説明

蛍光増白剤組成物

本発明は、紙の増白に適した組成物に関し、前記組成物は、タウリン基をもつ一種以上の特定の蛍光増白剤を含む。本組成物は、特にウエットエンドでサイズプレス中で、またはコーティングにより紙を増白するのに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を増白する(whitening)ためのタウリン基を含む特定のビス−トリアジニルアミノ−スチルベン化合物を含む蛍光増白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙業界では、白色度の高い紙に対する持続的な傾向がある。紙の増白は通常、紙パルプにシート形成する前、またはシート形成後にサイズプレスで、若しくはコーティング組成物によって蛍光増白剤(fluorescent whitening agent:FWA)を使用することによって実施する。前記プロセスの二つ以上の組み合わせも可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
意外にも、タウリン基を含む特定のビス−トリアジニルアミノ−スチルベン化合物は紙を増白するのに使用すると、改善された白色度の紙を生産することが知見された。このことは特に、前記化合物を塩化カルシウムなどの二価カチオンの無機塩と組み合わせて使用するときにあてはまる。そのような塩は、特に製紙業界においてインクジェット印刷の印刷性能を改善するために使用される。
従って、本発明は紙の増白に適した組成物であって、前記組成物は
(a)式(1)、式(2)または式(3):
【0004】
【化1】

【0005】
{式中、Rは独立して水素、C−CアルキルまたはC−Cヒドロキシアルキルを表し;
、R、R及びRは互いに独立して、水素、シアノ、C−Cアルキル、C−Cヒドロキシアルキル、C−Cアルコキシを表し、ここでアルキルは直鎖若しくは分岐鎖であるか;あるいはRとRまたはRとRは互いに独立してN原子と一緒になってモルホリン、ピペリジン若しくはピロリジン環;または−(CH−SOM(ここでlは1、2若しくは3を表す);または
【0006】
【化2】

【0007】
(ここで−SOM基はo−、m−またはp−位であり得、kは0〜3の整数であり、好ましくは1〜3である);または−(CH−COOR、−(CH−CONHR、−(CH−COR(ここでiは1〜4の整数であり、RはC−Cアルキルであるか、Mに等しい)を形成し、
Mは水素または、カチオンの一等価物、特にLi、Na、K、Ca、Mg、アンモニウムまたは、C−Cアルキル若しくはC−Cヒドロキシアルキルにより一、二、三若しくは四置換されているアンモニウムを表す、
ただし、式(1)の蛍光増白剤が存在し、且つ式(2)及び(3)の蛍光増白剤がどれも存在しない場合、Rは水素でもメチルでもない}
の少なくとも一種の蛍光増白剤(fluorescent whitening agent:FWA)を含む、前記組成物に関する。
【0008】
本発明はさらに、紙を増白するためのプロセスであって、パルプ及び/またはセルロースシートを上記定義の組成物と接触させる、前記プロセスに関する。さらに本発明は、本プロセスによって得ることが可能な紙について言及する。さらに本発明は、紙を増白するための上記定義の組成物の使用に関する。本発明の好ましい態様は、(実施例を含む)以下の記載、特許請求の範囲及び図面に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、種々の蛍光増白剤(FWA)の増白性能を示す図である。
【0010】
【図2】図2は、二価カチオンの塩の存在下における種々の蛍光増白剤(FWA)の増白性能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい態様において、紙を増白するのに適した組成物はサイズプレス液(size press liquor)であり、前記プロセスはサイズプレスにおいて紙を増白するためのプロセスであり、ここでセルロースシートはサイズプレス液と接触する。
【0012】
本発明の文脈において、サイズプレスとは、表面施用(surface application)装置、好ましくは抄紙機を意味するものと理解され、ここで形成したセルロースシートはサイズプレス液と接触し、シートによって吸い取られるべき液の割合(液体吸収)は好ましくはロール圧によって調節することができる。
【0013】
サイズプレスまたはフィルムプレス、即ちスピードサイザー(Speedsizer)並びにシムサイザー(Symsizer)並びにゲートロール(Gate−roll)の最近の発展は、サイズプレスなる用語によって網羅されているとして同様に理解される。
【0014】
