説明

衛生材料

【課題】手術において体内の衛生材料を容易に見つけることの可能な衛生材料を提供することを目的とする。
【解決手段】手術に用いられる衛生材料であって、蓄光剤含有物等の暗視野発光体を備えた衛生材料である。例えば内視鏡手術用不織布10は、その不織布本体11に蓄光剤含有糸12が縫い込まれたものである。内視鏡下手術において、腹腔内を照らす明かりを消せば、蓄光剤含有糸12の部分が発光しているので、不織布10を容易に目視により見つけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術に用いられる衛生材料に関するものであり、殊に光を放つことのできる衛生材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手術としては開腹や開胸,開頭等の様に身体を切り開いて行う手術が従前より行われてきたが、近年、内視鏡下手術も盛んに行われる様になってきている。なお内視鏡下手術とは、腹部等に5〜10mm程度の小さな穴を数カ所開け、この穴から細長いカメラや手術用具を入れて行う手術である。
【0003】
いずれの手術法においてもその手技にあたっては種々の衛生材料が用いられる。例えば衛生材料のうちのガーゼは、出血の吸収や術部廻り組織表面の保護等の目的で使用されたり、血液等の吸引時に吸引管先端のフィルターとして使用されたり、或いは患部の目印として臓器上に載置するといった使用がなされている。
【0004】
ところでこれら衛生材料が体内に残ると、痛みや違和感,或いは発熱等、様々な身体の不調をきたすという問題を生じることから、手術終了に際しては全ての衛生材料を体内から取り除く必要がある(尤も、本来体内に残置する目的で用いられるクリップやステント等は、勿論体内に残される)。
【0005】
しかし血液等を吸収したガーゼ等は、体内で肉眼では見つけ難い。
【0006】
そこで例えばガーゼとして、その経糸或いは緯糸の1,2本としてX線非透過性の樹脂製糸条(造影糸)を織り込んだものを用い、手術終盤の手術部位を閉じる前にX線造影(レントゲン撮影)を行って、上記造影糸を手がかりにガーゼの存在の有無を確認し、残っていれば取り除くという方法が採られている(例えば特許文献1,2参照)。
【0007】
また手術用小型パッドの場合は小さいので(例えば7mm×7mm,10mm×10mm,20mm×20mm,30mm×60mmといった大きさである)見落としてしまいがちであることから、該小型パッドに糸を縫い付け(以下、この糸を引出糸と称することがある)、この引出糸の他端を体外に長く引き延ばしておいて目印にするという手法も採用されている(例えば特許文献3の段落[0004],[0005]や図6、特許文献4の段落[0006]や図2参照)。なお、上記引出糸が目印となっているものの、小型パッドが体内に残る懸念が完全に払拭された訳ではないから、より確実に取り除くことができる様にする為、手術用小型パッドのパッド部に造影糸を取り付け、上述と同様に、手術終盤の手術部位を閉じる前にX線造影(レントゲン撮影)を行って、上記造影糸を手がかりに小型パッドの存在の有無を確認し、残っていれば取り除く様にしたものも提案されている(例えば特許文献3,4参照)。
【特許文献1】特開2004−360138号公報
【特許文献2】特開2006−51209号公報
【特許文献3】特開2002−325773号公報
【特許文献4】特開2002−325774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところでX線造影は作業に手間を要するため、目視で衛生材料を見つけて極力体内から取り除き、手術の終盤に1回だけ確認的にX線造影を行うのが通常である。従って目視によってほぼ全ての衛生材料を取り除くことが望まれるところ、血液で濡れた衛生材料は見つけ難いことがある。
【0009】
また上述の様に、手術においてガーゼ等の衛生材料を目印として臓器上に載置することがあるが、この場合にガーゼ等が血液で濡れていると見つけ難く、目印としての役割を果たさないこととなる。
【0010】
そこで本発明は斯様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、手術において、X線造影を行わなくても、体内の衛生材料を容易に見つけることの可能な衛生材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る衛生材料は、手術に用いられるものであって、該衛生材料が暗視野発光体を備えたものであることを特徴とする。上記暗視野発光体とは、少なくとも暗環境下で光を放つ機能を有するものであり、この暗視野発光体としては、蓄光剤含有物、発光剤含有物、蛍光剤含有物、電磁波を受けることによって発光する発光ダイオード、光源に接続される光ファイバー等が挙げられる。また衛生材料としては、上記ガーゼの他、不織布,脱脂綿(綿球),スポンジ,手術用小型パッド,癒着防止用フィルム,結束ロープ,鉗子,医療用クリップ等、様々なものが挙げられる。
【0012】
