説明

衛生洗浄装置

【課題】使用者の接近、離隔を確実に検知することができ、構造の簡素化・小型化を図ることができる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】着座検知用投光部と、人体検知用投光部と、着座検知用投光部および人体検知用投光部の反射光を受ける受光部とを有する円筒形状のセンサユニット11を、本体部2のケーシング2a内に備えた衛生洗浄装置において、センサユニット11の検知範囲を移動させるため、便蓋の開閉動作軸6と連動して回動する伝達軸26および/または便座の開閉動作軸と連動して回動する伝達軸27が、それぞれギア26a,27aおよび扇形ギア36a,37aを介して支軸36,37を所定角度だけ回動させる機構を設けた。これにより、使用態様に応じてセンサユニット11が所定角度回動し、その検知範囲が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体を検知して、便蓋の開閉や脱臭装置の起動・停止などを自動制御する機能を備えた衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレの衛生洗浄装置においては多機能化が進み、使用者が便器に近づくと人体検知センサが検知して便蓋を自動的に開き、便座に着座した使用者が用足し後、立ち上がって便器から離れると、再び人体検知センサがそれを検知して自動的に便蓋が閉じる機能を備えたものが増えている。このような衛生洗浄装置においては、男子小用の際は、リモコン操作部を操作することによって便座を便蓋と同様に起立させて用を足すので、人体検知センサが便座で隠れてしまう。そこで、この状態においても、使用者が便器を離れたことを検知できるようにする手段を設ける必要がある。
【0003】
このような問題を解決するため、便蓋が閉じられた状態で人体の接近を検知する第一の人体検知手段と、使用者が便座に着座していることを検知する着座検知手段と、便座が起立した状態において人体を検知する第二の身体検知手段とを備えた衛生洗浄装置(便座装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1記載の衛生洗浄装置(「便座装置」)は、図16(a)に示すように、第一の人体センサ93と、着座センサ94と、第二の人体センサ95とが一体化されたセンサユニット90を備えている。そして、便蓋91、便座92が閉止状態にあるときは、第一の人体センサ93が使用者の接近を検知して便蓋91が自動的に開かれ、図16(b)に示す状態となる。この状態で使用者が便座92に着座すると着座センサ94が着座を検知し、用足し後に使用者が立ち去ると、第一の人体センサ93及び着座センサ94が非検知となり、便蓋91が自動的に閉じられ、図16(a)の状態に戻る。
【0005】
一方、男子小用の際、リモコン操作部(図示せず)などを操作して、図16(c)に示すように、便座92を便蓋91と同様に起立させると、第一の人体センサ93および着座センサ94は便座92で隠れるが、第二の人体センサ95が現れて、用足し中の使用者を検知する。従って、用足し後に使用者が立ち去ると、第二の人体センサ95がそれを検知して便蓋91が自動的に閉じられ、図16(a)の状態に戻る。
【0006】
このように、特許文献1記載の衛生洗浄装置(「便座装置」)においては、2つの人体センサ93,95が設けられ、便座91および便蓋92の起伏姿勢に応じて、これらの人体センサ93,95を切り替えるため、男子小用の際においても、使用者の存在の有無を確実に検知して、便座91および便蓋92の閉止を行うことができる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−89631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の衛生洗浄装置(「便座装置」)の場合、複数のセンサ93,94,95が必要であるため、これらをセンサユニット90として一体化したとしても広い設置スペースを占有している。また、便蓋91、便座92の起伏姿勢に対応して複数のセンサ93,94,95の動作状態を切り替える必要があるため、その制御手段が必要であり、装置の複雑化を招くとともに、小型化を阻む要因となっている。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、使用者の接近、離隔を確実に検知することができ、構造の簡素化・小型化を図ることができる衛生洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の衛生洗浄装置は、人体検知用投光部と、前記人体検知用投光部の反射光を受ける受光部とを有するセンサユニットをケーシングに備えた衛生洗浄装置において、前記センサユニットの検知範囲を移動させるため、前記センサユニットが便蓋の開閉動作および/または便座の開閉動作と連動して回動することを特徴とする。
