説明

血糖降下食品、およびその配合物の製造方法

スナック、健康食品または補助食品として、特に2型糖尿病患者に有用な血糖降下食品およびその配合物ならびに焼いた穀類の濃度が50〜60%であり、焼いた豆果の濃度が6〜12%であり、ダイズの濃度が7〜15%であり、コロハの濃度が2〜6%であり、スパイスミックスの濃度が3〜7%であり、アムラ果肉の濃度が0.5〜2%であり、ガルシニアカンボジア外皮の濃度が1.5〜3%であり、脱脂粉乳の濃度が3〜6%であり、食用油の濃度が2〜6%であり、ビタミンおよびミネラルプレミックスの濃度が1〜3%である組成の、血糖降下食品およびその配合物製品の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スナック、健康食品または補助食品として、特に2型糖尿病の患者にとって有用な低血糖食品、およびその配合物の製造方法であって、トーストされた穀類の濃度が50〜60%;トーストされた豆果の濃度が6〜12%;ダイズの濃度が7〜15%;コロハの濃度が2〜6%;スパイスミックスの濃度が3〜7%;アムラ果肉の濃度が0.5〜2%;ガルシニアカンボジア(Garciniacombogia)外皮の濃度が1.5〜3%;脱脂粉乳の濃度が3〜6%;食用油の濃度が2〜6%;かつビタミンおよびミネラルプレミックスの濃度が1〜3%である組成の血糖降下食品、およびその配合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品に含まれる有用な炭水化物、すなわち糖、デキストリンおよびデンプンは、ヒトの消化管中で主にグルコースの形態で消化吸収されて、続いて血中に入る。血中のグルコース同化に反応して、膵臓はインスリンを放出し、グルコースの代謝を助ける。これにより、特定範囲内の血中グルコースの適正濃度が維持される。健常人においては、インスリン反応によって、十分に血中グルコース濃度が正常範囲に維持されうるが、インスリン反応に異常があると、血中グルコース濃度が過剰になったり(高血糖)、または低くなったり(低血糖)する。高血糖の状態が長く続くと、2型(インスリン非依存性)糖尿病になり、血糖降下剤の定期服用が必要となるが、適切に管理されないと、この状態は1型(インスリン依存性)糖尿病につながる。この生理学的障害は、膵臓のβ細胞の破壊および機能不全、または不十分なインスリン分泌が不十分であったり、もしくは効果のないインスリンが分泌することによっても起こる。
【0003】
高血糖症または2型糖尿病の罹患率は、世界中で驚くほど上昇している。インドでは一般的に人口の5%が、40才を超える人の約8%が2型糖尿病を患っている。生理病理学的異常である真性糖尿病が完治されることはほとんどないが、規則正しい運動と、薬剤および治療食による管理されうる。治療食により糖尿病を管理することは非常に実用的であり、効果的であり、かつ有利である。なぜなら、高血糖症に関連する多くの合併症(例えば老化の加速、ケトアシドーシス、アテローム性動脈硬化、腎症、末梢神経障害、網膜症および傷の治癒の遅れなど)は、血糖を適切に管理することにより抑制されうるからである。2型糖尿病における食事管理の重要性が認識され、医師、栄養士および「糖尿病治療センター」は、糖尿病患者の食事に、より多くの注意を向けている。この視点から科学的研究は、ゆっくりと消化される炭水化物(すなわち複合炭水化物)、血糖を低下させるために十分な食物繊維、ファイトケミカル、酸化防止剤および微量栄養素を含む食品、すなわち血糖降下食品を重要視している。このような食品は、2型糖尿病の血糖反応を制御するのに有用であるだけでなく、健常者の糖尿病のリスクを最小化するのにも有用であろう。
【0004】
複合炭水化物を多く含み、多量の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む脂肪を適正量含み、かつ適正量の必須微量栄養素も含む食事が、2型糖尿病における血糖反応を制御するのに有益であると報告されている。これに関しては、D.J.A.Jenkins and co-wokersが参照される(Metabolic effects of a low-glycemic index diet. American Journal of Clinical Nutrition, vol.46,968-75,1987)。G.Frost and A.Dornhorst(The relevance of the glycemic index to our understanding of dietary carbohydrates. Diabetic Medicine, vol. 17, 336−345, 2000)をも参照すると、低血糖食品成分が2型糖尿病に推奨されているが、それは低血糖食品がグルコースを徐々に放出して、血糖の急上昇を引き起こすことなく、高血糖症に関連するリスクを予防できるためである。
【0005】
したがって、全粒小麦、低精白米または玄米などの繊維に富む穀類、雑穀、穀類豆果および葉菜は、糖尿病患者にとって好ましい治療食成分である(Simin L.,Intakeof refined carbohydrates and whole grain foods in relation to risk of Type II diabetes mellitus and coronary heart disease. Journal of American College of Nutrition, vol. 21, 298-306, 2002)。Madar Z., Abel R., Samish S. and Arad J. (Glucose lowering effect of fenugreek in non−insulin dependent diabetics. European Journal of Clinical Nutrition, vol. 42, 51−54, 1988) は、天然状態のコロハ(Trigonella foenumgraecum)、または加工(発芽、ゆでる、焼く)されたコロハが、血糖反応を制御するのに有益な効果を奏すると報告している。
【0006】
コロハは2つの利点を提供しうる。すなわちコロハは、β細胞を刺激して血中のグルコース同化に対するインスリン反応を解放し、主にガラクトース:マンノースを1:1の比率で含むガラクトマンナンの態様で水溶性食物繊維の供給源となり、それは消化管中の生理学的作用の点で非常に有益である。近年、2型糖尿病の血糖制御に対して、クロム、セレンおよび亜鉛などの微量栄養素が、低血糖食品と相乗的な役割を果たすことが、よく知られている(Anderson, et al., Elevated index of supplemental chromium improves Glucose and insulin variables in individuals with Type II diabetes. Diabetes, vol.46, 1786-91, 1997)。
