説明

衛生マスク

【課題】衛生マスクを装着した時に感じる息苦しさを改善すると共に、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に接着固定された枠体の中央部に設けられた空洞部に排気に含まれている水蒸気をプールしておいて該空洞部内における保湿を高めることにより吸気における保湿を高め、しかも、衛生マスクを装着したときの違和感を感じさせない衛生マスクを提供する。
【解決手段】1枚又は2枚以上の通気性を有する材料で形成された衛生マスク本体1と、前記衛生マスク本体1の裏面の外周近傍に接着固定された通気性及び保湿性を有する材料で形成された柔軟な枠体4と、前記枠体4の中央部に設けられた空洞部5と、を有している衛生マスク10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性を低下させないで保湿性を向上させた衛生マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、「筒体の底面を衛生マスク本体の裏面に着脱可能に接触させた衛生マスク用サポータ装置において、前記筒体が、円筒状のスカート部と、その底面に張設された通気性シートと、で構成され、そして、前記筒体の底面と前記衛生マスク本体との間に含水シートが着脱可能に挟持された衛生マスク用サポータ装置」(特許文献1を参照。)が提案されている。この衛生マスク用サポータ装置によれば、前記スカート部に空間を設けて呼吸しやすくすると共に、口紅が付着しないようし、そして、含水シートを挟持させて塵埃、花粉、雑菌が吸着されないようにしているが、衛生マスク用サポータ装置を装着した時に息苦しさを感じさせる、という問題があり、また、スカート部内の保湿が十分でない、という問題があった。
【0003】
また、「柔軟でかつ通気性のある外皮(1)とそれに取り付けられたわく状で柔軟で通気性のない材料で作られた顔あて(2)と、外皮(1)と顔あて(2)によって形成された窪み(3)の中に有害ガスを無害化する吸着剤を装着した保護衛生マスク」(特許文献2を参照。)が提案されている。この保護衛生マスクによれば、吸気に含まれている有害ガスを吸着剤に吸着させて吸気を無害化することができるが、保護衛生マスクを装着した時に息苦しさを感じさせる、という問題があり、また、顔あて内の保湿が十分でない、という問題があった。
【0004】
また、「人体と物品あるいは物品と物品を接して使用するときに生じる隙間の隙間処理材であって、物品は滅菌、除菌消臭処理した綿状繊維体を用いてつくり、形状保持の目的で綿状繊維体に適宜の位置に糸や樹脂で縫い込みなど処理したものに、片面あるいは両面に粘着剤と保湿紙を付けて帯状あるいは綿状に加工した綿状繊維体の人体隙間テープ」(特許文献3を参照。)が提案されている。この人体隙間テープによれば、衛生マスクに付けて、眼鏡の曇りを防止したり、また、衛生マスクと人体との隙間から埃等の進入を防止すりことができるが、この人体隙間テープを衛生マスクに取り付けた時に息苦しさを感じさせる、という問題があり、また、衛生マスク内の保湿が十分でない、という問題があった。
【特許文献1】実用新案登録第3110567号明細書
【特許文献2】特開平9−140813号公報
【特許文献3】特開2006−280728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0006】
即ち、本発明は、衛生マスクを装着した時に感じる息苦しさを改善すると共に、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に接着固定された枠体の中央部に設けられた空洞部に排気に含まれている水蒸気をプールしておいて該空洞部内における保湿を高めることにより吸気における保湿を高め、しかも、衛生マスクを装着したときの違和感を感じさせない衛生マスクを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、1枚又は2枚以上の通気性を有する材料で形成された衛生マスク本体と、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に接着固定された通気性及び保湿性を有する材料で形成された柔軟な枠体と、前記枠体の中央部に設けられた空洞部と、を有していることを特徴とする衛生マスクである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記柔軟な枠体が、ポリエステル、セルロース繊維及びアクリル繊維から選ばれる繊維を構成繊維とする不織繊維ウエッブ又は不織布で構成され、前記枠体の厚さtが、5〜20mmであり、前記枠体の幅dが、10〜35mmであり、そして、前記枠体の目付量が、100〜350g/m2 であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記柔軟な枠体が、連続気泡を有するウレタン発泡体で構成され、前記枠体の厚さtが、5〜20mmであり、そして、前記枠体の幅dが、10〜35mmであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された発明において、前記枠体の外周の形状が衛生マスク本体の外周の形状と同じであり、そして、前記枠体の内周の形状が矩形、楕円形、円形、又は、三角形であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記枠体の上辺中央の鼻に接触する内周の部分に、鼻にフィットさせるための切り欠きが設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された発明において、前記枠体が、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に両面接着テープ、ホットメルト接着剤、液状接着剤、超音波溶接、又は、高周波ミシンで接着固定されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載された発明において、
(イ)上縁部分に開口を有する平面視矩形のポケットが、前記衛生マスク本体を構成する前記2枚以上の通気性を有する材料における隣接する2枚の通気性を有する材料で構成され、
(ロ)前記ポケットが、前記枠体の中央に設けられた空洞部に対応する部分に配置され、そして、
(ハ)前記ポケットには、保液シートが挿入されている
ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に記載された発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載された発明において、
(イ)通気性を有する材料で形成された上縁部分に開口を有する平面視矩形の別体として形成されたポケットが、前記衛生マスク本体の裏面と前記枠体の表面との間に設けられ、
(ロ)前記ポケットが、前記枠体の中央に設けられた空洞部に対応する部分に配置され、そして、
(ハ)前記ポケットには、保液シートが挿入されている
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,4に記載された本発明によれば、1枚又は2枚以上の通気性を有する材料で形成された衛生マスク本体と、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に接着固定された通気性及び保湿性を有する材料で形成された柔軟な枠体と、前記枠体の中央部に設けられた空洞部と、を有しているので、衛生マスクを装着した時に感じる息苦しさを緩和することができると共に、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に接着固定された枠体の中央部に設けられた空洞部における排気に含まれている水蒸気をプールしておいて該空洞部内の保湿を高めることにより吸気における保湿を高め、しかも、衛生マスクを装着したときの違和感を感じさせない衛生マスクを提供することができる。そして、請求項1に記載された本発明によれば、前記枠体の中央部に設けられた空洞部にプールされた水蒸気を含む吸気によって、上気道の粘膜が加湿されて湿潤に保たれるので、ウイルスの付着や増殖を防止することができ、また、花粉症の予防にも役立つ。
【0016】
