説明

衛星の観測計画立案装置、方法、及びプログラム

【課題】観測対象となる領域が広域である場合にも効率よく観測できる手法を提供する。
【解決手段】観測計画立案プログラムは、地表面上の観測対象領域を含むメッシュからなる観測対象メッシュ群を選定し、複数の時刻における衛星の軌道1周回の地上軌跡を規定する複数のパスの中から、観測対象メッシュ群を所定の期間内に観測可能な複数の候補パスを選定し、衛星に対する複数の姿勢制御条件の各々に対して、姿勢制御条件によって定まる衛星の観測範囲を用いて、時刻の早い候補パスから順に候補パスをサーチして、複数の候補パスの中で、観測対象メッシュ群の全体の観測を完了するまでに必要となる要観測パスと、観測対象メッシュ群の全体の観測が完了する観測完了時刻とを特定し、姿勢制御条件毎に特定された要観測パスの数及び観測完了時刻の少なくとも一方を用いて複数の姿勢制御条件の評価結果を出力する、処理をコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
いくつかの実施形態は衛星の観測計画立案装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球観測衛星1は、例えば一般的なものでは極(北極点2及び南極点3)付近上空を通過する円軌道4を、高度:数100km〜1000kmで、一周に約90分〜100分をかけて1日に14〜15周回する(図1(a))。地球観測衛星1の軌道4が地球赤道面5上を通過する地点は昇交点6/降交点7と呼ばれており(図1(b))、通常、昇交点6の位置を基準にして地球観測衛星1の軌道1周回が定義されている。地球8は矢印9に示す方向に地軸10の周りを自転しているので、昇交点6における衛星直下点経度は地球観測衛星1が周回する毎にずれていく。地球観測衛星1の軌道4は、地球観測衛星1の高度を適切に選択することにより、地球観測衛星1の地上軌跡13が特定の経度を周期的に通過するように設計されている。
【0003】
図2は、地球8を周回する地球観測衛星1の赤道11から中緯度付近でのパス12を例示する図である。地球観測衛星1の軌道1周回に対応した地上軌跡13は、赤道11の通過時の経度(交点経度14)で識別することができる。一般に、軌道1周回に対応した地上軌跡13は“パス(PATH)”と呼ばれおり、交点経度14に通番を付与して識別している。この番号は“パス番号”と呼ばれており、図2では、6本のパス12の左側にパス番号(46番〜51番)を付した。交点経度14の数、及び地球観測衛星1がどのような順序で交点経度14を通過するかは、準回帰条件と言い、以下の3つのパラメータで規定することができる。
N: 日周回数(1日の周回数を四捨五入した整数)
M: 回帰日数(同一交点経度を再び通過するまでの日数)
L: 日移動数(翌日、東へいくつずれた交点経度を通過するか)
ここで、交点経度の数は X=N×M+L で表される。
【0004】
図2は、地球観測衛星1の軌道4が、各周回で西に5つトビに交点経度14を通過し、更に、翌日は東に2つずれた交点経度14を通過する場合の例を示している。この場合、1日目の1周回目にパス番号:51番のパス、2周回目にパス番号:46番のパスを通過し、2日目の1周回目にパス番号:48番、3日目の1周回目にパス番号:50番というように、通過する交点経度14がずれて行く。そして、4日目にパス番号:47番、5日目にパス番号:49番のパスを通過し、6日目に元のパス番号:51番のパスに戻る。なお、図2に示す6本のパスの通過順序(1番〜7番)をパスの右側に付した。従って、図2の例では5日間で全交点を通過することになる(即ち、M=5、L=2)。このようにして、地球観測衛星1は複数のパス12をかけて地表面15上をまんべんなく通過して観測対象の地点を観測する。
【0005】
図3は、地球観測衛星1による地表面15の観測を例示する。図3に示すように、地球観測衛星1はパス12毎の衛星1の軌道4に沿って進行しながら観測を行う。地球観測衛星1によって観測可能な領域範囲は、地球観測衛星1の観測センサ16の視野角に依存している。観測センサ16の視野角は、衛星1の進行方向に対する垂直面内での衛星直下点からの角度で定義される。図3においては視野角はθ1及びθ2で表されており、衛星1の進行方向に対する垂直面上に衛星直下点から視野角θ1及びθ2で引いた直線が地表面15と交わる位置W1及びW2(観測センサ16の視野端)の間の距離が観測幅Wとなる。衛星1はパス12に沿って進行しながら観測センサ16の視野角に対応した観測幅Wで地表面15を刈り取って(観測)いく。
【0006】
図4は、地球観測衛星1による観測対象の地点の観測を例示する。図4において、★18は観測対象の地点を表している。パス番号:46番、48番、51番のパス12に沿った灰色で示す領域19は、各パス12において地球観測衛星1の観測センサ16で観測可能な領域をそれぞれ示している。また、パス番号:46番、48番、51番のパス12上に示す太枠は観測シーン17を表す。観測シーン17は地球観測データの提供、注文、及び売買の際に用いられる地表面15上の領域を表す単位であり、地球観測データの取引は一般に“観測シーン”単位で行われている。上記で説明したように地球観測衛星1は特定の地上軌跡13を通過するので、一般に、観測シーン17は地上軌跡13を基準として定義されている。観測シーン17は例えば図4に示されるように、目標とする観測対象の地点★18が包含されるように切り出される。観測シーン17の幅は観測センサ16のセンサ視野角θで決まり、観測シーン17の長さは衛星1の観測継続可能な時間の制約等で決まる。地球観測衛星1は、図4に示すように複数のパス12をかけて地表面15上をまんべんなく通過し、地表面15上の様々な位置にある観測対象の地点★18を観測する。
【0007】
近年、衛星姿勢制御系のアジリティ性能向上に伴い、衛星姿勢を変えて観測地点を観測する技術が開発されてきている。
これに関し、方向制御パラメータテーブルのサイズ及びテーブル作成計算量の削減を図る技術が知られている。
【0008】
また、観測センサ条件や観測運用要求を考慮して軌道パラメータの算出を行うことが可能な軌道パラメータ算出プログラムを提供する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−327200号公報
【特許文献2】特開2006−98352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、観測対象となる地点が広域である場合に衛星姿勢のアジリティを考慮して効率よく観測できる手法は無かった。本発明に係るいくつかの実施形態は、観測対象となる地点が広域である場合にも衛星姿勢のアジリティを考慮して効率よく観測できる手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの態様の観測計画立案プログラムは、地表面を区分することで形成される複数のメッシュの中から、観測対象領域を含むメッシュからなる観測対象メッシュ群を選定し、複数の時刻における衛星の軌道1周回の地上軌跡を規定する複数のパスの中から、観測対象メッシュ群を所定の期間内に観測可能な複数の候補パスを選定し、衛星に対する複数の姿勢制御条件の各々に対して、姿勢制御条件によって定まる衛星の観測範囲を用いて、時刻の早い候補パスから順に候補パスをサーチして、複数の候補パスの中で、観測対象メッシュ群の全体の観測を完了するまでに必要となる要観測パスと、観測対象メッシュ群の全体の観測が完了する観測完了時刻とを特定し、姿勢制御条件毎に特定された要観測パスの数及び観測完了時刻の少なくとも一方を用いて複数の姿勢制御条件の評価結果を出力する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上述の態様により、観測対象となる地点が広域である場合にも衛星姿勢のアジリティを考慮して効率よく観測を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】地球を周回する地球観測衛星の衛星軌道を例示する図である。
【図2】地球を周回する地球観測衛星の赤道から中緯度付近でのパスを例示する図である。
【図3】地球観測衛星による地表面の観測を例示する図である。
【図4】地球観測衛星による観測対象の地点の観測と観測シーンとを例示する図である。
【図5】一実施形態に係る衛星の姿勢を説明する図である。
【図6】一実施形態に係るロール制御を行った場合の衛星の観測範囲を例示する図である。
【図7】一実施形態に係るロール・ヨー制御を行った場合の衛星の観測範囲を例示する図である。
【図8】一実施形態に係る姿勢制御を用いた観測シーンの切り出しを例示する図である。
【図9】一実施形態に係る地表面上の1つの観測対象領域と、その観測対象領域に含まれるメッシュからなる観測対象メッシュ群とを例示する図である。
【図10】一実施形態に係るメッシュ点情報テーブルを例示する図である。
【図11】一実施形態に係る観測対象メッシュ点テーブルを例示する図である。
【図12】一実施形態に係る衛星軌道暦情報を例示する図である。
【図13】一実施形態に係るパス情報テーブルを例示する図である。
【図14】一実施形態に係る候補パステーブルを例示する図である。
【図15】一実施形態に係る姿勢制御条件テーブルを例示する図である。
【図16】一実施形態に係る観測時間を変更した際の観測範囲の変化を例示する図である。
【図17】一実施形態に係る衛星の観測センサの視野端ポインティング位置ベクトルの算出について説明する図である。
【図18】一実施形態に係る観測範囲と観測対象メッシュ点との配置をベクトルで表す図である。
【図19】一実施形態に係る観測対象メッシュ点の観測可否判定処理について説明する図である。
【図20】いくつかの実施形態に係る観測計画立案処理の動作フロー図である。
【図21】第1の実施形態に係るロール制御の姿勢制御条件での或る時刻における観測範囲を例示する図である。
【図22】第1の実施形態に係る観測パス管理テーブルを例示する図である。
【図23】第1の実施形態に係るロール制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理の動作フロー図である。
【図24】第1の実施形態に係るロール制御を用いる場合の評価材料テーブルを例示する図である。
【図25】第1の実施形態に係るロール制御を用いる場合の評価結果テーブルを例示する図である。
【図26】第2の実施形態に係るロール・ヨー制御の姿勢制御条件での或る時刻における観測範囲を例示する図である。
【図27】第2の実施形態に係る観測一次テーブルを例示する図である。
【図28】第2の実施形態に係る観測二次テーブルを例示する図である。
【図29】第2に実施形態に係るロール・ヨー制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理の動作フロー図である。
【図30】第2の実施形態に係るロール・ヨー制御を用いる場合の評価材料テーブルを例示する図である。
【図31】第2の実施形態に係るロール・ヨー制御を用いる場合の評価結果テーブルを例示する図である。
【図32】第3の実施形態に係るロール制御及びロール・ヨー制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理の動作フロー図である。
【図33】第3の実施形態に係るロール制御及びロール・ヨー制御を用いる場合の評価結果テーブルを例示する。
【図34】いくつかの実施形態に係る観測計画立案装置の機能ブロックを例示す図である。
【図35】いくつかの実施形態に係る観測計画立案装置のハードウェア構成を例示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら以下に詳細に説明する。複数の図面において対応する要素には同一の符号を付した。なお、以下で述べる、いくつかの実施形態は衛星101が、地球観測衛星である場合を例にとり説明するが、本発明に係る実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、衛星101は緯度/経度が規定できる天体の周回宇宙機であってもよい。
【0015】
図34は、いくつかの実施形態に係る観測計画立案装置200の機能ブロックを例示する図であり、また、図35は、いくつかの実施形態に係る観測計画立案装置200のハードウェア構成を例示する図である。以下の説明では、適宜これらの図面の機能ブロック及びハードウェア構成を参照しながら説明を行う。
【0016】
初めに図5から図8を参照して、一実施形態に係る姿勢制御を用いた観測対象領域108の観測について簡単に説明する。図5は、一実施形態に係る衛星101の姿勢を説明する図である。図6は、一実施形態に係るロール制御を行った場合の衛星101の観測範囲105を例示する図である。図7は、一実施形態に係るロール・ヨー制御を行った場合の衛星101の観測範囲105を例示する図である。図8は、一実施形態に係る姿勢制御を用いた観測シーン104の切り出しを例示する図である。
【0017】
図5を参照して地球103を観測センサ102で観測する衛星101の衛星姿勢について説明する。なお、以下の説明では右手系を例に説明を行うが、本発明に係る実施形態は、これに限定されるものではなく、例えば左手系に合わせて実施形態を変更した変形形態も包含する。まず、衛星101の軌道116を基準とする衛星軌道座標系を以下のように定義する。
Z軸: 地球103の地心方向
X軸: 軌道面内でZ軸に垂直な衛星101の進行方向
Y軸: ZXに対して右手系で定義(軌道面に垂直方向)
【0018】
続いて、衛星101の機体の機体軸を決める。衛星101の機体に固定された互いに垂直な三軸を機体軸:ロール軸、ピッチ軸、及びヨー軸として決める。このロール軸、ピッチ軸、及びヨー軸がX軸、Y軸、及びZ軸の方向とそれぞれ一致している状態を三軸安定姿勢、又は姿勢角=0と呼ぶ。以降の説明では、このように決めた三軸安定姿勢での衛星直下点の位置を、観測センサ102の中心視点107と呼ぶ。観測センサ102の中心視点107は、三軸安定姿勢では地上軌跡106上を動く。また更に、この三軸安定姿勢における観測センサ102の視野に関して、以降では説明の簡便のために、衛星101の進行方向に右ねじの進む方向を合わせた場合に、右ねじの回転方向と一致する方向の視野角をθ1とし、その視野端をW1とする。また、右ねじの回転方向とは逆の回転方向の視野角をθ2とし、その視野端をW2とする(図3を参照)。
【0019】
衛星101の姿勢制御とは、機体軸周りに衛星機体を回転させることである。例えば、衛星機体をロール軸の周りに回転させることをロール制御と呼ぶ。同様に、ピッチ軸周りに回転させることをピッチ制御、ヨー軸の周りに回転させることをヨー制御と呼ぶ。また、アジリティ性能とは、衛星101が姿勢角を動的に変更する能力を言う。なお、以降の説明では、ロール軸、ピッチ軸、及びヨー軸のいずれの軸を回転させる場合においても、ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸のそれぞれの軸の方向に、右ねじの進む方向を合わせた場合に、右ねじの回転方向と一致する軸の回転方向を正の回転方向とし、逆の回転方向を負の回転方向とする。しかしながら、本発明に係る実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、回転方向の正及び負を逆向きにとってもよい。
【0020】
図6及び図7を参照して、ロール制御及びロール・ヨー制御を実施した場合における衛星101の観測範囲105について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るロール制御を行った場合の衛星101の観測範囲105を例示する図である。図6(a)は、ロール制御を実施した場合の衛星101の観測幅Wの位置を例示している。図6(a)において、ロール軸は紙面垂直手前方向である。図6(a)に破線で示すように、衛星101の観測センサ102は姿勢角=0では衛星直下点から角度θ1及びθ2の視野角の範囲を観測幅Wとしている。ロール制御によりロール軸の周りを角度αで回転させると、図6(a)において実線で示すように、衛星101の観測センサ102は観測幅Wの位置はずれる。図6(b)は、図6(a)を衛星101の真上から見た状態である。
【0021】