本発明の別の好ましい態様では、紙の増白に適した組成物はコーティング組成物またはコーティングスリップ(coating slip)であり、前記プロセスは紙の増白プロセスであり、ここでセルロースシートは前記コーティング組成物またはコーティングスリップと接触する。
【0015】
本発明の別の好ましい態様では、紙の増白に適した組成物はウエットエンド組成物であり、前記プロセスは紙の増白プロセスであり、ここでパルプまたはパルプ懸濁液は前記組成物と接触する。
【0016】
本発明に従って、本組成物は上記定義の式(1)、(2)または(3)の少なくとも一種のビス−トリアジニルアミノ−スチルベン化合物を含む。好ましい態様では、R、R、及びRは水素であり、R及びRは両方とも2,5−ジスルホフェニルである。別の好ましい態様では、Rはメチルであり、R及びRは水素であり、R及びRは両方とも2,5−ジスルホフェニルである。
【0017】
Mの好ましい態様は水素、Na、K、Ca、Mgであり、特にMはNaまたはKであり、最も好ましくはNaである。
【0018】
式(1)、式(2)及び式(3)の蛍光増白剤は、当業界で公知の方法と同様に製造することができる。たとえば、蛍光増白剤は、塩化シアヌルとアミンまたはアミン化合物または誘導体、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸またはその塩、及びタウリン化合物またはタウリン/ジタウリン化合物混合物とを反応させることにより製造することができる。あるいは、式(1)、式(2)及び式(3)の化合物は、当業界で公知の方法により個別に製造し、製造後に一緒に混合することもできよう。好適なプロセスは以下の実施例に記載する。式(1)の蛍光増白剤(式中、Rは水素またはメチルである)はWO03/044275A1号の実施例から公知である。
【0019】
本発明の組成物は、式(1)、式(2)または式(3)の2種または3種の蛍光増白剤を含むことができる。一般に、本発明の組成物は以下の態様の一つを含むことができる:
・式(1)の蛍光増白剤、ただし上記定義のとおり;
・式(2)の蛍光増白剤;
・式(3)の蛍光増白剤;
・式(1)及び(2)の蛍光増白剤;
・式(1)及び(3)の蛍光増白剤;
・式(2)及び(3)の蛍光増白剤;または
・式(1)、(2)及び(3)の蛍光増白剤。
【0020】
最も好ましくは、本組成物は式(1)、(2)及び(3)の蛍光増白剤を含む。本組成物は、式(1)、(2)及び/または(3)の蛍光増白剤それぞれを一種以上含むことができる。さらに本組成物は、一種以上の公知のビス−トリアジニルアミノ−スチルベンまたはジスチリル−ビフェニルベースの蛍光増白剤を含むことができる。
【0021】
本発明の組成物は、成分(a)100重量%をベースとしてそれぞれ、式(1)の蛍光増白剤を0〜99重量%、好ましくは20〜95重量%、最も好ましくは50〜95重量%;式(2)の蛍光増白剤を0〜90重量%、好ましくは0.1〜60重量%、最も好ましくは1〜30重量%;及び式(3)の蛍光増白剤を0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、最も好ましくは0.1〜20重量%含む。本発明の別の好ましい態様では、本組成物は、成分(a)100重量%をベースとしてそれぞれ、式(1)の蛍光増白剤を0〜99重量%、式(2)の蛍光増白剤を0〜90重量%、及び式(3)の蛍光増白剤を0〜50重量%含む。
【0022】
本発明の組成物は、任意の商業的に利用可能な形状、たとえば水に溶解していてもよい粉末または粒状物でありえるか、あるいは水性製剤(aqueous preparation)、水溶液若しくは水性分散液、または製造物から直接の水性製剤の形状で使用することができる。好ましい態様では、本発明の組成物は水性製剤である。さらに好ましい態様では、本発明の組成物は成分(b)として、100重量%組成物をそれぞれベースとして、水を好ましくは40〜99重量%、好ましくは60〜97重量%、最も好ましくは70〜95重量%含む。
【0023】
その用途に依存して、本発明の組成物は、キャリヤ、サイジング剤、二価カチオンの塩、さらに比較的少量で、通常10重量%未満でさらに補助剤(auxiliary)、たとえば分散剤、増粘剤、不凍剤、防腐剤、錯化剤などを含むことができ、または製造時に完全に除去できなかった蛍光増白剤合成由来の有機副生成物が本発明の組成物に含まれているかもしれない。本発明の好ましい態様では、組成物は上記定義の蛍光増白剤(成分(a))、水(成分(b))及び少なくとも一種のキャリヤ及び/またはサイジング剤を含むサイズプレス液である。本発明の別の好ましい態様では、組成物は上記定義の蛍光増白剤(成分(a))、水(成分(b))及び少なくとも一種のバインダー及び/または顔料と、場合により少なくとも一種のキャリヤ及び/またはコバインダー(co−binder)を含むコーティング組成物またはコーティングスリップである。
