衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法
【課題】 大きな衝撃エネルギーを吸収することができる衝撃吸収体を提供する。
【解決手段】 所定の間隔で複数の支柱2…2Tを設け、支柱2…2T間に水平ロープ材3を設け、支柱2…2T間を網体7で遮蔽する。前記水平ロープ材3の端部3Tに載荷面13Mを有する載荷板13を設けると共に、支柱2Tに載荷面13Mを設け、それら両載荷面13M,13M間にリング材13を挟んで配置する。雪崩・落石等の衝撃力により、水平ロープ材3に引張力が加わると、両載荷面13M,13M間が狭まり、リング材12が押し潰され、このリング材13の変形により衝撃エネルギーを吸収することができる。
【解決手段】 所定の間隔で複数の支柱2…2Tを設け、支柱2…2T間に水平ロープ材3を設け、支柱2…2T間を網体7で遮蔽する。前記水平ロープ材3の端部3Tに載荷面13Mを有する載荷板13を設けると共に、支柱2Tに載荷面13Mを設け、それら両載荷面13M,13M間にリング材13を挟んで配置する。雪崩・落石等の衝撃力により、水平ロープ材3に引張力が加わると、両載荷面13M,13M間が狭まり、リング材12が押し潰され、このリング材13の変形により衝撃エネルギーを吸収することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪崩・落石等衝撃吸収柵などの衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、所定の間隔で支柱を設け、各支柱の間に水平ロープ材を水平方向のスライドを許容した状態で係留し、水平ロープの両端は固定し、各支柱間を水平ロープ材に掛止されたワイヤ製のネットで遮蔽し、各水平ロープ材の途上に水平ロープ材を重合させて形成した余長部と、余長部を一定の力で挟持する挟持具とにより、水平ロープ材に所定張力以上の張力が作用したとき、水平ロープ材が一定の摩擦力を保持したまま余長部が伸長して張力を吸収する緩衝部を設けた(例えば特許文献1)衝撃吸収柵があり、前記衝撃吸収柵の網面に作用する衝撃力が緩衝部の設定摩擦抵抗を越えると、水平ロープ材の途上に形成した緩衝部が耐えられず、ロープ材と挟持具との摺動の間で摺動を開始し、大きな衝撃力を受けてもループの縮径により効果的にエネルギーを吸収することができる。
【0003】
また、前記特許文献1には、雪崩・落石防止体と地山とを連結する支持用線材をループ状にして複数の線材が重なり合う重複部を形成し、その重複部を複数間隔をおいて設けられた締付部材により緊結し、前記支持用線材に加わる引張力によって前記ループ状部分の両側端が前記締付部材に係止しかつ締付部材が移動するものがある。
【0004】
また、ガードロープの他端部相互を重ね合わせて重複部を形成し、この重複部を複数間隔を置いて設けられた締付部材により緊結すると共に、前記締付部材に係止可能な端末突部を前記ガードロープの他端部の端部に設け、前記ガードロープに加わる引張力によって前記重複部の他端部相互が摩擦摺動するように構成(例えば特許文献2)している。
【0005】
さらに、支柱間に張り渡された保持ロープの中途に、同保持ロープに及んでくる衝撃エネルギーを吸収するためのブレーキ装置が設けてあり、このブレーキ装置が、重ね合わされた両端部を緊締部材によって固定したループ管を有しており、当該保持ロープがこのループ管内を通り、他方端部の管口からでて延びて(例えば特許文献3)おり、緊締部でのループ管重畳部の摩擦及びループ管と緊締部材との間の摩擦によりエネルギー吸収が行われる。
【0006】
このように上記3者の衝撃吸収柵等では、いずれも衝撃エネルギーを摩擦力により吸収するようにしている。
【0007】
一方、上記特許文献3では、網状体が多数のリング部材を、それぞれ隣り合うリング部材の内周側が接触するように相互に連結することによって構成されており、落石による衝撃を受けると、各リング部材が他のリング部材との係合箇所で外方に引張られ、例えば係合箇所が周全体で4箇所であれば、リング部材は矩形に変形し、このようにリング部材を変形させる力が衝撃吸収エネルギーとなり、リング部材の材質、鋼製線材の太さ、リング部材の直径を適宜選択することにより、吸収すべきエネルギーの大きさに簡単に対応させることができる。
【0008】
さらに、衝撃吸収に圧縮コイルバネを用いた防護装置(例えば特許文献4)があり、水平ロープ材の一端を圧縮ばね装置により支柱などの固定部に連結し、前記圧縮ばね装置は、圧縮コイルばねの長さ方向両側に、押え部たる押え板を配置し、これら押え板の孔及び圧縮コイルばねに可動杆を挿通し、網体に落石等により衝撃力が加わると、水平ロープ材33に引張力が発生し、可動杆が引張られて押え板が押え板に近づく方に移動し、圧縮コイルばねが圧縮され、これにより衝撃エネルギーが吸収される。
【特許文献1】特公平7−18134号公報
【特許文献2】特許第2503929号公報
【特許文献3】特開平10−88527号公報
【特許文献4】特開2004−332278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そして、上記特許文献1〜3の従来技術では、上記摩擦力により衝撃エネルギーを吸収する構造、及び上記リング部材の変形より衝撃エネルギーを吸収するもので、いずれも衝撃吸収能力には限界がある。
【0010】
また、特許文献4では、圧縮コイルバネの強さを設定することにより、衝撃エネルギーの吸収量を設定調整することができるが、大きな衝撃を吸収するには、性能の高い圧縮コイルバネが必要になるため、バネ自体のコストが上昇することが予想される。
【0011】
そこで、本発明は、比較的簡易な構成により、大きな衝撃エネルギーを吸収することができる衝撃吸収体を提供することを目的とし、加えて、効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる衝撃吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、雪崩・落石等の衝撃力により引張力が加わる線材を防護体に設けた衝撃吸収体において、前記線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記防護体に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したものである。
【0013】
請求項2の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平方向の線材を設けた衝撃吸収体において、前記水平方向の線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記支柱に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したものである。
【0014】
請求項3の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を防護面で遮蔽した防護体を備え、前記防護体と地山とを線材で連結した衝撃吸収体において、前記線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記防護体に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したものである。
【0015】
また、請求項4の発明は、前記リング材が鋼製である。
【0016】
また、請求項5の発明は、前記線材に加わる張力により、前記両載荷面間で前記リング材を潰し、少なくとも一方の前記載荷面の前記リング材の直径方向における幅は、前記リング材の直径より狭いものである。
【0017】
また、請求項6の発明は、前記線材に加わる張力により、前記両載荷面間で前記リング材を潰し、前記リング材の直径方向における前記載荷面の幅は、潰された前記リング材の幅方向両側に発生する湾曲突部間の間隔より狭いものである。
【0018】
また、請求項7の発明は、前記線材は、対向する内面が当接するまで前記リング材が潰れても破断しない引張強度を有するものである。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項1記載の衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法であって、前記リング材の厚さ又は前記リング材の直径と前記載荷面の前記リング材の直径方向における幅とを調整してリング材の変形による衝撃エネルギー吸収量を調整する方法である。
【0020】
