説明

蛇行調整装置

【課題】蛇行調整ローラを駆動する力を増大させ調整機能が発揮でき、蛇行を修正した後に、蛇行調整ローラが速やかにかつ正確に所定の待機位置に復帰する機能を有し、蛇行調整ローラでベルトの端面を損傷することない蛇行調整装置の提供。
【解決手段】ベルト搬送ローラ22とベルト押さえローラ25を鋭角にセットして、ベルト40が蛇行して2つのローラ25間にベルト40が滑り込んでくると、ローラ25とベルト40に抵抗力が生じ、この抵抗力により蛇行調整装置30を旋回させることにより蛇行を修正する方法である。蛇行が修正されると弾性体50により蛇行調整装置30は速やかに待機状態に復帰する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアのベルトの片寄りや蛇行を自動的に修正するために用いられる自動調心式のベルトコンベア蛇行調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアは、駆動プーリと従動プーリとの間に所定幅のベルトをエンドレス(無端状)に巻き付け、駆動プーリを回転させることによりそのベルトを周回運動させるものである。コンベアベルトはコンベアフレームの芯出し状態、搬送物の積載状態、天候(晴天と降雨)状態により蛇行し、搬送物がこぼれたり、ベルトとコンベアフレームが接触しベルト端面が損傷したり、最悪の場合はベルト走行が中断したりするなどの問題がある。ベルトの蛇行調整はベルトコンベアの安定運転上きわめて重要な作業であり、キャリアローラやリターンローラに蛇行調整機能を持たせたものが従来数多く開発されてきたが、十分な性能を発揮できていない。
【0003】
(1)蛇行防止に必要なコンベアトラフローラのトーイン角を固定式から可動式として、トラフローラの前倒し角を逆転する際に特別の操作を加えることなく、ベルトとローラの摩擦力で自動的にトラフローラが移動し、前倒し角を変更させる際にその確実性と迅速性を持たせるためにスプリング及び鞍を用いた調心装置がある。(特許文献1参照)。(2)上部フレーム側と下部フレーム側の間に設けられて、コンベアベルトの蛇行時にベルトがサイドローラに接触して押す力による上部フレームの旋回を弾力的に許容するとともに、その押す力の解除時に上部フレームを復帰させる復元力を有する弾性体を備えている自動調心装置が提案されている。(特許文献2参照)。(3)稼動フレームと基部フレームとをリンク機構で連結し、ベルトの片寄りによる作動ローラの作動により、稼動フレームをベルト片寄り方向、上向きに揺動させ、調心専用ローラをベルトに接触させる連結部材からなる蛇行修正装置がある。(特許文献3参照)。(4)旋回可能なキャリアローラの両端にガイドローラを設け、該ガイドローラにベルトの裏面が架かるように配した自動調心キャリアローラがある。(特許文献4参照)(5)リターンベルトの蛇行調整用として、截頭円錐形ローラを片持ちにしてなるリターンローラを取り付けて、帰り側ベルトを押し上げ支持するようにした蛇行防止装置が提案されている。(特許文献5参照)(6)リターン側ベルトを挟んでリターンローラと反対側に、押圧ローラを平行に配置し、これらリターンローラ及び押圧ローラにリターン側ベルトを夫々遊転自在に支持して一体化させ、それらをリターン側ベルトの表裏両面に夫々圧接させて巻回すると共に、リターンローラ及び押圧ローラの軸方向中心位置に中心軸を連設し、この中心軸を中心として、リターンローラ及び押圧ローラが平行状態のまま旋回自在に支持された蛇行防止装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】実開昭61−38111号広報
【特許文献2】実開昭60−142209号広報
【特許文献3】実開平1−83714号広報
【特許文献4】特開2003−300609号広報
【特許文献5】特開2006−56708号広報
