説明

血液分析器におけるパイプラインアセンブリ

血液分析器における使用のためのパイプラインアセンブリ、並行パイプライン機能を果たすための方法、および血液分析器を通して複数の調製済み血液サンプルを処理するための方法。提示されるパイプラインアセンブリは、概して、第1のサンプル調製チャンバと、第1のサンプル調製チャンバと流体連通している第1の待機チャンバと、第1のサンプル調製チャンバと第1の待機チャンバとの間にある第1の制御弁とを含む。パイプラインアセンブリはさらに、第2のサンプル調製チャンバと、第2のサンプル調製チャンバと流体連通している第2の待機チャンバと、第2のサンプル調製チャンバと第2の待機チャンバとの間にある第2の制御弁とを含む。分析チャンバが、第1および第2の待機チャンバから第1および第2の調製済み血液サンプルを受容するように提供される。提示された方法は、血液分析器を通した調製済み血液サンプルの反復処理のためのステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液分析器における並列パイプライン機能を果たすためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、血液分析器用のパイプラインアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
異なる病気および病状を診断する際、血液中の様々の構成要素を識別および列挙し、それらの構成要素の特定のパラメータまたは特性を決定するために患者の末梢血を分析することは一般的である。種々の測定法は、単独または組み合わせて、全血サンプル(WBS)における様々の構成要素を識別し、列挙するために、血液分析器において実行されている。血液検査として、例えば、有核赤血球(NRBC)検査、差分検査、または網状赤血球検査を挙げることができる。例えば、特許文献1(「‘652特許」)は、1つのそのような血液分析器を開示する。‘652特許の血液分析器は、フローセル等の、分析チャンバを通過する調製済み血液サンプルのDCインピーダンス、RF伝導性、光散乱、および蛍光特性を同時に測定するためのトランスデューサを含む。付加的システムは、特許文献2〜6において説明される。
【0003】
典型的な血液分析器は、機械的に駆動されるマルチポート分配弁を使用して調製済みサンプルを分配する。マルチポート分配弁は、共通出力ポートおよび2つ以上の入力ポートを有する。マルチポート分配弁は、典型的に、ポート接続を画定するために正確に機械加工された2つのセラミックディスクから成る。セラミックディスクのうちの1つは、他のディスクが、出力ポートをユーザ定義入力ポートに整合させるために、ステッピングモータを使用して回転する間に定位置に保たれる。入力および出力ポートは、適切なサンプルフローを確実にするために、正確に整合されなければならない。センサは、ポート整合を確実にするために、ディスク回転を把握するために使用されなければならない。ポート不整合は、キャリーオーバ、圧力上昇によって生じる管類の外れ、血球損傷、ならびに非一貫的および/または非効率的タイミングを含む、一連のシステム問題を引き起こし得る。マルチポート分配弁の別の欠点は、それらが、システムが清掃され得る前に、最後まで処理される分析サイクルを典型的に必要とすることである。すなわち、分析および清掃の工程は、順次に行われなければならない。
【0004】
器具のスループットおよび効率性を改善することは、重要な臨床的目的である。並行パイプライン機能を行い、マルチポート分配弁の制限を回避するためのパイプラインアセンブリが、本明細書に提示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,228,652号明細書
【特許文献2】米国特許第5,125,737号明細書
【特許文献3】米国特許第5,616,501号明細書
【特許文献4】米国特許第6,232,125号明細書
【特許文献5】米国特許第7,008,792号明細書
【特許文献6】米国特許第7,208,319号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
血液分析器における使用のためのパイプラインアセンブリの様々の実施形態が、本明細書に提供される。また、並行パイプライン機能を果たすための方法、および血液分析器を通して複数の調製済み血液サンプルを処理するための方法の様々の実施形態も、本明細書に提供される。本明細書に提示されたパイプラインアセンブリは、概して、第1のサンプル調製チャンバ、第1のサンプル調製チャンバと流体連通している第1の待機チャンバ、および第1のサンプル調製チャンバと第1の待機チャンバとの間にある第1の制御弁を含む。第1の制御弁は、第1のサンプル調製チャンバと第1の待機チャンバとの間の流体の流量を制御するために適応される。さらに、パイプラインアセンブリは、概して、第2のサンプル調製チャンバ、第2のサンプル調製チャンバと流体連通している第2の待機チャンバ、および第2のサンプル調製チャンバと第2の待機チャンバとの間にある第2の制御弁を含む。第2の制御弁は、第2のサンプル調製チャンバと第2の待機チャンバとの間の流体の流量を制御するために適応される。分析チャンバは、調製済み血液サンプルを受容ために、第1の待機チャンバおよび第2の待機チャンバと流体連通して提供される。提示された方法は、血液分析器を通して複数の調製済み血液サンプルの反復処理のための提示されたパイプラインアセンブリを使用するためのステップを含む。
【0007】
本明細書に組み込まれている付随の図面は、明細書の一部を形成し、血液分析器用のパイプラインアセンブリの実施形態を例証する。説明と併せて、図はさらに、本明細書に説明されるパイプラインアセンブリおよび方法の原理を説明し、当業者がそれを作製および使用可能にする役割を果たす。図面中、同一参照番号は、同一または機能的に類似要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本明細書に提示される一実施形態による、パイプラインアセンブリの概略図である。
【図2】図2は、本明細書に提示される代替実施形態による、パイプラインアセンブリの概略図である。
【図3】図3は、本明細書に提示される一方法を例証するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
