説明

血液ろ過デバイスおよび方法

対象の血液をろ過するためのデバイスであって、(a)対象の骨の内部における埋め込みのために構成されるデバイス本体と、(b)デバイス本体の表面または内部に配置され、前記骨の骨髄を通って流れる血液にさらされるフィルターであって、前記骨髄を通って流れる血液をろ過することができるフィルターを含むデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的流体をろ過するためのデバイスに関連し、より具体的には、循環している血漿から過剰な水を除くことができる自浄性のろ過デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
腎臓は血液をろ過し、過剰な流体、ミネラルおよび老廃物を除く。腎臓はまた、骨強度および血液恒常性を維持するホルモンを産生する。腎臓がこれらの正常な機能を果たすことができないとき、有害な老廃物が体内に蓄積し、血圧が上昇することがあり、また、身体は過剰な流体を保持することがあり、十分な量の赤血球を産生しないことがある。そのようなものとして、腎不全は、そのような機能不全を是正するために、または、そのような機能不全を補うために処置を必要とする。
【0003】
末期腎疾患(ESRD)が、腎臓が、日々の生活のために必要であるレベルでもはや機能することができず、腎臓機能が疾患のない正常な腎臓の約10%未満である点にまで達しているときに生じる。異常に低い糸球体ろ過率が通常、血清中のクレアチニンレベルによって間接的に求められる。ESRDの最も一般的な原因が糖尿病である。ESRDの症状には、例えば、意図的でない体重減少、悪心または嘔吐、全身的不調感、疲労、頭痛、低下した尿排出量、易傷性または易出血性、吐物または便における血液、上昇した血中尿素窒素(BUN)レベル、および、低下したクレアチニンクリアランスが含まれ得る。
【0004】
ESRD患者は流体を十分に排出することができないので、水および他の流体が透析中に限外ろ過(身体からの過剰な流体の除去)によって除かれるまで、体内に留まる。結果として、腎臓機能が低下するにつれ、流体体積が過負荷になり、血圧が増大する。
【0005】
限外ろ過から利益を受け得る流体過負荷の別の大きな原因が、虚血性心疾患、アテローム動脈硬化性障害または遺伝的障害の二次的なうっ血性心不全(CHF)である。心臓のポンプ機能不全のために、腎臓は血流が低下し、その結果、増大した血圧および流体過負荷がもたらされる。
【0006】
透析が、急性または慢性の腎不全に苦しみ、ESRDまたはCHFに関連づけられる流体過負荷を有する人に対して日常的に行われる。このプロセスは、正常な場合には腎臓によって排出される血液由来の老廃物物質および流体を除くことを伴う。透析はまた、腎不全が生じることを防止するために、毒性物質にさらされた人において使用される場合がある。
【0007】
行われ得る2つのタイプの透析、すなわち、血液透析および腹膜透析が存在する。
【0008】
血液透析では、自由水およびいくらかの溶解した電解質が、生じた圧力勾配に沿って膜を横切って移動させられる限外ろ過による流体除去が伴う。血液透析では、膜の両側での濃度勾配を最大で維持し、かつ、透析の効率を増大させる向流流れが利用される。血液が、通常の場合には腕に手術により設置される動静脈(AV)フィステルと呼ばれる特別なタイプのアクセスによって採取される。アクセスが確立された後、血液が、溶質濃度を調節し、かつ、老廃物物質および流体を除く特別な透析液に血液ろ過カートリッジを浸す大きい血液透析装置を通って流れ出る。その後、「清浄な」血液が血流に戻される。血液透析は通常、週に3回行われ、それぞれの処置が3時間〜5時間またはそれ以上続く。血液透析設備(例えば、膜、ポンプ)を適切に維持管理することが非常に重要であるので、毎回の血液透析が多くの場合、治療センターで行われる。血液透析の起こり得る合併症には、あまりにも多くの流体を除くこと、および/または、流体をあまりにも速く除くことによって引き起こされる有痛性筋攣縮および低血圧が含まれ得る。
【0009】
腹膜透析では、腹膜が、血液をろ過するために使用される。腹膜透析が、特殊な軟らかい中空チューブを臍に近い下部腹腔の中に手術により設置することによって行われる。水に溶解されたミネラルおよび糖の混合物(これは透析液溶液と呼ばれる)が腹膜腔内に点滴注入され、その後、透析液流体が腹膜を介して老廃物物質、毒素および余分な水を吸収する指定された期間にわたって腹腔内に留置される。数時間後、血液由来の老廃物を含有する使用済み溶液がチューブを介して腹腔から排出される。その後、腹腔が新しい透析溶液により再び満たされ、このサイクルが繰り返される。排出し、再び満たすこのプロセスが交換と呼ばれる。患者は通常、1日あたり透析溶液の4回〜6回の交換を受ける。腹膜の感染、すなわち、腹膜炎が腹膜透析の最も一般的な問題である。
【0010】
透析は一般的な手法であるが、いくつかの欠点に悩まされる。そのような欠点には、流体のバランス障害、特別な食事が必要であること、高血圧、そして、週に数回、毎回数時間、透析処置に行かなければならないことに起因する生活スタイルにおける変化のための心理学的問題が含まれる。
【0011】
いくつかの試みがこれまで、透析デバイスの上記欠点の少なくともいくつかを克服するシステムを考案するために行われている。米国特許第5037385号および米国特許出願第10/922478号は、埋め込み可能な腹膜透析デバイスを開示する。記載される上記システムは、埋め込み可能な腹膜泌尿(peritoneourinary)ポンプおよび埋め込み可能な透析液注入システムを含む。使用されているとき、デバイスは、腹膜腔に埋め込まれる半透過性リザーバーを有する。リザーバーは血液中の老廃物を受け取り、ポンプにより1つまたは複数の導管を介して生物学的膀胱に流し出す。これは複雑な配置である。
【0012】
米国特許第5902336号は、低分子量〜中分子量の溶質および流体を腎不全に苦しむ患者の血液から除くための限外ろ過デバイスを用いる別の埋め込み可能なシステムを記載する。このシステムにおいて、流体が、動脈および/または静脈へのアクセスを介して、患者の血管系と、患者の膀胱または尿道との間で流れる。そのようなものとして、このシステムは、金属または硬いプラスチックのデバイスを軟らかい生物学的組織(動脈または静脈)に手術により取り付けることが必要であり、この処置によって望ましくない副作用(例えば、血管の剪断/引き裂き、凝固、線維形成、感染および血栓症など)が生じることが多い。そのうえ、そのようなシステムは、ポンプを患者の身体の内部に設置することを必要とする。
【0013】
移植または埋め込まれた生物学的に活性な細胞または組織に基づく、透析するための腎臓様機能もまた検討されており、骨髄が、異物抗原を許容するその能力および循環系に到達することから、潜在的に好適な部位として想定されている。
【0014】
骨髄は免疫特権部位であり、したがって、宿主に対して外来である物質を導入するために利用することができる。そのような例が、生物学的に活性な物質(これには、細胞、組織、核酸、ベクター、タンパク質または医薬組成物が含まれる)を、そのような物質を骨または骨髄に導入することによって哺乳動物に送達するための方法を記載する米国特許第6463933号に開示される。‘933号において暗示される実施形態は、腎臓細胞を透析のために骨髄に埋め込むことを示す。しかし、そのようなシステムは、達成するにはほど遠いものである。
【0015】
上記で概略される欠点、例えば、凝固、感染、組織壊死、腫瘍形成および血栓症などを有さず、引き裂き問題を回避する非生物学的インプラントが依然として、長年にわたって必要であると考えられており、未だ対処されていない。
【0016】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、患者の骨髄に埋め込み、かつ、血漿の限外ろ過を提供し、それにより、先行技術のデバイスの上記制限を克服するために設計される非生物学的な透析デバイスを考案している。
【発明の概要】
【0017】
本発明の1つの局面によれば、患者の骨髄の内部に埋め込み可能であるろ過デバイス(BFD)が提供される。前記デバイスは、対象の骨髄の内部における埋め込みのために構成されるデバイス本体(これはコレクターまたはカートリッジとして形成される)と、デバイス本体の内部または表面に配置されるフィルター材とを含む。デバイス本体は、骨髄の血液をフィルターに通し、その結果、老廃物物質がフィルターによって保持され、かつ、水および溶質がフィルターを通り抜け、デバイス本体によって集められ、血液から取り出されるようにするために構成される。
【0018】
