説明

蛍光読み取り装置

【課題】DNAマイクロアレイなどのような生体分子検知デバイスの読み取り装置において、スキャンニング効率が良く、簡易な構成で無駄なく結果を得ることのできる蛍光読み取り装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光電変換素子13が線状に配設された受光手段3と蛍光判断手段4を備え、測定対象部10に対して受光手段に配設された光電変換素子13が垂直になるようにスキャンニングし、蛍光判断手段4は受光手段3が検出する光量が予め設定したしきい値の範囲内の時蛍光していると判断し撮像することによって、簡易な構成で必要な情報の結果だけを得ることのできる蛍光読み取り装置が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出用物質、具体的にはDNA、たんぱく質や抗体などのプローブが支持体に固相化されたプローブ担体およびそのプローブ担体のプローブに蛍光標識された検体と反応して蛍光発色した測定部の蛍光を読み取る蛍光読み取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遺伝子発現頻度を検出する方法として、プローブアレイを使用した解析が行われており、このプローブアレイ解析において、核酸ハイブリダイゼーション反応による検出である、いわゆるDNAチップなどが用いられており、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析などにも利用され、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用されている。遺伝子多型を含む領域などのDNAや転写産物であるRNAを鋳型にして合成されたcDNAをPCR等の増幅手段で増幅し、増幅産物とプローブアレイとをハイブリダイゼーション反応し、ハイブリット形成させ、形成されたハイブリット構造を蛍光色素などを用いて検出することが一般的である。また、遺伝子解析以外においても生体分子を網羅的に検出する方法として、抗体や糖鎖やレクチンなどをプローブとしてアレイ状に固相化したプローブ担体に、プローブと結合するターゲット分子とプローブの複合体を形成させ、形成された複合体を蛍光染色やQCMなどの手段によって検出すること方法が活用されている。従来、この種のプローブ担体は、スライドガラスに多種類のプローブDNAを高密度に固相する方法や半導体基板にDNAプローブを合成する方法が知られている。これらのDNAチップといわれるものは、主として遺伝子発現頻度解析などの利用を目的としていることから、多種、多数のDNAオリゴマーやcDNAなどが高密度に集積されている。その他高密度化を図るために、円盤状の基板(担体)や独立した反応部を設けるなどが検討されている(特許文献1、2参照)。しかしながら、近年前述の遺伝子発現頻度解析などの研究目的から、特定の微生物、ウイルス、DNAなどの有無を検出するような検査の目的に使用されるようになり、この場合は、必ずしも多くのDNAプローブなどを必要とせず、例えば、1回の検査において、数10種類のプローブさえ用いれば目的の検査を完了することが可能であり、検査目的に応じて数種類の菌やウイルスなどの検出に使いやすいプローブ担体が望まれている。
【0003】
また、プローブ担体に染色試薬などで発色したターゲットとする核酸の特異的な配列が反応し、その発色を検出する装置は、レーザー方式でプローブ担体をスキャンニングし、発色あるいは蛍光した光を光電子倍増管などで検出する方法が一般的に用いられている。
【0004】
レーザー方式でスキャンする場合、測定面積が大きくなると焦点距離に誤差が生じるため、受光ピンホールなどを用いてプローブ担体の歪みやたわみに対応した蛍光読み取り装置などが開発されている(特許文献3参照)。
【0005】
また、生体高分子検出用デバイスを固定保持し蛍光検出手段に対して移動走査することのできる走査型共焦点顕微鏡画像検出装置が発明されており、以下に示すような装置が公開されている(特許文献4参照)。
【0006】
以下、その走査型共焦点顕微鏡画像検出装置について図15を参照しながら説明する。図15(a)は走査型共焦点顕微鏡画像検出装置101の構成を示す図であり、図15(a)に示すように、走査型共焦点顕微鏡画像検出装置101は、ポリマー配列分析装置のX方向、Y方向、及びZ方向の移動の少なくとも一方向に走査動作を行わせるボイスコイル102を備えている。ボイスコイル102は、高度な光収集効率を備えた安価な対物レンズ103を用いて有効に利用できるポリマー配列の少なくともひとつの軸を高速走査する際に加速度の改善をもたらす。大きな加速度を、ボイスコイル作動性軸の安定状態の高い走査スピード(約22インチ/秒)と組み合わせることによって、例えば30ライン/秒で14mm(一タイプのポリマー配列の走査ラインの長さ)といった距離を走査することが可能になる。
【0007】
また、図15(b)は解読用載物台104の構成を示す図であり、図15(b)に示すように解読用載物台104にはボイスコイル102、およびボイスコイル102を線形スライドに接続する軽量のブラケット105が設けられている。ブラケット105は堅く、走査すべきポリマー配列または回転式プリズム106と対物レンズ103を支持するように設計されている。
【0008】
高速軸(X)方向に設けたポリマー配列の高速走査用ボイスコイル102を用いると、開口数の高い(例えば0.5またはそれ以上)、簡単な低コストの対物レンズ103を利用できるようになる。対物レンズ103は例えば、顕微鏡の対物レンズであってもよいし、または簡単な構成の非球面レンズであってもよい。この対物レンズ103は、高価な対物レンズとは違って軸を外れた収差を補正する必要がないため小さくて安価であるが、高い開口数を持っているとよい。
【0009】
このように走査型共焦点顕微鏡画像検出装置101は、例えばポリマー配列の高スピードで低価格の走査、即ちボイスコイル作動性を持つ解読用載物台104を用いて高性能で価格の面で効果的なポリマー配列走査を行う装置であり、10走査線/秒から30走査線/秒の走査スピードを維持して画像を検出する際、約3.5μmから約1.5μmまたはそれ以下の大きさのピクセルで走査ができる。
【特許文献1】特開2004−28992号公報
【特許文献2】特開2004−301559号公報
【特許文献3】特開2002−357549号公報
【特許文献4】特開2001−519460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来の技術では、DNAチップなどのような2次元的に広がった表面の蛍光画像を取得するために、広範囲をスキャンニングする高精度な駆動機構部が必要なため蛍光読み取り装置自体が大型化し、またスキャンニングが長時間かかり非効率的という課題があり、装置が小型になりスキャンニング効率の良い蛍光読み取り装置が要求されており、また、DNAチップを利用した検査結果は情報量が多く情報解析が煩雑になるという課題があり、必要のない情報はあらかじめ削除された検査結果を得ることができる蛍光読み取り装置が要求されている。
【0011】
また、スキャンニング時間を短くするために蛍光画像を取得する受光素子を多数用いることで相対的にスキャンニング時間を短縮する場合、受光素子を多数使用するため蛍光読み取り装置自体が高額になるという課題があり、受光素子を多数使用せずに安価でスキャニング時間の短い蛍光読み取り装置が要求されている。
【0012】
