説明

衣料用液体洗浄剤

【課題】
洗濯機中で大過剰の水に希釈して用いる衣料用洗浄剤において、低濃度の抗菌剤濃度においても高い抗菌活性を有し、しかも他の抗菌剤を併用しなくてもグラム陰性菌や真菌に抗菌効果を有する衣料用洗浄剤を提供する。
【解決手段】
ビグアニド化合物(a)を0.05質量%以上、1質量%未満、炭素数8〜18の炭化水素基と平均付加モル数5〜20のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤(b1)、アルキル基の炭素数が8〜16であり平均縮合度が1〜2のアルキルグリコシド型界面活性剤(b2)、炭素数8〜18の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤(b3)、から選ばれる1種以上の界面活性剤(b)を2質量%以上、50質量%未満、含有し、(a)成分/(b)成分=1/20〜1/500の質量比である衣料用液体洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣料用液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビグアニド化合物を抗菌剤として含有する液体洗浄剤の技術はすでに知られており、特許文献1及び2を参考にすることができる。また、これら特許文献には非イオン界面活性剤などの界面活性剤との併用も記載されている。
【特許文献1】特開昭62−132806号公報、
【特許文献2】特開2004−203818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
室内干し時の生乾き臭や汗臭を防止する目的から衣料用液体洗浄剤に抗菌効果を付与することが行われており、4級アンモニウム型抗菌剤等が主に使用されている。また、4級アンモニウム塩型抗菌剤は、洗浄液中で抗菌効果を発現するためには10ppm以上の濃度が必要である。一方、衣料用洗浄剤は洗濯機中で大過剰の水に希釈して用いられるため、洗浄液に好ましい抗菌作用を発現する抗菌剤の濃度を得るためには、洗浄剤中の抗菌剤の濃度を高める必要があり、不経済であるばかりか、洗浄剤中の他の配合成分を圧迫し、配合設計上の自由度が低下するという問題がある。このため洗浄液中の濃度が低くても高い抗菌効果を付与できる技術が求められる。
【0004】
一方、ビグアニド化合物は抗菌活性を有することは知られているが、抗菌効果が低く、またグラム陰性菌や真菌には抗菌効果が弱いなど抗菌スペクトルが狭いという問題がある。このため特許文献1では4級アンモニウム化合物などの他の抗菌剤と併用する技術が開示されている。また、特許文献2では殺菌洗浄剤やトイレ用抗菌防臭処理剤に応用する技術が開示されており、非イオン界面活性剤が洗浄成分として用いられている。しかしながら、ビグアニド化合物は低濃度では抗菌効果がほとんどなく、これら公報に記載されている使用方法の全てにおいてビグアニド化合物は1ppm以上の濃度で使用されており、一般的にもビグアニド化合物を抗菌剤として用いる場合には使用時のビグアニド化合物濃度は高く設定される。従って、上記先行技術に記載されているように、ビグアニド化合物は大過剰の水に希釈することを行わない硬質表面用の用途に用いられており、洗濯機中で大過剰の水に希釈して用いる衣料用洗浄剤にビグアニド型抗菌剤を応用することはできなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、洗濯機中で大過剰の水に希釈して用いる衣料用洗浄剤において、低濃度の抗菌剤濃度においても高い抗菌活性を有し、しかも他の抗菌剤を併用しなくてもグラム陰性菌や真菌に抗菌効果を有する衣料用液体洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ビグアニド化合物(a)〔以下、(a)成分という〕を0.05質量%以上、1質量%未満、炭素数8〜18の炭化水素基と平均付加モル数5〜20のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤(b1)、アルキル基の炭素数が8〜16であり平均縮合度が1〜2のアルキルグリコシド型界面活性剤(b2)、炭素数8〜18の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤(b3)、から選ばれる1種以上の界面活性剤(b)〔以下、(b)成分という〕を2質量%以上、50質量%未満含有し、(a)成分/(b)成分=1/20〜1/500の質量比である衣料用液体洗浄剤に関する。
【0007】
また、本発明は、上記本発明の衣料用液体洗浄剤を、(a)成分の濃度が0.05ppm〜5ppmになるように水で希釈して洗浄する、衣料の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低濃度の抗菌剤濃度においても高い抗菌活性を有し、しかも他の抗菌剤を併用しなくてもグラム陰性菌や真菌に抗菌効果を有する衣料用液体洗浄剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、抗菌性ビグアニド化合物であることが好ましい。ここで抗菌性ビグアニド化合物とは、分子中に下記一般式(1)の構造を有する部位が1つ以上有する抗菌活性を有する化合物である。
【0010】
【化2】