請求項2に記載された本発明によれば、前記柔軟な枠体が、ポリエステル、セルロース繊維及びアクリル繊維から選ばれる繊維を構成繊維とする不織繊維ウエッブ又は不織布で構成され、前記枠体の厚さtが、5〜20mmであり、前記枠体の幅dが、10〜35mmであり、そして、前記枠体の目付量が、100〜350g/m2 であるので、衛生マスクを装着した時に感じる息苦しさをいっそう緩和することができると共に、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に接着固定された枠体の中央部に設けられた空洞部における排気に含まれている水蒸気をプールしておいて該空洞部内の保湿をいっそう高めることにより吸気における保湿をいっそう高め、しかも、衛生マスクを装着したときの違和感をいっそう感じさせない衛生マスクを提供することができる。
【0017】
請求項3に記載された本発明によれば、前記柔軟な枠体が、連続気泡を有するウレタン発泡体で構成され、そして、前記枠体の厚さtが、5〜20mmであり、そして、前記枠体の幅dが、10〜35mmであるので、衛生マスクを装着した時に感じる息苦しさをいっそう緩和することができると共に、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に接着固定された枠体の中央部に設けられた空洞部における排気に含まれている水蒸気をプールしておいて該空洞部内の保湿をいっそう高めることにより吸気における保湿をいっそう高め、しかも、衛生マスクを装着したときの違和感をいっそう感じさせない衛生マスクを提供することができる。
【0018】
請求項5に記載された本発明によれば、前記枠体の上辺中央の鼻に接触する内周の部分に、鼻にフィットさせるための切り欠きが設けられているので、衛生マスクが左右にずれることを防止することができると共に、前記枠体と鼻との間の隙間をうめて前記空洞部にプールされた水蒸気を逃がさないようにすることができる。
【0019】
請求項6に記載された発明によれば、前記枠体が、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に両面接着テープ、ホットメルト接着剤、液状接着剤、超音波溶接、又は、高周波ミシンで固着されているので、前記枠体が前記衛生マスク本体の裏面から剥がれることがない。
【0020】
請求項7に記載された発明によれば、(イ)上縁部分に開口を有する平面視矩形のポケットが、前記衛生マスク本体を構成する前記2枚以上の通気性を有する材料における隣接する2枚の通気性を有する材料で構成され、(ロ)前記ポケットが、前記枠体の中央に設けられた空洞部に対応する部分に配置され、そして、(ハ)前記ポケットには、保液シートが挿入されているので、前記保液シートに水分を含浸させれば、前記空洞部においてプールしておいた排気に含まれている水蒸気に加えて保液シートから放出された水蒸気をもプールして該空洞部内の保湿をいっそう高めることにより吸気における保湿をいっそう高め、しかも、衛生マスクを装着したときの違和感を感じさせない衛生マスクを提供することができる。
【0021】
請求項8に記載された発明によれば、(イ)通気性を有する材料で形成された上縁部分に開口を有する平面視矩形の別体として形成されたポケットが、前記衛生マスク本体の裏面と前記枠体の表面との間に設けられ、(ロ)前記ポケットが、前記枠体の中央に設けられた空洞部に対応する部分に配置され、そして、(ハ)前記ポケットには、保液シートが挿入されているので、前記保液シートに水分を含浸させれば、前記空洞部においてプールしておいた排気に含まれている水蒸気に加えて保液シートから放出された水蒸気をもプールして該空洞部内の保湿をいっそう高めることにより吸気における保湿をいっそう高め、しかも、衛生マスクを装着したときの違和感を感じさせない衛生マスクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態を示す衛生マスクであって、(a)は、その斜視図であり、そして、(b)は、その使用状態を示す断面である。図2は、本発明の他の一実施の形態を示す衛生マスクである。図3は、本発明の他の一実施の形態を示す衛生マスクである。図4は、本発明の一実施の形態を示す衛生マスクにおける枠体の他の形状を示す説明図である。
【0023】
図1に示されているように、本発明の衛生マスク10は、1枚又は2枚以上の通気性を有する材料で形成された衛生マスク本体1と、前記衛生マスク本体1の裏面の外周近傍に接着固定された通気性及び保湿性を有する材料で形成された柔軟な枠体4と、前記枠体4の中央部に設けられた空洞部5と、を有している。図1において、7は、ひもであり、4aは、枠体4の外周であり、そして、4bは、枠体4の内周である。
【0024】