糖尿病患者用の血糖降下食品に、微量成分のアムラ(Phyllanthus emblica)およびコカム(Garcinia combogia)が取り込まれると、ビタミンC、ヒドロキシルクエン酸(HCA)および食物繊維だけでなく、血糖降下性を有する機能性食品素材とともにファイトケミカルも与える(Clouatre D.およびRosenbaum M.The Diet and health benefits of HCA.KeatsPublishing, コネチカット州、1994年)。一方で、適正な割合でスパイスが取り込まれると、消化器官の病原性ミクロフローラの成長を制御する天然の酸化防止剤となりうる。
【0007】
種々の食品、食品サプリメント、ハーブ配合物、非栄養甘味料および人工甘味料を含む食品が、国内(表1)および海外で低血糖食品として市販されている。従来から知られている消費者に入手可能な特許製品である血糖降下食品の欠点は、それらのほとんどが、その特性、および原料に施された加工について、信頼できる情報を提供していないことである。さらに、特許製品である糖尿病食の炭水化物、タンパク質および脂肪由来のエネルギーは、糖尿病患者に一般的に推奨される範囲にないことが非常に多い。糖尿病患者用の補助食品の他の欠点は、その臨床的な安全性、特に血糖降下指数に関する情報が、単位包装に示されず、食品ラベルの一部としても示されていないことである。
【0008】
したがって、糖尿病のリスクのある者および糖尿病患者が、そのような食品を長期にわたって使用すると、健康上の合併症を悪化させることがある。
従来から知られている糖尿病患者用の配合物の他の欠点は、それらのほとんどが、合成甘味料または非栄養甘味料(non-nutritive sweetners)を含み、長期間服用すると悪性腫瘍が発生することがあり、重要器官の機能不全につながり得ることである(Ralph G., Walton,HudakR. and Ruth Green-Waite, Adverse reactions to Aspartame: Double blind Challenge in patients from a vulnerable population. Biological Psychiatry, vol. 34, 13-17, 1993; Dennis RemingtonおよびBarbara Higa R.D., The bitter truth about artificial sweeteners. Aspartame Consumer Safety Network,テキサス州、1987年)。さらに、血糖降下食品としてではなく、「糖尿病患者用食品」として販売されている配合物は、糖尿病患者に社会心理学的副作用を引き起こしかねず、耐糖能障害のある者または糖尿病になりやすい者は、それを利用しないかもしれない。
【0009】
さらに、それらの多くはファイトケミカルの供給源となるハーブ系製品であり、炭化水素エネルギーを与えず、抗栄養素(anti-nutrients)および毒素を含むこともあり、長期的には消費者に健康被害を引き起こしかねない。本発明者の知る限りでは、そのまま食べられる食品か、または消費するための加工が最小限の食品であって、特に職場または旅行中の糖尿病患者にとって便利な形態な血糖降下食品は、国内で販売されていない。この点に鑑みて、特に2型糖尿病患者にとって完全な食品(total food)、補助食品および食事の代替品として好ましく、健常者の通常の食事としても提供されうる血糖降下食品の製造方法を開発する必要がある。
したがって、低所得者層の消費者を含む貧困者にも利用可能な価格で、糖尿病患者に対して、トータル栄養サポート(total nutritional support)、または補助食品として適切に提供されうる、公知で一般的に利用されうる低血糖食品原料に基づく食品であって、食物繊維、血糖制御剤および微量栄養素などの予防的かつ治療的栄養素をも含む食品を開発することが望まれている。
【0010】
【表1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の主な目的は、自生の食品原料の栄養学的特性を損なうことなく、食品の食感および官能特性を向上させる方法を開発することである。
本発明の他の目的は、従来から知られている血糖降下原料を自然源から適切に取り入れることである。
本発明のさらに他の目的は、個人が選択するレシピが調製されうるように、またはさらに加工されることによって、そのまま食べられる(ready to eat)スナック/食品サプリメント、または食事代替品に調製されるような、便利な形態の血糖降下食品配合物であって、かつその血糖降下性を保持しうる血糖降下食品配合物の調製方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、血糖降下食品配合物または製品を開発することである。
本発明のさらに他の目的は、血糖降下性およびコレステロール低下性食品配合物を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
スナック、健康食品または補助食品として、特に2型糖尿病患者に有用な血糖降下食品およびその配合物であって、トーストされた(toasted)穀類の濃度が50〜60%であり、トーストされた豆果の濃度が6〜12%であり、ダイズの濃度が7〜15%であり、コロハの濃度が2〜6%であり、スパイスミックスの濃度が3〜7%であり、アムラ果肉の濃度が0.5〜2%であり、ガルシニアカンボジア外皮の濃度が1.5〜3%であり、脱脂粉乳の濃度が3〜6%であり、食用油の濃度が2〜6%であり、ビタミンおよびミネラルプレミックスの濃度が1〜3%である組成の血糖降下食品およびその配合物の製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
したがって、スナック、健康食品または補助食品として、特に2型糖尿病患者に有用な血糖降下食品およびその配合物であって、トーストされた穀類の濃度が50〜60%であり、トーストされた豆果の濃度が6〜12%であり、ダイズの濃度が7〜15%であり、コロハの濃度が2〜6%であり、スパイスミックスの濃度が3〜7%であり、アムラ果肉の濃度が0.5〜2%であり、ガルシニアカンボジア外皮の濃度が1.5〜3%であり、脱脂粉乳の濃度が3〜6%であり、食用油の濃度が2〜6%であり、ビタミンおよびミネラルプレミックスの濃度が1〜3%である組成の血糖降下食品およびその配合物の製造方法。
【0014】
本発明の一の実施形態において、スナック、健康食品または補助食品として、特に2型糖尿病患者に有用な血糖降下食品およびその配合物の製造方法は、以下の工程を含む:
・約2〜6%の水を、穀類に噴霧して付加する工程
・水噴霧された穀類を5〜15分間、捏ねるか、または放置する工程
・捏ねられるか、または放置された穀類を、約2〜4%の剥皮度に研磨または剥皮する工程
・剥皮された穀類それぞれを、任意に豆果、ソイダル、スパイスおよび香辛料とともに、10〜30分間、約60〜80℃の熱と接触させてトーストして(toasting)、赤茶色の穀類を得る工程
・トーストされた穀類に、任意に豆果、ソイダル、スパイス、香辛料およびコロハ種子を加えて、血糖降下ブレンドを得る工程
・乾燥ガルシニアカンボジア(Garcinia combogia)外皮を、血糖降下ブレンドとともに粉砕し、約350ミクロン以下の粒径の粒子として、粉砕混合物を得る工程