図6(b)に示されるように、ロール制御を行うことで、衛星101は姿勢角=0で観測センサ102の中心視点107を地上軌跡106に沿わせて観測するよりも地上軌跡106からより離れた領域を観測することができる。ロール制御では、角度αで位置がずれた観測幅Wの領域を、衛星101の進行方向に沿って観測していく。例えば、観測時刻Tを中心に観測時間ΔTの長さで観測を行うとした場合、観測開始時刻T−ΔT/2における観測センサ102の視野端の位置をW1及びW2とする。また、観測終了時刻T+ΔT/2における観測センサ102の視野端の位置をW1及びW2とする。このとき、W1、W2、W1及びW2で囲われる範囲が観測範囲105として観測される。
【0022】
図7は、本発明の一実施形態に係るロール制御とヨー制御とを実施(以降、ロール・ヨー制御とも称する)した場合の衛星101の観測範囲105を例示する図である。図7は、衛星101を真上から見た状態である。ロール・ヨー制御を行うことにより、例えば図7に示されるように、観測センサ102の中心視点107の軌跡及び観測幅Wが地上軌跡106に対して傾いた観測範囲105を衛星101で観測することができる。図7に示す観測範囲105は、角度βでヨー制御を行い、そのヨー角βを維持しつつ、観測開始時刻Tosから観測終了時刻Toeにかけて、ロール角を+αから−αまで均一な速度で徐々に変化させることにより観測される。観測時間ΔT及びロール角α、ヨー角βの限界値は衛星101の仕様等で決まる。
【0023】
以上で図6及び図7を参照して述べたように、ロール制御及びロール・ヨー制御を行うことで、衛星101の地上軌跡106からより離れた範囲を観測したり、及び観測センサ102の中心視点107の軌跡及び観測幅Wが地上軌跡106に対して傾いた領域を観測したりすることができる。
【0024】
図8は、姿勢制御を用いない場合と、一実施形態に係る姿勢制御を用いる場合の観測シーン104の切り出しを例示する図である。図8(a)は姿勢制御を用いず、観測センサ102の中心視点107が地上軌跡106に張り付いた姿勢(即ち姿勢角=0)で観測対象領域108を観測する場合の例である。図8(a)に示されるように、姿勢角=0に固定して観測する場合、N日の観測では観測対象領域108の全体を観測しきることができない。図示されるように、観測を完了するためにはパス109が2パス必要であり、観測はN+3日に完了する。また、姿勢角=0では観測シーン104の数も2シーン必要である。
【0025】
一方、図8(b)に示されるように、ロール制御を用いた場合には、N日の観測で観測対象領域108の観測を完了することができる。従って、観測を完了するまでに必要なパス数は1パスで済み、観測はN日で完了する。また、必要な観測シーン104の数も1シーンで済む。即ち、ロール制御を行って観測を行うことで、より早くに観測を完了することができる。そのため、観測対象領域108の観測を依頼した顧客に、いち早く観測結果を提供することができる。また、観測に必要な観測シーン104の数もより少なくすることができる。一般に、地球観測データの提供、注文、及び売買は、“シーン”単位で行われているため、シーン数を削減することは、顧客にとってコストダウンに繋がり有益である。或いは、地球観測データを提供する側にとっても、観測結果を少ないパス数で得たことにより空いた時間で、別な領域を観測することが可能となり、有益である。
【0026】
図8(c)、図8(d)、及び図8(e)は、姿勢制御を用いる場合と用いない場合の観測シーン104の切り出しの別な例である。図8(c)は姿勢制御を用いず、姿勢角=0で観測対象領域108を観測する場合の例である。図8(c)に示されるように、姿勢角=0に固定して観測する場合、観測対象領域108の観測を完了するまでに3パスが必要であり観測が完了するのはN+5日である。また、観測シーン104の数も3シーン必要である。
【0027】
一方、図8(d)に示されるように、ロール制御を用いた場合には、N+3日の観測で観測対象領域108の観測を完了することができる。従って、観測を完了するまでに必要なパス数は2パスで済み観測はN+3日で完了する。また、必要な観測シーン104の数も2シーンで済む。従って、姿勢制御を用いない場合よりも、ロール制御を用いることでより早く及びより効率的に観測対象領域108の観測を行うことができる。しかしながら、図8(d)の例では、観測対象領域108が広く、衛星101の観測幅Wよりも観測対象領域108の幅が長いため、ロール制御を用いても、観測対象領域108を1パスで収めることはできない。
【0028】
このような場合であっても、図8(e)に示すように、ロール・ヨー制御を用いて地上軌跡106に対して傾けて観測を行うと、N日の1パスの観測のみで観測対象領域108の観測を完了することができる。また、必要な観測シーン104の数も1シーンで済む。以上、図8を参照して述べたように、姿勢制御を用いることで、観測対象領域108の観測、特には姿勢角=0に固定した観測では1パスに収まりきらない広域の観測対象領域108の観測をより効率的に行うことができる。以上の図8を用いて述べた姿勢制御を用いる観測について以下に詳細に説明していく。
【0029】
図9から図11を参照して、一実施形態に係る1つの観測対象領域108を含むメッシュ110からなる観測対象メッシュ群111の選定処理について説明する。図9は、一実施形態に係る地表面112上の1つの観測対象領域108と、その観測対象領域108を内部に含むメッシュ110からなる観測対象メッシュ群111とを例示する図である。図10は、一実施形態に係るメッシュ点情報テーブル204を例示する図である。図11は、一実施形態に係る観測対象メッシュ点テーブル205を例示する図である。
【0030】
図9に示されるように、地表面112はメッシュ状に区分され複数の区画へと分割される。以降の説明では、このメッシュ状に区分されて形成された複数の区画のそれぞれを、メッシュ110と呼ぶ。また、メッシュ110の各頂点をメッシュ点113と呼ぶ。それぞれのメッシュ110の大きさは、衛星101が1回の観測でカバー可能な観測範囲105の大きさよりも小さく設定され、例えば売買に用いる観測シーン104のサイズよりも小さい大きさに設定される。一実施形態においては、メッシュ110の大きさは、1辺の長さが5kmから10km程度の矩形である。このようにメッシュ状に分割された地表面112上に、例えば、GUIに表示した地図上で領域をドラッグすることにより1つの観測対象領域108(図9の斜線領域)を指定する。続いて、指定された1つの観測対象領域108を含むメッシュ110を選定することにより、1つの観測対象領域108を複数のメッシュ110(図9の灰色領域)で代表することができる。なお、以降ではこの1つの観測対象領域108を代表する複数のメッシュ110を観測対象メッシュ群111と呼ぶ。なお、図9においては、格子状に分割されたメッシュ110を例示するが、メッシュ110の形状はこれに限定されるものではなく、例えば蜂の巣状に分割されていてもよい。
【0031】
地表面112を区分するメッシュ110の各頂点、即ちメッシュ点113(図9の白丸及び黒丸)に、メッシュ点番号を振ることで、個々のメッシュ点113の識別が可能になる。割り振ったメッシュ点113のメッシュ点番号は、そのメッシュ点113の位置情報とともにメッシュ点情報テーブル204(図10)に格納しておく。メッシュ点情報テーブル204に格納する位置情報としては、例えば、メッシュ点113の緯度及び経度と、並びに地球103の地心からメッシュ点113へ延ばしたベクトルの単位ベクトルであるメッシュ点位置方向単位ベクトルとを格納しておく。
【0032】
一実施形態においては、メッシュ点位置方向単位ベクトルは、地球103の地心を原点とし、北緯90度の北極点の方向にZ軸をとり、緯度0度及び経度0度の方向をX軸にとり、緯度0度及び経度90度の方向をY軸にとった座標系における、地心からメッシュ点113の座標へのベクトルの単位ベクトルとして取得される。なお、メッシュ点位置方向単位ベクトルの規定に用いる座標系はこれに限定されるものではなく、例えば、X軸とY軸が入れ替えてもよい。これらの各メッシュ点113の位置情報は、予め計算することが可能な値であり、本発明に係るいくつかの実施形態においては、メッシュ点情報生成部300がメッシュ点情報テーブル204を生成し、それを予め記憶装置403に格納しておくものとする。
【0033】
図11は、一実施形態に係る観測対象メッシュ点テーブル205を例示する図である。観測対象メッシュ点テーブル205は、1つの観測対象領域108を代表する観測対象メッシュ群111(図9の灰色領域)を構成する複数のメッシュ点113(図9の黒丸)のメッシュ点番号を格納する。なお、この観測対象メッシュ群111を構成する複数のメッシュ点113を以降の説明では、観測対象メッシュ点114とも称する。一実施形態においては、観測対象メッシュ点テーブル205は、メッシュ点情報テーブル204から個々のメッシュ110の緯度及び経度範囲を取得し、メッシュ110の緯度及び経度範囲に観測対象領域108を含むメッシュ110を抜き出し、抜き出したメッシュ110を構成するメッシュ点113のメッシュ点番号を抽出することで作成されてもよい。
【0034】
図12、図13、及び図14を参照して、衛星101の複数のパス109の中から候補パスを選定する処理を説明する。図12は、一実施形態に係る衛星軌道暦情報214を例示する図である。図13は、一実施形態に係るパス情報テーブル206を例示する図である。図14は、一実施形態に係る候補パステーブル207を例示する図である。
【0035】
一般に、特定の期間における衛星101の衛星軌道暦(時々刻々の位置情報)は事前に計算することが可能である。そして、衛星軌道暦からは、例えば、衛星101の時刻Tにおける位置情報(衛星101の地上軌跡106の緯度及び経度、地心から衛星101への位置ベクトルなど)、及び衛星101の交点経度及び交点通過時刻等の情報を取得することができる。本発明に係るいくつかの実施形態においては、軌道情報生成部301に衛星軌道暦を計算させ、得られた衛星軌道暦を含む衛星軌道暦情報214を生成し、それを予め記憶装置403に格納しておくものとする。
【0036】
図12に示す衛星軌道暦情報214の例では、上段から下段に向かって時刻Tが進められている。例示した衛星軌道暦情報214は、各時刻Tにおける、衛星101の地上軌跡106の緯度及び経度、衛星101の位置ベクトル、並びにその他の情報を含む。なお、衛星101の位置ベクトルは、上述した図10におけるメッシュ点位置方向単位ベクトルと同じ向きにX軸、Y軸及びZ軸をとった座標系におけるベクトルである。衛星軌道暦を含む衛星軌道暦情報214を参照することで、衛星101の時々刻々の位置情報、交点経度、及び交点通過時刻等を取得することが可能である。例えば、図12において、緯度:0.0000の行における時刻Tは、衛星101の昇交点通過時刻であり、経度は昇交点経度である。
【0037】
以上で例示したように、衛星軌道暦が取得可能である場合、衛星軌道暦を入力として交点経度(昇交点経度及び降交点経度)を算出し、交点経度にパス番号を付与してパス情報テーブル206(図13)を作成することができる。なお、パス情報テーブル206で付与するパス番号は軌道1周回(パス109)を識別できればよく、衛星軌道の準回帰条件に合わせて付与する必要はない。更に、衛星101の軌道116は準回帰軌道である必要もない。例えば現在時刻以降からの観測の依頼において指定された期日までの間の期間に通過する複数のパス109を交点経度で区別しパス番号を通過時刻が早い方から順から付与して、図13に示されるパス情報テーブル206を作成してもよい。図13のパス情報テーブル206では、パス109に付与したパス番号と、パス番号に対応するパスの昇交点経度及び降交点経度とを対応づけた例を示した。一実施形態においては、パス情報テーブル206は、衛星軌道暦を含む衛星軌道暦情報214を用いてパス情報テーブル生成部203により生成される。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、パス情報テーブル206を軌道情報生成部301に生成させ、生成されたパス情報テーブル206を例えばネットワーク410を介して取得し、記憶装置403に格納してもよい。
【0038】
続いて、パス情報テーブル206に含まれる複数のパス109のうちから、観測指定期間内に地上軌跡106が観測対象領域108の付近を通過するパス109を候補パスとして選定する。換言すると、観測指定期間内において、例えば姿勢制御を行った場合に、視野角内に観測対象領域108を収める可能性のあるパス109を候補パスとして選定する。なお、観測指定期間とは、例えば、「今日から1週間以内に観測領域の観測を完了してください」などの観測データの受領期日等により決まる、実際に観測対象領域108の観測に当てることが可能な期間のことである。一実施形態においては、候補パスの選定は以下のように行なわれる。
【0039】
図9及び図10を参照して述べたように1つの観測対象領域108を観測対象メッシュ群111で代表すると、観測対象メッシュ群111を構成するメッシュ点113の経度範囲は図10のメッシュ点情報テーブル204から取得可能であり、観測対象領域108の大まかな経度範囲も取得できる。そのため、観測対象領域108の大まかな経度範囲に近い(例えば観測対象領域108の経度範囲の+/−5〜20の経度範囲。一実施形態においては例えば+/−10度の経度範囲の)交点経度を観測指定期間内に通過するパス109を候補パスとして選定してもよい。或いは、パス109の地上軌跡106から観測対象領域108までの距離の最小値が、所定の距離以下となる観測指定期間内のパス109を選定することで候補パスを選定してもよい。地上軌跡106が観測対象領域108の付近を通過する候補パスの選定は、これらに限定されるものではなく、その他の手法を用いてもよい。
【0040】
なお、候補パスの選定は、必ずしも厳密に観測センサ102の視野角内に観測対象領域108を収めるパス109を選定する必要はなく、例えば観測センサ102の視野角内に観測対象領域108が収まらないパス109が選定された候補パスに含まれていてもよい。また、後述するように、ロール制御の角度を大きくすると、姿勢角=0で衛星直下を観測した場合と比較して観測結果の画像の画質が劣化するおそれがある。そのため、高い画質で観測を行いたい場合には、観測対象領域108の経度範囲により近い交点経度のパス109を候補パスとして選定するというように、目的に応じて候補パスの選定基準を動的に変更してもよい。
【0041】
続いて、選定した候補パスについて候補パステーブル207を生成する。選定した候補パスを観測指定期間内において、衛星101がどのような順序で通過するかは、例えば、衛星軌道暦を含む衛星軌道暦情報214から各候補パスの交点通過日時を取得することで分かる。そこで、衛星軌道暦を含む衛星軌道暦情報214から各候補パスの交点通過日時を取得し、各パスの交点通過日時に従って、例えば、候補パスを昇交点経度の通過順序の早い順に並べ替えてパス通過番号を付与し候補パステーブル207(図14)を作成する。図14に示すように、一実施形態においては、候補パステーブル207には、通過順序の早い順に上段から候補パスのパス番号が登録される。また、各候補パスの昇交点経度の通過時刻がパス開始時刻:Tsとして、候補パスが終了する時刻(即ち、候補パスの次の周回のパスの昇交点経度の通過時刻)がパス終了時刻:Teとして、 登録される。一実施形態においては、候補パステーブル207は、候補パス選定部220により生成され記憶装置403に格納される。
【0042】
続いて、図15を参照して、一実施形態に係る姿勢制御条件テーブル208について説明する。図15は、一実施形態に係る姿勢制御条件テーブル208を例示する図である。姿勢制御条件テーブル208には、衛星101での観測の際に、衛星101の姿勢をどのように制御するかを規定する複数の姿勢制御条件が登録されている。各姿勢制御条件には、姿勢制御条件毎に割り振られた姿勢制御条件識別番号(AMID)、姿勢制御条件がロール制御であるか、ロール・ヨー制御であるかを示す姿勢制御フラグ(IFA)、観測開始時刻におけるロール制御の条件:ロール角1(deg=α1)、観測終了時刻におけるロール制御の条件:ロール角2(deg=α2)、ヨー制御の条件:ヨー角(deg=β)、及び観測時間(sec=Δtobs)の情報が格納されている。図15においては、姿勢制御フラグ(IFA)の値が“R”の姿勢制御条件は、ロール制御の姿勢制御条件である。姿勢制御フラグ(IFA)の値が“RY”の姿勢制御条件は、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件である。姿勢制御がロール制御である場合には、ロール角2(deg=α2)、ヨー角(deg=β)、及び観測時間(sec=Δtobs)の情報については設定する必要が無いため、値を設定してはいない(詳細は後述する)。姿勢制御条件テーブル208の姿勢制御条件の姿勢角及び観測時間の値は、衛星101の仕様による制限値の範囲内で任意の値に設定できる。