また、請求項9の発明は、前記線材が、対向する内面が当接するまで前記リング材が潰れても破断しない引張強度を有する方法である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の構成によれば、雪崩・落石等の衝撃力により、線材に引張力が加わると、両載荷面間が狭まり、リング材が押し潰され、このリング材の変形により衝撃エネルギーが吸収される。
【0022】
また、請求項2の構成によれば、雪崩・落石等の衝撃力により、水平方向の線材に引張力が加わると、両載荷面間が狭まり、リング材が押し潰され、このリング材の変形により衝撃エネルギーが吸収される。
【0023】
また、請求項3の構成によれば、雪崩・落石等の衝撃力により、防護体と地山とを連結する線材に引張力が加わると、両載荷面間が狭まり、リング材が押し潰され、このリング材の変形により衝撃エネルギーが吸収される。
【0024】
また、請求項4の構成によれば、部材が簡易で比較的安価なものとなる。
【0025】
また、請求項5の構成によれば、線材の引張力によりリング材を押し潰すと、リング材は対向する内面が当接する略∞状に変形するが、載荷面の幅がリング材の直径より狭いから、載荷面がその略∞状の湾曲突部を押し潰すことが無い。そして、略∞状に変形した後、その湾曲突部を押し潰すには、大きな力が必要であり、そのため線材の引張力が増大し、早期に線材が破断するが、載荷面の幅がリング材の直径より狭いから、線材の早期の破断を防止することができ、衝撃エネルギーの吸収効果に優れたものとなる。
【0026】
また、請求項6の構成によれば、載荷面の幅が、潰された前記リング材の幅方向両側に発生する湾曲突部間の間隔より狭いから、リング材は対向する内面が当接する略∞状に変形し、これにより引張力の上昇により線材が破断するまでの間、リング材に加わる力がほぼ一定或いは緩やかに上昇しながら該リング材が変形する範囲が大となり、これにより前記リング材に加わる力とリング材の変形量の積に相当する衝撃エネルギーの吸収量を大幅に増加することができる。
【0027】
また、請求項7の構成によれば、リング材が略∞状に潰れるまで、衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0028】
また、請求項8の構成によれば、載荷面の幅などを調整してリング材の変形条件を変更することにより、該リング材の変形による衝撃エネルギー吸収量を任意に設定することができる。
【0029】
また、請求項9の構成によれば、リング材が潰れるまで、衝撃エネルギーを吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法を採用することにより、従来にない衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法が得られ、その衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法について記述する。
【実施例1】
【0031】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1〜図16は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、衝撃吸収体である落石防護柵は、斜面Sあるいは斜面Sに並んでコンクリート基礎1を設け、このコンクリート基礎1に複数の支柱2…2Tを立設する。尚、2Tは端末の支柱である。前記支柱2,2Tは、H型鋼,コンクリート柱,鋼管あるいはコンクリート充填鋼管などからなり、この例では鋼管やH型鋼を用い、その下端を前記コンクリート基礎1に固着している。前記支柱2間には水平方向の線材たる水平ロープ材3,3が上下段に設けられ、この水平ロープ材3を係止する係止部4が前記支柱2に設けらている。
【0032】
図1〜図2に示すように、前記水平ロープ材3の端部3Tは、衝撃吸収装置11により端末の前記支柱2Tに連結され、この端末の支柱2Tは、ウエブ部5と両フランジ部6,6とを有するH型鋼から構成されている。前記衝撃吸収装置11は、鋼管などからなるリング材12と、このリング材12を外周両側から挟むように配置される載荷部材たる載荷板13,13と、それら載荷板13,リング材12及び載荷板13に挿通する前記端部3Tと、この端部3Tに設ける端末定着具14とを備える。前記係止部4は、水平ロープ材3を係止する係止用フックなどにより構成する。
【0033】
そして、この例では、前記衝撃吸収装置11を取り付ける箇所が前記ウエブ部5であり、このウエブ部5に貫通孔5Kを形成し、前記載荷板13,13のほぼ中心位置に貫通孔13K,13Kを形成し、また、前記リング材12には周方向に対向した位置に貫通孔12K,12Kをそれぞれ形成する。そして、この例では前記支柱2Tのウエブ部5が取付位置であり、前記端部3Tを、前記貫通孔5K,13K,12K,12K,13Kの順で挿通し、この挿通した端部3Tを前記端末定着具14により定着する。尚、端末定着具14は端末3Tにくさび作用などにより固定される公知のものである。そして、前記載荷板13,13のリング材12の外周に当接する側の面が、載荷面13M,13Mである。尚、図示しないが、水平ロープ材3には、端部3Tの他端側の端部に、同様に衝撃吸収装置11を設けてもよいし、前記他端側の端部を他の支柱2,2Tに固定するようにしてもよい。
【0034】
前記支柱2…2T間に、該2…2T間を遮蔽する防護面たる網体7が設けられており、この網体7は前記水平ロープ材3に掛止され、前記網体7と支柱2…2Tにより防護体である衝撃吸収柵8を構成している。
【0035】
前記載荷面13Mは、前記リング材12の長さ方向の幅とほぼ同一の幅を有し、又は大きな幅を有し、一方、リング材12の直径方向の幅Wは、該リング材12の直径D寸法より小さく、好ましくは、後述するように、対向する内面が当接するまで潰されたリング材12の湾曲状突部12D,12Dの間隔K寸法より小さく設定する。
【0036】
この載荷面Mの構成に係る実験を以下に説明する。
【0037】
図4に示すように、実験装置として、載荷装置101を用い、この載荷装置101は、固定プレート102側に荷重を計測する計測装置103を設け、可動プレート104を昇降する昇降部105と、固定プレート102と可動プレート104との間の変位量を測定するレーザー変位計106とを備え、前記固定プレート102と可動プレート104との間に、リング材に相当する鋼管リング111を直径方向に立てて挟み、可動プレート104を降下させ、鋼管リング111に加わる荷重と該鋼管リング111の変形量とを測定した。
【0038】
図5に示すように、鋼管リング111は、機械構造用炭素鋼鋼管(STKM13A)を用い、呼び径175で、外径φを190.7mm、厚さtを12mm、長さLを150mmとした。また、両プレート102,104の鋼管リング111直径方向の幅PLを、200mm、100mm,75mmの場合のそれぞれについて、加えた荷重P(kN)とその時の鋼管リング111の変位量δ(mm)の関係を測定し、図6〜図11のグラフ図に示した。尚、プレート102,104の幅は載荷面の幅に相当する。
【0039】
尚、実際の使用条件に合わせるため、鋼管リング111には、前記貫通孔13Kに相当する貫通孔111K,111Kがないものと、貫通孔111K,111Kがあるものとをそれぞれ用いて実験を行ない、貫通孔111Kの有る無しを「孔有」「孔無」のグラフ線としてグラフ図に記載した。また、グラフ図には、線材の破断強度の一例として、荷重P=157.0kNの位置に印をつけた。
【0040】
図12は、図6において、線材が破断する強度までに、鋼管リング111の変形により吸収する吸収エネルギーEの量をハッチングで示したものであり、引張荷重が157.0kNで線材が破断するから、この時の鋼管リング111の変形量δは87.54mmであり、吸収エネルギーEは10.0kJとなる。しかし、87.54mmの変形量δから先も鋼管リング111は変形するから、鋼管リング111の変形による衝撃吸収にロスが発生する。そこで、同図の「薄肉」に示すように、鋼管リング111の厚さtを12mmより薄くすれば、線材が破断するまでの変形量δは概算で140mm程度となるが、「薄肉」のグラフ線は勾配を有するため、このグラフ線と、線材が破断する荷重P=157.0kNの横線との間の面積がロスとなる。また、仮に線材の破断する荷重Pを300.0kNに上げれば、吸収エネルギーEは前記10.0kJより大きくなるが、実線のグラフ線と、荷重P=300.0kNの横線との間の面積がエネルギー吸収の上からロスとなり、線材の引張強度を大幅に上げ、コストも上昇する割りには効果が少ないことが分かる。
【0041】
