説明

血清アルブミンの組換え生成

本発明は、mRNA配列が糸状菌宿主細胞における発現のためにコドン最適化されている、血清アルブミンをコードする修飾されたヌクレオチド配列に関する。さらに、本発明は、糸状菌において生成されるか、又は血清アルブミンと、糸状菌培養物の抽出物とを接触することにより負荷された血清アルブミンに関する。他の観点においては、本発明は、血清フリーの細胞培養培地への前記血清アルブミンの使用、及びまた、血清アルブミンの乾燥及び凝集方法(それにより、湿潤性及び分散性を改良する)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、糸状菌宿主生物における血清アルブミンの組換え発現方法、ウシ及びヒト血清アルブミンタンパク質(それぞれ、BSA及びHSA)をコードする修飾された核酸配列、負荷された血清アルブミン生成物、負荷された血清アルブミンの使用、及び乾燥粒子の調製方法、並びに血清アルブミンを含んで成る乾燥粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
血清アルブミン、特にウシ血清アルブミン(BSA)は、分子生物学及び産業の分野における最も広く使用されるタンパク質の1つである。
【0003】
血清アルブミン、例えばBSA又はHSAは、血液分別によりこれまで得られて来た。血清アルブミンを供給するこの手段は、病原体による可能性ある汚染の欠点を有する。BSAの場合、狂牛病(BSE)を担当すると思われるプリオンの存在が特に、血液分別によるBSAの生成に関連する問題である。HSAに関しては、HSAが血液分別により生成される場合、肝炎及び免疫欠損ウィルス様HIVによる可能性ある汚染の危険性が存在する。従って、汚染物を有さず、そして経済的に生成され得る血清アルブミンを供給するための他の方法が所望される。
【0004】
BSA/HSAの組換え発現は、上記汚染の問題を解決するであろう。また、そのような組換え血清アルブミンは、血液血漿に起因する他の汚染物、例えば血液血漿タンパク質及びペプチド(グロブリン)について良好に制限する。多くの治療使用及びより限定された細胞培養物、特に血清フリーの培地を得ることに関しては、組換え血清アルブミンが好ましい。
【0005】
しかしながら、タンパク質の組換え発現は必ずしも直接的に前進するものではなく、そして十分な収率の獲得は、所定の発現宿主生物において所定のタンパク質を予測するには困難である。酵母におけるアルブミンの組換え発現は、WO 00/44772号、EP 0683233 A2号及びアメリカ特許第5,612,196号に報告されている。
【0006】
宿主生物における発現の後、又は血清から精製される場合、アルブミンは、さらなる下流の用途を改良するために加工され得る。凝集体フリーの粉末を得るために血清アルブミン(SA)を噴霧乾燥することは良く知られている。WO04/058156号は、生活性材料を含む安定した粉末粒子を供給する方法を開示している。前記方法は、例えば粘度増強剤及び/又は界面活性剤を伴って、溶液又は懸濁液中、生活性材料の高圧噴霧を包含する。
【0007】
WO03/087335号は、生活性材料を保護する方法及び組成物を開示する。この方法は、生活活性材料を含む安定した粉末粒子を形成するために、配合物の高圧ガス噴霧及び/又は界面噴霧、続く条件づけられた流れにおける乾燥を包含する。
【0008】
血清アルブミン(SA)はしばしば、SAが無菌であることが非常に重要である用途に使用される。問題は、無菌SA生成物をいかにして得るか、及び貯蔵及び輸送に対してSAをいかにして無菌に維持するかであった。使用する既知方法は凍結乾燥であるが、しかしながら、凍結乾燥の使用において、いくつかの欠点が存在する。凍結乾燥の間、いくらかのSAモノマーがダイマー及びトリマーと反応する。この出発の重合は、SAを所望する用途のために使用不能にするような態様で、SAの性質を基本的に変更する。単純な噴霧乾燥の間、非常に低い粒度を有する一次粒子が得られる。前記一次粒子は、液体において容易に分散することができない。一次粒子は一緒に付着し、そして液体に添加される場合、物質をゲルのようにする。液体に添加される場合、容易に分散し、そして従って、早く溶解するSA生成物を得ることが所望される。
【0009】
本発明は、産業的生成のために適切な糸状菌宿主における血清アルブミンの効果的組換え発現のための方法を提供する。さらに、本発明は、すべての前述の使用において血清から生成されるアルブミンを置換でき、そしてさらに、血清フリーの細胞培養物培地に使用される場合、いくつかの好都合な性質を有する血清アルブミン生成物を供給する。追加の観点においては、本発明は、アルブミンの溶解性を改良するための方法を提供する。
【発明の開示】
【0010】
発明の要約:
本発明の第1の観点は、野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列とは少なくとも1つのコドンにおいて異なる、野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする修飾された核酸配列を、糸状菌宿主生物において発現することを含んで成る、糸状菌宿主生物における野生型血清アルブミンポリペプチドの組換え発現方法に関する。
【0011】
第2の観点においては、本発明は、
i)少なくとも1つの修飾されたコドンを含んで成る、野生型血清アルブミンをコードする核酸配列を供給し、ここで前記修飾は前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして配列コドンの配列が、野生型遺伝子をコードする核酸配列におけるその対応するコドンに比較して、異なり;
ii)前記修飾された核酸配列を、前記糸状菌宿主において発現する段階を含んで成る、糸状菌宿主生物における野生型血清アルブミンの組換え発現方法に関する。
【0012】
本発明の第3の観点は、野生型ウシ血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列とは、少なくとも1つのコドンにおいて異なる、野生型ウシ血清アルブミンポリペプチドをコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列に関する。
本発明の第4の観点は、野生型ヒト血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列とは、少なくとも1つのコドンにおいて異なる、野生型ヒト血清アルブミンポリペプチドをコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列に関する。
【0013】
本発明の第5の観点は、
i)BSAをコードする野生型核酸配列を供給し;
ii)少なくとも1つのコドンを修飾することにより得られる、BSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された、前記修飾が前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして前記コドンの核酸配列が、野生型遺伝子におけるその対応するコドンに比較して、異なる核酸配列に関する。
【0014】
本発明の第6の観点は、
i)HSAをコードする野生型核酸配列を供給し;
ii)少なくとも1つのコドンを修飾することにより得られる、HSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された、前記修飾が前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして前記コドンの核酸配列が、野生型遺伝子におけるその対応するコドンに比較して、異なる核酸配列に関する。
【0015】
第7の観点においては、本発明は、
a)配列番号5と、少なくとも77%の同一性を有し;又は
b)配列番号5のヌクレオチド1〜1821の相補鎖から成るポリヌクレオチドプローブと、高い緊縮条件下でハイブリダイズする、野生型BSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列に関する。
【0016】
第8の観点においては、本発明は、
a)配列番号7と、少なくとも77%の同一性を有し;又は
b)配列番号7のヌクレオチド1〜1827の相補鎖から成るポリヌクレオチドプローブと、高い緊縮条件下でハイブリダイズする、野生型HSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列に関する。
【0017】
第9の観点においては、本発明は、
i)糸状菌宿主細胞における、血清アルブミンをコードする核酸配列の組換え発現、及び/又は
ii)前記血清アルブミンと、糸状菌細胞由来の細胞抽出物とを接触することによる血清アルブミンの負荷により得られる負荷された血清アルブミンに関する。
【0018】
本発明の題10の観点は、細胞培養物培地への本発明の負荷された血清アルブミンの使用に関する。
さらなる観点においては、本発明は、乾燥され、そして凝集される、血清アルブミンを含んで成る乾燥粒子に関する。
【0019】
さらに、本発明は、
a)血清アルブミンを含んで成る液体組成物を乾燥し;そして
b)乾燥された生成物を凝集する段階を含んで成る、乾燥され、そして凝集された生成物の調製方法に関する。
もう1つの観点においては、本発明は、乾燥され、そして少なくとも50μの粒度を有する、血清アルブミンを含んで成る生成物に関する。
発明の特定の記載:
【0020】
血清アルブミン
本発明の血清アルブミンは、血液、滑液、乳汁及び他の哺乳類分泌物に見出される種々の小さな球状タンパク質を包含する。血清アルブミンは、血漿における最も高い濃度のタンパク質であり、そして血液における多くの小分子(例えば、ビリルビン、カルシウム、プロゲステロン及び薬物)を輸送する。血清アルブミンは、ALB/AFP/VDBファミリーに属する。
【0021】
本発明においては、用語“野生型血清アルブミンポリペプチド”とは、天然に存在する成熟血清アルブミンポリペプチドとして理解されるべきである。ほとんどの遺伝子に関して、同じ遺伝子の異なった対立遺伝子が天然において存在し、すなわち染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子の異なった配列が天然において存在する。それらの差異のいくつかは、核酸レベルで単に存在し、そして他にもまた、アミノ酸レベルで存在する。本発明においては、用語“野生型血清アルブミンポリペプチド”とは、すべての天然に存在する成熟血清アルブミンポリペプチドを包含することが意図される。
【0022】
例えば、“野生型ヒト血清アルブミンポリペプチド”及び“野生型ウシ血清アルブミンポリペプチド”は、それぞれ、ヒト及びウシから得られるすべての天然に存在する成熟ポリペプチドを包含する。本発明においては、用語“成熟”とは、翻訳されたアミノ酸配列の成熟部分として理解されるべきである。いくつかのポリペプチドに関しては、mRNAから翻訳されるアミノ酸配列は、成熟ポリペプチドの他に、またシグナルペプチド及び/又はプロ−ペプチドも包含する。従って、シグナルペプチド及びプロ−ペプチドは、成熟ペプチドの一部であるものとしてみなされない。
【0023】
本発明の特定の態様においては、血清アルブミンは、ヒト又はウシ血清アルブミン、すなわちHSA又はBSAであり得る。天然に存在するBSA又はHSAタンパク質のアミノ酸配列におけるいくつかの変動が文献において報告されている(Meloun など., FEBS Lett. 58:134-137 (1975); Lawn など., Nucleic Acid Res. 9:6103-6114 (1981); Dugaiczyk など., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 79:71-75 (1982))。
【0024】
本発明においては、野生型HSAポリペプチドは、Swissprot entry P02768に記載される成熟ポリペプチドのいずれかを包含するものとして理解されるべきであり、そして野生型BASポリペプチドは、Swissprot entry P02769に記載される成熟ポリペプチドのいずれかを包含するものとして理解されるべきである。
特に、野生型BSAポリペプチドは、配列番号1又は2に示される成熟ポリペプチド、すなわち配列番号1又は2のアミノ酸1〜583であり得る。
特に、野生型HSAポリペプチドは、配列番号3又は4に示される成熟ポリペプチド、すなわち配列番号3又は4のアミノ酸1〜585であり得る。
【0025】
用語“野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする野生型核酸配列”とは、本発明においては、野生型血清アルブミンポリペプチドの翻訳された配列をコードする、天然に存在する核酸配列として理解されるべきであり、すなわち成熟ポリペプチドをコードする核酸配列の他に、それはまた、例えばシグナルペプチド及びプロ−ペプチドをコードする核酸配列も包含する。翻訳された配列はまた、CDSとしても知られている。上記のように、10の特定遺伝子の異なった対立遺伝子が存在し、そして“野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする野生型核酸配列”とは、本発明においては、特定の野生型血清アルブミンポリペプチドをコードするすべてのそのような天然に存在する核酸配列を包含することが意図される。
【0026】
本発明においては、野生型ヒト血清アルブミンポリペプチドをコードする野生型核酸配列は、Swissprot entry P02768に包含される参照に記載されるCDS配列のいずれかを包含するものとして理解されるべきであり、そして野生型ウシ血清アルブミンポリペプチドをコードする野生型核酸配列は、Swissprot entry P02769に包含される参照に記載されるCDS配列のいずれかを包含するものとして理解されるべきである。
【0027】
特に、野生型ウシ血清アルブミンポリペプチドをコードする野生型核酸配列は、配列番号1、すなわち配列番号1のヌクレオチド1〜1821で示されるCDSであり得る。
特に、野生型ヒト血清アルブミンポリペプチドをコードする野生型核酸配列は、配列番号3、すなわち配列番号3のヌクレオチド1〜1827で示されるCDSであり得る。
【0028】
本発明の方法:
ウシ血清アルブミン(BSA)は、分子生物学の分野における広く使用されるタンパク質であり、そして従って、商業的に興味ある生成物である。ヒト血清アルブミン(HSA)は特に治療用途に使用されるが、しかしまた、BSAが通常使用されるほとんどの用途においてBSAを置換することができる。
上記のようなBSA又はHSAを生成する既知手段は、病原体による可能性ある汚染を導く血液分別を包含する。
【0029】
本発明によれば、BSA又はHSAは、汚染の問題、及び糸状菌における野生型遺伝子の発現の観察される問題を解決する、糸状菌宿主細胞における組換えタンパク質として生成される。
タンパク質の組換え発現は、必ずしも直線的に前進せず、そして所望する生成物が実際、特定の生成宿主生物において生成され得るかどうか、及び生成物の収率が経済的生成を確立するのに十分であるかどうかを予測することは困難である。
【0030】
BSA及びHSAに関して、第1の試みは、糸状菌における正常な野生型核酸配列(それぞれ、配列番号1及び3で示される核酸配列)からのタンパク質を発現するために行われた。しかしながら、発現は検出され得なかった。
いくつかの可能性又は可能性の組合せが、糸状菌宿主において観察される発現の欠失を説明するために存在する。一般的に、糸状菌における分泌された及び正しくプロセッシングされたアルブミンの発現は、多くの段階を包含し、それらの段階のいずれかga制限段階であり得る。
【0031】
最初に、挿入されたアルブミン遺伝子は、hnRNAに転写される。次に、hnRNAは、核からシトソールに輸送され、そしてこの工程の間、それはmRNAに成熟される。一般的に、mRNAプールが、翻訳を維持するためにシトソールにおいて確立される。次に、mRNAがタンパク質前躯体に翻訳され、そしてこの前躯体は続いて、同時翻訳的に又は後翻訳的に小胞体(ER)に分泌される。ERへのトランスロケーション後、分泌シグナルペプチドが、シグナルペプチダーゼにより分解され、そして得られるタンパク質がERにおいて折りたたまれる。正しい折りたたみが細胞により認識された場合、ゴルジ体へのタンパク質の分泌が続く。ここで、プロペプチドが分解され、成熟アルブミンが放出されるであろう。従って、多くの可能性が、所定の宿主生物における遺伝子配列の十分な発現を妨げるために存在する。
【0032】
所望するタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列の効果的発現を提供するために、翻訳工程は効果的であるべきである。本発明の1つの目的は、糸状菌宿主細胞において効果的な発現を得るために、血清アルブミンタンパク質をコードするmRNAを最適化することである。
【0033】
