説明

血行促進用パック材及び血行促進用パックシート

【課題】必要に応じてその都度簡便に使用できると共に、使用する度にpHが大幅に変化するようなこともなく略一定のpH領域に調整できるためパック部位の皮膚の負担を少なくでき、しかも使用に際して炭酸ガスの発生を目視でき、大きな視覚的訴求効果を期待できるようにする。
【解決手段】炭酸塩2と酸性物質3との化学反応により炭酸ガスを発生してパック部位の血行を促進させるための血行促進用パック材1であって、パック部位に貼付可能なパックシート4と、パック前にパックシート4に添加するための添加液5とを備え、パックシート4と添加液5との内、一方は炭酸塩2を、他方は炭酸塩2と反応して炭酸ガスを発生させるための酸性物質3を含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面の目許その他のパック部位の血行促進を図るための血行促進用パック材及び血行促進用パックシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
保湿剤を含有し、顔面などのパック部位に貼着して使用するパック材には、シート状の不織布を支持体として使用するもの(特許文献1)、シート状の水溶性ゲル基材を使用するもの(特許文献2)などがある。
【0003】
しかし、これらのパック材は何れもパック部位の保湿性の向上を目的としたものであって、それ自体ではパック部位の毛細血管を拡げて血流を良くする血行促進作用はない。このためパック材では、美容成分を吸収して皮膚の保湿性の向上を図るにも自ずと限界がある。
【0004】
そこで、パック部位の血行を良くして美容効果の向上を図ることを目的としたものとして、炭酸塩を含んだアルカリ性のジェル状物質に、クエン酸などの酸を含んだ顆粒状物質を混合し、それをパック部位の皮膚に塗布してパックを行うようにした2剤混合式のパック剤が考えられている。
【特許文献1】特開平11−228344号公報
【特許文献2】実用新案登録第3117357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この2剤混合式のパック剤は、炭酸塩と酸との化学反応により炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスを皮膚から吸収させることによってパック部位の毛細血管を拡げて血流を良くする血行促進作用があるため、パック部位の美容成分の吸収性が向上する利点がある。
【0006】
しかし、このパック剤は、次のような欠点がある。即ち、パックの直前に専用用具で2剤を混合して皮膚に塗布しなければならず、またパック後にタオルなどでパック剤を拭き取ると共に、専用用具を洗浄するなどの作業が必要である。このため2剤を混合するための容器やヘラなどの専用用具が必要である他、2剤の混合から用具の洗浄までの作業が煩雑で煩わしいと云う欠点がある。しかも、ジェル状物質に顆粒状物質を混合するため、使用者が専用容器を使い手作業で混合しても、2剤を充分に均一に混合することが困難である。このため局所的にアルカリ性、酸性の領域ができ易くなり、それをパック部位の皮膚に塗布すれば肌に負担がかかる惧れがある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、必要に応じてその都度簡便に使用できると共に、使用する度にpHが大幅に変化するようなこともなく略一定のpH領域に調整できるためパック部位の皮膚の負担を少なくでき、しかも使用に際して炭酸ガスの発生を目視でき、大きな視覚的訴求効果を期待できる血行促進用パック材及び血行促進用パックシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、炭酸塩と酸性物質との化学反応により炭酸ガスを発生してパック部位の血行を促進させるための血行促進用パック材であって、パック部位に貼付可能なパックシートと、パック前に前記パックシートに添加するための添加液とを備え、前記パックシートと前記添加液との内、一方は炭酸塩を、他方は該炭酸塩と反応して炭酸ガスを発生させるための酸性物質を含むものである。前記パックシートは通気性、通水性を有する支持体により前記炭酸塩又は前記酸性物質を担持するものでもよい。
【0009】
また別の本発明は、炭酸塩と酸性物質との化学反応により炭酸ガスを発生してパック部位の血行を促進させるための血行促進用パックシートであって、パック部位に貼付可能な支持体と、該支持体により担持された前記炭酸塩若しくは前記酸性物質又は前記炭酸塩及び前記酸性物質とを含むものである。
【0010】
