説明

血液検査装置

【課題】血液検査装置の姿勢によっては、血液センサの排出時において血液で筐体を汚すことがあった。
【解決手段】筐体22と、この筐体22の一方に設けられた穿刺部24と、この穿刺部24に対向して設けられたレーザ穿刺ユニット25と、穿刺部24に装着されるセンサ23と、穿刺部24に設けられるとともにセンサ23と接続するコネクタ24cと、このコネクタ24cに接続された電気回路部28と、この電気回路部28に接続された表示部33と、センサ23を排出する排出手段30とを備え、筐体22の姿勢を検知する姿勢検知部31を設け、この姿勢検知部31からの出力に基づいて、センサ23の排出の許可或いは禁止を表示部33に表示するものである。これにより、所期の目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液検査装置に係り、更に詳しくは前記血液検査装置の姿勢に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の血液検査装置について説明する。従来の血液検査装置1は、図21に示すように、略直方体形状をした筐体2と、この筐体2の一方に設けられた穿刺部3と、この穿刺部3に対向して設けられた穿刺手段4と、この穿刺手段4を起動する穿刺ボタン4aと、血液センサ(以下センサという)5が積層収納されたセンサカートリッジ6と、このセンサカートリッジ6からセンサ5を一枚ずつ穿刺部3へ搬送する搬送手段7と、穿刺部3に設けられるとともにセンサ5と当接するコネクタ3aと、このコネクタ3aに接続された電気回路部8と、この電気回路部8に接続された表示部9(図23参照)と、穿刺部3へ搬送されたセンサ5を排出する排出手段10とから構成されていた。
【0003】
以上のように構成された血液検査装置1の動作について以下説明する。先ず、センサカートリッジ6内の一番下のセンサ5を搬送手段7で穿刺部3にセットする。次に、皮膚11を穿刺部3に当接し、穿刺ボタン4aを押下する。穿刺ボタン4aを押下すると穿刺手段4により皮膚11が穿刺される。穿刺された皮膚11からは血液12が滲出する。この血液12は、センサ5に取り込まれ、このセンサ5内で試薬と反応して化学変化を生ずる。この化学変化を電気回路部8で測定し、その結果を表示部9に表示する。
【0004】
測定が終了したら、図22に示すように、排出手段10を構成する排出ボタン10aを指13で押下する。排出ボタン10aを押下すると、排出手段10を構成する押し出し部10bによりセンサ5が外部に排出される。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2004−4046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこのような従来の血液検査装置1では、図23に示すように穿刺部3を上方に向けたまま、指13で排出ボタン10a押下すると、排出されたセンサ5は筐体2上に落下することになる。このときセンサ5に供給された血液12が筐体2に付着して筐体2を汚すことになる。筐体2が血液12で汚されると美観を損なうばかりか不衛生になるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、このような問題を解決したもので、血液で筐体を汚さない血液検査装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明の血液検査装置は、筐体の姿勢を検知する姿勢検知部を設け、この姿勢検知部からの出力に基づいて、血液センサの排出の許可或いは禁止を表示部に表示するものである。これにより、所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、筐体の姿勢を検知する姿勢検知部を設け、この姿勢検知部からの出力に基づいて、血液センサの排出の許可或いは禁止を表示部に表示するものであり、血液センサ排出の許可或いは禁止が表示部に表示されるので、患者はこの表示部の指示に従って血液センサを排出することができる。従って、誤った姿勢で血液センサを排出して筐体を血液で汚すことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における血液検査装置21の断面図である。図1において、22は直方体形状をした筐体であり、樹脂で成形されている。この筐体22の下辺22aの角部には、血液センサ(以下センサという)23が装着される穿刺部24が設けられている。この穿刺部24に対向してレーザ穿刺ユニット(穿刺手段の一例として用いた)25が装着されている。また、穿刺部24とレーザ穿刺ユニット25に隣接して並列にセンサカートリッジ26が挿抜自在に挿入されている。
【0011】
レーザ穿刺ユニット25の上方には負圧手段27が設けられており、この負圧手段27の上方には電気回路部28が設けられている。また、この電気回路部28と筐体22の上辺22bとの間には挿抜自在な電池29が挿入されている。
【0012】
30は、排出手段であり、この排出手段30の上方には、排出ボタン30aが一体的に形成されている。この排出ボタン30aは筐体22の上辺22bの角に露出している。また、この排出手段30の下方は、穿刺部24に装着されたセンサ23を押し出す押し出し部30bが連結されている。30cは、排出手段30の移動を係止する凹部である。30dは排出手段30を上方へ付勢するバネである。
【0013】
31は、筐体22が水平に対してどのような姿勢かを検出する姿勢検知部であり、この姿勢検知部31の出力はロック部32を制御する。即ち、このロック部32から突出するロック棒32aを排出手段30に形成された凹部30cと係合することにより、排出手段30の移動を禁止する。本実施の形態におけるロック部32はマグネットで構成されている。
【0014】
図2は、血液検査装置21の外観斜視図である。筐体22の前面には、液晶で形成された表示部33が設けられており、その下辺22aの角には穿刺部24が設けられている。また、上辺22bの角には排出ボタン30aが露出している。また、この上辺22bには穿刺ボタン25jが設けられている。
【0015】
以下、各部について詳細に説明する。図1に戻って、穿刺部24は上ホルダ24aと下ホルダ24bとで構成されており、この上ホルダ24aと下ホルダ24bとの間にセンサ23が挟まれて固定される。上ホルダ24aにはセンサ23に形成された接続電極(図示せず)に当接するコネクタ24cが設けられており、このコネクタ24cは電気回路部28に接続されている。
【0016】
電気回路部28は、電池29から電力が供給されており、この電気回路部28の出力は表示部33に接続されている。電気回路部28は、センサ23からの信号に基づいて血液12の血糖値を測定し、その値を表示部33に表示する。