まず蓄光剤含有物を用いた本発明に係る衛生材料について具体例を挙げつつ説明する。例えば衛生材料がガーゼである場合において、蓄光剤含有物製の糸を取り付けたガーゼとする。そして手術中においてガーゼを確認したいとき、無影灯を消す等して手術野を暗くする。すると上記蓄光剤含有物製の糸が光るので、ガーゼの存在を目視認識できる。ガーゼを臓器上に目印として用いている場合にはその位置を確認することができ、また手術終盤における衛生材料を全て取り除く操作の際には、取り残していたガーゼがあればその位置を確認し、手術野への明かりをつける等して、残っていたガーゼを取り除くと良い。内視鏡下手術の場合には、内視鏡に設けられた明かりを消せば、腹腔内(或いは胸腔内等)が暗くなるので、上記蓄光剤含有物製の糸が光り、ガーゼの存在、ないし位置を目視で認識(つまり腹腔等内を映し出す内視鏡のモニター映像を目視により認識)することができる。この様に単に明かりを消すだけで、ガーゼ等の衛生材料を目視によって確認できる。尚、厳密に言えば、内視鏡下手術は直接肉眼で視認している訳ではないが、本発明においては、X線造影といった特殊な手法によらずに、施術中と同じ目視状態で、明かりを消すだけで容易に見つけ得るものである。
【0013】
尤も臓器の下にガーゼが隠れている場合には、蓄光剤による光では臓器を通して視認することが困難であることから、造影糸を用いたX線造影による確認手法を併用するのが好ましいが、本発明の衛生材料であれば、容易に目視確認して殆ど全てを取り除くことができるので、X線造影はまさに最終確認するだけで済むこととなる。
【0014】
なお蓄光剤とは、光のエネルギーを蓄積して、このエネルギーを光として放出することができるものであり、「Sr4Al1425:Eu,Dy」や、「SrAl24:Eu,Dy」、「SrAl24:Eu」、「CaAl24:Eu,Dy」、「Sr2MgSi27」、「SrSi23Eu」、「ZnS:Cu」、「ZnS:Mn,Cu」、「CaS:Eu」、「Y22:S:Eu,Ln」等が挙げられる。上記蓄光剤含有物とは、斯様な蓄光剤を樹脂等に含有させたものである。
【0015】
蓄光剤の発する光の輝度としては差程高いものである必要はなく、暗視野で目視認識できる程度であれば良い。なお内視鏡下手術においても、内視鏡によって映し出される映像はモニターでコントラストの調整ができるので、直接目視する場合と比べて遜色なく識別できる。
【0016】
本発明においては、衛生材料が織編物の場合に、該織編物を構成する糸条の全部又は一部として前記繊維状蓄光剤含有物を用いても良い。
【0017】
また本発明においては、衛生材料がガーゼや不織布,脱脂綿等のような繊維製品の場合には、繊維状の蓄光剤含有物を用いて縫い込んだものとしても良い。この様に縫製によって繊維状蓄光剤含有物を繊維製衛生材料に取り付ける構成であれば、出来上がった繊維製衛生材料に蓄光剤含有物を取り付けることができるので、繊維製衛生材料自体の製造工程に変更を加える必要がない。また蓄光剤には熱や水,アルカリに弱いものが多々あるが、例えばガーゼの経糸の1本に蓄光剤含有糸を用いて製織した場合、その後に精練、漂白を行うことから、この精練、漂白処理によって蓄光剤の発光機能が失われる虞がある。この点において、上記の如く繊維製衛生材料に形成した後に繊維状蓄光剤含有物を縫い付ける製造手法によれば、その後に精練、漂白処理を行うことがないから、蓄光剤の発光機能が損なわれる懸念が殆どない。
【0018】
更に本発明において衛生材料が引出糸付きのものである場合には、この引出糸に糸条(繊維状)の蓄光剤含有物を用いても良い。
【0019】
或いは鉗子や医療用クリップの様に繊維製品でない衛生材料においても、繊維状の蓄光剤含有物であれば、これを結びつける様にして取り付けることができる。
【0020】
以上の様に蓄光剤含有物を繊維状(糸状)とすれば、種々の態様で衛生材料に取り付けることができ、都合が良い。
【0021】
更に前記繊維状の蓄光剤含有物を芯鞘構造とし、その芯部にのみ蓄光剤が含有されたものであることが好ましい。仮に蓄光剤として、水やアルカリ等に弱い素材を用いた場合であっても、鞘部(鞘部には蓄光剤は含有されていない)によって蓄光剤含有の芯部が覆われているから、水等による蓄光剤へのダメージの懸念が殆どない。
【0022】
加えて繊維の端部においても、芯部が露出しないように、例えば鞘部と同素材で蓋をしても良い。尤も芯部の露出する箇所が、繊維端部だけの様に極めて狭い場合は、蓄光剤へのダメージの懸念が殆どない。
【0023】
鞘部の素材としては透光性のものを用いるのが良い。尤も鞘部は非常に薄いものとなるから、殆どの素材において、光っている芯部が鞘部から透けて見えることとなる。
【0024】
また前記蓄光剤含有物をフィルム状とし、前記衛生材料を構成するフィルムの少なくとも一部として、上記フィルム状蓄光剤含有物を用いたものとしても良い。この態様としては、多層フィルム状の衛生材料における一部の層にフィルム状蓄光剤含有物を用いたものや、フィルムの面積の一部にフィルム状蓄光剤含有物を用いたもの、或いはフィルム状の衛生材料そのものとして蓄光剤含有物を用いたもの(即ち、フィルム状衛生材料の全てに蓄光剤を含有させたもの)が挙げられる。
【0025】
更に前記フィルム状蓄光剤含有物の表裏面をフィルム(蓄光剤が含有されていないフィルム)で覆ったものであることが好ましい。この様に覆えば、上記と同様に、フィルム状蓄光剤含有物中の蓄光剤に対する水やアルカリ等によるダメージの懸念が殆どない。
【0026】
