説明

衣類乾燥機を有する集合住宅の排気構造

【課題】衣類乾燥機を有する集合住宅の排気構造を提供する。
【解決手段】建物の各層を貫いて垂直に設置され、排出ガスを排出する一つ以上の立上管と、前記立上管から各層の世帯に分岐し、各世帯から発生する排出ガスを前記立上管に導く複数本の支管と、前記立上管の上部に設置され、前記立上管内部の排出ガスの量に基づいて線形的に駆動されるファンと、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅、特に、高層の集合住宅において、各世帯の衣類乾燥機から排出されたガスを建物外に排出させるための構造及び該構造に合う衣類乾燥機などに関する。特に、衣類乾燥機排出ガスの特性を考慮した排気構造などに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅は、都市部から登場し始め、最近では普遍的な住宅の形態として位置づけられてきている。かかる集合住宅は、従来、15階建て未満のものが大部分であっだが、最近では20階建て以上まで普及されたし、さらには30〜40階建て以上のものも登場している。
【0003】
比較的低層の建物は、従来のガス排出構造としても大きな問題はなかった。たとえ問題があったとしても、各世帯別に窓を開けて換気する方法で解決可能だった。
【0004】
しかしながら、高層の建物では換気などの方法では排気上の問題を解決することができない。これは、低層では、地表面との摩擦及び建物など各種障害物によって風速が大きくないが、高層では摩擦や障害物などが減少し、風速が大きくなるためである。
【0005】
なお、高層になるほど渦流の度合も増加する。すなわち、高層では周辺に障害物が少ないため、高層の建物にぶつかった風は建物の側壁や建物の屋上に沿って流れていく。このように風が建物に沿って流れながらその風速はより強化されたり、渦流を形成したりする。このような風の現象によって、高層の集合住宅では窓を開けて換気することが困難である。
【0006】
したがって、上記のような高層の集合住宅には、世帯内部のガスを排出する構造として、各層を貫いて垂直方向に設置される立上管と、該立上管と各世帯を連結する一つ以上の支管が設けられる。すなわち、台所から発生する食べ物の臭いなどは、台所の換気口から支管を通って立上管に排出され、浴室の内部ガスは浴室天井の換気口から支管を通って立上管に排出される。一方、立上管の上部には、風によって回転する無動力ファンが設置されている。該無動力ファンは、排出ガスを立上管内部から建物外により容易に排出させる役割を果たす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高層の集合住宅では、立上管上部の排出口にぶち当たる強い風のため、無動力ファンによる立上管からのガス排出が困難となる。
【0008】
また、高層の集合住宅では、窓を開けて換気をすることが困難なため、通常、乾燥機を備えておく。このような乾燥機のうち、燃料を燃焼させて熱風を生成する乾燥機は、一般的な排気ガスの外にも、一酸化炭素を含む有害な排気ガスを排出するが、従来の高層の集合住宅ではこのような排気ガスを排出する構造がなかった。
【0009】
なお、衣類乾燥機から排出されるガスは、湿度が高い点、リント(lint)等の異物が多く混入している点、燃料を燃焼して熱風を生成する場合には一酸化炭素などの有害要素が含まれている点、そして、衣類乾燥機は比較的長時間使用するために排出ガスが多い点などの特性を有するが、このような特性の排出ガスを従来の排出構造では充分に排気できないという問題点があった。
【0010】
本発明は上記の問題点を解決するためのもので、その目的は、高層の集合住宅内に配置された衣類乾燥機から発生した排出ガスを外部に専用に排出させることができる排気構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成する本発明に係る集合住宅の排気構造は、建物の各層を貫いて垂直に設置され、排出ガスを排出する一つ以上の立上管と、前記立上管から各層の世帯に分岐し、各世帯から発生する排出ガスを前記立上管に導く複数本の支管と、前記立上管の上部に設置され、前記立上管内部の排出ガスの量によって線形的に駆動されるファンと、を備える構成とした。
【0012】
ここで、上記排気構造は、前記ファンに駆動力を提供するモーターと、前記立上管内部の圧力を感知する第1圧力センサーと、前記第1圧力センサーで測定された圧力に基づいて前記モーターの駆動を制御するモーターコントローラとをさらに備えることができる。
【0013】
具体的に、前記モーターコントローラは、前記第1圧力センサーで測定された圧力によって前記立上管内部の排出ガスの量を感知し、前記モーターの駆動を制御することが好ましい。
【0014】
