説明

血液成分分配装置及び血液成分分配方法

【課題】血液貯留部内の所定成分を複数の成分収容部に等量でかつ内部にエアが残留させないように小分けする。
【解決手段】血液成分を収納する採血バッグ100、複数の分取バッグ200、調整バッグ300、及びバッグ100、200、300を連結する連結チューブを有する血液成分分離装置1を用いて採血バッグ100から血清成分を採取するとともに複数の分取バッグ200に小分けするものであって、採血バッグ100から血清成分を複数の分取バッグ200に移動させた後、調整バッグ300を分取バッグ200に下方に位置付け、落差による圧力によって、エアと血清成分の一部を調整バッグ300に移動させ、さらに、調整バッグ300を分取バッグ200に上方に位置付け、落差による圧力によって、血清成分のみを一部を分取バッグ200に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液貯留部内で分離した血清と血球部において、血清部分のみを成分収容部に採取する血液成分分配装置及び血液成分分配方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、再生医療分野においては、対象者から採取した幹細胞を、体外で増殖又は分化させたうえで対象者に移植することで対象者の組織の再生を促進させる、という研究が行なわれている。幹細胞は、種々の組織や器官に分化する多分化能を有し、再生医療のカギを握る細胞として注目されている。
【0003】
幹細胞の体外培養増殖では、培地に対して血清を添加すれば効果的であることが知られているが、ヒトの治療を目的とする場合には、ヒト以外の動物を由来とする血清を用いることは安全上の問題から避けるべきことであり、ヒト由来、特に対象者から採取した血液より調製した血清を用いることが要求される。また、血液検査と比べると再生医療の分野における幹細胞の培養には、比較的より多くの血清が必要となる。
【0004】
血液成分の中から所定成分を分離、採取する血液成分分離装置としては、例えば、遠心分離された血液バッグを保持して血液バッグ内の内容物を押し出し、血液バッグとチューブを介して連通する分離バッグ内に血漿を移動させる装置が開示されている(特許文献1参照)。また、内部の血液成分を遠心分離された後の白血球バッグを、固定板のハンガーに懸け、装置のハンドルを操作してフックから外し、押え板によって白血球バッグを固定板に押圧させて、上部の比重の小さい成分(血漿成分)を、連結チューブを介して血漿バッグに移行させる。そして、固定板と押え板との間が所定の間隔となったときに連結チューブを閉塞する装置が開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特公昭55−17585号公報
【特許文献2】特開2002−143295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した装置においては、遠心分離された血液を貯留した1つのバッグから、1つの分取バッグに所定の血液成分を移動させるものである。このため、所定の血液成分を貯留したバッグは1回の作業によって1つしか得られず、作業効率がよいものではなかった。
【0006】
ここで、作業効率を向上させるためには、成分毎に分離された血液を貯留する血液貯留部としての血液バッグを押圧し、例えば、血清成分を血液バッグから押し出して、複数の成分収容部としての分離バッグに移動させることが考えられる。しかしながら、例えば、個々の分取バッグの位置や個々の分取バッグに連結されている個々の連結チューブの長さの差といった様々な要因によって、個々の分取バッグにおいて血清成分の採取量に差が生じるおそれがある。このため、複数の分取バッグに血清成分が均等に分かれるようにする必要がある。
【0007】
複数の分取バッグにおける血清の量を等しくする方法の一つとして個々の分取バッグの重量を計測しながら小分けすることが考えられる。しかし、血清の量には個人差があり、採血バッグ分取バッグに小分けする前において、採血バッグの血清の重量を計測しておくことは困難である。このため、複数の分取バッグにおける血清の量を等しくすることは困難である。
【0008】
さらに、血清を分取バッグに採取する際に、採血バッグと連結チューブ内にあったエアが分取バッグ内に流入し、血清の採取前から分取バッグ内にあったエアとともに分取バッグ内にエアが溜まる。このエアは採血バッグ内の血清量を安定させるためにも無い方が好ましい。そこで、採血バッグ内のエアを抜く作業が必要となる。従来は、連結チューブや分取バッグ内のエアを抜くために、分取バッグを一つ一つ手で握るといった作業を行っていた。このため、効率よくエア抜きをすることが困難であった。また、特許文献1には、分取バッグ内のエアを採血バッグに戻すことについて開示されている。しかし、この場合は、1つの採血バッグに1つの分取バッグを連結させた場合には有効であるが、1つの採血バッグに複数の分取バッグを連結させた場合には、分取バッグ内のエアを他の分取バッグに流入させるおそれがあり、有効ではない。
【0009】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、血液貯留部内の所定成分を複数の成分収容部に等量でかつ内部にエアが残留させないように小分けすることを実現した血液成分分配装置及び血液成分分配方法を提供することを目的とする。
【0010】
ここで、「血清」とは、採取した血液を放置すると流動性が低下し、その後に赤い凝固塊(血餅)から分離される淡黄色の液体をいう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0012】