並行パイプライン機能を果たすためのパイプラインアセンブリおよび方法の以下の詳述は、例示的実施形態を例証する付随の図面を参照する。他の実施形態も、可能である。修正も、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に説明される実施形態に行うことが可能である。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定として意味されるものではない。さらに、当業者は、後述のシステムおよび方法が、多くの異なる実施形態のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア内に実装可能であることを理解するであろう。説明されるいずれの実際のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアも、限定として意味されるものではない。提示されるシステムおよび方法の動作ならびに挙動は、実施形態の修正および変形例が、提示される詳細のレベルを前提として可能であるこという理解をもって説明される。例えば、提供される説明は、パイプラインアセンブリを血液分析器内に組み込むが、本明細書に提示されるパイプラインアセンブリおよび方法は、血液分析器の環境に限定されるべきではない。当業者は、提示されたパイプラインアセンブリおよび方法が、例えば、フローサイトメトリシステム、細胞選別システム、DNA分析システム等の代替の環境に、どのように組み込まれるかについて、容易に理解するであろう。
【0010】
図1は、パイプラインアセンブリ100の概略図である。提示される実施形態では、パイプラインアセンブリ100は、次の4つの主なサブシステムを含む。吸引アセンブリ110、調製アセンブリ120、多岐管130、および分析チャンバ150。パイプラインアセンブリ100は、4つの主なサブシステムのみで示されるが、当業者は、完全な血液分析器が、例えば、制御アセンブリ、清掃アセンブリ、データ処理アセンブリ、表示アセンブリ等の多くの他のサブシステムを含むことを認識するであろう。
【0011】
吸引アセンブリ110は、1つ以上の血液サンプル管114を保持するトレイ112を含む。吸引針116は、サンプル管114のうちの1つ以上から全血サンプル118を吸引するために使用される。(当業者によって理解されるように、吸引針116は、全血サンプル118の全体か、または一部のみを吸引するために使用可能である。)そのようなものとして、吸引針116は、血液サンプルを受容するための手段として機能する。血液サンプルを受容するための付加的手段は、吸引針116と同等の構造を含むであろう。示される実施形態では、吸引アセンブリ110は、システム制御プロセッサCに連結され、それによって制御される。動作時、点線で示されるように、吸引針116は、1つ以上のサンプル管114から全血サンプル118を抜き、全血サンプル118を1つ以上のサンプル調製アセンブリ120に送達する。例えば、一実施形態では、吸引針116は、トラック119に沿って進み、第1の全血サンプル118を第1のサンプル調製チャンバ121Aに送達する。その後、吸引針116は、トラック119に沿ってトレイ112に戻り、第2の全血サンプル118を吸入し、その後、第2の全血サンプル118を第2のサンプル調製チャンバ121Bに送達する。吸引針116は、単一の全血サンプルの一部を複数のサンプル調製チャンバに送達するためにも使用可能である。代替実施形態では、複数の吸引針は、複数の全血サンプルを複数のサンプル調製チャンバに送達するために使用されてもよい。そのようなものとして、吸引アセンブリ110は、全血サンプルを複数のサンプル調製チャンバに分離するための手段として機能する。全血サンプルを複数のサンプル調製チャンバに分離するための付加的手段は、吸引アセンブリ110と同等の構造を含むであろう。
【0012】
示される実施形態では、各サンプル調製アセンブリ120は、サンプル調製チャンバ121と、少なくとも1つの試薬源125と、少なくとも1つのポンプ126とを含む。ポンプ126は、システム制御プロセッサCによって制御される。動作時、システム制御プロセッサCは、試薬および/または希釈剤の適切な量をサンプル調製チャンバ121に送達するために、ポンプ126を作動させる。サンプル調製チャンバ121内で、血液サンプルは、後の分析のために調製される。ポンプ126は、清浄液を送達し、それによってサンプル調製チャンバ121を清掃するために、清浄液(図示せず)の源に連結可能でもある。本明細書で使用されるように、「清掃」という動詞、およびそのいかなる活用は、例えば、水、希釈剤および/または清浄溶液等の任意の非サンプル流体で濯ぐ、または洗浄することを意味するように意図される。「希釈剤」、「清浄溶液」、および「清浄液」という用語は、清掃という文脈において使用される場合、同じ意味で使用される。
【0013】
本発明によるパイプラインアセンブリは、2つのサンプル調製アセンブリ20A、120Bに限定されないことが理解される。例えば、図2は、サンプル調製アセンブリ220A、220B、および220Cでパイプラインアセンブリを示す。他の実施形態では、任意の数のサンプル調製アセンブリが、使用可能である。サンプル調製アセンブリ120は、調製済み血液サンプルを調製するための手段として機能する。調製済み血液サンプルを調製するための付加的手段は、サンプル調製アセンブリ120と同等の構造を含むであろう。以下でさらに説明されるように、調製済み血液サンプルは、最終的に、血液分析器の分析チャンバ150に移送される。
【0014】
各サンプル調製アセンブリ120は、廃棄物回路128とも流体連通している。廃棄物回路128は、過剰サンプル流体、希釈剤、清浄液、等を含む、過剰流体の源および汚水だめの両方として使用可能であるか、流体を放出するための受動容器と同じくらい簡素であり得るか、または流体の能動的処置のための真空および/または圧力制御を含むことができる。廃棄物回路128は、適切に配置された制御弁を介してパイプラインアセンブリから遮断されることもできる。さらに、廃棄物回路128は、血液分析器の内部または外部であり得る。廃棄物回路128、およびそれと同等の構造は、パイプラインアセンブリの中の過剰流体を処分するための手段として機能する。
【0015】
血液サンプルがサンプル調製チャンバ121において調製された後、調製済み血液サンプルは、流体線FLを介して多岐管130に移送される。(当業者は、調製済み血液サンプルのすべてを移送すること、または調製済み血液サンプルの一部を移送することが、提示された発明との関連において同等であることを理解するであろう。当業者は、調製済み血液サンプルの移送が、流体線FLと同等の構造を介して行われ得ることを理解するであろう。)多岐管130は、第1のサンプル調製チャンバ121Aと第1の待機チャンバ141との間に流体連通している、第1の制御弁131を含む。(本明細書で使用されるように、「間」という言葉は、機能的文脈において意味し、必ずしも、制御弁の物理的位置の文脈において意味するわけではない。それでも、「間」という言葉は、物理的位置という意味を含むが、構成要素は、2つのそれぞれの構成要素の中間に物理的に位置し得る。)多岐管130は、第2のサンプル調製チャンバ121Bと第2の待機チャンバ142との間に流体連通している、第2の制御弁132も含む。制御弁131、132は、各サンプル調製チャンバ121A、121Bとそれぞれの待機チャンバ141、142との間の流体の流量を開閉する。制御弁131、132の制御便の開閉のタイミングは、システム制御プロセッサCによって制御される。提示される構成は、以下でさらに説明されるパイプライン機能を可能にする。そのようなものとして、制御弁131、132の機能的配置は、並行パイプライン機能を果たすための手段として機能する。並行パイプライン機能を果たすための付加的手段は、制御弁131、132と同様の構造を含む。一実施形態では、制御弁は、電磁弁である。
