説明

血圧測定用カフ

【課題】血圧測定時に発生するノイズ音(膨張袋および外装袋が接触することにより発生する音、膨張袋に空気を供給するカフチューブと膨張袋および外装袋がこすれることによりの発生する擦過音、又は膨張袋、外装袋、およびカフチューブによる振動による音の発生)を極力防止する血圧測定用カフの提供。
【解決手段】外装袋となる2枚の合成樹脂製シートの間に内装袋となる2枚の合成樹脂製シート挟んで重ね合わせて、外装袋及び外装袋の内側に2枚の合成樹脂シートを配置した状態とし、高周波誘電加熱電極間に挟み、高周波電圧を印加して合成樹脂製外装袋及び2枚の合成樹脂シートを溶着することにより、合成樹脂製シート外装袋の内側に合成樹脂製内装袋を固定して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの血圧を測定するために圧上腕部等に巻き付けて、前記巻き付けた部位を圧迫することにより血圧を測定する血圧測定用カフに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血圧測定用カフは、合成樹脂繊維布を使用した丈夫で伸縮性の殆どない長方形状の外装袋およびこの外装袋の内部にその長手方向に延在するゴム製の膨張袋を収容した状態として構成されている。この膨張袋に対して外部から空気の注入および流入された空気を排出する操作を行うことによって、膨張袋および外装袋は膨張および収縮を行う。
この血圧測定用カフをヒトの上腕部等の血圧測定部位に巻き付けて、外部から膨張袋に空気の注入を行って膨張袋および外装袋も膨張させる。この操作により、血圧測定部位に対する締め付ける圧力を高めて、その後、圧力上昇時から空気を排出することにより、締め付ける圧力を解除するときの変化を観測して血圧測定を行うことが知られている(例えば、特許文献1 特開2009−72278号公報)。
【0003】
この血圧測定用カフによりヒトの血圧を測定する方法として広く普及しているコルトフ方式(聴診法)によれば、収縮期血圧以上にカフ圧力を上げ、一度血流を止めた後に、徐々にカフ圧力を降下させ、血流の再開するタイミングで発生するコロトコフ音をカフの下流側となる末梢側で検出し、そのときの阻血用空気袋の内圧を収縮期血圧値(最高血圧値)として求め、コロトコフ音が消滅した阻血用空気袋の内圧を拡張期血圧値(最低血圧値)として求めている。
【0004】
コロトコフ方式の血圧計では、血圧測定時に発生するノイズによる発生する音(膨張袋および外装袋が接触することにより発生する音、膨張袋に空気を供給するカフチューブと膨張袋および外装袋がこすれることによりの発生する擦過音、又は膨張袋、外装袋、およびカフチューブによる振動により発生する音)は、これらのノイズにより発生する音の周波数成分がコロトコフ音の周波数成分に近いことから、ノイズ音による音がコロトコフ音として誤検出されやすいという問題点を有している(特許文献2 特開2009−178249号公報、特許文献3 特開2008−178542号公報、特許文献4特開2008−178541号公報)。
また、血圧測定用カフは外装袋の外側面に一対の平面状のファスナーを縫着して、これを利用してヒトの上腕部に着脱自在に巻き付けることにより装着できることについては前記した通りであり、この一対の平面状のファスナーが発するバリという音は被権者にとっては不安感を与えるので、この種の雑音の発生を防止することが必要である。
【0005】
オシロメトリツク方式では、カフを加圧した後、減圧していく段階で、心臓の拍動に同調した血管壁の振動を反映したカフ圧の変動を観測することによって血圧値を決定する。一般的には圧脈波が急激に大きくなったときのカフ圧を最高血圧とし、急激に小さくなったときのカフ圧を最低血圧とする(特許文献1 特開2009−72278号公報)。
測定に用いる圧力変動の周波数成分は、コロトコフ音の周波数成分よりもかなり低い。オシロメトリツク方式では測定に用いる圧力変動の周波数成分は血圧測定時に発生する前記コロトコフ方式で述べた血圧測定時に発生するノイズによる発生する音の周波数と乖離しているので、問題にはならないとされる。しかしながら、被権者にとっては、この種のノイズイが発生することは、不安感を与えるので、この種の雑音の発生を防止することが必要とされている。又、一対の平面状のファスナーが発するバリという音は被権者にとっては不安感を与えるので、この種の雑音の発生を防止することが必要である。