(1) 内部に複数の血液成分を収納する血液貯留部、当該血液貯留部に連結され所定の血液成分を当該血液貯留部外に送り出す連結管、当該連結管から分岐する複数の分岐管、及び当該複数の分岐管に連結される複数の成分収容部とを有する成分分離装置と、前記血液貯留部に圧力を加えて前記血液貯留部内の血液成分を前記複数の成分収容部に移動させる分離加圧装置と、を備え、前記血液貯留部の下方に前記複数の成分収容部を位置付け、前記血液貯留部に加える押圧力と前記血液貯留部と前記複数の成分収容部との落差によって発生する圧力とによって、前記血液貯留部内において成分毎に分離された状態の血液の中から血液成分を前記連結管及び前記分岐管を介して前記複数の成分収容部に移動させることにより、前記血液貯留部から血液成分を採取するとともに前記複数の成分収容部に小分けする血液成分分配装置であって、前記成分分離装置は、前記連結管から分岐してなる分岐管に連結され、血液成分の流入及び流出が可能な調整用貯留部を有し、前記分岐管は、前記調整用貯留部を前記複数の成分収容部に対して上方及び下方に位置付け可能な長さに設定され、前記分離加圧装置は、前記血液貯留部に圧力を加える加圧手段、前記血液貯留部の下方に配置されかつ前記複数の成分収容部を支持する成分収容部支持手段、及び前記複数の成分収容部の上方で前記調整用貯留部を取付及び取外し自在に支持する調整用貯留部支持手段を有し、前記成分収容部支持手段は、前記分岐管と各成分収容部との連結部分を上方に向けて前記複数の成分収容部を設置する固定板と、当該固定板に対向配置されかつ前記固定板の板面を開閉する可動板と、当該可動板を前記固定板側に付勢する付勢手段とを備え、前記可動板は、前記固定板の板面を閉じた際に、前記複数の成分収容部を同時に加圧する血液成分分配装置。
【0013】
(1)の発明によれば、複数の成分収容部に血液から採取された所定成分が流入して、それぞれの成分収容部が膨らんだ際に、固定板と可動板とによって複数の成分収容部の厚さ方向の両側部が規制される。このため各成分収容部における貯留可能な容量は一定に保たれる。また、例えば、1つの成分収容部において血液成分の貯留量が多くなった場合には、可動板が付勢手段の付勢に抗して移動するが、その際、その成分収容部内の圧力が大きくなる。そのため、1つの成分収容部への血液成分の流入量が少なくなり、その分、圧力が小さい成分収容部に血液成分が流れるようになる。その結果、複数個の成分収容部に血液成分を等量に小分けすることが可能になる。
【0014】
また、連結管と成分収容部との連結部分を上方に向けているために、成分収容部の上部にエアが溜まるようになる。この時、血液貯留部からの圧力によって、膨らんだ複数個の成分収容部からの圧力によって可動板は押圧された状態にあるが、血液貯留部からの圧力を解除することにより、複数個の成分収容部は付勢手段の付勢によって均等に押圧され、成分収容部の上部にエアが連結管側に戻される。そして、そのエアが調整用貯留部に移動し貯留される。このように、複数個の成分収容部内部におけるエアの残留量を低減させることができる。
【0015】
(2) (1)の発明において、前記血液貯留部は、内部に血液の凝固を促進させる血液凝固促進個体を挿入しており、前記加圧手段は、前記血液貯留部を設置する固定板と、当該固定板に対向配置されかつ前記固定板の板面に対して近接及び離間する可動板と、前記可動板を前記固定板側に付勢する付勢手段とを備え、前記固定板における前記血液貯留部の下部との対向部位に凹部を形成した血液成分分配装置。
【0016】
(2)の発明によれば、固定板における血液貯留部の下部との対向部位に凹部が形成されているため、血液貯留部を加圧手段にセットし、可動板を移動させて血液貯留部に圧力を加える際に、血液貯留部の内部において沈んだ状態にある血液凝固促進個体が凹部に位置するようになる。このため、固定板と可動板とによって血液貯留部を挟持させる際に、血液凝固促進個体に大きな圧力が加わることが防止されるために、血液凝固促進個体が破壊されて血液貯留部内部の血液成分が使用不能になったり、血液貯留部が破損したりといった不具合を防止することが可能になる。また、固定板と可動板とによって血液貯留部を挟持させる際に、血液貯留部の内容物を残留させることなく移送させることが可能になる。
【0017】
(3) (1)の発明において、前記血液貯留部は、内部に血液の凝固を促進させる血液凝固促進個体を挿入しており、前記加圧手段は、前記血液貯留部を設置する固定板と、当該固定板に対向配置されかつ前記固定板の板面に対して近接及び離間する可動板と、前記可動板を前記固定板側に付勢する付勢手段とを備え、前記固定板及び前記可動板の少なくとも一方の板面に、前記血液貯留部に当接する弾性部材を設けた血液成分分配装置。
【0018】
(3)の発明によれば、固定板又は可動板のいずれか一方あるいは両方の板面に弾性部材が設けられているため、血液貯留部を加圧手段にセットし、可動板を移動させて血液貯留部に圧力を加える際に、血液貯留部の内部にある血液凝固促進個体の部分が弾性部材に当接するようになる。このため、固定板と可動板とによって血液貯留部を挟持させる際に、弾性部材における血液凝固促進個体の領域が弾性変形して、血液凝固促進個体に加わる圧力を吸収される。これにより、血液凝固促進個体に大きな圧力が加わることが防止されるために、血液凝固促進個体が破壊されて血液貯留部内部の血液成分が使用不能になったり、血液貯留部が破損したりといった不具合を防止することが可能になる。また、固定板と可動板とによって血液貯留部を挟持させる際に、血液貯留部の内容物を残留させることなく移送させることが可能になる。
【0019】