【0017】
26は、センサカートリッジであり、このセンサカートリッジ26は樹脂で形成されるとともに略直方体形状をしている。このセンサカートリッジ26のケース26k内にはセンサ23が積層収納されるセンサ収納室26aと、このセンサ収納室26aと並列に設けられるとともに乾燥剤26bが収納される乾燥剤収納室26cと、この乾燥剤収納室26cの下方に設けられるとともに、センサ23を搬送する搬送手段26dとから構成されている。
【0018】
搬送手段26dは、スライドプレート26fと、このスライドプレート26fを矢印19a方向(出口26eの反対側)へ付勢するバネ26gとで構成されている。スライドプレート26fは、センサ収納室26a内に積層収納されたセンサ23の中、一番下のセンサ23を穿刺部24へ搬送するものである。センサ23の搬送が完了したらスライドプレート26fは、バネ26gの力で元の位置(初期状態)に戻る。
【0019】
図3は、排出手段30を構成する押し出し部30bと、その周辺の要部斜視図である。図3(a)は、穿刺部24に装着されたセンサ23の押し出し(排出)前の斜視図である。押し出し部30bの先端は、下方に向かって傾斜した傾斜面30dを形成しており、この傾斜面30dがセンサ23の後端23bに当接するように配置されている。
【0020】
センサ23の排出は、図3(b)に示すように、排出ボタン30aの押下により、押し出し部30bが矢印19b方向に下がる。そうすると、傾斜面30dがセンサ23の後端23bを水平方向に移動させ、センサ23を穿刺部24から押し出すことになる。即ち、センサ23が血液検査装置21から廃棄される。
【0021】
図4は、穿刺部24と、その近傍の断面図である。穿刺部24は、上ホルダ24aと下ホルダ24bとで構成されている。この穿刺部24へは、センサ収納室26aに積層収納されたセンサ23の内、一番下のセンサ23が搬送されて、上ホルダ24aと下ホルダ24bとの間に挟まれて固定される。
【0022】
穿刺部24の一方側は、センサカートリッジ26の出口26eに連結しており、上ホルダ24aの他方側にはコネクタ24cが装着されている。このコネクタ24cは、穿刺部24にセットされたセンサ23の接続電極51a〜55a,57a(図8参照)と当接する位置に設けられている。
【0023】
上ホルダ24aの下面には、センサ23の位置決め孔46(図7〜9参照)に嵌合する位置決め凸部24dが形成されており、この位置決め凸部24dは、センサ23の位置決め孔46と嵌合してセンサ23を定位置に位置決めする。
【0024】
上ホルダ24aの略中央には貫通孔24fが設けられている。この貫通孔24fの上面は、透明(レーザ光25hを通過させる)のフィルム24gで封鎖されている。この貫通孔24fには、負圧手段27から負圧路27aが連結されており、貫通孔24f内に負圧を加えることができる。
【0025】
下ホルダ24bは、バネ24hで上方へ付勢されている。下ホルダ24bの略中央にも貫通孔24jが形成されている。この貫通孔24jと、センサ23の貯留部44と、上ホルダ24aに形成された貫通孔24fとは一直線上に形成されており、この内部をレーザ光25hが貫通して皮膚11を穿刺するものである。皮膚11が穿刺されると、皮膚11からは血液12が滲出し、この血液12はセンサ23の貯留部44に取り込まれる。
【0026】
27bは、穿刺部24の横側面を形成する筐体22に設けられた皮膚検知センサであり、この皮膚検知センサ27bは、皮膚11の当接を検知するものである。
【0027】
図5は、姿勢検知部31とその周辺の要部ブロック図である。図5において、筐体22の水平面に対する姿勢を検知する姿勢検知部31の出力は、電気回路部28内の判別部28mに接続されており、この判別部28mの出力は制御部28jに接続されている。制御部28jの出力は表示部33と、ロック部32に接続されており、このロック部32の出力は排出手段30を制御する。また、この排出手段30は排出ボタン30aと機構的に連結している。なお、判別部28mには、判別値を設定する判別値設定部28nが接続されている。
【0028】
以上のように構成された姿勢検知部31とその周辺の動作を説明する。先ず、姿勢検知部31では、筐体22の水平面に対する姿勢が検知される。この姿勢検知部31の出力は、この姿勢でのセンサ23の排出が妥当であるか否かを判別部28mで判別する。即ち、この姿勢においてセンサ23を排出するとセンサ23に付着した血液12が筐体22に付着する可能性が在るか否かを判別する。
【0029】
判別の結果、センサ23に付着した血液12が筐体22に付着する可能性が在る姿勢の場合には、センサ23の排出を禁止する信号を制御部28jに送る。これに対して、血液12が筐体22に付着する可能性が無い姿勢の場合には、センサ23の排出を許可する信号を制御部28jに送る。なお、判別値設定部28nにより、どの姿勢レベルまでを禁止とし、どの姿勢レベルから許可するかの設定値を可変することができる。
【0030】
制御部28jでは、血液12が筐体22に付着する可能性が在る姿勢の場合には、排出禁止の旨を表示部33に表示するとともに、ロック部32を駆動して排出手段30の動き(排出動作)を禁止する。従って、この状態において、排出ボタン30aを押下してもセンサ23は排出されない。
【0031】
制御部28jで、血液12が筐体22に付着する可能性が無い姿勢の場合には、排出許可の旨を表示部33に表示するとともに、ロック部32を駆動して排出手段30の動き(排出動作)を許可する。従って、この状態において、排出ボタン30aを押下するとセンサ23が排出される。
【0032】
以上のように、筐体22の姿勢により、血液12の付着したセンサ23の排出が禁止されたり、許可されたりするので、血液12が筐体22に付着して汚すことは無く、血液検査装置21は清潔に保たれる。
【0033】
図6は、筐体22に内蔵されるとともに、加速度センサで構成された姿勢検知部31の姿勢とその出力の関係を示した状態側面図である。30aは、筐体22の上方に配置された排出ボタンであり、大矢印36aは、筐体22の下辺22a方向を示す。また、矢印36bは、センサ23の排出方向を示す。
【0034】
図6(a)は、水平面に対して筐体22が垂直になっており、且つ、排出ボタン30aが上方に位置している場合であり、姿勢検知部31からは、「−1」の出力が得られる。この場合、センサ23が矢印36b方向に排出されたとしても、センサ23に付着した血液12が筐体22に付着する可能性は無いので、センサ23の排出は許可される。
【0035】