下記で記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、デバイスはさらに、血液から除かれた水および溶質を、膀胱、泌尿生殖(GU)系またはリザーバーに導くための導管を含む。
【0019】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスは、骨髄における血流と、フィルター材との間における圧力勾配を維持する。圧力勾配は、規定された高分子を保持しながら、過剰な水を膀胱またはGU系に導くために十分である。
【0020】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルター材は、循環する血髄血流から水を取り出すために好適な組成物から選択される。
【0021】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスはさらに、コレクター/カートリッジを収容するケージを含む。
【0022】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、ケージは、コレクター/カートリッジを骨組織の内方成長(ingrowth)から保護するために適合化される。
【0023】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、ケージは、コレクター/カートリッジの中への海綿状成長を刺激し、それにより、コレクター/カートリッジの骨統合を促進するために適合化されるチタンおよび/またはヒドロキシアパタイトを含む。
【0024】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、ケージは、海綿状成長を刺激し、それにより、コレクター/カートリッジの骨統合を促進するために適合化されるチタンおよび/またはヒドロキシアパタイトによって被覆される。
【0025】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、導管/チューブは、埋め込み可能なフィルター材と流体連絡している;導管/チューブは、集められた水を患者の膀胱またはGU系に輸送するための流体連絡手段を含む。
【0026】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスは、骨内の骨髄部位における埋め込みのために適合化され、ただし、骨は、長骨からなる群から選択され、好ましくは、腸骨稜、肋骨、胸骨、骨盤、下部腕の骨および/または上部腕の骨を含めて、患者の膀胱またはGU系に隣接する骨、あるいは、患者の膀胱またはGU系の上方に位置する骨からなる群から選択される。
【0027】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、導管/チューブは、重力を利用して膀胱/GU系に流動させることを可能にするために適合化される。
【0028】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルター材は約200mmHgの流体圧力に耐えることができる。
【0029】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスは、ポンプの力を借りることなく流体をろ過するための十分な勾配圧力が達成されるように、骨髄内の場所における埋め込みのために、フィルター組成物のサイズ、形状、材料およびタイプによって適合化される。
【0030】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルター材は0.5cmの最小表面積を有する。
【0031】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルター材は約5KDa〜約50KDaの間の分子カットオフを有する。
【0032】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルター材は少なくとも一部が金属から構成される。
【0033】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、金属は電気的および/または磁気的に帯電する。
【0034】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、金属は、タンパク質汚損を抑制するために負に帯電する。
【0035】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、金属は常磁性である。
【0036】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、金属は、ただ1つまたは多数のステンレススチール合金、ニッケルチタン合金、コバルト−クロム合金、モリブデン合金、タングステン−レニウム合金またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される生体適合性材料を含む。
【0037】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルター材は生体適合性ポリマー物質を含む。
【0038】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルターは、ひだ付き、折り畳み型、円筒状、円錐形、らせん形、渦巻き型、あるいは、平面シートまたは中空繊維、あるいは、それらの任意の組合せである。
【0039】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、生体適合性ポリマー物質は、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリラート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリエーテル−ブロックコポリアミドポリマー、ポリウレタン(例えば、脂肪族ポリエーテルポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル、熱可塑性プラスチック、フッ素化エチレンプロピレン、セルロース、コラーゲン、シリコーンまたはそれらの任意の組合せからなる群から選択される生理学的に許容され得る物質である。
【0040】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、導管/チューブは、約1mm〜約30mmの間、および、約5mm〜約10mmの間に及ぶ直径を有する。
【0041】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、導管/チューブは、約5cmm〜約40cmの間、および、約10cm〜約20cmの間に及ぶ長さを有する。
【0042】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイス本体は、ポリエステル、ポリプロピレン、PTFE、ePTFE、PEEK、ナイロン、ポリエーテル−ブロックコポリアミドポリマー、ポリウレタン(例えば、脂肪族ポリエーテルポリウレタンなど)、PVC、PAN、PS、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリヒドロキシルメチルメタクリラート(PHMMA)、熱可塑性プラスチック、FEP、セルロース、押出しコラーゲン、シリコーンまたはそれらの任意の組合せからなる群から選択される生体適合性材料から作製される。
【0043】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、導管/チューブは、流体の排出を容易にするために膀胱および/またはGU系につながっている。
【0044】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスは、フィルターを清浄化するための自己清浄化機構を含む。
【0045】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスはさらに、大きい圧力勾配および流速を提供するポンプシステムを含む。
【0046】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、ポンプはまた、汚損物質からフィルターを自己清浄化する。
【0047】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルターは、タンパク質および脂質の凝塊による目詰まりを連続して除くための機構を備える。