【0016】
各待機チャンバ141、142は、それぞれの待機チャンバ141、142に出入りする流体の流量を能動的に処置するために、通気、真空または圧力を提供する、1つ以上の待機チャンバポート145を含む。待機チャンバポート145は、油圧(例えば、液体)駆動式または空気圧(例えば、空気)駆動式であり得る。待機チャンバポート145は、待機チャンバを清掃するために、希釈剤をそれぞれの待機チャンバ141、142に送達するために使用可能でもある。
【0017】
システム制御プロセッサCは、待機チャンバポート145の通気、真空、および/または圧力機能を制御する。一動作例では、第1の制御弁131は、開いた状態で設定可能であり、第1の待機チャンバ141における待機チャンバポート145のうちの1つ以上を通過して適応可能である。そのような真空は、調製済み血液サンプルを、第1のサンプル調製チャンバ121から第1の待機チャンバ141へ引き抜くであろう。同様に、第2の制御弁132が開いた状態で設定される場合、真空は、調製済み血液サンプルを、第2のサンプル調製チャンバ121Bから第2の待機チャンバ142へ引き抜くために、第2の待機チャンバ142における待機チャンバポート145のうちの1つ以上を通過して適用可能である。そのようなものとして、待機チャンバポート145および適切な通気、真空、および/または圧力源は、サンプル調製チャンバのうちの1つから待機チャンバのうちの1つへの調製済み血液サンプルの流量を方向付けるための手段として機能する。サンプル調製チャンバのうちの1つから待機チャンバのうちの1つへの調製済み血液サンプルの流量を方向付けるための付加的手段は、待機チャンバポート145および適切な通気、真空、および/または圧力源と同等の構造を含む。例えば、代替実施形態では、適切に配置された圧力源は、サンプル調製チャンバのうちの1つから待機チャンバのうちの1つへの調製済み血液サンプルの一定分量の流量を方向付けるために使用可能である。さらに、さらに別の代替実施形態では、待機チャンバポート145は、それぞれの待機チャンバへの流体の流量を準備するために使用可能であり、それぞれの待機チャンバ内で調製済み血液サンプルの正確な体積を作製する。本明細書で使用されるように、調製済み血液サンプルを、サンプル調製チャンバから待機チャンバに移送するか、または引き抜くことは、調製済み血液サンプルの特定の量に限定されるべきではない。すなわち、サンプル調製チャンバにおける調製済み血液サンプルのすべて、または一部のみが、待機チャンバに移送可能か、または引き抜かれることができる。
【0018】
多岐管130における待機チャンバ141、142の使用は、分析の前の調製済み血液サンプルの一時的配置のための場所を提供する。その間、それぞれのサンプル調製チャンバ121A、121Bは、後続の血液サンプルのために清掃され、用意され得る。例えば、調製済み血液サンプルが、サンプル調製チャンバ121A、121Bに移送されると、それぞれの制御弁131、132は、閉じることができ、サンプル調製チャンバは、水、希釈剤、および/または清浄液で濯ぐことができる。そのようなものとして、サンプル調製チャンバの清掃は、調製済み血液サンプルの分析と同時に(例えば、並列して)行われ得る。典型的に、以前の器具は、処理、分析、および清掃のステップを順次に行う必要があった。
【0019】
待機チャンバ141、142は、廃棄物回路128にも連結される。待機チャンバポート145からの圧力は、過剰サンプル流体または清浄液等の過剰流体を、廃棄物回路128に送達可能である。待機チャンバポート145からの真空も、清浄液を待機チャンバに引き抜くために、使用可能である。代替実施形態では、廃棄物回路128からの圧力および真空源は、清浄液を待機チャンバに送達し、その後、過剰流体を待機チャンバに引き抜くために、使用可能である。
【0020】
多岐管130は、さらに、第3の制御弁133と、第4の制御弁134と、を含む。制御弁133、134は、待機チャンバ141、142と共通流体線CFLとの間で流体連通している。そのようなものとして、制御弁133、134の開閉は、待機チャンバ141、142と共通流体線CFLとの間の流体の流量の開きおよび遮断のそれぞれを可能にする。動作時、例えば、第1の制御弁131および第4の制御弁134は、閉じた状態に設定可能であるが、第3の制御弁133は、開いた状態で設定可能である。その後、圧力は、第1の待機チャンバ141における待機チャンバポート145を介して適用可能である。その後、適用された圧力は、第1の待機チャンバ内の調製済み血液サンプルの一定分量を、共通流体線を通過して、分析チャンバ150に送出する。同様に、第2の制御弁132および第3の制御弁133を閉じた状態で設定し、第4の制御弁134を開いた状態で設定し、圧力は、調製済み血液サンプルの一定分量を、第2の待機チャンバ142から分析チャンバ150に送出するために、第2の待機チャンバ142における待機チャンバポート145を介して適用可能である。代替実施形態では、上述される制御弁133、134および共通流体線CFLと同等の構造は、調製済み血液サンプルの一定分量を、待機チャンバ141、142から分析チャンバ150に移送するために、使用可能である。「一定分量」という用語は、本明細書において、一般的な表現に従って使用される。しかしながら、提示された発明の文脈では、調製済み血液サンプルすべてを、待機チャンバから分析チャンバに移送することは、調製済み血液サンプルの一定分量を移送することと同等である。
【0021】
分析チャンバ150は、多くの例示的分析チャンバのうちの1つであり得る。分析チャンバの一例は、参照することにより、その全体として本明細書に組み込まれる、‘652特許において示され、より具体的には、マルチパラメータトランスデューサおよび分析器のその開示のための、フローセルである。分析チャンバ150は、調製済み血液サンプルのDCインピーダンス、RF伝導性、光散乱、および/または蛍光特性を測定するための構成要素を含むことができる。(簡素化のため、そのような測定構成要素は、図示されない。)そのようなものとして、分析チャンバ150、およびそれと同等の構造は、調製済み血液サンプルを分析するための手段として機能する。分析チャンバ150の出力は、廃棄物回路128に連結される。
【0022】
