説明

薬物送達用に設計されたナノ粒子

本発明は、ミニエマルジョン法によるナノ粒子の製造方法に関連する。反応系に安定剤を所定量加えることにより、前記ナノ粒子は製造される。更に、本発明は、この方法により製造されるナノ粒子、および少なくとも一つの生理学的障壁、特に血液脳関門を通過する医薬品を必要とする疾病および状態の治療のためのそれらの使用に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミニエマルジョン法によるナノ粒子の製造方法に関連する。反応系に安定剤を所定量加えることにより、前記ナノ粒子は製造される。更に、本発明は、この方法により製造されるナノ粒子、並びに、少なくとも一つの生理学的障壁、特に血液脳関門を通過する医薬品を必要とする疾病および状態を治療するためのそれらの使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子は、いくつかの疾病、特にガンの検出および治療に新たな希望を提案する。したがって、ナノ粒子は、医薬、特にガンの治療における多くの分野に大きな可能性を持っている。ガン性細胞に直接的に腫瘍致死薬(tumor−killing drugs)を送達し、それにより化学療法薬の不要な副作用を回避することへの期待は、医学界において、ナノ粒子への多数の関心を呼んでいる。
【0003】
また、標的送達(targeted delivery)とは別に、ナノ粒子は、ヒトおよび動物の身体の特定の障壁を通過する能力に関して、いくつかの驚異的な効果を示した。例えば、米国特許出願番号08/203,326、およびそれに対応する国際特許出願番号PCT/EP95/00724(特許文献1に対応)において、薬物を混合し(取り込み、吸着し、または吸収し)、適切な界面活性剤によるコーティングにより包まれたナノ粒子を用いた手段により、薬物が哺乳類の身体、特にヒトの身体に送達され、血液脳関門を通過して輸送され得ることが報告されている。前記両出願には、前記薬物は、免疫抑制剤または抗ガン剤であってもよいことが教示されている。前記適切な界面活性剤として、一般的に購入可能な界面活性剤、例えば、ポリソルベート80またはTween80等が記載されている。
【0004】
特許文献2もまた、ナノ粒子に関連しており、特許文献1により教示されたナノ粒子/薬物複合体(complex)を包む付加的なコーティングを必要としないことを開示している。
【0005】
従来技術においては、前記ナノ粒子は、一般的に“溶媒中エマルジョン化蒸発技術(in−solvent emulsification−evaporation technique)”と呼ばれる技術により調製される。前記技術では、前記取り込まれる医薬品が疎水性または親水性のいずれであるかに応じて、単一の(オイル−イン−ウォーターすなわち水中油滴)または複数のエマルジョン化(ウォーター−イン−オイル−イン−ウォーター)を用いる。
【0006】
前記ナノ粒子の形成後、前記溶媒を前記エマルジョンから蒸発させる。前記ナノ粒子を、遠心分離または、好ましくは、超遠心(120,000〜145,000g)により残渣から分離後、水で洗浄し、再度遠心後、デカンテーションする。
【0007】
従来技術から、ミニエマルジョンにおいて、ポリマーへの変換を実施することも公知である。ミニエマルジョンは、例えば、水相、油相および少なくとも一つの界面活性剤の分散系であり、約50〜500nmのサイズの滴を有する。前記ミニエマルジョンは、準安定的であると考えられている(非特許文献1および2参照)。これらの分散系は、洗浄剤、化粧品またはボディーケア商品の技術分野において、幅広い応用が見つかっている。
【0008】
オレフィン性(olefinically)不飽和モノマーのフリーラジカルミニエマルジョン重合法による初期水分散系(aqueous primary dispersions)の調製は、例えば、特許文献3または特許文献4および5により公知である。これらの公知の方法の場合において、前記モノマーは、別の低分子量、オリゴマーまたはポリマーの疎水性物質の存在下において、共重合され得る。
【0009】
ナノ粒子形成の好ましい方法は、K.Landfesterにより開発されたミニエマルジョン技術である。
【0010】
ここで、ミニエマルジョンとは、50〜500nmの範囲のサイズで臨界的に安定した油滴の分散系であり、水、界面活性剤(または、“安定剤”)および疎水性物質を含む系をせん断することにより調製される。そのようなミニエマルジョン中におけるモノマーの重合は、最初の滴とほぼ同じサイズを有する粒子をもたらす。前記ミニエマルジョン重合の原理を概要的に図1に示す(非特許文献3〜5)。
【0011】
特許文献6(特許文献7)は、適切なモノマーの非ラジカルミニエマルジョン重合、好ましくは、重付加を用いた活性成分または活性物質のin−situカプセル封入法による前記活性成分または活性物質を含むポリマーカプセル、ペレット(pellet)または滴の製造方法を開示している。前述の方法により生産された前記活性成分または活性物質を含むポリマー媒体システム(polymer vehicle system)は、送達システム(delivery system)、特に化粧品およびボディーケアの分野、医薬品、接着処理および/または洗浄剤の分野において用いられ得る。
【0012】
特許文献8は、界面活性剤(S1)および共界面活性剤(co−surfactant)(S2)の補助によって油/水のミクロまたはミニエマルジョンを安定化する方法を開示している。前記(S2)は、浸透圧的に安定化されたエマルジョンを与えるために、ヘキサデカン、セチルアルコール、ドデシルメルカプタン、長鎖アルキルメタクリレートおよびダイスタッフブルー70(dyestuff Blue 70)以外から選択される水に不溶性の化合物からなる。前記特許文献8は、更に、油相、水相、界面活性剤(S1)および上述した超疎水性の共界面活性剤(S2)を含む浸透圧的に安定化されたミクロまたはミニエマルジョンを開示している。
【0013】
特許文献9は、真核細胞中へのDNAトランスフェクションのためのナノ粒子の使用を開示している。前記特許文献9は、更に、ヒトまたは動物の身体における標的臓器へのDNAの投与を開示している。前記特許文献9は、特にヒトまたは動物の身体内の腫瘍に冒された標的臓器、例えば、脳腫瘍の場合における脳に対し、ガン治療に関連するDNAを投与するためのナノ粒子の使用を教示している。前記特許文献9は、DNAとナノ粒子との結合のエンハンサー(enhancer)として振舞う物質(“安定剤”)を使用することも開示している。特にジエチルアミノエチル−(DEAE)−デキストランおよびデキストラン70.000が、安定剤として記載されている。
【0014】
しかしながら、特許文献9に記載のそれらのナノ粒子の製造方法は、従来のエマルジョン重合、すなわち、溶媒中のモノマー溶液から直接的にナノ粒子を形成するものでしかない。
【0015】
【特許文献1】国際公開WO95/22963号パンフレット
【特許文献2】国際公開WO98/56361号パンフレット
【特許文献3】国際公開WO98/02466号パンフレット
【特許文献4】ドイツ公開特許第19628143A1号公報
【特許文献5】ドイツ公開特許第19628142A1号公報
【特許文献6】国際公開WO02/09862号パンフレット
【特許文献7】ドイツ公開特許第10101892A1号公報
【特許文献8】ドイツ公開特許第19852784A1号公報
【特許文献9】国際公開WO2004/017945号パンフレット
【非特許文献1】Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers, Editors P. A. Lovell and Mohamed S. El−Aasser、John Wiley and Sons, Chichester, New York, Weinheim, 1997, page 700
【非特許文献2】Mohamed S. El−Aasser, Advances in Emulsion Polymerization and Latex Technology, 30th Annual Short Course, Volume 3, Jun. 7−11, 1999, Emulsion Polymers Institute, Lehigh University, Bethlehem, Pa., USA
【非特許文献3】K. Landfester, Polyreactions in miniemulsions, Macromol. Rapid Comm. 2001, 896−936.