一方、前記複数本の支管のそれぞれには、前記排出ガスが逆流するのを防止する逆流防止ダンパーと放火ダンパーうち少なくとも一つが設置されることが好ましい。また、前記複数個の支管のそれぞれには、リントをフィルタリングするリントフィルタと、一酸化炭素をフィルタリングする一酸化炭素フィルタのうち少なくとも一つが設置されることが好ましい。
【0015】
この場合、前記リントフィルタの前方には、前記支管内部の圧力を感知する第2圧力センサーをさらに備えることができる。本発明に係る排気構造は、前記第2圧力センサーで測定された圧力によって前記リントフィルタの目詰まりを感知するフィルタコントローラをさらに備えることができる。ここで、前記フィルタコントローラは、前記測定された圧力と基準圧力とを比較し、前記リントフィルタの目詰まりを感知する。また、前記フィルタコントローラは、前記リントフィルタが詰まった場合に、この事実を視覚的または聴覚的に使用者に知らせることが好ましい。
【0016】
一方、本発明に係る排気構造は、前記立上管の下部に、前記排出ガスの凝縮時に発生する水を排水する排水構造を備え、また、外部と連通する外気管を備えることができる。
【0017】
なお、前記複数本の支管は、下向きに傾斜して前記立上管に連結されることが好ましい。
【0018】
一方、本発明に係る排気構造は、前記複数本の支管のうち少なくとも一つは、各世帯別に備えられた衣類乾燥機の排出ガスを前記立上管に導く乾燥機用支管とし、残りの複数個の支管のうち少なくとも一つは、前記乾燥機用支管と連結される台所用支管または浴室用支管とすることができる。
【0019】
この場合、前記台所用支管または浴室用支管には、衣類乾燥機の排出ガスが逆流するのを防止する逆流防止ダンパーを設置することができ、放火ダンパーをさらに備えることもできる。
【0020】
一方、前記乾燥機用支管には、定風量ダンパーを設置することができ、また、リントをフィルタリングするリントフィルタ及び一酸化炭素をフィルタリングする一酸化炭素フィルタのうち少なくとも一つが設置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る排気構造は、下記の効果を奏する。
【0022】
本発明によれば、集合住宅、特に、高層の建物で衣類乾燥機から発生した排出ガスを建物外に排出させるのに適合した乾燥機排出ガス専用の排出構造が得られ、かつ、このような排出構造に適合した衣類乾燥機などが得られる。
【0023】
なお、本発明によれば、高層の集合住宅における衣類乾燥機排出ガスに関る排気問題を解決することが可能になる。特に、高層の集合住宅において、衣類乾燥機排出ガスの特性によって既存の台所用または浴室用の排気構造では解決できなかった問題を解消することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施例を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の好ましい実施例による集合住宅の排気構造を示す断面図である。
【0026】
図1を参照すると、集合住宅の建物には、各層を貫いて垂直方向に設置される立上管100と、立上管100から各世帯に分岐される複数の支管200が備えられる。
【0027】
ここで、立上管100は、衣類乾燥機300の排出ガスのみを専用に建物外に排出するためのものである。すなわち、集合住宅には、浴室及び台所のガスを排気するための複数本の立上管が設置されることができ、図1に示す立上管100は、複数本の立上管のうち、衣類乾燥機300のガスを排出するための立上管として構成されたものである。
【0028】
一方、支管200は、立上管100から分岐して乾燥機300などが設置される洗濯室350まで延在し、ガス排出管310を介して乾燥機300の排出口と支管200の入口が連結される。
【0029】
また、立上管100の上部にはファン140が設置されているが、本発明においてファン140はモーター(図示せず)のような動力装置と連結されることが好ましい。すなわち、立上管100を通して衣類乾燥機300のガスを外部に排出する場合に、無動力ファンを用いても良いが、衣類乾燥機から排出されるガスはその量が多いため、無動力ファンではガスを充分に排気させることができない。なお、衣類乾燥機は比較的長時間使用し、また、最近の各世帯の生活パターンは類似している点から、各世帯の支管から立上管に排出されるガスが増加しており、よって、動力装置はファン140に連結することが好ましい。
【0030】
そして、図示してはいないが、立上管100の内部には第1圧力センサー(図示せず)が取り付けられ、モーターを制御するモーターコントローラ(図示せず)にセンシングされた結果を転送する。このようなモーターコントローラの設置位置に限定はなく、モーターに近接して設置したり、洗濯室350に設置したりすれば良い。
