説明

血管内冷却システム及び方法

冷却した注入液を患者の目標位置に注入する方法及びシステムが記載されている。カテーテルの上流側で、カテーテルに沿った他の位置で血液及び注入液混合液の温度を監視することができ、フィードバックシステムを利用して、目標位置での所定温度を達成するように注入液の量、温度、及び/又は注入速度を制御することができる。システムは、カテーテルの上流側でヘマトクリット値を監視又は算出し、血液及び注入液混合物の十分な酸化を行うように注入を調整することができる。システムはまた、カテーテルの遠位端を通して注入液の還流を監視し、還流の検出の際に注入を少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体を本明細書に明示的に援用する、2005年12月22日出願の特許文献1の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、血管内冷却のシステム及び方法を対象としている。より詳細には、本発明は脳などの器官又は他のシステムを冷却するのに有用な血管内冷却カテーテルシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
脳、腎臓、心臓などの人体の器官は、約37℃の一定温度に保たれている。冷却は、最も効果的な虚血緩和剤であると考えられる。より詳細には、35℃より下への器官の冷却は、血液供給の障害又は外傷により生じる無酸素障害からの細胞の保護を行うと考えられる。また、冷却は外傷に伴なう内部又は外部膨張を小さくすることができる。
【0004】
低体温法は現在、有用な医療手段であり脳又は他の器官を傷害から保護するために行われることがある。脳の冷却は通常、20℃から30℃の範囲で全身低体温の状態を作り出すための全身冷却により達成される。この冷却は、患者を氷に浸すことによって、冷却用ブランケットを使用することによって、又は心肺バイパス機械を通して外側に流れる血液を冷却することによって達成される。特許文献2(「Dato特許」)及び特許文献3(「Ginsbuarg特許」)は、冷たい流体を循環させて全身低体温を作り出すことによって、血液を冷却するためのカテーテルを記載している。しかし、Dato特許及びGinsburg特許のシステムは、選択的な器官冷却を行わないので、選択的器官低体温法には適切ではないと考えられる。低体温法は、下大静脈のような大血管で使用されるように設計された、Dato特許及びGinsburg特許のカテーテルそれぞれの中で冷たい流体を循環させることによって達成される。カテーテルが、器官に供給する選択的血管内に定置された場合でも、選択した器官温度へのカテーテルの影響に関するフィードバックシステムがないので、所望の温度に到達したときを検出する方法がない場合がある。
【0005】
器官保護を行うための全身低体温法の使用は、いくつかの欠点を有すると考えられる。第1に、その副作用が器官に対する損傷につながる可能性がある、心不整脈、心拍出量低下、及び体血管抵抗増大などの心臓血管問題を引き起こすことがある。これらの副作用は、深部体温の低下に反応して反射的に生じると考えられる。第2に、全身低体温法は管理するのが難しい。患者を氷水に浸漬することは、その付随する問題を有する。心肺バイパスへの定置は、外科的介入及び機械を操作する専門家が必要であり、この処置は出血及び体液過剰を含む、いくつかの合併症に関連する。第3に、体温及び器官温度を低下させるのに必要な時間が長くなる。傷害と冷却開始の間の時間を最小限に抑えることは、より優れた臨床的結果を生み出すと考えられる。
【0006】
一部の医師は、脳の冷却を行うために、患者の頭部を氷に浸漬すると考えられる。また、同様の機能を行うための、冷却ヘルメット又はヘッドギアがある。この解決法は、外部から内部まで規定しなければならない温度勾配による、低速冷却及び温度制御不良の問題がある。不整脈及び心拍出量低下などの、全身冷却に付随する合併症は、顔及び頭部のみの冷却によって生じる可能性があると考えられる。
【0007】
選択的器官低体温法が研究されてきた。例えば、非特許文献1、及び非特許文献2参照。ヒヒを利用して、血液を循環させ、大腿動脈を介して身体から外部にて冷却し、頚動脈を通して身体に戻す。これらの研究は、全身の温度を下げることなく、脳を20℃の温度に選択的に冷却することができることを示していると考えられる。その結果、全身低体温法に関連する心臓血管合併症は、起こらないと考えられる。
【0008】
選択的器官低体温法は、生理食塩水又はペルフルオロカーボンなどの、冷たい溶液で器官を潅流させることによって試みられてきたと考えられる。心筋保護と呼ばれるタイプの選択的器官低体温法は、心臓手術中に心臓を保護するために行われる。心筋保護は、余分量蓄積による限られた時間の管理、潅流液を維持する費用及び不都合、血液による温度希釈による効果の欠如、血液希釈度を監視する方法の欠如、及び選択した器官への血液供給のヘマトクリット値の減少を含む、いくつかの欠点がある。血液による温度希釈は、脳などの高血流器官で特定の問題である。心筋保護では、心臓への血流は最小限に抑えられ、したがって、温度希釈は最小限に抑えられる。
【0009】
従来の冷却カテーテルは、冷却した注入液の温度を調整するのにフィードバックシステムを利用していると考えられる。しかし、冷却した注入液の量及び温度のより正確で効果的な制御を行い、患者にとってより安全である、身体冷却のための血管内システム及び方法の必要があると考えられる。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/753,433号明細書
【特許文献2】米国特許第3,425,419号明細書
【特許文献3】米国特許第5,486,208号明細書
【特許文献4】米国特許第4,487,206号明細書
【特許文献5】米国特許第4,641,654号明細書
【特許文献6】米国特許第5,427,114号明細書
【特許文献7】米国特許第5,456,251号明細書
【特許文献8】米国特許第5,325,865号明細書
【特許文献9】米国特許第5,647,847号明細書
【特許文献10】米国特許第5,866,821号明細書
【特許文献11】米国特許第5,899,927号明細書
【特許文献12】米国特許第2,967,152号明細書
【特許文献13】米国特許第3,007,596号明細書
【特許文献14】米国特許第3,009,600号明細書
【非特許文献1】A.E.Schwartz他、「Isolated Cerebral Hypothermia by Single Carotid Artery perfusion of Extracorporeally Cooled Blood in Baboons」、Neurosurgery、第39巻、第3号、1996年9月、577〜582頁
【非特許文献2】A.E.Schwartz他、「Selective Cerebral Hypothermia by Means of Transfemoral Internal Carotid Artery Catheterization」、Radiology、第201巻、第2号、1996年11月、571〜572頁
【非特許文献3】「Locally induced hypothermia for treatment of acute isochemic stroke: a physical feasibility study」、Neuroradiology(2004)46、923〜934頁、Epub 2004年11月17日
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の例示的な一実施形態によると、この装置は、注入液源及び制御装置と流体連通するようになっているカテーテルなどの挿入装置を備えることができる。制御装置は、挿入装置が注入液の注入のために患者の血管内に定置されている間に、挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液混合物の温度により、また(a)出口位置での、又はそれに隣接した注入液の温度、(b)出口位置の上流側及びそれに隣接した温度、及び(c)患者の深部体温の少なくとも1つにより、(a)注入液の温度、(b)挿入装置を通過する注入液の注入速度、及び(c)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっている。注入液は、挿入装置を通して、また還流がまったく又は実質的にないと仮定して、下流側方向で血管を通して流れる。
【0011】
上流側とは、挿入装置が血流の方向に血管内を通過する場合は、挿入装置の注入液の流れの方向と反対の方向のことを言い、挿入装置が血流と反対の方向に血管内を通過する場合は、注入液が挿入装置を通って流れるのと同じ方向のことを言う。例えば、脳を冷却するのに使用され、総大腿動脈内の股間血管アクセス部位を通して挿入され、総頚動脈の1本に案内されるカテーテルの内容では、以下に詳細に説明するように、本明細書の上流側という用語は、大動脈弓に向かう方向のことを言い、本明細書の下流側という用語は内頚動脈に向かう方向のことを言う。さらに、患者の脚を冷却するのに使用され、総大腿動脈内の股間血管アクセス部位を通して挿入され、総腸骨動脈に案内されるカテーテルの内容では、以下に詳細に説明するように、本明細書の上流側という用語は大動脈に向かう方向のことを言い、本明細書の下流側という用語は総大腿動脈に向かう方向のことを言う。
【0012】
この装置は、複数の温度センサを備えることができ、コントローラは温度センサからの信号を受信するようになっている。温度センサの少なくとも1つは、注入液出口位置に対して下流側に位置決めすることができ、注入液及び血液混合物の温度を測定するようになっている。温度センサの別の少なくとも1つは、(a)出口位置での、又はそれに隣接した注入液の温度、(b)出口位置の上流側及びそれに隣接した温度、及び(c)患者の深部体温の少なくとも1つを測定するようになっている。
【0013】
温度センサは、(a)挿入装置に連結する、(b)第2の装置に連結する、及び(c)挿入装置及び第2の装置の両方に連結する少なくとも1つであってもよい。第2の装置は、(a)挿入装置に隣接して配置する、(b)挿入装置に連結する、及び(c)挿入装置を通して延びるように配置する少なくとも1つであってもよい。
【0014】
コントローラは、注入液及び血液混合物の温度の検出及び制御の少なくとも一方を行うように、(a)注入液の温度、(b)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(c)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっていてもよい。注入液の流れは、例えば、所定の時間の間だけ、及び/又は還流が検出されるまで、維持することができる。
【0015】
挿入装置は、注入液源と流体連通することができる。
【0016】
装置はさらに、コントローラによって制御され、挿入装置を通して注入液源から注入液を提供又は案内するようになっているポンプ又はバルブを備えることができる。
【0017】
装置はさらに、コントローラによって制御され、注入液の温度を制御するようになっている熱交換器を備えることができる。
【0018】
装置はさらに、カテーテル周りに配置されるようになっているガイドカテーテルを備えることができる。
【0019】
装置はさらに、挿入装置周りに配置された断熱材を備えることができる。
【0020】
ガイドカテーテルは、カテーテルとガイドカテーテルの間の断熱環状空間の形成及びその寸法の増加の少なくとも一方を行うように、第1の低外形から第2のより大きい外形まで拡大するように構成することができる。
【0021】
出口位置の上流側及びそれに隣接した温度を測定するようになっている温度センサは、例えば、出口位置の上流側約0.2cmから約5cmに配置することができる。
【0022】
コントローラは、例えば出口位置の下流側で、混合物、すなわち、血液及び注入液の混合物、ヘマトクリット値により、(a)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(b)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも一方を制御するようになっていてもよい。
【0023】
コントローラは、患者の基本全身ヘマトクリット値及び患者の血液の希釈度を使用して、例えば出口位置の下流側で、血液の希釈度及び混合物ヘマトクリット値の少なくとも一方を算出するようになっていてもよい。
【0024】
コントローラは、方程式(Hct)*(1−dF)を使用して、例えば出口位置の下流側での、血液の希釈度及び混合物ヘマトクリット値の少なくとも一方を算出するようになっていてもよい。式中、Hctは患者の基本全身ヘマトクリット値であり、dFは血液の希釈度であり、以下の方程式、dF=(注入速度)/(注入速度+X)で示され、Xは血液及び注入液混合物中での深部体温での血液量/単位時間であり、方程式、X=(注入速度*(T−T)/(T−T))で示すことができ、例えば、還流がない場合、Tは出口位置の下流側での血液及び注入液混合物の温度であり、Tは出口位置での又はこれに隣接した注入液の温度であり、Tは出口位置に隣接したこの上流側の温度であり、Tは患者の深部体温である。
【0025】
温度センサは、カテーテルの注入液出口位置に対して下流側に位置決めされ、カテーテルが注入液の注入のために患者の血管内に定置された場合に注入液及び血液混合物の温度を測定するようになっている第1の温度センサと、出口位置で又はそれに隣接して注入液の温度を測定するようになっている第2の温度センサと、出口位置の上流側でそれに隣接してカテーテルの外側の温度を測定するようになっている第3の温度センサと、患者の深部体温を測定するようになっている第4の温度センサとを含むことができる。
【0026】
装置はさらに、熱交換器又は注入液ポンプを備えることができる。コントローラは、温度センサから信号を受信し、複数の温度センサからの信号に応じて熱交換器及び/又はポンプを制御するようになっている。
【0027】
コントローラは、出口位置で又はそれに隣接して注入液の少なくとも1つのパラメータ、例えば温度を算出するようになっている。
【0028】
コントローラは、(a)患者の外側の注入液の温度、(b)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(c)挿入装置の性状、例えば表面積及び/又は熱伝導率の少なくとも1つを使用して、出口位置で及びそれに隣接しての少なくとも一方で注入液の温度を算出するようになっていてもよい。
【0029】
装置は、第1の注入液源及び第2の注入液源を備えることができる。カテーテルは、第1の注入液源と流体連通し、また第2の注入液源と流体連通することができる。コントローラは、カテーテルを通る第1の注入液及び第2の注入液の相対割合の調整により注入液の温度を制御するようになっていてもよい。
【0030】
装置は、コントローラによって制御され、カテーテルを通して第1の注入液源からの第1の注入液及び第2の注入液源からの第2の注入液を提供するようになっている少なくとも1つのポンプを備えることができる。
【0031】
装置は、コントローラによって制御され、第1の注入液の温度を制御するようになっている第1の熱交換器と、コントローラによって制御され、第2の注入液の温度を制御するようになっている第2の熱交換器とを備えることができる。
【0032】
コントローラは、血液及び注入液混合物を所定の目標温度に到達させる及びそれより下に下げる少なくとも一方にさせるように、(a)注入液の温度、(b)挿入装置を通して注入液の注入速度、及び(c)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっていてもよい。
【0033】