【非特許文献4】K. Landfester, N. Bechthold, F. Tiarks, and M. Antonietti, Formulation and stability mechanisms of polymerizable miniemulsions. Macromolecules 1999, 32, 5222.
【非特許文献5】K. Landfester, Recent Developments in Miniemulsions − Formation and Stability Mechanisms. Macromol. Symp. 2000, 150, 171
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、媒体(vehicles)を高収率で、固形成分として得ることができる、改良された薬物送達媒体(drug delivery vehicles)の製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、前記媒体の大規模生産に適した薬物送達媒体の製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、特に所望の放出特性に適合し得る医薬品用の送達媒体を提供することを目的とする。特に本発明は、医学的状態を変化させるための使用に適し、特に動物またはヒトの身体内の主要な生理学的または生物学的障壁を通過することができ、続いて、標的組織における医薬品の徐放性または遷延性放出等の修飾された放出特性を示す送達媒体を提供することを目的とする。本発明は、ナノ粒子上のコーティングとして、例えば、ポリソルベート80等の界面活性剤の使用を避けることを付加的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的は、独立形式請求項の内容により達成される。好ましい実施形態は、従属形式請求項により示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一般的な所見として、本発明の前記ナノ粒子は、“ミニエマルジョン法”により形成される。このミニエマルジョン法は、それ自体はよく知られており、例えば、前記非特許文献3および、K. Landfester, N. Bechthold, F. Tiarks, and M. Antonietti, “Formulation and stability mechanisms of polymerizable miniemulsions”中において開示されている。基本的に、この技術は、製造工程の順序が異なる点で、周知の伝統的な方法(例えば、特許文献9において用いられる方法等)とは異なる。この取り組みにおいては、分散された疎水性物質を含むミニエマルジョン、すなわち親水性連続相中にモノマーを含む滴をポリマー粒子に形成する。前記従来の取り組みにおいて、前記ポリマーは、モノマーを含む前記溶液から直接形成される。
【0019】
このように、本明細書中で用いられる“ミニエマルジョン”という用語は、一般的に、連続的な水(親水性)相と前記連続相中に分散された油(疎水性)相とを含む分散系を形成する技術を意味する。更に、この用語は、1〜1000nmの範囲、通常、約50〜500nmの範囲で形成されるエマルジョン滴(後の重合による粒子のサイズと、同一、またはほぼ同一である)を示す。
【0020】
更に、前記従来法と前記ミニエマルジョン法とのもう一つの違いは、後者では、2つの液相が前記方法の開始時に接触し、続いてエマルジョンが形成されることである。前記従来のエマルジョン法では、最初に、一方の相の滴が他方の相中に落下するだけである。
【0021】
前記従来の取り組みの主要な欠点の一つは、約1%のナノ粒子(固体成分)を含む懸濁液しか得られないという事実に見ることができる。対照的に、本発明のミニエマルジョンの取り組みは、25%w/w(前記O/W反応系の重量全体に基づく)のモノマー成分に基づき、15〜24%またはそれ以上のナノ粒子の固体成分を得ることができる。このように、固体ナノ粒子の収率は劇的に増加しており、投入したモノマーの約60〜96%に該当する。
【0022】
この方法では、高濃度の固体成分(15%〜24%の範囲)のナノ粒子懸濁液を得ることが可能である。このように、収率(60%〜96%)が高いことは、スケールアップの観点から非常に重要なことである。前記プロセスは、再現性がある。製造された前記ナノ粒子の平均径は、200〜300nm(1μm未満の範囲)である(図2参照)。
【0023】
一例として、前記油相が、6gのモノマー+250mgの疎水性物質からなり、前記水相が、24gの0.01N(0.01mol/L) 塩酸+安定剤からなる場合は、固体の最大含有量は、収率100%に相当し、25%w/w(6/24×100)となる見込みである。含有量が20%w/wであれば、対応する収率は80%である。この場合、モノマーで表現される残りの20%は、例えば、容器の表面またはホモジナイザーなどで重合すること等により、重合中に失われる。
【0024】
本発明と従来の取り組みとの主な違いは、本発明のナノ粒子には、界面活性剤コーティングを用いる必要がないことにある。驚いたことに、少なくとも一つの薬物を輸送する場合、周知の界面活性剤コーティングが、前記ナノ粒子の治療上の安全性において、有害な作用を有しうることが判明している。特に最初に添加された薬物(ナノ粒子に吸収させる)のうち、最高40重量%が、界面活性剤コーティングにより置き換えられるという実験結果が示された。これにより、ナノ粒子に結合した薬物の量が、容認し難いほど変化し、不明確となり、ナノ粒子をコーティングした薬物の治療効果と信頼性を低下させてしまう。
【0025】
しかしながら、前記界面活性剤コーティングを省略すると、例えば、血液脳関門等の生理学的障壁を通過するナノ粒子の能力が低下してしまう。このことは、前記界面活性剤コーティングの材料(例えば、Tween80)が、血中に存在するApoEおよびApoAを、それぞれ、吸収できることで、血液脳関門のリポタンパク質受容体へのナノ粒子の提示を可能にするという事実により説明することができる。言い換えると、このことにより、ナノ粒子の受容体媒介エンドサイトーシス(receptor mediated endocytosis)、およびナノ粒子の前記血液脳関門の通過が導かれる。
【0026】
したがって、前記ナノ粒子に吸収された薬物の置換を避けるために、単に、前記界面活性剤コーティングを省略するというのには、不都合がある。
【0027】
そこで、本発明者等は、両問題点を克服するための解決法、すなわち、界面活性剤コーティングの使用に関する欠点を避け、生理学的障壁、特に血液脳関門の通過に関する前記コーティングの好ましい効果を維持する方法を見出した。
【0028】
従来技術における界面活性剤コーティングを形成するのと同一または類似する界面活性剤を、製造工程において、先に、ナノ粒子内に取り込む。より正確には、前記界面活性剤または安定剤を、重合可能なモノマーの全重量に基づいて10〜25重量%の量で、ナノ粒子中に取り込むことが効果的であることが見出されている。従って、本発明の製造方法は、臓器への適用前に界面活性剤を用いて混合する必要がないため、製造工程を大幅に簡略化し、臨床治療の適用を促進する。
【0029】
したがって、第1の局面において、本発明のナノ粒子の製造方法は、
a)油相型および水相型の液相、少なくとも一つの安定剤ならびに重合可能なモノマーを含み、前記少なくとも一つの安定剤を、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて10〜25重量%の量で加える反応系を供給する工程と、
