説明

蛍光ランプ点灯装置および照明器具

【課題】
新規蛍光ランプに交換した際に、その交換が視覚的に認知できて、所望により点灯初期に行う設備完成時の確認がしやすい初期照度補正制御を行う蛍光ランプ点灯装置およびこれを備えた照明装置を提供する。
【解決手段】
蛍光ランプ点灯装置FOCは、高周波点灯回路HFOと、これを制御して蛍光ランプを調光点灯させる調光制御回路DCCと、新規蛍光ランプの点灯開始から移行期間を経て初期照度補正制御期間に入り、移行期間においては最初に照度が高い初期点灯状態から開始し、次に前記初期点灯状態よりも照度が低い調光点灯に移行して順次所定の低減照度値まで照度が低減していき、初期照度補正制御期間においては上記低減照度値を維持する目標照度特性が設定され、累積点灯時間を計時してその経過に応じて調光制御回路を目標照度特性に沿って制御して蛍光ランプを調光していく初期照度補正制御回路ICCとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、初期照度補正制御回路を備えた蛍光ランプ点灯装置およびこれを備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
放電灯を点灯させるとともに放電灯への供給電力を制御可能な放電灯点灯装置と、この装置への給電時間を放電灯の点灯時間として計時する点灯時間タイマと、最初から放電灯による初期照度を予め所定の値まで低減しておき、放電灯の点灯時間の経過に伴う光束低下を抑制するように点灯時間タイマにより計時された点灯時間に応じて放電灯への供給電力を徐々に増加して、初期照度を維持していくように放電灯点灯装置へ指示する照度補正装置とを一つの器具に備えて照明器具ごとに初期照度補正制御を行えるように構成した照明装置は、既知である(特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1においては、初期照度の所定の値が例えば70%に設定され、平均寿命の例えば12000時間に至るまで点灯時間を計時していくように構成されている。また、特許文献1には、放電灯の交換時に点灯時間タイマを0にリセットする必要があることから、放電灯のエミレス状態が検出されたとき、無負荷状態が検出されたとき、または電源のオンオフが規定手順であるときに、それぞれ点灯時間タイマを自動的にリセットさせたり、あるいは機械的に操作されるリセットスイッチによってリセットしたりすることなどが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭64−089287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、点灯初期の無駄な明るさに慣れている使用者は、新規蛍光ランプに交換した際に最初から低減照度値で点灯すると、暗くなったと誤解して違和感を生じてしまうという問題のあることが分かった。
【0006】
一方、照明設備の配設される空間の電源設計は、通常100%の照度となるような電力を基準にして設定されるが、点灯初期から低照度になる従来の初期照度補正制御方式を導入している照明設備の場合、照明設備の完成時に行う確認検査時に何ら電源容量の異常が認められないのに、後日蛍光ランプの寿命が進展して低減照度を維持するための点灯電力が多くなった段階で、電源容量が設計値をオーバーする事態が発生し得る虞があった。
【0007】
本発明は、新規蛍光ランプに交換した際に、その交換が視覚的に認知できて、所望により点灯初期に行う設備完成時の確認がしやすい初期照度補正制御を行う蛍光ランプ点灯装置およびこれを備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の蛍光ランプ点灯装置は、蛍光ランプを高周波点灯する高周波点灯回路と;高周波点灯回路を制御して蛍光ランプを調光点灯させる調光制御回路と;新規蛍光ランプの点灯開始から移行期間を経て初期照度補正制御期間に入り、移行期間においては最初に照度が高い初期点灯状態から開始し、次に初期点灯状態よりも照度が低い調光点灯状態に移行して順次所定の低減照度値まで照度が低減していき、初期照度補正制御期間においては上記低減照度値を維持する目標照度特性が設定されていて、累積点灯時間を計時してその経過に応じて調光制御回路を目標照度特性に沿って制御して蛍光ランプを調光していく初期照度補正制御回路と;を具備していることを特徴としている。
