説明

衝突エネルギー吸収材料およびこれを用いた衝突エネルギー吸収システム

【課題】物体との衝突において、物体の最大加速度または最大減速加速度が大幅に低減されうる衝突エネルギー吸収材料を提供する。
【解決手段】内部に閉空間が形成された複数のセルを接触させて配列した骨格構造と、前記複数のセルのうちの少なくとも一部に内包されるダイラタント流体と、前記骨格構造中に形成された、衝突時にダイラタント流体を前記閉空間の外に移動する機構と、を有する衝突エネルギー吸収材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車に設置されるものであって、衝突時に衝撃を受ける乗員または歩行者の保護のための衝突エネルギー吸収材料およびこれを用いた衝突エネルギー吸収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より自動車の衝突後に乗員に加わる慣性力によって、ステアリング、内装材など二次衝突する際のエネルギーを緩和する装置が知られている。例えば、発泡性高分子材料を用いたエネルギー吸収材料や、粒子、高分子ゴム、液体などを配合した衝突エネルギー吸収材料が提案されている。
【0003】
近年、更に、歩行者との衝突時における歩行者の下肢部の保護対策と両立させるようなエネルギー吸収材料が要望されている。このため、例えば、特許文献1に記載の衝撃吸収部材に関する発明では、バンパーフェースの裏に、中空状の材料を入れ、この材料の衝突による変形破壊を利用して、エネルギーを吸収する構造が提案されている。
【特許文献1】特開2004−114864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、衝突初期の衝撃加重を低減することはできるものの、その後衝撃吸収部材がある程度変形すると衝撃加重を低減する効果が小さくなり、最終的に最大加速度が非常に大きなものになるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、衝突の後半での加速度を大幅に低下させ、最大加速度または最大減速加速度を低減させうる衝突エネルギー吸収材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の衝突エネルギー吸収材料は、内部に閉空間が形成された複数のセルを接触させて配列した骨格構造と、これらの複数のセルのうちの少なくとも一部に内包されるダイラタント流体とを含む。さらに、骨格構造中には、衝突時にダイラタント流体を閉空間の外に移動する機構を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の衝突エネルギー吸収材料によれば、物体との衝突において歪が加わる方向の逆向きに応力を発生させることによって、物体の最大加速度または最大減速加速度を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した最良の実施形態を説明する。
【0009】
本発明の衝突エネルギー吸収材料は、内部に閉空間が形成された複数のセルを接触させて配列した骨格構造と、これらの複数のセルのうちの少なくとも一部に内包されるダイラタント流体とを含む。さらに、骨格構造中には、衝突時にダイラタント流体を閉空間の外に移動する機構を有する。
【0010】
図1は、本発明の衝突エネルギー吸収材料が、衝突などにより外部から応力を受けた際の変化の様子を模式的に示した図面である。
【0011】
図1に示すように、本発明の衝突エネルギー吸収材料1は、内部に閉空間が形成された複数のセルを含む骨格構造2にダイラタント流体3を内包し、骨格構造2においてはダイラタント流体を移動する機構4を有する。
【0012】
衝突エネルギー吸収材料1の骨格構造2に、例えば図1の太い矢印の方向から外部の物体が衝突した場合、応力が加わり、変形を起こす。その際、ダイラタント流体3には、高速の歪速度が加わり、ダイラタント流体3がダイラタンシー(歪速度硬化性)を示すため、粘度が非常に高くなり、歪が加わる方向の逆向きに応力が発生する。ただし、ダイラタント流体3が移動できなければ、このダイラタンシーが発現しないため、このダイラタント流体をセルの外に移動する機構4を設けることが必要となる。すなわち、ダイラタント流体を移動する機構4を介して、ダイラタント流体3がセルから骨格構造2の内部もしくは外部に、直接的にまたは他のダイラタント流体を移動する機構を介して関接的に流出しうる。
【0013】
したがって、本発明の衝突エネルギー吸収材料1を用いると、物体がある速度以上で衝突すると、内包されるダイラタント流体3は、ダイラタンシーを発現して、上記歪が加わる方向の逆向きに、従来の衝突エネルギー吸収材料に比べて大きな応力を発生する。したがって、衝突の初期において加速度が上昇し、速度が減じる。そのため、衝突の後期では物体の速度は十分に減じられており、従来の衝突エネルギー吸収材料の場合のような大きな減速加速度が生じることがなく、最大減速加速度を大幅に低減できる。
【0014】
前記ダイラタント流体を移動する機構4は、好ましくは、ダイラタント流体3が内包されるセル1個につき、少なくとも1つ存在する。ダイラタント流体3が内包されるセル1個につき2以上のダイラタント流体を移動する機構4が存在してもよい。ダイラタント流体3が内包されるセルごとに設置されるダイラタント流体を移動する機構4の数が異なっていてもよい。
【0015】