または前記蓄光剤含有物を小片状或いは小塊状とし、前記衛生材料の本体に上記小片状或いは小塊状蓄光剤含有物を取り付けたものとしても良い。具体的には例えばガーゼの角に小塊状蓄光剤含有物を取り付けものが挙げられる。
【0027】
また本発明においては、前記衛生材料が合成樹脂製成形体であって、該成形体を構成する合成樹脂の一部または全部に蓄光剤を含有させて前記暗視野発光体を構成したものであっても良い。つまり原料の合成樹脂に蓄光剤を練り込んで、これを一部又は全部に用いて鉗子,結紮クリップ等の合成樹脂製成形体を作製すると良い。この場合も、含有された蓄光剤、特に成形体表面部分に位置する蓄光剤が暗くしたときに光るので、見つけ易い。
【0028】
次に前記暗視野発光体が、蛍光剤含有物である場合について説明する。蛍光剤は、外部から光を受けている時のみ光るものであって、一般的には紫外線を受けて光る。この蛍光剤による発光は、可視光が強く当たっている状況下では目立たないものの、薄暗い状況下では光って見える。
【0029】
斯様な蛍光剤を含有した蓄光剤含有物を用いた本発明の衛生材料においても、上記蓄光剤含有物を用いた衛生材料と同様に、開腹(或いは開胸等)手術の場合に無影灯を消したり、内視鏡下手術の場合に体内を照らす明かりを消したりすることで、蛍光剤含有物の部分が光って見え、容易に目視認識することができる。尤も、例えば内視鏡下手術の場合に皮膚等を通して体内にとどいた外部からの明かりだけでは、蛍光剤が発光するのに十分な光エネルギーとならないときには、ブラックライト(主として近紫外線を放射する蛍光ランプ)の光を当てる等すると良い。
【0030】
なお蛍光剤としては、スチルベン染料(例えばビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体)等が挙げられる。
【0031】
蛍光剤含有物の場合においても、上記蓄光剤含有物の場合と同様に、これを繊維状とすると、使用態様が広がって都合が良く、更に衛生材料が繊維製品の場合に前記繊維状蛍光剤含有物を縫い込んだものとしても良く、また衛生材料が織編物の場合に、該織編物を構成する糸条の全部又は一部として前記繊維状蛍光剤含有物を用いても良い。加えて前記繊維状蛍光剤含有物を芯鞘構造とし、その芯部にのみ蛍光剤を含有させたものであることが好ましい。鞘部により覆われるので、芯部の蛍光剤が外部からのダメージを受け難くなるからである。
【0032】
或いは前記蛍光剤含有物をフィルム状とし、前記衛生材料を構成するフィルムの少なくとも一部として、上記フィルム状蛍光剤含有物を用いたものとしても良い。この場合にフィルム状蛍光剤含有物の表裏面をフィルムで覆ったものであることが好ましい。上記と同様に、フィルム状蛍光剤含有物中の蛍光剤が外部からのダメージを受け難くなるからである。
【0033】
また前記蛍光剤含有物を小片状或いは小塊状とし、前記衛生材料の本体に上記小片状或いは小塊状蛍光剤含有物を取り付けたものとしても良い。
【0034】
もしくは前記衛生材料が合成樹脂製成形体の場合に、該成形体を構成する合成樹脂の一部または全部に蛍光剤を含有させて前記暗視野発光体を構成したものであっても良い。
【0035】
次に前記暗視野発光体が、発光剤含有物である場合について説明する。なお広義の意味での発光剤とは、熱を伴わずに自ら光を発するもののことであり、蛍光剤,蓄光剤,狭義の発光剤の総称であるが、本明細書,特許請求の範囲において「発光剤」とは、狭義の発光剤の意味であり、複数の物質が接触することにより化学的反応や酵素反応を生じて発光するものを言うこととする。この発光剤としてはルシフェリンとルシフェラーゼ[酸素(空気)の存在下でルシフェリンが酸化されて(この反応をルシフェラーゼが触媒する)発光する]等が挙げられる。
【0036】
この発光剤含有物を備えた衛生材料の使用法を例示する。例えばルシフェリン(或いはルシフェラーゼ)を合成樹脂等に練り込んだフィルム(衛生材料)とする。そして手術においてこのフィルムを確認したいとき、ルシフェラーゼ(或いはルシフェリン)を噴霧することで、ルシフェリンが酸化されて発光するので、暗くすることにより、この光を手がかりに目視により容易に見つけることができる。
【0037】
発光剤含有物の場合においても、上記と同様に、これを繊維状とすると、使用態様が広がって都合が良く、更に衛生材料が繊維製品の場合に前記繊維状発光剤含有物を縫い込んだものとしても良く、また衛生材料が織編物の場合に、該織編物を構成する糸条の全部又は一部として前記繊維状発光剤含有物を用いても良い。或いは前記発光剤含有物をフィルム状とし、前記衛生材料を構成するフィルムの少なくとも一部として、上記フィルム状発光剤含有物を用いたものとしても良い。または前記発光剤含有物を小片状或いは小塊状とし、前記衛生材料の本体に上記小片状或いは小塊状発光剤含有物を取り付けたものとしても良い。前記衛生材料が合成樹脂製成形体の場合に、該成形体を構成する合成樹脂の一部または全部に発光剤を含有させて前記暗視野発光体を構成したものであっても良い。
【0038】
次に前記暗視野発光体が、電磁波を受けることによって発光する発光ダイオードである場合について説明する。
【0039】
