蛍光ランプ
【課題】 比重の違う赤、青、緑色蛍光体を用いて安定した発光効率の蛍光ランプを作製する。
【解決手段】 扁平形ガラス管3の内部に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線4を介し一対の放電電極1が設置され、ガラス管3の内壁に蛍光体被膜2が塗布された扁平形蛍光ランプにおいて、蛍光体被膜2として、その赤色蛍光体の一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.2、緑色蛍光体の比率がDf:Dm=1:1.4〜2.0、青色蛍光体の比率がDf:Dm=1:1.0〜1.7である三波長蛍光体を用いたことを特徴とする。
【解決手段】 扁平形ガラス管3の内部に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線4を介し一対の放電電極1が設置され、ガラス管3の内壁に蛍光体被膜2が塗布された扁平形蛍光ランプにおいて、蛍光体被膜2として、その赤色蛍光体の一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.2、緑色蛍光体の比率がDf:Dm=1:1.4〜2.0、青色蛍光体の比率がDf:Dm=1:1.0〜1.7である三波長蛍光体を用いたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
図14は一般的な扁平形冷陰極蛍光ランプの構造を示している。図14において、1は電極、2は三波長蛍光体を用いた蛍光体被膜、3は扁平形のガラス管、4は封着線、5は放電空間を表している。この蛍光ランプでは、扁平形のガラス管3の内部の放電空間5に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線4を介し一対の放電電極1が設置されている。また、ガラス管3の内壁には三波長蛍光体被膜2が約10〜25μmの厚さで形成されている。
【0003】
液晶ディスプレイのバックライト用光源として用いられている扁平形冷陰極蛍光ランプは、主として三波長蛍光体の粒子径は様々であり、ランプ特性を駆使して赤・緑・青色蛍光体それぞれの粒子径を変えて組み合わせるのが一般的である。
【0004】
図15は従来の扁平形冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示す図である。グラフは中央部と各測定ポイントの色度値の差を示している。一般的に色度x値、y値が同方向に同値程度の変化量であればランプは見た目に色みが均一となる。しかしながら従来の蛍光体被膜を採用した蛍光ランプでは、色度x値の偏差はほぼ0で推移しているのに対し、色度y値の偏差は排気側では大きくマイナス方向を向いている。その結果ランプの排気側は赤っぽく発色し、ランプの軸方向の色みは不均一となる。この現象は色度偏差x値Δxが色度偏差y値Δyに対し高くなるほど顕著に現れる。そのため、色みを均一に見せるためにはΔx−Δy≦0.005が望ましい。また色度x値、y値が同方向に同程度の変化量であっても中央部との色度差が0.010以上となるとランプ軸方向の色みが不均一となっている。
【0005】
一般に液晶ディスプレイのバックライト用光源として用いられる扁平形冷陰極蛍光ランプは主として三波長蛍光体(赤:Y2O3:Eu、緑:LaPO4:Ce,Tb、青:BaMgAl10O17:Eu)が用いられる。これら各色蛍光体は粒子径が大きいほど、膜厚が厚いほど高効率となる。各色蛍光体は比重の違いから流動性がそれぞれ異なるため、塗布工程時に各色蛍光体の流れ落ち方に差が生じ、ランプ軸方向で赤、緑、青色蛍光体の配合比率が異なってくる問題が発生する。その結果ランプの軸方向で色度値が異なり、色みが不均一となる。
【0006】
そこで、従来は比重の大きな蛍光体は一次粒子径Dfを小さく、比重の小さな蛍光体は一次粒子径Dfを大きくし流動特性を制御することで、比重の異なる蛍光体の流動速度をほぼ同一にし、色みの均一化を図ってきた。しかしながら、明るさに最も寄与する緑色蛍光体は比重が最も大きいため、一次粒子径Dfを小さなものにする必要があり、その結果ランプの発光効率が低下する問題点が生じていた。
【特許文献1】特開平6−52831号公報
【特許文献2】特開平6−338257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、比重の異なる赤、青、緑色蛍光体を用いて三波長蛍光体被膜を備えた蛍光ランプにあって、ランプ軸方向での色みが均一化され、かつ安定した発光効率を示す蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜の赤色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.2のものを用いたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜の緑色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