説明

蛍光ランプ、電球形蛍光ランプおよび照明器具

【課題】発光管の破損を抑制した蛍光ランプ、電球形蛍光ランプを提供する。
【解決手段】 管径が細く長い直管ガラスを連結させた構造強度の弱い発光管10であっても、バルブ間に硬度60JIS・A程度のシリコーン樹脂を介在させているとともに、シリコーン樹脂は略中心部分で切断されているので、取り付け取り外しなどの際に発生する外部からの圧力を受けたとしてもシリコーン樹脂によりその圧力を吸収するとともに、バルブ熱変形によるバルブの破損を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本連結したバルブ間にスペーサーを介在させた蛍光ランプ、電球形蛍光ランプおよび照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電球形蛍光ランプは一般白熱電球に相当する程度にまで小形化され、一般白熱電球用器具の光源を電球形蛍光ランプに置換えるという需要が促進されてきている。他方、商業施設、スポーツ施設など比較的高位置から下方の広い領域を照射する場合には、大きい光出力が必要とされており、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどのHIDランプ(高輝度放電ランプ)が多く採用されているが、これらHIDランプに代えて片口金タイプのコンパクト形蛍光ランプを使用することが提案されている。(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−217506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特に特許文献1の蛍光ランプは、HIDランプの外観寸法を等しくしながら、同レベルの光束を得るために、屈曲形発光管の直管部の長さを長くして放電路長を確保している。このため、照明器具本体に取り付けようとして発光管先端部を強く握ると、バルブは直管部と交差する方向に力が加えられて変形したり、あるいは隣り合うバルブ同士がぶつかったりして破損するおそれがある。そのため、バルブ間にシリコーン樹脂などからなるスペーサーを介在させることでバルブの破損を抑制している。
【0004】
しかし、バルブ間に介在させたシリコーン樹脂とバルブの接着強度が強く、点灯中の熱影響を受けてバルブが熱変形することで、バルブ間に介在しているシリコーン樹脂により、バルブの変形を抑制する方向に力が加わることでバルブが損傷するなどの不具合が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、発光管の破損を抑制することができる蛍光ランプ、電球形蛍光ランプを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の電球形蛍光ランプは、一対の直線部および屈曲部を有するU字状に屈曲形成した複数のバルブを連結するとともに、各バルブの全直線部が非同一線上に位置するように配設されている発光管と;相互に隣接するバルブ直線部間に介在しておりその中間またはバルブとの接合部において離間可能に取り付けられたスペーサーと;一端側で発光管を保持するとともに、発光管の電極から導出されたワイヤと電気的に接続される導電部を有する口金を他端側に備えたカバー体と;を具備していることを特徴とするものである。
【0007】
蛍光ランプの着脱の際、発光管先端を握って作業することが多いため、発光管バルブ直管部と交差する方向に圧力が加わりやすく、バルブが損傷するという問題を生じやすくなる。さらに、発光管を構成するバルブ長やバルブ肉厚、バルブ径が異なることで構造強度が変化する。
【0008】
例えば、管外径11.4mm以下、肉厚0.7mm以下の直管ガラスであっても139mm以下の長さであれば、全長が比較的短いため肉厚が薄くて細いバルブであってもバルブ損傷の発生は少ない。一方、バルブ長が140mm以上、バルブ外径11.5mm以上、肉厚0.8mm以上であるようなバルブ全長が長いバルブであっても、バルブ径が太く管径が大きいバルブであれば比較的構造強度は保たれるため、バルブ損傷は減少する。
【0009】
このように、様々な条件においてバルブの強度変化が生じる。特にバルブ構造強度が比較的弱いバルブ肉厚が0.5〜0.8mm、管径11.4mm以下、バルブ長140mm以上のランプにおいては、構造強度を補強するために、外部からの押圧などによる圧力を吸収し、緩和する作用を有するスペーサーをバルブ先端側に介在させることが望ましい。