この場合の具体例としては、ガーゼの角に上記発光ダイオードを取り付けたもの等が挙げられる。使用にあたっては、患者の体外から所定の電磁波を与え、上記ガーゼの発光ダイオードを光らせる。この光としては差程輝度の高いものでなくても、前述の様に無影灯を消す等して手術野を暗くする、或いは内視鏡下手術の場合には腹腔等内を照らす明かりを消すことにより、発光ダイオード付きガーゼの存在が視認できる。この様に単に明かりを消すだけで、衛生材料を目視によって容易に確認できる。
【0040】
次に前記暗視野発光体が、光源に接続される光ファイバーである場合について説明する。
【0041】
例えば手術用小型パッドとして、引出糸が取り付けられたものが知られているが、この引出糸の一部或いは全部を光ファイバーとする。そして手術野を暗くする。上記光ファイバーを光源に接続して、点灯すれば、光ファイバーが光る。たとえこの光が高い輝度を示すものでなくても、前述と同様に無影灯を消す等して手術野を暗くする、或いは内視鏡下手術の場合には腹腔等内を照らす明かりを消すことにより、上記小型パッドの存在、ないし位置を容易に目視認識できる。その後手術野への明かり或いは腹腔等内を照らす明かりをつけて、残っていた小型パッドを取り除いたり、小型パッドを目印としていた場合には当該部位を施術したりすると良い。この様に単に明かりを消すだけで、衛生材料を目視によって容易に確認できる。
【0042】
なお引出糸の取り付けられた衛生材料としては、上記小型パッドの他、綿球や内視鏡下手術用小型ガーゼ等が知られているが、本発明に係る光ファイバーを用いた衛生材料としては、これらの様に元々引出糸を有する衛生材料に限るものではなく、通常は引出糸を付けていなかった衛生材料(例えば鉗子、大型ガーゼ等)においても光ファイバーを取り付けても良い。即ち衛生材料本体に長尺の糸条部材を設けた衛生材料とし、上記長尺の糸条部材の少なくとも一部に光ファイバーを用いたものとすると良い。そして上記と同様に、これを光らせて存在を視覚により確認すると良い。
【0043】
光ファイバーの本数としては、1本に限るものではなく、複数本合わせたものであっても良い。
【0044】
尚本発明において用いる光ファイバーとしては、周りを照らす程の輝度は必要ではなく、その存在が分かる程度にボンヤリ光るだけで良いから、細い光ファイバーを用いることができる。従って衛生材料の使用,操作において差程邪魔にならない。
【0045】
更に前記光ファイバーとしては、少なくとも衛生材料本体への取付箇所において、光の屈折率変化部を備えたものであることが好ましい。光の屈折率が変化した箇所は良く光るので、見つけ易くなるからである。なお光の屈折率変化部を設けなくても、光ファイバーの先端が光るので、容易に視認することができるが、上記の如く光の屈折率変化部を設けることでより一層視認し易くなる。
【0046】
前記光の屈折率変化部としては、光ファイバー表面に形成された切り欠き部が挙げられる。この切り欠いた箇所において光の屈折率が変化し、光って見えることとなる。この様な切り欠き部は容易に形成することができるので、製造が簡単である。
【0047】
上記光の屈折率変化部としては、上記の他、部分的に光ファイバーの組成や配向を変えたもの等が挙げられる。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係る衛生材料によれば、明かりを暗くするだけで、衛生材料の存在を目視により容易に認識することができるから、衛生材料の存在確認作業が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態1に係る内視鏡手術用不織布(衛生材料)10を示す斜視図である。
【0050】
内視鏡手術用不織布10の不織布本体11は通常の内視鏡手術用のものと同じであり、具体的には、外観が細長い短冊状を呈し、3〜6枚の不織布を積層して水流交絡等により接合した構造となっている。そして手術用不織布10は、この不織布本体11に、繊維状蓄光剤含有物からなる糸(蓄光剤含有糸)12(繊度:30〜500d tex程度)が縫い込まれている。この蓄光剤含有糸12による縫い目は、不織布本体11の長手方向に、ミシンによって幅(W)6mm程度にジグザグ縫いしたものとなっている。
【0051】
図2は上記蓄光剤含有糸12を構成するフィラメント(繊維状蓄光剤含有物)12aの1本を示す図である。該フィラメント12aは芯鞘構造となっており、図2では鞘部17と芯部15を段階的に破断した斜視図で表している。
【0052】
芯部15はポリプロピレン18に蓄光剤(例えばSr4Al1425:Eu,Dy)16を練り込んだものであり、これを無色透明のポリプロピレン製(蓄光剤を含有しない)の鞘部17が覆った構造となっている。上記蓄光剤含有糸12はこのフィラメント12a(単糸繊度:10〜150d tex)を複数本撚り合わせたマルチフィラメントである。
【0053】
次に実施形態1の内視鏡手術用不織布10の使用方法及び作用効果について述べる。
【0054】
内視鏡下手術において、通常の通り上記内視鏡手術用不織布10を適宜用いる。そしてこの手術用不織布10の位置を確認したいとき、腹腔内(或いは胸腔内等)を照らしていた明かりを消して暗くする。すると、手術用不織布10の蓄光剤含有糸12の部分が発光しているので、容易に見つけることができる。尚このとき手術用不織布10が血液によって濡れていても、蓄光剤含有糸12の発光は血液を通して視認することが可能である。そして上記の如くこの光を手がかりにその位置を確認し、再び腹腔内(或いは胸腔内等)を照らして手術用不織布10を取り除いたり、或いは手術用不織布10を患部の目印としている場合には当該患部の処置を施したりすると良い。
