説明

蛍光ランプ装置

【課題】白熱電球の規格に収まる蛍光ランプ装置を提供する。
【解決手段】外径約60mm以下の透光性グローブ14およびカバー13、口金12を含む高さが110mmの外囲器11と、一対の挿通孔が形成された仕切板29と、管径6〜12mm、管長200〜420mmの螺旋状バルブ23を有し、バルブ23の両端部が仕切板29の挿通孔に挿通され、バルブ23の両端部に封装された電極24が仕切板29よりもカバー13内に位置するとともに蛍光ランプ22と、蛍光ランプ22の電極24よりも口金12側に配置された回路基板20を有し、装置全体の入力電力が8〜20Wの範囲内で蛍光ランプ22を点灯させる点灯回路19とを具備している。高密度に形成された蛍光ランプ22を白熱電球の規格寸法内に小形化した外囲器11内の空間に収容することができ、また蛍光ランプ22の電極がグローブ14内側に存在しないためランプ性能を一層向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプを使用する蛍光ランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光ランプ装置としては、放電管を鞍形やU字形に屈曲して1本の屈曲形の放電路を形成した蛍光ランプを使用する電球形蛍光ランプ装置がある。
【0003】
このような電球形の蛍光ランプ装置は、例えば、特開昭63−245804号公報に記載されているように、口金を有するカバーとこのカバーに固着された透光性を有するグローブとから外囲器が形成され、この外囲器内に鞍型の蛍光ランプおよび点灯回路を保持したホルダが収容される。
【0004】
そして、蛍光ランプ装置の外囲器の形状は、円筒状に細長い形状や球状に丸い形状であり、白熱電球の規格形状とは異なっている。また、外囲器の寸法は、口金を含む高さが183mm程度、直径が70mm程度であり、白熱電球の規格寸法である口金を含む高さが110mm程度、直径が60mm程度よりも大きい寸法になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電球形の蛍光ランプ装置では、白熱電球の規格形状とは異なり、白熱電球の規格寸法内にも収まらず、白熱電球を使用する照明器具への適用範囲が制限されている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、白熱電球の規格に収まる蛍光ランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蛍光ランプ装置は、蛍光ランプ装置外径約60mm以下の透光性グローブおよびカバーからなり、口金を含む高さが110mmとなるように形成された外囲器と;外囲器内の空間を透光性グローブ側と口金側とに仕切るように外囲器内に配設され、一対の挿通孔が形成された仕切板と;管径6〜12mm、管長200〜420mmの螺旋状バルブを有し、このバルブの両端部が仕切板の挿通孔にそれぞれ挿通されており、バルブの両端部に封装された電極が仕切板よりも口金側のカバー内にそれぞれ位置しているとともに内部に水銀および希ガスが封入された蛍光ランプと;仕切板よりも口金側のカバー内に収容され、蛍光ランプの電極よりも口金側に配置された回路基板を有し、装置全体の入力電力が8〜20Wの範囲内で蛍光ランプを点灯させる点灯回路と;を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蛍光ランプ装置によれば、螺旋状バルブの両端部が仕切板の挿通孔にそれぞれ挿通されて一対の電極が仕切板よりも口金側のカバー内にそれぞれ位置しており、点灯回路が蛍光ランプの電極よりも口金側に配置されていて装置全体の入力電力が8〜20Wの範囲内で蛍光ランプを点灯させるので、高密度に形成された蛍光ランプを白熱電球の規格寸法内に小形化した外囲器内の空間に収容することができ、また蛍光ランプの電極がグローブ内側に存在しないためランプ性能を一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の蛍光ランプ装置の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0010】
まず、第1の実施の形態を図1および図2に示す。図1は蛍光ランプ装置の断面図、図2は蛍光ランプ装置の発光特性を示すグラフである。
【0011】
図1において、11は外囲器で、この外囲器11は、口金12を有するカバー13と透光性を有するグローブ14とから白熱電球の規格形状に形成されているとともに、口金12を含む高さLが110mm程度、直径Dが60mm程度、容積が100cm3程度の白熱電球の規格寸法に形成されている。