【0010】
また、1本の放電路を屈曲形成してなるとともに、複数の直線部の一端部を保持部により保持された発光管において、点灯中の熱影響を受けて反り返すことがある。このため、特に吹き破りなどにより連結している場合、直線部よりも肉厚の薄い連結部において破損を生じやすい。
【0011】
また、点灯中の熱影響はバルブの熱変形や、蛍光ランプからの紫外線を受けて、スペーサーは劣化しやすい傾向にある。特に、点灯中の熱影響を受け、隣接する直管部間に介在しているスペーサーは、隣接する直管それぞれに接合している場合、バルブの熱変形によりスペーサーが引っ張られたり、紫外線などの熱影響を受け、スペーサーはランプの寿命前に硬化し、バルブとの接着強度が弱まり、スペーサーが落脱するおそれがある。しかし、隣接するバルブ直線部間の中間またはバルブとの接合部にて離間可能にスペーサーを取り付けることで、特にバルブ熱変形によって繰り返されるスペーサー拡張、収縮動作による硬化劣化も抑制することができる。
【0012】
なお、中間またはバルブとの接合部にて離間可能に取り付けられたスペーサーとは、例えば図1(a)に示すように、隣接する一対のバルブ直線部それぞれにスペーサーを取り付け、一対の直線部間で接触または、近接するよう取り付けられているものの、バルブの熱変形に伴い、スペーサーに隙間の形成が可能となることをいう。すなわち、熱変形によるバルブ拡開においては拡開を許容するものの、直線部間の間隔が狭まる方向には規制するよう形成されていないものをいう。また、図1(b)に示すように隣接する一対のバルブ直線部のうち少なくとも一方側の直線部のみにスペーサーを取り付け、一方側の直線部に取り付けたスペーサーを他方の直線部に接触または近接するよう介在させたものも含まれる。さらに、図1(c)に示されるように、隣接する直線部に取り付けられたそれぞれのスペーサーが近接する方向に取着されているものであっても構わない。なお、図1においてバルブ先端側に取り付けられたスペーサーを用いて幾つかの変形例を説明したが、バルブ直線部に取り付けられたスペーサーであれば、直線部のどの領域に取り付けたものにおいても同様の作用効果を奏する。
【0013】
このように、着脱作業における外部からの圧力を緩和させるとともに、点灯中の熱影響によるバルブ変形を抑制するためには、バルブ先端側にスペーサーを介在させることでこのような問題を解決することができる。
【0014】
発光管を構成する屈曲バルブは、直管ガラスのほぼ中央部を加熱溶融し、屈曲するか、または直管ガラスをモールド成形することによってU字状に屈曲した形状に形成される。ここで、「U字状に屈曲形成された」とは、放電路が屈曲部で折り返されて放電が屈曲するように直管バルブが形成されていることを意味し、屈曲部が湾曲状または円弧状に形成されたものに限定されず、屈曲部が角形状や尖鋭状に形成されたものも含むという意味である。要するに、放電路が屈曲するように直線部の一端同士が連続するように形成されたバルブを意味する。また、屈曲バルブは、ほぼ平行な2本の直線部の一端同士を吹き破りなどによって形成された連通管によって接続されたものであってもよい。
【0015】
発光管は、管内に形成された蛍光体膜が放射する紫外線または発光管内に形成された蛍光体膜が照射する可視光を透過可能であれば、材質、形状および寸法は限定されない。一般的には環境、経済性および加工性などの理由からソーダライムガラスが使用されることが多い。
【0016】
電極は、通常フィラメントコイルを備えた熱陰極が使用されるが、本発明は冷陰極、電子放射物質を有するセラミック電極などでも構わない。
【0017】
バルブ間に介在させるスペーサーとしては、耐熱性、紫外線劣化しにくいものであれば、シリコーン樹脂、フィラー、プラスチックなどであっても構わない。
【0018】
請求項1記載の蛍光ランプによれば、バルブ径が細く、バルブ長の長い発光管を複数本連結したランプであっても、バルブ先端側にスペーサーを介在させているので、発光管先端部を強く握ってランプ取り付け取り外しをしたとしても各バルブには直管部と交差する方向に力が加えられ変形、あるいは隣り合うバルブ同士がぶつかって破損することを抑制することができる。さらに、隣接する直線部間介在されたスペーサーの中間またはバルブとの接合部において離間可能に介在しているので、熱影響によるバルブ変形に伴う圧力を受けることによるバルブ損傷を抑制することができる。
【0019】