【0011】
このような構成とすれば、便蓋および/または便座の開閉動作と連動してセンサユニットが回動し、その検知範囲を移動させることが可能となるため、起立状態となった便蓋・便座によってセンサユニットの検知範囲が遮蔽されるのを回避することができる。従って、使用者の接近、離隔を確実に検知することができるようになる。なお、センサユニットに便座に着座した人体を検知する着座センサと衛生洗浄装置の前に立つ人体を検知する人体検知センサの両方を組み込むことで、起立状態となった便蓋・便座によって遮蔽されるセンサユニットに代わって機能する他のセンサユニットを設ける必要がなく、一つのセンサユニットで必要な検知機能を得ることができるため、構造の簡素化・小型化を図ることができる。
【0012】
ここで、前記便蓋の開閉動作軸および/または前記便座の開閉動作軸と連動して前記センサユニットを回動させる伝達軸を設ければ、便蓋の開閉動作軸および/または便座の開閉動作軸と連動する伝達軸により前記センサユニットを回動させることができるため、使用態様に即した検知範囲を確実に設定することができる。さらに、便蓋および/または便座の開閉動作と連動してセンサユニットを回動させることができるので、駆動電源を必要としない構造となるため、省エネ・構造の簡素化・小型化を図ることができる。
【0013】
この場合、前記センサユニットの回動範囲を、前記便蓋の単独開閉、前記便座の単独開閉、前記便座および前記便蓋の同時開閉のそれぞれの開閉動作態様に対応させて設定することが望ましい。このような構成とすれば、センサユニットの検知範囲は、日常的に反復される3通りの使用態様にそれぞれ適切に対応した状態に設定されるため、いずれの使用態様においても、使用者を確実に検知することができる。
【0014】
また、前記センサユニットに、当該衛生洗浄装置の動作状態を表示する発光表示部を設ければ、センサユニットの回動と共にLED表示部も回動可能となるため、起立状態となった便蓋や便座によるLED表示部の遮蔽を回避することができ、当該衛生洗浄装置の動作状態を確実に目視確認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、使用者の接近、離隔を確実に検知することができ、構造の簡素化・小型化を図ることができる衛生洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態である衛生洗浄装置を示す斜視図、図2は図1に示す衛生洗浄装置から便蓋および便座を離脱させた本体部を示す斜視図、図3は図2に示す本体部の正面図、図4は図3に示す本体部の一部切欠斜視図、図5は図3に示す本体部の一部切欠斜視図、図6は図1に示す衛生洗浄装置を構成するセンサユニットの斜視図、図7は図6におけるA−A線断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の衛生洗浄装置1は、洋式の便器23(図9参照)の上面後部に固定される本体部2と、本体部2に回動可能に取り付けられた便蓋3および便座4と、本体部2の正面から出没する洗浄ノズル5などを備えている。便蓋3は、図2,図3に示すように、本体部2のケーシング2aの中央凸部2bの左側面から水平に突出する開閉動作軸6によって開閉され、便座4は、図3に示すように、中央凸部2bの右側面から水平に突出する開閉動作軸7によって開閉される。図4に示すように、開閉動作軸6,7は、中央凸部2b内に配置されたモータ(図示せず)内蔵の駆動機構16,17によってそれぞれ駆動されている。中央凸部2bの正面中央付近に開設された開口部9にはフィルタ8が取り付けられ、その右側には、衛生洗浄装置1の動作状態を表示する表示部10が設けられている。表示部10は、図3に示すように、衛生洗浄装置1の動作状態に応じて点灯、消灯する複数の発光窓10a〜10eによって構成されている。
【0018】