・粉砕混合物を、脱脂粉乳、植物油、アムラパウダーと混合して、混合物を得る工程
・混合物を、ビタミンおよびミネラルプレミックスで栄養強化して(fortification)、栄養強化物を得る工程
・栄養強化物を、従来の食品材料と均質化して、スナック、健康食品または補助食品として、特に2型糖尿病患者に有用な血糖降下食品およびその配合物を得る工程
【0015】
本発明のさらに他の実施形態において、穀類の研磨により、種皮の最外層を分離する。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態において、研磨された穀類をトーストすることにより、芳香を発生させる。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態において、配合物は50〜60g%の炭化水素、12〜17g%のタンパク質、4〜9g%の脂質、12〜20g%の食物繊維、ビタミンおよびミネラルを含む。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態において、下ごしらえがされている(ready-to-cook)配合物は、押出調理、ローラー乾燥、スプレー乾燥または他の手段によってさらに加工されて、健常者および糖尿病患者にとって便利な、そのまま食べられる(ready-to-eat)製品に調製される。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態において、トーストされた穀類の濃度が50〜60%であり、トーストされた豆果の濃度が6〜12%であり、ダイズの濃度が7〜15%であり、コロハの濃度が2〜6%であり、スパイスミックスの濃度が3〜7%であり、アムラ果肉の濃度が0.5〜2%であり、ガルシニアカンボジア外皮の濃度が1.5〜3%であり、脱脂粉乳の濃度が3〜6%であり、食用油の濃度が2〜6%であり、ビタミンおよびミネラルプレミックスの濃度が1〜3%である。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態において、配合物は、通常の食品添加物と共に消費されても、その血糖降下特性を維持する。
【0021】
本発明のさらに他の実施形態において、そのまま食べられる押出調理された食品は、粒子、フレーク、ロール、スティック状にされ、一方、ローラー乾燥およびスプレー乾燥された食品は粒状化される。さらに得られた生産物は、食用果物パウダー、野菜パウダー、香味料およびその他の品質向上剤によりコーティングされて、血糖低下性を損なうことなく、その官能特性が向上されうる。
【0022】
本発明のさらに他の実施形態において、特に糖尿病患者にとって健康食品または補助食品として有用な血糖降下食品を製造する方法は、本願明細書の実施例に実質的に記載されている。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態において、穀類は、穀類剥皮機、もみすり機または穀類精白機により剥皮される。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態において、トースト(toasting)は、穀類焙焼機もしくは熱風穀類乾燥機、またはIRヒーターを含む任意の食品用トースト装置または機械で行われる。
【0025】
本発明のさらに他の実施形態において、前記食品100g中には1〜3gのプレミックスが含まれ、前記食品の推奨食事用量中に、血糖降下ブレンドおよびキャリアとしての小麦または他の豆果が、それらの必要量が含まれるような比率で、前記プレミックに微粉化製品とともに、血糖降下ブレンド、およびキャリアとしての小麦または他の豆果が含まれる。
【0026】
本発明のさらに他の実施形態において、粉砕は、ハンマーミルまたは他の種類の穀類ミルにより行われる。
【0027】
本発明のさらに他の実施形態において、プレミックスには、薬剤グレードのビタミンA、D、B1、B2、B6、B12、B6、C、E、ならびにクロム、セレン、亜鉛、ビオチン、パントテン酸、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンおよび銅を含むミネラルが含まれる。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態において、下ごしらえがされている配合物の水分レベルを14〜20%に平衡化する工程、および150〜200rpmかつ120〜150℃に保たれた1軸または2軸押出調理機での押出し加工する工程;あるいは下ごしらえされている配合物を、飲料水と混合して固形分濃度を10〜15%(w/v)とする工程、沸騰するまで加熱する工程、均質化する工程、およびスラリーをローラー乾燥またはスプレー乾燥する工程を含む。
【0029】
本発明のさらに他の実施形態において、下ごしらえがされている食品およびそのまま食べられる食品は、その調理方法および消費形態にかかわらず、グリセミックインデックス値100を有する白パンを標準として、55〜75のグリセミックインデックス値を有し、穏やかな血糖反応を示す血糖降下食品に分類される。
【0030】
本発明のさらに他の実施形態において、下ごしらえがされている配合物は、その血糖降下特性を維持したまま、様々な地域および年齢群の人々の味覚および好みにあわせて広範囲の従来食品の調製を可能にする。
【0031】
本発明のさらに他の実施形態においては、血糖降下食品および配合物製品である。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態において、血糖降下食品およびその配合物は、トーストされた穀類の濃度が50〜60%であり、トーストされた豆果の濃度が6〜12%であり、ダイズの濃度が7〜15%であり、コロハの濃度が2〜6%であり、スパイスミックスの濃度が3〜7%であり、アムラ果肉の濃度が0.5〜2%であり、ガルシニアカンボジア外皮の濃度が1.5〜3%であり、脱脂粉乳の濃度が3〜6%であり、食用油の濃度が2〜6%であり、ビタミンおよびミネラルプレミックスの濃度が1〜3%の組成を有する。
【0033】
本発明のさらに他の実施形態において、前記食品は12〜18%の水分含量を有する。
【0034】
本発明のさらに他の実施形態において、前記食品は、下ごしらえがされている食品であるか、そのまま食べられる食品のいずれでもよい。
【0035】
本発明のさらに他の実施形態において、前記食品は穀類、食物繊維および豆果の組成に柔軟性がある。
【0036】
本発明のさらに他の実施形態において、配合物は50〜60g%の炭水化物、12〜17g%のタンパク質、4〜9g%の脂質、12〜20g%の食物繊維、ビタミンおよびミネラルを有する。
【0037】
本発明のさらに他の実施形態において、前記スパイスおよび香辛料は、ガラクトースとマンノースの比率が約1:1である水溶性繊維の供給源である。
【0038】
本発明のさらに他の実施形態において、スパイスミックスが官能特性を向上させる。
【0039】
本発明のさらに他の実施形態において、前記食品の成分が相乗作用を奏し、水溶性繊維および不溶性繊維を望ましい比率で提供する。
【0040】