【特許文献6】特開2003−171007号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(特許文献1)の方法においては、(1)ベルトを正逆運転する場合はトーイン角を自動的に逆転させる機能は有しているが、自動的に蛇行を調整する機能は有していない、(2)本装置を全てのコンベアトラフに設置する必要があり、設備費やメンテナンス費が高くなる。
【0006】
(特許文献2)の方法においては、(1)ベルトが蛇行した際にサイドローラが押されて、上部フレームが旋回するが、サイドローラと上部フレームの位置関係で上部フレームの旋回角度が決まるので、大きな旋回角度を得ることができず、調心性能が不十分であった、(2)サイドローラがベルトで押されて生じる旋回モーメント力が小さく、かつ上部フレームの慣性力が大きいのでベルトの蛇行に敏感に対応できない、(3)サイドローラでベルト端面を損傷する問題がある。
【0007】
(特許文献3)の方法においては、(1)調心専用ローラを片寄り方向上向きに揺動させ、ベルトを押し戻す方法であるが、揺動量を大きくとれないことから十分な調心性能を得ることができない、(2)作動ローラでベルト端面を損傷する問題がある。
【0008】
(特許文献4)の方法においては、サイドローラでベルトの端面を損傷する問題は解決されるものの、ベルトがサイドローラを押し付ける力が減少するので、蛇行を修正するためにキャリアローラを旋回させるに必要なトルクや回転角を得ることができなかった。
【0009】
(特許文献5)の方法においては、ベルトが例えば右側に蛇行すると、右側の截頭円錐形ローラの大径側にベルト端部が移動し、ベルト右端部の張力が部分的に大きくなるため張力の弱い左側にベルト全体を押し戻す力が発生し蛇行を防止するが、自動調心ローラのように蛇行を修正する方向に旋回する機能はなく、蛇行修正能力は小さい。
【0010】
(特許文献6)の方法においては、(1)リターンローラと押圧ローラでベルトを巻回しているためベルトが蛇行していないときでもベルトに抵抗力が発生してエネルギーロスになっている、(2)ベルトをローラで巻回している抵抗力が大きいので、ベルトが蛇行しても、ベルトに生じる蛇行側と反蛇行側の抵抗力の差は小さく大きな旋回力を得ることができない、(3)リターンローラと押圧ローラでベルトを巻回しているためベルトが旋回するときの抵抗が大きく、蛇行に対する追随性が悪いなどの問題がある。
【0011】
本発明は、従来の蛇行調整ローラが有していた上記課題を解決して、(1)蛇行に敏感に対応するとともに、大きな修正力で確実にキャリアローラを旋回せしめ蛇行を修正する、(2)ベルト蛇行を修正後、速やかにかつ正確に所定の待機位置に復帰する機能を有する、(3)蛇行調整ローラでベルトの端面を損傷しない、(4)キャリアローラとリターンローラの両方に適用可能である自動調心ローラを実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、ベルトコンベア架台に設けられた固定フレーム上に旋回基部を設け、該旋回基部で旋回可能に軸支される旋回フレームと、該旋回フレームに転動可能に支持されるベルト搬送ローラを旋回せしめてベルトの蛇行を調整する自動調心ローラにおいて、前記自動調心ローラの旋回フレームもしくは該旋回フレームに設けた補助フレームに、ベルトの両側に対向するように各々取り付け基部を設け、該取り付け基部にベルト押さえローラを転動可能に且つ前記ベルト搬送ローラに所定間隔を設けて配するとともに、該ベルト押さえローラの軸心と前記ベルト搬送ローラの軸心の形成するベルト側に面する挟み角度が鋭角であることを特徴とする蛇行調整装置である。
【0013】
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記ベルト押さえローラを前記ベルト搬送ローラの上流側と下流側に各々1組ずつ配した蛇行調整装置である。
【0014】
