説明

蛍光体粒子群およびそれを用いた発光装置

【課題】β型SiAlONを用いた高効率で安定した発光装置、ならびにそのための蛍光体粒子群を提供する。
【解決手段】ピーク波長が430〜480nmの一次光を発する窒化ガリウム系半導体である発光素子と、上記一次光の一部を吸収して、一次光の波長よりも長い波長を有する二次光を発する波長変換部とを備えた発光装置であって、前記波長変換部は、一般式:EuSiAl(式中、0.005≦a≦0.4、b+c=12、d+e=16を満足する数である。)で実質的に表される柱状結晶体のβ型SiAlONである、2価のユーロピウム付活酸窒化物緑色系発光蛍光体粒子の粒子群であって、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子1から60%以上が構成されており、且つ、メディアン径が6〜20μmの範囲内である蛍光体粒子群を含む、発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置用として好適な蛍光体粒子の粒子群(蛍光体粒子群)およびそれを波長変換部に用いた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子と蛍光体とを組み合わせた発光装置は、低消費電力、小型、高輝度、広範囲な色再現性、さらには高演色性が期待される次世代の発光装置として注目され、活発に研究・開発が行われている。発光素子から発せられる一次光は、通常、長波長の紫外線から青色の範囲、すなわち380〜480nmのものが用いられる。また、この用途に適合した様々な蛍光体を用いた波長変換部も提案されている。
【0003】
現在、この種の白色の発光装置としては、青色発光の発光素子(ピーク波長:460nm前後)とその青色光により励起され黄色発光を示す3価のセリウムで付活された(Y,Gd)(Al,Ga)12蛍光体あるいは2価のユーロピウムで付活された2(Sr,Ba,Ca)O・SiO蛍光体との組み合わせが主として用いられている。しかしながら、これらの発光装置では、色再現性(NTSC比)は70%前後であり、近年、小型LCDにおいてもより色再現性の良好なものが求められている。
【0004】
さらには、最近この種の発光装置に対して変換効率(明るさ)のみならず、入力のエネルギーをより高くし、さらに明るくしようとする試みがなされている。入力エネルギーを高くした場合、波長変換部を含めた発光装置全体の効率的な放熱が必要となってくる。このために、発光装置全体の構造、材質などの開発も進められているが、動作時における発光素子および波長変換部の温度上昇は避けられないのが現状である。
【0005】
しかしながら、特に3価のセリウムで付活された(Y,Gd)(Al,Ga)12蛍光体においては、25℃での輝度(明るさ)を100%とした場合に、100℃での輝度は85%前後に低下するために、入力エネルギーを高く設定できないという技術課題を有している。したがって、この種の発光装置に対して、用いられる蛍光体の温度特性の改善も急務となっている。
【0006】
これらの技術課題に対して、EuSiAlで実質的に表されるβ型SiAlONである2価のユーロピウム付活酸窒化物緑色系発光蛍光体を用いることにより、色再現性(NTSC比)および温度特性の良好な発光装置が得られることが知られている。
【0007】
しかしながら、β型SiAlONである2価のユーロピウム付活酸窒化物緑色系発光蛍光体は、基本的には柱状結晶体であり、蛍光体の粒子群(蛍光体粒子群)に関しては、長径を短径で割った値が5を超えるものが生成しやすい。長径を短径で割った値が5を超える粒子が数多く存在する蛍光体粒子群を用いた場合、その蛍光体粒子群を樹脂中に分散した際、形状因子と推測される凝集などの現象が発生し、均質な分布が得られず、良好な特性(明るさ)が得られないという技術課題を有している。
【0008】
したがって、形状を制御したEuSiAlで実質的に表されるβ型SiAlONである2価のユーロピウム付活酸窒化物緑色系発光蛍光体粒子、およびそれを用いた高効率な発光装置の開発が急務となっている。たとえば特開2005−255895号公報(特許文献1)には、β型SiAlONに関し、アスペクト比(粒子の長軸の長さを短軸の長さで割った値)の平均値が1.5以上20以下の値を有すると記載されている。しかしながら、特許文献1の実施例には、各実施例の蛍光体粒子のアスペクト比は記載されておらず、かつアスペクト比と特性に関しては、何ら言及されていない。ここで長軸が本願の長径に相当し、短軸が本願の短径に相当する。また特許文献1では、図2において、柱状形状(写真)が示されているのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−255895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、β型SiAlONを用いた高効率で安定した発光装置、ならびにそのための蛍光体粒子群を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意調査、検討および開発を行った結果、結晶形状を制御したβ型SiAlONの粒子群を用いることにより、特性(明るさ)の良好な発光装置が得られることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0012】