図6(b)は、水平面に対して筐体22が45度の斜め方向に傾いている場合である。この場合、姿勢検知部31からは、「−√2分の1」の出力が得られる。この場合も、センサ23が矢印36b方向に排出されたとしても、センサ23に付着した血液12が筐体22に付着する可能性は無いので、センサ23の排出は許可される。
【0036】
図6(c)は、水平面に対して筐体22が水平になっている場合であり水平面と平行である。この場合、姿勢検知部31から出力は得られない。即ち、出力は「0」である。この場合、センサ23が矢印36b方向に排出されると、センサ23に付着した血液12が筐体22に付着する可能性があるので、センサ23の排出は禁止される。
【0037】
図6(d)は、水平面に対して筐体22が135度の斜め方向に傾いている場合である。この場合、姿勢検知部31からは、「+√2分の1」の出力が得られる。この場合も、センサ23が矢印36b方向に排出されると、センサ23に付着した血液12が筐体22に付着する可能性があるので、センサ23の排出は禁止される。
【0038】
図6(e)は、水平面に対して筐体22が180度傾いている場合であり、筐体22が逆方向になっている。この場合、姿勢検知部31からは、「+1」の出力が得られる。この場合も、センサ23が矢印36b方向に排出されると、センサ23に付着した血液12が筐体22に付着する可能性があるので、センサ23の排出は禁止される。
【0039】
以上説明したように、筐体22内に固定して設けられた姿勢検知部31の姿勢により、排出手段30による血液12が付着したセンサ23の排出が制御される。従って、筐体22が血液12で汚されること無い。なお、姿勢検知部31から出力される信号レベルのうち、どこまでの信号レベルを許可(或いは禁止)するかは、判別値設定部28nで自由に設定することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、姿勢検知部31として加速度センサを用いたが、これは加速度センサに限ることはなく、例えばジャイロセンサのように姿勢を検知できているものであれば、それを用いることができる。
【0041】
図7は、センサカートリッジ26に積層収納されるセンサ23の断面図である。このセンサ23は、基板41と、この基板41の上面に貼り合わされたスペーサ42と、このスペーサ42の上面に貼り合わされたカバー43とで構成されている。
【0042】
44は、血液12(図4参照)の貯留部であり、この貯留部44は、基板41の略中央に形成された基板孔41aと、この基板孔41aに対応してスペーサ42に形成されたスペーサ孔42aと、基板孔41aに対応してカバー43に形成されたカバー孔43aとが連通して形成されている。また、46は、センサ23の穿刺部24への装着位置を決める位置決め孔であり、センサ23を貫通して設けられている。この位置決め孔46は、上ホルダ24aに形成された位置決め凸部24d(図4参照)と嵌合して位置決めされる。
【0043】
45は、この貯留部44に一方の端が連結された血液12の供給路であり、貯留部44に溜められた血液12を毛細管現象で一気に検出部47へ導く路である。また、この供給路45の他方の端は空気孔48に連結している。貯留部44の容積は0.904μLであり、供給路45の容積は0.144μLとしている。このように少量の血液12で検査可能とし、患者への負担を軽減している。
【0044】
50は、検出部47上に載置された試薬である。この試薬50は、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して融解させて試薬溶液を調整し、これを基板41に形成された検出電極51,53(図8参照)上に滴下し、乾燥させることで形成したものである。この試薬50は吸湿すると性能の劣化が進行する。この劣化を防止するため、センサカートリッジ26内には乾燥剤26bを格納している。
【0045】
ここで、基板41の上面には金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法或いは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザ加工により検出電極51〜55(図8参照)と、この検出電極51〜55から夫々導出された接続電極51a〜55aと識別電極57aが一体的に形成されている。
【0046】
また、基板41、スペーサ42、カバー43の材質は共にポリエチレンテレフタート(PET)を用いている。材料の共用化を図ることにより、管理コストの低減を図っている。
図8は、センサ23の透視平面図であり、一方の端には、接続電極51a〜55aと、識別電極57aが形成されている。接続電極53aと識別電極57aとの間に、導電体パターンで形成された識別部57が形成されている。
【0047】
44は、センサ23の略中央に設けられた血液12の貯留部であり、この貯留部44に一方の端が接続された供給路45が検出電極52に向かって設けられている。そして、この供給路45の他方の端は空気孔48に連結している。この供給路45上には、貯留部44から順次接続電極54aに接続された検出電極54と、接続電極55aに接続された検出電極55と、再度接続電極54aに接続された検出電極54と、接続電極53aに接続された検出電極53と、接続電極51aに接続された検出電極51と、再度接続電極53aに接続された検出電極53と、接続電極52aに接続された検出電極52が設けられている。また、検出電極51,53上には、試薬50(図7参照)が載置される。
【0048】
接続電極53aと識別電極57a間の電気的な導通があるか無いかで、センサ23が穿刺部24に装着されたか否かを識別することができる。即ち、このセンサ23を穿刺部24に搬送したとき、接続電極53aと識別電極57a間の電気的な導通を検知することにより、センサ23が正しく穿刺部24に装着されたか否かを検知することができる。若し電気的な導通がなければ、センサ23が穿刺部24に装着されていない訳である。この場合は、血液検査装置21の表示部33(図2、図11参照)へ警告表示することができる。
また、識別部57の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納したりすることが可能となる。従って、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行なうことができる。
【0049】
図9は、センサ23の斜視図である。このセンサ23は長方形状をした板体で形成されている。この板体の略中央には貯留部44が形成されており、一方の端には接続電極51a〜55aと識別電極57aが形成されている。また、他方の端近傍には位置決め孔46が形成されている。この位置決め孔46は、貯留部44側が狭まった台形をしている。この位置決め孔46と貯留部44との間に空気孔48が形成されている。
