説明

虚像表示装置及び虚像表示装置の製造方法

【課題】観察者の使用中の眼への負担を軽減して、長時間の使用であっても観察者のストレスを抑えることができる虚像表示装置を提供すること。
【解決手段】虚像表示装置100では、クッション部材151を有すること、あるいは、画像表示装置11と投射光学系12との間でのシフト量を調整することで映像光軸IXの方向調整すなわち観察者PAの目線の角度調整を可能とし、これによって使用中での観察者PAの眼EYへの負担が軽減されるので、例えば虚像表示装置100を長時間に亘って使用する場合であっても観察者PAに掛かるストレスを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部に装着して使用するヘッドマウントディスプレイ等の虚像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘッドマウントディスプレイのように虚像の形成及び観察を可能にする虚像表示装置として、導光板によって表示素子からの画像光を観察者の瞳に導くタイプのものが種々提案されている(例えば特許文献1、2等参照)。
【0003】
ヘッドマウントディスプレイは、装置の小型化やデザイン性の観点から、特許文献1、2の場合に限らず、一般に多くのものが、メガネやサングラスのような形状となっている。このような構成のヘッドマウントディスプレイにおいて、形状に沿って画像光を伝搬させると、画像光が、その中心である中心光軸の方向を略水平0度とする状態で射出される。観察者は、この画像光の中心光軸の方向を目線の方向とするため、真っ直ぐ前を向いた状態で映像を観察し続けることになる。
【0004】
しかしながら、真っ直ぐ前を向いた状態において、人間の眼は、大きく見開いて観察を行う構造となっているため、観察者のまぶたに大きな負担がかかる。従って、この状態が長く続くと、観察者は眼の疲労によるストレスを感じる。ヘッドマウントディスプレイは、長時間継続しての使用が想定されるため、このようなストレスは特に問題となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−172367号公報
【特許文献2】特開2000−249969号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記背景技術の問題に鑑みてなされたものであり、観察者の使用中の眼への負担を軽減して、長時間の使用であっても観察者のストレスを抑えることができる虚像表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る虚像表示装置は、(a)画像光を形成する画像表示装置と、(b)画像表示装置から射出された画像光による虚像を形成する投射光学系と、(c1)投射光学系を通過した画像光を内部に取り込む光入射部と、(c2)光入射部から取り込まれた画像光を全反射により導く導光部と、(c3)導光部を経た画像光を外部へ取出す光射出部と、を有する(c)導光装置と、(d)導光装置を支持するフレームと、を備え、(e)導光装置から射出される画像光の映像光軸を、観察者の眼の正面に対応する正面視方向に対して傾いた方向に調整する傾斜角調整手段を有する。ここで、画像光の映像光軸とは、光射出部から射出される画像光のうち画像の中心から射出される成分の主光線に相当するものであり、画像光を観察する観察者の目線を決定するものである。また、観察者の正面視方向とは、観察者にとっての正面方向を言い、例えば観察者が真っ直ぐ座って或いは立った状態で正面を見る場合では、水平方向が正面視方向となる。この正面視方向は、導光装置を支持するフレームの形状が定まることで規定される。つまり、虚像表示装置においては、画像表示装置、投射光学系及び導光装置の相対的な配置関係や、観察者が装着する際の耳や鼻に当接する部材の位置が少なくとも導光装置を支持しているフレームによって確定する。虚像表示装置は、観察者の眼や鼻の一般的位置を想定して作製されるものであり、この想定に基づいてフレームの形状を確定させることで、上記光学部材との間で観察者にとって真っ直ぐ前を向いた状態となる方向と想定される正面視方向を確定することが可能になる。
【0008】
上記虚像表示装置では、傾斜角調整手段を有することで正面視方向を基準として映像光軸の方向についての調整すなわち観察者の目線の角度調整を可能としている。これにより、例えば観察者の目線の方向が自然と観察者にとって下方側を観察するものとなるようにすることができる。このような観察者の目線の角度調整により、正面視方向に向いた状態で観察をする場合に比べて、観察者の眼への負担を軽減できるので、長時間に亘って使用する場合であっても観察者に掛かるストレスを抑えられる。
【0009】
本発明の具体的な側面では、傾斜角調整手段が、正面視方向に対して、投射光学系の投射光軸を傾ける投射光軸調整部である。この場合、投射光学系の投射光軸を傾けることで、画像光の映像光軸の傾きを直接的に調整できる。
【0010】
本発明の別の側面では、投射光軸調整部が、投射光学系の全体を傾けることで投射光軸を傾けるとともに、導光装置の全体を傾ける。この場合、投射光学系及び導光装置が傾くことで、画像光の映像光軸の傾きが調整される。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、投射光軸調整部が、フレームのうち観察者の耳の位置に対応する部分に配置されるクッション部材である。この場合、クッション部材のサイズを調整することで、投射光学系の投射光軸の傾きを調整でき、ひいては画像光の映像光軸の傾きを簡易に調整できる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、傾斜角調整手段が、投射光学系の投射光軸と平行に延びる画像表示装置の表示中心軸を、投射光学系の投射光軸に垂直な方向にシフトさせたシフト構造である。この場合、シフト構造においてシフト量を調整することで、画像光の映像光軸の傾きを調整できる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、導光装置が、シフト構造による画像表示装置のシフト量に応じて、光入射部、導光部及び光射出部の有効領域を調整している。この場合、導光装置において、画像表示装置からの画像光を、導光装置において確実に伝搬させることができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、投射光学系の投射光軸が延びる方向は、正面視方向に沿っている。この場合、例えば観察者が眼鏡を装着した状態を想起すると、通常の設計において眼鏡のテンプルは正面視方向に略沿って延びるものとなっていると考えられる。従って、投射光学系の投射光軸が眼鏡のテンプルにほぼ沿って延びるものにでき、装置の小型化が図れ、また、デザイン性を高いものにできる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、傾斜角調整手段が、光射出部における画像光を外部へ取出すための反射面を有し、当該反射面の角度を調整する画像取出面調整構造である。この場合、反射面の角度を調整することで、画像光の映像光軸の傾きを調整できる。
【0016】
本発明のさらに別の側面では、傾斜角調整手段が、光射出部における画像光を外部へ取出すための反射面を有し、当該反射面の領域が、画像光の映像光軸を傾ける方向に対応して導光装置の光透過領域の周辺側に偏って配置されている。この場合、光射出部において、所望の角度で映像光軸を傾けた画像光を確実に射出させることができる。
【0017】
