説明

衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び衣料洗浄剤

【課題】 液体衣料洗浄剤への配合安定性が良好であり、洗濯時の水量が少なくても再汚染防止性能に優れる衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び前記衣料洗浄剤用再汚染防止剤を含有してなる衣料洗浄剤を提供する。
【解決手段】 フェノールノボラック樹脂(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)を含有してなる衣料洗浄剤用再汚染防止剤であって、アルキレンオキサイドが炭素数2〜4のアルキレンオキサイドであり、前記(A)におけるフェノールノボラック樹脂部分の重量比率が、(A)の重量に基づき10〜40重量%であり、オキシエチレン基部分の重量比率が60〜90重量%であり、他のオキシアルキレン基部分の重量比率が0〜20重量%である衣料洗浄剤用再汚染防止剤;及び前記衣料洗浄剤用再汚染防止剤を含有してなる衣料洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料洗浄剤用再汚染防止剤に関する。更に詳しくは、衣料用の液体洗浄剤用再汚染防止剤及びそれを含有してなる液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類の洗濯に使用される衣料洗浄剤として、液体衣料洗浄剤が頻繁に使用されている。液体衣料洗浄剤は、粉末衣料洗浄剤と比較して、水への溶解性が良好である、粉むせがない、汚れに直接塗布することで高い洗浄効果が得られるといった点で優れている。従来、粉末液体衣料洗浄剤に使用される再汚染防止剤としては、ポリエーテルに(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和単量体をグラフト重合したポリマー(特許文献−1参照)、不飽和カルボン酸や(メタ)アクリル酸エステルといった単量体を重合して得られるポリマー(特許文献−2参照)等が知られていて、これらを液体衣料洗浄剤用再汚染防止剤として用いることが試みられている。しかしながら、従来の粉末衣料洗浄剤用再汚染防止剤は、液体衣料洗浄剤に配合した時の配合安定性が悪いため、配合量を増やすことができないという問題がある。また、近年、節水や省エネ等の観点から、ドラム型洗濯機が使用されるようになってきたが、従来の縦型水槽洗濯機に比べて洗濯時の水量が少なく、従来の液体衣料洗浄剤用再汚染防止剤では、再汚染防止性能が不十分であり、再汚染が顕著に発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献−1】特開平7−53993号公報
【特許文献−2】特開平11−140488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、液体衣料洗浄剤への配合安定性が良好であり、洗濯時の水量が少なくても再汚染防止性能に優れる衣料洗浄剤用再汚染防止剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、フェノールノボラック樹脂(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)を含有してなる衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び前記衣料洗浄剤用再汚染防止剤を含有してなる衣料洗浄剤である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤は液体衣料洗浄剤への配合安定性が良好である。また、本発明の再汚染防止剤を含む液体衣料洗浄剤は再汚染防止性が良好であり、特に、少量の水で洗浄した場合においても優れた再汚染防止性を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明におけるフェノールノボラック樹脂(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)は、フェノール化合物とホルムアルデヒドを縮重合反応して得られたフェノールノボラック樹脂(a)に、アルキレンオキサイドを付加反応させたものが挙げられる。
【0008】
前記フェノール化合物としては、1価フェノール[フェノール、炭素数1〜12のアルキル基を有する1価フェノール(例えばo−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−アミルフェノール、p−t−ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール及びドデシルフェノール等)、及びフェニルフェノール類(例えばo−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール及びp−フェニルフェノール等)]及び2〜4価の多価フェノール(例えばレゾルシン、カテコール及びハイドロキノン等)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは1価フェノールであり、更に好ましいのは、フェノール、m−クレゾール及びp−クレゾールであり、特に好ましいのはフェノールである。
【0009】
前記ホルムアルデヒドとしては、パラホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド水溶液等が挙げられるが、好ましいのはパラホルムアルデヒドである。
【0010】