b)前記油相滴が前記モノマーを含むO/W型のミニエマルジョンを形成する工程と、
c)ナノ粒子を形成するために前記モノマーを重合する工程とを含み、
前記ナノ粒子に結合可能な少なくとも一つの医薬品を前記ナノ粒子に加えることで、前記少なくとも一つの医薬品によりコーティングされたナノ粒子を製造し、および/または前記工程a)において、少なくとも一つの医薬品を加える。
【0030】
前記少なくとも一つの安定剤の量は、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて10〜25重量%であり、すなわち、10重量%および25重量%の値を含まないことが好ましい。更に、本明細書中で用いられる“安定剤の量”とは、複数の安定剤を組合せた全体量も含まれることを申し添える。前記10〜25重量%の量は、例えば、10%のドデシル硫酸ナトリウムと10%のポリソルベート80とから構成されてもよい(実施例2参照)。
【0031】
本発明において用いられる“安定剤”という用語は、エマルジョンを安定化することのできる任意の物質を含んでもよい。これらの物質は、界面活性物質、すなわち、界面活性剤であることが好ましい。
【0032】
別の一局面において、本発明は、前述した工程からなるナノ粒子を製造する方法を提供する。
【0033】
本発明者等は、本発明のナノ粒子中に取り込まれる安定剤または界面活性剤のできる限り最も広い範囲が、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて、10〜25重量%であることを見出した。この範囲は、評価した全ての安定剤(界面活性剤)に当てはまる。この範囲が、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて、10重量%以下である場合、十分な量におけるナノ粒子の生理学的障壁の通過が十分でないことを示す実験結果により、説明することができる。一方、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて、25重量%以上用いた場合、容認し難い多量の安定剤(界面活性剤)が、患者の体内に送達されてしまう。
【0034】
更に、25重量%以上の安定剤が、重合工程自体の不要な開始を引き起こしてしまうことが判明した。この不都合な事情の結果として、粒子が塊になってしまうため、区別できるナノ粒子が形成されない。
【0035】
本明細書中で用いられる“反応系”という用語は、前記定義したミニエマルジョンを形成するという要件を満す、任意の環境と定義される。
【0036】
前述のとおり、前記ミニエマルジョンを調製するためには、例えば、Landfester et al(前記)により開示された既知のエマルジョン技術を用いることができる。この方法は、例えば、まず、モノマー、油相、水相および安定剤(以下で定義する)を組合せて行ってもよい。更に、前記水相は、例えば、適切なpH値にセッティングするための塩酸またはリン酸等の成分を含んでいてもよいことを申し添える。次に、すべての成分を混合するために、前記反応系を、例えば、ホモジナイザー等により混合してもよい。
【0037】
前記ミニエマルジョンの調製自体は、前記反応系に、例えば、超音波ホモジナイザーおよび高圧ホモジナイザーにより強力なせん断力を適用して行う。更に、前記せん断力は、前記反応系のサイズと使用する前記ホモジナイザーに応じ、2〜5分の範囲の時間で適用してもよい。基本的に、3〜4分の範囲の時間で十分であると認識される。
【0038】
前記超音波ホモジナイザーは、約60〜100%の振幅(amplitude)、好ましくは、約70〜90%の振幅を有し得る。
【0039】
この工程で用いられる温度は、好ましくは、−1〜5℃、好ましくは、0℃である。
【0040】
一般的に、前記油相と水相の重量比は、15〜40%w/wの範囲、好ましくは、20〜30%w/wの範囲、より好ましくは、約25%w/wである。
【0041】
前記ミニエマルジョンを調製した後、例えば、単に前記pHをpH7.0等の値に増加させることにより前記重合工程を開始する。この方法は、前記反応系においてPBCAモノマーを用いる場合はいつでも行うことができる。そして、前記pHの増加は、例えば、十分な量の炭酸カリウム(KCO)を前記反応系に加えることにより、または前記調製したミニエマルジョンを、0.5M アンモニア(NH)水溶液、0.1M Tris−塩基性水溶液、または0.1M 水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液からなる塩基性溶液中に注ぐことにより行う。
【0042】
本発明のナノ粒子は、好ましくは、50〜500nmの範囲、より好ましくは、200〜300nmの範囲の直径を有する(例えば、図2参照)。一方で、高いモル濃度のリン酸(HPO)水溶液をミニエマルジョンの調製に用いた場合、粒子径が小さくなることが観察される。
【0043】
本発明において、驚いたことに、前記ミニエマルジョン法により調製されたナノ粒子が、予期しなかった特徴と利点を有していることが判明した。第一に、前述のとおり、前記製造方法による収率は、従来の製造方法と比較して非常に高い。更に、本発明の方法により製造されたナノ粒子は、その表面に医薬品を結合する改善された能力を有していることが判明した。驚いたことに、この効果は、含まれる医薬品(または、薬物)の特徴とは独立して現れた。
【0044】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本発明の前記ナノ粒子の三次元構造は、前記ナノ粒子への薬物分子のより安定的な付着を可能にすると推測される。顕微鏡による評価により、ナノ粒子の表面は、滑らかでも均一でもなく、その表面は、クリュー様構造(crew−like structure)であることが明らかになった。このクリュー様構造が、物理的または化学的挙動とは独立して、前記ナノ粒子への薬物分子の結合を促進するというのが、本発明者らの見解である。
【0045】
しかしながら、前記少なくとも一つの医薬品が、必ずしも前記ナノ粒子上にコーティングされなければならないわけではないことも述べておかなければならない。工程a)において、前記医薬品を先に加えておくことで、前記医薬品を前記ナノ粒子中に取り込むことも可能である。このことは、医薬品ならびにその化学的および/または物理的特性に依存する。この場合において、前記二つの相中に、前記医薬品を導入することが好ましい。脂溶性の医薬品は、O型液相に取り込まれ、水溶性の医薬品は、W型液相中に導入されることが好ましい。両方の取り組みを併用すること、すなわち、工程a)において、医薬品を加え、調製後のナノ粒子上に医薬品をコーティングすることも可能である。
【0046】
好ましい実施形態によれば、前記安定剤は、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて、12〜23の量、より好ましくは、15〜20重量%の量で添加される。
【0047】
更なる実施形態によれば、更に、投与後に哺乳動物の体内または体外の標的に前記ナノ粒子の輸送を可能にするために、前記ナノ粒子に媒質を加える工程d)を行う。より好ましくは、前記工程d)は、薬学的組成物の形成において前記ナノ粒子を供給する。
【0048】