表裏2枚の前記支持体の内、少なくとも一方の前記支持体は通気性、通水性を有し、該2枚の前記支持体間に前記炭酸塩及び/又は酸性物質の粉末を略均一に介在してもよい。また前記支持体はパルプ製とし、前記両支持体を熱圧着したものでもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、必要に応じてその都度簡便に使用できると共に、使用する度にpHが大幅に変化するようなこともなく略一定のpH領域に調整できるためパック部位の皮膚の負担を少なくでき、しかも使用に際して炭酸ガスの発生を目視でき、大きな視覚的訴求効果を期待できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の各実施例を図面に基づいて詳述する。図1〜図6は本発明の第1の実施例を例示する。この血行促進用パック材1は、図1に示すように、炭酸塩2と酸性物質3との化学反応により炭酸ガスを発生してパック部位の血行を促進させるためのものであって、パック部位に貼付可能なパックシート4と、パック前にパックシート4に添加するための添加液5とを備え、そのパックシート4には炭酸塩2が、添加液5には炭酸塩2と反応して炭酸ガスを発生させるための酸性物質3が夫々含まれている。
【0013】
パックシート4は、図2、図3に示すように、結合された表裏2枚の支持体6と、この支持体6間の全体に略均一に介在された乾燥状態の粉末体7とを含んでいる。2枚の支持体6は粉末体7が零れないように、両側からエンボス式の圧着ローラなどにより熱圧着されて接合されている。また支持体6は通気性、通水性を有する不織布製であって、この不織布には例えばパック部位の肌に馴染み易く水の浸透性に優れたパルプ材が使用されている。勿論、通気性、通水性を有するものであれば、パルプ材以外のものを使用してもよい。なお、パックシート4は顔面の目許、口許などのパック部位に応じた形状に裁断されている。
【0014】
粉末体7には、パックシート4がパック部位の血行促進と保湿性の向上とを目的としているため、炭酸塩2と保湿剤8との粉末を所定の割合(例えば、炭酸塩2と保湿剤8とを4対1程度)で配合したものが使用されている。なお、支持体6間に介在すべき粉末体7の量は、少なければ添加液5を添加した際の炭酸ガスの発生量が少なくなり、多ければ発生量は多くなるが、支持体6から粉末体7が零れ易くなり無駄になるので、10〜200g/m2 、望ましくは50〜100g/m2 程度が適当である。
【0015】
炭酸塩2は炭酸イオンCO32−または重炭酸イオンHCO3−を含む無機塩のカテゴリーに属し、具体的には炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが使用されている。この炭酸塩2には、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウムの他、セスキ炭酸ソーダなどの複塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの複塩)を使用してもよい。またその他、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸バリウムなども使用可能である。
【0016】
保湿剤8はパック部位の保湿効果を促進する目的の他、パックシート4に添加液5を添加した際に2枚の支持体6を接着する接着剤として機能するものであり、水分を添加したときに容易に溶解又は膨潤し、粘着性を有するものが適当である。
【0017】
なお、支持体6に通水性(透水性)に優れ保水性のないものを使用して、血行促進を主たる目的とするパックシート4の場合には、支持体6に保水性を持たせるための保水剤を保湿剤8に代えて炭酸塩2に配合すればよい。
【0018】
使用可能な保湿剤8としては、具体的には1)ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、クインスシード、アルギン酸およびその塩類、ペクチン、タマリンドガム、ジェランガム、寒天、デキストリン、ショ糖、アミロースなどの多糖類、2)ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類、3)トリメチルグリシンなどのベタイン、4)ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、ケラチンなどのたんぱく質、5)アラビアゴム、トラガントガム、グァーガム、カラヤガムなどのガム質、6)ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、7)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどのビニル系ポリマー、8)ポリアクリル酸ナトリウムなどのアクリル酸系ポリマー、9)ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、イノシトールなどの多価アルコール、10)ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ケイ酸(Al/Mg)などの粘土鉱物がある。
【0019】