.4〜2.0であるものを用いたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の発明は、ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜の青色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.7であるものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比重の違う赤、青、緑色蛍光体を用いてランプ軸方向での色みが均一であり、かつ、安定した発光効率の蛍光ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0013】
(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプについて説明する。第1の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプは、図14に示した一般的な構造であり、楕円形若しくは扁平形のガラス管3の内部の放電空間5に水銀及び希ガスが一種類以上封入され、その両端内部には封着線4を介し一対の放電電極1が設置されている。また、ガラス管3の内壁には三波長蛍光体被膜2が17〜40μmの厚さで形成された構造となっている。三波長蛍光体の赤色蛍光体はY2O3:Eu、緑色蛍光体はLaPO4:Ce,Tb、そして青色蛍光体はBaMgAl10O17:Euである。そして、赤色蛍光体についてはDf(一次粒子平均粒子径):Dm(二次粒子平均粒子径)=1:1.0〜1.4のもの、緑色蛍光体にはDf:Dm=1:1.4〜2.0のもの、そして青色蛍光体にはDf:Dm=1:1.0〜1.7のものを採用し、扁平形のガラス管3の内壁にこれらの三波長蛍光体を塗布し乾燥させて蛍光体被膜2を形成している。
【0014】
図1には、緑色・青色蛍光体として、その一次、二次粒子径の粒子径比率Df,Dmを、緑色蛍光体ではDf:Dm=1:1.2、青色蛍光体ではDf:Dm=1:2.0にしたものを用い、赤色蛍光体として、そのフィッシャー・サブ−シーブ・サイザーで測定した一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率を変化させた種々のものを用い、これらの混合した三波長蛍光体を扁平形ガラス管3の内壁に塗布、乾燥させて蛍光体被膜2を形成した扁平形冷陰極蛍光ランプについて、ランプ管端色差特性を測定した結果を示している。
【0015】
図1に示したグラフから、赤色蛍光体については、そのDm/Dfの比率が小さくなるほど色度x値と色度y値の偏差は小さくなることがわかる。よって、赤色蛍光体はDf:Dm=1:1.0〜1.4のものを用いることが好ましい。
【0016】
図2には、赤色・青色蛍光体として、その一次、二次粒子径の粒子径比率を、赤色蛍光体ではDf:Dm=1:1.4、青色蛍光体ではDf:Dm=1:2.0に設定し、緑色蛍光体のフィッシャー・サブ−シーブ・サイザーで測定した一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率を変化させた種々のものを用い、これらの混合した三波長蛍光体を扁平形ガラス管3の内壁に塗布、乾燥させて蛍光体被膜2を形成した扁平形冷陰極蛍光ランプについて、ランプ管端色差特性を測定した結果を示している。
【0017】
図2に示したグラフから、緑色蛍光体については、そのDm/Dfの比率が大きくなるほど色度x値と色度y値の偏差は小さくなることがわかる。よって、緑色蛍光体はDf:Dm=1:1.4〜2.0のものを用いることが好ましい。
【0018】
図3には、赤色・緑色蛍光体として、その一次、二次粒子径比率を、赤色蛍光体ではDf:Dm=1:1.4、緑色蛍光体ではDf:Dm=1:1.2に設定し、青色蛍光体のフィッシャー・サブ−シーブ・サイザーで測定した一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率を変化させた種々のものを用い、これらの混合した三波長蛍光体を扁平形ガラス管3の内壁に塗布、乾燥させて蛍光体被膜2を形成した扁平形冷陰極蛍光ランプについて、ランプ管端色差特性を測定した結果を示している。
【0019】
図3に示したグラフから、青色蛍光体については、そのDm/Dfの比率が小さくなるほど色度x値と色度y値の偏差は小さくなることがわかる。よって、青色蛍光体はDf:Dm=1:1.0〜1.7のものを用いることが好ましい。
【0020】
このような特性の三波長蛍光体を採用し、扁平形ガラス管3の内壁に三波長蛍光体被膜2を形成した本実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプでは、蛍光体被膜2の各色の蛍光体として、その色度x値と色度y値の偏差が小さいものを用いたことにより、ランプ軸方向の色みが均一化し、かつ、安定した発光効率の発光特性を示す。
【0021】