【0009】
本発明の理解を容易にするために、主な構成および作用について以下説明する。
【0010】
〔蛍光ランプについて〕 蛍光ランプは、気密容器の内部に形成された放電路の両端に一対の電極を備えている。一対の電極は、好ましくはその少なくとも一方がフィラメントを備えている。フィラメントには電子放射性物質すなわちエミッタが担持され、フィラメントの赤熱により熱電子を放出するように構成されている。フィラメントは、その両端が導入線を介して気密容器の外部へ導出されているので、蛍光ランプの始動に先立ちフィラメント予熱電流が一対の導入線を経由してフィラメントに通流することによって予熱されて赤熱すると、電極が熱電子放射状態になるので、その結果蛍光ランプの始動が容易になる。
【0011】
また、蛍光ランプは、その気密容器の内部に水銀および希ガスなどの放電媒体が封入されていて、放電時に紫外光を放射する。さらに、蛍光ランプは、蛍光体層を備えていて、放射された紫外光が蛍光体層中の蛍光体を励起させるので、蛍光体層が可視光などを発光して照明に寄与する。
【0012】
〔高周波点灯回路について〕 高周波点灯回路は、蛍光ランプを高周波点灯する回路手段であり、高周波発生回路および負荷回路を備えている。高周波発生回路は、好ましくは定電力制御形である。また、所望により蛍光ランプのフィラメント電極加熱回路などを備えることができる。
【0013】
高周波発生回路は、商用交流電源などの低周波交流を高周波交流に変換する。そして、高周波出力を制御、例えば定電力制御する回路手段であり、例えば整流化直流電源、定電力化された直流を得る直流−直流変換回路およびインバータなどの直流−交流変換回路を主体として構成することができる。なお、定電力制御は、直流−直流変換回路の出力電圧を定電圧化し、かつ定電流化するように制御すれば実現することができる。また、直流−直流変換回路として好ましくはチョッパ回路、例えば昇圧チョッパを用いるのがよい。さらに、直流−交流変換回路は、インバータなどどのような構成であってもよい。
【0014】
また、高周波発生回路は、直流−直流変換回路や直流−交流変換回路などの変換回路の主回路と、この主回路に対して駆動信号を供給する高周波制御回路とを具備するのが一般的である。
【0015】
さらに、インバータを用いて直流を高周波に変換する場合、どのような回路方式のインバータであってもよい。例えば、並列インバータ、ハーフブリッジインバータ、一石式インバータなどを用いることができる。また、インバータは、自励式および他励式のいずれであってもよいが、好ましくは他励式である。
【0016】
負荷回路は、高周波発生回路の高周波出力端に接続し、蛍光ランプを接続する回路手段であり、蛍光ランプに流れるランプ電流を安定化させる限流インピーダンスを含んでいる。また、蛍光ランプに印加される高周波電圧を正弦波に変換する回路手段を備えている。なお、限流インピーダンスとしては、適当なインピーダンス、例えばインダクタンスからなる。インダクタンスを限流手段とする場合、チョークコイルやトランスの漏洩インダクタンスなどを利用することができる。
【0017】
所望により採用されるフィラメント電極加熱回路は、蛍光ランプのフィラメント電極の加熱を行うための回路手段であり、蛍光ランプのフィラメント電極加熱電力を供給するように構成されているが、具体的な回路構成は特段限定されない。例えば、フィラメント加熱トランスやコンデンサインプット形フィラメント電極加熱回路を用いることができるが、フィラメント加熱トランスを用いる方が、制御が容易であるので好ましい。
【0018】
〔調光制御回路について〕 調光制御回路は、高周波点灯回路を制御して蛍光ランプを調光点灯させるための回路手段である。なお、調光方式には例えば周波数制御式、PWM制御式などが既知であるが、所望により選択的に採用することができる。前者の方式においては、高周波点灯回路の高周波電圧の周波数を変化させて限流手段のインピーダンスを制御して調光を行わせる。後者の方式においては、高周波電圧が出力される期間(オンデューティ)を変化させて実効電圧を制御して調光を行わせる。
【0019】