本発明のさらに他の実施形態において、前記食品は非毒性かつ滋養性である。
【0041】
本発明のさらに他の実施形態において、前記食品は、プレバイオティクス(pre-biotics)およびプロバイオティクス(pro-biotics)特性、抗発ガン性、免疫原性および抗肥満特性を示す。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態において、血糖降下活性はアムラ(amla)およびコロハ(fenugreek)に起因する。
【0043】
本発明は、特に2型糖尿病患者すなわちインスリン非依存性糖尿病患者にとって、完全な食品または食品サプリメントとして有用な、血糖降下食品およびその配合物の調製方法に関する。
【0044】
したがって本発明は、完全な食品または食品サプリメントとして、2型糖尿病患者にとってより好適な血糖降下食品およびその配合物を調製する方法を提供するが、前記方法は以下の工程を含む:
a.小麦、モロコシおよび雑穀またはその他の穀類を公知の方法で研磨して、種皮の粗最外層を除去して分離する工程;
b.研磨された小麦および他の穀類、豆類、外皮を剥いて割られたダイズ、ならびにスパイスおよび香辛料の数種類を、穀類焙焼機または他の装置中で、好ましくは望ましい芳香が発生するまで、熱と接触させることによってトーストする工程;
c.トーストされた原料を適切な比率で混合して、12〜14%のタンパク質、および14〜19%の食物繊維、ならびにタンパク質、脂肪および炭水化物から発生するエネルギーを糖尿病患者に推薦される割合で提供するブレンドを作製し、前記ブレンドをプレートグラインダー、ハンマーミルまたは他の破砕機械により微細化し、粒径が1.0mm未満の粒子にする工程;
d.ガルシニアカンボジア(Garcinia combogia)外皮を、トーストされた穀類、豆類、ダイズ、スパイスおよび香辛料を粉砕することにより調製された粉末化ブレンドの一部とともに、粒径が350ミクロン未満の粒子に微細化する工程;
e.前記ブレンドを、脱脂粉乳、食用油、ウコン粉末、阿魏粉末、アムラ粉末およびビタミンならびにミネラルと混合して、下ごしらえがされている簡便な血糖降下食品とする工程;
f.工程eにより調製された下ごしらえがされた配合物を、押出調理、ローラー乾燥またはスプレー乾燥して、特に2型糖尿病患者に好適な、そのまま食べられる食品とする工程。
【0045】
本発明のある実施形態において、精白小麦、モロコシおよび雑穀に、2〜6%(体積/重量)の水を追加噴霧してよく混合し、それを5〜15分間、捏ねるかもしくは放置して、さらに穀類剥皮機、もみすり機または穀類精白機で、2〜4%の剥皮度に研磨または剥皮する。
【0046】
本発明の他の実施形態において、剥皮された穀類、剥皮および割られた豆果、ならびにダイズをそれぞれ、電気、ガスまたは蒸気または他の熱源により加熱される穀類焙焼機もしくは機械式乾燥機またはその他の装置中で熱と接触させてトーストする。ここで穀類の処理温度は60〜80℃で、処理時間は15〜30分間である。
【0047】
本発明のさらに他の実施形態において、血糖降下ブレンドまたは血糖降下穀粉のいずれかをフィラーとする場合には、ミネラル(食品グレードもしくは薬剤グレードのビタミンおよびクロムおよび亜鉛などの糖尿病に特に重要なミネラルなど)を含むプレミックスを、食品100g中に1〜3g混合すれば、推奨される食事量によりビタミンおよびミネラルの要求量の100%が満たされるように調製することができる。
【0048】
本発明のさらに他の実施形態において、1〜3gの乾燥ガルシニアカンボジア外皮は、10〜15gの血糖降下ブレンドまたは血糖降下穀粉のいずれかと混合されて、さらに任意の粉砕機によって粒径350ミクロン未満の粒子に微粉化される。
【0049】
本発明のさらに他の実施形態において、50〜60%の研磨およびトーストされた小麦または雑穀を含む他の穀類、6〜12%の豆果、7〜15%のダイズ、2〜6%のコロハ、ならびに3〜7%のスパイスおよび香辛料を合わせて、適切な粉砕機中で微粉化する。得られた微粉を、0.5〜2%のアムラ果肉粉末、2〜5%のガルシニアカンボジアミックス、3〜6%の脱脂粉乳、3〜6%の豊富な高度不飽和脂肪酸を含む食用油と混合して、1〜3%のビタミンおよびミネラルプレミックスにより栄養強化し、下ごしらえがされている血糖降下食品を調製する。
【0050】
本発明のさらに他の実施形態において、このように調製された食品を、深みがあるか、もしくはあっさりとしたポリッジ、ウプマ、チャパティ、ドサおよびその他のレシピとして、2型糖尿病患者を含む消費者が望むように調理することができ、かつ望む方法により調理することができる。
【0051】
本発明のさらに他の実施形態において、下ごしらえがされている食品を、適切な方法により水分含量12〜18%に平衡化して、それを一軸または二軸食品押出機(150〜200バレルrpm、120〜150℃のバレル温度)で押出調理し、ロール、フレーク、粒子の形態、または所望の大きさおよび形状の、そのまま食べられる食品に調製してもよい。
【0052】
本発明のさらに他の実施形態において、下ごしらえがされている食品の水性スラリー(10〜15%w/v)を沸騰するまで加熱して均質化する。これを回転式乾燥機のシングルロールもしくはダブルロールまたはスプレー乾燥機で乾燥して、ポリッジ、スープまたはペーストの形態でより好ましく用いられる、そのまま食べられる食品を調製する。
【0053】
本発明のさらに他の実施形態において、そのまま食べられる血糖降下食品は、スナック、食品サプリメント、食事代替品としてそのまま提供されてもよく、または従来の非糖添加物と組み合わせて提供されてもよい。
【0054】
本発明を、その特定の実施形態に沿って詳細に説明するが、これと機能的に同様なバリエーションは本発明の範囲に含まれる。事実、本願明細書に記載されて明示されている態様以外に、本発明に種々の態様があることは、前述の記載から当業者に明らかであろう。そのような態様も、本発明の範囲および添付する特許請求の範囲に含まれると意図される。
【0055】
本方法の新規な特徴は、広範囲の穀類、すなわち小麦、モロコシ、雑穀、コメ、大麦、オート麦および種粒ヒユ(amaranthus)などの擬穀類を利用して、食用炭水化物および食物繊維の大部分を提供できることである。
そして種々の豆類、すなわちヒヨコマメ、キマメ、緑豆、ブラックグラムおよび他の豆類が、リシンに富んだタンパク質食品源として提供される。豆類のタンパク質は穀類のタンパク質と補完しあって、栄養的にバランスのとれた食品を形成する。ダイズはタンパク質、非デンプン性多糖類の供給源となり、かつ豊富なω−6脂肪酸を含む油も与える。
【0056】
スパイスおよび香辛料(特にコロハ)は、血糖低下特性およびコレステロール低下特性を発揮する、ガラクトースとマンノースの比が1:1である水溶性繊維の理想的な供給源と考えられるガラクトマンナンを与え、さらに膵臓のb−細胞によるインスリン分泌を刺激するアミノ酸である4−ヒドロキシイソロイシンを与える。スパイス混合物は、食品の繊維および微量栄養素含量を補うだけでなく、消化管中の病原性ミクロフローラ(microflora)を制御し、さらに官能特性を向上させる。モノ不飽和脂肪酸と高度不飽和脂肪酸を好ましい比率で含む植物油を混合することにより、脂質カロリーが提供されるほかに、細胞膜の正常な無傷性および機能を刺激する。