(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプについて説明する。第2の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプも、図14に示した一般的な構造であり、扁平形のガラス管3の内部の放電空間5に水銀及び希ガスが一種類以上封入され、その両端内部には封着線4を介し一対の放電電極1が設置されている。また、ガラス管3の内壁には三波長蛍光体被膜2が17〜40μmの厚さで形成された構造となっている。三波長蛍光体の赤色蛍光体はY2O3:Eu、緑色蛍光体はLaPO4:Ce,Tb、そして青色蛍光体はBaMgAl10O17:Euである。そして、三波長蛍光体被膜2の各色の蛍光体としては、発光効率の良い大粒子蛍光体として赤色蛍光体はDf=5μmで、かつ、Dm/Df=1.1、緑色蛍光体はDf=5μmで、かつ、Dm/Df=1.6、青色蛍光体はDf=4μmで、かつ、Dm/Df=1.2のものを用いている。
【0022】
図4に赤色蛍光体はDf=5μm、Dm/Df=1.1、緑色蛍光体はDf=5μm、Dm/Df=1.6、青色蛍光体はDf=4μm、Dm/Df=1.2のものを用いて、従来のものと管端色差特性を比較した。色度x値に対して従来の蛍光体でも本実施の形態の蛍光体でも共に安定しているが、色度y値に対しては、従来の蛍光体では測定距離0〜800mmで色度偏差y値は−0.006〜0.002のバラツキがあるのに対し、本実施の形態の蛍光体では測定距離0〜800mmで色度偏差y値は−0.001〜0.004のバラツキに減少している。
【0023】
図5は膜厚別の相対輝度を比較した図である。膜厚が15μm以下の場合は従来のものの方が相対輝度は良く、15μm以上の膜厚の場合には本実施の形態のものの方が相対輝度が良いのが見てとれる。
【0024】
本実施の形態では、三波長蛍光体被膜2の各色の蛍光体として比較的大きな粒子径にして、Df:Dmもとくて井の範囲内のものを用いたことにより、管端色差特性が改善される。また、扁平形冷陰極蛍光ランプでは放電空間が狭いため蛍光体被膜2に照査される紫外線量が増えるため、粒子径の大きな蛍光体を採用することで発光効率が上昇する。
【0025】
(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプについて説明する。本実施の形態は、三波長蛍光体被膜2を形成するのに、水溶性溶媒を用いて蛍光体を扁平形ガラス管3の内壁に塗布し、その後乾燥させる工程を採用したことを特徴とする。蛍光体そのものの条件は第2の実施の形態と同様、赤色蛍光体はDf=5μm、Dm/Df=1.1、緑色蛍光体はDf=5μm、Dm/Df=1.6、青色蛍光体はDf=4μm、Dm/Df=1.2のものを用い、また膜厚は17〜40μmである。
【0026】
水溶性溶媒では塗布後の乾燥工程時に乾燥風の温度・周囲温度を高く設定することで乾燥時間を短縮でき、液垂れによる排気側の色度低下を低減することが可能となる。
【0027】
図6に水溶性溶媒を用いて三波長蛍光体混合粉末をガラス管3の内壁に塗布し、その後に乾燥させて三波長蛍光体被膜2を形成した扁平形冷陰極蛍光ランプについて、管端色差特性を示している。色度x値では従来の蛍光体でも本実施の形態の蛍光体でも安定しているが、色度y値では従来の蛍光体では測定距離0〜800mmで色度偏差y値に−0.006〜0.002のバラツキがあるのに対し、本実施の形態の蛍光体の場合には測定距離0〜800mmで色度偏差y値のバラツキが0.000〜0.003であり、バラツキが減少している。また、赤、緑、青色蛍光体の流動性をほぼ同じに改善することによって、ランプの軸方向の色度差は低減しており、ランプ軸方向の色みの均一化になっていることが確認できる。
【0028】
本実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプと従来型の冷陰極ランプとの全光束特性を図7に示している。蛍光体膜厚は40μmである。高効率である粒子蛍光体を厚く塗布することでランプの全光束は5.8%向上していることが分かる。
【0029】
(第4の実施の形態)図8は本発明の第4の実施の形態の蛍光ランプの製造工程を示す図である。本発明の第4の実施の形態は、ランプ内壁面への蛍光体被膜2の形成を、楕円もしくは扁平形状のガラス管の成形前に、真円形状のガラス管に対して行なうことを特徴とする。
【0030】
つまり、図8に示すように、新円形状のガラス管3’に対してその内壁に所定厚まで蛍光体2を塗布して乾燥し(工程a、b)、必要箇所の蛍光体膜を除去し(工程c)、蛍光体を焼き付けることによって蛍光体被膜2を固定し(工程d)、その後にガラス管3’を加熱しながら扁平形に成形して扁平形ガラス管3とする(工程e)。本実施の形態の工程で製作した扁平形蛍光ランプの外観を図9、円周方向の膜厚分布を図10に示す。
【0031】