また、調光制御回路は、初期照度補正制御のためにのみ蛍光ランプの調光制御を行うのであってもよいが、好ましくは初期照度補正制御および任意調光制御のいずれにも対応するように構成される。任意調光制御に対応するために、蛍光ランプ点灯装置に専用の調光制御端子を導出して、調光制御線に接続するように構成することができる。
【0020】
〔初期照度補正制御回路について〕 初期照度補正制御回路は、調光制御回路と協働して初期照度補正制御を予め設定した目標照度特性に沿って実行する回路手段である。
【0021】
本発明において、目標照度特性は次のように構成されている。すなわち、目標照度特性は、新規(新品)蛍光ランプの点灯開始から想定設定寿命到達時までの全点灯期間を移行期間と初期照度補正制御期間とに分けて設定される。
【0022】
移行期間は、新規蛍光ランプの点灯開始から所定の点灯時間までの期間であり、新規蛍光ランプの点灯開始から全点灯期間の約5〜15%程度の範囲内で任意に設定される。例えば移行期間を1000時間に設定することができる。移行期間が上記の程度であれば、蛍光ランプの目標照度特性に沿った照度変化が人に違和感を与えることが回避できる。
【0023】
また、移行時間中の点灯のモードとしては、所望により点灯初期に蛍光ランプが所定時間照度が高い初期点灯状態となり、続いて調光点灯に移行して、照度が高い初期点灯状態から低減照度値、例えば70%に向けて順次低減していくように設定することができる。なお、照度が高い初期点灯状態の時間は、所望により移行期間の約10%程度以下の範囲内で設定することができる。この程度の時間であれば、照明設備の完成時に電源設計と実使用の電源容量の確認額実に行える。しかし、照度の高い初期点灯状態を持続させないで、照度の高い初期点灯状態から低減照度値まで連続的にまたは段階的に低減させていくのであってもよい。
【0024】
初期照度補正制御期間は、初期照度補正制御移行期間に続く期間であり、全点灯期間から移行期間を除いた残余の期間であり、この期間においては初期照度補正制御が行われる。初期照度補正制御の際の目標照度は、使用者や管理者が任意に定めることができるが、一般には光束減退曲線の70%程度に設定される。なお、低減照度値に維持するためには、点灯時間の経過に伴って投入ランプ電力を順次増大していけばよい。要約すれば、初期照度補正制御は、蛍光ランプを、その累積点灯時間の経過に応じて自動的に調光制御して点灯させることにより、蛍光ランプの照度を初期値より低減させるとともに、累積点灯時間の経過にかかわらず蛍光ランプによる照度を寿命末期までほぼ一定に維持することのできる制御である。
【0025】
また、初期照度補正制御回路の具体的な回路構成は、本発明において特段限定されない。例えば点灯時間タイマおよび光束補正装置を備えることで構成することができる。点灯時間タイマは、蛍光ランプを点灯する都度、その点灯時間を計時するとともに、前回までの累積点灯時間に新しい点灯時間を加算して点灯初期からの累積点灯時間(例えば、簡易的に電源投入時間などであることを許容する。)を求める。また、累積点灯時間は、使用する蛍光ランプを新品の蛍光ランプに交換した際には後述するリセット手段によってリセットされる。
【0026】
光束補正装置は、蛍光ランプの累積点灯時間に対して予め設定された目標照度特性に沿って所要の調光度(100%点灯を含む)を示す調光信号を送出する。点灯時間タイマおよび光束補正装置は、タイマ、演算装置、メモリおよびプログラムを主体として構成することができる。タイマは、蛍光ランプの点灯時間を計時する。演算装置は、メモリからまずプログラムを読み出し、次に読み出したプログラムに基づいて前回までの累積点灯時間に対応する調光度のテーブルデータを読み出し、調光信号を作成して調光制御回路へ出力する。また、前回までの累積点灯時間を読み出して、これにタイマによって計時した新たな点灯時間を加算し、更新された累積点灯時間のデータをメモリに記憶させて、次の点灯に備える。メモリは、プログラムおよび累積点灯時間ごとの調光度、換言すれば目標照度特性に沿ったテーブルデータを予め記憶するとともに、蛍光ランプの累積点灯時間を都度データ更新しながら記憶する。プログラムは、以上の演算手順を内容としている。なお、以上の構成は、ICなどの個別のものを用いるだけでなく、蛍光ランプ点灯装置全体を制御する共通のマイコンのタイマ機能、メモリ機能および演算機能を利用して初期照度補正制御回路を構成することができる。
【0027】
〔本発明の作用について〕 本発明は、以上の構成を具備していることにより、以下のように作用する。