このように、1枚又は2枚以上の通気性を有する材料で形成された衛生マスク本体1と、前記衛生マスク本体1の裏面の外周近傍に接着固定された通気性及び保湿性を有する材料で形成された柔軟な枠体4と、前記枠体4の中央部に設けられた空洞部5と、を有していると、衛生マスク10を装着した時に感じる息苦しさを緩和することができると共に、前記衛生マスク本体1の裏面の外周近傍に接着固定された枠体4の中央部に設けられた空洞部5における排気に含まれている水蒸気をプールしておいて該空洞部5内の保湿を高めることにより吸気における保湿を高め、しかも、衛生マスク10を装着したときの違和感を感じさせない衛生マスク10を提供することができる。そして、前記枠体4の中央部に設けられた空洞部5にプールされた水蒸気を含む吸気によって、上気道の粘膜が加湿されて湿潤に保たれるので、ウイルスの付着や増殖を防止することができ、また、花粉症の予防にも役立つ。さらに、前記枠体4の中央部に空洞部5が設けられていると、会話しやすくなる。
【0025】
前記衛生マスクにおいては、前記枠体4を構成する柔軟な保湿シートは、ポリエステル、セルロース繊維及びアクリル繊維から選ばれる繊維を構成繊維とする柔軟な不織繊維ウエッブ又は不織布、或いは、連続気泡を有するウレタン発泡体で構成されている。このように、前記枠体4を構成する柔軟な保湿シートが、ポリエステル、セルロース繊維及びアクリル繊維から選ばれる繊維を構成繊維とする柔軟な不織繊維ウエッブ又は不織布、或いは、連続気泡を有するウレタン発泡体で構成されていると、通気性があること、顔にフイットして隙間がなくなること、柔軟性があること、といった利点がある。そして、「通気性があること」によって、衛生マスク10を装着した時に感じる息苦しさを緩和することができ、また、「顔にフイットして隙間がなくなること」によって、前記空洞部5において排気に含まれている水蒸気をプールして該空洞部5内の保湿を高めることができ、また、「柔軟性があること」によって、衛生マスク10を装着したときの違和感を感じさせないようにするこよができる。
【0026】
前記衛生マスクにおいては、前記枠体4の幅dが10mm未満であると、前記空洞部にプールされる水蒸気量が低下し、そして、前記枠体4の幅dが35mmを越えると、通気が悪くなって息苦しくなるので、前記枠体4の幅dは、好ましくは、10〜35mmである。また、前記枠体4の厚さtが5mm未満であると、通気量が多くなりすぎて前記空洞部にプールされる水蒸気量が低下し、そして、前記枠体4の厚さtが20mmを越えると、通気量が低下して息苦しくなるので、前記枠体4の厚さtは、好ましくは、5〜20mmである。また、前記枠体4の目付量が100g/m2 未満であると、通気量が多くなりすぎて前記空洞部にプールされる水蒸気量が低下し、そして、前記枠体4の目付量が350g/m2 を越えると、通気量が低下して息苦しくなるので、前記枠体4の目付量は、好ましくは、100〜350g/m2 である。
【0027】
したがって、本発明においては、前記柔軟な枠体4は、好ましくは、ポリエステル、セルロース繊維及びアクリル繊維から選ばれる繊維を構成繊維とする不織繊維ウエッブ又は不織布で構成され、前記枠体4の厚さtは、好ましくは、5〜20mmであり、前記枠体4の幅dは、好ましくは、10〜35mmであり、そして、前記枠体の目付量は、好ましくは、100〜350g/m2 である。このように、前記柔軟な枠体4が、ポリエステル、セルロース繊維及びアクリル繊維から選ばれる繊維を構成繊維とする不織繊維ウエッブ又は不織布で構成され、前記枠体4の厚さtが、5〜20mmであり、前記枠体4の幅dが、10〜35mmであり、そして、前記枠体4の目付量が、100〜350g/m2 であると、衛生マスク10を装着した時に感じる息苦しさをいっそう緩和することができると共に、前記衛生マスク本体1の裏面の外周近傍に接着固定された枠体4の中央部に設けられた空洞部5における排気に含まれている水蒸気をプールして該空洞部5内の保湿を高めることができ、しかも、衛生マスク10を装着したときの違和感をいっそう感じさせない衛生マスク10を提供することができる。
【0028】
