説明

衛星航法デバイス

【課題】複雑化及びコスト上昇を生じずに柔軟なRF受信機を含む衛星航法デバイスを提供する。
【解決手段】
衛星航法デバイスは、複数の衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する受信機を備え、該受信機は、複数チャネルを有し、各チャネルが、信号の少なくとも一部を中間周波数にダウン・コンバートすることによって、各衛星からのスペクトル拡散信号においてそれぞれの周波数帯域を受信するサブチャネル回路436を含み、該サブチャネル回路は、中央周波数が前記中間周波数に実質的に等しく、帯域幅が前記第1衛星の帯域幅よりも大きいバンドパス・フィルタ422を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎地球航法衛星システム(GNSS)に関し、更に特定すれば、衛星航法受信機の信号処理アーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
汎地球測地システム(GPS)のような汎地球航法衛星システム(GNSS)における受信機は、衛星からブロードキャストされる視野信号に基づく距離測定値を用いる。受信機は、1つ以上のブロードキャスト信号の到達時刻を測定する。この到達時刻測定値は、疑似距離(pseudo-range)と呼ばれる、信号の粗雑捕獲符号化部分に基づく時刻測定値と、位相測定値とを含む。
【0003】
GPSにおける複数のブロードキャスト信号に加えて、汎地球軌道航法衛星システム(GLONASS)、GALILEO測地システム、ヨーロッパ静止航法オーバーレイ・システム(EGNOS:European Geostationary Navigation Overlay System)、広域補強システム(WAAS:Wide Area Augmentation System)、運輸多目的衛星用衛星航法補強システム(MSAS:Multifunctional Transport Satellite-Based Augmentation System)、及び準天空衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellite System)のような、その他のGNSSに対応するその他のブロードキャスト信号も数多くある。集合的に、ブロードキャスト信号は、種々のフォーマットを有し、多数のキャリア信号周波数上で送信する。
従来のGNSS受信機は、1つ以上のキャリア信号周波数上で送信される1つ以上のブロードキャスト信号を受信するために、複数の無線周波数(RF)回路を有する。RF回路は、通例、複数のサブチャネルを内蔵している。それぞれのサブチャネルは、それぞれのキャリア周波数又は周波数帯域で送信されたキャリア信号を受信するために用いることができる。加えて、それぞれのサブチャネルは、GNSSにおけるそれぞれの衛星に対応するキャリア信号を受信するために用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の受信機においては、複数のRF回路を用いることによって、受信機は1つ以上のGNSSに対応する多数の信号を受信することが可能になっているが、この手法では、通例、余分なオーバーヘッドや構成部品を伴い、したがって、複雑化及びコスト上昇を招く。このため、GNSSキャリア信号のための柔軟性のあるRF受信機が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
フレキシブルなRF受信機を含む衛星航法デバイスについて記載する。受信機は、第1衛星から、少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する。受信機は、少なくとも2つのサブチャネル回路を含む少なくとも第1チャネルを有する。各サブチャネル回路は、少なくとも1つの信号発生器と、第1ミキサとを含み、第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号においてそれぞれの周波数帯域を受信する。第1信号発生器は、それぞれ第1キャリア周波数を有する、それぞれの第1信号を供給し、第1ミキサを用いて、前述の信号の少なくとも一部を、2つのサブチャネル回路に共通の中間周波数にダウン・コンバートする。
【0006】
第1サブチャネル回路における中間周波数及び第2サブチャネル回路における中間周波数の相違は、100kHz未満とするとよい。また、それぞれの第1信号におけるそれぞれの第1キャリア周波数及び各サブチャネル回路の中間周波数は、調節可能とすることができる。この調節は、調節可能な第1信号発生器を用いて実現することができる。
【0007】
第1チャネルは、更に、第2信号発生器も含むことができる。少なくとも2つのサブチャネル回路の各々は、更に、第2ミキサを含むことができる。第2信号発生器は、第2ミキサを用いて、信号の少なくとも一部を中間周波数から実質的にベースバンドにダウン・コンバートするために、第2キャリア周波数を有する第2信号を、少なくとも2つのサブチャネル回路の各々に供給する。
【0008】
また、衛星航法デバイスにおいて、受信機は、中間周波数を有するサブチャネル回路の少なくとも2つの追加のインスタンスを有する追加チャネルを含むこともできる。それぞれの追加サブチャネル回路は、追加衛星から追加スペクトル拡散信号において追加のそれぞれの周波数帯域を受信する。
【0009】
実施形態の中には、衛星航法デバイスが第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する受信機を含む場合もある。受信機は、第1チャネルを有する。第1チャネルは、少なくとも1つのサブチャネル回路を含む。サブチャネル回路は、第1信号発生器と第1ミキサとを有し、第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号においてそれぞれの周波数帯域を受信する。第1信号発生器は、第1ミキサを用いて、信号の少なくとも一部を、2つのサブチャネル回路に共通である中間周波数にダウン・コンバートするためのそれぞれの第1キャリア周波数を有するそれぞれの第1信号を供給する。
また、第1チャネルは、第2信号発生器も含む。少なくとも1つのサブチャネル回路は、第2ミキサも含む。第2信号発生器は、第2ミキサを用いて、信号の少なくとも一部を中間周波数から実質的にベースバンドにダウン・コンバートするために、調節可能な第2キャリア周波数を有するそれぞれの第2信号を、少なくとも1つのサブチャネル回路に供給する。
【0010】
実施形態の中には、衛星航法デバイスが、第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する受信機を含む場合もある。受信機は第1チャネルを有する。第1チャネルは、信号の少なくとも一部を中間周波数にダウン・コンバートすることによって、第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号においてそれぞれの周波数帯域を受信する少なくとも1つのサブチャネル回路を含む。第1サブチャネル回路は、中央周波数が中間周波数に実質的に等しく、帯域幅が大凡第1衛星の帯域幅よりも大きいバンドパス・フィルタを有する。
【0011】
実施形態の中には、衛星航法デバイスが、第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する受信機を含む場合もある。受信機は、第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号におけるそれぞれの周波数帯域内におきて情報を検出するフロント・エンド回路を有する。フロント・エンド回路は、情報に対応するディジタル信号を出力するように構成可能である。ディジタル信号は調節可能なビット数を有する。
本発明の更に別の目的及び特徴は、以下の詳細な説明及び添付した特許請求の範囲を図面と関連付けることによって一層容易に明らかとなるであろう。
同様の参照番号は、図面の様々な図全体を通じて対応する部分を示すこととする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ダイレクト・パス信号及びマルチパス信号と共に汎地球航法システム(GNSS)を示す図である。