本発明におけるフェノールノボラック樹脂(a)は、通常の重縮合反応で製造することができ、例えば前記フェノール化合物及びホルムアルデヒドを反応容器に仕込み、酸触媒の存在下に反応温度120〜160℃で、重縮合反応で生成する水(以下、生成水と略記する。)を反応系外に徐去させながら、又は密閉下で反応を行う方法が挙げられる。反応時間は通常3〜20時間である。重縮合反応時の圧力は、生成水を反応系外に除去させながら反応を行う場合は0MPa以下、密閉下で反応を行う場合は0.5MPa以下が好ましい。フェノール化合物とホルムアルデヒドの反応モル比は、好ましいのは2:1〜6:5であり、更に好ましいのは3:2〜4:3である。酸触媒としては、無機酸(例えば塩酸、硫酸及びリン酸等)、有機酸(例えばシュウ酸、ギ酸、酢酸及びp−トルエンスルホン酸等)の有機酸が挙げられる。酸触媒の添加量は、フェノール化合物の重量に基づき、好ましいのは0.01〜1重量%である。また、金属製反応容器を使用する場合は、反応容器の腐食を抑制するために、次亜リン酸塩(例えば次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム及び次亜リン酸セシウム等)を添加してもよい。次亜リン酸塩の添加量は、酸触媒の重量に基づき、好ましいのは1〜75重量%である。重縮合反応終了後は触媒を中和し、吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。
【0011】
フェノールノボラック樹脂(a)の数平均分子量(以下、Mnと略記する。)は、再汚染防止性の観点から好ましいのは、200〜2,000であり、更に好ましいのは300〜1,000である。Mnは、ポリスチレンを標準としたゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0012】
本発明におけるアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド[エチレンオキサイド(以下、EOと略記する。)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する。)及びブチレンオキサイド]が挙げられる。これらのうち、再汚染防止性の観点から好ましいのは、EO及びPOであり、更に好ましいのはEOである。アルキレンオキサイドは、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合の付加形態はブロック付加でもランダム付加でもよく、好ましいのはブロック付加である。
【0013】
フェノールノボラック樹脂(a)にアルキレンオキサイドを付加する方法としては、例えば、フェノール化合物とホルムアルデヒドを前記方法で重縮合反応させて(a)を得た後、アルカリ触媒を加え、減圧下(10〜50mmHg)、100〜180℃で脱水を行い、反応系内の水分を0.1重量%以下とし、不活性気体(窒素等)で反応系内を置換後アルキレンオキサイドを付加反応させる方法が挙げられる。反応温度は通常100〜180℃であり、反応圧力は通常0.5MPa以下である。反応時間は通常2〜15時間であり、好ましいのは5〜12時間である。アルカリ触媒としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;トリメチルアミン及びトリエチルアミン等のアミン類が挙げられる。これらのうち好ましいのは、アルカリ金属水酸化物であり、更に好ましいのは水酸化カリウムである。アルカリ触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、重縮合反応時に使用する酸触媒を中和するのに必要な量及びアルキレンオキサイドを付加反応させることができる量を必要とし、(a)及びアルキレンオキサイドの合計重量に基づき、好ましいのは0.01〜0.5重量%であり、更に好ましいのは0.05〜0.3重量%である。
付加反応終了後は、アルカリ触媒を酸(例えば酢酸、乳酸及びリン酸等)で中和してもよいし、吸着剤{例えばKW−600[協和化学工業(株)製]等}を用いて吸着処理後ろ過してもよい。
【0014】
前記(A)におけるフェノールノボラック樹脂部分の重量比率は、再汚染防止性の観点から好ましいのは、(A)の重量に基づき10〜40重量%であり、更に好ましいのは15〜35重量%である。前記(A)におけるアルキレンオキサイドとしてEOを使用した場合には、オキシエチレン基部分の重量比率は、再汚染防止性の観点から好ましいのは、(A)の重量に基づき60〜90重量%であり、更に好ましいのは65〜85重量%である。前記(A)における他のオキシアルキレン基部分の重量比率は、再汚染防止性の観点から好ましいのは、(A)の重量に基づき0〜20重量%であり、更に好ましいのは0〜15重量%である。
【0015】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤は、必要により溶媒及び/又は公知の再汚染防止剤を含有してもよい。溶媒としては、水、一価アルコール(例えばメタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)及び二価アルコール(例えばエチレングリコール及びプロピレングリコール等)等が挙げられる。これらのうち、溶解性の観点から好ましいのは水である。溶媒の含有量は、前記(A)の全重量に基づき、好ましいのは5〜300重量%である。
公知の再汚染防止剤としては、ポリカルボン酸塩{例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸等の重合体[Mn=1,000〜100,000]とアルカリ(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン及びモノエタノールアミン等)との塩}、カルボキシメチルセルロース(Mn=10,000〜100,000)、ポリエチレングリコール(Mn=1,000〜100,000)及びポリビニルアルコール(Mn=1,000〜100,000)等が挙げられる。