1つの態様においては、本発明は、野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列とは少なくとも1つのコドンにおいて異なる、野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする修飾された核酸配列を、糸状菌宿主生物において発現することを含んで成る、糸状菌宿主生物における野生型血清アルブミンポリペプチドの組換え発現方法に関する。
【0034】
修飾された核酸配列は、a)野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする野生型核酸配列を供給し、そしてb)修飾された核酸配列が、前記野生型血清アルブミンポリペプチドコードする個々の野生型核酸配列とは、少なくとも1つのコドンで異なるよう、前記核酸配列の少なくとも1つのコドンを修飾することにより得られる。核酸配列を修飾するための方法は、当業者に良く知られている。特定の態様においては、前記修飾は、前記コドンによりコードされるアミノ酸の同一性を変更しない。
【0035】
従って、もう1つの観点においては、本発明の目的は、
i)少なくとも1つの修飾されたコドンを含んで成る、野生型血清アルブミンをコードする核酸配列を供給し、ここで前記修飾は前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして配列コドンの配列が、野生型遺伝子をコードする核酸配列におけるその対応するコドンに比較して、異なり;
ii)前記修飾された核酸配列を、前記糸状菌宿主において発現する段階を含んで成る、糸状菌宿主生物における野生型血清アルブミンの組換え発現方法により提供される。
この態様に従って修飾されるべき出発核酸配列は、興味ある血清アルブミンをコードする野生型核酸配列である。
【0036】
本発明の修飾は、塩基トリプレットのいずれかの修飾を包含し、そして特定の態様においては、それらは、前記コドンによりコードされるアミノ酸、すなわち元のコドンによりコードされるアミノ酸の同一性を変更しないいずれかの修飾を包含し、そして修飾されたコドンは同じである。ほとんどの場合、修飾は、第3位置で存在するが、しかしながら少数の場合、修飾はまた、第1又は第2位置ででも存在する。得られるアミノ酸の修飾を伴わないで、コドンをいかにして修飾するかは、当業者に知られている。
【0037】
上記態様の両者に関しては、異なるべきであるコドンの数、又は十分な発現を得るために必要とされる修飾の数は変化することができる。従って、本発明の追加の態様によれば、修飾された核酸配列は、前記野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列とは、少なくとも2個のコドンにおいて異なり、又は少なくとも2個のコドン、特に少なくとも3個のコドン、より特定には少なくとも5個のコドン、より特定には少なくとも10個のコドン、さらにより特定には少なくとも15個のコドン、最も特定には少なくとも25個のコドンが修飾されている。
【0038】
さらに、宿主として使用される糸状菌により好ましくは使用されるコドン間から選択されるべき野生型核酸配列のコドン使用法を変えることにより、BSA及びHSAの発現が現在、可能である。そのようなコドンは、発現のために“最適化される”と言われる。
菌類系における野生型配列から発現される組換えタンパク質としてBSA及びHSAを発現する1つの試みにおいては、発現のレベルは、宿主細胞として生来の遺伝子及びアスペルギラスを用いて、非常に低い約1mg/lであった。
【0039】
特定の生物/細胞におけるコードの縮重及び好ましい一定のコドンの選択のために、所定の宿主細胞におけるタンパク質の発現レベルは、ある場合、コドン使用法を最適化することにより改良され得る。この場合、BSA及びHSAの収率は、BSA及びHSAをコードする野生型核酸配列が、他の中でも、コドン最適化により最適化され、そしてアスペルギラスにおいて発現される場合、劇的に高められた。
【0040】
本発明においては、“コドン最適化される”とは、遺伝子コードの縮重のために、1つよりも多くのトリプレットコドンが個々のアミノ酸のために使用され得ることを意味する。いくつかのコドンは、特定の生物において好ましく、そして野生型遺伝子におけるコドン使用法を、特定の発現宿主生物において好ましいコドン使用法に変えることにより、コドンが最適化されたと言われる。コドン最適化は、Gustafsson など., 2004, (Trends in Biotechnology vol. 22 (7); Codon bias and heterologous protein expression)、及び アメリカ特許第 6,818,752号に記載のようにして行われ得る。
【0041】
コドン最適化は、宿主生物のための平均的コドン使用法に基づかれるか、又はそれは、特定の宿主細胞において高い量で発現することが知られている特定の遺伝子のためのコドン使用法に基づかれ得る。
【0042】
本発明の1つの態様においては、血清アルブミンタンパク質は、少なくとも10%のコドン、より特定には20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は特に少なくとも50%、より特定には少なくとも60%及びより特定には少なくとも75%のコドンにおいて最適化された修飾された核酸配列コドンによりコードされる。従って、修飾された核酸配列は、前記野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列と、少なくとも10%のコドン、より特定には少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は特に少なくとも50%、より特定には少なくとも60%及びより特定には少なくとも75%のコドンにおいて異なる。特に、前記コドンは、それらが、野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする野生型核酸配列に比較して、コドン最適化されたので、異なることができる。
【0043】
特に、100%の核酸配列は、糸状菌において使用される好ましいコドンを適合するためにコドン最適化されている。
【0044】
特定の態様においては、コドン最適化は、糸状菌において高レベルで発現されることが知られているタンパク質である、FungamylTM (PCT/DK 2004/000558; 配列番号2)としても知られている、アスペルギラス・オリザエからのα−アミラーゼのコドン使用法に基づいている。本発明においては、分泌されたタンパク質の合計量の少なくとも20%に対応する発現レベルが構成する場合、その興味あるタンパク質は、高レベルの発現として見なされる。特に少なくとも30%、より特定には少なくとも40%、さらにより特定には少なくとも50%に対応する発現レベルの発現と見なされる。
【0045】
特定の態様においては、BSA又はHSAをコードする修飾された核酸配列は、配列番号5(BSA)及び配列番号7(HSA)から成る群から選択される。
実際、本発明の最適化は、
i)血清アルブミンをコードする核酸配列が、下記に、より詳細に説明されるようにして、コドン最適化され;
ii)平衡化されたGC−含有率について、その得られる修飾された配列を調べ(約45〜55%);そして
iii)下記に説明されるようにして、段階ii)からの得られる修飾された配列を調べるか又は編集する段階を含んで成る。
【0046】
コドン最適化プロトコール
単一遺伝子、多くの遺伝子又は完全なゲノムのコドン使用法は、EMBOSS-パッケージ(http://www.rf cgr.mrc.ac.uk/Software/EMBOSS/)からのプログラムcuspにより計算され得る。
最適化のための出発点は、コドン表と共に、タンパク質のアミノ酸配列又はタンパク質をコードする核酸配列である。コドン−最適化された遺伝子により、本発明者は、所定のタンパク質配列をコードする核酸配列、及びコドン表により与えられるコドン統計学を理解している。
【0047】
言及されるコドン統計学は、cusp−プログラムからの出力において“Fract”と呼ばれ、そして他の類似するコドン間の所定のコドンの割合を記載する、コドン表における欄である。例えば、Fをコードするコドンの80%がTTCであり、そしてFをコードするコドンの20%がTTTである場合、コドンTTCは0.8の局部評点を有し、そしてTTTは0.2の局部評点を有する。
【0048】
コドン表におけるコドンは、再編集された第1のコードアミノ酸であり、そして次に、評点で上昇する。上記例においては、Fについてのコドンを、TTT、TTCとして指図する。次に、コドンについての累積された評点が、評点を順序良く加えることにより生成される。上記例においては、TTTは0.2の累積された評点を有し、そしてTTCは1の累積された評点を有する。ほとんどの使用されるコドンは常に、1つの累積された評点を有するであろう。
【0049】
コドン最適化された遺伝子を生成するために、次のことを行う。アミノ酸配列における個々の位置に関して、0〜1のランダム数が生成される。これは、プログラムが作動するコンピューターシステム上でランダム−数発生器により行われる。第1のコドンは、生成されるランダム数よりも大きいか又はそれに等しい累積された評点を有するコドンとして選択される。上記例においては、遺伝子における特定の位置が“F”であり、そしてランダム数発生器が0.5を与える場合、TTCがコドンとして選択される。
【0050】
イントロンを回避するための方法は、ブランチポイントが存在しないことを確かめることである。これは、アスペルギラス・オリザエにおけるブランチポイントについてのコンセンサス配列:CT[AG]A[CT]が配列に存在しないことを確かめることにより行われた。本発明者は、配列[AG]CT[AG]A[AG]がイントロンにおいてブランチポイントとして認識されることを見出した。従って、本発明の特定の態様においては、そのような配列はまた、本発明の方法に従って修飾されるか、又は除去され得る。これは、後プロセッシング段階において行われ、ここで配列がこのモチーフの存在について走査され、そして個々の発生が前記モチーフにおけるコドンを、類似するコドンに変えることにより除去され、すなわち最良の局部評点を有するコドンを、まず選択する。
【0051】
アスペルギラス・オリザエからのαアミラーゼのコドン使用法を示すコドン表が下記に示される。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
イントロン
真核生物遺伝子は、機能的mRNAを生成するために前躯体転写体において修飾されるべきである介在配列(イントロン)により中断され得る。イントロン除去のこの工程は、プレ−mRNAスプライシングとして知られている。通常イントロンのブランチポイント配列は、ラリアート(lariat)の形成を通してイントロンスプライシングのために必要である。スプライシングのためのシグナルは、スプライス部位の境界で直接的に存在する。イントロンスプライス部位の境界は通常、それぞれ、それらの5’及び3’末端でコンセンサスイントロン配列GT及びAGを有する。
【0055】
AG以外の3’スプライス部位は報告されていないが、5’GTスプライス部位側での少数の例外の報告がある。例えば、CT又はGCが5’境界でGTにより置換される先例が存在する。ヌクレオチド塩基ANGT、続いてGTについての強い選択があり、ここでNはA, C又はT(サッカロミセス種においては、主にA又はT)であり、ところがGTスプライス部位に続いていずれの特定のヌクレオチドについての著しい選択は存在しない。3’スプライス部位AGに続いて、主にピリミジンヌクレオチド塩基(Py)、すなわちC又はTが存在する。
【0056】
菌類遺伝子を中断することができるイントロンの数は、1〜12又はそれ以上のイントロンの範囲である(Rymond and Rosbash, 1992, In, E.W. Jones, J. R. Pringle, and J. R. Broach, editors, The Molecular and Cellular Biology of the Yeast Saccharomyces, pages 143-192, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, New York; Gurr et ai, 1987, In Kinghom, J. R. (ed.), Gene Structure in Eukaryotic Microbes, pages 93-139, IRL Press, Oxford)。それらは、1つの遺伝子を通して分配され得るか、又は遺伝子の5’又は3’末端の方に位置している。サッカロミセス・セレビシアエにおいては、イントロンは主に、遺伝子の5’末端に位置する。イントロンは一般的に、1kb以下のサイズであり、そして通常、酵母においては、400bp以下であり、そして糸状菌においては100bp以下である。
【0057】
サッカロミセス・セレビシアエイントロンブランチポイント配列5’−TACTAAC−3’は、まれに糸状菌イントロンに正確に出現する(Gurrなど., 1987, 前記)。TACTAACに密接に又はおおよそ類似する配列拡張が、一般的コンセンサスNRCTRAC(ここで、NはA, C, G又はTであり、そしてRはA又はGでアル)を有する糸状菌イントロンにおいて同等の点で見られる。例えば、第4位置Tは、ニューロスポラ・クラサ及びアスペルギラス・ニジュランスの推定上のコンセンサス配列において不変である。
【0058】
さらに、ヌクレオチドG, A及びCは、それぞれ位置3,6及び7の80%以上で優位を占めるが、但しアスペルギラス・ニジュランスにおける位置7は、わずか65%のCを伴って、より柔軟性である。しかしながら、位置1,2,5及び8は、ニューロスポラ・クラサ及びアスペルギラス・ニジュランスの両者において、より厳格ではない。他の糸状菌は、それらのイントロンにおいて同等の位置で類似するブランチポイント拡張を有するが、しかしサンプリングは、いずれの明確な傾向を識別することには小さ過ぎる。
【0059】
菌類宿主株におけるポリペプチドをコードする遺伝子の異種発現は、介在配列又はイントロンとしての遺伝子のコード配列内の領域を誤って認識する宿主株をもたらすことができる。例えば、糸状菌のイントロン含有遺伝子は、サッカロミセス・セレビシアエにおいて誤ってスプライシングされることが見出されている(Gurr など., 1987, In Kinghorn, J. R. (ed.), Gene Structure in Eukaryotic Microbes, pages 93- 139, IRL Press, Oxford)。前記領域は、遺伝子が得られる親株によりイントロンとして認識されないので、そのイントロンは隠れたイントロンと呼ばれる。隠れたイントロンとして本明細書において言及されるイントロの不適切な認識は、生物学的に活性的なポリペプチドの生成をもたらさず、又は種々の生物学的活性を有するいくつかのポリペプチド生成物集団の生成をもたらす、前躯体mRNA分子の異常スプライシングを導くことができる。
【0060】
“隠れたイントロン”とは、一次mRNA転写体から切除されるイントロンとして誤って認識されるコード配列の領域として本明細書において定義される。隠れたイントロンは好ましくは、10〜1500個のヌクレオチド、より好ましくは20〜1000個のヌクレオチド、さらにより好ましくは30〜300個のヌクレオチド、及び最も好ましくは30〜100個のヌクレオチドを言及する。
【0061】
隠れたイントロンの存在は、イントロンを定義するためにどんな配列が必要であるかに対して低い厳格な必要条件を有する生物においてタンパク質を発現することを試みる場合、特に問題である。そのような“誤った”認識は、例えば菌類発現システムにおいて組換えタンパク質を発現することを試みる場合、得られる。
【0062】
隠れたイントロンは、逆転写ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)の使用により同定され得る。RT−PCRにおいては、mRNAは、二本鎖cDNAにPCR増幅され得る一本鎖cDNAに逆転写される。次に、PCRプライマーが、一本鎖又は二本鎖cDNA対を増幅することが企画され、そしてゲノムDNAの配列に比較して、得られるPCR生成物の配列分析は、隠れたイントロンの存在及び正確な位置を示す(T. Kumazaki et al. (1999) J. Cell. Sci. 112,1449 - 1453)。
【0063】
本発明の1つの態様によれば、野生型遺伝子配列中に導入される修飾は、特定の宿主生物における発現のためにmRNAを最適化するためであろう。本発明においては、宿主生物又は宿主細胞は、下記により詳細に説明されるように、糸状菌として言及される菌類グループを含んで成る。
【0064】
糸状菌宿主細胞
本発明の宿主細胞は、次のグループの子嚢菌であり、ニューロスポラ(Neurospora)、ユーペニシリウム(Eupenicillium)(=ペニシリウム(Penicillium))、エメリセラ(Emericella)(=アスペルギラス(Aspergillus))、ユーロチウム(Eurotium)(=アスペルギラス)を包含する。
【0065】
