説明

血栓閉塞防止具

【課題】輸液等を行う際に使用される留置針において、非輸液時に留置針内腔が血栓閉塞するのを防ぐ血栓閉塞防止具を提供する。
【解決手段】本発明は、留置針内腔7に挿入することにより留置針内腔7への血液の逆流と血栓閉塞を防止できる棒状体1を具備した血栓閉塞防止具5で、非輸液時に、前記血栓閉塞防止具5を留置針6に装着することにより、ヘパリンロックすることなく留置針内腔7の血栓閉塞を確実に防止できる。前記血栓閉塞防止具5を留置針6より抜去すれば、輸液を再開することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液等を行う際に使用される留置針において、非輸液時に、血栓により留置針内腔が閉塞するのを防止するためのものである。
【背景技術】
【0002】
留置針を使用し間欠輸液する場合、非輸液時には、血栓により留置針内腔が閉塞しないように、留置針内腔をヘパリンロックする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−187286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘパリンロックする場合、あらかじめヘパリン溶液を注射器に吸って用意する必要があり、手技も煩雑であった。また、ヘパリンロック後時間が経過すると、血栓により留置針内腔が閉塞する可能性が大きくなり、効果が不確実であった。またヘパリンロックする場合、少量ではあるが体内にヘパリンを注入することになり、ヘパリンに対してアレルギーのある患者などでは、持続輸液するか、留置針を抜去するしかなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、留置針内腔に挿入することにより留置針内腔への血液の逆流と血栓閉塞を防止できる棒状体を具備した血栓閉塞防止具で、非輸液時に、前記血栓閉塞防止具を留置針に装着することにより、ヘパリンロックすることなく留置針内腔の血栓閉塞を確実に防止できる。前記血栓閉塞防止具を留置針より抜去すれば、輸液を再開することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の血栓閉塞防止具を用いれば、ヘパリンロックすることなく、留置針内腔の血栓閉塞を長時間にわたって、確実にかつ容易に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明第一実施例の血栓閉塞防止具を留置針に装着した際の断面概略図である。
【図2】本発明第一実施例の血栓閉塞防止具を、内部に逆流防止弁を設置した留置針に装着した際の断面概略図である。
【図3】本発明第一実施例の血栓閉塞防止具を、逆流防止装置を外部に接続した留置針に装着した際の断面概略図である。
【図4】本発明第二実施例の血栓閉塞防止具を留置針に装着した際の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
本発明の血栓閉塞防止具を図面に示した実施例を用いて説明する。
図1は、本発明第一実施例の血栓閉塞防止具5を留置針6に装着した際の断面概略図である。
血栓閉塞防止具5は、留置針内腔7に挿入することにより留置針内腔7への血液の逆流と血栓閉塞を防止できる棒状体1と、棒状体1の一端に形成され、棒状体1に直接触れることなく棒状体1の留置針内腔7への出し入れを操作できる保持部2と、棒状体1を留置針内腔7の適切な位置に固定するための固定部3からなる。この第一実施例では、固定部3の形状を、留置針6の基端部に液密性に嵌合する形状とすることにより、固定部3と留置針6の基端部とが嵌合した際の摩擦抵抗によって、棒状体1を留置針内腔7の適切な位置に固定することができる。さらに固定部3は、外部から細菌や異物が留置針内腔7へ侵入するのを防止する密閉部4としての機能も有している。
【0009】
血栓閉塞防止具5を留置針6に装着した際、血管内から留置針内腔7に血液が逆流しないように、棒状体1の形状は、少なくとも留置針6の先端部では留置針内腔7に液密性に嵌合する形状であり、棒状体1の長さは、留置針6の先端よりわずかに血管内に出る程度が適当である。棒状体1の材質は、柔軟性にとみ、抗血栓性にすぐれた材質が適している。
【0010】
図2は、本発明第一実施例の血栓閉塞防止具5を、内部に逆流防止弁8を設置した留置針6に装着した際の断面概略図である。
棒状体1は、留置針6の内部に設置された逆流防止弁8を液密性に挿通可能である。
図3は、本発明第一実施例の血栓閉塞防止具5を、逆流防止装置9を外部に接続した留置針6に装着した際の断面概略図である。
棒状体1は、留置針6の外部に接続された逆流防止装置9を液密性に挿通可能である。
【0011】
図4は、本発明第二実施例の血栓閉塞防止具5を留置針6に装着した際の断面概略図である。
血栓閉塞防止具5は、留置針内腔7に挿入することにより留置針内腔7への血液の逆流と血栓閉塞を防止できる棒状体1と、棒状体1の一端に形成され、棒状体1に直接触れることなく棒状体1の留置針内腔7への出し入れを操作できる保持部2と、棒状体1を留置針内腔7の適切な位置に固定するための固定部3と、外部から細菌や異物が留置針内腔7へ侵入するのを防止する密閉部4からなる。固定部3には、留置針6の基端部に螺着するためのねじ山10を設けてあり、これにより棒状体1を留置針内腔7の適切な位置により確実に固定することができる。
【0012】
前記第一実施例ならびに第二実施例に限らず、間欠輸液する際に、非輸液時には、留置針内腔7への血液の逆流と血栓閉塞を防止できる棒状体1を留置針内腔7に挿入し、輸液時には、前記棒状体1を留置針内腔7より抜去してなる血栓閉塞防止システムを用いれば、非輸液時に、ヘパリンロックすることなく留置針内腔の血栓閉塞を確実に防止できる。
【符号の説明】
【0013】
1 棒状体
2 保持部
3 固定部
4 密閉部
5 血栓閉塞防止具
6 留置針
7 留置針内腔
8 逆流防止弁
9 逆流防止装置
10 ねじ山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
留置針内腔(7)に挿入することにより留置針内腔(7)への血液の逆流と血栓閉塞を防止できるように、留置針(6)の先端部では留置針内腔(7)に液密性に嵌合する形状であり、長さは留置針(6)の先端からわずかに血管内に出る程度の棒状体(1)と、
棒状体(1)に直接触れることなく、棒状体(1)の留置針内腔(7)への出し入れを操作できる保持部(2)と、棒状体(1)を留置針内腔(7)の適切な位置に固定するための固定部(3)とを有する血栓閉塞防止具(5)。
【請求項2】
外部から細菌や異物が留置針内腔(7)へ侵入するのを防止する密閉部(4)を有する請求項1記載の血栓閉塞防止具(5)。
【請求項3】
前記固定部(3)は、留置針(6)の基端部に液密性に嵌合する形状となっており、嵌合した際の摩擦抵抗によって棒状体(1)を留置針内腔(7)の適切な位置に固定可能である請求項1または請求項2記載の血栓閉塞防止具(5)。
【請求項4】
前記固定部(3)は、留置針(6)の基端部に螺着するためのねじ山(10)を設けた請求項1または請求項2記載の血栓閉塞防止具(5)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−155121(P2010−155121A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90206(P2010−90206)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【分割の表示】特願2004−256308(P2004−256308)の分割
【原出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000212681)
【Fターム(参考)】