本発明の例示的な実施形態によると、この装置は、注入液源に流体連通するようになっている挿入装置と、複数のセンサと、コントローラとを備えることができる。コントローラは、体液の少なくとも1つのパラメータを示すセンサからの信号を受信し、センサからの信号により、(a)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(c)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっている挿入装置を備えることができる。センサの少なくとも1つは、挿入装置の注入液出口位置に対して下流側に位置決めすることができる。センサの別の少なくとも1つは、(a)出口位置での又はそれに隣接した注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)出口位置の上流側及びそれに隣接した少なくとも1つのパラメータ、及び(c)患者の深部体温の少なくとも1つを測定するようになっていてもよい。
【0034】
コントローラは、体液の少なくとも1つのパラメータに対応して、注入液の少なくとも1つのパラメータを制御するようになっていてもよい。
【0035】
コントローラは、体液の少なくとも1つのパラメータと異なる、注入液の少なくとも1つのパラメータを制御するようになっていてもよい。
【0036】
コントローラは、所定期間の間、体液の少なくとも1つのパラメータの検出及び制御の少なくとも一方を行うために、(a)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)挿入装置を通した注入液の注入速度、及び(c)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっていてもよい。
【0037】
コントローラは、例えば出口位置の下流側での、混合物ヘマトクリット値により、(a)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(b)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも一方を制御するようになっていてもよい。
【0038】
本発明の例示的な一実施形態によると、装置は、システム内に挿入され、注入液源と流体連通するようになっている挿入装置と、挿入装置の内部管腔の外部で挿入装置の注入液出口位置から近接方向に離れるように配置されたセンサと、コントローラとを備えることができる。コントローラは、システム流体、例えば血液などの体液の少なくとも1つのパラメータを示す信号を受信し、センサからの信号により、(a)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(c)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっていてもよい。
【0039】
センサは温度センサであってもよく、コントローラは、湿度センサから信号を受信し、温度センサからの信号により、(a)注入液の温度、(b)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(c)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっていてもよい。センサは例えば、出口位置に近接して、約0.2cmから約5cmに配置することができる。
【0040】
システムは、血液で満たされた患者の脈管構造であってもよく、コントローラは、中に挿入装置を挿入することができる血管内での自然血管流量(nvFR)を算出し、自然血管流量の値の安定期を監視するようになっていてもよい。
【0041】
コントローラは、自然血管流量の値の安定期の検出の際に、患者内への注入液の注入の停止、維持、及び減少の少なくとも1つを行うようになっていてもよい。
【0042】
本発明の例示的な一実施形態によると、装置は、注入液源と流体連通するようになっている挿入装置と、コントローラとを備えることができる。コントローラは、例えば患者内の挿入装置の注入液出口位置の下流側で、混合物ヘマトクリット値により、(a)患者内への挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(b)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも一方を制御するようになっていてもよい。
【0043】
装置は、基本全身ヘマトクリット値の測定に基づいて、例えば注入液出口位置の下流側で、混合物ヘマトクリット値を算出するようになっている算出装置を備えることができる。
【0044】
装置は、基本全身ヘマトクリット値の測定に基づいて、例えば注入液出口位置の上流側で、混合物ヘマトクリット値を算出するようになっている算出装置を備えることができる。
【0045】
コントローラは、注入液出口位置の(a)上流側、及び(b)下流側の少なくとも一方で、混合物ヘマトクリット値を算出するように構成することができる。
【0046】
装置は、注入液出口位置に対して下流側に位置決めされ、挿入装置が注入液の注入のために患者の血管内に定置された場合に注入液及び血液混合物の温度を測定するようになっている温度センサを備えることができる。コントローラは、温度センサから信号を受信し、温度センサからの信号により、例えば注入液出口位置の下流側で混合物ヘマトクリット値を算出するようになっていてもよい。
【0047】
コントローラは、温度センサからの信号により、(a)注入液の温度、(b)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(c)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっていてもよい。
【0048】
本発明の別の実施形態では、血管内システムで使用するワイヤは、長手方向に延びるワイヤ部材と、少なくとも1つの温度センサとを備えることができる。ワイヤ部材は、遠位端、近接端、及び外側表面を有することができ、少なくとも1つの温度センサが前記外側表面に配置されている。ワイヤ上の少なくとも1つの温度センサは、注入ポンプを制御するコントローラに信号を通信することが可能である。ワイヤ上の第1の温度センサは、ワイヤの遠位端に位置決めすることができ、冷却した注入液及び血液の混合物の温度を測定することが可能である。ワイヤ上の第2の温度センサは、第1の温度センサに近接して位置決めすることができ、冷却した注入液の温度を測定することが可能である。ワイヤ上の第3の温度センサは、第2の温度センサに近接して位置決めすることができ、あらゆる還流の温度を測定することが可能である。ワイヤ上の任意の第4の温度センサは、第3の温度センサに近接して位置決めすることができ、患者の深部体温を測定することが可能である。
【0049】
本発明の例示的な一実施形態によると、装置は、i)患者に挿入されるようになっており、その長さに沿って連結される1つ又は複数のセンサを有する細長いセンサ支持装置と、ii)センサから信号を受信し、(a)下流側方向に挿入装置を通して患者内に注入した注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)注入液の注入速度、及び(c)注入液の量の少なくとも1つを、挿入装置が注入液の注入のために血液の下流で患者の血管内に定置されている間の、挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータにより、及び(a)出口位置で及びこれに隣接しての少なくとも一方での注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)出口位置の上流側でこれに隣接した注入液の少なくとも1つのパラメータ、及び(c)患者の深部体温の少なくとも1つにより制御するようになっているコントローラとを備えることができる。
【0050】
コントローラは、(1)挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液混合物の温度、及び(2)(a)出口位置で及びこれに隣接しての少なくとも一方での注入液の温度、(b)出口位置の上流側でこれに隣接した注入液の温度、及び(c)患者の深部体温の少なくとも1つにより、注入液の温度を制御するようになっていてもよい。
【0051】
本発明の例示的な一実施形態によると、装置は、i)患者に挿入されるようになっており、その長さに沿って連結される1つ又は複数のセンサを有する細長いセンサ支持装置と、ii)センサから信号を受信するようになっており、挿入装置の注入液出口位置の上流側でこれに隣接した血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータにより、(a)下流側方向に挿入装置を通して患者に注入する注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)注入液の注入速度、及び(c)注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっているコントローラとを備えることができる。
【0052】
センサは温度センサであってもよく、コントローラは、センサから温度信号を受信し、挿入装置の注入液出口位置の上流側でこれに隣接した血液及び注入液混合物の温度により、(a)下流側方向に挿入装置を通して患者に注入する注入液の温度、(b)注入液の注入速度、及び(c)注入液の量の少なくとも1つを制御するようになっていてもよい。
【0053】
コントローラは、(1)挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液混合物の温度、及び(2)(a)出口位置で及びこれに隣接しての少なくとも一方での注入液の温度、(b)出口位置の上流側でこれに隣接した注入液の温度、及び(c)患者の深部体温の少なくとも1つにより、注入液の温度を制御するようになっていてもよい。
【0054】
本発明の例示的な一実施形態によると、血管内冷却カテーテルシステムは、少なくとも1つの温度センサ又はサーミスタを有するカテーテルと、少なくとも1つの注入液リザーバ又は源と、注入ポンプと、コントローラ又はサーボ機構とを備えることができる。カテーテルは、遠位端、近接端、及び少なくとも1つの長手方向に延びる管腔を有する長手管状部材と、カテーテルの外側表面上、又はその遠位端に隣接した又は近接した管腔内に位置決めされた少なくとも1つの温度センサ又はサーミスタとを備えることができる。各温度センサは、コントローラに電気的又は機能的に連結させることができ、またコントローラを注入ポンプに電気的又は機能的に連結させることができる。注入ポンプの出口は、カテーテルの少なくとも1つの管腔と流体連通することができる。
【0055】
各温度センサからのワイヤは、カテーテルの管腔を通して、及び/又はカテーテルの壁面を通して延びることができる。
【0056】
温度センサは、患者の深部体温を測定するように位置決めすることができる。
【0057】
本発明の別の実施形態では、カテーテルの遠位端は、血液が冷却した注入液と混合するように構成することができる。
【0058】
本発明の別の実施形態では、温度センサは、冷却した注入液及び血液の混合物の温度(混合物温度)を測定するように、カテーテルの遠位端に対して遠位方向に位置決めすることができる。
【0059】
本発明の別の実施形態では、第2の温度センサは、カテーテルの管腔内に位置決めすることができる。
【0060】
本発明の別の実施形態では、温度センサの1つ又は複数は環状形状をしていてもよい。
【0061】
本発明の別の実施形態では、冷却される器官は脳であってもよい。
【0062】
血管内冷却カテーテルシステムでは、注入液及び血液の混合物の温度が目標温度に到達した場合、還流が検出された場合、注入液の注入速度がゼロになった場合、注入液の注入速度が所定の最大値を超えた場合、及び/又は混合物ヘマトクリット値が所定の最小値より下になった場合に、警告が鳴る可能性がある。
【0063】
本発明の例示的な一実施形態によると、注入方法は、a)挿入装置を通して患者に注入液を注入するステップと、b)体液の少なくとも1つのパラメータの測定及び算出の少なくとも一方を行うステップと、c)挿入装置が注入液の注入のために患者の血管内に定置されている場合に、挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータにより、及び(a)出口位置でこれに隣接した注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)出口位置の上流側でこれに隣接した注入装置外側の少なくとも1つのパラメータ、及び(c)患者の深部体温の少なくとも1つにより、(i)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(iii)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するステップとを含むことができる。
【0064】
この方法は、出口位置に対して下流側での血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの目標パラメータと繰り返し比較するステップと、出口位置に対して下流側での血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの目標パラメータより下になった場合に挿入装置を通る注入液の量及び注入速度を減少させるステップと、出口位置に対して下流側での血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの目標パラメータより上である場合に、挿入装置を通して注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を増加させるステップとを含むことができる。
【0065】
この方法は、出口位置の上流側でそれに隣接した少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの所定の最小パラメータと繰り返し比較するステップと、出口位置の上流側でそれに隣接した少なくとも1つのパラメータは少なくとも1つの所定の最小パラメータの下になった場合に、挿入装置を通して注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を減少させるステップとを含むことができる。
【0066】
この方法は、出口位置に対して下流側で血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの目標パラメータと繰り返し比較するステップと、出口位置に対して下流側で血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの目標パラメータを超えた場合に挿入装置を通る注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を減少させるステップと、出口位置に対して下流側での血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの目標パラメータより下になった場合に、挿入装置を通る注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を増加させるステップとを含むことができる。
【0067】
この方法は、出口位置の上流側でそれに隣接した少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの所定の最大パラメータと繰り返し比較するステップと、出口位置の上流側でそれに隣接した少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの所定の最大パラメータを超える場合に、挿入装置を通して注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を減少させるステップとを含むことができる。
【0068】