【0048】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、そのような機構は、凝塊を取り除くための蠕動機能/ポンピング機能を提供するために適合化されたボーラス機構;ろ過を改善し、かつ、凝塊を取り除く静水圧を増大させるための陽圧および陰圧を提供するために適合化されたマイクロプロペラ機構;フィルターの側表面からのフィルター目詰まりを剥がすために適合化されたスクラバー機構;電圧供給により作動し得るリラクサー圧電性糸を含む強化機構;フィルターを周期的に清浄化するための電気誘導振動を行うために適合化される糸;フィルターの細孔が清浄化されるように互いに対して動くために適合化される少なくとも2つの円筒またはシートを含む機構;フィルターを能動的に清浄化するためのスポンジ様機構;アセンブリーを横切る電流を逆にし、それにより、汚損成分およびスケール形成成分をサイクルごとに除くための電気透析反転機構である。
【0049】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスはさらに、充電可能な電源を含む。
【0050】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルターが円筒状に構成され、スクラバーが、円筒状に構成されたフィルターの側表面からのフィルターの目詰まりを剥がすために適合化されたリングの形状で構成される。
【0051】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、スクラバーは、フィルター構造物の側表面を取り巻くワイヤを含む;ワイヤは形状記憶合金から作製される;ワイヤは、フィルターの目詰まりを剥がすために側表面に沿って可逆的に延びるために適合化される。
【0052】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルターは、その形態を可逆的に変化させるために適合化される。
【0053】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスは、ねじり、絞りまたは押しつぶしによって流れを能動的に誘導し、かつ、フィルターを清浄化するためのスポンジ様機構を含む。
【0054】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスはさらに、膜の両端での電気的電位差を可逆的に変化させ、それにより、フィルターの目詰まりを除くことを容易にするための電圧変換器デバイスを含む電気透析反転機構を含む。
【0055】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、ポンプシステムは、(a)陽圧を透過液用内腔において作り出すためのマイクロポンプと、(b)透過液用内腔を可逆的に密封するためのマイクロバルブと、(c)マイクロポンプおよびマイクロバルブを所定のプロトコルに従って制御するためのコントローラーと、(d)マイクロポンプ、マイクロバルブおよびコントローラーに電圧供給するための電池とを含む。
【0056】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、マイクロポンプは、陰圧インパルスをデバイス本体の透過液用内腔において誘導するために適合化される。
【0057】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルターは、少なくとも1つの水透過性膜シートを含む。膜シートは、第1の面および第2の面を、(i)保持液用内腔が膜シートの第1の面の層に挟まり、かつ、(ii)透過液用内腔が膜シートの第2の面の層に挟まるように有する。
【0058】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスはさらに、膜シートの透過液用内腔側に一部が分散されるか、または、そうでない場合には固定化される生体適合性親水性材料を含む;この材料は、この材料が存在しない場合の同じ膜の両端で得られる勾配よりも大きい膜の両端での増大した静水圧勾配を提供するために適合化される。
【0059】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイス本体は、循環している血液にさらされる少なくとも1つの保持液用内腔を含む。
【0060】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイス本体は、透過液用内腔と流出液連絡している少なくとも1つの漏れ止めマニホールドを含む。
【0061】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、フィルターは、(a)細長い中空膜繊維が長さ方向に配置されている複数のロッド、(b)繊維の外壁に流体接触している少なくとも1つの透過液用内腔、(c)中空繊維の内部に配置される複数の保持液用内腔、(d)少なくとも1つの透過液用内腔の内部に分散される生体適合性親水性材料を含むフィルターカートリッジの内部に配置される。
【0062】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、カートリッジアセンブリーは中実のロッド膜配置を含み、さらには、ロッドの外面壁が保持液用内腔を形成し、ロッドの内面壁が透過液用内腔を形成する。
【0063】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、中実膜ロッドの内面は少なくとも一部が、透過液用内腔と、保持液用内腔との間における増大した静水圧勾配を提供する親水性材料を含む。
【0064】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、膜は、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリラート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリエーテル−ブロックコポリアミドポリマー、ポリウレタン(例えば、脂肪族ポリエーテルポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル、熱可塑性プラスチック、フッ素化エチレンプロピレン、セルロース、コラーゲン、シリコーンまたはそれらの任意の組合せからなる群から選択される生体適合性ポリマー物質を含む。
【0065】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、アセンブリーはさらに、透過液用内腔と、患者の膀胱および/またはGU系との間を流体連絡する排水管ポートを含む。
【0066】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、アセンブリーは血液透析のために適合化される。
【0067】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、アセンブリーは限外ろ過のために適合化される。
【0068】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、膜は、少なくとも1つの生体適合性親水性材料により被覆される。
【0069】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、膜は、生体適合性親水性材料の少なくとも1つのシートにより挟まれる。
【0070】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、生体適合性親水性材料は、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−エチレンコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルアクリラート、ポリヒドロキシエチルメタアクリラート、ポリアミドアクリラート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸およびゼラチン、または、それらの任意の組合せからなる群から選択される生理学的に許容され得る誘導体である。
【0071】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスは、約40mmHgの静水圧を有する骨髄における埋め込みのために適合化され、これにより、アセンブリーは、ポンプからの力を借りることなく流体をろ過するための十分な勾配圧力を達成する。