公知の再汚染防止剤の含有量は、前記(A)の全重量に基づき、好ましいのは5〜300重量%である。
【0016】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤の性状は特に限定されないが、液状、ペースト状、粉末状、フレーク状及びブロック状等が挙げられる。これらのうち、取り扱い易さの観点から好ましいのは液状である。
【0017】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤は、前記(A)だけを含有する場合は、(A)を合成した後、溶媒に溶解する方法等により製造できる。
公知の再汚染防止剤を含有する場合、(A)[又は(A)の溶液(懸濁液又は乳化液)]と公知の再汚染防止剤{又は公知の再汚染防止剤の溶液(懸濁液又は乳化液)}とを均一混合することで製造できる。
【0018】
なお、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤は、本発明の衣料洗浄剤の構成成分として使用することも可能であるが、衣料洗浄剤に配合せずに、衣料洗浄剤とは別々に衣料の洗浄水に添加することも可能である。
【0019】
本発明の衣料洗浄剤は、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤を含有する衣料洗浄剤である。また本発明の再汚染防止剤の他に、公知の非イオン性、アニオン性、両性又はカチオン性界面活性剤(特開2004−27181号公報に記載のもの)等を含有する。これらの界面活性剤のうち、洗浄性の観点から好ましいのは、非イオン性界面活性剤(B)及びアニオン性界面活性剤(C)である。
【0020】
非イオン性界面活性剤(B)としては、アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤(B1)及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤(B2)等が挙げられる。
【0021】
(B1)としては、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)、アルキル(炭素数1〜12)フェノールEO付加物(付加モル数1〜30)、高級アミン(炭素数8〜22)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜40)、脂肪酸(炭素数8〜18)EO付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜60)、ポリプロピレングリコール(分子量200〜4,000)EO付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)、ポリオキシエチレン(繰り返し単位数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル並びにソルビタンモノラウレートEO付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)及びソルビタンモノオレートEO付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルEO付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等が挙げられる。
【0022】
(B2)としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル並びにラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【0023】
非イオン性界面活性剤(B)のうち、洗浄性の観点から好ましいのは、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)及び高級アミン(炭素数8〜22)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜40)である。
【0024】
アニオン性界面活性剤(C)としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸(塩)[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム等]、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。
【0025】
アニオン性界面活性剤(C)のうち、洗浄性の観点から好ましいのは、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸(塩)、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩である。
【0026】
本発明の衣料洗浄剤は、性状を液状又はぺースト状にするために、必要により水を含有してもよい。
【0027】
本発明の衣料洗浄剤は、必要により、公知のその他の成分、例えば特開2004−27181号公報に記載のビルダー、キレート剤、酵素、親水性溶媒、消泡剤、蛍光増白剤、漂白剤、柔軟剤、除菌剤、香料及び着色剤を含有してもよい。
【0028】
ビルダーとしては、ポリカルボン酸塩(アクリル酸塩ホモポリマー及びマレイン酸塩ホモポリマー等)、多価カルボン酸塩(クエン酸及びリンゴ酸等)、及びアルカリビルダー(苛性ソーダ、ソーダ灰、アンモニア、トリエタノールアミン、トリポリリン酸ソーダ及びケイ酸ソーダ等)等が挙げられる。キレート剤としては、EDTA及びNTA等が挙げられる。酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼ等が挙げられる。親水性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、ポリオキシアルキレン系消泡剤及び鉱物油系消泡剤等が挙げられる。
