説明

蛍光ランプ装置及び照明器具

【課題】 発光管からの可視光を効率よく外部に放射することにより出力光束を増大させると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】 端部に電極14を有し曲成する放電路を有すると共に、内面に蛍光体層が形成され、放電媒体が封入された発光管11と;発光管11に対向するホルダ面およびホルダ面部より発光管側に突出形成され、電極を有する発光管端部をホルダ面と接触または離間した状態で保持する保持手段12cを一端側に有し、発光管の電極に接続される導電部を備えた口金13を他端側に有するホルダ12と;を具備した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管を屈曲または連結等をして曲成した放電路を有する蛍光ランプ装置及び蛍光ランプ装置を使用した照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蛍光ランプ装置としては、コンパクト形蛍光ランプや電球形蛍光ランプが存在し、小形軽量化が進み、特に電球形蛍光ランプは一般の白熱電球と外観的にはかなり類似したものとなってきており、一段と普及が進んでいる。
【0003】
特に近年では、例えば下記の特許文献1に示されるように、放電路が長く、かつ小形化を達成するために螺旋状の発光管を用いた蛍光ランプ装置が知られている。
【特許文献1】特開2004−71555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の蛍光ランプ装置は、文献中の図1、図3等に示されるように、螺旋状に曲成して湾曲する発光管2の端部92、93をホルダ6の受入口63、64に回転して挿入し接着剤65を塗布することにより、発光管2をホルダ6に固定している。
【0005】
このため、発光管における発光部の一部である端部92、93が、ホルダ内に収納されてしまい、端部で発光する可視光が外部に放射されなくなり、光ロスが生じる問題がある。
【0006】
また、発光管2の端部92、93には電極8が封入されており、合成樹脂からなるホルダは電極に近接した状態となる。
【0007】
このため、発光管の点灯時に発生する熱によって、発光管の端部92、93に近接したホルダ6の樹脂部分が、長期間の使用により劣化する問題がある。
【0008】
さらに、ランプの寿命末期時に発光管の端部が黒化し高温となった際に、この熱によりホルダが異常に加熱され溶融する恐れがある。
【0009】
この問題を回避するために、発光管の端部から電極を離間させて、電極をホルダから離す方法がとられるが、双方の電極の高さが高くなることから電極間の距離が短くなり放電路が短縮されて発光効率が低下する問題が生じる。
【0010】
また、合成樹脂の溶融を避けるために、樹脂の電極近傍にアルミ箔等の遮熱板を設ける方法もあるが、部品数の増加と作業工程の増加などによりコストアップが生じてしまう。
【0011】
本発明は、上述した問題を解決することを目的とし、発光管からの可視光を効率よく外部に放射することにより出力光束を増大させると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置及び照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の蛍光ランプ装置の発明は、端部に電極を有し曲成する放電路を有すると共に、内面に蛍光体層が形成され、放電媒体が封入された発光管と;発光管に対向するホルダ面およびホルダ面部より発光管側に突出形成され、電極を有する発光管端部をホルダ面と接触または離間した状態で保持する保持手段を一端側に有し、発光管の電極に接続される導電部を備えた口金を他端側に有するホルダと;を具備したことを特徴とする。
【0013】
請求項1の発明によれば、発光管端部は、ホルダ面よりも発光管側に突出するようにホルダ面と発光管端部が接触または離間した状態で保持されるので、発光管からの光出力を効率的に外方に放射することができると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置が構成される。
【0014】
ホルダは、コンパクト形の蛍光ランプにおける口金で構成すること、さらに電球形の蛍光ランプにおける点灯装置を設けた仕切体と、仕切体を保持するカバー体で構成することを許容する