【0072】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスは、腹腔鏡手段によって埋め込まれるために適合化される。
【0073】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、デバイスは、保持液用内腔の中への医薬品の制御された放出のための機構を備える。
【0074】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、医薬品は、麻酔薬、電解質および抗炎症性薬剤を含む群から選択される。
【0075】
本発明の別の局面によれば、血液をろ過する方法が提供される。本発明の方法は、血液ろ過デバイスを対象の骨髄の内部に埋め込むことを含み、この場合、血液ろ過デバイスは、骨髄を通って流れる血液から老廃物物質を捕獲し、かつ、水および溶質を、膀胱、GU系またはリザーバーに通すためのフィルターを含む。
【0076】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、医薬品、血液ろ過デバイス(BFD)は、(i)患者の骨髄の内部に埋め込まれるためにサイズまたは形状によって適合化されるコレクター/カートリッジ、(ii)コレクターカートリッジの内部に収容されるフィルター材、(iii)集められた水を患者の膀胱または泌尿生殖(GU)系に輸送するための導管/チューブ、および、(iv)骨髄における血流と、フィルター材との間におけるインサイチュで運転中に静水圧勾配を提供する手段を含み、この場合、圧力勾配は、規定された高分子を保持しながら、過剰な水を膀胱またはGU系に導くために十分である。
【0077】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、医薬品、埋め込みは患者の骨髄において行われる。
【0078】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、本発明の方法はさらに、血液および規定された高分子を保持しながら、過剰な水を血液外に導くために十分である、骨髄における血流と、フィルター材との間におけるインサイチュでの静水圧勾配を加え、それにより、末期腎疾患を処置することを含む。
【0079】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、医薬品、血液をろ過することが、CHFまたはESRDに苦しむ対象において行われる。
【0080】
記載される好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、医薬品、埋め込むことが、最小浸襲的な技術によって行われる。
【0081】
本発明は、骨髄を通って流れる血液から老廃物産物および高分子をろ過することができる血液ろ過デバイスを提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
【0082】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0084】
【図1】図1は、患者体内に埋め込まれた血液ろ過デバイスの主要部概略図である。
【0085】
【図2】図2は、患者体内に埋め込まれたケージの中に収容される血液ろ過デバイス本体の主要部概略図である。
【0086】
【図3】図3は、末期腎疾患を本発明の実施形態に従って処置するための血液ろ過デバイスを別の視点から見た場合の概略図である。
【0087】
【図4】図4は、腸骨稜骨髄内に埋め込まれた本発明の血液ろ過デバイスの概略図である。
【0088】
【図5A−5C】図5A−5Cは、血液ろ過デバイスの代替実施形態の映像表示である。
【0089】
【図6】図6は、血液ろ過デバイスの代替実施形態の概略図である。
【0090】
【図7】図7は、血液ろ過デバイスの自己清浄化を行うボーラス様構造物または機構のポンピング運動を例示する概略図である。
【0091】
【図8】図8は、血液ろ過デバイスを自己清浄化するためのマイクロプロペラ支援機構の概略的例示である。
【0092】
【図9A】図9Aは、ポンプ支援型血液ろ過デバイスの概略断面図である。
【0093】
【図9B】図9Bは、マイクロプロペラシステムを含む図4Aのポンプ補助型血液ろ過デバイスの概略断面図である。
【0094】
【図10A−10B】図10A−10Bは、血液ろ過デバイスを自己清浄化するためのスクラバー補助機構の等角図である。
【0095】
【図11A】図11Aは、血液ろ過デバイスを自己清浄化するための形状記憶ワイヤ補助機構の等角図である。
【0096】
【図11B】図11Bは、血液ろ過デバイスを自己清浄化するための形状記憶ワイヤ補助機構の等角図である。
【0097】
【図12】図12は、血液ろ過デバイスを自己清浄化するための圧電補助型機構の概略断面図である。
【0098】
【図13】図13は、自身が能動的フィルターとして作用し、かつ、自己清浄化のための機構を有するスポンジ様構造物の概略図である。
【0099】
【図14A】図14Aは、親水性材料の外側場所を有する埋め込み可能ならせん状に巻かれた限外ろ過膜アセンブリーの横断面図である。
【0100】
【図14B】図14Bは、親水性ビーズの外側場所を有する埋め込み可能ならせん状に巻かれた限外ろ過膜アセンブリーの縦断面図である。
【0101】
【図15A】図15Aは、親水性ビーズの内側場所を有する埋め込み可能ならせん状に巻かれた限外ろ過膜アセンブリーの横断面図である。
【0102】
【図15B】図15Bは、親水性ビーズの内側場所を有する埋め込み可能ならせん状に巻かれた限外ろ過膜アセンブリーの縦断面図である。
【0103】
【図16】図16は、親水性ビーズの外側場所を有する埋め込み可能な細長い中空繊維限外ろ過膜アセンブリーの横断面図である。
【0104】
【図17】図17は、親水性ビーズの内側場所を有する埋め込み可能な細長い中空繊維限外ろ過膜アセンブリーの横断面図である。
【0105】
【図18】図18は、ノウサギの体内に埋め込まれた血液ろ過デバイスの選択された実施形態の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
本発明は、骨髄を通って流れる血液をろ過するために使用することができるデバイスに関する。具体的には、本発明は、損なわれた腎臓機能を補うために、または、損なわれた腎臓機能を是正するために使用することができる。
【0107】
本発明の原理および操作は、図面および付随する説明を参照してより良く理解されることができる。
【0108】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは、様々な方法で実施、または、実行される。また、本明細書中において用いられる表現法および用語法は説明のためであって、限定として見なされるべきでないことを理解しなければならない。
【0109】
数多くの試みがこれまで、標準的な血液透析法および腹膜透析法の欠点がない透析デバイスを考案するために行われている。
【0110】
これらの試みのいくつかにより、透析において効果的に使用することができるデバイスがもたらされているが、凝固、感染、組織壊死、腫瘍形成および血栓症によって制限されず、かつ、引き裂き問題を回避する非生物学的インプラントが依然として、長年にわたって必要であると考えられており、未だ対処されていない。
【0111】
本発明者らは、対象の骨髄に埋め込まれ、かつ、血漿をろ過するために効果的に使用することができ、その一方で、先行技術のデバイスの上記で記載された欠点を克服する、フィルターを有する非生物学的デバイスを提案する。
【0112】
したがって、本発明の1つの局面によれば、対象(例えば、ヒトなど)の血漿をろ過するためのデバイスが提供される。そのようなデバイスは、血液を透析するために使用することができ、したがって、ESRDおよびCHFにおいて腎機能を補うために、または、代替するために使用することができる。
【0113】
本発明のデバイス(これはまた、本明細書中では血液ろ過デバイスまたはBFDとして示される)は、対象の骨髄の内部における部分的または完全な埋め込みのために構成されるデバイス本体と、デバイス本体の内部または表面に配置され、骨髄を通って流れる血液をろ過するために構成されるフィルターとを含む。
【0114】
デバイス本体は、骨アンカー、ねじ、ステープル、ピンおよび糊などの使用によりどのような骨にも取り付けることができ、または、どのような骨の内部にも埋め込むことができる。デバイス本体は好ましくは、骨髄領域の内部に埋め込まれる。しかしながら、デバイス本体は、流体連絡が、骨髄の血液と、フィルターとの間で確立される限り(すなわち、フィルターが、骨髄を通って流れる血液にさらされる限り)、骨髄領域の内部に完全に埋め込まれる必要がないことが理解される。したがって、フィルターを有するデバイス本体の一方の末端が骨髄領域内にあり、別の末端が骨の外側にある部分的埋め込みもまた、本発明者らによって想定される。