【0028】
すなわち、新規蛍光ランプに交換後、蛍光ランプはまず移行期間に入り、いったん照度が高い初期点灯状態となり、その後点灯時間の経過に伴って順次照度が低減していき、所定の低減照度値に到達して移行期間が終了すると、続いて初期照度補正期間に入り初期照度補正制御が寿命末期まで行われる。このため、新規蛍光ランプに交換直後には照度が高い初期点灯状態となるので、点灯初期の無駄な明るさに慣れている使用者であっても、新規蛍光ランプに交換した際に暗くなったと誤解して違和感を生じることがない。しかも、移行期間を全点灯期間の約5〜15%程度に設定することにより、移行期間中の照度低減が使用者に不快感や違和感を与えることがない。
【0029】
また、移行期間の最初に照度が高い初期点灯状態を、移行期間の約10%程度以下の範囲内で持続させることにより、照明設備完成時に電源設計と実使用の電源容量の確認が確実に行える。
【0030】
〔その他の構成について〕 以上の必須構成要素に加えて所望により、その他の構成として以下の構成のいずれか一つまたは任意所望の複数を加えることができる。以下、これらについて説明する。
【0031】
(点灯後切換手段について) 点灯後切換手段は、蛍光ランプの点灯に先立ちフィラメント電極を加熱し、点灯後にフィラメント電極加熱を低減するようにフィラメント電極加熱制御回路を制御するとともに、これと同期して蛍光ランプの初期照度補正制御が開始するように初期照度補正制御回路を制御する手段であるが、その具体的な回路構成は特段限定されない。
【0032】
例えば、タイマや点灯検出回路などにより点灯後切換手段を構成することができる。タイマは、マイコンなどの演算装置の計時機能を利用してこれを構成することができる。
【0033】
タイマは、高周波点灯回路が予め設定されたプログラムにより蛍光ランプのフィラメント電極を予熱し、次に始動電圧を印加して蛍光ランプを点灯させるように構成されている場合、電源投入時から所定時間の経過後、例えば約0.5秒後に蛍光ランプを点灯させることができる。したがって、タイマが約0.5秒後に動作するように設定すれば、蛍光ランプの点灯後にフィラメント電極加熱制御回路を所要の程度のフィラメント電極加熱を行うように制御するとともに、これと同期して蛍光ランプの移行期間における制御が開始するように調光制御回路を制御することができる。
【0034】
点灯検出回路は、蛍光ランプの点灯を検出してから、フィラメント電極加熱制御回路を制御するとともに、これと同期して蛍光ランプの初期照度補正制御が開始するように初期照度補正制御回路を制御することができる。
【0035】
また、点灯後切換手段は、蛍光ランプの点灯後にフィラメント電極加熱制御および初期照度補正制御を瞬時に切り換えるようにこれを構成することができる。しかし、所望により数秒間以上、例えば2〜5秒程度以上または3〜5秒程度以上の間に徐々にフィラメント電極加熱制御および初期照度補正制御を変化させるように点灯後切換手段やフィラメント電極加熱制御回路および初期照度補正制御回路を構成することもできる。
【0036】
(リセット手段について) リセット手段は、初期照度補正制御の計時手段、例えば点灯時間タイマの累積点灯時間を初期設定状態すなわち初期化状態に戻すための手段であり、新規蛍光ランプに交換した際に累積点灯時間をリセットして初期化し、全点灯時間わたる初期照度補正制御回路による所定の制御を再度最初から行えるように構成される。
【0037】
また、リセット手段は、後述するランプ交換判定回路からの制御出力に応じてリセット動作すなわち累積点灯時間の計時をリセットするように構成することができる。
【0038】
さらに、リセット手段には、上記の機能の他に所望により手動操作のリセットスイッチを付加することが許容される。リセットスイッチは、蛍光ランプを交換した際に、例えばその作業者などによって操作される。この場合、フィラメント抵抗の検知による判定より優先して初期照度補正制御回路がリセットされるように構成することができる。しかし、所望により、寿命判定に伴うリセットと、リセットスイッチによる手動リセットのいずれにも初期照度補正制御回路が応動するように構成することもできる。
【0039】