【0024】
好適なキャリヤは、キャリヤとして適していることが当業界で公知の任意の化合物、特にサイズプレス液またはコーティング組成物に適したキャリヤである。好ましいキャリヤはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、でんぷんまたはその混合物であり、でんぷんが特に好ましい。好適なキャリヤ物質としてはたとえば、水素ブリッジ結合を形成する能力をもつ親水性ポリマーがある。好ましいキャリヤ物質としては、でんぷん、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及び、数平均分子量200〜8000g/molをもつポリエチレングリコール類、並びにこれらの物質の任意の所望の混合物があり、これらのポリマーは任意に変性することが可能である。好ましいポリビニルアルコール類は、加水分解度>85パーセントをもつもの、好ましいカルボキシメチルセルロースは置換度DS>0.5をもつものである。数平均分子量Mn200〜8000g/molをもつポリエチレングリコール類が特に好ましい。好適なでんぷんは、たとえばジャガイモでんぷん、米でんぷん、小麦でんぷん、トウモロコシでんぷんまたはタピオカでんぷんをベースとするが、これらに限れられない。特にその分子量が部分分解により既に減少しているか、及び/または誘導体化によって得られたでんぷんを、天然でんぷんの代わりに使用するのが好ましい。さらに、両方の変性段階を組み合わせた、即ち部分的に分解し、且つさらに誘導体化されたでんぷんが適している。でんぷん分解の典型的な方法は、たとえば酵素的、酸化的、熱的または加水分解処理がある。好適なでんぷん誘導体の例としては、ヒドロキシエチルでんぷんまたはカチオンでんぷん(cationic starch)がある。
【0025】
好適なサイジング剤は、アルケニルケテンダイマー、アルキルケテンダイマー(alkyl ketene dimer:AKD)、アルケニル無水琥珀酸(alkenyl succinic anhydride:ASA)、ロジンサイズ、スチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレンアクリレート、スチレンアクリル酸コポリマー、ポリウレタンまたはエチレンアクリル酸コポリマー、または他の一般的な紙用化学品、たとえばスチリル−アクリレートコポリマー、ラテックス、顔料、消泡剤または塩、たとえばNaCl若しくはNaHCO、あるいはこれらの二種以上の混合物がある。サイジング剤を使用する場合には、これらは組成物100重量%をベースとしてそれぞれ重量%で、0〜5、特に0〜4、最も好ましくは0〜3重量%の量で使用される。
【0026】
本発明に従って増白すべきコーティングスリップまたはコーティング組成物は、ラテックスバインダーとして、たとえばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリレートまたは酢酸ビニルをベースとする格子(lattice)を含む。これらのポリマーは場合によりさらなるモノマー、たとえばアクリロニトリル、アクリルアミド、α,β−不飽和カルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸またはマレイン酸、アクリレート、ビニルエステル、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどによって変性することができる。しかしながら通常、紙のコーティングスリップまたはコーティング組成物の製造に使用される全ての日常的なラテックスバインダーが好適である。コーティングスリップまたはコーティング組成物は、これらとは異なる合成コバインダーとして、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及び/またはポリビニルアルコール及びアクリレート−ベースの合成増粘剤などを含むことができる。
【0027】
好ましいラテックスバインダーは、スチレン/ブタジエンをベースとするものである。好ましい合成コバインダーとしては、ポリビニルアルコール類、特に加水分解度>85パーセント、及び特に2〜80mPas(20℃で4%濃度の水溶液中で測定)のブルックフィールド粘度をもつもの、カルボキシメチルセルロース類、特に置換度>0.5、及び特に約5〜約5000mPas(20℃で2%濃度の水溶液中で測定)のブルックフィールド粘度をもつもの、及びこれらの二種の物質の混合物がある。
【0028】
