説明

衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材、衣料、アクセサリー、及び、インテリア用品

【課題】従来よりも高い装飾性を有する衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材を提供する。
【解決手段】銅または銅合金フィラメントからなる糸のリボン状編織体から構成されている衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、部分的に、かつ、視認できる大きさで着色されている衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種衣服と組み合わせて用い、あるいは、アクセサリーやインテリアなどの素材として用いることができる衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、金属繊維からなるリボンが賦形性に富み、衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材として好適に用いることができることを非特許文献1で開示している。
【0003】
さらに、実用新案登録第3138721号公報(特許文献1)において、銅または銅合金フィラメントと有機紐状体からなる複合糸から構成された防寒衣料用の織編物を提案している。
【0004】
これら素材はいずれも賦形性に富み、充分な装飾性を有するものであったが、さらに高い装飾性が求められるようになった。
【特許文献1】実用新案登録第3138721号公報
【非特許文献1】「イタリア生まれの金属繊維のリボン フリーメタリコのアクセサリー」、大石美貴世(本願発明者である大石光貴世の筆名)著 2006年4月10日 株式会社ブティック社発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、従来よりも高い装飾性を有する衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、部分的に、かつ、視認できる大きさで色づけを行うことで、賦形時の立体感をさらに強調することができることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、銅または銅合金フィラメントからなる糸のリボン状編織体から構成されている衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、部分的に、かつ、視認できる大きさで着色されていることを特徴とする衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材である。
【0008】
また、本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、上記糸が、銅または銅合金フィラメントと有機紐状体とを引き揃えてなる複合糸であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、上記銅または銅合金フィラメントの直径が、3μm以上30μm以下であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、上記有機紐状体が、有機フィラメント糸であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は、請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、上記リボン状編織体が、編物であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は、請求項6に記載の通り、請求項5に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、上記編物が、筒状編物であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の衣料は、請求項7に記載の通り、上記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材からなることを特徴とする衣料である。
【0014】
また、本発明のアクセサリーは、請求項8に記載の通り、上記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材からなることを特徴とするアクセサリーである。
【0015】
また、本発明のインテリア用品は、請求項8に記載の通り、上記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材からなることを特徴とするインテリアである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材によれば、その賦形性を活用して立体状の形状にしたときに、その立体感が強調され、従来では得られなかった意匠性を得ることができるので、衣服やアクセサリーの部分、あるいはこれらを構成したときに、かつてない新規な印象を観察者に与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明では銅または銅合金繊維としてフィラメント(長繊維)であることが必要である。短繊維糸を用いた場合にはその脱落が生じやすく、また、着用者の肌に違和感を引き起こすおそれがあり、また、充分な賦形性が得られない。銅合金としては真鍮、丹銅などが挙げられる。
【0018】
銅繊維には、銀などのめっきや、ラッカーなどによる被覆がなされていると、緑青などによる周囲の汚染を予め防止することができる。
【0019】
本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は、部分的に、かつ、視認できる大きさで着色されていることが必要である。
【0020】
着色の色は特に制限がなく、通常の色や金属色などを適宜選択でき、1色でも複数色でも良い。ただ、より高い立体感が得られるので、無着色部分よりも濃色(暗色)であることが好ましい。
【0021】
本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、全体が同じ色で着色されていると、立体感が得られないので、その一部が例えば50cm〜1m離れた位置からも視認できる大きさ、例えば2mm以上1cm以下となるように着色されていることが望ましい。着色の形状としては丸や多角形、雲状などの抽象的な模様が適宜選択され、あるいは、例えばリボン状編織体を均一に拡げた場合に、人や動物の顔や、特定の文字(例えば製造者名称)、あるいは、記号として認識されるような模様を選択しても良く、上記抽象的な模様と組み合わせても良い。
【0022】
さらにそれぞれの模様の中心部の色がその周囲に比べて濃くなるようにされていると立体感がより強調されるので良い。
【0023】
これら模様の配置は、規則的であっても、また、不規則なものであっても良い。また、これら着色部分は本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材の全面に形成されていても、また、一部(例えば片面)だけに設けられていても良い。
【0024】
着色は例えばインクジェット式、あるいはスクリーン印刷やオフセット印刷などから適したものを適宜選択して行う。用いる着色剤としてはインク、ペンキ、絵の具などから銅繊維に保持されるものを選択する。また、有機紐状体を併用する場合には、その有機紐状体を着色できるものを用いてもよい。
【0025】
また、上記糸が、銅または銅合金フィラメントと有機紐状体とを引き揃えてなる複合糸であることが好ましい。このとき、素材に折れや、曲げが生じた場合に対しても銅または銅合金フィラメントの折れ、切断に対する高い予防効果が得られ、装飾素材としての耐性が著しく向上するので、寿命が長くなると共に、銅または銅合金フィラメント単独による寒冷感が同時に防止されるので、肌に直接触れる箇所であっても好適に用いることができる。さらに、銅または銅合金フィラメントに着色しにくい染料等であっても用いる有機紐状体との組合せを選択することにより、着色を容易とすることが可能となったり、あるいは、脱離しにくい染料を選択することが可能になると云う効果も同時に得ることができる。
【0026】
上記銅または銅合金フィラメントは、その直径が3μm以上30μm以下であるものであることが好ましい。このとき、銅または銅合金フィラメントに切れが生じにくくことがなく、かつ、肌に触れる部分に用いた場合に銅または銅合金フィラメントが着用者の肌に違和感を引き起こすことがない。特に好ましい範囲は5μm以上20μm以下である。
【0027】
また、上記有機紐状体が、有機フィラメント糸であると、強度が高く、不要な毛羽立ちも抑えられ、かつ、銅または銅合金フィラメントによる装飾的な金属のイメージを大きく損なうことがない。
【0028】
さらに、上記リボン状編織体が、編物であると高い賦形性と柔軟性と合わせ持つことができ、より高い装飾性が得られる。
【0029】
また、上記編物が、筒状編物であるとその内部に宝石(疑似宝石を含む)やパール(模造パールを含む)を入れることができ、このときにはこれら宝石やパール類は編物により確実に保持されると共に、内部の宝石やパールは編物の目から視認されるのでアクセントとなり、さらに高い装飾性が得られる。また、筒状編物の端部にこれら宝石やパールを保持するときには、その周囲で衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材をねじることにより、容易にかつ確実にこれらの落下が防止される。