【0011】
特に、下記一般式(2)のポリアルキレンビグアニド化合物が好適である。
【0012】
【化3】

【0013】
〔式中R2aは炭素数2〜8のアルキレン基、好ましくは4〜8のアルキレン基、特にヘキサメチレン基、nは2〜14、好ましくは10〜14、より好ましくは11〜13、特に12が最も好ましい。HYは有機酸又は無機酸を示し、好ましくは塩酸、グルコン酸、酢酸が好適であり、特に塩酸が最も好ましい。〕
【0014】
一般式(2)のビグアニド系化合物は、市販のものを用いてもよいが、公知の方法、例えば英国特許第702268号等に記載の方法を用いて製造されたものを用いてもよい。
【0015】
本発明の方法に係るビグアニド化合物としては、一般式(2)の化合物以外にビス−ビグアニド化合物を用いることもできる。具体的には1,2−ビス−(N5−p−クロロフェニル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−ニトロフェニル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−ヒドロキシフェニル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−クロロベンジル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−ブロモフェニル−N5−ヘキシル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−クロロフェニル−N5−2−エチルフェニル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−クロロフェニル−N5−エチル−N1−ビグアニド)−エタン、1,2−ビス−(N5−p−メトキシフェニル−N1−ビグアニド)−エタンなどを用いることができる。
【0016】
本発明に係る抗菌性ビグアニド化合物としては、低濃度における抗菌活性の点から一般式(2)においてR2aがヘキサメチレン基であり、nが10〜14のポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩が最も好適である。
【0017】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、炭素数8〜18の炭化水素基と平均付加モル数5〜20のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤(b1)〔以下、(b1)成分という〕、アルキル基の炭素数が8〜16であり平均縮合度が1〜2のアルキルグリコシド型界面活性剤(b2)〔以下、(b2)成分という〕、炭素数8〜18の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤(b3)〔以下、(b3)成分という〕から選ばれる1種以上の界面活性剤である。
【0018】
(b1)成分のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤としては、下記一般式(3)の化合物(b11)〔以下、(b11)成分という〕及び下記一般式(4)の化合物(b12)〔以下、(b12)成分という〕が好適である。
【0019】
3a−(OC24p−OH (3)
4a−[(OC24q/(OC36r]−OH (4)
【0020】
〔式中R3a、R4aは、炭素数8〜18、好ましくは10〜14のアルキル基であり、pは5〜20、好ましくは5〜15、特に好ましくは5〜10である。qは0〜20、好ましくは0.5〜5、特に好ましくは0.5〜3であり、rは1〜20であり、q+rは5〜20、好ましくは5〜15、特に好ましくは7〜15である。なお、p、q、rは平均付加モル数である。また、一般式(3)における(OC24)と(OC36)の配列は、ブロックでもランダムでもよい。〕
【0021】
(b12)成分である一般式(4)の化合物のなかでも洗浄力及び(a)成分の低濃度における抗菌効果発現の点から、下記一般式(4−1)の化合物が好適である。
【0022】
4a−(OC24s(OC36t(OC24u−OH (4−1)
【0023】
〔式中R4aは上述と同一の意味であり、s>0、t=1〜4、u>0、s+t+u=6〜14、s+u=5〜12である。好ましくはs+t+u=7〜14、s+u=6〜12、t=1〜2である。尚、ブロック重合された化合物である。〕
【0024】
(b2)成分のアルキルグリコシド型界面活性剤としては下記一般式(5)の化合物が好ましい。
【0025】
5a−(OR5b)vGw (5)
〔式中、R5aは炭素数8〜16の直鎖アルキル基であり、R5bは、炭素数2〜4のアルキレン基である。Gは還元糖に由来する基を示す。vは平均付加モル数であり0〜5の数を示し、wは平均縮合度であり1〜2の数を示す。〕
【0026】
一般式(5)においてR5aは炭素数8〜14の直鎖アルキル基が好適であり、特に好ましくは炭素数10〜14の直鎖アルキル基である。また、vは好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2、特に好ましくは0である。R5bはエチレン基が好ましい。
【0027】
一般式(5)において、Gは還元糖に由来する基であり、より具体的にはグリコシド基が挙げられる。原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が3〜6個のトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明ではこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく、中でもグルコースが最も好ましい。
【0028】
一般式(5)中、wは糖の平均縮合度を示し、好ましくは1〜2、特に1〜1.5が良好である。
【0029】
一般式(5)の化合物は、上記糖とR5a−(OR5b)v−OHとを酸触媒を用いてアセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。また、アセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
【0030】
(b3)成分の化合物としては下記一般式(6)の化合物が好適である。
【0031】
【化4】