請求項2記載の形蛍光ランプは、請求項1記載において、相互に隣接するバルブ間に位置するとともに複数のバルブを連結している部分よりも屈曲部側領域にスペーサーを介在していることを特徴とするものである。
【0020】
発明者らは管径が細く長いバルブを連結させたランプにおいて、特に発光管にクラックが発生する要因を検証した。その結果、屈曲バルブの肉厚、管径、および直管部の長さなどと相関があることが明らかになった。また、外的圧力の影響のほかにも、複数のバルブを連結してなる発光管においては、連結部分にガラスしわや肉溜りなどが発生し、ガラス残留歪が発生しやすく、急激な温度変化もその要因となることがわかった。これら問題点を解決するために発光管を構成する直管部の長手方向の中間領域にスペーサーを介在させることで効率的にバルブ損傷を抑制することができる。なお、発光管長手方向の中間領域に介在させるスペーサーの有効な領域をグラフ1に示す。
【グラフ1】
【0021】

【0022】
グラフ1に示された推奨値60kg/cm2とは、発光管の製造における連結管付近の残存歪の平均値である。点灯中の熱影響を受け、熱変形することで、残存歪平均値よりも大きくなることで損傷しやすくなる。したがって、点灯中の熱影響を受けて発光管が熱変形したとしても、連結管近傍領域の残存歪が60kg/cm2以上にならない領域にスペーサーを介在させることが望ましく、連結管から60mm以内の領域にスペーサーを介在させることで、点灯中の熱変形によってバルブ損傷が抑制されることがわかった。
【0023】
請求項2記載の蛍光ランプによれば、請求項1記載の作用効果に加え、管径が細く長い直管部を有するランプにおいて、直管部の長手方向の中間領域にもスペーサーを介在させているので一層バルブ破損を抑制することができる。さらに、スペーサーは点灯時の直管ガラスが離間するよう反る減少を抑制する作用も奏し、ガラスバルブの破損を抑制することができる。
【0024】
請求項3記載の蛍光ランプは、請求項1または2記載の蛍光ランプの少なくともバルブと接合しているスペーサーの硬さは40〜90JIS Aであることを特徴とするものである。
【0025】
硬化したスペーサーは、隣接するバルブ間に充填した場合、点灯時の発熱などによって、ガラスバルブの熱変形や、熱伝導性物質の熱膨張差により応力が加わることで、ガラスバルブの強度の弱い領域である肉薄部や製造歪が残る領域などにクラックを発生させるおそれがあることがわかった。
【0026】
少なくともバルブと接合しているスペーサーの硬さを所定値以下にすることでランプ取着時などの外部圧力を十分耐えることができる。
【0027】
スペーサーの硬度は、日本工業規格の「JIS K 6253」の測定方法で規定されたものである。
【0028】
スペーサーの硬さが40JIS A以下であると、ランプ着脱における外部からの圧力を受けた場合、スペーサーにより圧力を吸収するものの、スペーサーがやわらかすぎてガラスバルブにも圧力が加わるため、バルブの損傷を抑制することが難しい。一方、スペーサーが90JIS Aよりも硬い場合、外部圧力を受けた場合、スペーサーの柔軟性が乏しくなるため、その圧力をスペーサーにより吸収することが難しく、バルブ損傷を抑制することが難しい。さらに、蛍光ランプから照射される紫外線を受けて、スペーサーが一層硬化することで、バルブとの接着強度が弱まり、点灯中にスペーサーが落脱するなどの問題も発生する。
【0029】
請求項3記載の電球形蛍光ランプは、スペーサーの硬さが40〜90JIS A以下であるので、外部応力が発光管に加わったとしてもガラスバルブに不具合が発生することを抑制できる。
【0030】
請求項4記載の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし3いずれか一記載の蛍光ランプと;基板および基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記蛍光ランプに出力する点灯装置と;前記点灯装置を収容しているカバー体と;を具備していることを特徴とするものである。
【0031】
請求項4記載の電球形蛍光ランプによれば、請求項1ないし3いずれか一記載の発明の作用を有する蛍光ランプを備えた電球形蛍光ランプを提供することができる。
【0032】
請求項5記載の照明器具は、請求項1ないし4いずれか一記載の蛍光ランプと;この蛍光ランプが装着された器具本体と;を具備していることを特徴とするものである。
【0033】