前記薬学的組成物は、投与後に哺乳動物、好ましくは、ヒトの体内の標的に前記ナノ粒子の輸送を可能にする生理学的に許容可能な担体および/または希釈液を含む。前記担体および/または希釈液は、水、塩および/または緩衝液を含む生理学的に許容可能な水溶液、並びに哺乳動物への投与のために許容可能な任意の他の溶液からなる群から選択されることが好ましい。前記担体および希釈液は、この分野の当業者にとって周知であり、蒸留水、脱イオン水、純水、超純水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含み、かつ薬物送達システム等における他の成分と相性のよい通常の緩衝液を含む溶液を含む。
【0049】
in vivoにおいてナノ粒子を用いるために、一般的な生理食塩水またはリン酸緩衝水溶液を用いて生理学的なpHおよび浸透圧で、前記ナノ粒子を懸濁液に再構成してもよい。
【0050】
典型的には、前記ナノ粒子は、注射可能な懸濁液中に0.1mgナノ粒子/ml懸濁液〜100mgナノ粒子/ml懸濁液の範囲の濃度で存在する。前記濃度は、10mgナノ粒子/mlが好ましい。用いられる前記ナノ粒子の量は、個々のナノ粒子に含まれる前記医薬品の量に強く依存し、熟練者または医師であれば、特定の状況に応じて、前記ナノ粒子の用量をあらかじめ適合させることができるであろう。
【0051】
その他、前記薬学的組成物は、前記本発明の送達媒体を輸送し、別の生理学的障壁、例えば、血液空気関門を通過させるために必要な別の形態をとってもよい。従って、前記薬学的組成物は、吸入により前記組成物を問題の障壁に送達するために、例えば、エアロゾル等の形態を有していてもよい。
【0052】
前記薬学的組成物は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、肺または直腸投与用の薬物の形態を取ることが好ましく、経口または静脈内投与用の薬物の形態をとることがより好ましい。
【0053】
本発明の方法において、医薬品を用いて前記ナノ粒子をコーティングする工程は、好ましくは、前記少なくとも一つの医薬品の溶液とともに前記ナノ粒子を混合する工程と、前記少なくとも一つの医薬品の有効量が前記ナノ粒子表面および/または内部に吸収されるために十分な時間放置する工程とを含む。
【0054】
本発明の方法において用いられる前記油相は、好ましくは、オリーブ油、ミグリオール、ダイズ油および/または、ヘキサデカン、n−ヘキサン、流動パラフィン、ビタミンEまたはトリグリセリドの脂肪酸エステルから選択される疎水性物質を含む。前記疎水性物質の量は、通常、相対的に少量であり、オストワルド熟成を妨げるのに十分である(前記油相(更に前記モノマーを含む)の全重量に基づいて約2〜20%w/w)。
【0055】
前記重合可能なモノマーは、ポリマー材料を形成するために用いられ、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、好ましくは、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリアリールアミド、ポリラクテート、ポリグリコレート、ポリアンハイドレート、ポリオルトエステル、ゼラチン、ポリサッカライド、アルブミン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリアクロレイン、ポリグルタルアルデヒド、並びにそれらの誘導体、コポリマーおよび混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0056】
好ましいポリマー材料は、固体またはフィルム状のポリマー、好ましくは、ポリアルキルシアノアクリレート、より好ましくは、ポリブチルシアノアクリレート、ポリ乳酸、ポリ酪酸並びにそれらの混合物および誘導体を含んでいる。
【0057】
本発明において用いられる(生産される)前記ポリマー材料は、生分解性であることが好ましい。この用語は、生体内での使用に適している、すなわち、生物学的に不活性で、生理学的に許容可能で、無毒であることが知られている合成または天然由来のポリマー材料を示している。そして、本発明の前記送達システムでは、前記生分解性ポリマーは、使用環境において生分解され、すなわち、生体に吸収され得る。
【0058】
ナノ粒子を形成するのに用いられ得るさらなる生分解性ポリマーは、ポリグリコライドおよびポリ乳酸ポリグリコライドコポリマー(PLGA)等のポリエステル;ヒドロキシ終端化ポリ(ε−カプロラクトン)−ポリエーテル、またはポリカプロラクトン(PCL)等のポリエーテル;ポリアンヒドリド;ポリアクリルアミド;ポリ(オルトエステル);ポリアミノ酸;および生分解性ポリウレタン等を含むが、これらに限定されない。ポリマーという前記用語は、コポリマーおよびオリゴマーを含むと解釈するべきである。
【0059】
一実施形態において、工程a)で供給される前記安定剤は、少なくとも一つの下記の物質:
グリセロール、ソルビトールおよび他の一価、または多価アルコールの脂肪酸エステル、好ましくは、ベンジルアルコール、グリセロールモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステルまたはソルビタンモノオレイン酸エステル;ポリサッカライド、ベンジルベンゾエート、ポリエチレングリコール(PEG200、300、400、500、600)、ポリエチレングリコールヒドロキシステアリン酸エステル、好ましくは、ソルトール HS 15(Solutol HS 15);ポロキサミン(poloxamine)、好ましくは、ポロキサミン904、908または1508;ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル;エトキシトリグリセリド;エトキシフェノールおよびエトキシジフェノール;ポリオキシルカストール油(polyoxyl castor oil)、好ましくは、クレモフォール ELP(Cremophor ELP);レシチン(lecithin)、脂肪酸の金属塩、脂肪族アルコール硫酸エステルの金属塩;およびスルフォサクシネートの金属塩;好ましくは、ポリソルベート、より好ましくは、ポリソルベート20、60、およびもっとも好ましくは、ポリソルベート80;好ましくは、ポロクサマー(poloxamer)、より好ましくは、ポロクサマー188、338または407;好ましくは、ポリオキシエチレングリコール、より好ましくは、ルテンゾール50または80;アニオン性界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム;および前記物質の少なくとも2つの混合物を含む。
【0060】
これらの安定剤(または、界面活性剤)のすべての分子構造は、その特性において類似していることを申し添える。
【0061】
前記ナノ粒子をコーティングするのに用いる前記少なくとも一つの医薬品は、治療薬および診断薬から選択される。
【0062】
前記治療薬は、送達媒体または担体なしでは生理学的障壁を通過できない物質から選択されることが好ましい。前記生理学的障壁は、限定はしないが、血液脳関門(bbb)、血液空気関門、血液脳脊髄液関門および頬粘膜からなる群から選択されることが好ましい。加えて、前記少なくとも一つの治療薬は、中枢神経系活性を有するが送達媒体なしでは血液脳関門を通過し得ない治療薬であってもよい。
【0063】
本明細書中では、“薬物”と“治療薬”は、交換的に用いられる。
【0064】