本実施の形態の製造工程により作製した扁平形蛍光ランプについて、真円形状のガラス管に蛍光体被膜を塗布、形成した真円形蛍光ランプと、従来の工程による扁平形蛍光ランプとで、ランプの全光束特性を測定した。その結果は、図11に示すものであった。つまり、本実施の形態の場合、ガラス管に蛍光体を塗布し、その後にガラス管3を楕円形、扁平形状に成形しているため、断面形状が楕円や扁平形状のガラス管3に蛍光体を塗布した時のような張力による蛍光体の偏りがなく、蛍光体は円周ほぼ均一に塗布される。その結果、真円形状のランプに比べて約5%向上することが確認できた。
【0032】
(第5の実施の形態)本発明の第5の実施の形態の扁平形蛍光ランプについて説明する。本実施の形態は、図14に示したような扁平形蛍光ランプを作製するのに当たり、楕円形もしくは扁平形状のガラス管3に塗布する蛍光体スラリー組成として、蛍光体の重量に対し結着剤量が1.5%〜7%の範囲で配合したものを塗布し乾燥させて蛍光体被膜2を形成することを特徴とする。
【0033】
図12は、蛍光体被膜2の形成に用いる結着剤量と製品の扁平形蛍光ランプの全光束との関係を示す図である。結着剤重量が1.5%以下では加工時に蛍光体が剥離してしまい、逆に結着剤配合量を多くすると結着力は強くなるが、発光体ではないため、明るさは配合量が多くなるほど低下してしまう。上限値の7%はランプの初期輝度が結着剤を添加していないときの明るさに対し3%以内の輝度を満足する値としている。
【0034】
(第6の実施の形態)本発明の第6の実施の形態の扁平形蛍光ランプについて説明する。本実施の形態は、図14に示したような扁平形蛍光ランプを作製するのに当たり、蛍光体被膜2を塗布し形成したガラス管を楕円形若しくは扁平形状に成形するときのガラス管に対する成形温度を、650℃〜750℃の範囲とすることを特徴とする。
【0035】
図13は、ガラス管の扁平成形加工時の加熱温度とそれによって作製された扁平形蛍光ランプの全光束の関係を示す図である。成形温度が750℃以上になると蛍光体の劣化とガラス材の溶融による蛍光体のガラスへの溶け込みが合い重なり極端に輝度が低下していることがわかる。また、ランプ成形時の温度が低いほど輝度は高いが、加工時の温度が650℃以下であると加工時にガラスの割れが生じる。したがって、蛍光体を塗布した真円形状のガラス管を扁平もしくは楕円形状に成形するときのガラス管成形温度は650℃〜750℃の範囲にすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプに採用する赤色蛍光体の管端色差特性を示すグラフ。
【図2】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプに採用する緑色蛍光体の管端色差特性を示すグラフ。
【図3】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプに採用する青色蛍光体の管端色差特性を示すグラフ。
【図4】本発明の第2の実施の形態の扁平形蛍光ランプと従来例との管端色差特性について比較したグラフ。
【図5】本発明の第2の実施の形態の扁平形蛍光ランプと従来例との蛍光体被膜の膜厚別の相対輝度を比較したグラフ。
【図6】蛍光体被膜の形成に水溶性溶媒を用いた本発明の第3の実施の形態の扁平形蛍光ランプと従来例との管端色差特性についてのグラフ。
【図7】本発明の第3の実施の形態の扁平形冷陰極ランプと従来例との全光束特性を比較した表。
【図8】本発明の第4の実施の形態の扁平形蛍光ランプの製造工程図。
【図9】本発明の第4の実施の形態の製造方法で作製した扁平形蛍光ランプの外観写真。
【図10】本発明の第4の実施の形態の製造方法で作製した扁平形蛍光ランプの円周方向の膜厚分布を示す説明図。
【図11】本発明の第4の実施の形態の製造方法で作成した扁平形蛍光ランプと従来例との全光束特性を比較した表。
【図12】本発明の第5の実施の形態の扁平形蛍光ランプについて、蛍光体被膜形成のために使用する結着剤量と作製された扁平形蛍光ランプの全光束特性との関係を示すグラフ。
【図13】本発明の第6の実施の形態の扁平形蛍光ランプについて、真円形状のガラス管を扁平形状のガラス管に成形する時の加工温度と作製された扁平形蛍光ランプの全光束特性との関係を示すグラフ。
【図14】一般的な扁平形蛍光ランプの説明図。
【図15】従来の扁平形冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0037】
1 電極
2 蛍光体被膜
3 扁平形ガラス管
5 放電空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
図14は一般的な扁平形冷陰極蛍光ランプの構造を示している。図14において、1は電極、2は三波長蛍光体を用いた蛍光体被膜、3は扁平形のガラス管、4は封着線、5は放電空間を表している。この蛍光ランプでは、扁平形のガラス管3の内部の放電空間5に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線4を介し一対の放電電極1が設置されている。また、ガラス管3の内壁には三波長蛍光体被膜2が約10〜25μmの厚さで形成されている。
【0003】