さらにまた、リセットスイッチは、例えば蛍光ランプのランプソケットや照明器具などに配設することができる。また、電源が投入されている状態のときの操作によりリセットスイッチが作動するように構成されていてもよいし、電源が投入されていないときの操作によりリセットスイッチが作動してその状態を電源が投入されるまで保持するように構成することもできる。
【0040】
(低減照度値可変手段について) 低減照度値可変手段は、初期照度補正制御回路における低減照度値を操作により所望値に設定する手段であり、低減照度値設定操作手段および低減照度値可変設定手段により構成することができる。上記操作は、蛍光ランプ点灯装置または照明器具の外面側から行えるのが好ましいが、所望により蛍光ランプ点灯装置のケースを取外して内部の配線基板に装着したDIPスイッチなどの低減照度値設定操作手段を操作して行うように構成することも許容される。また、本発明のより好ましい態様としては、照明器具から離間した位置、例えば壁面に設置した提言照度値設定操作手段から信号線を経由して、またはワイヤレスにより遠隔的に操作する構成である。
【0041】
また、低減照度値設定操作手段を照明器具から離隔した位置に設置して遠隔操作するように構成してもよいし、照明器具に接近して操作するように構成することもできる。前者の場合、例えば蛍光ランプ点灯装置の調光制御端子に接続する調光制御線を利用して例えばPWM信号、可変周波数信号、所定時間断続する交流または直流の信号、電圧レベル可変直流信号などからなる遠隔制御信号を送受信する構成や、赤外線、超音波または電波などのワイヤレス方式のリモートコントロール信号を送信するようにした構成などを採用することができる。なお、このような構成においては、次のような信号構成を採用することにより、任意調光操作と低減照度値設定操作とを区別して送受信するように構成することが可能になる。
【0042】
さらに、低減照度値可変設定手段は、その制御手段の部分が蛍光ランプ点灯装置に付設され、演算機能、プログラム機能およびメモリ機能などにより構成される。これらの構成として、ICなどの個別のものを用いるだけでなく、蛍光ランプ点灯装置全体を制御する共通のマイコンの演算機能、プログラム機能およびメモリ機能などを利用して構成することができる。
【0043】
さらにまた、低減照度値の可変範囲は、蛍光ランプの寿命末期の平均的な相対照度値の70%を挟んで例えば60〜80%のように比較的狭い範囲でもよいし、さらにこれより広い範囲に設定してもよい。また、上記所定の可変範囲内で連続的または段階的に設定できるように構成することができる。
【0044】
(ランプ交換判定回路について) ランプ交換判定回路は、蛍光ランプの寿命を検出して蛍光ランプが交換を要すると判定するための回路である。蛍光ランプの寿命を検出するには、例えばいわゆるエミレスやフィラメント抵抗などを検知して、その検出値の変化により蛍光ランプが交換されたことを判定するなどを行えばよい。そして、蛍光ランプが実際に交換されるまで蛍光ランプを明らかに分かるような照度に制御して点灯させたり、所定時間間隔で明滅させたりするように構成することができる。また、蛍光ランプが交換されたら、前記リセット手段を作動させるように構成することができる。
【0045】
本発明の照明器具は、照明器具本体と;照明器具本体に配設された前記本発明の蛍光ランプ点灯装置と;照明器具本体に配設されるとともに、蛍光ランプ点灯装置により付勢される蛍光ランプと;を具備していることを特徴としている。
【0046】
本発明において、照明器具は、その用途および構造を問わない。照明器具本体は、照明器具から蛍光ランプ点灯装置および蛍光ランプを除いた残余の部分を意味する。蛍光ランプ点灯装置は、その一部または全体が照明器具本体に装着されているばかりでなく、照明器具本体から離間して配設されていてもよい。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、移行期間および初期照度補正制御期間に分け、移行期間においては最初照度が高い初期点灯状態となり、次に所定の低減照度値に向けて順次調光をしていき、移行期間に続く初期照度補正制御期間においては上記低減照度に維持する目標照度特性が設定され、点灯の制御が目標照度特性に沿って行われることにより、新規蛍光ランプに交換したことが視覚的に認知できるばかりでなく、所望により設備完成時に電源設計と実使用の電源容量の確認が確実に行える蛍光ランプ点灯装置およびこれを備えた照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0049】