好ましい態様においては、糸状菌は、ユーミコタ(Eumycota)及びオーミコタ(Oomycota)のすべての糸状形を包含する(Hawksworth など., In, Ainsworth and Bisby's Dictionary of The Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UKにより定義されるように)。糸状菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及び他の複合多糖類から構成される成長性菌子体により特徴づけられる。成長増殖は、菌子拡張によってであり、そして炭素代謝は絶対好気性である。
【0066】
より好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、ムコル(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliophthora)、ネウロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicilium)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)及びトリコダーマ(Trichoderma)又はソノテレモルフ又は類似体の種の細胞であるが、但しそれらだけには限定されない。さらにより好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アスペルギラス細胞である。
【0067】
もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、アクレモニウム細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、フサリウム細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、ヒューミコラ細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、ムコル細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、ミセリオプソラ細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、ネウロスポラ細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、ペニシリウム細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、チエラビア細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、トリポクラジウム細胞である。もう1つのさらにより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は、トリコダーマ細胞である。
【0068】
最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギラス・ホエチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギラス・ジャポニカ(Aspergillus japonicus)、アスペルギラス・アキュレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギラス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、又はアスペルギラス・オリザエ(Aspergillus oryzae)細胞である。
【0069】
もう1つの好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、セクションジスカラー(Discolor)(また、セクションフサリウムとしても知られている)のフサリウム細胞である。例えば、糸状菌親細胞は、フサリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クロックウェレンズ(Fusarium crookwellense) 、フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)、フサリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フサリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フサリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フサリウム・レチキュラタム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フサリウム・サムブシウム(Fusarium sambucinum)、フサリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、又はフサリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)細胞である。
【0070】
もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ヒューミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、又はヒューミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ムコル・ミエヘイ(Mucor miehei)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ミセリオプソラ・サーモフィリア(Myceliophthora thermophilum)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ミセリオプソラ・サーモフィリア細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ネウロスポラ・クラサ細胞である。
【0071】
もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)、又はペニシリウム・フニキュロサム(Penicillium funiculosum)細胞である(WO00・68401号)。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、トリコダーマ細胞は、トリコダーマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコダーマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコダーマ・ロンジブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコダーマ・レセイ(Trichoderma reesei)又はトリコダーマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞である。
【0072】
特定の態様においては、糸状菌宿主細胞は、A. オリザエ又はA. ニガー細胞である。
本発明の好ましい態様においては、宿主細胞は、プロテアーゼ欠失又はプロテアーゼマイナス株である。
これは、“alp”欠失されたと称するアルカリプロテアーゼ遺伝子を有するプロテアーゼ欠失株アスペルギラス・オリザエJal 125であり得る。この株は、WO97/35956号(Novozymes)又はヨーロッパ特許第429,490号に記載され、特にA. ニガーの株がWO96/14404号に開示される。さらに、WO01/68864号に記載のように転写活性化因子(prtT)の低められた生成を有するA. ニガー又はA. オリザエが、本発明により特に企画される。
【0073】
菌類の形質転換
菌類細胞は、プロトプラスト形質転換、プロトプラストの形質転換、及びそれ自体知られている態様での細胞壁の再生を包含する工程により形質転換され得る。アスペルギラス宿主細胞の形質転換のための適切な方法は、ヨーロッパ特許第238023号及びYeltonなど., 1984, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81; 1474-1874に記載される。
【0074】
フラリウム種を形質転換するための適切な方法は、Malardierなど., 1989, Gene78: 147-156, 及びWO96/00787号により記載される。酵母は、Becker and Guarente. In Abelson, J.N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New York; Ito など, 1983, Journal of Bacteriology 153: 163; 及びHinnen など, 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75; 1920により記載される方法を用いて形質転換され得る。
【0075】
生成方法
本発明は、血清アルブミンを生成するために、修飾された核酸配列の発現にも関する。発現は、(a)修飾された核酸配列から血清アルブミンを発現する糸状菌を培養し;そして(b)ポリペプチドを回収することを含んで成る。好ましくは、糸状菌は、アスペルギラス属、及びより好ましくは、アスペルギラス・オリザエ又はアスペルギラス・ニガーである。
【0076】
本発明の生成方法においては、細胞は、当業界において知られている方法を用いて、ポリペプチドの生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、ポリペプチドの発現及び/又は単離を可能にする、適切な培地において、及び条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接的に回収され得る。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細胞溶解物から回収され得る。
【0077】
ポリペプチドは、そのポリペプチド、例えば前記ポリペプチドのN-末端配列に対して特異的である、当業界において知られている方法を用いて検出され得る。それらの検出方法は、特定の抗体の使用を包含する。得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得る。例えば、ポリペプチドは、従来の方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧−乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から回収され得る。
【0078】
本発明のポリペプチドは、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGE又は抽出(但し、それらだけには限定されない)により精製され得る(例えば、Protein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publlishers, New York, 1989を参照のこと)。
【0079】
さらなる観点においては、本発明は、
i)BSAをコードする野生型核酸配列を供給し;
ii)少なくとも1つのコドンを修飾することにより得られる、BSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列であって、前記修飾が前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして前記コドンの核酸配列が、野生型遺伝子におけるその対応するコドンに比較して、異なることを特徴とする修飾された核酸配列に関する。
【0080】
さらなる追加の観点においては、
i)HSAをコードする野生型核酸配列を供給し;
ii)少なくとも1つのコドンを修飾することにより得られる、HSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列であって、前記修飾が前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして前記コドンの核酸配列が、野生型遺伝子におけるその対応するコドンに比較して、異なることを特徴とする修飾された核酸配列に関する。
【0081】
特に、BSA又はHSAをコードする野生型配列は、配列番号1及び3で示される特定配列である。
本発明においては、用語“糸状菌宿主において発現できる”とは、血清アルブミンタンパク質の収率が、少なくとも1.5mg/l、より特定には少なくとも2.5mg/l、より特定には少なくとも5mg/l、より特定には少なくとも10mg/l、さらにより特定には少なくとも20mg/l、又はより特定には少なくとも0.5g/l、又はより特定には1g/l、又はより特定には5g/l、又はより特定には10g/l、又はより特定には20g/lであるべきことを意味する。
【0082】
血清アルブミンをコードし、そして糸状菌宿主、例えばアスペルギラスにおいて血清アルブミンタンパク質の発現を提供するために、本発明従って修飾された核酸配列の特定の例は、配列番号5(BSA)及び7(HSA)で示される。本明細書に開示される情報は、上記指図に従って他の修飾された核酸配列の当業者による単離を可能にし、前記配列はまた、糸状菌においても発現され、そしてそのような配列はまた、本発明の範囲内に包含される。
【0083】
1つの態様においては、本発明は、配列番号5で示されるような本発明の修飾された核酸配列に関する。
もう1つの態様においては、1つの態様においては、本発明は、配列番号7で示されるような本発明の修飾された核酸配列に関する。
最適化された、コドン使用法の選択及びコドンの数の変動は変化し、そして糸状菌において発現できる核酸配列として供給する。そのような他の配列は、配列番号5及び7に示されるような特定配列に対して相同であろう。
【0084】
さらなる態様においては、従って、本発明は、
a)配列番号5と、少なくとも77%の同一性を有し;又は
b)配列番号5のヌクレオチド1〜1821の相補鎖から成るポリヌクレオチドプローブと、高い緊縮条件下でハイブリダイズする、野生型BSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列に関する。
【0085】
さらにもう1つの態様においては、本発明は、
a)配列番号7と、少なくとも77%の同一性を有し;又は
b)配列番号7のヌクレオチド1〜1827の相補鎖から成るポリヌクレオチドプローブと、高い緊縮条件下でハイブリダイズする、野生型HSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列に関する。
【0086】
本発明の修飾された核酸配列は、配列番号5で示される配列に対して77%の同一性、特に少なくとも79%の同一性、より特定には少なくとも82%、より特定には少なくとも85%、より特定には少なくとも90%、より特定には少なくとも95%、より特定には少なくとも98%、さらに特定には少なくとも99%の同一性を有する。
本発明の修飾された核酸配列は、配列番号7で示される配列に対して77%の同一性、特に少なくとも79%の同一性、より特定には少なくとも82%、より特定には少なくとも85%、より特定には少なくとも90%、より特定には少なくとも95%、より特定には少なくとも98%、さらに特定には少なくとも99%の同一性を有する。
【0087】
同一性
本明細書においては、2種のアミノ酸配列又は2種の核酸配列間の相同性は、パラメーター“同一性”により記載される。本発明に関しては、配列の一列整列及び相同性評点の計算は、タンパク質及びDNA一列整列のために有用な完全なSmith-Waterman一列整列を用いて行われ得る。デフォールト評点マトリックスBLOSUM50及び同一性マトリックスが、それぞれ、タンパク質及びDNA一列整列のために使用される。
【0088】
ギャップにおける最初の残基についてのペナルティーは、タンパク質については−12及びDNAについては−16であり、そしてギャップにおける追加の残基についてのペナルティーは、タンパク質については、−2及びDNAについては−4である。一列整列は、FASTAパッケージバージョンv20u6(W. R. Pearson and D. J. Lipman (1988), "Improved Tools for Biological Sequence Analysis", PNAS 85:2444- 2448, and W. R. Pearson (1990) "Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA", Methods in Enzymology, 183:63-98)について製造され得る。
【0089】
