説明

血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置

【課題】血圧情報測定装置用カフを大型化した場合であっても、精度良く血圧の圧力変化を測定することが可能な血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置を提供する。
【解決手段】袋状カバー体166の巻き付き領域R2において、第2外布166bと第2内布166eとの間の摩擦係数を、摩擦低減シート171を介在させることにより低減させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧値等の血圧情報を測定する際に被測定部位に装着されて使用される血圧情報測定装置用カフ、およびこれを備えた血圧情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血圧情報測定装置は、被験者の血圧情報を取得する。血圧情報測定装置が取得する血圧情報には、収縮期血圧値(最高血圧値)、拡張期血圧値(最低血圧値)、平均血圧値、被験者の脈波、脈拍、AI(Augmentation Index)値等、循環器系の種々の情報などが含まれる。これらの血圧情報に基づき、心臓の負荷、または動脈硬さの変化などを把握することができる。血圧情報測定装置は、循環器系の疾患の早期発見、予防または治療などのために使用されている。
【0003】
一般に、血圧情報の測定には、血圧情報測定装置用カフ(以下、単にカフとも称する)が使用される。カフは、内腔を有する帯状の袋状カバー体を有し、生体(動脈)を圧迫するための流体袋を袋状カバー体の内部に内包している。カフは、上腕などの生体の一部に巻き付けられる。
【0004】
収縮期血圧値または拡張期血圧値などの血圧値を測定するための血圧情報測定装置(以下、単に血圧計とも称する)においては、カフが生体の一部の体表面に巻き付けられる。カフに内包される流体袋に、気体や液体等の流体が注入または排出される。流体袋に流体が注入されることにより、流体袋は膨張する。流体袋から流体が排出されることにより、流体袋は収縮する。流体袋が膨張または収縮するときに発生する流体袋の内圧の変化が、動脈圧脈波または血圧値として取得される。
【0005】
一般的に、非観血血圧測定法による血圧測定を行なう場合には、上腕にカフを巻き付けて、血液の流れを阻止するようにカフ内の空気圧を高め、動脈を圧迫する。このとき、空気袋と袋状カバー体その他の内包物との摩擦が生ずることによる締め付け具合の調節や、測定中にカフの締め付けを緩ませないこと、空気袋の中心位置を動脈の直上にあわせることが重要である。
【0006】
オシロメトリック法のように動脈の容量変化を空気袋で検出し、空気袋内の容量変化を圧力として変換することにより、駆動本体内部の圧力センサへ演算処理し血圧算出する血圧計としては、下記の特許文献1および2が挙げられる。
【0007】
ここで、近年では、日本人の体型の大型化や、海外での使用を考慮して、大型の体型を有する被験者でも血圧測定が可能なように、カフを大型化する研究が進められているが、血圧の測定時にノイズを含む血圧の圧力変化の発生が問題となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第07/148661号パンフレット
【特許文献2】特開平07−124127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、血圧情報測定装置用カフを大型化した場合に、血圧の測定時にノイズを含む血圧の圧力変化が発生する点にある。したがって、この発明の目的は、血圧情報測定装置用カフを大型化した場合であっても、精度良く血圧の圧力変化を測定することが可能な血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に基づく血圧情報測定装置用カフは、被測定部位を圧迫するための流体袋と、上記流体袋を収容し、上記流体袋を被測定部位に装着するため、被測定部位に巻きつけられる帯状形態の袋状カバー体とを備え、上記袋状カバー体は、外布と内布を含み、上記袋状カバー体は、一方端側には上記流体袋を収容する流体袋収容領域を有し、他方端側には被測定部位に巻きつけられた状態において、上記流体袋収容領域に覆い被さる巻き付き領域を有し、上記巻き付き領域において、上記外布と上記内布との間には、上記外布と上記内布との間の摩擦を低減させる摩擦低減部材が設けられる。
【0011】
上記発明の他の形態に基づく血圧情報測定装置用カフは、上記摩擦低減部材は、上記外布と上記内布との間の摩擦係数に比較して、上記外布との摩擦係数が小さくなるシート状部材である。