一方、図13は、図11において、線材が破断する強度までに、鋼管リング111の変形により吸収する吸収エネルギーEの量をハッチングで示したものであり、上記図12と同様に、引張荷重が157.0kNで線材が破断するから、この時の鋼管リング111の変形量δは143.89mmであり、吸収エネルギーEは18.3kJとなり、図12の場合に比べて、変形量δの増加に伴い荷重Pの増加が緩やか或いはほぼ一定の割合が大きく、鋼管リング111の変形による衝撃吸収に優れることが分かる。
【0042】
次に、図14〜図16を用いて、上記のようにプレート102,104の幅PLの違いによる鋼管リング111の変形について説明する。尚、図14〜図16においては、(A)から(C)に向って鋼管リング111が潰れていく状態を示している。図14は、幅PLが200mmの場合の鋼管リング111の変形を示し、円形の状態から、図14(A)に示すように、プレート102,104の中央位置で鋼管リング111に凹みが生じ、この凹みの両側に湾曲状突部12D,12Dが発生する。ここからさらに鋼管リング111を図14(B)(C)のように押し潰すと、変形量δに対して荷重Pが増大し、図7に示したグラフとなる。一方、図15に示すように、幅PLが75mmの場合、円形の状態から、図15(A)に示すように、プレート102,104の中央位置で鋼管リング111に凹みが生じ、この凹みの両側に湾曲状突部12D,12Dが発生するが、プレート102,104は湾曲状突部12D,12Dの最大突出部分を押すことなく、図15(B)(C)のように湾曲状突部12D,12Dの間で鋼管リング111を押すため、変形量δの増加しても荷重Pの増加が緩やか或いはほぼ一定の割合が高く、鋼管リング111において対向する内面が当接するまでほぼ均一な力で変形させることができる。また、図16に示すように、幅PLが100mmの場合も、図15とほぼ同様に鋼管リング111が変形する。
【0043】
このように実験から、使用するリング材12の大きさ及び厚さ、載荷面13Mのリング材12の直径方向の幅W、線材である水平ロープ材3の引張強度等を設定することにより、リング材12の変形による吸収エネルギーが最大となるように設定することが可能となることが分かった。尚、図13を用いて補足説明すると、線材の破断強度に対応する荷重P=157.0kNと、リング材12の内径寸法との積に対応するエネルギーに対して、吸収エネルギーを50%以上、好ましくは60%以上とする。尚、前記リング材12の内径寸法は、リング材12の最大変位量である。
【0044】
そして、網体7に落石等により衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が発生し、端末定着具14が支柱2T側に移動し、載荷面13M,13Mによりリング材12が押し潰され、これにより衝撃エネルギーを吸収し、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れた後は、水平ロープ材2が伸び破断することにより衝撃エネルギーが吸収される。
【0045】
このように本実施例では、請求項1に対応して、雪崩・落石等の衝撃力により引張力が加わる線材たる水平ロープ材3を防護体たる衝撃吸収柵8に設けた衝撃吸収体において、水平ロープ材3の端部3Tに載荷面13Mを有する載荷部材たる載荷板13を設けると共に、衝撃吸収柵8の支柱2Tに載荷面13Mを設け、それら両載荷面13M,13M間にリング材12を挟んで配置したから、雪崩・落石等の衝撃力により、水平ロープ材3に引張力が加わると、両載荷面13M,13M間が狭まり、リング材12が押し潰され、このリング材12の変形により衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0046】
このように本実施例では、請求項2に対応して、所定の間隔で複数の支柱2…2Tを設け、支柱2…2T間に水平方向の線材たる水平ロープ材3を設けた衝撃吸収体において、水平ロープ材3の端部3Tに載荷面13Mを有する載荷部材たる載荷板13を設けると共に、支柱2Tに載荷面13Mを設け、それら両載荷面13M,13M間にリング材12を挟んで配置したから、雪崩・落石等の衝撃力により、水平ロープ材3に引張力が加わると、両載荷面13M,13M間が狭まり、リング材12が押し潰され、このリング材13の変形により衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0047】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、リング材12が鋼製であるから、部材が簡易で比較的安価なものとなる。
【0048】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、線材たる水平ロープ材3に加わる張力により、両載荷面13M,13M間でリング材12を潰し、少なくとも一方の載荷面13Mのリング材12の直径方向における幅Wは、リング材12の直径Dより狭いから、水平ロープ材3の引張力によりリング材12を押し潰すと、リング材12は対向する内面が当接する略∞状に変形するが、載荷面13M,13Mの幅Wがリング材12の直径Dより狭いから、載荷面13Mがその略∞状の湾曲突部12D,12Dを押し潰すことが無い。そして、略∞状に変形した後、その湾曲突部12D,12Dを押し潰すには、大きな力が必要であり、そのため水平ロープ材3の引張力が増大し、早期に水平ロープ材3が破断するが、載荷面13の幅Wがリング材12の直径Dより狭いから、水平ロープ材3の早期の破断を防止することができ、衝撃エネルギーの吸収効果に優れたものとなる。
【0049】
また、このように本実施例では、請求項6に対応して、線材たる水平ロープ材3に加わる張力により、両載荷面13M,13M間でリング材12を潰し、リング材12の直径方向における載荷面13Mの幅Wは、潰されたリング材12の幅方向両側に発生する湾曲突部12D,12D間の間隔Kより狭いから、リング材12は対向する内面が当接する略∞状に変形し、これにより引張力の上昇により水平ロープ材3が破断するまでの間、リング材12に加わる力がほぼ一定或いは緩やかに上昇しながら該リング材12が変形する範囲が大となり、これによりリング材12に加わる力とリング材12の変形量の積に相当する衝撃エネルギーの吸収量を大幅に増加することができる。
【0050】
また、このように本実施例では、請求項7に対応して、線材たる水平ロープ材3は、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れても破断しない引張強度を有するから、リング材12が略∞状に潰れるまで、衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0051】
また、このように本実施例では、請求項8に対応して、請求項1記載の衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法であって、リング材12の直径Dとリング材12の直径方向における載荷面13Mの幅Wとを調整してリング材12の変形による衝撃エネルギー吸収量を調整するから、載荷面13の幅Wなどを調整してリング材12の変形条件を変更することにより、該リング材12の変形による衝撃エネルギー吸収量を任意に設定することができる。
【0052】
また、このように本実施例では、請求項9に対応して、線材たる水平ロープ材3が、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れても破断しない引張強度を有するように設定したから、リング材12が潰れるまで、衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0053】
図17は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、支柱2,2Tの上部と、衝撃吸収柵8前方である地山の斜面Sとを線材である控えロープ材21で連結し、この控えロープ材21の前側の端部を前記斜面Sにアンカー部材22により固定し、その控えロープ材21の後側の端部21Tを前記衝撃吸収装置11により前記支柱2,2Tの上部に連結している。
【0054】
この例の衝撃吸収装置11では、前記支柱2,2Tを前後に貫通する貫通孔23を形成し、この前記支柱2,2Tの後側に載荷板13Aを配置し、この載荷板13Aの載荷面13Mは前記控えロープ材21の長さ方向と交差方向をなし、また、その載荷板13Aに形成した貫通孔13K及び前記貫通孔23は前記控えロープ材21の長さ方向に形成され、即ち斜めに形成されている。
【0055】
そして、前記端部21Tを、支柱2,2Tの前側から、前記貫通孔23,13K,12K,12K,13Kの順で挿通し、この挿通した端部21Tを前記端末定着具14により定着して衝撃吸収装置11が形成される。