本発明に従って増白すべきコーティングスリップまたはコーティング組成物はさらに白色顔料を含むのが好ましい。
【0029】
習慣的に使用される白色顔料としては、混合物の形状でも使用されることが多い、天然または沈殿形の炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、サテンホワイト(satin white)、水酸化アルミニウム及び硫酸バリウムがある。
【0030】
二価カチオンの好適な塩は、二価カチオン類、好ましくはアルカリ土類金属、特にカルシウムまたはマグネシウムのカチオンを含む。好ましくは、二価カチオンの対イオンは、一価または多価アニオン類、特にハライド、サルフェート、ハイドロサルフェート、ホスフェート、ハイドロホスフェート、ジヒドロホスフェート、カーボネート、ハイドロカーボネート、ナイトレート、アセテート、またはこれらの混合物であり、クロライドまたはサルフェートが好ましく、クロライドが最も好ましい。好ましい塩は塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムまたはその混合物であり;塩化カルシウム、塩化マグネシウムまたはその混合物がより好ましく、塩化カルシウムが最も好ましい。
【0031】
組成物の製造は公知方法により実施することができ、好ましくは好適なpH値をもつ、成分(a)として蛍光増白剤の水溶液と、他の成分、たとえばキャリヤ物質、サイジング剤、バインダー、顔料、塩または標準化剤(standardizing agent)とを混合することによって実施することができる。
【0032】
紙を増白するための本発明のプロセスは、好ましくはサイズプレスまたはコーティングを使用して、公知プロセスに従って実施し、どんな制約を受けることもない。使用する紙は重要ではなく、任意のパルプまたはセルロースシートであってよい。
【0033】
本発明のプロセスにより得られた紙は、優れた白色度を示し、二価カチオンの塩を使用する場合には、インクジェット印刷用途に特に適している。
【0034】
製造した紙の白色度は、CIE白色度により特徴つけることができる。CIE白色度に従って考察すると、飽和挙動に関して種々の蛍光増白剤を互いに比較できる。言い換えれば、多量の蛍光増白剤を使用しても白色度がさらに増加しないならば、飽和挙動があり、そして、より多くの量を使用すれば白色度へ悪影響さえあるかもしれない。飽和の作用は、グリーニング(greening)とも称される。グリーニング限界(greening limit)、即ち、使用された蛍光増白剤の量が増すと共に、実質的に白色度が増加しない点は、たとえばa−b図(a及びbは、CIE−Lbシステムにおける色座標である)から誘導することができる。
【0035】
また本発明は、紙を増白するための本発明の組成物の使用に関し、ここで上記定義の組成物を使用する。
【0036】
以下の実施例は、本発明を説明し、好ましい態様を示すものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0037】
実施例1
段階1:塩化シアヌルとジメタニル酸(dimetanilic acid)との反応
攪拌機、pH電極、温度計及びコンデンサを備えた2リットルフラスコに、8℃で水600mlと塩化シアヌル100g(0.54mol)を充填する。pHが4.5に低下した後、25%w/wジメタニル酸溶液592g(0.56mol)を45分で添加する。この混合物を12℃以下に加熱しながら、同時に10%水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを2.3に維持する。ジメタニル酸溶液を添加後、この混合物を12℃及びpH2.3で3時間攪拌する。この時間の後、10%水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを5.2に維持している間に、温度は30℃に上昇し、反応は完了する。
【0038】
段階2:段階1の中間体と4,4’−ジアミノ−2,2’−ジスルホン酸との反応
4,4’−ジアミノ−2,2’−ジスルホン酸二ナトリウム塩112.2g(0.27mol)、水835g及び炭酸ナトリウムの10%水溶液222gを含む溶液を段階1からの溶液に添加する。添加している間に溶液のpHを一定(pH=5.2)に維持していると、温度は徐々に65℃に上昇する。4,4’−ジアミノ−2,2’−ジスルホン酸溶液の添加が終了するまで、この溶液を65℃及びpH5.2で攪拌する。
【0039】
段階3:段階2の中間体とタウリン(1)との反応(R、R、R=H;R、R=C(SONa)