【0043】
図15の例では、姿勢角=0で観測を行う姿勢制御条件は、ロール制御におけるα1=0のAMID:1で規定されている。また、ロール制御に関して、例えばAMID:2に規定される姿勢制御条件ではロール角1がα1=−20度に設定されている。これは姿勢角=0の姿勢において衛星101の進行方向と一致しているロール軸の方向に、右ねじの進行方向を合わせた場合に、右ねじの回転方向とは逆の回転方向に20度回転させる姿勢制御を行うことを表している。
【0044】
また、ロール・ヨー制御に関して、例えばAMID:58に規定される姿勢制御条件ではロール角1がα1=15度に設定されている。これは姿勢角=0の姿勢において、衛星101の進行方向と一致しているロール軸の方向に、右ねじの進行方向を合わせた場合に、右ねじの回転方向と同じ回転方向に30度回転させた姿勢を、観測開始時刻にとるようにロール角を制御することを表している。また、AMID:58に規定される姿勢制御条件ではロール角2がα2=−15度に設定されている。これは姿勢角=0の姿勢において、衛星101の進行方向と一致しているロール軸の方向に、右ねじの進行方向を合わせた場合に、右ねじの回転方向とは逆の回転方向に15度回転させた姿勢を、観測終了時刻にとるようにロール角を制御することを表している。更に、AMID:58に規定される姿勢制御条件ではヨー角がβ=40度に設定されている。これは姿勢角=0の姿勢において、地球103の地心方向と一致しているヨー軸の方向に、右ねじの進行方向を合わせた場合に、右ねじの回転方向と同じ回転方向に40度回転させた姿勢を、観測時間Δtobsの間とるようにヨー角を制御することを表している。
【0045】
また更に、AMID:58に規定される姿勢制御条件では観測時間Δtobsが180秒に設定されている。これは観測時間が180秒であることを示している。また、観測時間Δtobsの180秒は、ロール・ヨー制御において、観測開始時刻での姿勢のロール角15度から観測終了時刻での姿勢のロール角−15度まで観測時間:Δtobs=180秒にわたってロール角を一定の間隔又は速度で徐々に動かすことを表している。
【0046】
姿勢制御条件テーブル208のロール制御におけるロール角α1、及びロール・ヨー制御におけるロール角α1、α2、及びヨー角βの限界値は上述したように衛星101が取ることが可能な姿勢の範囲等の衛星仕様などにより決まる。また、観測時間Δtobsの限界値は観測に用いる観測センサ102の可能な観測時間、及び衛星101が実行可能なロール制御の速度等の衛星101の仕様などによって決まる。衛星101の仕様などに従って実施可能な範囲であれば、姿勢制御条件テーブル208に登録される姿勢制御条件のロール角α1、α2、ヨー角β、及び観測時間Δtobsは任意の値に設定できる。
【0047】
姿勢制御条件のロール角α1、α2、ヨー角β、及び観測時間Δtobsの値を様々な値に設定することで、パス109に沿って様々な観測範囲105を設定することができる。図16は、一実施形態に係る観測時間を変更した際の観測範囲105の変化を例示する図である。図16は、衛星101を真上から見た状態である。図16において、Δtobsを240秒とした時の観測範囲105を縦縞領域として示す、300秒とした時の観測範囲105を灰色領域として示す、及び360秒とした時の観測範囲105を横縞領域として示す。図示されるように、ロール・ヨー制御では、観測時間Δtobsが変化すると、観測センサ102の中心視点107の軌跡と、衛星101の地上軌跡106との成す角が変化し、観測される範囲も変わってくることが分かる。
【0048】
続いて、1つの観測対象領域108を代表する観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114のうちの1つに着目し、その観測対象メッシュ点114が衛星101の観測範囲105に含まれるか否かを判定する処理について図17から図19を参照して説明する。図17は、一実施形態に係る衛星101の観測センサ102の視野端ポインティング位置ベクトルPの算出について説明する図である。図18は、一実施形態に係る観測範囲105と観測対象メッシュ点114との配置をベクトルで表す図である。図19は、一実施形態に係る観測対象メッシュ点114の観測可否判定処理について説明する図である。
【0049】
まず、観測範囲105について説明する。いくつかの実施形態において、観測範囲105は以下の4点で囲まれた領域として規定される。まず、観測開始時刻における衛星101の姿勢と、衛星101が備える観測センサ102の視野角θ1及びθ2とによって定まる観測センサ102の視野端の位置W1及びW2の2点。続いて、観測終了時刻における衛星101の姿勢と、観測センサ102の視野角θ1及びθ2とによって定まる観測センサ102の視野端の位置W1及びW2との2点。以上のW1、W2、W1、及びW2の四点で囲まれる領域を以降の説明では観測範囲105として用いる。
【0050】
続いて、或る時刻における観測センサ102の視野端ポインティング位置ベクトルPの計算について、図17を参照して説明する。視野端ポインティング位置ベクトルPは、地心から衛星101の観測センサ102の地表面112上の視野端を指すベクトル(図17の矢印P)である。或る時刻における観測センサ102の視野端ポインティング位置ベクトルP(例えば、地心から視野端W1、W2、W1、及びW2を指すベクトル)は、以下のように求めることができる。
【0051】
まず、或る時刻における衛星101から、観測センサ102の地表面112上の視野端へのベクトルであるセンサ視野端方向ベクトルρを取得する。センサ視野端方向ベクトルρは事前に取得可能な値を用いて以下の式1で計算される。
【0052】
【数1】

【0053】
前述の通り衛星軌道暦(時々刻々の衛星位置情報)は事前に取得することが可能な値であり、衛星軌道暦から式1中の衛星101の地心からの位置ベクトルRを取得できる。一実施形態においては、記憶装置403に格納されている衛星軌道暦情報214から位置ベクトルRを取得する。式1中のRとρとの成す角φは、衛星101の仕様(例えば、ロール制御とヨー制御をどのような順序で実行するか)と、観測センサ102の視野角θ1及びθ2と、ロール角α(α1,α2)と、及びヨー角βとが分かれば計算することができる。衛星101の観測センサ102の視野角θ1及びθ2は観測センサ102の仕様によって定まる値であり、事前に取得することが可能な値である。また、ロール角α(α1,α2)、及びヨー角βは設定値であるため、例えば図15に示した姿勢制御条件テーブル208などから予め取得可能な値である。従って、φ角も事前に計算することが可能である。aeは地球赤道半径であり、これも取得可能な値である。従って、上記式1により衛星101から観測センサ102の視野端へのセンサ視野端方向ベクトルρが計算できる。
【0054】
求めるべきセンサ視野端ポインティング位置ベクトルP(例えば、地心からW1、W2、W1、及びW2へのベクトル)は以下の式2で求められる。
P=R+ρ ・・・式2
【0055】
R及びρは上述のとおり取得されているため、以上の式を用いることで、観測範囲105を規定する4点、即ち、観測開始時刻における衛星101の観測センサ102の視野端の位置W1及びW2、並びに観測終了時刻における衛星101の視野端の位置W1及びW2に対する、地心からのセンサ視野端ポインティング位置ベクトルP:P(i=1,2,3,4)をそれぞれ求めることができる。各センサ視野端ポインティング位置ベクトルPの方向単位ベクトルuは以下の式3で求めることができる。
=P/|P| ・・・式3
【0056】
以上により、点W1、W2、W1、及びW2のそれぞれへの方向単位ベクトル:u、u、u、及びuが求められる。
【0057】
続いて、これら4つの方向単位ベクトルを用いて、観測範囲105に観測対象のメッシュ点113が包含されるか否かを判定する処理について、図18及び図19を参照して説明する。図18には、地表面112上の点W1、W2、W1、及びW2で取り囲まれる観測範囲105、のそれぞれへの方向単位ベクトル:u、u、u、及びu、並びに観測対象のメッシュ点Sとその位置ベクトル:uとが示されている。
【0058】
ここで、u、u、u、及びuについては、図17を参照して上述したように、式1及から式3により求めることができる。また、メッシュ点Sの位置方向単位ベクトル:uは、予め計算することが可能であり、例えば図10に示されるように、メッシュ点情報テーブル204に格納しておくことで、観測対象メッシュ点位置方向単位ベクトルはメッシュ点情報テーブル204から取得することができる。
【0059】
ここで、観測対象の或るメッシュ点Sが観測範囲105において観測可能である条件は、メッシュ点Sが点W1、W2、W1、及びW2で囲まれる領域内にあればよく、これは以下のように判定することができる。
【0060】
観測対象の或るメッシュ点Sが観測範囲105の境界線W1−W2よりも観測範囲105の内側の方向に存在することは以下で判定される。まず、u,uが成す面から観測範囲105の内側方向に延びる法線ベクトルV12を外積で求める(図19)。
12=u×u
【0061】
続いて、uと、この法線ベクトルV12との内積が以下の条件を満たすと、u,uが成す面より法線ベクトルV12が延びる方向(即ち、観測範囲105の内側方向)にメッシュ点Sが存在することになる(図19)。
・V12≧0
【0062】
同様に、観測対象のメッシュ点Sが観測範囲105の境界線W1−W2よりも観測範囲105の内側方向に存在することは以下で判定される。まず、u,uが成す面から観測範囲105の内側方向に延びる法線ベクトルV43を外積で求める(図19)。
43=u×u
【0063】
と、この法線ベクトルV43との内積が以下の条件を満たすと、u,uが成す面より法線ベクトルV43が延びる方向(即ち、観測範囲105の内側方向)にメッシュ点Sが存在することになる(図19)。
・V43≧0
【0064】
観測範囲105の境界W1−W1と、境界W2−W2とに挟まれる領域にメッシュ点Sが存在する条件も、同様に以下が成立することである。
31=u×u
24=u×u
・V31≧0
・V24≧0
【0065】
従って、以下の4つの条件が満たされれば、メッシュ点Sは観測範囲105内に存在することになる。
・V12≧0
・V43≧0
・V31≧0
・V24≧0
【0066】
以上を換言すると、観測対象メッシュ点114が観測範囲105に包含されるか否かの判定は以下で実行できる。観測開始時刻における衛星101の観測センサ102の視野端の位置W1s及びW2sと、観測終了時刻における衛星101の視野端の位置W1e及びW2eとで囲まれた領域を観測範囲105とする。この場合に、観測範囲105の辺を形成する隣り合う2点と、地心とで形成される4面をとる。この4面のそれぞれから観測範囲105の内側の方向に延びる法線ベクトルと、地心から観測対象メッシュ点114へと延びるベクトルの単位ベクトルとの内積を計算し、いずれの内積も0以上である場合に観測対象メッシュ点114は観測範囲105の内側にあると判定できる。
【0067】
以上の条件式判定により、1つのメッシュ点の観測可否を判別できる。以降の説明では、この1つのメッシュ点113の観測可否を判別する処理を、「メッシュ点観測可否判定処理」とも称する。
【0068】
なお、このメッシュ点観測可否判定処理は以下の2つの利点を含んでいる。
a)この判定では観測範囲105(W1、W2、W1、及びW2で囲まれる領域)と地上軌跡106との位置関係を規定していない。従って、例えば、観測範囲105(W1、W2、W1、及びW2で囲まれる領域)が地上軌跡106に対して傾いていても問題なく判定することができる。
【0069】
b)判定の対象時刻における衛星位置情報を直接使っているため、その衛星軌道が「どのような準回帰条件であるか」に、この判定は依存しない。即ち、この判定を行う上では、例えば、衛星101が準回帰軌道である必要はない。従って、衛星101の準回帰条件が変更されても問題なく判定を行うことができる。
【0070】
上述したように、或る1つのメッシュ点113が観測範囲105内に存在するか否かは、メッシュ点観測可否判定処理により判別できる。従って、例えば図9に例示した観測対象領域108が観測できるか否かは、観測対象領域108を代表する観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114のそれぞれに対して、メッシュ点観測可否判定処理を実行することで判定することができる。
【0071】
以下には、メッシュ点観測可否判定処理を利用して、1つの観測対象領域108を代表する観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114の観測の可否を判定し、観測対象領域108を効率良く観測できる姿勢制御条件を提示するための観測計画立案処理について説明する。
【0072】
図20は、いくつかの実施形態に係る観測計画立案処理の動作フロー図である。図20の動作フローは、観測計画立案装置200において観測計画立案処理が実行されると開始する。ステップS101において、観測条件入力部224は、例えば入出力装置407を介してユーザーからの1つの観測対象領域108(例えば、図9の斜線領域)を指定する入力を受け付ける。続いて、観測対象メッシュ点抽出部221は、ステップS102で、入力された観測対象領域108を含む観測対象メッシュ群111(例えば、図9の灰色領域)を選定する。観測対象メッシュ点抽出部221は、選定した観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114(例えば、図9の黒丸)のメッシュ点番号をメッシュ点情報テーブル204から抽出して、観測対象メッシュ点テーブル205を生成する。ステップS103において、観測条件入力部224は、例えば入出力装置407を介して観測指定期間の入力を受け付ける。ステップS103の処理では、例えば、「今日から1週間以内」等の観測指定期間の指定をユーザーから受け付ける。
【0073】
ステップS104において、候補パス選定部220は、パス情報テーブル206から候補パスを選定し、選定した候補パスのパス番号を取得する。この処理では、例えば、図13に示されるパス情報テーブル206から、観測指定期間内に通過するパス109を抽出し、更に抽出したパス109の中から、観測対象メッシュ点114の近傍を通過するパス109を候補パスとして選定する。一実施形態においては、候補パス選定部220は、メッシュ点情報テーブル204と観測対象メッシュ点テーブル205とから、観測対象メッシュ群111の経度範囲を取得する。続いて、パス情報テーブル206から、観測指定期間内に通過するパス109を抽出し、抽出したパス109の交点経度のうちで、取得した観測対象メッシュ群111の経度範囲の例えば+/−5〜20度の経度範囲(一実施形態においては+/−10度)の範囲を通過するパス109を候補パスとして選定する。
【0074】
続いて、ステップS105において、候補パス選定部220は、衛星軌道暦情報214に含まれるパス109の交点通過時刻の情報に基づいて、選定した候補パスをパス109の通過順序の早い順に並べ替え、図14に示される候補パステーブル207を作成する。
【0075】
ステップS106において、姿勢制御条件の入力を受け付ける。姿勢制御条件は、例えば、図15に示される姿勢制御条件テーブル208から入力される。なお、後述する第1の実施形態では、ロール制御の姿勢制御条件を処理の対象とするため、第1の実施形態ではステップS106で入力する姿勢制御条件は、姿勢制御条件テーブル208において姿勢制御フラグ:IFAの値が“R”のロール制御の姿勢制御条件を入力する。一方、後述する第2の実施形態では、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件を処理の対象とするため、第2の実施形態ではステップS106で入力する姿勢制御条件は、姿勢制御条件テーブル208において姿勢制御フラグ:IFAの値が“RY”のロール・ヨー制御の姿勢制御条件を入力する。
【0076】
ステップS107からステップS109の処理は評価材料特定部222によって実行される、繰り返し処理である。ステップS107において、処理の繰り返しの度に、評価材料特定部222は、ステップS106で入力された姿勢制御条件から姿勢制御条件を1つずつ読み出す。
【0077】
ステップS108において、評価材料特定部222は、読み出した姿勢制御条件に対して、姿勢制御条件の評価材料特定処理を実行し、姿勢制御条件の間で観測の良し悪しを比較することが可能な姿勢制御条件の評価材料情報を特定する。また、評価材料情報からは各姿勢制御条件における最適な観測条件も特定できる。姿勢制御条件の評価材料特定処理の詳細については後述する。