ホルダは、少なくとも発光管の電極を有する端部を保持していれば、発光管の中間部分すなわち、発光管端部よりも放電路側を保持しても構わない。また、発光管が保持される面は、内側でも外側でもよい。
【0015】
発光管の保持手段は、例えば、ホルダ面から突出した弾性を有するリブなどを許容するが、その発光管端部が完全に浮いた状態でホルダ面に対向していることを条件とするのではなく、例えば、端部の蛍光体膜が形成されていない圧潰部などの発光に寄与しない一部分がホルダ面に接していてもよく、要は実質的に発光に寄与している端部が遮られることなく保持されていればよい。
【0016】
ホルダ面から突出形成された保持手段は、ホルダ面と一体的に形成されていても、別体のものを取り付けて構成されていても構わない。さらにその材質は耐熱性を有する合成樹脂や金属により構成されることが望ましいが、その材質については、特に限定されない。光ロスを極力少なくするために透光性を有する材質で構成することも許容する。
【0017】
「曲成する放電路」は、ガラス管等を屈曲または連結等をして、略U字形もしくは略H字形等に曲成された放電路を構成したもの、さらには1重または2重等の螺旋状に曲成された放電路を構成したものを許容する。
【0018】
さらに、発光管端部は垂直や水平方向に形成しても、さらにホルダにおける発光管のホルダ面に対して斜めに傾斜しながら螺旋状に湾曲して設けられるもの等を許容する。
【0019】
また、発光管端部は、圧潰封止であってもステム封止であっても構わない。
【0020】
請求項2に記載の蛍光ランプ装置の発明は、端部に電極を有し曲成する放電路を有すると共に、内面に蛍光体層が形成され、放電媒体が封入された発光管と;発光管に対向するホルダ面およびホルダ面部より発光管側に突出形成され、電極を有する発光管端部をホルダ面と接触または離間した状態で保持する保持手段を一端側に有し、外部の電源に接続可能な口金を他端側に有するホルダと;ホルダ内に収納され口金を介して給電され発光管を付勢する点灯装置と;を具備したことを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明によれば、発光管端部は、ホルダ面よりも発光管側に突出するようにホルダ面と発光管端部が接触または離間した状態で保持されるので、発光管からの光出力を効率的に外方に放射することができると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置が構成される。
【0022】
ホルダは、電球形の蛍光ランプにおける点灯装置を設けた仕切体と、仕切体を保持するカバー体で構成することを許容する
点灯装置は、板状の回路基板を備え、この回路基板の口金側の一面、あるいは口金側と発光管側との両面に複数の電子部品が実装されて、発光管を高周波点灯させるインバータ回路等を許容する。
【0023】
構成れる蛍光ランプ装置は、グローブを有するもの、グローブレスの電球形の蛍光ランプ等を許容する。
【0024】
請求項3に記載の蛍光ランプ装置の発明は、請求項1または2に記載の保持手段により曲成された発光管の内側を保持することを特徴とする。
【0025】
請求項3の発明によれば、発光管からの光出力を一層効率的に外方に放射することができると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置が構成される。
【0026】
「発光管の内側」は、例えば、円筒形のガラス管で構成した発光管における円形断面を幾何学的に2等分した厳密な意味での内側である必要はなく、保持部材の一部が外側に掛かっているものでもよく、要は発光管の外側から放射される可視光を実質的に遮らないようにして内側を保持するようにすればよい。
【0027】
請求項4に記載の蛍光ランプ装置の発明は、請求項1ないし3いずれか一に記載の保持手段は、発光管端部における電極より放電路側を保持することを特徴とする。
【0028】
請求項4の発明によれば、発光管からの光出力を効率的に外方に放射することができると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が一層可能な蛍光ランプ装置が構成される。
【0029】
「電極より放電路側を保持する」は、電極からの熱の影響を極力受けないように電極から離間して放電路側を保持するようにすればよく、離間させる距離は設計上の問題として適宜選定すればよい。
【0030】
請求項5に記載の照明器具の発明は、請求項1ないし4いずれか一に記載の蛍光ランプ装置を用いたことを特徴とする。