【0032】
〔式中、R6aは炭素数8〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R6bは炭素数1〜6のアルキレン基であり、Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−から選ばれる基である。xは0又は1の数であり、R6c、R6dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。〕
【0033】
一般式(6)において、低濃度における抗菌活性向上効果の点から、R6aは好ましくは炭素数10〜14のアルキル基が好適であり、xは0が好ましく、R6c、R6dはメチル基が好ましい。
【0034】
本発明では(b)成分として(b1)成分が低濃度における抗菌効果の点から好ましく、特に一般式(4)の(b12)成分が好ましく、最も好適には一般式(4−1)の化合物である。
【0035】
<衣料用液体洗浄剤>
本発明者らは、(a)成分が単独では抗菌効果が低いか全く示さない低濃度において、(a)成分に対して大過剰の(b)成分を併用することにより、(a)成分の抗菌効果を著しく改善し得ることを見出した。
【0036】
すなわち、本発明では、(a)成分/(b)成分=1/20〜1/500、好ましくは1/50〜1/500の質量比とすることで、(a)成分が単独では抗菌効果が低いか全く抗菌効果を示さない低濃度においても、優れた抗菌効果を得ることができる。
【0037】
一般に抗菌性ビグアニド化合物は界面活性作用を有するため、比較的高濃度で使用する場合には会合体を形成し、これが抗菌作用を有するものと推定される。一方希薄溶液では、抗菌性ビグアニド化合物は会合体を形成せずに、水溶液に均一に溶解しているため、抗菌活性を示さないか、あるいは満足できる抗菌活性を得ることができないと考えられる。
【0038】
本発明では、抗菌性ビグアニド化合物に対して特定質量比の特定の界面活性剤を併用することにより、該特定の界面活性剤のミセル中あるいはミセル近傍に抗菌性ビグアニド化合物がある程度濃縮されるため、低濃度においても抗菌性ビグアニド化合物は抗菌活性を示すものと推察される。また該特定の界面活性剤が菌の細胞壁に作用して、抗菌性ビグアニド化合物の浸透性を高めその効果を助長するため、抗菌スペクトルを広げることができるものと推察される。
【0039】
本発明において(b)成分として(b11)成分を採用する場合には、(a)成分/(b11)成分の質量比は1/30〜1/500が好ましく、より好ましくは1/40〜1/500、特に好ましくは1/50〜1/500である。また、(b12)成分を採用する場合には(a)成分/(b12)成分の質量比は1/20〜1/500が好ましく、より好ましくは1/20〜1/400であり、特に好ましくは1/20〜1/300である。(b)成分として(b2)成分を採用する場合には(a)成分/(b2)成分の質量比は1/30〜1/500が好ましく、より好ましくは1/40〜1/400であり、特に好ましくは1/50〜1/400であり、(b3)成分を採用する場合には(a)成分/(b3)との質量比は1/30〜1/500が好ましく、より好ましくは1/40〜1/500であり、特に好ましくは1/50〜1/400である。
【0040】
本発明の衣料用液体洗浄剤には(a)成分を0.05質量%以上、1質量%未満、好ましくは0.1質量%以上、1質量%未満、特に0.1質量%以上、0.5質量%未満が好ましい。また、(b)を2質量%以上、50質量%未満、好ましくは10質量%以上、50質量%未満である。
【0041】
本発明の衣料用液体洗浄剤は(a)成分、及び(b)成分を水に溶解又は分散させた液体組成物の形態が好適であり、水に存在する微量の金属成分を除去したイオン交換水や蒸留水、もしくは次亜塩素酸塩や塩素で滅菌した滅菌水などを用いることができる。
【0042】
本発明の衣料用液体洗浄剤の20℃におけるpHは7〜12、更に8〜11であることが好ましい。pH調整剤としてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、等のアルカリ剤を配合することが好ましく、中でも炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩が洗浄性能の点で好ましい。これらのアルカリ剤は洗浄剤中に0.5〜30質量%含有されることが好ましく、1〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%が更に好ましい。また、pHの微調整に酸剤を併用することも可能であり、塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤を使用することができる。
【0043】
<その他成分>
本発明の衣料用液体洗浄剤には(b)成分以外の界面活性剤を併用することができるが、(a)成分の効果を考慮してその配合量を決めることが望まれる。特に陰イオン界面活性剤は(a)成分の効果を低下させるため、その含有量は、洗浄剤中に5質量%以下、好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。なお、ここでいう陰イオン界面活性剤とは、分子中に炭素数8〜18の炭化水素基を1つ以上とスルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸エステル塩を1つ以上有し、アンモニウム基を有さない化合物である。
【0044】
陽イオン界面活性剤は(a)成分の効果を増強することができるため含有することが好適である。好ましい陽イオン界面活性剤としては下記一般式(7)の化合物が好適である。
【0045】
【化5】