図1および図2は、本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第1の形態を示し、図1は回路ブロック図、図2は目標照度特性を示すグラフである。
【0050】
本形態において、蛍光ランプ点灯装置FOCは、高周波点灯回路HFO、調光制御回路DCCおよび初期照度補正制御回路ICCを具備している。また、その他の構成としてフィラメント電極加熱制御回路FWC、点灯後切換手段SC、リセット手段RSおよびランプ交換判定回路LCDが付加されている。なお、図1中、符号FLは蛍光ランプ、ACは低周波交流電源である。
【0051】
高周波点灯回路HFOは、高周波発生回路INVおよび高周波制御回路HCCからなる。 高周波発生回路INVは、直流電源、インバータ本体および負荷回路を主体として構成されている。直流電源は、低周波交流電源ACの交流電圧を整流、平滑化する整流化直流電源からなる。インバータ本体は、ハーフブリッジ形インバータ主回路などからなる。負荷回路は、限流手段および共振回路を含む。共振回路は、そのインダクタが限流手段を兼ねることができ、インバータ本体が出力する矩形波高周波電圧を正弦波交流電圧に波形整形する。また、高周波発生回路INVは、所望によりチョッパ回路などの直流−直流変換回路を含むことが許容される。なお、チョッパ回路としては、例えば昇圧チョッパ回路を用いることができる。
【0052】
高周波制御回路HCCは、高周波発生回路INVを所要に制御する回路で、例えば周波数制御またはPWM制御された駆動信号を高周波発生回路INVに供給することにより、高周波発生回路INVを可制御に駆動する。限流手段は、蛍光ランプFLに対して直列に接続される例えばインダクタなどからなる。
【0053】
調光制御回路DCCは、マイコン内の機能を利用して構成されている。そして、例えば周波数制御またはPWM制御を行うための調光制御信号を点灯制御信号として生成し、高周波点灯回路HFOの高周波制御回路HCCに制御入力する。これにより、高周波発生回路INVの高周波出力を例えば調光制御信号に応じて変化させることができる。
【0054】
また、調光制御回路DCCは、調光信号受信部および調光制御信号変換回路などから構成することができる。調光信号受信部は、後述する初期照度補正制御回路から送出されたり、外部制御システムから送信されたりする調光信号を受信して調光制御信号変換回路へ送出する。調光制御信号変換回路は、送出を受けた調光信号を調光制御信号に変換する。なお、調光制御信号は、例えばPWM制御信号からなり、調光制御信号は所要レベルのPWM制御信号などに変換する。
【0055】
初期照度補正制御回路ICCは、新規蛍光ランプFLに交換してからの点灯時間に応じた照度指示信号を内容とする調光信号を発生して、これを調光制御回路DCCに送出する。すなわち、初期照度補正制御回路ICCは、マイコンのタイマ機能、メモリ機能、演算機能およびプログラムを主体として構成されていて、蛍光ランプの目標照度特性に沿った照度指示信号からなる調光信号を発生する。タイマ機能は、蛍光ランプFLの点灯時間を例えば低周波交流電源ACの投入時間に基づいて計時する。メモリ機能は、プログラムおよび累積点灯時間に対応する目標照度特性のテーブルデータを記憶する。演算機能は、前回までの累積点灯時間に今回の点灯時間を加算して累積点灯時間を更新し、また累積点灯時間に対応する目標照度特性のテーブルデータを読み出して照度指示信号としての調光信号を出力する。
【0056】
フィラメント電極加熱制御回路FWCは、フィラメント加熱トランスおよび1次電圧可変回路を含み、蛍光ランプFLの一対のフィラメント電極E1、E2を加熱する。フィラメント加熱トランスは、その1次巻線には高周波点灯回路HFOの高周波発生回路INVの高周波出力電圧が1次電圧可変回路を経由して印加され、2次巻線が一対のフィラメント電極E1、E2に接続している。
【0057】
1次電圧可変回路は、フィラメント加熱トランスの1次巻線に印加される高周波電圧を制御する回路である。
【0058】