タンパク質配列の複数一列整列は、"ClustalW" (Thompson,J. D., Higgins, D. G. and Gibson, T.J. (1994) CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, positions-specific gap penalties and weight matrix choice. Nucleic Acids Research, 22:4673-4680を用いて製造され得る。DNA配列の複数一列整列は、鋳型としてタンパク質一列整列を用いて、アミノ酸配列を、DNA配列からのその対応するコドンにより置換することにより行われ得る。
【0090】
ハイブリダイゼーション
本発明に関しては、ハイブリダイゼーションは、核酸配列が、非常に低い〜非常に高い緊縮条件下で、配列番号5又は7で示される核酸配列に対してハイブリダイズする、ラベルされたポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズすることを示す。ポリヌクレオチドプローブがそれらの条件下でハイブリダイズする分子は、X−線フィルムを用いて、又は当業界において知られているいずれか他の方法により検出され得る。用語“ポリヌクレオチドプローブ”が本明細書において使用される場合いつでも、そのようなプローブが少なくとも15個のヌクレオチドを含むことが理解されるべきである。
【0091】
1つの態様においては、ポリヌクレオチドプローブは、配列番号5又は7の相補鎖である。
【0092】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長さのプローブに関して、非常に低い〜非常に高い緊縮条件は、標準のサザンブロット方法に従っての、5×SSPE、 1.0%SDS、 5×Denhard溶液、100μg/ml の剪断され、そして変性されたサケ精子DNAにおける42℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションとして定義される。好ましくは、少なくとも100個のヌクレオチドの長いプローブは、1000個以上のヌクレオチドを含まない。
【0093】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長いプローブに関しては、キャリヤー材料は最終的に、2×SSC、0.1%SDSを用いて42℃で、それぞれ15分間、3度洗浄され(非常に低い緊縮性)、好ましくは0.5×SSC、0.1%SDSを用いて42℃で、それぞれ15分間、3度洗浄され(低い緊縮性)、より好ましくは0.2×SSC、0.1%SDSを用いて42℃で、それぞれ15分間、3度洗浄され(中位の緊縮性)、さらにより好ましくは0.2×SSC、0.1%SDSを用いて55℃で、それぞれ15分間、3度洗浄され(中位の高い緊縮性)、最も好ましくは0.1×SSC、0.1%SDSを用いて60℃で、それぞれ15分間、3度洗浄され(高い緊縮性)、特に0.1×SSC、0.1%SDSを用いて68℃で、それぞれ15分間、3度洗浄される(非常に高い緊縮性)。
【0094】
特に好ましいものではないが、より短いプローブ、例えば約15〜99個の長さのヌクレオチド、例えば約15〜約70個の長さのヌクレオチドであるプローブがまた使用され得る。そのような短いプローブに関しては、緊縮条件は、0.9MのNaCl、0.09Mのトリス−HCl, pH7.6, 6mM のEDTA, 0.5のNP-40, 1×Denhardt’s溶液、1mMのピロリン酸ナトリウム、1mMの一塩基性リン酸ナトリウム、0.1mMのATP及び0.2mgの酵母RNA(ml当たり)における、Bolton and McCarthy(1962、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 48: 1390)に従って計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度での標準のサザンブロット方法に従ってのプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、及び後−ハイブリダイゼーション洗浄として定義される。
【0095】
約15個〜約70個の長さのヌクレオチドである短いプローブに関しては、キャリヤー材料は、6×SSC及び0.1%SDSにより15分間、1度、及び6×SSCを用いて、計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度でそれぞれ15分間、2度、洗浄される。
【0096】
乾燥された生成物としてのアルブミン
本発明は、さらなる態様においては、SAとしてこの後、言及される血清アルブミンを含んで成る、乾燥され、そして速く溶解する粒子、及び前記早く溶解する乾燥粒子を含んで成る種々の組成物及び製品又はこの態様の前記組成物に関する。本発明はさらに、本発明の早く溶解するSA粒子の調製方法、及びその使用に関する。
SAは、いずれかの形の血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン又はウシ血清アルブミンであり得、そしてSA種は天然又は組換え血清アルブミンであり得る。
【0097】
本発明者は驚くべきことには、噴霧乾燥により、SAが加工段階の間、その性質を変化しない生成物が得られることを見出した。しかしながら、単純な噴霧乾燥の間、非常に低い粒度の一次粒子が得られる。前記一次粒子は、液体において容易に分散することはできない。一次粒子は一緒に付着し、そして液体に添加される場合、ゲル様物質を製造する。分散された一次粒子を得るためには、長期にわたっての機械的撹拌が必要とされる。従って、液体に添加される場合、容易に分散し、そして従って、早く溶解するSA生成物を得ることが所望される。
【0098】
水溶液において直ちに溶解されるSAの乾燥された粉末を見出すための研究において、本発明者は驚くべきことには、水溶液において容易に溶解する生成物を得ることができる。
SAの“一次粒子”とは、10μ以下の粒度を有し、そして液体の1つの液滴を噴霧乾燥することにより調製された粒子である。
“凝集体”とは、一緒に結合される少なくとも2種の一次粒子を含んで成る粒子として定義される。
【0099】
“分散性”は、次の手段で測定される:1.0gの純粋HSAに対応する乾燥HSA(又は他の血清アルブミン)生成物が、スプーンにより軽く手動的に撹拌しながら、600mlのビーカーにおける100mlの水(25℃)に添加される。完全な溶解のための時間が秒で測定され;そして分離性として使用される。
“溶解性”は、次の手段で測定される:2.5gの純粋なHSA生成物に対応する乾燥HSA(又は他の血清アルブミン)が100mlの水(25℃)に添加され、そしてスプーンにより20秒間、軽く撹拌される。液体相のサンプルが取られ、そして乾燥物質含有率が測定される。溶液中の固形物の%が、合計の添加された固形物の%として計算される。100%の溶解性は、20秒以下で溶解される、すべての添加された固形物に対応する。
【0100】
“湿潤性”は、次の手段で測定される:0.5gの純粋な生成物に対応する乾燥HSA(又は他の血清アルブミン)が、600mlのビーカーにおける100mlの水(22℃)の表面に添加される。完全な溶解時間が、秒で測定され、そしてその値が湿潤性である。
“嵩密度”は、標準:DIN52102において特定されるように、円柱状容器において測定される体積当たりの粉末質量である。
【0101】
“タイピングされた密度”は、標準ISO787/11において定義されるように、多数回、タッピングされる円柱状容器において測定される体積当たりの粉末の質量である。
本発明は、乾燥されたSA生成物の調節された凝集工程が、生成物の溶解性を改良し、従って溶媒、好ましくは水における非常に早い溶解性を達成することを示す。
【0102】
乾燥されたSA生成物
本発明のSA生成物は好ましくは、10〜1,000μの粒度を有する。特定の態様においては、粒度は50〜500μである。より特定の態様においては、粒度は、下記例において示されるように、イソプロパノールに懸濁された粒子のレーザー回折測定により決定される場合、100〜250μである。特定の態様においては、粒度は50μ以上である。より特定の態様においては、粒度は100μ以上である。特定の態様においては、粒度は700μ以下である。
【0103】
本発明の特定の態様においては、乾燥された生成物は、下記例に示されるように、イソプロパノールに懸濁された粒子のレーザー回折測定により決定される場合、10〜1,000μ、好ましくは100〜1,000μ、より好ましくは150〜900μ、及びさらにより好ましくは200〜800μである、粒度、D50を有する。
【0104】
大き過ぎる粒子は溶解するのに長すぎる時間を要し、そして小さ過ぎる粒子は一緒に付着し、そしてまた、溶解するのに非常に困難であるので、狭い範囲の粒子を有することが所望される。特定の態様においては、噴霧乾燥され、そして凝集された生成物の多分散性が、次の式:SPAN=(D90−D10)/D50に従って計算されるSPAN値として測定される。本発明の特定の態様においては、SPAN値は2.5以下である。より特定の態様においては、SPAN値は2.0以下である。さらにより特定においては、SPAN値は1.5以下である。最も特定の態様においては、SPAN値は1.2以下である。
【0105】
上記において、D10は、平均粒度を有し、ここで粒子の質量の10%がこのサイズよりも小さいか、又はそれに等しい。粒子の質量の50%がこのサイズよりも小さいか、又はそれに等しい、D50が平均粒度である。粒子の質量の90%がこのサイズよりも小さいか、又はそれに等しい、D90が平均粒度である。
【0106】
本発明の乾燥されたSA凝集体に存在するSAの量は、特定の態様においては、50%以上である。本発明のより特定の態様においては、乾燥された凝集体に存在するSAは、75%以上である。本発明のより特定の態様においては、乾燥された凝集体に存在するSAは、90%以上である。本発明の最も特定の態様においては、乾燥されたSA凝集体に存在するSAは、95%以上、さらに99%以上である。特定の態様においては、乾燥されたSA凝集体に存在するSAは、100%である。
【0107】
特定の態様においては、粒子は5分以内に溶解する。より特定の態様においては、粒子は3分以内に溶解する。さらにより特定の態様においては、粒子は1.5分以内に溶解する。最も特定の態様においては、粒子は0.5分以内に溶解する。
【0108】
本発明の乾燥されたSA凝集体はまた、他の成分も含んで成る。他の成分は、充填剤、凝集助剤、1又は複数の活性成分、例えば薬理学的活性物質、及び水溶性賦形剤、緩衝液、塩、界面活性剤、ポリマー、例えばポリエチレングリコール、炭水化物、例えば澱粉、マンニトール、ソルビトール、無機塩、例えば塩化ナトリウム、リン酸塩、及びそれらの混合物であり得るが、但しそれらだけには限定されない。細胞のための栄養物、例えば細胞培養培地のための塩及び糖である前記他の成分は、SAを含んで成る液体組成物に添加され得る。
【0109】
液体組成物に添加され得る追加の成分、例えばオクタノエート又はN−アセチル−トリプトファンは、SAのための熱安定化剤である。
【0110】
すべての使用のために、アルブミンは、次の1又は複数の化合物(但し、それらだけには限定されない)の組合せと共に噴霧乾燥され得る:医薬活性体、例えば抗原、抗体、抗体フラグメント、ホルモン、成長因子、インターフェロンベータフェロン(インターフェロン−1β)、ヒトエリトロポイエチン(EPO)、尿酸酸化酵素、グルカゴン、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、ヒルジン、レピルジン、血小板由来増殖因子、抗脈管因子、抗体(mAb 及び/又は PAb)、抗体フラグメント(Fab)、抗微生物ペプチド、抗ウイルスペプチド、抗癌のペプチド、IGF(例えば、インシュリン様成長因子IGF-1、IGf-2)、EGF(上皮成長因子、TGF(TGF-α)、形質転換成長因子、へパリン、インターロイキン、サイトカイン、ホルモン(性ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン及びヒト慢性性腺刺激ホルモン、ヒト成長ホルモン、ペプチドホルモン、コルチゾンホルモン)、抗原(例えば、HIV、HBV、HCV、HPV、デングウィルス、マラリア、B型肝炎表面抗原、はしか、風疹、おたふくかぜ)、ボツリヌス毒素、エラスチン、ゼラチン、コラーゲン、プロテインA、乳酸、ヒアルロン酸、ヒト内因性因子。
【0111】
液体組成物
早く溶解する乾燥生成物中に配合されるべき液体組成物は、SAを含んで成る。液体組成物はさらに、他の成分を含むことができる。
液体組成物の乾燥固体含有率は、1〜30重量%である。本発明の特定の態様においては、液体組成物の乾燥固体含有率は、3〜15重量%である。乾燥固体含有率が高過ぎる場合、液体組成物は、粘性過ぎるようになり、そしてそれは取り扱うのに困難であろう。
【0112】
液体組成物は、他の成分を含んで成る。本発明の特定の態様においては、他の成分の量は、乾燥固形物の50重量%を越えない。本発明のより特定の態様においては、他の成分の量は、25重量%を越えない。
特定の態様においては、液体組成物は水性である。
【0113】
乾燥されたSA粒子の生成方法
通常、粒子を噴霧乾燥する場合、得られる粒子は、一次粒子であり、そしてそれらは、10μ以下の非常に小さい。前記一次粒子は、水性流体において分散し、そして溶解するのに非常に困難である。しかしながら、本発明者は、大きな粒子が水において容易に分散し、そして溶解することを見出した。本発明者は、一次粒子の凝集により、又は噴霧乾燥を特定条件下で行うことにより、拡大された粒子を調製することが可能であることを見出しており、それによれば、噴霧により調製される液滴が非常に大きく、そしてそれにより、得られる乾燥された粒子は、通常の条件下での噴霧乾燥により行われる粒子に比較して、より大きい。後者の工程を用いることにより、流動層を必ずしも含む必用はない。
【0114】
本発明は、乾燥し且つ溶解するSA生成物、及び/又はその好ましい態様の生成方法を提供する。
本発明の1つの態様においては、前記方法は、
a)血清アルブミンを含んで成る液体組成物を乾燥し;そして
b)段階a)の生成物を凝集する段階を含んで成る。
本発明のもう1つの態様においては、前記方法は、
a)血清アルブミンを含んで成る液体組成物を調製し;
b)段階a)の液体組成物を噴霧化し;そして
c)50μ以上の粒度を有する乾燥粒子を得るために前記液体組成物を乾燥する段階を含んで成る。
【0115】
本発明の特定の態様においては、段階b)における噴霧は、2液体ノズルアトマイザー、圧力ノズルアトマイザー又は回転アトマイザーの使用により行われる。
二流体ノズルアトマイザー又は圧力ノズルアトマイザーの使用により50μ以上の粒度を有する粒子を得るために、噴霧圧力は低くあるべきである。本発明の特定の態様においては、噴霧圧力は5バール以下である。本発明のより特定の態様においては、噴霧圧力は3バール以下である。
【0116】
回転アトマイザーの使用により50μ以上の粒度を有する粒子を得るために、回転速度は低くあるべきである。特定の態様においては、回転速度は100m/秒以下であるべきである。より特定の態様においては、回転速度は、50m/秒以下であるべきである。
SA含有液体組成物の乾燥は、当業者に入手できるいずれかの乾燥方法、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、流動層乾燥及びマイクロ波乾燥により達成され得る。好ましくは、早い乾燥方法が使用される。遅い乾燥方法が用いられる場合、出発タンパク質の重合の危険性が高くなる。
【0117】
特定の態様においては、噴霧乾燥は、噴霧乾燥が早い工程であるので、乾燥段階に使用され、そして得られる粒子の多孔度を変えるために液体配合物中にガスを添加することが可能である。
粒子の乾燥及び拡大は、噴霧乾燥機、流動層のような加工装置、及び/又は両工程を包含する装置(ここで、両者は、組み合わされる)、例えば流動層噴霧乾燥機(流動化された噴霧乾燥機)(但し、それらだけには限定されない)において行われ得る。
【0118】
本発明の特定の態様においては、粒子の流動化が前記工程に包含される。
特定の態様においては、本発明の方法は、乾燥工程及び凝集工程の原理を組合している。特定の態様においては、噴霧乾燥機及び流動層が使用される。
本発明の特定の態様においては、それらの2種の原理は、一部分の装置、例えば流動化された噴霧乾燥機中に組み合わされる。加工時間を減じるために、便利には、乾燥及び凝集が1つの段階において行われる。本発明の特定の態様においては、乾燥及び凝集は、流動化された噴霧乾燥機を用いることにより、1つの工程段階において行われる。典型的には、入口温度は、50〜200℃である。空気出口温度の20〜90℃である。
【0119】
本発明の特定の態様においては、再循環されるべき粒子、例えば一次粒子は、凝集が生じる噴霧乾燥機における噴霧領域中に吹きこまれる。
もう1つの特定の態様においては、流動層は、凝集物が形成される、流動層において形成される異低流動粒子上に液体組成物を噴霧するノズルを備え付けられる。
【0120】