また、蛍光読み取り装置の励起光源としてレーザーを用いた場合、レーザー方式では出力が大きいため励起される蛍光分子が早く褪色してしまい、試料の劣化が早く再計測が難しいという課題や、レーザー光源からの発熱が、蛍光読み取り装置およびDNAチップ上の蛍光色素に悪影響を及ぼしてしまうため、装置寿命およびDNAチップの寿命を短くしてしまうという課題があり、蛍光分子が劣化しにくく再計測が可能でありさらに装置寿命やDNAチップの寿命が長くなるような蛍光読み取り装置が要求されている。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、装置が小型になりスキャンニング効率の良い蛍光読み取り装置を提供することを目的とし、また、必要のない情報があらかじめ削除された検査結果を得ることのできる蛍光読み取り装置を提供することを目的としている。
【0014】
また、受光素子を多数使用せずに安価でスキャニング時間の短い蛍光読み取り装置を提供することを目的としている。
【0015】
また、蛍光分子が劣化しにくく再計測が可能でありさらに装置寿命やDNAチップの寿命が長くなるような蛍光読み取り装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の蛍光読み取り装置は、上記目的を達成するために、蛍光試薬で標識された一つ以上の蛍光点を含んだ測定対象部の蛍光点を検出する蛍光読み取り装置であって、前記測定対象部の一定面積に予め定められた波長域で励起光を照射する1つまたは複数の光源と、前記測定対象部の一定面積の一部または全ての部分で前記励起光によって発光する予め定められた波長域の光を受光する線状に配置された複数の光電変換素子である受光手段と、前記光源によって照射されて発光した光を設定した一定の時間内に受光し、その受光した光量が設定したしきい値の範囲内のときに蛍光していると判断する蛍光判断手段と、測定対象部または光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、測定対象部の測定に必要な距離を移動させる移動手段と、測定対象部の蛍光点の位置を特定し、その特定した蛍光点の位置を表示する蛍光点位置表示手段を備えたことを特徴とする蛍光読み取り装置としたものである。
【0017】
この手段により、装置が小型になりスキャンニング効率の良い蛍光読み取り装置が得られ、また、光電変換素子を多数使用せずに安価でスキャニング時間の短い蛍光読み取り装置が得られ、また、必要のない情報があらかじめ削除された検査結果を得ることができる蛍光読み取り装置が得られる。
【0018】
また、他の手段は光源をLEDとした請求項1記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0019】
この手段により、蛍光分子が劣化しにくく再計測が可能でありさらに装置寿命やDNAチップの寿命が長くなるような蛍光読み取り装置が得られる。
【0020】
また、他の手段は受光手段の長さを測定対象部の幅と同じ長さとした請求項1、2いずれか記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0021】
この手段により、装置が小型になりスキャンニング効率の良い蛍光読み取り装置が得られ、また、光電変換素子を多数使用せずに安価でスキャニング時間の短い蛍光読み取り装置が得られる。
【0022】
また、他の手段は励起光によって発光した光を集光する集光レンズを前記光電変換素子の前段に設けた請求項1〜3いずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0023】
この手段により、微量な発光であっても感度良く検出することのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0024】
また、他の手段は移動手段が測定対象部を固定する測定対象部固定部を有しており、前記測定対象部を固定保持した前記移動手段が前記測定対象部を連続的あるいは断続的に移動させ、前記測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0025】
この手段によりス、キャンニング効率の良い蛍光読み取り装置が得られ、迅速に検出することのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0026】
また、他の手段は移動手段が光源および受光手段を固定させる光源および受光手段固定部を有しており、前記光源および前記受光手段を固定保持した前記移動手段が前記光源および前記受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、前記測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0027】
この手段によりスキャンニング効率の良い蛍光読み取り装置が得られ、迅速に検出することのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0028】
また、他の手段は測定対象部へ当たる外光を遮光することのできる筐体を有しており、前記筐体内に光源と受光手段とを内包したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0029】
この手段により、外光に影響されることなく感度良く検出することのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0030】
また、他の手段は測定する位置を把握する測定位置特定手段が備えられた測定対象部を測定する蛍光読み取り装置であって、測定対象部に備えられた測定位置特定手段を検知する測定位置検知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0031】
この手段により、無駄なく効率良く測定対象部をスキャンニングすることのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0032】
また、他の手段は測定位置特定手段が蛍光体あるいは発光体で構成されており、光源および受光手段が測定位置検知手段を兼ね備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0033】
この手段により、簡単な構成で無駄なく効率良く測定対象部をスキャンニングすることのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0034】
また、他の手段は測定対象部が平板状であり、光源および受光手段が前記測定対象部に対して平行になるように、前記測定対象部または光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0035】
この手段により、簡単な構成で効率良くスキャンニングすることのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0036】
また、他の手段は核酸あるいはタンパク質あるいは糖質あるいは脂質を備えた測定対象部の蛍光点を読み取ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0037】
この手段により、核酸あるいはタンパク質あるいは糖質あるいは脂質に対して結合する物質を効率良く検知することのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0038】