【0057】
本方法の他の新しい特徴は、穀類、豆果、スパイスおよび香辛料が、栄養補助性および微量栄養素を含む多くのファイトケミカルで食品を強化するだけでなく、相乗効果を発揮して望ましい比率で水溶性繊維および不溶性繊維を提供することである。前述した方法により調製される製品の特別な特徴は、2型糖尿病患者および健常者の体の機能の通常の成長および維持に必須である栄養成分の全てを提供することである。本発明の食品は、炭水化物から約60%のエネルギーを、タンパク質から15%のエネルギーを、脂質から25%のエネルギーを得るが、これは糖尿病患者のための国内および国際アドバイザリー(National and International advisory bodies for diabetics)の推奨と一致する。
【0058】
すべての原料が天然食品の分類に含まれ、かつ確立された食品加工方法に従って加工されているので、加工中に毒物または栄養吸収阻害剤が形成する可能性がほぼ除外される。一方、前記原料は相乗的な栄養上および健康上の利点を有しうる。
本方法の最大の利点は、原料の選択および加工に関して柔軟性があること、様々な味覚にあうように特定のレシピの食品に利用されうること、旅行中や職場などで必要とされるスナック、食事代替品および食品サプリメントなどのそのまま食べられる簡便な形態の食品でありうること、ならびに個人の選択によって朝食、昼食もしくは夕食または一日のうちのいつでも提供されうることである。もっとも、健康上の利点を得るためには、少なくとも本発明の食品100gを摂取することが好ましい。
本発明の食品の原料は、国内全域で任意の季節に容易に入手され、押出調理、ローラー乾燥、またはスプレー乾燥の施設は国内のほぼ全域に存在するので、下ごしらえがされた血糖降下食品、またはそのまま食べられる血糖降下食品を調製する施設の確保は困難な問題とはならない。
【0059】
本方法の新規な点は、その簡潔性、家庭規模から工業規模までの適応性、ならびに健常者用のみならず1型および2型糖尿病患者用食品への適合性にある。前記食品の原料の一部は、そのプレバイオティクス(prebiotics)およびプロバイオティクス(probiotics)特性、ならびに抗発ガン性、免疫原性および抗肥満特性を従来から知られており、そのため血糖降下特性に加えて、その他の健康上の有益な特質を与えうる。さらに、コロハおよびアムラなどの伝統的によく知られた血糖降下成分には、実証された抗糖尿病特性があるので、糖尿病患者には前記食品が抵抗なく受け入れられるであろう。前記原料の加工は環境に対する負荷が低く、化学的処理または健康被害を引き起こす処理を全く含まず、廃液または環境問題を生じさせない。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0061】
[実施例1]
50kgの小麦に1.5Lの飲料水を噴霧し、10分間こねて、もみすり機で剥皮度2.5%に研磨した。研磨された小麦を、その色が赤茶色になるまで穀類焙焼機で70℃でトーストした。2kgのベンガルグラムダル、1.5kgのブラックグラムダル、1.5kgのグリーングラムダル、6kgの皮を剥いたソイダル、および3kgのコロハ種子、1kgのコショウ、1kgのクミンシードおよび0.2kgのシナモンの各原料をそれぞれ、穀類焙焼機中で、特徴的な好ましい芳香を発生させるまで、約80℃の熱と接触させてトーストした。
次に、これらのトーストされた原料のうち、30kgの小麦、1.5kgのベンガルグラムダル、1kgのブラックグラムダル、1kgのグリーングラムダル、5kgのソイダル、2.5kgのコロハ種子、0.75kgのコショウ、0.5kgのクミンシード、および0.15kgのシナモンを十分に混合して、それに1kgの乾燥ガルシニアカンボジア外皮を加えた。得られたブレンドを、プレートミルで350ミクロン未満の粒子の粗挽き粉に微粉化した。
【0062】
微粉化された混合物に、0.05kgのアサフェティーダ(asafoetida)粉末、0.15kgのウコン粉末、0.5kgのアムラ果肉粉末、2.5kgの脱脂粉乳、1.25kgの食卓塩、および2kgの植物油(saffola brand)を加えてよく混合した。
これに、50,00,000IUのビタミンA(酢酸塩として)、5,00,000IUのビタミンD(コレカルシフェロールとして)、5.0gのビタミンB1(硝酸チアミンとして)、5gのビタミンB2(リボフラビン)、1.5gのビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩として)、7.5mgのビタミンB12(シアノコバラミン)、50gのビタミンB3(ニコチンアミド)、75gのビタミンC(アスコルビン酸)、12.5gのビタミンE(α酢酸トコフェロールとして)、125mgのビオチン、および8.15gのパントテン酸(パントテン酸カルシウムとして)、ならびに64.5gのカルシウム(リン酸カルシウムとして)、30gのマグネシウム(酸化マグネシウムとして)、16.0gの鉄(硫酸第一鉄として)、1.02gのマンガン(硫酸マンガンとして)、1.7gの銅(硫酸銅として)、1.1gの亜鉛(硫酸亜鉛として)、12.5mgのクロム(ピコリン酸塩として)を混合して調製した1.0kgのビタミンおよびミネラルプレミックスを、1kgのブレンドに加えてよく混合し、均質化された食品とした。
【0063】
このように調製された食品は、14.5%のタンパク質、7.9%の脂肪、55.6%の消化吸収される炭水化物、および18.2%の食物繊維を含み、この食品の100gには、成人の1日あたりの要求量を満たすのに、十分な量の必須ビタミンおよびミネラルを含んでいた(表2)。
得られた食品(下ごしらえ済み、RTC)は、チャパティ、イドリ、ウプマ、ドサおよびポンガルなどの、種々の従来の製品の調製に好適であった。
得られた食品の食感および舌触りは、従来の原料から調製したものと同様であった。
主に食品に含まれるコロハによる苦味が除去されずに残ったが、得られた食品は1型および2型糖尿病患者を含む全区分の人々に受け入れられた。
【0064】
[実施例2]
剥皮された50kgのシコクビエ(Malleshi, N.G., A process for preparation of decorticated finger millet. インド国特許出願第69/DEL/2002、2002年、により開発された方法に従って調製した)を、穀類焙焼機中で、50℃でトーストした。2kgのベンガルグラムダル、1.5kgのブラックグラムダル、1.5kgのグリーングラムダル、6kgの皮をとったソイダルおよび3kgのコロハ種子、1kgのコショウ、1kgのクミンシード、および0.2kgのシナモンの各原料をそれぞれ、穀類焙焼機中で、特徴的な望ましい芳香が生じるまで、約80℃の熱と接触させてトーストした。
次いで、これらのトーストされた原料のうち、30kgの小麦、1.5kgのベンガルグラムダル、1kgのブラックグラムダル、1kgのグリーングラムダル、5kgのソイダル、2.5kgのコロハ種子、0.75kgのコショウ、0.5kgのクミンシード、および0.15kgのシナモンをよく混合し、得られた混合物に1kgの乾燥ガルシニアカンボジア外皮を加えた。ブレンドを、プレートミルで350ミクロン未満の粒径の粗挽き粉に微粉化した。