液晶ディスプレイのバックライト用光源として用いられている扁平形冷陰極蛍光ランプは、主として三波長蛍光体の粒子径は様々であり、ランプ特性を駆使して赤・緑・青色蛍光体それぞれの粒子径を変えて組み合わせるのが一般的である。
【0004】
図15は従来の扁平形冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示す図である。グラフは中央部と各測定ポイントの色度値の差を示している。一般的に色度x値、y値が同方向に同値程度の変化量であればランプは見た目に色みが均一となる。しかしながら従来の蛍光体被膜を採用した蛍光ランプでは、色度x値の偏差はほぼ0で推移しているのに対し、色度y値の偏差は排気側では大きくマイナス方向を向いている。その結果ランプの排気側は赤っぽく発色し、ランプの軸方向の色みは不均一となる。この現象は色度偏差x値Δxが色度偏差y値Δyに対し高くなるほど顕著に現れる。そのため、色みを均一に見せるためにはΔx−Δy≦0.005が望ましい。また色度x値、y値が同方向に同程度の変化量であっても中央部との色度差が0.010以上となるとランプ軸方向の色みが不均一となっている。
【0005】
一般に液晶ディスプレイのバックライト用光源として用いられる扁平形冷陰極蛍光ランプは主として三波長蛍光体(赤:Y2O3:Eu、緑:LaPO4:Ce,Tb、青:BaMgAl10O17:Eu)が用いられる。これら各色蛍光体は粒子径が大きいほど、膜厚が厚いほど高効率となる。各色蛍光体は比重の違いから流動性がそれぞれ異なるため、塗布工程時に各色蛍光体の流れ落ち方に差が生じ、ランプ軸方向で赤、緑、青色蛍光体の配合比率が異なってくる問題が発生する。その結果ランプの軸方向で色度値が異なり、色みが不均一となる。
【0006】
そこで、従来は比重の大きな蛍光体は一次粒子径Dfを小さく、比重の小さな蛍光体は一次粒子径Dfを大きくし流動特性を制御することで、比重の異なる蛍光体の流動速度をほぼ同一にし、色みの均一化を図ってきた。しかしながら、明るさに最も寄与する緑色蛍光体は比重が最も大きいため、一次粒子径Dfを小さなものにする必要があり、その結果ランプの発光効率が低下する問題点が生じていた。
【特許文献1】特開平6−52831号公報
【特許文献2】特開平6−338257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、比重の異なる赤、青、緑色蛍光体を用いて三波長蛍光体被膜を備えた蛍光ランプにあって、ランプ軸方向での色みが均一化され、かつ安定した発光効率を示す蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜の赤色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.2のものを用いたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜の緑色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.4〜2.0であるものを用いたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の発明は、ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、前記蛍光体被膜の青色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.7であるものを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比重の違う赤、青、緑色蛍光体を用いてランプ軸方向での色みが均一であり、かつ、安定した発光効率の蛍光ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0013】
(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプについて説明する。第1の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプは、図14に示した一般的な構造であり、楕円形若しくは扁平形のガラス管3の内部の放電空間5に水銀及び希ガスが一種類以上封入され、その両端内部には封着線4を介し一対の放電電極1が設置されている。また、ガラス管3の内壁には三波長蛍光体被膜2が17〜40μmの厚さで形成された構造となっている。三波長蛍光体の赤色蛍光体はY2O3:Eu、緑色蛍光体はLaPO4:Ce,Tb、そして青色蛍光体はBaMgAl10O17:Euである。そして、赤色蛍光体についてはDf(一次粒子平均粒子径):Dm(二次粒子平均粒子径)=1:1.0〜1.4のもの、緑色蛍光体にはDf:Dm=1:1.4〜2.0のもの、そして青色蛍光体にはDf:Dm=1:1.0〜1.7のものを採用し、扁平形のガラス管3の内壁にこれらの三波長蛍光体を塗布し乾燥させて蛍光体被膜2を形成している。
【0014】
