用情報を保存する能力、およびそのような情報を伝達すべく他の装置またはコンピュータと通信する能力を備えている。例えば、そのような双方向の情報交換を、保存された情報をUSBなどの物理的な有線インターフェイスまたは他の任意の通信接続を介してコンピュータへとダウンロードすることによって達成できる。あるいは、情報を無線のシステムを介して通信してもよい。そのような情報として、例えば保存中および分配済みの投薬物の数ならびに送出の時刻など、履歴使用情報を挙げることができる。
【0192】
特定の実施形態においては、装置が、装置への照会を行うことができ、投薬の間で装置をリセットすることができ、不適切なアクセスの場合に装置をロックでき、投薬の計画を制御することができるドッキングステーションを含んでいる。薬物分配装置は、使用の情報ならびに呼吸状態、血圧、または患者の状態についての他の生体測定に関する情報を規則的な間隔で医師へともたらすために、ドックを介して有線または無線の通信方法によって医師または介護士と通信できる。分配装置は、規則的な間隔または時間期間(例えば、毎日または毎週あるいは2週間ごと)にてロックアウトを行い、次の固定の期間について装置のロックを解除するために、患者に分配装置をドックに接続して医師または介護士と通信するように要求することができる。このやり方で、装置およびドックが、医師による監視および医療管理の強化を可能にする。
【0193】
他の実施形態において、ドッキングステーションは、装置がドックに入れられて適切にアクセスされるたびに、1回または複数回の用量を装置へと装填することができる。
【0194】
特定の実施形態においては、装置を、それぞれが1回の用量の薬物を含んでいる個々に梱包された単一用量アプリケータのカートリッジを収容するように適合されうる。
【0195】
本発明の薬物投与分配器を、水分および/または湿気に敏感な薬物投与形態を投与するために使用することができる。そのような場合、薬物投与形態を湿気、水分、唾液、粘液などから保護する薬物投与形態カートリッジが必要である。カートリッジは、円筒形、ディスク状、らせん形、直線状、または不規則であってよく、分配器による制御された様相での分配を可能にする薬物投与形態の任意の集合体の形態をとることができる。未使用の薬物投与形態が使用に先立って水分を吸収したり、あるいは水分にさらされたりすることがないようにするため、カートリッジは、薬物投与形態を水分への曝露から封止する手段を提供することができる。これは、1つの薬物投与形態がカートリッジから分配されるときに残りの投与形態を保護しているシールが破壊されないままであるように、薬物投与形態を薄い非透過性のフォイルまたは非透過性の材料によって隔てて個々に梱包して含んでいるカートリッジを使用することによって達成できる。あるいは、投与形態を、2つ以上の投与形態が別個に封じられた区分のそれぞれに一緒に梱包されるように、カートリッジ内に梱包してもよい。いくつかの実施形態においては、カートリッジ内のすべての投与形態を、フォイルで封じられた区分に一緒に梱包してもよい。
【0196】
薬物投与形態カートリッジは、隔膜、弾性シールまたはバルブ、摺動扉またはバルブ、平行移動式扉またはバルブ、ヒンジ式扉またはバルブ、あるいは装填されたときに分配器の他の構成要素に対してのシール手段によって、水分に対するシールを与えることができる。このやり方で、単一の再封止可能なシールを、独立して、あるいはカートリッジを出る投薬物の通過によって開くことができる。ひとたび投与形態がカートリッジから送達されると、カートリッジ上の再封止可能なシールが、再び封止し、カートリッジ内の残りの薬物投与形態が水分または他の汚染物質によって損傷されることを防止できる。カートリッジは、分配器へと装填されたとき、あるいはカートリッジから最初の投与形態が送達されるときに破壊されてしまう再封止不可能なシールをさらに有することができる。
【0197】
他の実施形態においては、カートリッジが、使用の前または通常の使用の最中にカートリッジへと進入する水分を吸収または吸着するために、乾燥剤あるいは他の吸収または吸着材料を含んでいる。本発明の分配装置において使用するためのカートリッジは、個々に封止された投与形態、複数が封止された投与形態、再封止可能なシール、再封止が不可能なシール、乾燥剤、吸収剤、または吸着剤の任意の組合せを含むことができる。
【0198】
1つの例示的な実施形態においては、固形の錠剤の投与形態のスタックが、遠位端の摺動シールおよび錠剤をこの遠位端に向かって付勢するばねを備える円筒形のカートリッジに梱包される。この薬物カートリッジが分配器へと装填されたとき、摺動シールはそのままの位置にあり、カートリッジ内の薬物を水分および湿気から保護している。投与形態の分配時、摺動シールがスライドして押し退けられ、ばねによってスタックを、単一の錠剤投与形態が送出されるように前進させることができる。この錠剤が分配されると、摺動シールは所定の位置に戻り、残りの錠剤を水分および湿気から封止し続ける。
【0199】
第2の例示的な実施形態においては、固形の錠剤の投与形態のスタックが、遠位端のフォイルシール、錠剤をこの遠位端に向かって付勢するばね、および分配器へと装填されたときに分配器の内部の構成要素に対して封止するシール面を備える円筒形のカートリッジに梱包される。このカートリッジが分配器へと装填されたとき、フォイルシールが破られ、カートリッジの遠位端が、錠剤投与形態を湿気および水分から保護するため、分配器の構成要素に対して封止する。錠剤が分配されるとき、カートリッジにシールをもたらしている分配器の構成要素が移動して道を空け、単一の投与形態の分配を可能にする。ひとたび投与形態が分配されると、分配器がカートリッジを再び封止し、残りの投与形態を水分および湿気から保護する。
【0200】
第3の例示的な実施形態においては、個々の固形錠剤投与形態のための個々の空間が外周を巡って配置されているディスク状のカートリッジに、固形錠剤投与形態が装填され、錠剤を水分および湿気から保護するために両面が金属フォイルで封止される。分配器へと装填されて、投与形態が分配されるとき、押し棒が個々の区分のうちの1つの位置において片面のフォイルを貫いて、錠剤投与形態に接触し、錠剤投与形態をディスクカートリッジの反対側の面の第2のシールを貫くように押し、第2のフォイルを破いて錠剤を分配する。このやり方で、単一の錠剤のみが分配され、残りの錠剤のためのシールは手つかずのままであり、残りの錠剤を水分および湿気から保護している。錠剤の分配後に、ディスクが、次の錠剤を含んでいる次の区分が次の分配のための位置に位置するように、1つの位置を位置決めする。図11Aおよび11Bが、そのような1つの例示的な実施形態を示している。
【0201】
本発明の分配装置によって送達される投与形態
経口経粘膜の薬物送入は、効果的であり、送達が容易であり、非侵襲性であり、最小限の不快にて介護士または患者によって投与することができる。一般に、調合薬の経口経粘膜の送達は、舐剤などの固形の投与形態または投与形態を使用して達成されるが、液体、スプレー、ゲル、粉末、ガム、発泡体、パッチ、およびフィルムも、使用可能である。本発明の薬物分配装置は、口腔粘膜経由の薬物の送達に適合された小容量薬物投与形態を送達するための手段を提供する。
【0202】
一実施形態において、本発明の薬物分配装置は、薬学的に有効な物質を経口経粘膜で送達するために投与形態を送達るための手段を提供する。投与形態は、固体または非固体であってよく、例えばオピオイドまたはオピオイド作動薬などの鎮痛薬、あるいはアンギナ、不安神経症、不眠症、ADHD、中毒、吐き気、などを治療するための薬物など、任意の薬剤のための送達用の媒体として機能することができる。口腔粘膜組織を経由して薬物を届けるために使用することができる舌下投与形態、トローチ、舐剤、粉末、およびフィルムなどの固体の投与形態が、本発明の技術的範囲に包含されると考えられる。
