説明

蛇口コネクタ

【課題】 水処理機器の給水管の末端に設けられ、蛇口側の接続金具に接続される蛇口コネクタにおいて、蛇口コネクタから接続金具が抜けないようにする。
【解決手段】 蛇口コネクタ1において、接続金具20が差し込まれる差込部2の外周部に中心軸方向に摺動自在に嵌合する筒状体5と、
該筒状体が摺動可能範囲の一端側に位置するときには接続金具20が差込部2から抜けることを規制し、
筒状体5が摺動可能範囲の他端側に位置するときには接続金具20が差込部2から抜けることを許容する係止爪7とを備え、
さらに筒状体5を前記一端側位置に固定する固定具21を着脱可能に設け、
上記固定具は弾性を有する金属材料で作られており、略C形に形成されていて、その略C形状においてその両末端部分は互いに近づくように内方に向いており、
かつ続けてその先端がそれぞれ相互に外向きに円を描くように向いている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水処理機器の給水管の末端に設けられ、蛇口側の接続金具に接続される蛇口コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は家庭用浄水機の設置状態を表している。図に示すように、一般的に、家庭用浄水機等の水処理機器30は蛇口に取り付けた分岐水栓31から取水するようになっており、水処理機器の設置に際しては、給水管32の末端に設けた蛇口コネクタ1を蛇口側の接続金具20に接続する。
【0003】
上記蛇口コネクタ1は、接続金具20が差し込まれる差込部2の外周部に、着脱リング(筒状体)5が中心軸方向に摺動自在に嵌合し、その内側に、着脱リング5の位置に応じて差込部2の内周側に突出する状態と、差込部2の内周側に出入り自由な状態とに切り替わる係止爪が配されている。着脱リング5を下側位置にすると係止爪が出入り自由な状態となり、その状態で差込部2に接続金具20を差し込む。そして、着脱リング5を上側位置にすると、係止爪が突出する状態となり、該係止爪が接続金具20の外周部に形成されている環状溝に係合することにより、当該接続金具20が差込部2から抜けなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−117586
【特許文献2】特開平11−61905
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
着脱リング5は内装のバネによって上側に付勢されており、通常は、係止爪が接続金具20の環状溝に係合し、接続金具20が差込部2から抜けない状態に保持されている。しかしながら、何らかの事情で係止爪の環状溝への係合が不十分であったり、水圧が高すぎたりする場合に、接続金具20が差込部2から抜けてしまうという事態が発生していた。本発明は、このような事態を完全に防止することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明にかかる蛇口コネクタは、水処理機器の給水管の末端に設けられ、蛇口側の接続金具に接続される蛇口コネクタであって、前記接続金具が差し込まれる差込部の外周部に中心軸方向に摺動自在を嵌合する筒状体と、該筒状体が摺動可能範囲の一端側に位置するときには接続金具が差込部から抜けることを規制し、筒状体が摺動可能範囲の他端側に位置するときには接続金具が差込部から抜けることを許容する係止爪と、筒状体を前記一端側位置に固定する着脱可能な固定具とを具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
蛇口コネクタの差込部に接続金具を差し込んだ後、固定具を装着して筒状体を摺動可能範囲の一端側に固定しておくことにより、接続金具が差込部から抜けることを係止爪が規制する状態に保持される。
本発明にかかる蛇口コネクタは、固定具を装着して筒状体を摺動可能範囲の一端側に固定しておくことにより、接続金具が差込部から抜けることを係止爪が規制する状態に保持されるので、接続金具が差込部から抜ける事故を完全に防止できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】蛇口コネクタの一部を断面で表した正面図である。
【図2】蛇口コネクタの側面図である。
【図3】蛇口コネクタの一部を断面で表した平面図である。
【図4】図1とは異なる状態を示す蛇口コネクタの一部を断面で表した正面図である。
【図5】固定具の斜視図である。
【図6】家庭用浄水機の取付状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1乃至図3は本発明による蛇口コネクタを表している。この蛇口コネクタ1は、上方に開口する上部が蛇口側接続金具の差込部2となっている。差込部2の内周面には環状凸部2aが形成され、接続金具20を根元まで差込部2に差し込むと、上記差込部側の環状凸部2aと接続金具20の外周部に形成されている環状凸部20aとが当接する。上記差込部2側の環状凸部2aの下側には、パッキン3が嵌め込まれている。
【0010】