【0078】
上述したように、ステップS107からステップS109までの処理は評価材料特定部222による繰り返し処理である。ステップS107において、繰り返しの度に、評価材料特定部222は、ステップS106で入力された姿勢制御条件を読み出し、ステップS106で入力された全ての姿勢制御条件の読み出しが完了するまで、ステップS107からステップS109の処理を繰り返す。全ての姿勢制御条件の読み出しが完了すると、フローはステップS109からステップS110へと進む。
【0079】
ステップS110において、姿勢制御条件評価部223は、姿勢制御条件毎に評価材料テーブル212に登録された姿勢制御条件の評価材料情報に基づいて、姿勢制御条件を評価の高い順に並べ替える。また、姿勢制御条件評価部223は、並べ替えにより上位に位置する評価の高い姿勢制御条件を抽出し評価結果テーブル213を生成する。なお、評価材料情報に基づいた姿勢制御条件の評価の高い順の並べ替えは、実行される姿勢制御条件の評価材料特定処理によって異なるため、これについても評価材料特定処理とともに後述する。
【0080】
ステップS111において、表示部202は、評価結果テーブル213を、例えばディスプレー等の入出力装置407を介して表示して、本動作フローは終了する。
以上で述べた、観測計画立案処理に関して、特には、姿勢制御条件の評価材料特定処理から評価結果テーブル213の表示までの処理に関して、以下にロール制御を用いる第1の実施形態と、ロール・ヨー制御を用いる第2の実施形態とに分けて説明する。
【0081】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係るロール制御を用いる場合の姿勢制御条件の評価材料特定処理について説明する。第1の実施形態では、ロール制御を用いて観測対象領域108の観測を行う。
【0082】
ロール制御を用いて観測を行う場合に以下の前提の下で観測を行うものとする。
衛星101の観測センサ102による観測では、通常、観測の際の姿勢角が異なると観測される画像の分解能も異なる。そのため、画質を考慮すると、1つの観測対象領域108に対してはできるだけ同一の姿勢角で観測を完了することが好ましい。従って、第1の実施形態に係るロール制御とは、観測開始時刻において所定のロール角の姿勢を衛星101にとらせた以降は、1つの観測対象領域108の観測を完了するまでそのロール角を変更しないことを前提とする。即ち、観測対象領域108の観測中にロール角を変更することはせず、観測開始時刻のロール角を維持して観測を行うものとする。また、観測対象領域108が広域にわたる場合、ロール制御を行ったとしても観測対象領域108を1パスで観測範囲105内に収めることができない場合がある(例えば、図8の(d))。そのような場合には、観測対象領域108の観測の実行を複数のパス109に分割せざるを得ないが、複数のパス109で観測対象領域108を観測する場合にも各パス109では同一のロール角で観測するものとする。例えば、観測対象領域108の或る部分をα1=30degで観測し、残りの部分をα1=−20degで観測するということはせず、観測対象領域108の或る部分をα1=30度で観測したならば、残りの部分もα1=30度で観測するものとする。
【0083】
このような条件の下で、姿勢制御条件テーブル208に登録されている様々なロール制御の姿勢制御条件の評価材料情報を特定する。ロール制御の姿勢制御条件の評価材料特定処理では、各ロール制御の姿勢制御条件において、観測対象領域108の観測の完了までに観測を実行する必要があるパス109(以降の説明では要観測パスとも称する)を、評価材料情報として特定する。また、その要観測パス内で観測対象領域108が観測される期間を表す観測開始時刻と、観測終了時刻も評価材料情報として特定する。
【0084】
或るロール制御の姿勢制御条件において、候補パスの中で、衛星101が観測対象領域108の観測を完了するまでに観測を実行する必要がある要観測パス、その要観測パス内での観測対象領域108の観測開始時刻及び観測終了時刻は、以下の処理で特定できる。
【0085】
まず、観測対象領域108を含むメッシュ110を選定することで1つの観測対象領域108を観測対象メッシュ群111で代表する。また、衛星101の複数のパス109の中から、観測対象メッシュ群111の付近を通過する複数の候補パスを選定する。続いて、姿勢制御条件テーブル208に登録されている複数のロール制御の姿勢制御条件のそれぞれに対し以下の処理を繰り返す。まず、複数の候補パスの中から通過順序の早い順に1パス選択する。候補パスを通過順序の早い順に選択するのは、できるだけ早くに観測を完了することが最適な観測計画の要件の1つだからである。選択した候補パスのパス開始時刻からパス終了時刻までにわたってΔT間隔で時刻Tを進め、各時刻において、読み出したロール制御の姿勢制御条件での観測範囲105を順次切り出しパス109内をサーチする。切り出した各観測範囲105において観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114のそれぞれに対して上述のメッシュ点観測可否判定処理を実行し、観測対象メッシュ点114が観測範囲105に含まれるか否かを判定する。この判定を時刻Tがパス終了時刻に達するまで繰り返し、選択した候補パスにおいて観測された観測対象メッシュ点114と、その観測時刻とを特定する。更に、選択した候補パスにおいて観測できた観測対象メッシュ点114を特定したため、全ての観測対象メッシュ点114が観測できたか否かを判定することができる。全ての観測対象メッシュ点114を観測しきれていない場合には、次に通過順序の早い候補パスを選択し、未だ観測できていない観測対象メッシュ点114に対して同様の処理を実行し、全ての観測対象メッシュ点114が観測されるまでこの処理を繰り返す。処理において、選択した候補パスに、その候補パスで初めて観測される観測対象メッシュ点114が存在する場合には、選択した候補パスを要観測パスとする。この様にして、観測対象領域108の観測の完了までに必要な要観測パスと、その要観測パスでの観測開始時刻及び観測終了時刻とを姿勢制御条件毎に特定する。ここで、或る姿勢制御条件において特定された要観測パスの数は、その姿勢制御条件で観測対象領域108を観測した場合に、観測の完了までに観測の実行が必要なパス数である。また、或る姿勢制御条件において特定された要観測パスの中で、最も遅い時刻に通過する要観測パスの観測完了時刻は観測対象領域108の観測が完了する時刻である。そのため、これらの値を比較することで観測を依頼した顧客の希望等に合った最適な姿勢制御条件と、その姿勢制御条件での観測期間とを提示することが可能になる。
【0086】
図21は、第1の実施形態に係るロール制御の姿勢制御条件での或る時刻を中心とする微小時間ΔTにおける観測範囲105を例示する図である。図示されるように、観測センサ102の中心視点107が地表面112を移動する軌跡は衛星101の軌道116から角度:α1で傾いており、そこから観測幅Wの範囲を衛星101の地上軌跡106に沿って観測センサ102は地表面112を刈り取るように観測していく。候補パスをサーチする時刻間隔をΔTとすると、或る時刻を中心としたΔT期間における観測範囲105を実線の枠で囲まれた領域として示した。観測範囲105はΔTの時刻間隔で衛星101の進行方向にずれて行き、候補パスをサーチしてゆく。観測範囲105の幅はセンサの視野角できまる観測幅Wであり、長さはサーチ時刻間隔ΔT間に衛星が移動する距離で決まる。つまり、連続した観測対象領域を時間ΔTに対応した長さで分割して扱うことになる。候補パスをサーチする際に用いる観測時刻間隔は、衛星101の仕様を超えない範囲であれば任意の値に設定することができる。しかしながら、観測対象メッシュ点114が存在し無い領域をできる限り観測範囲105に含むことが無いように、実際に観測対象領域108の観測に用いる観測時間:Tos〜Toeを設定することを考慮すると、衛星101の進行方向に対し1〜5列程度のメッシュ点が観測範囲105に収まるように候補パスのサーチの際の観測時刻間隔を設定することが好ましい。一実施形態においては、候補パスをサーチする時刻間隔ΔTは0.5〜3分の間に設定され、例えば1分に設定される。 候補パスのサーチにおいて、観測範囲105はΔT間隔で衛星101の進行方向にずれて行き、各観測範囲105で観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114のそれぞれに対して、上述のメッシュ点観測可否判定処理が実行し、観測の可否を判定する。図21においては黒色の観測対象メッシュ点114は、この候補パスにおいて観測できる観測対象メッシュ点114を表しており、白色の観測対象メッシュ点114はこの候補パスでは観測できない観測対象メッシュ点114を表している。
【0087】
なお、図21に示されるように、候補パスにおいて、ΔT間隔で時刻Tを進めながら観測範囲105を切り取り、初めて観測範囲105内に観測対象メッシュ点114が含まれる時刻が観測開始時刻:Tosとして設定される。一方、候補パスにおいて、ΔT間隔で時刻Tを進めながら観測範囲105を切り取り、観測範囲105内に観測対象メッシュ点114が含まれる最も遅い時刻は観測終了時刻:Toeとして設定される。
【0088】
また、図21において、点線の枠は観測シーン104を表している。上述したように観測シーン104は、地球観測データの売買などの際に用いられる単位であるため、観測シーン104の大きさは衛星101の性能を超えない範囲であれば自由に設定できる。図21では、衛星101の観測幅Wに沿った2つの観測シーン104が示されている。
【0089】
図22は、第1の実施形態に係る観測パス管理テーブル209を例示する図である。観測パス管理テーブル209は、観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114に対する、或る姿勢制御条件における観測可否判定処理の判定結果を管理するために用いられる。観測パス管理テーブル209の列には、候補パステーブル207で並べ替えた順序に従い、通過順序の早い順に図面左側より候補パスが並べられている。なお、パス通過番号は、候補パスの通過順序を表す番号である。また、行には観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114のそれぞれのメッシュ点番号と、観測済みメッシュ点数と、パス別情報とが並べられている。各候補パスの列は、観測フラグ:MOBSと観測時刻:Tobsとを含んでいる。観測フラグ:MOBSは、行に示す観測対象メッシュ点番号の観測対象メッシュ点114が観測済みであるか否かを示す情報である。前述したように通過順序の早い候補パスから順に、各観測対象メッシュ点114に対して観測可否判定処理の判定が行われる。或る候補パスにおいて、或る観測対象メッシュ点114が初めて観測できた場合には、その観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号の行、且つ、観測できた候補パスの観測フラグ:MOBSの列に“1”を格納する(図22のボックスB1)。更に、観測できた観測対象メッシュ点114の観測された時刻も観測時刻:Tobsに格納する(図22のボックスB1)。また、観測対象メッシュ点114が或る候補パスにおいて観測でき、その観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号の観測フラグ:MOBSに“1”を格納した場合は、その候補パスよりも通過順序が遅い図面右側の候補パスについても、観測フラグ:MOBSに“1”を格納する(図22のボックスB2)。
【0090】
観測済みメッシュ点数の欄には、各候補パスの列において観測フラグ:MOBSの値が“1”の観測対象メッシュ点114の数が格納される(図22のボックスB3)。上述したように、或る候補パスにおいて観測対象メッシュ点114が観測された場合、その後続の候補パスにおいても観測フラグ:MOBSに“1”が格納される。そのため、観測済みメッシュ点数に格納される数値は、その観測済みメッシュ点数が格納されている候補パスの終了時までに観測された、観測済みの観測対象メッシュ点114の合計数である。従って、観測済みメッシュ点数が、観測対象メッシュ群111を構成する観測対象メッシュ点114の総数と一致している場合には、観測対象メッシュ群111の全体が観測できたことを示している。例えば、図22の例において、観測対象メッシュ点114の総数が55個であるとすると、パス通過番号:i番の候補パス(パス番号50)で観測済みメッシュ点数が55個となり総数と一致する(図22のボックスB4)。これは、i番の候補パスでの観測の終了時には全ての観測対象メッシュ点114が観測済みになることを示している。
【0091】
パス別情報には、各候補パスの列毎に、パス観測フラグ:POBSと、パス観測開始時刻:Tosと、パス観測終了時刻:Toeの情報が格納される。パス観測フラグ:POBSは、候補パス毎に、その候補パスにおいて初めて観測された観測対象メッシュ点114が有るか否かを示す情報であり、初めて観測された観測対象メッシュ点114が有る場合には値“Y”が格納される(図22のボックスB5)。候補パスにおいて観測できる観測対象メッシュ点114があるとしても、その観測対象メッシュ点114が初めて観測された観測対象メッシュ点114でない場合には、観測済みメッシュ点数の数が前の候補パスと同じ数値になる。この場合には、パス観測フラグ:POBSにも値“Y”は格納されない(図22のボックスB6)。パス観測フラグ:POBSに値“Y“が格納される場合に、値”Y“が格納された候補パスの観測時刻:Tobsの列に格納されている時刻の中から、最も早い時刻がパス別情報のパス観測開始時刻:Tosに格納され、最も遅い時刻がパス観測終了時刻:Toeに格納される。従って、パス観測開始時刻:Tosからパス観測終了時刻:Toeまでの期間を観測すれば、その候補パスにおいて初めて観測された観測対象メッシュ点114は全て観測できることになる。観測パス管理テーブル209に値を入力する処理については、図23の動作フローを参照して後述する。
【0092】
図23は、第1の実施形態に係るロール制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理の動作フロー図である。図23に示すロール制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理の動作フローは、図20のステップS108において実行される。なお、第1の実施形態においては、図20のステップS106で入力される姿勢制御条件は、ロール制御の姿勢制御条件とする。
【0093】
図23の動作フローは、図20の動作フローにおいてステップS108に進むと開始する。ステップS201において、評価材料特定部222は、図20のステップS107で読み出された姿勢制御条件のロール角α1を読み込む。ステップS202において、評価材料特定部222は、観測パス管理テーブル209を初期状態にリセットする。これは、本動作フローの前回の実行時に観測パス管理テーブル209に設定された値等を消去し、新たなデータを入力可能な初期状態に戻す処理である。
【0094】
ステップS203からステップS218までの処理は繰り返し処理である。ステップS203において、評価材料特定部222は、処理の繰り返しの度に、図14に示される候補パステーブル207から候補パスを通過順序の早い順に1パスずつ読み出す。図14に示される候補パステーブル207は、前述したように既に通過順序の早いパスから順番に候補パスが並べられているので、一番上の候補パスから順に候補パスが選択される。
【0095】
ステップS204において、評価材料特定部222は、選択したパス通過番号:i番の候補パスのパス番号と、パス開始時刻(Ts)として昇交点経度通過時刻(UTC)と、及びパス終了時刻(Te)としてi番の候補パスの次の周回の昇交点経度通過時刻(UTC)を候補パステーブル207から読み出す。
【0096】
ステップS205からステップS215までは繰り返し処理である。ステップS205において、評価材料特定部222は、初期値として時刻Tにパス開始時刻(Ts)を格納し、以降、繰り返しの度に、時刻Tがパス終了時刻(Te)を過ぎるまで時刻Tに時刻間隔ΔTを加算しながら、ステップS205からステップS215までの処理を繰り返す。
【0097】