【0065】
微粉化された混合物に、0.05kgのアサフェティーダ(asafoetida)粉末、0.15kgのウコン粉末、0.5kgのアムラ果肉粉末、2.5kgの脱脂粉乳、1.25kgの食卓塩、および2kgの植物油(saffola brand)を加えてよく混合した。
【0066】
これに、50,00,000IUのビタミンA(酢酸塩として)、5,00,000IUのビタミンD(コレカルシフェロールとして)、5.0gのビタミンB1(硝酸チアミンとして)、5gのビタミンB2(リボフラビン)、1.5gのビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩として)、7.5mgのビタミンB12(シアノコバラミン)、50gのビタミンB3(ニコチンアミド)、75gのビタミンC(アスコルビン酸)、12.5gのビタミンE(α酢酸トコフェロールとして)、125mgのビオチンおよび8.15gのパントテン酸(パントテン酸カルシウムとして)、および64.5gのカルシウム(リン酸カルシウムとして)、30gのマグネシウム(酸化マグネシウムとして)、16.0gの鉄(硫酸第一鉄として)、1.02gのマンガン(硫酸マンガンとして)、1.7gの銅(硫酸銅として)、1.1gの亜鉛(硫酸亜鉛として)、12.5mgのクロム(ピコリン酸塩として)を混合して調製した1.0kgのビタミンおよびミネラルプレミックスを、1kgのブレンドに加えてよく混合し、均質物を形成して均質化された食品とした。
【0067】
このように調製された食品は、14.5%のタンパク質、7.5%の脂肪、60.7%の消化吸収される炭水化物および13.6%の食物繊維を含んでおり、この食品100gには、成人の1日あたりの要求量を満たすのに十分な、必須ビタミンおよびミネラルを含んでいた(表2)。
【0068】
前記調製された食品(下ごしらえされている、Ready-to-Cook)は、チャパティ、イドリ、ウプマ、ドサおよびポンガルなどの、従来の種々の製品を調製するために好適であった。得られた製品の食感および舌触りは、従来の原料から調製したものと同様であり、1型および2型糖尿病患者を含む全区分の人々に受け入れられた。主に食品に含まれるコロハによる苦味が除去されずに残った。
【0069】
[実施例3]
実施例1および2と同様にして、小麦およびシコクビエを原料とする下ごしらえがされている配合物(それぞれ50kg)を調製し、それぞれに所定量の水を噴霧し、水分含量を18.0%とした。さらにタンブルミキサー中でよく混合して、密閉容器中で約24時間平衡化させ、100kg/時間で一軸押出機中(200rpmおよび140℃のバレル温度)に供給して調理した。押出物を、押出機の出口でチーズロール程度の大きさに機械的に切断し、機械式乾燥機中で水分含量3%になるまで乾燥した。
【0070】
得られた押出物の、膨張比、色、外観、硬度および官能品質を評価した。ぱりっとした食感(crisp texture)で明るい茶色の製品は、そのまま食べられる(ready-to-eat)食品サプリメント、食品添加物、スナックとして、糖尿病患者および健常者に容易に受け入れられた。下ごしらえがされている食品、およびそのまま食べられる食品の色を、Hunterlab測色システムで測定し、一方、押出物に対する押出機オリフィスの直径の比率を膨張比とした。硬度は、食品テクスチュロメーター(food texturometer)で測定し、溶解指数および膨張力は標準的な手法に従って測定した。
【0071】
45メッシュ(BSS)に微粉化された食品を、飲料水中に均一に分散した(10%w/v)。分散液の冷ペースト粘度を、ブルックフィールド粘度計(Brookfield)で測定した。前記サンプルを沸騰するまで加熱したのち、室温まで冷却して(30±2℃)、調理済みペースト粘度を測定した。
【0072】
【表2】

【0073】
[実施例4]
実施例1および2と同様にして調製された、小麦およびシコクビエを原料とする下ごしらえがされている配合物(それぞれ10kg)をそれぞれ、5Lの飲料水と混合した。得られた混合物を、時折攪拌しながら蒸気式ケトル中で沸騰するまで加熱した。小麦およびシコクビエを原料とする食品から得られた調理済みスラリーをそれぞれ、コロイドミルで均質化した。シコクビエおよび小麦を原料とする配合物から得られたスラリーそれぞれのほぼ半分を、ツインドラムローラードライヤー(内部蒸気圧2kg/cm;回転速度4rpm)(直径350mmおよび長さ600mm;Esches wyrs, Rakens berg, FRG)で乾燥した。ウェハースとして回収された生成物を、機械式乾燥機中60℃でさらに乾燥し、乾燥物をアペックス粉砕ミル(Apex comminuting mill)で微細化して穀粉とした。
【0074】
一方、シコクビエおよび小麦を原料とする配合物から得られたスラリーそれぞれの、残りの半分を、パイロットスケールのスプレードライヤー(入口温度150℃、チャンバー温度90℃)でスプレー乾燥した。乾燥された材料を、調湿チャンバー(controlled humidity chamber)に回収して密閉容器にて保存した。
【0075】
ローラー乾燥食品およびスプレー乾燥食品はいずれも、水または牛乳と混合されると、なめらかな粘性を持つペーストを形成し、健常者ならびに年かさの子ども(older infants)および高齢者を含む糖尿病患者に容易に受け入れられた。
【0076】
[実施例5]
食品の血糖反応または血糖降下特性を評価するため、小麦およびシコクビエを原料とする、下ごしらえがされている食品およびそのまま食べられる食品(押出物)のグリセミックインデックスを、25〜50才の年齢群の健常被験者で測定した。世界的に使用されているガイドラインに準じて、有名な製造会社の精白小麦パンをコントロールとした。一晩断食した後の被験者に、消化吸収される炭水化物50gに相当する試験食品を与えた。各被験者について、約5日間の間隔をあけて2回の試験を行った。
【0077】
国際的に承認されているプロトコール(Wolever, T.M.S., Jenkins, D.J.A., The use of the glycemic index in predicting the blood glucose response to mixed meals, American Journal of Clinical Nutrition, vol. 43, 167−172, 1986)に準じて、空腹時の血糖値、ならびに食品摂取後15分、30分、45分、60分、90分、120分および150分の血糖値の変化を、Accutrendグルコースセンサー(Roche Diagnostics Corporation, Indianapolis, IN, USA)を用いて、フィンガープリック法(finger prick method)により記録した。グリセミックインデックス(GI)は以下のとおり計算された。GI値を表3に示す。
【0078】
GI=
(試験食品のグルコース曲線下の積分面積)/(標準グルコースのグルコース曲線下の積分面積)×100