【0115】
骨の例には、長骨、腸骨稜、肋骨、胸骨、骨盤、下部腕の骨および上部腕の骨が含まれるが、これらに限定されない。患者の膀胱またはGU系に隣接するか、あるいは、患者の膀胱またはGU系の上部に位置する骨が好ましい。
【0116】
デバイス本体は、骨の骨髄領域の内部における部分的または完全な埋め込みのために好適な任意の形状および任意の大きさを有することができる。例えば、腸骨稜の内部における埋め込みにおいて、デバイス本体は、約0.5cmの直径および10cm〜20cmまたはそれ以上の長さを有する円筒状であり得る。デバイス本体は生体適合性材料から作製することができ、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、PTFE、ePTFE、PEEK、ナイロン、ポリエーテル−ブロックコポリアミドポリマー、ポリウレタン(例えば、脂肪族ポリエーテルポリウレタンなど)、PVC、PAN、PS、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリヒドロキシルメチルメタクリラート(PHMMA)、熱可塑性プラスチック、FEP、セルロース、押出しコラーゲン、シリコーンまたはそれらの任意の組合せなどから作製することができる。
【0117】
本発明のデバイスはまた、デバイス本体を覆って配置されるケージ構造物を含むことができる。そのようなケージ構造物は、(例えば、デバイス本体を骨組織にさらに固定することによって)デバイス本体をさらに支えるために、および/または、デバイス本体内への骨の内方成長を防止し、その一方で、骨統合を維持させるために構成される。そのようなケージはチタンから組み立てることができ、また、ヒドロキシアパタイトにより被覆することができる。
【0118】
本発明のデバイスのフィルターは水および溶質に対して透過性であり、血液細胞、および、所定のサイズを超える分子(例えば、タンパク質、炭水化物など)に対しては不透過性である。本発明のデバイスのフィルターは好ましくは、5kDa〜50kDaのカットオフサイズを有する。すなわち、現在使用されているフィルターの種々の形態は、5kDa、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDaまたは50kDaを越える分子がフィルターを通り抜けることを制限する細孔サイズおよび配置を有する。フィルターは好ましくは、引き裂きを伴うことなく、200mmHg以上の圧力に耐えるように構成され、また、0.5cmの最小表面積を有する。だが、5cm〜10cmの範囲でのより大きい表面積が好ましい。そのような表面積は、フィルターを巻いて棒状物にすることによって、または、フィルターを三次元構造物に折り畳むことによって達成することができる。
【0119】
フィルターは、そのような目的のために好適な任意の材料から構成され得る。例には、金属、合金、ポリマー、セラミックスまたはそれらの組合せが含まれる。
【0120】
金属または合金のフィルターが、ステンレススチール、ニッケルチタン合金、コバルト−クロム合金、モリブデン合金、タングステン−レニウム合金またはそれらの任意の組合せから構成され得る。
【0121】
ポリマーのフィルターが、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリラート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリエーテル−ブロックコポリアミドポリマー、ポリウレタン(例えば、脂肪族ポリエーテルポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル、熱可塑性プラスチック、フッ素化エチレンプロピレン、セルロース、コラーゲン、シリコーンまたはそれらの任意の組合せから構成され得る。
【0122】
フィルターは、織物形態または不織形態のものが可能である。織物フィルターまたは不織フィルターを製造するための様々な方法がこの技術分野では広く知られている。
【0123】
デバイス本体の内部または表面に配置されるとき、フィルターは、平面形態、らせん形態、ひだ付き形態およびロッド形態などを含めて、ろ過するために好適な任意の形態を取ることができる。
【0124】
フィルターは、フィルターに保持された物質の接着性を低下させるために電気的および/または磁気的に帯電させることができ、あるいは、そうでない場合には、フィルターに保持された物質の接着性を低下させるために処理することができる。例えば、フィルターは、血漿タンパク質の接着性を最小限に抑えるために負に帯電させることができる。
【0125】
本発明のデバイスはさらに、デバイス本体を膀胱、泌尿生殖(GU)系、または、体内もしくは体外に配置されるリザーバー(例えば、回収バッグ)につなぐ流体導管を含む。導管は、約1mm〜約30mmの間(好ましくは、約5mm〜約10mmの間)に及ぶ直径を有するチューブが可能である。チューブは約5cm〜約40cmの長さを有することができ、または、好ましくは、約10cm〜約20cmの長さを有することができる。
【0126】
デバイス本体およびフィルターは、水および溶質(ならびにフィルターのカットオフサイズよりも小さい分子)がフィルターを通って血液循環から出て行き(フィルター透過液)、その一方で、老廃物物質がフィルターによって捕獲される(フィルター保持液)ように設計される。フィルターを通り抜ける水は、その後、デバイス本体を膀胱、泌尿生殖(GU)系またはリザーバーにつなぐ導管を介して体外に導かれる。骨髄を通る血液の流れはフィルターに関して40mmHg以上の圧力勾配を達成し得るという事実、および、フィルター領域が、特にロッド形態またはロール形態では実質的であり得るという事実を考えると、24時間の期間あたり少なくとも250ccの水を本発明のデバイスによって除くことができる。そのような量の水は、特にCHF患者については、有益な臨床効果のために十分であると考えられる。
【0127】
ろ過を強化するために、本発明のデバイスはまた、圧力増大機構(例えば、ポンプなど)を含むことができる。だが、本明細書中に記載されるように、骨髄の血圧が、圧力勾配増大機構を必要としない受動的ろ過のために十分である。そのような機構のさらなる記載が、図を参照して下記に提供される。
【0128】
フィルターの目詰まり(汚損)を軽減するために、本発明のデバイスは好ましくは、フィルターの表面を清浄化するための機構を含み、そのような機構は、ポンプ、スクレーパー/スクラバーおよび超音波放射体などを含むことができる。そのような機構のさらなる記載が、図を参照して下記に提供される。
【0129】
フィルター表面の堆積物は、堆積物が分解される骨髄血の中に戻すそのような機構により取り除くことができる。骨髄は、この廃物をろ過し、かつ、この廃物が血流に入ることを防止するので、そのような目的のために特に好適である。そのような物質が、内因性システム(例えば、マクロファージおよび酵素など)による分解および「浄化」を受ける骨髄において堆積する。
【0130】
本発明のデバイスはまた、デバイスの状態およびろ過速度を体外の制御装置に伝えるための無線連絡装置(これはデバイス本体の内部に置くことができる)を含むことができる。制御装置は、デバイスの運転、例えば、フィルターの汚損除去、(能動的な圧力勾配機構(例えば、ポンプなど)を有するデバイスの場合には)圧力勾配などを、デバイス本体の中または表面に配置されるセンサー、あるいは、導管の中に配置されるセンサーから伝えられるデータに従って制御するために使用することができる。無線連絡および操作を、当業者には広く知られているRFまたは磁気または超音波による連絡法を使用して達成することができる。
【0131】
本発明のデバイスは、機能に対する制御を何ら行うことなく操作することができ(ダムデバイス)、あるいは、閉ループデバイスまたは開ループデバイスとして操作することができる。閉ループ形態では、埋め込まれたデバイスは、血液から除かれる水および溶質の量に従って圧力勾配を調節するフィードバックループを組み込むことができる。除かれる水の量を、デバイス本体または導管の内部に設置されるセンサーを介して測定することができ、その後、フィルターの両端での圧力勾配の調節を、デバイス本体の内部に置かれて、圧力勾配生成機構(例えば、ポンプなど)を制御しているマイクロプロセッサーを介して制御することができる。開ループ形態では、流体の流れセンサーデータを体外の処理制御装置に送ることができる。処理装置は最初に、初期ろ過速度に基づいて医師によって較正することができる。処理装置は、必要とあれば、定期的に(例えば、年に1回または数回)再較正することができる。
