説明

衛生薄葉紙の収納材

【課題】使用状態においてデザイン性に優れたものとなるが、コストの著しい増加は抑えられる衛生薄葉紙の収納材とする。
【解決手段】内部に衛生薄葉紙Pが収納された箱体とされ、この箱体を構成する天面材10に衛生薄葉紙Pの取出口が形成され、この取出口から外方に衛生薄葉紙の一部が露出する、衛生薄葉紙の収納材であって、天面材10は取出口側が低くなるように傾斜し、この傾斜部11外面の少なくとも一部が光反射面とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、六面体状等の箱体に組み立てられるとともに、この箱体の内部にティシュペーパー等の衛生薄葉紙が収納され、ボックス型ティシュペーパー等として使用される、衛生薄葉紙の収納材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、衛生薄葉紙たるティシュペーパーは、複数枚が積層された積層体の状態で、立方体状、直方体状等の六面体状の箱体の内部に収納されて、一般家庭、企業などの幅広い場所において、使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。内部にティシュペーパーが収納された箱体は、ボックス型ティシュペーパーなどと呼ばれている。
このボックス型ティシュペーパーは、例えば、3〜5個の複数個が積み重ねられた状態で、フィルムシート等の包装材で包装されたうえで、工場から店頭への搬送、店頭での陳列、店頭から各家庭への持ち帰りなどが行われている。
ボックス型ティシュペーパーは、各家庭へ持ち帰った後、フィルムシートを引き裂くなどして取り出し、箱体を構成する天面材に形成されたミシン目を切断するなどしてティシュペーパーの取出口を形成したうえで、テーブルや鏡台の上に置き、いつでも使用することができる状態にしている。この状態においては、取出口から外方に、最上位に積層されたティシュペーパーの一部が露出している。使用にあたっては、一方の手でボックス型ティシュペーパーを持ち上げ、他方の手で取出口から露出するティシュペーパーを摘み出すなどしている。通常、このティシュペーパーの摘み出しを行うと、次のティシュペーパーの一部が取出口から外方に露出する(いわゆるポップアップ方式)。
このように、ボックス型ティシュペーパーは、各家庭等でテーブルや鏡台の上に置かれるなどして使用されるため、箱体外面のデザインに工夫が凝らされている(例えば、特許文献3参照)。また、この状態においては、取出口から外方に、最上位に積層されたティシュペーパーの一部が露出しており、このティシュペーパーもデザインの一部を構成することになるため、各ティシュペーパーにも色や模様を付けるなどの工夫が凝らされている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、このようにティシュペーパーに色や模様を付けるなどの工夫を凝らしたとしても、色や模様が常に同じであると、マンネリ化してしまい、消費者に「デザイン性に優れる」との印象を与えることができなくなってしまう。また、ティシュペーパーに付ける色や模様などに、バリエーションを付けることも考えられるが、バリエーションを付けると、それに応じて著しくコストが増加する。ティシュペーパーは、当然、使い捨てを前提としており、消費者は価格を重視する傾向が強いため、コストの増加は重要な問題となる。
一方、ボックス型ティシュペーパーは、使用していくうちに、箱体内部に収納されたティシュペーパーの枚数が減り、軽くなる。したがって、一方の手でボックス型ティシュペーパーを持ち上げる際や、他方の手で取出口から露出するティシュペーパーを摘み出す際などに、ボックス型ティシュペーパーが手から滑ってしまう場合がある。また、特に近年、ボックス型ティシュペーパーは、その置き場所を特定せずに使用されることも増えてきている。この場合、ボックス型ティシュペーパーが背景にとけこんでしまい、どこにある(存在する)のかわからなくなってしまうことがある。
【特許文献1】特開平11−130167号公報
【特許文献2】特開2002−249183号公報
【特許文献3】特開2002−193357号公報
【特許文献4】特開2003−310476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする主たる課題は、使用状態においてデザイン性に優れたものとなるが、コストの著しい増加は抑えられる衛生薄葉紙の収納材を提供することにある。また、別の課題は、手に持った時に滑りにくく持ち易い衛生薄葉紙の収納材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