(i)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(iii)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するステップは、挿入装置が注入液の注入のために、患者の血管内に定置された場合に、挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液混合物の温度により、及び(a)出口位置での又はそれに隣接した注入液の温度、(b)出口位置の上流側でそれに隣接した温度、及び(c)患者の深部体温の少なくとも1つにより、(i)注入液の温度、(ii)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(iii)患者内を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するステップを含むことができる。
【0069】
この方法は、温度センサを使用して、(a)血液及び注入液混合物の温度、(b)出口位置での又はそれに隣接した注入液の温度、(c)出口位置の上流側でそれに隣接した挿入装置外側の温度、及び(d)中核温度の少なくとも1つを測定するステップを含むことができる。
【0070】
この方法は、(a)出口位置での又はそれに隣接した注入液の温度、(b)挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液の希釈度、及び(c)例えば挿入装置の注入液出口位置に対して下流側での、混合物ヘマトクリット値の少なくとも1つを算出するステップを含むことができる。
【0071】
この方法は、方程式(Hct)*(1−dF)を使用して、例えば出口位置の下流側での、血液の希釈度及び混合物ヘマトクリット値の少なくとも一方を算出するステップを含むことができる。式中、Hctは患者の基本全身ヘマトクリット値であり、dFは血液の希釈度であり、以下の方程式、dF=(注入速度)/(注入速度+X)で示され、Xは血液及び注入液混合物中での深部体温での血液量/単位時間であり、方程式、X=(注入速度*(T−T)/(T−T))で示され、例えば、還流がない場合、Tは出口位置の下流側での血液及び注入液混合物の温度であり、Tは出口位置での又はこれに隣接した注入液の温度であり、Tは出口位置に隣接したこの上流側の温度であり、Tは患者の深部体温である。
【0072】
この方法は、出口位置に対して下流側での血液及び注入液混合物の温度を目標温度と繰り返し比較するステップと、出口位置に対して下流側での血液及び注入液混合物の温度が、(i)目標温度より下である、及び(ii)目標温度より下である所定量より大きいどちらかである場合に、挿入装置を通る注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を減少させるステップと、出口位置に対して下流側での血液及び注入液混合物の温度が目標温度より上である場合に、挿入装置を通る注入液を通る注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を増加させるステップとを含むことができる。
【0073】
この方法は、出口位置の上流側でそれに隣接した温度を所定の最小温度と繰り返し比較するステップと、出口位置の上流側でそれに隣接した温度が、(i)所定の最小温度より下である、及び(ii)所定の最小温度より下の所定量より大きいどちらかである場合に、挿入装置を通る注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を減少させるステップとを含むことができる。所定の最小温度は深部体温に対応することができる。
【0074】
(i)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(iii)挿入装置を通過する注入液の量の少なくとも1つは、血液及び注入液混合物は所定目標温度に到達する、又はそれより下になるように、制御ステップで制御することができる。
【0075】
本発明の例示的な一実施形態によると、注入方法は、a)挿入装置を通して患者に注入液を注入するステップと、b)体液の少なくとも1つのパラメータを測定するステップと、c)出口位置の上流側でそれに隣接した少なくとも1つのパラメータにより、(i)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(iii)患者内に進入する注入液の量の中から少なくとも1つを制御するステップとを含むことができる。出口位置の上流側及びそれに隣接したのは、出口位置の上流側の約0.2cmから約5cmまでであってもよい。
【0076】
この方法は、出口位置の上流側でそれに隣接した少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの所定の最小パラメータと繰り返し比較するステップと、出口位置の上流側でそれに隣接した少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの所定の最小パラメータより下になった場合に、挿入装置を通る注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を減少させるステップとを含むことができる。
【0077】
体液の少なくとも1つのパラメータは、体液の温度であってもよく、上記制御ステップ(b)は、出口位置の上流側でそれに隣接した挿入装置の外側の温度により、(i)注入液の温度、(ii)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(iii)患者に通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するステップを含むことができる。少なくとも1つの所定の最小パラメータは、患者の深部体温に相当する可能性がある。
【0078】
この方法は、還流が得られるまで、注入液の注入速度を増加させるステップを含むことができる。
【0079】
システムは患者であってもよく、システム流体は患者の血液であってもよく、挿入装置は患者の血管に挿入することができ、この方法はさらに、還流が得られるまで注入液の注入速度を増加させるステップと、還流が起こった場合に関する判断により、(i)血管の自然血管流量、(ii)血管内の血液の希釈係数、(iii)混合物ヘマトクリット値、すなわち血管内の血液及び注入液混合物のヘマトクリット値、及び(iv)血管内の血液及び注入液混合物の温度の少なくとも1つを算出するステップとを含むことができる。
【0080】
本発明の例示的な一実施形態によると、注入方法は、a)挿入装置を通る患者へ注入液を注入するステップと、b)例えば挿入装置の注入液出口位置の下流側で、混合物ヘマトクリット値により、(i)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(ii)患者内に通過する注入液の量の少なくとも一方を制御するステップとを含むことができる。
【0081】
この方法は、例えば出口位置の下流側で混合物ヘマトクリット値を所定の最小ヘマトクリット値と繰り返し比較するステップと、混合物ヘマトクリット値が所定の最小ヘマトクリット値より下になった場合に、挿入装置を通る注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を減少させるステップとを含むことができる。この方法はさらに、上に詳細に記載したように、方程式(Hct)*(1−dF)を使用して、混合物ヘマトクリット値を算出するステップを含むことができる。
【0082】
上に記載した例示的な実施形態のいくつかは、システム又は器官冷却過程を制御するために、温度及び/又はヘマトクリット値の測定及び/又は算出、及び温度及び/又はヘマトクリット値情報の使用を対象としている。他の実施形態では、以下に記載するように、血液、血流、注入液、及び/又は注入液流の他の特徴又は特性を測定又は感知して、システム又は器官冷却過程及び/又は注入液の運搬を制御することができることを理解されたい。これらの実施形態は、注入液を血液と区別するために、あるいはこれに限らないが、内因性及び外因性トレーサなどを含む、血液流又は注入液流の速度及び/又は還流を判断することを容易にするために感知又は測定することができる特徴を含む及び/又は適用可能である。例えば、センサは、測定可能であり一定である血液及び注入液混合物の生理的パラメータを判断することができ、第1のパス実行可能性、例えば温度、pH、酸素含有量、塩分、薬物含有量、トレーサ含有量などを有することができ、それによって注入液血液流、及び/又は還流を判断することができる。
【0083】
本発明の例示的な一実施形態では、注入液は、患者の血液で見られるより高い濃度のNa+イオンを含むことができる。ワイヤ上のセンサ又は注入装置は、Na+を感知するように構成することができる。
【0084】
本発明の例示的な一実施形態により、運搬装置は、a)注入液、例えば流体又は気体又は第1の方向にシステム内で流動可能なあらゆる材料の源と流動連通するようになっており、流動材料、例えば流体及び気体の少なくとも一方で満たされたシステムに挿入される挿入装置と、b)挿入装置の内部管腔の外部で、第1の方向と反対側の第2の方向に沿って挿入装置の注入液出口位置から離れた距離に配置されたセンサと、c)センサからの信号により、(i)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(iii)挿入速度を通過する注入液の量の少なくとも1つを制御するために、システム内の流動材料の少なくとも1つの少なくとも1つのパラメータを示すセンサから信号を受信するようになっているコントローラと、を含むことができる。
【0085】
本発明の例示的な一実施形態によると、注入方法は、a)第1の方向に挿入装置を通してシステムに注入液を注入するステップであって、前記システムは第1の方向にその中に流れる流体及び気体の少なくとも一方を有するステップと、b)流体及び気体の少なくとも一方の少なくとも1つのパラメータの測定及び算出の少なくとも一方を行うステップと、c)挿入装置が注入液の注入のためにシステム内に定置された場合に、第1の方向に沿って挿入装置の注入液出口位置から離れた位置での注入液と流体及び気体の少なくとも一方との混合物の少なくとも1つのパラメータにより、ならびに(a)出口位置での注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)出口位置に隣接して、第1の方向と反対の第2の方向に出口位置から一定距離だけ間隔を置いて配置した挿入装置の外側の少なくとも1つのパラメータ、及び(c)システム内の流体及び気体の少なくとも一方のパラメータの平均値の中から少なくとも1つにより、(i)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)挿入装置を通る注入液の注入速度、及び(iii)挿入装置を通過する注入液の量の中から少なくとも1つを制御するステップと、を含むことができる。
【0086】
本明細書に記載する温度センサの1つ又は複数は、例えば、これに限らないが、(a)環境pH読取に応じて色を変える光化学pHセンサ、(b)PCOに応じて色を変える光化学PCOセンサ、又は(c)Clark酸素電極(Biomedical Sensors,Ltd.などの会社により市販されていると考えられるものなど)を含む、インライン気体分析器に交換することができる。センサは、メチレンブルー又は神経保護剤も検出することができる。以下に論じるアルゴリズムの変更により、これらのトレーサを使用して同様の結果を得ることが可能になる。概念、方法、及びアルゴリズムは、温度以外のトレーサを使用した実施形態で一致する。
【0087】
運搬システムは、化学療法剤などの薬剤を運搬するために適用することができ、この場合、抽出部分がとても多いので、このような薬剤をできるだけ希釈の形で投与する、例えば、生理的に許容された溶液の大部分と混合することが望ましい。トレーサは、注入液内に投与することができ、以下に論じる希釈係数を監視することができる。
【0088】
カテーテルの遠位部に隣接する相対流を判断して、注入液/血液混合物の還流を示すように、ドップラー測定を行うことができる。別の方法では、注入液の温度及び深部体温は、温度が加重平均であり、目標温度が混合物の温度であると知られていると仮定する場合、平均速度が流れの変更の尺度として使用される。したがって、仮定が行われ、還流は速度の変化に比例すると認められる。
【0089】
本発明の一態様は、平衡状態に到達するように注入速度を調節し、それによって血液及び注入液混合物が目標温度に到達する、又はそれより下になるようにすることである。
【0090】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図を参照して以下により詳細に記載する。前述の説明及び例は、単に例として記載したものであり、限定することを意図したものではない。開示した態様及び実施形態はそれぞれ、個別に、又は他の態様、実施形態、及びその変更形態と組み合わせて考えることができる。本明細書に記載する方法のステップは、特定の順序の動作に制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0091】
図1Aは、遠位カテーテル部6及び近接カテーテル部8を有する、長手方向に延びる管状部材4を含む、本発明の例示的な一実施形態によるカテーテル2の略図である。カテーテル2は、最初に患者の遠位カテーテル部6に挿入される。遠位カテーテル部6は、管状部材4の外側表面12及び/又は内側表面20に固定された又は埋め込まれた、温度センサ、例えばサーミスタなどの1つ又は複数のセンサ10a、10b、10c、10dを有する。各センサ10a、10b、10c、10dは、カテーテル2の管腔38内に及び管腔38を通して延び、マニホールド18内のプラグ16を通してマイクロプロセッサ、サーボ機構、又はコントローラ22に連結する、近接方向に延びているワイヤ14を有することができる。別の方法では、各ワイヤ14はカテーテル2の壁面を通して延びることができる、又はセンサ10a、10b、10c、10dは無線であってもよい。図1bは、線1B−1Bに沿った、カテーテル2の断面図である。コントローラ22は、例えば約1cc/分の許容範囲で注入速度を調節して、例えばセンサ10aを介した遠位カテーテル先端23での測定温度を、例えば約−10℃から約40℃まで所定の期間維持することが可能である。安全性の理由により、所定の期間の長さは、例えば1から1.5℃の所定の体温低下を防ぐように、及び/又は例えば25より下への所定の全身ヘマトクリット値低下を防ぐように、及び/又は患者の体液過剰を防ぐように調節することができる。カテーテル遠位部6は、血液との注入液の混合を容易にするように、例えば入口、スリット、及び/又は穿孔を含む、注入液出口部位又は領域40を含んでいる。
【0092】
注入ポンプ24は、例えば1つ又は複数のワイヤ26によりコントローラ22に動作可能に連結されている。あらゆる注入液ポンプ、例えば約2cc/分から約360cc/分までの幅広いダイナミックレンジを有する血液ポンプを、ポンプ24に使用することができる。温度制御リザーバ又は冷却器30などの熱交換器内の冷却した注入液は、入口32を通してポンプ24内に引き入れられ、例えば30mL/分の速度で0℃(273K)の温度で、出口34を通して矢印36の方向にカテーテル2内の少なくとも1つの管腔38まで放出される。注入液の温度は、冷却器30内の温度を調節することによってコントローラ22で制御される。別の方法では、患者に注入された注入液の温度は、図2に示すように、冷却器30によって与えられる冷却した源と組み合わせて、加熱器31などの熱交換器などによって加熱した注入液源の両方を使用して制御することができる。
【0093】