【0056】
したがって、網体7や支柱2,2Tに落石等により衝撃力が加わり、支柱2,2Tが後方に倒れると、控えロープ材21に引張力が発生し、相対的に端末定着具14が支柱2,2側に近づくように移動し、載荷面13M,13Mによりリング材12が押し潰され、これにより衝撃エネルギーを吸収し、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れた後は、控えロープ材21が伸び破断することにより衝撃エネルギーが吸収される。
【0057】
このように本実施例では、請求項3に対応して、所定の間隔で複数の支柱2…2Tを設け、支柱2…2T間を防護面たる網体7で遮蔽した防護体たる衝撃吸収柵8を備え、衝撃吸収柵8と地山とを線材たる控えロープ材21で連結した衝撃吸収体において、控えロープ材21の端部21Tに載荷面13Mを有する載荷部材たる載荷板13を設けると共に、衝撃吸収柵に載荷面13Mを設け、それら両載荷面13M,13M間にリング材12を挟んで配置したから、雪崩・落石等の衝撃力により、衝撃吸収柵8と地山とを連結する控えロープ材21に引張力が加わると、両載荷面13M,13M間が狭まり、リング材12が押し潰され、このリング材12の変形により衝撃エネルギーを吸収することができ、この例では、線材が控えロープ材21であり、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0058】
図18は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、支柱2T側には載荷板を設けずに、支柱2Tのウエブ部5の外面5Gにより平坦な載荷面を構成しており、このように少なくとも一方の載荷面13Mと外面5Gの幅Wは、リング材12の直径Dより狭いから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0059】
図19は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、水平ロープ材3の端部3Tに、部材たる索端金具31を連結し、この索端金具31端部の鋼棒32の端部32Tを、衝撃吸収装置11により端末の前記支柱2Tに連結している。尚、前記端部32Tに雄螺子部を設け、この雄螺子部にダブルのナット33,33を螺合することにより定着している。
【0060】
このように本実施例では、線材たる水平ロープ材3の端部3T連結した部材である索端金具21に、載荷面13Mを有する載荷部材たる載荷板13を設けたから、各請求項に対応して、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0061】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、載荷面は平坦に限らず湾曲や凹凸のあるものでもよい。また、図20に示すように、前記係止部4を前記ウエブ部5に穿設した孔により構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1を示す衝撃吸収装置周りの断面図である。
【図2】同上、一部を断面にした全体正面図である。
【図3】同上、支柱の図面であり、図3(A)は平断面図、図3(B)は縦断面図である。
【図4】同上、載荷装置の正面図である。
【図5】同上、鋼管リングの斜視図である。
【図6】同上、孔無で、載荷面の幅が200mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図7】同上、孔有で、載荷面の幅が200mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図8】同上、孔無で、載荷面の幅が100mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図9】同上、孔有で、載荷面の幅が100mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図10】同上、孔無で、載荷面の幅が75mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図11】同上、孔有で、載荷面の幅が75mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図12】同上、孔有で、載荷面の幅が200mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図であり、吸収エネルギーEの量をハッチングで表している。
【図13】同上、孔有で、載荷面の幅が75mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図であり、吸収エネルギーEの量をハッチングで表している。
【図14】同上、載荷面の幅が200mmの場合の鋼管リングの変形を示す説明図である。
【図15】同上、載荷面の幅が75mmの場合の鋼管リングの変形を示す説明図である。
【図16】同上、載荷面の幅が100mmの場合の鋼管リングの変形を示す説明図である。
【図17】本発明の実施例2を示す側面図である。
【図18】本発明の実施例3を示す衝撃吸収装置周りの断面図である。
【図19】本発明の実施例4を示す衝撃吸収装置周りの断面図である。
【図20】係止部の変形例を示す支柱の平断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 コンクリート基礎
2 支柱
2T 端末の支柱
3 水平ロープ材(水平方向の線材)
3T 端部
5G 載荷面
7 網体(防護面)
8 衝撃吸収柵(防護体)
11 衝撃吸収装置
12 リング材
13 載荷板(載荷部材)
13M 載荷面
21 控えロープ材(線材)
21T 端部
31 索端金具(端部に連結した部材)
W 直径方向の幅
D 直径
K 間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪崩・落石等衝撃吸収柵などの衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、所定の間隔で支柱を設け、各支柱の間に水平ロープ材を水平方向のスライドを許容した状態で係留し、水平ロープの両端は固定し、各支柱間を水平ロープ材に掛止されたワイヤ製のネットで遮蔽し、各水平ロープ材の途上に水平ロープ材を重合させて形成した余長部と、余長部を一定の力で挟持する挟持具とにより、水平ロープ材に所定張力以上の張力が作用したとき、水平ロープ材が一定の摩擦力を保持したまま余長部が伸長して張力を吸収する緩衝部を設けた(例えば特許文献1)衝撃吸収柵があり、前記衝撃吸収柵の網面に作用する衝撃力が緩衝部の設定摩擦抵抗を越えると、水平ロープ材の途上に形成した緩衝部が耐えられず、ロープ材と挟持具との摺動の間で摺動を開始し、大きな衝撃力を受けてもループの縮径により効果的にエネルギーを吸収することができる。
【0003】
また、前記特許文献1には、雪崩・落石防止体と地山とを連結する支持用線材をループ状にして複数の線材が重なり合う重複部を形成し、その重複部を複数間隔をおいて設けられた締付部材により緊結し、前記支持用線材に加わる引張力によって前記ループ状部分の両側端が前記締付部材に係止しかつ締付部材が移動するものがある。
【0004】
また、ガードロープの他端部相互を重ね合わせて重複部を形成し、この重複部を複数間隔を置いて設けられた締付部材により緊結すると共に、前記締付部材に係止可能な端末突部を前記ガードロープの他端部の端部に設け、前記ガードロープに加わる引張力によって前記重複部の他端部相互が摩擦摺動するように構成(例えば特許文献2)している。
【0005】
さらに、支柱間に張り渡された保持ロープの中途に、同保持ロープに及んでくる衝撃エネルギーを吸収するためのブレーキ装置が設けてあり、このブレーキ装置が、重ね合わされた両端部を緊締部材によって固定したループ管を有しており、当該保持ロープがこのループ管内を通り、他方端部の管口からでて延びて(例えば特許文献3)おり、緊締部でのループ管重畳部の摩擦及びループ管と緊締部材との間の摩擦によりエネルギー吸収が行われる。
【0006】
このように上記3者の衝撃吸収柵等では、いずれも衝撃エネルギーを摩擦力により吸収するようにしている。
【0007】
一方、上記特許文献3では、網状体が多数のリング部材を、それぞれ隣り合うリング部材の内周側が接触するように相互に連結することによって構成されており、落石による衝撃を受けると、各リング部材が他のリング部材との係合箇所で外方に引張られ、例えば係合箇所が周全体で4箇所であれば、リング部材は矩形に変形し、このようにリング部材を変形させる力が衝撃吸収エネルギーとなり、リング部材の材質、鋼製線材の太さ、リング部材の直径を適宜選択することにより、吸収すべきエネルギーの大きさに簡単に対応させることができる。