【0132】
本発明のデバイスはまた、対象または処置医師にフィルターの目詰まりまたはフィルターの不良を警報するための表示装置機構を含むことができる。ポンプ機構を含むデバイス形態の場合には、フィルターの目詰まりを、ポンプ背圧における増大を介して検出することができる。そのような増大は体外の警報/制御装置に無線により伝えることができる。フィルター不良を、マーカー色素をフィルターに取り込むことによって検出することができる。フィルターの破損は尿中におけるそのような色素の出現をもたらすであろう。
【0133】
フィルター清浄化機構(例えば、本明細書中に記載されるフィルター清浄化機構など)の使用は長いデューティサイクルを保証するが、長期間(例えば、数ヶ月、数年)にわたる使用はフィルターの取り換えを余儀なくさせるかもしれない。そのような必要性に対処するために、本発明のデバイスは好ましくは、フィルターを、最小浸襲的な手順により交換することができる取り換え可能なカートリッジに有する。そのようなカートリッジ形態の記載が本明細書中下記に提供される。
【0134】
本発明のデバイスは、血漿のろ過で利用されるとき、いくつかの利点を提供する:
(i)骨への埋め込みは宿主の反応を最小限に抑え、デバイスの被包化が最小限に抑えられることを保証する;
(ii)骨への埋め込み/固定はデバイスの安定性を最大にし、かつ、デバイス不良を引き起こし得る移動を最小限に抑える;
(iii)デバイスのフィルターを、骨髄内を流れる血液と接触させて配置することにより、複雑な血液輸送導管の必要性がなくなる;
(iv)骨髄が、塞栓を防止する、循環系に対するフィルターとして作用する;
(v)骨髄は、ろ過を容易にし得る40mmHGの周囲圧力を有する(それは自然発生的A−Vシャントである);
(vi)骨髄における埋め込みは、血管対デバイスの剪断および引き裂きを最小限に抑えるのでより安全である;および
(vii)腸骨稜への配置は、膀胱内への排出を可能にし、したがって、患者が尿として排出することを可能にし得る;および
(viii)骨髄血は、フィルターから排除されるどのような物質(タンパク質、炭水化物など)も受け入れることができる。
【0135】
本発明のデバイスの具体的な実施形態が、添付されている図面を参照して下記において詳しく記載される。
【0136】
図1は、本発明の教示に従って組み立てられる埋め込み可能な透析デバイスの1つの実施形態を概略的に例示する。この形態では、フィルター15がケージ150の内部に置かれる。
【0137】
埋め込まれた透析デバイス(これはケージ150およびフィルター材カートリッジ15を含む)が、循環する血流17の中にはめ込まれ、したがって、循環する血流17にさらされる。前記のフィルター材カートリッジ15は、血流17との最大限の流体連絡表面積を可能にするために実質的に多孔性である。ろ過された水が、患者の髄腔と、膀胱またはGU系との間における流体連絡を提供するように患者の膀胱またはGU系106につながれる終端18を備える導管16の中に流れる。図2において、ケージ150が概略的に例示される。上記のケージ150は、循環する血漿からの溶質の流入および流出を可能にするためにすべての方向でほとんど開いている。ケージは好ましくは、堅い物質から作製され、例えば、外科用ステンレススチールなどから作製される。したがって、ケージは、フィルター材カートリッジ15を骨性組織の内部浸襲性成長から保護するために適合化される。
【0138】
次に、図3を参照すると、多くの可能な代替実施形態の1つとしての埋め込み可能な透析デバイス100が概略的に例示される。デバイス100は、骨髄の流れのもとで血液から過剰な水を選択的に取り出すために提供される埋め込み可能なフィルター材12を含む。埋め込み可能なフィルター材12は、埋め込まれたときには髄腔に向かって設置される境界面13を有する。埋め込み可能なフィルター材12は、循環する血漿から分離される過剰な水が集められるコレクションチャンバー14を覆う。集められた水は導管16の中に流れ、その後、患者の膀胱またはGU系の内部に置かれる末端18を通って流れる。
【0139】
次に、図4を参照すると、腸骨稜骨髄の内部に手術により埋め込まれるデバイス100が示される。最初に、腸骨稜領域102の皮質組織が除かれ、それにより、腸骨の髄腔を露出させる。その後、埋め込み可能なフィルター材12が腸骨内につながれ、その結果、フィルターの境界面領域13が、露出した腸骨髄腔に直接に隣接して、または、露出した腸骨髄腔の中に置かれるようにされる。埋め込み可能なフィルター材12は、この技術分野で知られている様々な骨埋め込み手法を使用して、例えば、限定されないが、好適なねじ、ステープル、アンカーおよび縫合糸を使用して、腸骨に取り付けることができる。最後に、導管の末端18が、患者の髄腔と、膀胱またはGU系との間における流体連絡を提供するように、膀胱またはGU系106につながれる。長骨(例えば、大腿骨、脛骨および胸骨など)の骨髄への埋め込みのために好適な本デバイスの様々な実施形態が提供されることが、本発明の中心的局面である。
【0140】
次に、図5a〜図5cを参照すると、本発明のデバイスの別の実施形態が示される。デバイス200はケージを含み、ケージに収容されるフィルター材カートリッジが、取り付け手段25により取り付けられて骨髄に埋め込まれる。デバイスの外側がチタンまたはプラスチック材から構成され、その内側がポリアクリルアミド(polyacrimide)中空繊維で満たされる。図5Cにおいて例示されるように、デバイスの一方の末端には、フィルター材カートリッジを収容する外被/ケージ10が髄腔の流れに向かって存在する。前述のフィルター材カートリッジは、限外ろ過を達成するために使用されるポリアクリルアミド中空繊維を含む(図5Cを参照のこと)。デバイスの反対側の末端には、その機能が、フィルター材構造物でろ過された過剰な流体を集めることであるチューブ導管/チューブに接続可能な出口排液管ポート30が存在する(図5Bを参照のこと)。
【0141】
次に、図6を参照すると、デバイスの好ましい実施形態が概略的に提示される。図6において、上記ケージ10の縦断面図、および、ケージに流体的に相互接続される管類の横断面図が示される。当該ケージは高さが約0.8cmであり、幅が約1.5cmである。ケージ10の内部に収容される中空繊維は出口がチューブ40にある。チューブ40は皮膚を突き抜けて、排液管に接続される。当該チューブ40は直径が約0.5cmであり、内側の内腔が約0.3cmである。図に示される大きさおよびそれらの間の関係のすべてが、本発明の実施形態の様々な局面を理解することを助けるための単なる例示にすぎない。その大きさおよびそれらの間の関係が異なる本発明の様々な実施形態が存在する。
【0142】
次に、図7を参照すると、フィルター材カートリッジの目詰まりを除くことを制御するポンピング運動が概略的に例示される。図に示しているように、能動的なフィルター材カートリッジを収容する(必要な場合には弾性の)チューブの内部におけるボーラス構造物の蠕動運動および/またはポンプ運動が、チューブを縮ませることによって流体および凝塊物を吸い込み、そして、チューブを可逆的に伸ばすことによってそれらを放出するポンピング運動を生じさせる。
【0143】
次に、図8を参照すると、マイクロプロペラシステムによって支援される自浄性の能動的フィルターが例示される。上記のマイクロプロペラシステム84は、交互する陰圧インパルスおよび陽圧インパルスをフィルターデバイス15の透過液用内腔40において誘導するために適合化される。陰圧インパルスおよび陽圧インパルスは、静水圧勾配をフィルターの中および外の両方において増大させるために、また、フィルター凝塊物を効率的に取り除くために適合化される。
【0144】
次に、図9Aを参照すると、ポンプ補助型自浄性フィルター材カートリッジ100aが示される。上記のフィルター材カートリッジ100aは、患者の循環する血液40とすべての方向で流体的に相互接続される膜フィルター50、排液管ポート30を通って患者の膀胱および/またはGU系に流体的に接続可能な透過液用内腔60を含む。患者の骨髄の血液に含有される過剰な水が、膜フィルター構造物50の外側に位置する保持液用内腔40を拡散して上記構造物の内側の透過液用内腔60に入る。フィルター材カートリッジ100aはさらに、能動的フィルターが清浄化されることを可能にするマイクロポンプ80、マイクロバルブ85、コントローラー70および電池75を含む。マイクロポンプ80は、正の静水インパルスおよび/または負の静水インパルスを透過液用内腔60において生じさせるために適合化される。マイクロバルブ85は、透過液用内腔60を密封するために適合化される。コントローラー70はマイクロポンプ80およびマイクロバルブ85を所定のプロトコルに従って作動させる。電池75は、上記のコントローラー70、マイクロポンプ80およびマイクロバルブ85に電圧を加える。負圧の静水インパルスを所定のプロトコルに従って膜フィルター構造物50に加えることにより、上記構造物50の汚れが除去され、フィルターの効力が増大させられる。