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記ベルト押さえローラの先端部がベルトにオーバーハングするように取り付けられている蛇行調整装置である。
【0015】
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、ベルトコンベア架台に設けた固定フレームと前記自動調心ローラの前記旋回フレームを弾性体で結合している蛇行調整装置である。
【0016】
第5の解決手段は特許請求項5に示すように、ベルト押さえローラの径において中央部よりも先端部が細いテーパ形状である蛇行調整装置である。
【発明の効果】
【0017】
第1の解決手段による効果を説明する。(1)ベルトが蛇行するとベルト端面はベルト押さえローラに案内されて、ベルト押さえローラとベルト搬送ローラに挟まれるので、ベルトはベルト押さえローラとベルト搬送ローラからベルトの進行方向と逆方向の抵抗力を受け、この反力によって生じる旋回モーメントで蛇行調整装置はベルトを正常位置に復帰させる方向に旋回し、蛇行を修正できる。(2)ベルト押さえローラとベルト搬送ローラの軸心角度は鋭角になっており、蛇行が大きくなるにつれ、くさび効果によりベルトに生じる抵抗力も大きくなり、その反力によって生じる旋回モーメントも大きくなるので、蛇行調整装置は蛇行の大きさに適した旋回力と旋回角度で旋回することが出来る。(3)蛇行調整装置はベルト端面部をベルト押さえローラとベルト押さえローラで挟んだまま旋回するので、ベルトを強制的に正常位置に復帰させる機能を有する。(4)ベルトはベルト端面ではなくベルト面をベルト押さえローラによってガイドされるのでベルト端面を損傷することはない。(5)ベルトが正常位置にあるときはベルトとベルト押さえローラが接触することはないので抵抗力が生じることもなく、エネルギーロスもない。
【0018】
第2の解決手段による効果は、(1)ベルト搬送ローラの上流と下流側の2本のベルト押さえローラでベルトを挟み込むのでベルトに大きな抵抗力を与えることができる。(2)ベルトの保持力が大きくなり、蛇行調整装置が旋回するときにベルトを確実に保持して旋回できるので蛇行調整性能が向上する。
【0019】
第3の解決手段による効果は、(1)ベルト押さえローラがあらかじめベルトにオーバーハングしているので、ベルト端面がベルト押さえローラの先端部に突っかかるような現象を回避できる、(2)ベルトが蛇行した際にベルト押さえローラがガイドとなり、ベルトを円滑にベルト押さえローラとベルト搬送ローラの間に滑り込ませることができる。
【0020】
第4の解決手段による効果は、(1)旋回フレームと固定フレームを弾性体で結合しているので、ベルトが蛇行して蛇行調整装置を旋回させるときの衝撃を緩和できる、(2)弾性体に初期加重を付加する事により、ベルトが中立位置に復帰するときの復元力を得ることができる、(3)ベルトが蛇行していないときには、ベルトを中立位置に保持することができる、(4)ベルトの幅方向のふらつきによる微小な蛇行を弾性体に初期加重を付加することにより吸収できるので、蛇行調整装置の旋回のふらつきを防止できる。
【0021】
第5の解決手段による効果は、(1)ベルト押さえローラの径において中央部よりも先端部が細いテーパ形状であるので、蛇行が大きくなるほどベルト押さえローラがベルトを押し付ける力が大きくなり、ベルトに生じる抵抗力が大きくなるので、蛇行調整装置に大きな旋回力を与えることができる、(2)ベルト押さえローラの先端部の径は細くしたほうが、ベルト押さえローラの先端部とベルト端面の間隔を確保できるので、ベルト押さえローラの先端部にベルト端面が突き当たるのを防止できる、(3)ベルトを円滑にベルト押さえローラの下方に誘導できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0023】