添加液5は炭酸塩2と化学反応して炭酸ガスを発生させるための酸性物質3を水に所定割合で配合したものである。使用可能な酸性物質3としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マロン酸、酢酸などの有機酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ポリリン酸などがある。なお、添加液5は水分の存在下で酸性物質3が炭酸塩2と反応して炭酸ガスを発生させれば十分であり、水を主とし、これに所定量の酸性物質3を配合すればよく、酸性物質3の水に対する割合は、炭酸塩2と酸性物質3が反応した際にパックシート4に含まれる水のpH及び炭酸ガスの発生量などを考慮して、使用する酸性物質3に応じて適宜決定する。また添加液5には水、酸性物質3以外に他の美容成分を含有させてもよい。
【0020】
添加液5はパックシート4とは別の容器9に封入されており、パック前にパックシート4に添加できるようになっている。なお、添加液5は例えば押圧式のドロップポンプ等のポンプ10を備えた容器9に充填するなど、必要に応じて簡単な操作で一定量ずつパックシート4に添加できるようにすることが望ましい。
【0021】
このパックシート4の製造に際しては、図4に示すように、原反ロール11から下側の支持体6となる支持体原反12を所定速度で送りながら、その支持体原反12上に散粉手段13により炭酸塩2と保湿剤8との粉末体7を略均一に散粉する。
【0022】
粉末体7の散粉後、別の原反ロール14から上側の支持体6となる支持体原反15を支持体原反12と同期して熱圧着手段16へと繰り出し、この支持体原反15を粉末体7を介して支持体原反12上に重ね合わせながら、上下一対のエンボス式の圧着ローラ18により上下の支持体原反12,15を熱圧着する。
【0023】
そして、上下の支持体原反12,15が熱圧着された圧着原反20を裁断手段21の一対の裁断ローラ22により所定長さで裁断した後、その圧着原反20をコンベア23を介して切り取り手段24に送り、その上下一対の金型25により所定形状のパックシート4を切り取る。
【0024】
なお、切り取り手段24は上下一対の金型を備えた間欠作動式でもよいし、上下一対の切り取りローラを備えた連続回転式でもよい。間欠作動式の切り取り手段24の場合には、この実施例にも例示するように圧着原反20を所定長さに裁断した後に、それを金型25に供給して切り取るのが望ましい。勿論、切り取り手段24は手動で供給するようにしてもよい。
【0025】
このパック材1は、例えば図5に示すように複数枚のパックシート4を積層して積層体26とし、その1個又は複数個の積層体26と、容器9に充填された添加液5とを包装箱27などに入れて販売する。
【0026】
目許などのパックに際しては、先ず掌にパックシート4を1枚取り、図6に示すようにこのパックシート4に容器9の添加液5を添加する。添加液5の添加量はパックシート4の大きさ、パックシート4内の炭酸塩2の量にもよるが、この実施例の目許用のパックシート4の場合には、ポンプ10を矢印方向に数回押して1cc程度を添加すればよい。
【0027】
添加液5でパックシート4の全体が濡れると、炭酸塩2と酸性物質3との化学反応により炭酸ガスが発生して発泡するので、その状態でパックシート4を素早く目許のパック部位に貼付する。炭酸ガスの発泡は1〜2分程度続く。そして、発泡状態のパックシート4を目許などに貼付すると、炭酸ガスが皮膚から吸収されて毛細血管が広がり血流が良くなる。従って、パック部位の血行促進が向上し、これによって保湿剤8中の美容成分の吸収も向上する。なお、パックシート4は5〜10分間経過すれば剥がす。
【0028】
このような構成のパック材1では、支持体6間に炭酸塩2が略均一に介在されたパックシート4を使用し、このパックシート4に酸性物質3を含む添加液5を添加してパック部位に貼付すればよいので、2剤混合式のパック材に比較してパック時の一連の作業が非常に容易であり、所定部位のパックを簡便に行うことができる。
【0029】
また支持体6間に炭酸塩2が略均一に介在されたパックシート4に酸性物質3を含む添加液5を添加するため、局所的にpHが大きく異なることも少なく肌への負担を少なくすることができる。しかも、パックシート4に酸性物質3を含む添加液5を添加してから、そのパックシート4をパック部位に貼付するため、酸性化粧水だけが肌に塗布されるような問題もなく、その点でも肌への負担を少なくすることができる。
【0030】
更に支持体6間に炭酸塩2が略均一に介在されたパックシート4に酸性物質3を含む添加液5を添加すればよく、パックシート4に添加液5を添加する際に吐出量が略一定のポンプ10付きの容器9を使用するなどによって添加液5の定量添加が比較的容易であり、添加液5の添加量のバラツキによって各パック毎にpHが大幅に異なるようなこともなくなり、一定のpH領域で調整することができる。またパックシート4に添加液5を添加したときに、炭酸塩2と酸性物質3とが反応して発泡するため、炭酸ガスの発生が目視でき、商品としての視覚的訴求効果が大きくなる利点もある。
【0031】
支持体6は不織布製であるが、その不織布にはパルプ材を使用しているため、パック部位に不織布の繊維が残ることもない。また表裏の支持体6は単に熱圧着で結合しているため、接着剤などを使用する場合に比較して製造コストを低減できるだけでなく、濡れた状態では表裏の支持体6の結合が弱くなってパックシート4のパック部位の凹凸に対する馴染み性を良くすることができる。
【0032】