本発明のさらに別の側面では、傾斜角調整手段が、正面視方向に対して、画像光の映像光軸を観察者にとっての下方側に対応する俯瞰方向に傾ける。この場合、観察者の目線の方向を、正面視方向よりも下方側を観察する俯瞰方向となるようにする、言い換えると、見下ろすような角度で観察させるようにすることができる。
【0018】
本発明のさらに別の側面では、傾斜角調整手段が、正面視方向に対して、画像光の映像光軸の傾斜角度を7度以上傾ける。この場合、観察者の眼への負担が軽減されるのに必要な程度に観察者の目線の角度が自然と下がるようにできる。
【0019】
本発明のさらに別の側面では、導光部が、互いに平行に配置され全反射による導光を可能にする第1反射面と第2反射面とを有し、光入射部が、第1反射面に対して所定の角度をなす第3反射面を有し、光射出部が、第1反射面に対して所定の角度をなす第4反射面を有する。この場合、反射回数の異なる画像光を同時に合成して1つの虚像を形成する画像光として取り出して、光射出部越しに観察される虚像の表示サイズを大きく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の虚像表示装置を示す斜視図である。
【図2】(A)は、虚像表示装置を装着した状態を示す側面図であり、(B)は、透視図である。(C)は、比較例の図である。
【図3】(A)は、虚像表示装置を構成する第1表示装置の本体部分の平面図であり、(B)は、本体部分の正面図である。
【図4】(A)は、縦の第1方向に関する光路を展開した概念図であり、(B)は、横の第2方向に関する光路を展開した概念図である。
【図5】虚像表示装置の光学系における光路を具体的に説明する平面図である。
【図6】(A)は、液晶表示デバイスの表示面を示し、(B)は、観察者に見える液晶表示デバイスの虚像を概念的に説明する図であり、(C)及び(D)は、虚像を構成する部分画像を説明する図である。
【図7】(A)は、虚像表示装置の構造を模式的に示す図であり、(B)は、映像光軸について説明するための図であり、(C)は、映像光軸と虚像との関係について説明するための図であり、(D)は、比較例の図である。
【図8】(A)は、第2実施形態の虚像表示装置の構造を模式的に示す図であり、(B)は、映像光軸について説明するための図であり、(C)は、映像光軸と虚像との関係について説明するための図であり、(D)は、虚像表示装置の光路を模式的に示す図である。
【図9】(A)は、第3実施形態の虚像表示装置について説明するための導光部材を示す図であり、(B)は、導光部材の斜視図であり、(C)は、比較例の導光部材を示す図であり、(D)は、比較例の導光部材の斜視図である。
【図10】第3実施形態の虚像表示装置の光路を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る虚像表示装置について詳細に説明する。
【0022】
〔A.虚像表示装置の外観等〕
図1に示す本実施形態の虚像表示装置100は、眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この虚像表示装置100を装着した観察者に対して虚像による画像光を認識させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで観察させることができる。虚像表示装置100は、観察者の眼前を覆う光学パネル110と、光学パネル110等を支持するフレーム121と、フレーム121の前方のカバー部分191,192からテンプル141,142にかけての部分に付加された第1及び第2駆動部131,132とを備える。特に、フレーム121は、テンプル141,142のうち第1及び第2駆動部131,132に隣接する部分に耳用のクッション部材151,152を有している。つまり、フレーム121は、各駆動部131,132やクッション部材151,152を支持する部材でもあり、これらの部材や光学パネル110等の虚像表示装置100を構成する各部材の相対的配置関係を確定するものでもある。ここで、光学パネル110は、第1パネル部分111と第2パネル部分112とを有し、両パネル部分111,112は、中央で一体的に連結された板状の部品となっている。図面上で左側の第1パネル部分111と第1駆動部131とを組み合わせた第1表示装置100Aは、左眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。また、図面上で右側の第2パネル部分112と第2駆動部132とを組み合わせた第2表示装置100Bは、右眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。
【0023】
図2(A)等は、観察者PAが虚像表示装置100を装着した状態を左側方から見たものである。なお、右側方から見た状態は、同様であるため、図示等を省略する。図2(A)及び2(B)に示すように、虚像表示装置100が装着された状態において、装着者である観察者PAの耳EAには、耳用のクッション部材151が当たっている。これにより、通常のメガネやサングラス等を掛けた場合と比べて、虚像表示装置100は、やや前傾した状態となっている。具体的には、比較例である図2(C)に示すクッション部材151を設けない通常の虚像表示装置の場合では、上端面UEの延びる方向が水平面に対して略平行であるのに対して、本実施形態では、図2(B)に示すように、クッション部材151を設けることで、上端面UEの延びる方向が水平面に対して約7°前方に傾斜した状態となっている。
【0024】
なお、観察者PAは、虚像表示装置100に付随するイヤホンPHを併せて装着することで、映し出される画像ととともに音声を聞くことができる。
【0025】
ここで、虚像表示装置100を装着した観察者PAにとっての正面方向、つまり、例えば観察者が状態で真っ直ぐ座って或いは立った状態で正面を見る場合の水平方向を、虚像表示装置100の正面視方向SPとする。この正面視方向SPは、虚像表示装置100が作製される際に、一般的な人間の眼や鼻等の位置を想定してフレーム121の形状を確定させる、すなわち虚像表示装置100を構成する各部材の相対的な配置を定めることで規定される。虚像表示装置100によって形成される画像は、上端面UEに垂直であって観察者PAにとっての虚像表示装置100の正面FFに平行な面に沿って形成されるように設計されている。この場合、図2(C)に示す比較例のように、上端面UEが正面視方向SPに対して略平行となるように設計されていると、正面視方向SPが観察者PAの目線の方向となる。これに対して、図2(B)に示す本実施形態の一例では、図示のように上端面UEが正面視方向SPに対して約7°傾斜している、すなわち装置全体として正面視方向SPに対して傾いている。従って、観察者PAの目線が、正面視方向SPに対してやや下方の方向となる。本実施形態では、図示のように、虚像表示装置100の正面FFの中心からこの方向に延びる軸を映像光軸IXとする。詳しくは後述するが、映像光軸IXは、観察者PAの観察方向を示すものであり、虚像表示装置100から射出される画像光のうち画像の中心から射出される成分の主光線に相当するものとなっている。また、正面視方向SPと映像光軸IXとのなす角を、傾斜角ηとする。図示の場合上述の内容から、傾斜角ηは、約7度ということになる。
【0026】
なお、正面視方向SPは、上記のように、観察者PAが真っ直ぐ座って或いは立って正面を見る場合では水平方向が相当するが、虚像表示装置100は、観察者PAとともに動くため、正面視方向SPと水平方向とは常に一致するものではない。しかし、傾斜角ηの値は、観察者PAの姿勢にかかわらず一定の値となる。
【0027】
〔B.表示装置の構造〕
図3(A)及び3(B)に示すように、第1表示装置100Aは、画像形成装置10と、導光装置20とを備える。ここで、画像形成装置10は、図1における第1駆動部131に相当し、導光装置20は、図1における第1パネル部分111に相当する。なお、図1に示す第2表示装置100Bは、第1表示装置100Aと同様の構造を有し左右を反転させただけであるので、第2表示装置100Bの詳細な説明は省略する。