第1の解決手段をリターン側とキャリア側で説明する。リターン側の蛇行調整装置について図1、図2、図3に基づいて説明する。図1はリターン側の蛇行調整装置の斜視図でありその一部分を断面した図である。図2はリターン側の蛇行調整装置の平面図でありその一部を断面した図である。図3はリターン側の蛇行調整装置の正面図でありその一部分を断面した図である。ベルトコンベア架台10に設けられた固定フレーム11上に旋回基部12を設け、該旋回基部12で旋回可能に軸支される旋回フレーム21と、該旋回フレーム21に転動可能に支持されるベルト搬送ローラ22を旋回せしめてベルト40の蛇行を調整する自動調心ローラ20において、前記自動調心ローラ20の旋回フレーム21もしくは該旋回フレームに設けた補助フレーム23に、ベルト40の両側に対向するように各々取り付け基部24を設け、該取り付け基部24にベルト押さえローラ25を転動可能に且つ前記ベルト搬送ローラ22に所定間隔を設けて配するとともに、該ベルト押さえローラ25の軸心25aと前記ベルト搬送ローラ22の軸心22aの形成するベルト40側に面する挟み角度αが鋭角である蛇行調整装置30である。
【0024】
リターン側の自動調心ローラ20はベルト搬送ローラ22として通常1本の水平ロールを多用しているが、ベルト40の蛇行に応じて旋回可能な自動調心ローラ20であれば分割ロールでも使用できる。自動調心ローラ20のベルト押さえローラの径や長さはベルト40の仕様によって決定される。ベルト押さえローラ25は転動可能なように軸25cに軸受け25dを介して取り付けられる。
【0025】
キャリア側の蛇行調整装置30について図4、図5に基づいて説明する。図4はキャリア側の蛇行調整装置30の正面図である。図5はキャリア側の蛇行調整装置30の平面図でありその一部を断面した図である。キャリア側の自動調心ローラ20はセンターのベルト搬送ローラ27とその両側のベルト搬送ローラ26から構成されているものが多用されているが、ベルト40の蛇行に応じて旋回できる自動調心ローラ20であれば使用可能である。自動調心ローラ20のベルト押さえローラ26の径や長さ及び傾斜角はベルト40の仕様によって決定される。キャリア側においては、ベルト40側に面する角度αはベルト押さえローラ25の軸心25aとベルト搬送ローラ26の軸心26aから構成される。以上説明したように、リターン側とキャリア側の蛇行調整装置30の基本原理や構造は同一であり、リターン側の自動調心ローラ20のベルト搬送ローラ22が1本の水平ロールで構成されている点と、キャリア側の自動調心ローラ20のベルト搬送ローラ26,27が2本の傾斜ロールと1本の水平ロールから構成されている点が異なるのみである。従って、本発明におけるリターン側のベルト搬送ローラ22とキャリア側のベルト搬送ローラ26の役割は同等である。
【0026】
挟み角度αの大きさは10°〜80°がよい。10°より小さいとベルト端面41がベルト押さえローラ25の先端部25bに突っかかる危険性がある。80°より大きいとベルト端面41がベルト押さえローラ25の側面に衝突するので、ベルト押さえローラ25にブロックされて、ベルト40が円滑にベルト押さえローラ25とベルト搬送ローラ22,26の間に円滑に滑り込むことができない。またベルト押さえローラ25の側面でベルト端面41を損傷する危険性がある。望ましくは30°〜60°に設定するのがよい。取り付け基部24をベルト押さえローラ25の角度調整ができる構造にしてもよい。また、ベルト押さえローラ25を上下に揺動可能に取り付けるとともにベルト押さえローラ25の軸25cと旋回フレーム21もしくは補助フレーム23を弾性体(図示せず)で連結してベルト40が滑り込んできたときの衝撃を緩和できるようにしてもよい。
【0027】