【0055】
この様に実施形態1の内視鏡手術用不織布10は、たとえ血液で濡れていても明かりを消すだけで、その位置を目視により容易に確認することができる。加えて上述の様に蓄光剤は芯部15のみに含有され、これを鞘部17が覆っているから、蓄光剤が血液等によってダメージを受ける等の懸念が殆どない。また鞘部17が透明な樹脂で構成されているから、この鞘部17を通して蓄光剤の光が外に見え得る。更に蓄光剤含有糸12はマルチフィラメントであることから柔軟性があり、該蓄光剤含有糸12で縫い付けた手術用不織布10であっても、しなやかさを保つ。
【0056】
《実験:血液で浸された蓄光剤含有物付き衛生材料の視認性》
生体から取り出した臓器に実施形態1の内視鏡手術用不織布10を接触させて吸血させ、部分的に染血したもの(サンプルA)と、完全に染血したもの(サンプルB)を得た。これらサンプルA,Bをシャーカッセン(フィルムを裏面から照らして見るための医療用蛍光板)に挟み、明かりを付けた状態で約30分間放置した。次いでサンプルA,Bを暗所にて観察したところ、いずれも蓄光剤含有糸12の部分が線状に輝いているのが目視確認できた。
【0057】
この実験結果より、衛生材料が血液により完全に濡れた状態であっても、蓄光剤含有物は血液を通して輝いて見えることが分かる。
【0058】
<実施形態2>
図3の(a)は本発明の実施形態2に係るガーゼ(衛生材料)20を表す正面図であり、図3の(b)はこのガーゼ20の部分拡大図である。
【0059】
ガーゼ20は、綿糸が縦糸・緯糸に配されてガーゼ本体21を構成しており、経糸のうちの隣接する2本として造影糸23が用いられると共に、繊維状蓄光剤含有物製の糸(蓄光剤含有糸)22によりミシンでジグザク縫いされたものである。蓄光剤含有糸22は、上記実施形態1と同じく、芯部に蓄光剤(例えばSr4Al1425:Eu,Dy)を練り込んだ芯鞘構造のフィラメントを、複数本撚り合わせたマルチフィラメントである。
【0060】
本実施形態2のガーゼ20においても、上記と同様に暗視野で蓄光剤含有糸22が光るので、目視によりガーゼ20を容易に確認することができる。
【0061】
加えて、仮にガーゼを構成する経糸,緯糸のうちの1本(或いは数本)に換えて蓄光剤含有糸22を用いた場合では、蓄光剤含有糸22が長繊維で構成されているが故に滑り易く、該蓄光剤含有糸22が脱落する懸念がある為、抜け落ち防止の手段(例えば熱融着によりガーゼ本体21の糸に固定する手段(特許文献1の図12参照)等)を別途講じる必要がある。しかし上記実施形態2によれば、蓄光剤含有糸22をガーゼ本体21に縫い付けているから、脱落する懸念が殆どない。
【0062】
更にガーゼを製造する工程としては精練工程や漂白工程があるが、これらの工程を経た後に蓄光剤含有糸22を縫い付けることにより、蓄光剤含有糸22が精練,漂白工程に曝されず、蓄光剤の発光機能が殆ど損なわれない。
【0063】
なお本実施形態2では造影糸23を併用したものであるので、手術終盤においてX線造影(レントゲン撮影)を行い、造影糸23を手がかりにガーゼの存在の有無を最終確認することもできる。
【0064】
<実施形態3>
図4は本発明の実施形態3に係る編物(衛生材料)30を示す正面図である。
【0065】
この編物30は、編物本体が綿糸31で構成され、編糸の一部に蓄光剤含有糸32を用いたものである。蓄光剤含有糸32は上記実施形態1,2と同じく、芯部に蓄光剤を練り込んだ芯鞘構造のフィラメントを、複数本撚り合わせたマルチフィラメントである。なお上記編物30は製編した後に精練等の処理(蓄光剤の発光機能を損なう虞のある処理)がないので、蓄光剤の発光機能が損なわれない。
【0066】
この実施形態3に係る編物30においても、暗視野で蓄光剤含有糸32が光るので、編物30を目視により容易に確認することができる。
【0067】
<実施形態4>
図5は本発明の実施形態4に係る綿球(衛生材料)40を示す図である。
【0068】
綿球40は多数の綿繊維41に繊維状の蓄光剤含有物(蓄光剤含有繊維)42を加えたものであり、外観的には通常の医療用綿球と変わるところがない。蓄光剤含有繊維42は芯鞘構造のステープルであり、その芯部はポリプロピレンに蓄光剤(例えばSrAl24:Eu)が練り込まれたものであり、鞘部はポリエチレンテレフタレートよりなる(鞘部には蓄光剤は含有されていない)。
【0069】
実施形態4に係る綿球40においても、暗視野で蓄光剤含有繊維42が光るので、綿球40を目視により容易に確認することができる。なお蓄光剤含有繊維42におけるポリエチレンテレフタレート製鞘部は透明であるので、芯部の光を良好に透過する。
【0070】
<実施形態5>
図6の(a)は本発明の実施形態5に係る癒着防止用フィルム(衛生材料)50を示す斜視図であり、(b)は(a)に丸で囲った部分の拡大図である。
【0071】