しかも、支持体6を熱圧着で結合しているにも拘わらず、支持体6間に炭酸塩2と保湿剤8との粉末体7が略均一に介在されているので、溶解後の保湿剤8の粘性に伴う接着性により表裏の支持体6の剥離を防止することができる。
【0033】
また炭酸塩2と酸性物質3とを完全に分離して、その炭酸塩2を保湿剤8と共にパックシート4内に略均一に介在し、このパックシート4とは別の容器9の添加液5中に酸性物質3を含有しているため、空気中の湿気によってパックシート4内で徐々に反応してパックシート4が失活するなどの問題を極力防止することができる。
【0034】
図7は本発明の第2の実施例を例示する。この実施例のパック材1は、パックシート4の支持体6間に炭酸塩2の粉末体7が略均一に介在されており、容器9の添加液5には水、酸性物質3の他に保湿剤8が配合されている。
【0035】
この場合には添加液5をパックシート4に添加した際に、その添加液5中の保湿剤8をパックシート4の支持体6の全体に浸透させることができる。従って、保湿剤8は、添加液5中に配合することも可能である。但し、支持体6間に略均一に保湿剤8が介在された第1の実施例に比較して、保湿剤8による支持体6の接着性が多少低下するため、支持体6同士は接着、溶着その他で剥離しないように結合しておくことが望ましい。
【0036】
図8は本発明の第3の実施例を例示する。この実施例のパック材1は、パックシート4の支持体6間に酸性物質3の粉末体7が略均一に介在されており、容器9の添加液5には水に炭酸塩2、保湿剤8が配合されている。
【0037】
このように酸性物質3の粉末体7をパックシート4に介在し、炭酸塩2を添加液5に配合しても、添加液5をパックシート4に添加することによって炭酸ガスを発生させることができる。なお、保湿剤8は粉末の状態で酸性物質3と配合してパックシート4内に介在してもよい。
【0038】
図9は本発明の第4の実施例を例示する。この実施例のパックシート4は、表裏2枚の支持体6の内、その一方の支持体6が通気性、通水性を有する不織布6aにより構成され、他方の支持体6が通気性のないプラスチックフィルムなどの異種のシート材6bにより構成されている。
【0039】
炭酸塩2などの粉末体7を表裏2枚の支持体6により挟んで担持する場合、通気性、通水性を有する支持体6をパック部位側にして貼付すればよいので、このように表裏の支持体6に異種の材料を用いることも可能である。
【0040】
図10は本発明の第5の実施例を例示する。この実施例のパックシート4は、不織布などの支持体6の片面に炭酸塩2と保湿剤8との粉末体7が担持されている。
【0041】
例えば熱融着性(又は熱溶着性)を有する不織布上に炭酸塩2などの粉末体7を略均一に散粉し、その後に不織布を表裏両側から加圧して粉末体7側の不織布の繊維を熱融着(又は熱溶着)することにより、不織布製の支持体6で炭酸塩2などの粉末体7を担持することができる。また熱融着性(又は熱溶着性)のない支持体6を使用する場合には、バインダを塗工するなどの適宜手段により炭酸塩2などの粉末体7を支持体6に結合してもよい。
【0042】
このように支持体6の片面に炭酸塩2などの粉末体7を担持すれば、1枚の支持体6でパックシート4を構成できるため、パックシート4の製造コストを低減できると共に、パックシート4全体を比較的柔らかく仕上げることができる。
【0043】
なお、支持体6の片面に炭酸塩2などの粉末体7を担持する他、不織布の製造過程で粉末体7を加えて、不織布の繊維間に粉末体7をすき込むことも可能である。また実施例では、支持体6により炭酸塩2と保湿剤8との粉末体7を担持しているが、パックシート4側を炭酸塩2の粉末体7のみとし、保湿剤8は添加液5中に入れてもよい。パックシート4側を酸性物質3又は酸性物質3と保湿剤8の粉末体7とし、炭酸塩2と保湿剤8又は炭酸塩2を添加液5中に入れてもよい。
【0044】
図11は本発明の第6の実施例を例示する。この実施例では上下に積層された複数枚のパックシート4が炭酸塩2及び保湿剤8の溶液29と共に収容容器28に収容され、その収容容器28の開口が易剥離可能又は再封口可能に封口シート30により封口されている。各パックシート4は1枚の支持体6により構成されている。なお、支持体6が剥離しなければ、2枚又はそれ以上を重ね合わせて使用してもよい。
【0045】
このパックシート4では、支持体6に炭酸塩2及び保湿剤8の溶液29が含浸することにより担持されている。パックに際しては、封口シート30を剥がして収容容器28内のパックシート4を取り出した後、第1の実施例と同様に添加液5を添加すればよい。従って、パックシート4は支持体6により炭酸塩2などの粉末体7を担持する他、このように支持体6に炭酸塩2などの溶液29を含浸させて担持するものでもよい。
【0046】
なお、収容容器28内に入れる溶液29は炭酸塩2及び保湿剤8の他、炭酸塩2の溶液29でもよい。また炭酸塩2又は炭酸塩2と保湿剤8を添加液5に入れ、酸性物質3又は酸性物質3と保湿剤8の溶液29を収容容器28に入れてもよい。収容容器28に入れる溶液29は、それを支持体6が含浸する程度の量でもよい。
【0047】