本発明による蛇行修正のメカニズムをリターン側の蛇行調整装置30を例にとり図6、図7、図8に基づいて説明する。図6はベルト40と各ローラ間に作用する力を模式的に表したものである。即ち、ベルト40が蛇行してベルト搬送ローラ22とベルト押さえローラ25の間に挟まれたときに、ベルト40とベルト搬送ローラ22とベルト押さえローラ25に作用する力を表したものである。図7はベルト40が中立位置にあるときと距離S蛇行したときのベルト40の位置関係を表した図である。ベルト40が距離S蛇行してベルト搬送ローラ22とベルト押さえローラ25及びリターンローラ28の間に挟まれると、ベルト40には張力Tが作用し、ベルト押さえローラ25にはN1の反力が生じ、ベルト搬送ローラ22にはN2の反力が生じる。ベルト40には反力N1により抵抗力Rが生じ、抵抗力Rの反力として蛇行調整装置30を旋回させようとする旋回力Fが生じる。旋回基部12と旋回力Fの距離をLとすると、蛇行調整装置30には旋回力Fと距離Lの積即ちモーメントF×Lが作用して旋回する。図8は蛇行調整装置30が角度Θ旋回したときの図である。ベルト40が図7の中立位置から距離Sだけ蛇行すると図8のように角度Θだけ旋回する。キャリア側の蛇行修正メカニズムもリターン側と同じである。
【0028】
ベルト搬送ローラ22とベルト押さえローラ25の間隔、即ちロール間隔Mは、ベルト40の屈曲量、ゴム厚、帆布の種類と枚数、スチールの径などの仕様、ベルト押さえローラ25の径、ベルト搬送ローラ22の径、挟み角α、ベルト搬送ローラ25のテーパ量、想定される蛇行の大きさなどを考慮して決定することができるので適宜選択すればよい。一般的には、間隔Mは200〜1000mmがよい。200mmより小さいとベルト屈曲が大きくなりすぎる結果、大きな反力N1が生じてベルト押さえローラを曲げてしまう危険性がある。1000mmより大きいと反力N1が小さくなり適正な旋回力を得ることができなくなる。また、距離Lが大きくなるほど旋回角度Θは小さくなり、適正な旋回角を得る事ができないので蛇行調整能力が低下する。望ましくは300〜800mmがよい。ベルト押さえローラ25はベルト搬送ローラ22の上流側もしくは下流側のどちらに設けてもよい。上流側にベルト押さえローラ25を設置した場合は、蛇行調整装置30がベルト搬送ローラ22とベルト押さえローラ25でベルト40を挟んで保持しつつ旋回するが、旋回するにつれてベルト40を開放するので小さな力で小刻みに蛇行を修正できる特性がある。下流側にベルト押さえローラ25を設置した場合は、蛇行調整装置30が旋回するにつれてますますベルトがベルト搬送ローラ22とベルト押さえローラ25の間に滑り込んでくるので大きな力で蛇行を修正できる特性がある。ベルトコンベアの特性に応じて適宜選択できる。
【0029】
第2の解決手段を図6、図7に基づいて説明する。図6はリターン側にベルト押さえローラ25を2本設けた場合の側面図である。図7はキャリア側にベルト押さえローラ25を2本設けた場合の側面図である。即ちベルト押さえローラ25をベルト搬送ローラ22,26の上流側と下流側に各々1組ずつ配した蛇行調整装置である。ベルト押さえローラ25はベルト搬送ローラ22,26に対して対称に設けてもよいが、間隔M、挟み角度α、オーバーハング量W、オーバーハング高さHを違えてもよい。ただし、間隔Mは固定式のリターンローラ28や固定式のキャリアローラ29と緩衝しないように設置する必要がある。ベルト押さえローラ25をベルト搬送ローラ22,26の上流と下流に設置することにより、ベルト40の小さな蛇行に対しても強い抵抗力が生じるので蛇行調整装置30の旋回力は大きくなる。また、ベルト搬送ローラ22,26とベルト押さえローラ25の3本のローラでベルト40を確実に保持することができるので、ベルト40を保持した状態で蛇行調整装置30が旋回するので確実な蛇行調整が可能となる。
【0030】