(4) (1)、(2)又は(3)の血液成分分配装置を用いた血液成分分配方法であって、前記調整用貯留部の分岐管を閉鎖した状態とし、前記血液貯留部を前記加圧手段にセットして前記血液貯留部を加圧させ、前記血液貯留部内の血液成分を前記複数の成分収容部に移動させる工程と、前記血液貯留部に連結された前記連結管を閉鎖し、前記調整用貯留部を前記複数の成分収容部の下方に位置付けて、前記調整用貯留部の分岐管を開放し、前記複数の成分収容部に貯留された血液成分の一部とともに前記複数の成分収容部内のエア及び前記複数の成分収容部から前記調整用貯留部までの流路内のエアを前記調整用貯留部に移動させる工程と、前記調整用貯留部の分岐管を閉鎖し、前記調整用貯留部と前記分岐管との連結部分を下方に向けた状態で前記調整用貯留部を前記複数の成分収容部の上方に位置付けて、前記調整用貯留部の分岐管を開放し、前記調整用貯留部内の血液成分を前記複数の成分収容部に戻す工程と、前記複数の成分収容部を封止して前記成分収容部支持手段から取り出す工程と、を有する血液成分分配方法。
【0020】
(4)の発明によれば、まず調整用貯留部の分岐管を閉鎖した状態とし、血液貯留部を前記加圧手段にセットして血液貯留部を加圧させることにより、加圧手段によって血液貯留部に加わる圧力と、血液貯留部と成分収容部との落差による落差圧によって、血液貯留部内の血液成分を複数の成分収容部に移動させることができる。次に、調整用貯留部を複数の成分収容部の下方に位置付けて、調整用貯留部の分岐管を開放することにより、成分収容部支持手段によって成分収容部に加わる圧力と、調整用貯留部と成分収容部との落差による落差圧によって、複数の成分収容部に貯留された血液成分の一部とともに複数の成分収容部内のエア及び成分収容部から調整用貯留部までの流路内のエアを調整用貯留部に移動させ、調整用貯留部に貯留することができる。
【0021】
次に、調整用貯留部を複数の成分収容部の上方に位置付けて、調整用貯留部の分岐管を開放することにより、調整用貯留部と成分収容部との落差による落差圧によって、調整用貯留部から血液成分のみを複数の成分収容部に戻すことができる。その結果、複数の成分収容部に、エアの残留量が少なくしかも血液成分を均等に効率よく分配することが可能になり、しかも、血液成分を無駄なく複数の成分収容部に移動させることが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、血液貯留部の所定の血液成分を複数の成分収容部に、エアの残留量が少なくしかも血液成分を均等に効率よく分配することが可能になり、しかも、血液成分を無駄なく複数の成分収容部に移動させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態における成分分配装置の構成を示す説明図である。血液成分分配装置は、成分毎に分離された状態の血液を貯留する血液貯留部から血清のみを採取して所定の成分収容部に移動させるとともに、成分収容部内のエアを調整用貯留部に貯留させる血液成分分離装置1と、血液成分分離装置1を支持する支持装置2とに大別される。支持装置2は、血液貯留部を押圧して内部の血清成分を成分収容に移動させる加圧装置3と、成分収容部を支持する成分収容部支持装置4と、調整用貯留部を着脱自在に支持するスタンド5によって構成される。
【0024】
血液成分分離装置1は、血液が貯留されている血液貯留部としての採血バッグ100、採血バッグ100から採取された血清を貯留する成分収容部としての複数の分取バッグ200、血清の一部を一時的に貯留する調整バッグ300、採血バッグ100と分取バッグ200と調整バッグ300とを連結する連結チューブ400〜406、及び採血バッグ100からの流路を分岐させる分岐管450〜452とによって構成されている。
【0025】
図2は加圧装置の構成を示す説明図であり、図2(a)は加圧装置の全体の構成を示し、図2(b)は図2(a)の要部を拡大したものである。図2(a)に示すように、水平面を有する基台30上に固定板31が垂直方向に立設されている。この固定板31の下部には、ヒンジ部(図示せず)を介して可動板32が回動可能に設けられている。固定板31の板面における中央下部に凹部31aが形成されている。可動板32は、下部の金属板32aと上部の透明板32bとを連結して1枚の平面板に形成されたものであり、可動板32の盤面は、固定板31の板面と略同じ大きさの板面である。金属板32aにおける固定板31との対向面の反対面側にはレバー33の一端部が取り付けられている。レバー33のシャフト部は、可動板32における固定板31との対向面の反対面に対して鋭角を形成するように設けられており、レバー33の他端部は操作しやすいように球状体が設けられている。また、固定板31の上部にはフック35が立設されており、また、基台30の正面部には略L字型のレバー用フック36が回転可能に設けられている。なお、固定板31に形成した凹部31aは、少なくとも採血バッグ100内部に収容されたガラス加工体105の外径以上の深さがあればよく、板面を貫通していてもよい。
【0026】
また、図2(a)に示すように、レバー33を下げて可動板32を下方に回動させて、レバー用フック36に係合させることにより、固定板31の板面が開放された状態に維持される。さらに、レバー用フック36による係合を解除することにより、可動板32がトーションバネ34(図2(b)参照)の付勢力によって上方に回動し、固定板31の板面と可動板32の板面とが当接する。ここで、レバー用フック36による係合を解除した際に、固定板31の板面に可動板32の板面が衝突しないように、レバー33に手を掛けてからレバー用フック36による係合を解除し、レバー33の操作によって可動板32を上方に回動させることが望ましい。
【0027】
また、図2(b)に示すように、可動板32の中央下部の両側部には、固定板31及び可動板32の一部に係合し、固定板31に対して可動板32を常に閉じる方向、すなわち可動板32が固定板31側に回動するように付勢するトーションバネ34が設けられている。このトーションバネ34のバネ定数は、レバー33を下げて可動板32を下方に回動させた場合に、トーションバネ34の付勢により、可動板32と固定板31に挟持される採血バッグ100(図1参照)に適当な押圧力を加えることができるように設定されている。