また、他の手段は測定対象部がDNAマイクロアレイであることを特徴とした請求11に記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0039】
この手段により、DNAマイクロアレイを効率良く読み取ることのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0040】
また、他の手段はDNAマイクロアレイ上のDNAプローブが固定された複数スポットのそれぞれの中心点が一直線上になる様に配列されており、前記スポットの中心点が形成する一直線に沿ってDNAマイクロアレイまたは光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、DNAマイクロアレイの測定に必要な距離を移動させる事を特徴とした請求項12に記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0041】
この手段により、無駄なく効率良く短時間でスキャンニングでき、簡単な構成で安価に効率良くDNAマイクロアレイを検出することのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【0042】
また、他の手段はDNAマイクロアレイ上のDNAプローブを固定した複数のスポット全体が形成するスポットエリアが四角形になっており、四角形の前記スポットエリアを形成する辺のいずれか1つの辺に対して垂直になる様にDNAマイクロアレイまたは光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、DNAマイクロアレイの測定に必要な距離を移動させる事を特徴とした請求項13に記載の蛍光読み取り装置としたものである。
【0043】
この手段により、スポットがたくさんあっても無駄なく効率良く短時間でスキャンニングでき、簡単な構成で安価に効率良くDNAマイクロアレイを検出することのできる蛍光読み取り装置が得られる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、装置全体を小型化可能にしスキャンニング効率を良くすることができるという効果のある蛍光読み取り装置を提供でき、必要のない情報があらかじめ削除されることで洗練された検査結果を得ることができる蛍光読み取り装置を提供できる。
【0045】
また、光電変換素子を多数使用せずに安価でスキャンニング時間を短くできるという効果のある蛍光読み取り装置を提供できる。
【0046】
また、本発明によれば蛍光分子が劣化しにくいため再計測が可能になり、また、装置寿命やDNAチップの寿命が長くなるという効果のある蛍光読み取り装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明の請求項1記載の発明は、蛍光試薬で標識された一つ以上の蛍光点を含んだ測定対象部の蛍光点を検出する蛍光読み取り装置であって、前記測定対象部の一定面積に予め定められた波長域で励起光を照射する1つまたは複数の光源と、前記測定対象部の一定面積の一部または全ての部分で前記励起光によって発光する予め定められた波長域の光を受光する線状に配置された複数の光電変換素子である受光手段と、前記光源によって照射されて発光した光を設定した一定の時間内に受光し、その受光した光量が設定したしきい値の範囲内のときに蛍光していると判断する蛍光判断手段と、測定対象部または光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、測定対象部の測定に必要な距離を移動させる移動手段と、測定対象部の蛍光点の位置を特定し、その特定した蛍光点の位置を表示する蛍光点位置表示手段を備えたことを特徴とする蛍光読み取り装置としたものであり、線状に配置された複数の光電変換素子である受光手段を用いて測定対象部をスキャンニングすることによって、効率良く測定対象部全体をスキャンニングすることができるようになり、また、線状に配置された光電変換素子を一つの軸方向を往復運動させてスキャンニングすることによって効率良くスキャンニングできるため、複雑な走査機構部を必要としない小型化可能な蛍光読み取り装置ができるようになり、また、光電変換素子を多数配置しなくても良いので安価にスキャニング時間が短縮することができる蛍光読み取り装置ができるという作用を有する。
【0048】
また、光源をLEDとした請求項1記載の蛍光読み取り装置としたものであり、LEDの励起光を利用することで蛍光分子が劣化しにくくなるため再計測が可能になり、装置寿命やDNAチップの寿命が長くなるという作用を有する。
【0049】
また、前記受光手段の長さを測定対象部の幅と同じ長さとした請求項1、2いずれか記載の蛍光読み取り装置としたものであり、測定対象部の幅を規定する線に対して受光手段を垂直にスキャンニングすることによってより効率的にスキャンニングできるようになり、また、使用する光電変換素子がより少なくて済むのでより安価な蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0050】
また、励起光によって発光した光を集光する集光レンズを前記光電変換素子の前段に設けた請求項1〜3いずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものであり、測定対象部の蛍光分子から発せられる発光が集光レンズによって集光されるため、感度が良く蛍光を検出することができる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0051】
また、移動手段が測定対象部を固定する測定対象部固定部を有しており、前記測定対象部を固定保持した前記移動手段が前記測定対象部を連続的あるいは断続的に移動させ、前記測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものであり、測定対象部固定部によって測定対象部が安定に保持固定されるため、スキャンニング時に精度良く蛍光を検出することのできる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0052】
また、移動手段が光源および受光手段を固定させる光源および受光手段固定部を有しており、前記光源および前記受光手段を固定保持した前記移動手段が前記光源および前記受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、前記測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものであり、スキャンニング時に測定対象部が固定され移動しない状態であるためスキャンニング時に精度良く蛍光を検出することのできる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0053】
また、測定対象部へ当たる外光を遮光することのできる筐体を有しており、前記筐体内に光源と受光手段とを内包したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものであり、スキャンニング時に測定対象部および受光手段に干渉する外光を遮断することができるため、感度良く蛍光を検出することのできる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0054】