好ましい実施形態によれば、本発明の前記送達媒体は、シナプス部位およびニューロエフェクタージャンクション部位に活性を有する薬物;全身麻酔剤および局所麻酔剤;催眠剤および鎮痛剤;うつ病および総合失調症等の精神病学的異常の治療用の薬物;抗てんかん薬および抗痙攣薬;パーキンソン病、ハンチントン病、老化およびアルツハイマー病治療のための薬物;興奮性アミノ酸拮抗薬、神経栄養因子および神経再生薬;栄養性因子;CNS外傷または発作治療を意図した薬物;耽溺性および薬物濫用治療のための薬物;抗肥満薬;オータコイドおよび抗炎症薬;寄生的な感染症および微生物により引き起こされる疾病のための化学療法薬;免疫抑制剤および抗がん剤;ホルモンおよびホルモン拮抗薬;重金属および重金属拮抗薬;非金属性毒素のための拮抗薬;ガン治療のための細胞分裂阻害剤;核医学において用いるための診断物質;免疫活性剤および免疫反応性剤;トランスミッターおよび前記トランスミッターそれぞれのレセプター作用薬およびレセプター拮抗薬、前記トランスミッターそれぞれの前駆物質および代謝物質;輸送体阻害剤;抗生物質;鎮痙薬;抗ヒスタミン薬;吐き気止め薬;弛緩薬;興奮薬;センスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド;脳血管拡張薬;向精神薬;抗そう病薬;血管拡張薬および血管収縮薬;降圧薬;偏頭痛治療薬;催眠薬、高血糖薬および低血糖薬;抗喘息薬;抗ウイルス薬、好ましくは、抗HIV薬;疾病のDNA治療、si−RNA治療またはアンチセンス治療に適した遺伝子材料;およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの治療薬を含む。
【0065】
本願の明細書において用いられる“DNA”という用語は、基本的には、現在の技術分野において考えられうる任意のDNAに言及する。好ましい実施形態によれば、前記“DNA”という用語は、2種類のDNA、すなわち、プラスミドDNA、より好ましくは、腫瘍抑制遺伝子の情報を含むプラスミドDNA、更に好ましくは、腫瘍抑制遺伝子p53およびpRBの情報を含むプラスミドDNA、およびもう一つはアンチセンスオリゴヌクレオチド、より好ましくは、ガン遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、更に好ましくは、Bcl2等のガン遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むことを意味する。本発明において、一種類のDNA(結果として、1種類のDNAを取り込んだナノ粒子)を用いてもよいし、本発明において用いることができる別々の種類のDNAを取り込んだ複数種のナノ粒子を用いた結果として、二種類以上のDNAを用いてもよい。
【0066】
驚いたことに、DNAおよび、特に前記2種類のDNAは、ナノ粒子上に吸収され得る。その結果として生じるDNA−ナノ粒子複合体を、組織、特にガン(特に、限定されないが、脳腫瘍)を患っている組織中に接種することができる。その後、腫瘍増殖の抑制が観られ、腫瘍壊死およびアポトーシスが引き起こされ得る。
【0067】
本発明の本質的ではない好ましい実施形態において、プロモーターを含むプラスミドDNA、より好ましくは、誘導プロモーターを含むプラスミドDNAは、前記ナノ粒子上に取り込まれ得る。前記誘導プロモーターを含むDNAを前記ナノ粒子上に取り込み、細胞内で誘導プロモーターを発現させる新規工程により、関連する遺伝子の発現の外部制御を達成し、前記遺伝子のオン−オフを自在に切り替え得る。従来技術からは予期しなかった利点として、遺伝子/DNA発現のタイミングを制御できることがあげられる。制御できることにより、持続的な遺伝子の発現による有毒な副作用を減少させ、および/またはネガティブ選択(negative selection)の発生により、細胞が遺伝子産物への抵抗性を持つようになる可能性を低減することができる。
【0068】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヒトのパピローマウイルスの調節領域(HPV−URR)を、誘導プロモーターとして用いる。腫瘍抑制因子の発現は、デキサメタゾン(Dexamethasone)または他の誘導物質もしくは化合物の投与後に誘導される。そのようにして、腫瘍細胞のアポトーシスおよび腫瘍の退行を達成することができる。本発明において用いることのできる他の典型的なプロモーターは、サイトメガリアウイルス(cytomegalia virus、CMV)プロモーターまたはシミアンウイルス40(SV40)プロモーターである。
【0069】
更に、腫瘍縮小を含む強力な効果は、一種類のDNAを含む一種類または複数種類のナノ粒子、および細胞増殖抑制効果を有する物質を一種類または複数種類含むナノ粒子を組合せて投与することにより達成することができる。
【0070】
好ましい実施形態によれば、腫瘍抑制DNAを、細胞増殖抑制効果を有する化合物を含むナノ粒子複合体の接種に先立って、更に好ましくは、誘導プロモーターの後に、注入してもよい。更に好ましい実施形態によれば、前記細胞増殖抑制効果を有する化合物は、ドキソルビシン(Doxorubicine)である。
【0071】
なお、細胞へのDNAのトランスフェクション法、およびヒトまたは動物の体内の標的臓器にDNAを投与する方法において、その第1工程として、前述の方法によるナノ粒子の調製を含む。
【0072】
更なる情報は、WO2004/017945号パンフレットに明確に言及され、その内容は、本明細書中に全体として取り込まれている。
【0073】
更に、典型的な活性成分(例えば、薬物)は、神経系に影響する任意の物質、または前記神経系の診断テストに用いられる物質であってもよい。これらについては、Gilman et al. (1990), “Goodman and Gilman’s − The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Pergamon Press, New Yorkに記載されており、下記の薬物を含む。
アセチルコリンおよび合成コリンエステル、天然由来のコリン作用性アルカロイドおよびその合成同属体、抗コリンエステラーゼ薬、神経節刺激薬、アトロピン、スコポラミンおよび関連する抗ムスカリン薬類、カテコールアミンならびにエピネフリン、ノルエピネフリンおよびドパミン等の交換神経刺激薬、アドレナリン作用薬、アドレナリン受容体拮抗薬、GABA、グリシン、グルタミン酸塩、アセチルコリン、ドパミン、5−ヒドロキシトリプタミンおよびヒスタミン、向神経活性ペプチド等のトランスミッター;オピオイド系鎮痛薬等の鎮痛薬および麻酔薬並びに拮抗薬;ベンゾジアゼピン類、バルビツール酸類、抗ヒスタミン薬、フェノチアジンおよびブチルフェノン等の麻酔前投薬および麻酔薬;オピオイド;制吐剤;アトロピン、スコポラミンまたは、グリコピロレート等の抗コリン薬;コカイン;クロラール誘導体;エトクロルビノール;グルテチミド;メチプリロン;メプロバメート;パーアルデヒド;ジスルフィラム;モルヒネ、フェンタニルおよびナロキソン;フェノチアジン、チオキサンチンおよび他のヘテロ環化合物(例えば、ハルペリオドール(halperiodol))等の精神病用薬;デシミプラミンおよびイミプラミンのような三環系抗うつ薬;異型性抗うつ薬(例えば、フルオキセチンおよびトラゾドン)、イソカルボキサジド等のモノアミンオキシダーゼ阻害剤;リチウム塩;クロルジアゼポキシドおよびジアゼパム等の抗不安薬;ヒダントインを含む抗てんかん薬、抗痙攣薬、バルビツール酸類、イミノスチルビン(例えば、カルバマゼピン)、サクシニミド、バルプロ酸、オキサゾリジンジオンおよびベンゾジアゼピン、L−DOPA/CARBIDOPA、アポモルヒネ、アマタジン、エルゴリン、セレギリン、ロピノロール、ブロモクリプチンメシレートおよび抗コリン薬等の抗パーキンソン病薬;バクロフェン、ヂアゼパムおよびダントロレンのような抗痙攣薬;興奮性アミノ酸拮抗薬等の神経保護薬、神経栄養因子および脳由来の神経栄養因子、繊毛様神経親和性因子、または神経成長因子;ニューロトロフィン(NT)3(NT3);NT4およびNT5;ガングリオシド;神経再生薬;オピオイド拮抗薬および抗うつ薬を含む耽溺性および薬物濫用治療のための薬物;ヒスタミン、ブラジキニン、カイリジンおよび前記それぞれの作用薬および拮抗薬等のオータコイドおよび抗炎症薬;寄生的な感染症および微生物による疾病のための化学療法薬;アルキル化薬(例えば、ニトロソ尿素)を含む抗がん剤および代謝拮抗物質;ナイトロジェンマスタード、エチレンアミンおよびメチルメラミン;アルキルスルホン酸;葉酸類似体;ピリミジン類似体、プリン類似体、ビンカアルカロイド;フェンジメトラジン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、シブトラミン等の抗肥満薬;ならびに抗生物質