【0079】
【表3】

【0080】
本発明の主な利点
1.穀類を慎重に剥皮することにより、水溶性繊維、ファイトケミカルおよび他の栄養素を豊富に含むアリューロン組織を大きく損なうことなく、種皮の最外部を分離して、除去することができる。この工程により、穀類に付着した汚染物質が除去され、さらに最終製品の官能特性が向上される。
【0081】
2.原料を穏やかにトーストすることにより、穀類タンパク質およびデンプンを部分的に変性させて、粘着性を低下させる。そうでなければ、食品製品に粘り気を与え、官能特性が悪影響を受けることがある。トーストすることにより、好ましい芳香が生じて、舌触りも改善される。一方、豆果およびダイズを焼くと、望ましい芳香が生じ、トリプシンおよびヘモグルタニン阻害剤活性などの栄養吸収阻害因子の濃度が低下する。
【0082】
3.穀類、豆果、スパイスおよび香辛料を混合すると、各原料が相補的かつ相乗的に、栄養上の利点および健康上の利点を発揮する。穀類は複合炭水化物を提供するが、豆果は食品のタンパク質含量に寄与するだけでなく、穀類の必須アミノ酸を補い、食品タンパク質の全体的な生物学的価値を向上させる。穀類、豆果、スパイスおよび香辛料を混合すると、食品中のファイトケミカル、微量栄養素および食物繊維の含量が増加する。ダイズは、タンパク質、多糖類およびω−6脂肪酸で食品を栄養強化する。それぞれのスパイス、すなわちウコン(turmeric)は、抗菌性および抗発ガン性を与え、コロハはガラクトマンナンにより血糖降下特性を与え、4−ヒドロキシイソロイシンによりインスリン分泌をも刺激し、ガルシニアカンボジアは満腹感を引き起こすヒドロキシクエン酸を供給し、アムラはインスリン刺激剤として作用し、熱安定性ビタミンCの供給源ともなる。このようにスパイスは、食品の官能特性を向上させ、さらに相乗的な健康上の利点を与える。
【0083】
必須ビタミンおよびミネラルで栄養強化された食品は、これらの保護的栄養分の1日あたりの要求量を、消費者に供給することができる。この点で本発明の食品配合物は、健康上の栄養分を提供するだけでなく、2型糖尿病患者の血糖レベルおよびインスリン反応の制御をも助ける。本発明の他の利点は、原料が国内のほぼ全域で自生しており、一般的に低価格であるので、家庭または地域社会レベルで加工されて下ごしらえ済みの食品に調製されうる。これにより、貧困者により受け入れられる形態の食品から種々のレシピを調製することが容易になる。一方でそのまま食べられる食品は、糖尿病患者用の簡便な食事、食事代替品またはスナックにもなりうる。
【0084】
さらに、それぞれの原料は、慣習的に食事成分として使用されつつあるので、それらの消費の安全性はよく確立されている。いずれの原料も、毒性成分または健康被害を与える成分を引き出しかねない化学処理または他の手段による処理を受けない。よって本発明の食品は、全ての年齢による消費者に対して安全であろう。
【0085】
4.本願方法は、原料の組成を自由に変更することができ、血糖降下特性を大きく損なうことなく、様々な民族の味覚に合わせることができる。本願食品は低カロリーで繊維含量が高いので、国内および国際レベルの両方で、肥満者にとっても有用であろう。
【0086】
本発明の下ごしらえされている配合物は、最終消費者に異なる種類のレシピを調製するための手段を与える。さらに、ブレンドに二次的な加工を施すことによって、スナック、サプリメントまたは健康食品として、旅行中を含む一日のいつでも、糖尿病患者に利用され、そのまま食べられる簡便な食品が調製され得る。
【0087】
5.加工は主として乾式処理なので、加工中の微生物汚染は最小限である。下ごしらえされている食品は調理中に熱処理されるが、そのまま食べられる配合物は、押出調理、ローラー乾燥またはスプレー乾燥により、微生物学的に安全にされる。
【0088】
6.試験生産物の成功、すなわち受け容れられやすく、かつグリセミックインデックスが低いことは、本方法の栄養学的な実現可能性、技術的な実現可能性および経済的な実現可能性を示し、かつ血糖降下食品としての適合性を示している。
【0089】
本発明の食品は、加工費用が最低限であるので、貧困者にも購入可能な価格で、簡便な形態で提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】下ごしらえがされている血糖降下食品、およびそのまま食べられる血糖降下食品の調製のフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スナック、健康食品または補助食品として、特に2型糖尿病患者に有用であって、高度な食感および官能特性を有し、相乗的な効果を奏する血糖降下食品およびその配合物を簡便に製造する方法であって、
a.約2〜6%(重量/体積)の水を穀類中に噴霧する工程
b.水噴霧された穀類を5〜15分間、捏ねるか、または放置する工程
c.捏ねられるか、または放置された穀類を、約2〜4%の剥皮度に研磨または剥皮する工程
d.剥皮された穀類それぞれを、任意に豆果、ソイダル、スパイスおよび香辛料とともに、10〜30分間、約60〜80℃の熱と接触させてトーストして、赤茶色の穀類を得る工程
e.トーストされた穀類に、任意に豆果、ソイダル、スパイス、香辛料およびコロハ種子を加えて、血糖降下ブレンドを得る工程
f.乾燥ガルシニアカンボジア外皮を、血糖降下ブレンドとともに粉砕し、約350ミクロン以下の粒径の粒子にし、粉砕混合物を得る工程
g.粉砕混合物を、脱脂粉乳、植物油、アムラパウダーと混合し、混合製品を得る工程
h.混合製品を、ビタミンおよびミネラルプレミックスで栄養強化し、栄養強化製品を得る工程、ならびに
i.栄養強化製品を、従来の食品材料と均質化して、スナック、健康食品または補助食品として、特に2型糖尿病患者に有用な血糖降下食品およびその配合物を得る工程
を含む方法。
【請求項2】
穀類の研磨により種子の最外層が分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
研磨された穀類のトーストにより芳香が発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記配合物は、50〜60g%の炭化水素、12〜17g%のタンパク質、4〜9g%の脂質、12〜20g%の食物繊維、ビタミンおよびミネラルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
下ごしらえがされている配合物が、押出調理、ローラー乾燥、スプレー乾燥または他の手段によりさらに加工されて、健常者ならびに糖尿病患者にとって簡便な食品である、そのまま食べられる製品に調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
トーストされた穀類の濃度が50〜60%であり、焼いた豆果の濃度が6〜12%であり、ダイズの濃度が7〜15%であり、コロハの濃度が2〜6%であり、スパイスミックスの濃度が3〜7%であり、アムラ果肉の濃度が0.5〜2%であり、ガルシニアカンボジア外皮の濃度が1.5〜3%であり、脱脂粉乳の濃度が3〜6%であり、食用油の濃度が2〜6%であり、ビタミンおよびミネラルプレミックスの濃度が1〜3%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記配合物は、通常の食品添加物とともに消費されたときに、その血糖降下性を維持している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