【0050】
図10、レーザ穿刺ユニット25の断面図である。レーザ穿刺ユニット25は、発振チューブ25aと、この発振チューブ25aに連結された筒体25bとで構成されている。発振チューブ25a内には、Er:YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ結晶25cとフラッシュ光源25d(光源の一例)が格納されている。発振チューブ25aの一方の端には透過率約1%の部分透過鏡25eが装着されており、他方の端には全反射鏡25fが装着されている。部分透過鏡25eの前方の筒体25b内には凸レンズ25gが装着されており、レーザ光25hで患者の皮膚下に焦点を結ぶように設定されている。
【0051】
以上のように構成されたレーザ穿刺ユニット25について、以下にその動作を説明する。穿刺ボタン25j(図2、図11参照)を押下する。そうすると、高電圧発生回路28h(図11参照)が駆動し、フラッシュ光源25dが励起される。このフラッシュ光源25dから放射された光は、Er:YAGレーザ結晶25c内に入り、ここで、全反射鏡25fとYAGレーザ結晶25cと部分透過鏡25eの間を反射して共振するとともに増幅される。この増幅されたレーザ光の一部は誘導放出により部分透過鏡25eを通過する。この部分透過鏡25eを通過したレーザ光25hはレンズ25gを透過して放射され、皮膚11下で焦点を結ぶ。穿刺する深さは、皮膚11から0.1mm〜1.5mmが適しており、本実施の形態では0.5mmとしている。
【0052】
本実施の形態では、患者の皮膚11へ非接触で穿刺できるレーザ穿刺ユニット25を用いているので、可動部品は無く故障は少ない。なお、このレーザ光25hでの穿刺電圧は、約300Vとしている。従って、患者に与える苦痛は少ない。
【0053】
図11は、電気回路部28とその周辺のブロック図である。図11において、センサ23の接続電極51a〜55a、識別電極57a(図8参照)は、上ホルダ24aに設けられたコネクタ24cを介して夫々切換回路28aに接続されている。この切換回路28aの出力は、電流/電圧変換器28bの入力に接続されている。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)28cを介して演算部28dの入力に接続されている。この演算部28dの出力は、液晶で形成された表示部33と送信部28eに接続されている。また、切換回路28aには基準電圧源28fが接続されている。なお、この基準電圧源28fはグランド電位であっても良い。
【0054】
28gは制御部であり、この制御部28jの出力は、レーザ穿刺ユニット25に接続された高電圧発生回路28hと、切換回路28aの制御端子と、演算部28dと、送信部28eと、負圧手段27と、排出手段30をロックするロック部32に接続されている。また、制御部28jの入力には、レーザ光25hを発射させる穿刺ボタン25jと、皮膚検知センサ27bと、タイマ28kと,姿勢検知部31及び判別値設定部28nとが接続された判別部28mが接続されている。
【0055】
以下、血糖値の測定動作を説明する。先ず、穿刺ボタン25jを押下して、レーザ穿刺ユニット25で皮膚11を穿刺する。そして、この穿刺により滲出した血液12の性質を測定する。血液12の性質を測定する測定動作では、切換回路28aを切換えて、検出電極51(図8参照)を電流/電圧変換器28bに接続する。また、血液12流入を検知するための検知極となる検出電極52を基準電圧源28fに接続する。そして、検出電極51及び検出電極52間に一定の電圧を印加する。この状態において、血液12が流入すると、検出電極51,52間に電流が流れる。この電流は、電流/電圧変換器28bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器28cによってデジタル値に変換される。そして、演算部28dに向かって出力される。演算部28dはそのデジタル値に基づいて血液12が十分に流入したことを検出する。なお、この時点で負圧手段27の動作をオフにする。
【0056】
次に、血液成分であるグルコースの測定が行なわれる。グルコース成分量の測定は、先ず、制御部28jの指令により、切換回路28aを切換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極51を電流/電圧変換器28bに接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極53を基準電圧源28fに接続する。
【0057】
なお、血液中のグルコースとその酸化還元酵素とを一定時間反応させる間は、電流/電圧変換器28b及び基準電圧源28fをオフにしておく。そして、一定時間(1〜10秒)の経過後に、制御部28jの指令により、検出電極51と53間に一定の電圧(0.2〜0.5V)を印加する。そうすると、検出電極51,53間に電流が流れる。この電流は電流/電圧変換器28bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器28cによってデジタル値に変換される。そして、演算部28dに向かって出力される。演算部28dではそのデジタル値を基にグルコース成分量に換算する。
【0058】
グルコース成分量の測定後、Hct値の測定が行なわれる。Hct値の測定は次のように行なわれる。先ず、制御部28jからの指令により切換回路28aを切換える。そして、Hct値の測定のための作用極となる検出電極55を電流/電圧変換器28bに接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極51を基準電圧源28fに接続する。
【0059】
次に、制御部28jの指令により、電流/電圧変換器28b及び基準電圧源28fから検出電極55と51間に一定の電圧(2V〜3V)を印加する。検出電極55と51間に流れる電流は、電流/電圧変換器28bによって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器28cによってデジタル値に変換される。そして演算部28dに向かって出力される。演算部28dはそのデジタル値に基づいてHct値に換算する。
【0060】
この測定で得られたHct値とグルコース成分量を用い、予め求めておいた検量線または検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正し、その補正された結果を表示部33に表示する。また、補正された結果は送信部28eからインスリンを注射する注射装置に向けて送信する。