本発明の特定の態様においては、本発明は、凝集されたSAの生成方法を開示し、ここでSAを含んで成る流体組成物が調製され、任意には、添加剤が前記組成物に添加される。1又は複数の前記液体組成物が流動層中に噴霧される。特定の態様においては、液体組成物は、噴霧ノズルにより、下方から流動層中に噴霧される。ガスの流出と共に流体層から漏れる微粒材料は分離され、そして凝集体のための核として流動層に戻される。予定されるサイズの凝集体は、分離するガス流を調節することにより形成され、そして最終凝集体が排出される。
【0121】
例えば、噴霧乾燥により乾燥微粉末を最初に生成することが便利である。前記微粉末は、流体層において流動化され、そして液体結合剤、例えば水が、所望する凝集体を構築するために装置中に噴霧される。
乾燥の後、得られる早く溶解するSA粒子/凝集体が、工程から除かれる。
【0122】
本発明の特定の態様においては、再循環システムを包含することが必要である。前記再循環システムは、一般的に小さ過ぎる一次粒子、又はそれらが大き過ぎるので粉砕されている粒子を再循環することができる。そのシステムは好ましくは、乾燥された粒子を、複数のサイズの種類に分類することにより作動し、ここで小さ過ぎる粒子が再循環され、そして所望するサイズの粒子が工程から除かれる。再循環システムは、内部システム及び/又は外部システムとして作動する。
【0123】
外部システムにおいては、流動層から漏れる、再循環されるべき材料が、サイクロ(登録商標)ン分離器又はダストフィルターの助けにより、空気から連続的に分離され、そして流動層に戻される。内部システムにおいては、再循環されるべき材料は、流動層上に配置されるダストフィルターの助けによりもたらされる。
前記方法は、過大粒子の粉砕、及び外部システムによる流動層への前記粉砕された粒子の返還を包含する。
【0124】
再循環システムは、湿式又は乾式再循環システムとして作動することができる。湿式再循環システムにおいては、再循環された粒子は、入ってくる液体組成物中に溶解されるか、又は懸濁される。乾式再循環システムにおいては、粒子は噴霧領域に戻される。
特定の態様においては、使用される技法は、Walzelタイプのアトマイザー及び再循環システムを備えた噴霧乾燥機である。
【0125】
噴霧乾燥の間、ガスを粒子中に導入することにより、得られる粒子の多孔度を変えることが可能であることが見出された。多孔性粒子は通常、非多孔性粒子よりも早く溶解する。従って、噴霧乾燥された粒子の溶解性を変えることが可能である。前記工程は、ガスが液体組成物中に導入される加工段階を包含する。特定の態様においては、導入されるべきガスは、二酸化炭素、窒素又は大気である。
【0126】
血清アルブミンの用途
アルブミンは、組換え的に又は血漿源から得られても、多くの用途のために使用され得る。種々の機能をインビトロ又はインビボの両者において示すことが知られている(Kragh-Hansen U, Chuang VT, Otagiri M (2002). Practical aspects of ligand-binding and enzymatic properties of human serum albumin. Biological & Pharmaceutical Bulletin. 25(6): 695-704;Curry S (2002). Beyond expansion: structural studies on the transport roles of human serum albumin. Vox Sanguinis. 83:Suppl-9; Nicholson JP, Wolmarans MR, Park GR (2000). Brit J Anaesth 85(4): 599-610; Peters, Theodore. All about albumin: biochemistry, genetics, and medical. Academic Press 1996, ISBN 0-12-552110-3)。
【0127】
いくつかの用途においては、特に非動物起源の成分の使用が所望される用途においては、組換え的に生成されたアルブミンと、いくつかの又はすべての次の化合物とを、それらが微生物系により組換え的に又は天然において生成される場合、組合すことが好都合である:インスリン、トランスフェリン、IGF1、EGF又は他のタンパク質、成長因子及び代謝物。
【0128】
噴霧乾燥されたSA粒子又は/及び本明細書の組換え的に生成されたSAは、最終生成物として、又は下記のために使用されるアルブミン含有生成物の生成のために有用であろう:
・細胞培養培地;
・診断キットにおける成分;
・タンパク質溶液の安定剤;
・医薬分野内の用途、例えば血液エキスパンダー及び賦形剤;
・消化支持体;
・毒素の除去;
・イメージング−放射線又は超音波イメージング;
・薬剤供給;
・表面、例えば医療用装置の被覆;
・インビトロ受精−卵のみ、精子のみの貯蔵培地として、また、卵及び精子の培養のための。
【0129】
本発明の血清アルブミンは、いずれかの動物種、最も特定には、ヒト又はウシ源由来のアルブミン、又は組換え動物アルブミンを、アルブミンのすべての使用のための同等の又は良好な機能で置換することができる。これについての理由は、次のことを包含する::1)本発明は、本明細書に記載されるように、アルブミン分子に結合される小分子、例えば分子、例えば脂肪酸、ビタミン、アミノ酸、リン脂質及びカチオン(但し、それらだけには限定されない)の有益な種を天然において創造し;そして2)それは、天然の及び組換えアルブミンの多くの製造業者が安定剤として使用する、高い量のカプリル酸及びN−アセチルDLトリプトファンを含まない。アルブミンに結合する脂肪酸及びカチオンが、脂肪酸及び薬剤の協力的及び競争的相互作用に、さらに影響を及ぼす配座変化を生成することは良く知られている。過剰量のカプリル酸及び/又はN−アセチルDLトリプトファンはしばしば、多くのアルブミン用途において所望しないか又は悪影響を有する。
【0130】
従って、重症患者への組換えヒトアルブミンの使用は、死亡率を高めることが知られている(Olsen H, Andersen A, Nordbo A, Kongsgaard UE, Bormer OP, 2004. Pharmaceutical grade albumin: impaired drug binding capacity in vitro. BMC Clinical Pharmacology, 4:4 doi:10:1186/1472-6904-4-4; Keenan J, Dooley M, Pearson D, Clynes M. Recombinant human albumin in cell culture: Evaluation of growth promoting potential for NRK and Scc-9 cells in vitro. Cytotechnology 1997, 24:243-52; Zunszain, PA, Monie T, Konarev PV, Svergun DV, Curry S (2003). Structural analysis of conformational changes in human serum albumin associated with ligand binding and pH. www-hasylab.desy.de?science/annual_report/2003_report/part2/contrib./73/9952.pdf)。
【0131】
SAについての用途
本発明のSAについての用途は、下記を包含するが、但しそれらだけには限定されない:
1)調査、診断又は治療目的のための哺乳類細胞の培養;生物製剤、診断試薬、又は天然又は組換えタンパク質の生成のための遺伝子的に構築された又は非遺伝子的に構築された哺乳類細胞、例えばCHO、Sp2/0、 NSO、BHK、HEK 293、Namalwa 及び PERC.6, A431、又は医学的又は化粧用目低のために使用されるアデノウィルスの培養、及び同じものの培養培地;正常な一次ヒト細胞、及び同じもののための培養培地;乾細胞、例えばStem Cell Technologiesから入手できるか、又は骨髄移植又は心筋梗塞修復のための患者由来のサンプルから入手できる細胞の培養、及び同じものの培養培地;ケラチン細胞、例えばSmith+NephewからのDermagraft(商標)を有するか又は有さない、哺乳類線維芽細胞の培養、及び同じものの培養培地;移植片及び創傷修復、例えば自己由来の軟骨細胞移植又は心筋細胞移植のための哺乳類組織の培養、及び同じものの培養培地
【0132】
(Yamane I. 1978. Development and application of a serum-free culture medium for primary culture. In H. Katsuta (ed), Nutritional Requirements of Cultured Cells. Baltimore, University Park Press, pp 1-21 ; US patent 5,021 ,349; Iscove NN, Melchers F (1978). Complete replacement of serum by albumin, transferrin and soybean lipid in cultures of lipopolysaccharide-reactive B lymphocytes. J Exp Med 147: 928-33; アメリカ特許第 5,198,349号; アメリカ特許第5,250,421号; Berntorp E (1997). Thrombosis Haemostasis 78: 256-60; McGrew JT, Rich- ards CL, Smidt P, Dell B and Price V. 1998. Lipid requirements of a recombinant Chineese Hamster Ovary Cell Line (CHO), ibidem, pp 205-207; Yamane I. 1978. Role of bovine albumin in a serum-free culture medium and its application. Natl Cancer Inst Monogr 48:131-133; Sato JD, Kawamoto T, McClure DB and Sato GH. 1984. Cholesterol requirement of NS-1 mouse myeloma cells for growth in serum-free medium. MoI Biol Med 2(2): 121 -134; Kovar J. Hybri- doma cultivation in defined serum-free media: growth-supporting substances. IV. Lipids and serum albumin. Folia Biol (Praha). 1987, 33(6):377-84; Jaeger, V, Lehmann J, Friedl P. Serum-free growth medium for the cultivation of a wide spectrum of mammalian cells in stirred bioreactors. Cytotechnology 1988, 1 :319-29; Glassy CM, Tharakan JP, Chau, PC. Serum-free media in hybridoma culture and monoclonal antibody production. Biotech Bioeng 1988, 32:1015-28)。
【0133】
ii)哺乳類細胞のための低温保護剤としての使用(Somlo G, など (1997). Effect of CD34+ selection and various schedules of stem cell reinfusion and granulocyte colony stimulating factor priming on hematopoetic recovery after high-dose chemotherapy for breast cancer. Blood 89: 1521-8; アメリカ特許第6,548,297号; WO01/37655号; JRH Biosciences Catalog, 2004. Section on general cell culture techniques)。
【0134】
iii)哺乳類助力された再生技法に使用される加工溶液への又はそのための使用(Armstrong JS, Rajasekaran M, Hellstom WJG, Sikka SC (1998). Antioxidant potential of hu- man serum albumin: role in recovery of high quality spermatozoa for assisted reproductive technology. J Androl 19:412-9; VandeVoort CA (2004). High quality sperm for non-human primate ART: Production and assessment. Reproduct Biol Endocrinol, 2: 33-8; Lane M, Maybach JM, Hooper K, Hasler JF, Gardner DK (2002). Cryo-survival and development of bovine blastocysts are enhanced by culture with recombinant albumin and hyaluronan Molecular Reproduc- tion & Development 64: 70-8; Gardner, DK (2004). アメリカ特許第6762053号. Mammalian gamete and embryo culture media and culture media supplements)。
【0135】
iv)ドナー器官の保存のための溶液への使用(アメリカ特許出願第2004/0029096号)。
v)眼用途への使用(Shimmura S, Ueno R, Matsumoto Y, Goto E, Higuchi A, Shima- zaki J, Tsubota K (2003). Albumin as a tear supplement in the treatment of severe dry eye. Brit J Ophthalmology 87:1279-83; アメリカ特許第6,043,213号)。
【0136】
vi)製品Buminate (Baxter Intl), Plasbumin (Bayer Corp.)及びHextend (BioTime)に類似する、血漿拡張剤としての又は浸透調節のための治療用途への使用(Woodruff LM, Gibson ST (1942). The clinical evaluation of human albumin. US Navy Med Bull 40:791-6; Heyl JT, Gibson JG II, Janeway CA (1943). Studies on the plasma proteins. V. The effect of concentrated solutions of human and bovine serum albumin on blood volume after acute blood loss in man. J Clin Invest 22: 763-73; Alderson P, Bunn F, Lefebvre C, Li Wn Po A, Li L, Roberts I, Schierhout G (2004). Human albumin solutions for resuscitation and volume expansion in critically ill patients. The Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 4. Art No. CD001208.pub2.DOI: 10.1002/14651858.CD001208.pub2)。
【0137】
vii)医薬の製造又は配合における賦形剤として、又はキャリヤー、保護剤、安定剤としての使用、又はホルモン(例えば、IGF−1又はインスリン)及びサイトカインを包含する、診断又は治療使用のための、もう1つの分子、例えば薬物、ペプチド又はタンパク質とアルブミン(例えば、アルブミン結合されたパクリタキセル懸濁液)との非共有結合を包含する他の使用(Tarelli E, など (1998). Recombinant human albumin as a stabilizer for biological materials and for the preparation of international reference reagents. Biologicals 26: 331-46; Paul W, Sharma CP (2005). Bioceramics, Towards Nano-enabled Drug Delivery: A mini Review. Trends Biomater. Artif Organs, 19: 7-11 ; Roddie, PH, Ludlam CA (1997). Blood Reviews 11 :169-77)。