【0203】
さらに、本発明は、ゲル、軟膏、ペースト、ミスト、液体、エアゾール、気体、蒸気、発泡体、乳濁液、スプレー、懸濁液、など他の非固体の投与形態を送達するための薬物分配装置も包含する。
【0204】
一実施形態において、本発明の薬物分配装置は、本明細書において痛みの治療について例示される小容量薬物送達投与形態を送達するための手段を提供する。この実施形態において、投与形態は、口腔粘膜に付着して舌下領域にとどまるように設計され、患者から唾液の応答を引き出すことがほとんど、または全くないように充分に小さい。投与形態は、舌下空間にとどまるように意図されるが、あらゆる経口経粘膜の経路を通って吸収されても有効であろう。
【0205】
一実施形態において、本発明の薬物分配装置は、薬物の経口経粘膜での送達のための小容量薬物送入投与形態を投与するために使用され、投与形態はあらかじめ梱包され、自己投与される。さらに、本発明は、装置を、あらかじめ梱包されてはいない薬物の経口経粘膜での送達のための小容量薬物送入投与形態を送達するために使用することを包含する。
【0206】
薬物投与形態の経口経粘膜での投与のための分配装置への唾液の流入を最小限にするための手段は、シール、ワイパー、吸収剤、エアギャップ、乾燥剤、および多段階の分配システムを含む。分配装置は、薬物投与形態を、薬物投与形態で満たされたカートリッジに収容されている他の薬物投与形態に悪影響を及ぼすことなく、一度に1つずつ分配する。
【0207】
1つの好ましい実施形態において、本発明の薬物分配装置は、例えばNanoTab(登録商標)など、通常はきわめて小さい薬物投与形態を届けるための手段を提供する。NanoTab(登録商標)を、NanoTab(登録商標)の小さなサイズによる投与に適した量(すなわち、約0.1mg〜約99.9mg)にて経口経粘膜の経路によって投与できる任意の薬物の送達に使用することができる。好ましい一実施形態においては、NanoTab(登録商標)が、舌下に貼り付けられる。
【0208】
投与形態は、典型的には、有効成分または「薬物」の重量パーセントで0.01%〜99%の有効成分を含む。本明細書において使用されるとき、用語「薬物」は、任意の「薬物」、「有効物質」、「有効」、「薬剤」、または「治療上有効な物質」を意味する。いくつかの実施形態においては、投与形態が、投与形態の小さなサイズによる投与に適した量(例えば最大99.9mgの薬物、例えば0.25μg〜99.9mg、1μg〜50mg、あるいは1μg〜10mgも薬物)にて経口経粘膜の経路によって投与できる任意の薬物の送達に使用することができるNanoTab(登録商標)である。
【0209】
本発明の実施において使用するための薬物投与形態の形状は、好ましくはほぼディスク状であるが、矩形、正方形、多角形、長円形、または球形、あるいはこれらの任意の組合せであってよく、非対称でもよい。ディスク状であるとき、平坦な表面が、付着および薬物の溶出のための表面積の増加をもたらす。薬物投与形態は、本発明の薬物分配装置を使用して送達することができる任意の幾何学的形状に形成することができる。最適には、薬物投与形態は、平坦、凹状、または凸状の面を有する丸いディスクとして形成される。あるいは、平坦、凹状、または凸状の面を有する楕円であってよく、あるいは3つ以上の辺および平坦、凹状、または凸状の面を有する多角形であってよい。また、薬物投与形態は、球形または長円体であってよく、あるいは他の任意の湾曲した固形体の形状を有することができる。さらに、薬物投与形態は、任意の非対称の形状を有してもよく、配置の際に特定の取り扱いおよび分配器装置内での向きを可能にすることができる。
【0210】
図23Aおよび23Bは、例示的な薬物の形状の図を提示している。図23Aは、平坦、凹状、または凸状の面を有する丸いディスク、平坦、凹状、または凸状の面を有する楕円体、球、3つ以上の辺および平坦、凹状、または凸状の面を有する多角形、あるいは他の任意の湾曲した固形体など、対称形の薬物投与形態368の概略図である。図23Bは、非対称な投与形態である他の薬物形状370の概略図である。
【0211】
一例示的な調合物においては、投与形態がほぼディスク状であり、薬物投与形態の体積は約5マイクロリットルであり、薬物投与形態の寸法は、厚さが約0.85mmであって、直径が約3.0mmである。
【0212】
本発明の薬物分配装置は、効果的な送達に適したサイズおよび特徴を維持しつつ有効成分の性質および量に応じて変化しうるいくつかの投与形態を提供する。
【0213】
本発明の装置に、何日も(例えば、30日以上)にわたって有効な薬剤を一度に装填することができ、薬剤のために何ら特別な梱包を必要としなくてもよい。あるいは、薬剤を、あらかじめ満たされたカートリッジの形態で提供してもよい。
【0214】
本発明は、治療効力のために適切な量および頻度が得られると同時に、意図せぬ過剰な投薬を防止するための時限のロックアウト特徴が提供されうるように、薬物が小容量経口経粘膜薬物送達投与形態の複数の投薬をもたらす分配装置によって送達されるという利点を提供する。用量および対応するロックアウト時間を、対象のサイズおよび意図される治療目標に応じて調節することが可能である。
【0215】
上述のように、本発明の薬物分配装置は、口腔への投与に使用されるときに装置への唾液の流入を最小限にするための手段を有している。この実施形態において、分配装置は、薬物投与形態を、さらなる薬物投与形態で満たされたカートリッジに収容されている他の薬物投与形態に悪影響を及ぼすことなく、一度に1つずつ分配する。装置へと進入した唾液または水分をトラップまたは他の方法で隔離するための手段として、これらに限定されないが、親水性の吸い上げ材料または成分、吸収または吸着の材料または成分、あるいは乾燥の材料または成分、あるいはこれらの材料または成分の任意の組合せを挙げることができる。
【0216】
分配器によって送達される薬物の種類および治療指標
本発明の薬物分配装置に適合する投与形態にて投与できる任意の薬物を、本発明の方法およびシステムにおいて使用することができる。
【0217】
同様に、本発明の薬物分配装置を使用して、装置を使用して適切な投与形態を送達することができる任意の状態の治療に使用することができる。
【0218】
1つの例示的な態様において、本発明の薬物分配装置を使用して、急性痛および急性突出痛の治療のために、オピオイドまたはオピオイド作動薬などの鎮痛薬を経口経粘膜で送達することができる。この実施形態において、本発明の薬物分配装置は、病院の状況において、急性痛の治療のためにIVオピオイドの代わりに使用するために有用であり、院外の状況において、急性突出痛の治療のためにも有用である。例として、術後の回復、関節リウマチ、術後腰下肢痛、末期がんなどといった多数のさまざまな臨床状況において急性痛の迅速な治療の必要性が生じる院内(病院の環境)が挙げられる。例えば、術後の患者は、最初の数日にわたって深刻な痛みに苦しみ、その後にさらに数日にわたる軽度から中程度の水準の痛みの日々が続く。
【0219】
本発明の薬物分配装置によれば、患者が、鎮痛薬および他の薬剤を自己投与することができ、投薬を増減させて所望のレベルの治療効力を達成するために、必要に応じて再投薬を行うことができる。
【0220】
院内の状況において効果的に機能するために、患者によって制御される分配装置は、必要に応じた患者自身による投薬を可能にし、患者による過剰な投薬を防止し、投薬履歴を記録し、投薬履歴の読み出し、ダウンロード、あるいは他の方法での患者記録への転記を可能にし、薬物投与形態を適切な位置(例えば、舌下、頬、口胃腸、直腸、眼、鼻、吸入、耳、経皮、または他の任意の投与経路)へと送達し、許可されていない個人による薬物へのアクセスを防止または抑止する必要がある。本発明の分配装置は、院内の状況において任意の薬剤を分配するために使用することができ、上述の特徴の任意の組合せを与えることができる。