ステップS206において、評価材料特定部222は、観測開始時刻:時刻T−ΔT/2、及び観測終了時刻:時刻T+ΔT/2における衛星101の地心からの位置ベクトル(図17におけるR)を、衛星軌道暦を含む衛星軌道暦情報214から読み込む。ステップS207において、評価材料特定部222は、観測開始時刻:時刻T−ΔT/2における衛星101の観測センサ102の視野端の位置W1及びW2への位置方向単位ベクトル:u、uを計算する。また、観測終了時刻:時刻T+ΔT/2における衛星101の視野端の位置W1及びW2の位置方向単位ベクトル:u、uも計算する。位置方向単位ベクトル:u、u、u、及びuについては、図17から図19を参照して上述したように、衛星位置ベクトルRと、衛星101の観測センサ102の視野角θ1及びθ2と、ロール制御の角度α1とから計算することができる。また、上述したようにW1、W2、W1、及びW2で囲まれた領域は時刻Tにおける観測範囲105である。
【0098】
ステップS208からステップS214までは繰り返し処理である。ステップS208において、繰り返しの度に、評価材料特定部222は、観測対象メッシュ点テーブル205から観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号を順に1つずつ読み出し、観測対象メッシュ点テーブル205に登録されている全ての観測対象メッシュ点114が読み出されるまで、ステップS208からステップS214までの処理を繰り返す。ステップS208で読み出したメッシュ点番号の観測対象メッシュ点114が既に観測済みか否かを判定するために、ステップS209では、評価材料特定部222は、観測パス管理テーブル209において、読み出したメッシュ点番号のi番の候補パスの観測フラグ:MOBSの値を参照する。続いて、ステップS210において、評価材料特定部222は、その値が1か否かを確認する。観測フラグ:MOBSの値が1であれば、既にその観測対象メッシュ点114は、別の候補パスで観測済みであるため、ステップS210はYesと判定されフローはステップS214へと進む。一方、ステップS210において、読み出した観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号に対するi番の候補パスの観測フラグ:MOBSの値に1が入っていなければ、選択した観測対象メッシュ点114は未だ観測されていないため、Noと判定されフローはステップS211へと進む。ステップS211において、評価材料特定部222は、選択した観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号を用いてメッシュ点情報テーブル204を参照し、選択した観測対象メッシュ点114のメッシュ点位置方向単位ベクトル:uを読み込む。
【0099】
ステップS212において、評価材料特定部222は、ステップS207で取得した観測範囲105の位置方向単位ベクトル:u、u、u、及びuと、選択した観測対象メッシュ点114の位置方向ベクトル:uとを用いて、上述したメッシュ点観測可否判定処理を実行し、選択した観測対象メッシュ点114が観測範囲105(W1、W2、W1、及びW2で囲まれる領域)内に存在するか否かを判定する。ステップS212において、選択した観測対象メッシュ点114が観測範囲105内に存在しない場合は、Noと判定され、フローはステップS214へと進む。一方、ステップS212において、選択した観測対象メッシュ点114が観測範囲105内に存在する場合は、Yesと判定されフローはステップS213へと進む。
【0100】
ステップS213において、評価材料特定部222は、観測パス管理テーブル209に以下の値を設定する。まず、選択した観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号に対する、選択したパス通過番号:i番の候補パスの観測フラグ:MOBSに1を設定して選択した観測対象メッシュ点114が観測済みであることを記録する。また、観測時刻:Tobsに時刻Tを設定し、選択した観測対象メッシュ点114が観測範囲105に収まった時刻を記録する。更に、i番の候補パスのパス観測フラグ:POBSに“Y”を設定し、i番の候補パスにおいて初めて観測範囲105に収まった観測対象メッシュ点114が少なくとも1つ存在することを記録する。即ち、パス観測フラグ:POBSに設定される“Y”は、その候補パスが、観測を実行する必要のある要観測パスであることを示している。更に、i番の候補パスの以降に通過する全ての候補パスについても、選択した観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号に対する観測フラグ:MOBSに1を設定し、選択した観測対象メッシュ点114が観測済みであることを記録する。これにより、以降に通過する候補パスでは、ステップS210がYと判定されるため、観測済みの観測対象メッシュ点114に対してはステップS211からステップS213の処理は実行されない。以上の値を観測パス管理テーブル209に書き込んだ後、フローはステップS214へと進む。
【0101】
上述した通り、ステップS208からステップS214までは繰り返し処理である。ステップS214では、観測対象メッシュ点テーブル205に登録されている全ての観測対象メッシュ点114が読み出されていない場合はステップS208へと戻るが、全ての観測対象メッシュ点114が読み出されている場合にはステップS215へと進む。ステップS208からステップS214までの繰り返し処理により、観測対象メッシュ点テーブル205に含まれる未だ観測されていない観測対象メッシュ点114が、i番の候補パスの時刻Tにおける観測範囲105に収まるか否かが判定される。
【0102】
また、上述した通り、ステップS205からステップS215までは繰り返し処理である。ステップS215では、繰り返しの度に、時刻間隔ΔTを加算することで時刻Tが進められ、加算後の時刻Tがパス終了時刻(Te)を過ぎていなければステップS205へと戻る。一方、加算後の時刻Tがパス終了時刻(Te)を過ぎている場合には、ステップS216へと進む。ステップS205からステップS215までの繰り返し処理により、i番の候補パスの地上軌跡106に沿ってΔT間隔で観測範囲105が設けられ、各観測範囲105において観測対象メッシュ点テーブル205に含まれる未だ観測されていない観測対象メッシュ点114が観測範囲105に収まったか否かが判定されることになる。
【0103】
ステップS216において、評価材料特定部222は、以下の値を観測パス管理テーブル209に格納する。まず、観測パス管理テーブル209のi番の候補パスの列の観測フラグ:MOBSを参照し、値が1となっている観測対象メッシュ点114の個数をカウントして、その個数を観測済みメッシュ点数:Nobsに格納する。例えば、図22の例では、2番パス(パス番号46)で観測済みメッシュ点数:Nobsに10が格納されており、これは10個の観測対象メッシュ点114が2番パスの終了までに観測済みであることを示している。また、観測パス管理テーブル209のi番の候補パスの列において、パス観測フラグ:POBSを参照し、値が“Y”であれば、i番の候補パスの列の観測時刻:Tobsに格納されている値のうちで最も早い観測時刻をパス観測開始時刻:Tosに設定し、最も遅い観測時刻をパス観測終了時刻:Toeに設定する。従って、i番の候補パスにおいては、設定したパス観測開始時刻:Tosからパス観測終了時刻:Toeまでの期間で観測を行えば、i番の候補パスで初めて観測された観測対象メッシュ点114については観測ができることになる。以上の値を観測パス管理テーブル209に格納した後、フローはステップS217へと進む。
【0104】
ステップS217において、評価材料特定部222は、読み出したロール制御の姿勢制御条件において、全ての観測対象メッシュ点114が観測されたか否かを、観測済みメッシュ点数:Nobsの値が観測対象メッシュ点114の総数:Ntotと等しいか否かを判定することで判定する。等しい場合には、読み出したロール制御の姿勢制御条件において全ての観測対象メッシュ点114が観測されているため、Yesと判定し、フローはステップS219へと進む。一方、等しくない場合には、読み出したロール制御の姿勢制御条件での観測で未だ観測されていない観測対象メッシュ点114が存在するため、Noと判定し、フローはステップS218へと進む。
【0105】
上述したように、ステップS203からステップS218までの処理は繰り返し処理である。ステップS203において、繰り返しの度に、評価材料特定部222は、候補パステーブル207から候補パスを通過順序の早い順に読み出し、全ての候補パスの読み出しが完了するまで、ステップS203からステップS218の処理を繰り返す。全ての候補パスの読み出しが完了すると、フローはステップS218からステップS219へと進む。
【0106】
ステップS219において、評価材料特定部222は、観測パス管理テーブル209を参照し、パス観測フラグ:POBSの値を確認する。パス観測フラグ:POBSに値“Y”が入っている候補パスは、読み出した姿勢制御条件において観測が必要なパスであるため、要観測パスとして、そのパス番号と、パス観測開始時刻:Tos及びパス観測終了時刻:Toeとを評価材料テーブル212に格納し、本動作フローは終了する。
【0107】
図24は、第1の実施形態に係る評価材料テーブル212を例示する図である。図20のステップS108に示すように、以上で述べた図23のロール制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理は、姿勢制御条件テーブル208に登録されている全てのロール制御の姿勢制御条件に対して繰り返し実行される。そのため、図24に示されるように、評価材料テーブル212には、姿勢制御条件テーブル208に登録されている全てのロール制御の姿勢制御条件について、観測が必要な要観測パスのパス番号と、そのパスにおいて初めて観測された観測対象メッシュ点114が観測される期間を表すパス観測開始時刻:Tos及びパス観測終了時刻:Toeとが評価材料情報として登録される。
【0108】
ロール制御の姿勢制御条件を用いる第1の実施形態では、姿勢制御条件評価部223は、これらの姿勢制御条件の評価材料情報を用いて、図20のステップS110における姿勢制御条件の並べ替えを実行し、並べ替えにより上位に位置する評価の高い姿勢制御条件の評価結果テーブル213を生成する。上述したように、観測対象領域108の観測をできるだけ早く完了することは最適な観測計画の要件の1つである。そのため、一実施形態においては、評価材料情報に含まれる要観測パスのうちで最も遅くに通過する要観測パスのパス観測終了時刻:Toe(即ち、その姿勢制御条件において全ての観測対象メッシュ点114の観測が完了する観測完了時刻)が、早い姿勢制御条件から順に評価が上位となるように並べ替えてもよい。
【0109】
また、上述したように、一般に、観測データの取引は観測シーン単位で行われるため、シーン数により価格が変わる。そのため、シーン数が少ないことも、最適な観測計画の要件の1つである。そして、シーン数は、ロール制御の場合には、要観測パスの数が増えると増加する。そのため、一実施形態においては、観測完了時刻が同じである場合には、観測の完了までに必要な要観測パスの数が少ない姿勢制御条件を上位にしてもよい。或いは、別な実施形態では、姿勢制御条件毎に決定された観測完了時刻が同じである場合に、ロール角α1の値が小さい姿勢制御条件を上位にしてもよい。これは、ロール角α1の値が大きくなると、観測センサ102の視野端と、地表面112との成す角度がきつくなり分解能が低くなるためである。
【0110】
以上で例示した、ロール制御の姿勢制御条件に対する評価材料情報の順位付けの評価基準(全ての観測対象メッシュ点114の観測が完了する観測完了時刻、観測の完了までに必要な要観測パスの数、及びロール角α1の値など)は、ユーザーの目的に応じていずれを優先してもよい。例えば、ユーザーが観測シーン104のシーン数を少なく抑えた上で観測完了の早い姿勢制御条件を特定したい場合には、評価材料テーブル212の姿勢制御条件の評価材料情報を観測の完了までに必要な要観測パスの数が少ない順に並べ替えてもよい。そして、必要な要観測パスの数が同じである場合には、観測完了時刻が早い方から順に並べ替えてもよい。
【0111】
図25は、評価材料テーブル212を観測完了時刻が早い方から順に評価が上位となるように並べ替えた後、上位の姿勢制御条件を所定の数(例えば、上位5つ)だけ抽出し、作成した評価結果テーブル213を例示する図である。図20のステップS111において、表示部202は、図25の評価結果テーブル213を例えばディスプレー等の入出力装置407を介して表示する。図25に示す評価結果テーブル213の例では、姿勢制御識別番号と、姿勢制御フラグと、要観測パスの数と、パス番号と、パス観測開始時刻:Tos及びパス観測終了時刻:Toeと対応づけて格納している。
【0112】
従って、ユーザーは評価結果テーブル213を参照することで、例えば、観測完了時刻の最も早いロール制御の姿勢制御条件と、観測を行うべき要観測パスのパス番号と、パス観測開始時刻:Tos及びパス観測終了時刻:Toeとを特定することができる。従って、評価結果テーブル213により、ユーザーは、例えば、できるだけ早く観測を完了したいという自己の要望にあった観測を実行することができる。
【0113】
以上で述べたように、第1の実施形態では、ロール制御の姿勢制御条件毎に、観測の完了までに必要となる要観測パスと、観測の完了する時刻とが特定される。そのため、ユーザーは、観測対象領域108を観測する上で最適な姿勢制御条件を特定することができる。また、姿勢制御条件の比較に用いた評価材料情報からは、特定した姿勢制御条件での観測の条件(要観測パスにおける観測期間等)も特定できる。そのため、例えば、第1の実施形態によれば、図8(c)に示すような、衛星101の観測センサ102の中心視点107が衛星101の地上軌跡106に沿った観測では、1パスで観測を完了することができない広域の観測対象領域108に対しても、図8(b)及び(d)に示すように、ロール制御を用いた効率のよい観測を実行できる。
【0114】
また、第1の実施形態では、1つの観測対象領域108の観測ではロール角を一定に維持して観測を行っているため、姿勢制御による観測データ品質のばらつきを抑えることができる。
【0115】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係るロール・ヨー制御を用いる場合の姿勢制御条件の評価材料特定処理について以下に説明する。
【0116】
第2の実施形態では、ロール・ヨー制御を用いて観測対象領域108の観測を行う。ロール・ヨー制御を用いて観測を行う場合、以下の前提の下で観測を行うものとする。ロール・ヨー制御では、観測対象領域108が広域にわたる場合でも、観測対象領域108を可能な限り1つの観測シーン104で観測することを目的に観測を行うものとする。従って、ロール・ヨー制御を行う場合には複数パスによる観測は考えないものとする。その場合、必ずしも観測対象領域108の全体を網羅できるとは限らないので、姿勢制御条件毎に、観測できた観測対象メッシュ点114の数の観測対象メッシュ点114の総数に対する割合をカバー率として算出し、各ロール・ヨー制御の姿勢制御条件の評価材料を取得する。
【0117】
また、第2の実施形態に係るロール・ヨー制御の姿勢制御条件は、ロール角α1、α2、ヨー角β、及び観測時間Δtobsにより規定される。ここで、ロール角α1は、観測開始時刻のロール角であり、ロール角α2は、観測終了時刻のロール角である。ヨー角βは観測期間の間に維持されるヨー角である。観測時間Δtobsは観測開始時刻から観測終了時刻までの時間である。第2の実施形態に係るロール・ヨー制御の姿勢制御条件のロール角α1、α2、ヨー角β、及び観測時間Δtobsは、衛星101の仕様などに従って実施可能な範囲であれば任意の値に設定できる。例えば、ヨー角βを角度0度に設定してもよい。即ち、第2の実施形態に係るロール・ヨー制御の姿勢制御条件では、ヨー角を回転させずに0度に維持して観測を実行することも含む。また、ロール角α1、α2を同じ角度に設定してもよい。即ち、例えば、ヨー角のみを回転させて観測を実行してもよい。また、第2の実施形態に係るロール・ヨー制御の姿勢制御条件では、ロール角α1、α2と観測時間Δtobsとは、観測開始時刻でのロール角α1から観測終了時刻でのロール角α2まで観測時間:Δtobsにわたってロール角を一定の間隔又は速度で徐々に動かすことも表している。ロール角を動かす間隔又は速度は、特に制約しない。 しかしながら、後述するように、第2の実施形態においても、観測対象メッシュ点114の観測の可否の判定には観測可否判定処理を用いる。そして、観測可否判定処理では、観測開始時刻における観測幅Wと、観測終了時刻における観測幅Wとで囲まれる領域を観測範囲105として、観測可否の判定を行う。そのため、ロール角を動かす間隔又は速度は、観測可否判定処理で用いる観測範囲105に、衛星101の実際の観測範囲105が可能な限り一致するように動かすことが好ましい。第2の実施形態に係るロール・ヨー制御の姿勢制御条件では、ヨー角を回転させた状態で観測を行うことで及び/又はロール角を観測中に動かすことで、第1の実施形態に係るロール制御を用いた姿勢制御条件による観測では設定できなかった観測範囲105を設定することが可能となる。