【0012】
上記発明の他の形態に基づく血圧情報測定装置用カフは、上記摩擦低減部材は、上記外布と上記内布との間の摩擦係数に比較して、上記内布との摩擦係数が小さくなるシート状部材である。
【0013】
本発明に基づく血圧情報測定装置は、上記のいずれかに記載の血圧情報測定装置用カフと、上記流体袋を膨縮させる膨縮機構と、血圧情報を取得する血圧情報取得部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、血圧情報測定装置用カフを大型化した場合であっても、精度良く血圧の圧力変化を測定することが可能な血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態における血圧計の全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態における血圧計の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】実施の形態における血圧計の血圧測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】血圧計用カフの課題を説明するための、時間と測定圧力との関係を示す図である。
【図5】血圧計用カフの課題を説明するための拡大断面図である。
【図6】実施の形態におけるカフの展開平面図である。
【図7】図6中のVII−VII線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に基づいた実施の形態における血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0017】
以下の実施の形態においては、血圧情報測定装置用カフの一例として、上腕に巻き付けられて使用される血圧計用カフについて説明する。血圧情報測定装置用カフを備えた血圧情報測定装置の一例として、上記血圧計用カフを用いて収縮期血圧値および拡張期血圧値等の血圧値を測定可能とした血圧計について説明する。
【0018】
以下の各実施の形態においては、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。以下に説明する各実施の形態において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0019】
まず、図1から図3を参照して、本実施の形態における血圧計100について説明する。なお、図1は血圧計100の全体構成を示す図、図2は血圧計100の構成を示す機能ブロック図、図3は血圧計100の血圧測定処理の流れを示すフローチャートである。
【0020】
図1を参照して、血圧計100は、装置本体110と、血圧計用カフ150とを有する。血圧計100は、血圧計用カフ150が被験者の上腕に装着される上腕式血圧計である。
【0021】
装置本体110と血圧計用カフ150とは、分離して設けられており、血圧測定時において、装置本体110は机などの載置面に載置されて使用される。装置本体110と血圧計用カフ150とは、血圧計用カフ150に設けられたエア接続口146に接続管140が接続される。
【0022】
装置本体110には、表示部122および操作部124が設けられている。表示部122は、血圧値の測定結果や脈拍数の測定結果等を、数値やグラフなどを用いて視認可能に表示する。この表示部122としては、たとえば液晶パネル等が利用される。操作部124には、たとえば、電源ボタンや測定開始ボタン、血圧計用カフ150の使用者に関する情報を入力するための入力ボタンなどの各種ボタンが設けられている。
【0023】
血圧計用カフ150は、帯形状の外観を有し、被験者の上腕の周囲に巻き付けられる。血圧計用カフ150は、上腕を圧迫するための空気袋161と、空気袋161を上腕に巻き付けて装着するための袋状カバー体166とを有する。空気袋161は、袋状カバー体166の内部に設けられた空間に収容されている。
【0024】
図2は、図1中の血圧計の構成を示す機能ブロック図である。図1および図2を参照して、装置本体110の内部には、血圧計用カフ150に内包された空気袋161に空気を供給または排出するための血圧測定用エア系コンポーネント131が設けられている。
【0025】
血圧測定用エア系コンポーネント131は、空気袋161内の圧力を検出する圧力検出手段である圧力センサ132と、空気袋161を膨縮させるための膨縮機構部133であるポンプ134および弁135とを有する。装置本体110の内部には、血圧測定用エア系コンポーネント131に関連して発振回路136、ポンプ駆動回路137および弁駆動回路138が設けられている。
【0026】