【0006】
血圧測定用カフについては、使用の際に各人が使用する結果、不衛生な状態をさけることができず、ディスポーザルできる、使い捨てできる形状であることが求められてきた。具体的には以下の通りである。
一般的なカフの構造は、気密な空気袋とこれを覆い保護する膨張袋である外皮とから構成される。外皮には、上腕に巻き付けたときにその状態を維持するための掛着用の面ファスナー(裏面にこれに対応する面ファスナーが備えられている)を有している。そこで、特許文献5 特開平7−23941、特許第3202421号明細書の発明では、空気袋の外皮へ或は外皮からの着脱を容易にする、外皮部分を使い捨てにする血圧測定用カフが知られている。この血圧測定用カフでは、前記の空気袋および膨張袋は別体として構成し、外皮の材質として、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル又はポリエチレン等の不織布を用いることで、廉価に且つ通気性を持たせ、ディスポーザルな外皮を実現することを述べる。前記ノイズを少なくするためにはこの材料を使用するためには有効ではない。また、この発明でも面ファスナーを用いており、前記の問題点を残している。
同様の外皮部分および、吸水性および逃水性を有するシートを複数枚積層すると共にその一側面に防水性被覆シートを密着接合してなるディスポーザルな血圧測定用カフの発明(特許文献6 特開平8−579号公報)が知られている。この場合にはシートを複数枚積層することでは内外装を十分保持する点が適当ではなく、又、前記発明で指摘した課題を解決していない。非伸縮性ペ−パ−の外側構成部と伸縮性熱可塑性材料の内側構成部が互いに対応する周辺縁部で、シ−ルされて膨張可能な中空チャンバ−を形成した血圧測定用カフの発明(特許文献7 特開平8−317910号公報)についても同様である。
同様に以下のディスポーザルな血圧測定用カフの発明が知られている。カフの測定者への装着面に透水性の表面層と、表面層に続いて吸水性材料で形成された吸水層と、表面層の反対側裏面に面ファスナーを有し、吸水層と面ファスナー間の一方端部より所定大きさのゴム袋を設け、表面材の外延部及び袋周辺部をウエルダーにより一回で溶着する、ディスポーザルな血圧測定用カフの発明(特許文献8 特開平9−201340号公報、特許3604797号明細書)がある。透水性の表面層と、表面層に続いて吸水性材料で形成された吸水層を設定しているものの、前記の問題点の解決には至っていない。
また、これらの発明ではディスポーザルできる、使い捨てできる形状又は材料にこだわる結果、血圧測定の雑音の発生に注意が払われていない結果となり、血圧測定カフとして十分なものとなっていない。
【0007】
血圧測定用カフは外装袋の内部に膨張袋を収容した二重構造であり、膨張袋を内部に固定配置し、内周側シート48を下にして内周側シート48および外周側シート50を相互に重ねて載置し、互いの外周縁同士を溶着し、端部を形成することが行われる(特許文献10 特開2004−195074号公報(図3、図5に示される端部)、特許文献11 特開2000−51158号公報(図4に示される端部)、特許文献12 特開2008−99944号公報(図3、図4に示される端部)など)。これらは外装袋と膨張袋は離れて存在させており、端部を固定したり、または外装袋と膨張袋を端部のみで固定するために、血圧測定時に発生するノイズによる発生する音(膨張袋および外装袋が接触することにより発生する音、膨張袋に空気を供給するカフチューブと膨張袋および外装袋がこすれることによりの発生する擦過音、又は膨張袋、外装袋、およびカフチューブによる振動により発生する音)を防止することができない。
【0008】