20%水溶液としてタウリン67.8g(0.54mol)を段階2からの溶液に20分で添加する。この混合物を100℃以下に加熱しながら、10%水酸化ナトリウム溶液を同時に添加してpHを8で一定に維持する。次いで反応混合物を約100℃及びpH8でさらに3時間攪拌する。得られた溶液を約50℃に冷却し、濾過して清澄にすると式1の化合物の溶液、371g(87.3%)が得られる。
【0040】
実施例2(R、R、R=H;R、R=C(SONa)
20%水溶液としてタウリン/ジタウリン混合物(5/l w/w)67.8g(0.54mol)を20分で実施例1の段階2からの溶液に添加する。この混合物を100℃以下に加熱しながら、10%水酸化ナトリウム溶液を同時に添加してpHを8で一定に保持する。次いで反応混合物を約100℃及びpH8でさらに3時間攪拌する。得られた溶液を約50℃に冷却し、濾過して清澄にすると、1(78.7%)、2(4.8%)及び3(16.5%)の混合物の溶液が全体で362g(85.2%)の収量で得られる。
【0041】
実施例3:(R、R、R=H;R、R=C(SONa)
実施例1の段階2からの溶液を60℃以下に加熱し、次いで20%水溶液としてタウリン/ジタウリン混合物(5/l w/w)67.8g(0.54mol)を1時間で滴下添加した。この混合物を100℃以下に加熱しながら、10%水酸化ナトリウム溶液を同時に添加してpHを8で一定に保持する。次いで反応混合物を約100℃及びpH8でさらに3時間攪拌する。得られた溶液を約50℃に冷却し、濾過して清澄にすると、1(84%)、2(5.1%)及び3(10.9%)の混合物の溶液が全体で354g(83.3%)の収量で得られる。
【0042】
比較例FWA1(R=CH、R、R=H;R、R=C(SONa)
実施例1の段階2からの溶液に、N−Meタウリン74.5g(0.54mol)を20分で添加する。この混合物を100℃以下に加熱しながら、10%水酸化ナトリウム溶液を同時に添加してpHを8で一定に保持する。次いで反応混合物を約100℃及びpH8でさらに3時間攪拌する。得られた溶液を約50℃に冷却し、濾過して清澄にすると、式1の化合物の溶液、383g(88.7.3%)が得られる。
【0043】
以下の蛍光増白剤及び混合物が得られた。ここでMは常にナトリウムを表し、標準FWAは比較例FWA1を表す。以下に示されているBlankophor UWSは、比較目的のために比較例FWA2として以下の実施例で使用する。
【0044】
【化3】

【0045】
【化4】

【0046】
【化5】

【0047】
これらの蛍光増白剤及び混合物を以下の用途例で使用した。
【0048】
適用例1
種々の蛍光増白剤の増白性能は、サイズ−/フィルム−プレス用途用の以下の試験手順を使用して調査した。
【0049】
中性ジャガイモでんぷん(Perfectamyl 4692)の15%でんぷん溶液を製造した。試験は10%でんぷん溶液中で実施した。蛍光増白剤の量(乾燥紙上で計算)は、紙上に適用した0.1〜0.5%であった。乾燥でんぷん1.6g/mを、機械紙(machine paper)であり、蛍光増白剤でサイジングし、少し増白した80g/m原紙(basepaper)に適用した。
【0050】
最初に蛍光増白剤をグラスに秤量し、でんぷん溶液13.33gを添加した。その後溶液に水を添加して20gとして、10%でんぷん溶液中で試験を実施した。少しの時間攪拌した後、フィルムプレス適用をシミュレートするように、溶液をRakel(No.0)の半自動式のラボコーターにより原紙の片面に適用した。引き出した後、紙を約100℃で乾燥シリンダー上で直接乾燥した。一晩順化(climatization)した後、データーカラー分光計(Datacolor spectrometer:ISO2469)により、ISO2469標準をベースとした光源を用い、CIE、L、a及びbを、検出することにより、紙の調製した面を測定した。
【0051】
100gでんぷん調製物当たりの蛍光増白剤の使用量は、表1に示されているように0.28〜1.12%であった。
得られた結果を表1にまとめ、図1にも示す。
【0052】
【表1】

【0053】
適用例2
種々の蛍光増白剤の増白性能を、塩化カルシウムの存在下で調査した。
試験手順は、塩化カルシウムを以下のように添加した以外には、適用例1と同一であった。50%塩化カルシウム溶液を製造した。紙上に適用した塩化カルシウム量は、0.8%であった。グラスに蛍光増白剤を秤量し、15%でんぷん溶液13.33gを添加した後、塩化カルシウム溶液を秤量し、溶液に水を添加して20gとした。
【0054】
100gでんぷん調製物当たりの蛍光増白剤の使用量は、表2に示されているように0.24〜0.73%であった。
得られた結果を表2にまとめ、図2にも示す。