図2に示すように、ポンプ24aによって制御された加熱器31は、ポンプ24bによって制御された冷却器30と組み合わせて使用されて、患者に注入された注入液の最終温度を測定する。コントローラ22は、冷却器30から汲み上げられた注入液、及び加熱器31から汲み上げられた注入液の相対的割合を測定する。別の方法では、ポンプ24a、24bは、例えば異なる温度の注入液を含む2つの加圧リザーバと交換することができ、コントローラ22は、例えばバルブを使用してリザーバを異なる角度に選択的に開くことによって、注入液のパラメータ、例えばその温度を制御することができる。
【0094】
センサ10a、10b、10c、10dは、カテーテル2に埋め込まれる、又はあらゆる生理的に許容可能な接着剤によって、又はワイヤ又はストラップなどの物理的固定具によって、カテーテル外側表面12又はカテーテル内側表面20に固定される。センサ10a、10b、10c、10dは、測定可能であり一定である生理的パラメータ、例えば温度、pH、酸素含有量、塩分、薬物、及びいくつかのトレーサを測定する。以下に論じる例示的な装置及び方法の繰り返しは、例として、温度センサを使用するが、合同算出、アルゴリズム、及び設計特徴は、わずかな変更のみの上記パラメータのあらゆる他のもので使用することができる。さらに、以下に論じる例示的な装置は、注入液の温度を制御することができるが、注入液の他のパラメータ、例えば、温度、pH、酸素含有量、塩分、薬物含有量、トレーサ含有量などは、血液及び注入液混合物の測定したパラメータにより制御することができる。すなわち、体液の測定したパラメータは必ずしも、コントローラ22によって制御された注入液のパラメータに対応するものではない。
【0095】
センサ10aは、出口部位40の下流側又は遠位端で、血液及び注入液混合物の温度(T)などのパラメータを測定する。センサ10aは、出口部位40から十分離れて、例えば約1から10cm、すなわちカテーテル2が位置決めされる血管の直径の約10倍の距離に配置して、行われる測定が十分混合した血液及び注入液混合物のものであることを保証することができる。センサ10bは、カテーテル2からの注入液の出口部位40での又はそれに隣接した冷却した注入液の温度(T)などのパラメータを測定する。センサ10cは、出口部位40に隣接したその上流側での、例えばそこから約0.2cmから約5cmまでの位置での温度(T)などのパラメータを測定する。以下に詳細に説明するように、センサ10cは、注入液の還流を検出するのに出口40に十分近く位置決めされている。センサ10dは、カテーテル2に沿った近接位置での温度(T)などのパラメータを測定する。センサ10dは、例えば、患者の深部体温が確実に測定されるように、カテーテル2に沿って十分近接して位置決めすることができる。
【0096】
センサ10a、10b、10c、10dはそれぞれ、例えばカテーテル2の周りの環状空間を検出するように環状に展開された多数のセンサを含むことができる。各温度TからTは、2つ以上のセンサによって測定することができ、この場合、特定の温度に対する平均値はこれらのセンサそれぞれの測定値を平均することによって判断又は測定することができる。使用されるセンサの数、及び測定される温度点の数は、特定の応用例及び/又は所望の機能性などの要因に左右されることがある。4つの温度点TからTは上に記載した通りであるが、温度はより多くの又はより少ない点で測定することもできる。特定の応用例及び/又は所望の機能性により、TからTの2つ又は3つの組合せを測定することができる。T又はTなどの単一の温度点のみを、特定の応用例に使用することもできる。さらに、以下に詳細に説明するように、カテーテルに沿った様々な点での温度又は他のパラメータの測定ではなく、又はそれに加えて、コントローラ22はこれらの値を算出又は推定することができる。
【0097】
センサ10a、10b、10c、10dは、温度に加えて、又はそれ以外のパラメータを測定することができる。例えば、センサ10a、10b、10c、10dは、圧力を測定することができ、任意選択で光ファイバケーブルを備えた変換器又は隔壁を備えることができる。圧力及び/又は温度センサ技術の代表的な例としては、例えば、それぞれ全体を本明細書に参照により明示的に援用した、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、及び特許文献11を参照のこと。注入液の逆流量を測定することに加えて、圧力測定はそれ自身利点がある可能性がある。所望の範囲より大きい流量及び圧力は脳の傷害につながる可能性があり、所望の範囲より小さい流量及び圧力は器官冷却を実現するのに不十分である可能性がある。
【0098】
異なるシステムは、配置及び機能の点で、異なる数のセンサを有することができる。単一のセンサ又は多数のセンサを、環状センサの代わりに使用することができる。本明細書に記載した1つの位置のみにおける単一のセンサを使用することもできる。また、センサの特定のタイプ又は数は重要ではない。患者の深部体温は、上に記載したように測定することができるか、又は患者の身体内のどこかで測定することができるか、又はさらに一定の基準点として算出することができる。温度センサは、例えば、約0℃〜約50℃の範囲の温度を感知することが可能である。
【0099】
センサ10a、10b、10c、10dからの情報は、制御方式により注入液の流量及び温度を調節するようにポンプ24、24a及び24bに信号を送信することが可能なコントローラ22に伝達される。例えば、コントローラ22は、出口部位40の下流側の注入液及び血液混合物の温度(T)などのパラメータを所定の速度で繰り返し測定し、これを所定の目標パラメータ、例えば所定の目標温度、例えば33℃すなわち306Kと比べるように、フィードバックループを利用することができる。コントローラ22は、ポンプ24、24a、24bの少なくとも1つに患者まで運ばれる注入液の注入速度及び量の少なくとも一方を増加させ続けるように命令し、及び/又は冷却器30及び/又は加熱器31にTが目標温度に到達する又はそれより下になるまで注入液の温度を減少させ続けるように命令する。目標温度は、例えば目標の程度の低体温法を達成するように、ユーザによって選択することができる。例えば、目標温度は軽度低体温法を達成するように33℃〜36℃の間に、中度低体温法を達成するように29℃〜32℃の間に、又は重度低体温法を達成するように28℃未満に設定することができる。
【0100】
コントローラ22は、センサ10cを使用して、血液又は血液及び注入液混合物のいずれかの温度などのパラメータを繰り返し測定するように、フィードバックループを利用することもできる。コントローラ22は、還流状態を反映する、センサ10cによって検出されるパラメータの変化を探し、還流の検出の際には、ポンプ24に、患者に運ばれる注入液の注入速度及び/又は量を減少させるように命令するようにプログラミングされている。
【0101】
センサ10a、10b、10c、10dの使用に関する上記議論は、カテーテル2が血流の方向で血管内に位置決めされていることを想定している。しかし、カテーテル2は血流の方向と反対側の方向で血管内に位置決めすることもできる。いずれの場合でも、センサ10a及び10cの役割を切り換えることができる。すなわちセンサ10aを使用して還流を検出することができ、センサ10cを使用して注入液及び血液混合物の温度を検出することができる。
【0102】
患者のシステム又は器官の温度が低下すると、患者の代謝も低下し、このような代謝の低下により血流が少なくなる。ヒトの患者の代謝は実質的に、患者の、又は少なくとも患者の特定の部分の温度が20℃に近づくと、患者内で停止する。脳に関しては、脳の温度が38℃である場合、頚動脈を通る血流は約5cc/秒(すなわち、300cc/分)である。しかし、頚動脈を通る血流量は、脳の温度が20℃に近づくと、急速にゼロ近くに低下する。脳の温度が冷却した注入液により20℃に近づくと、脳を冷却するのに必要な冷却した注入液の量も、ゼロ近くに減少する。血液は、頚動脈を通るすべての血流を止めるように、20℃未満に冷却することができる。脳を冷却するために冷却した注入液が脳に注入された状況では、冷却した注入液は、注入液の流量が冷却に必要な流量を超えたときに、注入液カテーテルに沿って還流される。還流は、血液が20℃に到達する前でさえも始まる可能性がある。上に示すように、センサ10cは、このような還流状態を検出するように、カテーテル2上に位置決めされている。
【0103】
注入液及び血液混合物の還流が、図3A〜3D、4A〜4C、及び5A〜5Cに示されている。図3A〜3Dで分かるように、カテーテル2は患者の頚動脈50に位置決めすることができる。参照として、図3A〜3Dに示すように、動脈50の左側は患者の心臓により近い。図3Aは、患者の血液が矢印52の方向に頚動脈50を通して下流側に流れている場合の初期位置決めを示しており、この血液の温度はセンサ10dによって感知される。冷却した注入液は、図3Bに示すように、カテーテル2を通して前進し、出口部位40を通してカテーテル2から出て、頚動脈50に入り、血液及び注入液の混合物54は、矢印52の方向に患者の脳に向かって下流側に潅流する。明確にするために、カテーテル2の出口部位40の孔の1つだけが図1に示されているが、図3A〜3D及び4A〜4Cに示すように、この部位は多数の孔を有することもできることに留意する必要がある。図3Cの小さいほうの矢印52によって示すように、脳への流れは減少し始め、図3Dの矢印58で示されているように、注入液及び血液混合物54は最終的には還流し、カテーテル2内の注入液の流れと反対側の方向、例えば頚動脈50の上流側に出口部位40を通して流れ始める。センサ10cは、出口部位40に隣接した流体流の温度を感知する。注入液及び血液混合物54の還流がある場合、図1に示すようなコントローラは、例えば所定の時間間隔で、センサ10cによって測定された温度の低下を繰り返し探すことによってこの状態を認識し、図1に示すようなポンプに信号を送信して、コントローラが注入液の注入の速度を遅くするか又は停止させる。還流は、注入液のボーラスの注入中及び/又はその後に測定することができる。例えば、ボーラスを周期的に射出することによって、注入を連続的に又は非連続的に行うことができる。非連続的注入では、各注入の後に、又は所定数の注入の後に、還流を周期的に測定することができる。
【0104】
カテーテル2はまた、図4A及び4Bに示すように、例えば大腿動脈51内に逆行して位置決めすることもできる。参照として、図4A及び4Bのカテーテル2の右側は、患者の心臓により近い。カテーテル2及び出口部位40を通過する注入液は、血液と混合し、混合物54はセンサ10aから離れて、センサ10cに向かって矢印52’の方向に流れる。足に向かう流れは、ゆっくりとなり始め、血液及び注入液混合物54は最終的にセンサ10aを通して矢印58’の方向に還流する。注入液及び血液混合物54の還流がある場合、図1に示すようなコントローラは、例えば所定の時間間隔でセンサ10aによって測定される温度の低下を繰り返し探すことによってこの状態を認識し、図1に示すようなポンプに信号を送信して、コントローラが注入液の注入を遅くするか又は停止させる。
【0105】
コントローラは、カテーテル2が患者内に位置決めされているところによって、異なる信号に対する異なるセンサを注目するようになっていてもよい。例えば、図3A〜3Dに示す状況では、カテーテルが頚動脈50内に位置決めされ、カテーテル2を通る注入液流れの方向が還流の前の頚動脈50内の血流の方向と同じである場合、コントローラは還流状態に対してセンサ10cをチェックし、カテーテル2が図4A及び4Bに示すように大腿動脈51内に位置決めされ、カテーテル2を通る注入液の流れが還流前の大腿動脈51内の血流と反対である場合、コントローラは還流状態を検出するようにセンサ10aに注目するようになっている。同様に、図3A〜3Dのカテーテル2が逆行して挿入された場合、すなわち出口部位40が図の左側により近く、カテーテル2を通る注入液の流れが還流前の頚動脈50を通る血流の方向と反対側の方向であるように180度反転した場合、コントローラは還流状態を検出するようにセンサ10aに注目するようになっていてもよい。1つ又は複数のセンサの機能が患者内へのカテーテル2の位置決めに依存すると仮定すると、コントローラは、患者の身体中の特定のカテーテル位置決めに特有の所望のコントローラ動作モードを示す、ユーザからの入力を受けることができる。
【0106】
図5A〜5Cは、患者の頚動脈50内に位置決めされた、遠位開口46及び温度センサ48及び49を有する、針又はカテーテルなどの挿入装置44の例示的な一実施形態を示している。図5Aは、患者の血液が矢印52の方向に頚動脈50を通して下流側に流れている初期位置決め位置を示しており、その血液の温度はセンサ48によって感知される。図5Bに示すように、冷却した注入液は遠位開口46を通して頚動脈50に入り、注入液及び血液の混合物54は患者の脳に向かって矢印56の方向に下流側に潅流する。その後、脳への流れが減少すると又はその後に、図5Cの矢印58によって示されるように、注入液及び血液混合物54は還流し、上流側に流れ始める。センサ49は、挿入装置44の遠位部42に隣接した流体流の温度を感知する。注入液及び血液混合物54の還流がある場合、図1に示すようなコントローラは、例えば所定の時間間隔で、センサ49によって測定された温度の低下を繰り返し探すことによってこの状態を認識し、図1に示すようなポンプに信号を送信して、コントローラが注入液の注入の速度を遅くするか又は停止させる。
【0107】
注入液を運ぶのに使用されるカテーテル2の細長い特性を考慮すると、注入液はポンプ24とカテーテル2上の出口部位40との間の移行の際に温まる可能性がある。カテーテル2から出る注入液の温度は、例えばセンサ10bを使用して測定することができるか、又は注入液のこのような温まりを考慮して、コントローラ22によって算出することができる。
【0108】
カテーテル2から出るときの冷たい注入液の温度はまた、参照により全体を本明細書に明示的に援用する、ホ特許文献3で全体的に論じるように、一般熱力学方程式ΔQ=mc(ΔT)を使用して算出することができる。式中、ΔQは測定されている所与の材料の熱の変化を示し、mは材料の質量を示し、cは材料の比熱特性を示し、ΔTは材料の温度の変化である。
【0109】
以下に詳細に説明するように、一般熱力学方程式ΔQ=mc(ΔT)を使用して、自然血液貢献(X)の値を求めることができ、この方程式はカテーテルを出るときの注入液の温度を求めるために変換することができる。
【0110】
血液及び注入液が混合されると、一般熱力学方程式ΔQ=mc(ΔT)は、
ΔQ+ΔQ=mΔT+mΔT
となる。式中、下付文字Bは血液を示し、Iは注入液を示す。これらの流体が水と同様の熱容量を有するという前提で、血液及び注入液の熱容量を1に設定し、及び周辺システムから混合物内への熱の漏れがない、すなわちエネルギーが保存されているという前提で、ΔQ=−ΔQに設定し、上記方程式を0=vΔT+vΔTに変換することができる。式中、vは血液の量であり、Tは混合物温度であり(均一な混合物温度と仮定する)、ΔT=T−Tは血液温度の変化を示し、ΔT=T−Tは注入液の温度変化を示す。例えばカテーテル2(図1A)の関連パラメータをそれぞれT、T及びTに対するT(血液及び注入液混合物の温度)、T(全身血液温度)、及びT(注入液温度)を含む、方程式0=vΔT+vΔT内に代入し、vを時間(t)で掛けた自然血液貢献(X)で置換することにより、以下の方程式が得られる。
0=X・t・(T−T)+IR・t・(T−T
自然血液貢献(X)の値を求め、時間(t)で割ることにより以下の式が得られる。
【0111】
【数1】

【0112】
自然血液貢献(X)に対して上記方程式で記載された挙動はまた、2つの流体が異なる量の特性を有し、混合が完了した他の場合にも当てはまる。例えば、注入液は自然血液中のナトリウム濃度と異なるナトリウムイオン濃度を有することができる。あらゆる特性Pを測定するために図1のセンサを一般化し、濃度を以下のように規定することができる。
=混合物(meq/L)の[Na
=注入液(meq/L)の[Na
=潅流[Na](meq/L)
=全血[Na](meq/L)
IR=注入速度(cc/秒)