【0028】
画像形成装置10は、画像表示装置11と、投射光学系12とを有する。このうち、画像表示装置11は、2次元的な照明光SLを射出する照明装置31と、透過型の空間光変調装置である液晶表示デバイス32と、照明装置31及び液晶表示デバイス32の動作を制御する駆動制御部34とを有する。
【0029】
照明装置31は、赤、緑、青の3色を含む光を発生する光源31aと、光源31aからの光を拡散させて矩形断面の光束にするバックライト導光部31bとを有する。液晶表示デバイス32は、照明装置31からの照明光SLを空間的に変調して動画像等の表示対象となるべき画像光を形成する。駆動制御部34は、光源駆動回路34aと、液晶駆動回路34bとを備える。光源駆動回路34aは、照明装置31の光源31aに電力を供給して安定した輝度の照明光SLを射出させる。液晶駆動回路34bは、液晶表示デバイス32に対して画像信号又は駆動信号を出力することにより、透過率パターンとして動画や静止画の元になるカラーの画像光を形成する。なお、液晶駆動回路34bに画像処理機能を持たせることができるが、外付けの制御回路に画像処理機能を持たせることもできる。投射光学系12は、液晶表示デバイス32上の各点から射出された画像光を平行状態の光束にするコリメートレンズである。
【0030】
液晶表示デバイス32において、第1方向D1は、投射光学系12の中心を通る第1光軸AX1と、後述する導光部材21の第3反射面21cに平行な特定線とを含む縦断面の延びる方向に対応し、第2方向D2は、上記第1光軸AX1と、上記第3反射面21cの法線とを含む横断面の延びる方向に対応する。つまり、液晶表示デバイス32の位置において、第1方向D1は、縦のY方向に相当し、第2方向D2は、横のX方向に相当する。
【0031】
導光装置20は、導光部材21と光透過部材23とを接合したものであり、全体としてXY面に平行に延びる平板状の光学部材を構成している。
【0032】
導光装置20のうち、導光部材21は、平面視において台形のプリズム状部材であり、側面として、第1反射面21aと、第2反射面21bと、第3反射面21cと、第4反射面21dとを有する。また、導光部材21は、第1、第2、第3、及び第4反射面21a,21b,21c,21dに隣接するとともに互いに対向する上面21eと下面21fとを有する。ここで、第1及び第2反射面21a,21bは、XY面に沿って延び、導光部材21の厚みtだけ離間する。また、第3反射面21cは、XY面に対して45°以下の鋭角αで傾斜しており、第4反射面21dは、XY面に対して例えば45°以下の鋭角βで傾斜している。第3反射面21cを通る 第1光軸AX1と第4反射面21dを通る第2光軸AX2とは平行に配置され距離Dだけ離間している。なお、第1反射面21aと第3反射面21cとの間には、稜を除去するように端面21hが設けられている。導光部材21は、この端面21hも含めると、7面の多面体状の外形を有するものとなっている。
【0033】
上記の第1光軸AX1は、投射光学系12の中心を通る投射光軸であり、第2光軸AX2は、導光装置20から射出される画像光の中心光軸である。特に、本実施形態では、第2光軸AX2が、観察者の目線を決定する映像光軸IX(図2(B)参照)に相当するものとなっている。
【0034】
導光部材21は、第1及び第2反射面21a,21bによる全反射を利用して導光を行うものであり、導光に際して反射によって折り返される方向と、導光に際して反射によって折り返されない方向とがある。導光部材21で導光される画像について考えた場合、導光に際して複数回の反射によって折り返される横方向すなわち閉じ込め方向は、第1及び第2反射面21a,21bに垂直(Z軸に平行)で、後述するように光源側まで光路を展開した場合に、液晶表示デバイス32の第2方向D2に相当する。一方、導光に際して反射によって折り返されないで伝搬する縦方向すなわち非閉じ込め方向は、第1及び第2反射面21a,21b及び第3反射面21cに平行(Y軸に平行)で、後述するように光源側まで光路を展開した場合に、液晶表示デバイス32の第1方向D1に相当する。なお、導光部材21において、伝搬される光束が全体として向かう主導光方向は、−X方向になっている。
【0035】
導光部材21は、可視域で高い光透過性を示す樹脂材料で形成されている。導光部材21は、射出成型によって一体的に成型されたブロック状部材を本体部分20aとし、本体部分20aは、例えば熱又は光重合型の樹脂材料を成型金型内に射出させ熱硬化又は光硬化させることで形成されている。このように導光部材21は、本体部分20aを一体形成品とするが、機能的に、光入射部B1と導光部B2と光射出部B3とに分けて考えることができる。
【0036】
光入射部B1は、三角プリズム状の部分であり、第1反射面21aの一部である光入射面ISと、光入射面ISに対向する第3反射面21cとを有する。光入射面ISは、画像形成装置10からの画像光GLを取り込むための裏側又は観察者側の平面であり、投射光学系12に対向してその第1光軸AX1に垂直に延びている。第3反射面21cは、矩形の輪郭を有し、その矩形領域全体に、光入射面ISを通過した画像光GLを反射して導光部B2内に導くための全反射ミラーであるミラー層25(ミラー膜)を有する。このミラー層は、導光部材21の本体部分20aの斜面RS上にアルミ等の蒸着によって成膜を施すことにより形成される。第3反射面21cは、投射光学系12の第1光軸AX1又はXY面に対して例えば鋭角α=25°〜27°で傾斜しており、光入射面ISから入射し全体として+Z方向に向かう画像光GLを、全体として−Z方向寄りの−X方向に向かわせるように折り曲げることで、画像光GLを導光部B2内に確実に結合させる。
【0037】
導光部B2は、互いに対向しXY面に平行に延びる2平面として、光入射部B1で折り曲げられた画像光をそれぞれ全反射させる第1反射面21aと第2反射面21bとを有している。第1及び第2反射面21a,21bの間隔すなわち導光部材21の厚みtは、例えば9mm程度とされている。ここでは、第1反射面21aが画像形成装置10に近い裏側又は観察者側にあるものとし、第2反射面21bが画像形成装置10から遠い表側又は外界側にあるものとする。この場合、第1反射面21aは、上記の光入射面ISや後述する光射出面OSと共通の面部分となっている。第1及び第2反射面21a,21bは、屈折率差を利用する全反射面であり、ミラー層等の反射コートが施されていないが、表面の損傷を防止し映像の解像度低下を防止するため、表面コート層であるハードコート層CCで被覆されている。
【0038】
光入射部B1の第3反射面21cで反射された画像光GLは、まず、第1反射面21aに入射し、全反射される。次に、当該画像光GLは、第2反射面21bに入射し、全反射される。以下この動作が繰り返されることで、画像光は、全体として導光装置20の奥側の主導光方向すなわち光射出部B3を設けた+Z側に導かれる。なお、第1及び第2反射面21a,21bには反射コートが施されていないため、外界側から第2反射面21bに入射する外界光又は外光は、高い透過率で導光部B2を通過する。つまり、導光部B2は、外界像の透視が可能なシースルータイプになっている。
【0039】