【0221】
本発明の薬物分配装置の他の例示的な使用は、例えば外来での手術後に必要となり、慢性の病気の結果として必要となり、あるいは事故による負傷の結果として必要になるが、院外の状況において患者が必要とする急性痛の治療にある。多数の患者が、痛みの治療のために、週または日を基準にオピオイドを使用している。慢性の基調をなしている痛みのレベルを治療するために、長期作用の経口または経皮のオピオイド調合物を有することができる一方で、重篤な突出痛のレベルに対処するために、短期作用の強力なオピオイドを必要とすることもしばしばである。これらの突出痛の事象は、数分から数時間、あるいは数日または数週間続く可能性がある。
【0222】
また、急性痛の治療は、必然的に、最適からはほど遠い条件下の「現場」である。救急医療師または戦場の衛生兵などといった第1応答者は、IVまたはIM投与に使用される針が感染などの意図されない危険につながりかねない非殺菌の状況において、重篤な急性痛の治療を求められることがしばしばである。経口オピオイド投与形態は、苦痛の軽減をもたらすまでに30分を優に超える時間を要することもしばしばであり、これは、重篤な痛みにある者にとって長すぎる。本発明の薬物分配装置は、このような状況において有用であり、あるいはニトログリセリン投与形態によって治療されることが多いアンギナの治療など、他の適用において有用である。
【0223】
院外の慢性(家庭、職場、現場、など)の状況において使用されるとき、本発明の薬物分配装置は、院外での薬物投与の技術水準を超えるいくつかの特徴および利点を提供する。分配装置によって、個人が、医師、医療提供者、または薬物のラベルの指針に従って、薬物を自己投与することができる。
【0224】
上述の臨床の状況において、安全かつ便利に使用することができ、薬物の乱用および転用を防止しつつ効果的な薬物送達をもたらす薬物分配装置についての要望が存在することが明らかである。
【0225】
送達される薬物の量を時間に対して制御し、さらに送達経路を制御することで、投薬を最適にしつつ、有効成分の量の消費を全体として少なくでき、したがって副作用を軽減できることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0226】
経口経粘膜で薬物を送達するための本発明の薬物分配装置の使用方法
単一の投与形態の送達を、本発明の薬物分配装置を使用して、以下に説明される図に詳述されるとおりに達成できる。
【0227】
図24は、分配装置のプログラミングのフローチャート372を示しているブロック図であり、プロセスが、投与形態カートリッジを分配装置に装填する工程を含んでいる。装填が成功374である場合、プロセスは次の工程に進む。不成功376である場合、プロセスは、投与形態カートリッジを分配装置に装填する最初の工程へと戻る。次にプロセスは、分配装置を閉鎖およびロックする工程を含んでいる。成功378である場合、プロセスは次の工程に進む。不成功380である場合、プロセスは、分配装置を閉鎖およびロックする先の工程へと戻る。次にプロセスは、分配装置をPCにドッキングさせる工程を含んでいる。成功382である場合、プロセスは次の工程に進む。不成功384である場合、プロセスは先の工程に戻る。次にプロセスは、分配装置をプログラムする工程を含んでいる。成功386である場合、プロセスは次の工程に進む。不成功388である場合、プロセスは先の工程に戻る。次にプロセスは、適切なユーザであるかどうかを識別するために拇印またはPINを記録する工程を含んでいる。成功390である場合、プロセスは次の工程に進む。不成功392である場合、プロセスは先の工程に戻る。次にプロセスは、分配が適正に機能するか否かについて分配装置をテストする工程を含んでいる。成功396である場合、プログラミングは終了398する。不成功394である場合、プロセスは、プログラミングを修正するために最初の工程へと戻る。
【0228】
図25は、分配装置の動作のフローチャート400を示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の例が提示されている。詳しい工程は、分配装置を起動させるために任意のボタンを押す工程402を含んでいる。ユーザは、あらかじめプログラムされたロックアウト時間が過ぎたか否かを確認する。あらかじめプログラムされたロックアウト時間が未だ過ぎていない場合、ユーザは、分配装置を起動させる先の工程へと戻り、プロセスを繰り返す。上記確認が満足される場合、薬物投与形態を分配するために、分配装置のロックが解除される。例えば拇印、RFID、またはPINを使用して、患者の身元の入力404が実行される。患者の身元が正しい場合406には、プロセスは、RFIDタグを検出する次の工程410に進む。正しくない場合414には、薬物分配装置が使用できなくなる。RFIDタグの検出に成功412した場合、ユーザは、ロックアウト装置が送達を阻止しておらず、送出が良好であるかどうかを確認する次の工程に進む。次いで、(a)分配要求、(b)分配履歴、および(c)プログラムされた処方について、比較416が行われる。(a)、(b)、および(c)が本発明の薬物分配装置から投与形態を分配するための許可に一致する場合、送出の準備418ができている。準備ができていない場合、420において分配装置が使用できなくなる。422において分配装置の状態およびIDが表示され、薬物分配装置が準備完了である旨を知らせる。424において分配ボタンが押されたとき、投与形態が分配される。分配装置が、患者への薬物投与形態の分配を開始する。投与形態の分配が完了すると、分配装置のロックアウトが、あらかじめプログラムされた期間426にわたって行われる。これらの工程が、薬物投与形態の以後の分配においても反復される。
【0229】
図26は、他の例示的な分配装置の動作のフローチャート428を示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の例が提示されている。この方法は、ユーザが分配装置を起動させるために任意のボタンを押すことができる工程430を含んでいる。次いで、装置が、あらかじめプログラムされたロックアウト時間(10分間など)が過ぎたか否かを確認する。あらかじめプログラムされたロックアウト時間が過ぎた場合、患者の識別が試みられ、すなわち432を使用して、RFIDタグの検出が実行される。あらかじめプログラムされたロックアウト時間が未だ過ぎていない場合434には、ユーザは、分配装置を起動させる先の工程へと戻り、プロセスを反復する。RFIDタグの検出に成功436した場合、装置は次の工程に進み、機械的な分配が機能できる状態にあるか否かを確認する。RFIDタグの検出が不成功438である場合、ユーザは最初の工程に戻る。上記確認が満足される場合440には、薬物投与形態を分配するために、分配装置のロックが解除される。上記確認が満足されない場合442には、機械的なチェックの不成功を知らせるエラーメッセージ444が発せられる。機械的なチェックがOKである場合、患者への薬物投与形態のモータ駆動での分配が実行される。投与形態の分配が完了すると、分配装置のロックアウトが、あらかじめプログラムされた期間にわたって行われる。これらの工程が、薬物投与形態の以後の分配においても反復446される。
【0230】