そのまま食べられる押出調理された食品は、粒子、フレーク、ロール、スティック状にされ、またローラー乾燥およびスプレー乾燥された食品は粒状化され、かつ
このようにして得られた製品は、食用果物パウダー、野菜パウダー、香味料および他の品質向上剤によりコーティングされて、血糖低下特性を損なうことなくその官能特性が向上される、請求項1〜7に記載の方法。
【請求項9】
本願明細書の実施例に実質的に記載されている、特に糖尿病患者にとって、健康食品または補助食品として有用な、血糖降下食品を製造する方法。
【請求項10】
前記穀類は、穀類剥皮機、もみすり機、または穀類精白機を用いて剥皮される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
トーストは、穀類焙焼機もしくは熱風穀類乾燥機、またはIRヒーターを含む任意の食品用トースト装置または機械で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記食品100g中には1〜3gのプレミックスが含まれ、
前記食品の推奨食事用量中に、血糖降下ブレンドおよびキャリアとしての小麦または他の豆果が、それらの必要量が含まれるような比率で、前記プレミックに微粉化製品とともに、血糖降下ブレンド、およびキャリアとしての小麦または他の豆果が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
粉砕は、ハンマーミルまたは他の穀類ミルで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プレミックスには、薬剤グレードのビタミンA、D、B1、B2、B6、B12、B6、C、Eならびにクロム、セレン、亜鉛、ビオチン、パントテン酸、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンおよび銅を含むミネラルが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
下ごしらえがされている配合物の水分含量を14〜20%に平衡化する工程、および150〜200rpmかつ120〜150℃に保たれた1軸または2軸押出調理機での押出し加工する工程、あるいは
下ごしらえがされている配合物を飲料水と混合して、固形分濃度を10〜15%(w/v)とする工程、沸騰するまで加熱する工程、均質化する工程、およびスラリーをローラー乾燥またはスプレー乾燥する工程、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
下ごしらえがされている食品、およびそのまま食べられる食品がいずれも、その調理方法および消費態様にかかわらず、グリセミックインデックス値100を有する白パンを標準として、55〜75のグリセミックインデックス値を有し、かつ穏やかな血糖反応を示す血糖降下食品である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
下ごしらえがされている配合物は、その血糖降下性を維持したまま、種々の地域および年齢群の人々の味覚および好みにあわせて広範囲の従来食品の調製を可能にさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、住居レベルおよび商業レベルのいずれでも用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
トーストされた穀類の濃度が50〜60%であり、トーストされた豆果の濃度が6〜12%であり、ダイズの濃度が7〜15%であり、コロハの濃度が2〜6%であり、スパイスミックスの濃度が3〜7%であり、アムラ果肉の濃度が0.5〜2%であり、ガルシニアカンボジア外皮の濃度が1.5〜3%であり、脱脂粉乳の濃度が3〜6%であり、食用油の濃度が2〜6%であり、ビタミンおよびミネラルプレミックスの濃度が1〜3%である組成の、血糖降下食品およびその配合物。
【請求項20】
前記食品は、12〜18%の水分含量を示す、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項21】
前記食品は、下ごしらえがされているか、およびそのまま食べられる食品のいずれでもよい、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項22】
前記食品が、穀類、食物繊維および豆果の組成に柔軟性がある、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項23】
配合物は、50〜60g%の炭水化物、12〜17g%のタンパク質、4〜9g%の脂質、12〜20g%の食物繊維、ビタミンおよびミネラルを示す、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項24】
前記スパイスおよび香辛料が、ガラクトースとマンノースの比率が約1:1である水溶性繊維の供給源である、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項25】
前記スパイスミックスが官能特性を向上させる、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項26】
前記食品の成分が相乗作用を奏し、水溶性繊維および不溶性繊維を望ましい比率で提供する、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項27】
前記食品は非毒性かつ滋養性である、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項28】
前記食品は、プレバイオティクスおよびブロバイオティクス特性、抗発ガン性、免疫原性および抗肥満特性を示す、請求項19に記載の血糖降下食品。
【請求項29】
前記血糖降下活性はアムラおよびコロハに起因する、請求項19に記載の血糖降下食品。


【図1】
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【公表番号】特表2006−513717(P2006−513717A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570092(P2004−570092)
【出願日】平成15年3月31日(2003.3.31)
【国際出願番号】PCT/IN2003/000123
【国際公開番号】WO2004/086881
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(595023873)カウンシル・オブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ (69)
【Fターム(参考)】