【図2】GNSS受信機における構成要素を示すブロック図である。
【図3】GNSS受信機におけるチャネル内の構成要素を示すブロック図である。
【図4A】GNSS受信機におけるチャネル内の構成要素を示すブロック図である。
【図4B】GNSS受信機におけるチャネル内の構成要素を示すブロック図である。
【図5A】1ビット(2レベル)量子化を示す図である。
【図5B】2ビット(3レベル)量子化を示す図である。
【図5C】3ビット(4レベル)量子化を示す図である。
【図6】符号−振幅変換回路を示すブロック図である。
【図7】ゼロ・バランス回路を示すブロック図である。
【図8】自動利得制御(AGC)回路を示すブロック図である。
【図9】GNSS受信機における受信信号の信号処理を示すブロック図である。
【図10】GNSS受信機における構成要素を示すブロック図である。
【図11】GNSS受信機の動作方法を示すフロー図である。
【図12】GNSS受信機の動作方法を示すフロー図である。
【図13】GNSS受信機の動作方法を示すフロー図である。
【図14】GNSS受信機の動作方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これより、実施形態を詳細に検討するが、その例を添付図面に示す。以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を得るために、多数の具体的な詳細を明記する。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細がなくても実施可能であることは、当業者には明白であろう。場合によっては、本発明の態様を無益に曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成要素、及び回路については詳細には説明していないこともある。
【0014】
第1衛星からの1つ以上のスペクトル拡散信号を受信する柔軟なRF受信機について説明する。この受信機の実施形態は、共通中間周波数を有する少なくとも2つのサブチャネルと、調節可能な中間周波数を有するサブチャネルと、中央周波数が実質的に中間周波数に等しく、帯域幅が大凡第1衛星の帯域幅よりも大きいバンドパス・フィルタと、及び/又はビット数が調節可能なディジタル信号を出力するように構成されている回路とを含み、衛星航法デバイスの複雑度及び費用を低減することができる。
【0015】
衛星航法デバイスの実施形態では、航法とは、場所又は位置を判定することを含み、位置解明としても知られていると解釈することとする。航法は、衛星航法デバイスが、GNSS内にある衛星が少なくとも部分的に供給する基準フレームに対してどこにあるかを判定することと解釈するものとする。また、航法は、少なくとも部分的にGNSSにおける1機以上の衛星からの信号に基づいて衛星航法デバイスにおいて時刻を判定することであってもよい。
【0016】
衛星航法デバイスでは、RF受信機は高品質の航法測定値を、GPS、GALILEO、GLONASS、QZSS、WAAS、EGNOS、MSAS及びその他の衛星航法システムを含むGNSSからの既存の又は計画航法信号のいずれからでも供給する。また、これは、ニューヨーク州StarFireのNavCom Technology, Inc.からの信号の受信もサポートする。
【0017】
GLONASSを除いて、GNSS衛星は、衛星間干渉を緩和するために、コード・ダイバシティ多元接続(CDMA)方法を用いる。非GLONASS衛星は、L帯域におけるキャリア信号周波数上で信号をブロードキャストし、スペクトル拡散疑似ランダム・コードを用いる。一例としてGPSを用いると、干渉保護レベルは、C/Aコードに対する約20dBから、それよりも新しいコード及び軍用Pコードに対する70dB超までの範囲である。GPS衛星は帯域幅(両側)が20〜30MHzの内蔵フィルタを有する。
【0018】
GLONASSシステムは、周波数ダイバシティ多重アクセス(FDMA)を用いて衛星間干渉の保護を行う。各GLONASS衛星は同じスペクトル拡散コードを用いる。地球の逆側における同じ軌道内に位置する対蹠(antipodal)衛星を除いて、各衛星はそれ自体の周波数帯域を有する。対蹠衛星は同じ周波数帯域を共有することができる。
【0019】
GPSシステムは、1575.42MHzのL1キャリア信号周波数及び1227.6MHzのL2キャリア信号周波数において、航法信号をブロードキャストする。第3GPS信号が、1176.45MHzのL5キャリア信号周波数で計画されている。GALILEOシステムは、L1及びL5(E5Aとも呼ぶ)、並びに1207.14MHz(E5B)及び1278.75MHz(E6)における追加信号を供給することを計画する。また、GALILEOは、L1キャリア信号周波数においてスペクトル拡散コードが異なる追加の信号も供給する。QZSSシステムは、L1、L2及びL5キャリア信号周波数上うでGPS互換信号を供給することを計画する。WAAS、EGNOS及びMSASにおける衛星は、L1キャリア信号周波数上でGPS型信号を供給し、L5キャリア信号周波数上で第2信号を供給することを計画する。
【0020】
StarFireネットワークは、少なくとも部分的に通信リンクとして機能し、1525及び1560MHz間の周波数帯域において、幅が850MHzあるチャネルを用いる。StarFireは100符号化ビット/秒でデータを送信する。
【0021】
GLONASSは、1598.0635から1605.375MHzまで(L1)及び1242.9375から1248.625MHzまで(L2)の周波数帯域で信号をブロードキャストする。GLONASSにおける信号の周波数帯域は、GPS及びGALILEOにおける信号の対応する周波数帯域の高端部と重複する。
【0022】
図1は、GNSS100の一実施形態においてデバイス110が受信する複合信号を示す。この複合信号は、1機以上の衛星がブロードキャストした1つ以上の信号114と、物体112から反射したマルチパス信号116とを含む。先に論じたように、信号114は、各々、少なくとも1機の衛星に対応する少なくとも1つのスペクトル拡散信号を収容する。
【0023】
図2は、デバイス110(図1)における受信機200の一実施形態の構成要素を示す。複合信号は、少なくとも1つのアンテナ210によって受信され、ルータ212に結合される。ルータ212は、複合信号の少なくとも一部を1つ以上のチャネル214に結合する。チャネル214は、各々、1つ以上のサブチャネル回路を含み、これらは受信した情報220を出力する。それぞれのサブチャネル回路は、複合信号の少なくとも一部において、少なくとも第1衛星に対応する、少なくとも1つのスペクトル拡散信号においてそれぞれの周波数帯域を受信する。チャネルは、コントローラ216が制御する。以下で論ずるが、チャネル214の少なくとも1つにおけるそれぞれのサブチャネルの順応性(adaptation)は、コントローラ216からの命令に基づくことができる。チャネル214は、少なくとも1つの共通基準発振器218からの1つ以上のクロック信号を受信する。他の実施形態では、基準発振器218のような、共通基準発振器がない場合もある。チャネル214は、1つ以上の基準発振器を含むこともできる。チャネル214の内1つ以上は、1つ以上のクロック信号を用いて、少なくとも1つのスペクトル拡散信号を受信する際に用いるそれぞれのクロック信号を発生することができ、1つ以上の位相ロック・ループ、遅延ロック・ループ、及び/又は、内挿補間回路の使用を含む。
【0024】
別の実施形態では、受信機200の構成要素は多くても少なくてもよい。2つ以上の構成要素の機能を1つの構成要素に実装してもよい。あるいは、いくつかの構成要素の機能を、構成要素の追加のインスタンス(instance)に実装してもよい。実施形態200は、1つのアンテナ210、1つのルータ212、及び3つのチャネルを示すが、これらの構成要素よりも多くても少なくてもよい。加えて、受信機200のアーキテクチャは、多種多様のアンテナを使用する選択肢を設ける。アンテナ入力は増幅しても又は増幅しなくてもよく(受動)、ルータ212におけるアンテナ導体毎に1つ又は多数の周波数を組み合わせることもできる。増幅しないアンテナあるいはアンテナ210とルータ212との間に長いコネクタ又はケーブルを有する実施形態では、受信機200は初期利得段を含むとよい。