第3の解決手段を図3、図4に基づいて説明する。ベルト押さえローラ25の先端部25bがベルト40にオーバーハングするように取り付けられている蛇行調整装置30である。オーバーハング量Wは10〜100mmがよい。10mmより小さいとベルト40が上下方向に変動したときに、ベルト押さえローラ25でベルト端面41を押さえることができない。最悪の場合ベルト端面41がベルト押さえローラ25の先端部25bに突っかかる危険性がある。100mmより大きいとベルト押さえローラ25の重量が大きくなり旋回フレーム21もしくは補助フレーム23に大きなたわみが生じ、ベルト端面41がベルト押さえローラ25とベルト搬送ローラ22、26の間に蛇行してきたときに、ベルト押さえローラ25が上方に跳ね上げられる危険性がある。望ましくは20〜80mmである。ベルト押さえローラ25の先端部25bとベルト40の高さ、即ちオーバーハング高さHは20〜100mmがよい。20mmより小さいとベルト押さえローラ25の先端部25bにベルト端面41が突っかかる危険性がある。100mmより大きいとベルト押さえローラ25の軸心25aとベルト搬送ローラ22、26の軸心22a、26aの挟み角度はαが大きくなり、ベルト40が蛇行したときにベルト押さえローラ25にベルト端面41が衝突したときに生じる衝撃が大きくなりベルト40やベルト押さえローラ25に損傷を与える危険性がある。望ましくは30〜80mmである。
【0031】
第4の解決手段は、前記ベルトコンベア架台10に設けた前記固定フレーム11と前記自動調心ローラ20の前記旋回フレーム21を弾性体50で結合している蛇行調整装置30である。弾性体50に使用する材料としてはバネ、ゴムなどが使用できる。バネはコイルバネ、皿バネ、タケノコバネなどが使用できる。図10に基づいて、弾性体50にコイルバネ54を使用したときの実施例を示す。固定フレーム11にバネ支持体51を設ける。バネ支持体51には長穴51aを設ける。旋回フレーム21に接続部52を取り付け長穴52aを設ける。ボルト53にピン57を取り付けて、ピン57を長穴52aに挿入するとともに、ボルト53をバネ支持体51の長穴51aに貫通させ、バネ54と押さえ板55を挿入してナット56で固定する。ナット56の締め付け量を調節することによりコイルバネ54の初期加重を設定する。弾性体50の緩衝作用により、ベルト押さえローラ25にベルト40が衝突して蛇行調整装置30を旋回開始させるときの衝撃を緩和できる。弾性体50はベルト40の蛇行を修正後は蛇行調整装置30を速やかに中立位置に復帰させる機能を有する。弾性体50にあらかじめ初期加重を付加することにより、ベルト40の幅方向の幅方向や上下方向のふらつきを吸収して蛇行調整装置30を旋回方向にふらつかせないようにする機能を有する。弾性体50のコイルバネ54に付加する初期加重は40〜400Nがよい。40Nより小さいと蛇行調整装置30の旋回のふらつきを抑えられない。400Nより大きいと旋回に対する弾性体50の抵抗が大きくなりベルト40の蛇行に応じた円滑な蛇行調整ができなくなる。図8に示すように、蛇行調整装置30が旋回するとベルト40が蛇行している側の弾性体50bのコイルバネ54は圧縮されて縮み、反対側の弾性体50aのコイルバネ54は開放されて伸びる。
【0032】
第5の解決手段は、前記ベルト押さえローラ25の径において中央部25dよりも先端部25bが細いテーパ形状である蛇行調整装置30である。図9(A)はベルト押さえローラ25の先端部25bを細く、後端部25cを太くしたテーパ形状の例である。テーパを大きくすることにより、ベルト40がベルト搬送ローラ22とベルト押さえローラ25の間に潜り込み易くなり、大きな抵抗力Rを得ることができる。図9(B)はベルト押さえローラ25の先端部25bは細く、中央部25dを太く、後端部25cを細くした2重テーパ形状の例である。先端部25bを中央部25dより細くすることにより、ベルト40がベルト搬送ローラ22、26とベルト押さえローラ25の間に潜り込み易くなる。後端部25cを中央部25dより細くすることにより、ベルト搬送ローラ22、26とベルト押さえローラ25の間にベルトが滑り込むときの急激な抵抗力の増大が緩和されるので、蛇行調整装置30が衝撃的に旋回するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】