【0028】
なお、詳細は後述するが、遠心分離後の血液が貯留されている採血バッグ100を、固定板31のフック35に懸架させるとともに板面に当接させ、その状態を維持しながらレバー33とともに可動板32を回動させて可動板32を閉じることによって、採血バッグ100は、固定板31と可動板32との間に所定の圧力が加わった状態で挟持される。また、レバー33を下方に回動させることにより、レバー33に連動して可動板32が下方へ回動し、固定板31の板面が開放され、採血バッグ100の設置、取り替えが可能になる。
【0029】
図3は成分収容部支持装置の構成を示す説明図であり、図3(a)は成分収容部支持装置の全体の構成を示し、図3(b)は図3(a)の要部を拡大したものである。図3(a)に示すように、水平面を有する基台40上に固定板41が垂直方向に立設されている。この固定板41の下部には、ヒンジ部(図示せず)を介して可動板42が回動可能に設けられている。この可動板42は、下部の金属板42aと上部の透明板42bとを連結して略T字型の1枚の平面板を形成したものである。金属板42aにおける固定板41との対向面の反対面側にはレバー43の一端部が取り付けられている。レバー43のシャフト部は、可動板42における固定板41との対向面の反対面に対して鋭角を形成するように設けられており、レバー43の他端部は操作しやすいように球状体が設けられている。また、基台40の正面部には略L字型のレバー用フック46が設けられている。
【0030】
また、固定板41の板面の上部には3組のフック45が立設されており、これらのフック45が水平方向に並列させて設けられている。また、このフック45は、分取バッグ200をつり下げるものであり、本実施形態においては固定板41に3つの分取バッグ200が同時にセットすることが可能である。また、透明板42bの板面の大きさは、固定板41にセットされた全ての分取バッグ200における少なくとも袋体の部分に、同時に対向可能な大きさに設定されている。
【0031】
そして、図3(a)に示すように、レバー43を下げて可動板42を下方に回動させ、レバー43をレバー用フック46に係合することにより、固定板41の板面が開放された状態が維持される。さらに、レバー用フック46による係合を解除することにより、可動板42がトーションバネ44(図3(b)参照)の付勢力によって上方に回動し、固定板41の板面と可動板42の板面とが当接する。ここで、レバー用フック46による係合を解除した際に、固定板41の板面に可動板42の板面が衝突しないように、レバー43に手を掛けてからレバー用フック46による係合を解除し、レバー43の操作によって可動板42を上方に回動させることが望ましい。
【0032】
また、図3(b)に示すように、可動板42の中央下部の両側部には、固定板41及び可動板42の一部に係合し、固定板41に対して可動板42を常に閉じる方向、すなわち可動板42が固定板41側に回動するように付勢するトーションバネ44が設けられている。このトーションバネ44のバネ定数は、レバー43を下げて可動板42を下方に回動させた場合に、トーションバネ44の付勢により、可動板42と固定板41に挟持される分取バッグ200に適当な押圧力を加えることができるよう設定されている。本実施形態においては、図1において、加圧装置3による採血バッグ100への押圧力と、採血バッグ100から分取バッグ200までの落差圧との和よりも、分取バッグ200への押圧力が小さくなるように設定されている。
【0033】
図4は収容部支持装置に分取バッグ200をセットした状態を示す説明図である。空の分取バッグ200を固定板41にセットし、レバー43とともに可動板42を回動させて可動板42を閉じることによって、分取バッグ200は、固定板41と可動板42との間に配置される。また、レバー43を下方に回動させることにより、レバー43に連動して可動板42が下方へ回動して固定板41の板面が開放され、分取バッグ200の設置、取り替えが可能になる。
【0034】
また、調整バッグ300は、スタンド5(図1参照)に着脱自在に支持される。すなわち、調整バッグ300をスタンド5に取り付けた場合、調整バッグ300は、分取バッグ200よりも鉛直上方に位置付けられる。さらに、調整バッグ300に連結する連結チューブ405は、調整バッグ300をスタンド5から取り外した場合、調整バッグ300を分取バッグ200よりも鉛直下方に位置付けられる程度の長さに設定されている。
【0035】
図5は血液成分分離装置の構成を示す説明図である。
【0036】
採血バッグ100の本体部101における上縁端には接続口102が形成されており、接続口102には連結チューブ400の一端部が気密接続されている。また、接続口102の内腔部には、採血バッグ100と連結チューブ400とを連通するための連通筒103が設けられてなる。連結チューブ400の他端部には分岐管450が連結されており、分岐管450の一方の分岐路には連結チューブ401を介して分岐管451が連結されており、分岐管451の各分岐路には連結チューブ402、403を介して分取バッグ200が気密接続されている。また、分岐管450の他方の分岐路には連結チューブ404を介して分岐管452が連結されており、分岐管452の一方の分岐路には連結チューブ405を介して調整バッグ300が気密接続されている。また、分岐管452の他方の分岐路には連結チューブ406を介して分取バッグ200が気密接続されている。
【0037】