内部に衛生薄葉紙が収納された箱体とされ、この箱体を構成する天面材に前記衛生薄葉紙の取出口が形成され、この取出口から外方に前記衛生薄葉紙の一部が露出する、衛生薄葉紙の収納材であって、
前記天面材の少なくとも一部は前記取出口側が低くなるように傾斜し、この傾斜部外面の少なくとも一部が光反射面とされている、ことを特徴とする衛生薄葉紙の収納材。
【0005】
〔請求項2記載の発明〕
前記光反射面は、水平面に対して5〜90°傾斜する、請求項1記載の衛生薄葉紙の収納材。
【0006】
〔請求項3記載の発明〕
前記取出口が、切断補助線及び軸線からなる略環状線を有しており、前記切断補助線で切断し前記軸線を軸として前記環状線で囲まれた扉材を開くことで形成され、
前記扉材は内面が外方を向くまで開くことができ、かつ前記内面の少なくとも一部が光反射面とされている、請求項1又は2記載の衛生薄葉紙の収納材。
【0007】
〔請求項4記載の発明〕
前記扉材は外面の少なくとも一部も光反射面とされている、請求項3記載の衛生薄葉紙の収納材。
【0008】
〔請求項5記載の発明〕
400〜800nmの光の波長のJIS Z 8120に基づく反射率が40%以上とされる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙の収納材。
【0009】
〔請求項6記載の発明〕
前記箱体外面の少なくとも一部は、ホログラム模様を有する凹凸層が設けられて光反射面とされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙の収納材。
【0010】
〔請求項7記載の発明〕
前記ホログラム模様を有する凹凸層が設けられた光反射面は、JIS P 8147に規定する傾斜法滑り開始角度が20°〜60°とされている、請求項6記載の衛生薄葉紙の収納材。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、使用状態においてデザイン性に優れたものとなるが、コストの著しい増加は抑えられる衛生薄葉紙の収納材となる。また、手に持った時に滑りにくく持ち易い衛生薄葉紙の収納材となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明が対象とする衛生薄葉紙は、その種類が特に限定されず、例えば、ティシュペーパー、(積層型の)トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の繊維集合体などを、対象とすることができる。以下では、衛生薄葉紙がティシュペーパーである場合を例に、説明する。なお、一般に、ティシュペーパーとしては、2枚重ね(2プライ)や3枚重ね(3プライ)等の複数枚重ねのものや、枚葉(1プライ)のものがあるが、いずれも本形態の対象とすることができる。また、ティシュペーパーは、通常、積層されて収納材内に収納されるが、このティシュペーパーの積層枚数も特に限定されず、ごく一般的な、200組(合計400枚)、180組(合計360枚)が積層された形態なども好適に対象とすることができる。
【0013】
図1に本形態の収納材1の展開図を、図2に収納材1が六面体状の箱体に組み立てられ、この箱体の内部にティシュペーパーPが収納されたボックス型ティシュペーパーBの斜視図を、それぞれ示した。
【0014】
図1に示すように、本形態の収納材1は、例えば、紙や樹脂シート等からなる平板状の1枚の基材が、ミシン目線、折り筋線、低坪量線等からなる折り線によって、平面略方形状の次の各部位に区画されたものである。
すなわち、後面材40、この後面材40の両側方に連接された後側糊代材40H,40H、後面材40と隣接する天面材10、この天面材10の両側方に連接された上側側面材50A,60A、天面材10と隣接する前面材30、この前面材30の両側方に連接された前側糊代材30H,30H、前面材30と隣接する底面材20、この底面材20の両側方に連接された下側側面材50B,60B、及び、底面材20と隣接する横糊代材20Nである。
【0015】
このようにしてなる収納材1は、例えば、横糊代材20Nが後面材40の内面に糊付けされることにより筒体とされ、さらに、前側糊代材30H,30H及び後側糊代材40H,40H、下側側面材50B,60B、並びに、上側側面材50A,60Aが、この順に折り畳まれて筒体の両開口が閉じられることにより、図2に例示するように、六面体状の箱体に組み上げられる。