【0029】
本発明の衣料洗浄剤における本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤、界面活性剤、水及びその他の成分の含有量は以下の通りである。
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、再汚染防止性の観点から好ましいのは0.1〜5重量%であり、更に好ましいのは0.5〜5重量%であり、特に好ましいのは1〜5重量%である。
界面活性剤の含有量は、洗浄剤の全重量に基づいて、洗浄性の観点から好ましいのは95〜99.9重量%であり、更に好ましいのは95〜99.5重量%であり、特に好ましいのは95〜99重量%である。
水の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、好ましいのは1,000重量%以下であり、更に好ましいのは500重量%以下であり、特に好ましいのは100重量%以下である。
その他の成分のうち、ビルダー及びキレート剤の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、好ましいのは10重量%以下であり、更に好ましいのは5重量%以下である。蛍光増白剤、漂白剤、柔軟剤、酵素、除菌剤、香料、着色剤及び消泡剤の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、好ましいのは5重量%以下であり、更に好ましいのは2重量%以下である。親水性溶媒の含有量は、衣料洗浄剤の全重量に基づいて、好ましいのは20重量%以下であり、更に好ましいのは10重量%以下である。
【0030】
本発明の衣料洗浄剤の性状は特に限定されないが、液状、ペースト状、粉末状、フレーク状及びブロック状等が挙げられる。これらのうち、取り扱い易さの観点から好ましいのは液状である。
【0031】
本発明の衣料洗浄剤は、衣料洗浄剤の性状の違いにより、以下の方法を選択して製造することができる。
(1)衣料洗浄剤の性状が液状又はペースト状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び界面活性剤、更に必要により、水及び/又はその他の成分を投入順序に特に制限なく仕込み、10〜50℃で均一になるまで攪拌して製造する方法。
(2)衣料洗浄剤の性状が粉末状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び界面活性剤、更に必要により、水及び/又はその他の成分を投入順序に特に制限なく仕込み、10〜50℃で均一になるまで攪拌した後、噴霧乾燥器(例えば圧力噴霧ノズル型噴霧乾燥機、2流体噴霧ノズル型噴霧乾燥機及び回転円盤式噴霧乾燥機等)で噴霧乾燥する方法。
(3)衣料洗浄剤の性状が粉末状、フレーク状及びブロック状の場合
撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に、本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及び界面活性剤、更に必要により、その他の成分を投入順序に特に制限なく仕込み、30〜100℃で均一に溶融するまで攪拌した後、離型紙上に溶融物を取り出して室温まで冷却し、得られた固化物を粉砕機(例えば、ミルミキサー、ボールミル、ジェット粉砕機、コロイドミル及びホモジナイザー等)で適度な大きさ(粉状、フレーク状又はブロック状)に粉砕する方法。
【0032】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及びこれを含有してなる衣料洗浄剤は、天然繊維、化合繊繊維及びこれらの混紡交編織繊維の水洗浄に有用である。
【0033】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤の使用量は、洗浄する衣料の汚れの度合い等に従って任意に選択されるが、洗浄する衣料1kgあたり好ましいのは0.2mg〜2gであり、更に好ましいのは0.9mg〜1.5gであり、特に好ましいのは7mg〜1.2gである。
【0034】
本発明の衣料洗浄剤の使用量は、洗浄する衣料の汚れの度合い等に従って任意に選択されるが、洗浄する衣料1kgあたり好ましいのは1〜30gであり、更に好ましいのは5〜20gであり、特に好ましいのは10〜15gである。
【0035】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤又はこれを含有してなる衣料洗浄剤を用いて、衣料を洗浄(洗濯)するのに必要な水の使用量は、衣料1kgあたり1〜30L程度である。
【0036】
洗浄の温度は、適用する繊維の種類によって任意に選択できるが、好ましいのは5〜80℃であり、更に好ましいのは15〜50℃である。
【0037】
洗浄方法は特に制限はなく、家庭においては手洗い及び洗濯機等、産業界において(業務用として)は液流染色機によるバッチ処理及び連続精錬装置による連続処理等が適用できる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下において、部及び%は、特記しない限りそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0039】
フェノールノボラック樹脂のMnは、以下の条件によりGPCで測定した。
装置 : HLC−802A[東ソー(株)製]
カラム : TSK gel GMH6 2本
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量 : 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