前記ダイラタント流体を移動する機構4は、例えば、連通部または脆弱部でありうる。連通部または脆弱部は、それぞれ複数設置されていてもよく、連通部と脆弱部とを組み合わせて設置されていてもよい。連通部は、骨格構造の一部に含まれる、流体が移動しうる開口部である。衝突の際、この連通部を通じて、ダイラタント流体が前記セルから、骨格構造の内部もしくは外部に直接的に、または他の連通部もしくは脆弱部を介して移動しうる。脆弱部は、他の部分に比べて衝撃によって破壊されやすい部分である。衝突が起こって、応力集中がされたダイラタント流体3を内包する骨格構造2内では、内部圧力が高まって、前記脆弱部に圧力が加わり、この部分が壊れ、連通する。これによってダイラタント流体3が、これを内包するセルから骨格構造2の内部もしくは外部に直接的に、または他の連通部もしくは脆弱部を介して流出しうる。
【0016】
前記骨格構造2は、内部にダイラタント流体3を含むことができる閉空間を有する、複数のセルを接触させて配列した構造であれば特に制限されない。例えば、中空部を有する三次元の格子状の構造が用いられうる。前記セル(単位格子)の形状やサイズも特に制限されない。好ましくは、図2に示すような、周期性を有するハニカム構造、ダイアモンド型構造、または三角状構造が用いられる。周期性を有する構造であれば、広い領域で均等な衝突エネルギー吸収性を有する衝突エネルギー吸収材料が得られ、骨格構造の作製も容易になる。また、ハニカム構造、ダイアモンド型構造、または三角状構造の構造体では、一定以上の衝突エネルギーでは、弾性体として働くが、ある一定以上の衝突エネルギーが加わると、衝撃を受けた中心部分のセルから除々に変形していくため、骨格構造として好適である。好ましくは、これらの構造のセルを高さ方向に3〜40段積層する。
【0017】
骨格構造2中に配置されるダイラタント流体を移動する機構の配置も特に制限されないが、ハニカム構造の骨格構造を用いた場合の連通部5および脆弱部6の好ましい配置のパターンを図3に示す。図3(a)の配置は、行のみが連通するパターンであり、図3(b)の配置は列のみ連通するパターンであり、図3(c)の配置は行および列が連通するパターン(ハイブリッド)である。これらのパターンの中で、衝突初期の加速度は、(a)の場合が大きく、次いで(c)の場合であり、(b)の場合が最も小さい。
【0018】
本発明の衝突エネルギー吸収材料は、衝突初期にハニカム構造の中央部から変形する。そのため、行のみ連通する(a)の場合は、この衝突初期につぶれる骨格構造部にのみ連通があるため、衝突時に、この骨格構造部をダイラタント流体が流動する。このため、ダイラタント流体に大きな歪速度が大きく加わるので、大きな粘度上昇が起こり、衝突初期の加速度が大きくなる。(c)の行、列連通(ハイブリッド)の場合では、衝突初期につぶれる骨格構造部以外にも連通しているために、ダイラタント流体がこのつぶれない骨格構造を介して流れるものもある。このため図3(c)の場合ではトータルのダイラタント流体の流動性が悪くなり、(a)の場合に比べると歪速度が小さくなるため、衝突初期の加速度が小さくなる。また、(b)の列のみ連通する場合では、衝突初期につぶれる骨格構造部間には連通がなく、衝突初期につぶれない構造骨格部を介して、全てのダイラタント流体が流動する。このため、更に小さな歪速度となるため、粘度上昇は小さくなり、衝突初期の加速度は更に小さくなる。
【0019】
前記骨格構造の材質は、例えば、樹脂、木材、紙、繊維等の高分子材料やアルミニウム、鉄、銅、銀、ニッケル、チタン等の金属材料あるいはセラミックス、ガラス、セメント等の無機材料から構成されている。また上記材料を複数組み合わせた材料でもよく、繊維強化金属、繊維強化プラスチック、FRP等のような複合材料でもよい。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、PC、ABS、PA、PPE及びこれらの共重合体などの熱可塑性樹脂が好ましく使用されうる。
この構造体における隣接する中空部のサイズ、肉厚、強度などは加わる衝撃の大きさによって適宜設計すればよい。好ましくは、中空部のサイズは、面内の最大2点間距離が5〜50mm程度である。
【0020】
前記骨格構造およびダイラタント流体を移動する機構の形成方法は特に制限されず、従来公知の方法を適宜使用することができる。例えば、複数の管材を溶接や熱処理などによって一体的に接合して作製することもできる。管材のほかに、重ね合わせ板材を用いてもよい。重ね合わせ板材は、プレス成形などによって予備成形した複数の板材を重ね合わせて、当該複数の板材をスポット溶接などにより一体的に成形した板材をいう。または、波状の板材を張り合わせる方法などが用いられうる。前記骨格構造にダイラタント流体を移動する機構を設ける手段も特に限定されない。例えば、あらかじめ上記管材などの側面の一部に薄肉部または開口部を形成してもよく、骨格構造を作製した後に開口部を形成してもよい。樹脂を用いる場合、射出成形法、押出成形法、インジェクションプレス法、熱プレス法、またはブロー成形法などで所望の形状に成形してもよい。または、前記骨格構造の一部をレーザ加熱することで開口部または薄肉部を形成することができる。
【0021】
本発明において、ダイラタント流体は、好ましくは粒子と液体とを含む複合材料である。これにより、衝突時の歪速度の高いときに、歪印加で粒子が凝集、高濃度化し、ダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることができ、衝撃を減速させながら衝突のエネルギーを吸収し、緩やかに底付きさせることができる。