本発明の薬物分配装置を使用して薬物投与形態を分配するプロセスの他の例においては、プロセスが、(1)装填、(2)チェック、(3)配置、および(4)送達の各工程を含んでいる。このプロセスは、以下の工程を有している。すなわち、(1)薬物分配装置に複数の薬物投与形態を装填する工程、(2)送達の状態をチェックし、ロックアウト特徴が送達を阻止しておらず、装置に薬物投与形態が装填されている旨を、例えば緑色の光によって確認する工程、(3)本発明の投与形態を送達するために、適切な患者の舌の下方に装置を配置する工程、および(4)装置を起動させることによって患者へと投与形態を送達する工程である。装置が送達の準備ができていない場合には、赤色の光または他の指標を常に視認することができる。薬物分配情報が、患者が治療効力をもたらすために適切な薬物の投薬を適切な頻度にて受け取るように保証すべく投薬計画を調節するために、医療専門家へと通信される。
【0231】
図27は、他の例示的な分配器の動作のフローチャート448を示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の例が提示されている。この方法は、スリープモード450の分配器を起動させてロックを解除するために、ユーザが任意のボタンを押す工程452を有している。次いで、ユーザが、あらかじめプログラムされたロックアウト時間(10分間など)が過ぎたか否かを確認する。あらかじめプログラムされたロックアウト時間が過ぎている場合454には、システムは、ユーザの身元(例えば、RFIDタグ、指紋、など)の検出を実行458するなど、ユーザがアクセスを許されていることを確認する。あらかじめプログラムされたロックアウト時間が未だ過ぎていない場合456には、システムは、分配器を起動させる最初の工程へと戻り、プロセスを反復する。ユーザの身元が検出されて認証458されると、システムは、送達のためにシステムのロックが解除される次の工程462に進む。ユーザの身元が検出されず、あるいは認証されない場合460には、システムは、分配器を起動させる最初の工程へと戻り、プロセスを反復する。ひとたびシステムのロックが解除されると、システムは、再びロック464されるまで5秒間にわたってロックされていない状態を保つ。この5秒間が経過する前466にユーザが第2のボタンを押すと、このボタンによって投与形態が分配468される。ひとたび分配が完了すると、システムは、次の分配の試みがなされるまでロック470される。これらの工程が、投与形態の以後の分配においても反復472される。
【0232】
図28は、医療専門家による典型的な分配器の分解のフローチャート474を示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的な分解の例が提示されている。図28に例示されるように、医療専門家は、安全かつ制御された様相で分配器を分解および廃棄することができる。
【0233】
図29は、例示的な院外の急性の分配装置の動作のフローチャート518を示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の例が提示されている。図29は、典型的な院外の急性の分配装置の段階的動作を示している。
【0234】
図30は、例示的な院内の分配器の組み立ておよび準備のフローチャート550を示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的な組み立ておよび準備の例が提示されている。図30は、院内の分配器の段階的な組み立ておよび準備を示している。
【0235】
図31は、典型的な院外の慢性の分配装置の動作のフローチャート598を示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の例が提示されている。図31は、院外の慢性の分配装置の段階的動作を示している。
【0236】
別途断らない限りは、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書において説明される方法、装置、および材料、ならびに同様または均等な方法、装置、および材料を、本発明の実施または検証において使用することができるが、以下では、好ましい方法、装置、および材料を説明する。
【実施例】
【0237】
実施例1
医師が、患者が急性痛の管理の治療を必要としていると判断する。薬剤師が、所望の強度の投与形態を含んでいるカートリッジを薬物分配装置に装填する。それぞれのカートリッジは、分配される最初の2つの投与形態となるように配置された2色の偽薬投与形態を有している。装置は、安全であって許可されていないユーザがアクセスすることができないポート、ハッチ、または扉であるカートリッジを装填するための手段を有している。薬剤師は、ひとたびカートリッジを装置へと装填すると、装置のアクセスポート、ハッチ、または扉をロックする。次いで、薬剤師は、分配装置をパーソナルまたは他のコンピュータへと接続されたドックへとドッキングコネクタを使用して初めてドッキングさせ、装置をプログラムする。プログラミングは、投与形態の投与強度、装置内に装填された投与形態の数、処方による投与形態の使用頻度、1日当たりに使用すべき投与形態の数、現在の日付および時刻、好ましい言語、患者を識別するための有効な拇印または他の身分証明になるもの、ならびに装置が失われて発見された場合の医師の識別情報のアップロードを含む。
【0238】
ひとたび分配装置がプログラムされると、薬剤師は、1つの青い偽薬投与形態を分配することによって、適切な使用を実証し、装置を試用する。次いで、薬剤師は、分配装置を患者に渡し、適切な試用および機能を確認すべく患者による偽薬投与形態の分配を観察する。薬剤師は、分配装置と一緒に、無線識別(RFID)キーをユーザに渡す。分配装置が動作できるためには、RFIDキーが装置の約5インチの範囲内である必要がある。
【0239】
患者は、薬物の投薬の投与を望むとき、分配装置を保持し、装置をスリープモードから起動させるべく任意のボタンを押す。装置が、ユーザに拇印の読み取りまたは個人識別番号(PIN)を要求する。次いで、装置は、有効なRFIDキーが範囲内にあるかどうか捜索する。これらの条件は満足されたならば、分配装置は、自身の内部メモリおよびクロックを照会し、今回の使用の要求が薬剤師によってプログラムされた投薬の計画に違反しないことを確認する。この時点で、装置は、日付および時刻、残っている投薬の回数、投薬が最後に使用された時刻、患者の名前、などの状態情報を表示し、薬剤師は、装置が投与形態を分配できる状態にある旨を視覚および/または聴覚信号によって患者へと伝える。
【0240】
患者は、装置の分配端を自身の舌の下方に保持して、分配レバーを押す。投与形態が分配されたとき、音色が鳴って投与形態が適切に送達された旨を患者に知らせる。この時点で、装置は、あらかじめプログラムされたロックアウト期間が過ぎるまで、さらなる分配を防止すべくロックされ、あらかじめプログラムされたロックアウト期間が過ぎたとき、装置は再び使用できるようになる。
【0241】
実施例2
患者がより直接的な監督のもとにある病院の状況においては、薬物分配装置のアクセスおよび識別は、RFIDキーの検出のみに限定され、拇印またはPINの提示は要求されない。術後または他の理由で不自由である患者が、過度な身体活動を必要とせずに装置を動作させることができる。あるいは、付き添いの看護士または医師が、患者へと用量を分配することができる。RFIDキーを使用することで、装置が偶発的または意図的に別の患者と入れ替わる可能性が防止される。
【0242】
投与形態分配装置は、有線または無線の通信(WI−FI)を介して看護士ステーションと定期的に連絡する。これにより、医療スタッフが、投与形態分配装置の使用および残りの投薬回数を監視することができる。WI−FI通信により、看護士は、使用履歴ならびに電池の寿命、使用された投薬、投薬が使用された時期、残りの投薬などといった装置の状態を確かめるために、任意の時点で分配装置を完全に照会することができる。分配装置の構成要素が、薬物分配システムに関連付けられる。