【0031】
請求項5の発明によれば、発光管からの光出力を効率的に外方に放射することができると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置を用いた照明器具が構成される。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の発明によれば、発光管端部は、ホルダ面よりも発光管側に突出するようにホルダ面と発光管端部が接触または離間した状態で保持されるので、発光管からの光出力を効率的に外方に放射することができる。
【0033】
したがって、例えば、従来と同様の発光管を使用しても発光光束を向上することができるので放射効率を改善することができると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置を提供することができる。
【0034】
請求項2の発明によれば、発光管端部は、ホルダ面よりも発光管側に突出するようにホルダ面と発光管端部が接触または離間した状態で保持されるので、発光管からの光出力を効率的に外方に放射することができる。
【0035】
したがって、例えば、従来と同様の発光管を使用しても発光光束を向上することができるので放射効率を改善することができると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置を提供することができる。
【0036】
請求項3の発明によれば、発光管の内側を保持するようにしたので、発光管の外側から放射される可視光を遮らないようにして保持することができ、光ロスを一層少なくすると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置を提供することができる。
【0037】
請求項4の発明によれば、発光管端部における電極より放電路側を保持するようにしたので、保持手段が電極からの熱の影響を極力受けないように構成することができ、樹脂の劣化、溶融等の対策が一層可能な蛍光ランプ装置を提供することができる。
【0038】
請求項5の発明によれば、発光管からの光出力を効率的に外方に放射することができると共に、樹脂の劣化、溶融等の対策が可能な蛍光ランプ装置を用いた照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の蛍光ランプ装置及び照明器具の実施形態につき説明する。
【実施例1】
【0040】
図1〜図3は本発明の第一実施形態である蛍光ランプ装置を示し、図1は一部を切り欠いて示す正面図、図2側面図、図3は斜視図。
【0041】
図4は本発明の第一実施形態である照明器具を天井面に設置した状態を示す縦断面図である。
【0042】
まず、図1〜図3に従い本実施形態の蛍光ランプ装置の構成につき説明する。
【0043】
10は蛍光ランプ装置で、発光管11とホルダ12で構し、ホルダ12は口金13で構成したいわゆるコンパクト形の蛍光ランプを構成する。
【0044】
なお、以下、発光管11を上側、口金13を下側として説明する。
【0045】
発光管11は、1本の直管状のガラス管を二等分するように屈曲し、二等分したガラス管の中央領域を頂部11aとして、一対の端部11b、11c方向に直線部分を残すことなく全てを螺旋状に形成する。
【0046】
発光管11は、透明な無鉛ガラスで管外径寸法を9.0〜13mmに構成し、ガラス管の内面には、例えば3波長の蛍光体層を形成する。
【0047】
螺旋状をなす発光管11の形成は、1本の直管状のガラス管を加熱溶融し、柔らかくした状態で二等分するように屈曲し、さらに二等分したガラス管の中央領域を頂部11aとして、螺旋状に形成された溝を有する型に沿わせて巻き付けることにより形成する。
【0048】
発光管11の一対の端部11b、11cは、側面視で電極側が下方に向いて傾斜し、かつ上面視で外側に湾曲した螺旋状に構成する。
【0049】
発光管の各端部11b、11cには、電極14としてのフィラメントコイルが一対のウェルズに支持されて配置され、一対のウェルズはガラス管の端部11b、11cにピンチシールによって封入された一対のジュメット線を介してガラス管端部から外部に導出されたランプ側ワイヤー14aに接続する。
【0050】
各端部11b、11cから導出された、2対4本のランプ側ワイヤー14aは、後述するホルダ12を介して口金13の端子ピン13aに接続される。
【0051】