この癒着防止用フィルム50は、フィルム状の蓄光剤含有物(蓄光剤含有フィルム)52を無色透明のポリエチレンフィルム51(蓄光剤は含有されていない)2枚で挟んで貼り付けたラミネート構造となっている。蓄光剤含有フィルム52は、原料のポリエチレンに蓄光剤(例えばSr4Al1425:Eu,Dy)を練り込んで作製したフィルムであって、多数の丸孔52aが形成されている。
【0072】
実施形態5に係る癒着防止用フィルム50においても、暗視野で蓄光剤含有フィルム52が光るので、癒着防止用フィルム50を目視により容易に確認することができる。なお癒着防止用フィルム50におけるポリエチレンフィルム51は透明であるので、蓄光剤含有フィルム52の光を良好に透過する。
【0073】
また実施形態5では癒着防止用フィルム50の全面積に蓄光剤含有フィルム52が配されるのではなく、多数の孔52aが設けられているので、蓄光剤含有フィルム52の使用量が低減され、原料コストを抑えることができる。加えて蓄光剤含有フィルム52はその表裏面がポリエチレンフィルム51で覆われ、蓄光剤含有フィルム52の露出する箇所は端縁のみであるから、蓄光剤が血液等に曝されてダメージを受ける等の懸念が殆どなく、蓄光剤の発光作用が殆ど損なわれない。
【0074】
<実施形態6>
図7は本発明の実施形態6に係る結束ロープ(衛生材料)60を示す図である。
【0075】
結束ロープ60はポリエステルマルチフィラメント61(蓄光剤を含有しないもの)と蓄光剤含有マルチフィラメント62を撚り合わせたものである。蓄光剤含有マルチフィラメント62を構成するフィラメントは芯鞘構造をしており、蓄光剤(例えばSrAl24:Eu,Dy)を含有するポリエステルからなる芯部を、ポリエステル製の鞘部(蓄光剤を含有しない)で覆ったものである。
【0076】
この実施形態6に係る結束ロープ60においても、暗視野で蓄光剤含有マルチフィラメント62が光るので、該結束ロープ60を目視により容易に確認することができる。
【0077】
<実施形態7>
本発明の実施形態7に係る鉗子(衛生材料)について説明する。
【0078】
該鉗子は、その最表層が蓄光剤を含有しない透明のポリエチレンで構成され、その中側(芯側)が蓄光剤(例えばSrAl24:Eu,Dy)を練り込んだポリエチレンで構成されたものである。尚この芯側の蓄光剤含有ポリエチレンが暗視野発光体となる。
【0079】
本実施形態7の鉗子においても上記と同様に、明かりを消すと、芯側の蓄光剤含有ポリエチレンの蓄光剤が光るので、該鉗子を目視により容易に確認することができる。なお最表層のポリエチレンは透明であるので、中側の蓄光剤の光はこの最表層を通して外部に現れる。
【0080】
<実施形態8>
図8は本発明の実施形態8に係る医療用不織布(衛生材料)80である。医療用不織布80の本体81は複数枚の不織布が積層されて水流交絡等により接合された構造となっており、その角部に発光ダイオード82が取り付けられている。発光ダイオード82は特定の電磁波を受けると、発光するものである。なお医療機器の誤作動が生じないように、照射する電磁波の波長を勘案し、適切な発光ダイオード82を用いるのが良い。
【0081】
手術において上記医療用不織布80の位置を確認したいとき、開腹等の手術では無影灯を消して手術野を暗くし、内視鏡下手術では腹腔等内を照らしていた明かりを消して暗くし、上記発光ダイオード82の発光に対応した波長の電磁波を患者の近傍より照射する。すると、発光ダイオード82が光るので、これを手がかりに目視により容易に確認することができる。なお発光ダイオード82の光が十分に明るいときは、無影灯或いは内視鏡用照明を消さなくても、目視確認が可能な場合もある。
【0082】
<実施形態9>
図9は本発明の実施形態9に係る手術用小型パッド(衛生材料)90を示す斜視図である。
【0083】
手術用小型パッド90はパッド部91と引出糸92から構成されている。パッド部91は不織布を6枚積層してニードルパンチ加工により接合したものである。引出糸92は光ファイバーからなり、その先端部分近傍には切り欠き部92bが3箇所形成されている。また引出糸92はその先端部近傍において縫い糸93によってパッド部91に縫い付け固定されている。引出糸92の他端側には光源に接続するためのジョイント(図示せず)が取り付けられている。
【0084】
手術において上記手術用小型パッド90の位置を確認したいとき、引出糸92の上記ジョイントに光源を接続して引出糸(光ファイバー)92に光を通すと共に、開腹等の手術では無影灯、内視鏡下手術では腹腔等内を照らしていた明かりを消して、暗くする。引出糸(光ファイバー)92を通ってきた光は、端部92a及び切り欠き部92bにおいて屈折率が変化するので、当該端部92aと切り欠き部92bが光ることになる。従ってこの光を手がかりに目視により小型パッド90を容易に確認することができる。なお引出糸(光ファイバー)92の端部92aや切り欠き部92bの光が十分に明るいときは、無影灯或いは内視鏡用照明を消さなくても、目視確認が可能な場合もある。
【0085】
<実施形態10>
本発明の実施形態10に係る癒着防止用フィルムは、ポリエチレンにルシフェラーゼが練り込まれた単層のフィルムからなる。
【0086】
手術において実施形態10の癒着防止用フィルムの位置を確認したいとき、ルシフェリンを噴霧し、明かりを消して暗くする。癒着防止用フィルム表面のルシフェラーゼによってルシフェリンが酸化されて発光するので、この光を手がかりに癒着防止用フィルムを目視により容易に確認することができる。尚、ルシフェラーゼやルシフェリンの種類については、生体への影響を勘案して選択するのが望ましい。