請求項5記載の照明器具は、請求項1ないし4いずれか一記載の作用を有することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態における定格電力85Wのコンパクト形蛍光ランプを示す正面図、図3は図2のコンパクト蛍光ランプの発光管展開図である。
【0036】
図2に示すコンパクト形蛍光ランプは、ガラス製の発光管10と、この発光管の端部に設けられた樹脂製の口金20とを備えている。
【0037】
発光管10は、管外径15.5mmの2本の直管ガラス端部の先端近傍を加熱溶融させ吹き破りによりH字状に繋ぎ合わせて屈曲バルブ11a,11b,11c,11d端部近傍を連結管12a,12b,12cにより4本連結させている。なお、屈曲バルブ11a,11b,11c,11dを4本連結されたバルブ幅は69mmとなるよう発光管長手方向を中心軸とする円周上に直管ガラスを配置し、1本の屈曲した放電路が形成している。加熱溶融させ吹き破りにより連結させた屈曲バルブ先端からつなぎ部上端13a,13b,13c,13dまでの距離は、約10mm離間するよう形成している。なお、隣接する屈曲バルブ間における各バルブのつなぎ部13a,13b,13c,13dと同等高さには、スペーサーとしての熱伝導性に優れたシリコーン樹脂30a,30b,30cが介在している。なお、屈曲バルブ側に取り付けられたシリコーンは、隣接するバルブそれぞれに接合しているとともに、シリコーン中間領域において切断されている。さらに、各バルブを連結している口金側の連結管からシリコーンまでの距離を100mmにもシリコーン取り付け幅を10mmとなるよう硬度60JIS・Aのしコーンを取り付けている。
【0038】
発光管10の両端部には、フィラメントコイルからなる電極40が形成されている。また、発光管10の内面に例えば図示しない3波長形の蛍光体層および保護膜が形成され、発光管10の内部にアルゴンなどの希ガスや水銀などを含む封入ガスが封入されている。なお保護膜は、例えば可視光線を透過する金属酸化物からなる透明性の金属酸化物としてのZnOおよびTiO2を主体として形成されている。
【0039】
本実施の形態のランプに使用のアマルガム50は、アマルガム温度が25℃の時に0.6Paの水銀蒸気圧を有するBi-Sn-Hgからなり、バルブ端部11bに封着された細管内14に封入されている。なお、本実施の形態において水銀媒体としてBi-Sn-Hgからなるアマルガム50を使用しているが、最冷部温度、入力電力などにより点灯中の管内の蒸気圧を最適に制御可能であれば、特に限定されない。
【0040】
電極40および細管14が封着されたバルブ端部側を図示しないシリコーン樹脂などによりカバー体60に接着することでコンパクト形蛍光ランプが組み立てられる。
【0041】
なお、発光管の先端側に取り付けるスペーサーとして着脱時に受ける圧力による破損抑制可能な硬さの範囲を導き出すために、いくつかの実験を行なった。本実施の形態において、装着時に受けるスペーサーのねじり強度(トルク)を測定したものである。なお、発光管先端部を握って着脱を行なうコンパクト形蛍光ランプにおいては、発光管先端部の強度2Nm以上であればその圧力によるバルブ破損を抑制できるといわれている。
【0042】
図4からもわかるように、ねじり強度が2Nm以上保つには、30JIS・A以上の硬度を有するシリコーン樹脂を使用する必要がある。2Nmよりも小さいと着脱時の圧力に耐えられず、破損するおそれがあるからである。したがって、バルブ間に介在させるスペーサーの硬さは30JIS・A以上であることが好ましく、より好ましくは、40JIS・A〜90JIS・Aである。なお、スペーサーが90JIS・Aよりも硬いシリコーンを使用した場合、点灯中の経時劣化によりランプの寿命前にバルブとの接合強度が弱まり点灯中のバルブ熱変形によって落脱するおそれがある。
【0043】
次に、ねじり強度が保てる硬度60JIS・Aのシリコーン樹脂を取り付けた本実施の形態のコンパクト形蛍光ランプを長時間点灯させ、シリコーンの劣化およびバルブ熱変形等検証した結果、1000時間以内の点灯時間において、100本中1本の破損も生じなかった。なお、破損していないランプの発光管の歪を測定したところ、初期と殆んど同じ60kg/cm2であった。
【0044】
以上のように本実施形態のコンパクト形蛍光ランプは、ランプ電力が85W、ランプ電流は0.44mA、ランプ電圧は193Vとなり、発光管からの光出力により全光束が約6200lmとなっている。
【0045】
