説明

血液バッグ

【課題】作業効率が向上するとともに、無駄にごみを出さないラジオICメモリー(例えばEPROMやEEPROMなどの半導体メモリー)またはフラッシュメモリー等の記憶素子を装着した血液バッグを提供すること。
【解決手段】ラジオICメモリーまたはフラッシュメモリーまたはこれらと同等の機能を有する記憶素子からなる情報記憶媒体(91)を装着した血液バッグ(70)。前記情報記憶媒体(91)としての前記ラジオICメモリーは、EPROMまたはEEPROMからなる半導体メモリーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の血液バッグは、RFID(Radio Frequency
Identification)非接触型(個人)認証システムに利用可能な血液バッグであって、電気的接触を行わずに、半導体メモリーやフラッシュメモリー等の記憶素子に対して無線による情報の書き込み/読み取りを行うことのできる血液バッグである。
本発明の血液バッグは、例えば以下の個人識別装置とともに使用される。
個人識別装置はコンピュータが個人の生体組織(またはその一部)をその個人の特徴として捉え、個人の氏名、年齢などの属性と共にした情報を照合対象物(例えば本発明の血液バッグやカルテなど)に貼付する情報記憶媒体として、電気的接触部が無く、前記情報の書き込み/読み取りを無線にて行うものである。
さらに駆動電力も情報を書き込み/読み取りを行う機器(例えばリーダ/ライタ)により書き込み/読み取り作業時に例えば電磁誘導等によって非接触で供給を行うことができるラジオICメモリー(例えばEPROMやEEPROMなどの半導体メモリー)やフラッシュメモリー等の記憶素子を採用するものである。なお本発明は半導体メモリーやフラッシュメモリー等の記憶素子と同等の機能を有する記憶素子であれば何でも利用することができる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2に記載の個人認証装置では、照合対象物(血液バッグ)に個人属性及び指紋情報を含む個人情報を添付する手段として二次元バーコードを使用している。二次元バーコードは通常(一次元)のバーコードよりも情報の積載量に優れ、かつ印刷されるサイズも小さくてすむという利点がある。
しかし、印刷するたびにシールラベルを消費し、裏紙などのごみが残る問題がある。また、印刷するシールラベルは二次元バーコードの印刷状態が水滴や熱などによって劣化しないように、照合対象物(血液バッグ)が保存される環境を考慮し、耐水性、耐熱性に優れる素材を使用したり、印刷を行いラベルを貼ったその上から更にPE(ポリエチレン)などの透明なフィルムを防適材として貼る必要があった。そこで本発明者らは以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果次の発明に到達した。
【0003】
【特許文献1】特開平8−71148号公報(特許請求の範囲、図3)
【特許文献2】特開平9−70398号公報([0007]、[0009]、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、従来の二次元バーコードは、
(1)印刷するたびにシールラベルを消費し、裏紙などのごみが残る問題がある。
(2)二次元バーコードの印刷状態が劣化しないように、耐水性、耐熱性に優れる素材を使用したり、印刷を行いラベルを貼ったその上から更にPE(ポリエチレン)などの透明なフィルムを防適材として貼る必要がある等である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明は、ラジオICメモリーまたはフラッシュメモリーまたはこれらと同等の機能を有する記憶素子からなる情報記憶媒体(91)を装着した血液バッグ(70)を提供する。
[2]本発明は、前記情報記憶媒体(91)としての前記ラジオICメモリーは、EPROMまたはEEPROMからなる半導体メモリーである[1]に記載の血液バッグ(70)を提供する。
[3]本発明は、前記情報記憶媒体(91)を封入したシールラベル(92)を貼付した[1]または[2]に記載の血液バッグ(70)を提供する。
【発明の効果】
【0006】