【0087】
以上のように例を挙げて本発明をより具体的に説明したが、本発明はもとより上記例によって制限を受けるものではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0088】
例えば上記実施形態1〜4,6では、芯部に蓄光剤を含有させて鞘部で覆った芯鞘構造の繊維状蓄光剤含有物を示したが、これに限るものではなく、海島構造の複合繊維として島部のみに蓄光剤を含有させたものとしても良い。或いは鞘部で覆わずに、蓄光剤を練り込んだフィラメントが露出したものであっても良い。
【0089】
また上記実施形態1等では鞘部として無色透明のもの、実施形態5では蓄光剤含有フィルム52を覆うフィルムとして無色透明のものを用いたが、これらに色付きの透明のものを用いても構わず、内側の暗視野発光体(蓄光剤含有物等)の放つ光を遮蔽しないものであれば良い。
【0090】
実施形態1〜3,6では繊維状蓄光剤含有物をマルチフィラメントとして、縫い込んだもの、或いは編物構成糸に用いたものを示したが、モノフィラメントであっても良い。
【0091】
また1つの編物物製衛生材料において、実施形態3の如く該織編物の衛生材料を構成する糸条の一部に蓄光剤含有糸を用い、更に実施形態1,2の如く蓄光剤含有糸を縫い込んだものとしても良い。
【0092】
実施形態5では孔付きの蓄光剤含有フィルム52を示したが、孔のないものであっても良い。また蓄光剤含有フィルムはフィルム本体の面積全体にわたる大きさでなくても良く、その一部(例えば中央部分のみ)に設けられたものであって良い。
【0093】
実施形態7では、最表層が蓄光剤を含有しない樹脂で構成された鉗子(樹脂成形体)を示したが、樹脂成形体の全てを、蓄光剤を練り込んだ樹脂で構成しても良い。或いは蓄光剤を練り込んだ樹脂で成形体を形成した後、蓄光剤を含有しない樹脂を塗布することで覆っても良い。
【0094】
実施形態1〜7では、繊維状やフィルム状の蓄光剤含有物を備えた衛生材料、或いは蓄光剤含有樹脂成形体の衛生材料を示したが、この蓄光剤に換えて蛍光剤を用いても良い。
【0095】
実施形態8における発光ダイオード82に換えて、蓄光剤を含有した樹脂製小塊(或いは小片)や、発光剤を含有した樹脂製小塊(或いは小片)、或いは蛍光剤を含有した樹脂製小塊(或いは小片)を取り付けても良い。
【0096】
発光剤含有物として実施形態10においてフィルム状のものを示したが、繊維状の発光剤含有物として実施形態1〜4,6の如く衛生材料本体に配置しても良い。また発光剤を練り込んだ樹脂で、鉗子等の衛生材料を成形しても良い。但し、発光剤含有物の場合は、発光助剤と接触する必要があることから、芯鞘構造等にして覆う様にはせず、発光剤含有物が露出する様にする。
【0097】
実施形態9では、引出糸として光ファイバー単独で構成したものを示したが、ポリエステル糸等の糸と光ファイバーとを束ねた引出糸としても良い。
【0098】
尚、暗視野発光体(蓄光剤含有物等)の放つ光の色としてはいずれでも構わないが、術野との色のコントラストを勘案して、見分け難い色を避けるのが望ましい。
【0099】
暗視野発光体の放つ光の輝度としては差程高いものである必要はなく、内視鏡下手術で内部を照らす明かりを消したとき等の暗視野で視認できる程度であれば良い。具体的には、JIS Z 9107(1998) 7.11に規定する方法でリン光輝度試験を行った場合、輝度が10mcd/m2以上であれば良い。好ましくは50mcd/m2以上である。
【0100】
蓄光剤含有物や発光剤含有物の場合は、暗視野で放置すると時間の経過と共に残光が消失することとなるが、残光(リン光)の持続時間としては、明かりを消して施術者が目視確認する間、発光していれば十分であるので、短くても構わず、数分程度(2〜3分程度)であっても良い。尚、施術者の作業時間に余裕をもたせる観点から、5分以上であることが望ましい。
【0101】
なお上記輝度や残光の持続時間を勘案して、蓄光剤等の素材や樹脂等への含有量、光ファイバーの太さや光源の輝度、発光ダイオードの種類の選択等を行うと良い。
【0102】
また蓄光剤や発光剤或いは蛍光剤を含有させる樹脂として、上記実施形態ではポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルを挙げたが、これに限るものではなく、ポリエチレンテレフタレートやポリアミド等、いずれの合成樹脂を使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施形態1に係る内視鏡手術用不織布(衛生材料)を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1における蓄光剤含有糸を構成するフィラメントを示す図である。
【図3】(a)は本発明の実施形態2に係るガーゼ(衛生材料)を表す正面図であり、(b)はこのガーゼの部分拡大図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る編物(衛生材料)を示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態4に係る綿球(衛生材料)を示す図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態5に係る癒着防止用フィルム(衛生材料)を示す斜視図であり、(b)は(a)に丸で囲った部分の拡大図である。