【0061】
以上、グルコースの測定を例に説明したが、センサ23の試薬50を交換して、グルコースの測定の他に乳酸値やコレステロールの血液成分の測定にも適用できる。
【0062】
姿勢検知部31による筐体22の姿勢に応じて、排出手段30を制御するロック部32の動作は先に図5で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0063】
次に、図12を用いて血液検査装置21の検査方法を説明する。先ずステップ61では、搬送手段26dを構成するスライドプレート26fをセンサカートリッジ26の出口26e方向に移動させる。このことにより、積層収納されたセンサ23の内、一番下のセンサ23を穿刺部24へ搬送することができる。この搬送の確認は、センサ23の接続電極53a(図8参照)と識別電極57aの導通を検知することにより行う。その後、スライドプレート26fはバネ26gの力で待機状態に戻る。
【0064】
なお、ステップ61において、センサ23を搬送した後、接続電極53aと識別電極57a間の導通を確認して、センサカートリッジ26内にセンサ23が在るか無いかを確認し、表示部33に表示することができる。この確認の結果、センサ23が無い場合は新しいセンサカートリッジ26と交換する。
【0065】
次に、ステップ62に移行する。ステップ62では、血液検査装置21を患者の皮膚11に当接させる。この皮膚11への当接は皮膚検知センサ27bの出力で行う。皮膚11への当接が確認されたらステップ63に移行し、負圧手段27を動作させて穿刺部24に負圧を加える。負圧を加えることにより皮膚11は盛り上がる。
【0066】
負圧手段27の動作に伴う電流の変化、或いはタイマ28kにより予め定められた時間が経過すると、下ホルダ24bに当接した皮膚11が負圧により十分盛り上がったと判断し、ステップ64に移行する。ステップ64では、表示部33に穿刺可である旨の表示をする。そして、ステップ65に移行し、穿刺ボタン25jの押下を待つ。なお、この穿刺は自動的に行うこともできる。自動的に行う場合、穿刺タイミングを表示部33に表示するか、或いは音で患者に警告して知らせることが望ましい。
【0067】
穿刺ボタン25jが押下されるとステップ66に移行する。ステップ66では、ロック部32により排出手段30をロックして、センサ23の排出を禁止する。そして、ステップ67に移行する。
【0068】
ステップ67では、ステップ64で行った表示部33への表示をオフする。そして、ステップ68へ移行する。ステップ68では皮膚11の穿刺により、滲出した血液12がセンサ23の貯留部44に取り込まれる。この貯留部44に取り込まれた血液12は、供給路45による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部47に取り込まれる。そして、血液12の血糖値が測定される。
【0069】
ステップ68で血糖値が測定されたら、ステップ69に移行し、負圧手段27をオフする。そして、ステップ70に移行する。ステップ70では、測定した血糖値を表示部33に表示する。なお、負圧手段27のオフは、血液12が検出電極52へ到達した時点でオフにしても良い。
【0070】
これで、血液12の測定は終了し、ステップ71へ移行する。ステップ71では、姿勢検知部31により、筐体22の姿勢を検知する。そして、ステップ72へ移行する。ステップ72において、筐体22から使用済みのセンサ23を排出したとしても、血液12が筐体22に付着しない姿勢であるか否かを判定する。血液12が筐体22に付着しない姿勢の場合は、ステップ73へ移行する。ステップ73では、ロック部32により排出手段30のロックを解除するとともに、表示部33へセンサ23の排出許可の旨の表示をし、ステップ74へ移行する。
【0071】
ステップ74では、排出ボタン30aの押下を待つ。ステップ74において、排出ボタン30aが押下されるとステップ75へ移行し、使用済みのセンサ23は筐体22外へ排出される。このセンサ23の排出時において。筐体22の姿勢は保証されているので、排出されたセンサ23に付着した血液12で筐体22を汚すこと無い。
【0072】
ステップ72において、筐体22から使用済みのセンサ23を排出すると、筐体22に血液12が付着する可能性がある姿勢の場合はステップ76へ移行する。ステップ76では、ロック部32により排出手段30の動作をロック(禁止)し、ステップ77へ移行する。ステップ77では、表示部33へセンサ23の排出を禁止する旨の警告表示をし、ステップ71へ戻る。そして、筐体22の姿勢を検知し排出可能な姿勢になるまで待つ。
【0073】
また、ステップ74では、排出ボタン30aが押下されない場合はステップ71へ戻り、筐体22の姿勢を検知し排出可能な姿勢を確認した上で排出ボタン30aの押下を待つ。
以上、説明したように、ステップ66において、血液12が付着したセンサ23の排出を先ず禁止して、その後、ステップ71において筐体22の姿勢検知をしてからセンサ23の廃棄許可或いは禁止を決定して、排出手段30を制御するので、筐体22へ血液12が付着して汚すことは無い。
【0074】
また、ステップ65における穿刺は、貯留部44を貫通(図8参照)して行われるので、滲出した血液12のほとんど全てが貯留部44に溜まり血液検査に用いられる。従って、滲出した血液12が無駄なく用いられ患者にかける負担は最小のものとなる。
【0075】
(実施の形態2)
図13は、実施の形態2における血液検査装置81の断面図である。この血液検査装置81は、姿勢検知部とロック部が機構的に構成されている点で実施の形態1と相違する。本実施の形態では、この相違点について詳しく説明する。なお、実施の形態1と同様のものには同符号を付して説明を簡略化している。これは、以降の実施の形態においても同様とする。
【0076】
図13は、血液検査装置81の断面図であり、この血液検査装置81は、姿勢検知部82と、この姿勢検知部82と一体的に構成されたロック部83が筐体22内に装着されている。姿勢検知部82は、筒体82a内を重力方向に摺動自在の錘82bが挿入されたものである。また、ロック部83は、図13、14に示すように、支点83bで回動自在に設けられたロック部材83aで形成されている。このロック部材83aの一方には凸部83c(実施の形態1におけるロック棒32aに該当)が形成されており、排出手段30に設けられた凹部30cへ嵌入可能に設けられている。また、ロック部材83aの凸部83c側は、バネ83dで凹部30c側へ付勢されている。ロック部材83aの他方83e側は摺動する錘82bに当接し、錘82bとの間で滑動自在に設けられている。
【0077】