【0025】
図4Aは、数個のサブチャネル回路436を含む、チャネル214−1(図2)のような、チャネル400の一実施形態を示す。ルータ212を用いて、アンテナ210からの信号の少なくとも一部を、低及び高周波成分に分割する。この実施形態では、ルータ212はダイプレクサである。一例として、低周波成分はL2及びL5周波数帯域を内包することができ、1150から1250MHzまでの周波数に及ぶことができる。高周波成分は、L1及びStarFire周波数帯域を収容することができ、1500〜1600MHzの周波数に及ぶことができる。これらの周波数の一部又は全部に対して別個のアンテナを用いる場合、ルータ212は余分なアンテナ・コネクタを有すればよく、又は余分なルータがあればよい。非増幅(受動)アンテナを有する実施形態のように、ルータ212の前に初期低ノイズ増幅器があるとよい実施形態もある。
【0026】
2つに分岐された信号の各々は、ロー・パス・フィルタ410に結合されており、ここで信号画像及び帯域外干渉が除波される。次いで、この信号を増幅器412において増幅し、フィルタ414において濾波する。初期ロー・ノイズ増幅器をルータ212の前に有する実施形態では、増幅器412をなくしてもよい。サブチャネル回路436におけるミキサ420のような、1つ以上の変調器を用いて、この信号の少なくとも一部を実質的に共通の中間周波数(IF)にダウン・コンバートする。実施形態の中には、第1サブチャネル回路436_1におけるIF、及び第2サブチャネル回路436_2におけるIFの差が、100kHz未満の場合もある。共通IFの使用と併せて、1つ以上の電源信号及び/又は設置信号線の濾波を用いてもよい。1つ以上のサブチャネル436内及び/又は周囲におけるRF遮蔽も用いてもよい。
【0027】
ミキサ420_1のようなそれぞれのミキサにおけるダウン・コンバージョンでは、第1基準信号を混合する。第1基準信号は、信号発生器418_1のような、1つの信号発生器418が発生する、それぞれの第1キャリア又は局部発振(LO)周波数を有する。第1基準信号は、基準発振器218(図2)が発生することができる1つ以上のクロック信号416に基づいて発生することができる。信号発生器418の1つが発生する各第1基準信号は、一意の第1LO周波数を有する。しかしながら、IFは実質的にサブチャネル回路436の全てに対して共通である。他の実施形態では、IFが、第1サブチャネル回路436_1及び第2サブチャネル回路436_2のような、サブチャネル回路436の内の少なくとも2つに実質的に共通である場合もある。サブチャネル回路436の各々において、L1、L2、L5、StarFire、F5B及び/又はL6周波数帯域に対応するそれぞれの第1LO周波数を含むことができる一意の第1LO周波数を用いることによって、それぞれのサブチャネル回路は、第1衛星から、少なくとも1つのスペクトル拡散信号においてそれぞれの周波数帯域を受信することが可能になる。
【0028】
ダウン・コンバージョンの後、IFの信号を、表面弾性波フィルタのような、高品質フィルタ422の1つに通過させ、エリアス及び干渉信号を除去し、帯域外干渉を除波する。高品質フィルタ422によって、フロント・エンド予備選択(preselection)フィルタリングのように、チャネル400における他のフィルタの精度が低くてもよくなり、自動利得制御が実施し易くなり、更にディジタル/アナログ(A/D)変換器426における量子化のビット数を少なくすることができる。StarFireネットワークに対応するサブチャネル回路436_4では、異なるフィルタ430を用いてもよい。何故なら、StarFireネットワークにおける信号は、情報帯域幅が狭いからである。フィルタ422及び430は、受信機200(図2)における信号に対する信号処理帯域幅を定義する。その結果、フィルタ422及び430は、受信機200(図2)の信号処理特性全体を定義するのに役立つ。実質的に共通なIF及び同一のフィルタ422を、航法及び/又はStarFireネットワークに用いられるGNSSにおける周波数帯域に対応する、サブチャネル回路436において用いることにより、これらの回路の信号処理特性を実質的に同一にすることができる。これによって、受信機200(図2)において性能が向上し、複雑度及びコストを低減することができる。
【0029】
実施形態の中には、フィルタ422の1つ以上が有する中央周波数がほぼIFに等しく、帯域幅が第1衛星の帯域幅よりも大きい場合もある。実施形態の中には、フィルタ422の内1つ以上の帯域幅(3dBの通過帯域)が、約30MHz(両側)よりも大きい場合もある。実施形態の中には、フィルタ422の内1つ以上の帯域幅(3dBの通過帯域)が、約30から約32MHz(両側)を含む範囲以内にある場合もある。実施形態の一例では、フィルタ422は、6つ以上の複素極と同等とすることができる。フィルタ422の帯域幅が、GNSS衛星の1つ以上によってブロードキャスタされる信号に適用する濾波処理よりも少なくとも多少大きいことを確保することにより、信号内容を失うことはなく、可能な限り帯域外干渉を除波する。衛星の1機以上におけるフィルタの帯域幅を今後広げる場合、フィルタ422の1つ以上の帯域幅も広げて、信号内容が失われないようにするとよい。これによって、マルチパス信号116(図1)の補正改良、及び/又は受信機200(図2)の追跡特性改良が可能となる。また、フィルタ430の中央周波数は、実質的にIFに等しくてもよい。実施形態の一例では、フィルタ430の帯域幅は200kHzとしてもよい。何故なら、StarFireネットワークにおける信号の方が用いる帯域幅が狭いからである。
【0030】
ミキサ424のような1つ以上の変調器を用いて、1つ以上のサブチャネル回路436における信号を実質的に近ベースバンド(ゼロ周波数)に変換する。ミキサ424_1のようなそれぞれのミキサにおけるダウン・コンバージョンでは、第2キャリア即ちL0周波数を有する第2基準信号を混合する。この信号は、信号発生器432が発生する。チャネル400を1つの信号発生器432と共に示すのは、サブチャネル回路436が実質的に共通のIFを有するからである。第2基準信号は、基準発振器218(図2)からの少なくとも1つのクロック信号に基づいて発生することができる。
【0031】
IF、第1LO、及び第2LOの周波数は、コードとGNSS信号が用いるキャリア信号周波数との間にコヒーレントな関係を保存することができる。全てのGNSS信号に対して、コード・ビット毎に実質的に整数回のキャリア・サイクルがある。選択されたダウン・コンバージョン周波数、即ち、第1LO周波数及び第2LO周波数はそれぞれ、これらの関係を保存することができる。尚、この関係は、衛星受信機の運動によって生ずるドプラ周波数ずれ、基準信号、及び/又は衛星又は受信機200(図2)におけるクロック信号誤差には感応しない。以下で論ずるが、受信機200(図2)はこの特質を利用する。
【0032】