【0016】
この収納材1の組み上げに際しては、例えば、筒体とされた後に一方の開口から、あるいは筒体の一方開口が閉じられた後に他方の開口から、内部にティシュペーパーPの積層体が収納される。これにより、収納材1は、内部にティシュペーパーが収納された箱体になり、ボックス型ティシュペーパーBとして、例えば商品化される。
【0017】
もっとも、この商品化は、各ボックス型ティシュペーパーB単位に行う必要はない。例えば、3〜5個の同種のボックス型ティシュペーパーBを積み重ね、この積み重ね状態でフィルムシート等の包装材によって包装して、商品化することもできる。この形態においては、フィルムシート等の包装材を引き裂くなどして包装解除してから各ボックス型ティシュペーパーBを取り出し、使用に供される。
【0018】
本形態においては、箱体を、現在最も汎用化されている直方体状としているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、立方体状等の他の六面体状とすることや円筒状とすることなどもできる。
【0019】
以上のようにして箱体にされた収納材1は、使用後、解体するなどしてから、廃棄される。本形態では、この解体を容易にするために、収納材1の下側側面材50B,60Bに、ミシン目線、ハーフスリット等からなる切断補助線Yが、幅方向中央部が円弧状に突出するように形成されている。この切断補助線Yの円弧状に突出する部分に指などを挿入し、側方に引くことによって、前側糊代材30H,30H及び後側糊代材40H,40H、下側側面材50B,60B、並びに、上側側面材50A,60Aの折り畳みが解除されるため、収納材1の解体が容易である。
【0020】
本形態において、収納材1の天面材10には、ミシン目線、ハーフスリット線等からなる切断補助線T1と、ミシン目線、折り筋線、低坪量線等からなる軸線T2とで、環状線が形成されている。この形態(以下「片開き形態」ともいう。)においては、図4に示すように、天面材10を切断補助線T1で切断し軸線T2を軸に折り返して環状線で囲まれた扉材10Aを開くと、箱体の内部に収納されたティシュペーパーPの取出口が形成される。
【0021】
もっとも、取出口の形成形態は、この片開き形態に限定されない。例えば、図3の(a)に示すように、天面材10に、平行する2本の軸線T3及びT4と、この軸線T3,T4の両端部に連続する切断補助線T5,T5とで、環状線が形成されるとともに、この環状線で囲まれた部位のほぼ中央部に軸線T3及びT4と平行に切断補助線T6が形成された形態(以下「観音開き形態」ともいう。)を例示することができる。この形態においては、図5に示すように、天面材10を切断補助線T5,T6で切断し軸線T3及びT4を軸に折り返して、軸線T3及び切断補助線T5,T6で囲まれた一方の扉材10B1、並びに、軸線T4及び切断補助線T5,T6で囲まれた他方の扉材10B2を開くと、箱体の内部に収納されたティシュペーパーPの取出口が形成される。
【0022】
また、例えば、図3の(b)に示すように、軸線を有せず切断補助線T7のみによって環状線が形成された形態(以下「剥ぎ取り形態」ともいう。)も例示することができる。この形態においては、天面材10を切断補助線T7で切断し、この切断補助線T7で囲まれた部位10Cを剥ぎ取ることにより、箱体の内部に収納されたティシュペーパーPの取出口が形成される。
【0023】
以上の形態においては、いずれにおいても、取出口から外方にティシュペーパーPの一部が露出する。もっとも、より具体的には、図1及び図4から図8に示すように、天面材10の内面には、取出口となる領域を塞ぐように、フィルムシートFが接着剤等を使用して貼り付けられている。そして、このフィルムシートFのほぼ中央部には、取出口長手方向に沿うスリットSが形成されており、このスリットSからティシュペーパーPの一部が露出する。もちろん、本形態において、このフィルムシートFは必須のものではなく、フィルムレスとすることもできる。
【0024】