又、血圧測定用カフを測定部位に固定する際に、接着層表面の保護シールを剥がすなどを行い、接着剤を露出させ、接着剤を測定者の腕の動脈上にマイクが位置決めされる位置を選択し、このマイクがこの位置となるようにカフの接着層の配設端部位置を決める。そしてこの位置にカフ端部を押し付ける等して接着層を皮膚表面に圧接してカフをこの接着層の接着力で位置決め係止する。続いてカフを腕に巻きつけていき、最後の他方端部は面ファスナーで固定する。この形状のディスポーザルな血圧測定用カフの発明が知られている(特許文献9 特開平10−165378号公報)。このような面ファスナーを用いる場合には、面ファスナーを用いることにより、使用時に発生するバリバリという音が測定時の邪魔になることを防止することが出来ず、血圧測定用カフの使用の際の問題点として指摘されてきた。この点の解決策が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−72278号公報
【特許文献2】特開2009−178249号公報
【特許文献3】特開2008−178542号公報
【特許文献4】特開2008−178541号公報
【特許文献5】特開平7−23914(特許第3202421号明細書)
【特許文献6】特開平8−579号公報
【特許文献7】特開平8−317910号公報
【特許文献8】特開平9−201340号公報(特許3604797号明細書)
【特許文献9】特開平10−165378号公報
【特許文献10】特開2000−51158号公報(図4)
【特許文献11】特開2008−99944号公報(図3、図4に示される端部)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、ディスポーザルな血圧測定用カフであり、血圧測定時に発生するノイズによる発生する音(膨張袋および外装袋が接触することにより発生する音、膨張袋に空気を供給するカフチューブと膨張袋および外装袋がこすれることによりの発生する擦過音、又は膨張袋、外装袋、およびカフチューブによる振動による音)を極力防止し、血圧測定用カフによる血圧の測定に際しても面ファスナーを固定する場合の特有の音を発生することがなく測定部位に取り付け固定できる血圧測定用カフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を達成すべく研究を進めた。従来の問題点を解決すべく研究を推し進め、前記の問題点について以下のようにすすると解決に繋がることを見出した。
(1)従来の血圧測定用カフでは外装袋の内側に膨張袋が含まれ、外装袋の内側に膨張袋は別体として形成されており、外装袋と膨張袋の間には隙間を介して配置されていることにより時として膨張袋および外装袋が接触したり、こすれあう結果、音が発生する原因になると考えた。
(2)そこで、合成樹脂製シートの外装袋を形成する2枚のシートの内側に、外装袋の端部より内側に膨張袋を形成する二枚の塩化ビニル樹脂シートを重ね合わせて、前記外装袋の端部より内側の位置を溶着して、外装袋と膨張袋を一体として形成し、膨張袋が膨らんだ場合には、それに合わせて外装袋も膨らむこととなり、外装袋と膨張袋の間で接触により音が発生するという程度の隙間が排除させ、発生する音が排除されたこと。
(3)膨張袋に空気を供給する場合であっても空気供給管を介して空気を供給することが行われ、膨張袋に空気を供給するカフチューブが固定されないので、膨張袋および外装袋がこすれることによりの発生する擦過音が発生することをさけるために、前記外装袋と前記膨張袋を一体として形成し、膨張袋には外装袋に経て空気供給用のカフチューブに接続するコネクターを設け、それを経て膨張袋に空気を供給すること。
(4)単に膨張袋、外装袋、およびカフチューブが前記したような自由に動き回るようになる結果、振動が発生することについては、前記(3)の手段を講ずることにより膨張袋、外装袋、およびカフチューブが不必要に動き回る動作は制限されるから、振動の中で前記の原因によるものは排除されること。
(5)面ファスナーを用いると、面ファスナーに固定された後に力が作用するとバリバリという不快音の発生は不可避であるので、その代わりに粘着材を用いることとすると、面ファスナーのときに聞かれたバリバリという不快音の発生は無くなり、音の測定の妨害になることもない。
(6)外装袋をビニール製、および合成樹脂製のシートとし、内装袋を塩化ビニル樹脂として溶着部分層を形成するなどして外装袋と内装袋の形成を特定化し、製品の形成をできる、だけ自動化した条件のもとで製造できるものとし、ディスポーザル化をはかることができるようにした。