【0008】
さらに、衝撃吸収に圧縮コイルバネを用いた防護装置(例えば特許文献4)があり、水平ロープ材の一端を圧縮ばね装置により支柱などの固定部に連結し、前記圧縮ばね装置は、圧縮コイルばねの長さ方向両側に、押え部たる押え板を配置し、これら押え板の孔及び圧縮コイルばねに可動杆を挿通し、網体に落石等により衝撃力が加わると、水平ロープ材33に引張力が発生し、可動杆が引張られて押え板が押え板に近づく方に移動し、圧縮コイルばねが圧縮され、これにより衝撃エネルギーが吸収される。
【特許文献1】特公平7−18134号公報
【特許文献2】特許第2503929号公報
【特許文献3】特開平10−88527号公報
【特許文献4】特開2004−332278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そして、上記特許文献1〜3の従来技術では、上記摩擦力により衝撃エネルギーを吸収する構造、及び上記リング部材の変形より衝撃エネルギーを吸収するもので、いずれも衝撃吸収能力には限界がある。
【0010】
また、特許文献4では、圧縮コイルバネの強さを設定することにより、衝撃エネルギーの吸収量を設定調整することができるが、大きな衝撃を吸収するには、性能の高い圧縮コイルバネが必要になるため、バネ自体のコストが上昇することが予想される。
【0011】
そこで、本発明は、比較的簡易な構成により、大きな衝撃エネルギーを吸収することができる衝撃吸収体を提供することを目的とし、加えて、効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる衝撃吸収体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、雪崩・落石等の衝撃力により引張力が加わる線材を防護体に設けた衝撃吸収体において、前記線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記防護体に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したものである。
【0013】
請求項2の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平方向の線材を設けた衝撃吸収体において、前記水平方向の線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記支柱に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したものである。
【0014】
請求項3の発明は、所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を防護面で遮蔽した防護体を備え、前記防護体と地山とを線材で連結した衝撃吸収体において、前記線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記防護体に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したものである。
【0015】
また、請求項4の発明は、前記リング材が鋼製である。
【0016】
また、請求項5の発明は、前記線材に加わる張力により、前記両載荷面間で前記リング材を潰し、少なくとも一方の前記載荷面の前記リング材の直径方向における幅は、前記リング材の直径より狭いものである。
【0017】
また、請求項6の発明は、前記線材に加わる張力により、前記両載荷面間で前記リング材を潰し、前記リング材の直径方向における前記載荷面の幅は、潰された前記リング材の幅方向両側に発生する湾曲突部間の間隔より狭いものである。
【0018】
また、請求項7の発明は、前記線材は、対向する内面が当接するまで前記リング材が潰れても破断しない引張強度を有するものである。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項1記載の衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法であって、前記リング材の厚さ又は前記リング材の直径と前記載荷面の前記リング材の直径方向における幅とを調整してリング材の変形による衝撃エネルギー吸収量を調整する方法である。
【0020】
また、請求項9の発明は、前記線材が、対向する内面が当接するまで前記リング材が潰れても破断しない引張強度を有する方法である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の構成によれば、雪崩・落石等の衝撃力により、線材に引張力が加わると、両載荷面間が狭まり、リング材が押し潰され、このリング材の変形により衝撃エネルギーが吸収される。
【0022】
また、請求項2の構成によれば、雪崩・落石等の衝撃力により、水平方向の線材に引張力が加わると、両載荷面間が狭まり、リング材が押し潰され、このリング材の変形により衝撃エネルギーが吸収される。
【0023】
また、請求項3の構成によれば、雪崩・落石等の衝撃力により、防護体と地山とを連結する線材に引張力が加わると、両載荷面間が狭まり、リング材が押し潰され、このリング材の変形により衝撃エネルギーが吸収される。
【0024】
また、請求項4の構成によれば、部材が簡易で比較的安価なものとなる。
【0025】
また、請求項5の構成によれば、線材の引張力によりリング材を押し潰すと、リング材は対向する内面が当接する略∞状に変形するが、載荷面の幅がリング材の直径より狭いから、載荷面がその略∞状の湾曲突部を押し潰すことが無い。そして、略∞状に変形した後、その湾曲突部を押し潰すには、大きな力が必要であり、そのため線材の引張力が増大し、早期に線材が破断するが、載荷面の幅がリング材の直径より狭いから、線材の早期の破断を防止することができ、衝撃エネルギーの吸収効果に優れたものとなる。
【0026】
また、請求項6の構成によれば、載荷面の幅が、潰された前記リング材の幅方向両側に発生する湾曲突部間の間隔より狭いから、リング材は対向する内面が当接する略∞状に変形し、これにより引張力の上昇により線材が破断するまでの間、リング材に加わる力がほぼ一定或いは緩やかに上昇しながら該リング材が変形する範囲が大となり、これにより前記リング材に加わる力とリング材の変形量の積に相当する衝撃エネルギーの吸収量を大幅に増加することができる。
【0027】
また、請求項7の構成によれば、リング材が略∞状に潰れるまで、衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0028】
また、請求項8の構成によれば、載荷面の幅などを調整してリング材の変形条件を変更することにより、該リング材の変形による衝撃エネルギー吸収量を任意に設定することができる。
【0029】
また、請求項9の構成によれば、リング材が潰れるまで、衝撃エネルギーを吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法を採用することにより、従来にない衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法が得られ、その衝撃吸収体とその衝撃エネルギー吸収量設定方法について記述する。
【実施例1】
【0031】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。図1〜図16は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、衝撃吸収体である落石防護柵は、斜面Sあるいは斜面Sに並んでコンクリート基礎1を設け、このコンクリート基礎1に複数の支柱2…2Tを立設する。尚、2Tは端末の支柱である。前記支柱2,2Tは、H型鋼,コンクリート柱,鋼管あるいはコンクリート充填鋼管などからなり、この例では鋼管やH型鋼を用い、その下端を前記コンクリート基礎1に固着している。前記支柱2間には水平方向の線材たる水平ロープ材3,3が上下段に設けられ、この水平ロープ材3を係止する係止部4が前記支柱2に設けらている。
【0032】
図1〜図2に示すように、前記水平ロープ材3の端部3Tは、衝撃吸収装置11により端末の前記支柱2Tに連結され、この端末の支柱2Tは、ウエブ部5と両フランジ部6,6とを有するH型鋼から構成されている。前記衝撃吸収装置11は、鋼管などからなるリング材12と、このリング材12を外周両側から挟むように配置される載荷部材たる載荷板13,13と、それら載荷板13,リング材12及び載荷板13に挿通する前記端部3Tと、この端部3Tに設ける端末定着具14とを備える。前記係止部4は、水平ロープ材3を係止する係止用フックなどにより構成する。