ところで、本形態の収納材1が「片開き形態」や「観音開き形態」の場合においては、図4や図5に示すように、扉材10A,10B1,10B2を、内面10aが外方を向くまで開くことができ、かつこの内面10aの少なくとも一部が光反射面とされている。したがって、この光反射面で反射した光が、取出口から露出するティシュペーパーPに投射され、ティシュペーパーPに色や模様が付くことになる。そして、取出口から露出するティシュペーパーPは、当然、先端部が折れ曲がるなどしてさまざまな形状をしているため、ティシュペーパーPに付く色や模様も、さまざまに変化することになる。したがって、色や模様のマンネリ化が防止され、消費者に「デザイン性に優れる」との印象を与えることができる。もちろん、各ティシュペーパーPにさまざまな色や模様を付ける必要もないため、コストの著しい増加も抑えられる。
【0025】
また、扉材10A,10B1,10B2は、図4に示すように、外面の少なくとも一部も光反射面とされているのが好ましい。この形態によると、光反射面で反射した光が、机上等の周辺部に投射され、周辺部に色や模様が付くことになるため、ボックス型ティシュペーパーBと周辺環境との調和が図られる。
【0026】
一方、本形態の収納材1が「剥ぎ取り形態」の場合においては、図6に示すように、天面材10が、取出口側が低くなるように傾斜し、この傾斜部11外面の少なくとも一部が光反射面とされている。したがって、「片開き形態」や「観音開き形態」の場合と同様に、消費者に「デザイン性に優れる」との印象を与えることができる。
【0027】
ただし、この「剥ぎ取り形態」は、傾斜部11の傾斜角αが固定となるため、以上の効果が確実に得られるとの利点が、先の「片開き形態」や「観音開き形態」の場合は、扉材10A,10B1,10B2の傾斜角を任意に調節することができるため、デザインを意図的に変更することができるとの利点が、それぞれある。
【0028】
ここで、傾斜部11(光反射面)の傾斜角αは、水平面に対して5〜90°傾斜するのが好ましく、30〜60°傾斜するのがより好ましい。傾斜角αが小さすぎると、光がティシュペーパーPに投射されず、色や模様が付かないおそれがある。他方、傾斜角αが大きすぎると、光が光反射面に照射されなくなるおそれがある。
【0029】
また、400〜800nmの可視光線の波長のJIS Z 8120に基づく反射率が40%以上とされるのが好ましく、50〜90%とされているのがより好ましい。光反射率が40%未満であると、光がティシュペーパーPに投射されず、色や模様が付かないおそれがある。
【0030】
図6の形態においては、天面材10の周縁から取出口の周縁(T7)まで全長にわたって天面材10が傾斜している形態を示したが、これに限定する趣旨ではない。例えば、図7に示すように、天面材10の周端部は傾斜しているが、天面材10の取出口周辺部は傾斜していない形態、逆に、図8に示すように、天面材10の周端部は傾斜していないが天面材10の取出口周辺部は傾斜している形態、なども例示することができる。
【0031】
同様に、傾斜部11は、図3の(b)に示すように、天面材10の奥行き方向(X方向)に関して傾斜していても、幅方向(Z方向)に関して傾斜していても、適宜の方向(Y方向等)に関して傾斜していてもよい。
【0032】
さらに、箱体外面の少なくとも一部は、ホログラム模様を有する凹凸層が設けられて光反射面とされているのも好ましい。より具体的には、天面材10の外面、底面材20の外面、前面材30の外面、後面材40の外面、上側側面材50Aの外面及び下側側面材50Bの外面、並びに、上側側面材60Aの外面及び下側側面材60Bの外面の少なくとも一部に、本形態では全部(全面)にホログラム模様を有する凹凸層が設けられて光反射面とされている。これにより、本形態のボックス型ティシュペーパーBは、見る角度によって模様の色や形などが変化することになるため、従来の単なる立体的なデザインとは異なり、使用場所の雰囲気を彩るものとなる。また、このホログラム模様を有する層が凹凸を有すると、この凹凸による摩擦増加効果によって、収納されたティシュペーパーが減って軽くなったとしても、手から滑ってしまうおそれがない。さらに、このホログラム模様を有する凹凸層は光反射面とされているため、ボックス型ティシュペーパーBの視認性が向上し、背景にとけこんでしまうおそれがない。
【0033】
ここで、ホログラム模様を有する凹凸層は、意匠性や滑り止め効果等を考慮して、箱体外面となる部位に、適宜設けることができるが、天面材10の外面及び底面材20の外面の少なくとも一方の外面、並びに、前面材30の外面、後面材40の外面、上側側面材50Aの外面、下側側面材50Bの外面、上側側面材60Aの外面及び下側側面材60Bの外面の少なくともいずれかの外面に設けられていると、ボックス型ティシュペーパーBが複数個積み重ねられて包装材に収納される場合において、デザイン性に優れ、好ましいものとなる。これは、主に、以下2つの理由による。