【0022】
ここで、粒子の形状は特に制限されず、球状であっても針状であってもよいが、好ましくは、針状である。粒子が針状であれば、球状の粒子よりも表面エネルギーが大きいため、低い濃度で凝集が起こる。粒子のアスペクト比は、高いほど凝集しやすい傾向があり、また粒子直径が小さいほど凝集しやすい傾向にある。粒子のアスペクト比は、好ましくは5〜100、より好ましくは20〜100、さらに好ましくは50〜100である。粒子が球状である場合、粒子直径は、好ましくは5nm〜1000nm、より好ましくは5nm〜50nm、さらに好ましく5nm〜20nmである。粒子が針状である場合、断面直径は、好ましくは5nm〜1000nm、より好ましくは5nm〜20nm、さらに好ましくは5nm〜10nmである。球状粒子の粒子直径が1000nm以下、または針状粒子の断面直径が1000nm以下であれば、自動車の衝突において、乗員、歩行者が受ける歪速度である10〜10000(1/s)の範囲内で粒子の凝集を起こすことができる。球状粒子の粒子直径が5nm以上、または針状粒子の断面直径が5nm以上であれば、分散前に粒子が凝集することなく、安定に液体に分散させることができる。また、粒子直径5nm未満の粒子は極めて製造が困難で、実質的に製造が困難である。ここで、粒子のアスペクト比および粒子直径は、透過型電子顕微鏡で観察した100個の粒子の平均値を意味する。針状粒子の断面直径は、楕円状の断面の長径の最大値を意味する。アスペクト比は、長径の最大値と、短径方向の断面の長径および短径の平均値との比として求められる。
【0023】
粒子濃度は、粒子の直径、アスペクト比に依存するが、歪速度10〜10000(1/s)の範囲内で粒子が凝集を起こすためには、粒子濃度、粒子直径、およびアスペクト比は、概ね下記式を満たすことが好ましい。液体への分散安定性、およびの粒子濃度に従う凝集の度合いを考慮すると、粒子濃度は、液体、および粒子から構成される複合材料の体積に対して、好ましくは5〜40vol%、より好ましくは20〜40vol%である。
【0024】
【数1】

【0025】
粒子の材質に関しては、衝突時の歪速度の高いときに、硬くなることで衝突速度を低減しながら徐々に柔らかくなるのに適した材質からなる粒子であればよく、特に限定されない。例えば、アルミナ(ベーマイト(γアルミナ)、αアルミナなど)、シリカ、チタニア、ジルコニア、カルシア(酸化カルシウム)、炭酸カルシウムなどの粒子を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。直径(短軸径)5〜1000nm、アスペクト比5以上の針状形状の粒子を経済的に有利に得るためには、アルミナ粒子がもっとも相応しい。
【0026】
粒子の製造方法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の製造方法を用いることができる。
【0027】
具体的には、例えば、(1)特開2006−62905号公報に記載の製造方法のように、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nm、アスペクト比が5〜80であって、一般式Al・nHOで表されるアルミナ粒子の製造方法が挙げられる。この製造方法は、前記一般式においてn=1であり、前記アルミナ粒子がベーマイト(γアルミナ1水和物)であるものの製造に適する。更に、アルミナ粒子が内部に中空部を有するものに適した製造方法でもある。その工程は、以下の通りである。はじめに、アルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する。次いで前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第1の温度で第1の熱処理を施す。前記第1の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第1の熱処理における前記第1の温度よりも高い第2の温度で第2の熱処理を施す。前記第2の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第2の熱処理における前記第2の温度よりも低い第3の温度で第3の熱処理を施す。前記第3の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第4の温度で第4の熱処理を施す。
【0028】
あるいは、(2)特開2006−62905号公報に記載の他の製造方法のように、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nm、アスペクト比が5〜80であって、一般式Al・nHOで表されるアルミナ粒子の製造方法が挙げられる。この方法は、前記一般式においてn=0であり、前記アルミナ粒子がαアルミナであるものの製造に適したものである。更に、アルミナ粒子が内部に中空部を有するものに適した製造方法でもある。その工程は、以下の通りである。はじめにアルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する。次いで前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第1の温度で第1の熱処理を施す。前記第1の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第1の熱処理における前記第1の温度よりも高い第2の温度で第2の熱処理を施す。前記第2の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第2の熱処理における前記第2の温度よりも低い第3の温度で第3の熱処理を施す。前記第3の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第4の温度で第4の熱処理を施す。その後、前記第4の熱処理を経て得たベーマイト粒子に対して焼成処理を施す。