採血バッグ100の本体部101は袋体によって構成されており、各々が軟質ポリ塩化ビニルなどからなる。また、採血バッグ100の内部は前もって滅菌処理が施されている。また、採血バッグ100の上部に設けられた接続口102の両側に、フック35(図3参照)に遊嵌させる孔部110が形成されている。また、本体部101内には血液凝固促進個体としてのガラス加工体105が複数個収容されている。このガラス加工体105は、例えば、ソーダガラスからなる略球形をしている。また、本実施形態においては、採血バッグ100内にガラス加工体105を備える構成としているが、血液凝固促進機能を得る上で、貯留可能な血液量に対するガラス加工体105の表面積を、0.1(mm/ml)以上の関係をもって設定をしておくことが好ましい。
【0038】
なお、ガラス加工体105は、本体部101の内壁などに接合されているものではなく、本体部101に振盪作用あるいは振動作用などを与えた際に、本体部101の内部で遊動可能な状態に設定されている。
【0039】
また、血液貯留後に本体部101に振盪作用あるいは振動作用などを与えた際、さらには血液を遠心分離機にかけた際に、血液中の赤血球が破壊され溶血に至るのを抑制するためには、採血バッグ100の本体部101に貯留可能な血液量に対して、25.0(mm/ml)以下の関係となる表面積で、ガラス加工体105を設定しておくことが好ましい。
【0040】
また、分取バッグ200及び調整バッグ300の本体部201、301は、袋体によって構成されており、各々が軟質ポリ塩化ビニルなどからなる。これらも前もって滅菌処理が施されている。また、分取バッグ200の上部に設けられた接続口205の両側に、フック45に遊嵌させる孔部210が形成されている。また、調整バッグ300の上部には孔部320が形成されている。この孔部320は、接続口305を上にして所定の器具に懸架させるために用いられるものである。また、調整バッグ300における連結チューブ405の接続口305に対して、上下方向反対側の部位に、調整バッグ300をスタンド5の懸架ハンガー5aに遊嵌させて吊り下げるための孔部310が形成されている。
【0041】
また、連結チューブ401〜406は分離された血液成分を導出するための導出路の役割を担っている。これらの連結チューブ401〜406については、柔軟性を有した樹脂材料、例えば、軟質ポリ塩化ビニルなどの材料から構成されている。
【0042】
また、連結チューブ400のサイズは、その内径寸法がガラス加工体105の外形寸法よりも小さく設定されている。これは、血清を調製及び導出をする際に、ガラス加工体105が連結チューブ400の方に入り込んでしまうのを防止するためである。
【0043】
さらに、図1に示すように、血液成分分離装置1において、連結チューブ401〜406の所要の箇所、すなわち連結チューブ400、402、403、405、406をクランプ500〜504で挟むことで血液及び抽出された血清を導出する際に、その流路を切り替えることができる構成となっている。本実施形態においては連結チューブ400にクランプ500、連結チューブ405にクランプ501、連結チューブ402、403、406にクランプ502、503、504が設けられている。
【0044】
次に、図1に示す装置を用いた血清成分の採取作業について説明する。まず、採取した血液を貯留した採血バッグ100を遠心分離器(図示せず)にかけて、血液を成分毎に分離する。このとき、採血バッグ100内の成分層において血清成分が最上層を形成する。血液成分分離装置1において、クランプ500及びクランプ501は予め閉じておき、クランプ502、503、504は開放状態とする。さらに、スタンド5にセットされる調整バッグ300の支持位置は最も高く、次に、加圧装置3にセットされる採血バッグ100の位置が高く、成分収容部支持装置4にセットされる分取バッグ200の位置が最も低くなるように、加圧装置3、成分収容部支持装置4及びスタンド5の位置を設定しておく。
【0045】
次に、採血バッグ100を加圧装置3にセットする。まず、レバー33を下げて可動板32を下方に回動させて、固定板31の板面を開放する。次に、接続口102を上方に向けるとともに、ガラス加工体105が存在する部位を凹部31aに対向させて採血バッグ100を固定板31の板面に当接させ、採血バッグ100の孔部110をフック35に遊嵌させて採血バッグ100を吊り下げ、その状態を維持しながらレバー33とともに可動板32を回動させて可動板32を閉じる。このとき、トーションバネ34の付勢力が可動板32を介して採血バッグ100に加わることにより、採血バッグ100は、固定板31と可動板32との間に所定の圧力が加わった状態で挟持させる。同時に、ガラス加工体105に対しては圧力が加わらない状態となる。
【0046】
次に、分取バッグ200を成分収容部支持装置4にセットする。まず、レバー43を下げて可動板42を下方に回動させて、固定板41の板面を開放する。次に、分取バッグ200の孔部210をフック45に遊嵌させて分取バッグ200を吊り下げる。3箇所のフック45に全て分取バッグ200を吊り下げることにより、接続口205が上方に向けられた状態で3つの分取バッグ200が固定板41にセットされる。この際、3つの分取バッグ200は採血バッグ100の鉛直下方に位置付けられる。そして、レバー43とともに可動板42を回動させて可動板42を閉じる。
【0047】
次に、連通筒103を破断し、採血バッグ100と連結チューブ400を連通させる。さらに、手動にてクランプ500を開放して、連結チューブ400の流路を開放する。この時、加圧装置3による加圧によって採血バッグ100内の血清成分が押し出され、図6中の矢印によって示すように、連結チューブ400〜404、406を介して3つの分取バッグ200に血清成分が移動する。これにより、3つの分取バッグ200に血清成分が貯留される。経時後、貯留量が多くなるにつれて分取バッグ200が膨らみ、分取バッグ200が可動板42を押圧して若干回動させるようになる。
【0048】