【0118】
以下には、姿勢制御条件テーブル208に登録されている様々なロール・ヨー制御の姿勢制御条件に対する評価材料情報の取得について述べる。ロール・ヨー制御の姿勢制御条件の評価材料特定処理では、各ロール・ヨー制御の姿勢制御条件において、複数の候補パスのうちで衛星101の観測範囲105に観測対象領域108が最も良く包含される要観測パスと、その要観測パス内での観測期間とが評価材料情報として特定される。
【0119】
或るロール・ヨー制御の姿勢制御条件において、複数の候補パスのうちで衛星101の観測範囲105に観測対象領域108が最も良く包含される要観測パスと、その要観測パス内での観測期間とは、以下の処理で特定できる。
【0120】
まず、観測対象領域108に含まれるメッシュ110を選定することで観測対象領域108を観測対象メッシュ群111で代表する。また、衛星101の複数のパス109のうちから、観測対象メッシュ群111の付近を通る複数の候補パスを選定する。続いて、姿勢制御条件テーブル208に登録されている複数のロール・ヨー制御の姿勢制御条件のそれぞれに対し以下の処理を繰り返す。まず、複数の候補パスの中から通過順序の早い順に1パス選択する。候補パスを通過順序の早い順に選択するのは、できるだけ早く観測を完了することが最適な観測計画の要件の1つだからである。選択した候補パスのパス開始時刻からパス終了時刻までにわたってΔT間隔で時刻Tを進め、各時刻において読み出したロール・ヨー制御の姿勢制御条件での観測範囲105を順次切り出す。切り出した各観測範囲105において観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114のそれぞれに対して上述のメッシュ点観測可否判定処理を実行し、観測対象メッシュ点114がいくつ含まれるかをカウントする。続いて、カウントした観測対象メッシュ点114の数を観測対象メッシュ点114の総数で除算することで観測された観測対象メッシュ点114の割合(カバー率)を求める。ΔT間隔で進められる時刻T毎に求められたカバー率を比較することで、その候補パスにおいて観測された観測対象メッシュ点114が最も多い時刻と、その時のカバー率とが特定できる。以上の処理を、全ての候補パスに対して実行し、各候補パスにおいて最も高いカバー率と、その時刻とを特定し、そのカバー率を比較することで、或る姿勢制御条件において最もカバー率の高い観測が可能な候補パスを要観測パスとして特定する。姿勢制御条件毎に特定した、要観測パスと、そのカバー率及び観測時刻とは評価材料情報として用いられ、それらの評価材料情報を比較することで、観測を依頼した顧客等の希望に合った姿勢制御条件と観測期間とを提示することが可能になる。
【0121】
図26は、第2の実施形態に係るロール・ヨー制御の姿勢制御条件での或る時刻における観測範囲105を例示する図である。図示されるように、観測センサ102の視野角で決まる視野の向きは、衛星101の進行方向と地心方向に対して垂直な方向から角度:βで傾いている。観測範囲105は、図26では実線の枠で囲まれた領域として示されている。観測範囲105の幅はセンサの視野角できまる観測幅Wであり、また、観測範囲105の形状は姿勢制御条件(ヨー角をβ、観測開始時刻:Tosにおけるロール角α1、観測終了時刻:Toeにおけるロール角α2、及び観測期間をΔtobsの値)に応じて多様な形状をとる。観測範囲105はΔT間隔で衛星101の進行方向にずれて行き、各観測範囲105において観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114のそれぞれに対して上述のメッシュ点観測可否判定処理が実行され、観測の可否が判定される。図26においては黒色の観測対象メッシュ点114は、図示した時刻における観測範囲105で観測できるメッシュ点113を表しており、白色の観測対象メッシュ点114はこの時刻での観測範囲105では観測できないメッシュ点113を表している。以上のようにして、各候補パスにおいて、ΔT間隔で時刻Tを進めながら観測範囲105が切り取られ、観測範囲105内に含まれる観測対象メッシュ点114の数を各時刻T毎に取得することで各候補パスをサーチし、観測範囲105に含まれる観測対象メッシュ点114の数が最大のタイミングを探す。
【0122】
なお、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件では、観測範囲105の形状は姿勢制御条件により定まるため、観測シーン104は、例えば観測範囲105と一致する範囲に設定される。上述したように、観測シーン104は、地球観測データの売買などの際に用いられる単位であるため、姿勢制御条件により定まる観測範囲105内であれば自由に設定できる。図26では、観測シーン104は衛星101の観測範囲105と一致する範囲に設定されている。
【0123】
図27は、第2の実施形態に係る、観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114が、或る姿勢制御条件の或る候補パスにおける観測範囲105にいくつ収まるかの判定の結果を時刻T毎に管理するための観測一次結果テーブル210を例示する図である。観測一次結果テーブル210では、ΔT間隔で進められる観測時刻Tのそれぞれに対して、その時刻Tにおいて観測される観測対象メッシュ点114の数(観測メッシュ点数:Mms)を対応づけて格納している。図27では、55個の観測対象メッシュ点114が観測される時刻が、観測メッシュ点数が最大の時刻であることが分かる。この或る候補パスにおける最大の観測メッシュ点数を、観測対象メッシュ群111を構成する複数の観測対象メッシュ点114の総数で除算し、百分率で表すことでカバー率が計算される。或る姿勢制御条件での各候補パスの観測メッシュ点数が最大の時刻Tと、その時刻におけるカバー率とは、観測二次結果テーブル211に登録される。
【0124】
図28は、観測二次結果テーブル211を例示する図である。観測二次結果テーブル211では、或る姿勢制御条件での複数の候補パスのパス番号と、各候補パスにおける観測メッシュ点数が最大の観測中心時刻Tocと、その時刻におけるカバー率とが対応付けられている。図28の例では、観測二次結果テーブル211から、パス番号:50の候補パスのカバー率が95%で最大であること、及びその時の時刻Tが分かる。観測二次結果テーブル211において、カバー率が最大の候補パスは要観測パスとして後述の評価材料テーブル212に格納される。
【0125】
観測一次結果テーブル210及び観測二次結果テーブル211に値を入力する、第2に実施形態に係るロール・ヨー制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理を図29を参照して以下に述べる。
【0126】
図29は、第2に実施形態に係るロール・ヨー制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理の動作フロー図である。図29に示すロール・ヨー制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理の動作フローは、図20のステップS108において実行される。なお、第2の実施形態においては、図20のステップS106で入力される姿勢制御条件は、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件とする。
【0127】
図29の動作フローは、図20の動作フローにおいてステップS108に進むと開始する。ステップS301において、評価材料特定部222は、図20のステップS107で読み出した姿勢制御条件のロール角α1、α2、ヨー角β、及び観測時間Δtobsを読み込む。ステップS302において、評価材料特定部222は、観測一次結果テーブル210及び観測二次結果テーブル211を初期状態にリセットする。これは、本動作フローの前回の実行時に観測一次結果テーブル210及び観測二次結果テーブル211に設定された値等を消去し、新たなデータを入力可能な初期状態に戻す処理である。
【0128】
ステップS303からステップS319までの処理は繰り返し処理である。ステップS303において、評価材料特定部222は、処理の繰り返しの度に、図14に示される候補パステーブル207から候補パスを通過順序の早い順に1パスずつ読み出す。図14に示される候補パステーブル207は、前述したように既に通過順序の早いパスから順番に候補パスが並べられているので、一番上の候補パスから順に候補パスが選択される。
【0129】
ステップS304において、評価材料特定部222は、選択したパス通過番号:i番の候補パスのパス番号と、i番の候補パスのパス開始時刻(Ts)として昇交点経度通過時刻(UTC)と、及びi番の候補パスのパス終了時刻(Te)としてi番の候補パスの次の周回の昇交点経度通過時刻(UTC)を候補パステーブル207から読み出す。
【0130】
ステップS305からステップS316までは繰り返し処理である。ステップS305において、評価材料特定部222は、初期値として時刻Tにパス開始時刻(Ts)を格納し、以降、繰り返しの度に、時刻Tがパス終了時刻(Te)を過ぎるまで時刻Tに時刻間隔ΔTを加算しながら、ステップS305からステップS316までの処理を繰り返す。なお、候補パスをサーチする時刻間隔ΔTは、一実施形態においては0.5〜3分の間に設定され、例えば1分に設定される。候補パスをサーチする時刻間隔ΔTは、例えば、読み出した姿勢制御条件において、観測対象メッシュ点114が候補パス内で観測できるか否かを判定できる時刻間隔に設定される。
【0131】
ステップS306において、評価材料特定部222は、観測一次結果テーブル210の一番上の行から順に時刻Tを設定する。前述の通りステップS305からステップS316は繰り返し処理であり、繰り返しの度に、時刻TがΔTずつパス終了時刻(Te)まで変化するが、それら繰り返しの度に変わる時刻Tの値が、観測一次結果テーブル210の一番上の行から順に格納される。
【0132】
ステップS307において、評価材料特定部222は、観測開始時刻:時刻T−Δtobs/2、及び観測終了時刻:時刻T+Δtobs/2における衛星101の地心からの位置ベクトル(図17におけるR)を衛星軌道暦情報214から読み込む。ステップS308において、評価材料特定部222は、観測開始時刻:時刻T−Δtobs/2における衛星101の観測センサ102の視野端の位置W1及びW2への位置方向単位ベクトル:u、uを計算する。また、観測終了時刻:時刻T+Δtobs/2における衛星101の視野端の位置W1及びW2の位置方向単位ベクトル:u、uを計算する。位置方向単位ベクトル:u、u、u、及びuについては、図17から図19を参照して上述したように、衛星位置ベクトルRと、衛星101の観測センサ102の視野角θ1及びθ2と、ロール角α(α1,α2)と、及びヨー角βの情報が分かれば計算することができる。また、上述したようにW1、W2、W1、及びW2で囲まれた領域は時刻Tにおける観測範囲105である。
【0133】
ステップS309において、評価材料特定部222は、観測範囲105(W1、W2、W1、及びW2で囲まれた領域)に包含される観測対象メッシュ点114のカウント数である観測メッシュ点数:Mmsを初期設定の0個にリセットする。
【0134】
ステップS310からステップS314までは繰り返し処理である。ステップS310において、評価材料特定部222は、繰り返しの度に、観測対象メッシュ点テーブル205から観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号を順に1つずつ読み出し、観測対象メッシュ点テーブル205に登録されている全ての観測対象メッシュ点114が読み出されるまで、以降のステップS310からステップS314までの処理を繰り返す。ステップS311において、評価材料特定部222は、読み出した観測対象メッシュ点114のメッシュ点番号を用いてメッシュ点情報テーブル204を参照し、読み出した観測対象メッシュ点114のメッシュ点位置方向単位ベクトル:uを読み込む。
【0135】
ステップS312において、評価材料特定部222は、ステップS308で取得した観測範囲105の位置方向単位ベクトル:u、u、u、及びuと、選択した観測対象メッシュ点114の位置方向ベクトル:uとを用いて、上述したメッシュ点観測可否判定処理を実行し、選択した観測対象メッシュ点114が観測範囲105(W1、W2、W1、及びW2で囲まれた領域)内に存在するか否かを判定する。ステップS312において、選択した観測対象メッシュ点114が観測範囲105内に存在しない場合は、Noと判定され、フローはステップS314へと進む。一方、ステップS312において、選択した観測対象メッシュ点114が観測範囲105内に存在する場合は、Yesと判定されフローはステップS313へと進む。ステップS313において、評価材料特定部222は、観測メッシュ点数:Mmsに1を加算し、観測できた観測対象メッシュ点114の数をカウントアップし、ステップS314へと進む。
【0136】
上述した通り、ステップS310からステップS314までは繰り返し処理である。ステップS314では、観測対象メッシュ点テーブル205に登録されている全ての観測対象メッシュ点114が読み出されていない場合はステップS310へと戻るが、全ての観測対象メッシュ点114が読み出された場合にはステップS315へと進む。ステップS310からステップS314までの繰り返し処理により、時刻Tにおいて観測範囲105に収まった観測対象メッシュ点114の数がカウントされる。
【0137】
ステップS315において、評価材料特定部222は、カウントした時刻Tにおける観測対象メッシュ点114の数を、観測一次結果テーブル210の時刻Tに対応する観測メッシュ数:Mmsに設定し、フローはステップS316へと進む。
【0138】
上述した通り、ステップS305からステップS316までは繰り返し処理である。ステップS316では、繰り返しの度に、時刻間隔ΔTを加算することで時刻Tが進められ、加算後の時刻Tがパス終了時刻(Te)を過ぎていなければステップS305へと戻る。一方、加算後の時刻Tがパス終了時刻(Te)を過ぎている場合には、ステップS317へと進む。ステップS305からステップS316までの繰り返し処理により、選択したパス通過番号:i番の候補パスの地上軌跡106に沿ってΔT間隔で観測範囲105が設けられ、各観測範囲105において観測対象メッシュ点テーブル205に含まれる観測対象メッシュ点114がどれだけ観測されるかがカウントされる。そして、繰り返しの度に、ΔT間隔で進められる時刻Tの値と、その時刻Tにおける観測範囲105で観測された観測対象メッシュ点114の数(観測メッシュ点数:Mms)とが、観測一次結果テーブル210に格納される。
【0139】
ステップS317において、評価材料特定部222は、観測一次結果テーブル210を参照し、観測メッシュ点数:Mmsが最大の観測時刻Tと、その時の観測メッシュ点数:Mmsの値とを読み込む。なお、この観測メッシュ点数:Mmsが最大であった観測時刻Tを観測中心時刻:Tocとする。そして、読み込んだ観測メッシュ点数:Mmsと、観測対象メッシュ点テーブル205に登録されている観測対象メッシュ点114の総数:Ntotとを用いて、例えば、(Mms/Ntot)×100を計算することにより、カバー率:Cobsを算出する。
【0140】
ステップS318において、評価材料特定部222は、以下の値を観測二次結果テーブル211に設定する。まず、ステップS303において選択され、以降のステップS304からステップS318までの処理の対象としたパス通過番号:i番の候補パスのパス番号を設定する。そして、ステップS317において、観測一次結果テーブル210で観測メッシュ点数が最大の観測時刻Tを観測中心時刻Tocとして設定する。また、その観測中心時刻Tocにおけるカバー率:Cobsを設定する。以上のパス番号、観測中心時刻Toc、及びカバー率:Cobsが観測二次結果テーブル211に対応づけて設定される。その後、フローはステップS319へと進む。