その結果以下の発明を完成させた。
(7)(a)外装袋となる2枚の合成樹脂製シートの間に内装袋となる2枚の合成樹脂製シート挟んで重ね合わせて、2枚の外装袋となる合成樹脂製シートの端部を縫製して外装袋を形成し、外装袋及び外装袋の内側に2枚の塩化ビニル樹脂シートを配置した状態とし、合成樹脂製シート外装袋の端部より離れた部分であり、前記合成樹脂製シートの外装袋と2枚の内装袋となる合成樹脂製シートを接合しようとする部分を、高周波誘電加熱電極間に挟み、高周波電圧を印加して合成樹脂製シート外装袋及び2枚の塩化ビニル樹脂シートを溶着することにより、合成樹脂製シート外装袋の内側に塩化ビニル樹脂シートの内装袋を固定して配置し、内装袋に空気が強制的に供給されることにより、内装袋が膨張し、その膨張に合わせて外装袋と内装袋が一体となって膨張する部分を有することを特徴とする血圧測定用カフ。
(b)前記その膨張に合わせて外装袋も内装袋と一体となって膨張する部分の外に、外装袋の端部が固定されており、血圧測定者の測定部位に巻きつける部分を有することを特徴とする(a)請求項1記載の血圧測定用カフ。
(c)前記血圧測定用カフの内装袋に空気供給管が外装袋の切欠部を介して取り付けられていることを特徴とする(a)又は(b)記載の血圧測定用カフ。
(d)前記血圧測定用カフの外装袋の測定部位に巻きつける側の面に粘着剤を塗布して形成する粘着層を設けた部分を有していることを特徴とする(a)から(c)のいずれか記載の血圧測定用カフ。
(e)前記(a)から(d)いずれか記載の血圧測定用カフが使用後に使い捨てできることを特徴とする血圧測定用カフ。
【発明の効果】
【0012】
ディスポーザルな血圧測定用カフであり、血圧測定時に発生するノイズによる発生する音(膨張袋および外装袋が接触することにより発生する音、膨張袋に空気を供給するカフチューブと膨張袋および外装袋がこすれることによりの発生する擦過音、又は膨張袋、外装袋、およびカフチューブによる振動により発生する音)の発生を極力防止し、血圧測定用カフによる血圧の測定に際しても面ファスナを固定する場合の特有の音を発生することがない
血圧測定用カフを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の血圧測定用カフ外装袋の外部表面を示し、血圧測定用カフ外装袋の外側を示す図である。
【図2】本発明の血圧測定用カフ外装袋の外部裏面を示し、血圧測定用カフ外装袋の測定部位に巻きつける側(内側)を示す図である。
【図3】本発明の血圧測定用カフ外装袋の外部表面を示し、血圧測定用カフ外装袋の外側表面を取り除いた状態を示す図である。
【図4】本発明の血圧測定用カフ外装袋の外部裏面を示し、血圧測定用カフ外装袋の測定部位に巻きつける側(内側)の外部裏面を取り除いた状態を示す図である。
【図5】本発明の内装袋に空気供給用のカフチューブに空気供給用コネクターを設けた状態を示す図である。
【図6】従来例の内装袋に空気供給用のカフチューブを設けた状態を示す図である。
【図7】従来例の内装袋に空気供給用のカフチューブを設けた状態を示す図である。
【図8】従来例の血圧測定用カフ外装袋と内装袋の断面を示す図である。
【図9】従来例の血圧測定用カフ外装袋と内装袋の断面を示す図である。
【図10】従来例の血圧測定用カフ外装袋と内装袋の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明について図1(本発明の血圧測定用カフ外装袋の外部表面を示し、血圧測定用カフ外装袋の外側を示す図)及び図2(本発明の血圧測定用カフ外装袋の外部裏面を示し、血圧測定用カフ外装袋の測定部位に巻きつける側(内側)を示す図)を用いて説明する。
外装袋となる2枚の合成樹脂製シートの間に内装袋となる2枚の合成樹脂製シート挟んで重ね合わせて、2枚の外装袋となる合成樹脂製シートの端部を縫製した外装袋1を形成し、外装袋の内側に2枚の合成樹脂シートを配置した状態とし、合成樹脂製外装袋の端部より離れた部分であり、前記合成樹脂製シートの外装袋と内装袋となる2枚の合成樹脂製シートを溶着しようとする部分3を、高周波誘電加熱電極間に挟み、高周波電圧を印加して合成樹脂製外装袋及び内装袋となる2枚の合成樹脂製シートを溶着して、合成樹脂製外装袋1の内側に合成樹脂製内装袋2を固定して配置し、内装袋に空気が強制的に供給されることにより、内装袋が膨張し、その膨張に合わせて外装袋と内装袋が一体となって膨張する部分を有する血圧測定用カフ。