図12は本発明の第7の実施例を例示する。この実施例のパックシート4は、支持体6間に炭酸塩2、酸性物質3及び保湿剤8の粉末体7が略均一に介在されている。
【0048】
この場合には、パックシート4に水を添加すれば、その水でパックシート4が濡れて炭酸塩2と酸性物質3とが反応して炭酸ガスを発生する。従って、パックシート4の支持体6側に炭酸塩2、酸性物質3等の必要な全てを粉末の状態で担持させることも可能である。
【0049】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、この実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、パックシート4を2枚の支持体6によって構成する場合には、その少なくとも一方の支持体6が通水性を有するものであればよい。この条件を満たす限り、その支持体6は不織布の他、織布、紙、フィルム等の何れで構成してもよいし、天然製の素材、プラスチック製の素材の何れで構成してもよい。また実施例の数値は単なる例示に過ぎず、その数値に限定されるものではない。
【0050】
第1の実施例等では保湿剤8を使用しているが、この保湿剤8は省略してもよい。例えば血行促進を目的とするパックシート4の場合には、パックシート4と添加液5との内、何れか一方に炭酸塩2を、他方に酸性物質3を含むように構成すれば十分であり、保湿剤8などの他のものは省いてもよい。
【0051】
表裏2枚の支持体6により粉末体7を担持するパックシート4では、2枚の支持体6の略全面を接着、溶着などで結合してもよいし、粉末体7の偏りを防止しつつ2枚の支持体6の外周を接着、溶着などで結合してもよい。またパックシート4の形状、大きさは、対象とするパック部位に応じて円形、矩形、帯状にするなど適宜変更可能である。パックシート4が大きいか長い場合には、適当な大きさになるように折り畳んでおき、使用時に拡げるようにしてもよい。
【0052】
添加液5を入れる容器9はポンプ10を備えたものの他、ファスナーなどの開閉手段付きの袋、破断部付きの袋などでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施例を示すパック材の説明図である。
【図2】同パックシートの説明図である。
【図3】同パックシートの斜視図である。
【図4】同パックシートの製造方法を示す説明図である。
【図5】同包装形態を示す説明図である。
【図6】同使用方法の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施例を示すパック材の説明図である。
【図8】本発明の第3の実施例を示すパック材の説明図である。
【図9】本発明の第4の実施例を示すパック材の断面図である。
【図10】本発明の第5の実施例を示すパック材の説明図である。
【図11】本発明の第6の実施例を示す包装形態の断面図である。
【図12】本発明の第7の実施例を示すパック剤の説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 血行促進用パック材
2 炭酸塩
3 酸性物質
4 パックシート
5 添加液
6 支持体
7 粉末体
8 保湿剤
9 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩と酸性物質との化学反応により炭酸ガスを発生してパック部位の血行を促進させるための血行促進用パック材であって、パック部位に貼付可能なパックシートと、パック前に前記パックシートに添加するための添加液とを備え、前記パックシートと前記添加液との内、一方は前記炭酸塩を、他方は該炭酸塩と反応して炭酸ガスを発生させるための前記酸性物質を含むことを特徴とする血行促進用パック材。
【請求項2】
前記パックシートは通気性、通水性を有する支持体により前記炭酸塩又は前記酸性物質を担持していることを特徴とする請求項1に記載の血行促進用パック材。
【請求項3】
炭酸塩と酸性物質との化学反応により炭酸ガスを発生してパック部位の血行を促進させるための血行促進用パックシートであって、パック部位に貼付可能な支持体と、該支持体により担持された前記炭酸塩若しくは前記酸性物質又は前記炭酸塩及び前記酸性物質とを含むことを特徴とする血行促進用パックシート。
【請求項4】
表裏2枚の前記支持体の内、少なくとも一方の前記支持体は通気性、通水性を有し、該2枚の前記支持体間に前記炭酸塩及び/又は前記酸性物質の粉末を略均一に介在していることを特徴とする請求項3に記載の血行促進用パックシート。
【請求項5】
前記支持体はパルプ製であり、前記両支持体を熱圧着していることを特徴とする請求項3又は4に記載の血行促進用パックシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−47486(P2010−47486A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210529(P2008−210529)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(507304616)有限会社SPC (3)
【Fターム(参考)】