図4,図5に示すように、駆動機構16,17にはそれぞれの開閉動作軸6,7と反対方向に突出する伝達軸26,27が設けられ、それぞれの先端部にギア26a,27aが固定されている。伝達軸26,27は、それぞれ開閉動作軸6,7と連動して回動する。また、中央凸部2b内の駆動機構16,17に挟まれた部分には、円筒形のセンサユニット11が、その両端部から軸心方向に突出する2つの支軸36,37を中心に回動可能に配置されている。センサユニット11の支軸36,37はそれぞれ軸受け部材12,13によって回動可能に軸支され、図6に示すように、支軸36,37の先端部にはそれぞれ、開閉動作軸6,7のギア26a,27aと噛合可能な扇形ギア36a,36bが固定されている。
【0019】
図6,図7に示すように、センサユニット11においては、両端面に支軸36,37を有する円筒形のケーシング11a内に、センサ部基板14と、表示部基板15とが配置されている。センサ部基板14は、人体検知用投光部18と、着座検知用投光部19と、人体検知用投光部18および着座検知用投光部19の反射光を受ける受光部20とを備えている。表示部基板15には、衛生洗浄装置1の動作状態に応じて点灯、消灯する複数の発光部21a〜21eが設けられ、ケーシング11aにおける、これらの発光部21a〜21eとそれぞれ対向する位置に、光透過可能な複数の開口部22a〜22eが開設されている。また、発光部21a〜21eは、それぞれLED(発光ダイオード)によって構成されている。
【0020】
発光部21aは衛生洗浄装置1が運転状態(待機状態)にあるとき点灯し、発光部21bは便座4が加温状態にあるときに点灯し、発光部21cは脱臭機構(図示せず)が作動しているときに点灯し、発光部21dは衛生洗浄装置1が節電モードにあるときに点灯し、発光部21eはセンサユニット11が検知状態にあるとき点灯する。発光部21a〜21eから発された光はそれぞれケーシング11aの開口部22a〜22eを通過し、図3に示す表示部10に設けられた発光窓10a〜10eを点灯させるようになっている。
【0021】
次に、図8〜図13を参照しながら、衛生洗浄装置1の機能について説明する。図8は図1に示す衛生洗浄装置の使用態様を示す正面図、図9は図1に示す衛生洗浄装置の使用態様を示す側面図、図10〜図13は図1に示す衛生洗浄装置の動作状態を示す模式図である。
【0022】
衛生洗浄装置1は、使用状態に応じて、図8に示すように、3つの状態のいずれかをとることができる。即ち、図8(a)に示すように便座4(図示せず)および便蓋3が閉止した待機状態、図8(b)に示すように便蓋3が開放して便座4が閉止した便座使用状態または図8(c)に示すように便蓋3および便座4が開放した男子小用状態のいずれかをとることができる。
【0023】
図8(a)に示すように便蓋3および便座4が閉止した待機状態にあるときは、図9(a)に示すように、センサユニット11の人体検知用投光部18は、支軸36,37を中心に水平から上方に35度回動した領域(以下、「35度領域」という。)を検知するように設定される。また、図8(b)に示すように、便蓋3のみを開放して便座使用状態にセットすると、図9(b)に示すように、センサユニット11が図面上で支軸36,37を中心に時計方向に約5度回動し、人体検知用投光部18および着座検知用投光部19は支軸36,37を中心に水平から上方に30度回動した領域(以下、「30度領域」という。)を検知するように設定される。さらに、図8(c)に示すように便蓋3および便座4を開放させて男子小用状態にセットすると、図9(c)に示すように、センサユニット11が図面上で支軸36,37を中心に時計方向にさらに約5度回動し、人体検知用投光部18は、支軸36,37を中心に水平から上方に25度回動した領域(以下、「25度領域」という。)を検知するように設定される。
【0024】
図8(a)および図9(a)に示す状態においては、図5に示すように、伝達軸26のギア26aと、支軸36の扇形ギア36aとは噛合状態にあり、一方、伝達軸27のギア27aと、支軸37の扇形ギア37aとは離れた状態にある。この状態を模式的に示したものが図10(a),(d)である。ここで、図13(a)に示すように、便座使用者Wが便器23に接近すると、35度領域を検知する状態にあるセンサユニット11の人体検知用投光部18が発する光L1の反射光を受光部20(図7参照)が検知して駆動機構16(図5参照)を作動させ、便蓋3を図9(b)に示す起立状態まで開放する。この過程においては、図10(a)〜図10(c)に示すように、便蓋3の開放動作と連動して回動する伝達軸26のギア26aが扇形ギア36aと噛合してこれを回動させるため、扇形ギア36aとともに支軸36が回動し、センサユニット11が図面上で時計方向に約5度回動して、人体検知用投光部18および着座検知用投光部19が30度領域を検知する状態まで回動する。