X=自然血液寄与(cc/秒)
【0113】
混合物(P)のナトリウム濃度は、混合物の全量で割った、血液及び注入液中のナトリウム量の合計である。混合物(P)のナトリウム濃度に対する方程式は以下の通りである。
【0114】
【数2】

【0115】
式中、tは時間である。ナトリウムの量は、上に記載された熱量と同じ形で、すなわち濃度、注入速度及び時間の積で示されることに留意すること。時間で割り、Xの値を求めると、上記方程式は以下の通りになる。
【0116】
【数3】

【0117】
この式は、上記方程式
【0118】
【数4】

【0119】
の一般化した形である。
【0120】
カテーテルを出る際に十分低い温度の注入液を与えるために、カテーテルは、血液又は周辺システムから冷却した注入液への熱伝達を最小限に抑えるように、断熱スリーブ又は他のコーティングを含むことができる。さらに、カテーテルはガイドカテーテルを通して患者内に運ぶことができ、この場合、ガイドカテーテル自体及びガイドカテーテル内の断熱材がカテーテルを断熱させ、冷却した注入液の温度を維持するように働く。
【0121】
カテーテルは、断熱環状空間68を含むことができる。図6は、断熱したカテーテル60の遠位部の長手断面を示している。図7は、図6の線7−7に沿ったカテーテル60の横断面を示している。カテーテル60は、円筒形外壁62、及び円筒形内壁64を備えており、この内壁64は冷却した注入液を供給するための管腔66を画定する。記載した断熱構成は例えば、カテーテル60の全長、又はその一部のみにわたって延びることができる。環状空間68は、カテーテル60の遠位端で遠位部70までテーパ状とすることができる。環状空間68は、ヘリウム、二酸化炭素、キセノンなどの流体又は気体、あるいはシリカゲルなどの他の既知の断熱材材料、又はそれぞれ全体を参照により本明細書に明示的に援用する、特許文献12、特許文献13、及び特許文献14に記載されたものなどの他の材料を含む、生物学的に安全な断熱材で充填させることができる。使用した断熱材は、カテーテル60の可撓性を制限すべきでない、又はこれに対して最小限の影響のみを有するべきである。環状空間68は、膨張可能であり、膨張管腔を通してインフレータと流体連通することができる。この場合、カテーテル60は挿入を容易にするように環状空間68が収縮された小さい外形の状態で患者に挿入され、いったん位置決めされると、冷却した注入液がカテーテル60を通過するときに断熱を行うように膨張される。患者から装置を取り除く際に、環状空間68を空にして、カテーテル60の外形を最小限に抑えることができる。
【0122】
上に示したように、センサ10a、10b、10c、10dの少なくとも1つからの情報はコントローラ22に伝達され、このコントローラはその後、制御方式により、信号をポンプ24、24a及び/又は24bに送信して注入液の流れを調節し、冷却器30及び/又は加熱器31に送信して注入液の温度を調節することができる。このような制御方式の一部として、コントローラ22はまた、フィードバックループを利用して、所定の速度で混合ヘマトクリット値、例えば出口部位40の下流側の注入液及び血液混合物のヘマトクリット値を繰り返し算出し、これを患者に十分な酸素運搬を行うのに必要な所定の最小ヘマトクリット値と比較することができる。コントローラ22は、患者に運ばれる注入液の注入速度及び量の少なくとも一方を減少させるようにポンプ24に指示する、及び/又は混合ヘマトクリット値が所定の最小値、例えば25より上昇するまで注入液の温度を上昇させるように冷却器30又は加熱器31に指示する。
【0123】
患者の基準全身ヘマトクリット値は、処置の前に測定することができる。処置中、全身ヘマトクリット値は注入液の注入により変化する。処置中の患者の全身ヘマトクリット値の推定は、連続全身測定によって判断することができるか、又は例えば以下の方程式を使用して、コントローラ22によって算出することができる。
【0124】
【数5】

【0125】
式中、VRBCは全血球量であり、VIVOは初期の全血管内容量(VRBCを含む)であり、ΔVIVは加えた注入液の量であり、pは血管内である細胞外水の割合である。0.42の初期全身ヘマトクリット値、及び初期VIVO=5.0Lを想定することができる(VRBC=2.1Lを暗示する)。
【0126】
本発明の例示的な一実施形態では、血液及び注入液混合物中のヘマトクリット値、すなわち混合物ヘマトクリット値(amHct)は、センサ、例えばセンサ10a、10b、10c、10dのいずれかからのデータ又は測定値を使用し、方程式amHct=Hct(1−dF)を使用してコントローラ22により算出される。式中、dF=IR/(IR+X)であり、例えば還流がない場合、X=IR(T−T)/(T−T)である。前述の方程式は単に例示的なものであることを理解すべきである。Hctは患者の血液の全身ヘマトクリットレベルを示し、dFは希釈係数、すなわち血液及び注入液の混合物中の注入液の割合(T=Tであり及び還流を除いた場合)を示す。IRは、注入液ポンプが汲み上げている注入速度であり、Xは自由流貢献、すなわち血液及び注入液の混合物内に入る自由又は自然血液の流量である。
【0127】
コントローラ22は、図11のフローチャートで提示したアルゴリズムを利用することができる。境界条件が満たされた場合に限り、代替アルゴリズムを利用することができることを理解すべきである。チャートで使用するように、Tは最も遠位のセンサ、すなわち血液及び注入液混合物の温度を示し、Tはカテーテルを出るときの注入液温度を示す。さらに、Tは、「還流」センサで、例えば注入液出口部位40に対して約0.2〜5cm近接して測定した温度であり、Tは最も近接したセンサによって測定された、あるいは算出又は判断された深部体温を示している。この最後のセンサは、還流又は注入液からの干渉なしで、深部体温を正確に測定する位置でカテーテルに沿って配置されている。このセンサは、カテーテル内に埋め込む必要はない。この温度情報は、患者の他の温度測定によって得られたデータから手動でプログラミングすることができる。別の変数としては、目標器官又はシステム内で得ることが望ましい、例えば臨床医/オペレータによってコントローラ22にプログラミングされるように選択された、臨床目標温度であるtTが挙げられる。
【0128】
上に示すように、Tは還流センサで、例えば注入液出口部位40に対して約0.2〜5cm近位点において測定した温度である。注入液出口部位に対して約0.2cm近位点の位置は、常に収縮期及び拡張期の間に血液の前方流がある器官で使用され、注入液出口部位に対して約5cm近位点の位置は、収縮期の間のみに前方流がある器官、例えば脚で使用されることを理解すべきである。さらに、カテーテルの寸法はまた、この位置が注入液出口部位に対して0.2cm近位点により近いか、又は注入液出口部位に対して5cm近位点に近いかどうかを判断する要因である。これに関して、カテーテルが血管に対して大きければ大きいほど、還流の可能性及び/又は範囲はより大きくなることを理解すべきである。
【0129】
図11のフローチャートでは、150で示すように、目標温度(tT)、及び予め設定したCAH、すなわち例えば治療している器官に運ばれる臨床許容可能最小Hctは、オペレータによって選択され、コントローラ22に入力される。例えば患者の血液標本の分析によって測定されたような、患者の血液の基準全血ヘマトクリットレベル(Hct)が測定され、またコントローラ22に入力される。152では、温度情報T、T、T及びTが入力され、自由流寄与X、希釈係数dF、及び混合物ヘマトクリットレベルamHctがコントローラ22によって算出される。T、T、T及びT温度、算出した値X、dF、及びamHct、及び注入速度IRは、以下に記載するようにコントローラ22用の制御盤上に表示することができる。
【0130】
154では、CAH値、すなわち25などの日常的な臨床測定に基づき臨床的に測定された最小Hctとの、算出した値amHctの比較が行われる。amHctがCAH値より小さい場合、信号は156に進み、コントローラ22が10%などの予め設定した量だけ、注入ポンプ24の注入速度を下げる。このチャートの目的において、ポンプ24への言及は、ポンプ24a及び24bに同様に当てはまる。amHctがCAH値と同じ又はそれより大きい場合、T値は160でTと比較される。TがT以上である場合、すなわち還流が全く無い又は実質的に無い場合、Tは162でtTと比較される。TがtT以上である場合、すなわち血液及び注入液の混合物が目標温度に到達しなかった場合、Tは164でtTプラス0.2°などの値と比較される。TがtTプラス0.2°以下であると判断した場合には、152に戻る。しかし、TがtTプラス0.2°より大きいと判断された場合には、166で、注入ポンプ24の速度は、所定の最大注入ポンプ速度に到達するまで、10%などの量だけ増加する。
【0131】
が160でTより大きいと判断された、すなわち還流が検出された場合、又はtTが162でTより大きいと判断された、すなわち血液及び注入液混合物の目標温度に到達した場合、注入ポンプの速度IRは、IRが0の値に近づく及び/又は到達するまで、ステップ168により、10%などの設定割合又は量だけ減少する。別の方法では、血液及び注入液混合物の温度が最初、治療している器官より低くてもよいとすると、コントローラ22はTが注入ポンプ速度を下げる前に、tTに到達した又はそれより低くなった後に、所定の期間だけ待つことができる。
【0132】
注入液はまた、短期間で還流を達成し、治療している器官、例えば脳をできるだけ冷却するように、CAHでのamHctで極めて高速で運ぶことができる。この場合には、混合物の温度は目標温度の下に下がることができ、nvRFは急にゆっくりになる。
【0133】
コントローラ22は、例えば中核温度、全流体管理、流体速度、又は混合物ヘマトクリットレベルの変化、又はその最小値又は最大値への到達などの特定の場合又は発生の際に、警告を発する、あるいはフィードバック又は通知を与えるようにプログラミングすることができる。170及び172で示すように、amHctがCAHより小さい場合に警告を発することができる。174及び176に示すように、注入ポンプ24が停止した場合に警告を発することができる。さらに、178及び180に示すように、注入ポンプ24の速度が予め設定した最大値に到達した場合に警告を発することができる。
【0134】
コントローラ22はまた、血液及び注入液混合物の還流に依存して自然血管流量(nvFR)、希釈係数(dF)、及び混合物Hctを算出することができる。この趣旨の制御アルゴリズムは、多数のセンサ、又は単一のセンサ、例えばセンサ10c(図1)を備えた装置で利用することができる。コントローラ22は、還流が例えばセンサ10cを使用して検出されるまで注入液の流れを増加させ、その後、その通常注入速度まで注入液の流れを減少させるようにプログラミングされている。nvFRでの、又はそれより大きい注入速度で、還流は発生する。コントローラ22はその後、自然血管流量(nvFR)を還流がちょうど起こった注入速度に設定することができる。
【0135】
例えば、血管内の5.0ccの注入速度を前提として、0.5ccの基準注入速度を、還流があるまで、10回の合計に対して0.5秒毎に例えば0.5ccだけ「増加」させることができる。この時点で、T3はT4より小さく、血管内の注入速度は4.5ccより大きく、5.5ccより小さいことが知られている。必要に応じてより小さい範囲にわたって注入速度に減少させるように、コントローラ22によって追加の繰り返しを行って、より小さい注入量で上記過程を繰り返すことができる。上記過程は、以下の一般方程式まで減らすことができる。
血管内の流れ=(注入液初期速度)+((注入液速度増加)/間隔)*(間隔の数)
式中、間隔の数はT3<T4である場合、すなわち冷たい注入液の還流がある場合の間隔の数に等しい。
【0136】
上記方程式で分かるように、混合物温度に関する上記測定は、注入液出口部位又は領域40の下流側のセンサ、例えばセンサ10a(図1)を使用することなく行われる。センサ10aは、冷却されている器官の温度の概算として当てにすることができる、血液及び注入液混合物の温度読取を行うが、混合物及び冷却されている器官の温度は特に冷却の開始に関して常には一致していないので、これは有用である。下流側センサを取り除くことにより、装置の費用全体を少なくすることにもなる。
【0137】
nvFRを算出するように、還流が起こるまで注入液の流れを増加させることは、冷却されている器官、例えば脳がその目標温度に到達して、その時点でコントローラ22が注入を少なくする又は停止させるときを正確に判断するように、コントローラ22によって利用することもできる。注入液の注入速度の増加、及びnvFRの算出は、例えば、コントローラ22がnvFRの値を監視しながら、nvFRの迅速なリアルタイム算出を行うように、多数回行なうことができる。冷却されている器官がその目標温度に到達したことを示す、ゼロに等しい、又はゼロより大きい又は小さい所定の範囲内の時間にわたってnvFRの安定状態の所定のレベル、すなわちnvFRの傾斜を検出する際に、コントローラ22は注入を維持する、少なくする、又は停止させることができる。
【0138】
目標温度の上記判断は、nvFRの値の安定期は冷却されている器官がその目標温度に到達したことを示しているという事実による。器官の血流は新陳代謝率に関連し、これはまた温度に関連する。脳を例として使用して、内頚動脈内へ冷たい注入液の一定の流量を注入している間に、脳の温度は低下し始め、その後新陳代謝率が低下し、nvFRも減少する。脳の温度が冷たい血液及び注入液混合物の温度に近づくと、平衡に到達し始め、したがって、脳の温度の低下速度がゆっくりとなる。脳及び混合物の温度は最終的に、平衡に到達し、極めて同様になる。というのは、内頚動脈は脳への終端器官血管だからである。このような均衡で、脳の温度は安定期となる、又は代謝要求を増加させる注入の血液希釈効果により実際に増加し始めることがある。脳の温度が安定期に到達したので、新陳代謝率及びnvFRも安定期に到達する。上に記載したように、コントローラ22は、この安定期を検出するようにnvFRの値を監視し、このような検出の際に、注入を維持する、少なくする、又は停止させる。
【0139】
図12は、コントローラ22用の制御/表示パネル184の略図である。TからTまでに対する測定、算出、又は推定した値は、186、188、190及び192で表示することができる。tTに対する値は、194で選択及び表示することができ、Hct値は196で入力し示すことができる。注入ポンプ24の速度は、198で示し制御することができる。
【0140】
限定することを決して意図したものではなく、例示的な目的で、目標温度(tT)が33℃すなわち306Kに設定され、血液及び注入液混合物に対する臨床的許容HCT(CAH)が25に設定され、基準全身ヘマトクリット値(hct)は45に設定され、通常の生理食塩溶液であってもよい注入液の注入速度(IR)が0℃すなわち273Kで30mL/分に設定された場合、センサ10a、10b、10c、10dは例えば、308KのT温度、282KのT温度、310KのT温度、及び310KのT温度を測定することができる(又は、コントローラ22が算出することができる)。コントローラ22はその後、以下の通り自由流貢献、
X=IR*(T−T)/(T−T)=0.5mL/秒(308K−282K)/(310K−308K)
を算出し、これにより、4mL/秒の自由流貢献が生じる。コントローラ22はまた、希釈係数、dF=IR/(IR+X)=0.5mL/秒/(0.5mL+4mL/秒)を算出し、これにより0.11の希釈係数が生じる。コントローラ22はまた、血液及び注入液混合物のヘマトクリット値、amHct=基準htc*(1−dF)=45*(1−0.11)を算出し、これにより40.05のヘマトクリット値が生じる。amHctはCAH以上であり、TはT以上であり(還流は検出されない)、Tは目標温度以上であり、Tは目標温度プラス0.2以下であるので、現在の注入速度はコントローラ22によって維持することができる。次に、TからTはもう一度評価又は測定され、自由流貢献、希釈係数、及び混合物ヘマトクリット値が再算出される。この過程はその後、図11に示すのと一致するように繰り返すことができる。別の方法では、注入速度は、所定の期間だけコントローラ22によって維持することができ、注入速度は、amHct、T及びTに関する上記条件が満たされているかどうかに関わらず、期間が終了すると減少する可能性がある。