【0138】
viii)化粧品又は医学用化粧品製造への使用(Sidle DM, Loos BM, Ramirez AL, Ka- baker SS, Maas CS (2005). Use of BioGlue Surgical Adhesive for brow fixation in endoscope browplasty. Arch Facial Plast Surg 7: 393-7)。
ix)医学的装置、例えば歯科又は歯科移植片用途、骨修復材料及び生適合性物質の製造への使用(Kinnari TJ, Rihkanen H, Laine T, Salonen, E-M, Jero, J (2004). Albumin-coated tympanostomy tubes: Prospective, double-blind clinical study. Laryngoscope 114: 2038-43; アメリカ特許出願第20030004105号)。
【0139】
x)診断手順、キット又は方法における試薬としての、表面への物質の非特異的吸着を阻止するためへの、溶液における局部pH及び用量オスモル濃度のためへの、診断又はアッセイ試薬の温度安定性を高めるためへの、非特異的酵素又は小分子安定剤として、小分子、ペプチド及びタンパク質試薬の凍結又は凍結乾燥における安定剤としての使用。
xi)ヒト又は家畜用ワクチン、例えばMerck's MMR-II 及びd MUMPSVAXワクチン、狂犬病ワクチン、A型肝炎のワクチンの製造、重合されたアルブミンにおけるウィルスの免疫安定化(アメリカ特許第6,884,422号; The BSE Inquirey: The Report (2000). Volume 16 chapter 4. www. bseinquirey.gov.uk)。
【0140】
xii)標準又は参照材料として使用(Bradford M (1976). A rapid and sensitive method for the quantitation of microgram quantities of protein utilizing the principle of dye-binding. Anal Biochem 72: 248-54)。
xiii) CryoLife BioGlue(商標)又はアルブミン固定剤に類似する、接着剤又はシーラントへの使用(Fuerst W, Banerjee A (2005). Release of glutaraldehyde from an albumin-glutaraldehyde tissue adhesive causes significant in vitro and in vivo toxicity. Ann Thorac Surg 79:1522-8; Passage J, Tarn R, Windsor M, O'Brien M (2005). BioGlue: A review of the use of this new surgical adhesive in thoractic surgery. ANZ J Surg 75:315-8; Hoffman GT, et al (2004). Composites containing albumin protein or cyanoacrylate adhesives and biodegradable scaffolds: I. Acute wound closure study in a rat model. Proc SPIE, 5312:117-23); Medical Adhesives & Sealants (2003). Study #1681. The Freedonia Group)。
【0141】
xiv)毒素の除去への使用(Cole and Lirenman, 1978, J. Pediatr. 92:955-957)。
xv)抽出された又は組換え哺乳類アルブミンが使用され得る、すべての他のヒト又は非ヒト用途及び使用。
【0142】
血清アルブミンの負荷
しかしながら、いくつかの用途、特にアルブミンが細胞培養成分として使用される用途においては、アルブミン分子を、1又は複数のリガンド、例えば脂肪酸、ビタミン、ホルモン及びイオン(例えば、銅、亜鉛、等)(但し、それらだけには限定されない)と共に負荷することが好都合である。
【0143】
いくつかの用途においては、アルブミンを加工することが好都合である。そのような加工の例は、次の通りである:
・クロマトグラフィー精製、例えばカチオン及びアニオン−交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー及び混合されたモードのクロマトグラフィー。クロマトグラフィーモードは、例えば充填層又は拡張層吸着/親和性クロマトグラフィーであり得る。
【0144】
・活性炭及びデキストラン被覆された木炭による処理、又は溶媒抽出
・安定剤、例えばカプリル酸及び/又はN−アセチルトリプトファンの存在下での加熱又は低温殺菌。
・限外濾過。
【0145】
・プロテアーゼインヒビターの添加による、タンパク質分解からのタンパク質の保護。
それらの及び他の技法を用いて、下記のことが可能である:
アルブミンの色彩の低減、非共有結合されたリガンドの除去、所望しない不純物、例えば核酸、酵素活性、例えばプロテアーゼ活性、炭水化物、内毒素及び宿主細胞タンパク質、並びにアルブミン由来の不純物の除去。本発明は、分子に共有結合されないその分子を消耗し、そして次に、より最適な機能を確保するために、特に意図される用途のためのアルブミン結合分子を再構成することにより、修飾され得る。
【0146】
細胞培養用途に関しては、製造工程から結合されたまま残存する小分子を消耗されたアルブミンは、それが遊離脂肪酸、リン脂質、コレステロール、ホルモン、金属イオン、ビタミン又は薬剤、より特定には、1又は複数のリノール酸、オレイン酸、コレステロール、葉酸、コバラミン、ピリドキシン、チロキシン、カルシウム(II)、銅(II)及び亜鉛(II)の生理学的に適切な混合物により再構成される場合、所定の用途のために良好に実施することが示されている
【0147】
(Rumsey SC, Galeano NF, Lipschitz B, Deckelbaum RJ. (1995) J Biol Chem 270:10008-16; Bhattacharya AA, Curry S, Franks NP. Binding of the general anesthetics propofol and halo- thane to human serum albumin: high resolution crystal structures. J Biol Chem 2000, 275:38731-8; Bhattacharya AA, Gruene T, Curry S. Crystallographic analysis reveals common modes of binding medium and long-chain fatty acids to human serum albumin. J MoI Bio 2000, 303:721-32. Synopsis: Similar to the method in C.2.2; Petitpas I1 Gruene T, Bhattacharya AA, Curry, S. Crystal structures of human serum albumin complexed with monounsaturated and polyunsaturated fatty acids. J MoI Bio 2001 , 314:955-60; Li Z, Zhuang J1 Corson DW. Delivery of 9-Cis retinal to photoreceptors from bovine serum albumin. Photochem Photobiol. 1999, 69(4):500-4. Albumin is also known to carry T4, folate and vitamin B12. Albumin-related gene products are known to carry vitamin D and vitamin K; Viscardi RM, Ullsperger S1 McKenna MC. Carbon stripping extracts serum free fatty acids: implications for media supplementation of cultured type Il pneumocytes. Lab Invest. 1991 , 65(2):250; Caro JF1 Hodges J, Sinha MK. Increased insulin responsiveness in isolated rat hepatocytes incubated with free fatty acid-poor albumin. Horm Metab Res. 1991 , 23(8):362-4)。
【0148】
さらに、いくつかの用途においては、精製、化学的又は生物学的方法により、アルブミンの次の共有修飾を富化することが好都合である。そのような修飾は、メルカプタアルブミンとシステイン又はグルタチオンとの反応、及び所望する種rSAを優先的に生成する宿主の使用を包含する。システイン又はグルタチオンによりブロックされたアルブミンは、一定の用途又は加工段階においては、例えば所望しないタンパク質、特に所望しない酵素の熱変性に関して、好都合である熱安定性を改良した。
【0149】
驚くべきことには、組換え発現によるアスペルギラスオリザエにより生成されるrSAは、従来の負荷を伴わないで、インビトロ培養において哺乳類細胞の増殖を、負荷されていない、及び天然の負荷されたnSAの程度を越える程度まで支持することが見出された。さらにより驚くべきことには、アスペルギラス・オリザエからの抽出物と共にインキュベートされたHSAは、増殖を、さらに高い程度まで支持するアルブミンをもたらした。脂肪酸によるアルブミンの負荷が哺乳類細胞培養の増殖及びしばしばまた、生成増強効果を付与することが一般的に許容される。アスペルギラス・オリザエからのrHSAは、多くの用途において、細胞増殖の成長及び生産性に対して正の寄与を提供するであろう必須脂肪酸でありリノール酸により負荷されることが驚くべきことには見出された。糸状菌からのrHSAのそれらの性能増強性質のいくらか又はすべてがさらに、いずれかの源からのアルブミン調製物を、糸状菌からの抽出物と共にインキュベートすることにより増幅され得る。
【0150】
糸状菌の培養物に由来する抽出物と接触された血清アルブミンは、細胞培養培地に添加される場合、成長及びたぶんまた、生産性増強効果を示すであろう。
上記のようにして負荷された血清アルブミンは、細胞培養培地、より特定には多くの主要培養物のための血清フリーの細胞培養培地における用途のために特に有用である手段で修飾される。
【0151】
本発明における“負荷”とは、血清アルブミンが糸状菌、特にアスペルギラスsp.において発現される場合、又は天然、組換え又は脂肪酸フリーのいずれかの血清アルブミンが、糸状菌の培養物に由来する溶解物と接触される場合に生じる、脂肪酸の付加、及びまた、他の因子の付加を包含する、成熟血清アルブミンポリペプチドに対するいずれかの修飾を意味する。
【0152】
従って、1つの観点においては、本発明は、
i)糸状菌宿主細胞における、血清アルブミンをコードする核酸配列の組換え発現、及び/又は
ii)前記血清アルブミンと、糸状菌細胞由来の細胞抽出物とを接触することによる血清アルブミンの負荷により得られる負荷された血清アルブミンに関する。
負荷は、適切な宿主細胞における血清アルブミンの組換え発現により、又は糸状菌由来の細胞抽出物と、いずれかの源からの血清アルブミンとの接触により達成され得る。
【0153】
1つの態様においては、細胞抽出物は、糸状菌宿主細胞を溶解することにより得られる。
細胞溶解物を使用することが最も効果的であり、それにより細胞は活性的に破壊されるが、しかしながら、培養における細胞の分泌及び自発的溶解のために、そのような培養培地が血清アルブミンを負荷するために適用され得るのに非常に困難であることは、当業者に明白である。
【0154】
特定の態様においては、負荷は、血清アルブミンと、糸状菌を培養するために使用される培養ブイヨンとを接触することにより達成される。
用語“細胞抽出物”とは本明細書においては、糸状菌の細胞培養物からの培養ブイヨン、及び糸状菌の細胞培養物から得られる溶解物、又はさらに、ブイヨンの組合せを含んで成る。
【0155】
糸状菌宿主細胞は、1つの態様においては、アクレモニウム、アスペルギラス、フサリウム、ヒューミコラ、ムコル、マイセリオプソラ、ニューロスポラ、ペニシリウム、チエラビア、トリポクラジウム又はトリコダーマから成る群から選択される。
特に、前記アスペルギラス細胞は、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・フォエチダス、アスペルギラス・ジャポニカス、アスペルギラス・ニガー、アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエである。
1つの特定の態様においては、負荷される血清アルブミンは、HSA又はBSAである。
【0156】
もう1つの特定の態様においては、HSA又はBSAは、配列番号5及び7から成る群から選択される核酸配列から、糸状菌において組換え的に生成される。
本発明に従っての負荷される血清アルブミンは、細胞培養培地に使用される場合、非常に有用であることが示されており、パラメーター、例えば細胞生存性、細胞増殖、及び/又は生産性を改良する。
【0157】
細胞培養培地に添加されるSAの量は、通常0.1〜100,000μg/ml、特に1〜10,000μg/ml、より好ましくは100〜10,000μg/mg培地の範囲である。
1つの態様においては、本発明は、細胞培養培地、特に血清フリーの細胞培養培地への本発明の負荷された血清アルブミンの使用に関する。
【実施例】
【0158】
材料及び方法:

MBin115は、WO2004/090155号、例9に記載されている。
例1:ヒト血清アルブミン(HSA)をコードする遺伝子のクローニング
HSAは、多くの用途、例えば培地成分として、又は薬物供給のために使用される。HSAが現在使用される宿主、特に糸状菌により、経済的に興味あるレベルで発現され得るかどうかを知ることは、興味の対象である。
【0159】
ヒト成人男性肝臓第1鎖cDNAを注文し、そしてStratagene(カタログ番号780521)から受け取った。注文され、そして受け取られた次の2種のDNAオリゴマーは下記の通りである:
190203J1(配列番号9):ATGGACGGATCCACAATGAAGTGGGTAACCTTTATTTCC;
190203J2(配列番号10):ATGGACCCGCGGCTCGAGTTATAAGCCTAAGGCAGCTTGACTTGC。
【0160】
次のPCRを、前記2種のDNAオリゴマー及びcDNA(鋳型として)、並びにPwo-ポリメラーゼ (Roche)を用いて行った;94℃で5分、25サイクル(94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で3分)、72℃で7分。
得られるPCRフラグメントを、TOPOキットを用いて、その製造業者により推薦されるようにして(Invitrogen, カタログ番号601059)、pCR4ブラント中にクローン化し、プラスミドpENJ3046を得た。
【0161】
遺伝子を配列決定した(末端での配列を参照のこと)。
クローン化されたHSAは、N−グリコシル化部位を有さない。
プラスミドpENI3046を、BamHI及びSaclIにより切断し、そして遺伝子をアガロースゲルから単離した。プラスミドpHNI2516(WO2004/069872号)を、BamHI及びSaclIにより切断し、そしてアガロースゲルから単離した。ベクター及び前記遺伝子を連結し、そしてDH10bを形質転換した。得られるプラスミドを、pENI3054と命名した。
【0162】
例2:HSA cDNA発現プラスミドを用いてのアスペルギラス・オリザエの形質転換
プラスミドpENI3045を用いて、アスペルギラス・オリザエ株JAI355(WO2004/069872号)を形質転換した。これは、WO2004/069872号に言及されるようにして行われた。
10の形質転換体を、96ウェルマイクロタイター皿における200μlのYPMにおいて、34℃で3日間、増殖した。