IF及び第2LO周波数は、基準発振器218(図2)からの少なくともそれぞれのクロック信号の周波数の実質的に等しい倍数とすることができる。ドプラ(前述した)の発生源を無視すると、2つのダウン・コンバージョン周波数の和、即ち、サブチャネル回路436の各々におけるそれぞれの第1LO周波数及び第2LO周波数の和は、少なくとも第1衛星からの1つのスペクトル拡散信号において、それぞれの周波数帯域に対応する、それぞれのキャリア周波数に実質的に等しくすることができる。例えば、GPS L1周波数帯域の公称(ノミナル)キャリア周波数は1575.42MHzであり、これは、154×10.23MHzに等しい。受信機200(図2)が、N×10.23MHzの周波数を有する基準発振器218(図2)からのクロックを用いる実施形態では、第1及び第2LOをこのクロック信号から発生する。これらのLOのそれぞれの周波数は、キャリア周波数を追跡することによって測定した距離がコードを追跡することによって測定した距離と実質的に同一であることを保証する幾つかの関係に従うとよい。L帯域信号毎のキャリア周波数は、N×154という形式で表すことができる(N=L1に対して154、L2に対して120、L5に対して115、E5Aに対して118、そしてE6に対して125)。第1LOの周波数は、基準クロック信号にAを乗算することによって作成する。即ち、LO=A・N×10.23MHzとなる。第2LOの周波数は、IFに実質的に等しく、基準クロック信号にBを乗算することによって作成する。即ち、LO=B・N×10.23MHzとなる。乗数A及びBは、これらが、関数s・(N−A・N)=B・Nに従うように選択する。ここで、低側ダウン・コンバージョンではs=1、高側ダウン・コンバージョンではs=−1である。例えば、高側の第1ダウン・コンバージョンを用いてL1信号を13.7×10.23MHz(=140.151MHz)に等しいIFに変換する場合、sは−1に等しく、B・Nは154+13.7即ち167.7に等しくなる。代わりに低側のダウン・コンバージョンを用いる場合、sは1に等しく、B・Nは154−13.7即ち140.3に等しくなる。GNSS周波数毎に、異なる乗数Aを用いても良い。全ての周波数に同じIF及び乗数Bを用いてもよい。尚、ある意味では、高側変換によって負の周波数を有するIFが生成されるが、受信機200(図2)におけるフィルタ及び後続のダウン・コンバージョンは、周波数が正であっても負であっても同じ挙動を行う。
【0033】
サブチャネル回路436_4は、信号発生器434が発生するキャリア即ちLO周波数を有する、異なる第2基準信号を用いて、StarFire信号を実質的に近ベースバンドにダウン・コンバートする。サブチャネル回路436_4における第2基準信号は、基準発振器218(図2)からの少なくとも1つのクロック信号に基づいて発生することができる。StarFireネットワークにおける信号は数個の異なる周波数帯域を用いるので、この第2LO周波数は、小さな、ほぼ21Hz刻みで調節して、第2LO周波数がStarFire通信チャネルの中央周波数と一致するようにするとよい。信号捕獲の間、コントローラ216(図2)は、順次信号発生器434を、可能なStarFireの各周波数帯域に対応する周波数を近似し、それぞれの信号があるか否か判定するようにプログラムすることができる。尚、コードとStarFire信号処理におけるキャリア信号周波数との間には特殊な関係を維持する必要がないので、サブチャネル回路436_4におけるそれぞれの第1LO周波数及び第2LO周波数の選択の自由度を高めることができる。
【0034】
近ベースバンド(near baseband)へのダウン・コンバージョンの後、信号をロー・パス・フィルタ(図示せず)に結合し、不要なスペクトル成分を除去し、A/D変換器426の1つ以上においてサンプリング及び量子化して、ディジタル出力428を生成する。信号の量子化については、以下で更に論ずることにする。
【0035】
図4Bは、チャネル400の変形であるチャネル450の実施形態を示す。チャネル450において、サブチャネル回路436の1つ以上における第1及び第2LO周波数は、調節可能及び/又は設定可能とするとよい。これは、例えば、コントローラ216(図2)を用いて、信号発生器418及び/又は信号発生器432の少なくとも1つを調節及び/又は設定することによって実施する。例えば、信号発生器432からの基準信号における第2LO周波数を、数百Hz刻みで調節するとよい。IFを適応すなわち設定する場合、フィルタ430、フィルタ422、ミキサ420、及び/又はミキサ424の内少なくとも1つを調節又は再構成するとよい。チャネル450の実施形態の中には、IF周波数が2つ以上のサブチャネル回路436において共通としても、非共通としてもよい場合がある。
【0036】
IF並びに第1及び第2LO周波数を設定可能にすることによって、IFは、ほぼ100から350MHzを含む範囲内の値に設定(configure)することができる。IF並びに第1及び第2LO周波数が調節可能な実施形態では、1つ以上のサブチャネル回路436を前述した範囲のIFに動的に構成することが可能となる。設定可能即ち適応可能なIFにより、更に設計自由度が高まる。これらの自由度により、1つ以上のサブチャネル436におけるIFを、フィルタ410、414、422及び/又は430、信号発生器418及び/又は432、及び/又はミキサ420及び/又は424のような構成要素の要件を満たすように変更することが可能となる場合もある。例えば、受信機200(図2)の生産寿命(production lifetime)の間に1つ以上の構成要素が旧式となったり、又は異なるIF範囲に対応する1つ以上の構成要素が改良された入手可能となった場合、1つ以上のそれぞれの第1及び第2LO周波数を設定又は適応させることによってIFを変更することができる。実施形態例では、IFを140、160、及び/又は200MHzとすることができる。何故なら、これらの値は、セルラ電話機に合わせて開発された低コストのフィルタ及びミキサの仕様と一致するからである。
【0037】
他の実施形態では、チャネル400及び/又はチャネル450の構成要素は多くても少なくてもよい。2つ以上の構成要素の機能を1つの構成要素で実現することもできる。あるいは、数個の構成要素の機能を、これらの構成要素の追加のインスタンスに実装することもできる。図4A及び図4Bは4つのサブチャネル回路436を示すが、実施形態の中には、サブチャネル回路436がこれよりも少ない場合も多い場合もある。そして、図4A及び図4Bには示されていないが、チャネル400及びチャネル450、並びに受信機200(図2)のその他の実施形態は、直交検出及びサンプリングを用いることもできる。その結果、複素(同相I及び直交Q)サンプルが得られ、利点を提供することができる。
【0038】
図3は、直交検出及びサンプリング手法を用いたチャネル214(図2)の1つにおけるサブチャネル300の実施形態における構成要素を示す。ルータ212(図2)からの信号310をロー・パス・フィルタ312に結合し、信号画像及び帯域外干渉を除波する。フィルタ312の出力を、ミキサ314のような変調器に結合し、IFにダウン・コンバートする。実施形態の中には、IFが、サブチャネル回路436(図4)の1つのように、1つ以上の別のサブチャネル回路と共通となっている場合もある。ダウン・コンバージョンによって、基準発振器218(図2)からのクロック信号に基づいて信号発生器316が発生した基準信号を混合する。IFの信号を高品質フィルタ320に結合し、エリアス信号を除去し、帯域外干渉を除去する。このフィルタ320は、サブチャネル300の信号処理帯域幅を定義する。信号は、ミキサ322のような変調器において、実質的に近ベースバンドにダウン・コンバートされ、複素サンプルI及びQを得る。実質的に互いに直交するミキサ322の基準信号は、直交発生器326によって供給する。近ベースバンド信号は、フィルタ318においてローパス・フィルタリングされ、A/D変換器328においてサンプリング及び量子化される。複素サンプルI及びQに対応するディジタル信号を信号プロセッサ322に結合する。
【0039】
通例、直交発生器326からの基準信号は、位相が90゜正確にずれている訳ではない。信号をベースバンドにダウン・コンバートする場合、位相誤差即ちバイアス、及び対応する信号処理損失が生ずる。その結果、従来の受信機は、図3に示すような直交検出及びサンプリングを用いないのが通例であった。加えて、サンプリング及び量子化は、ベースバンドでは通常ではないのが通例である。代わりに、サンプリング及び量子化は、通例、A/D変換器328のようなA/D変換器のサンプリング・レートの1/4のような、残余IF(residual IF)において行うことができる。A/D変換器のサンプリング・レートを高め、サンプルの平均を取ることにより、残余バイアスを除去することができる。要するに、これら従来の受信機におけるA/D変換器は、信号をベースバンドにダウン・コンバートする。しかしながら、得られるI及びQサンプルはある時間間隔で決定される。このため、マルチパス信号116(図1)の補正が一層難しくなる。また、A/D変換器のサンプリング・レートが高くなることに伴って、電力面でも不利になる場合がある。これらの従来の受信機では無線周波数から近ベースバンドに直接ダウン・コンバージョンを実施しており、直交検出は通常用いられない。