又、Aは、外装袋となる2枚の合成樹脂製シートの間に内装袋となる2枚の合成樹脂製シート挟んで重ね合わせて、2枚の外装袋となる合成樹脂製シートの端部を縫製した外装袋1を形成し、外装袋及び外装袋の内側に2枚の合成樹脂製シートを配置した状態とし、合成樹脂製外装袋の端部より離れた部分であり、前記合成樹脂製シートの外装袋と内装袋となる2枚の合成樹脂製シートを溶着しようとする部分3を、高周波誘電加熱電極間に挟み、高周波電圧を印加して合成樹脂製外装袋及び内装袋となる2枚の合成樹脂製シートを溶着して、合成樹脂製外装袋1の内側に合成樹脂製内装袋2を固定して配置し、内装袋に空気が強制的に供給されることにより、内装袋が膨張し、その膨張に合わせて外装袋と内装袋が一体となって膨張する部分である。
又、Bは、外装袋の端部が固定されており、血圧測定者の測定部位に巻きつける部分である。
血圧測定用カフの内装袋に空気供給管に接続するコネクター5が外装袋の切欠部を介して取り付けられている。
前記血圧測定用カフの外装袋の測定部位に巻きつける側の面に粘着剤を塗布して形成する粘着層7を設けられている。
【0015】
図3本発明の血圧測定用カフ外装袋の外部表面を示し、血圧測定用カフ外装袋の外側表面を取り除いた状態を示す図)及び図4(本発明の血圧測定用カフ外装袋の外部裏面を示し、血圧測定用カフ外装袋の測定部位に巻きつける側(内側)の外部裏面を取り除いた状態を示す図)を用いて説明する。
前記合成樹脂製シートの外装袋と内装袋となる2枚の合成樹脂製シートを溶着している部分3により、合成樹脂製内装袋2が形成されている。
Aは、外装袋となる2枚の合成樹脂製シートの間に内装袋となる2枚の合成樹脂製シート挟んで重ね合わせて、2枚の外装袋となる合成樹脂製シートの端部を縫製した外装袋1を形成し、外装袋及び外装袋の内側に2枚の合成樹脂シートを配置した状態とし、合成樹脂製外装袋の端部より離れた部分であり、前記合成樹脂製シートの外装袋と内装袋となる2枚の合成樹脂製シートを溶着しようとする部分3を、高周波誘電加熱電極間に挟み、高周波電圧を印加して合成樹脂製外装袋及び内装袋となる2枚の合成樹脂製シートを溶着して、合成樹脂製外装袋1の内側に合成樹脂製内装袋2を固定して配置し、内装袋に空気が強制的に供給されることにより、内装袋が膨張し、その膨張に合わせて外装袋と内装袋が一体となって膨張する部分である。
又、Bは、外装袋の端部が固定されており、血圧測定者の測定部位に巻きつける部分である。
血圧測定用カフの内装袋に空気供給管に接続するコネクター5が取り付けられている。
【0016】
合成樹脂製外装袋1及び2枚の合成樹脂シートを溶着することにより、合成樹脂製シート外装袋1の内側に合成樹脂製内装袋2を固定して配置し、内装袋に空気が強制的に供給されることにより、内装袋が膨張し、その膨張に合わせて外装袋と内装袋が一体となって膨張している状態を示している(図5)。空気により膨張している合成樹脂製内装袋2と膨張している合成樹脂製内装袋2に押し上げられるようにして膨張する合成樹脂製外装袋の間には隙間が形成されないことがわかる。
その結果、外装袋の内側に内装袋を外装袋と一体に配置することができる。内装袋の内側に空気を供給すると、膨張袋を膨張させることができる。膨張袋が膨張することにより、膨張袋と外装袋は一体であるから、外装袋も内装袋と同様に膨張する。外装袋と内装袋は十分に接近して設けられこととなり、血圧測定時に発生するノイズによる発生する音(膨張袋および外装袋が接触することにより発生する音)、又は膨張袋、外装袋による振動による音の発生を極力防止できる。
【0017】
外装袋を形成する合成樹脂シートは、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂の滑りの良いシート部材を採用する。
又、内装袋のシートには、天然ゴム又は合成ゴム、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂シートを用いることができる。