【0141】
本明細書に記載し、図示した冷却カテーテルは、冷却した注入液が患者の脳に提供される脳冷却で使用することができる。しかし、カテーテルは、他の器官、システム、又は体肢を冷却する際に、又は患者の身体内の所望の部位への医薬品又は他の薬剤などの物質の運搬の際でのより幅広い用途を有することができる。本明細書に記載した挿入装置及び方法はまた、人体とは完全に独立してシステム内で使用することもでき、あらゆるシステムパラメータ、又はあらゆるタイプのシステム内のあらゆる流動材料のパラメータに影響を与える又は制御するのに使用することができる。
【0142】
カテーテルによって運ばれる注入液は、例えば、イリノイ州DeerfieldのBaxter Healthcare Corporationから市販されている、約9%塩化ナトリウムUSPを含む市販の生理食塩溶液などの、生理食塩溶液であってもよい。生理食塩溶液は、酸化窒素、リドカイン、ニトログリセリン、インスリン、アデノシン、ATP、熱ショックタンパク質、β遮断薬、カルシウムチャンネルの調整剤、カリウムチャンネルの調整剤、又は他の酵素又は代謝調整剤など、又はあらゆるタイプの心臓血管薬又は保存溶液、例えばWashington溶液などの抗酸化物質又は他の血管薬を含むことができる。炎症反応の調整剤、膜透過輸送の調整剤、乳酸濃度の調整剤、又は他の物質なども含めることができる。生理食塩溶液はまた、δオピオイドペプチド(例えば、D−Ala2−Leu5−enkephalin DADLE)又は他の冬眠誘導開始剤などを含むことができる。注入液は血液、血液代替物、又はこれら両方の混合物であってもよい。
【0143】
注入液が血液である場合、血液は任意に冷却のために患者から取り除き、患者に戻すことができ、これは患者への外傷を最小限に抑えるように単一の部位で行うことができる。カテーテルセットでは、外側カテーテルは患者の動脈内に部分的にのみ延びており、血液は外側カテーテルと遠位方向に延びている内側カテーテルとの間の環状空間を通して近接方向に取り除かれ、冷却した血液は内側カテーテルを通して戻される。
【0144】
脳冷却は、TPA、ヘパリン、ストレプトキナーゼなどの血栓溶解剤と合わせて行うことができる。血栓溶解剤は、例えば脳冷却の前に、間に及び/又は後に、従来の手順により投与することができる。同様に、外科的又は血管内介入が脳卒中患者で示された場合、脳冷却はこのような処置と合わせて行うことができる。
【0145】
血管脳冷却を行うために、標準的な処置が続く可能性がある。例えば第1に、ガイドカテーテルが確立され、その後、脳冷却カテーテルの遠位先端が、大腿動脈を通して、大動脈を通して、例えば内頚動脈又は総頚動脈内に前進させられる。冷却した注入液は、脳冷却カテーテル内の1つ又は複数の管腔を通して内頚動脈まで潅流される。
【0146】
同様の導入技術を使用して、他の目標器官又はシステムにアクセスすることができる。冷却した血液は、1本又は複数本の冠動脈に供給することができる。低体温法は、虚血及びその後の再潅流中に心臓システムを極めて保護するものであると考えられる。図8に示すカテーテルなどのカテーテルは、大動脈を通して、その後、左又は右冠動脈内に前進させることができる。カテーテルの遠位先端はその後、閉塞又は狭窄に近接した点で、左又は右冠動脈内に位置決めすることができる。臨床医は、脳冷却、又はその後の再潅流中の心臓保護の供給中のものと同様であってもよい、システム目標amHCT、血流、及び持続時間に関して、治療の状態を判断することができる。注入は、アジュバントとして、又は血管形成、血栓溶解、又は化学塞栓、又は心臓保護薬の運搬中の的確な治療として使用することができる。
【0147】
例えば心臓処置中に血液又は注入液を冷却する従来の装置は、注入される注入液を冷却するのに使用することができる。この装置は、その温度範囲に適合することができ、コントローラ22によって制御することが可能である。このような市販の機器の例は、ミシガン州Ann ArborのSARNS Corp.から市販されているSARNS TCM水槽である。このような水槽は、ミネソタ州MinneapolisのBiomedicusから市販されているBP40などの心肺バイパス機で使用されている。脳冷却処置に関する詳細は、例えば、それぞれ全体を本明細書に参照により明示的に援用する、非特許文献1、及び非特許文献2を参照のこと。
【0148】
図8に示すように、ガイドカテーテル80は、カテーテル80の遠位端82が患者の頚動脈84内に位置決めされるように前進される。遠位端82から延びているのは、注入液の運搬のためのマイクロカテーテル86である。マイクロカテーテル86に隣接して長手方向にあるのは、その遠位部94に温度センサなどの1つ又は複数のセンサ96、98、100及び102を有するワイヤ92である。ワイヤ92は、注入液及び血液混合物のパラメータを測定するセンサ96と、マイクロカテーテル86の遠位端88で注入液のパラメータ、例えば温度を測定するセンサ98と、還流を測定するセンサ100と、患者の血液のパラメータ、例えば患者の深部体温を測定するように位置決めされたセンサ102とを有する。トレーサは測定可能で一定であり、センサによって取り上げることができ、初回通過生存能力を有することができる(例えば、完全に吸収される、完全に排泄される)ことを理解すべきである。図8に示す配置はまた、センサ96に対して、例えば約10〜約25cm遠位方向に位置決めされた任意の遠位センサ104を含み、このセンサ104は追加の遠位情報を提供する。
【0149】
カテーテル遠位端82及びマイクロカテーテル遠位端88は、それぞれ、タンタル、白金、金などを含むリング又は環状バンドなどの、放射線不透過性マーカ106及び108を備えることができる。センサ96、98、100、102及び/又は104はまた、放射線不透過性材料を含むことができる。放射線不透過性材料により、カテーテル端部82、88及びセンサ96、98、100、102の視覚化及び位置決めが容易になる。例えば、マーカ108はセンサ98にちょうど近接しており、マーカ106はセンサ102に十分近接している。マーカ及び/又はセンサの他の位置も可能である。カテーテル又はマイクロカテーテルは任意に、抗血栓及び/又は潤滑コーティングを有することができる。
【0150】
センサの間隔は変わってもよい。図8のセンサ96と98の間の間隔は、センサ98が注入液及び血液混合物の温度を代表的に測定するのに十分である、例えば約1cm〜約10cmまでであってもよい。しかし、センサ96と98の間のあらゆる間隔を提供することができる。センサ100は普通、通過する血液の温度を測定する。しかし、センサ98と100の間の間隔は、血流が減少した場合に、センサ100が還流の温度を捕えるようになっていてもよい。この間隔は、例えば約0.2cm〜約5cmの間であってもよい。センサ102は、自由血流の温度を測定する限り、センサ100に近接してほぼあらゆる距離に位置決めすることができる。これらの距離は単に例示的なものであって、血管又は器官の寸法、及び/又は応用例、及び/又は使用する材料などの要因により変わってもよいことを理解すべきである。
【0151】
ワイヤ92は、センサ用の構造を提供するように変更された従来のガイドワイヤ構成を含むことができる。ワイヤ92は例えば、約125cm〜約175cmの長さであってもよく、約0.08インチ〜約0.38インチの外径を有することができる。センサは、ワイヤ92にのり付けする、溶接する、あるいはしっかり固定することができる。ワイヤ92は、カテーテル又はシースを通して、又は血管内に独立して前進させることができる。
【0152】
図9に示すように、カテーテル112の遠位部110は、注入液のパラメータ、例えば注入液の温度を測定するのに使用される内側環状センサ114を含む単一の管腔115を有する。遠位部110は穿孔116を有し、それによってカテーテル112に外部に流れる血液が冷却した注入液と混合し、矢印120の方向に注入液及び血液混合物として共に流れる。遠位環状センサ122は、例えば注入液及び血液混合物の温度を感知するように位置決めされ、環状センサ124は還流を検出するように位置決めされ、近接環状センサ126は例えば、患者の深部体温を測定するように位置決めされている。
【0153】
センサ114、122、124、及び126は、図8に関して上に記載したように、互いに対して間隔を置いて配置することができる。センサの環状構成は、センサを取り付けることができるカテーテル表面を取り囲む金などの、導電性材料の使用によって容易にすることができる。センサは、通過して流れる流体のあらゆる悪影響を最小限に抑えるために、例えばフィルム又は他の配置で定位置に固定することができる。
【0154】
図10は、カテーテル138の一部に沿ってカテーテル138に連結され、これとともに拡張可能なマイクロカテーテル136を備えた装置を示している。カテーテル138の遠位端140は、マイクロカテーテル136の遠位端142を通して、例えば約1〜約20cm延びている。環状センサ144は例えば、患者の深部体温を測定し、センサ146は例えば還流温度を測定する。センサ148は、例えば注入液の温度を測定するために、マイクロカテーテル136の遠位端142に、又はこれに対してわずかに遠位方向に位置決めされている。センサ148は環状である必要はなく、この場合、マイクロカテーテル136のすぐ前方に周方向に位置決めすることができる。最も遠位の環状センサ150は、例えば、注入液及び血液の混合物の温度を測定するように位置決めされている。マイクロカテーテル136は、カテーテル138に結合された別個のカテーテルであってもよく、及び/又はカテーテル138に横方向に埋め込むことができる。マイクロカテーテル136はまた、カテーテル138と一体形成することもできる。
【0155】
上に記載したカテーテルは、カテーテル分野で使用される従来の生体適合性材料を含むことができる。例えば、カテーテルは、例えば押出ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリスチレン、又はポリプロピレンあるいはその共重合体などの、適切な低摩擦生体適合性ポリマーでできている。内側の細長い管状部材は、例えば、約3Fr〜約9Frの外径、及び約0.038インチ〜約0.105インチの内径を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1A】本発明の例示的な一実施形態による、冷却システムの略図である。
【図1B】図1Aの線1B−1Bに沿った断面図である。
【図2】本発明の例示的な一実施形態による、冷却システムの略図である。
【図3A】患者の頚動脈に位置決めされた、本発明の例示的な一実施形態によるカテーテルの略図である。
【図3B】注入液を患者の頚動脈に注入する、図3Aに示すカテーテルの略図である。
【図3C】患者の自由流れ分配が図3Bのものと比較して少なくなった、注入液を患者の頚動脈に注入する、図3Aに示すカテーテルの略図である。
【図3D】血液及び注入液の還流により囲まれた、図3Aに示すカテーテルの略図である。
【図4A】患者の大腿静脈に位置決めされた、本発明の例示的な一実施形態によるカテーテルの略図である。
【図4B】カテーテルの先端が血液及び注入液の還流に曝された、図4Aのカテーテルの略図である。
【図5A】患者の頚動脈に位置決めされた、本発明による例示的な一実施形態によるカテーテルの略図である。
【図5B】注入液を患者の頚動脈に注入する、図5Aに示すカテーテルの略図である。
【図5C】血液及び注入液の還流により囲まれた、図5Aに示すカテーテルの略図である。
【図6】本発明の例示的な一実施形態による、断熱カテーテルの長手断面図である。
【図7】図6の線7−7に沿った、図6の断熱カテーテルの横断面図である。
【図8】患者の血管に挿入された、本発明の例示的な一実施形態による、カテーテルの略図である。
【図9】本発明の例示的な一実施形態による、カテーテルの略図である。
【図10】本発明の例示的な一実施形態による、カテーテルの略図である。
【図11】本発明による、コントローラシステムに対する例示的な方法を示す図である。
【図12】本発明による、制御盤の例示的な一実施形態の略図である。
【符号の説明】
【0157】
2 カテーテル
4 管状部材
6 遠位カテーテル部
8 近接カテーテル部
10a センサ
10b センサ
10c センサ
10d センサ
12 外側表面
14 ワイヤ
16 プラグ
18 マニホールド
20 内側表面
22 コントローラ
23 遠位カテーテル先端
24 注入ポンプ
24a ポンプ
24b ポンプ
26 ワイヤ
30 冷却器
31 加熱器
32 入口
34 出口
36 矢印
38 管腔
40 注入液出口部位又は領域
42 遠位部
44 挿入装置
46 遠位開口
48 温度センサ
49 温度センサ
50 頚動脈
51 大腿動脈
52 矢印
52’ 矢印
54 混合物
58 矢印
58’ 矢印
60 カテーテル
62 外壁
64 内壁
66 管腔
68 断熱環状空間
70 遠位部
80 ガイドカテーテル
82 遠位端
84 頚動脈
86 マイクロカテーテル
88 遠位端
92 ワイヤ
94 遠位部
96 センサ
98 センサ
100 センサ
102 センサ
104 センサ
106 マーカ
108 マーカ
110 遠位部
112 カテーテル
114 内側環状センサ
115 管腔
116 穿孔
120 矢印
122 遠位環状センサ
124 環状センサ
126 近接環状センサ
136 マイクロカテーテル
138 カテーテル
140 遠位端
142 遠位端
144 センサ
146 センサ
148 センサ
150 センサ
184 制御/表示パネル
温度
温度
温度
温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入液源に流体連通するようになっている挿入装置と、
前記挿入装置が注入液の注入のために、血液の下流側流れで患者の血管内に配置されている間に、前記挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液の混合物の温度に基づいて、及び(a)前記出口位置及び前記出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方での前記注入液の温度、(b)前記出口位置の上流側で前記出口位置に隣接した温度、及び(c)前記患者の中核体温のうちの少なくとも1つに基づいて、(a)前記注入液の温度、(b)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(c)下流側方向に前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するようになっているコントローラと、
を備えた装置。
【請求項2】