【0029】
液体は、粒子を安定的に分散させることおよび、環境温度に対して液体自体が変質、変態しないことが不可欠である。自動車用途としては、部位にもよるが−40℃〜90℃の温度域に対して、これらの特性を維持する必要がある。この点から、水系のものは使用が困難である。上述のアルミナ粒子、シリカ粒子などの粒子を安定的に分散する上で、エタノール、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、エチレングリコール等の液体が好ましく用いられうるが、火災、揮発の防止という観点では、エチレングリコールが最も適している。
【0030】
粒子の分散を安定させるための粒子の処方については既存の任意の手法を用いることができる。上述のアルミナ粒子、シリカ粒子いずれにおいても、粒子表面には水酸基を有しているため、水以外の液体には分散しにくい傾向があるが、リン酸、スルホン酸、カルボン酸などの有機酸による処理、またはシランカップリング剤による疎水化処理によって、エチレングリコールなどの有機溶媒に分散可能になる。なお、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸などの分散剤を加えてもよい。
【0031】
図4は、本発明に用いられうるダイラタント流体の歪速度−粘度の関係を示す図である。短軸長さ0.01μm、アスペクト比が10の針状のベーマイト粒子(30体積%)を液体であるエチレングリコール(70体積%)に混合してダイラタント流体を作製している。図4から、歪速度が1000(1/s)から2000(1/s)と大きくなると粘度が一桁増加することが分かる。
【0032】
さらに、本発明のダイラタント流体は、必要に応じて、粒子の凝集を補助するための繊維を含んでもよい。繊維の材質は特に制限されず、例えば、アラミド繊維、ナイロン(登録商標)繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維などの有機繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、金属繊維、炭素繊維などの無機繊維などが用いられうる。
【0033】
さらに必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤(例えばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類およびこれらの置換体)、他の添加剤、p−トルエンスルホン酸などの分散剤(分散安定剤)、水などの添加剤を適量配合してもよい。
【0034】
本発明の衝突エネルギー吸収材料は、骨格構造を形成するセル(単位格子)の全体にダイラタント流体を含んでもよく、一部のセルのみに含んでもよい。衝突の初期に応力が集中する領域に含まれるセルのみにダイラタント流体を配置してもよい。衝突の初期に応力が集中する領域に含まれるセルのみに前記ダイラタント流体を配置することで、高価なダイラタント流体の使用量を低減することができる。この場合であっても、骨格構造を形成するセルの全体に前記ダイラタント流体を内包した場合と比べて、最大加速度に大きな差は生じない。衝突の初期に応力が集中する部分は、例えば、図2に示すような骨格構造の側面から(矢印の方向)から物体が衝突した場合、骨格構造の中央部分(囲みの部分)である。この場合、前記ダイラタント流体を移動する機構は、ダイラタント流体を配置するセルの隔壁のみに設ければよい。
【0035】
前記骨格構造中のセルにダイラタント流体を充填する方法は、特に制限されず、圧入、含浸などの従来周知の方法によって行われうる。ダイラタント流体を充填した後、例えば熱融着、接着などの方法で封止することができる。
【0036】
次に、本発明は、前記衝突エネルギー吸収材料を封入した衝突エネルギー吸収部材を有する、衝突エネルギー吸収システムを提供する。特には、本発明の衝突エネルギー吸収システムは、自動車の前後に設置されうる。
【0037】
前記衝突エネルギー吸収部材を、運動している構造体の表面近傍に配置することで、他の物体に衝突した際にこの物体の最大加速度を大幅に低下させることができる。また、この物体が前記構造体に衝突した場合も、物体に加わる最大減速加速度を大幅に低下させることができる。
【0038】
前記衝突エネルギー吸収部材は、上記衝突エネルギー吸収部材を自動車の内装や外装に用いることで、乗員や歩行者の障害を低減できる衝突エネルギー吸収システム(自動車内装のピラーや外装のバンパーなど)を提供することができる。例えば、バンパーに適用した場合、歩行者の下肢の保護が可能になる。
【0039】