【0012】
カバー13は、PBT樹脂などの耐熱性合成樹脂にて形成され、カバー13の一端には口金12との結合用の円筒部15が一体形成され、他端にはグローブ14と嵌合される円筒状のカバー部16が形成されている。円筒部15にはエジソンタイプのE26型などのねじ込み型の口金12が被着されるとともに接着剤またはかしめなどによって固定されている。
【0013】
グローブ14は、透明または光拡散性の合成樹脂またはガラスにて、カバー13のカバー部16に嵌合される開口部17を有するほぼ球状に形成され、開口部17の縁部にはカバー部16の内側に嵌合して接着剤などによって固定される嵌合部18が形成されている。
【0014】
また、カバー13内には、点灯回路としてのインバータ回路19が収容されている。このインバータ回路19は、2枚の回路基板20にトランジスタインバータを用いた高周波点灯用の回路部品21が実装されて構成されている。2枚の回路基板20は並行してカバー13の長手方向に沿って機械的に支持され、インバータ回路19の電源入力部が口金12と電気的に接続されている。
【0015】
また、外囲器11内にはインバータ回路19側に支持されて蛍光ランプ22が収容されている。この蛍光ランプ22は、ガラス製のバルブ23を有し、バルブ23の内面に蛍光体膜が形成されるとともに内部にアルゴンなどの希ガスおよび水銀が封入され、両端23a ,23b にはフィラメント電極24が封装されている。
【0016】
バルブ23の一端23a および他端23b がインバータ回路19側に機械的に支持され、各フィラメント電極24に接続された図示しない外部リード線がインバータ回路19の高周波出力部に電気的に接続されている。
【0017】
バルブ23は、バルブ管外径が6〜12mm、バルブ肉厚が0.75mmで、バルブ管長が200〜400mmであり、一端23a 側から螺旋状に屈曲される螺旋部25が形成されているとともに、その螺旋部25の先端部26から他端23b 側に向けて螺旋部25のほぼ中心軸を通る戻り部27が形成されており、これによって1本の蛇行状の放電路が形成されている。先端部26には、バルブ23内の空気の排気および希ガスの封入後に封止される排気部28が位置する。
【0018】
そして、インバータ回路19からの出力はランプ電流90〜220mA、ランプ電圧80〜110Vであり、約45kHz の高周波で蛍光ランプ22へ入力される。蛍光ランプ装置全体の入力電力は8〜20W程度である。また、蛍光ランプ22は、口金12を含む高さLが110mmおよび直径Dが60mmの範囲内に収納されるように高密度に形成、配設される。
【0019】
また、カバー13とグローブ14と間には、インバータ回路19が収容される点灯回路収容空間bと蛍光ランプ22が収容される蛍光ランプ収容空間aとを仕切る仕切板29が配設されている。この仕切板29は、円板状に形成され、バルブ23の両端23a ,23b が挿通される挿通孔30a ,30b が形成されている。仕切板29はカバー13のカバー部16の内周面に接合されて接着剤などによって固定されている。
【0020】
そして、仕切板29によって仕切られる蛍光ランプ収容空間aの容積をA、点灯回路収容空間bの容積をBとすると、A/B≧2、という容積の関係に形成されている。
【0021】
以上のように構成された蛍光ランプ装置では、口金12を含む高さが110mmおよび直径が60mmの範囲内に高密度に屈曲形成されたバルブ23を有する蛍光ランプ22を備えるとともに、この蛍光ランプ22を収容する白熱電球形状の外囲器11を備えるため、白熱電球の規格寸法内に収めることができるとともに、白熱電球の規格形状に適合でき、外観も白熱電球と同様なので違和感がなく、白熱電球用の照明器具への適用範囲を広めることができる。
【0022】
しかも、蛍光ランプ22は、入力電力が8〜20Wで40〜80W相当の白熱電球に相当する400〜1000lmの明るさが得られ、省電力化を図れる。
【0023】
さらに、蛍光ランプ22のバルブ23が、一端23a 側が螺旋状に屈曲されるとともに、他端23b 側が螺旋のほぼ中心軸に通されているため、蛍光ランプ22の点灯時の配光を均一にできる。
【0024】
また、蛍光ランプ22のバルブ23の中心軸の先端に排気部28が形成されるため、バルブ23のフィラメント電極24を有する端部に設ける場合に比べて、バルブ23の端部の構造を簡単にできるとともに容易に製造できる。
【0025】