光射出部B3は、三角プリズム状の部分であり、第1反射面21aの一部である光射出面OSと、光射出面OSに対向する第4反射面21dとを有する。光射出面OSは、画像光GLを観察者の眼EYに向けて射出するための裏側の平面であり、光入射面ISと同様に第1反射面21aの一部となっており、第2光軸AX2に垂直に延びている。光射出部B3を通る第2光軸AX2と光入射部B1を通る第1光軸AX1との距離Dは、観察者の頭部の幅等を考慮して例えば50mmに設定されている。第4反射面21dは、矩形の平坦面であり、第1及び第2反射面21a,21bを経て入射してきた画像光GLを反射して光射出部B3外に射出させるとともに外界光を透過させるためのハーフミラー層28を有する。つまり、このハーフミラー層28は、画像光を折り曲げる光折り曲げ用の反射膜であるとともに、光透過性を有する半透過反射膜である。ハーフミラー層(半透過反射膜)28は、導光部材21のうち第4反射面21dを構成する斜面RR上に例えば銀等による金属反射膜や誘電体多層膜を成膜することにより形成される。ハーフミラー層28の画像光GLに対する反射率は、シースルーによる外界光GL’の観察を容易にする観点で、想定される画像光GLの入射角範囲において10%以上50%以下とする。具体的な実施例のハーフミラー層28の画像光GLに対する反射率は、例えば20%に設定され、画像光GLに対する透過率は、例えば80%に設定される。
【0040】
第4反射面21dは、第1反射面21aに垂直な第2光軸AX2又はXY面に対して例えば鋭角α=25°〜27°で傾斜しており、上記ハーフミラー層28により、導光部B2の第1及び第2反射面21a,21bを経て入射してきた画像光GLを部分的に反射して全体として−Z方向に向かわせるように折り曲げることで、光射出面OSを通過させる。なお、第4反射面21dを透過した画像光の成分は、光透過部材23に入射し、映像の形成には利用されない。
【0041】
光透過部材23は、導光部材21の本体と同一の材料で構成され同一の屈折率を有し、第1面23aと、第2面23bと、第3面23cとを有する。第1及び第2面23a,23bは、XY面に沿って延びる。また、第3面23cは、XY面に対して傾斜しており、導光部材21の第4反射面21dに対向して平行に配置されている。つまり、光透過部材23は、第2面23bと第3面23cとに挟まれた楔状の部材を有するものとなっている。光透過部材23は、導光部材21と同様に、可視域で高い光透過性を示す樹脂材料で形成されている。光透過部材23は、射出成型によって一体的に成型されたブロック状部材であり、例えば熱又は光重合型の樹脂材料を成型金型内に射出させ熱硬化又は光硬化させることで形成されている。なお、光透過部材23の表面には、導光部材21と共通してハードコート層CCが施されている。
【0042】
光透過部材23において、第1面23aは、導光部材21に設けた第1反射面21aの延長平面上に配置され、観察者の眼EYに近い裏側にあり、第2面23bは、導光部材21に設けた第2反射面21bの延長平面上に配置され、観察者の眼EYから遠い表側にある。第3面23cは、接着剤によって導光部材21の第4反射面21dに接合される矩形の光透過面である。以上の第1面23aと第3面23cとなす角度は、導光部材21の第2反射面21bと第4反射面21dとのなす角度εと等しくなっており、第2面23bと第3面23cとなす角度は、導光部材21の第1反射面21aと第3反射面21cとのなす角度βと等しくなっている。
【0043】
光透過部材23と導光部材21とは、両者の接合部分及びその近傍において、透視部B4を構成している。すなわち、第1及び第2面23a,23bには、ミラー層等の反射コートが施されていないため、導光部材21の導光部B2と同様に外界光GL’を高い透過率で透過させる。第3面23cも、外界光GL’を高い透過率で透過可能であるが、導光部材21の第4反射面21dがハーフミラー層28を有していることから、第3面23cを通過する外界光GL’は、例えば20%減光される。つまり、観察者は、20%に減光された画像光GLと80%に減光された外界光GL’とを重畳させたものを観察することになる。
【0044】
〔C.画像光の光路の概要〕
図4(A)は、液晶表示デバイス32の縦断面CS1に対応する第1方向D1の光路を説明する図である。第1方向D1に沿った縦断面すなわちYZ面(展開後のY’Z’面)において、液晶表示デバイス32から射出された画像光のうち、図中一点鎖線で示す表示領域32bの上端側(+Y側)から射出される成分を画像光GLaとし、図中二点差線で示す表示領域32bの下端側(−Y側)から射出される成分を画像光GLbとする。
【0045】
上側の画像光GLaは、投射光学系12によって平行光束化され、展開された光軸AX’に沿って、導光部材21の光入射部B1、導光部B2、及び光射出部B3を通り、観察者の眼EYに対して平行光束状態で、角度φの上方向から傾いて入射する。一方、下側の画像光GLbは、投射光学系12によって平行光束化され、展開された光軸AX’に沿って、導光部材21の光入射部B1、導光部B2、及び光射出部B3を通り、観察者の眼EYに対して平行光束状態で、角度φ(|φ|=|φ|)の下方向から傾いて入射する。以上の角度φ,φは、上下の半画角に相当し、例えば6.5°に設定される。なお、図示のように、光軸AX’に対応する第1光軸AX1との関係から、映像光軸IXの延びる方向と光軸AX’の延びる方向とが一致している。つまり、眼EYの向く方向は、正面視方向SPに対してやや下方となっている。
【0046】
図4(B)は、液晶表示デバイス32の横断面CS2に対応する第2方向(閉じ込め方向又は合成方向)D2の光路を説明する図である。第2方向D2(閉じ込め方向又は合成方向)に沿った横断面CS2すなわちXZ面(展開後のX’Z’面)において、液晶表示デバイス32から射出された画像光のうち、図中一点鎖線で示す表示領域32bに向かって右端側(+X側)の第1表示点P1から射出される成分を画像光GLcとし、図中二点差線で示す表示領域32bに向かって左端側(−X側)の第2表示点P2から射出される成分を画像光GLdとする。図4(B)中には、参考のため、右寄り内側のから射出される画像光GLeと、左寄り内側のから射出される画像光GLfとを追加している。
【0047】
右側の第1表示点P1からの画像光GLcは、投射光学系12によって平行光束化され、展開された光軸AX’に沿って、導光部材21の光入射部B1、導光部B2、及び光射出部B3を通り、観察者の眼EYに対して平行光束状態で、角度θの右方向から傾いて入射する。一方、左側の第2表示点P2からの画像光GLdは、投射光学系12によって平行光束化され、展開された光軸AX’に沿って、導光部材21の光入射部B1、導光部B2、及び光射出部B3を通り、観察者の眼EYに対して平行光束状態で、角度θ(|θ|=|θ|)の左方向から傾いて入射する。以上の角度θ,θは、左右の半画角に相当し、例えば10°に設定される。
【0048】
なお、第2方向D2の横方向に関しては、導光部材21中で画像光GLc,GLdが反射によって折り返され、反射の回数も異なることから、各画像光GLc,GLdが導光部材21中で不連続に表現されている。また、観察者の眼EYについては、図3(A)の場合と比較して見ている方向が上下反対となっている。結果的に、横方向に関しては、全体として画面が左右反転するが、後に詳述するように導光部材21を高精度に加工することで、液晶表示デバイス32の右半分の画像と液晶表示デバイス32の左半分の画像とが切れ目なく連続してズレなくつなぎ合わされたものとなる。なお、両画像光GLc,GLdの導光部材21内での反射回数が互いに異なることを考慮して、右側の画像光GLcの射出角度θ’と左側の画像光GLdの射出角度θ’とは異なるものに設定されている。
【0049】
以上により、観察者の眼EYに入射する画像光GLa,GLb,GLc,GLdは、無限遠からの虚像となっており、縦の第1方向D1に関しては液晶表示デバイス32に形成された映像が正立し、横の第2方向D2に関しては液晶表示デバイス32に形成された映像が反転する。
【0050】
〔D.横方向に関する画像光の光路〕