【0040】
受信機200(図2)では、信号を近ベースバンドにダウン・コンバートし、前述のように、サンプリング及び直交量子化することができる。この検出手法により、I及びQサンプルを実質的に同時に決定することが可能となる。一方、これによって、マルチパス信号116(図1)の補正を改良し、電力消費を低減することが可能となる。しかしながら、なおも、直交発生器326からの基準信号における位相誤差に残余バイアスが伴う可能性があるという問題が残る。事実上、結果的に得られる信号には、意図的なドプラ周波数ずれがある。複素位相回転を実行して、この意図的なドプラ周波数ずれを補正することにより、バイアスは0〜360゜に実質的に均一に分散され、平均化すると0になる。
【0041】
図9は、複素位相回転を含む信号処理回路900の一実施形態を示す。A/D変換器910及び912(図3におけるA/D変換器328、及び図4AにおけるA/D変換器426と同様)が、それぞれ、I及びQサンプルを供給する。A/D変換器910及び912は、第1サブチャネル回路に対する信号処理回路への第1ポートである。つまり、第1ポートは、信号における1つのキャリア周波数のデータを受信するサブチャネルに対応する。信号処理回路900又は信号処理回路900の更に別のインスタンスのいずれかに結合された余分なサブチャネル回路からも1つ以上の余分なポートがあってもよい。1つの多周波数アンテナを有する実施形態では、信号におけるキャリア周波数毎に、別個のサブチャネル及びポートを用いてもよい。姿勢判定システムにおけるような多数のアンテナを有する実施形態では、各アンテナからの信号におけるキャリア周波数毎に別個のポートが必要となる場合もある。
【0042】
I及びQサンプルを3レベル変換器914に結合する。3レベル変換器914については、信号の量子化の論述において以下で更に論ずることにする。サンプルをマルチプレクサ916及び918に結合する。マルチプレクサ916及び918は、信号処理回路900の残り部分を前述のポートの内少なくとも1つに結合する。実質的に近ベースバンドへのダウン・コンバージョン(例えば、Qサンプルを0に等しくすることによる)に伴う残余バイアス及び意図的なドプラ周波数ずれを補正するための複素回転を、複素回転回路926において実行する。複素回転は、参照表(テーブル)924における値に基づく。この値は、キャリア信号発生器又は数値制御発振器(NCO)920に基づいて決定する。これらは、補正すべき意図的なドプラ周波数ずれを判定するキャリア追跡ループの一部である。信号のサンプルにおける少なくとも1つのスペクトル拡散コードを、相関器932及び934において、コーダ930及びコード信号発生器又はNCO928に基づいて復調する。コード信号発生器即ちNCO928は、コード追跡ループの一部である。
【0043】
受信機200(図2)には、1つ以上のGNSS信号をアナログからディジタル形態に変換する実施形態が数個ある。当技術分野では周知のように、信号のナイキスト・レート以上のサンプリング・レートが容認可能である。複素サンプルを用いる実施形態では、サンプリング・レートは、フィルタ422(図4A)の帯域幅以上にすればよい。例えば、GPS信号に対して、サンプリング・レートは32MHzよりも高くすればよい。他の実施形態例では、サンプリング・レートは40、60、又は80MHzとするとよい。信号処理中における電力消費及びタイミング制約は、サンプリング・レートに比例して増大するので、40MHzのサンプリング・レートが既存及び計画GNSS信号には適していると言える。今後、更に高い帯域幅のGNSS信号が利用可能になれば、フィルタ422(図4A)の帯域幅及びA/D変換器426(図4A)のサンプリング・レートも、新しいナイキスト・レートに基づいて、それに応じて増大することができる。
【0044】
図4Bを参照すると、実施形態の中には、チャネル450における1つ以上のサブチャネル回路436が、調節可能なビット数を有する1つ以上のディジタル信号428を出力するように構成可能とするのがよい場合がある。ビット数は、1、2、3、4、又は5とすることができる。実施形態の中には、更に大きなビット数を用いる場合もある。しかしながら、A/D変換器426のようなA/D変換器の複雑度は、ビット数の二乗として変動し、ビット数が5を超えると、逓減リターン(diminishing return)が生ずる場合がある。ビット数は、動的適応を含めて、構成又は適応するとよい。構成及び/又は適応は、コントローラ216(図2)によって制御するとよい。A/D変換器426はこの能力を示す。1つ以上のサブチャネル回路436が1ビットを有するディジタル信号428を出力するように構成されている実施形態では、A/D変換器428の1つ以上を比較器と置換してもよい。
【0045】
図5A〜図5Cは、数種類の量子化の実施形態を示す。図5Aは、信号514について振幅510対時間512の関係を示し、基準電圧即ち閾値516に対する1ビット(2レベル)量子化を示す。量子化信号518と信号514との間の誤差は明白である。図5Bでは、基準電圧即ち閾値552及び554に対する2ビット(3レベル、即ち、1、0、及び1)量子化を示す。ここでも、量子化信号556と信号514との間の誤差は明白である。しかしながら、シンプソンの規則を用いた数値積分における誤差が、時間軸512に沿った間隔Δxが短くなるに連れて減少するのと全く同様に、誤差は減少する。図5Cでは、基準電圧即ち閾値582、584、及び586に対する3ビット(4レベル)量子化を示す。ここでもまた、量子化信号580と信号514との間の誤差は減少している。図示しないが、2ビット(4レベル)の実施形態もある。
【0046】
これら又はその他の変換技法の1つを選択し、アナログGNSS信号をディジタル・フォーマットに変換することができる。選択する技法は、受信機200(図2)の目標用途に応じて異なる。多ビットA/D変換器では、耐電波妨害 (anti-jamming)保護レベルが向上し(ビット当たり6dB程度)、自動利得(AGC)範囲を改善し、処理損失が少量で済み(元の信号と量子化サンプルとの間における誤差低減によって証明されるように)、広いダイナミック・レンジが得られる。しかしながら、このような多ビットA/D変換器は電力消費が多く、高価である。加えて、複素回転回路926(図9)は参照表924(図9)から全範囲におよぶ正弦及び余弦値を必要とする場合もある。1ビット、ハード・リミット・サンプラ(hard-limit sampler)は、図5Aに示すようなサンプルを生成し、コストが低く、サイズが小さく、消費するエネルギも最少で済む。このような1ビット・サンプラは、耐電波妨害力及びダイナミック・レンジが不足する。また、これらは−1.96dBの信号処理損失を発生する。3レベル・サンプラは、図5Bに示すようなサンプルを生成し、ハード・リミット・サンプラよりも複雑であり、わずかに高価である。信号処理損失は0.92dBに低減する。これらは、ハード・リミット・サンプラよりもダイナミック・レンジが広く、電波妨害に対する耐力が高いが、多ビット・サンプラ程ではない。尚、2ビット・サンプルの場合、複素回転回路926(図9)は、測定及び表の値からの符号ビットのXORに等しい結果の符号を設定することによって、実施することができる。この結果の振幅は、2ビット・サンプルの振幅ビットが0である場合には0となり、2ビット・サンプルの振幅が1である場合には、表の値の振幅となる。
【0047】
実施形態の中には、受信機200(図2)が従来の技法を2つ以上組み合わせて、性能向上を図る場合もある。例えば、多ビットA/D変換器を用いることができ、3レベル変換器914(図9)を用いて、I及びQサンプルを3レベル信号に変換することができる。このように、受信機200(図2)は、電波妨害に対する耐力を向上させ、AGC範囲を広げることができ、その上ディジタル信号処理のための3レベル・サンプルの容易性を達成することができる。
【0048】
StarFire信号(毎秒1200又は2400ビット)の情報内容は、GNSS信号よりも遥かに少ないので、用いるサンプリング・レートは、38.4kHzのように、低くしてもよい。このレートは、ナイキスト・レートの16又は32倍であり、今後可能性があるブロードキャスト・データ・レートの上昇がし易くなる。また、信号電力の著しい損失を生ずることなく、非同期ディジタル・サンプルとのデータ・ビット・エッジの同期も可能となる。