また、測定する位置を把握する測定位置特定手段が備えられた測定対象部を測定する蛍光読み取り装置であって、測定対象部に備えられた測定位置特定手段を検知する測定位置検知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものであり、測定位置検知手段が測定対象部上の測定位置特定手段を検知することによって確実に測定対象部をスキャンニングすることができるようになる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0055】
また、測定位置特定手段が蛍光体あるいは発光体で構成されており、光源および受光手段が測定位置検知手段を兼ね備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものであり、測定位置検知手段を兼ね備えた受光手段とすることで、より簡易な構成となる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0056】
また、測定対象部が平板状であり、光源および受光手段が前記測定対象部に対して平行になるように、前記測定対象部または光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものであり、平板状の測定対象部に対して平行になるようにスキャンニングすることによって、平板状の測定対象部の蛍光を簡便に精度良く検出することのできる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0057】
また、核酸あるいはタンパク質あるいは糖質あるいは脂質を備えた測定対象部の蛍光点を読み取ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置としたものであり、核酸あるいはタンパク質あるいは糖質あるいは脂質に対して結合することのできる結合物質に蛍光分子を標識し、蛍光標識された結合物質が測定対象部に効率良く捕捉されることによって、核酸あるいはタンパク質あるいは糖質あるいは脂質に対して結合することのできる結合物質を効率良く検知することのできる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0058】
また、測定対象部がDNAマイクロアレイであることを特徴とした請求11に記載の蛍光読み取り装置としたものであり、DNAマイクロアレイに蛍光標識された核酸分子多種類を効率良く補足し、DNAマイクロアレイ上に補足された蛍光分子を効率良く検出することで、目的の塩基配列を含む核酸分子多種類を効率良く検出することのできる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0059】
また、DNAマイクロアレイ上のDNAプローブが固定された複数スポットのそれぞれの中心点が一直線上になる様に配列されており、前記スポットの中心点が形成する一直線に沿ってDNAマイクロアレイまたは光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、DNAマイクロアレイの測定に必要な距離を移動させる事を特徴とした請求項12に記載の蛍光読み取り装置としたものであり、マイクロアレイのスポットの中心点が形成する線上に沿ってスキャンニングを行うことによって、DNAマイクロアレイ上のスポットを無駄なく検出することができる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0060】
また、DNAマイクロアレイ上のDNAプローブを固定した複数のスポット全体が形成するスポットエリアが四角形になっており、四角形の前記スポットエリアを形成する辺のいずれか1つの辺に対して垂直になる様にDNAマイクロアレイまたは光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、DNAマイクロアレイの測定に必要な距離を移動させる事を特徴とした請求項13に記載の蛍光読み取り装置としたものであり、マイクロアレイ上のスポット全体が形成するスポットエリアのスポットを無駄なく検出することができる蛍光読み取り装置を提供することができるという作用を有する。
【0061】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0062】
(実施の形態1)
図1(a)に示すように本発明の蛍光読み取り装置1は、少なくとも一つの光源2と受光手段3と蛍光判断手段4と測定対象部固定部5と移動手段6と蛍光点位置表示手段7と制御部8を含んでいる。光源2としてはレーザー光源やLEDなどが用いられ、通常光学フィルターを用いて一定波長の光が照射されるように調節されている。使用される光学フィルターとしては短波長カットフィルターや長波長カットフィルターやバンドパスフィルターが利用される。調節される波長領域としては530nm程度のグリーン光や、630nm程度のレッド光が単独または複数で使用されるが、これ以外の波長域であっても蛍光分子に対して干渉可能な波長域であれば何れの波長域であっても使用できる。複数の蛍光点9を含んだ測定対象部10を測定対象部固定部5に固定し、固定された測定対象部10に光源2から予め定められた波長域で励起光11が照射され、測定対象部10の一定面積に励起光11が照射され、励起光11によって蛍光点9から発せられる反射光12を受光手段3が受光する。一定面積として、例えば直径10〜数千μmの円状に励起光が照射され、測定対象部10上の直径10〜数千μmの蛍光点9が反射光12を反射し受光手段3によって一度に撮像される。
【0063】
図1(b)に示すように受光手段3は複数の光電変換素子13が線上に配置された構成をしており、蛍光点9に対して光電変換素子13が垂直になるように、また、測定対象部10の面に対して光電変換素子13が垂直になるように配置される。光電変換素子13としては光電子倍増管や電荷結合素子(CCD)が使用される。また、一般的に利用される測定対象部10はスライドガラス上に蛍光分子がスポット上に結合したDNAマイクロアレイやマイクロウェルなどの一定間隔で蛍光分子が配設されている検査媒体が使用される。一定間隔として、例えば直径10〜数百μmのスポットが10〜数百μm程度の間をあけて配設されたDNAマイクロアレイが一般的に使用される。蛍光点9は蛍光分子がスポット状に配設されたものを指し、例えばDNAマイクロアレイではCy3やCy5などの蛍光分子で標識されたDNA分子がスライドガラス上にそれぞれ独立し一定間隔で結合しており、また、マイクロウェルであれば各ウェル内にルシフェラーゼやGFPなどの蛍光を発する分子が溶解した水溶液が配設されている。これら蛍光分子あるいは発光分子はそれぞれ固有の吸収スペクトルと蛍光波長を持っており、蛍光分子に干渉する励起光源は蛍光分子の吸収スペクトルに対応した光源が使用され、受光手段3には反射光の中から目的の波長を制限するための光学フィルターが併用される。
【0064】