点灯後切換手段SCは、例えばマイコンを利用したタイマからなり、電源投入後所定時間後すなわち蛍光ランプFLの点灯後にフィラメント電極加熱制御回路FWCおよび初期照度補正制御回路ICCを制御する。この制御により、フィラメント電極加熱制御回路FWCは、フィラメント加熱トランスの1次巻線に印加される高周波電圧を低下させる。また、初期照度補正制御回路ICCは、初期照度補正制御を開始する。
【0059】
リセット手段RSは、後述するランプ交換判定回路LCDからの指令に基づいて点灯時間タイマのメモリ機能に記録されている累積点灯時間データを削除することによって、初期照度補正制御回路ICCの累積点灯時間の計時をリセットして初期化する。
【0060】
ランプ交換判定回路LCDは、蛍光ランプFLの交換の有無を判定し、例えば図示のように、蛍光ランプFLにおける一方のフィラメント電極E1におけるフィラメント抵抗を蛍光ランプFLの始動時に検出する。すなわち、点灯するために蛍光ランプ点灯装置FOCの低周波交流電源ACを投入すると、最初に蛍光ランプFLが予熱時となって一対のフィラメント電極E1、E2の予熱が開始される。次に、始動期間になって始動電圧が印加された時に、ランプ交換判定回路LCDは、フィラメント電極E1の両端間におけるフィラメント抵抗の値を検知するとともに、メモリ機能に記憶されている前回検知したときのフィラメント抵抗の値を読み出し、今回検知したフィラメント抵抗値と前回のフィラメント抵抗値とを比較演算する。そして、その演算結果がマイナス(−)、すなわち今回のフィラメント抵抗値が前回の値より小さいときには蛍光ランプFLのランプ交換が行われたと判定する。
【0061】
次に、第1の形態における回路動作を説明する。以上説明した調光制御回路DCC、初期照度補正制御回路ICC、点灯後切換手段SC、リセット手段RS、初期照度値可変手段IVOおよびランプ交換判定回路LCDは、共通のマイコンを主体として構成されていて、このマイコンの作用により放電ランプ点灯装置が所定の動作を行う。
【0062】
その結果、蛍光ランプFLは、高周波点灯回路HFOにより点灯前に、まずフィラメント電極加熱制御回路FWCの作用によりフィラメント電極E1、E2が所要に加熱され、次に始動電圧が印加されて点灯する。
【0063】
蛍光ランプFLが点灯すると、点灯後切換手段SCが作用してフィラメント電極加熱制御回路FWCが制御されてフィラメント電極加熱が弱くなる。これと同時に初期照度補正制御回路ICCが点灯後切換手段SCにより制御されて以下を内容とする照度補正制御が開始される。
【0064】
すなわち、図2に示すように蛍光ランプFLは、新規蛍光ランプの場合、最初は照度が高い初期照度点灯状態、例えば照度100%の全光点灯状態であるが、その直後から調光点灯状態となって時間の経過に伴い順次照度が低減していき、点灯1000時間の移行期間の終了時には目標の低減照度である照度70%の調光点灯状態に到達する。以上を要約すれば、点灯開始から1000時間までは初期照度補正制御への移行期間であり、この移行期間が終了すると設定寿命の12000時間までの初期照度補正制御期間に引き継がれる。
【0065】
照度補正制御期間においては、低減照度の70%で高周波点灯し、その寿命中を通じて低減照度が持続する。したがって、蛍光ランプFLは、その設定寿命までの大部分の時間において初期照度補正制御下で点灯する。
【0066】
また、初期照度補正制御回路ICCは、その初期照度補正制御において、蛍光ランプFLの累積点灯時間に応じた直流からなる照度が高い初期照度点灯レベル、例えば照度100%を含む多様な調光信号を送出し、調光制御回路DCCに入力する。調光制御回路DCCは、この調光信号をPWM制御信号または周波数制御信号に変換し、高周波制御回路CCに送出するので、マイコンの正常時には高周波発生回路INVは、調光信号に相当するように制御された高周波出力電圧を出力する。その結果、蛍光ランプFLは、移行期間を経過した後の初期照度補正制御期間において寿命末期までの間、初期照度が一定に維持された点灯を継続する。
【0067】
これに対して、低周波交流電源ACを投入したときに、ランプ交換判定回路LCDが上記条件を満足したことで蛍光ランプFLの交換が行われたと判定したときには、リセット手段RSを作動させる。そして、リセット手段RSは、作動して累積点灯時間の計時をリセットする。その結果、初期照度補正制御回路ICCが目標照度特性の初期に戻って作用するので、交換後の新しい蛍光ランプFLは、目標照度特性の移行期間を経て初期照度補正制御期間へ移行して所定の低減照度を維持するように初期照度補正制御を受けながら点灯する。