【0243】
以上、本発明を、明確さおよび理解の目的のために説明および例示として或る程度詳しく記載したが、いくつかの変更および変形が実行可能であることは、当業者にとって明らかである。本発明の種々の態様が一連の実験によって達成されており、その一部が、以下の実施例(これらに限定されない)によって説明される。したがって、本明細書および実施例を、添付の例示的な実施形態についての説明によって線引きされる本発明の技術的範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1A】治療の際に患者の舌下空間へと薬物投与形態を届けるように設計された本発明の例示的な分配装置の概略図であり、グラフィックディスプレイと、生体測定患者ID読み取り器と、分配ボタンと、ユーザインターフェイスと、分配カートリッジが配置されるハウジングとが図示されている。
【図1B】治療の際に患者の舌下空間へと薬物投与形態を届けるように設計された本発明の例示的な分配装置の概略図であり、ドッキングコネクタが図示されている。
【図1C】治療の際に患者の舌下空間へと薬物投与形態を届けるように設計された本発明の例示的な分配装置の概略図であり、分配シャトル機構および分配端が図示されている。
【図1D】治療の際に患者の舌下空間へと薬物投与形態を届けるように設計された本発明の例示的な分配装置の概略図であり、カートリッジアセンブリ、電池、プロセッサおよびpc基板、アンテナ、ならびにアンタゴニストリザーバが図示されている。
【図2】薬物投与形態を届けるための分配装置において使用するためのカートリッジアセンブリの概略図である。
【図3】分配される薬物投与形態を送達するための例示的な分配装置の概略図であり、例示的な単一用量アプリケータが示されている。
【図4】口腔粘膜へと薬物投与形態を送達するための例示的な分配装置の概略図であり、患者へと投薬形態を投与する際の分配装置への唾液の流入を最小限にするための手段が示されている。
【図5】1つ以上のシールと水分または濡れた表面との接触を防止する分配チップの例示的な形状の概略図である。
【図6】1つ以上のシールと水分または濡れた表面との接触を防止する分配チップの例示的な形状の概略図である。
【図7】例示的な機械式ロックアウト手段の概略図であり、1つの例示的なロック機構が示されている。図7A〜7Dは、薬物投与形態の分配に関するロックアウト機構の種々の段階を図示している。
【図8A】薬物投与形態を届けるための分配装置の典型的な分配機構の概略図であり、休止位置にあるカラム型分配機構が図示されている。分配機構が、1つ以上のカートリッジアセンブリ、作動ボタン、モータ、カム、乾燥剤、シール、分配センサ、ばねクリップ、およびばねを備える。
【図8B】図8Aの分配装置の概略図であり、分配機構、モータ、およびカムの位置は、休止位置にある。
【図8C】図8Aの分配装置の概略図であり、分配機構、モータ、およびカムの位置が、取り出し位置にある。
【図8D】図8Aの分配装置の概略図であり、分配機構、モータ、およびカムの位置が、取り出し位置にある。
【図8E】図8Aの分配装置の概略図であり、分配機構、モータ、およびカムの位置が、分配位置にある。
【図8F】図8Aの分配装置の概略図であり、分配機構、モータ、およびカムの位置が、分配位置にある。
【図8G】分配装置の薬物投与形態の分配を感知するための光学検出機構の図である。分配機構が、1つ以上のカートリッジアセンブリ、カム、乾燥剤、シール、送達センサ、およびばねクリップを備える。
【図8H】分配装置の薬物投与形態の分配を感知するための光学検出機構の図である。分配機構が、1つ以上のカートリッジアセンブリ、カム、乾燥剤、シール、送達センサ、およびばねクリップを備える。
【図9A】本発明の分配装置の文通機構のさらなる実施形態を示しており、休止位置にあるリボン型分配機構が図示されている。
【図9B】取り出し位置にある図9Aの分配機構を示している。
【図9C】分配位置にある図9Aの分配機構を示している。
【図10】本発明の分配装置の分配機構のさらなる実施形態を示しており、別の種類の押し棒を使用するリボン型分配機構が、分配位置にて図示されている。
【図11A】本発明の分配装置のさらなる実施形態を示しており、休止位置にあるディスク型分配機構が図示されている。
【図11B】分配位置にある図9Aの分配機構を示している。
【図12】薬物投与形態を分配するように設計された例示的な押し棒を示している。
【図13】薬物投与形態を分配するための本発明の分配装置の他の例示的な押し棒を示しており、押し棒が、可撓性であって異なる幾何学的形状を与えるように設計されている。
【図14】薬物投与形態を分配するための本発明の分配装置の他の例示的な押し棒を示しており、押し棒が、可撓性であって異なる幾何学的形状を与えるように設計されている。
【図15】それぞれ、押し棒型装置(15A)、アクチュエータのロックアウト装置(15B)、安全ボタン/ラッチ型装置(15C/15D)、ソレノイド型装置(15E)、および別のソレノイド型ロックアウト装置(15E)など、典型的なロックアウト装置の概略図である。
【図16】それぞれ、バレル型、インデックス/ばね付勢型、スナップアウト型、およびトラック型など、例示的な薬物カートリッジの概略図を提示している。
【図17】本発明の分配装置の概略図であり、押し棒によってシールを貫いて押し出される薬物投与形態が示されており、シールの幾何学的形状が、薬物投与形態および押し棒の形状に合わせてあつらえられている。
【図18】例示的な押し棒、薬物投与形態、および隔膜型シールの幾何学的形状の概略図である。例示的なスリット型隔膜シールが、送達の際に薬物投与形態および押し棒の周囲に一様なシールを維持するように設計されている。
【図19】薬物投与形態の送達の際に薬物投与形態および押し棒の周囲に一様なシールを維持するように設計された他の例示的なスリット型隔膜シールの形状の概略図である。
【図20A】再使用可能なヘッド、使い捨て本体、および充電ステーションを備える例示的なアーキテクチャの概略図である。
【図20B】再使用可能なヘッド、使い捨て本体、ドッキングステーション、およびドッキングステーションを備える例示的なアーキテクチャの概略図である。
【図20C】使い捨て本体、可搬性ドッキングステーション(フォブ)、および充電ステーションを備える例示的なアーキテクチャの概略図である。
【図20D】使い捨て本体およびドッキングステーションを備える例示的なアーキテクチャの概略図である。
【図20E】再使用可能なヘッド、使い捨て本体、可搬性ドッキングステーション、および充電ステーションを備える例示的なアーキテクチャの概略図である。
【図20F】例示的なアーキテクチャの概略図であり、完全な使い捨て装置が示されている。
【図21】薬物分配装置ならびに無線または他の双方向の通信ネットワークを介して接続される監視および制御装置を備える薬剤ネットワークを含んでいる本発明の薬物分配システムの機能的要素の概略図である。システムが、RAMおよびROMを有し、ドッキングコネクタへと動作可能に接続され、RFIDアンテナ、WI/FIアンテナと双方向のやり方で通信する電池式マイクロプロセッサを含んでおり、さらに薬物分配装置および薬剤ネットワークは、ユーザインターフェイス、可聴警報、グラフィックディスプレイ、分配ボタンおよびセンサ、ならびに分配ボタンロックアウトを備える。