(1)ラジオICメモリー(例えばEPROMやEEPROMなどの半導体メモリー)またはフラッシュメモリー等の記憶素子は、情報の入出力が二次元バーコードラベルを用いたシステムよりも情報の書き込み/読み取り時間が短く、操作方法も簡単であるため、作業効率が向上する。
(2)ラジオICメモリー(例えばEPROMやEEPROMなどの半導体メモリー)またはフラッシュメモリー等の記憶素子は、情報の書き換えを行うことができるため、場合によってはリユースすることも可能である。したがって無駄にごみを出さなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[血液バッグ70]
本発明の血液バッグ70は、ラジオICメモリーまたはフラッシュメモリーまたはこれらと同等の機能を有する記憶素子からなる情報記憶媒体91を装着したものである。
情報記憶媒体91としてのラジオICメモリーは、例えばEPROMまたはEEPROM等からなる半導体メモリーが使用される。
これらの情報記憶媒体91は、例えばPET(ポリエステル)等のプラスチック素材からなるシールラベル等に封入され、血液バッグ70に貼付される。
【0008】
[本発明の血液バッグとともに使用する個人識別装置]
個人識別装置は、個人の指紋の読み取り手段Aと、前記指紋情報及び/又は個人情報等の属性からなる情報の入力手段Bと、情報記憶媒体に前記情報を書き込む手段Cと、情報記憶媒体或いは情報記憶媒体を貼り付けた照合対象物そのものに個人情報を文字及び/又は印(例えば顔写真など形状や色を目で見分けることができる情報等)で印字する手段Dと、照合対象物に貼り付けた情報記憶媒体の前記情報を読み取る手段Eと、患者個人の指紋と照合対象物に貼り付けた情報記憶媒体の前記情報を照合する手段Fと、前記情報の照合結果の印字手段Gと、前記手段AからGの制御手段Hから構成される。さらに前記手段AからHの作業記録管理手段Iを有する。
【0009】
前記情報の入力手段Bと前記手段AからFの制御手段Hとは装置本体11であり、個人の指紋の読み取り手段A及び、該情報と照合対象物に貼り付けた情報記憶媒体の指紋情報を照合する手段Fが指紋照合ユニット21であり、前記情報を情報記憶媒体に書き込む手段C及び、情報記憶媒体から前記情報を読み取る手段Eがリーダ/ライタ81であり、前記情報を印字する手段D及び、前記指紋の照合結果の印字手段Gがマーカー41である。
【0010】
図1は、個人識別装置1の一例を示す概略図である。個人識別装置1は、装置本体11と指紋照合ユニット21と、前記装置本体11に接続されるマーカー41と、前記装置本体11と作業管理用データベース51を接続する本体接続器具31と、リーダ/ライタ81と、前記作業管理用データベース51とから構成される。前記装置本体11は、制御部12、表示部13、記憶部14、バッテリー(二次電池)15、通信用部材16を内蔵する。前記表示部13は、例えば作業者の指ないし棒状の治具(スタイラスペン等)による命令の入力を可能とした液晶タッチパネルを採用し、該液晶画面上に例えば指紋情報の読み取り、情報記憶媒体91への書き込み、情報の印字、情報記憶媒体91の読み取り、読み取った指紋情報同士の照合、および結果の印字などの命令を記したボタンまたはツールバーや、装置および作業者の入力ミスによるエラー状態を表示し、指ないし棒状の治具を使用して、作業者の命令および確認を受け取ることができる。また音を発生させるブザーを内蔵して、作業者に対して作業の完了を通知したり、警告音と共に装置によるエラー或いは作業者のミスを指摘させることができる。前記記憶部14は、本体11内で動作するシステム(装置本体11と、指紋照合ユニット21と、マーカー41と、リーダ/ライタ81の動作、を制御するアプリケーションソフト)を記憶させている。
【0011】
また、システムが行った作業全て(入力ミスなども含む)を履歴情報(作業記録)として記憶させておく。記憶部14は例えばフラッシュROM等の不揮発メモリーを採用することができる。前記バッテリー15により、本体装置11を無線で作動させることができ、本体装置11を小型化し携帯可能にすることができる。バッテリー15として、例えばリチウムイオン充電式等の二次電池を採用することができる。また本体装置11に着脱可能でかつ交換可能な電池も採用することができる。後述するバッテリー25、45、85もバッテリー15と同様のバッテリーを採用することができる。