本発明の発光装置は、ピーク波長が430〜480nmの一次光を発する窒化ガリウム系半導体である発光素子と、上記一次光の一部を吸収して、一次光の波長よりも長い波長を有する二次光を発する波長変換部とを備えた発光装置であって、前記波長変換部は、一般式:EuSiAl(式中、0.005≦a≦0.4、b+c=12、d+e=16を満足する数である。)で実質的に表される柱状結晶体のβ型SiAlONである、2価のユーロピウム付活酸窒化物緑色系発光蛍光体粒子の粒子群であって、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子から60%以上が構成されており、且つ、メディアン径が6〜20μmの範囲内である蛍光体粒子群を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の発光装置は、上記蛍光体粒子群が、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子から80%以上が構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の発光装置は、上記式中、0.01≦a≦0.2であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発光素子からの一次光を効率よく吸収し、高効率かつ優れた色再現性(NTSC比)、さらには良好な温度特性の白色光を得ることができる発光装置、ならびにそれに好適に用いられる蛍光体粒子群を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の蛍光体粒子群を構成する蛍光体粒子1を模式的に示す図である。
【図2】本発明の好ましい一例の発光装置11を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の蛍光体粒子群は、下記一般式で実質的に表されるβ型SiAlON(サイアロン)である2価のユーロピウム付活酸窒化物緑色系発光蛍光体の粒子で構成される。
【0018】
一般式:EuSiAl
上記式中、aの値は、0.005≦a≦0.4を満足する数であり、bおよびcの値はb+c=12を満足する数であり、dおよびeの値はd+e=16を満足する数である。上記式中、aの値が0.005未満であると、十分な明るさが得られないという不具合があり、またaの値が0.4を超えると、濃度消光などにより、明るさが大きく低下するという不具合がある。なお、Euの添加量が0.01未満である場合には、蛍光体粒子群にEuが含まれない蛍光体粒子が含まれる虞があり、また、Euの添加量が0.2を超える場合には、Euの偏析が生じてEuを多く含む蛍光体粒子が蛍光体粒子群に含まれてしまう虞があり、粉体特性としての安定性、母体の均一性の維持の観点からは、上記式中のaの値は、0.01≦a≦0.2を満足する数であるのが好ましい。
【0019】
上記式で実質的に表されるβ型SiAlON(サイアロン)である2価のユーロピウム付活酸窒化物緑色系発光蛍光体としては、具体的には、Eu0.05Si11.50Al0.500.0515.95、Eu0.10Si11.00Al1.000.1015.90、Eu0.30Si9.80Al2.200.3015.70、Eu0.15Si10.00Al2.000.2015.80、Eu0.01Si11.60Al0.400.0115.99、Eu0.005Si11.70Al0.300.0315.97、Eu0.25Si11.65Al0.350.0615.94、Eu0.40Si11.35Al0.650.1515.85などを挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0020】
ここで、図1は、本発明の蛍光体粒子群を構成する蛍光体粒子1を模式的に示す図である。本発明の蛍光体粒子群は、図1に示すような柱状形状の粒子であって、その長径x(長軸に沿った直線距離)を短径y(短軸に沿った直線距離)で割った値(アスペクト比)が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子から、その60%以上が構成されていることを特徴とする。長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子が、蛍光体粒子群の60%未満である場合には、このような蛍光体粒子群を用いた発光装置の波長変換部(後述)において蛍光体粒子を緻密に分散させることができず、十分な明るさを得ることができない。また、非常に緻密に蛍光体粒子を分散させた良好な波長変換部を形成でき、極めて特性の安定した発光装置を実現できることから、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子が、蛍光体粒子群の80%以上を構成することが好ましく、90%以上を構成することがより好ましい。