【0141】
上述したように、ステップS303からステップS319までの処理は繰り返し処理である。評価材料特定部222は、繰り返しの度に、ステップS303では候補パステーブル207から候補パスを通過順序の早い順に読み出し、全ての候補パスの読み出しが完了するまで、ステップS303からステップS317の処理を繰り返す。全ての候補パスの読み出しが完了すると、フローはステップS319からステップS320へと進む。
【0142】
ステップS320において、評価材料特定部222は、観測二次結果テーブル211に登録されている候補パスの中でカバー率:Cobsが最大の候補パスを要観測パスとして特定し、その要観測パスのパス番号と、その要観測パスにおける観測中心時刻:Toc及びカバー率:Cobsの値を評価材料テーブル212に格納する。また、その要観測パスにおける観測中心時刻:Tocを用いて、観測開始時刻:Tos及び観測終了時刻:Toeの値を計算し、それらの値も評価材料テーブル212に格納する。本実施形態では観測開始時刻:Tosの値は、Tos=Toc−Δtobs/2を計算することで、また、観測終了時刻:Toeの値は、Tos=Toc+Δtobs/2を計算することで算出する。以上の値を評価材料テーブル212に格納した後、本動作フローは終了する。
【0143】
図30は、第2の実施形態に係るロール・ヨー制御を用いる評価材料テーブル212を例示する図である。先にも述べたように、図20のステップS107〜S109までの処理は繰り返し処理である。そのため、図29の動作フローにより、図30の評価材料テーブル212には、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件毎に、候補パスのうちでカバー率が最も高かった要観測パスのパス番号と、そのカバー率と、及びその要観測パスにおいてカバー率が最も高い観測中心時刻:Toc(観測開始時刻:Tos及び観測終了時刻:Toe)とが姿勢制御条件の評価材料情報として格納される。
【0144】
ロール・ヨー制御を用いる第2の実施形態では、姿勢制御条件評価部223は、これらの姿勢制御条件の評価材料情報を用いて、図20のステップS110の並べ替えを実行し、並べ替えにより上位に位置する評価の高い姿勢制御条件の評価結果テーブル213を生成する。
【0145】
前述した通り、できるだけ早く観測を完了することは最適な観測計画の要件の1つである。そのため、例えば、観測終了時刻:Toeが早い姿勢制御条件を上位とするように並べ替えを行ってもよい。なお、ロール・ヨー制御では1パスで観測を行うことを前提としているので、評価材料テーブル212に登録されている観測終了時刻:Toeは、姿勢制御条件毎の観測完了時刻である。
【0146】
また、第2の実施形態に係るロール・ヨー制御による観測は、観測対象領域108を1つの観測範囲105(観測シーン104)で可能な限り観測することを目的としている。そのため、例えば、観測終了時刻:Toeが同じである場合には、評価材料テーブル212に登録されている姿勢制御条件の評価材料情報を比較し、カバー率が高い順に評価が上位となるように姿勢制御条件を並べ替えてもよい。或いは、姿勢制御の角度がきつくなると分解能に影響を与えるため、例えば、観測終了時刻:Toeが同じである場合に、ロール角α1,α2及び、ヨー角βの角度が小さい姿勢制御条件を上位にしてもよい。
【0147】
以上で例示した、姿勢制御条件の順位付けの評価基準(観測終了時刻:Toe、カバー率、並びにロール角α1,α2及び、ヨー角βなど)は、ユーザーの目的に応じていずれを優先してもよい。例えば、ユーザーが、多少観測完了時刻が遅くなっても、できるだけ観測対象領域108をカバーしたい場合には、評価材料テーブル212の姿勢制御条件をカバー率の高い姿勢制御条件を上位となるように並べ替えてもよい。そして、カバー率が同じである場合には、観測終了時刻:Toeの早い姿勢制御条件から順に並べ替えてもよい。
【0148】
図31は、第2の実施形態に係る評価材料テーブル212を観測完了時刻が早い順に並べ替えた後、評価材料テーブル212で上位のものを所定の数(例えば、上位5つ)だけ抽出し、作成した評価結果テーブル213を例示する図である。図20のステップS111において、表示部202は、図31の評価結果テーブル213を、例えばディスプレー等の入出力装置407を介して表示する。図31の評価結果テーブル213では、姿勢制御識別番号と、姿勢制御フラグと、要観測パスのパス番号と、観測開始時刻:Tos及び観測終了時刻:Toeと、観測中心時刻:Tocと、カバー率:Cobs(%)とを対応づけて格納している。
【0149】
従って、ユーザーは評価結果テーブル213を参照することで、例えば、観測完了時刻の早いロール・ヨー制御の姿勢制御条件のうちでカバー率の高いロール・ヨー制御の姿勢制御条件と、観測を行うべき要観測パスのパス番号と、観測開始時刻:Tos及び観測終了時刻:Toeと、観測中心時刻:Tocとを特定することができる。従って、評価結果テーブル213により、ユーザーは観測対象領域108を1つの観測範囲105で最大限に観測することが可能な姿勢制御条件を特定し、観測を実行することができる。
【0150】
以上で述べたように、第2の実施形態では、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件毎に、カバー率が最も高い要観測パスが決定される。そのため、ユーザーの目的(例えば、早期に観測を終えたい、少ない観測シーン数でできる限り広範囲を観測したいなど)に合った最適な姿勢制御条件と、その姿勢制御条件での観測の条件とを特定できる。例えば、第2の実施形態によれば、図8(c)に示すような、衛星101の観測センサ102の中心視点107が衛星101の地上軌跡106に沿った観測では、1パスで観測を完了することができない広域の観測対象領域108に対しても、図8(e)に示すように、ロール・ヨー制御を用いて1つの観測範囲105に最大限に観測対象領域108を包含して観測を行うことができる。
【0151】
<第3の実施形態>
第1の実施形態ではロール制御を用いる場合において観測対象領域108を効率よく観測できる姿勢制御条件を提示する観測計画立案処理について述べた。また、第2の実施形態では、ロール・ヨー制御を用いる場合において観測対象領域108を1つの観測範囲105に最大限に包含して観測することできる姿勢制御条件を提示する観測計画立案処理について述べた。これら第1の実施形態及び第2の実施形態を組み合わせて実施形態を構成してもよい。以下に例として、ロール制御及びロール・ヨー制御を用いる場合の第3の実施形態を示す。
【0152】
第3の実施形態においては、図20の観測計画立案処理においてステップS106で入力される姿勢制御条件は、図15の姿勢制御条件テーブル208に示されるロール制御及びロール・ヨー制御の両方の姿勢制御条件が入力される。また、ステップS108では、図32に示すロール制御及びロール・ヨー制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理の動作フローが実行される。
【0153】
図32のステップS401において、評価材料特定部222は、図20のステップS107で読み込んだ姿勢制御条件が、ロール制御であるか、又はロール・ヨー制御であるかを判定する。本実施形態においては、この判定は読み込んだ姿勢制御条件の姿勢制御フラグ:IFAが“RY”であるか否かで判定する。読み込んだ姿勢制御条件の姿勢制御フラグ:IFAが“RY”で無い場合はNoと判定され、フローはステップS402へと進む。一方、読み込んだ姿勢制御条件の姿勢制御フラグ:IFAが“RY”である場合はYesと判定され、フローはステップS403へと進む。
【0154】
ステップS402では、評価材料特定部222は、第1の実施形態で述べた、図23のロール制御の場合の姿勢制御条件の評価材料特定処理を実行し、ロール制御の姿勢制御条件の評価材料情報を評価材料テーブル212に格納し、本動作フローは終了する。一方、ステップS403では、評価材料特定部222は、第2の実施形態で述べた、図29のロール・ヨー制御の場合の姿勢制御条件の評価材料特定処理を実行し、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件の評価材料情報を評価材料テーブル212に格納し、本動作フローは終了する。
【0155】
図32の動作フローが終了すると、図20へと戻り、ステップS109へと進む。先にも述べたとおり、図20のステップS107からステップS109までの処理は繰り返し処理である。ステップS107において、評価材料特定部222は、繰り返しの度に、ステップS106で入力された姿勢制御条件から姿勢制御条件を1つ読み出し、全ての姿勢制御条件の読み出しが完了するまで、ステップS107からステップS109の処理を繰り返す。全ての姿勢制御条件の読み出しが完了すると、フローはステップS109からステップS110へと進む。
【0156】
続いて、ステップS110において、姿勢制御条件評価部223は、姿勢制御条件毎に姿勢制御条件の評価材料情報が登録された評価材料テーブル212を評価の高い順に並べ替え、並べ替えにより上位に位置する評価の高い姿勢制御条件を抽出して評価結果テーブル213を生成する。第3の実施形態において、この並べ替えはロール制御の場合と、ロール・ヨー制御の場合とで別々に実行されてもよい。姿勢制御条件の評価材料情報の並べ替えのための評価基準については、ロール制御の場合を第1の実施形態に、ロール・ヨー制御の場合を第2に実施形態にそれぞれ例示した。ロール制御の場合の姿勢制御条件の評価材料情報の順位付けの評価基準と、ロール・ヨー制御の場合の姿勢制御条件の評価材料情報の順位付けの評価基準とは、同一の評価基準を用いてもよいし、異なる評価基準を用いてもよい。
【0157】
ステップS111において、表示部202は、作成した評価結果テーブル213を例えばディスプレー等の入出力装置407を介して表示し、本動作フローは終了する。
【0158】
図33は、第3の実施形態に係るロール制御及びロール・ヨー制御を用いる場合の評価結果テーブル213を例示する。図33の評価結果テーブル213では、姿勢制御モード、シーン表示、姿勢制御識別番号、姿勢制御条件、観測所要期間、パス別情報、及びカバー率が対応付けられている。また、図33の評価結果テーブル213の例では、ロール制御の姿勢制御条件と、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件とを姿勢制御モードにより分けて表示している。
【0159】
姿勢制御モードがロール制御の場合は、観測対象領域108の全体の観測を完了する観測完了時刻が早い方から順に5つの姿勢制御条件(姿勢制御識別番号:5番、2番、1番、3番、及び4番の姿勢制御条件)が評価材料テーブル212から抽出され登録されている。また、姿勢制御条件にはロール角α1の値が格納されている。パス別情報には、図23の処理の実行により得られる、観測対象領域108の観測を完了するために必要となる要観測パスのパス番号と、各要観測パスにおけるパス観測開始時刻及びパス観測終了時刻の情報が格納されている。観測所要期間の開始時刻には、各姿勢制御条件において、パス別情報の観測開始時刻に格納されている時刻のうちで最も早い時刻が格納される。また、この観測所要期間の終了時刻には、各姿勢制御条件において、パス別情報の観測終了時刻に格納されている時刻のうちで最も遅い時刻が格納される。
【0160】
なお、姿勢制御モードがロール制御の姿勢制御識別番号:1番と、3番と、4番の姿勢制御条件では観測所要期間の終了時刻が同じである。図33の例では、ロール制御の姿勢制御条件で観測完了時刻が同じ場合には、ロール角の絶対値が小さい姿勢制御条件を上位とするように並べ替えている。
【0161】
一方、姿勢制御モードがロール・ヨー制御の場合は、観測を完了する観測完了時刻が早い方から順に4つの姿勢制御条件(姿勢制御識別番号:8番、9番、6番、及び7番の姿勢制御条件)が評価材料テーブル212から抽出され登録されている。また、ロール・ヨー制御の場合には、姿勢制御条件にはロール角α2及びβも格納されている。また、カバー率には、図29の処理の実行により得られる、各姿勢制御条件において最も高いカバー率が格納されており、パス別情報には、その最大のカバー率を示した要観測パスのパス番号と、その要観測パスにおける観測開始時刻及び観測終了時刻の情報とが格納されている。また、図33の例では、観測を完了する時刻が同じ場合には、観測対象領域108のカバー率が高い姿勢制御条件を上位とするように並べ替えられている。ロール・ヨー制御では、1パスでの観測完了が前提となっているため、パス別情報に格納される観測開示時刻及び観測終了時刻の値と、観測所要期間に格納される開始時刻及び終了時刻の値はそれぞれ同じ時刻となる。なお、図33の例では、シーン表示の「選択」のボタンを押すと、表示部202が、観測される観測シーン104の周辺の地表面112の画像を入出力装置407を介して表示するように、観測計画立案装置200は構成されている。ユーザーは、「選択」ボタンを押して観測シーン104を表示させることで、観測シーン104を視覚的に検討することができる。
【0162】
第3の実施形態によれば、図33に示されるように、ロール制御とロール・ヨー制御のそれぞれに対して、観測効率の良い姿勢制御条件が評価結果テーブル213で提示される。そのため、その提示された内容を比較することで、ロール制御とロール・ヨー制御のうちから、観測効率の良い姿勢制御条件を特定することが可能となる。
【0163】
図34は、いくつかの実施形態に係る、観測計画立案装置200の機能ブロック図である。観測計画立案装置200は、観測計画立案部201、表示部202、及びパス情報テーブル生成部203を含んでいる。また、観測計画立案装置200は、メッシュ点情報テーブル204、観測対象メッシュ点テーブル205、パス情報テーブル206、候補パステーブル207、姿勢制御条件テーブル208、観測パス管理テーブル209、観測一次結果テーブル210、観測二次結果テーブル211、評価材料テーブル212、評価結果テーブル213、及び衛星軌道暦情報214も含んでいる。
【0164】
また、図34に示す実施形態では、観測計画立案装置200は、メッシュ点情報生成部300、及び軌道情報生成部301と例えばネットワーク410を介して接続されている。しかしながら、観測計画立案装置200は、必ずしもメッシュ点情報生成部300、及び軌道情報生成部301と接続されている必要はなく、例えば、USBメモリ等の着脱可能記録媒体405を介してメッシュ点情報生成部300、及び軌道情報生成部301により生成された情報を記憶装置403に格納し利用してもよい。或いは、別の実施形態では、メッシュ点情報生成部300及び軌道情報生成部301は、観測計画立案装置200に備えられていてもよい。
【0165】
メッシュ点情報生成部300は、メッシュ点情報テーブル204を生成する。一方、軌道情報生成部301は、衛星軌道暦情報214を生成する。観測計画立案装置200は、図34に示す例では、メッシュ点情報生成部300から、メッシュ点情報テーブル204を、また、軌道情報生成部301から衛星軌道暦情報214を、ネットワーク410を介してそれぞれ取得する。
【0166】
メッシュ点情報テーブル204については図10において説明した。衛星軌道暦情報214については、図12において説明した。衛星軌道暦情報214は、衛星101の時々刻々の位置情報、衛星101のパス109の情報(例えばパスの交点経度の通過時刻)などの衛星軌道歴の情報を含んでいる。
【0167】
パス情報テーブル生成部203は、衛星軌道暦情報214からパス情報テーブル206を生成する。パス情報テーブル206については、図13において説明した。
観測計画立案部201は、候補パス選定部220、観測対象メッシュ点抽出部221、評価材料特定部222、姿勢制御条件評価部223、及び観測条件入力部224を含んでいる。
【0168】
観測条件入力部224は、図20のステップS101の処理を実行し、例えば、入出力装置407を介してユーザーから観測対象領域108を指定する入力を受け付ける。観測対象メッシュ点抽出部221は、図20のステップS102の処理を実行し、観測条件入力部224で指定された観測対象領域108と、メッシュ点情報テーブル204とから観測対象メッシュ点テーブル205を生成する。観測対象メッシュ点テーブル205については、図11で述べた。
【0169】