さらに複数の温度センサを備え、前記コントローラは前記温度センサから信号を受信するようになっており、前記温度センサの少なくとも1つは前記注入液出口位置に対して下流側に位置決めされ、前記注入液及び血液の混合物の温度を測定するようになっており、 前記温度センサの少なくとも別の1つは、(a)前記出口位置に隣接した前記注入液の温度、(b)前記出口位置の上流側で前記出口位置に隣接した温度、及び(c)前記患者の深部体温、のうちの少なくとも1つを測定するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記温度センサは、(a)前記挿入装置に連結されている、(b)第2の装置に連結されている、及び(c)前記挿入装置と前記第2の装置の両方に連結されている、のうちの少なくとも1つの状態である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の装置は、(a)前記挿入装置に隣接して配置されている、(b)前記挿入装置に連結されている、及び(c)前記挿入装置を通して延びるように配置されている、のうちの少なくとも1つの状態である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、(a)前記注入液の温度、(b)前記挿入装置を通る前記注入液の挿入速度、及び(c)前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するようになっており、前記注入液及び血液の混合物の温度の検出及び制御のうちの少なくとも一方を行う請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記温度センサは、血管内で前記温度センサを支持するようになっているワイヤに連結されている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラによって制御され、前記挿入装置を通して前記注入液源から注入液を供給するようになっている、ポンプ及びバルブのうちの一方をさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラによって制御され、前記注入液の温度を制御するようになっている熱交換器をさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記挿入装置がカテーテルである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記カテーテルの周りに配置されるようになっているガイドカテーテルをさらに備えた、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記挿入装置の周りに配置された断熱材をさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ガイドカテーテルは、前記カテーテルと前記ガイドカテーテルの間の断熱環状空間の形成及び寸法増大のうちの少なくとも一方を行うように、第1の小さい外形から第2のより大きい外形まで拡大するようになっている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記出口位置の上流側で前記出口位置に隣接する温度を測定するようになっている前記温度センサは、前記出口位置の上流側約0.2cm〜約5cmに配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラはさらに、前記出口位置の下流側のヘマトクリット値に基づいて、(a)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(b)前記挿入装置を通過する注入液の量、のうちの少なくとも一方を制御するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記コントローラはさらに、患者の基準全身ヘマトクリット値(Hct)及び血液の希釈度(dF)を使用して、(a)血液の希釈度、及び(b)前記出口位置の下流側のヘマトクリット値、のうちの少なくとも一方を算出するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記コントローラはさらに方程式(Hct)*(1−dF)を使用して、(a)前記血液の希釈度、及び(b)前記出口位置の下流側のヘマトクリット値、のうちの少なくとも一方を算出するようになっており、ここで、dF=(注入速度)/(注入速度+X)であり、Xは血液及び注入液混合物中での深部体温での血液量/単位時間であって方程式X=(注入速度*(T−T)/(T−T))で示され、Tは前記出口位置の下流側での血液及び注入液混合物の温度、Tは前記出口位置での及びそれに隣接しての少なくとも一方での前記注入液の温度、Tは前記出口位置に隣接したこの上流側の温度、Tは患者の深部体温である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記温度センサは、
カテーテルの注入液出口位置に対して下流側に位置決めされ、カテーテルが注入液の注入のために患者の血管内に定置された場合に、注入液及び血液の混合物の温度を測定するようになっている第1の温度センサと、
前記出口位置及び該出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方で注入液の温度を測定するようになっている第2の温度センサと、
前記出口位置の上流側で前記出口位置に隣接してカテーテルの外側の温度を測定するようになっている第3の温度センサと、
患者の深部体温を測定するようになっている第4の温度センサと、
を含んでいる、請求項2に記載の装置。
【請求項18】
熱交換器又は注入液ポンプのうちの少なくとも一方をさらに備えた装置であって、
前記コントローラは、前記温度センサから信号を受信し、前記複数の温度センサからの前記信号に応じて熱交換器及びポンプのうちの少なくとも一方を制御するようになっている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記コントローラはさらに、方程式(Hct)*(1−dF)を使用して、(a)前記血液の希釈度、及び(b)前記出口位置の下流側のヘマトクリット値、のうちの少なくとも一方を算出するようになっており、ここで、Hctは患者の基本全身ヘマトクリット値であり、dFは血液の希釈度であって方程式dF=(注入速度)/(注入速度+X)で示され、Xは血液及び注入液混合物中での深部体温での血液量/単位時間であって方程式X=(注入速度*(T−T)/(T−T))で示され、Tは前記第1の温度センサによって測定された温度、Tは前記第2の温度センサによって測定された温度、Tは前記第3の温度センサによって測定された温度、Tは前記第4の温度センサによって測定された温度である、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記出口位置及び前記出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方で、前記注入液の少なくとも1つのパラメータを算出するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記注入液の温度である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記コントローラは、(a)患者の外側の前記注入液の温度、(b)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(c)前記挿入装置の表面積及び熱伝導率、のうちの少なくとも一つを使用して、前記出口位置及び前記出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方で前記注入液の温度を算出するようになっている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
第1の注入液源及び第2の注入液源をさらに備えた装置であって、前記カテーテルは、前記第1の注入液源と流体連通するとともに、前記第2の注入液源と流体連通しており、
前記コントローラは、前記カテーテルを通る前記第1の注入液及び第2の注入液の相対割合の調整により、前記注入液の温度を制御するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記コントローラによって制御され、前記カテーテルを通して前記第1の注入液源からの前記第1の注入液及び前記第2の注入液源からの前記第2の注入液を供給するようになっている少なくとも1つのポンプをさらに備えた、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記コントローラによって制御され、前記第1の注入液の温度を制御するようになっている第1の熱交換器と、前記コントローラによって制御され、前記第2の注入液の温度を制御するようになっている第2の熱交換器と、をさらに備えた、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記コントローラは、血管内の自然血管流量の安定状態に基づいて、(a)前記注入液の温度、(b)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(c)前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
注入液源に流体連通するようになっている挿入装置と、
複数のセンサと、
下流側方向に移動する体液の少なくとも1つのパラメータを示す前記センサからの信号を受信し、前記センサからの信号に基づいて、(a)注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(c)前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するようになっているコントローラと、
を備えた装置であって、
前記センサの少なくとも1つは、前記挿入装置の注入液出口位置に対して下流側に位置決めされており、
前記センサの別の少なくとも1つは、(a)前記出口位置及び前記出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方での前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記出口位置の上流側でかつ前記出口位置に隣接した少なくとも1つのパラメータ、及び(c)患者の深部体温、のうちの少なくとも1つを測定するようになっている装置。
【請求項28】
前記コントローラは、前記体液及び前記注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータの検出及び制御のうちの少なくとも一方を行うために、(a)前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(c)前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するようになっている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記注入液の少なくとも1つのパラメータは、前記体液の少なくとも1つのパラメータに対応する、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記注入液の少なくとも1つのパラメータは、前記体液の少なくとも1つのパラメータと異なる、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
a)下流側方向に挿入装置を通して患者に注入液を注入するステップと、
b)体液の少なくとも1つのパラメータの測定及び算出のうちの少なくとも一方を行うステップと、
c)挿入装置が前記注入液の注入のために患者の血管内に定置されている場合に、前記挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液混合物の少なくとも1つのパラメータに基づいて、及び(a)前記出口位置での前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記出口位置の上流側でかつ前記出口位置に隣接した注入装置外側の少なくとも1つのパラメータ、及び(c)患者の深部体温、のうちの少なくとも1つに基づいて、(i)前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(iii)前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するステップと、
を含む注入方法。
【請求項32】
前記出口位置に対して下流側での前記血液及び注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの目標パラメータと繰り返し比較するステップと、
前記出口位置に対して下流側での前記血液及び注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの目標パラメータより下になった場合に前記挿入装置を通る前記注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を減少させるステップと、
前記出口位置に対して下流側での前記血液及び注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの目標パラメータより上である場合に、前記挿入装置を通る前記注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を増加させるステップと、
をさらに含む、請求項31に記載の注入方法。
【請求項33】
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの所定の最小パラメータと繰り返し比較するステップと、
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの所定の最小パラメータより下になった場合に、前記挿入装置を通る前記注入液の量及び前記注入速度のうちの少なくとも一方を減少させるステップと、
をさらに含む、請求項31に記載の注入方法。
【請求項34】
前記出口位置に対して下流側で前記血液及び注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの目標パラメータと繰り返し比較するステップと、
前記出口位置に対して下流側で前記血液及び注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの目標パラメータを超えた場合に前記挿入装置を通る前記注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を減少させるステップと、
前記出口位置に対して下流側での前記血液及び注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータが少なくとも1つの目標パラメータより下になった場合に、前記挿入装置を通る前記注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を増加させるステップと、
をさらに含む、請求項31に記載の注入方法。
【請求項35】
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの所定の最大パラメータと繰り返し比較するステップと、
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した少なくとも1つのパラメータを少なくとも1つの所定の最大パラメータを超える場合に、前記挿入装置を通る前記注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を減少させるステップと、
をさらに含む、請求項31に記載の注入方法。
【請求項36】
前記制御ステップ(c)は、前記挿入装置が前記注入液の注入のために、患者の血管内に定置された場合に、前記挿入装置の前記注入液出口位置に対して下流側の前記血液及び注入液混合物の温度に基づいて、及び(a)前記出口位置での前記注入液の温度、(b)前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した温度、及び(c)患者の深部体温、のうちの少なくとも1つに基づいて、(i)前記注入液の温度、(ii)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(iii)患者内を通過する注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するステップを含む、請求項31に記載の注入方法。