【0021】
なお、上述した蛍光体粒子群を構成する蛍光体粒子の長径を短径で割った値は、たとえば走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)または光学顕微鏡を用いて測定することができる。また、蛍光体粒子群において、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子がどれだけの割合で含まれているかについても、たとえば走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)または光学顕微鏡を用いて測定することができる。
【0022】
本発明の蛍光体粒子群は、メディアン径(D50値)が6〜20μmの範囲内であることが好ましく、7〜12μmの範囲内であることがより好ましい。本発明の蛍光体粒子群のメディアン径が6μm未満である場合には、結晶成長が不十分であり、このような蛍光体粒子群を用いた発光装置において十分な明るさを得ることができなくなる虞があるためであり、また、20μmを超える場合には、蛍光体粒子が均質に分散された波長変換部を形成するのが困難となる虞があるためである。なお、上記メディアン径(D50値)は、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)を用いて測定された値を指す。
【0023】
本発明の蛍光体粒子群は、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子から60%以上が構成されるように制御すること以外は、従来公知の適宜の方法にて作製することができる。本発明の蛍光体粒子群の60%以上を構成する蛍光体粒子として、蛍光体粒子の長径を短径で割った値を1.0を超えて3.0以下に制御する方法としては、たとえば酸素濃度を精度よく制御したり、焼成容器中の原材料の密度および嵩(焼成容器中の原材料の詰め込み具合)を精度よく制御したり、合成時の温度プロファイルを最適化する、というような方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明は、上述した本発明の蛍光体粒子群を用いた発光装置についても提供するものである。すなわち、本発明の発光装置は、一次光を発する発光素子と、上記一次光の一部を吸収して、一次光の波長以上の長さの波長を有する二次光を発する波長変換部とを基本的に備え、当該波長変換部が、上述した本発明の蛍光体粒子群を含むものである。ここで、図2は、本発明の好ましい一例の発光装置11を模式的に示す断面図である。図2に示す例の発光装置11は、発光素子12と波長変換部13とを基本的に備え、波長変換部13が複数の蛍光体粒子1を含む。この複数の蛍光体粒子1は、上述したような本発明の蛍光体粒子群を構成するものである。
【0025】
本発明の発光装置は、上述した長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子から60%以上が構成される本発明の蛍光体粒子群を含む波長変換部を備えるものである。このような本発明の発光装置は、発光素子からの一次光を効率よく吸収し、高効率かつ優れた色再現性(NTSC比)、さらには良好な温度特性の白色光を得ることができる。
【0026】
本発明の発光装置11に用いられる発光素子12には、効率の観点から、窒化ガリウム(GaN)系半導体が用いられる。また本発明の発光装置11における発光素子12としては、ピーク波長が430〜480nmの範囲の一次光を発するものが用いられる。ピーク波長が430nm未満の発光素子を用いた場合には、青色成分の寄与が小さくなり、演色性が悪くなり、実用的でないためであり、また、ピーク波長が480nmを超える発光素子を用いた場合には、白色での明るさが低下し、実用的でないためである。効率性の観点からは、本発明の発光装置11における発光素子12は、440〜470nmの範囲の一次光を発するものであることが好ましい。
【0027】
図2に示す例の本発明の発光装置11において、波長変換部13は、上述した本発明の蛍光体粒子群を含有し、発光素子12から発せられる一次光の一部を吸収して、一次光の波長以上の長さの波長を有する二次光を発し得るものであれば、その媒質は特に制限されるものではない。媒質(透明樹脂)としては、たとえばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、波長変換部13は、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜のSiO、TiO、ZrO、Al、Yなどの添加剤を含有していても勿論よい。
【0028】
本発明の発光装置11の波長変換部13には、図2に示す例のように、上述した本発明の蛍光体粒子群以外の蛍光体粒子14が含まれていても勿論よい。本発明の蛍光体粒子群以外に波長変換部13に含まれ得る他の蛍光体粒子としては、特に制限されるものではないが、本発明の蛍光体粒子群は、緑色系発光蛍光体粒子により構成されているため、混色により白色光を呈する発光装置を実現し得る観点からは、下記一般式で表される2価のユーロピウム付活窒化物赤色系発光蛍光体の粒子が好適である。