ここで、クランプ500の開放時に、図6中の矢印によって示すように、連結チューブ400〜404、406内に残留していたエアは、血清成分とともに3つの分取バッグ200に押し出され、分取バッグ200の上部に蓄積される。そして、3つの分取バッグ200内に所定量の血清成分が貯留された時点で、クランプ500を閉じて、連結チューブ400の流路を閉鎖する。
【0049】
次に、調整バッグ300を分取バッグ200の下方に位置付けてから、手動にてクランプ501を開放して、連結チューブ405の流路を開放する。この時、3つの分取バッグ200は可動板42によって加圧された状態にあるため、図7中の矢印によって示すように、3つの分取バッグ200の上部に貯留されたエアとともに血清成分の一部が連結チューブ401〜406を通って調整バッグ300に移動する。そして、3つの分取バッグ200内からエアが調整バッグ300に全て移動し、連結チューブ401〜406内が血清成分で満たされた時点で、クランプ501を閉じて、連結チューブ405の流路を閉鎖する。
【0050】
次に、調整バッグ300の孔部310に懸架ハンガー5aを挿入し、調整バッグ300をスタンド5に吊り下げる。この時、調整バッグ300の接続口305は下方を向くため、調整バッグ300内においては、接続口305付近は血清成分によって満たされ、その上部にエアが貯留された状態となる。このような状態で、クランプ501を開いて、連結チューブ405の流路を開放することにより、図8中の矢印によって示すように、調整バッグ300と分取バッグ200との落差による圧力によって、調整バッグ300内の血清成分が3つの分取バッグ200に移動する。そして、調整バッグ300内に血清成分がなくなった後に、クランプ502〜504を閉鎖することによって、採血バッグ100から血清成分を採取して、3つの分取バッグ200に小分けする作業が完了する。なお、調整バッグ300から血清成分が3つの分取バッグ200に移動しにくい場合には、調整バッグ300に手で圧力を加えて血清成分を押し出したり、レバー43を若干下げて3つの分取バッグ200に加える圧力を低減させてもよい。
【0051】
分離採取作業が終了した以降は、連結チューブ402、403、406を溶断するとともに流路を塞いだのちに、個々の分取バッグ200を血液成分分離装置1から切り離す、といった作業を行う。
【0052】
このように構成された本実施形態によれば、次のような作用効果を奏する。
【0053】
本実施形態によれば、成分収容部支持装置4にセットされた複数の分取バッグ200に、採血バッグ100から血清成分が流入して、それぞれの分取バッグ200が膨らんだ際に、固定板41と可動板42とによって複数の分取バッグ200の厚さ方向の両側部が規制されるため、各分取バッグ200における貯留可能な容量は一定に保たれる。また、例えば、1つの分取バッグ200において血清成分の貯留量が多くなった場合には、可動板42がトーションバネ44の付勢に抗して移動する。その際、その分取バッグ200内の圧力が大きくなるため、血液成分の流入量が少なくなり、その分、圧力が小さい分取バッグ200に血液成分が流れるようになる。その結果、複数個の分取バッグ200に血液成分を等量に小分けすることが可能になる。
【0054】
また、連結チューブ402、403、406と分取バッグ200との連結部分を上方に向けているために、分取バッグ200の上部にエアが溜まるようになる。この時、採血バッグ100からの圧力によって膨らんだ複数個の分取バッグ200からの圧力によって可動板は押圧された状態にあるが、クランプ501を閉めて、採血バッグ100からの圧力を解除することにより、複数個の分取バッグ200はトーションバネ44の付勢によって均等に押圧され、分取バッグ200の上部にエアが連結チューブ402、403、406側に戻される。そして、そのエアが調整バッグ300に移動して貯留される。このように、複数個の分取バッグ200内部におけるエアの残留量を低減させることができる。
【0055】
また本実施形態によれば、固定板31における採血バッグ100の下部との対向部位に凹部31aが形成されているため、採血バッグ100を加圧装置3にセットし、可動板32を移動させて採血バッグ100に圧力を加える際に、採血バッグ100の内部において沈んだ状態にある血液凝固促進個体としてのガラス加工体105が凹部31aに位置するようになる。このため、固定板31と可動板32とによって採血バッグ100を挟持させる際に、ガラス加工体105に大きな圧力が加わることが防止されるために、ガラス加工体105が破壊されて採血バッグ100内部の血液成分が使用不能になったり、採血バッグ100が破損するといった不具合を防止することが可能になる。また、固定板と可動板とによって血液貯留部を挟持させる際に、血液貯留部の内容物を残留させることなく移送させることが可能になる。
【0056】
また本実施形態によれば、調整バッグ300に連結されている連結チューブ405を閉鎖した状態とし、採血バッグ100を加圧装置3にセットして採血バッグ100を加圧させることにより、加圧装置3によって採血バッグ100に加わる圧力と、採血バッグ100と分取バッグ200との落差による落差圧によって、採血バッグ100内の血液成分を複数の分取バッグ200に移動させることができる。
【0057】
次に、採血バッグ100に連結されている連結チューブ400を閉鎖した状態とし、調整バッグ300を複数の分取バッグ200の下方に位置付けて、調整バッグ300に連結されている連結チューブ405を開放することにより、成分収容部支持装置4によって分取バッグ200に加わる圧力と、調整バッグ300と分取バッグ200との落差による落差圧によって、複数の分取バッグ200に貯留された血液成分の一部とともに複数の分取バッグ200内のエア及び分取バッグ200から調整バッグ300までの流路内のエアを調整バッグ300に移動させ、調整バッグ300に貯留することができる。
【0058】