【0031】
一方、立上管100の下部には、立上管100を外部と連通させる外気管110が設置されている。そして、外気管110の下には、排水構造120が設置されている。排水構造120は排水管130と連結されているため、ガス中の水分が凝縮されてなる液体は立上管100から排水される。
【0032】
また、図2を参照すると、支管200の内部には、ガス逆流を防止する逆流防止ダンパー210、ガス中の一酸化炭素をフィルタリングする一酸化炭素フィルタ220及びガス中に混入しているリント(lint)をフィルタリングするリントフィルタ230を設置することができる。
【0033】
衣類乾燥機300は、熱風を発生する熱源の種類によって電気式のものもあり、燃料用ガスなどのような石炭燃料を燃焼させる類型もある。このように燃料を燃焼させる場合には、一酸化炭素をフィルタリングして立上管100に排出する必要がある。こうしないと一酸化炭素を含有する排出ガスが世帯内部に流入してしまう恐れがある。窓を開けて換気し難い高層建物の住居環境を考慮すると、一酸化炭素が世帯内部に流入するのを防止する必要性は一層高まってくる。
【0034】
なお、支管200には放火ダンパー240を設置することができる。これは、立上管100及び支管200を介して火災が他の世帯に広がるのを防止するためである。
【0035】
そして、支管200には、リントフィルタ230前方に第2圧力センサー232を設置することができる。第2圧力センサー232は、洗濯室350に別途に備えられているフィルタコントローラ(図示せず)にセンシングされた信号を転送する、または、乾燥機300に備えられたフィルタコントローラに信号を転送する機能を果たす。例えば、第2圧力センサー232の信号線を乾燥機300に備えられるコントローラに接続させることができ、このため、乾燥機300には外部から信号を受信できるようにコネクタが備えられると良い。
【0036】
以下、上記のような構成を持つ排気構造において、乾燥機300から排出されるガスの流れについて説明する。
【0037】
衣類乾燥機300から排出されるガスは、排出口からガス排出管310及び支管200を経て立上管100内に排出される。この時、衣類乾燥機300が燃料を燃焼させて熱風を生成するタイプである場合には、この排出ガスには一酸化炭素が含まれており、この一酸化炭素は支管200に設置されている一酸化炭素フィルタ220によってろ過される。
【0038】
また、排出ガスに混入しているリントは、支管200に設置されているリントフィルタ230によってろ過される。
【0039】
支管200を通して立上管100に排出された排出ガスは、立上管100上部から外部に排出される。
【0040】
一方、立上管100上部に設置されたファン140は、モーターによって回転するが、ファン140の駆動についてより詳細に説明すると、下記の通りである。
【0041】
本発明者は、立上管100内部の圧力を用いて衣類乾燥機300から排出されるガスの量を実験的または理論的に求めるに至った。すなわち、立上管100内部の第1圧力センサーからセンシングされた圧力を用いて、排出されるガスの量を感知することができる。なお、ファン140の回転速度と排出するガスの量との相関関係を実験的または理論的に得ることができ、これを考慮してファン140の回転速度を制御できるように動力装置を制御することができる。すなわち、第1圧力センサーで測定された圧力によって排出したガスの量を感知し、これに基づいてファン140の回転速度を制御する。
【0042】
この場合、動力装置を構成するモーター(図示せず)は、排出するガスの量によって線形的にファン140に駆動力を発生させるように制御されることが好ましい。
【0043】
すなわち、立上管100の内部に設置された第1圧力センサーによって立上管100内部圧力がセンシングされると、これに基づいて立上管100内部の排出ガスの量を感知し、この量によってモーターの駆動力が決定されるように制御される。したがって、衣類乾燥機300から排出される排出ガスの量が多い場合、モーターはファン140の回転速度を増加させ、排出ガスの排出速度を増加させる。
【0044】
一方、本発明のように動力装置によってファン140を駆動させると、排出するガスの量とファン140の回転速度によって立上管100内部の圧力分布が変わる。したがって、このような圧力分布を考慮した上、排出するガスの量に基づいて排出が最も円滑になるようにファンの回転速度を制御することが好ましい。
【0045】
本発明者は、ファン140の回転速度による立上管100内部の圧力分布に対するコンピュータシミュレーションを行った。このシミュレーションは、立上管100からガスが外部に排出される速度が2m/s、12m/s、22m/sの場合に対して行った。
【0046】