装置本体110には、各部を集中的に制御および監視するためのCPU(Central Processing Unit)121と、CPU121に所定の動作をさせるプログラムや測定された血圧値などの各種情報を記憶するためのメモリ部123と、血圧測定結果を含む各種情報を表示するための表示部122と、測定のための各種指示を入力するために操作される操作部124とが設けられている。CPU121は、血圧値を算出するための血圧値算出手段としても機能する。
【0027】
圧力センサ132は、空気袋161内の圧力(以下、「カフ圧」という)を検出し、検出した圧力に応じた信号を発振回路136に出力する。ポンプ134は、空気袋161に空気を供給する。弁135は、空気袋161内の圧力を維持したり、空気袋161内の空気を排出したりする際に開閉する。発振回路136は、圧力センサ132の出力値に応じた発振周波数の信号をCPU121に出力する。ポンプ駆動回路137は、ポンプ134の駆動をCPU121から与えられる制御信号に基づいて制御する。弁駆動回路138は、弁135の開閉制御をCPU121から与えられる制御信号に基づいて行なう。
【0028】
次に、図3を参照して、血圧計100における血圧測定処理の流れについて説明する。このフローチャートに従うプログラムは、図2において示したメモリ部123に予め記憶されており、CPU121がメモリ部123からこのプログラムを読出して実行することにより、血圧測定処理が実施される。
【0029】
図2および図3を参照して、被験者が血圧計100の操作部124の操作ボタンを操作して電源をオンにすると血圧計100の初期化がなされる(ステップS1)。次に、測定可能状態になると、CPU121はポンプ134の駆動を開始し、空気袋161のカフ圧を徐々に上昇させる(ステップS2)。カフ圧を徐々に加圧する過程において、カフ圧が血圧測定のために必要な所定のレベルにまで達すると、CPU121はポンプ134を停止し、次いで閉じていた弁135を徐々に開いて空気袋161の空気を徐々に排気し、カフ圧を徐々に減圧させ(ステップS3)、このカフ圧の微速減圧過程においてカフ圧の検出が行なわれる。
【0030】
次に、CPU121は公知の手順で収縮期血圧値(最高血圧値)および拡張期血圧値(最低血圧値)を算出する(ステップS4)。具体的には、カフ圧が徐々に減圧する過程において、CPU121は発振回路136から得られる発振周波数に基づき脈波情報を抽出する。そして、抽出された脈波情報により血圧値を算出する。ステップS4において血圧値が算出されると、算出された血圧値を表示部122に表示する(ステップS5)。
【0031】
なお、以上において説明した測定方式は、空気袋の減圧時に脈波を検出して血圧値を算出するいわゆる減圧測定方式に基づいたものであるが、空気袋の加圧時に脈波を検出して血圧値を算出するいわゆる加圧測定方式を採用することも当然に可能である。
【0032】
ここで、発明者らが血圧計用カフ150を大型化する研究を進める中で、血圧の測定時にノイズを含む血圧の圧力変化の発生が問題となることを知見した。図4に示すように、上記のステップS4において説明した、収縮期血圧値(最高血圧値)の測定時においては、正常であればa1のラインとなるべきところ、b1に示すようにノイズを含む血圧値が測定された。同様に、拡張期血圧値(最低血圧値)の測定時においても、正常であればa2のラインとなるべきところ、b2に示すようにノイズを含む血圧値が測定された。
【0033】
そこで、これらのノイズの発生源が何処にあるかについて発明者らが鋭意研究した結果、通常であれば、ノイズの発生源として考えられるのは空気袋161の周辺であるにもかかわらず、ノイズの発生源が、空気袋161が設けられていない領域での袋状カバー体166においてノイズが発生していることを解明した。
【0034】
図5に示すように、袋状カバー体166は、被験者の上腕側に位置する内布166eと、外側に位置する外布166bとの二重構造を有し、被験者の上腕に装着される際には、外布166bの外面に設けられた面ファスナ192に内布166eの表面が係合することで、血圧計用カフ150が被験者の上腕に固定される。
【0035】
収縮期血圧値(最高血圧値)の測定時および拡張期血圧値(最低血圧値)の測定時には、面ファスナ192と袋状カバー体166との間に大きな力が発生するが、面ファスナ192に直接係合する内布166eと面ファスナ192に直接係合しない外布166bとの間には異なる方向に力が作用するため、内布166eと外布166bとの摩擦力により、内布166eと外布166bとの間に間欠的な移動が生じることがわかった。これが、図4に示す、収縮期血圧値(最高血圧値)および拡張期血圧値(最低血圧値)の測定時におけるノイズの原因である。