分析チャンバ150から延在するのは、プライミングポート151である。プライミングポート151を通過する流体の流量は、ポンプ126およびシステム制御プロセッサCによって制御される。希釈液152は、ポンプ126を介してプライミングポート151を流出入可能である。例えば、プライミングモードでは、調製済み血液サンプルは、待機チャンバ141、142のうちの1つから、共通流体線CFLを通過して、プライミングポート151に引き抜かれる。共通流体線CFLが十分に準備されると、待機チャンバポート145からの圧力は、調製済み血液サンプルの一定分量を、分析チャンバ150を通過して押し進める。分析チャンバ150内の流体は、分析チャンバ150の反応測定区間内での測定を行うためのシース流体を提供する。(簡素化のため、流体は、図示されない。)分析が完了した後、プライミングポート151を通過する流体の流量は、逆流し、希釈液152は、共通流体線CFLを清掃するために、プライミングポート151を通過して送達される。代替実施形態では、プライミングポート151は、多岐管130での共通流体線CFLから延在可能である。
【0023】
動作時、パイプラインアセンブリ100は、血液分析器を通して複数の調製済み血液サンプルを処理し、血液分析器のスループットを増加させるための並行パイプライン機能を果たすために使用可能である。例えば、パイプラインアセンブリ100のチャンバ/弁構成は、同時に行われる並行処理を可能にする。本明細書で使用されるように、ステップが、別のステップと「同時に行われる」と言われる場合、最初のステップの少なくとも一部が、次のステップの少なくとも一部と時間内に重複することを意味するように意図される。例えば、ステップ(a)が、時間t=0秒に開始し、時間t=20秒に終了する場合、およびステップ(b)が、時間t=15秒に開始し、時間t=25秒に終了する場合、ステップ(a)および(b)は、「同時に行われる」と理解される。それにもかかわらず、「同時に行われる」という表現は、両ステップが、同じ時間に開始し、終了するということを意味するように解釈されることもできる。
【0024】
例えば、一実施形態では、第1のサンプル調製チャンバ121Aにおいて第1の調製済み血液サンプルを調製するステップは、第2のサンプル調製チャンバ121Bにおいて第2の調製済み血液サンプルを調製するステップと同時に行われる。パイプラインアセンブリ100が、継続的動作中になると、第2のサンプル調製チャンバ121Bからの後続の調製済み血液サンプルは、第1のサンプル調製チャンバ121Aからの調製済み血液サンプルに後れを取ることが想定される。そのようなものとして、実施形態では、第2の調製済み血液サンプルを、第2のサンプル調製チャンバ121Bから第2の待機チャンバ142に移送するステップは、第1の調製済み血液サンプルを、第1の待機チャンバ141から分析チャンバ150に移送するステップと同時に行われる。その間、第1のサンプル調製チャンバ121Aを清掃するステップは、第1の調製済み血液サンプルを第1の待機チャンバ141から分析チャンバ150に移送するステップと同時に行われ得る。第1のサンプル調製チャンバ121Aを清掃した後、第3の血液サンプルが、第1のサンプル調製チャンバ121Aにおいて調製可能である。第3の調製済み血液サンプルを、第1のサンプル調製チャンバ121Aから第1の待機チャンバ141に移送するステップは、第2の調製済み血液サンプルを、第2の待機チャンバ142から分析チャンバ150に移送するステップと同時に行われ得る。同様に、第2のサンプル調製チャンバ121Bを清掃し、第2のサンプル調製チャンバ121Bにおいて第4の調製済み血液サンプルを調製するステップは、第2の調製済み血液サンプルの分析のために第2の調製済み血液サンプルを、第2の待機チャンバ142から分析チャンバ150に移送するステップと同時に行われ得る。当業者は、これらの並行処理が、血液分析器の増加したスループットの結果と共に無限に継続可能であることを理解するであろう。
【0025】
図2は、本明細書に提示される、代替実施形態による、パイプラインアセンブリ200の概略図である。パイプラインアセンブリ200は、図1に示されるパイプラインアセンブリ100と同様である。しかしながら、図2に示される概略図は、3つ以上のサンプル調製アセンブリ220を使用する可用性を示すために提供される。複数のサンプル調製アセンブリ220は、調製済み血液サンプルの無作為的なアクセスを可能にする。そのようなものとして、異なる調製時間を有する調製済み血液サンプルが、用意ができ次第アクセスされ得る動作プログラムが、設計可能である。
【0026】
図2に示される実施形態では、パイプラインアセンブリ200は、第1のサンプル調製チャンバ221Aと、第2のサンプル調製チャンバ221Bと、第3のサンプル調製チャンバ221Cとを含む。代替実施形態では、パイプラインアセンブリは、例えば、複数のサンプル調製チャンバ221A、221B、221C、…221nを含むことができる。吸引針116は、全血サンプルを、トラック119に沿ってサンプル調製チャンバ221A、221B、および221Cに送達するために使用される。血液サンプルが、サンプル調製チャンバ221A、221B、または221Cにおいて調製された後、調製済み血液サンプルは、待機チャンバ241、242のうちの1つに移送される。示される実施形態では、多岐管230は、第1のサンプル調製チャンバ221Aと第1の待機チャンバ241との間に流体連通している、第1の制御弁231を含む。第2の制御弁232は、第2のサンプル調製チャンバ221Bと第2の待機チャンバ242との間に流体連通している。第3の制御弁233は、第3のサンプル調製チャンバ221Cと第1の待機チャンバ241との間に流体連通している。第1の制御弁231および第3の制御弁233は、連続した配置で示される。当業者によって理解されるように、代替の配置が利用可能である。制御弁231、232、ならびに233の制御弁の機能的配置、およびそれと同等の構造は、並行パイプライン機能を果たすための手段の別の例として機能する。
【0027】
多岐管230は、第1の待機チャンバ241と共通流体線CFLとの間に流体連通している、第4の制御弁234も含む。さらに、多岐管230は、第2の待機チャンバ242と共通流体線CFLとの間に流体連通している、第5の制御弁235を含む。
【0028】
当業者は、第3のサンプル調製チャンバ221Cが、第1の待機チャンバ241と流体連通して示されるが、代替実施形態では、第3のサンプル調製チャンバ221Cが、第2の待機チャンバ242、または第3の待機チャンバ(図示せず)と流体連通可能であることを理解するであろう。
【0029】
図3は、本明細書に提示される、一実施形態による、方法300を例証するフローチャートである。図3のフローチャートはさらに、図1のパイプラインアセンブリ100の並行パイプライン機能を例証する。まず、ステップ301では、第1の(またはN番目の)全血サンプルは、調製のために第1のサンプル調製チャンバ121Aに移送される。ステップ302では、N番目の調製済み血液サンプルは、第1のサンプル調製チャンバ121Aから第1の待機チャンバ141に移送される。ステップ303では、流体の流量は、第1のサンプル調製チャンバ121Aと第1の待機チャンバ141との間で妨げられる。ステップ305では、第1のサンプル調製チャンバ121Aが、清掃される。その後、第1のサンプル調製チャンバ121Aのための工程は、後続する反復のために、ステップ301に戻る。