【0145】
次に、図9Bを参照すると、マイクロプロペラシステム84を含むポンプ補助型自浄性フィルター材カートリッジ100aが示される。上記のマイクロプロペラシステム84が、負圧インパルスおよび陽圧インパルスを透過液用内腔60において連続的に誘導し、それにより、静水圧勾配および流速を増大させ、その一方で、陽圧を使用して、フィルターを清浄化することができるために適合化される。
【0146】
次に、図10Aおよび図10Bを参照すると、スクラバー補助型の能動的フィルター材カートリッジが示される。上記のフィルター材カートリッジは、リング形状のスクラバー115と、膜フィルター構造物50からのフィルターの目詰まりを除くために使用されるマイクロ駆動部110とを含む。上記のマイクロ駆動部110は、フィルターの目詰まりを機械的に除くためにリング形状のスクラバー115を円筒状の膜フィルター構造物50に沿って移動させるために適合化される。所定のプロトコルに従って行われる、フィルターの目詰まりの機械的な除去は、膜フィルター構造物50の効力を増大させる。図10Aおよび図10Bは、リング形状のスクラバーがその位置を膜フィルター構造物50の一方の先端51からその別の先端52にまで変えることを示す。
【0147】
次に、図11Aおよび図11Bを参照すると、形状記憶効果に基づくスクラバーが示される。膜フィルター構造物50が形状記憶ワイヤ120によって取り巻かれる。作動化要因(例えば、加熱または電気電圧)を上記ワイヤ120に加えることにより、膜フィルター構造物50に沿ったその拡張が引き起こされ、その結果として、フィルターの目詰まりが膜フィルター構造物50の側面において剥がされる。図6Aにおいて認められるように、非拡張位置でのワイヤスクラバー120が、膜フィルター構造物50の一方の先端に、例えば、先端51に留められる。作動させられたとき、ワイヤスクラバー120が構造物50の別の先端にまで広げられる。
【0148】
次に、図12を参照すると、圧電補助型の能動的フィルター材カートリッジ100cが示される。上記のフィルター材カートリッジは膜フィルター構造物55を含み、所定のプロトコルに従ってコントローラー70によって電圧供給され得るリラクサー圧電性糸をさらに含む。圧電性糸は、その長さを、加えられた電気電圧に応答して変化させる。
【0149】
患者の骨髄の血漿に含有される過剰な水が、循環する血流40から、上記構造物の内側の透過液用内腔60を収容する膜フィルター構造物55の中に拡散する。破線および数字55aは、電気的に変形させられた膜フィルター構造物を示す。上記の圧電性糸は膜フィルター構造物55のフィルター目詰まりの振動除去のための十分に大きい周波数応答を有することが強調されなければならない。
【0150】
次に、図13を参照すると、スポンジ様構造物が、増大した静水圧勾配を生じさせるために、かつ、膜デバイスを自己清浄化するために提供される本発明の実施形態として例示される。スポンジ様構造物が、アセンブリー45の内部に手段35によって装着されるフィルター材25から構成される。清浄化活動が、ねじりまたは絞りまたは押しつぶしによる作用が果たされるようにアセンブリーの両側に置かれる通路55における手段35の動きによって補助される。上記作用が、動力供給される作動する膜(示されず)によって誘導または達成される。前述の実施形態は例示であること、および、本発明の多くの他の実施形態が想定されることが理解される。これは、本明細書中の記載は、当業者がそれらを実現するための十分な開示であるからである。
【0151】
次に、図14Aおよび図14Bを参照すると、埋め込み可能なフィルター材カートリッジ100aの横断面図および縦断面図がそれぞれ示される。本発明の1つの実施形態によれば、らせん形状のフィルターカートリッジ40が外被10に配置される。図14Aにおいて認められるように、膜層44は、患者の血漿の流れを受け入れる保持液用内腔42を閉じ込めている。患者の血漿に含有される過剰な水が、内腔42から、透過液用内腔を構成する空間50の中に拡散する。生体適合性の親水性ビーズ52が、膜42の両端での静水圧勾配を増大させるために、透過液用内腔50の内部に部分的に分散されるか、または、そうでない場合には部分的に固定化される。ろ過された過剰な水が排出管アセンブリーから排出管ポート30を通って排出される。上記ポート30は必要な場合には、さらなる過剰な水の排出のために患者の膀胱および/またはGU系につながれる。
【0152】
図14Bを参照すると、らせん形状のフィルターカートリッジ45の保持液用内腔42が、マニホールド46を介して、循環する血流と流体的に相互接続される。透過液用内腔50が排液管ポート30と流体的に相互接続される。上記で述べられたように、保持液用内腔42に収容される過剰な水がフィルター層を通って透過液用内腔50の中に拡散する。
【0153】
次に、図15Aおよび図15Bを参照すると、埋め込み可能なフィルター材カートリッジ100bの横断面図が示される。本発明の別の実施形態によれば、膜層44は、親水性ビーズ52を収容する内腔42を閉じ込めている。患者の血漿に含有される過剰な水が保持液用内腔50から透過液用内腔42の中に拡散する。生体適合性の親水性ビーズ52が、膜44の両端での静水圧勾配を増大させるために、透過液用内腔42の内部に部分的に分散されるか、または、そうでない場合には部分的に固定化される。
【0154】
図15Bを参照すると、らせん構造物40の内腔42が排出管ポート30と流体的につながれ、その一方で、内腔50が、最適な表面積露出を反映するために、循環する血流と流体的につながれる。ろ過された過剰な水が排液管ポート30を介して排出管アセンブリーから排出される。
【0155】
次に、図16を参照すると、埋め込み可能なフィルター材カートリッジ100cの横断面図が示される。本発明のさらなる実施形態によれば、細長い中空膜繊維の束を構成するフィルターカートリッジ60が外被10の中に配置される。フィルター材カートリッジ100aと類似して、フィルターカートリッジ60の保持液用内腔70が、循環する血流とその全表面の全体を通して流体的に相互接続される。透過液用内腔50が排液管ポート30(示されず)と流体的に相互接続される。前記の例の場合のように、患者の血漿に含有され、保持液用内腔70に収容される過剰な水が、フィルター層42を通って透過液用内腔50の中に拡散する。内腔50に配置される生体適合性の親水性ビーズ52により、拡散プロセスが、膜42の両端での増大する静水圧勾配に起因して強化される。
【0156】
次に、図17を参照すると、埋め込み可能なフィルター材カートリッジ100dの横断面図が示される。本発明のさらなる実施形態によれば、細長い中空膜繊維の束を構成するフィルターカートリッジ60が外被10の中に配置される。フィルターカートリッジ60の内腔70が排液管ポート30と流体的に相互接続される。内腔50が、循環する血流とその全表面の全体を通して流体的に相互接続される。上記で述べられたように、患者の血漿に含有され、保持液用内腔50に収容される過剰な水が、フィルター層42を通って透過液用内腔70の中に拡散する。内腔70に配置される生体適合性の親水性ビーズ52により、拡散プロセスが、膜42の両端での増大する静水圧勾配に起因して強化される。
【0157】
本明細書中上記で言及されるように、本発明のデバイスは、患者における末期腎疾患またはCHFに起因する流体過負荷の処置における使用のために非常に好適である。
【0158】
従って、本発明はまた、末期腎疾患またはCHFを処置する方法を提供する。本発明の方法は、本明細書中に開示されるデバイスを必要性のある患者の体内に埋め込むことを含む。
【0159】
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連するフィルターが開発されることが予想され、フィルターの用語の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
【0160】
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。
【0161】