図5は、第1表示装置100Aにおける具体的な光路を説明する断面図である。投射光学系12は、3つのレンズL1,L2,L3を有している。
【0051】
液晶表示デバイス32の右側の第1表示点P1からの画像光GL11,GL12は、投射光学系12のレンズL1,L2,L3を通過することで平行光束化され、導光部材21の光入射面ISに入射する。導光部材21内に導かれた画像光GL11,GL12は、第1及び第2反射面21a,21bにおいて等しい角度で全反射を繰り返して、最終的に光射出面OSから平行光束として射出される。具体的には、画像光GL11,GL12は、平行光束として導光部材21の第3反射面21cで反射された後、第1反射角γ1で導光部材21の第1反射面21aに入射し、全反射される(第1回目の全反射)。その後、画像光GL11,GL12は、第1反射角γ1を保った状態で、第2反射面21bに入射して全反射され(第2回目の全反射)、次いで再度第1反射面21aに入射して全反射される(第3回目の全反射)。結果的に、画像光GL11,GL12は、第1及び第2反射面21a,21bにおいて計3回全反射され、第4反射面21dに入射する。画像光GL11,GL12は、この第4反射面21dで第3反射面21cと同一の角度で反射され、光射出面OSからこの光射出面OSに垂直な第2光軸AX2方向に対して角度θの傾きで平行光束として射出される。
【0052】
液晶表示デバイス32の左側の第2表示点P2からの画像光GL21,GL22は、投射光学系12のレンズL1,L2,L3を通過することで平行光束化され、導光部材21の光入射面ISに入射する。導光部材21内に導かれた画像光GL21,GL22は、第1及び第2反射面21a,21bにおいて等しい角度で全反射を繰り返して、最終的に光射出面OSから平行光束として射出される。具体的には、画像光GL21,GL22は、平行光束として導光部材21の第3反射面21cで反射された後、第2反射角γ2(γ2<γ1)で導光部材21の第1反射面21aに入射し、全反射される(第1回目の全反射)。その後、画像光GL21,GL22は、第2反射角γ2を保った状態で、第2反射面21bに入射して全反射され(第2回目の全反射)、再度第1反射面21aに入射して全反射され(第3回目の全反射)、再度第2反射面21bに入射して全反射され(第4回目の全反射)、再々度第1反射面21aに入射して全反射される(第5回目の全反射)。結果的に、画像光GL21,GL22は、第1及び第2反射面21a,21bにおいて計5回全反射され、第4反射面21dに入射する。画像光GL21,GL22は、この第4反射面21dで第3反射面21cと同一の角度で反射され、光射出面OSからこの光射出面OSに垂直な第2光軸AX2方向に対して角度θの傾きで平行光束として射出される。
【0053】
図5において、導光部材21を展開した場合に第1反射面21aに対応する仮想的な第1面121aと、導光部材21を展開した場合に第2反射面21bに対応する仮想的な第2面121bとを描いている。このように展開することにより、第1表示点P1からの画像光GL11,GL12は、光入射面ISに対応する入射等価面IS’を通過した後、第1面121aを2回通過し第2面121bを1回通過して光射出面OSから射出されて観察者の眼EYに入射することが分かり、第2表示点P2からの画像光GL21,GL22は、光入射面ISに対応する入射等価面IS”を通過した後、第1面121aを3回通過し第2面121bを2回通過して光射出面OSから射出されて観察者の眼EYに入射することが分かる。見方を変えると、観察者は、2つの位置の異なる入射等価面IS’,IS”の近傍に存在する投射光学系12のレンズL3を重ねて観察していることになる。
【0054】
図6(A)は、液晶表示デバイス32の表示面を概念的に説明する図であり、図6(B)は、観察者に見える液晶表示デバイス32の虚像を概念的に説明する図であり、図6(C)及び6(D)は、虚像を構成する部分画像を説明する図である。図6(A)に示す液晶表示デバイス32に設けた矩形の画像形成領域ADは、図6(B)に示す虚像表示領域AIとして観察される。虚像表示領域AIの左側には、液晶表示デバイス32の画像形成領域ADのうち中央から右側にかけての部分に相当する第1投射像IM1が形成され、この第1投射像IM1は、図6(C)に示すように右側が欠けた部分画像となっている。また、虚像表示領域AIの右側には、液晶表示デバイス32の画像形成領域ADのうち中央から左側にかけての部分に相当する投射像IM2が虚像として形成され、この第2投射像IM2は、図6(D)に示すように左半分が欠けた部分画像となっている。
【0055】
図6(A)に示す液晶表示デバイス32のうち第1投射像(虚像)IM1のみを形成する第1部分領域A10は、例えば液晶表示デバイス32の右端の第1表示点P1を含んでおり、導光部材21の導光部B2において合計3回全反射される画像光GL11,GL12を射出する。液晶表示デバイス32のうち第2投射像(虚像)IM2のみを形成する第2部分領域A20は、例えば液晶表示デバイス32の左端の第2表示点P2を含んでおり、導光部材21の導光部B2において合計5回全反射される画像光GL21,GL22を射出する。液晶表示デバイス32の画像形成領域ADの中央寄りにおいて第1及び第2部分領域A10,A20に挟まれて縦長に延びる帯域SAからの画像光は、図6(B)に示す重複画像SIを形成している。つまり、液晶表示デバイス32の帯域SAからの画像光は、導光部B2において計3回全反射される画像光GL11,GL12によって形成される第1投射像IM1と、導光部B2において計5回全反射される画像光GL11,GL12によって形成される第2投射像IM2となって、虚像表示領域AI上で重畳していることになる。導光部材21の加工が精密で、投射光学系12によって正確にコリメートされた光束が形成されているならば、重複画像SIについて、2つの投射像IM1,IM2の重畳によるズレや滲みを防止することができる。
【0056】
以上では、液晶表示デバイス32の右側の第1表示点P1を含む第1部分領域A10から射出された画像光GL11,GL12の第1及び第2反射面21a,21bによる全反射回数が計3回で、液晶表示デバイス32の左側の第2表示点P2を含む第2部分領域A20から射出された画像光GL21,GL22の第1及び第2反射面21a,21bによる全反射回数が計5回であるとしたが、全反射回数については適宜変更することができる。つまり、導光部材21の外形(すなわち厚みt、距離D、鋭角α,β)の調整によって、画像光GL11,GL12の全反射回数を計5回とし、画像光GL21,GL22の全反射回数を計7回とすることもできる。また、以上では、画像光GL11,GL12,GL21,GL22の全反射回数が奇数となっているが、光入射面ISと光射出面OSとを反対側に配置するならば、すなわち導光部材21を平面視で平行四辺形型にすれば、画像光GL11,GL12,GL21,GL22の全反射回数が偶数となる。
【0057】
〔E.虚像表示装置からの画像光の観察〕
以下、虚像表示装置から射出される画像光の観察について説明する。図7(A)等は、装着された状態での虚像表示装置100の構造を模式的に示すものである。なお、ここでは、簡便化のため、観察者PAについては、観察者PAが装着する眼鏡MGや観察者PAの眼EYによって示すものとする。
【0058】