標準 : ポリスチレン
【0040】
<製造例1>[フェノールノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(A−1)の合成]
撹拌器、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた金属製耐圧反応容器に、溶解したフェノール564部(6モル部)、92%パラホルムアルデヒド163部(5モル部)、p−トルエンスルホン酸0.35部及び次亜リン酸ナトリウム0.15部を仕込み、反応容器を密閉した後窒素置換を行い、撹拌下140℃まで昇温した。140℃で4時間重縮合反応を行い(圧力0.26MPa)、85℃まで冷却し圧力を0.01MPa以下とした後、水酸化カリウム0.85部を加え、減圧下(−0.1MPa)130℃で1時間脱水し、130℃〜170℃、圧力0.5MPa以下でEO1848部(42モル部)を約4時間かけて滴下した後、同温で2時間熟成した。室温まで冷却後、0.91部の乳酸で水酸化カリウムを中和し、フェノールノボラック樹脂(Mn=600)のアルキレンオキサイド付加物(A−1)を得た。(A−1)は、(A−1)におけるフェノールノボラック樹脂部分の重量比率が25.2%、オキシエチレン基部分の重量比率が74.8%である。
【0041】
<製造例2>[フェノールノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(A−2)の合成]
EO1848部をEO968部(22モル)に変更した以外は製造例1と同様にして、フェノールノボラック樹脂(Mn=600)のアルキレンオキサイド付加物(A−2)を得た。(A−2)はフェノールノボラック樹脂部分の重量比率が39.2%、オキシエチレン基部分の重量比率が60.8%である。
【0042】
<製造例3>[フェノールノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(A−3)の合成]
製造例1と同様の金属製耐圧反応容器に、溶解したフェノール564部(6モル部)、92%パラホルムアルデヒド163部(5モル部)、p−トルエンスルホン酸0.35部及び次亜リン酸ナトリウム0.15部を仕込み、反応容器を密閉した後窒素置換を行い、撹拌下140℃まで昇温した。140℃で4時間重縮合反応を行い(圧力0.26MPa)、85℃まで冷却し圧力を0.01MPa以下とした後、水酸化カリウム0.85部を加え、減圧下(−0.1MPa)130℃で1時間脱水し、130℃〜170℃、圧力0.5MPa以下でPO792部(18モル)を約4時間かけて滴下した後、同温で2時間熟成した。次いでEO4796部(109モル)を約4時間かけて滴下した後、同温で2時間熟成した。室温まで冷却後、0.91部の乳酸で水酸化カリウムを中和し、フェノールノボラック樹脂(Mn=600)のアルキレンオキサイド付加物(A−3)を得た。(A−3)はフェノールノボラック樹脂部分の重量比率が10.0%、オキシエチレン基部分の重量比率が77.3%、オキシプロピレン基部分の重量比率が12.7%である。
【0043】
<製造例4>[フェノールノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(A−4)の合成]
フェノール564部をm−クレゾール及びp−クレゾールの混合物(重量比=60:40)648部(6モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、フェノールノボラック樹脂(Mn=600)のアルキレンオキサイド付加物(A−4)を得た。(A−4)はフェノールノボラック樹脂部分の重量比率が27.7%、オキシエチレン基部分の重量比率が72.3%である。
【0044】
<製造例5>[フェノールノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(A−5)の合成]
フェノール564部をp−t−ブチルフェノール900部(6モル)に変更した以外は製造例1と同様にして、フェノールノボラック樹脂(Mn=600)のアルキレンオキサイド付加物(A−5)を得た。(A−5)はフェノールノボラック樹脂部分の重量比率が34.2%、オキシエチレン基部分の重量比率が65.8%である。
【0045】
<製造例6>[非イオン性界面活性剤(B−1)の合成]
撹拌器、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた加圧反応容器に、ステアリルアミン109部及び水酸化カリウム0.2部を仕込み、窒素置換後、減圧下(−0.1MPa)、120℃で1時間脱水を行った。次いで130℃に昇温し、圧力が0.5MPaを超えないように調整しながらEO267部を2時間かけて滴下し、更に同温で3時間熟成させ、非イオン性界面活性剤(B−1)[ステアリルアミン−(EO)15付加物]376部を得た。
【0046】
<製造例7>[アニオン性界面活性剤(C−1)の合成]
撹拌器、加熱冷却装置及び滴下漏斗を備えたガラス製反応容器に、ドデシルベンゼンスルホン酸「テイカパワーL−121」[固形分濃度20重量%、テイカ(株)製]100部を仕込み、攪拌下、20〜30℃でモノエタノールアミン3.7部を1時間かけて滴下し、更に同温で1時間攪拌し、アニオン性界面活性剤(C−1)[ドデシルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩(中和度:100モル%、固形分濃度22.9重量%)]103.7部を得た。
【0047】
<実施例1〜11及び比較例1〜3>
表1に記載した部数の衣料洗浄剤の各原料を、撹拌器及び温度調節機能を備えた混合槽に仕込み、20〜30℃で1時間攪拌して衣料洗浄剤(実施例1〜11及び比較例1〜3)を作製した。得られた衣料洗浄剤について下記方法により配合安定性、洗浄性及び再汚染防止性を評価し、結果を表1に示した。