また、光源2によって照射され発光した反射光12を受光する一定の時間を、例えば1秒〜10秒と設定することによって、蛍光点9の蛍光量が強すぎる場合から弱い時まで対応して受光することができる。なお、設定した一定の受光時間は蛍光点9の蛍光量に合わせて調節することができ、蛍光が弱い時は10秒以上に設定することができ、また、蛍光が強すぎる時は1秒以下に設定することができる。受光する一定時間と制御部8は移動手段6の動作を制御することで、光源2あるいは受光手段3と測定対象部10との相対位置を移動させる。また、制御部8は光源2による励起光11のオンオフあるいは強弱を制御する。制御部8としては光源2と受光手段3と蛍光判断手段4と移動手段6と蛍光点位置表示手段7を制御するためのものであって、CPUなどが使用される。測定対象部固定部5としてはスライドグラス状のDNAマイクロアレイを固定するためのスライドグラスを挟んで固定する治具で構成されており、また、マイクロウェルなどを固定する窪みを有した治具などが使用される。移動手段6としては、ステッピングモーターや、ボイスコイルなどで構成されたアクチュエーターが使用され、光源2および受光手段3と測定対象部10とを相対的に平行移動する方法や、励起光11の測定対象部10への入射角度を変えるように回転させる方法がとられる。
【0065】
蛍光判断手段4は受光手段3による反射光12の光量が設定したしきい値の範囲内の時蛍光していると判断し、蛍光量が少なすぎる蛍光点9あるいは多すぎる蛍光点9以外の蛍光点9を蛍光点と判断し、蛍光点位置表示手段7に蛍光像14を表示する。設定されるしきい値として、例えば撮像される蛍光像14を構成する各ピクセルの輝度が1〜255の段階で表示される場合、予めバックとなる非特異的信号の可能性が高いシグナルとして段階10の輝度値を持ったピクセルをしきい値以下とし、非表示とすることができ、また、異常信号の可能性が高いシグナルとして段階200以上の輝度値を持ったピクセルをしきい値以上とし、非表示とすることができる。蛍光判断手段4としては上記内容の判断フローおよび判断基準等がプログラミングされたマイコンなどがある。
【0066】
蛍光点位置表示手段7は例えば液晶モニターであり、蛍光像14を測定者が見えるように表示するものであり、順次撮像される蛍光像14を順番に表示することや、撮像された蛍光像14全てを並列して表示することができる。制御部8は撮像された蛍光像14を記憶し測定者が記憶された蛍光像14を呼び出し蛍光点位置表示手段7に表示することもできる。測定対象部10としてDNAマイクロアレイが使用される場合、蛍光分子が本来スポット状に固定されているところ以外に余分な蛍光分子や小さなゴミなどが測定対象部10に残っており、これがノイズとなって検出結果に悪影響を及ぼすことがある。
【0067】
また、特定のスポットが著しく強い蛍光を発していた場合、周囲のスポットの蛍光量が相対的に弱い蛍光となり、検出結果に悪影響を及ぼしてしまう。また、非特異的な信号が弱い蛍光スポットとして観察されることから、弱い蛍光スポットを検出していては無駄な情報量が増えてしまう。蛍光判断手段4は、これらのノイズや異常な信号などを削除するために予め設定された検出される蛍光量のしきい値を用いて必要な情報である蛍光点9を検知する。ここで用いられるしきい値は予め設定されていても、制御部8を通じて測定者自身が設定可能なようにプログラムを用意していてもかまわない。
【0068】
上記構成において、測定者が測定対象部10を測定対象部固定部5に固定し、制御部8を作動させることによって、測定対象部10の蛍光点9に励起光11が照射され、反射光12が受光手段3によって受光され、受光量が一定のしきい値内であれば蛍光点位置表示手段7に蛍光像14として表示される。そして、励起光が隣の蛍光点9に照射されるように移動手段6が移動し、同様に受光量が一定のしきい値内であれば蛍光点位置表示手段7に蛍光像14として表示される。この測定対象部10の移動と蛍光像14の取得表示が順次繰り返され測定対象部10上の蛍光点9が撮像されることによって、測定対象部10の蛍光情報が読み取られる。
【0069】
この際、線上に配置された光電変換素子13に対して垂直になるように移動手段が移動することによって、少ない光電変換素子13を用いて測定対象部10全面の蛍光点9が効率良く撮像され、短時間でスキャンニングされる。また、移動手段による移動方向を1軸上のみとし、往復運動のみで行うことができるため、移動手段として複雑な機構を必要とせず、小型化可能な蛍光読み取り装置となる。
【0070】
なお、上述の実施の形態では蛍光色素についてCy3、Cy5または、蛍光物質としてルシフェラーゼ、GFPとしたが、これに限ることはなく、FITC、Texas Red、DAPI、PI、Fluo−3、CMFDA、DiOC2(3)などの蛍光指示薬を用いても良い。
【0071】
(実施の形態2)
実施の形態1と同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0072】
図2において実施の形態1と異なるところは、光源2をLED15により形成した点である。図2において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用いその説明を省略する。LED15から照射され、励起光11によって蛍光点9から発せられる反射光12を受光手段3が受光する。LED15としては、青、緑、黄色、赤色のLED等が単独または複数で使用され、LEDの構造としてはダブルへテロ接合構造や量子井戸接合構造が用いられている。
【0073】
蛍光分子がCy3の場合は緑色のLEDがCy5の場合は赤色のLEDが使用される。
【0074】
また、励起光の波長をより限定し蛍光シグナルを特異的に認知するために光学フィルターを併用して励起光11の波長を限定することもできる。
【0075】
上記構成において、LED15が少ない消費電流で励起光11を照射し、蛍光点9を撮像することができ、励起光11のエネルギーが低いために蛍光分子が劣化しにくいため測定対象部10の再計測が可能となり、また、発熱量が少なく装置への負担が少ないため装置寿命やDNAチップの寿命が長くなる。また、光源2自体が小さくなるため蛍光読み取り装置1自体が小型可能になる。
【0076】
(実施の形態3)
実施の形態1または2と同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0077】
図3に示すように本発明の受光手段3の長さは測定対象部10の幅と同じ長さになるよう形成されている。
【0078】
上記構成において、光電変換素子13が線状に配置された受光手段3の幅が測定対象部10と同じであるために線状の受光手段3を測定対象部10に対して平行に移動させることによって測定対象部10全面が効率的にスキャンニングされる。光電変換素子13は線状に配置されているため、少ない光電変換素子13を用いて全面をスキャンニングできるため、蛍光読み取り装置1自体が安価に構成される。また、受光手段3を1軸上移動させるだけでスキャンニングできるので、複雑の機構部を必要としない簡便な構成の蛍光読み取り装置1が形成されるようになる。
【0079】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至3のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0080】
図4において実施の形態2と異なるところは、受光手段3の前段に反射光12を集光する集光レンズ16を設けた点である。図4において、図1および図2と同じ構成要素については同じ符号を用いその説明を省略する。使用される集光レンズ16としては、ストレートタイプのものや、多分岐タイプのガラスレンズが使用される。
【0081】
蛍光点9からの反射光12は通常様々な方向へ拡散するので、受光手段3が受光する光量は蛍光点9から発せられる反射光のうち一部となる。集光レンズ16を設けることによって受光手段3に到達できなかった反射光12を集めて受光手段3にて受光できるようになるため、反射光12が少ない場合であっても検知できるようになる。
【0082】