【0036】
このようなノイズの発生は、袋状カバー体166が長手方向に大型化されたことにより、内布166eと外布166bとを熱溶着する距離が長くなったために生じるものと考えられる。したがって、このノイズの低減には、内布166eと外布166bとの熱溶着箇所を増やすことが考えられる。
【0037】
しかし、熱溶着箇所を増加させた場合には、血圧計用カフ150のデザインが大きく損なわれる問題が生じる。また、熱溶着時のエネルギの増加、熱溶着のための金型の複雑化により、製造コストの上昇を招くことが懸念される。
【0038】
そこで、発明者らは、鋭意研究の結果、内布166eと外布166bとの熱溶着箇所を増やすことなく、内布166eと外布166bとの間の間欠的な移動を抑制するが可能な構成を備える血圧計用カフを完成させた。その構成を備える血圧計用カフ150を、以下図6および図7を参照して説明する。なお、図6および図7に示す血圧計用カフ150は展開した状態を示す図である。
【0039】
この血圧計用カフ150は、被験者の上腕を圧迫するための空気袋161と、この空気袋161を収容しながら被験者の上腕に空気袋161を装着するため、被験者の上腕に巻きつけられる帯状形態の袋状カバー体166とを備えている。
【0040】
袋状カバー体166は、一方端側には空気袋161を収容する流体袋収容領域R1を有し、他方端側には被験者の上腕に巻きつけられた状態において、流体袋収容領域R1に覆い被さる巻き付き領域R2を有している。
【0041】
袋状カバー体166は、流体袋収容領域R1において、第1外布166aおよび第1内布166cを有し、巻き付き領域R2において、第2外布166bおよび第2内布166eを有している。
【0042】
第1外布166a、第2外布166b、第1内布166c、および第2内布166eには、好適にはポリアミド(PA)、ポリエステル等の合成繊維からなる布地によって形成されている。なお、第1内布166c、および第2内布166eは、好適には伸縮性に優れた部材にて構成され、第1外布166a、第2外布166bは、好適には内布よりも伸縮性に乏しい部材にて構成される。
【0043】
第1外布166aの外面には、袋状カバー体166の巻き付き領域R2が被験者の上腕に巻き付けられた状態において、巻き付き領域R2の第2内布166eが係合するための面ファスナ192が設けられている。
【0044】
袋状カバー体166の流体袋収容領域R1においては、第1内部シート166f、カーラ191、第2内部シート166d、および空気袋161が、第1外布166aと第1内布166cとの間に挟みこまれるように収容されている。
【0045】
第1内部シート166fには、ポリエステル素材が用いられている。第2内部シート166dには、ポリ塩化ビニルフィルムが用いられている。
【0046】
カーラ191は、空気袋161を上腕に向けて付勢するための湾曲弾性板である。カーラ191を展開した状態においては帯形状を有する。カーラ191は、上腕にフィットするように、上腕の軸方向に延びる円筒形状に形成されており、環状に巻き回されることによって径方向に弾性変形可能に構成された可撓性の部材からなる。カーラ191は、十分な弾性力を発現するように、たとえばポリプロピレン(PP)等の樹脂部材にて形成されている。
【0047】
空気袋161を形成する樹脂シートの材質としては、伸縮性に富んだ材料が用いられ、樹脂シートの好適な材質としては、エチレン−酢酸ビニール共重合体(EVA)、軟質塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、生ゴム等が挙げられる。
【0048】
第1外布166a、第2外布166b、第1内布166c、第2内布166e、第1内部シート166f、および第2内部シート166dは、図7に示すBの箇所において結合される。袋状カバー体166の周囲は、縁取り布を用いてバイアス編に縫製される。
【0049】
また、巻き付き領域R2においては、第2外布166bと第2内布166eとの間に、摩擦低減部材として摩擦低減シート171が設けられている。
【0050】
摩擦低減シート171の機能としては、摩擦低減シート171を設けない場合の第2外布166bと第2内布166eとの間の摩擦係数をF1とした場合、第2外布166bと摩擦低減シート171との間の摩擦係数F2を、F1よりも小さくする(F1>F2)、または、第2内布166eと摩擦低減シート171との間の摩擦係数F3を、F1よりも小さくする(F1>F3)ものである。
【0051】
第2外布166bと摩擦低減シート171との間の摩擦係数F2、および第2内布166eと摩擦低減シート171との間の摩擦係数F3が、同時に摩擦低減シート171を設けない場合の第2外布166bと第2内布166eとの間の摩擦係数F1より小さくなってもかまわない。