【0033】
そして、この例では、前記衝撃吸収装置11を取り付ける箇所が前記ウエブ部5であり、このウエブ部5に貫通孔5Kを形成し、前記載荷板13,13のほぼ中心位置に貫通孔13K,13Kを形成し、また、前記リング材12には周方向に対向した位置に貫通孔12K,12Kをそれぞれ形成する。そして、この例では前記支柱2Tのウエブ部5が取付位置であり、前記端部3Tを、前記貫通孔5K,13K,12K,12K,13Kの順で挿通し、この挿通した端部3Tを前記端末定着具14により定着する。尚、端末定着具14は端末3Tにくさび作用などにより固定される公知のものである。そして、前記載荷板13,13のリング材12の外周に当接する側の面が、載荷面13M,13Mである。尚、図示しないが、水平ロープ材3には、端部3Tの他端側の端部に、同様に衝撃吸収装置11を設けてもよいし、前記他端側の端部を他の支柱2,2Tに固定するようにしてもよい。
【0034】
前記支柱2…2T間に、該2…2T間を遮蔽する防護面たる網体7が設けられており、この網体7は前記水平ロープ材3に掛止され、前記網体7と支柱2…2Tにより防護体である衝撃吸収柵8を構成している。
【0035】
前記載荷面13Mは、前記リング材12の長さ方向の幅とほぼ同一の幅を有し、又は大きな幅を有し、一方、リング材12の直径方向の幅Wは、該リング材12の直径D寸法より小さく、好ましくは、後述するように、対向する内面が当接するまで潰されたリング材12の湾曲状突部12D,12Dの間隔K寸法より小さく設定する。
【0036】
この載荷面Mの構成に係る実験を以下に説明する。
【0037】
図4に示すように、実験装置として、載荷装置101を用い、この載荷装置101は、固定プレート102側に荷重を計測する計測装置103を設け、可動プレート104を昇降する昇降部105と、固定プレート102と可動プレート104との間の変位量を測定するレーザー変位計106とを備え、前記固定プレート102と可動プレート104との間に、リング材に相当する鋼管リング111を直径方向に立てて挟み、可動プレート104を降下させ、鋼管リング111に加わる荷重と該鋼管リング111の変形量とを測定した。
【0038】
図5に示すように、鋼管リング111は、機械構造用炭素鋼鋼管(STKM13A)を用い、呼び径175で、外径φを190.7mm、厚さtを12mm、長さLを150mmとした。また、両プレート102,104の鋼管リング111直径方向の幅PLを、200mm、100mm,75mmの場合のそれぞれについて、加えた荷重P(kN)とその時の鋼管リング111の変位量δ(mm)の関係を測定し、図6〜図11のグラフ図に示した。尚、プレート102,104の幅は載荷面の幅に相当する。
【0039】
尚、実際の使用条件に合わせるため、鋼管リング111には、前記貫通孔13Kに相当する貫通孔111K,111Kがないものと、貫通孔111K,111Kがあるものとをそれぞれ用いて実験を行ない、貫通孔111Kの有る無しを「孔有」「孔無」のグラフ線としてグラフ図に記載した。また、グラフ図には、線材の破断強度の一例として、荷重P=157.0kNの位置に印をつけた。
【0040】
図12は、図6において、線材が破断する強度までに、鋼管リング111の変形により吸収する吸収エネルギーEの量をハッチングで示したものであり、引張荷重が157.0kNで線材が破断するから、この時の鋼管リング111の変形量δは87.54mmであり、吸収エネルギーEは10.0kJとなる。しかし、87.54mmの変形量δから先も鋼管リング111は変形するから、鋼管リング111の変形による衝撃吸収にロスが発生する。そこで、同図の「薄肉」に示すように、鋼管リング111の厚さtを12mmより薄くすれば、線材が破断するまでの変形量δは概算で140mm程度となるが、「薄肉」のグラフ線は勾配を有するため、このグラフ線と、線材が破断する荷重P=157.0kNの横線との間の面積がロスとなる。また、仮に線材の破断する荷重Pを300.0kNに上げれば、吸収エネルギーEは前記10.0kJより大きくなるが、実線のグラフ線と、荷重P=300.0kNの横線との間の面積がエネルギー吸収の上からロスとなり、線材の引張強度を大幅に上げ、コストも上昇する割りには効果が少ないことが分かる。
【0041】
一方、図13は、図11において、線材が破断する強度までに、鋼管リング111の変形により吸収する吸収エネルギーEの量をハッチングで示したものであり、上記図12と同様に、引張荷重が157.0kNで線材が破断するから、この時の鋼管リング111の変形量δは143.89mmであり、吸収エネルギーEは18.3kJとなり、図12の場合に比べて、変形量δの増加に伴い荷重Pの増加が緩やか或いはほぼ一定の割合が大きく、鋼管リング111の変形による衝撃吸収に優れることが分かる。
【0042】
次に、図14〜図16を用いて、上記のようにプレート102,104の幅PLの違いによる鋼管リング111の変形について説明する。尚、図14〜図16においては、(A)から(C)に向って鋼管リング111が潰れていく状態を示している。図14は、幅PLが200mmの場合の鋼管リング111の変形を示し、円形の状態から、図14(A)に示すように、プレート102,104の中央位置で鋼管リング111に凹みが生じ、この凹みの両側に湾曲状突部12D,12Dが発生する。ここからさらに鋼管リング111を図14(B)(C)のように押し潰すと、変形量δに対して荷重Pが増大し、図7に示したグラフとなる。一方、図15に示すように、幅PLが75mmの場合、円形の状態から、図15(A)に示すように、プレート102,104の中央位置で鋼管リング111に凹みが生じ、この凹みの両側に湾曲状突部12D,12Dが発生するが、プレート102,104は湾曲状突部12D,12Dの最大突出部分を押すことなく、図15(B)(C)のように湾曲状突部12D,12Dの間で鋼管リング111を押すため、変形量δの増加しても荷重Pの増加が緩やか或いはほぼ一定の割合が高く、鋼管リング111において対向する内面が当接するまでほぼ均一な力で変形させることができる。また、図16に示すように、幅PLが100mmの場合も、図15とほぼ同様に鋼管リング111が変形する。
【0043】
このように実験から、使用するリング材12の大きさ及び厚さ、載荷面13Mのリング材12の直径方向の幅W、線材である水平ロープ材3の引張強度等を設定することにより、リング材12の変形による吸収エネルギーが最大となるように設定することが可能となることが分かった。尚、図13を用いて補足説明すると、線材の破断強度に対応する荷重P=157.0kNと、リング材12の内径寸法との積に対応するエネルギーに対して、吸収エネルギーを50%以上、好ましくは60%以上とする。尚、前記リング材12の内径寸法は、リング材12の最大変位量である。
【0044】
そして、網体7に落石等により衝撃力が加わると、水平ロープ材3に引張力が発生し、端末定着具14が支柱2T側に移動し、載荷面13M,13Mによりリング材12が押し潰され、これにより衝撃エネルギーを吸収し、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れた後は、水平ロープ材2が伸び破断することにより衝撃エネルギーが吸収される。
【0045】
このように本実施例では、請求項1に対応して、雪崩・落石等の衝撃力により引張力が加わる線材たる水平ロープ材3を防護体たる衝撃吸収柵8に設けた衝撃吸収体において、水平ロープ材3の端部3Tに載荷面13Mを有する載荷部材たる載荷板13を設けると共に、衝撃吸収柵8の支柱2Tに載荷面13Mを設け、それら両載荷面13M,13M間にリング材12を挟んで配置したから、雪崩・落石等の衝撃力により、水平ロープ材3に引張力が加わると、両載荷面13M,13M間が狭まり、リング材12が押し潰され、このリング材12の変形により衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0046】
このように本実施例では、請求項2に対応して、所定の間隔で複数の支柱2…2Tを設け、支柱2…2T間に水平方向の線材たる水平ロープ材3を設けた衝撃吸収体において、水平ロープ材3の端部3Tに載荷面13Mを有する載荷部材たる載荷板13を設けると共に、支柱2Tに載荷面13Mを設け、それら両載荷面13M,13M間にリング材12を挟んで配置したから、雪崩・落石等の衝撃力により、水平ロープ材3に引張力が加わると、両載荷面13M,13M間が狭まり、リング材12が押し潰され、このリング材13の変形により衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0047】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、リング材12が鋼製であるから、部材が簡易で比較的安価なものとなる。
