説明

衛星信号生成ユニットによって生成された信号を増幅するためのシステム

【課題】スペクトル占有を制限できる増幅するシステムを提供する。
【解決手段】−有限インパルス応答を伴う第1の帯域通過デジタルフィルタF1および第1のデジタル/アナログコンバータCNA1を備える第1の経路V1と、−周波数置換手段MTFと、−増幅装置DAと、を備えるシステムにおいて、−有限インパルス応答を伴う第2の帯域通過デジタルフィルタF2、前記第2のデジタルフィルタF2の出力側に配置されたゲイン手段G、位相従属型の数値制御式発振器NCO、および第2のデジタル/アナログコンバータCNA2を備える第2の経路V2と、−前記第1および第2の経路V1、V2の信号を合計するための再結合装置Sと、をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星信号生成ユニットによって生成された信号を増幅するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信衛星や航行衛星などの衛星増幅システムは、それらの効率を最大化する領域で使用されており、実際、非線形の電力レスポンスを生み出している。
【0003】
これらの非線形により、有用帯域外への電力拡散(相互変調成分)、すなわち「スプリアス」が発生する。周波数規制を遵守するためには、このスプリアスを高電力でフィルタリングする必要がある。
【0004】
それゆえ、かかる処理の実行により、衛星のペイロードが質量と体積との両面で増加し、複雑化する。
【0005】
例えば米国特許第6 549 067B1号明細書によって例示されるように、信号の生成時に信号デジタル前置歪みを用いて増幅器を線形化するための技法が知られている。
【0006】
かかる実施形態は、RF段すなわち無線周波数段用の高帯域を課すため、衛星のペイロードという面からの影響が大きい。
【0007】
例えば仏国特許出願第FR2 722 350号明細書によって例示されるような、非線形の位相対立における、特にダイオードによる電力方向のエミュレーションによって増幅装置の入力側において非線形の補償を実行するハードウェア線形化装置に基づいた技法も知られている。
【0008】
ただし、かかる実施形態は、衛星で広く用いられるトランジスタベースの増幅器の場合には効果がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記課題を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に従い、衛星信号生成ユニットによって生成された信号を増幅するためのシステムであって、
−有限インパルス応答を伴い、前記ユニットによって生成されたデジタル信号の有用帯域外をフィルタリングするための第1の帯域通過デジタルフィルタと、前記第1のデジタルフィルタの出力側に配置された第1のデジタル/アナログコンバータと、を備える第1の経路と、
−ベースバンド内あるいは中間周波数内の信号をキャリア帯域内の信号に変換するための周波数置換手段と、
−前置増幅器および増幅器を備える増幅装置と、
を備えるシステムにおいて、
−前記ユニットによって生成されたそれ自体の有用帯域幅デジタル信号外をフィルタリングするための、有限インパルス応答を伴う第2の帯域通過デジタルフィルタ、前記第2のデジタルフィルタの出力側に配置されたゲイン手段、前記ゲイン手段の出力側に配置された位相従属型(Phase−slaved)の数値制御式発振器、および前記数値制御式発振器の出力側に配置された第2のデジタル/アナログコンバータを備える第2の経路と、
−前記第1および第2の経路の信号を合計するための再結合装置と、
をさらに備えることを特徴とするシステムが提案される。
【0011】
かかるシステムにより、本方法の効果を、既存のソリューションによって提案されているようにグローバルに適用するのではなく、非線形の現象による影響を受けた周波数帯に集約することができる。このようにして高電力出力フィルタリングを無くすことにより、完全なチェーンを簡約化できる可能性がある。
【0012】
一実施形態によれば、前記周波数置換手段は、前記再結合装置の出力側と前記増幅装置の入力側との間に配置される。