上記構成において、集光レンズ16を受光手段3の前段に配置することによって、高感度な蛍光読み取り装置1ができるようになる。
【0083】
なお、集光レンズ16に光学フィルターを併設することによっても検出したい反射光12をより特異的に検知することができるようになり、より高感度になる蛍光読み取り装置1ができるようになる。
【0084】
(実施の形態5)
実施の形態1乃至4のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0085】
図5に示すように本発明の蛍光読み取り装置1は測定対象部固定部5を有している。 実施の形態1に記載したように、移動手段6が連続的あるいは断続的に移動することによって、測定対象部10に固定保持された測定対象部10が光源2および受光手段3に対して相対的に移動し、測定対象部10の測定に必要な距離を移動させることができる。移動手段6としては、ステッピングモーターや、ボイスコイルなどで構成されたアクチュエーターが使用され、光源2および受光手段3と測定対象部10とを相対的に平行移動する方法や、励起光11の測定対象部10への入射角度を変えるように回転させる方法がとられる。
【0086】
上記構成において、移動手段6の動作によって測定対象部10がずれてしまうことなく、正確に移動を制御できるようになるため、簡単な構成で精度良くスキャンニングできるようになる。
【0087】
なお、本実施の形態において移動手段6自体が移動するものとしたが、移動手段6自体が移動するのではなく、固定された移動手段6が測定対象部10を移動させるものであっても同様の蛍光読み取り装置1が形成される。
【0088】
(実施の形態6)
実施の形態1乃至5のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0089】
図6において実施の形態5と異なるところは、移動手段6が移動させる対象が測定対象部固定部5ではなく、光源および受光手段固定部17である点であり、光源および受光手段固定部17はLED15と受光手段3および集光レンズ16を固定している。図6において、実施の形態5と同じ構成要素については同じ符号を用いてその説明を省略する。移動手段6が連続的あるいは断続的に移動することによって、光源および受光手段固定部17が移動し、LED15および受光手段3に対す測定対象部10の相対位置が移動し、測定対象部10の測定に必要な距離を移動させることができる。移動手段6としては、ステッピングモーターや、ボイスコイルなどで構成されたアクチュエーターが使用される。
【0090】
上記構成において、移動手段6の動作によって測定対象部10が振動してしまうことなく、スキャンニング時にクリアーな蛍光像14を取得することができるようになる。
【0091】
なお、本実施の形態において移動手段6自体が移動するものとしたが、移動手段6自体が移動するのではなく、固定された移動手段6が光源および受光手段固定部17を移動させるものであっても同様の傾向読み取り装置が形成される。
【0092】
(実施の形態7)
実施の形態1乃至6のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0093】
図7において実施の形態6と異なるところは、蛍光読み取り装置1が外光を遮光することのできる筐体18を備えている点であり、図7において、実施の形態6と同じ構成については同じ符号を用いてその説明を省略する。LED15と受光手段3と測定対象部10は筐体18内に配設された後測定に供される。筐体18は光を透過しない金属や樹脂などで成形されたものが使用され、形状は箱型であっても丸型であってもかまわない。
【0094】
筐体18の少なくとも一部には、測定対象部10を測定対象部固定部5にセットするための測定対象部挿入穴19が存在する。測定者が測定対象部10を測定対象部挿入穴19から挿入し、測定対象部固定部5にセットし、実施の形態1から6に記載の方法で読み取る。
【0095】
上記構成において、筐体が測定対象部10あるいは受光手段3に当たる外光を遮光することができるため、反射光12および光電変換素子13が外光の影響を受けることなく測定することができるようになり、精度良く蛍光点9の蛍光像14を撮像することができるようになる。
【0096】
なお、本実施の形態において測定対象部挿入穴19は開放口としたが、さらに外光を遮光するために蓋部を設け、測定対象部10を測定対象部固定部5にセットした後蓋部を閉じることによって外光をさらに遮光する構成とすることもできる。
【0097】
(実施の形態8)
実施の形態1乃至7のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0098】
図8において実施の形態7と異なるところは、測定対象部10に測定する位置を把握するための第一の測定位置特定手段20と第二の測定位置特定手段21が備えられており、これらを検知する測定位置検知手段22を備えている点である。
【0099】
図8において、実施の形態7と同じ構成については同じ符号を用いてその説明を省略する。第一の測定位置特定手段20と第二の測定位置特定手段21は測定対象部10の上面に形成されており、測定位置検知手段22に検知されるように配置されている。ここで、第一の測定位置特定手段20および第二の測定位置特定手段21として、蛍光を発する発光点を測定対象部10上に配設したものを利用する場合、測定位置検知手段22は発光を検知する光電変換素子などが利用され、また、突起物で形成した場合、測定位置検知手段22としては超音波センサや赤外線センサなどを利用することができる。
【0100】
第一の測定位置特定手段20と第二の測定位置特定手段21としては受光検出されれば良く、蛍光塗料などの塗布等がある。制御部8が移動手段6を制御し測定対象部10の端からスキャンニングする工程において、測定対象部10の移動と同時に測定位置検知手段22による第一の測定位置特定手段20の検知を試み、第一の測定位置特定手段20を測定位置検知手段22が検知した時点で制御部8が撮像を開始し、測定対象部10上の蛍光点9を順次撮像していく。蛍光点9を順次撮像すると共に測定位置検知手段22は第二の測定位置特定手段21の検知を試み、第二の測定位置特定手段21を測定位置検知手段22が検知した時点で制御部8が撮像を終了する。
【0101】
上記構成において、第一の測定位置特定手段20と第二の測定位置特定手段21によってスキャンニングエリアが規定された測定対象部10を測定位置検知手段22が検出することによって無駄なく効率良くスキャンニングを行うことができるようになる。
【0102】
なお、本実施の形態において測定位置検知手段22として超音波センサとしたが、赤外線センサやその他光を利用したセンサで代用することができる。
【0103】
(実施の形態9)
実施の形態1乃至8のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0104】
図9において実施の形態8と異なるところは、第一の測定位置特定手段20と第二の測定位置特定手段21が蛍光体あるいは発光体で構成されており、光源2および受光手段3が測定位置検知手段を兼ね備えている点である。
【0105】
図9において、実施の形態8と同じ構成については同じ符号を用いてその説明を省略する。制御部8が移動手段6を制御し測定対象部10の端からスキャンニングする工程において、測定対象部10の移動と同時に光源2および受光手段3による第一の測定位置特定手段20の検知を試み、第一の測定位置特定手段20を受光手段3が検知した時点で制御部8が撮像を開始し、測定対象部10上の蛍光点9を順次撮像し蛍光位置表示手段7に蛍光像14を表示していく。蛍光点9を順次撮像すると共に光源2および受光手段3は第二の測定位置特定手段21の検知を試み、第二の測定位置特定手段21を受光手段3が検知した時点で制御部8が撮像を終了する。