【0074】
好ましい実施形態によれば、前記診断薬は、核医学および放射線治療の分野の診断における有用な診断薬からなる群から選択される。
【0075】
本発明の方法の一実施形態において、工程c)後に、前記安定剤を、前記ナノ粒子から少なくとも部分的に除去する工程を含むことが好ましい。ただし、本発明の工程a)において示した通り、10〜25重量%の範囲が観測されなければならない。
【0076】
前記追加工程は、透析または遠心分離により行われることが好ましい。驚いたことに、前記安定剤は、前記製造方法自体においては必要とされるが、前記最終のナノ粒子が形成された後には、少なくとも部分的に除去されるのがよいことが判明した。言い換えれば、“過剰な”安定剤は、前記ナノ粒子の安定性を維持するのに必要ではなく、in vivoでの適用において潜在的なリスクを引き起こしかねないため、除去しておくのがよい。in vivoでのリスクを低減するためには、前記ナノ粒子中における前記安定剤の量は、可能である最低限の量が望ましいと想定される。ただし、前記量が少な過ぎると、前記生理学的障壁を通過するナノ粒子の能力を妨げることになる。
【0077】
第2の局面において、本発明は、前述した方法により得られるコーティングされたナノ粒子、または薬学的組成物を提供する。
【0078】
前記コーティングされたナノ粒子、または前記薬学的組成物は、少なくとも一つの生理学的障壁、特に血液脳関門を通過する医薬品を必要とする疾病および状態の治療用薬物を製造するために用いられ得る。
【0079】
本明細書中で言及した、すべての刊行物、特許出願、特許および他の文献は、参照することにより、全体として取り込まれている。抵触する場合には、定義を含み、本願明細書が支配する。加えて、材料、方法および実施例は、説明のためであって、限定することを意図しない。
【0080】
本発明を添付の図面によりさらに例示する。
図1は、前記ミニエマルジョン重合技術を示す図である。
図2は、本発明に従って製造されたナノ粒子の写真である。
図3は、実施例1において製造された前記ナノ粒子の粒子径分布の一例である。
図4は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)により安定化されたポリブチルシアノアクリレートナノ粒子に取り込まれた異なる量のポリソルベート80(1.4%、2.5%、5%、7.5%および10%)を示す。得られたナノ粒子懸濁液の粒子径を、光子相関分光法により測定した。得られたナノ粒子懸濁液の粒子径と、ポリソルベート80の取り込まれた量との関係を示す。
図5は、純粋なFITC−標識されたナノ粒子(本発明に従っていない)を静脈内注射した後のラットの脳組織凍結切片(cryostatic slides)を示す。
図6は、取り込まれたポリソルベート80を含むFITC−標識されたSDS−ナノ粒子(本発明に従った)を静脈内注射した後のラットの脳組織凍結切片(cryostatic slides)を示す。
図7は、取り込まれたポリソルベート80を含むFITC−標識されたナノ粒子(本発明に従った)を静脈内注射した後のラットの脳組織凍結切片(cryostatic slides)を示す。
【実施例】
【0081】
[実施例1]ミニエマルジョン法を用いたSDS安定化ポリブチルシアノアクリレートナノ粒子中へのポリソルベート80の取り込み
【0082】
2種類の別々の溶液を調製する。
【0083】
溶液1:
10mlフラスコ(PP)に、2.4mlの塩酸(0.1moll−1)を加える。つづいて、この溶液に、0.06gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および30mgのポリソルベート80を加える。得られた溶液を、透明な溶液が形成されるまで攪拌する。
【0084】
溶液2:
5mlフラスコに、32.3μLのヘキサデカン、および545.5μL(0.6g)のn−ブチル−α−シアノアクリレート(インダーミル(登録商標))を加える。前記フラスコを、均質な溶液が形成されるまで転倒混和する。
【0085】
前記溶液1に前記溶液2を加え、得られた懸濁液を2分間超音波処理すること(振幅の70%、0℃)により、ただちにミニエマルジョンが形成される。つづいて、2.4mlの水酸化ナトリウム水溶液(0.1moll−1)(10mlフラスコ)中に、前記ミニエマルジョンを加えて、pHの値を1から7に急速に変えることにより前記モノマー滴の重合が開始される。つづいて、前記得られた懸濁液を5分間攪拌する。前記ナノ粒子懸濁液は、111.8mg/mlの固体成分、および118.4±0.7nmの平均粒子径(光子相関分光法)を有する。
【0086】
[実施例2]ミニエマルジョン法を用いたSDS安定化ポリブチルシアノアクリレートナノ粒子中へのポリソルベート80およびFITC−デキストランの取り込み
【0087】
2種類の別々の溶液を調製する。
【0088】
溶液1:
10mlフラスコ(PP)に、2.4mlの塩酸(0.1moll−1)を加える。つづいて、この溶液に、0.06gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、60mgのポリソルベート80、および9.0mgのフルオレセインイソチオシアネート−デキストラン77.000(FITC−デキストラン)を加える。得られた溶液を、透明な溶液が形成されるまで攪拌する。
【0089】
溶液2:
5mlフラスコに、32.3μLのヘキサデカン、および545.5μL(0.6g)のn−ブチル−α−シアノアクリレート(インダーミル(登録商標))を加える。前記フラスコを、均質な溶液が形成されるまで転倒混和する。
【0090】
前記溶液1に前記溶液2を加え、得られた懸濁液を2分間超音波処理すること(振幅の70%、0℃)により、ただちにミニエマルジョンが形成される。つづいて、2.4mlの水酸化ナトリウム水溶液(0.1moll−1)(10mlフラスコ)中に、前記ミニエマルジョンを加えて、pHの値を1から7に急速に変えることにより前記モノマー滴の重合が開始される。つづいて、前記得られた懸濁液を5分間攪拌する。つづいて、得られた標識されたナノ粒子を、結合しなかった可能性のあるFITC−デキストランおよび過剰の安定剤を除去するために透析(10回)する。前記ナノ粒子懸濁液は、28.9mg/mlの固体成分、および258.4±7.0nmの平均粒子径(光子相関分光法)を有する。
【0091】
つづいて、得られた前記ナノ粒子懸濁液を、in vivo実験用に、0.9%の塩化ナトリウム溶液で希釈(1:1)した。
【0092】