次に、調整バッグ300を複数の分取バッグ200の上方に位置付けて、調整バッグ300に連結されている連結チューブ405を開放することにより、調整バッグ300と分取バッグ200との落差による落差圧によって、調整バッグ300から血液成分のみを複数の分取バッグ200に戻すことができる。その結果、複数の分取バッグ200に、エアの残留量が少なくしかも血液成分を均等に効率よく分配することが可能になり、しかも、血液成分を無駄なく複数の分取バッグ200に移動させることが可能になる。
【0059】
また本実施形態によれば、複数の分取バッグ200に圧力を加えているため、採血バッグ100から分取バッグ200への血清の移送速度を低速に保つことができ、採血バッグ100の血液成分の界面を乱すことなく、他の血液成分が混入することを低減した血清を採取することが可能となる。即ち、(採血バッグ100への押圧力+落差圧)>(分取バッグへ200の押圧力)の関係を維持するように、分取バッグ200に圧力を加えることにより、血清の移送速度を低速に保ちながら分取バッグ200に血清を移送することが可能になる。その結果、コンタミが少ない血清を分取バッグ200に移送することが可能になる。
【0060】
図9は本発明の第2実施形態に係る加圧装置の構成を示す説明図である。なお、図9に示す部材において、図2に示す第1実施形態の部材と同一部材あるいは同一機能の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。図9に示す加圧装置3は、図2に示す加圧装置3における固定板31を、凹部31aが形成されていない金属平板とし、さらに、固定板31の全面に、緩衝作用のある平板状の弾性部材37を貼着したものである。弾性部材37の材質としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ゴム(天然ゴム、人工ゴム、シリコンゴム)などが使用可能である。また、形状としては、発泡体(スポンジ、フォーム)、ゲル状体が一例としてあげられる。また、硬度としては、ガラス加工体105によって押圧された際に、少なくともガラス加工体105の寸法分は弾性変形可能な硬度(低反発性)であることが必要となる。また、厚さとしては、ガラス加工体105に対して固定板31と可動板32とから同時に直接圧力が加わらないようにするため、ガラス加工体105の寸法よりも厚いことが望ましい。なお、第2実施形態の加圧装置3においては、弾性部材37としてクロロプレンゴムスポンジが使用されている。
【0061】
図10は、加圧装置3によって採血バッグ100が押圧された状態を示す説明図であり、図10(a)は図2に示す加圧装置3、図10(b)は図9に示す加圧装置3を用いた場合を示すものである。図2に示す加圧装置3においては、可動板32に圧力をかけて固定板31側に回動させた際に、ガラス加工体105が凹部31aに位置することにより、固定板31からガラス加工体105に直接圧力が加わらない。このため、ガラス加工体105が破壊されることが防止される。図9に示す加圧装置3においては、可動板32に圧力をかけて固定板31側に回動させた際に、ガラス加工体105に対向する弾性部材37の部位が弾性変形し、ガラス加工体105からの圧力が弾性部材37によって吸収される。しかも、固定板31からガラス加工体105に直接圧力が加わらない。このため、ガラス加工体105が破壊されることが防止される。
【0062】
このように構成された第2実施形態によれば、弾性部材37の領域内にガラス加工体105が存在すれば、可動板32に圧力をかけて固定板31側に回動させた際に、ガラス加工体105からの圧力が弾性部材37によって吸収されるために、ガラス加工体105が破壊されることが防止される。このため、採血バッグ100内において複数のガラス加工体105の分布にばらつきがあってもガラス加工体105の破壊を防止できる。
【0063】
さらに、採血バッグ100を弾性部材37と可動板32との間に密着させることが可能になるため、ガラス加工体105付近を含めて押圧することが可能にある。このため、例えば、分離された血液成分の最下層にある血球成分を取り出す場合に、採血バッグ100内の残留物を低減することが可能になる。
【0064】
なお、第2実施形態においては、固定板31に弾性部材37を設けたが、本発明はそれに限るものではなく、可動板32に弾性部材37を設けてもよく、さらには、固定板31と可動板32の両方に弾性部材37を設けてもよい。また、第2実施形態において、第1実施形態と同様に、固定板31に凹部31aを設けたり、あるいは弾性部材37においてガラス加工体105が集まる部分の対向部位に、孔部やスリットを設けることにより、弾性を高めるようにしてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したものに限るものではない。例えば、上述した実施形態においては、血清成分を採取したが、血液成分における他の成分を抽出してもよい。また、上述した実施形態においては、3つの分取バッグ200を固定板41にセットしたが、それ以上の個数であってもよいことは言うまでもなく、少なくとも2個以上の個数であれば本発明の効果は達成可能である。また、上述した実施形態においては、成分収容部支持装置4において可動板42を閉じた後にクランプ500を開放したが、それに限らず、可動板42を開いた状態でクランプ500を開放し、クランプ500を閉じた後に、可動板42を閉じてクランプ501を開放してエアの抜き取り作業を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態における成分収容部支持装置を用いた血清採取システムの構成を示す説明図である。
【図2】図1の加圧装置の構成を示す説明図である。
【図3】図1の成分収容部支持装置の構成を示す説明図である。
【図4】図1の血液成分分離装置の構成を示す説明図である。