上記のように構成された発光管11は、螺旋状に曲成され連続した細く長い放電路が構成される。この放電路の放電路長は、250〜500mmに形成する。
【0052】
この放電路長は、一方の電極14のフィラメントコイルから螺旋状をなすガラス管の軸線を介した他方の電極14のフィラメントまでの距離寸法である。
【0053】
上記のように構成された発光管11内に、アルゴン(Ar)とクリプトン(Kr)の混合ガス等からなる放電媒体である希ガスを封入する。
【0054】
ホルダ12は、ポリブチレンテレフタノール(PBT)などの耐熱性合成樹脂などで構成し、上面が開放された横断面が略円形の器状をなした本体12aと、上面の開放部を塞ぐ円形の蓋体12bで構成する。
【0055】
本体12aは、口金13のケースとなるもので、底面に2対4本の端子ピン13aを突出して設ける。端子ピンは、導電性の金属材料で構成され、照明器具に設けられたソケットに差し込むことにより、器具の点灯装置を介して商用電源に接続される。
【0056】
円形の蓋体12bは、ホルダ12のホルダ面となって発光管11を保持するもので、その上面に保持部材をなす2本のリブ12cを外方に突出して一体に形成する。
【0057】
これにより、発光管11に対向するホルダ面およびホルダ面部より発光管側に突出形成された保持手段をなす2本のリブ12cを一端側に有し、発光管11の電極に接続される導電部である端子ピン13aを備えた口金13を他端側に有するホルダ12が構成される。
【0058】
保持部材となる2本のリブ12cは、それぞれ短冊状をなしており、ホルダ12のホルダ面となる蓋体12b上面における付け根部分を支点として、左右に弾性をもって振れるように形成し、先端部分に発光管11の円筒外周面の円筒形状に合わせた略半円弧状をなす保持部12dを形成する。
【0059】
2本のリブ12cは、円形蓋体12bの円中心に対して点対称となる位置に、それぞれが対向するように配置して設け、保持部12dの半円弧状をなす凹部の面が外方に向くように配置する。
【0060】
図中12eは、発光体11のランプ側ワイヤー14aを蓋体12bの下面側に貫通させるための挿通孔で、2対4本のランプ側ワイヤー14aに対応して4個形成する。
【0061】
次に上記のように構成されたホルダ12に発光管11を組み込み保持する構成につき説明する。
【0062】
まず、各端部11b、11cから2対4本のランプ側ワイヤー14aが導出された状態の発光管11を、ホルダ12の上面に位置させ、4本のランプ側ワイヤー14aを、対応する各挿通孔14eに挿通し、口金13の対応する4本の各端子ピン13aに接続する。ランプ側ワイヤー14aを挿通した挿通孔14eは、シリコーン等の接着剤で塞ぐようにしてもよい。
【0063】
次に、発光管の各端部11b、11cにおいて、各電極14の位置よりも放電路側に位置する部分を、2本のリブ12cの先端部に対向させ、短冊状をなし弾性を有する各リブ12cの弾力に抗して下方に差し込む。
【0064】
これにより、リブ12cが弾性に抗して外側に開き、さらに下方に差し込むと、発光管各端部11b、11cの内側が半円弧状保持部12dに合致する。
【0065】
これにより、リブ12cがその弾性力により元の位置に復帰して、各端部11b、11cの内側が保持部12dの半円弧状凹部に嵌合する。
【0066】
これにより、発光管の各端部11b、11cはホルダ面と接触または離間した状態で、保持手段であるリブ12cによって保持されると共に、側面視で電極14側が下方に向いて傾斜し、かつ上面視で外側に湾曲した螺旋状の各端部11b、11cが、その筒状をなす内側が各リブ12cの半円弧状の保持部12dに嵌合し、各リブ12cの弾性力によって発光管11がホルダ12に確実に保持される。
【0067】
発光管11をホルダ12から分離する場合には、上述とは逆に、リブ12cに嵌合した発光管の各端部11b、11cを、リブの弾性に抗して上方に引っ張れば容易に分離することができる。
【0068】
なお、発光管の各端部11b、11cの内側が各リブ12cの保持部12dに嵌合した状態で、嵌合部分及び各端部とホルダのホルダ面となる蓋体12bの上面をシリコーン等の耐熱性の接着剤を塗布して、さらに強固に保持するようにしてもよい。
【0069】
上記のように発光管11がホルダ12に保持された蛍光ランプ装置10は、発光管の各端部11b、11cがホルダ12のホルダ面から浮いて外方に露出し、各端部11b、11cから放射される可視光が遮られないため、発光管からの可視光を効率よく外方に放射することにより出力光束を増大させることができる。