【0106】
上記構成において、光源2および受光手段3が測定位置検知手段を兼ね備えているので、簡単な構成で、無駄な撮像をしないで効率良く蛍光像14を取得できるようになる。
【0107】
(実施の形態10)
実施の形態1乃至9のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0108】
図10に示すように本発明の蛍光読み取り装置1は光源2および受光手段固定部17を有しており、受光手段固定部17を測定対象部10に対して平行に移動させる移動手段6を備えている。実施の形態6と同じ構成については同じ符号を用いてその説明を省略する。実施の形態6に記載したように、移動手段6が連続的あるいは断続的に移動することによって、光源2および受光手段固定部17が測定対象部10に対して平行になるように移動し、測定対象部10の測定に必要な距離を移動させることができる。
【0109】
移動手段6としては、ステッピングモーターや、ボイスコイルなどで構成されたアクチュエーターが使用される。
【0110】
上記構成において、移動手段6として、1軸上の反復運動によって測定対象部10上の撮像を可能にする移動を行うことができるようになり、簡単な構成で効率良くスキャンニングできるようになる。
【0111】
(実施の形態11)
実施の形態1乃至10のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0112】
図11に本発明の蛍光読み取り装置1が読み取る典型的な測定対象部10を示す。測定対象部10は核酸あるいはタンパク質あるいは糖質あるいは脂質を備えた構成である。 図11の(a)は測定対象部10上に核酸プローブ23がスポット状に固定化されているものを示している。
【0113】
図11の(b)は測定対象部10上に抗体プローブ24がスポット状に固定化されているものを示している。また、図11の(c)に示すように測定対象部10自体が核酸、タンパク質、糖質あるいは脂質で構成されている生体物質で構成された測定対象部25も利用される。また、図11の(d)に示すように生体物質で構成された測定対象部25上に抗体プローブ24を固定化することもできる。このような測定対象部10としては平面を形成することが可能なガラス、金属、セラミック、プラスチックなどの基材や、ナイロン、セルロース、コラーゲン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどで形成されたメンブレンなどが使用され、これら基材やメンブレン上にプローブとなるDNA、RNA、抗体、受容体などを直接物理吸着させたものや、Poly−Lysineやシランなどを基板表面上にコーティングし、間接的に固定したものが使用される。測定対象部10は、固定されたプローブ分子と結合する物質を検出するためのデバイスであって、検出される目的の物質に蛍光分子を標識し、測定対象部10上のプローブに蛍光分子が標識された目的の物質が結合するかどうかを検知することによって目的物質の検出を行う。
【0114】
また、蛍光標識したプローブ分子を予め測定対象部10に固定化しておき、プローブ分子を切断する物質を検出するために、測定対象部10上の蛍光強度が減少することを検知しプローブ分解物質を検出することに利用することもできる。また、図11(c)のように基材自体を核酸、タンパク質、糖質などの生体物質で構成し、金属やガラスなどの基材に比べて非特異的吸着の少ないデバイスとして利用することもできる。また、図11(d)のように、非特異的吸着の少ないデバイス上にプローブ分子を固定化し、S/N比を向上させることもできる。
【0115】
(実施の形態12)
実施の形態11と同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0116】
図12に本発明の蛍光読み取り装置1が読み取るDNAマイクロアレイ26を示す。 DNAマイクロアレイ26は、ガラスやプラスチックなどの基材の上に多種類の核酸プローブ23が互いに独立して固定化されたものであり、図12(a)に示すように、少ないアレイのものや、図12(b)に示すように高密度にアレイ化されたものが使用される。マイクロアレイ26は検査対象物である水、食品、土壌や、あるいは血液、排泄物等の体液や病理組織などの生体試料から特定の塩基配列を持ったDNAを検出するために利用される。固定化される核酸プローブ23はDNAあるいはRNAが使用され、1本鎖に変性された核酸や、2本鎖の核酸が直接あるいはシランやチオールなどのカップリング材を使用して基板上に固定化されている。
【0117】
資料中のDNAあるいはRNAなどの核酸を抽出し、蛍光色素で標識化した後、標識化された核酸をDNAマイクロアレイ26と反応させ、相補的塩基対を形成させることによって、DNAマイクロアレイ26上の対応する核酸プローブ23が固定された個所に補足される。補足された核酸分子は蛍光分子によって標識かされているため、各核酸プローブ23が固定化された個所の蛍光を検知することによって、核酸プローブ23と塩基対を形成する配列を含んだ核酸分子の有無を検出することができる。実施の形態1〜10に示したように、測定対象部10であるDNAマイクロアレイ26の蛍光点9のみを効率良く検知し撮像することによって、DNAマイクロアレイ26のスキャンニングを短時間で行うことができるようになる。
【0118】
(実施の形態13)
実施の形態11または12と同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0119】
図13が示すように、DNAマイクロアレイ26の核酸プローブが固定化されたスポットが一直線上になるように配列されているものを用いることによって、効率良くスキャンニングを行うことができる。実施の形態1〜12に記したように、スポットが配列された直線上に対して受光手段3を平行に移動させることによって効率良くDNAマイクロアレイ26をスキャンニングすることができるようになる。図13(a)に示すように、DNAマイクロアレイ26上のスポット径に合わせて、光電変換素子13を受光手段3に配設することによって、少ない光電変換素子13で効率良く検出することができるようになる。
【0120】
また、図13(b)に示すように固定化されているDNAプローブ23のスポット径を小さくすれば必要な光電変換素子13も少なくて済み、より安価な構成とすることができるようになる。
【0121】
(実施の形態14)
実施の形態11乃至13のいずれかと同一部分については同一番号を附し、詳細な説明は省略する。
【0122】