【0030】
ステップ304では、共通流体線CFLは、準備され、Nth調製済み血液の一定分量は、第1の待機チャンバ141から分析チャンバ150に移送される。(上述のように、本発明の関連において、調製済み血液サンプルのすべてを移送することは、調製済み血液サンプル「の一定分量」を移送することと同等である。)ステップ304は、ステップ305と同時に行われ得る。ステップ304が、ステップ305の前または後に開始されるかどうかは、重要ではない。ステップ311では、第1の待機チャンバ141が、清掃される。一実施形態では、第1の待機チャンバ141は、共通流体線CFLに関係なく清掃される。別の実施形態では、第1の待機チャンバは、血液分析の完了後に清掃される。そのような実施形態では、流体の流量は、共通流体線CFLを通過して逆流させ、希釈液152は、プライミングポート151から第1の待機チャンバ141に送達される。希釈液152が、第1の待機チャンバ141に送達された後、第3の制御弁133は、閉じることができ、第1の待機チャンバ141の中の過剰流体は、廃棄物回路128を介して破棄可能である。代替実施形態では、第1の待機チャンバ141は、共通流体線CFLの清掃と関係なく清掃される。
【0031】
ステップ301〜305と並行して、ステップ306では、N+1番目の全血サンプルは、調製のために第2のサンプル調製チャンバ121Bに移送される。ステップ307では、N+1番目の調製済み血液サンプルは、第2のサンプル調製チャンバ121Bから第2の待機チャンバ142に移送される。ステップ308では、流体の流量は、第2のサンプル調製チャンバ121Bと第2の待機チャンバ142との間で妨げられる。その後、第2のサンプル調製チャンバ121Bは、ステップ309で、清掃される。ステップ309の完了後、第2のサンプル調製チャンバ121Bのための工程は、後続する反復のために、ステップ306に戻る。
【0032】
ステップ310では、N番目の調製済み血液サンプルの一定分量の血液分析が完了するとすぐに、流体の流量は、逆流され、希釈液152は、プライミングポート151を通過して、共通流体線CFLに送達される。上述のように、一実施形態では、希釈液152は、共通流体線CFLを通過して、第1の待機チャンバ141に送達されるため、清掃共通流体線CFLおよび第1の待機チャンバ141は、一緒に清掃される(例えば、ステップ310および311を組み合わせる)。代替実施形態では、共通流体線CFLは、第1の待機チャンバ141と関係なく清掃可能である。共通流体線CFLを清掃した後、流体の流量は、第1の待機チャンバ141と分析チャンバ150との間で妨げられ、共通流体線CFLが準備され、N+1番目の調製済み血液サンプルの一定分量が、第2の待機チャンバ142から分析チャンバ150に移送される。ステップ313では、共通流体線CFLおよび第2の待機チャンバ142が、清掃される。一実施形態では、ステップ313は、流体の流量を、共通流体線CFLを通過して逆流させ、希釈液152を、プライミングポート151を通過して、第2の待機チャンバ142に送達することによって、共通流体線CFLおよび第2の待機チャンバ142を清掃するステップを含む。代替実施形態では、第2の待機チャンバ142および共通流体線CFLは、互いに関係なく清掃される。任意に、ステップ312では、分析チャンバ150が、清掃される。一実施形態では、分析チャンバ150の清掃は、共通流体線CFL清掃および準備が、後続する調製済みサンプルの間での相互汚染を十分に防止するため、省略可能である。さらに、一実施形態では、分析チャンバ150を通過するシース流体の継続的な流量は、分析チャンバを清潔に保つように機能する。
【0033】
図3の方法300は、すべての血液サンプルが処理されるまで、継続的な輪のように、後続する反復へ続く。ステップ301〜305および311のうちのいずれかの1つは、ステップ306〜309のうちのいずれかの1つと同時に行われ得る。ステップ301〜303、305および311のうちのいずれかの1つは、ステップ310〜313と同時に行われ得る。ステップ306〜309のうちのいずれかの1つは、ステップ304と同時に行われ得る。これらのステップは、流体の並行パイプラインが、最終的に、血液分析器のスループットを増加させる、無限の輪において行われ得る。
【実施例】
【0034】
以下の段落は、上述の実施形態の実施例としての役割を果たす。
【0035】
(実施例1)
一実施形態では、第1のサンプル調製チャンバと、第1のサンプル調製チャンバと流体連通している、第1の待機チャンバと、第1のサンプル調製チャンバと第1の待機チャンバとの間にあり、第1のサンプル調製チャンバと第1の待機チャンバとの間の流体の流量を制御するように適合される、第1の制御弁とを備える、血液分析器用のパイプラインアセンブリが提供される。パイプラインアセンブリはさらに、第2のサンプル調製チャンバと、第2のサンプル調製チャンバと流体連通している第2の待機チャンバと、第2のサンプル調製チャンバと第2の待機チャンバとの間にあり、第2のサンプル調製チャンバと第2の待機チャンバとの間の流体の流量を制御するように適合される、第2の制御弁と、第1の待機チャンバおよび第2の待機チャンバと流体連通している、分析チャンバとを備える。一実施形態では、第1および第2の制御弁は、電磁弁である。一実施形態では、パイプラインアセンブリはさらに、第1の待機チャンバと分析チャンバとの間にあり、第1の待機チャンバと分析チャンバとの間の流体の流量を制御するように適合される、第3の制御弁を備える。さらに別の実施形態では、パイプラインアセンブリはさらに、第2の待機チャンバと分析チャンバとの間にあり、第2の待機チャンバと分析チャンバとの間の流体の流量を制御するように適合される、第4の制御弁を備える。一実施形態では、パイプラインアセンブリはさらに、パイプラインアセンブリを通る流体の移動を操作するように、パイプラインアセンブリと流体連通している、油圧システムを含む。
【0036】
代替実施形態では、パイプラインアセンブリは、待機チャンバのうちの1つと流体連通している、第3のサンプル調製チャンバを含む。パイプラインアセンブリはさらに、分析チャンバと流体連通している、第3の待機チャンバを含み得る。さらに、パイプラインアセンブリは、共通流体線から延在するプライミング出口を含み得、共通流体線は、第1および第2の待機チャンバを分析チャンバに連結する。一実施形態では、プライミング出口は、分析チャンバから延在する。別の実施形態では、プライミング出口は、多岐管から延在する。代替実施形態では、パイプラインアセンブリは、パイプラインアセンブリの中の過剰流体を処分するための廃棄物回路または他の手段を含む。
【0037】
(実施例2)
一実施形態では、血液サンプルを受容するための手段と、血液サンプルを複数のサンプル調製チャンバに分離するための手段と、少なくとも2つの待機チャンバを備える、血液分析器が提供される。血液分析器はさらに、調製済み血液サンプルの流量を、サンプル調製チャンバのうちの1つから待機チャンバのうちの1つに方向付けるための手段と、調製済み血液サンプルを分析するための手段と、並行パイプライン機能を果たすための手段を含む。