まず、ホログラム模様を有する凹凸層が天外材10及び底外材20の少なくとも一方の外面に設けられていると、上下に積み重ねられたボックス型ティシュペーパーB間の摩擦が増加して、各別に動くことが抑制されるため、フィルムシート等の包装材が伸びてしまうことがなくなり、包装材の透明度が低下することや目に付くようになることを原因とするデザイン性の低下が防止されること、である。次に、ホログラム模様を有する凹凸層が前面材30、後面材40、上側側面材50Aの外面、下側側面材50Bの外面、上側側面材60Aの外面及び下側側面材60Bの外面の少なくともいずれかの外面に設けられていると、ボックス型ティシュペーパーBが複数個積み重ねられた状態においても、消費者の目にとまり、しかも周辺の同種のものからも相対的に目立つため、製品アピール等の観点においてデザイン性に優れたものになること、である。
【0034】
ここで、ホログラム模様を有する凹凸層がどのような形態であるかは、特に限定されない。例えば、図9に示すように、各部材2(天面材10、底面材20、前面材30、後面材40、上側側面材50A,60A、下側側面材50B,60B等)の外面2aに、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤等によって形成された接着剤層3、アルミ箔やアルミ蒸着シート等からなる反射層4及びウレタン系樹脂等によって形成された樹脂層5がこの順に積層されてなるシール材を貼り付けることにより、設けることなどができる。この形態において、反射層4は、凹凸形状とされており、光を干渉させて立体的な画像を再生することができるようになっている。また、樹脂層5の表面5aも、凹凸形状とされており、この凹凸形状によって、本形態でいう凹凸層の凹凸が構成されている。この凹凸の深さは、通常0.5〜1.5μm、好ましくは0.8〜1.2μmである。
【0035】
本発明は、スムーズで安全な廃棄処理、エネルギー・コストの抑制(節約)等の観点から、ホログラム模様を有する凹凸層は、アルミ箔やアルミ蒸着シート等からなる反射層4を設けず、UV(紫外線)硬化型樹脂又はプラスチックフィルムで形成するのが好ましい。この形態によれば、スムーズで安全な廃棄処理やエネルギー・コストの抑制(節約)をすることができ、しかも、ホログラム模様を容易に形成することができる。
【0036】
凹凸層形成の原料となるUV硬化型樹脂は、その種類が特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリルレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテルテトラ(メタ)アクリレート等を、適宜に使用することができる。
【0037】
また、凹凸層形成の素材となるプラスチックフィルムは、その種類が特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート等を原料とするフィルムを、使用することができる。特に、光沢性という観点からは、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用するのが好ましく、二軸延伸ポリプロピレンは剥離性という点でも優れており、廃棄処理が容易となる。
【0038】
また、凹凸層をUV硬化型樹脂又はプラスチックフィルムで形成するに際しては、アルミニウム等からなる金属粉体をバインダーと混ぜ塗工して形成した反射層を設けることは、可能である。
【0039】
この反射層を設けるに際して、金属粉体の形状は特に限定されず、例えば、球形状、多角形状等の粒子状、細長い針状、平板状などにすることができる。また、金属粉体の大きさも、特に限定されず、粒子状の場合は、例えば、平均粒径20μm以下、好ましくは平均粒径15μm以下にすることができる。この際、粒度分布は小さい方が好ましく、標準偏差で2μm以下、特に1μm以下が好適である。また、特に、金属粉体が平板状の粒子状の場合は、平均粒子径20〜40μm、平均厚さ0.1〜1.0μm、アスペクト比(径/厚さ)20〜400であるのが好適である。この形態は、1つ1つの粒子表面積が大きく、金属光沢を発現しやすい。なお、本明細書において平均粒子径は、顕微鏡観察により100個の粒子を測定した平均値として得られるものとする。また、金属粉体の種類は、アルミニウムに限定されず、例えば、亜鉛、銀なども使用することができる。