【0025】
このとき、図10(d)〜図10(f)に示すように、支軸36の反対側にある支軸37がセンサユニット11とともに回動するため、支軸37に固定された扇形ギア37aも図面上で時計方向に回動する。ところが、扇形ギア36a,37aは、それぞれの中心角が約5度の扇形であって、ケーシング11aの軸心にある支軸36,37を中心に互いに約5度位相をずらせて配置されているため、便蓋3の開放動作の開始直後は、図10(d)に示すように、扇形ギア37aとギア27aとは離れており、便蓋3が起立していくと、やがて開放状態に達した時点で、図10(f)に示すように、扇形ギア37aとギア27aとが噛合する。この時点で、扇形ギア36aとギア26aは噛合しなくなるため、ギア26aは空回りしながら便蓋3を開いていく。
【0026】
便蓋3が開放状態になると、図13(b)に示すように、使用者Wは便座4上に着座して用を足すことができる。この状態においては、人体検知用投光部18および着座検知用投光部19が発する光L1,L2の反射光を、センサユニット11内の受光部20(図7参照)が受光することにより、着座中の使用者Wを検知し続けている。用足し後、図13(c)に示すように、使用者Wが起立して、便器23から離れていくと、人体検知用投光部18および着座検知用投光部19が発する光L1,L2の反射光が無くなったことを受光部20が検知して、駆動機構16を前述と逆方向に作動させて、便蓋3が自動的に閉止される。
【0027】
次に、図13(d)に示すように、男性の使用者Mが小用を足すため便器23に接近すると、便座使用時と同様、35度領域を検知する状態にあるセンサユニット11がそれを検知して駆動機構16(図5参照)を作動させ便蓋3を図9(b)に示す状態まで開く。この後、図13(e)に示すように、使用者Mが操作部24を操作すると、駆動機構17が作動して、図13(f)に示すように、便座4が開放状態まで起立する。
【0028】
便蓋3が開放した後、便座4が開放状態まで起立する過程においては、図11(d)〜図11(f)に示すように、開閉動作軸7(図3参照)と連動する伝達軸27とともにギア27aが回動し、これと噛合する扇形ギア37aおよび支軸37が図面上で時計方向に回動するため、センサユニット11も支軸37を中心に同方向に約5度回動し、人体検知用投光部18および着座検知用投光部19が25度領域を検知する状態まで回動する。このとき、図11(a)〜図11(c)に示すように、センサユニット11の回動に伴って支軸36および扇形ギア36aも図面上で時計方向に回動する。この過程においては、図11(a)に示すように、回動開始前、ギア26aに噛合していた扇形ギア36aは、その中心角が約5度であるため、当該扇形ギア36aの回動により、図11(b)〜図11(c)に示すように、やがてギア26aから離れていくため、起立状態にある便蓋3は回動の影響を受けることなく、そのままの状態を保つ。
【0029】
便蓋3および便座4の両方が起立して、図9(c)に示す開放状態になると、図13(f)に示すように、使用者Mは便器23に向かって小用を足すことができる。この状態においては、人体検知用投光部18が発する光L1の反射光をセンサユニット11内の受光部20(図7参照)が受光することにより、小用中の使用者Mを検知し続けている。小用を終えた使用者Mが、図13(c)に示すように、便器23から離れていくと、人体検知用投光部18が発する光L1の反射光が無くなったことを受光部20(図7参照)が検知して、駆動機構16を前述と逆方向に作動させ、便蓋3を自動的に閉止する。
【0030】
次に、便蓋3および便座4を同時に開放動作させた場合のセンサユニット11の検知範囲の変化について説明する。閉止状態にある便蓋3および便座4を同時に開放させると、図12(a)に示すように、便蓋3の開放動作と連動して回動する伝達軸26のギア26aと噛合している扇形ギア36aが回動する。これによって扇形ギア36aとともに支軸36およびセンサユニット11が図面上で時計方向に約5度回動し、センサユニット11の検知範囲が35度領域から30度領域に変化する。この過程においては、図12(d)〜図12(e)に示すように、センサユニット11の回動により支軸37および扇形ギア37aも図面上で時計方向に回動していき、やがて、扇形ギア37aは伝達軸27のギア27aと噛合する。