【請求項37】
温度センサを使用して、(a)前記血液及び注入液混合物の温度、(b)前記出口位置又は前記出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方での前記注入液の温度、(c)前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した前記挿入装置外側の温度、及び(d)前記中核温度、のうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、請求項36に記載の注入方法。
【請求項38】
(a)前記出口位置又は前記出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方での前記注入液の温度、(b)前記挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液の希釈度、及び(c)前記挿入装置の注入液出口位置に対して下流側でのヘマトクリット値、のうちの少なくとも1つを算出するステップをさらに含む、請求項36に記載の注入方法。
【請求項39】
方程式(Hct)*(1−dF)を使用して、前記出口位置の下流側での、血液の希釈度及び混合物ヘマトクリット値を算出するステップであって、
Hctは患者の基本全身ヘマトクリット値であり、dFは血液の希釈度であって方程式dF=(注入速度)/(注入速度+X)で示され、Xは血液及び注入液混合物中での深部体温での血液量/単位時間であって方程式、X=(注入速度*(T−T)/(T−T))で示され、Tは前記出口位置の下流側での前記血液及び注入液混合物の温度であり、Tは前記出口位置での及びこれに隣接した少なくとも一方での注入液の温度であり、Tは前記出口位置に隣接したこの上流側の温度であり、Tは患者の深部体温である、ステップをさらに含む請求項36に記載の注入方法。
【請求項40】
前記出口位置に対して下流側での前記血液及び注入液混合物の温度を目標温度と繰り返し比較するステップと、
前記出口位置に対して下流側での前記血液及び注入液の混合物の温度が目標温度より下である場合、及び目標温度より所定量以上に下である場合、のうちの一方である場合に、前記挿入装置を通る前記注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を減少させるステップと、
前記出口位置に対して下流側での前記血液及び注入液の混合物の温度が目標温度より上である場合に、前記挿入装置を通る前記注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を増加させるステップと、
をさらに含む、請求項36に記載の注入方法。
【請求項41】
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した温度を所定の最小温度と繰り返し比較するステップと、
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した温度が、所定の最小温度より下である場合に、前記挿入装置を通る前記注入液の量及び注入速度の少なくとも一方を減少させるステップと、
をさらに含む、請求項36に記載の注入方法。
【請求項42】
前記所定の最小温度は、前記深部体温に対応する、請求項41に記載の注入方法。
【請求項43】
(i)前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(iii)前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つは制御ステップにおいて制御され、よって前記血液及び注入液混合物を所定の目標温度に到達させる、及び所定の目標温度より下にする、のうちの少なくとも一方を行う、請求項31に記載の注入方法。
【請求項44】
a)挿入装置を通して下流側方向にシステムに注入液を注入するステップと、
b)流体及び気体のうちの少なくとも一方を含む、前記システム内のシステム流体の少なくとも1つのパラメータを測定するステップと、
c)前記挿入装置の注入液出口位置の上流側かつ注入液出口位置に隣接した前記システム流体の少なくとも1つのパラメータに基づいて、(i)前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(iii)前記システム内に入る前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するステップと、
を含む注入方法。
【請求項45】
前記システムは患者であり、前記システム流体は体液である、請求項44に記載の注入方法。
【請求項46】
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した位置は、前記出口位置の上流側約0.2cm〜約5cmまでである、請求項44に記載の注入方法。
【請求項47】
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した少なくとも1つのパラメータを該少なくとも1つのパラメータの所定の最小値と繰り返し比較するステップと、
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した前記少なくとも1つのパラメータが、該少なくとも1つパラメータの所定の最小値より下になった場合に、前記挿入装置を通る注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を減少させるステップと、
をさらに含む、請求項44に記載の注入方法。
【請求項48】
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した少なくとも1つのパラメータを該少なくとも1つのパラメータの所定の最大値と繰り返し比較するステップと、
前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した前記少なくとも1つのパラメータが該少なくとも1つのパラメータの所定の最小値より上になった場合に、前記挿入装置を通る注入液の量及び注入速度のうちの少なくとも一方を減少させるステップと、
をさらに含む、請求項44に記載の注入方法。
【請求項49】
前記体液の少なくとも1つのパラメータは前記体液の温度であり、前記制御ステップ(b)は、前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した前記挿入装置の外側の温度に基づいて、(i)前記注入液の温度、(ii)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(iii)患者に入る前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するステップを含む、請求項44に記載の注入方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの所定の最小パラメータは患者の深部体温に対応する、請求項49に記載の注入方法。
【請求項51】
還流が得られるまで、前記注入液の注入速度を増加させるステップをさらに含む、請求項44に記載の注入方法。
【請求項52】
前記システムは患者であり、前記システム流体は患者の血液であり、前記挿入装置は患者の血管に挿入される方法であって、
還流が得られるまで、前記注入液の注入速度を増加させるステップと、
還流が生じたときの決定に基づいて、(i)血管の自然血管流量、(ii)血管内の血液の希釈係数、(iii)前記血管内の前記血液及び注入液混合物のヘマトクリット値、及び(iv)前記血管内の前記血液及び注入液混合物の温度、のうちの少なくとも1つを算出するステップと、
をさらに含む、請求項44に記載の注入方法。
【請求項53】
前記システムは患者であり、前記システム流体は患者の血液であり、前記挿入装置は患者の血管に挿入される方法であって、
還流が得られるまで、前記注入液の注入速度を増加させるステップと、
前記血管中の自然血管流量を算出するステップと、
前記自然血管流量の安定状態を経時的に監視するステップと、
前記自然血管流量の安定状態の所定の程度を検出した際に、前記患者内への前記注入液の注入を停止する、維持する、及び減少させる、のうちの少なくとも1つを行うステップと、
をさらに含む、請求項44に記載の注入方法。
【請求項54】
a)第1の方向に挿入装置を通してシステム内に注入液を注入するステップであって、前記システムは前記第1の方向にシステム中を流れる流体及び気体のうちの少なくとも一方を有する、ステップと、
b)流体及び気体のうちの前記少なくとも一方の少なくとも1つのパラメータの測定及び算出のうちの少なくとも一方を行うステップと、
c)前記挿入装置が前記注入液の注入のために前記システム内に定置された場合に、前記第1の方向に沿って注入液出口位置から所定の距離を離間した位置で前記注入液と前記流体及び気体の少なくとも一方との混合物の少なくとも1つのパラメータに基づいて、及び(a)前記出口位置での前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記出口位置に隣接して、第1の方向と反対側の第2の方向に沿って前記出口位置から離間された、前記挿入装置の外側における前記少なくとも1つのパラメータ、及び(c)前記システム内の前記流体及び気体のうちの少なくとも一方のパラメータの平均値、のうちの少なくとも1つに基づいて、(i)前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(ii)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(iii)前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するステップと、
を含む注入方法。
【請求項55】
患者に挿入されるようになっており、その長さに沿って連結される1つ又は複数のセンサを有する細長いセンサ支持装置と、
前記センサから信号を受信し、(a)下流側方向に挿入装置を通して患者内に注入した注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記注入液の注入速度、及び(c)前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを、前記挿入装置が前記注入液の注入のために血液の下流で患者の血管内に定置されている間の、前記挿入装置の注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータに基づいて、及び(a)前記出口位置及び前記出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方での注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、及び(c)患者の深部体温、のうちの少なくとも1つに基づいて、制御するようになっているコントローラと、
を備えた装置。
【請求項56】
前記コントローラは、(1)前記挿入装置の前記注入液出口位置に対して下流側の血液及び注入液の混合物の温度、及び(2)(a)前記出口位置及び前記出口位置に隣接した位置のうちの少なくとも一方での前記注入液の温度、(b)前記出口位置の上流側かつ前記出口位置に隣接した前記注入液の温度、及び(c)患者の深部体温、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記注入液の温度を制御するようになっている、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
患者に挿入されるようになっており、その長さに沿って連結される1つ又は複数のセンサを有する細長いセンサ支持装置と、
前記センサから信号を受信するようになっており、第1の位置での血液及び注入液の混合物の少なくとも1つのパラメータに基づいて、(a)第1の方向に挿入装置を通して患者に注入される注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記注入液の注入速度、及び(c)前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するようになっているコントローラであって、前記第1の位置は前記挿入装置上の注入液出口位置に隣接しており、前記第1の方向と反対の第2の方向に沿って前記注入液出口位置から所定の距離を離隔して配置されている、コントローラと、
を備えた装置。
【請求項58】
前記センサは温度センサであり、前記コントローラは、前記センサから温度信号を受信し、前記第1の位置での前記血液及び注入液の混合物の温度に基づいて、(a)前記第1の方向に前記挿入装置を通して患者に注入される前記注入液の温度、(b)前記注入液の注入速度、及び(c)前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するようになっている、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
注入液源と流体連通するようになっており、第1の方向に流れる流体及び気体のうちの少なくとも一方で満たされたシステム内に位置決めされた挿入装置と、
前記挿入装置の内部管腔の外部に配置され、前記第1の方向と反対の第2の方向に沿って前記挿入装置の注入液出口位置から離隔して配置されたセンサと、
前記流体及び気体のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのパラメータを示す信号を前記センサから受信し、前記センサからの前記信号に基づいて、(a)前記注入液の少なくとも1つのパラメータ、(b)前記挿入装置を通る前記注入液の注入速度、及び(c)前記挿入装置を通過する前記注入液の量、のうちの少なくとも1つを制御するようになっているコントローラと、
を備えた装置。
【請求項60】
前記コントローラは、還流が得られるまで前記注入液の注入速度を増加させるようになっている、請求項59に記載の装置。
【請求項61】
前記システムは血液で満たされた患者の脈管構造であり、前記コントローラは、還流を検出し、還流が起こったときの決定に基づいて、(i)前記挿入装置が挿入される血管の自然血管流量、(ii)前記血管内の血液の希釈係数、(iii)前記血管内の前記血液及び注入液の混合物のヘマトクリット値、及び(iv)前記血管内の前記血液及び注入液の混合物の温度、のうちの少なくとも1つを算出するようになっている、請求項59に記載の装置。
【請求項62】
前記システムは血液で満たされた患者の脈管構造であり、前記コントローラは、前記挿入装置が挿入される血管の自然血管流量を算出し、前記自然血管流量の安定状態を監視するようになっている、請求項59に記載の装置。
【請求項63】
前記コントローラは、前記自然血管流量の安定状態を検出した際に、前記患者内への前記注入液の注入を停止する、維持する、及び減少させる、のうちの少なくとも1つを行うようになっている、請求項62に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−521261(P2009−521261A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547246(P2008−547246)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045374
【国際公開番号】WO2007/078463
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(306018457)ザ・トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク (25)
【Fターム(参考)】