【0052】
摩擦低減シート171としては、繊維、不織布、フィルム等が用いられ、具体的な材料としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂等が挙げられる。巻き付き領域R2においては、第2外布166b、摩擦低減シート171、および第2内布166eは熱溶着により固定される。図6および図7中において、熱溶着箇所を、熱溶着部166hとして示す。
【0053】
(作用・効果)
このように、本実施の形態おける血圧計用カフ150およびこれを備えた血圧計100によれば、袋状カバー体166の巻き付き領域R2において、第2外布166bと第2内布166eとの間の摩擦係数を、摩擦低減部材を介在させることにより低減させている。
【0054】
これにより、血圧計100を用いた、縮期血圧値(最高血圧値)および拡張期血圧値(最低血圧値)の測定時における第2外布166bと第2内布166eとの間の間欠的な移動を抑制するが可能となる。
【0055】
その結果、血圧値の測定時におけるノイズの発生が抑制され、血圧計用カフを大型化した場合であっても、精度良く血圧の圧力変化を測定することが可能な血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計を提供することが可能となる。
【0056】
また、従来と同様の製造工程により血圧計用カフを完成させることが可能であるため、熱溶着時のエネルギの増加、熱溶着のための金型の複雑化により、製造コストの上昇を招くこともない。
【0057】
なお、摩擦低減部材としてシート状部材を採用した場合について説明しているが、シート状部材に限らず、第2外布166bと第2内布166eとの間の摩擦係数を小さくする目的から、オイル、粉末を配置する構成を採用することも可能である。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
100 血圧計、110 装置本体、121 CPU(Central Processing Unit)、122 表示部、123 メモリ部、124 操作部、131 血圧測定用エア系コンポーネント、132 圧力センサ、133 膨縮機構部、134 ポンプ、135 弁、136 発振回路、137 ポンプ駆動回路、138 弁駆動回路、140 接続管、146 エア接続口、150 血圧計用カフ、161 空気袋、166 袋状カバー体、166 袋状カバー体、166a 第1外布、166b 第2外布、166c 第1内布、166d 第2内部シート、166e 第2内布、166f 第1内部シート、171 摩擦低減シート、192 面ファスナ、191 カーラ、R1 流体袋収容領域、R2 巻き付き領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定部位を圧迫するための流体袋と、
前記流体袋を収容し、前記流体袋を被測定部位に装着するため、被測定部位に巻きつけられる帯状形態の袋状カバー体と、を備え、
前記袋状カバー体は、外布と内布とを含み、
前記袋状カバー体は、一方端側には前記流体袋を収容する流体袋収容領域を有し、他方端側には被測定部位に巻きつけられた状態において、前記流体袋収容領域に覆い被さる巻き付き領域を有し、
前記巻き付き領域において、前記外布と前記内布との間には、前記外布と前記内布との間の摩擦を低減させる摩擦低減部材が設けられる、血圧情報測定装置用カフ。
【請求項2】
前記摩擦低減部材は、前記外布と前記内布との間の摩擦係数に比較して、前記外布との摩擦係数が小さくなるシート状部材である、請求項1に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項3】
前記摩擦低減部材は、前記外布と前記内布との間の摩擦係数に比較して、前記内布との摩擦係数が小さくなるシート状部材である、請求項1に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の血圧情報測定装置用カフと、
前記流体袋を膨縮させる膨縮機構と、
血圧情報を取得する血圧情報取得部と、を備えた、
血圧情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−136108(P2011−136108A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299153(P2009−299153)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】