衝突エネルギー吸収材料を封入するのに用いられる封入容器の材質は、使用目的に応じて、適宜決定すればよい。例えば、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂製のシートや容器、金属と樹脂の多層シート(ラミネートシート)、アルミニウム等の金属製の容器などを用いることができる。これらは、衝突時に、内容物のダイラタント流体がダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることができるように、素早くかつ容易に変形するものを用いる必要がある。好ましくは、形状自由度が得られやすい材質のものを用いるのが望ましく、ポリエステル、ポリウレタンなどを好適に利用することができる。
【0040】
封入容器の厚さは、用いる材質の種類によって強度や変形のし易さなどが異なることから、一義的に規定するのは困難であり、事前に実施例に示すような実験を通じて、最適な厚さを決定すればよい。好ましくは、封入容器の厚さは4〜10mmであり、より好ましくは4〜8mmであり、さらに好ましくは4〜6mmである。封入容器の厚さが4mm以上あれば、形状保持性が優れるほか、衝突時に加わる衝撃で、容器が破損して内容物が漏出することなく、所望のダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることができる程度の適度な強度を保持することができる。一方、封入容器の厚さが10mm以下、好ましくは8mm以下、とりわけ6mm以下であれば、衝突エネルギー吸収部材全体の厚さを薄くすることができ、種々の適用先が選定できるようになる。
【0041】
封入容器の形状は、特に制限されるものではなく、使用目的に応じて適宜決定すればよい。適用部位に応じて、凹凸形状や湾曲形状を有するような封入容器を用いてもよい。
【実施例】
【0042】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術
的範囲が以下の実施例に示す形態のみに制限されるわけではない。
【0043】
なお、以下の実施例および比較例においては、テイエムテック社製の落下式衝撃試験機を用いて、60kgの落錘(直径30cm)を6.3mの高さから落下させた。11m/sの速度で衝突エネルギー吸収部材に衝突させ、落錘に設置したセンサを用いて変位および加速度を測定した。
【0044】
(実施例1)
図5(A)に示すように、ポリエチレン製の5行10列からなるハニカム構造の骨格構造(全体のサイズ:10cm×26.0×10.8cm)であって、行のみに連通部5および脆弱部6を設置した骨格構造2を準備した。図5(A)の矢印は落錘が衝突する方向を示す。単位格子(セル)のサイズは、一辺15mm、肉厚3mmであった。単位格子における連通部の幅は3mmであり、レーザ光を当て、熱を加えてポリエチレンに穴を開ける方法で作製した。単位格子における脆弱部の幅は3mmであり、脆弱部の肉厚は1.0mmであった。脆弱部は、レーザ光で熱を加え溶かしてポリエチレン表面を薄くしておく方法によって作製した。
【0045】
次に、短軸長さ0.01μm、長軸長さ0.1μmの針状のベーマイト粒子40体積%とエチレングリコール60体積%を混合し、ダイラタント流体を調製した。このダイラタント流体を上記の骨格構造の中空部分の全体にシリンジを用いて注入することによって含ませ、注入完了後シリンジ孔を熱融着で塞いだ。これを厚さ5mmの袋状のポリエステルシート封入し、封入体(衝突エネルギー吸収部材)を作製した。
【0046】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(A)に示す。
【0047】
(実施例2)
図5(B)に示すような配置で連結部5と脆弱部6とが設置されたハニカム構造の骨格構造2を用い、第2行〜第4行の単位格子にダイラタント流体を含ませたことを除いては実施例1と同様にして封入体を作製した。
【0048】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(B)に示す。
【0049】
(実施例3)
図5(C)に示すような骨格構造の列のみに連通部5と脆弱部6とを設置されたハニカム構造の骨格構造2を用いたことを除いては実施例1と同様にして封入体を作製した。
【0050】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(C)に示す。
【0051】
(実施例4)
図5(D)に示すような配置で連結部5と脆弱部6とが設置されたハニカム構造の骨格構造2を用い、第2行〜第4行の単位格子にダイラタント流体を含ませたことを除いては実施例1と同様にして封入体を作製した。
【0052】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(D)に示す。
【0053】
(実施例5)
図5(E)に示すような骨格構造の列のみに連通部5と脆弱部6を設置されたハニカム構造の骨格構造2を用いたことを除いては実施例1と同様にして封入体を作製した。
【0054】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(E)に示す。
【0055】
(実施例6)
図5(F)に示すような配置で連結部5と脆弱部6とが設置されたハニカム構造の骨格構造2を用い、第2行〜第4行の単位格子にダイラタント流体を含ませたことを除いては実施例1と同様にして封入体を作製した。
【0056】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(F)に示す。
【0057】