【0031】
この後、さらに、便蓋3および便座4を起立させていくと、扇形ギア36a,37aの中心角はいずれも約5度であるため、図12(b)〜図12(c)に示すように、扇形ギア36aはギア26aから離れるとともに、図12(e)〜12(f)に示すように、ギア27aと噛合した扇形ギア37aが約5度時計方向に回動し、センサユニット11の検知範囲を30度領域から25度領域へ変化させ、図13(f)に示す、男子小用状態に設定される。
【0032】
このように、便蓋3および便座4を同時に開放させた場合、最初にギア26aと扇形ギア36aとが噛合してセンサユニット11の検知範囲を35度領域から30度領域まで変化させ、その後、ギア27aと扇形ギア37aとが噛合してセンサユニット11の検知範囲を30度領域から25度領域まで変化させるため、円滑に男子小用状態へ移行させることができる。また、図13(g)に示すように、小用を終えた使用者Mが便器23から離れると、センサユニット11がそれを検知して駆動機構16,17を作動させるため、便座4および便蓋3が自動的に閉止される。
【0033】
以上のように、衛生洗浄装置1は、便蓋3および/または便座4の開閉動作と連動してセンサユニット11が回動し、その検知範囲を移動させることができるため、起立状態となった便蓋3・便座4によってセンサユニット11の検知範囲が遮蔽されるのを回避することができ、使用者M,Wの接近、離隔を確実に検知することができる。また、従来のように、起立状態となった便蓋・便座によって遮蔽されるセンサユニットに代わって機能する他のセンサユニットを設ける必要がなく、一つのセンサユニットで必要な検知機能を得ることができるため、構造の簡素化・小型化を図ることができる。
【0034】
なお、センサユニット11の検知範囲は、前述した35度領域、30度領域あるいは25度領域に限定するものではないので、使用条件に応じて適切な検知範囲に設定することができる。また、扇形ギア36a,37aの中心角は5度に限定するものではなく、支軸36,37を中心とする扇形ギア36a,37aの配置角度も約5度に限定するものではないので、使用条件に応じて適切な角度とすることができる。
【0035】
また、図3〜図5に示したように、便蓋3の開閉動作軸6と連動して回動することによりギア26aおよび扇形ギア36aを介してセンサユニット11を回動させる伝達軸26と、便座4の開閉動作軸7と連動して回動することによりギア27aおよび扇形ギア37aを介してセンサユニット11を回動させる伝達軸27とを設けているため、センサユニット11を、使用態様に即した検知範囲に正確に設定することができる。また、センサユニット11を、便蓋3及び便座4の開閉動作軸に連動させて回動させているため、センサユニット回動専用の駆動機構を持つ必要がなくなるので、装置の小型化を図ることができる。
【0036】
さらに、図10〜図12に示すように、センサユニット11の検知範囲の変化量(変化角度)は、便蓋3の単独開閉、便座4の単独開閉、便蓋3および便座4の同時開閉という3つの使用態様に応じて異なっているため、日常的に反復される3通りの使用態様に適切に対応した状態に設定されることとなり、いずれの使用態様においても、使用者M,Wを確実に検知することができる。
【0037】
また、衛生洗浄装置1の動作状態を表示するため、センサユニット11に複数の発光部21a〜21eおよび複数の開口部22a〜22eを設けている。従って、センサユニット11の回動と共にこれらの発光部21a〜21eおよび複数の開口部22a〜22eも回動可能である。このため、起立状態となった便蓋3や便座4が、表示部10を構成する発光部21a〜21eおよび複数の開口部22a〜22eを遮蔽するのを回避することができ、衛生洗浄装置1の動作状態を確実に目視確認することができる。
【0038】
次に、図14,図15を参照して、センサユニットに関するその他の実施の形態について説明する。図14はその他の実施の形態であるセンサユニットを示す斜視図、図15は図14におけるB−B線断面図である。なお、図14,図15に示すセンサユニット31において、図6,図7で示したセンサユニット11の構成部分と同じ構造、機能を有する部分は図6,図7中の符号と同じ符合を付して説明を省略する。