なお、表1に記載の各原料は、以下のものを使用した。
ポリアクリル酸ナトリウム(Mn=10,000):キャリボンL−400[三洋化成工業(株)製]
酵素:プロテアーゼ「アルカラーゼ2.5L」[ノボノルディスクファーマ(株)製]
【0048】
<配合安定性>
実施例1〜11及び比較例1〜3の衣料洗浄剤を40℃の恒温槽に1カ月間静置後、外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:均一透明液状
△:わずかにかすみあり
×:二層に完全分離
【0049】
<洗浄性>
実施例1〜11及び比較例1〜3のいずれかの衣料洗浄剤0.6gを水999.4gに溶解させた水溶液に、表2の汚垢組成を有する湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会製)10枚を投入し、ターゴトメーター[大栄化学(株)製]を用いて以下の条件で洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン「GPS−222」[エスペック(株)製]を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。次いで、分光式色差計「SpectroPhotometer SD5000」[日本電色工業(株)製]を使用して、試験布の540nmの反射率を試験布1枚ごとに表裏1個所ずつ計2個所(試験布10枚で合計20個所)測定し、得られた反射率の平均値を求め、以下の式(1)にて洗浄率(%)を算出した。
(洗浄条件)
時間:10分、温度:25℃、回転速度:85rpm
(すすぎ条件)
時間:1分、温度:25℃、回転速度:85rpm
洗浄率(%)={(RW−RS)/(RI−RS)}×100 (1)
式(1)中、RIは清浄布(洗浄試験前の汚垢組成を有しない布)の反射率、RWは洗浄布(洗浄試験後の汚垢組成を有する布)の反射率、RSは汚染布(洗浄試験前の汚垢組成を有する布)の反射率を示す。
また、使用した人工汚染布は、表2の汚垢組成を有する湿式人工汚染布[540nmにおける反射率が40±5%、財団法人洗濯科学協会製]である。
【0050】
<再汚染防止性>
実施例1〜11及び比較例1〜3のいずれかの衣料洗浄剤0.3gを水499.7gに溶解させた水溶液に、予め下記測定法で反射率を測定した布[綿金巾3号(JIS L0803−1980)]を10cm×10cmに裁断したもの20枚、社団法人油化学協会指定のカーボンブラック(財団法人洗濯科学協会製)0.04gを投入し、ターゴトメーター[大栄化学(株)製]を用いて以下の条件で洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン「GPS−222」[エスペック(株)製]を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。次いで、分光式色差計[SpectroPhotometer SD5000][日本電色工業(株)製]を使用して、試験布の540nmにおける反射率を試験布1枚ごとに表裏2個所ずつ計4個所(試験布20枚で合計80個所)測定し、得られた反射率の平均値を求め、以下の式(2)にて再汚染防止率(%)を算出した。
(洗浄条件)
時間:10分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(すすぎ条件)
時間:1分、温度:25℃、回転速度:120rpm
再汚染防止率(%)=100−[(RI−RS)/RI]×100 (2)
式(2)中、RIは清浄布(洗浄試験前の布)の反射率、RSは試験布(洗浄試験後の布)の反射率を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
表1に示した通り、本発明の衣料洗浄剤(実施例1〜11)は、比較例1〜3に比べて、配合安定性、洗浄性及び再汚染防止性に優れる結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の衣料洗浄剤用再汚染防止剤及びこれを含有してなる衣料洗浄剤は、液体衣料洗浄剤への配合安定性が良好であり、再汚染防止性及び洗浄性に優れるため、天然繊維、化合繊繊維及びこれらの混紡交編織繊維の水洗浄に有用であり、従来の縦型水槽洗濯機用としてだけでなく、繊維量に比べて洗濯中の水量が比較的少ないことが多いドラム型洗濯機等の洗濯機用として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノールノボラック樹脂(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)を含有してなる衣料洗浄剤用再汚染防止剤。
【請求項2】
前記アルキレンオキサイドが炭素数2〜4のアルキレンオキサイドである請求項1記載の衣料洗浄剤用再汚染防止剤。
【請求項3】
前記(A)におけるフェノールノボラック樹脂部分の重量比率が、(A)の重量に基づき10〜40重量%であり、オキシエチレン基部分の重量比率が60〜90重量%であり、他のオキシアルキレン基部分の重量比率が0〜20重量%である請求項1又は2記載の衣料洗浄剤用再汚染防止剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の衣料洗浄剤用再汚染防止剤を含有してなる衣料洗浄剤。

【公開番号】特開2011−42716(P2011−42716A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190572(P2009−190572)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】