【0046】
〔式中R7aは炭素数8〜18の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、R7bは炭素数2又は3のアルキレン基であり、R7cは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又はR7a−[E−R7b]y−である。Eは−COO−、−CONH−から選ばれる基であり、yは0又は1の数であり、R7d、R7eは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基である。Z-は陰イオンを示し、好ましくはハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステルイオンが好適である。〕
【0047】
具体的には(i)炭素数10〜18のジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、(ii)炭素数14〜18のN,N−ジアルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、(iii)炭素数14〜18のN,N−ジアルカノイルオキシエチル−N−ヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウム・エチル硫酸エステル、(iv)炭素数8〜12のN−アルキル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、(v)N−アルカノイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、から選ばれる1種以上が好適である。
【0048】
本発明に陽イオン界面活性剤を併用する場合には、(a)成分の効果を妨げない程度であり、好適には洗浄剤中に0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
【0049】
本発明の衣料用液体洗浄剤には上記成分以外に、(1)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はその塩、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はその塩、更にポリアクリル酸、ポリマレイン酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体若しくはその塩、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体若しくはその塩、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマー等といった有機多価カルボン酸及び/又はその塩0.01〜10質量%、(2)エタノール等のアルコール類、エチレングリコール及びプロピレングリコール等のグリコール類、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)並びに尿素等の減粘剤及び可溶化剤0.01〜30質量%、(3)ポリオキシアルキレンベンジルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル等の相調整剤及び洗浄力向上剤0.01〜30質量%、(4)平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物等の再汚染防止剤及び分散剤0.01〜10質量%、(5)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤0.01〜10質量%、(6)過炭酸ナトリウム又は過硼酸ナトリウム等の漂白剤0.01〜10質量%、(7)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6−316700号の一般式(I−2)〜(I−7)で示される漂白活性化剤等の漂白活性化剤0.01〜10質量%、(8)チノパールCBS(チバスペシャルティケミカルス(株)製)やホワイテックスSA(住友化学社製)等の蛍光染料0.001〜1質量%、(9)特開平10−60480号公報の請求項1記載のシリコーン等の柔軟基剤0.1〜2質量%、(10)シリカ等の消泡剤0.01〜2質量%、(11)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤0.01〜2質量%、(12)青味付け剤、(13)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素、(14)塩化カルシウム、硫酸カルシウム、ギ酸、ホウ酸(ホウ素化合物)等の酵素安定化剤、(15)香料、(16)その他の抗菌防腐剤、(17)着色剤等を配合することができる。
【0050】
<洗浄方法>
本発明の衣料用洗浄剤は、大過剰の水に希釈して衣料の洗浄に供される。希釈する水の量は、希釈液中の(a)成分の濃度が0.05ppm〜5ppm、好ましくは0.1〜4ppmになる量であり、このような(a)成分の濃度において有効に本発明の効果を得ることが可能である。具体的には本発明の衣料用洗浄剤1質量部に対して1000質量部〜10000質量部、好適には1000質量部〜5000質量部の水に希釈して使用する。また、洗浄する衣料1000質量部に対して、本発明の洗浄剤を1〜20質量部、好適には5〜15質量部の割合が好ましい。さらに、希釈液中の(b)成分の濃度は2〜500ppm、好適には50〜400ppmが洗浄力及び抗菌効果の点から好ましい。
【0051】
本発明ではこのような希釈液を用いて、洗濯機で洗浄することができ、好適には希釈液の温度が5〜40℃、好ましくは10〜30℃であり、該温度で5〜20分、好ましくは5〜15分洗浄することである。洗浄後は通常のすすぎ/脱水を行い、自然乾燥もしくは回転式加熱乾燥装置で乾燥される。
【実施例】
【0052】
表1に示す衣料用液体洗浄剤を調製した。該衣料用液体洗浄剤20gを30リットルの水道水に溶解させた溶液Aの抗菌性を、下記の方法により評価し、その結果を表1に併記した。なお、該溶液A中の(a)成分の濃度は、実施例1〜3、及び比較例1では0.7ppmであり、比較例2では20ppmである。
【0053】
<抗菌性の評価>
供試菌として大腸菌(Escherichia coli:IFO3972)と黄色ブドウ球菌(Staphyloccus aureus:IFO12732)を用いる。IFO3972とIFO12732は大阪市淀川区十三本町二丁目17番85号在の財団法人発酵研究所に寄託され、入手できる。
【0054】
溶液A0.9ml中に、106個/mlの細菌浮遊液0.1mlを加えてよく混合した後、30℃で4時間放置する。放置後、この混合液を0.1ml採取して0.9mlのSCDLP培地中に加えて充分に混合して抗菌剤の菌への影響を低下させ、次いでこの混合液の原液及び生理食塩水によって10倍、100倍に希釈した溶液をSCDLP寒天培地上に0.1mlずつ塗布し、大腸菌は37℃で24時間、黄色ブドウ球菌は37℃で48時間培養する。培養後に育成したコロニー数を数える。溶液Aに代えて滅菌イオン交換水にて同様の試験を行った結果をブランクとし、ブランクとの菌数差を以下の基準によって点数化し、抗菌性能の評価とした。なお抗菌試験は同じ洗浄剤についてそれぞれ5回ずつ行い、それぞれの評価点数の平均値を抗菌性の評価とした。
【0055】
*抗菌性の評価基準
5点:菌数がブランクの1/1000未満に減少
4点:菌数がブランクの1/1000以上〜1/100未満に減少
3点:菌数がブランクの1/100以上〜1/10未満に減少
2点:菌数がブランクの1/10以上〜1/1未満に減少
1点:菌数がブランクと同数、もしくはブランクよりも増加
【0056】
【表1】