また、インバータ回路19の回路部品21を搭載する2枚の回路基板20が並行してカバー13の長手方向に沿って配設されるため、効率的に実装できる。
【0026】
ところで、蛍光ランプ収容空間aの蛍光ランプ22から発生する熱と点灯回路収容空間bのインバータ回路19から発生する熱とが仕切板29を通じて互いに輻射熱として伝わる。一般に、蛍光ランプ収容空間aより点灯回路収容空間bの発熱が大きいために、点灯回路収容空間bの熱が蛍光ランプ収容空間aに流れ込む。従来の蛍光ランプ装置の蛍光ランプ収容空間aの容積Aと点灯回路収容空間bの容積Bとの容積比は、A/B=1.5〜1.8程度であったが、この容積比では、点灯回路収容空間bからの熱により蛍光ランプ収容空間aの温度が上昇し、周囲温度に影響されやすい蛍光ランプ22の特性に悪影響、例えば、図2に示すように、発光効率の低下が生じることが実験によりわかった。
【0027】
そこで、本実施の形態の蛍光ランプ装置では、蛍光ランプ収容空間aの容積Aと点灯回路収容空間bの容積Bとの容積比を、A/B≧2とした。この容積比により、点灯回路収容空間bからの熱による蛍光ランプ収容空間aの温度上昇が減少し、図2に示すように、蛍光ランプ22の発光効率が従来に比べて約20%程度向上させることができる。
【0028】
次に、第2の実施の形態を図3に示す。図3は蛍光ランプ装置の蛍光ランプの底面図である。
【0029】
蛍光ランプ22のバルブ23は、インバータ回路19側の一端23a からほぼU字状に屈曲されるとともにその逆方向にほぼU字状に屈曲されるというように蛇行状に屈曲を複数回順次繰り返して、他端23b がインバータ回路19側に戻り、かつ、全体としてほぼ円筒状に配置される。
【0030】
このようなバルブ23の屈曲形状によっても、口金12を含む高さLが110mmおよび直径Dが60mmの白熱電球の規格寸法の範囲内に高密度に配置でき、図1に示す第1の実施の形態の外囲器11内に収容することができる。
【0031】
次に、第3の実施の形態を図4および図5に示す、図4は蛍光ランプの一部の斜視図、図5は図4のA−A断面図である。
【0032】
蛍光ランプ22のバルブ23は、ほぼU字状に屈曲された第1の屈曲管部31とほぼU字状に屈曲された第2の屈曲管部32とを備え、両屈曲管部31,32の一方の端部間が中央屈曲部33を介して連通されて、1本の蛇行した放電路が形成され、かつ、屈曲管部31,32が交差状に配置されて、第2の屈曲管部32の頂部が第1の屈曲管部31の内側を通されている。第2の屈曲管部32の第1の屈曲管部31の内側を通る部分には、細管状のブリッヂ部32a が形成されている。
【0033】
このようなバルブ23の屈曲形状によって、図5に示すように、両屈曲管部31,32を互いに近接配置できるため、口金12を含む高さLが110mmおよび直径Dが60mmの白熱電球の規格寸法の範囲内に高密度に配置でき、図1に示す第1の実施の形態の外囲器11内に収容することができる。
【0034】
次に、第4の実施の形態を図6に示す。図6は蛍光ランプ装置の蛍光ランプの一部の側面図である。
【0035】
蛍光ランプ22のバルブ23は、先端側を連通する細い連通管41a を介してほぼH字状に形成された第1の屈曲管部41と先端側を連通する細い連通管42a を介してほぼH字状に形成された第2の屈曲管部42とを備え、各屈曲管部41,42の一方の端部間が図示しない中央連通管(図5に示す第3の実施の形態の中央屈曲部33に相当する)を介して連通されて、1本の放電路が形成され、かつ、屈曲管部41,42が交差状に配置されて、第2の屈曲管部42の連通管42a が第1の屈曲管部41の内側を通されている。
【0036】
このようなバルブ23の屈曲形状によって、両屈曲管部41,42を互いに近接配置できるため、口金12を含む高さLが110mmおよび直径Dが60mmの白熱電球の規格寸法の範囲内に高密度に配置でき、図1に示す第1の実施の形態の外囲器11内に収容することができる。
【0037】
次に、第5の実施の形態を図7に示す。図7は蛍光ランプ装置の蛍光ランプの底面図である。
【0038】
蛍光ランプ22のバルブ23は、近接配置される4本の管部51を有し、隣接する管部を細い連通管52で連通されて、1本の放電路が形成されている。
【0039】
このようなバルブ23の屈曲形状によって、4本の管部51を互いに近接配置できるため、口金12を含む高さLが110mmおよび直径Dが60mmの白熱電球の規格寸法の範囲内に高密度に配置でき、図1に示す第1の実施の形態の外囲器11内に収容することができる。
【0040】
なお、蛍光ランプ22としては、前記実施の形態の他、バルブ23の両端23a ,23b に冷陰極電極を封装したものや、無電極形蛍光ランプを用いてもよい。