【0013】
この場合には、有用信号および補償信号に対して同一時期に1つの周波数置換および増幅装置が必要である。
【0014】
一実施形態では、前記周波数置換手段が、ローカル発振器と、前記周波数置換手段の入力信号およびローカル発振器の出力信号を乗算によって周波数方向に加算するように適応させたミキサーと、前記乗算の結果を隔離するための第3のアナログ帯域通過フィルタと、を備える。
【0015】
別の実施形態によれば、前記周波数置換手段は、
−前記第1のコンバータの出力側と加算器(summator)の入力側との間にある第1の経路に配置された第1の周波数置換下位手段と、
−前記第2のコンバータ(CNA2)の出力側と前記加算器の入力側との間にある第2の経路に配置された第2の周波数置換下位手段と、
を備える。
【0016】
この場合、有用信号専用の周波数置換装置の有用帯域幅(第1の経路)は、その信号の有用帯域に制限され得る。
【0017】
一実施形態では、前記第1および/または第2の周波数置換下位手段が、ローカル発振器と、前記周波数置換下位手段の入力信号およびローカル発振器の出力信号を乗算によって周波数方向に加算するように適応させたミキサーと、前記乗算の結果を隔離するための第3のアナログ帯域通過フィルタと、をそれぞれ備える。
【0018】
このようにして、補償信号は線形的に増幅され、それによってこの補償の従属処理を簡約化し得る。
【0019】
本発明の別の態様によれば、衛星の信号を増幅するための方法であって、
−第1の経路で、発信された信号をデジタル的にフィルタリングして、有用帯域外の部分を除去し、取得されたデジタル信号をアナログ信号に変換するステップと、
−第2の経路で、発信された信号をデジタル的にフィルタリングして、有用帯域外の部分を除去し、取得されたデジタル信号にゲインを適用し、前記信号を前記第1の経路の信号と同期させ、取得されたデジタル信号をアナログ信号に変換するステップと、
−前記第1および第2の経路の信号を合計するステップと、
−周波数置換を実行して、ベースバンド内あるいは中間周波数内の信号をキャリア帯域内の信号に変換するステップと、
−発信前に信号を増幅するステップと、
からなるステップを含む方法も提案される。
【0020】
本発明は、完全に非制限的な例として記載され、かつ添付の図面によって示されたいくつかの実施形態を研究することにより、一層良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一態様に従い、衛星信号生成ユニットによって生成された信号を増幅するためのシステムの一実施形態を概略的に表す。
【図2】本発明の一態様に従い、衛星信号生成ユニットによって生成された信号を増幅するためのシステムの別の実施形態を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
すべての図において、同じ参照符号を有する要素は同様である。
【0023】
図1は、衛星の信号生成ユニットUGSによって生成された信号を増幅するためのシステムSAを概略的に表す。増幅システムSAは、ユニットUGSによって生成されたそれ自体の有用帯域幅デジタル信号外をフィルタリングするための、有限インパルス応答を伴う第1の帯域通過デジタルフィルタF1を備えた第1の経路V1と、前記第1のデジタルフィルタF1の出力側に配置された第1のデジタル/アナログコンバータCNA1と、を備える。増幅システムSAは、ベースバンド内あるいは中間周波数内の信号をキャリア帯域内の信号に変換するための周波数置換モジュールMTFと、前置増幅器および増幅器を備える増幅装置DAと、も備える。
【0024】
増幅システムSAは、ユニットUGSによってデジタル的に生成されたそれ自体の有用帯域幅デジタル信号外をフィルタリングするための、有限インパルス応答を伴う第2の帯域通過デジタルフィルタF2、前記第2のデジタルフィルタF2の出力側に配置されたゲインモジュールG、ゲインモジュールGの出力側に配置された位相従属型の数値制御式発振器NCO、数値制御式発振器NCOの出力側に配置された第2のデジタル/アナログコンバータCNA2を備える第2の経路V2と、第1および第2の経路V1、V2の信号を合計するための再結合装置Sと、をさらに備える。