【図5】成分収容部支持装置に分取バッグをセットした状態を示す説明図である。
【図6】採血バッグから分取バッグに血液成分を分配している状態を示す説明図である。
【図7】分取バッグ内のエアを調整バッグに移動させている状態を示す説明図である。
【図8】調整バッグから分取バッグに血液成分を分配している状態を示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る加圧装置の構成を示す説明図である。
【図10】図2及び図9の加圧装置を用いて採血バッグに圧力をかけた際のガラス加工体付近の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 血清採取システム
2 血液成分分離装置
3 加圧装置
4 成分収容部支持装置
5 スタンド
5a 懸架ハンガー
30、40 基台
31、41 固定板
32、42 可動板
32a、42a 金属板
32b、42b 透明板
33、43 レバー
34、44 トーションバネ
35、45 フック
36、46 レバー用フック
37 弾性部材
100 採血バッグ
101、201、301 本体部
102、205、305 接続口
105 ガラス加工体
200 分取バッグ
110、210、310 孔部
300 調整バッグ
400、401、402、403、404、405、406 連結チューブ
450、451、452 分岐管
500、501、502、503、504 クランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数の血液成分を収納する血液貯留部、当該血液貯留部に連結され所定の血液成分を当該血液貯留部外に送り出す連結管、当該連結管から分岐する複数の分岐管、及び当該複数の分岐管に連結される複数の成分収容部とを有する成分分離装置と、
前記血液貯留部に圧力を加えて前記血液貯留部内の血液成分を前記複数の成分収容部に移動させる分離加圧装置と、を備え、
前記血液貯留部の下方に前記複数の成分収容部を位置付け、前記血液貯留部に加える押圧力と前記血液貯留部と前記複数の成分収容部との落差によって発生する圧力とによって、前記血液貯留部内において成分毎に分離された状態の血液の中から血液成分を前記連結管及び前記分岐管を介して前記複数の成分収容部に移動させることにより、前記血液貯留部から血液成分を採取するとともに前記複数の成分収容部に小分けする血液成分分配装置であって、
前記成分分離装置は、前記連結管から分岐してなる分岐管に連結され、血液成分の流入及び流出が可能な調整用貯留部を有し、
前記分岐管は、前記調整用貯留部を前記複数の成分収容部に対して上方及び下方に位置付け可能な長さに設定され、
前記分離加圧装置は、前記血液貯留部に圧力を加える加圧手段、前記血液貯留部の下方に配置されかつ前記複数の成分収容部を支持する成分収容部支持手段、及び前記複数の成分収容部の上方で前記調整用貯留部を取付及び取外し自在に支持する調整用貯留部支持手段を有し、
前記成分収容部支持手段は、前記分岐管と各成分収容部との連結部分を上方に向けて前記複数の成分収容部を設置する固定板と、当該固定板に対向配置されかつ前記固定板の板面を開閉する可動板と、当該可動板を前記固定板側に付勢する付勢手段とを備え、
前記可動板は、前記固定板の板面を閉じた際に、前記複数の成分収容部を同時に加圧する血液成分分配装置。
【請求項2】
前記血液貯留部は、内部に血液の凝固を促進させる血液凝固促進個体を挿入しており、
前記加圧手段は、前記血液貯留部を設置する固定板と、当該固定板に対向配置されかつ前記固定板の板面に対して近接及び離間する可動板と、前記可動板を前記固定板側に付勢する付勢手段とを備え、
前記固定板における前記血液貯留部の下部との対向部位に凹部を形成した請求項1記載の血液成分分配装置。
【請求項3】
前記血液貯留部は、内部に血液の凝固を促進させる血液凝固促進個体を挿入しており、
前記加圧手段は、前記血液貯留部を設置する固定板と、当該固定板に対向配置されかつ前記固定板の板面に対して近接及び離間する可動板と、前記可動板を前記固定板側に付勢する付勢手段とを備え、
前記固定板及び前記可動板の少なくとも一方の板面に、前記血液貯留部に当接する緩衝部材を設けた請求項1記載の血液成分分配装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の血液成分分配装置を用いた血液成分分配方法であって、前記調整用貯留部の分岐管を閉鎖した状態とし、前記血液貯留部を前記加圧手段にセットして前記血液貯留部を加圧させ、前記血液貯留部内の血液成分を前記複数の成分収容部に移動させる工程と、
前記血液貯留部に連結された前記連結管を閉鎖し、前記調整用貯留部を前記複数の成分収容部の下方に位置付けて、前記調整用貯留部の分岐管を開放し、前記複数の成分収容部に貯留された血液成分の一部とともに前記複数の成分収容部内のエア及び前記複数の成分収容部から前記調整用貯留部までの流路内のエアを前記調整用貯留部に移動させる工程と、
前記調整用貯留部の分岐管を閉鎖し、前記調整用貯留部と前記分岐管との連結部分を下方に向けた状態で前記調整用貯留部を前記複数の成分収容部の上方に位置付けて、前記調整用貯留部の分岐管を開放し、前記調整用貯留部内の血液成分を前記複数の成分収容部に戻す工程と、
前記複数の成分収容部を封止して前記成分収容部支持手段から取り出す工程とを有する血液成分分配方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−275562(P2007−275562A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63746(P2007−63746)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】