【0040】
一方、バインダーとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体系樹脂、酢酸ビニル・マレイン酸共重合体系樹脂、紫外線硬化型樹脂などの、公知のバインダーを使用することができる。
【0041】
金属粉体及びバインダーの質量比は、例えば、90:10〜5:95、好ましくは80:20〜40:60である。バインダーの量が多すぎると金属光沢感が出にくくなる。他方、バインダーの量が少なすぎると強度が弱くなる。
【0042】
この金属粉体及びバインダーからなる反射層は、各部材2の外面に直接形成して設けても、先に形成しこれを各部材2の外面に加熱等によって接着して設けてもよい。この接着は、紫外線硬化型樹脂を使用し、紫外線による硬化を利用して行うこともできる。ただし、一般には、反射層を乾燥して形成した後、ラミネート加工によって接着する方法が推奨される。このラミネート加工は、押出ラミネート、ウエットラミネート、ドライラミネート、ホットメルト接着等のいずれであってもよい。反射層等の表面にヒートシール性樹脂層やホットメルト層を形成し、別途加熱して接着してもよい(サーマルラミネート)。サーマルラミネートは、押出ラミネートのように高い温度がかからないため、フィルムの熱収縮による問題がなく、水性エマルジョンによるウエットラミネートのように水分による紙の寸法変化が生じることもないため、好適である。
【0043】
ウエットラミネートにおいては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等の水性エマルジョン接着剤を好適に使用することができる。押出ラミネートにおいては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体塩などを好適に使用することができる。
【0044】
サーマルラミネートに使用する樹脂としては、ASTM−D−1525に規定されるビカット軟化点50〜100℃のものが好適であり、55〜80℃のものがより好適である。樹脂の種類としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ブテン共重合体、ポリブタジエン、アタクチックポリプロピレンなどが好適である。また、これらの樹脂には、ホットメルト接着剤と同様に、例えば、タッキファイヤーやワックス等を混入することもできる。
【0045】
また、箱体外面の少なくとも一部がホログラム模様を有する凹凸層が設けられた光反射面とされる場合は、この光反射面を、JIS P 8147に規定する傾斜法滑り開始角度が20°〜60°とされることが好ましい。ここで、JIS P 8147に規定する傾斜法滑り開始角度は、滑り傾斜角度測定器の傾斜板に試験片(PPC(Plain Paper Copier)用紙)を貼り付け、錘の裏側に測定する試験片(ホログラム模様層を有する基材)を固定させ、一定の速度で傾斜板を傾けて、錘が滑り出した角度である。角度が20°〜60°にあると、手に持った時に滑りにくく持ち易くなる。60°を超えると、滑りにくくなり、箱体を積み重ねた時、面同士が引っ掛かり易くなって面を動かす自由度を抑止してしまう恐れがある。20°未満であると、手に持った時滑りやすくなる傾向になる。
【0046】
ところで、以上のようにしてなる凹凸層は、印刷模様層(印刷によって模様が形成された層)を介して設けられ、この印刷模様層が凹凸層を通して視認可能とされているのが好ましい。視認可能な印刷層が設けられていると、ボックス型ティシュペーパーのデザイン性が向上する。この印刷模様層の原料は、特に限定されないが、油溶性金属錯塩が好ましく、例えば、1−2型アゾ型金属錯塩染料、1−1型ゾ型金属錯塩染料、金属フタロシアニン系染料、これらの染料の有機塩基塩などを、例示することができる。
【0047】
また、印刷模様層が凹凸層を通して視認可能となるようにする方法は、特に限定されず、例えば、凹凸層を適宜の微細な間隔をあけて連続的に設けることや、特開2005−153978号公報等に開示される方法によって設けることなどができる。これにより、印刷模様層が凹凸層によって隠蔽されて視認することができなくなってしまうのを防止することができる。
【0048】
本形態において印刷による模様は、その内容が特に限定されず、例えば、パッケージ印刷柄や商品銘柄、商品情報等の文字、図柄等からなる模様を例示することができる。