このように、管径が細く、長い直管ガラスバルブを連結させた発光管を有する比較的構造強度の弱い本実施の形態のコンパクト形蛍光ランプは、バルブ間に硬度60JIS・A程度のシリコーン樹脂を介在させているので、取り付け取り外しなどの際に発生する外部からの圧力を受けたとしてもシリコーン樹脂によりその圧力を吸収することができる。したがって、外部圧力によるバルブの破損を抑制することができる。
【0046】
さらに、隣接するバルブ間に介在しているとともに一対の直線部にそれぞれ取り付けられたシリコーン樹脂の略中間領域に切り込みを形成しているので、点灯中の熱影響を受けて、隣接するバルブ間隔が広がる方向に反り返しても隣接したバルブ間に介在させたシリコーン樹脂の切り込み空間は広がるものの、バルブの熱変形によるシリコーン変形を抑制することができる。
【0047】
なお、本実施の形態において隣接する全てのバルブ間屈曲側にシリコーン樹脂30a,30c,30cを介在させるが、必要に応じて発光管10を構成する隣接する全ての直管部の長手方向中央領域にもスペーサーを介在しても構わない。さらになお一層のランプ構造強度を高める必要があるときは、屈曲バルブを連結する連結管側の屈曲バルブを構成する直管部間にもシリコーン樹脂を介在させても構わない。
【0048】
さらに、図5に示すように直管バルブ11の長手方向と略直交する面であるとともに全ての直管バルブ11に囲まれた空間の少なくとも一部に板状のバルブ支持板31を介在させ、支持板を所望の固さのシリコーン樹脂30により固着しても構わない。なお、バルブ支持板31を2等分するよう切断されている。
【0049】
図6は、本発明第2の実施の形態をとしての電球形蛍光ランプを示す正面図、図7は図6の発光管展開図である。
【0050】
図において図2または図3と同一部分については同一符号を付して説明する。
【0051】
電球形蛍光ランプは、1本の放電路を有する発光管10と、発光管10を点灯させるための図示しない点灯装置を収納し、一端に口金20が装着されたカバー体60より構成されている。
【0052】
カバー体60は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの白色の耐熱性合成樹脂などにて、発光管10側に拡開する略円筒状に形成されている。
【0053】
また、口金20は、エジソンタイプのE26型で、点灯装置との配線後にカバー体60の一端部に被せられ、接着剤またはかしめなどにより固定されている。
【0054】
また、仕切体は、カバー体60の他端の開口部に取り付けられるもので、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂材料にて円板状に形成されている。仕切体には、発光管10が挿通される図示しない複数の取付孔が形成され、これら取付孔に発光管10を構成する屈曲バルブ11a,11b,11c,11d,11eの端部が挿通された状態で例えばシリコーン樹脂などの接着剤で固定される。
【0055】
また、この屈曲バルブ11a,11b,11c,11d,11eの内面に例えば3波長形の蛍光体が形成され、屈曲バルブ11a,11b,11c,11d,11eの内部にアルゴンなどの希ガスや水銀などを含む封入ガスが封入され、発光管10の両端に一対の電極40がピンチシールによって封装されている。
【0056】
発光管10は、高さ方向の異なる5本のU字状屈曲形バルブ11a,11b,11c,11d,11eを所定の位置に配置し、連通管12a,12b,12c,12dを介して順次接続することによって、1本の放電路が形成されている。
【0057】
5本の屈曲バルブ11a,11b,11c,11d,11eは、バルブの直線部が円周上に位置するように配設し、各バルブのU字面が平行するように配設されている。
【0058】
各屈曲バルブ11a,11b,11c,11d,11eは、管外径が約11mm、管内径が約9.4mm、肉厚が約0.8mmの無鉛ガラス製で、直管ガラスバルブの中間部を滑らかに湾曲するように高さ200〜240mm程度に屈曲形成したものであり、屈曲部を備えた略U字状に形成されている。この屈曲部は、直管ガラスバルブの中間部を加熱して屈曲した後、屈曲バルブの屈曲箇所を成形型に入れ、バルブ内部を加圧することによって所望形状に成形される。
【0059】
また、少なくとも一の屈曲バルブの端部11bには、細管14が連通状態で突設されている。この細管14の一部を通じて排気されるとともに、封入ガスが封入されて水銀蒸気圧を周囲温度25℃で0.6Pa以下となるように置換された後、各細管14を溶断して封止される。なお細管14内には、比較的水銀蒸気圧が水銀の蒸気圧に近い水銀蒸気圧特性を有するBi−Sn−Hgからなるアマルガム50が封入されている。