【図7】本発明の実施形態6に係る結束ロープ(衛生材料)を示す図である。
【図8】本発明の実施形態8に係る医療用不織布(衛生材料)である。
【図9】本発明の実施形態9に係る手術用小型パッド(衛生材料)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0104】
10 内視鏡手術用不織布
11 不織布本体
12,22,32 蓄光剤含有糸(繊維状蓄光剤含有物製の糸)
12a フィラメント(繊維状蓄光剤含有物)
15 芯部
16 蓄光剤
17 鞘部
18 ポリプロピレン
20 ガーゼ
21 ガーゼ本体
23 造影糸
31 綿糸(編物本体)
40 綿球
41 綿繊維
42 蓄光剤含有繊維
50 癒着防止用フィルム
51 ポリエチレンフィルム
52 蓄光剤含有フィルム
60 結束ロープ
61 ポリエステルマルチフィラメント
62 蓄光剤含有マルチフィラメント
80 医療用不織布
81 医療用不織布本体
82 発光ダイオード
90 手術用小型パッド
91 パッド部
92 引出糸(光ファイバー)
92a 端部
92b 切り欠き部
93 縫い糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術に用いられる衛生材料であって、該衛生材料が暗視野発光体を備えたものであることを特徴とする衛生材料。
【請求項2】
前記暗視野発光体が、蓄光剤含有物,発光剤含有物,蛍光剤含有物よりなる群から選択される1種以上である請求項1に記載の衛生材料。
【請求項3】
前記暗視野発光体が、繊維状の前記蓄光剤含有物,繊維状の前記発光剤含有物,繊維状の蛍光剤含有物よりなる群から選択される1種以上である請求項2に記載の衛生材料。
【請求項4】
前記衛生材料が繊維製品であり、前記繊維状蓄光剤含有物,前記繊維状発光剤含有物,前記繊維状蛍光剤含有物のうちのいずれか1種以上を縫い込んだものである請求項3に記載の衛生材料。
【請求項5】
前記衛生材料が織編物であり、該織編物を構成する糸条の全部又は一部として、前記繊維状蓄光剤含有物,前記繊維状発光剤含有物,前記繊維状蛍光剤含有物のうちのいずれか1種以上を用いたものである請求項3または4に記載の衛生材料。
【請求項6】
前記繊維状蓄光剤含有物が芯鞘構造を呈し、その芯部にのみ蓄光剤が含有されたものである請求項3〜5のいずれか1項に記載の衛生材料。
【請求項7】
前記繊維状蛍光剤含有物が芯鞘構造を呈し、その芯部にのみ蛍光剤が含有されたものである請求項3〜5のいずれか1項に記載の衛生材料。
【請求項8】
前記暗視野発光体が、フィルム状の前記蓄光剤含有物,フィルム状の前記発光剤含有物,フィルム状の前記蛍光剤含有物よりなる群から選択される1種以上であり、
前記衛生材料を構成するフィルムの少なくとも一部として、上記フィルム状蓄光剤含有物,上記フィルム状発光剤含有物,上記フィルム状蛍光剤含有物のうちのいずれか1種以上を用いたものである請求項2に記載の衛生材料。
【請求項9】
前記フィルム状蓄光剤含有物の表裏面をフィルムで覆ったものである請求項8に記載の衛生材料。
【請求項10】
前記フィルム状蛍光剤含有物の表裏面をフィルムで覆ったものである請求項8に記載の衛生材料。
【請求項11】
前記暗視野発光体が、小片状或いは小塊状の前記蓄光剤含有物,小片状或いは小塊状の前記発光剤含有物,小片状或いは小塊状の前記蛍光剤含有物よりなる群から選択される1種以上であり、
前記衛生材料の本体に上記小片或いは小塊を取り付けたものである請求項2に記載の衛生材料。
【請求項12】
前記衛生材料が合成樹脂製成形体であって、該成形体を構成する合成樹脂の一部または全部に、蓄光剤,発光剤,蛍光剤よりなる群から選択される1種以上を含有させて前記暗視野発光体を構成したものである請求項1に記載の衛生材料。
【請求項13】
前記暗視野発光体が、電磁波を受けることによって発光する発光ダイオードである請求項1に記載の衛生材料。
【請求項14】
前記暗視野発光体が、光源に接続される光ファイバーである請求項1に記載の衛生材料。
【請求項15】
前記光ファイバーは、少なくとも衛生材料本体への取付箇所において、光の屈折率変化部を備えたものである請求項14に記載の衛生材料。
【請求項16】
前記光の屈折率変化部が、前記光ファイバー表面に形成された切り欠き部である請求項15に記載の衛生材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−161337(P2008−161337A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352575(P2006−352575)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(507001704)
【出願人】(593148804)川本産業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】