差込部2の外周部には、接続金具20を着脱するための筒状体である着脱リング5が中心軸方向に摺動自在に嵌合している。この着脱リング5の摺動可能範囲は、着脱リング5の内周面に形成された環状凸部5aと差込部2の外周面に形成された上側段部2bとが当接する一端側位置から、着脱リングの下面5bと差込部2の鍔状部2cとが当接する他端側位置までの範囲となっている。前記着脱リング5の環状凸部5aと差込部2の下側段部2dとの間にはツルマキバネ6が介装されていて、着脱リング5を摺動可能範囲の一端側(上側)に付勢している。
【0011】
また、差込部2の上部には、内周側と外周側とを結ぶ爪孔2e,…が等間隔で4箇所に形成され、ここに係止爪7,…が収容されている。この係止爪7は爪孔2eに差込部の径方向に移動可能に収容されているが、着脱リング5が前記一端側に位置するときには、係止爪7が着脱リング5の内面部に押されて、その先端部が差込部2の内周面よりも内側に突出した状態に保持される。接続金具20が差込部2に差し込まれている場合には、上記突出した係止爪7,…の先端部が、接続金具20の外周部に形成されている環状溝20bに係合するようになっている。
【0012】
蛇口コネクタ1の下部一側面部には、蛇口側から供給される水を水処理機器本体に送る給水管、水処理機器本体で水処理した後の廃棄水を戻す排水管、及び水処理機器本体からのオーバーフロー水を戻すオーバフロー管の各接続部10,11,12が設けられている。これら各接続部の外側には、ホルダー13がネジで取り付けられる。なお、符号14は締付け材で、各接続部10,11,12に各管を接続した状態でホルダー13をネジ締めすると、締付け材14によって各接続部及び各管が締め付け固定される。また、蛇口コネクタ1の底面部には、前記排水管を通って戻される廃棄水を排出する排水口15、と前記オーバフロー管を通って戻されるオーバフロー水を排出するオーバフロー口16が開口している。符号17は排水口15を開閉するバルブの調節つまみである。
【0013】
蛇口コネクタ1の差込部2に蛇口側接続金具20を接続するに際しては、まず、図4に示すように、着脱リング5を他端側位置まで手で押し下げる。このとき、着脱リング5の内面部が係止爪7,…を内側に押していないので、係止爪7,…はフリー状態になっている。そして、接続金具20を根元まで差込部2に差し込む。その状態で着脱リング5から手を離すと、ツルマキバネ6の張力によって着脱リング5は一端側位置まで戻る。それに伴い、着脱リング5の内面部が係止爪7,…を内側に押し出し、係止爪7,…の先端部が接続金具20の環状溝20bに係合する。これにより、接続金具20が差込部2から抜けなくなる。
【0014】
さらに、一端側位置にある着脱リング5の下側に、図5に示す固定具21を嵌め込む。この固定具21は、弾性を有する金属材料で作られており、略C形に形成されている。固定具21の開口側を差込部外周部に軽く押し付けることにより、着脱リング5と鍔状部2cとの間の差込部外周部に容易に嵌め込むことができる。このように固定具21を着脱リング5の下側に嵌め込むと、着脱リング5が一端側位置に固定され、係止爪7,…が接続金具20の環状溝20bに係合した状態のままに保持されるので、差込部2から接続金具20が決して外れることがない。また、固定具21を、開口部側を開きながら外側に引っ張ることにより、差込部外周部から容易に外すことができる。
【符号の説明】
【0015】
1 蛇口コネクタ
2 差込部
5 着脱リング(筒状体)
7 係止爪
20 接続金具
21 固定具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理機器の給水管の末端に設けられ、蛇口側の接続金具に接続される、筒状体と係止爪と固定具とを具備している蛇口コネクタであって、
前記筒状体の内周面に形成された環状凸部と前記接続金具が差し込まれる差込部の外周面に形成された上側段部とが当接する一端側位置から、前記筒状体の下面と差込部の鍔状部とが当接する他端側位置までの範囲にわたって、前記差込部の外周部に中心軸方向に摺動自在に嵌合するとともに、前記環状凸部と差込部の下側段部との間にツルマキバネが介装されていて、前記摺動可能範囲の一端側(上側)に付勢した前記筒状体と、
該筒状体が摺動可能範囲の一端側に位置するときには接続金具が差込部から抜けることを規制し、筒状体が摺動可能範囲の他端側に位置するときには接続金具が差込部から抜けることを許容する係止爪と、
筒状体を前記一端側位置に固定する着脱可能な固定具と
を具備し、
上記固定具は弾性を有する金属材料で作られており、略C形に形成されていて、その略C形状においてその両末端部分は互いに近づくように内方に向いており、
かつ続けてその先端がそれぞれ相互に外向きに円を描くように向いていることを特徴とする蛇口コネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−203225(P2010−203225A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95961(P2010−95961)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【分割の表示】特願平11−265688の分割
【原出願日】平成11年9月20日(1999.9.20)
【出願人】(597073106)
【Fターム(参考)】