【0049】
再度図2を参照すると、基準発振器218は、少なくとも1つのクロック信号を発生する。このクロック信号は、チャネル214の1つ以上において、例えば、それぞれの第1LO周波数、第2LO周波数、及び/又はA/D変換用タイミングを発生するために用いられる。既に論じたように、チャネル214におけるダウン・コンバージョンは、最終的には実質的に近ベースバンドに達する。これは、事実上、意図的ドプラ周波数ずれを招くことになる。これを実施する1つの方法は、約40PPM速すぎるように少なくとも1つのクロック信号のキャリア周波数を設定することである。このオフセットによって、信号の1つ以上のI及びQサンプルが全て、正の見かけ上のドプラ周波数ずれを有し、信号処理回路900(図9)のような信号処理回路における、NCOのような信号発生器の設計が、確実に簡略化される。また、このオフセットにより、ディジタル・サンプリング・エッジが、少なくとも第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号におけるコード・ビット・エッジのタイミングに関して、確実にランダムに分散する。
【0050】
実施形態の一例では、基準発振器218の公称キャリア周波数は、16.36864MHzである。これは、GPSの10.23MHz基本周波数の1.6倍よりも39.101MH、即ち、大凡40PPM大きい。基準発振器218からの少なくとも1つのクロック信号のキャリア周波数は、その寿命の間に、経年及び/又は温度変動によって更に10PPM程変動する可能性がある。
【0051】
別の実施形態例では、基準発振器218は、温度補償水晶発振器(TCXO)及び/又は電圧補償水晶発振器(VCXO)を含むこともできる。GPSでは、双方の形式の水晶発振器の周波数は、少なくとも1つのクロック信号の公称キャリア周波数16.36864MHzと実質的に同一である。TCXOは、補償回路を内蔵し、基準水晶発振器及びサーミスタにおける温度変動の、全てではないにしても、一部を除去する。サーミスタは、水晶発振器の温度に比例する電圧を出力する。信号処理ソフトウェアは、サーミスタを読み取り、水晶発振器の実際の周波数を、10億分の1単位の精度で予測することができる。これは、GNSS信号のキャリア周波数におけるドプラ周波数ずれの数ヘルツと同等である。
【0052】
受信機200は、任意に、PPS(pulse per second)と呼ばれる、タイミング・パルスを発生することができる。これは、Universal Time Coordinate(UTC:統括的時間座標)又はGPS時間の1秒マークに正確に合わせされている。受信機200は、通例、数ナノ秒という、非常に正確な時間の知識を有する。何故なら、これは、位置解明の一部として、サンプリング・クロックの時間及び周波数誤差も解明する場合があるからである。しかしながら、TXCOを基準発振器218において用いる場合、1秒毎のサンプル数は、TCXO周波数の変動のために、必ずしも整数ではない。通例、受信機200はGPS信号の1秒エポックに対して最も近いクロック信号のエッジにおいてPPSを発生する。受信機200の実施形態の一例では、1秒エポックの精度は、約12nsである。時とともに、クロック信号及びPPSのエッジの時間位置合わせは浮動する。周期的に、受信機20は1つ以上のクロック・サイクルをPPS間隔に加算又は減算して、誤差を制限しておくことができる。PPSのユーザは、PPS間隔における対応するグリッチを補償することができる。クロック信号のエッジの個々の位置合わせによるPPSにおける誤差の受信機200による推定値を記述するメッセージを出力するのは、一般に周知である。このメッセージは、ユーザに、グリッチが発生したとき、即ち、PPSを補正したときを告げる。
【0053】
VCXOを含む基準発振器218は、可変電圧フィードバック信号を受け入れ、少なくとも1つのクロック信号の周波数を調節する。衛星航法デバイスにおける航法ソフトウェアは、毎秒のクロック信号数が整数となり、PPSが推定した秒マークのところで正確に発生するように、フィードバック電圧を調節することができる。これらの実施形態では、PPSの追加調節は必要でない場合もある。
【0054】
実施形態の中には、受信機200におけるチャネル214の1つ以上にフィードバックを設け、サブチャネル回路436_1(図4A)のような1つ以上のサブチャネル回路、及び/又はA/D変換器426_1(図4A)のような1つ以上のA/D変換器における利得を制御するとよい場合もある。フィードバックは、例えば、インターフェース回路を用いて、A/D変換器328(図3)の後及び信号プロセッサ332(図3)の前における信号に基づいて、設けるとよい。インターフェースは、信号プロセッサ332(図3)への入力、即ち、サンプルI及びQの修正も行い、受信機200の耐電波妨害の能力を向上することもできる。既に論じたように、受信機200はこのようにして多ビットA/Dサンプル及び3レベル信号の信号処理の利点を享受することができる。
【0055】
I及びQサンプルの変換の実施形態の中には、1ビット・サンプルの信号線を、信号プロセッサ332(図3)における入力ピンの最上位ビットに結合する場合がある。他の入力ピンは論理0に結合すればよい。別の実施形態では、2ビット、3レベル・サンプリングを選択することもできる。2ビットの信号線を、入力ピンの内最上位の2ビットに結合すればよく、他の入力ピンを論理0に結合すればよい。3ビット以上のA/D変換を用いる実施形態では、対応するビットの信号線を入力ピンの上位ビットに結合すればよく、他の入力ピンを論理0に結合すればよい。
【0056】
図6は、4ビットA/Dサンプル610を用いて、3レベル変換器914(図9)において実施することができるような、符号、振幅変換の一実施形態を示す。4ビットA/Dサンプル610を、1ビットの符号622及び3ビットの振幅620から成る符号−振幅フォーマットに、反転器618及びXOR616を用いてマッピングする。反転器618及びXOR616はそれぞれ、下位側3ビット612及び最上位ビット614に対して動作する。A/Dサンプル610は、0から15までの範囲を取り、0点が値7及び8の中間にある(0点は適正に調節されていると過程する)。0及び15のA/Dサンプル610は、最大の振幅を有する。符号−振幅値の符号622は、それぞれのA/Dサンプルの最上位ビット614の逆である。正の符号ビットでは、振幅620は最下位A/Dビット612に等しい。負の符号値では、振幅620は最下位A/Dビット612のビット毎の逆である。
【0057】
実施形態の中には、プログラム可能な参照表を用いて、3レベル変換器914(図9)のように、A/Dサンプル610を3レベル・サンプルにマッピングすることができる場合もある。3レベル・サンプルは、信号プロセッサ332(図3)におけるような、ディジタル信号処理によって用いることができる。プログラム可能な参照表によって、A/D変換器426(図4A)は1ビットから4ビットまでの量子化を利用することが可能となる。プログラム可能な参照表は、16要素、即ち、4ビットA/Dから得ることができる16入力の1つに対して1つずつ収容することができる。各要素には、等価な3レベル、符号/振幅値がプログラムされている。1つの参照表が、1つ以上のサブチャネル回路436(図4A)からの1つ以上の信号に対応するI及びQサンプル610双方によって用いられる変換を定義する。
【0058】
プログラム可能な参照表への入力サンプルが、1ビット、ハード・リミットA/D変換器から得られる場合、可能な入力値は2つ、1000及び0000(二進)しかない。プログラム可能な参照表と併せた制御ロジックが二進値1000を正符号及び大きい振幅に変換し、二進値0000を負符号及び大きい振幅に変換することができる。この例では、プログラム可能な参照表における残りの14エントリは用いられない。2ビット(3レベル)A/D変換を用いる場合、プログラム可能な参照表と併せた制御ロジックは、処理のために、可能な4つの3レベルA/Dサンプルの各々を、対応する3レベル・サンプルに変換することができる。2ビット(4レベル)A/Dサンプルのマッピング、及びこれよりもビット数が多いA/Dサンプルのマッピングも、同様に実施することができる。