【0055】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙の増白に適した組成物であって、前記組成物は、
(a)式(1)、式(2)または式(3):
【化1】

{式中、Rは独立して水素、C−CアルキルまたはC−Cヒドロキシアルキルを表し;
、R、R及びRは互いに独立して、水素、シアノ、C−Cアルキル、C−Cヒドロキシアルキル、C−Cアルコキシを表し、ここでアルキルは直鎖若しくは分岐鎖であるか;あるいはRとRまたはRとRは互いに独立してN原子と一緒になってモルホリン、ピペリジン若しくはピロリジン環;または−(CH−SOM(ここでlは1、2若しくは3を表す);または
【化2】

(ここで−SOM基はo−、m−またはp−位であり得、kは0〜3の整数である);または−(CH−COOR、−(CH−CONHR、−(CH−COR(ここでiは1〜4の整数であり、RはC−Cアルキルであるか、Mに等しい)を形成し、
Mは水素または、カチオンの一等価物、特にLi、Na、K、Ca、Mg、アンモニウムまたは、C−Cアルキル若しくはC−Cヒドロキシアルキルにより一、二、三若しくは四置換されているアンモニウムを表す、
ただし、式(1)の蛍光増白剤が存在し、且つ式(2)及び(3)の蛍光増白剤がどれも存在しない場合、Rは水素でもメチルでもない}
の少なくとも一種の蛍光増白剤(fluorescent whitening agent:FWA)を含む、前記組成物。
【請求項2】
R、R及びRは水素であり、且つR及びRは両方とも2,5−ジスルホフェニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Rはメチルであり、R及びRは水素であり、且つR及びRは両方とも2,5−ジスルホフェニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
MはNaまたはKである、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、式(1)、式(2)及び/または式(3)の2または3種の蛍光増白剤を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は式(1)、(2)及び(3)の蛍光増白剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、成分(a)100重量%をベースとしてそれぞれ、式(1)の蛍光増白剤を20〜95重量%、式(2)の蛍光増白剤を0.1〜60重量%、式(3)の蛍光増白剤を0.1〜30重量%含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は水性製剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物はサイズプレス液である、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物はコーティング組成物またはコーティングスリップである、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は二価カチオンの塩を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
パルプまたはパルプ懸濁液を、請求項1〜8及び11のいずれかに記載の組成物と接触させる、紙を増白するためのプロセス。
【請求項13】
セルロースシートを請求項1〜11のいずれかに記載の組成物と接触させる、紙を増白するためのプロセス。
【請求項14】
セルロースシートとの接触はサイズプロセスまたはコーティングにより実施する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれかに記載のプロセスにより得られる紙。
【請求項16】
紙を増白するための請求項1〜11のいずれかに記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−522972(P2011−522972A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512978(P2011−512978)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057198
【国際公開番号】WO2009/150182
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510328102)ブランコファー ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー (2)
【Fターム(参考)】