また、観測条件入力部224は、図20のステップS103の処理も実行し、入出力装置407を介してユーザーから観測指定期間の指定を受け付ける。候補パス選定部220は、図20のステップS104の処理を実行し、例えば、観測条件入力部224に入力された観測指定期間と、メッシュ点情報テーブル204及び観測対象メッシュ点テーブル205とを用いて、パス情報テーブル206から候補パスを選定する。候補パス選定部220は、図20のステップS105の処理も実行し、衛星軌道暦情報214に含まれるパス109の交点通過時刻の情報に基づいて、選定した候補パスをパスの通過順序の早い順に並べ替えて候補パステーブル207を作成する。候補パステーブル207については、図14で述べた。
【0170】
評価材料特定部222は、衛星軌道暦情報214から取得した衛星101の地心からの位置ベクトルと、メッシュ点情報テーブル204と、観測対象メッシュ点テーブル205と、候補パステーブル207とを用いて、図20のステップS108における姿勢制御条件の評価材料特定処理を実行し、評価材料テーブル212を生成する。評価材料テーブル212については図24及び図30において説明した。
【0171】
姿勢制御条件の評価材料特定処理において、図23に示すロール制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理が実行される場合には、評価材料特定部222は、評価材料テーブル212を生成する過程で、観測パス管理テーブル209を利用する。観測パス管理テーブル209については図22で述べた。また、姿勢制御条件の評価材料特定処理において、図29に示すロール・ヨー制御を用いる姿勢制御条件の評価材料特定処理が実行される場合には、評価材料特定部222は、評価材料テーブル212を生成する過程で、観測一次結果テーブル210及び観測二次結果テーブル211を利用する。観測一次結果テーブル210については図27で、観測二次結果テーブル211については図28で述べた。
【0172】
姿勢制御条件評価部223は、図20のステップS110の処理を実行し、評価材料テーブル212に基づいて、姿勢制御条件を評価の高い順に並べ替え、評価結果テーブル213を生成する。評価結果テーブル213については図25、図31、及び図33において述べた。
【0173】
表示部202は、図20のステップS111の処理を実行し、評価結果テーブル213を、例えば入出力装置407を介して表示する。
図35は、いくつかの実施形態に係る、観測計画立案装置200を実現するためのハードウェア構成を例示する図である。観測計画立案装置200は、図35に示すように、CPU401、メモリ402、記憶装置403、読取装置404、通信インタフェース406、及び入出力装置407を備える。なお、CPU401、メモリ402、記憶装置403、読取装置404、通信インタフェース406、入出力装置407は、例えば、バス408を介して互いに接続されている。
【0174】
上述の図20、図23、図29、及び図32に示される動作フローの手順を記述した観測計画立案プログラムは、例えば、メモリ402、記憶装置403に記憶されていてもよい。また、上述の図10、図11、図12、図13、図14、図15、図22、図24、図25、図27、図28、図30、図31、図33に示される、メッシュ点情報テーブル204、観測対象メッシュ点テーブル205、パス情報テーブル206、候補パステーブル207、姿勢制御条件テーブル208、観測パス管理テーブル209、観測一次結果テーブル210、観測二次結果テーブル211、評価材料テーブル212、及び評価結果テーブル213、及び衛星軌道暦情報214は、例えば、メモリ402、記憶装置403に記憶されていてもよい。CPU401は、例えば、メモリ402から、上述の図20、図23、図29、及び図32に示されるフローチャートの手順を記述した観測計画立案プログラムを読み出して実行することにより、観測計画立案部201(候補パス選定部220、観測対象メッシュ点抽出部221、評価材料特定部222、姿勢制御条件評価部223、及び観測条件入力部224を含む)、表示部202、及びパス情報テーブル生成部203の一部又は全部の機能を提供する。また、実施形態によっては、CPU401はメモリ402に格納されたプログラムを読み出して実行することで、メッシュ点情報生成部300及び軌道情報生成部301として機能してもよい。
【0175】
また、上述の図10、図11、図12、図13、図14、図15、図22、図24、図25、図27、図28、図30、図31、図33に示される、メッシュ点情報テーブル204、観測対象メッシュ点テーブル205、パス情報テーブル206、候補パステーブル207、姿勢制御条件テーブル208、観測パス管理テーブル209、観測一次結果テーブル210、観測二次結果テーブル211、評価材料テーブル212、及び評価結果テーブル213、及び衛星軌道暦情報214は、例示したテーブル上で関連付けられる情報を対応付けることが可能な形式であれば、テーブル形式に限定されるものではない。これらのテーブルの代わりとして例えば、データベースの形式で情報が関連付けられて提供されてもよい。
【0176】
また、CPU401は、上述の図20、図23、図29、及び図32に示されるフローチャートの手順を記述した観測計画立案プログラムを実行する際に、例えば、記憶装置403に格納されたメッシュ点情報テーブル204、観測対象メッシュ点テーブル205、パス情報テーブル206、候補パステーブル207、姿勢制御条件テーブル208、観測パス管理テーブル209、観測一次結果テーブル210、観測二次結果テーブル211、評価材料テーブル212、及び評価結果テーブル213、及び衛星軌道暦情報214などの情報を読み出して利用してもよい。
【0177】
また、CPU401は、上述の図20、図23、図29、及び図32に示されるフローチャートの手順を記述した観測計画立案プログラム、及びその他のプログラムを実行する際に生成される例えば、メッシュ点情報テーブル204、観測対象メッシュ点テーブル205、パス情報テーブル206、候補パステーブル207、姿勢制御条件テーブル208、観測パス管理テーブル209、観測一次結果テーブル210、観測二次結果テーブル211、評価材料テーブル212、及び評価結果テーブル213、及び衛星軌道暦情報214などの情報を記憶装置403に格納してもよい。
【0178】
メモリ402は、例えば半導体メモリであり、RAM領域及びROM領域を含んで構成される。記憶装置403は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、又は外部記録装置である。
【0179】
読取装置404は、CPU401の指示に従って着脱可能記録媒体405にアクセスする。着脱可能記録媒体405は、たとえば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD−ROM、DVD等)などにより実現される。通信インタフェース406は、CPU401の指示に従ってネットワーク410を介してデータを送受信する。入出力装置407は、例えば、ユーザーからの指示を受け付けるキーボード及びマウス等の入力デバイス、並びにディスプレー等の表示装置及びスピーカ等の音声デバイスなどの出力デバイスとして機能する。
【0180】
実施形態に係る観測計画立案プログラムは、例えば、下記の形態で観測計画立案装置200に提供される。
(1)記憶装置403に予めインストールされている。
(2)着脱可能記録媒体405により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバ409から提供される。
また、実施形態に係る観測計画立案プログラムはクラウド上に実装されてもよい。
【0181】
いくつかの実施形態について、説明してきた。しかしながら、本発明に係る実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態及び代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、本発明に係る種々の実施形態を成すことができることが理解されよう。或いは、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して又は置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して本発明に係る種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0182】
1 地球観測衛星
2 北極点
3 南極点
4 軌道
5 地球赤道面
6 昇交点
7 降交点
8 地球
10 地軸
11 赤道
12 パス
13 地上軌跡
14 交点経度
15 地表面
16 観測センサ
17 観測シーン
101 衛星
102 観測センサ
103 地球
104 観測シーン
105 観測範囲
106 地上軌跡
107 中心視点
108 観測対象領域
109 パス
110 メッシュ
111 観測対象メッシュ群
112 地表面
113 メッシュ点
114 観測対象メッシュ点
116 軌道
200 観測計画立案装置
201 観測計画立案部
202 表示部
203 パス情報テーブル生成部
204 メッシュ点情報テーブル
205 観測対象メッシュ点テーブル
206 パス情報テーブル
207 候補パステーブル
208 姿勢制御条件テーブル
209 観測パス管理テーブル
210 観測一次結果テーブル
211 観測二次結果テーブル
212 評価材料テーブル
213 評価結果テーブル
214 衛星軌道暦情報
220 候補パス選定部
221 観測対象メッシュ点抽出部
222 評価材料特定部
223 姿勢制御条件評価部
224 観測条件入力部
300 メッシュ点情報生成部
301 軌道情報生成部
401 CPU
402 メモリ
403 記憶装置
404 読取装置
405 着脱可能記録媒体
406 通信インタフェース
407 入出力装置
408 バス
409 サーバ
410 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面を区分することで形成される複数のメッシュの中から、観測対象領域を含むメッシュからなる観測対象メッシュ群を選定し、
複数の時刻における衛星の軌道1周回の地上軌跡を規定する複数のパスの中から、前記観測対象メッシュ群を所定の期間内に観測可能な複数の候補パスを選定し、
前記衛星に対する複数の姿勢制御条件の各々に対して、姿勢制御条件によって定まる前記衛星の観測範囲を用いて、時刻の早い候補パスから順に候補パスをサーチして、前記複数の候補パスの中で、前記観測対象メッシュ群の全体の観測を完了するまでに必要となる要観測パスと、前記観測対象メッシュ群の全体の観測が完了する観測完了時刻とを特定し、
前記姿勢制御条件毎に特定された前記要観測パスの数及び前記観測完了時刻の少なくとも一方を用いて前記複数の姿勢制御条件の評価結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させる観測計画立案プログラム。
【請求項2】
前記複数の姿勢制御条件の評価結果は、前記観測完了時刻が早い姿勢制御条件から順に評価の高い姿勢制御条件と評価した結果、又は、前記要観測パスの数が少ない姿勢制御条件から順に評価の高い姿勢制御条件と評価した結果、或いはこれらを組み合わせにより姿勢制御条件を評価した結果であることを特徴とする、請求項1に記載の観測計画立案プログラム。
【請求項3】
前記複数の姿勢制御条件はロール制御の姿勢制御条件であり、
前記観測計画立案プログラムは更に、
前記衛星に対する複数のロール・ヨー制御の姿勢制御条件の各々に対して、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件によって定まる前記衛星の第2の観測範囲を用いて、時刻の早い候補パスから順に候補パスをサーチして、前記複数の候補パスの中で、前記観測対象メッシュ群を前記第2の観測範囲に最も包含できる要観測パスを特定し、該要観測パスにおいて前記観測対象メッシュ群が前記第2の観測範囲に最も包含される観測時刻における第2の観測完了時刻と、該観測時刻におけるカバー率とを特定し、
前記複数のロール・ヨー制御の姿勢制御条件毎に特定された前記第2の観測完了時刻と、及び前記カバー率の少なくとも一方を用いて前記複数のロール・ヨー制御の姿勢制御条件の第2の評価結果を出力する、
処理を更に含む、請求項1又は2に記載の観測計画立案プログラム。
【請求項4】
前記複数のロール・ヨー制御の姿勢制御条件の第2の評価結果は、ロール・ヨー制御の姿勢制御条件毎に特定された前記第2の観測完了時刻が早いロール・ヨー制御の姿勢制御条件から順に評価の高い姿勢制御条件と評価した結果、又は、前記カバー率が高いロール・ヨー制御の姿勢制御条件から順に評価の高い姿勢制御条件と評価した結果、或いはこれらを組み合わせによりロール・ヨー制御の姿勢制御条件を評価した結果であることを特徴とする、請求項3に記載の観測計画立案プログラム。
【請求項5】
前記衛星の観測範囲を用いた、前記候補パスの前記サーチは、前記観測対象メッシュ群を構成する複数の観測対象メッシュ点のそれぞれに対して、観測の中心時刻を所定の時刻間隔で徐々に進めながら、観測開始時刻における前記衛星の観測センサの視野端で定まる2つの開始点と、観測終了時刻における前記衛星の観測センサの視野端で定まる2つの終了点との4点で囲まれた領域に、観測対象メッシュ点が包含されるか否かを判定することで実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の観測計画立案プログラム。
【請求項6】
前記観測対象メッシュ点が包含されるか否かの判定は、前記2つの開始点と、前記2つの終了点とで囲まれた観測範囲の隣り合う2点と、地心とで形成される4面のそれぞれから前記観測範囲の内側の方向に延びる法線ベクトルと、地心から前記観測対象メッシュ点へと延びるベクトルの単位ベクトルとの内積が、いずれも0以上である場合に観測範囲の内側にあると判定することを特徴とする、請求項5に記載の観測計画立案プログラム。
【請求項7】
前記評価結果は、前記複数の姿勢制御条件を、評価の高い姿勢制御条件から順に所定の数だけ抽出したデータである、
請求項1から6のいずれか一項に記載の観測計画立案プログラム。
【請求項8】
地表面を区分することで形成される複数のメッシュの中から、観測対象領域を含むメッシュからなる観測対象メッシュ群を選定する観測対象メッシュ点抽出部と、
複数の時刻における衛星の軌道1周回の地上軌跡を規定する複数のパスの中から、前記観測対象メッシュ群を所定の期間内に観測可能な複数の候補パスを選定する候補パス選定部と、
前記衛星に対する複数の姿勢制御条件の各々に対して、姿勢制御条件によって定まる衛星の観測範囲を用いて、時刻の早い候補パスから順に候補パスをサーチして、前記複数の候補パスの中で、前記観測対象メッシュ群の全体の観測を完了するまでに必要となる要観測パスと、前記観測対象メッシュ群の全体の観測が完了する観測完了時刻とを特定する評価材料特定部と、
前記姿勢制御条件毎に特定された前記要観測パスの数及び前記観測完了時刻の少なくとも一方を用いて前記複数の姿勢制御条件の評価結果を出力する姿勢制御条件評価部と、
を含む、観測計画立案装置。
【請求項9】
地表面を区分することで形成される複数のメッシュの中から、観測対象領域を含むメッシュからなる観測対象メッシュ群を選定する工程と、
複数の時刻における衛星の軌道1周回の地上軌跡を規定する複数のパスの中から、前記観測対象メッシュ群を所定の期間内に観測可能な複数の候補パスを選定する工程と、
前記衛星に対する複数の姿勢制御条件の各々に対して、姿勢制御条件によって定まる前記衛星の観測範囲を用いて、時刻の早い候補パスから順に候補パスをサーチして、前記複数の候補パスの中で、前記観測対象メッシュ群の全体の観測を完了するまでに必要となる要観測パスと、前記観測対象メッシュ群の全体の観測が完了する観測完了時刻とを特定する工程と、
前記姿勢制御条件毎に特定された前記要観測パスの数及び前記観測完了時刻の少なくとも一方を用いて前記複数の姿勢制御条件の評価結果を出力する工程と、
を含む、観測計画立案方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図18】
image rotate

【図20】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図19】
image rotate

【図21】
image rotate

【図26】
image rotate

【図33】
image rotate