【0025】
周波数置換モジュールMTFは、再結合装置Sの出力側と増幅装置DAの入力側との間に配置される。
【0026】
この事例では、周波数置換モジュールMTFが、ローカル発振器OLと、周波数置換モジュールMTFの入力信号およびローカル発振器OLの出力信号を乗算によって周波数方向に加算するように適応させたミキサーMELと、前記乗算の結果を隔離するための第3のアナログ帯域通過フィルタF3と、を備える。
【0027】
ローカル発振器OLは、再結合された信号が変調される搬送周波数を定める。アナログ帯域通過フィルタF3は、増幅装置DAの入力を、補償を含め、その信号の有用帯域に制限することを可能にする。
【0028】
図1の実施形態は、モジュールMTFが有用信号と補償信号とを同一時期に管理することもできる任意選択の特性を利用している。
【0029】
図2は、衛星の信号UGSを生成するためのユニットによって生成された信号を増幅するためのシステムSAを概略的に表す。増幅システムSAは、ユニットUGSによって生成された有用帯域デジタル信号外をフィルタリングするための、有限インパルス応答を伴う第1の帯域通過デジタルフィルタF1を備えた第1の経路V1と、前記第1のデジタルフィルタF1の出力側に配置された第1のデジタル/アナログコンバータCNA1と、を備える。増幅システムSAは、ベースバンド内あるいは中間周波数内の信号をキャリア帯域内の信号に変換するための周波数置換モジュールMTFと、前置増幅器および増幅器を備える増幅装置DAと、も備える。
【0030】
増幅システムSAは、ユニットUGSによって生成されたそれ自体の有用帯域デジタル信号外をフィルタリングするための、有限インパルス応答を伴う第2の帯域通過デジタルフィルタF2、前記第2のデジタルフィルタF2の出力側に配置されたゲインモジュールG、ゲインモジュールGの出力側に配置された位相従属型の数値制御式発振器NCO、および数値制御式発振器NCOの出力側に配置された第2のデジタル/アナログコンバータCNA2を備える第2の経路V2と、第1および第2の経路V1、V2の信号を合計するための再結合装置Sと、をさらに備える。
【0031】
周波数置換モジュールMTFは、
−第1のコンバータCNA1の出力側と加算器Sの入力側との間にある第1の経路V1に配置された第1の周波数置換下位モジュールMTF1と、
−第2のコンバータCNA2の出力側と加算器Sの入力側との間にある第2の経路V2に配置された第2の周波数置換下位モジュールMTF2と、
を備える周波数置換モジュールMTFを備える。
【0032】
第1および/または第2の周波数置換下位モジュールMTF1、MTF2は、ローカル発振器OL1、OL2と、周波数置換下位モジュールMTF1、MTF2の入力信号およびローカル発振器OL1、OL2の出力信号を乗算によって周波数方向に加算するように適合させたミキサーMEL1、MTF2と、前記乗算の結果を隔離するための第3のアナログ帯域通過フィルタF3_1、F3_2と、をそれぞれ備え、それにより、増幅装置DAの入力で信号のスペクトル占有を制限することを可能にする。
【0033】
図2の実施形態は、補償信号のゲインおよび同期という点から従属処理を簡約化する。
【符号の説明】
【0034】
CNA1 第1のデジタル/アナログコンバータ
CNA2 第2のデジタル/アナログコンバータ
DA 増幅装置
F1 第1の帯域通過デジタルフィルタ
F2 第2の帯域通過デジタルフィルタ
F3 第3のアナログ帯域通過フィルタ
F3_1 第3のアナログ帯域通過フィルタ
F3_2 第3のアナログ帯域通過フィルタ
G ゲインモジュール
MEL ミキサー
MEL1 ミキサー
MEL2 ミキサー
MTF 周波数置換モジュール
MTF1 第1の周波数置換下位モジュール
MTF2 第2の周波数置換下位モジュール
NCO 位相従属型の数値制御式発振器
OL ローカル発振器
OL1 ローカル発振器
OL2 ローカル発振器
S 再結合装置
SA 増幅システム
UGS 信号生成ユニット
V1 第1の経路
V2 第2の経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星の信号を生成するためのユニット(UGS)によって生成された信号を増幅するためのシステム(SA)であって、