【図22】本発明の薬物分配システムに関する通信を説明するブロック図である。図22Aは、高周波ID(RFID)タグ、分配装置、ベースステーション/ドック、および医療提供者のパーソナルコンピュータを含むシステム通信ダイアグラムを示している。図22Bは、RFIDタグ、分配装置、フォブ(または、可搬性手持ち式ドッキング装置)、および医療提供者のパーソナルコンピュータを含むシステム通信ダイアグラムを示している。
【図23】例示的な薬物投与形態の形状の図を提示している。図23Aは、平坦、凹状、または凸状の面を有する丸い円盤、平坦、凹状、または凸状の面を有する楕円体、球、3つ以上の辺および平坦、凹状、または凸状の面を有する多角形、あるいは他の任意の湾曲した固形物など、対称的な薬物投与形態の概略図である。図23Bは、非対称な投薬形態の概略図である。
【図24】本発明の薬物分配システムについての設定およびプログラミングのフローチャートのブロック図であり、プロセスが:投薬形態カートリッジを分配装置に装填する工程;分配装置を閉鎖およびロックする工程;分配装置をPCにドッキングさせる工程;分配装置をプログラムする工程;適切なユーザを識別すべく拇印またはPINを記録する工程;および分配装置をテストする工程を含んでいる。
【図25】分配装置の動作のフローチャートを示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の一例が提示されている。
【図26】他の例示的な分配装置の動作のフローチャートを示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の第2の例が提示されている。
【図27】他の例示的な分配装置の動作のフローチャートを示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の第3の例が提示されている。
【図28】医療専門家による例示的な分配装置の分解のフローチャートを示すブロック図であり、使用後の本発明の薬物分配装置の段階的な分解の例が提示されている。
【図29】例示的な院外かつ急性の分配装置の動作のフローチャートを示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の段階的動作の例が提示されている。
【図30】例示的な院内の分配装置の設定および組み立てのフローチャートを示すブロック図であり、使用に先立つ本発明の薬物分配装置の段階的な設定および組み立ての例が提示されている。
【図31】例示的な院外かつ慢性の分配装置の設定および組み立てのフローチャートを示すブロック図であり、本発明の薬物分配装置の設定および組み立て作業の例が提示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の患者へ薬物投与形態を投与するための分配装置であって、
該分配端を有するハウジング、
該ハウジング内にあり、該分配端から少なくとも1つの薬物投与形態を分配するように構成されているカートリッジアセンブリ、および
該薬物投与形態の分配に先立って該特定の患者を識別するように構成された患者ID読み取り器
を備える、分配装置。
【請求項2】
前記カートリッジアセンブリが、少なくとも1つの薬物投与形態を保持するように構成された少なくとも1つの分配カートリッジを備える請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
前記分配カートリッジが、前記薬物投与形態をスタック、列、円形ディスク、円弧ディスク、ストリップ、リボン、テープ、らせん、あるいは以上のいずれかのアレイまたは組合せにて保持することができる請求項2に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項4】
前記分配カートリッジが、カートリッジ管、プランジャ、ばね、およびキャップを備える請求項2に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項5】
前記分配カートリッジが、ディスクカートリッジを備える請求項2に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項6】
前記カートリッジアセンブリが、洗練されたカートリッジ認識システムを備える請求項2に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項7】
前記カートリッジ認識システムが、前記分配カートリッジの種類またはサイズを認識できる請求項6に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項8】
前記カートリッジ認識システムが、前記分配カートリッジ内の薬物投与形態の種類または量を認識できる請求項6に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項9】
前記カートリッジ認識システムを、前記カートリッジ上の物理的なキーの特徴(physical keyed feature)、該カートリッジ上のバーコード、該カートリッジ上の磁気タグ、該カートリッジ上のRFIDタグ、または該カートリッジ上の電子マイクロチップによって達成できるか、あるいは該分配カートリッジの他の何らかの機械的、物理的、または他の特徴の検出によって達成できる請求項6に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項10】
前記カートリッジアセンブリが、ばね、圧縮空気、または他の機構によって前記薬物投与形態を強制的に排出する、請求項1に記載の分配装置。
【請求項11】
前記カートリッジアセンブリが、前記薬物投与形態の進行および分配のための分配機構を備える請求項1に記載の分配装置。
【請求項12】
前記分配機構が、機械的な作動、電気機械的な作動、ばね付勢による作動、空気圧による作動、液圧作動、磁気作動、重力による作動、熱による作動、燃焼による作動、相変化の膨脹または収縮による作動、音波による作動、および吸収剤による作動からなる群より選択される、請求項11に記載の分配装置。
【請求項13】
前記分配機構が、プッシャー/スライダ、押しラック、ピニオン、および前記ハウジング内のチャネル、ならびにばねを含んでおり、該プッシャー/スライダが、該チャネル内をスライドするとき、該押しラックおよびピニオンに係合し、該ラック上の該ばねによって提供される力によって該薬物投与形態を該チャネルの上方に押し、該プッシャー/スライダが該薬物投与形態に接触して、該薬物投与形態を該チャネルの該端部から分配する、請求項11に記載の分配装置。
【請求項14】
前記分配機構が、テープおよびローラを含んでおり、該テープが、該投与形態を該テープの片面に接着剤で保持するように構成されており、該投与形態が接着されている表面が凸状を形成して該投与形態が該接着剤から剥がれるように、該テープが該ローラに巻かれる請求項11に記載の分配装置。
【請求項15】
前記分配機構が、前記接着剤からの前記投与形態の取り外しを助けるための剥離ブレードをさらに備える請求項14に記載の分配装置。
【請求項16】
前記分配機構が、起動ボタン、モータ、カム、乾燥剤、シール、送達センサ、およびばねを備える請求項11に記載の分配装置。
【請求項17】
前記分配機構が、手動で作動される請求項12に記載の分配装置。
【請求項18】
前記分配機構が、電気機械的に作動される請求項12に記載の分配装置。
【請求項19】
前記患者識別手段が、指紋読み取り器、光学網膜読み取り器、音声認識、顔認識システム、RFID、Wi−Fi、およびDNA検出からなる群より選択される請求項1に記載の分配装置。
【請求項20】
前記患者識別手段が、識別される前記患者の一致するRFIDタグと結び付けられるように構成された無線識別(RFID)読み取り器である請求項19に記載の分配装置。
【請求項21】