【0070】
さらに、発光管11の内側をリブ12cで保持したので、発光に直接寄与する発光管の外側をリブで遮らないため、より一層、発光管からの可視光を効率よく外方に放射することができる。
【0071】
上記のように構成された蛍光ランプ装置10は、発光管11の外径寸法d1が約37mm、ランプ全体の高さ寸法h1が約90mm、発光管長L1が約57mmのコンパクト形の蛍光ランプとして構成される。
【0072】
次に、上記のように構成された蛍光ランプ装置を光源とした照明器具の構成を説明する。
【0073】
図4に示すように、20は店舗等の天井面Aに設置されたダウンライト式の照明器具で、下面に開口部21aを有する金属製の箱状をなした本体ケース21と、開口部21aに嵌合される金属製の反射体22で構成する。
【0074】
反射体22は、例えばステンレス等の金属板で構成し、下面周囲に飾り枠22a一体に形成する。
【0075】
反射体22の上面板の中央部には、点灯装置を内蔵したソケット23を設置する。
【0076】
このソケット23に、上述した蛍光ランプ装置10の端子ピン13aを差し込む。
【0077】
これにより螺旋状をなす発光管11を有するコンパクト形の蛍光ランプを設置したダウンライト式の照明器具が構成される。
【実施例2】
【0078】
次に、本発明蛍光ランプ装置の第二の実施形態について説明する。
【0079】
図5は、第二実施形態における蛍光ランプ装置の一部を切り欠いて示す縦断面図で、第一の実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0080】
30は電球形の蛍光ランプで、発光管11と、ホルダ31及びグローブ32で構成する。
【0081】
ホルダ31は、仕切体33とカバー体34よりなり、一端側に発光管11を保持する仕切体33を有し、他端側にカバー体34を介して口金35を有するように構成する。
【0082】
点灯装置36を仕切体33に設けることにより、点灯装置がホルダ31内に収納され口金35を介して給電され発光管を付勢するように構成し、いわゆる電球形の蛍光ランプを構成する。
【0083】
なお、以下、発光管11を上側、口金35を下側として説明する。
【0084】
本実施形態の発光管11は、各端部11b、11cを垂直方向に屈曲させて直線状の各端部となし、直線状の部分に電極を内蔵させるように構成する。
【0085】
発光管11の他の構成は、第一の実施形態と同様である。
【0086】
ホルダ31を構成する仕切体33は、ポリブチレンテレフタノール(PBT)などの耐熱性合成樹脂などで略円形の器を逆さにした形態に構成し、ホルダのホルダ面で一端側となる逆さにした器の上面に発光管11を保持すると共に、器の内面側に点灯装置36を収納する。
【0087】
ホルダ31のホルダ面となる仕切体33の上面には、保持手段をなす2本のリブ31cが外方に突出して一体に形成され、第一の実施形態と同様にリブ31cにより発光管11の各端部11b、11cが保持される。
【0088】
なお、リブ31cによる発光管各端部11b、11cの保持は、図5中実線で示す発光管の傾斜した部分を保持するリブ31cに加えて、点線で示すように直線状の部分もリブ31c'で保持するようにしてもよい。さらに傾斜した部分を保持するリブ31cを省略して直線状の部分のみをリブ31c'で保持するようにしてもよい。
【0089】
ホルダ31を構成する仕切体33は、器の内面側に開口部33aを有し、外周面にリング状の支持鍔33bを形成する。
【0090】
仕切体33の開口部33aには、発光管11の点灯装置36を構成する電子部品36aを実装した円盤状の回路基板36bを嵌合し、シリコーン等の耐熱性の接着剤を用いて固定する。
【0091】
電子部品36aは、発光管11を高周波電力で点灯させるための電解コンデンサ、カレントトランス、フィルムコンデンサ、REC(整流素子、ダイオードブリッジ)、抵抗、トランジスタ、SCRなどのスイッチング素子等の部品で構成する。
【0092】
これらの電子部品36aは、円盤状のプリント基板で構成した回路基板36bの上下両面に実装され、比較的小さな部品が回路基板の上面に、また比較的大きな部品は下面に位置するようにして配置し、下面に配置された回路部品はカバー体34で覆われ、一部の大きな電解コンデンサ等の部品は口金35の空間部35a内に収納する。
【0093】
これらの電子部品36aで構成した高周波点灯装置の入力端を口金35の端子部に、出力端を発光管11の電極14に、ランプ側ワイヤー14aを介して電気的に接続する。