【0030】
本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は、その賦形性を利用して部分的に幅を拡げたり狭めたり、ねじったり、丸めたりして利用することができるが、このとき、着色部分により、立体感が得られ、従来にない高い装飾性が得られる。
【0031】
本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材は身体に直接付けるアクセサリー(チョーカー、リストバンド等)や、衣服や靴、スリッパ、サンダル等に付けるアクセサリー(コサージュ、ベルト等)、あるいは衣服や靴の一部として、あるいは、鞄やバッグ類の本体や肩ベルトに応用することができる。
【0032】
さらに、インテリア用品としては、例えばランプシェード、カーテン、あるいは、ベッドなどの家具が挙げられ、それらの装飾に用いることができる。
【0033】
以下に本発明の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材について図面を用いて説明するが、本発明はこれら例には限定されない。
【0034】
図1(a)に符号1を付して示したのは本発明に係る衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材の例である。図1(b)はその編組織が見えるように拡大したモデル拡大図であり、用いられている糸は、さらに拡大したモデル拡大図である図1(c)に示すように銅フィラメント(太さ:25μm)1aと有機紐状体としてのフィラメント(ポリアミド繊維(ナイロン))1bとを引き揃えてなる複合糸である。
【0035】
この衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材の例1では丸編となっており、直径が1.5cm程度の筒状形状をしている。さらにこの衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材の例1では、潰されて平リボン状とされた上、その両面が褐色のインキにより部分的に5mm程度の斑模様が形成されており、銅色の非着色11と褐色の着色部12とが形成されている。
【0036】
この銅色の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1は、銅フィラメントにより高い賦形性を備えている。そのことについて図2を用いて説明する。
【0037】
符号14を付して示された箇所は、部分的に拡幅された部分である。この部分はまた凹状(反対面は凸状)とすることにより、さらに立体感を付与することができる。
【0038】
一方、衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1の端部側では、その筒形状を利用して内部にパール2を入れてあるが、網目の隙間から外部から視認されるので、高い装飾効果が得られる。また、パール上に着色部12が位置するより高い立体感が得られる。この衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1は、パール2の両端ではねじられて、ねじり部15が形成されているので、内部のパール2の亡失が予防されている。
【0039】
次に衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1でアクセサリーであるコサージュを作製する方法の一例について図3によって説明する。
【0040】
図3(a)に示すように衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1の一方の端部13から内部に比較的大きいパール2を入れ、パール2の両脇でねじってねじり部15を形成してパール2を固定する(図3(b)参照)。
【0041】
次いでこのパール2が固定された部分が中心になるように衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1を巻き(図3(c)参照)、円柱状とし、次いで、図3(d)に示すように円柱の一方の底面部を圧縮して窄め、図中矢印部分を例えば安全ピンや糸、針金等で留める。
【0042】
円柱の他方の底面部の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1を部分的に拡幅したり、部分的にひねったりすることにより、中央にパール2が見えるコサージュ3とすることができる。このコサージュは、衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1の褐色の着色部分により立体感が強調された豪華なものとなっている。
【0043】
図4では、本発明に係る衣服の例としてワンピース4を示した。
【0044】
ワンピース4には上記コサージュ3が固定されており、また、部分的に拡幅された拡幅部14を有する衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1がアクセントとして縫い付けてある。
【0045】
図5では、本発明に係る衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材をショルダーバックに応用した例である。ショルダーバック5の本体部には上記コサージュ3が固定されており、また肩紐部分には部分的に拡幅された拡幅部14を有する衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1が巻き付けてある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材の例1を示す図である。
【図2】本発明に係る衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材の例1の変形例を示す図である。
【図3】本発明に係る衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1を用いてコサージュを作る方法の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る衣服であるワンピース4を示す図である。
【図5】本発明に係る衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材1をバッグに応用した例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 本発明に係る衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材の例
2 パール
3 本発明に係るコサージュ
4 本発明に係るワンピース
5 ショルダーバック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅または銅合金フィラメントからなる糸のリボン状編織体から構成されている衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材において、部分的に、かつ、視認できる大きさで着色されていることを特徴とする衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材。
【請求項2】
上記糸が、銅または銅合金フィラメントと有機紐状体とを引き揃えてなる複合糸であることを特徴とする請求項1に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材。
【請求項3】
上記銅または銅合金フィラメントの直径が、3μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材。
【請求項4】
上記有機紐状体が、有機フィラメント糸であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材。
【請求項5】
上記リボン状編織体が、編物であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材。
【請求項6】
上記編物が、筒状編物であることを特徴とする請求項5に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材。
【請求項7】
上記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材からなることを特徴とする衣料。
【請求項8】
上記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材からなることを特徴とするアクセサリー。
【請求項9】
上記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の衣服、アクセサリー及びインテリア用装飾素材からなることを特徴とするインテリア用品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−13769(P2010−13769A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175512(P2008−175512)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(592011398)エ・アール・ミキ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】