図1には、緑色・青色蛍光体として、その一次、二次粒子径の粒子径比率Df,Dmを、緑色蛍光体ではDf:Dm=1:1.2、青色蛍光体ではDf:Dm=1:2.0にしたものを用い、赤色蛍光体として、そのフィッシャー・サブ−シーブ・サイザーで測定した一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率を変化させた種々のものを用い、これらの混合した三波長蛍光体を扁平形ガラス管3の内壁に塗布、乾燥させて蛍光体被膜2を形成した扁平形冷陰極蛍光ランプについて、ランプ管端色差特性を測定した結果を示している。
【0015】
図1に示したグラフから、赤色蛍光体については、そのDm/Dfの比率が小さくなるほど色度x値と色度y値の偏差は小さくなることがわかる。よって、赤色蛍光体はDf:Dm=1:1.0〜1.4のものを用いることが好ましい。
【0016】
図2には、赤色・青色蛍光体として、その一次、二次粒子径の粒子径比率を、赤色蛍光体ではDf:Dm=1:1.4、青色蛍光体ではDf:Dm=1:2.0に設定し、緑色蛍光体のフィッシャー・サブ−シーブ・サイザーで測定した一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率を変化させた種々のものを用い、これらの混合した三波長蛍光体を扁平形ガラス管3の内壁に塗布、乾燥させて蛍光体被膜2を形成した扁平形冷陰極蛍光ランプについて、ランプ管端色差特性を測定した結果を示している。
【0017】
図2に示したグラフから、緑色蛍光体については、そのDm/Dfの比率が大きくなるほど色度x値と色度y値の偏差は小さくなることがわかる。よって、緑色蛍光体はDf:Dm=1:1.4〜2.0のものを用いることが好ましい。
【0018】
図3には、赤色・緑色蛍光体として、その一次、二次粒子径比率を、赤色蛍光体ではDf:Dm=1:1.4、緑色蛍光体ではDf:Dm=1:1.2に設定し、青色蛍光体のフィッシャー・サブ−シーブ・サイザーで測定した一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率を変化させた種々のものを用い、これらの混合した三波長蛍光体を扁平形ガラス管3の内壁に塗布、乾燥させて蛍光体被膜2を形成した扁平形冷陰極蛍光ランプについて、ランプ管端色差特性を測定した結果を示している。
【0019】
図3に示したグラフから、青色蛍光体については、そのDm/Dfの比率が小さくなるほど色度x値と色度y値の偏差は小さくなることがわかる。よって、青色蛍光体はDf:Dm=1:1.0〜1.7のものを用いることが好ましい。
【0020】
このような特性の三波長蛍光体を採用し、扁平形ガラス管3の内壁に三波長蛍光体被膜2を形成した本実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプでは、蛍光体被膜2の各色の蛍光体として、その色度x値と色度y値の偏差が小さいものを用いたことにより、ランプ軸方向の色みが均一化し、かつ、安定した発光効率の発光特性を示す。
【0021】
(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプについて説明する。第2の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプも、図14に示した一般的な構造であり、扁平形のガラス管3の内部の放電空間5に水銀及び希ガスが一種類以上封入され、その両端内部には封着線4を介し一対の放電電極1が設置されている。また、ガラス管3の内壁には三波長蛍光体被膜2が17〜40μmの厚さで形成された構造となっている。三波長蛍光体の赤色蛍光体はY2O3:Eu、緑色蛍光体はLaPO4:Ce,Tb、そして青色蛍光体はBaMgAl10O17:Euである。そして、三波長蛍光体被膜2の各色の蛍光体としては、発光効率の良い大粒子蛍光体として赤色蛍光体はDf=5μmで、かつ、Dm/Df=1.1、緑色蛍光体はDf=5μmで、かつ、Dm/Df=1.6、青色蛍光体はDf=4μmで、かつ、Dm/Df=1.2のものを用いている。
【0022】
図4に赤色蛍光体はDf=5μm、Dm/Df=1.1、緑色蛍光体はDf=5μm、Dm/Df=1.6、青色蛍光体はDf=4μm、Dm/Df=1.2のものを用いて、従来のものと管端色差特性を比較した。色度x値に対して従来の蛍光体でも本実施の形態の蛍光体でも共に安定しているが、色度y値に対しては、従来の蛍光体では測定距離0〜800mmで色度偏差y値は−0.006〜0.002のバラツキがあるのに対し、本実施の形態の蛍光体では測定距離0〜800mmで色度偏差y値は−0.001〜0.004のバラツキに減少している。
【0023】
図5は膜厚別の相対輝度を比較した図である。膜厚が15μm以下の場合は従来のものの方が相対輝度は良く、15μm以上の膜厚の場合には本実施の形態のものの方が相対輝度が良いのが見てとれる。
【0024】
本実施の形態では、三波長蛍光体被膜2の各色の蛍光体として比較的大きな粒子径にして、Df:Dmもとくて井の範囲内のものを用いたことにより、管端色差特性が改善される。また、扁平形冷陰極蛍光ランプでは放電空間が狭いため蛍光体被膜2に照査される紫外線量が増えるため、粒子径の大きな蛍光体を採用することで発光効率が上昇する。