前記通信用部材16として例えば赤外線通信部材(IrDA)を内蔵することにより無線でマーカー41との通信や別の装置本体11および作業管理データベース51との通信を行うことができる。また通常のケーブルCや本体接続器具31を採用することにより有線で通信を行うことができる。後述する通信用部材46、56、86も前記通信用部材16と同様の通信用部材を採用することができる。また通信コネクタ17を配置することにより本体接続器具31の通信コネクタ37と接続することができる。
【0012】
前記指紋照合ユニット21は、装置本体11からの命令によって動作する。指紋登録時には個人の指紋の読み取りを行い、読み取った指紋情報を暗号化し、装置本体11に送信する。照合時には装置本体11が読み取った情報記憶媒体91に保存されていた個人の指紋情報を装置本体11から受け取り、暗号を解読し、新たに読み取った個人の指紋情報と照合させる。その後照合した結果を装置本体11に返信する。バッテリー25(二次電池)を内蔵してこれにより作動し、小型で携行することができる。また通信コネクタ27を配置することにより本体11とリーダ/ライタ81の通信コネクタ17、87と接続することができる。
前記本体接続器具31は、前記装置本体11をしっかりと収容できる形状に形成されている。(例えば装置本体11の収納溝を有しており、該収納溝に装置本体11の通信コネクタ17を接続する通信コネクタ37を配置している。)またケーブルCで接続された作業管理用データベース51へ本体11に記憶されている作業記録を送ったり(情報通信)、本体11のバッテリー15(二次電池)に充電を行うことができる。
【0013】
前記マーカー41は、前記装置本体11と専用のケーブルC或いは本体接続器具31を使用した有線接続、または内蔵した通信用部材46により光通信、電波通信などの無線によって情報を受け取り、個人情報、作業日時等の属性となる情報を文字及び/又は印(例えば顔写真など形状や色を目で見分けることができる情報等)を照合対象物に貼り付けた情報記憶媒体91或いは照合対象物そのものに印字したり、照合を行った結果およびその作業日時を記した文字等の印字を行う。またバッテリー45(二次電池)を内蔵してこれにより作動し、小型で携行することができる。例えばインクジェットプリンタ等のマーキング機器が使用される。またAC電源により動作する機種も使用することができる。
前記リーダ/ライタ81は、通信用部材86と、通信コネクタ87とバッテリー85(二次電池)を有し、通信コネクタ87により装置本体11から指紋情報及び個人情報などを受け取り、通信用部材86により情報記憶媒体91に対して前記情報の書き込みを行うことができる。また、通信用部材86により、情報記憶媒体91から前記情報を読み取り、通信コネクタ87により本体11に読み取った前記情報を送ることができる。バッテリー85(二次電池)により作動し、小型で携行することができる。
【0014】
前記作業管理用データベース51は、例えば汎用のパソコンが使用され、ハードディスクなどの情報記憶媒体などにより、装置本体11内蔵の記憶部14に記憶されている装置本体11が行った全ての作業記録を、本体接続器具31や内蔵した通信用部材56により無線通信を通して受け取り管理する。また患者データの入力装置63(例えば、キーボード、磁気カードリーダ、コードスキャナ、ICリーダ等)を接続して、患者属性情報を入力する。また患者ファイルの作成と作業者の管理も行うことができる。
またラベルプリンタ61を接続して、作業者ラベル(名前、登録番号)を印刷することができる。
また複数の装置本体11を用いている場合は、装置本体11に番号を割り付け、どの装置本体11で行った作業かを確認できるようにする。前記データベースではその記録を参照し、プリンタ62では、情報記憶媒体91に含まれていた一部の患者情報及び作業日時などの属性情報、また文字により記した書式、装置本体11の作業履歴とその詳細な内容を印刷することもできる。また輸血管理システム施設内ネットワーク64に接続して、関係者による閲覧も可能である。
【0015】
以下に本発明の血液バッグと個人識別装置の使用方法の一例について説明する。
使用例1:個人情報の登録方法(図2参照)
(1)指紋照合ユニット21によって個人の指紋を読み取る。
(2)読み取った指紋情報71を装置本体11に送る。