【0038】
(実施例3)
一実施形態では、血液分析器を通して複数の調製済み血液サンプルを処理する方法が提供される。方法は、以下のステップを含む。
(a)第1の調製済み血液サンプルの一定分量を、第1のサンプル調製チャンバから第1の待機チャンバに移送するステップ、
(b)第1のサンプル調製チャンバと第1の待機チャンバとの間の流体の流量を妨げるステップ、
(c)第1の調製済み血液サンプルを、分析のために第1の待機チャンバから分析チャンバに移送するステップ、
(d)第1のサンプル調製チャンバを清掃するステップ、
(e)第2の調製済み血液サンプルの一定分量を、第2のサンプル調製チャンバから第2の待機チャンバに移送するステップ、
(f)第2のサンプル調製チャンバと第2の待機チャンバとの間の流体の流量を妨げるステップ、
(g)第2のサンプル調製チャンバを清掃するステップ、
(h)ステップ(c)の完了時に、分析チャンバと第1の待機チャンバとのの間の経路を清掃するステップ、
(i)第1の待機チャンバを清掃するステップ、
(j)第1の待機チャンバと分析チャンバとの間の流体の流量を妨げ、第2の調製済み血液サンプルを、分析のために第2の待機チャンバから分析チャンバに移送するステップ、
(k)第3の調製済み血液サンプルの一定分量を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(l)ステップ(j)の完了時に、分析チャンバと第2の待機チャンバとのの間の経路を清掃するステップ、
(m)第2の待機チャンバを清掃するステップ、および
(n)第2の待機チャンバと分析チャンバとの間の流体の流量を妨げ、第3の調製済み血液サンプルを、分析のために第1の待機チャンバから分析チャンバに移送するステップ、を含み、
ステップ(e)は、ステップ(c)と同時に行われ、
ステップ(k)は、ステップ(j)と同時に行われる。
【0039】
代替実施形態では、ステップ(d)は、ステップ(c)と同時に行われ、ステップ(f)は、ステップ(c)と同時に行われ、ステップ(g)は、ステップ(c)と同時に行われ、ステップ(g)は、ステップ(d)と同時に行われ、および/またはステップ(g)は、ステップ(j)と同時に行われる。さらに、代替実施形態では、ステップ(i)は、ステップ(h)と同時に行われ、および/またはステップ(m)は、ステップ(l)と同時に行われる。さらに、代替実施形態では、ステップ(c)は、第1の待機チャンバと分析チャンバとの間にある経路を準備するステップを含み、ステップ(j)は、第2の待機チャンバと分析チャンバとの間にある経路を準備するステップを含み、および/またはステップ(n)は、第1の待機チャンバと分析チャンバとの間にある経路を準備するステップを含む。
【0040】
(実施例4)
一実施形態では、各待機チャンバが入力および出力を有する、少なくとも2つの待機チャンバと、各待機チャンバの入力がサンプル調製チャンバのうちの少なくとも1つに接続される、複数のサンプル調製チャンバと、各待機チャンバの出力に接続される分析チャンバとを備える、血液分析器用のパイプラインアセンブリが提供される。パイプラインアセンブリはさらに、並行パイプライン機能を果たすための手段を備える。一実施形態では、並行パイプライン機能は、第2の調製済み血液サンプルが第2の待機チャンバに移送される間に、分析チャンバを通した処理のために1つの待機チャンバから分析チャンバに第1の調製済み血液サンプルを移送するステップを含む。別の実施形態では、並行パイプライン機能は、第2の待機チャンバが清掃される間に、分析チャンバを通した処理のために1つの待機チャンバから分析チャンバに調製済み血液サンプルを移送するステップを含む。さらに別の実施形態では、並行パイプライン機能は、少なくとも1つのサンプル調製チャンバが清掃される間に、分析チャンバを通した処理のために1つの待機チャンバから分析チャンバに調製済み血液サンプルを移送するステップを含む。一実施形態では、並行パイプライン機能を果たすための手段は、複数の制御弁を備える。一実施形態では、並行パイプライン機能を果たすための手段は、パイプラインアセンブリを通る流体の流量を制御するための油圧回路を備える。
実施例5〜7
実施例5〜7では、図1のパイプラインアセンブリ100は、差分検査(D)、NRBC検査(N)および網状赤血球検査(R)等の1つ以上の血液学的検査を行う能力を支持するために使用可能である。各検査用のサンプルは、外部サンプル調製チャンバにおいて調製され、逐次的方法でフローセルを通って処理されるように第1および第2の待機チャンバに移送される。
【0041】
(実施例5)
一実施例では、パイプラインアセンブリ100は、3つの全血サンプルに対して差分検査を行うために提供される。そのような差分検査を行うための方法は、以下のステップを含む。
(a)差分調製済みサンプル1(D−PS1)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(b)フローセルを通してD−PS1を処理するステップ、
(c)ステップ(b)と並行して、差分調製済みサンプル2(D−PS2)を第2の待機チャンバに移送するステップ、
(d)D−PS1の分析の完了時に、フローセルを通してD−PS2を処理するステップ、
(e)ステップ(d)と並行して、第1の待機チャンバを清掃し、差分調製済みサンプル3(D−PS3)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(f)D−PS2の分析の完了時に、フローセルを通してD−PS3を処理するステップ、
(g)ステップ(f)と並行して、第2の待機チャンバを清掃するステップ、および
(h)D−PS3の分析の完了時に、第1の待機チャンバを清掃し、サイクルを完了するステップ。
【0042】
(実施例6)
別の実施例では、パイプラインアセンブリ100は、2つの全血サンプルに対してNRBC/差分検査を行うために提供される。2つの全血検体に対してNRBC/差分検査を行うための方法は、以下のステップを含む。
(a)NRBC調製済みサンプル1(N−PS1)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(b)フローセルを通してN−PS1を処理するステップ、
(c)ステップ(b)と並行して、差分調製済みサンプル1(D−PS1)を第2の待機チャンバに移送するステップ、
(d)N−PS1の分析の完了時に、フローセルを通してD−PS1を処理するステップ、
(e)ステップ(d)と並行して、第1の待機チャンバを清掃し、NRBC調製済みサンプル2(N−PS2)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(f)D−PS1の分析の完了時に、フローセルを通してN−PS2を処理するステップ、