[実施例3]ミニエマルジョン法を用いたポリブチルシアノアクリレートナノ粒子中へのポリソルベート80およびFITC−デキストランの取り込み
【0093】
2種類の別々の溶液を調製する。
【0094】
溶液1:
50mlフラスコに、0.0338g(1.5%)のフルオレセインイソチオシアネート77.000(FITC−デキストラン)、および0.513g(22.75%)のTween80を加える。つづいて、9mlのリン酸(0.8mol/l)を加える。得られた溶液を、透明な溶液が形成されるまで30分間攪拌する。
【0095】
溶液2:
10mlフラスコに、0.09g(4%)のダイズ油を加える。つづいて、2.050ml(2.255g)のn−ブチル−α−シアノアクリレート(インダーミル(登録商標)、4℃に冷却)を加える。得られた溶液を、ピペットを用いて混和する。
【0096】
前記溶液1に前記溶液2を加え、得られた懸濁液を4分間超音波処理すること(振幅の70%、0℃、Titanplate TT 13)により、ただちにミニエマルジョンが形成される。つづいて、9mlのアンモニア水溶液(0.5moll−1)(50mlフラスコ)中に、前記ミニエマルジョンを加えてpHの値を1から7に急速に変えることにより前記モノマー滴の重合が開始される。つづいて、前記得られた懸濁液を5分間攪拌する。前記pHの値は、pH計を用いて確認した。アンモニア溶液を、pH値が7になるように加える。前記ナノ粒子懸濁液は、97.46mg/mlの固体成分、および151nm±1.31(PDI 0.244)の平均粒子径(光子相関分光法)を有する。透析(27回)後のナノ粒子懸濁液は、143nm±1.0(PDI 0.232)の平均粒子径(光子相関分光法)を有する。取り込まれたFITC−デキストランの量を、UV分光法を用いて、33.98%(11.48mg)と決定した。
【0097】
実施例3の手順に続く追加選択的な仕様は、
1. Tween80:20%、ダイズ油:4.2%、0.8M HPO、0.5M NH、粒子径:120nm、PDI:0.14、固体成分:100mg/ml
2. Tween80:20%、ダイズ油:4.0%、1M HPO、0.5M NH、粒子径:140nm、PDI:0.19、固体成分:110mg/ml
3. Tween80:22.75%、ダイズ油:4.0%、0.8M HPO、0.1M Tris−塩基性(Tris−Base)、粒子径:120nm、PDI:0.15、固体成分:40mg/ml
4. Tween80:20%、ダイズ油:4.2%、1M HPO、0.1M Tris−塩基性(Tris−Base)、粒子径:125nm、PDI:0.13、固体成分:45mg/ml
である。
【0098】
つづいて、前記得られたナノ粒子懸濁液を、in vivo実験用に、0.9%の塩化ナトリウム溶液で希釈した。
【0099】
[比較例]ミニエマルジョン法を用いたSDS安定化ポリブチルシアノアクリレートナノ粒子中へのFITC−デキストランの取り込み
【0100】
2種類の別々の溶液を調製する。
【0101】
溶液1:
10mlフラスコ(PP)に、2.4mlの塩酸(0.1moll−1)を加える。つづいて、この溶液に、0.06gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および9.0mgのフルオレセインイソチオシアネート−デキストラン77.000(FITC−デキストラン)を加える。得られた溶液を、透明な溶液が形成されるまで攪拌する。
【0102】
溶液2:
5mlフラスコに、32.3μLのヘキサデカン、および545.5μL(0.6g)のn−ブチル−α−シアノアクリレート(インダーミル(登録商標))を加える。前記フラスコを、均質な溶液が形成されるまで転倒混和する。
【0103】
前記溶液1に前記溶液2を加え、得られた懸濁液を2分間超音波処理すること(振幅の70%、0℃)により、ただちにミニエマルジョンが形成される。つづいて、2.4mlの水酸化ナトリウム水溶液(0.1moll−1)(10mlフラスコ)中に前記ミニエマルジョンを加えてpHの値を1から7に急速に変えることにより前記モノマー滴の重合が開始される。つづいて、得られた懸濁液を5分間攪拌する。つづいて、得られた標識されたナノ粒子を、結合しなかった可能性のあるFITC−デキストランおよび過剰の安定剤を除去するために、透析(10回)する。前記ナノ粒子懸濁液は、25.2mg/mlの固体成分、および230.9±9.8nmの平均粒子径(光子相関分光法)を有する。
【0104】
つづいて、前記により得られたナノ粒子懸濁液を、in vivo実験用に、0.9%の塩化ナトリウム溶液で希釈(1:1)した。
【0105】
In Vivo実験
【0106】
[実施例5]
グループあたりのラット数:2
【0107】
グループ1:純粋な500μlのFITC−標識されたSDS−ナノ粒子(実施例4)の静脈内注射
グループ2:取り込まれたポリソルベート80を含む500μlのFITC−標識されたSDS−ナノ粒子(実施例2)の静脈内注射
【0108】
前記標識されたナノ粒子の静脈内注射の45分後、ラットを、イソフルランを用いて麻酔し、首を骨折させて殺した。その脳を取り出し、液体窒素中で保管した。凍結切片(Cryostatic slices)(15μm)を調製し、蛍光顕微鏡を用いて観察した(図5および6参照)。
【0109】
結果:
図5は、in vivoにおいて、純粋なFITC−標識されたSDS−ナノ粒子を注射した後のラットの脳組織を示す。前記脳組織では、脳内に前記標識されたナノ粒子が輸送されたことに由来する蛍光が見られなかった。対照的に、図6は、in vivoにおいて取り込まれたポリソルベート80を含むFITC−標識されたSDS−ナノ粒子を注射した後のラットの脳組織において、顕著な蛍光をはっきり示している。ナノ粒子の製造工程において、所定量の安定剤(この場合においては、ポリソルベート80)が取り込まれることにより、界面活性剤コーティングを必要とせずに、ナノ粒子は、ラットの脳内の血液脳関門を通過し、顕著に輸送されると結論付けることができる。
【0110】
[実施例6]
グループあたりのラット数:1
【0111】
グループ:取り込まれたポリソルベート80を含む500μlのFITC−標識されたPBCA−ナノ粒子(実施例3)の静脈内注射
【0112】
前記標識されたナノ粒子の静脈内注射の60分後、ラットを、イソフルランを用いて麻酔し、首を骨折させて殺した。その脳を取り出し、液体窒素中で保管した。凍結切片(Cryostatic slices)(15μm)を調製し、蛍光顕微鏡を用いて観察した(図7参照)。
【0113】
結果:
図7は、in vivoにおいて、22.75%の量で取り込まれたポリソルベート80を含むFITC−標識されたPBCA−ナノ粒子を注射した後のラットの脳組織において、顕著な蛍光を示している。この結果は、ナノ粒子の製造工程において、ポリソルベート80が取り込まれることにより、ナノ粒子は、ラットの脳内の血液脳関門を通過し、顕著に輸送されるという仮定を明確に示す。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、前記ミニエマルジョン重合技術を示す図である。
【図2】図2は、本発明に従って製造されたナノ粒子の写真である。
【図3】図3は、実施例1において製造された前記ナノ粒子の粒子径分布の一例である。
【図4】図4は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)により安定化されたポリブチルシアノアクリレートナノ粒子に取り込まれた異なる量のポリソルベート80(1.4%、2.5%、5%、7.5%および10%)を示す。得られたナノ粒子懸濁液の粒子径を、光子相関分光法により測定した。得られたナノ粒子懸濁液の粒子径と、ポリソルベート80の取り込まれた量との関係を示す。