20μlの上清液を、SDS−PAGE上で作動し、HSAがA. オリザエにより発現されたかどうかを調べた。バンドは検出できなかった。
【0163】
例3:HSA cDNA発現プラスミドを用いてのアスペルギラス・ニガーの形質転換
プラスミドpENI3054を用いて、アスペルギラス・ニガー株BMin115(WO2004/090155号、例9に記載のようにして調製された)を形質転換した。
10の形質転換体を、96ウェルマイクロタイター皿における200μlのYPMにおいて、34℃で3日間、増殖した。
20μlの上清液を、SDS−PAGE上で作動し、HSAがA. ニガーにより発現されたかどうかを調べた。バンドは検出できなかった。
【0164】
例4:BSAコード遺伝子のクローニング
BSAは、多くの用途、例えば培地成分として、又は薬物供給のために使用される。BSAが現在使用される宿主、特に糸状菌により、経済的に興味あるレベルで発現され得るかどうかを知ることは、興味の対象である。
ウシ肝臓cDNAライブラリーを注文し、そしてStratagene(カタログ番号937712)から受け取った。注文され、そして受け取られた次の2種のDNAオリゴマーは下記の通りである:
150503J6(配列番号11):GACTCGGGATCCACAATGAAGTGGGTGACTTTTATTTCTC;
150503J7(配列番号12):GACTCGCCGCGGCTCGAGTTAGGCTAAGGCTGTTTGAGTTGA。
【0165】
次のPCRを、前記2種のDNAオリゴマー及びcDNA(鋳型として)、並びにPwo-ポリメラーゼ (Roche)を用いて行った;94℃で5分、25サイクル(94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で3分)、72℃で7分。
PCRフラグメントをもたらすプラスミドを、BamHI及びSaclIにより切断し、そして遺伝子をアガロースゲルから単離した。プラスミドpHNI2516(WO2004/069872号)を、BamHI及びSaclIにより切断し、そしてアガロースゲルから単離した。ベクター及び前記遺伝子を連結し、そしてDH10bを形質転換した。得られるプラスミドを、pENI3113と命名した。
遺伝子を配列決定した(末端での配列を参照のこと)。
クローン化されたBSAは、N−グリコシル化部位を有さない。
【0166】
例5:BSA cDNA発現プラスミドを用いてのアスペルギラス・オリザエの形質転換
プラスミドpENI3113を用いて、アスペルギラス・オリザエ株JAI355(WO2004/069872号)を形質転換した。これは、WO2004/069872号に言及されるようにして行われた。
10の形質転換体を、96ウェルマイクロタイター皿における200μlのYPMにおいて、34℃で3日間、増殖した。
20μlの上清液を、SDS−PAGE上で作動し、BSAがA. オリザエにより発現されたかどうかを調べた。
バンドは検出できなかった。
【0167】
例6:BSA cDNA発現プラスミドを用いてのアスペルギラス・ニガーの形質転換
プラスミドpENI3113を用いて、アスペルギラス・ニガー株BMin115を形質転換した。これは、WO2004/069872号に言及しているようにして行われた。
10の形質転換体を、96ウェルマイクロタイター皿における200μlのYPMにおいて、34℃で3日間、増殖した。
20μlの上清液を、SDS−PAGE上で作動し、BSAがA. ニガーにより発現されたかどうかを調べた。
バンドは検出できなかった。
【0168】
例7:合成遺伝子に基づいてのHSAアスペルギラス発現プラスミドの構成
アスペルギラス発現プラスミドpJaL721(WO2003/008575号)は、突然変異誘発されたバージョンに基づいての発現セット、アスペルギラス・ニガー中性アミラーゼIIプロモーター及びアスペルギラス・ニガーアミログリコシダーゼターミネーター(Tamg)から成る。単独の窒素源としてのアセトアミド上での増殖を可能にするアスペルギラス・ニジュランスからのアスペルギラス選択マーカーand S, 及びpyrF欠失E. コリ株DB6507(ATCC35673)の増殖を可能にするサッカロミセス・セレビシアエからのURA3マーカーから成る。
【0169】
選択マーカーとしてS. セレビシアエURA3遺伝子を用いてのE. コリDB6507の形質転換を、次の手段により行った:
E. コリDB6507を、Mandel and Higa (Mandel, M. and A. Higa (1970) J. MoI. Biol. 45, 154)の方法によりコンピテントにした。形質転換を、1g/lのカサミノ酸、500μg/lのチアミン及び10mg/lのカナマイシンにより補充された固体M9培地(Sam- brookなど (1989) Molecular cloning, a laboratory manual, 2. edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press)上で選択した。
【0170】
合成HSA遺伝子を、次の手段でpJaL721中にクローン化した:
合成HSA遺伝子を、DNA2.0, Menlo Park, CA, USA (www. Dnat- wopointo.com)から購入し、そしてプラスミドpDrive-G0035R上に受容した。このプラスミドを、制限酵素BamHI及びSalにより消化し、そしてHSA遺伝子を有する1842bpのフラグメントを、アガロースゲルから精製した。
【0171】
このフラグメントを、BamHI及びXhoIにより消化されたpJaL721に連結した。この連結混合物を用いて、E. コリDB6507を形質転換した。形成されるコロニーの1つからのプラスミドを、制限分析及びDNA配列決定により、予測される挿入体を有することを確かめた。このプラスミドを、pCaHj620と命名した。pCaHj520の制限地図は、図1に示される。
【0172】
例8:合成HSA発現プラスミドを用いてのアスペルギラス・オリザエの形質転換
pCaHj620を用いて、アスペルギラス・オリザエBECh2(WO00/39322号、例1)を形質転換し、多くの形成転換体から胞子を2度、再単離した。個々の形質転換体の第2の再単離からの胞子を用いて、25mlのNUNC容器における10mlのYPM(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のマルトース)を接種した。YPM培養物を、軌道振盪下で34℃で4日間、増殖し、そして上清液を、SDSポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad, Criterion XT precast gels, Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)に適用し、そして標準方法用いて、クーマシーブルーにより染色した。約67kDalのバンドを、形質転換体から異なった量で観察した。最も高い収量の形質転換体を、実験用タンク発酵のために選択した。
【0173】
例9:合成HSA発現プラスミドを用いてのアスペルギラス・ニガーの形質転換
pCaHj620を用いて、アスペルギラス・ニガーMBin118 (WO 2004/090155号、アスペルギラス・ニガークリーン宿主)を形質転換し、多くの形成転換体から胞子を2度、再単離した。個々の形質転換体の第2の再単離からの胞子を用いて、25mlのNUNC容器における10mlのYPM(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のマルトース)を接種した。YPM培養物を、軌道振盪下で34℃で4日間、増殖し、そして上清液を、SDSポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad, Criterion XT precast gels, Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)に適用し、そして標準方法用いて、クーマシーブルーにより染色した。約67kDalのバンドを、形質転換体から異なった量で観察した。
【0174】
例10:合成遺伝子に基づいてのBSAアスペルギラス発現プラスミドの構成
合成BSA遺伝子を、GenScript Corrporation (Scotch Plains, NJ) (www.genscript.com)から購入し、そしてプラスミドとして受容した。このプラスミドを、制限酵素BamHI及びXhoIにより消化し、そしてHSA遺伝子を有する1837bpのフラグメントを、アガロースゲルから精製した。
このフラグメントを、BamHI及びXhoIにより消化されたpJaL721に連結した。この連結混合物を用いて、E. コリDB6507を形質転換した。形成されるコロニーの1つからのプラスミドを、制限分析及びDNA配列決定により、予測される挿入体を有することを確かめた。このプラスミドを、pCaHj623と命名した。pCaHj623の制限地図は、図2に示される。
【0175】
例11:合成BSA発現プラスミドを用いてのアスペルギラス・オリザエの形質転換
pCaHj623を用いて、アスペルギラス・オリザエBECh2を形質転換し、多くの形成転換体から胞子を2度、再単離した。個々の形質転換体の第2の再単離からの胞子を用いて、25mlのNUNC容器における10mlのYPM(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のマルトース)を接種した。YPM培養物を、軌道振盪下で34℃で4日間、増殖し、そして上清液を、SDSポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad, Criterion XT precast gels, Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)に適用し、そして標準方法用いて、クーマシーブルーにより染色した。約67kDalのバンドを、形質転換体から異なった量で観察した。最も高い収量の形質転換体を、実験用タンク発酵のために選択した。
【0176】
例12:合成BSA発現プラスミドを用いてのアスペルギラス・ニガーの形質転換
pCaHj623を用いて、アスペルギラス・ニガーMBin118を形質転換し、多くの形成転換体から胞子を2度、再単離した。個々の形質転換体の第2の再単離からの胞子を用いて、25mlのNUNC容器における10mlのYPM(1%の酵母抽出物、2%のペプトン、2%のマルトース)を接種した。YPM培養物を、軌道振盪下で34℃で4日間、増殖し、そして上清液を、SDSポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad, Criterion XT precast gels, Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)に適用し、そして標準方法用いて、クーマシーブルーにより染色した。約67kDalのバンドを、形質転換体から異なった量で観察した。
【0177】
例13:溶解されたアスペルギラス・オリザエ細胞抽出物による市販の脂肪酸フリーHSAの負荷
・アスペルギラス・オリザエからの発酵ブイヨン(細胞粗含む)を、氷上での超音波により処理する(4×30秒)。
・4000×g、5℃での30分間の遠心分離。上清液を0.22μmフィルターを用いて濾過する。
・冷たい部屋においての一晩のサンプル(10kDaのMWCO)の限外濾過。
【0178】
・氷上で、濾過されたサンプルに、脂肪酸フリーのヒト血清アルブミンを溶解し、それにより、10mgのHSA/ml濃度を得る。
・カプリル酸ナトリウムを、5.4倍のモル過剰で添加し、そして65℃での水浴にサンプルを配置する。サンプルの温度が65℃に達する場合、インキュベーションを45分間、続ける。次に、サンプルを室温に冷却する。
・4000×g、 5℃での30分間、遠心分離し、そして0.45μmのフィルターを用いて、上清液を濾過する。
【0179】
・冷室において、過剰のカプリル酸ナトリウム、色素、等(10kDaのMWCO)を除去するために、サンプル(Milli-Q水を用いての希釈)の限外濾過。
・ジアフィルトレーション(10kDaのMWCO)による、ダルベッコリン酸緩衝溶液+CaCl2+MgCl2(GIBCOTM、参照14040−117)への緩衝液−交換を実施する。
・0.22μmのフィルターを用いての濾過。
負荷されたHSAは現在、一次培養物のための血清フリーの培養培地に容易に使用される。
【0180】
例14:脂肪酸フリーHSAに比較して、負荷されたHSAの使用
細胞系CHO-K1を、nBSAを含む増殖培地(UltroserによるDMEM:F12)において、継代培養した。次に、細胞を収穫し、洗浄し、そしてnBSAを有さない増殖培地に、500個の細胞/ウェルでプレートした。rHSAの一連の希釈溶液を、アスペルギラス・オリザエにおける発現から得、そしてFAF nHSA(Serologicalsからの)を細胞に添加し、そして7日間のインキュベーションの後、細胞増殖を、放射性レベルされた核酸類似体(3H−チミジン)の組み込みにより、細胞分裂として測定した。結果は、計数/分(cpm)として与えられる。培地におけるHSAの濃度は、μg/mlで与えられる。A. オリザエにおける発現により得られるrHSAを、使用の前、下記に概略されるようにして処理した。
【0181】
サンプルの調製
・病原体の濾過。
・低温殺菌(発酵ブイヨン1L当たり0.1gのカプリル酸ナトリウムを添加し、そして65℃に1時間加熱する)。
・クロマトグラフィー捕獲段階。
・画分をプールし、そして-18℃で貯蔵する。
・融解し、そして0.22μmのフィルターを用いて濾過する。
・Milli-Q水及び10kDaのMWCOフィルターを用いてのジアフィルトレーション。
・無菌濾過(0.22μmのフィルター)。
【0182】
結果は図4に示され、そしてアスペルギラス・オリザエにおいて発現されたHSA(rHSA)は、細胞増殖を刺激する能力に関して、ヒト血清から精製された脂肪酸フリーのHSA(FAF nHSA)よりも卓越している。SAの不在下で培養された細胞についてのCpmは11.719であった。第2実験においては、細胞系CHO-K1を、nBSAを含む増殖培地(UltroserによるDMEM:F12)において、継代培養した。次に、細胞を収穫し、洗浄し、そしてnBSAを有さない増殖培地に、10,000個の細胞/ウェルでプレートした。
【0183】
“負荷された”及び“負荷されていない”FAH rHSA(Serologicalsからの)の一連の希釈溶液を、前記細胞に添加し、そして47日間のインキュベーションの後、細胞増殖を、放射性レベルされた核酸類似体(3H−チミジン)の組み込みにより、細胞分裂として測定した。結果は、計数/分(cpm)として与えられる。培地におけるHSAの濃度は、μg/mlで与えられる。FAH rHSAの負荷を、例13に実質的に概略されるようにして実施した。
【0184】
結果は図5に示され、そしてアスペルギラス・オリザエからのアルブミンフリーの発酵ブイヨンによる脂肪酸フリー(FAF)のnHSAの負荷が、細胞増殖を支持するこのnHSAの能力を改良することを明白に示す。SAの不在下で培養された細胞についてのCpmは、25.115であった。
【0185】
例15:rHSAの噴霧乾燥
約97g/lを含む3Lのr-HSA溶液から成る液体組成物を、Niro A/S, DenmarkからのMobile Minor噴霧乾燥において、2−流体−ノズル(TFN)を用いて噴霧乾燥した。
【0186】
【表3】

【0187】
生成される粉末は、表3に列挙される特徴を有した。
【表4】

【0188】
例16:組み込まれた流動層と組み合わされた噴霧乾燥
流体供給調製物は、57.7kgのr−HSA溶液及び14.4kgの塩化物溶液から成る。その供給調製物は、約28%の乾燥物質含有率を有し、ここでr−HSA固形物は、合計固形物の1/4を構成した。
【0189】
2−流体−ノズル(TFN)を、供給物の噴霧化のために選択した。噴霧乾燥機は、乾燥チャンバーの円錐底部分の低部分に結合される、組みこまれる流体層を備え付けられた。使用済み乾燥空気は、チャンバールーフを通して円錐状乾燥チャンバーから除去された。連行小粒子を有する空気を、連行粒子の分離のためにサイクロ(登録商標)ンに導き、その結果、それらは噴霧ノズルを取り囲む環状スリットを通して乾燥チャンバー中に再導入され得た。
【0190】
【表5】

【0191】
【表6】

【0192】
粒度は、例15における参照条件に比較して、この例の変更された加工条件のために優位に高められた。得られる生成物は、さらに、休止角度が低められるので、参照よりも、より易流動性であった。しかしながら、嵩密度及びタッピングされた密度は、優位に変更されなかった。
【0193】
粉末が溶媒中に再構成するのに“容易”であるか又は“低い容易性”であるかを定量化することは単純ではない。しかしながら、多くの広い生成物に関して、この性質は非常に重要なものである。International Dairy Federation (IDF)は、湿潤性、分散性及び溶解性を測定するための標準を開発している(IDF Standard 087:1979 - Determination of the dispersibility & wettability)。表6においては、結果が要約されている。前記方法は、IDF標準#087に基づかれ、そしてr−HSAに採用された。すべての場合、同じ量の活性r−HSAが使用された。