【0060】
なお、屈曲バルブ11a,11b,11c,11d,11eの屈曲部と直線部の境界領域近傍であるとともに隣接するバルブ間には、スペーサーとしての熱伝導性に優れたシリコーン樹脂30a,30b,30c,30dが介在している。シリコーン樹脂は、隣接する一対の直線部の一方側のみに接合しており、他方側の直線部とスペーサー間には接触しておらず、空間を有している。
【0061】
点灯装置は、カバー体60内に配置される図示しない略円板状の回路基板を備え、この回路基板の口金20側の一面、あるいは口金20側と発光管10側との両面に複数の電気部品が実装されて、発光管10を高周波点灯させるインバータ回路つまり、高周波点灯回路が構成されている。
【0062】
本実施形態の電球形蛍光ランプは、ランプ電力が120W、ランプ電流は0.44mA、ランプ電圧は273Vとなり、発光管からの光出力により全光束が約9000lmとなっている。
【0063】
本実施の形態の電球形蛍光ランプによれば、点灯中の熱影響を受けて、細く長い5本の並列配置しているバルブは、隣接するバルブ間隔が広がる方向に反り返す。しかし、隣接したバルブ間に介在させたシリコーンは、隣接する一対の直線部の一方側のみに取り付けられているので、バルブの熱変形によりシリコーン樹脂が引っ張られる方向とは異なる方向の圧力が加わることによりバルブが受ける応力が抑制されるので、バルブ損傷の発生はない。
【0064】
図8は、本発明の照明器具の一実施形態を示す側面断面図である。
【0065】
図においてLはコンパクト形蛍光ランプである。70は埋め込み形照明器具本体であり、器具本体70は基体71とソケット72と反射板73から構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】スペーサーとバルブの接合部の拡大図。
【図2】本実施の形態のコンパクト蛍光ランプを示す側面図。
【図3】図2のコンパクト蛍光ランプの発光管展開側面図。
【図4】スペーサー硬度とねじり強度を示すグラフ。
【図5】スペーサーとバルブ接合部の拡大図。
【図6】本実施の形態を示す電球形蛍光ランプの側面図。
【図7】本実施の形態の電球形蛍光ランプを示す側面図。
【図8】本発明照明器具の一実施形態を示す側面一部断面図。
【符号の説明】
【0067】
1…カバー体、2…ホルダ、3…蛍光ランプ、4…点灯装置、
5…グローブ、6…アマルガム、30…スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の直線部および屈曲部を有するU字状に屈曲形成した複数のバルブを連結するとともに、各バルブの全直線部が非同一線上に位置するように配設されている発光管と;
相互に隣接するバルブ直線部間に介在しておりその中間またはバルブとの接合部において離間可能に取り付けられたスペーサーと;
一端側で発光管を保持するとともに、発光管の電極から導出されたワイヤと電気的に接続される導電部を有する口金を他端側に備えたカバー体と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
相互に隣接するバルブ間に位置するとともに複数のバルブを連結している部分よりも屈曲部側領域にスペーサーが介在していることを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
少なくともバルブと接合しているスペーサーの硬さは40〜90JIS Aであることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一記載の蛍光ランプと;
基板および基板に実装された電子部品を有し、高周波電力を前記蛍光ランプに出力する点灯装置と;
前記点灯装置を収容しているカバー体と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか一記載の蛍光ランプまたは電球形蛍光ランプと;
前記蛍光ランプまたは電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−92836(P2006−92836A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275044(P2004−275044)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】