このシミュレーション結果、立上管100内の圧力分布と建物外部の圧力分布が同じ場合に排出ガスの建物外への排出が円滑になるが、高さの増加による建物外部の圧力降下量が4Pa/3mであることを考慮する時(ここで、3mは、略1階の高さに該当する)、ガス排出速度が12m/sの場合に、立上管100の圧力分布が建物外部の圧力分布に最も近似した。
【0047】
したがって、モーターは、立上管100内部の排出ガスの量に基づいて立上管100内部の圧力分布が建物外部の圧力分布に近似するような回転速度でファン140が回転するように駆動力を提供することができる。
【0048】
一方、衣類乾燥機300から排出される排出ガスは水分を多量含有しているため、これらの水分が立上管100の内壁で凝結して液体になりうる。このように凝結された液体は、立上管100の内壁に沿って流下し、排水構造120から外部に排水される。ここで、排水構造120は、図示しないが、水を集める集水部、排水ポンプ、バルブ及びフロートスイッチを備えることができる。
【0049】
ここで、ポンプの駆動は、使用者によって手動で制御するか、または、自動で制御することができる。自動で制御する場合、集水部にフロートが一定高さに浮遊することによってスイッチングされるフロートスイッチが設置される。このフロートスイッチは、機械式または電気式に構成することができる。すなわち、フロートが一定高さに浮遊してフロートスイッチがスイッチングされると、バルブが開き、排水ポンプが作動される構成とすることができる。
【0050】
また、立上管100の下部には外気管110が連結されているため、立上管100の上部における排出ガスの排気はより円滑になる。
【0051】
一方、立上管100の内部に排出ガスが多く満たされて圧力が上昇しても、支管200へ逆流する排出ガスは、支管200に設置された逆流防止ダンパー210に遮られ、世帯内への流入が防止される。
【0052】
最近、各世帯の衣類乾燥機使用時間が比較的長いため、各世帯の衣類乾燥機の使用時間が重なることが多い。この場合では立上管100に排出されたガスの量が増加し圧力が高まり、よって、立上管100の排出ガスが支管200を通して各世帯の内部に流入する可能性がある。これを防止するのが逆流防止ダンパー210である。
【0053】
一方、支管200に設置されたリントフィルタ230がリントによって詰まる場合、その前方に設置された第2圧力センサー232によってセンシングされる圧力は増加する。こうなると、洗濯室350または乾燥機300に備えられたフィルタコントローラは、センシングされた圧力を基準値と比較し、リントフィルタ230を入れ替えなければならないことを、警報音またはランプオン(on)によって使用者に知らせる。
【0054】
そして、支管200は、立上管100に連結する場合に、下向きに傾斜して連結することが好ましい。これは、排出ガス中の水分が凝結して液体となる場合、液体が支管200に沿って乾燥機300に逆流せず、立上管100に流れるようにするためである。
【0055】
一方、各世帯の使用者は、乾燥機300を洗濯室350に設置する時、乾燥機300の排出口と支管200とをガス排出管310を介して連結する。したがって、ガス排出管310は、柔軟にベンディング可能なものとすることが好ましい。
【0056】
また、支管200に設置されたリントフィルタ230、一酸化炭素フィルタ220及び逆流防止ダンパー210などは、ガス排出管310に設置しても良い。例えば、上記の実施例とは違い、リントフィルタ230、一酸化炭素フィルタ220及び逆流防止ダンパー210のうち少なくとも一つは、ガス排出管310に設置しても良い。このようにリントフィルタ230、一酸化炭素フィルタ220及び逆流防止ダンパー210のうち少なくともいずれか一つがガス排出管310に設置する場合には、同一構成が支管200では省略しても良いが、必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0057】
一方、乾燥機300の販売者が乾燥機300と一緒にガス排出管310を提供する場合、ガス排出管310にはリントフィルタ230、一酸化炭素フィルタ220及び逆流防止ダンパー210が設置されている可能性がある。この場合には、放火ダンパー240のみが設置された支管200を持つ建物が建築業者によって提供されれば良い。ここで、放火ダンパー240が必ず支管200に設置され、ガス排出管310には設置されない構造に限定されるわけではない。
【0058】
また、ガス排出管310は、支管200の形態によって省かれても良い。すなわち、ガス排出管310は支管200に一体に連結されて建築業者によって提供されても良く、従来台所や浴室のような構造を利用しても良い。例えば、支管200の入口にファンが設置され、この入口に乾燥機300の排出口が近付くように配置される構成としても良い。この場合、従来台所で使われているフード装置のようなものを支管200の入口に取り付けても良い。