(実施例7)
図5(G)に示すように、実施例1と同様の材質のダイアモンド型構造の骨格構造(全体のサイズ:10cm×28.4cm×9.9cm)であって、行のみに連通部5と脆弱部6を設置した骨格構造2を準備した。図5(G)の矢印は落錘が衝突する方向を示す。単位格子のサイズは、一辺20mmであった。単位格子における連通部の幅、脆弱部の幅、および脆弱部の肉厚は実施例1と同様であった。この骨格構造を用いたことを除いては、実施例1と同様にして封入体を作製した。
【0058】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(G)に示す。
【0059】
(実施例8)
図5(H)に示すような配置で連結部5と脆弱部6とが設置されたダイアモンド型構造の骨格構造2を用い、第3行、第4行の単位格子にダイラタント流体を含ませたことを除いては実施例7と同様にして封入体を作製した。
【0060】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(H)に示す。
【0061】
(実施例9)
図5(I)に示すような骨格構造の列のみに連通部5と脆弱部6を設置されたダイアモンド型構造の骨格構造2を用いたことを除いては実施例7と同様にして封入体を作製した。
【0062】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(I)に示す。
【0063】
(実施例10)
図5(J)に示すような配置で連結部5と脆弱部6とが設置されたダイアモンド型構造の骨格構造2を用い、第2行〜第5行の単位格子にダイラタント流体を含ませたことを除いては実施例7と同様にして封入体を作製した。
【0064】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(J)に示す。
【0065】
(実施例11)
図5(K)に示すように、実施例1と同様の材質の三角状構造の骨格構造(全体のサイズ:10cm×28cm×10cm)であって、行のみに連通部5と脆弱部6を設置した骨格構造2を準備した。図5(K)の矢印は落錘が衝突する方向を示す。単位格子のサイズは、長辺28mm、短辺24.4mmであった。単位格子における連通部の幅、脆弱部の幅、および脆弱部の肉厚は実施例1と同様であった。この骨格構造を用いたことを除いては、実施例1と同様にして封入体を作製した。
【0066】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(K)に示す。
【0067】
(実施例12)
図5(L)に示すような配置で連結部5と脆弱部6とが設置された三角状構造の骨格構造2を用い、第2行〜第4行の単位格子にダイラタント流体を含ませたことを除いては実施例11と同様にして封入体を作製した。
【0068】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(L)に示す。
【0069】
(実施例13)
図5(M)に示すような骨格構造の列のみに連通部5と脆弱部6を設置された三角状構造の骨格構造2を用いたことを除いては実施例11と同様にして封入体を作製した。
【0070】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(M)に示す。
【0071】
(実施例14)
図5(N)に示すような配置で連結部5と脆弱部6とが設置された三角状構造の骨格構造2を用い、第2行〜第4行の単位格子にダイラタント流体を含ませたことを除いては実施例11と同様にして封入体を作製した。
【0072】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(N)に示す。
【0073】
(比較例1)
骨格構造体に連結部、脆弱部を設けていないこと、およびダイラタント流体を導入しなかったことを除いては実施例1と同様にして封入体を作製した。
【0074】
上記のような計測条件で加速度−変位の関係を求めた。結果を図6(O)に示す。
【0075】
実施例1〜14と比較例1の結果を比較すると、実施例1〜14のすべてにおいて、最大減速加速度は800〜1000m/s程度であり、1200m/s近くの値を示す比較例1に比べて20%以上低下していることが明らかになった。これは、実施例1〜14の衝突エネルギー吸収材料では、衝突時にダイラタンシーが発現して歪の加わる方向と逆向きに応力が発生するために衝突初期の加速度を上昇させ、衝突後期での底つきを抑えるためと考えられる。この際、衝突時に脆弱部が破壊され、破壊された脆弱部や連通部を通してダイラタント流体が移動するため、ダイラタンシーの発現が効果的に生じる。
【0076】
また、実施例1〜14の結果から、ハニカム構造、ダイアモンド型構造、三角状構造のいずれの骨格構造を用いた場合も良好な結果が得られることがわかった。実施例1、3、5、7、9、11、13と実施例2、4、6、8、10、12、14との比較から、衝突の初期に応力が集中する部分である中央部分にのみダイラタント流体を用いた場合も、全体に含ませた場合と同様の効果が得られることが明らかになった。
【0077】
(実施例15)
実施例1に示した衝突エネルギー吸収部材を自動車のフロントバンパーフェースの裏に配置して、バンパーを試作したところ、30〜40km/hの速度で衝突した際の最大減速加速度が800〜1000m/s程度であることが確認された。したがって、本発明の衝突エネルギー吸収材料は、衝突時における乗員や歩行者の保護のために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の衝突エネルギー吸収材料が、衝突などにより外部から応力を受けた際の変化の様子を表した模式図である。