本発明においては、前記柔軟な枠体4は、好ましくは、連続気泡を有するウレタン発泡体で構成され、前記枠体4の厚さtは、好ましくは、5〜20mmであり、そして、前記枠体4の幅dは、好ましくは、10〜35mmである。このように、前記柔軟な枠体4が、連続気泡を有するウレタン発泡体で構成され、前記枠体4の厚さtが、5〜20mmであり、そして、前記枠体4の幅dが、10〜35mmであると、衛生マスク10を装着した時に感じる息苦しさをいっそう緩和することができると共に、前記衛生マスク本体1の裏面の外周近傍に接着固定された枠体4の中央部に設けられた空洞部5における排気に含まれている水蒸気をプールして該空洞部内の保湿を高めることができ、しかも、衛生マスク10を装着したときの違和感をいっそう感じさせない衛生マスク10を提供することができる。
【0029】
本発明においては、前記通気性を有する材料で形成された衛生マスク本体1は、好ましくは、柔軟な不織布、ガーゼ等の通気性の材料で構成されているが、本発明の目的に反しないかぎり、前記材料以外の衛生マスク10において使用されている公知の材料で構成されていてもかまわない。また、前記衛生マスク本体1が2枚以上の通気性を有する材料1a,1bで構成されている場合には、前記2枚以上の通気性を有する材料1a,1bは、それらの外周近傍部分において、両面接着テープ、ホットメルト接着剤、液状接着剤、熱溶融、超音波溶接、高周波ミシン等の手段によって、点線状、線状又は一定幅の面状に固着されている。前記点線状、又は、線状の固着は、複数列に設けられていてもかまわない。
【0030】
本発明においては、前記枠体4の外周4aの形状は、好ましくは、衛生マスク本体1の外周の形状と同じであり、そして、前記枠体4の内周4bの形状(即ち、空洞部5の形状)は、好ましくは、矩形(図1を参照。)、楕円形(図4(a),(b)を参照。)、円形、又は、三角形であるが、本発目の目的に反しないかぎり、これら以外の形状であってもかまわない。
【0031】
本発明においては、前記枠体4の上辺中央の鼻に接触する内周4bの部分に、鼻にフィットさせるための切り欠き6が設けられている。このように、前記枠体4の上辺中央の鼻に接触する内周4bの部分に、鼻にフィットさせるための切り欠き6が設けられていると、衛生マスク10が左右にずれることを防止する頃ができると共に、前記枠体4と鼻との間の隙間をうめて前記空洞部5にプールされた水蒸気を逃がさないようにすることができる。
【0032】
本発明においては、前記枠体4は、好ましくは、前記衛生マスク本体1の裏面の外周近傍に両面接着テープ、ホットメルト接着剤、液状接着剤、熱溶融、超音波溶接、又は、高周波ミシン等の接着手段で接着固定されている。このように、前記枠体4が前記衛生マスク本体1の裏面の外周近傍に両面接着テープ、ホットメルト接着剤、液状接着剤、熱溶融、超音波溶接、高周波ミシン等の接着手段で接着固定されていると、前記枠体4が前記衛生マスク本体1の裏面から剥がれることがない。
【0033】
図2に示されているように、本発明においては、(イ)上縁部分に開口3を有する平面視矩形のポケット2が、前記衛生マスク本体1を構成する前記2枚以上の通気性を有する材料1a,1bにおける隣接する2枚の通気性を有する材料1a,1bで構成され、(ロ)前記ポケット2が、前記枠体4の中央に設けられた空洞部5に対応する部分に配置され、そして、(ハ)前記ポケット2には、保液シート100が挿入されている。前記ポケット4は、好ましくは、熱溶融、超音波溶接、又は、高周波ミシンによって、点線状、線状又は一定幅の面状に固着されているが、本発明の目的に反しない限り、これら以外の固着手段によって固着されていてもかまわない。
【0034】
このように、(イ)上縁部分に開口3を有する平面視矩形のポケット2が、前記衛生マスク本体1を構成する前記2枚以上の通気性を有する材料1a,1bにおける隣接する2枚の通気性を有する材料1a,1bで構成され、(ロ)前記ポケット2が、前記枠体4の中央に設けられた空洞部5に対応する部分に配置され、そして、(ハ)前記ポケット4には、保液シート100が挿入されていると、前記保液シート100に水分を含浸させれば、前記空洞部5における排気に含まれている水蒸気に加えて保液シート100から放出された水蒸気をも該空洞部5にプールすることができ、そのために、さらに、吸気おける保湿を高めた衛生マスク20を提供することができる。
【0035】