【0057】
・ビグアニド化合物;ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩(アビシア(株)製)(平均nモル数は、10である。)
・界面活性剤B1:エチレンオキサイド(以下EO)の平均付加モル数10、プロピレンオキサイド(以下PO)の平均付加モル数2であり、それらのモル比がEO/PO/EO=7/2/3となるようにブロック型に付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基は炭素数12と14の混合物でその重量比は7/3)
・界面活性剤B2:アルキルポリグルコシド(マイドール12、花王(株)製、直鎖アルキル基の炭素数が12と14の混合物、糖平均縮合度1.2(縮合度1と2の混合物))
・界面活性剤B3:ドデシルジメチルアミンオキシド(アンヒトール20N、花王(株)製)
・カチオン界面活性剤;N−デシル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド
・LAS;炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・ES;EO平均付加モル数2.0のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム
・ポリアクリル酸ナトリウム;重量平均分子量8000
・ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル:EO平均付加モル数3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビグアニド化合物(a)を0.05質量%以上、1質量%未満、炭素数8〜18の炭化水素基と平均付加モル数5〜20のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤(b1)、アルキル基の炭素数が8〜16であり平均縮合度が1〜2のアルキルグリコシド型界面活性剤(b2)、炭素数8〜18の炭化水素基を1つ有するアミンオキシド型界面活性剤(b3)、から選ばれる1種以上の界面活性剤(b)を2質量%以上、50質量%未満含有し、(a)成分/(b)成分=1/20〜1/500の質量比である衣料用液体洗浄剤。
【請求項2】
上記ビグアニド化合物が、下記一般式(1)の構造を有する化合物である請求項1記載の衣料用液体洗浄剤。
【化1】

【請求項3】
請求項1又は2記載の衣料用液体洗浄剤を、(a)成分の濃度が0.05ppm〜5ppmになるように水で希釈して洗浄する、衣料の洗浄方法。

【公開番号】特開2006−160822(P2006−160822A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351089(P2004−351089)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】