【0018】
高周波誘電加熱法は、高周波電場内での誘電物質の内部発熱現象を利用した加熱方法である。この加熱方法は、熱可塑性樹脂等の溶着、成形や木材の乾燥などの方法として用いられてきたものであり、特に、高分子化合物が絶縁性である場合は、物質を構成している分子相互間の摩擦によって誘電損失を生じ内部発熱することから、温度上昇が敏速、且つ、均一に行われるとともに、物質の融点以上に温度上昇することがほとんどないなどの特徴を有している。本発明に適用したものである。本発明では、高周波誘電加熱を行うに際し、接合部分を電極に挟んで行う。高周波誘電加熱法によって溶解が可能な高分子化合物を存在させて、それらの内部発熱による溶解現象を利用することによって溶着する。本発明では塩化ビニル樹脂がその役割をはたす。
高周波電圧を印加する2つの前記電極間に、前記熱溶着対象物を設置した状態で、電極(金型)温度60℃、印加周波数40MHZ、印加電流0.8A、印加時間20秒、加圧力0.35MPaの条件で溶着した。
【0019】
血圧測定用カフの血圧測定部分にまきつける側と反対側である膨張袋の端部には外装袋に設けた切欠部(図1の5)を介して膨張袋に、空気供給管用のカフチューブ8が取り付け部分(図3の)が設けられており、カフチューブは外側に向かって固定されている。
図5は本発明の膨張袋に空気供給用のカフチューブに接続するコネクターを設けた状態を示す図である。その結果、カフチューブは空気が供給されることによって揺れ動くことはなく周囲の膨張袋および外装袋がこすれることにより擦過音の発生すること防止することができる。カフチューブの振動による音の発生を極力防止することができる。
図6に従来例の一例を示す。図6は特開平10−33489号公報記載の装置であり、図7は特許文献1に記載の図面である。カフチューブは空気が供給されることによって揺れ動くことはなく周囲の膨張袋および外装袋がこすれることにより擦過音の発生ことが予想される。
【0020】
前記したように外装袋の内側に前記合成樹脂製シートの外装袋を形成する2枚のシートおよび膨張袋を形成する2枚の合成樹脂製シートを溶着する溶着部分層を形成することにより、外装袋の内側に内装袋を外装袋と一体に配置し、内装袋の内側に空気を供給して膨張袋を膨張させ、膨張袋が膨張することにより、外装袋も膨張袋と一体となって膨張することができる部分(A)、および合成樹脂製シートの外装袋を形成する2枚のシートの部分から構成されて部分(B)を設けた血圧測定用カフにより、血圧を測定する測定部分に血圧測定用カフをあてて、その外側を十分に固定することができる。
【0021】
合成樹脂製シートの外装袋を形成する2枚のシートの血圧測定対象者の測定部位に接触するシート側の外装袋の端部には粘着剤を塗布して形成した粘着層を設けた部分7を設置する。
粘着剤層は以下の通りである。
粘着材はアクリル樹脂系の粘着剤を用いることができる。具体的にはアクリル樹脂(48〜50重量%)、エチルアセテート(5〜10重量%)、トルエン(45〜55重量%)およびイソプロパノール(2〜5重量%)(合計100重量%)組成の粘着材を用いる。
粘着剤を塗布して剥離シートを置いて、端部に熱をかけて剥離シートを熱溶着して固定する。市販品を購入して利用できる。
血圧測定用カフの使用時には剥離シートを取り外して使用する。
【0022】
従来例の血圧測定用カフの断面を示すと図8、9及び10に示した。
図8(特許文献5 特開平7−23914(特許第3202421号))は血圧測定用カフでは外装袋の内側に膨張袋が含まれ、外装袋の内側に膨張袋は別体として形成されている。外装袋の内側に膨張袋は余裕をもって収納されており、外装袋と内装袋は密着した状態で接触しており、隙間が生じている。このような状態とすると、血圧測定時に発生するノイズによる発生する音(膨張袋および外装袋が接触することにより発生する音、膨張袋に空気を供給するカフチューブと膨張袋および外装袋がこすれることによりの発生する擦過音、又は膨張袋、外装袋よる振動による音の発生はさけることができない。
図9は特許文献10(特開2000−51158号公報(図4に示される端部))は、閉じられた外装袋の内側に閉じられた膨張袋が配置されている。この場合も図8の場合と同様である。