即ち、錘82bが筒体82aの一方82c側にあるときは、ロック部材83aの他方83e側は錘82bで押されるので、凸部83cは凹部30cから離脱して、排出手段30のロックは解除される。従って、排出ボタン30aを押下することにより、排出手段30は移動し、押し出し部30bでセンサ23を穿刺部24から押し出して排出する。このときのロック部材83aを図14では実線で示している。
【0078】
また、錘82bが筒体82aの他方82d側にあるときは、筒体82aの一方82c側には空間82fが形成される。従って、ロック部材83aの一方側はバネ83dで付勢されているので、凸部83cは凹部30cへ嵌入する。即ち、排出手段30はロックされる。この状態では、排出ボタン30aを押下しても、排出手段30は移動せず、押し出し部30bでセンサ23を押し出して排出することはできない。このときのロック部材83aを図14では点線で示している。
【0079】
このように、本実施の形態における姿勢検知部82とロック部83とは全て機構的に形成されているので、省電力化を図ることができるとともに、簡単な構成で実現することができる。
【0080】
84は、ロック部材83aの動きを検知するセンサである。このセンサ84は、ロック部材83aに形成された凸部83cが排出手段30に形成された凹部30cに嵌入しているときオンとなり、凸部83cが凹部30cから離脱したときオフとなる(図14参照)。
このセンサ84は、発光ダイオードと受光トランジスタとで構成された光学的なセンサを用いている。このセンサ84の出力は、判別部(実施の形態1における判別部28mに該当)の出力として、電気回路部85(実施の形態1における電気回路部28に該当)の制御部28jの入力へ接続されている。制御部28jでは、センサ84の出力に基づいて排出手段30による排出が許可されているか、否かを表示部33へ表示する。なお、本実施の形態における電気回路部85においては、電気回路で形成されたロック部32と判別値設定部28nは無い。
【0081】
図15は、血液検査装置81の各姿勢における断面図である。図15(a)は、血液検査装置81がロック時の姿勢における断面図である。即ち、血液検査装置81の穿刺部24を上方に向けた場合を示している。この場合錘82bは、重力により筒体82a内の他方82d側へ移動する。そうすると、筒体82aの一方82c側に空間82fが形成される。ロック部材83aはバネ83dで凹部30c方向に付勢されるので、凸部83cは凹部30cへ嵌入する。
【0082】
このことにより、排出手段30の移動はロックされる。即ち、排出ボタン30aを押下しても排出手段30は移動しない。従って、センサ23は穿刺部24から排出されることはなく、センサ23に付着された血液12で筐体22を汚すことはない。
図15(b)は、血液検査装置81の中間姿勢における断面図である。即ち、血液検査装置81の穿刺部24を上方から下方に向けて動かしている途中の場合を示している。この場合、錘82bは重力に従い、筒体82aの一方82c側、或いは他方82d側となる。
【0083】
錘82bが筒体82aの一方82c側に移動すれば、凸部83cは錘82bで凹部30cと反対方向へ移動し、凸部83cは凹部30cから離脱する。即ち、排出手段30によるロックは解除される。
【0084】
一方、錘82bが筒体82aの他方82d側に移動すれば、バネ83dに付勢されて、凸部83cは凹部30cへ進入する。即ち、排出手段30によるロックされる。
図15(c)は、血液検査装置81のロック解除時の姿勢における断面図である。これは、血液検査装置81の穿刺部24を下方に向けた場合である。この場合、錘82bは重力により、筒体82a内の一方82c側へ移動する。錘82bの移動により、ロック部材83aの他方83eは、移動した錘82bで押し出される。即ち、ロック部材83aはバネ83dの力に抗して回動し、凸部83cは凹部30cから完全に離脱する。
【0085】
このことにより、排出手段30のロックは解除され排出手段30の移動は自由となる。即ち、この状態において排出ボタン30aを押下すると、排出手段30は下方に移動して、押し出し部30bでセンサ23を穿刺部24から押し出して排出することができる。穿刺部24は筐体22の下方に位置した姿勢であるので、センサ23は筐体22に触れることなく排出される。即ち、センサ23に付着された血液12で筐体22を汚すことはない。
【0086】
(実施の形態3)
図16は、実施の形態3における血液検査装置91(実施の形態1における血液検査装置21に該当)に用いる姿勢検知部92(実施の形態1における姿勢検知部31に該当)と判別部93(実施の形態1における判別部28mに該当)の動作原理を説明する斜視図である。
【0087】
本実施の形態における姿勢検知部92には、振り子92aを用いており、判別部93は、振り子92aの重力に従って振れる振り子92aの振れ角度を直接機構的に判別する点で実施の形態1と相違する。判別部93の出力はセンサ94で検知され血液検査装置91の電気回路部95(実施の形態1における電気回路部28に該当)内の制御部28jへ入力されている。
【0088】
本実施の形態における姿勢検知部92と判別部93とは全て機構的に形成されているので、省電力化を図ることができるとともに、簡単な構成で実現することができる。また、本実施の形態における判別部93は、精密な姿勢角度検知ができる特徴も有している。
【0089】
図16において、96は血液検査装置91の筐体22の上方と下方(図1参照)を連結する筐体22の一つの面である。この面96に支軸92bが立設されており、この支軸92bに振り子92aが(図16において水平方向)回動自在に設けられている。振り子92aと支軸92bとで姿勢検知部92を構成している。
【0090】
次に、判別部93について説明する。93bは面96に立設されたもう一つの支軸であり、この支軸93bには、検知レバー93aが回動自在に装着されている。検知レバー93aの一方の端には、検知部93cが設けられており、この検知部93cはバネ93dで面96から遠ざかる方向(図16において垂直方向)に付勢されている。
【0091】
検知レバー93aの他方の端には導体で形成された凸部94aが形成されている。また面96上には、導体で形成された凹部94bを有する部材94cが装着されており、凸部94aは凹部94bへ嵌入可能に配置されている。この凸部94aと凹部94bとが導通、或いは非導通となることにより機構的なセンサ94を構成している。なお、このセンサ94として、発光ダイオードと受光トランジスタとで構成された光学センサを用いることもできる。
【0092】