【0059】
受信機200(図2)の適正な挙動のためには、正及び負のA/Dサンプル610は数が等しいことが好適である。A/Dサンプル610が平均して0にならない場合、これらは、DCバイアスと呼ばれる、バイアスを内包しており、コード相関プロセス(図9における932及び934)の間に、余分な干渉ノイズに変換されていく。又は、DCバイアスが、それぞれのスペクトル拡散CDMAコードが設ける自己相関保護よりも大きい場合、干渉衛星信号として出現する。
【0060】
DCバイアスを除去する1つの手法は、ある期間についてA/Dサンプル610を平均し、得られた平均値を入来するA/Dサンプル610から減算することである。しかしながら、この手法は、バイアスを除去した(de-biased)A/Dサンプルにおいて多くの精度ビット(bits of precision)を用い、その結果信号処理中にも多くの精度ビットを用いる可能性がある。これらの方法は、DCバイアスを測定し、受信機200(図2)において成分を手動で調節することにより又はディジタル/アナログ(D/A)変換器を用いて可変フィードバック電圧を供給することによって、基準電圧552及び554(図5B)のような、A/D基準電圧を調節する。
【0061】
図7は、DCバイアスを除去するために用いられる回路700の一実施形態を示す。回路700は、反転器714を用いて、Iサンプル710及びQサンプル712を反転する。アップ/ダウン・カウンタ718は、サンプルが正の場合それらそれぞれのカウントを1ずつ増分させ、サンプルが負の場合それらのそれぞれのカウントを1だけ減分させる。カウンタ718の1つがオーバーフローした場合、余分な大きいサンプルがあるので、1つのバイアスP722上において1つのオペアンプ726の非反転入力にパルスを印加し、1つの基準電圧を上昇させる。カウンタ718の1つがアンダーフローした場合、余分な小さなビットがあるので、1つのバイアスM724上でオペアンプ726の反転入力にパルスを印加し、1つの基準電圧を低下させる。オペアンプ726及びそれらと連動するフィードバック回路は、パルスの積分時間(integration time)が100ms及び10sの間となるように選択する。時の経過と共に、オペアンプ726はフィードバック・パルスを積分し、正及び負のサンプル数が等しくなり、Iサンプル710及びQサンプル712の平均が0となるように、基準電圧を調節する。
【0062】
既に述べたように、受信機200(図2)は、A/Dサンプル610(図6)を監視し、サブチャネル回路436の1つ以上の利得を調節して、A/D変換器426への入力が容認可能な範囲内に納まるようにすることができる。図8は、AGC回路800の一実施形態を示す。AGC回路800は、実施が簡単であり、非常に高い耐電波妨害の能力を備え、後続の信号処理段に対して透過的である。比較器814において、Iサンプル810及びQサンプル812の振幅を、アクティブ/インアクティブ閾値(activity threshold)と比較する。実施形態の中には、比較器814におけるアクティブ/インアクティブ閾値を調節可能にするとよい場合がある。Iサンプル810及び/又はQサンプル812の振幅がアクティブ/インアクティブ閾値以上である場合、それぞれのサンプルはアクティブである。それぞれのサンプルがアクティブ/インアクティブ閾値未満である場合、これらはインアクティブである。加算器818、820、及び822を用いて、アクティブなIサンプル及び/又はQサンプルの数を加算することができる。加算は、N分割フィードバック824を用いて、Nサンプル周期に等しい長さの時間間隔に設定する。N分割フィードバック824は、サンプル・イネーブル808によって、動作制御(gate)する。Nの選択は、それがms当たりのサンプル数の整数の除数とならないように行う(IF及び/又は、図4AにおけるA/D変換器426の少なくとも1つの動作制御を行うために用いられるような、1つ以上のクロック信号上での対応する周波数におけるエリアシングを回避するため)。その結果、フィードバック・レートは大まかに200KHzとなり、所望の境界レベルは、M/(2×N)という形式の分数として精度高く表現することができる。ここで、Mは整数である。実施形態の一例では、Nは176に等しくするとよい。
【0063】
によって定義される時間間隔の終了時に、比較器826において、アクティブなIサンプル及びQサンプルのカウントを目標閾値と比較する。実施形態の中には、目標閾値がプログラム可能な場合もある。和が目標閾値よりも大きい場合、アクティブなサンプルが多すぎ、ラインAGC M828上のAGCオペアンプの反転入力にパルスを送ることによって、サブチャネル回路436(図4A)の少なくとも1つにおける利得を減少させる。和が目標閾値未満である場合、アクティブなサンプルが少なすぎる。ラインAGC P830上のAGCオペアンプの非反転入力にパルスを送ることによって、利得を増大させる。オペアンプ及び支援回路は、有効積分時間が100ms及び10sの間となるように選択するとよい。AGC回路800に示すように、フィードバック・パルスは、少なくとも1つのサンプル・イネーブル808クロックの周期長である。AGC応答を高速化して得るには、フィードバック・パルスの長さを、Iの和及び/又はQの和から目標閾値を減算した結果の絶対値に比例させることによって、即ち、比例フィードバック制御によって行うことができる。尚、1ビット量子化をA/D変換器426(図4A)において用いる受信機200(図2)の実施形態では、AGCフィードバックを必要としなくてもよい場合もある。
【0064】
図11は、衛星航法デバイスの動作の実施形態を示す。第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する(ステップ1112)。第1周波数帯域に対応する信号の少なくとも一部を第1サブチャネル回路に供給する(ステップ1114)。第1キャリア周波数を有する第1信号を発生する(ステップ1116)。第1キャリア周波数を用いて、この信号の少なくとも一部を中間周波数にダウン・コンバートする(ステップ1118)。この中間周波数は、第1サブチャネル回路及び第2サブチャネル回路に共通である。実施形態の中には、動作がこれらよりも少ない場合も多い場合もあり、動作の順序を入れ替えることもでき、及び/又は2つ以上の動作を組み合わせることもできる。
【0065】
図12は、衛星航法デバイスにおける動作の一実施形態を示す。第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する(ステップ1212)。第1周波数帯域に対応する信号の少なくとも一部を第1サブチャネル回路に供給する(ステップ1214)。調節可能な第1キャリア周波数を有する第1信号を発生する(ステップ1216)。この信号の少なくとも一部を、第1キャリア周波数を用いて、調節可能な中間周波数にダウン・コンバートする(ステップ1118)。実施形態の中には、動作がこれらよりも少ない場合も多い場合もあり、動作の順序を入れ替えることもでき、及び/又は2つ以上の動作を組み合わせることもできる。
【0066】
図13は、衛星航法デバイスにおける動作の一実施形態を示す。第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する(ステップ1312)。第1周波数帯域に対応する信号の少なくとも一部を第1サブチャネル回路に供給する(ステップ1314)。この信号の少なくとも一部を中間周波数にダウン・コンバートする(ステップ1316)。中央周波数が中間周波数に実質的に等しく、帯域幅が大凡第1衛星の帯域幅よりも大きいバンドパス・フィルタを用いて、前述の信号の少なくとも一部を濾波する(ステップ1318)。実施形態の中には、動作がこれらよりも少ない場合も多い場合もあり、動作の順序を入れ替えることもでき、及び/又は2つ以上の動作を組み合わせることもできる。
【0067】