図10は、特許文献11(特開2008−99944号公報(図3、図4に示される端部)である。両端部が閉じられている状態を示している。外装袋の内側に膨張袋は余裕をもって収納されており、外装袋と内装袋は密着した状態ではない。このような状態とすると、血圧測定時に発生するノイズによる発生する音(膨張袋および外装袋が接触することにより発生する音、膨張袋に空気を供給するカフチューブと膨張袋および外装袋がこすれることによりの発生する擦過音、又は膨張袋、外装袋よる振動による音の発生はさけることができない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
各部位の血圧測定用カフに利用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1:2枚の外装袋となる合成樹脂製シートの端部を縫製した外装袋
2:合成樹脂製外装袋1の内側の合成樹脂製内装袋
3:合成樹脂製外装袋の端部より離れた部分であり、前記合成樹脂製シートの外装袋と内装袋となる2枚の合成樹脂製シートを溶着した部分。
4:縫製した部分
5:外装袋に設けた切欠部
6:空気供給管用のカフチューブの取り付け部分
7:粘着剤を塗布して形成した粘着層を設けた部分
8:空気供給管
A:合成樹脂製シートの外装袋を形成する2枚の合成樹脂製シートの内側に、膨張袋を形成する2枚のゴム製シートを重ね合わせて、前記合成樹脂製シート外装袋の端部より離れた内側に、前記合成樹脂製シートの外装袋を形成する2枚のシートおよび膨張袋を形成する2枚の合成樹脂製シートを溶着する溶着部分層を形成することにより、外装袋の内側に内装袋を外装袋と一体に配置し、内装袋の内側に空気を供給して膨張袋を膨張させ、膨張袋が膨張することにより、外装袋も膨張袋と一体となって膨張することができる部分。
B:外装袋の端部が固定されており、血圧測定者の測定部位に巻きつける部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装袋となる2枚の合成樹脂製シートの間に内装袋となる2枚の合成樹脂製シート挟んで重ね合わせて、2枚の外装袋となる合成樹脂製シートの端部を縫製して固定することにより外装袋を形成し、外装袋の内側に2枚の合成樹脂シートを配置した状態とし、合成樹脂製シート外装袋の端部より離れた部分であり、前記合成樹脂製シートの外装袋と2枚の内装袋となる合成樹脂製シートを接合しようとする部分を、高周波誘電加熱電極間に挟み、高周波電圧を印加して合成樹脂製外装袋及び2枚の合成樹脂シートを溶着することにより、合成樹脂製シート外装袋の内側に合成樹脂製内装袋を固定して配置し、内装袋に空気が強制的に供給されることにより、内装袋が膨張し、その膨張に合わせて外装袋と内装袋が一体となって膨張する部分を有することを特徴とする血圧測定用カフ。
【請求項2】
前記その膨張に合わせて外装袋も内装袋と一体となって膨張する部分の外に、外装袋の端部が固定されており、血圧測定者の測定部位に巻きつける部分を有することを特徴とする請求項1記載の血圧測定用カフ。
【請求項3】
前記血圧測定用カフの内装袋に、空気供給管が外装袋の切欠部を介して取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の血圧測定用カフ。
【請求項4】
前記血圧測定用カフの外装袋の測定部位に巻きつける側の面に粘着剤を塗布して形成する粘着層を設けた部分を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の血圧測定用カフ。
【請求項5】
前記1から4いずれか記載の血圧測定用カフが使用後に使い捨てできることを特徴とする血圧測定用カフ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−90834(P2012−90834A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241665(P2010−241665)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(505266709)株式会社マルサンテクノス (4)
【Fターム(参考)】