【0025】
(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプについて説明する。本実施の形態は、三波長蛍光体被膜2を形成するのに、水溶性溶媒を用いて蛍光体を扁平形ガラス管3の内壁に塗布し、その後乾燥させる工程を採用したことを特徴とする。蛍光体そのものの条件は第2の実施の形態と同様、赤色蛍光体はDf=5μm、Dm/Df=1.1、緑色蛍光体はDf=5μm、Dm/Df=1.6、青色蛍光体はDf=4μm、Dm/Df=1.2のものを用い、また膜厚は17〜40μmである。
【0026】
水溶性溶媒では塗布後の乾燥工程時に乾燥風の温度・周囲温度を高く設定することで乾燥時間を短縮でき、液垂れによる排気側の色度低下を低減することが可能となる。
【0027】
図6に水溶性溶媒を用いて三波長蛍光体混合粉末をガラス管3の内壁に塗布し、その後に乾燥させて三波長蛍光体被膜2を形成した扁平形冷陰極蛍光ランプについて、管端色差特性を示している。色度x値では従来の蛍光体でも本実施の形態の蛍光体でも安定しているが、色度y値では従来の蛍光体では測定距離0〜800mmで色度偏差y値に−0.006〜0.002のバラツキがあるのに対し、本実施の形態の蛍光体の場合には測定距離0〜800mmで色度偏差y値のバラツキが0.000〜0.003であり、バラツキが減少している。また、赤、緑、青色蛍光体の流動性をほぼ同じに改善することによって、ランプの軸方向の色度差は低減しており、ランプ軸方向の色みの均一化になっていることが確認できる。
【0028】
本実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプと従来型の冷陰極ランプとの全光束特性を図7に示している。蛍光体膜厚は40μmである。高効率である粒子蛍光体を厚く塗布することでランプの全光束は5.8%向上していることが分かる。
【0029】
(第4の実施の形態)図8は本発明の第4の実施の形態の蛍光ランプの製造工程を示す図である。本発明の第4の実施の形態は、ランプ内壁面への蛍光体被膜2の形成を、楕円もしくは扁平形状のガラス管の成形前に、真円形状のガラス管に対して行なうことを特徴とする。
【0030】
つまり、図8に示すように、新円形状のガラス管3’に対してその内壁に所定厚まで蛍光体2を塗布して乾燥し(工程a、b)、必要箇所の蛍光体膜を除去し(工程c)、蛍光体を焼き付けることによって蛍光体被膜2を固定し(工程d)、その後にガラス管3’を加熱しながら扁平形に成形して扁平形ガラス管3とする(工程e)。本実施の形態の工程で製作した扁平形蛍光ランプの外観を図9、円周方向の膜厚分布を図10に示す。
【0031】
本実施の形態の製造工程により作製した扁平形蛍光ランプについて、真円形状のガラス管に蛍光体被膜を塗布、形成した真円形蛍光ランプと、従来の工程による扁平形蛍光ランプとで、ランプの全光束特性を測定した。その結果は、図11に示すものであった。つまり、本実施の形態の場合、ガラス管に蛍光体を塗布し、その後にガラス管3を楕円形、扁平形状に成形しているため、断面形状が楕円や扁平形状のガラス管3に蛍光体を塗布した時のような張力による蛍光体の偏りがなく、蛍光体は円周ほぼ均一に塗布される。その結果、真円形状のランプに比べて約5%向上することが確認できた。
【0032】
(第5の実施の形態)本発明の第5の実施の形態の扁平形蛍光ランプについて説明する。本実施の形態は、図14に示したような扁平形蛍光ランプを作製するのに当たり、楕円形もしくは扁平形状のガラス管3に塗布する蛍光体スラリー組成として、蛍光体の重量に対し結着剤量が1.5%〜7%の範囲で配合したものを塗布し乾燥させて蛍光体被膜2を形成することを特徴とする。
【0033】
図12は、蛍光体被膜2の形成に用いる結着剤量と製品の扁平形蛍光ランプの全光束との関係を示す図である。結着剤重量が1.5%以下では加工時に蛍光体が剥離してしまい、逆に結着剤配合量を多くすると結着力は強くなるが、発光体ではないため、明るさは配合量が多くなるほど低下してしまう。上限値の7%はランプの初期輝度が結着剤を添加していないときの明るさに対し3%以内の輝度を満足する値としている。
【0034】
(第6の実施の形態)本発明の第6の実施の形態の扁平形蛍光ランプについて説明する。本実施の形態は、図14に示したような扁平形蛍光ランプを作製するのに当たり、蛍光体被膜2を塗布し形成したガラス管を楕円形若しくは扁平形状に成形するときのガラス管に対する成形温度を、650℃〜750℃の範囲とすることを特徴とする。
【0035】
図13は、ガラス管の扁平成形加工時の加熱温度とそれによって作製された扁平形蛍光ランプの全光束の関係を示す図である。成形温度が750℃以上になると蛍光体の劣化とガラス材の溶融による蛍光体のガラスへの溶け込みが合い重なり極端に輝度が低下していることがわかる。また、ランプ成形時の温度が低いほど輝度は高いが、加工時の温度が650℃以下であると加工時にガラスの割れが生じる。したがって、蛍光体を塗布した真円形状のガラス管を扁平もしくは楕円形状に成形するときのガラス管成形温度は650℃〜750℃の範囲にすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプに採用する赤色蛍光体の管端色差特性を示すグラフ。