【0048】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、線材たる水平ロープ材3に加わる張力により、両載荷面13M,13M間でリング材12を潰し、少なくとも一方の載荷面13Mのリング材12の直径方向における幅Wは、リング材12の直径Dより狭いから、水平ロープ材3の引張力によりリング材12を押し潰すと、リング材12は対向する内面が当接する略∞状に変形するが、載荷面13M,13Mの幅Wがリング材12の直径Dより狭いから、載荷面13Mがその略∞状の湾曲突部12D,12Dを押し潰すことが無い。そして、略∞状に変形した後、その湾曲突部12D,12Dを押し潰すには、大きな力が必要であり、そのため水平ロープ材3の引張力が増大し、早期に水平ロープ材3が破断するが、載荷面13の幅Wがリング材12の直径Dより狭いから、水平ロープ材3の早期の破断を防止することができ、衝撃エネルギーの吸収効果に優れたものとなる。
【0049】
また、このように本実施例では、請求項6に対応して、線材たる水平ロープ材3に加わる張力により、両載荷面13M,13M間でリング材12を潰し、リング材12の直径方向における載荷面13Mの幅Wは、潰されたリング材12の幅方向両側に発生する湾曲突部12D,12D間の間隔Kより狭いから、リング材12は対向する内面が当接する略∞状に変形し、これにより引張力の上昇により水平ロープ材3が破断するまでの間、リング材12に加わる力がほぼ一定或いは緩やかに上昇しながら該リング材12が変形する範囲が大となり、これによりリング材12に加わる力とリング材12の変形量の積に相当する衝撃エネルギーの吸収量を大幅に増加することができる。
【0050】
また、このように本実施例では、請求項7に対応して、線材たる水平ロープ材3は、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れても破断しない引張強度を有するから、リング材12が略∞状に潰れるまで、衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0051】
また、このように本実施例では、請求項8に対応して、請求項1記載の衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法であって、リング材12の直径Dとリング材12の直径方向における載荷面13Mの幅Wとを調整してリング材12の変形による衝撃エネルギー吸収量を調整するから、載荷面13の幅Wなどを調整してリング材12の変形条件を変更することにより、該リング材12の変形による衝撃エネルギー吸収量を任意に設定することができる。
【0052】
また、このように本実施例では、請求項9に対応して、線材たる水平ロープ材3が、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れても破断しない引張強度を有するように設定したから、リング材12が潰れるまで、衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0053】
図17は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、支柱2,2Tの上部と、衝撃吸収柵8前方である地山の斜面Sとを線材である控えロープ材21で連結し、この控えロープ材21の前側の端部を前記斜面Sにアンカー部材22により固定し、その控えロープ材21の後側の端部21Tを前記衝撃吸収装置11により前記支柱2,2Tの上部に連結している。
【0054】
この例の衝撃吸収装置11では、前記支柱2,2Tを前後に貫通する貫通孔23を形成し、この前記支柱2,2Tの後側に載荷板13Aを配置し、この載荷板13Aの載荷面13Mは前記控えロープ材21の長さ方向と交差方向をなし、また、その載荷板13Aに形成した貫通孔13K及び前記貫通孔23は前記控えロープ材21の長さ方向に形成され、即ち斜めに形成されている。
【0055】
そして、前記端部21Tを、支柱2,2Tの前側から、前記貫通孔23,13K,12K,12K,13Kの順で挿通し、この挿通した端部21Tを前記端末定着具14により定着して衝撃吸収装置11が形成される。
【0056】
したがって、網体7や支柱2,2Tに落石等により衝撃力が加わり、支柱2,2Tが後方に倒れると、控えロープ材21に引張力が発生し、相対的に端末定着具14が支柱2,2側に近づくように移動し、載荷面13M,13Mによりリング材12が押し潰され、これにより衝撃エネルギーを吸収し、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れた後は、控えロープ材21が伸び破断することにより衝撃エネルギーが吸収される。
【0057】
このように本実施例では、請求項3に対応して、所定の間隔で複数の支柱2…2Tを設け、支柱2…2T間を防護面たる網体7で遮蔽した防護体たる衝撃吸収柵8を備え、衝撃吸収柵8と地山とを線材たる控えロープ材21で連結した衝撃吸収体において、控えロープ材21の端部21Tに載荷面13Mを有する載荷部材たる載荷板13を設けると共に、衝撃吸収柵に載荷面13Mを設け、それら両載荷面13M,13M間にリング材12を挟んで配置したから、雪崩・落石等の衝撃力により、衝撃吸収柵8と地山とを連結する控えロープ材21に引張力が加わると、両載荷面13M,13M間が狭まり、リング材12が押し潰され、このリング材12の変形により衝撃エネルギーを吸収することができ、この例では、線材が控えロープ材21であり、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0058】
図18は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、支柱2T側には載荷板を設けずに、支柱2Tのウエブ部5の外面5Gにより平坦な載荷面を構成しており、このように少なくとも一方の載荷面13Mと外面5Gの幅Wは、リング材12の直径Dより狭いから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0059】
図19は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、水平ロープ材3の端部3Tに、部材たる索端金具31を連結し、この索端金具31端部の鋼棒32の端部32Tを、衝撃吸収装置11により端末の前記支柱2Tに連結している。尚、前記端部32Tに雄螺子部を設け、この雄螺子部にダブルのナット33,33を螺合することにより定着している。
【0060】
このように本実施例では、線材たる水平ロープ材3の端部3T連結した部材である索端金具21に、載荷面13Mを有する載荷部材たる載荷板13を設けたから、各請求項に対応して、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0061】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、載荷面は平坦に限らず湾曲や凹凸のあるものでもよい。また、図20に示すように、前記係止部4を前記ウエブ部5に穿設した孔により構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1を示す衝撃吸収装置周りの断面図である。
【図2】同上、一部を断面にした全体正面図である。
【図3】同上、支柱の図面であり、図3(A)は平断面図、図3(B)は縦断面図である。
【図4】同上、載荷装置の正面図である。
【図5】同上、鋼管リングの斜視図である。
【図6】同上、孔無で、載荷面の幅が200mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図7】同上、孔有で、載荷面の幅が200mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図8】同上、孔無で、載荷面の幅が100mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図9】同上、孔有で、載荷面の幅が100mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図10】同上、孔無で、載荷面の幅が75mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図11】同上、孔有で、載荷面の幅が75mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図である。