【図2】本発明に用いられうる骨格構造の例を示す模式図である。
【図3】本発明に用いられうるハニカム構造の骨格構造に設置された連結部および脆弱部の配置の例を示す模式図である。
【図4】本発明に用いられうるダイラタント流体の歪速度−粘度の関係を表す図である。
【図5(A)】実施例1で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(B)】実施例2で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(C)】実施例3で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(D)】実施例4で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(E)】実施例5で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(F)】実施例6で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(G)】実施例7で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(H)】実施例8で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(I)】実施例9で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(J)】実施例10で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(K)】実施例11で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(L)】実施例12で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(M)】実施例13で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図5(N)】実施例14で作製された衝突エネルギー吸収材料に用いられた骨格構造の模式図である。
【図6(A)】実施例1で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(B)】実施例2で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(C)】実施例3で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(D)】実施例4で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(E)】実施例5で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(F)】実施例6で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(G)】実施例7で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(H)】実施例8で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(I)】実施例9で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(J)】実施例10で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(K)】実施例11で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(L)】実施例12で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(M)】実施例13で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(N)】実施例14で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【図6(O)】比較例1で作製された衝突エネルギー吸収材料の加速度−変位の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 衝突エネルギー吸収材料、
2 骨格構造、
3 ダイラタント流体、
4 ダイラタント流体を移動する機構、
5 連通部、
6 脆弱部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に閉空間が形成された複数のセルを接触させて配列した骨格構造と、
前記複数のセルのうちの少なくとも一部に内包されるダイラタント流体と、
前記骨格構造中に形成された、衝突時にダイラタント流体を前記閉空間の外に移動する機構と、
を有する衝突エネルギー吸収材料。
【請求項2】
前記ダイラタント流体を移動する機構は、連通部または脆弱部である、請求項1に記載の衝突エネルギー吸収材料。
【請求項3】