以上のように構成された姿勢検知部92において、水平面に対して面96の姿勢の変化により、振り子92aが検知部93cに当接する。そして、検知レバー93aの一方をバネ93dの力に抗して押し下げる。この検知レバー93aの押し下げにより他方の端に設けられた凸部94aは、凹部94bから離間する。即ち、センサ94はオフとなる。
【0093】
また、水平面に対して面96の姿勢の変化により、振り子92aが検知部93cから離間すると、バネ93dの力で検知レバー93aは押し上げられ、凸部94aは凹部94bに当接する。即ち、センサ94はオンとなる。
【0094】
このようにして、血液検査装置91の姿勢角度に応じてセンサ94はオン・オフを行う。このオン・オフの信号を制御部28jへ入力させて、ロック部32を制御する。本実施の形態における姿勢検知部92は、振り子92aが検知部93cに当接したときのみセンサ94がオンとなるので、簡潔な構成で精密な傾き角度検出をすることができる。
【0095】
図17(a)は、検知センサ94がオン状態となる姿勢検知部92と判別部93の平面図である。姿勢検知部92を構成する振り子92aと検知部93cとは、離間しておりバネ93dの力により検知レバー93aの一方が持ち上げられる。即ち、センサ94を構成する凸部94aと凹部94bは当接し、センサ94はオン状態にある。図17(b)はその斜視図である。
【0096】
図18(a)は、検知センサ94がオフ状態となる姿勢検知部92と判別部93の平面図である。姿勢検知部92を構成する振り子92aと検知部93cとは当接しており、センサ94を構成する凸部94aと凹部94bは離間している。即ち、センサ94はオフ状態にある。図18(b)はその斜視図である。
【0097】
(実施の形態4)
図19は、実施の形態4における血液検査装置101(図20参照)を構成する姿勢検知部とその近傍の断面図である。図19(a)は、センサ23を排出する排出手段のロックが解除されている状態であり、図19(b)は排出手段がロックされている状態である。以下、各状態における構成と動作を説明する。
【0098】
図19(a)において、102は、姿勢検知部(実施の形態1のおける姿勢検知部31に該当)であり、この姿勢検知部102は、筒体102aと、この筒体102a内を重力に従って摺動自在に摺動する錘102bとで構成されている。筒体102aには、錘102bの位置を検知する検知センサ103(実施の形態1における判別部28mに該当)が設けられている。この検知センサ103は非接触センサであり、本実施の形態では発光ダイオードと受光トランジスタとで構成された光学センサを用いている。
【0099】
104は、押ボタンであり、この押ボタン104には鍔104aが設けられている。この鍔104aはバネ104bで矢印105a方向(筐体22の内側方向)へ付勢されている。押ボタン104の一方104c側は筐体22の外側へ突出可能に設けられるとともに、他方104d側には傾斜部104eとストッパ部104fが設けられている。傾斜部104eは錘102bと当接可能の位置にある。
【0100】
106aは、排出手段106(実施の形態1における排出手段30に該当)へ連結された連結部材であり、マグネットで構成されたロック部107(実施の形態1におけるロック部32に該当)により制御される。連結部材106aの一方106bは、鍔104aへ当接可能に設けられている。ロック部107は、検知センサ103の出力で制御される。
【0101】
錘102bと傾斜部104eとは以下の関係にある。即ち、血液検査装置101(図20参照)を形成する穿刺部24が下方となる姿勢(センサ23の排出許可状態)にあるとき、錘102bは重力で矢印105b方向へ下がる(移動する)。錘102bが矢印105b方向へ下がると。錘102bが傾斜部104e上を滑動し、この傾斜部104eにより押されて押ボタン104は矢印105c方向へ移動する。即ち、押ボタン104の一方104cは筐体22から突出し押圧可能な状態になる。
【0102】
この状態になると、検知センサ103は筒体102a内の空間102eを検知し、この検知出力により、ロック部107で連結部材106aの一方106bを鍔104aに当接させる。
【0103】
図19(a)は、センサ23の排出許可状態である。この状態において、押ボタン104の一方104cを押圧すると、押ボタン104は矢印105a方向へ押し込まれる。押ボタン104が押し込まれると、鍔104aで連結部材106aを矢印105a方向に押し出す。そして、センサ23を穿刺部24(図20参照)から外部へ排出する。このとき、傾斜部104eの移動により、錘102bは矢印105d方向へ持ち上げられる。そして傾斜部104eは、筒体102aの一方102c側に形成された隙間に侵入する。
【0104】
次に、血液検査装置101を形成する穿刺部24が上方となる姿勢(センサ23の排出禁止状態)になったときについて説明する。この場合、図19(b)に示すように、姿勢検知部102を構成する錘102bは筒体102aの他方102d側へ移動する。筒体102aに装着された検知センサ103は錘102bを検知して、この検知出力によりロック部107で、連結部材106aを矢印105e方向に移動させる。この連結部材106aの移動により、連結部材106aの一方106bは鍔104aから離間する。
【0105】
錘102bは筒体102aの他方102d側へ移動しているので、筒体102aの一方102c側には空間102fが生ずる。そうすると、押ボタン104は、バネ104bに付勢されて矢印105a方向へ移動する。この状態において、押ボタン104の一方104c側は筐体22の面位置か、或いはそれより奥へバネ104bの力により移動する。そして、ストッパ部104fが筒体102aに当接してそれ以上の移動が禁止される。この禁止された状態において、押しボタン104の一方104c側は、筐体22の面位置か、或いはそれより陥没するので、筐体22の外部から押圧することはできない。この状態において、鍔104aによる押圧力は、連結部材106aに伝達されないとともに、押ボタン104も機構的に押圧することはできないので、センサ23の排出は二重に禁止されることになる。
【0106】
以上説明したように、血液検査装置101の穿刺部24が下方にあるときには、錘102bが筒体102aの一方102c側に移動し、押ボタン104が筐体22から突出するので、押ボタン104を押圧して、センサ23を排出させることができる。このとき、押ボタン104の突出を目視することにより、センサ23の排出許可の直接的な表示となる。また、検知センサ103の出力で表示部33にセンサ23の排出が許可されている旨の表示をすることもできる。
【0107】