【0094】
発光管11の各端部11b、11cは、従来のようにホルダである仕切体33内に挿入し収納されていないため、仕切体33内に収納されている電子部品36aと発光管の各端部11b、11cが近接せずに離れた配置構成とすることができる。
【0095】
これにより、電子部品が発光管11からの熱の影響を受け難くなり、点灯装置を構成する電子部品の信頼性が向上する。
【0096】
ホルダを構成するカバー体34は、上下に開口部を有する略円錐形の円筒状をなしたもので、ポリブチレンテレフタノール(PBT)などの耐熱性合成樹脂で構成し、円筒の上方開口部の内面側に仕切体33の支持鍔33bの下面を載置して耐熱性の接着剤で固定して保持する。
【0097】
カバー体34の円筒下方の開口縁部には、口金35の開口部が嵌め込まれ、かしめ、もしくは耐熱性の接着材等を用いて固定する。
【0098】
口金35は、導電性の金属材料で構成し、商用電源に配線され接続されたソケットに、ねじ込み等の手段で電気的に接続されて取り付けられもので、例えばE26型の口金で構成し、内面に空間部35aを、外面に雄ねじ部35bを設ける。
【0099】
グローブ32は、透明あるいは光拡散性を有する乳白色などで、ガラスあるいは合成樹脂により、一般白熱電球のガラス球と略同一形状の滑らかな曲面状に形成する。
【0100】
グローブ32の下方開口部の縁部が、仕切体33の支持鍔33bと、カバー部材34の上縁部内面とで形成される隙間に嵌め込まれ、耐熱性の接着剤等により三者を同時に固定して保持する。
【0101】
上記のように構成された電球形の蛍光ランプは、グローブ32の頂点から口金35底面までのランプ全体の高さ寸法h2を約109mm、グローブ35の最大外径寸法d2を約60mmに構成する。
【0102】
発光管11の寸法は第一の実施形態と同様、外径寸法d1が約37mm、発光管長L1が57mmの構成されている。
【0103】
本実施形態では、発光管11を覆うグローブ32を設けたが、グローブを被せずに発光管を露出した電球形の蛍光ランプを構成するようにしてもよい。
【0104】
上記のように構成された電球形の蛍光ランプは、各種の照明器具のソケットにねじ込まれ、点灯回路に電源が投入されて発光管が点灯し照明をするようになっている。
【0105】
その他の構成、作動、作用効果、各種の変形例等は、第一の実施形態と同様である。
【0106】
上述した第一、第二の各実施形態では、発光管の各端部をリブによりホルダのホルダ面から浮かせ間隔を有して保持したが、発光管の各端部の先端部分をホルダのホルダ面に当接させることにより、リブによる発光管各端部の保持と合わせて、2点を保持する構成となし、より強固に発光管をホルダに保持するようにしてもよい。さらに、2点を保持した近傍部分に、例えばシリコーン等の耐熱性の接着剤を塗布し、さらに強固に保持させるようにしてもよい。
【0107】
また、先端部分を含めた発光管の端部を、断面が略楕円形をなすように扁平状に成形し、扁平となった部分をホルダのホルダ面に当接させ、接触面積が広くなるように構成して、さらに安定して強固に保持するようにしてもよい。さらに、先端部分の近傍に、例えばシリコーン等の耐熱性の接着剤を塗布し、さらに強固に保持させるようにしてもよい。
【0108】
この場合、電極を設ける部分が扁平となり、電極のフィラメントコイルの間隔を広くすることができ、発光効率を上げることができる。
【0109】
発光管はガラス管で構成したが、透光性気密容器を形成可能なセラミックスなどで構成してもよい。
【0110】
発光管の保持部材となるリブは、透明な合成樹脂等で構成すれば、リブにより光線を遮ることが防止でき、光ロスを一層少なくすることができる。
【0111】
発光管の内側をリブで保持したが、外側を保持するようにしてもよい。この場合、リブを細い金属線で構成すれば光を遮る面積が小となり光ロスを少なくすることができる。
【0112】
リブを2対4本の導電性を有する金属で構成し、発光管から導出される2対4本のランプ側ワイヤーを、各リブに対応させて接続し、各リブと各端子ピン(第一実施形態)または点灯装置の出力端(第二実施形態)に対応させて電気的に接続し、これにより発光管保持用のリブを電気的なリード線の役目を兼用させるようにしてもよい。
【0113】
第一、第二の各実施形態によれば、発光管の各端部を、ホルダのホルダ面から外方に露出させて保持するようにしたので、各端部から放射される可視光が遮られることがなく、光ロスを少なくして、発光管からの可視光を効率よく外方に放射することにより出力光束を増大させることができる。