図14は、衛星航法デバイスにおける動作の一実施形態を示す。第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する(ステップ1412)。少なくとも1つのスペクトル拡散信号における周波数帯域の中にある情報を検出する(ステップ1414)。この情報に対応し、調節可能なビット数を有するディジタル信号を出力する(ステップ1416)。実施形態の中には、動作がこれらよりも少ない場合も多い場合もあり、動作の順序を入れ替えることもでき、及び/又は2つ以上の動作を組み合わせることもできる。
【0068】
図10は、汎地球航法衛星システム(GNSS)における、デバイス110(図1)のようなデバイス1010の一実施形態を示す。デバイス1110は、受信機200(図2)のようなフロント・エンド回路1012、信号プロセッサ332(図3)のような信号プロセッサ1014、少なくとも1つのプロセッサ1016、及びメモリ1018を含む。メモリ1018は、高速ランダム・アクセス・メモリを含むことができ、更に1つ以上の磁気ディスク記憶デバイス、EEPROM及び/又はフラッシュEEPROMのような不揮発性メモリも含むことができ、オペレーティング・システム1020、1つ以上の衛星フィルタ特性1022、及びプロセッサ1016が実行する少なくとも1つのプログラム・モジュール1024を含む。少なくとも1つのプログラム・モジュール1024は、キャリア及びコード・ロック1026、任意のその他のマルチパス補正1028(二重デルタ補正、ストローブ相関器(strobed correlator)、及びパルス・アパーチャ相関器等)、マルチパス計算1030、A/D量子化において調節可能なビット数を含む、耐電波妨害量子化1034、及びGNSSコーダ/デコーダ1036に対する命令を含む。また、プログラム・モジュール1024は、フロント・エンド回路1012においてIF、フィルタ、ミキサ、及び/又はLO周波数を調節するための命令も含むことができる。実施形態の中には、プロセッサ1016が1つよりも多い場合もある。他の実施形態では、デバイス1010は、特定用途集積回路(ASIC)を含むこともでき、プロセッサ1016が実行する少なくとも1つのプログラム・モジュール1024の機能性の一部又は全部をASIC内に実装することもできる。
【0069】
以上の記載では、説明の目的上、本発明の完全な理解を得るために、具体的な名称を用いた。しかしながら、本発明を実施するためには、具体的な詳細は必要でないことは当業者には明白であろう。実施形態は、本発明の原理及びその実用的用途を最良に説明し、これによって、他の当業者が本発明及び種々の実施形態を、想定される個々の仕様に適した種々の修正と共に、最良に利用することができるようにするために選択し説明したのである。したがって、前述の開示は、それだけ余すことがない全てであることも、本発明を開示した通りの形態に限定することも意図していない。以上の教示を検討することにより、多くの修正や変形が可能である。
発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されることとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星航法デバイスであって、
該デバイスは、第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信し、第1チャネルを有する受信機を備えており、
前記第1チャネルが、前記信号の少なくとも一部を中間周波数にダウン・コンバートすることによって、前記第1衛星からの前記少なくとも1つのスペクトル拡散信号においてそれぞれの周波数帯域を受信する少なくとも1つのサブチャネル回路を含み、前記第1サブチャネル回路は、中央周波数が前記中間周波数に実質的に等しく、帯域幅が前記第1衛星の帯域幅よりも大きいバンドパス・フィルタを有する
ことを特徴とする衛星航法デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の衛星航法デバイスにおいて、前記バンドパス・フィルタの帯域幅は、約30MHzよりも大きいことを特徴とする衛星航法デバイス。
【請求項3】
請求項1記載の衛星航法デバイスにおいて、前記バンドパス・フィルタの帯域幅は、約30〜約32MHzの範囲内であることを特徴とする衛星航法デバイス。
【請求項4】
衛星航法デバイスであって、
該デバイスは、第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信する受信機を備えており、該受信機は、前記第1衛星からの少なくとも前記1つのスペクトル拡散信号におけるそれぞれの周波数帯域内におきて情報を検出するフロント・エンド回路を有し、該フロント・エンド回路は、前記情報に対応するディジタル信号を出力するように構成可能であり、前記ディジタル信号は調節可能なビット数を有する
ことを特徴とする衛星航法デバイス。
【請求項5】
請求項4記載の衛星航法デバイスにおいて、前記ビット数は、1、2、及び3ビットから成る群から選択されることを特徴とする衛星航法デバイス。
【請求項6】
方法であって、
第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信するステップと、
第1周波数帯域に対応する前記信号の少なくとも一部を第1サブチャネル回路に供給するステップと、
第1キャリア周波数を有する第1信号を発生するステップと、
前記第1信号を用いて、前記第1周波数帯域に対応する前記信号の少なくとも前記一部を、調節可能な中間周波数にダウン・コンバートするステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記中間周波数は、約100〜約350MHzの範囲内であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6記載の方法において、該方法は更に、第2キャリア周波数を有する第2信号を発生するステップと、前記第2信号を用いて、前記第1周波数に対応する前記信号の少なくとも前記部分を、前記第1サブチャネル回路において実質的にベースバンドにダウン・コンバートするステップとを備えていることを特徴とする方法。
【請求項9】
方法であって、
第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信するステップと、
第1周波数帯域に対応する前記信号の少なくとも一部を、中間周波数にダウン・コンバートするステップと、
中央周波数が前記中間周波数に実質的に等しく、帯域幅が大凡前記第1衛星の帯域幅よりも大きいバンドパス・フィルタを用いて、前記信号を濾波するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記バンドパス・フィルタの帯域幅は、約30MHzよりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、前記バンドパス・フィルタの帯域幅は、約30〜約32MHzの範囲内であることを特徴とする方法。
【請求項12】
方法であって、
第1衛星からの少なくとも1つのスペクトル拡散信号を含む信号を受信するステップと、
前記第1衛星からの少なくとも前記1つのスペクトル拡散信号における周波数帯域内において情報を検出するステップと、
前記情報に対応し、調節可能なビット数を有するディジタル信号を出力するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記ビット数は、1、2、及び3ビットから成る群から選択されることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−168190(P2012−168190A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97445(P2012−97445)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2008−540125(P2008−540125)の分割
【原出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(504278123)ナヴコム テクノロジー インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】