(3)個人の属性(識別番号、氏名など)の情報と、登録を行った指の情報(例えば『右手人差し指』という値)を装置本体11に入力し、指紋情報71と共にリーダ/ライタ81を使用して、シールラベル92に封入された情報記憶媒体91に書き込む。
(4)情報記憶媒体91を封入したシールラベル92を血液バッグ70に貼付する。
(5)同時に、情報記憶媒体91を封入したシールラベル92に、作業を行った日時や登録を行った指の情報や個人情報を示す文字或いはしるしをマーカー41によって印字する。
【0016】
使用例2:照合方法(図3参照)
(1)一つ或いは複数の血液バッグ70に貼付された情報記憶媒体91(ラジオICメモリーまたはフラッシュメモリー)からリーダ/ライタ81を使用して情報を読み取る。
(2)読み取られた情報から指紋情報71を採取し、指紋照合ユニット21に転送する。また、複数の情報記憶媒体91から情報を読み出した場合、それらの情報内容が全て同一個人のものであることを装置本体11内で確認するため照合を行う。結果、全ての情報内容が一致していることが確認されると、読み出された情報の中から一つ選抜し、指紋情報71を採取して指紋照合ユニット21に転送する。
(3)読み出された情報から、個人情報及を表示部13に表示する。また、登録を行った指の情報も同時に表示することで、照合に使用する指を指示する。
(4)指紋照合ユニット21に個人の指紋を入力し、装置本体11より転送された指紋情報71と照合する。
(5)照合結果は、装置本体11に転送され、表示部13にその結果およびその時点での日時を表示する。また一致と不一致またはエラーといった結果の違いは装置本体11に内蔵されているブザーが発する音で聞き分けることもできる。
(6)照合結果は、その作業を行った時点の日時と共にマーカー41によって印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の血液バッグとともに使用する個人識別装置の概略図
【図2】本発明の血液バッグとともに使用する個人識別装置の使用例を示す概略図
【図3】本発明の血液バッグとともに使用する個人識別装置の使用例を示す概略図
【符号の説明】
【0018】
1 個人識別装置
11 本体
12 コードスキャナ
13 表示部
14 記憶部
15 バッテリー
16 通信用部材
17 通信コネクタ
21 指紋照合ユニット
25 バッテリー
27 通信コネクタ
31 本体接続器具
37 通信コネクタ
41 マーカー
45 バッテリー
46 通信用部材
51 作業管理用データベース
56 通信用部材
61 ラベルプリンタ
62 プリンタ
63 入力装置
64 ネットワーク
70 血液バッグ
71 個人の指紋
73 照合結果ラベル
74 作業者ラベル
C ケーブル
81 リーダ/ライタ
85 バッテリー
86 通信用部材
87 通信コネクタ
91 情報記憶媒体
92 シールラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジオICメモリーまたはフラッシュメモリーまたはこれらと同等の機能を有する記憶素子からなる情報記憶媒体(91)を装着したことを特徴とする血液バッグ(70)。
【請求項2】
前記情報記憶媒体(91)としての前記ラジオICメモリーは、EPROMまたはEEPROMからなる半導体メモリーであることを特徴とする請求項1に記載の血液バッグ(70)。
【請求項3】
前記情報記憶媒体(91)を封入したシールラベル(92)を貼付したことを特徴とする請求項1または請求項2に血液バッグ(70)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−55181(P2008−55181A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239037(P2007−239037)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【分割の表示】特願2001−247624(P2001−247624)の分割
【原出願日】平成13年8月17日(2001.8.17)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【出願人】(501267106)有限会社エッチ・アンド・ティー (1)
【Fターム(参考)】