図2(A)等において示したように、虚像表示装置100では、テンプル141がクッション部材151を有することで、虚像表示装置100の全体が前方に傾斜した状態となっている。つまり、虚像表示装置100を構成する第1駆動部131や第1パネル部分111が前傾している。見方を変えると、図7(A)に模式的に示すように、テンプル141(クッション部材151)が虚像表示装置100のうち観察者PAの後頭部に近い側を上方に引き上げる役割をすることで、第1駆動部131に相当する画像形成装置10を構成する画像表示装置11や投射光学系12及び導光部材21といった構成要素の全体を、前傾した状態としている。つまり、投射光学系12の投射光軸である第1光軸AX1は、観察者PAが真っ直ぐ前を見た方向すなわち正面視方向SPに対して傾斜角ηだけ傾いている。また、第1光軸AX1が傾斜角ηだけ傾斜していることに伴って、図7(B)に示すように、導光部材21を経て射出される画像光の中心光軸である第2光軸AX2の方向も、正面視方向SPに対して傾斜角ηだけ傾いている。本実施形態の場合、第2光軸AX2は、観察者の目線を決定する映像光軸IXに相当するものとなっている。
【0059】
ここで、画像光の映像光軸IXとは、既述のように、観察者PAの観察方向を示すものであるが、より詳しく説明すると、虚像表示装置100の光射出部B3(図3(A)等参照)から平行光束化されて射出される画像光のうち画像の中心から射出される成分の主光線に相当するものを意味する。つまり、図7(C)に示すように、映像光軸IXは、観察者PAが観察対象の画像として認識する投射像(虚像)IMの中心CTと、観察点である観察者PAの眼EYとを結んだ線上にある軸である。観察者PAは、観察対象の中心に視点を置いて画像観察をするのが通常であるため、この映像光軸IXは、画像光を観察する観察者PAの目線を決定するものとなる。本実施形態の場合、虚像表示装置100の全体を傾斜角ηだけ傾斜させた構成であるから、画像光の射出側の光軸である第2光軸AX2が映像光軸IXそのものとなる。
【0060】
虚像表示装置100は、比較例として図7(D)に示すテンプル141がクッション部材151を有さない虚像表示装置と異なり、第1光軸AX1ひいては映像光軸IXの方向が正面視方向SPに対して平行とならず、観察者PAにとって下方側に見る状態すなわち俯瞰した状態に対応する俯瞰方向に傾斜角ηだけ傾斜している。この場合、観察者PAの目線の方向が自然と傾斜した映像光軸IXに沿った方向となり、観察者PAは、やや下方を観ている状態で画像光の観察を続けることになる。人間の眼EYは、正面視方向SPから7°以上より好ましくは10°〜15°程度下方を観るような俯瞰した状態で観察を続けることが望ましい構造となっている。このため、例えば一般の眼鏡MGのレンズ面LSもテンプルTPの延びる方向に対して垂直ではなくやや前倒しに傾斜したものとなっている。一方、図7(D)に示す比較例の場合のように、映像光軸IXが側方から見て各光軸AX1,AX2と一致し、正面視方向SPと平行な状態になっていると、観察者PAは、真正面を見る状態となり、眼EYを比較的大きく見開いて画像を見続けることになるため、まぶたに大きな負担が掛かることになる。本実施形態の虚像表示装置100では、図7(A)及び図7(B)等に示すように、映像光軸IXを、正面視方向SPに対して一般の眼鏡MG等と同程度に傾けている。つまり、導光部材21が眼鏡MGのレンズ面LSと略真正面で対向した状態としている。これにより、観察者PAの目線を自然に下げさせて、眼EYへの負担が軽減されるものとなっている。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る虚像表示装置100では、クッション部材151を有することで、投射光学系12や導光装置20を正面視方向SPに対して傾斜角ηだけ傾けている。これにより、映像光軸AX2の方向調整すなわち観察者PAの目線の角度調整を可能とし、虚像表示装置100の使用中における観察者PAの眼EYへの負担が軽減される。従って、例えば虚像表示装置100を長時間に亘って使用する場合であっても観察者PAに掛かるストレスを抑えることができる。以上のように、クッション部材151,152は、観察者の耳の位置に対応する部分に配置され正面視方向SPに対して第1光軸AX1を傾ける投射光軸調整部であり、傾斜角ηを調整する傾斜角調整手段として機能する。上記では、傾斜角ηの値を約7°としているが、傾斜角ηの値は、これに限らず、クッション部材151,152のサイズを調整することで、種々の値に調整可能である。
【0062】
なお、図1等に示すクッション部材151,152は、観察者PAの側頭部にも当たるようにしてもよい。クッション部材151,152が適度なテンションで観察者PAの頭を挟むことにより、観察者PAに係る虚像表示装置100の重量を適度に分散させて、長時間の観察における疲労をさらに低減することができる。
【0063】
〔第2実施形態〕
以下、図8(A)〜8(D)により、第2実施形態に係る虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態の虚像表示装置200は、第1実施形態の虚像表示装置100の変形例であり、特に説明しない部分又は事項は、第1実施形態の場合と同様であるので、図7(A)〜7(C)に対応する図である図8(A)〜8(C)及び光路について模式的に示す図8(D)のみを示し、全体の構成等については、図示及び説明を省略する。
【0064】
図8(A)に示すように、本実施形態の虚像表示装置200では、画像形成装置10を構成する画像表示装置11や投射光学系12、導光部材21等は、第1実施形態の虚像表示装置100と異なり前傾していない。言い換えると、投射光学系12の第1光軸AX1すなわち投射光軸は、正面視方向SPに対して平行となっている。
【0065】
一方、画像表示装置11の中心軸である表示中心軸XXは、図示のように、投射光学系12の第1光軸AX1に対して平行であるが、垂直下方にシフトしたものとなっている。つまり、虚像表示装置200は、画像表示装置11の表示中心軸XXを第1光軸AX1からシフトさせたシフト構造SCを有するものとなり、映し出される画像も観察者PAにとっての下方側へシフトする。これにより、図8(B)及び8(C)に示すように、観察対象である投射像(虚像)IMの中心CTが、仮にシフトをしなかった場合の投射像(虚像)IMaの中心CTaと比べて、距離DDだけ下方にシフトし、映像光軸IXの方向調整すなわち観察者PAの目線が下方側へ向けさせている。
【0066】
以上の画像をシフトさせる構造について、図8(D)に模式的に示す光路を用いて説明する。画像表示装置11のうち中心11cから射出される画像光の各光束成分PXは、投射光学系12において平行光束化され、導光装置20(図示略)の第4反射面21dを経て観察者PAの眼EYに到達する。この場合、光束成分PXは、中心11cから射出されるものであるから、画像光のうち画像の中心から射出される成分の主光線に相当する。つまり、光束成分PXの中心光束が映像光軸IXとなり、光束成分PXの正面視方向SPに対する角度が傾斜角ηとなる。本実施形態では、図示のように、画像表示装置11の表示中心軸XXが投射光学系12の第1光軸AX1に対してシフトしており、また、これに伴って、第4反射面21dの中心軸である第2光軸AX2もシフトしている。これらのシフト量を調整することで、光束成分PXの角度すなわち映像光軸IXの傾斜角ηの調整が可能となる。
【0067】
以上のように、本実施形態では、画像表示装置11と投射光学系12とにおけるシフト構造SCが、映像光軸IXの方向を調整するすなわち傾斜角ηの角度を調整する傾斜角調整手段として機能している。
【0068】
なお、以上の構成において、必要であれば画像表示装置11のシフト量に応じて、導光部材21の光入射部B1、導光部B2及び光射出部B3(図3(A)参照)の有効領域すなわち反射面21c,21d等として機能できる領域を調整しておくことで、図8(C)に示す投射像(虚像)IMの一部が欠けた画像となることがないように確実に画像光を伝搬させるものとすることができる。
【0069】