【図2】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプに採用する緑色蛍光体の管端色差特性を示すグラフ。
【図3】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプに採用する青色蛍光体の管端色差特性を示すグラフ。
【図4】本発明の第2の実施の形態の扁平形蛍光ランプと従来例との管端色差特性について比較したグラフ。
【図5】本発明の第2の実施の形態の扁平形蛍光ランプと従来例との蛍光体被膜の膜厚別の相対輝度を比較したグラフ。
【図6】蛍光体被膜の形成に水溶性溶媒を用いた本発明の第3の実施の形態の扁平形蛍光ランプと従来例との管端色差特性についてのグラフ。
【図7】本発明の第3の実施の形態の扁平形冷陰極ランプと従来例との全光束特性を比較した表。
【図8】本発明の第4の実施の形態の扁平形蛍光ランプの製造工程図。
【図9】本発明の第4の実施の形態の製造方法で作製した扁平形蛍光ランプの外観写真。
【図10】本発明の第4の実施の形態の製造方法で作製した扁平形蛍光ランプの円周方向の膜厚分布を示す説明図。
【図11】本発明の第4の実施の形態の製造方法で作成した扁平形蛍光ランプと従来例との全光束特性を比較した表。
【図12】本発明の第5の実施の形態の扁平形蛍光ランプについて、蛍光体被膜形成のために使用する結着剤量と作製された扁平形蛍光ランプの全光束特性との関係を示すグラフ。
【図13】本発明の第6の実施の形態の扁平形蛍光ランプについて、真円形状のガラス管を扁平形状のガラス管に成形する時の加工温度と作製された扁平形蛍光ランプの全光束特性との関係を示すグラフ。
【図14】一般的な扁平形蛍光ランプの説明図。
【図15】従来の扁平形冷陰極蛍光ランプの管端色差特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0037】
1 電極
2 蛍光体被膜
3 扁平形ガラス管
5 放電空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、
前記蛍光体被膜の赤色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.2のものを用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、
前記蛍光体被膜の緑色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.4〜2.0であるものを用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項3】
ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、
前記蛍光体被膜の青色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.7であるものを用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項1】
ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、
前記蛍光体被膜の赤色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.2のものを用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、
前記蛍光体被膜の緑色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.4〜2.0であるものを用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項3】
ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが1種類以上封入され、その両端内部に封着線を介し一対の放電電極が設置され、前記ガラス管の内壁に蛍光体被膜が塗布された蛍光ランプにおいて、
前記蛍光体被膜の青色蛍光体として、その一次粒子の平均粒子径Dfとその凝集体から形成される二次粒子の平均粒子径Dmとの大きさの比率がDf:Dm=1:1.0〜1.7であるものを用いたことを特徴とする蛍光ランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−12470(P2007−12470A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192596(P2005−192596)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]