(g)ステップ(f)と並行して、第2の待機チャンバを清掃し、差分調製済みサンプル2(D−PS2)を第2の待機チャンバに移送するステップ、
(h)N−PS2の分析の完了時に、フローセルを通してD−PS2を処理するステップ、
(i)ステップ(h)と並行して、第1の待機チャンバを清掃するステップ、および
(j)D−PS2の分析の完了時に、第2の待機チャンバを清掃し、サイクルを完了するステップ。
【0043】
(実施例7)
別の実施例では、パイプラインアセンブリ100は、2つの全血サンプルに対してNRBC/差分/網状赤血球検査を行うために提供される。2つの全血検体に対してNRBC/差分/網状赤血球検査を行うための方法は、以下のステップを含む。
(a)NRBC調製済みサンプル1N−PS1を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(b)フローセルを通してN−PS1を処理するステップ、
(c)ステップ(b)と並行して、差分調製済みサンプル1(D−PS1)を第2の待機チャンバに移送するステップ、
(d)N−PS1の分析の完了時に、フローセルを通してD−PS1を処理するステップ、
(e)ステップ(d)と並行して、第1の待機チャンバを清掃し、網状赤血球調製済みサンプル1(R−PS1)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(f)D−PS1の分析の完了時に、フローセルを通してR−PS1を処理するステップ、
(g)ステップ(f)と並行して、第2の待機チャンバを清掃し、NRBC調製済みサンプル2(N−PS2)を第2の待機チャンバに移送するステップ、
(h)R−PS1の分析の完了時に、フローセルを通してN−PS2を処理するステップ、
(i)ステップ(h)と並行して、第1の待機チャンバを清掃し、差分調製済みサンプル2(D−PS2)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(j)N−PS2の分析の完了時に、フローセルを通してD−PS2を処理するステップ、
(k)ステップ(j)と並行して、第2の待機チャンバBを清掃し、網状赤血球調製済みサンプル2(R−PS2)を第2の待機チャンバに移送するステップ、
(l)D−PS2の分析の完了時に、フローセルを通してR−PS2を処理するステップ、
(m)ステップ(l)と並行して、第1の待機チャンバを清掃するステップ、および
(n)R−PS2の分析の完了時に、第2の待機チャンバを清掃し、サイクルを完了するステップ。
【0044】
実施例8では、図2のパイプラインアセンブリ200は、差分検査(D)、NRBC検査(N)および網状赤血球検査(R)等の1つ以上の血液学的検査を行う能力を支持するために使用可能である。実施例8は、パイプラインアセンブリ200の無作為的なアクセス能力を利用する。無作為的なアクセス能力は、サンプル調製の順序に関係なく、次に利用可能な調製済み血液サンプルを、フローセルを通して処理することによって、フローセルアイドルタイムを減少させる。各検査用のサンプルは、外部サンプル調製チャンバにおいて調製され、逐次的方法でフローセルを通って処理されるように第1および第2の待機チャンバに移送される。
【0045】
(実施例8)
1つの実施例では、パイプラインアセンブリ200は、2つの全血サンプルに対するNRBC/差分検査および最初の全血サンプルに対するCD4検査を行うために提供される。CD4検査は、概して、NRBC/差分検査調製と比較して、より長い調製および培養時間を有し、そのため、この実施例では、先に調製される。
【0046】
そのようなNRBC/差分/CD4検査を行うための方法は、以下のステップを含む。
(a)CD4調製済みサンプル1(CD4−PS1)をサンプル調製チャンバの中で調製し、培養するステップ。
(b)NRBC調製済みサンプル1(N−PS1)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(c)フローセルを通してN−PS1を処理するステップ、
(d)ステップ(c)と並行して、差分調製済みサンプル1(D−PS1)を第2の待機チャンバを移送するステップ、
(e)N−PS1の完了時に、フローセルを通してD−PS1を処理するステップ、
(f)ステップ(e)と並行して、第1の待機チャンバを清掃し、NRBC調製済みサンプル2(N−PS2)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(g)D−PS1の完了時に、フローセルを通してN−PS2を処理するステップ、
(h)ステップ(g)と並行して、第2の待機チャンバを清掃し、CD4調製済みサンプル1(CD4−PS1)を第2の待機チャンバに移送するステップ、
(i)N−PS2の完了時に、フローセルを通してCD4−PS1を処理するステップ、
(j)ステップ(i)と並行して、第1の待機チャンバAを清掃し、差分調製済みサンプル2(D−PS2)を第1の待機チャンバに移送するステップ、
(k)CD4−PS1の完了時に、フローセルを通してD−PS2を処理するステップ、
(l)ステップ(k)と並行して、第2の待機チャンバを清掃するステップ、および
(m)D−PS2の完了時に、第1の待機チャンバを清掃し、サイクルを完了するステップ。
【0047】
本発明の上述の説明は、例証および説明の目的のために提示されたものである。排他的または本発明を開示される精密な形態に限定することを意図するものではない。他の修正および変形例も、上述の教示に照らして、可能となり得る。実施形態および実施例は、本発明の原理ならびにその実践的用途を最良に説明し、それによって、当業者が、企図される特定の使用に好適な種々の実施形態および種々の修正において、本発明を最良に利用可能となるように、選択ならびに説明されたものである。添付の請求項は、本発明の他の代替実施形態も含むように解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液分析器用のパイプラインアセンブリであって、
第1のサンプル調製チャンバと、
該第1のサンプル調製チャンバと流体連通している、第1の待機チャンバと、
該第1のサンプル調製チャンバと該第1の待機チャンバとの間にあり、該第1のサンプル調製チャンバと該第1の待機チャンバとの間の流体の流量を制御するように適合される、第1の制御弁と、
第2のサンプル調製チャンバと、
該第2のサンプル調製チャンバと流体連通している、第2の待機チャンバと、
該第2のサンプル調製チャンバと該第2の待機チャンバとの間にあり、該第2のサンプル調製チャンバと該第2の待機チャンバとの間の流体の流量を制御するように適合される、第2の制御弁と、
該第1の待機チャンバおよび該第2の待機チャンバと流体連通している、分析チャンバと
を備える、血液分析器用のパイプラインアセンブリ。
【請求項2】