【0029】
一般式:(MI1−fEu)MIISiN
上記式中、MIはアルカリ土類金属であり、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。また上記式中、MIIは3価の金属元素であり、Al、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。中でも、より一層高効率に赤色系を発光することができることから、MIIはAl、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。また上記式中、fの値は、0.001≦f≦0.10であり、0.005≦f≦0.05であるのが好ましい。fの値が0.001未満であると、十分な明るさが得られない傾向にあり、fの値が0.10を越えると、濃度消光などにより、明るさが大きく低下するという傾向にあるためである。
【0030】
このような2価のユーロピウム付活窒化物赤色系発光蛍光体としては、具体的には、Ca0.99Eu0.01SiAlN、(Ca0.97Mg0.02Eu0.01)(Al0.99Ga0.01)SiN、(Ca0.98Eu0.02)AlSiN、(Ca0.97Sr0.01Eu0.02)(Al0.98In0.02)SiN、(Ca0.999Eu0.001)AlSiN、(Ca0.895Mg0.100Eu0.005)AlSiN、(Ca0.79Sr0.20Eu0.01)AlSiN、(Ca0.98Eu0.02)(Al0.95Ga0.05)SiNなどを挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0031】
なお、上述した2価のユーロピウム付活窒化物赤色系発光蛍光体を用いる場合、波長変換部13における本発明の蛍光体粒子群との混合比率としては、特に制限されるものではないが、本発明の蛍光体粒子群に対し、重量比で1〜35%の範囲内とすることが好ましく、5〜25%の範囲内とすることがより好ましい。
【0032】
本発明の発光装置11における波長変換部13は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した2価のユーロピウム付活窒化物赤色系発光蛍光体以外の、本発明の蛍光体粒子群以外の蛍光体粒子を含んでいても勿論よい。また、このような本発明の蛍光体粒子群、上述した2価のユーロピウム付活窒化物赤色系発光蛍光体以外の蛍光体粒子は、本発明の蛍光体粒子群および上述した2価のユーロピウム付活窒化物赤色系発光蛍光体に加え、さらに波長変換部13に含まれていてもよい。
【0033】
本発明の発光装置11は、従来公知の適宜の手法にて製造することができ、その製造方法は特に制限されるものではない。たとえば、媒質として熱硬化型のシリコーン樹脂製の封止材を用い、これに本発明の蛍光体粒子群(および必要に応じ本発明の蛍光体粒子群以外の蛍光体粒子)を混練し、発光素子12を封止して成形して、製造する場合が例示される。
【0034】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
<実施例1、比較例1>
発光素子として、450nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用いた。波長変換部には、Eu0.05Si11.50Al0.500.0515.95(β型SiAlON)(D50値:7.8μm)なる組成を有する緑色系発光蛍光体粒子の粒子群であり、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下の粒子から85%が構成されている蛍光体粒子群を用いた。この蛍光体粒子群は、酸素濃度を最適化することによって調製されたものである。なお、粒度分布測定装置としては、LA−920(堀場製作所製)を用いた。この蛍光体粒子群を、所定の割合にて媒質としての熱硬化型のシリコーン樹脂製の封止材中に分散させて分散し、発光素子を封止して、波長変換部を作製し、実施例1の発光装置を作製した。このようにして作製した実施例1の発光装置について、順電流(IF)20mAにて点灯し、発光装置からの光出力(光電流)を測定して、その特性(明るさ)を評価した。
【0036】
一方、Eu0.05Si11.50Al0.500.0515.95(β型SiAlON)(D50値:7.6μm)なる組成を有する緑色系発光蛍光体粒子の粒子群であり、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下の粒子から40%が構成されている蛍光体粒子群を用いたこと以外は上述と同様にして、比較例1の発光装置を作製し、同様に特性を評価した。
【0037】
実施例1、比較例1の結果を表1に示す。表1から、実施例1の発光装置は、比較例1の発光装置と比較して、特性(明るさ)が優れていることが分かる。