前記分配装置のロックを解除するために、前記分配装置の前記RFID読み取り器が前記患者のRFIDタグに一致する必要がある、請求項20に記載の分配装置。
【請求項22】
前記分配端の付近に交換可能なチップをさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項23】
前記分配端が、シール、ワイパー、吸収剤、吸着剤、乾燥剤、排出型の装置、エアギャップ、またはこれらの組合せ、あるいは唾液の進入を最小限にする他の任意の手段を前記装置の設計に取り入れることによって、該分配装置への唾液の流入/進入を低減するように構成されている請求項1に記載の分配装置。
【請求項24】
前記ハウジングが、手持ちであるような大きさである、請求項1に記載の分配装置。
【請求項25】
英数字ディスプレイ、グラフィックディスプレイ、LCDディスプレイ、およびLEDディスプレイからなる群より選択される図示表示をさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項26】
ユーザインターフェイスをさらに有している請求項1に記載の分配装置。
【請求項27】
前記分配器または前記カートリッジアセンブリが、用量カウンタをさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項28】
前記薬物投与形態の投与の時間であるときに、前記患者へと知らせるための表示器手段をさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項29】
前記表示器手段が、潜在的に危険または有効でない投与状況の通知をさらに提供する請求項28に記載の分配装置。
【請求項30】
前記薬物投与形態が分配されたときに起動するLEDディスプレイ、光、音、または触覚表示器をさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項31】
投薬送達情報を保存するためのメモリ手段をさらに有している請求項1に記載の分配装置。
【請求項32】
他の装置との双方向の情報交換のためのインターフェイスをさらに備え、該他の装置がコンピュータである請求項1に記載の分配装置。
【請求項33】
アンタゴニストリザーバをさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項34】
前記アンタゴニストリザーバが、前記薬物投与形態の機能を阻害する薬物、ホルモン、または他の化学物質を含んでいる請求項33に記載の分配装置。
【請求項35】
前記アンタゴニストリザーバが、システムまたは電源の故障、装置の損傷または改竄、あるいはシステム停止の事象において、前記アンタゴニストと前記薬物投与形態との混合を可能にする請求項33に記載の分配装置。
【請求項36】
薬物投与形態の分配を防止するように構成されたロックアウト特徴をさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項37】
前記ロックアウト特徴が、プログラム可能なロックアウト特徴である請求項36に記載の分配装置。
【請求項38】
前記ロックアウト特徴が、約1〜約60分、約3〜約40分、および約5〜30分からなる群より選択される初期のロックアウト期間を有する時限ロックアウトである請求項36に記載の分配装置。
【請求項39】
前記ロックアウト特徴が、分配カートリッジが装填されておらず、ロックされておらず、かつ起動されていない場合に、薬物投与形態の分配を防止する請求項36に記載の分配装置。
【請求項40】
前記ロックアウト特徴が、投与履歴および薬物の薬物動態学にもとづく洗練されたロックアウトである請求項39に記載の分配装置。
【請求項41】
前記ロックアウト特徴が、トリガ、センサ入力、または他の入力にもとづく請求項36に記載の分配装置。
【請求項42】
前記トリガまたは他の入力が、体温、呼吸数、血圧、心拍数、血液化学、唾液化学、呼気化学、時刻、日付、温度、湿度、および地球上での位置からなる群より選択される請求項41に記載の分配装置。
【請求項43】
前記ロックアウト特徴が、前記分配装置の解除(unlock)に先立って選択した患者の一致する無線識別(RFID)タグに結び付けられるように構成されたRFID読み取り器を備える、請求項36に記載の分配装置。
【請求項44】
前記ロックアウト特徴が、可動の押し棒、戻らない押し棒、電気機械レギュレータ、光学センサ対、磁気クラッチ、アクチュエータのロックアウト、ラックおよびピニオン、安全ボタンラッチ、ソレノイド、軸上のコレクト、キー付きハブ、可動の継手、およびカムからなる群より選択される請求項36に記載の分配装置。
【請求項45】
前記ロックアウト特徴が、投薬の間のロックアウト間隔を設定することを含んでいる請求項36に記載の分配装置。
【請求項46】
前記ロックアウト間隔が、固定の時間間隔、所定の時間間隔、所定の可変の時間間隔、アルゴリズムによって決定される時間間隔、ならびにリモートコンピュータまたはドッキングステーションから前記装置へと伝えられる可変の時間間隔からなる群より選択される請求項45に記載の分配装置。
【請求項47】
外部の通信手段をさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項48】
前記通信手段が、前記分配装置と現場または遠方のコンピュータシステムとの間の双方向の通信リンクを備え、該コンピュータシステムが、該分配装置による前記薬物投与形態の分配を可能にする信号を提供する、請求項47に記載の分配装置。
【請求項49】
前記通信手段が、別の装置との双方向の情報の交換のためのインターフェイスを備える、請求項47に記載の分配装置。
【請求項50】
前記双方向の情報の交換が、有線または無線様式によって処理される請求項47に記載の分配装置。
【請求項51】
前記通信手段が無線であり、情報が、前記分配装置からコンピュータネットワークまたは別の装置へ無線ネットワークを介して伝達される、請求項47に記載の分配装置。
【請求項52】
前記通信手段が、前記分配装置から別の装置へと薬物送達履歴についての情報を伝達することを含んでいる請求項47に記載の分配装置。
【請求項53】
許可されていない人物による前記分配装置の盗難を抑止する盗難防止手段をさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項54】
前記盗難防止手段は、前記分配装置が人、物体、または物理的な位置への所定の近接から引き離された場合を検出する無線近接検出手段を備える、請求項53に記載の分配装置。
【請求項55】
前記盗難防止手段が、係留またはロックされた分配装置である請求項53に記載の分配装置。
【請求項56】
医療専門家の身元を検出するための検出手段をさらに備え、許可されていない個人による前記薬物投与形態に対する偶発的または意図的な改竄、乱用、またはアクセスを防止するため、該検出手段が、動作のために、前記分配装置に近接している必要がある請求項1に記載の分配装置。
【請求項57】
前記分配端に近接し、該分配端からの前記薬物投与形態の分配を感知するように構成されている分配センサをさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項58】
メモリを有するマイクロプロセッサをさらに備え、該マイクロプロセッサが、前記カートリッジアセンブリおよび前記患者ID読み取り器へと接続されている、請求項1に記載の分配装置。
【請求項59】
前記メモリが前記分配装置の分配履歴を記録する、請求項58に記載の分配装置。
【請求項60】
所定の時間長さの後に停止する、請求項1に記載の分配装置。
【請求項61】