図3に示されているように、本発明においては、(イ)通気性を有する材料で形成された上縁部分に開口3を有する平面視矩形の別体として形成されたポケット2が、前記衛生マスク本体1の裏面と前記枠体4の表面との間に設けられ、(ロ)前記ポケット2が、前記枠体4の中央に設けられた空洞部5に対応する部分に配置され、そして、(ハ)前記ポケット2には、保液シート100が挿入されている。このように、(イ)通気性を有する材料で形成された上縁部分に開口3を有する平面視矩形の別体として形成された2が、前記衛生マスク本体1の裏面と前記枠体4の表面との間に設けられ、(ロ)前記ポケット2が、前記枠体4の中央に設けられた空洞部5に対応する部分に配置され、そして、(ハ)前記ポケット2には、保液シート100が挿入されていると、前記保液シート100に水分を含浸させれば、前記空洞部5における排気に含まれている水蒸気に加えて保液シート100から放出された水蒸気をも該空洞部5にプールすることができ、そのために、さらに、吸気における保湿を高めた衛生マスク30を提供することができる。
【0036】
図2,3に示されているように、本発明においては、前記保液シート100の周縁部が接着又は融着された封止帯111で概ね囲まれている。このように、前記保液シート100の周縁部が接着又は融着された封止帯12で概ね囲まれていると、水が含浸された前記保液シート100から、水が漏れるようなことがない。
【0037】
前記保液シート100は、例えば、フェルト、不織布、又は、不織繊維ウェブで構成されている。これらのフェルト、不織布、又は、不織繊維ウェブは、好ましくは、ニードルパンチ加工によって固定されている。前記「ニードルパンチ加工」は、典型的には、多数のニードリング針を植え込んだニードル板によるニードルパンチ加工であるが、多数の柱状流によるニードルパンチ加工も好適に用いられる。また、網体の間に挟んだ不織繊維ウエッブに水流ジェット流を作用させることによるニードルパンチ加工を用いてもよい。このように、前記保液区画部11の前記フェルト、又は、不織繊維ウェブが、ニードルパンチ加工によって固定されていると、それらを構成する繊維の絡まりが増加し、そのために、前記保液シート100の保水性が向上する。前記保液シート100は、本発明の目的に反しない限り、前記したフェルト、不織布、又は、不織繊維ウェブで構成されていてもかまわない。
【0038】
(実施例1)
スパンボンド法によって製造されたポリプロピレン繊維で構成される通気性を有する不織布を上下方向に連続して3段にわたって折り曲げて全体として矩形の折り曲げ体を形成した後、この折り曲げ体の外周近傍部分を点線状に熱溶着させて縦90mm、横145mm、厚さ1mmの衛生マスク本体を形成した。そして、この衛生マスク本体の裏面の外周近傍に、ポリプロピレン繊維とレーヨン繊維とで構成さる繊維ウエッブにニードリング処理及び接着剤処理が順次施されて製造された通気性及び保湿性を有する不織布で形成された縦90mm、横145mm、厚さ10mm、幅15mm、目付量150g/m2 の柔軟な枠体を、両面接着剤を用いて接着して、前記枠体の中央部に空洞部が設けられた衛生マスク(図1を参照)を得た。
【0039】
(実施例2)
スパンボンド法で製造されたポリプロピレン繊維よりなる通気性を有する不織布で形成された上縁部分に開口を有する平面視矩形の別体として形成されたポケットを前記衛生マスク本体の裏面と前記枠体の表面との間において両面接着剤で接着して、前記ポケットを前記枠体の中央に設けられた空洞部に対応する部分に配置した後、前記ポケットに保液シートを挿入した以外は、実施例1と同様にして衛生マスク(図3を参照)を得た。
【0040】
(比較例1)
スパンボンド法によって製造されたポリプロピレン繊維で構成される通気性を有する不織布を上下方向に連続して3段にわたって折り曲げて全体として矩形の折り曲げ体を形成した後、この折り曲げ体の外周近傍部分を点線状に熱溶着させて縦90mm、横145mm、厚さ1mmの衛生マスクを形成した。
【0041】
(比較例2)
スパンボンド法で製造されたポリプロピレン繊維よりなる通気性を有する不織布で形成された上縁部分に開口を有する平面視別体として形成されたポケットを前記衛生マスクの裏面の上縁近傍部分に両面接着剤を用いて接着した後、前記ポケットに保液シートを挿入した以外は、比較例1と同様にして衛生マスクを得た。
【0042】
以上、実施例1及び比較例1で得られた衛生マスクの通気性試験を「JIS L 1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)」で測定し、そして、1時間後のマスク内部における平均湿度(下段は最高湿度)及び1時間後のマスク内部における温度を測定した。測定結果は、次の表1に示される。