【0194】
【表7】

【0195】
湿潤性:2gの新規生成物及び0.5gの標準生成物を、600mlのビーカーにおける100mlの水(22℃)の表面に添加した。完全な溶解のための時間を測定した。
分散性:4gの新規生成物及び1gの標準生成物を、600mlのビーカーにおける100mlの水(25℃)の表面に、スプーンにより軽く手動的に撹拌しながら添加した。完全な溶解のための時間を測定した。
【0196】
溶解性:10gの新規生成物及び2.5gの標準生成物を、100mlの水(25℃)に添加し、そしてスプーンにより20秒間、撹拌した。液体相のサンプルを取り、そして乾燥物質含有率を測定した。溶液における固形物の%を計算した。
表6に見出される結果はすべて、本発明の新規生成物の再構成性質の著しい改良性を示す。
【0197】
例17:噴霧乾燥され、そして凝集された、HSAを含んで成る液体供給生成物
約100g/lのHSAを含むHSA溶液100kg、及び10kg、又は1kg、又は0.1kg、又は0.0kgの塩、好ましくは塩化ナトリウムから成る液体供給調製物を調製する。その供給調製物を、例16に開示されるのと同じ設定の噴霧乾燥装置に添加する。非凝集の乾燥HSA生成物に比較して、改良された湿潤性、分散性及び溶解性を有する生成物を得る。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】図1は、本発明の合成HSA遺伝子を含んで成るアスペルギラス発現プラスミドpCaHj620の制限地図を示す。NA2プロモーターは、アスペルギラス・ニガーからの修飾された中性アミラーゼプロモーターである。Tamgは、アスペルギラス・ニガーからのアミログリコシダーゼターミネーターである。HASは、合成ヒト血清アルブミン遺伝子である。amdSは、アスペルギラス・ニジュランスからのアセトアミダーゼ遺伝子である。pUC19は、E. コリベクターpUC19のフラグメントである。Pura3、URA3及びTura3は、サッカロミセス・セレビシアエURA3遺伝子のプロモーター領域ORFターミネーター配列である。
【0199】
【図2】図2は、本発明の合成BSA遺伝子を含んで成るアスペルギラス発現プラスミドpCaHj623の制限地図を示す。NA2プロモーターは、アスペルギラス・ニガーからの修飾された中性アミラーゼプロモーターである。Tamgは、アスペルギラス・ニガーからのアミログリコシダーゼターミネーターである。BASは、合成ウシ血清アルブミン遺伝子である。amdSは、アスペルギラス・ニジュランスからのアセトアミダーゼ遺伝子である。pUC19は、E. コリベクターpUC19のフラグメントである。Pura3、URA3及びTura3は、サッカロミセス・セレビシアエURA3遺伝子のプロモーター領域ORFターミネーター配列である。
【図3】図3は、噴霧乾燥された粉末対、使用されるr-HSA濃縮物のHPLC分析を示す。結果は、有意な重合が、溶出プロフィールは実質的に同一であるので、噴霧乾燥の間、生じないことを示す。
【0200】
【図4】図4は、A. オリザエにおいて発現されるrHSAにより、細胞培養培地における血清から精製された天然HSAを置換する効果を示す。図は、μg/mlでの培養培地におけるHSAの濃度の関数としての、放射性ラベルされたチミジンの組み込みにより測定された細胞増殖を示す。
【図5】図5は、脂肪酸フリーの市販のHSA生成物を、A. オリザエの培養物由来の細胞溶解物と共にインキュベートすることにより、細胞培養培地における血清から精製された天然HSAを置換する効果を示す。図は、μg/mlでの培養培地におけるHSAの濃度の関数としての、放射性ラベルされたチミジンの組み込みにより測定された細胞増殖を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列とは少なくとも1つのコドンにおいて異なる、野生型血清アルブミンポリペプチドをコードする修飾された核酸配列を、糸状菌宿主生物において発現することを含んで成る、糸状菌宿主生物における野生型血清アルブミンポリペプチドの組換え発現方法。
【請求項2】
糸状菌宿主生物における野生型血清アルブミンの組換え発現方法であって、
i)少なくとも1つの修飾されたコドンを含んで成る、野生型血清アルブミンをコードする核酸配列を供給し、ここで前記修飾は前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして配列コドンの配列が、野生型遺伝子をコードする核酸配列におけるその対応するコドンに比較して、異なり;
ii)前記修飾された核酸配列を、前記糸状菌宿主において発現する段階を含んで成る方法。
【請求項3】
前記血清アルブミンが、ウシ血清アルブミンである請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記血清アルブミンが、ヒト血清アルブミンである請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
前記野生型遺伝子をコードする核酸配列が、配列番号1又は3の配列である請求項2記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2個のコドン、特に少なくとも3個のコドン、より特定には少なくとも5個のコドン、より特定には少なくとも10個のコドン、さらにより特定には少なくとも15個のコドン、最も特定には少なくとも25個のコドンが修飾されている請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記コドンの少なくとも10%、特に少なくとも20%、より特定には少なくとも30%、より特定には少なくとも50%、より特定には少なくとも75%が修飾されている請求項1記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1個のコドンの修飾が、選択の宿主生物において翻訳のために最適化されたコドンをもたらす請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのコドンが、糸状菌において翻訳のために最適化される請求項7記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの修飾されたコドンのコドン使用法が、アスペルギラス・オリザエ(Aspergillus oryzae)からのα−アミラーゼのコドン使用法に対応する請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記糸状菌性生物が、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、ムコル(Mucor)、マイセリオプソラ(Myceliophthora)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)又はトリコダーマ(Trichoderma)から成る群から選択される請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記アスペルギラス細胞が、アスペルギラス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギラス・フォエチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギラス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、アスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギラス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)又はアスペルギラス・オリザエ(Aspergillus oryzae)である請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記宿主細胞が、A. オリザエ又はA. ニガーである請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記血清アルブミンタンパク質が、前記コドンの少なくとも10%、特に少なくとも20%、より特定には少なくとも30%、より特定には少なくとも50%、より特定には少なくとも75%において最適化された核酸配列コドンによりコードされる請求項7記載の方法。
【請求項15】
BSA又はHSAをコードする前記修飾された核酸配列が、配列番号5及び7から成る群から選択される請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
野生型ウシ血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列とは、少なくとも1つのコドンにおいて異なる、野生型ウシ血清アルブミンポリペプチドをコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列。
【請求項17】
野生型ヒト血清アルブミンポリペプチドをコードする個々の野生型核酸配列とは、少なくとも1つのコドンにおいて異なる、野生型ヒト血清アルブミンポリペプチドをコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列。
【請求項18】
i)BSAをコードする野生型核酸配列を供給し;
ii)少なくとも1つのコドンを修飾することにより得られる、BSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列であって、前記修飾が前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして前記コドンの核酸配列が、野生型遺伝子におけるその対応するコドンに比較して、異なることを特徴とする修飾された核酸配列。
【請求項19】
i)HSAをコードする野生型核酸配列を供給し;
ii)少なくとも1つのコドンを修飾することにより得られる、HSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列であって、前記修飾が前記コドンによりコードされるアミノ酸を変更せず、そして前記コドンの核酸配列が、野生型遺伝子におけるその対応するコドンに比較して、異なることを特徴とする修飾された核酸配列。
【請求項20】
少なくとも1つのコドンの前記修飾が、アスペルギラスsp.において翻訳のために最適化されたコドンをもたらす請求項15又は16記載の修飾された核酸配列。
【請求項21】
前記コドン使用法が、アスペルギラス・オリザエからのα−アミラーゼのコドン使用法に対応する請求項16記載の修飾された核酸配列。
【請求項22】
前記アスペルギラス細胞が、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・フォエチダス、アスペルギラス・ジャポニカス、アスペルギラス・ニガー、アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエである請求項17記載の修飾された核酸配列。
【請求項23】
前記宿主細胞が、A. オリザエ又はA. ニガーである請求項19記載の修飾された核酸配列。
【請求項24】
配列番号5で示される請求項16記載の修飾された核酸配列。
【請求項25】
配列番号7で示される請求項17記載の修飾された核酸配列。
【請求項26】
a)配列番号5と、少なくとも77%の同一性を有し;又は
b)配列番号5のヌクレオチド1〜1821の相補鎖から成るポリヌクレオチドプローブと、高い緊縮条件下でハイブリダイズする、野生型BSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列。
【請求項27】
a)配列番号7と、少なくとも77%の同一性を有し;又は
b)配列番号7のヌクレオチド1〜1827の相補鎖から成るポリヌクレオチドプローブと、高い緊縮条件下でハイブリダイズする、野生型HSAタンパク質をコードし、そして糸状菌宿主生物において発現することができる修飾された核酸配列。
【請求項28】
i)糸状菌宿主細胞における、血清アルブミンをコードする核酸配列の組換え発現、及び/又は
ii)前記血清アルブミンと、糸状菌細胞由来の細胞抽出物とを接触することによる血清アルブミンの負荷により得られる負荷された血清アルブミン。
【請求項29】
前記糸状菌性生物が、アクレモニウム、アスペルギラス、フサリウム、ヒューミコラ、ムコル、マイセリオプソラ、ニューロスポラ、ペニシリウム、チエラビア、トリポクラジウム又はトリコダーマから成る群から選択される請求項28記載の負荷された血清アルブミン。
【請求項30】
前記アスペルギラス細胞が、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・フォエチダス、アスペルギラス・ジャポニカス、アスペルギラス・ニガー、アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエである請求項29記載の負荷された血清アルブミン。
【請求項31】
是器血清アルブミンが、HSA又はBSAである請求項28〜30のいずれか1項記載の負荷された血清アルブミン。
【請求項32】
前記核酸配列が、配列番号5及び7から成る群から選択される請求項28〜31のいずれか1項記載の負荷された血清アルブミン。
【請求項33】
前記細胞抽出物が、糸状菌宿主細胞を溶解することにより得られる請求項28〜31のいずれか1項記載の負荷された血清アルブミン。
【請求項34】
細胞培養物培地への請求項28〜33のいずれか1項記載の負荷された血清アルブミンの使用。
【請求項35】
前記細胞培養物培地が血清フリーである請求項34記載の使用。
【請求項36】
細胞生存性、細胞増殖及び/又は生産性から成る群から選択されたパラメーターを改良するためへの請求項34又は35記載の使用。
【請求項37】
血清アルブミンを含んで成る、凝集される乾燥粒子。
【請求項38】
前記凝集体が50μ以上の粒度を有する請求項37記載の乾燥粒子。
【請求項39】
50μ以上の粒度を有する、血清アルブミンを含んで成る乾燥粒子。
【請求項40】
前記血清アルブミンの量が、合計凝集体の50wt%以上である請求項37〜39のいずれか1項記載の乾燥粒子。
【請求項41】
前記血清アルブミンの量が、合計凝集体の75wt%以上である請求項37〜40のいずれか1項記載の乾燥粒子。
【請求項42】
前記血清アルブミンの量が、合計凝集体の90wt%以上である請求項37〜41のいずれか1項記載の乾燥粒子。
【請求項43】
さらに他の成分を含んで成る請求項37〜42のいずれか1項記載の乾燥粒子。
【請求項44】
他の成分の量が、合計凝集体の50wt%である請求項43記載の乾燥粒子。
【請求項45】
請求項37〜44のいずれか1項記載の乾燥粒子の調製方法であって、
a)血清アルブミン又は組換え血清アルブミンを含んで成る液体組成物を乾燥し;そして
b)段階a)の生成物を凝集する段階を含んで成る方法。
【請求項46】
前記液体組成物の乾燥が、噴霧乾燥により行われる請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記乾燥及び凝集が、流動化された噴霧乾燥機械により行われる請求項45記載の方法。
【請求項48】
a)血清アルブミンを含んで成る液体組成物を調製し;
b)段階a)の液体組成物を噴霧化し;そして
c)50μ以上の粒度を有する乾燥粒子を得るために前記液体組成物を乾燥する段階を含んで成る、請求項39記載の粒子の調製方法。
【請求項49】
前記噴霧化が、2液体ノズルアトマイザー、圧力ノズルアトマイザー又は回転アトマイザーの使用により行われる請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記2液体ノズル又は圧力ノズルアトマイザーが、5バール以下の圧力で運転される請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記回転アトマイザーが、100m/秒以下の速度で運転される請求項49記載の方法。
【請求項52】
一次粒子の再循環段階をさらに含んで成る請求項45〜51のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−523829(P2008−523829A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547184(P2007−547184)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000818
【国際公開番号】WO2006/066595
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】