【0041】
次に、第6の実施の形態を図8に示す。図8は蛍光ランプ装置の側面図である。
【0042】
外囲器11のグローブ14は、このグローブ14のほぼ最大直径の部分で基端側分割部14a と先端側分割部14b とに2分割形成されている。
【0043】
そして、蛍光ランプ装置の組立時には、カバー13と基端側分割部14a とを嵌合固定し、基端側分割部14a の最大直径の開口部分から蛍光ランプ22を挿入装着した後、蛍光ランプ22を覆って先端側分割部14b を基端側分割部14a に嵌合し、嵌合部分を接着剤などによって固定する。
【0044】
このように、グローブ14のほぼ最大直径の部分で2分割形成することにより、グローブ14内の空間を最大限に利用して蛍光ランプ22の形状、寸法を設定できる。すなわち、グローブ14の開口部17を通じてグローブ14内に蛍光ランプ22を収納する構造では、蛍光ランプ22が開口部17を挿通可能とする形状、寸法に規制されるが、本実施の形態のように、グローブ14のほぼ最大直径の部分で2分割形成した構造では、グローブ14内に収容可能とする形状、寸法の範囲にあれば、そのグローブ14内の空間を最大限に利用した形状、寸法の蛍光ランプ22でもグローブ14内に収容できる。例えば図1に示す蛍光ランプ装置のように、グローブ14の回転軸と直交する方向を軸とした螺旋形状バルブを有する蛍光ランプ22が収容可能である。
【0045】
したがって、グローブ14のほぼ最大直径の部分で2分割形成することにより、蛍光ランプ装置を白熱電球の規格寸法内に収めるように小形化しても、蛍光ランプ22の形状、寸法を有効に設定することより、ランプ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す蛍光ランプ装置の断面図である。
【図2】同上実施の形態の蛍光ランプ装置の発光特性を示すグラフである。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す蛍光ランプ装置の蛍光ランプの底面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す蛍光ランプ装置の蛍光ランプの一部の斜視図である。
【図5】同上実施の形態の図4のA−A断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態を示す蛍光ランプ装置の蛍光ランプの一部の側面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態を示す蛍光ランプ装置の蛍光ランプの底面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態を示す蛍光ランプ装置の側面図である。
【符号の説明】
【0047】
11…外囲器、12…口金、13…カバー、14…グローブ、19…点灯回路としてのインバータ回路、20…回路基板、22…蛍光ランプ、23…バルブ、29…仕切板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径約60mm以下の透光性グローブおよびカバーからなり、口金を含む高さが110mmとなるように形成された外囲器と;
外囲器内の空間を透光性グローブ側と口金側とに仕切るように外囲器内に配設され、一対の挿通孔が形成された仕切板と;
管径6〜12mm、管長200〜420mmの螺旋状バルブを有し、このバルブの両端部が仕切板の挿通孔にそれぞれ挿通されており、バルブの両端部に封装された電極が仕切板よりも口金側のカバー内にそれぞれ位置しているとともに内部に水銀および希ガスが封入された蛍光ランプと;
仕切板よりも口金側のカバー内に収容され、蛍光ランプの電極よりも口金側に配置された回路基板を有し、装置全体の入力電力が8〜20Wの範囲内で蛍光ランプを点灯させる点灯回路と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−47542(P2008−47542A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247913(P2007−247913)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【分割の表示】特願平11−51687の分割
【原出願日】平成8年5月29日(1996.5.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】