【図12】同上、孔有で、載荷面の幅が200mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図であり、吸収エネルギーEの量をハッチングで表している。
【図13】同上、孔有で、載荷面の幅が75mmの場合の荷重と変形量の関係を表すグラフ図であり、吸収エネルギーEの量をハッチングで表している。
【図14】同上、載荷面の幅が200mmの場合の鋼管リングの変形を示す説明図である。
【図15】同上、載荷面の幅が75mmの場合の鋼管リングの変形を示す説明図である。
【図16】同上、載荷面の幅が100mmの場合の鋼管リングの変形を示す説明図である。
【図17】本発明の実施例2を示す側面図である。
【図18】本発明の実施例3を示す衝撃吸収装置周りの断面図である。
【図19】本発明の実施例4を示す衝撃吸収装置周りの断面図である。
【図20】係止部の変形例を示す支柱の平断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 コンクリート基礎
2 支柱
2T 端末の支柱
3 水平ロープ材(水平方向の線材)
3T 端部
5G 載荷面
7 網体(防護面)
8 衝撃吸収柵(防護体)
11 衝撃吸収装置
12 リング材
13 載荷板(載荷部材)
13M 載荷面
21 控えロープ材(線材)
21T 端部
31 索端金具(端部に連結した部材)
W 直径方向の幅
D 直径
K 間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雪崩・落石等の衝撃力により引張力が加わる線材を防護体に設けた衝撃吸収体において、前記線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記防護体に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したことを特徴とする衝撃吸収体。
【請求項2】
所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平方向の線材を設けた衝撃吸収体において、前記水平方向の線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記支柱に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したことを特徴とする衝撃吸収体。
【請求項3】
所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を防護面で遮蔽した防護体を備え、前記防護体と地山とを線材で連結した衝撃吸収体において、前記線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記防護体に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したことを特徴とする衝撃吸収体。
【請求項4】
前記リング材が鋼製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項5】
前記線材に加わる張力により、前記両載荷面間で前記リング材を潰し、少なくとも一方の前記載荷面の前記リング材の直径方向における幅は、前記リング材の直径より狭いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項6】
前記線材に加わる張力により、前記両載荷面間で前記リング材を潰し、前記リング材の直径方向における前記載荷面の幅は、潰された前記リング材の幅方向両側に発生する湾曲突部間の間隔より狭いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項7】
前記線材は、対向する内面が当接するまで前記リング材が潰れても破断しない引張強度を有することを特徴とする請求項6記載の衝撃吸収体。
【請求項8】
請求項1記載の衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法であって、前記リング材の厚さ又は前記リング材の直径と前記載荷面の前記リング材の直径方向における幅とを調整してリング材の変形による衝撃エネルギー吸収量を調整することを特徴とする衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法。
【請求項9】
前記線材が、対向する内面が当接するまで前記リング材が潰れても破断しない引張強度を有するように設定したことを特徴とする請求項8記載の衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法。
【請求項1】
雪崩・落石等の衝撃力により引張力が加わる線材を防護体に設けた衝撃吸収体において、前記線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記防護体に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したことを特徴とする衝撃吸収体。
【請求項2】
所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間に水平方向の線材を設けた衝撃吸収体において、前記水平方向の線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記支柱に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したことを特徴とする衝撃吸収体。
【請求項3】
所定の間隔で複数の支柱を設け、前記支柱間を防護面で遮蔽した防護体を備え、前記防護体と地山とを線材で連結した衝撃吸収体において、前記線材の端部又は端部に連結した部材に載荷面を有する載荷部材を設けると共に、前記防護体に載荷面を設け、それら両載荷面間にリング材を挟んで配置したことを特徴とする衝撃吸収体。
【請求項4】
前記リング材が鋼製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項5】
前記線材に加わる張力により、前記両載荷面間で前記リング材を潰し、少なくとも一方の前記載荷面の前記リング材の直径方向における幅は、前記リング材の直径より狭いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項6】
前記線材に加わる張力により、前記両載荷面間で前記リング材を潰し、前記リング材の直径方向における前記載荷面の幅は、潰された前記リング材の幅方向両側に発生する湾曲突部間の間隔より狭いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項7】
前記線材は、対向する内面が当接するまで前記リング材が潰れても破断しない引張強度を有することを特徴とする請求項6記載の衝撃吸収体。
【請求項8】
請求項1記載の衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法であって、前記リング材の厚さ又は前記リング材の直径と前記載荷面の前記リング材の直径方向における幅とを調整してリング材の変形による衝撃エネルギー吸収量を調整することを特徴とする衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法。
【請求項9】
前記線材が、対向する内面が当接するまで前記リング材が潰れても破断しない引張強度を有するように設定したことを特徴とする請求項8記載の衝撃吸収体の衝撃エネルギー吸収量設定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−348634(P2006−348634A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177395(P2005−177395)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000228785)日本サミコン株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000228785)日本サミコン株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
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