【図5】図5は、純粋なFITC−標識されたナノ粒子(本発明に従っていない)を静脈内注射した後のラットの脳組織凍結切片(cryostatic slides)を示す。
【図6】図6は、取り込まれたポリソルベート80を含むFITC−標識されたSDS−ナノ粒子(本発明に従った)を静脈内注射した後のラットの脳組織凍結切片(cryostatic slides)を示す。
【図7】図7は、取り込まれたポリソルベート80を含むFITC−標識されたナノ粒子(本発明に従った)を静脈内注射した後のラットの脳組織凍結切片(cryostatic slides)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの医薬品を含むナノ粒子の製造方法であって、
a)油相型および水相型の液相、少なくとも一つの安定剤ならびに重合可能なモノマーを含み、前記少なくとも一つの安定剤が、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて10〜25重量%の量で添加されている反応系を供給する工程と、
b)前記油相滴が前記モノマーを含むO/W型のミニエマルジョンを形成する工程と、
c)ナノ粒子を形成するために前記モノマーを重合する工程とを含み、
前記ナノ粒子に結合可能な少なくとも一つの医薬品を前記ナノ粒子に加えることで、前記少なくとも一つの医薬品によりコーティングされたナノ粒子を製造するか、または前記工程a)において、少なくとも一つの医薬品を加える製造方法。
【請求項2】
前記工程a)において、前記少なくとも一つの安定剤を、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて、12〜23の量で加える請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程a)において、前記少なくとも一つの安定剤を、前記重合可能なモノマーの全重量に基づいて、15〜20重量%の量で加える請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
投与後における哺乳動物の体内または体外の標的に対する前記ナノ粒子の輸送を可能にするために、前記ナノ粒子に媒質を加える工程d)をさらに行う請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程d)が、好ましくは、経口、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、肺または直腸投与用の薬物の形態、より好ましくは、経口または静脈内投与用の薬物の形態をとる薬学的組成物の形態で、ナノ粒子を供給する請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つの医薬品を用いて前記ナノ粒子をコーティングする工程が、前記少なくとも一つの医薬品の溶液とともに前記ナノ粒子を混合する工程と、前記少なくとも一つの医薬品の有効量が前記ナノ粒子表面および/または内部に吸収されるために十分な時間放置する工程とを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記油相が、オリーブ油、ミグリオールおよび/またはヘキサデカンを含む請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ポリマー材料が、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、好ましくは、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリアリールアミド、ポリラクテート、ポリグリコレート、ポリアンハイドレート(polyanhydrates)、ポリオルトエステル、ゼラチン、ポリサッカライド、アルブミン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリアクロレイン(polyacrolein)、ポリグルタルアルデヒド、並びにそれらの誘導体、コポリマーおよび混合物からなる群から選択される請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程a)において供給される前記安定剤が、少なくとも一つの下記物質を含む請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
ソルビトールの脂肪酸エステル、好ましくは、ソルビタンモノラウリン酸エステルまたはソルビタンモノオレイン酸エステル;ポロキサミン(poloxamines)、好ましくは、ポロキサミン904または1508;ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル;ラウリル硫酸ナトリウム;ドデシル硫酸ナトリウム;ポリソルベート;ポロクサマー;ポリオキシエチレングリコール;並びに前記物質のうち少なくとも2つの混合物
【請求項10】
前記ポリソルベートが、ポリソルベート60またはポリソルベート80である請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
前記ポロクサマーが、ポロクサマー188、338または407から選択される請求項1から10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ポリオキシエチレングリコールが、ルテンゾール50または80から選択される請求項9から11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記少なくとも一つの医薬品が、治療薬および診断薬から選択され、前記治療薬が、好ましくは、中枢神経系活性を有するが送達媒体なしでは血液脳関門を通過できない治療薬から選択され、前記診断薬が、核医学における診断および放射線治療に有用な診断薬からなる群から選択される請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
ナノ粒子の製造方法の後に、前記安定剤を、前記ナノ粒子から少なくとも部分的に除去し、好ましくは、前記除去を透析または遠心分離により行う請求項1から13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法により得られるナノ粒子または薬学的組成物。
【請求項16】
少なくとも一つの生理学的障壁、特に血液脳関門を通過する医薬品を必要とする疾病および状態の治療用薬物を製造するための請求項15記載のナノ粒子または薬学的組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−525298(P2009−525298A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552753(P2008−552753)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000920
【国際公開番号】WO2007/088066
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(507080097)ナノデル テクノロジーズ ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】