【0049】
〔その他〕
(1)本形態において、ホログラム模様を有する凹凸層の設け方は、特に限定されない。例えば、ホログラム模様を有する凹凸層をシール形態とし、これを各部材2に貼り付ける方法、ホログラム模様を有する凹凸層を各部材2に自己接着させる方法、特表平8−508106号公報等に開示さえるようにホログラム模様を有する凹凸層を各部材2の外面に直接形成する方法、等を採用することができる。
(2)本形態において、基材としては、例えば、一般的な紙、板紙や樹脂シート等を、特に限定なく用いることができる。基材をコート紙で形成する場合、その坪量は、通常50〜600g/m2、好ましくは300〜600g/m2である。なお、坪量が50g/m2未満の場合、収納材としての外力による強度が維持できないという問題があり、600g/m2を越えた場合、箱体とする時に折れにくいという問題がある。
(3)本形態において、光反射層は、以上のようにホログラム模様層を設けることによって形成することができるが、これに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、六面体状等の箱体に組まれるとともに、この箱体の内部にティシュペーパー等の衛生薄葉紙が収納され、例えば、ボックス型ティシュペーパーなどとして使用される、衛生薄葉紙の収納材として、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ティシュペーパー収納材の展開図である。
【図2】ボックス型ティシュペーパーの斜視図である。
【図3】天面材の形態例である。
【図4】片開き形態を示す模式図である。
【図5】観音開き(両開き)形態を示す模式図である。
【図6】剥ぎ取り形態を示す模式図である。
【図7】剥ぎ取り形態を示す模式図である。
【図8】剥ぎ取り形態を示す模式図である。
【図9】ホログラム模様を有する凹凸層の形態例である。
【符号の説明】
【0052】
1…収納材、2…各部材、3…接着剤層、4…反射層、5…樹脂層、10…天面材、20…底面材、30…前面材、40…後面材、50A,50B,60A,60B…側面材、B…ボックス型ティシュペーパー、P…ティシュペーパー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に衛生薄葉紙が収納された箱体とされ、この箱体を構成する天面材に前記衛生薄葉紙の取出口が形成され、この取出口から外方に前記衛生薄葉紙の一部が露出する、衛生薄葉紙の収納材であって、
前記天面材の少なくとも一部は前記取出口側が低くなるように傾斜し、この傾斜部外面の少なくとも一部が光反射面とされている、ことを特徴とする衛生薄葉紙の収納材。
【請求項2】
前記光反射面は、水平面に対して5〜90°傾斜する、請求項1記載の衛生薄葉紙の収納材。
【請求項3】
前記取出口が、切断補助線及び軸線からなる略環状線を有しており、前記切断補助線で切断し前記軸線を軸として前記環状線で囲まれた扉材を開くことで形成され、
前記扉材は内面が外方を向くまで開くことができ、かつ前記内面の少なくとも一部が光反射面とされている、請求項1又は2記載の衛生薄葉紙の収納材。
【請求項4】
前記扉材は外面の少なくとも一部も光反射面とされている、請求項3記載の衛生薄葉紙の収納材。
【請求項5】
400〜800nmの光の波長のJIS Z 8120に基づく反射率が40%以上とされる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙の収納材。
【請求項6】
前記箱体外面の少なくとも一部は、ホログラム模様を有する凹凸層が設けられて光反射面とされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙の収納材。
【請求項7】
前記ホログラム模様を有する凹凸層が設けられた光反射面は、JIS P 8147に規定する傾斜法滑り開始角度が20°〜60°とされている、請求項6記載の衛生薄葉紙の収納材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−74439(P2008−74439A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254993(P2006−254993)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】