本発明の追加の目的、利点、及び新規な特徴は限定されることを意図されない以下の実施例の精査により当業者に明らかになるだろう。さらに、特許請求の範囲で述べられかつ上述のように記載された本発明の様々な実施形態及び態様の各々は、以下の実施例において実質的な裏付けを見出せる。
【実施例】
【0162】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0163】
ウサギにおける本発明のデバイスの埋め込み
本発明のデバイスの1つの実施形態をノウサギの骨髄に埋め込んだ。図18は、ウサギ300の骨髄における好ましい透析デバイスのインサイチュ埋め込みを明らかにする。本実験で使用されたデバイスは、デバイス本体の出口ポートが皮質から突き出るように骨髄の内部に埋め込まれた。シリコーンチューブ50を出口ポートに一方の末端において取り付け、その一方で、シリコーンチューブの反対側の末端を、皮膚を介して体外に置いた。チューブ50をJackson―Pratt排出管60に取り付けた。
【0164】
デバイスを、体重が少なくとも4キログラムである2羽の大きい健康なウサギ(メスおよびオス)に埋め込んだ。ウサギを、ケタミン(30mg/kg)、カシロジン(kasilozin)(3mg/kg)およびアトロピン(1mg/kg)を使用して鎮静させ、ペントタール(30mg/kg)を使用して麻酔した。皮膚を切開して、大腿骨を露出させた。ドリルを使用して、フィルター挿入のために、皮質骨を貫く入口を作製し、空間を骨髄内に作製した。フィルターアセンブリー(図5に示される)をケージ末端とともに骨髄の中に挿入し、シリコーンチューブをオス型部分に取り付け、収集用デバイスの中に入れた。手順後の結果が図18に示される。
【0165】
ウサギには、抗凝固剤処置が、実験の全継続期間にわたってIVヘパリンを利用して行われた。加えて、IV液を、流体過負荷の一時的なレベルを誘導するために投与した。
【0166】
流体をろ過するデバイスの能力を評価するために、ウサギを手順を終えてから4時間後に検査した。評価には、デバイスを介して取り出される流体の量、感染の徴候、および、流体の生化学をモニターすることが含まれた。
【0167】
この予備実験で得られた結果は、埋め込み後4時間において、デバイスは、クレアチニン、ナトリウムおよびカリウムを含有する流体を骨髄血から取り出したことを示した。
【0168】
このことから、本発明の埋込型透析デバイスは、ポンプを必要とすることなく、過剰な流体を哺乳動物の骨髄循環血漿から除くことができることが明らかにされる。
【0169】
明確にするため別個の実施形態で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0170】
本発明はその特定の実施形態によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書中で言及した刊行物、特許および特許願はすべて、個々の刊行物、特許または特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の血液をろ過するためのデバイスであって、
(a)対象の骨の内部における埋め込みのために構成されるデバイス本体と、
(b)デバイス本体の表面または内部に配置され、前記骨の骨髄を通って流れる血液にさらされるフィルターであって、前記骨髄を通って流れる血液をろ過することができるフィルターと
を含むデバイス。
【請求項2】
前記フィルターは、所定のサイズを超える分子に対して不透過性であり、水および前記血液の溶質に対しては透過性である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイス本体を、膀胱、泌尿生殖(GU)系、またはリザーバーにつなぐ流体導管
をさらに含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記導管は、前記フィルターを通り抜けた前記水および溶質を、前記膀胱、前記泌尿生殖系、または前記リザーバーに輸送する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記物質は生体分子であり、前記フィルターは、5kDa〜50kDaより大きい生体分子を保持する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイス本体上に配置されたケージをさらに含み、前記ケージは、前記デバイス本体を骨の過剰成長から保護するためのものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ケージは、前記デバイス本体の骨統合を促進するために適合化されるチタンおよび/またはヒドロキシアパタイトによって被覆される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記フィルターの両端での血液圧力勾配を増大するための機構をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記機構はポンプである、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記フィルターの目詰まりを最小限に抑えるための機構をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイス本体またはフィルター上に負電荷を作るための機構をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイス本体内に配置される親水性材料をさらに含み、前記親水性材料は、前記フィルターの両端での圧力勾配を増大させるためのものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記親水性材料は、ビーズとして成形される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
対象の血液をろ過する方法であって、
(a)フィルターを、対象の骨髄を通って流れる血液と流体連絡するように置くことと、
(b)前記フィルター上で前記血液から所定のサイズを超える分子を保持し、前記血液のろ液を膀胱、泌尿生殖系、またはリザーバーに送ること
を含む方法。
【請求項15】
前記ろ液は水および溶質を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(a)は、前記フィルターを含むデバイス本体を対象の骨に埋め込むことによって達成される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記血液の前記ろ液を前記膀胱、前記泌尿生殖系、または前記リザーバーに送ることは、前記フィルターと前記膀胱、前記泌尿生殖系、または前記リザーバーの間に置かれる流体導管によって行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記リザーバーは対象の体外に配置されるバッグである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記骨髄は腸骨骨髄である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
対象は腎不全を患い、デバイスは腎臓機能を強化または代替するように設計される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
対象はうっ血性心不全を患う、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5A−5C】
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【図6】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A−10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2012−507384(P2012−507384A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535205(P2011−535205)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/IL2009/001031
【国際公開番号】WO2010/052705
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(511110511)クリル メディカル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】