なお、この場合、虚像表示装置200は、装着時において装置全体を傾けた状態とする必要がないので、通常の眼鏡やサングラスの形状と同様の形状とすることができる。つまり、虚像表示装置200全体の側面形状が、正面視方向SPに略平行に延びるものとなるすなわち観察者PAが装着する眼鏡MGのテンプルTPに略沿って延びるものとなる。これにより、特に眼鏡の上から虚像表示装置200を装着する場合にも、小型で、かつ、眼鏡のような形状として違和感のないデザイン性の高いものにすることが容易になる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る虚像表示装置200では、画像表示装置11と投射光学系12との間でのシフト量を調整することで映像光軸IXの方向調整すなわち観察者PAの目線の角度調整を可能とし、観察者PAの眼EYへの負担が軽減されるので、例えば虚像表示装置200を長時間に亘って使用する場合であっても観察者PAに掛かるストレスを抑えることができる。
【0071】
〔第3実施形態〕
以下、図9(A)等により、第3実施形態に係る虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態の虚像表示装置は、第1実施形態の虚像表示装置100の変形例であり、特に説明しない部分又は事項は、第1実施形態の場合と同様であるので、全体の構成等については、図示及び説明を省略する。
【0072】
本実施形態では、図9(A)及び9(B)に示すように、本実施形態の虚像表示装置を構成する導光部材321は、第4反射面21dの法線方向がY方向について成分を持つように傾けた画像取出面調整構造PPを有している。これにより、第4反射面21dで反射されて射出される画像光の映像光軸を傾けることができる。なお、本実施形態の虚像表示装置の外観及び構造については、第1実施形態の虚像表示装置100とは異なり、クッション部材151,152を有しておらず、また、第2実施形態の虚像表示装置200とは異なり、シフト構造SCを有していない。従って、外観としては、図7(D)に示す比較例の場合と同様のものとなっている。第1実施形態の場合、例えば比較例として図9(C)及び9(D)に示す導光部材21、あるいは図3(A)及び3(B)に示す導光装置20の導光部材21のように、第3反射面21cや第4反射面21dがXY面に平行な状態からY軸を回転軸として決められた角度α,βだけ傾いたものとなっている。この場合、例えば図9(D)に示すように、+Z方向から光入射面ISに入射した成分GLIは、光射出面OSから−Z方向の成分GLOとして射出されることになる。つまり、各反射面21c,21dを経ても光射出側において当該成分は、Y方向への方向成分を持たない。これに対して、本実施形態では、図9(A)及び9(B)に示すように、例えば第4反射面21dの傾きが調整されているすなわち反射面21dの法線方向がY方向について成分を持つように傾けられている。これにより、光射出面OSから射出される際の画像光の映像光軸がY方向への成分を持つように傾けることができる。具体的には、図10に示すように、映像光軸IXは、画像表示装置11の中心11cから射出される光束成分PXによって定められるものであり、第4反射面21dの角度を調整することにより、光束成分PXすなわち映像光軸IXの傾斜角ηを調整する機能を有するものとすることができる。なお、この場合、反射面21dの領域すなわち半透過反射膜を形成する領域は、面全体ではなく、画像光の映像光軸を傾ける方向に対応して導光部材21のうち外光等を通過させる光透過領域の下方側(周辺側)すなわち−Y側に偏った配置とすることができる。また、以上では、傾ける面を第4反射面21dとしているが、これに限らず、例えば第3反射面21cを傾けることも考えられる。
【0073】
以上のように、本実施形態では、画像光を導光部材21内に導くための第3反射面21cや画像光を外部へ取出すための第4反射面21dの角度を調整する画像取出面調整構造PPを、画像光の映像光軸IXの傾斜角ηを調整する傾斜角調整手段として有することで、観察者の目線を自然に下げさせることができる。
【0074】
〔その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0075】
まず、第3実施形態に限らず、上記第1及び第2実施形態においても、反射面21dの領域すなわち半透過反射膜を形成する領域を面全体ではなく、画像光の映像光軸を傾ける方向に対応して導光部材21のうち外光等を通過させる光透過領域の下方側(周辺側)に偏って配置とすることができる。
【0076】
また、第1実施形態では、投射光学系12とともに導光装置20も傾けるものとしているが、投射光学系12のみを傾ける構造とすることも可能である。この場合、導光装置20を経た画像光の映像光軸は、投射光学系12の投射光軸とは必ずしも平行とはならないが、傾け方を適宜調整することで、所望の方向に画像光の映像光軸を傾斜させて射出することができる。
【0077】
また、上記では、いずれも投射光学系12を有する構成としているが、例えば、画像表示装置11において形成された画像光を導光装置20に直接導き、投射光学系12を有さない構成としてもよい。この場合、例えば図9(A)等に示す画像取出面調整構造PPによって傾斜角調整手段を構成することで画像光の映像光軸IXを調整して、観察者の目線を自然に下げさせることができる。
【0078】
上記実施形態では、虚像表示装置100をシースルータイプのものとして説明しているが、本発明は、シースルーでないタイプのヘッドマウントディスプレイにおいても適用することができる。
【0079】
上記実施形態では、照明装置31からの照明光SLに特に指向性を持たせていないが、照明光SLに液晶表示デバイス32の位置に応じた指向性を持たせることができる。これにより、液晶表示デバイス32を効率的に照明することができ、画像光GLの位置による輝度ムラを低減できる。
【0080】
上記実施形態では、液晶表示デバイス32の表示輝度を特に調整していないが、図6(B)等に示すような投射像IM1,IM2の範囲や重複に応じて表示輝度の調整を行うことができる。
【0081】
上記実施形態では、画像表示装置11として、透過型の液晶表示デバイス32等を用いているが、画像表示装置11としては、透過型の液晶表示デバイス32に限らず種々のものを利用可能である。例えば、反射型の液晶表示デバイスを用いた構成も可能であり、液晶表示デバイス32に代えてデジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。また、画像表示装置11として、LEDアレイやOLED(有機EL)などに代表される自発光型素子を用いることもできる。
【0082】
上記実施形態の虚像表示装置100では、右眼及び左眼の双方に対応して、一組ずつ画像形成装置10及び導光装置20設ける構成としているが、右眼又は左眼のいずれか一方に対してのみ画像形成装置10と導光装置20とを設け画像を片眼視する構成にしてもよい。
【0083】
上記実施形態では、光入射面ISを通る第1光軸AX1と光入射面ISを通る第2光軸AX2とが平行であるとしたが、これらの光軸AX1,AX2を非平行とすることもできる。
【0084】