前記第1および第2の制御弁は、電磁弁である、請求項1に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の待機チャンバと前記分析チャンバとの間にあり、該第1の待機チャンバと該分析チャンバとの間の流体の流量を制御するように適合される、第3の制御弁と、
前記第2の待機チャンバと該分析チャンバとの間にあり、該第2の待機チャンバと該分析チャンバとの間の流体の流量を制御するように適合される、第4の制御弁と
をさらに備える、請求項1または2に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項4】
前記パイプラインアセンブリを通る流体の移動を操作するように、該パイプラインアセンブリと流体連通している、油圧システムをさらに備える、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項5】
前記パイプラインアセンブリを通る流体の移動を操作するように、該パイプラインアセンブリと流体連通している、空気圧システムをさらに備える、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項6】
前記待機チャンバのうちの1つと流体連通している、第3のサンプル調製チャンバをさらに備える、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項7】
前記分析チャンバと流体連通している第3の待機チャンバをさらに備える、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項8】
共通流体線から延在するプライミング出口をさらに備え、該共通流体線は、前記第1および第2の待機チャンバを前記分析チャンバに連結する、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項9】
前記分析チャンバから延在する、プライミング出口をさらに備える、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項10】
前記パイプラインアセンブリの中の過剰流体を処分するための廃棄物回路をさらに備える、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項11】
各待機チャンバは、入力および出力を有し、各待機チャンバの入力は、前記サンプル調製チャンバのうちの少なくとも1つに接続され、前記分析チャンバは、各待機チャンバの出力に接続される、請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項12】
前記待機チャンバと連通している、複数の待機チャンバポートをさらに備える、請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項13】
血液分析器を通して複数の調製済み血液サンプルを処理する方法であって、
(a)第1の調製済み血液サンプルを、第1のサンプル調製チャンバから第1の待機チャンバに移送することと、
(b)該第1の調製済み血液サンプルの一定分量を、分析のために該第1の待機チャンバから分析チャンバに移送することと、
(c)該第1のサンプル調製チャンバを清掃することであって、こと(c)は、こと(b)と同時に行われる、ことと、
(d)第2の調製済み血液サンプルを、第2のサンプル調製チャンバから第2の待機チャンバに移送することと、
(e)該第2のサンプル調製チャンバを清掃することと、
(f)こと(b)の完了時に、該分析チャンバと該第1の待機チャンバとの間の経路を清掃することと、
(g)該第1の待機チャンバを清掃することと、
(h)該第2の調製済み血液サンプルの一定分量を、分析のために該第2の待機チャンバから該分析チャンバに移送することと、
(i)こと(h)の完了時に、該分析チャンバと該第2の待機チャンバとの間の経路を清掃することと、
(j)該第2の待機チャンバを清掃することと、
を含む、方法。
【請求項14】
ステップ(h)は、ステップ(e)と同時に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(h)は、ステップ(g)と同時に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
(k)第3の調製済み血液サンプルの一定分量を、前記第1の待機チャンバに移送するステップをさらに含む、請求項13〜15のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(k)は、ステップ(h)と同時に行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(b)の前に、前記第1の待機チャンバと前記分析チャンバとの間の経路を準備するステップをさらに含む、請求項13〜17のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(h)の前に、前記第2の待機チャンバと前記分析チャンバとの間の経路を準備するステップをさらに含む、請求項13〜18のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
血液分析器用のパイプラインアセンブリであって、
少なくとも2つの待機チャンバであって、各待機チャンバは、入力および出力を有する、待機チャンバと、
複数のサンプル調製チャンバであって、各待機チャンバの該入力は、該サンプル調製チャンバのうちの少なくとも1つに接続される、サンプル調製チャンバと、
複数の制御弁であって、少なくとも1つの制御弁は、該複数のサンプル調製チャンバのうちの1つと該少なくとも2つの待機チャンバのうちの1つとの間に配置される、制御弁と、
各待機チャンバの出力に接続される分析チャンバと
を備える、パイプラインアセンブリ。
【請求項21】
共通流体線から延在するプライミング出口をさらに備え、該共通流体線は、各待機チャンバの前記出力を前記分析チャンバに連結する、請求項20に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項22】
前記分析チャンバから延在するプライミング出口をさらに備える、請求項20または21に記載のパイプラインアセンブリ。
【請求項23】
前記待機チャンバと連通している、複数の待機チャンバポートをさらに備える、請求項20〜22のうちのいずれか1項に記載のパイプラインアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−531590(P2012−531590A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517639(P2012−517639)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039440
【国際公開番号】WO2010/151522
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】