図1はリターン側の蛇行調整装置の斜視図でありその一部分を断面した図である。
図2はリターン側の蛇行調整装置の平面図でありその一部を断面した図である。
図3はリターン側の蛇行調整装置の正面図でありその一部分を断面した図である。
図4はキャリア側の蛇行調整装置の正面図である。
図5はキャリア側の蛇行調整装置の平面図でありその一部を断面した図である。
図6はリターン側にベルト押さえローラ25を2本設けた場合の側面図である。
図7はキャリア側にベルト押さえローラ25を2本設けた場合の側面図である。
図8はベルトと各ローラ間に作用する力を模式的に表したものである。
図9はベルトが中立位置にあるときと蛇行したときのベルトの位置関係を表した図である。
図10は蛇行調整装置30が角度Θ旋回したときの図である。
図11(A)、(B)はベルト押さえローラ25のテーパ形状の例である。
図12は弾性体の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
10:ベルトコンベア架台、11:固定フレーム、12:旋回基部、20:自動調心ローラ、21:旋回フレーム、22:ベルト搬送ローラ(リターン側)、23:補助フレーム、24:取り付け基部、25:ベルト押さえローラ、26:ベルト搬送ローラ(キャリア側)、27:センターベルト搬送ローラ(キャリア側)、28:リターンローラ、29:キャリアローラ、30:蛇行調整装置、40:ベルト、41:ベルト端面、50:弾性体、51:バネ支持体、52:接続部、53:ボルト、54:コイルバネ、55:押さえ板、56:ナット、α:挟み角度、Θ:旋回角度、S:蛇行量、R:抵抗力、F:旋回力、T:張力、N1:ベルト押さえローラにかかる反力、N2:ベルト搬送ローラにかかる反力、L:旋回基部と旋回力Fの距離、H:オーバーハング高さ、W:オーバーハング量、M:ロール間隔
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベア架台に設けられた固定フレーム上に旋回基部を設け、該旋回基部で旋回可能に軸支される旋回フレームと、該旋回フレームに転動可能に支持されるベルト搬送ローラを旋回せしめてベルトの蛇行を調整する自動調心ローラにおいて、前記自動調心ローラの旋回フレームもしくは該旋回フレームに設けた補助フレームに、ベルトの両側に対向するように各々取り付け基部を設け、該取り付け基部にベルト押さえローラを転動可能に且つ前記ベルト搬送ローラに所定間隔を設けて配するとともに、該ベルト押さえローラの軸心と前記ベルト搬送ローラの軸心の形成するベルト側に面する挟み角度が鋭角であることを特徴とする蛇行調整装置。
【請求項2】
前記ベルト押さえローラを前記ベルト搬送ローラの上流側と下流側に各々1組ずつ配したことを特徴とする請求項1記載の蛇行調整装置。
【請求項3】
前記ベルト押さえローラの先端部がベルトにオーバーハングするように取り付けられていることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の蛇行調整装置。
【請求項4】
前記ベルトコンベア架台に設けた前記固定フレームと前記自動調心ローラの前記旋回フレームを弾性体で結合していることを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3記載の蛇行調整装置。
【請求項5】
前記ベルト押さえローラの径において中央部よりも先端部が細いテーパ形状であることを特徴とする請求項1及び請求項2記載及び請求項3及び請求項4記載の蛇行調整装置。

【公開番号】特開2009−57205(P2009−57205A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258053(P2007−258053)
【出願日】平成19年9月1日(2007.9.1)
【出願人】(504132962)
【Fターム(参考)】