上記実施形態では、光射出部B3における画像の取出しを、一枚構成の反射面である第4反射面21dで行うものとしているが、このようなタイプの虚像表示装置に限らず、例えば複数の反射面によって画像を取り出す角度変換部を有して、第1及び第2反射面21a,21bにおいて異なる角度で入射させた画像光を、異なる回数全反射させて取り出すタイプの虚像表示装置においても、上記のような傾斜角調整手段を設けることができる。このような角度変換部を有するものの一例として、例えば、角度変換部が第1及び第2反射面21a,21bに対して傾斜し互いに平行に等間隔で配列される多数のハーフミラー層を有する構造のものが考えられる。この場合、画像光のうち最大の反射角で第1反射面21aに入射し、第1及び第2反射面21a,21bにおいて全反射される画像光の成分は、角度変換部のうち最も入口側(+X側)での反射により角度が変換されて取り出され、最小の反射角で第1反射面21aに入射し、第1及び第2反射面21a,21bにおいて全反射される成分は、角度変換部のうち最も奥側(−X側)での反射により角度が変換されて取り出される。また、角度変換部を有するものの別の一例として、例えば、角度変換部が第1及び第2反射面21a,21bに対して互いに異なる角度で傾斜する第1の反射面と、第2の反射面とを1組とする反射ユニットを、ストライプ状に多数配列させているものが考えられる。この場合、最大の反射角で入射した画像光の成分が最も奥側(−X側)で取り出され、最小の反射角で入射した画像光の成分が最も入口側(+X側)で取り出される。また、この場合、1つの反射ユニットを経た画像光は、他の反射ユニットを経ることなく、角度変換部での1回だけの通過で所望の角度で取り出される。
【0085】
上記の説明では、虚像表示装置100がヘッドマウントディスプレイであるとして具体的な説明を行ったが、虚像表示装置100は、ヘッドアップディスプレイに改変することもできる。
【0086】
上記の説明では、第1及び第2反射面21a,21bにおいて、表面上にミラーやハーフミラー等を施すことなく空気との界面により画像光を全反射させて導くものとしているが、本願発明における全反射については、第1及び第2反射面21a,21b上の全体又は一部にミラーコートや、ハーフミラー膜が形成されてなされる反射も含むものとする。例えば、画像光の入射角度が全反射条件を満たした上で、第1及び第2反射面21a,21bの全体又は一部にミラーコート等が施され、実質的に全ての画像光を反射する場合も含まれる。また、十分な明るさの画像光を得られるのであれば、多少透過性のあるミラーによって第1及び第2反射面21a,21bの全体又は一部がコートされていてもよい。
【0087】
上記の説明では、導光部材21が眼EYの並ぶ横方向に延びているが、導光部材21は、縦方向に延びるものとできる。この場合、光学パネル110は、直列的ではなく並列的に平行配置されることになる。
【0088】
また、上記の方式に限らず、種々の他の方式のHMDについても本発明の適用が可能であり、例えば直視型のHMDに適用できる。
【符号の説明】
【0089】
10…画像形成装置、 11…画像表示装置、 12…投射光学系、 20…導光装置、 20a…本体部分、 21,221…導光部材、 21a,21b,21c,21d…反射面、 21e…上面、 21f…下面、 21h…端面、 23…光透過部材、 23a,23b,23c…面、 25…ミラー層、 28…ハーフミラー層、 31…照明装置、 32…液晶表示デバイス、 32b…表示領域、 34…駆動制御部、 100,200…虚像表示装置、 100A,100B…表示装置、 110…光学パネル、 121…フレーム、 131,132…駆動部、 151,152…クッション部材(投射光軸調整部、傾斜角調整手段)、 SP…正面視方向、 IX…映像光軸、 XX…表示中心光軸、 AX1…第1光軸(投射光軸、)、 AX2…第2光軸、 B1…光入射部、 B2…導光部、 B3…光射出部、 B4…透視部、 EY…眼、 GL…画像光、 GL’…外界光、 GL11,GL12,GL21,GL22…画像光、 IM1,IM2,IM…投射像、 IS…光入射面、 L1,L2,L3…レンズ、 OS…光射出面、 P1…表示点、 P2…表示点、 SL…照明光、 CC…ハードコート層、 SC…シフト構造(傾斜角調整手段)、 PP…画像取出面調整構造、 PA…観察者、 MG…眼鏡、 TP…(眼鏡の)テンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光を形成する画像表示装置と、
前記画像表示装置から射出された前記画像光による虚像を形成する投射光学系と、
前記投射光学系を通過した前記画像光を内部に取り込む光入射部と、前記光入射部から取り込まれた前記画像光を全反射により導く導光部と、前記導光部を経た前記画像光を外部へ取出す光射出部と、を有する導光装置と、
前記導光装置を支持するフレームと、
を備え、
前記導光装置から射出される前記画像光の映像光軸を、観察者の眼の正面に対応する正面視方向に対して傾いた方向に調整する傾斜角調整手段を有する、画像表示装置。
【請求項2】
前記傾斜角調整手段は、前記正面視方向に対して、前記投射光学系の投射光軸を傾ける投射光軸調整部である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記投射光軸調整部は、前記投射光学系の全体を傾けることで前記投射光軸を傾けるとともに、前記導光装置の全体を傾ける、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記投射光軸調整部は、前記フレームのうち観察者の耳の位置に対応する部分に配置されるクッション部材である、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記傾斜角調整手段は、前記投射光学系の投射光軸と平行に延びる前記画像表示装置の表示中心軸を、前記投射光学系の投射光軸に垂直な方向にシフトさせたシフト構造である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記導光装置は、前記シフト構造による前記画像表示装置のシフト量に応じて、前記光入射部、前記導光部及び前記光射出部の有効領域を調整している、請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記投射光学系の投射光軸が延びる方向は、前記正面視方向に沿っている、請求項5及び6のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記傾斜角調整手段は、前記光射出部における前記画像光を外部へ取出すための反射面を有し、当該反射面の角度を調整する画像取出面調整構造である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記傾斜角調整手段は、前記光射出部における前記画像光を外部へ取出すための反射面を有し、当該反射面の領域は、前記画像光の映像光軸を傾ける方向に対応して前記導光装置の光透過領域の周辺側に偏って配置されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記傾斜角調整手段は、前記正面視方向に対して、前記画像光の映像光軸を観察者にとっての下方側に対応する俯瞰方向に傾ける、請求項1から9までのいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記傾斜角調整手段は、前記正面視方向に対して、前記画像光の映像光軸の傾斜角度を7度以上傾ける、請求項1から10までのいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記導光部は、互いに平行に配置され全反射による導光を可能にする第1反射面と第2反射面とを有し、
前記光入射部は、前記第1反射面に対して所定の角度をなす第3反射面を有し、
前記光射出部は、前記第1反射面に対して所定の角度をなす第4反射面を有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の虚像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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