また、血液検査装置101の穿刺部24が上方にあるときには、錘102bが筒体102aの他方102d側に移動し、押ボタン104が筐体22の面位置か、或いはそれより陥没した位置となるので、押ボタン104を機構的に押圧することはできず、センサ23を排出させることはできない。このとき、押ボタン104の陥没を目視することにより、センサ23の排出禁止を知ることができる。また、検知センサ103の出力で表示部33にセンサ23の排出禁止の旨の表示をすることもできる。
【0108】
図20は、血液検査装置101の断面図である。図20を用いて排出手段106を中心に説明する。連結部材106aの他方106cは、センサ23を押し出す押し出し部材106dに連結している。この押し出し部材106dの一方は、バネ106eで矢印105f(上方)へ付勢されている。また、押し出し部材106dの他方は傾斜をしており、この傾斜でセンサ23を穿刺部24から排出させるものである。
【0109】
姿勢検知部102に装着された検知センサ103の出力は、電気回路部108(実施の形態1における電気回路部28に該当)の制御部28jに接続されている。また、ロック部107は制御部28jの出力に接続されている。また、姿勢検知部102は、筐体22の下辺22aに対して垂直に装着されるとともに、押ボタン104は筐体22の側面に装着されている。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明にかかる血液検査装置は、血液センサの排出時において血液で筐体を汚すことはないので、血液検査装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施の形態1における血液検査装置の断面図
【図2】同外観斜視図
【図3】同排出手段の要部斜視図、(a)は同第1の状態における要部斜視図、(b)は同第2の状態における要部斜視図
【図4】同穿刺部とその近傍の断面図
【図5】同要部ブロック図
【図6】同姿勢検知部の状態側面図、(a)は同第1の状態側面図、(b)は同第2の状態側面図、(c)は同第3の状態側面図、(d)は同第4の状態側面図、(e)は同第5の状態側面図
【図7】同センサの断面図
【図8】同センサの透視平面図
【図9】同センサの斜視図
【図10】同レーザ穿刺ユニットの断面図
【図11】同電気回路部とその周辺のブロック図
【図12】同動作フローチャート
【図13】同実施の形態2における血液検査装置の断面図
【図14】同ロック部の平面図
【図15】同血液検査装置の各姿勢状態の断面図、(a)は同ロック時の姿勢状態の断面図、(b)は同中間時の姿勢状態の断面図、(c)は同ロック解除時の姿勢状態の断面図
【図16】同実施の形態3における動作原理を示す斜視図
【図17】同検知センサオン時の状態図、(a)は同平面図、(b)は同斜視図
【図18】同検知センサオフ時の状態図、(a)は同平面図、(b)は同斜視図
【図19】同実施の形態4における姿勢検知部とその近傍の要部断面図、(a)は同ロック解除状態の断面図、(b)は同ロック状態の断面図
【図20】同血液検査装置の断面図
【図21】従来の血液検査装置の第1の状態における断面図
【図22】同第2の状態における断面図
【図23】同第3の状態における正面図
【符号の説明】
【0112】
21 血液検査装置
22 筐体
23 センサ
24 穿刺部
24c コネクタ
25 レーザ穿刺ユニット
28 電気回路部
30 排出手段
31 姿勢検知手段
33 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、この筐体の一方に設けられた穿刺部と、この穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、前記穿刺部に装着される血液センサと、前記穿刺部に設けられるとともに前記血液センサと接続するコネクタと、このコネクタに接続された電気回路部と、この電気回路部に接続された表示部と、前記血液センサを排出する排出手段とを備え、前記筐体の姿勢を検知する姿勢検知部を設け、この姿勢検知部からの出力に基づいて、前記血液センサの排出の許可或いは禁止を前記表示部に表示する血液検査装置。
【請求項2】
排出手段による血液センサの排出の許可或いは禁止を制御するロック部を設け、前記血液センサの排出禁止時には前記ロック部により前記血液センサの排出を禁止するとともに、前記血液センサの排出許可時には前記ロック部により前記血液センサの排出を許可する請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項3】
姿勢検知部は、加速度センサ或いはジャイロセンサで構成された請求項2に記載の血液検査装置。
【請求項4】
姿勢検知部に接続された判別部と、この判別部に接続された制御部を設け、前記姿勢検知部からの出力に基づいて、血液センサの排出が可能な姿勢か否かを前記判別部で判別し、この判別部からの出力に基づいて前記制御部で排出手段を制御する請求項3に記載の血液検査装置。
【請求項5】
排出可能な姿勢を設定する判別値設定部を設け、この判別値設定部が判別部に接続された請求項4に記載の血液検査装置。
【請求項6】
姿勢検知部は、筒体と、この筒体内を滑動自在に設けられた錘とで構成された請求項2に記載の血液検査装置。
【請求項7】
ロック部は、支点で回動自在に回動するロック部材で形成し、このロック部材の一方で錘の摺動を検知するとともに、他方では排出手段の動作を制御する請求項6に記載の血液検査装置。
【請求項8】
姿勢検知部は、筐体に装着された振り子で構成された請求項2に記載の血液検査装置。
【請求項9】
姿勢検知部に接続された判別部と、この判別部に接続された制御部を設け、前記判別部は、支点で回動自在に回動するとともに振り子の位置を検知する検知部材と、この検知部材の位置を検知する検知センサとからなり、前記検知センサからの出力で前記制御部を介してロック部により排出手段の動作を制御する請求項8に記載の血液検査装置。
【請求項10】
錘に連動して移動する押ボタンを設け、姿勢検知部の出力に基づいて血液センサの排出が許可されたときには前記押ボタンが筐体から突出するとともに、前記姿勢検知部の出力に基づいて前記血液センサの排出が禁止されたときには前記押ボタンが筐体の表面と同一面、或いは前記筐体の表面から陥没する請求項6に記載の血液検査装置。
【請求項11】
押ボタンの押圧動作に機構的に連結して血液センサを排出させ請求項10に記載の血液検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−63576(P2010−63576A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231729(P2008−231729)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】