投与形態を或る位置へと装填する工程、
前記装置を該投与形態の分配のための位置に配置する工程、
内部システムのチェックを実行する工程、および
該投与形態を分配する工程
を含む一連の工程によって動作し、
該工程が連続的な順序で実行される、請求項1に記載の分配装置。
【請求項62】
投与形態を或る位置へと装填する工程、
内部システムのチェックを実行する工程、
該装置を該投与形態の分配のための位置に配置する工程、および
該投与形態を分配する工程
を含む一連の工程によって動作し、
該工程が連続的な順序で実行される、請求項1に記載の分配装置。
【請求項63】
患者の分配要求を読み取る工程、
最後の用量投与からの時間をチェックする工程、
該患者IDをチェックする工程、
該投与形態を分配する工程
を含む、CPU制御される電気機械的な一連の工程によって動作し、該工程が連続的な順序で実行される、請求項1に記載の分配装置。
【請求項64】
患者の分配要求を読み取る工程、
最後の用量投与からの時間をチェックする工程、
該患者IDをチェックする工程、
内部システムのチェックを実行する工程、
該投与形態を分配する工程
を含む、CPU制御される電気機械的な一連の工程によって動作し、該工程が連続的な順序で実行される、請求項1に記載の分配装置。
【請求項65】
前記投与形態が舌下に投与される請求項1に記載の分配装置。
【請求項66】
特定の患者のIDと一致させた後でのみ動作できる請求項1に記載の分配装置。
【請求項67】
特定の患者への投与のために薬物投与形態を分配するための分配装置システムであって、
アクチュエータ、
プリント回路基板(PCB)、
電源、
ユーザ識別手段、
薬物投与形態を保持するように構成された薬物投与カートリッジ、ならびに
通信手段およびユーザインターフェイス
を備える、分配装置システム。
【請求項68】
メモリ手段およびユーザインターフェイスをさらに備える、請求項67に記載の分配装置システム。
【請求項69】
充電ステーション、
前記アクチュエータ、前記PCB、前記電源、前記ユーザ識別手段、ならびに前記通信手段およびユーザインターフェイスを含んでいる再使用可能なヘッド部、ならびに
薬物投与カートリッジを含んでいる使い捨ての本体部
をさらに有している請求項67に記載の分配装置システム。
【請求項70】
充電ステーション、
前記通信手段およびユーザインターフェイスを含んでいるドッキングステーション、
前記アクチュエータ、前記PCB、前記電源、前記ユーザ識別手段を含んでいる再使用可能なヘッド部、および
前記薬物投与カートリッジを含んでいる使い捨ての本体部
をさらに備える、請求項67に記載の分配装置システム。
【請求項71】
充電ステーション、
前記アクチュエータ、前記PCB、前記電源、前記ユーザ識別手段、および前記薬物投与カートリッジを含んでいる使い捨ての本体部、ならびに
前記通信手段およびユーザインターフェイスを含んでいる可搬のドッキングフォブ
をさらに備える、請求項67に記載の分配装置システム。
【請求項72】
前記通信手段およびユーザインターフェイスを含んでいるドッキングステーション、
前記アクチュエータ、前記PCB、前記電源、前記ユーザ識別手段、および前記薬物投与カートリッジを含んでいる使い捨ての本体部
をさらに備える、請求項67に記載の分配装置システム。
【請求項73】
充電ステーション、
前記アクチュエータ、前記PCB、前記電源、前記ユーザ識別手段を含んでいる再使用可能なヘッド部、
薬物投与カートリッジを含んでいる使い捨ての本体部、および
前記通信手段およびユーザインターフェイスを含んでいる可搬のドッキングフォブ
をさらに備える、請求項67に記載の分配装置システム。
【請求項74】
特定の患者への投与のために薬物投与形態を分配するための分配装置を動作させる方法であって、
錠剤カートリッジを該分配装置に装填する工程、
該分配装置を閉じてロックする工程、
最初の使用に先立って、該分配装置をPCにドッキングし、該分配装置をプログラムする工程、
該分配装置をテストする工程、
該分配装置を起動させるためにいずれかのボタンを押す工程、
入力されたIDを特定する工程、
該IDを検出する工程、
(a)分配要求、(b)分配履歴、および(c)プログラムされた処方を比較し、(a)、(b)、および(c)が本発明の薬物分配装置からの薬物投与形態の分配の許可に矛盾しない場合に;
分配装置の状態およびIDを表示して、薬物分配装置が使用可能な状態であることを知らせる工程、
分配ボタンが押されたときに投与形態を分配する工程、および
該薬物分配装置のロックをあらかじめプログラムされた時間期間にわたってロックする(locking down)工程
を含む、方法。
【請求項75】
口腔粘膜へ前記薬物投与形態を分配する工程が実行される、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
手へ前記薬物投与形態を分配する工程が実行される、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
特定の患者への投与のために薬物投与形態を分配するための分配装置を動作させる方法であって、
該分配装置を起動させるために任意のボタンを押す工程、
あらかじめプログラムされたロックアウト時間が終了した否かを確認する工程、
RFIDタグを検出する工程、
ロックアウト装置が送達を阻止していないかどうか、該装置を視覚的に確認する工程、
薬物投与形態の患者へのモータ駆動された分配を実行する工程、および
該投与形態の分配の完了時に該分配装置をロックする工程
を含む、方法。
【請求項78】
口腔粘膜へ前記薬物投与形態を分配する工程が実行される、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
手へ前記薬物投与形態を分配する工程が実行される、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
薬物分配装置を分解する方法であって、
投薬履歴をダウンロードまたは記録する工程、
内部メモリをリセットする工程、および
電池を充電する工程
を含む、方法。
【請求項81】
分解の工程が、薬剤師によって必要とされる請求項80に記載の方法。
【請求項82】
薬物分配装置を分解する方法であって、
投薬履歴をダウンロードまたは記録する工程、
内部メモリをリセットする工程、
電池を充電する工程、および
内部診断テストを実行する工程
を含む、方法。
【請求項83】
分解の工程が、薬剤師によって必要とされる請求項83に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図19E】
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【図19F】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図20F】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2009−526553(P2009−526553A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549610(P2008−549610)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/000527
【国際公開番号】WO2007/081947
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508202267)エーセルアールエックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】