−前記ユニット(UGS)によって生成されたそれ自体の有用帯域デジタル信号外をフィルタリングするための、有限インパルス応答を伴う第1の帯域通過デジタルフィルタ(F1)と、前記第1のデジタルフィルタ(F1)の出力側に配置された第1のデジタル/アナログコンバータ(CNA1)と、を備える第1の経路(V1)と、
−ベースバンド内あるいは中間周波数内の信号をキャリア帯域内の信号に変換するための周波数置換手段(MTF)と、
−前置増幅器および増幅器を備える増幅装置(DA)と、
を備えるシステムにおいて、
−前記ユニット(UGS)によって生成されたそれ自体の有用帯域幅デジタル信号外をフィルタリングするための、有限インパルス応答を伴う第2の帯域通過デジタルフィルタ(F2)、前記第2のデジタルフィルタ(F2)の出力側に配置されたゲイン手段(G)、前記ゲイン手段(G)の出力側に配置された位相従属型の数値制御式発振器(NCO)、および前記数値制御式発振器(NCO)の出力側に配置された第2のデジタル/アナログコンバータ(CNA2)を備える第2の経路(V2)と、
−前記第1および第2の経路(V1、V2)の信号を合計するための再結合装置(S)と、
をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記周波数置換手段(MTF)が、前記再結合装置(S)の出力側と前記増幅装置(DA)の入力側との間に配置されている、請求項1に記載のシステム(SA)。
【請求項3】
前記周波数置換手段(MTF)が、ローカル発振器(OL)と、前記周波数置換手段(MTF)の入力信号および前記ローカル発振器(OL)の出力信号を乗算によって周波数方向に加算するように適応させたミキサー(MEL)と、前記乗算の結果を隔離するための第3のアナログ帯域通過フィルタ(F3)と、を備える、請求項2に記載のシステム(SA)。
【請求項4】
前記周波数置換手段(MTF)が、
−前記第1のコンバータ(CNA1)の出力側と加算器(S)の入力側との間にある前記第1の経路(V1)に配置された第1の周波数置換下位手段(MTF1)と、
−前記第2のコンバータ(CNA2)の出力側と前記加算器(S)の入力側との間にある前記第2の経路(V2)に配置された第2の周波数置換下位手段(MTF2)と、
を備える、請求項1に記載のシステム(SA)。
【請求項5】
前記第1および第2の周波数置換下位手段(MTF1、MTF2)が、ローカル発振器(OL1、OL2)と、前記周波数置換下位手段(MTF1、MTF2)の入力信号および前記ローカル発振器(OL1、OL2)の出力信号を乗算によって周波数方向に加算するように適応させたミキサー(MEL1、MEL2)と、前記乗算の結果を隔離するための第3のアナログ帯域通過フィルタ(F3_1、F3_2)と、を備える、請求項4に記載のシステム(SA)。
【請求項6】
衛星の信号を増幅するための方法であって、
−第1の経路(V1)で、発信された信号をデジタル的にフィルタリングして(F1)、有用帯域外の部分を排除し、取得されたデジタル信号をアナログ信号に変換する(CNA1)ことと、
−第2の経路(V2)で、発信された信号をデジタル的にフィルタリングして(F2)、有用帯域外の部分を排除し、取得されたデジタル信号にゲイン(G)を適用し、前記信号を前記第1の経路の信号と同期させ、取得されたデジタル信号をアナログ信号に変換する(CNA2)ことと、
−前記第1および第2の経路(V1、V2)の信号を合計する(S)ことと、
−周波数置換(MTF)を実行して、ベースバンド内あるいは中間周波数内の信号をキャリア帯域内の信号に変換することと、
−発信前に信号を増幅する(DA)ことと、
からなるステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−5438(P2013−5438A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130840(P2012−130840)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(505157485)テールズ (231)
【Fターム(参考)】