【0038】
【表1】

【0039】
<実施例2〜7、比較例2〜7>
表2に示すような長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下の粒子の割合(%)、D50値および発光素子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、それぞれ実施例2〜7、比較例2〜7の発光装置を作製した。実施例1と同様にして測定した特性(明るさ)の結果とともに、表2に示す。表2から、実施例2〜7の発光装置は、比較例2〜7の発光装置と比し、特性(明るさ)が優れていることが分かる。
【0040】
【表2】

【0041】
<実施例8、比較例8>
発光素子として、460nmにピーク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用いた。波長変換部には、Eu0.01Si11.80Al0.200.0415.96(β型SiAlON)(D50値:10.5μm)なる組成を有する緑色系発光蛍光体粒子の粒子群であり、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下の粒子から85%が構成されている蛍光体粒子群と、(Ca0.99Eu0.01)AlSiN(D50値:9.3μm)なる組成を有する2価のユーロピウム付活窒化物赤色系発光蛍光体とを用いた。上記蛍光体粒子群は、合成時の温度プロファイルを最適化することによって調製されたものである。なお、粒度分布測定装置としては、LA−920(堀場製作所製)を用いた。この蛍光体粒子群および赤色系発光蛍光体を、所定の割合にて媒質としての熱硬化型のシリコーン樹脂製の封止材中に分散させて分散し、発光素子を封止して、波長変換部を作製し、実施例8の発光装置を作製した。
【0042】
一方、Eu0.05Si11.50Al0.500.0515.95(β型SiAlON)(D50値:7.6μm)なる組成を有する緑色系発光蛍光体粒子の粒子群であり、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下の粒子から40%が構成されている蛍光体粒子群を用いたことは実施例8と同様にして、比較例8の発光装置を作製した。
【0043】
これら実施例8、比較例8の発光装置について、実施例1と同様にして特性(明るさ)の評価を行った。また、順電流(IF)20mAの条件にて点灯し、発光装置からの白色光をMCPD−2000(大塚電子社製)にて測定することで、Tc−duvについても評価を行った。結果を表3に示す。表3から、実施例8の発光装置は、比較例8の発光装置と比較して、特性(明るさ)が優れていることが分かる。
【0044】
【表3】

【0045】
今回開示された実施の形態、実施例および比較例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される
【符号の説明】
【0046】
1 蛍光体粒子
11 発光装置
12 発光素子
13 波長変換部
14 本発明の蛍光体粒子群以外の蛍光体粒子






















【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーク波長が430〜480nmの一次光を発する窒化ガリウム系半導体である発光素子と、
上記一次光の一部を吸収して、一次光の波長よりも長い波長を有する二次光を発する波長変換部とを備えた発光装置であって、
前記波長変換部は、
一般式:EuSiAl
(式中、0.005≦a≦0.4、b+c=12、d+e=16を満足する数である。)で実質的に表される柱状結晶体のβ型SiAlONである、2価のユーロピウム付活酸窒化物緑色系発光蛍光体粒子の粒子群であって、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子から60%以上が構成されており、且つ、メディアン径が6〜20μmの範囲内である蛍光体粒子群を含む、発光装置。
【請求項2】
上記蛍光体粒子群が、長径を短径で割った値が1.0を超えて3.0以下である蛍光体粒子から80%以上が構成されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
上記式中、0.01≦a≦0.2である請求項1又は2に記載の発光装置。













【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−107248(P2012−107248A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7037(P2012−7037)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【分割の表示】特願2009−522568(P2009−522568)の分割
【原出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】