【0039】
このセンサユニット31においては、両端面に支軸36,37を有する円筒形のケーシング31a内にセンサ部基板14が配置され、センサ部基板14は、人体検知用投光部18と、着座検知用投光部19と、人体検知用投光部18および着座検知用投光部19の反射光を受ける受光部20とを備えている。センサユニット31は、図6,図7に示すセンサユニット11から表示部基板15および開口部22a〜22eを省いているため、さらなる構造の簡素化、小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の衛生洗浄装置は、一般家庭のトイレなどにおいて広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態である衛生洗浄装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す衛生洗浄装置から便蓋および便座を離脱させた本体部を示す斜視図である。
【図3】図2に示す本体部の正面図である。
【図4】図3に示す本体部の一部切欠斜視図である。
【図5】図3に示す本体部の一部切欠斜視図である。
【図6】図1に示す衛生洗浄装置を構成するセンサユニットの斜視図である。
【図7】図6におけるA−A線断面図である。
【図8】図1に示す衛生洗浄装置の使用態様を示す正面図である。
【図9】図1に示す衛生洗浄装置の使用態様を示す側面図である。
【図10】図1に示す衛生洗浄装置の動作状態を示す模式図である。
【図11】図1に示す衛生洗浄装置の動作状態を示す模式図である。
【図12】図1に示す衛生洗浄装置の動作状態を示す模式図である。
【図13】図1に示す衛生洗浄装置の動作状態を示す模式図である。
【図14】センサユニットに関するその他の実施の形態を示す斜視図である。
【図15】図14におけるB−B線断面図である。
【図16】従来の衛生洗浄装置の動作状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1 衛生洗浄装置
2 本体部
2a,11a,31a ケーシング
2b 中央凸部
3 便蓋
4 便座
5 洗浄ノズル
6,7 開閉動作軸
8 フィルタ
9,22a〜22e 開口部
10 表示部
10a〜10e 発光窓
11,31 センサユニット
12,13 軸受け部材
14 センサ部基板
15 表示部基板
16,17 駆動機構
18 人体検知用投光部
19 着座検知用投光部
20 受光部
21a〜21e 発光部
23 便器
24 操作部
26,27 伝達軸
26a,27a ギア
36,37 支軸
36a,37a 扇形ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体検知用投光部と、前記人体検知用投光部の反射光を受ける受光部とを有するセンサユニットをケーシングに備えた衛生洗浄装置において、前記センサユニットの検知範囲を移動させるため、前記センサユニットが便蓋の開閉動作および/または便座の開閉動作と連動して回動することを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記便蓋の開閉動作軸および/または前記便座の開閉動作軸と連動して前記センサユニットを回動させる伝達軸を設けたことを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記センサユニットの回動範囲を、前記便蓋の単独開閉、前記便座の単独開閉、前記便座および前記便蓋の同時開閉のそれぞれの開閉動作態様に対応させて設定したことを特徴とする請求項2記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記センサユニットに、当該衛生洗浄装置の動作状態を表示する発光表示部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−82708(P2007−82708A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274441(P2005−274441)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】