図14が示すように、DNAマイクロアレイ26の核酸プローブが固定化された複数のスポット全体が形成するスポットエリア27が四角形になっているものを用いても効率良くスキャンニングすることができる。実施の形態1〜12に示したように、スポットエリア27を形成する4辺のいずれか一つの辺に対して垂直になるように受光手段3を移動させることによって、無駄なく効率良く検知することができる。スポットエリアが形成する四角形は長方形あるいは正方形が望ましく、受光手段3を垂直に移動させる辺は長辺であれば、より使用される光電変換素子13が少なくすむのでより望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の蛍光読み取り装置を用いることによって、DNAマイクロアレイなどの生体分子検知デバイスを効率良くスキャンニングすることができる。1軸上を往復するだけの単純な機構部と最小限の光電変換素子を使用した構成であるため、安価な装置構成となり、誰でも使うことのできる蛍光読み取り装置として広く普及させることができる。また、予め設定したしきい値の範囲内の蛍光のみ検出する構成であるため、必要な情報のみ検知することのができ、検査結果の判断が簡単になり、臨床現場で結果を迅速に判断するのに用いることのできる検査装置となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態1の蛍光読み取り装置を示す図
【図2】同実施の形態2の蛍光読み取り装置を示す図
【図3】同実施の形態3の蛍光読み取り装置を示す図
【図4】同実施の形態4の蛍光読み取り装置を示す図
【図5】同実施の形態5の蛍光読み取り装置を示す図
【図6】同実施の形態6の蛍光読み取り装置を示す図
【図7】同実施の形態7の蛍光読み取り装置を示す図
【図8】同実施の形態8の蛍光読み取り装置を示す図
【図9】同実施の形態9の蛍光読み取り装置を示す図
【図10】同実施の形態10の蛍光読み取り装置を示す図
【図11】同実施の形態11の測定対象部を示す図
【図12】同実施の形態12のDNAマイクロアレイを示す図
【図13】同実施の形態13のDNAマイクロアレイを示す図
【図14】同実施の形態14のDNAマイクロアレイを示す図
【図15】従来の走査型共焦点顕微鏡画像検出装置を示す図
【符号の説明】
【0125】
1 蛍光読み取り装置
2 光源
3 受光手段
4 蛍光判断手段
5 測定対象部固定部
6 移動手段
7 蛍光点位置表示手段
8 制御部
9 蛍光点
10 測定対象部
11 励起光
12 反射光
13 光電変換素子
14 蛍光像
15 LED
16 集光レンズ
17 光源および受光手段固定部
18 筐体
19 測定対象部挿入穴
20 第一の測定位置特定手段
21 第二の測定位置特定手段
22 測定位置検知手段
23 核酸プローブ
24 抗体プローブ
25 生体物質で構成された測定対象部
26 DNAマイクロアレイ
27 スポットエリア
101 走査型共焦点顕微鏡画像検出装置
102 ボイスコイル
103 対物レンズ
104 解読用載物台
105 ブラケット
106 回転式プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光試薬で標識された一つ以上の蛍光点を含んだ測定対象部の蛍光点を検出する蛍光読み取り装置であって、前記測定対象部の一定面積に予め定められた波長域で励起光を照射する1つまたは複数の光源と、前記測定対象部の一定面積の一部または全ての部分で前記励起光によって発光する予め定められた波長域の光を受光する線状に配置された複数の光電変換素子である受光手段と、前記光源によって照射されて発光した光を設定した一定の時間内に受光し、その受光した光量が設定したしきい値の範囲内のときに蛍光していると判断する蛍光判断手段と、測定対象部または光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、測定対象部の測定に必要な距離を移動させる移動手段と、測定対象部の蛍光点の位置を特定し、その特定した蛍光点の位置を表示する蛍光点位置表示手段を備えたことを特徴とする蛍光読み取り装置。
【請求項2】
光源をLEDとした請求項1記載の蛍光読み取り装置。
【請求項3】
前記受光手段の長さを測定対象部の幅と同じ長さとした請求項1、2いずれか記載の蛍光読み取り装置。
【請求項4】
励起光によって発光した光を集光する集光レンズを前記光電変換素子の前段に設けた請求項1〜3いずれか一つに記載の蛍光読み取り装置。
【請求項5】
移動手段が測定対象部を固定する測定対象部固定部を有しており、前記測定対象部を固定保持した前記移動手段が前記測定対象部を連続的あるいは断続的に移動させ、前記測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置。
【請求項6】
移動手段が光源および受光手段を固定させる光源および受光手段固定部を有しており、前記光源および前記受光手段を固定保持した前記移動手段が前記光源および前記受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、前記測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置。
【請求項7】
測定対象部へ当たる外光を遮光することのできる筐体を有しており、前記筐体内に光源と受光手段とを内包したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置。
【請求項8】
測定する位置を把握する測定位置特定手段が備えられた測定対象部を測定する蛍光読み取り装置であって、測定対象部に備えられた測定位置特定手段を検知する測定位置検知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置。
【請求項9】
測定位置特定手段が蛍光体あるいは発光体で構成されており、光源および受光手段が測定位置検知手段を兼ね備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置。
【請求項10】
測定対象部が平板状であり、光源および受光手段が前記測定対象部に対して平行になるように、前記測定対象部または光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、測定対象部の測定に必要な距離を移動させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置。
【請求項11】
核酸あるいはタンパク質あるいは糖質あるいは脂質を備えた測定対象部の蛍光点を読み取ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の蛍光読み取り装置。
【請求項12】
測定対象部がDNAマイクロアレイであることを特徴とした請求11に記載の蛍光読み取り装置。
【請求項13】
DNAマイクロアレイ上のDNAプローブが固定された複数スポットのそれぞれの中心点が一直線上になる様に配列されており、前記スポットの中心点が形成する一直線に沿ってDNAマイクロアレイまたは光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、DNAマイクロアレイの測定に必要な距離を移動させる事を特徴とした請求項12に記載の蛍光読み取り装置。
【請求項14】
DNAマイクロアレイ上のDNAプローブを固定した複数のスポット全体が形成するスポットエリアが四角形になっており、四角形の前記スポットエリアを形成する辺のいずれか1つの辺に対して垂直になる様にDNAマイクロアレイまたは光源および受光手段を連続的あるいは断続的に移動させ、DNAマイクロアレイの測定に必要な距離を移動させる事を特徴とした請求項13に記載の蛍光読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−337245(P2006−337245A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163902(P2005−163902)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】