【0043】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態を示す衛生マスクであって、(a)は、その斜視図であり、そして、(b)は、その使用状態を示す断面である。
【図2】本発明の他の一実施の形態を示す衛生マスクである。
【図3】本発明の他の一実施の形態を示す衛生マスクである。
【図4】本発明の一実施の形態を示す衛生マスクにおける枠体の他の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 衛生マスク本体
1a,1b 通気性を有する材料
2 ポケット
3 開口
4 枠体
4a 外周
4b 内周
6 切り欠き
7 ひも
10,20,30 衛生マスク
100 保液シート
111 封止部
d 枠体の幅
t 枠体の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚又は2枚以上の通気性を有する材料で形成された衛生マスク本体と、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に接着固定された通気性及び保湿性を有する材料で形成された柔軟な枠体と、前記枠体の中央部に設けられた空洞部と、を有していることを特徴とする衛生マスク。
【請求項2】
前記柔軟な枠体が、ポリエステル、セルロース繊維及びアクリル繊維から選ばれる繊維を構成繊維とする不織繊維ウエッブ又は不織布で構成され、前記枠体の厚さtが、5〜20mmであり、前記枠体の幅dが、10〜35mmであり、そして、前記枠体の目付量が、100〜350g/m2 であることを特徴とする請求項1に記載の衛生マスク。
【請求項3】
前記柔軟な枠体が、連続気泡を有するウレタン発泡体で構成され、前記枠体の厚さtが、5〜20mmであり、そして、前記枠体の幅dが、10〜35mmであることを特徴とする請求項1に記載の衛生マスク。
【請求項4】
前記枠体の外周の形状が衛生マスク本体の外周の形状と同じであり、そして、前記枠体の内周の形状が矩形、楕円形、円形、又は、三角形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生マスク。
【請求項5】
前記枠体の上辺中央部分の鼻に接触する内周の部分に、鼻にフィットさせるための切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生マスク。
【請求項6】
前記枠体が、前記衛生マスク本体の裏面の外周近傍に両面接着テープ、ホットメルト接着剤、液状接着剤、超音波溶接、又は、高周波ミシンで接着固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生マスク。
【請求項7】
(イ)上縁部分に開口を有する平面視矩形のポケットが、前記衛生マスク本体を構成する前記2枚以上の通気性を有する材料における隣接する2枚の通気性を有する材料で構成され、
(ロ)前記ポケットが、前記枠体の中央に設けられた空洞部に対応する部分に配置され、そして、
(ハ)前記ポケットには、保液シートが挿入されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の衛生マスク。
【請求項8】
(イ)通気性を有する材料で形成された上縁部分に開口を有する平面視矩形の別体として形成されたポケットが、前記衛生マスク本体の裏面と前記枠体の表面との間に設けられ、
(ロ)前記ポケットが、前記枠体の中央に設けられた空洞部に対応する部分に配置され、そして、
(ハ)前記ポケットには、保液シートが挿入されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の衛生マスク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−247614(P2009−247614A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99370(P2008−99370)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(599051498)株式会社アーティスデザイン (1)
【Fターム(参考)】