【0114】
さらに、電極を有する発光管の各端部が外方に露出し、従来のように各端部がホルダ内に収納されていないことから、樹脂と発熱する発光管の各端部が離れ、樹脂が熱の影響を受け難くなって点灯時における樹脂の劣化を防止することができる。さらに、ランプ寿命末期に発光管の各端部が黒化し高温となった場合にも、ホルダが溶融したりすることがなく、樹脂の劣化、溶融等の対策を行った蛍光ランプ装置を提供することができる。
【0115】
また、従来のように樹脂の劣化、溶融を防ぐために、電極を発光管の各端部から離間させて電極間の距離を短くする構成をとる必要がないので、発光効率を低下させることもない。
【0116】
また、保持手段となるリブは、発光管の内側を保持するようにしたので、発光管の外側から放射される可視光がリブによって遮られることがなく、光ロスを一層少なくすることができる。
【0117】
さらに、保持手段となるリブは、発光管の電極の位置より放電路側を保持して電極からの熱の影響を受け難くしたので、リブを合成樹脂で構成した場合でも、樹脂が劣化したり溶融することがなく、樹脂の劣化、溶融等の対策をより一層行った蛍光ランプ装置を提供することができる。
【0118】
また、リブは弾性を有する素材で構成したため、半円弧状の凹部は弾性により広げることが可能で、発光管のサイズや管径に左右されることなく、任意に対応して確実に保持することが可能となる。
【0119】
さらに、リブは短冊状をなした簡単な構成であるため、他種類のサイズ、強度を有するリブを用意することができ、各種発光管のサイズ、管径等の要求に応じて提供し易い。
【0120】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第一実施形態である蛍光ランプ装置を、一部を切り欠いて示す正面図。
【図2】同じく蛍光ランプ装置の側面図。
【図3】同じく蛍光ランプ装置の斜視図。
【図4】本発明の第一実施形態である照明器具を天井面に設置した状態を示す縦断面。
【図5】本発明の第二実施形態である蛍光ランプ装置を、一部を切り欠いて示す縦断面図。
【符号の説明】
【0122】
10 蛍光ランプ装置
11 発光管
12 ホルダ
12c 保持手段
13 口金
14 電極



【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に電極を有し曲成する放電路を有すると共に、内面に蛍光体層が形成され、放電媒体が封入された発光管と;
発光管に対向するホルダ面およびホルダ面部より発光管側に突出形成され、電極を有する発光管端部をホルダ面と接触または離間した状態で保持する保持手段を一端側に有し、発光管の電極に接続される導電部を備えた口金を他端側に有するホルダと;
を具備したことを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項2】
端部に電極を有し曲成する放電路を有すると共に、内面に蛍光体層が形成され、放電媒体が封入された発光管と;
発光管に対向するホルダ面およびホルダ面部より発光管側に突出形成され、電極を有する発光管端部をホルダ面と接触または離間した状態で保持する保持手段を一端側に有し、外部の電源に接続可能な口金を他端側に有するホルダと;
ホルダ内に収納され口金を介して給電され発光管を付勢する点灯装置と;
を具備したことを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の保持手段により曲成された発光管の内側を保持することを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一に記載の保持手段は、発光管端部における電極より放電路側を保持することを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか一に記載の蛍光ランプ装置を用いたことを特徴とする照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−80015(P2006−80015A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264841(P2004−264841)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】