【0068】
なお、ランプ交換判定回路LCDを備えていることにより、電源投入時に蛍光ランプFLのランプ交換が行われていないと判定した場合には、低周波交流電源ACの上記電源投入に引き続いて所定の予熱および始動が継続して行われるので、蛍光ランプFLはやがて点灯する。そして、初期照度補正制御回路ICCの点灯時間タイマ機能が累積点灯時間を計時する中で蛍光ランプFLの高周波点灯が行われる。
【0069】
図3は、本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第2の形態における目標照度特性を示すグラフである。本形態における主な特徴点は次のとおりである。
【0070】
すなわち、本形態においては移行期間の目標照度が異なっていて、蛍光ランプの点灯開始から100時間までは照度が高い初期照度点灯状態、例えば照度100%の状態で点灯し、その後移行期間の終了までは順次照度が低減して低減照度の70%点灯状態に至る。
【0071】
そうして、本形態においては、点灯開始から100時間までの間に照明設備完成時の確認検査などの作業を行うのに都合がよい。
【0072】
図4は、本発明の照明器具を実施するための一形態を示す中央断面正面略図である。図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。照明器具IFは、照明器具本体11、蛍光ランプ点灯装置FOC、リセット手段PBおよび図示を省略している蛍光ランプからなる。
【0073】
照明器具本体11は、逆富士状をなしていて、下面に反射板11cが着脱可能に装着され、外面に白色系塗装が施され、内部に蛍光ランプ点灯装置FOCを収納しているとともに、その両端部から一対のランプソケット11aが垂下している。なお、蛍光ランプは、本形態においては直管形が用いられており、一対のランプソケット11aの間に装着される。図中、符号11bは照明器具本体11の反射板11cの部分を着脱操作するための反射板取付ねじである。
【0074】
リセット手段PBは、その操作部が照明器具本体11の下面に露出して配設されていて、例えば作業者などが手動でリセット操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第1の形態を示す回路ブロック図
【図2】同じく目標照度特性を示すグラフ
【図3】本発明の蛍光ランプ点灯装置を実施するための第2の形態における目標照度特性を示すグラフ
【図4】本発明の照明器具を実施するための一形態を示す中央断面正面略図
【符号の説明】
【0076】
DCC…調光制御回路、E1、E2…フィラメント電極、FOC…蛍光ランプ点灯装置、FL…蛍光ランプ、FWC…フィラメント電極加熱回路、HCC…高周波制御回路、HFO…高周波点灯回路、ICC…初期照度補正制御回路、INV…高周波発生回路、IVO…初期照度値可変手段、LCD…ランプ交換判定回路、RS…リセット手段、SC…点灯後切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光ランプを高周波点灯する高周波点灯回路と;
高周波点灯回路を制御して蛍光ランプを調光点灯させる調光制御回路と;
新規蛍光ランプの点灯開始から移行期間を経て初期照度補正制御期間に入り、移行期間においては最初に照度が高い初期点灯状態から開始し、次に初期点灯状態よりも照度が低い調光点灯状態に移行して順次所定の低減照度値まで照度が低減していき、初期照度補正制御期間においては上記低減照度値を維持する目標照度特性が設定されていて、累積点灯時間を計時してその経過に応じて調光制御回路を目標照度特性に沿って制御して蛍光ランプを調光していく初期照度補正制御回路と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ点灯装置。
【請求項2】
照明器具本体と;
照明器具本体に配設された請求項1記載の蛍光ランプ点灯装置と;
照明器具本体に配設されるとともに、蛍光ランプ点灯装置により付勢される蛍光ランプと;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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