前記骨格構造は、周期性を有するハニカム構造、ダイアモンド型構造、または三角状構造である、請求項1または2に記載の衝突エネルギー吸収材料。
【請求項4】
前記ダイラタント流体は、粒子および液体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝突エネルギー吸収材料。
【請求項5】
前記ダイラタント流体は、前記複数のセルのうち、衝突の初期に応力が集中する領域に含まれるセルにのみに内包される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝突エネルギー吸収材料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の衝突エネルギー吸収材料を封入した衝突エネルギー吸収部材を有する衝突エネルギー吸収システム。
【請求項7】
前記衝突エネルギー吸収部材を自動車に搭載してなる、請求項6に記載の衝突エネルギー吸収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(A)】
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【図5(B)】
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【図5(C)】
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【図5(D)】
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【図5(E)】
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【図5(F)】
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【図5(G)】
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【図5(H)】
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【図5(I)】
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【図5(J)】
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【図5(K)】
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【図5(L)】
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【図5(M)】
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【図5(N)】
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【図6(A)】
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【図6(B)】
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【図6(C)】
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【図6(D)】
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【図6(E)】
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【図6(F)】
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【図6(G)】
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【図6(H)】
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【図6(I)】
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【図6(J)】
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【図6(K)】
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【図6(L)】
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【図6(M)】
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【図6(N)】
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【図6(O)】
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【公開番号】特開2010−91096(P2010−91096A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264481(P2008−264481)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】