【0059】
一方、リントフィルタ230の目詰まりを感知する第2圧力センサーは、上記と違い、乾燥機300内のガス排出流路に配備されても良い。
【0060】
また、燃料を燃焼させて熱風を生成するタイプの乾燥機300では、排出ガスの排出流路上に一酸化炭素フィルタ220を設置しても良い。
【0061】
また、逆流防止ダンパー210も、乾燥機300内部のガス排出流路上に設置しても良い。乾燥機300の排出口とガス排出管310が連結され、ガス排出管310は支管200に連結された場合、立上管100から逆流する排出ガスは、乾燥機300内に設置された逆流防止ダンパー210に遮られてそれ以上進行せず、世帯内への流入が防止される。
【0062】
図3は、本発明の好ましい他の実施例による排気構造を示す分部断面図である。本実施例による排気構造は、乾燥機300の排出ガスを排出する乾燥機用支管500を他の支管400、例えば、台所用支管400に連結する点が、上記の一実施例と違う。ここで、乾燥機用支管500を台所用支管400に連結する構成に限定されず、台所用支管の外にも浴室用支管などに連結する構成にしても良い。下記の本実施例の説明において、上記の一実施例と同一の部分については適宜説明を省略するものとする。
【0063】
図3を参照すると、本実施例による排気構造は、立上管100から各世帯に分岐して延在する複数本の支管400,500を備え、これらの支管の一部は、互いに連結されるように構成される。すなわち、同図に示すように、乾燥機300の排出ガスを立上管100に導く乾燥機用支管500は、台所に連結される台所用支管400と合流する。
【0064】
図4は、図3において支管及び立上管の連結構造を示す概略図である。
【0065】
図4を参照すると、台所用支管400の内部には、逆流防止ダンパー410及び放火ダンパー440を設置することができ、乾燥機用支管500には、一酸化炭素フィルタ520、リントフィルタ530及び定風量ダンパー550を設置することができる。リントフィルタ530の前方に圧力センサーを設ける構成は、前述の一実施例と同様なので具体的な説明は省略する。
【0066】
一方、立上管100の内部が排出ガスでいっぱいになり、立上管100内部の圧力が上昇すると、排出ガスが台所用支管400及び乾燥機用支管500に逆流する可能性がある。この場合、台所用支管400に設置された逆流防止ダンパー410によって台所への逆流が遮断され、乾燥機用支管500に設置された定風量ダンパー550によって洗濯室への逆流が遮断される。また、乾燥機300の排出ガスは逆流防止ダンパー410によって台所への流入が遮断され、台所の排出ガスは定風量ダンパー550によって洗濯室への流入が遮断される。
【0067】
また、台所用支管400は、図4に示すように、立上管100に下向きに傾斜(α°)して連結される。これは、排出ガス中の水分が凝結する場合、該水が立上管100へ流れるようにするためである。
【0068】
ここで、定風量ダンパー550は、乾燥機300内部の排出流路上に設置しても良い。乾燥機300の排出口とガス排出管310とを連結し、ガス排出管310を乾燥機用支管500に連結した場合、立上管100から逆流する排出ガスは、乾燥機300内部に設置した定風量ダンパー550に遮られて世帯内への流入が防止される。
【0069】
以上では、具体的な実施例に挙げて本発明を説明してきたが、これらの実施例は例示的なもので、本発明の保護範囲を限定するためのものではない。したがって、特許請求の範囲に基づく本発明の技術的思想内でこれらの実施例を様々に改変可能であることは、当該技術分野における通常の知識を持つ者にとっては自明であり、これらの改変も本発明に属することは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の好ましい一実施例による排気構造を示す部分断面図である。
【図2】図1において支管及び立上管の連結構造を示す断面図である。
【図3】本発明の好ましい他の実施例による排気構造を示す部分断面図である。
【図4】図3において支管及び立上管の連結構造を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の各層を貫いて垂直に設置され、排出ガスを排出する一つ以上の立上管と、
前記立上管から各層の世帯に分岐し、各世帯から発生する排出ガスを前記立上管に導く複数本の支管と、
前記立上管の上部に設置され、前記立上管内部の排出ガスの量によって線形的に駆動されるファンと、
を備えることを特徴とする、集合住宅の排気構造。
【請求項2】
前記ファンに駆動力を提供するモーターと、
前記立上管内部の圧力を感知する第1圧力センサーと、
前記第1圧力センサーで測定された圧力に基づいて前記モーターの駆動を制御するモーターコントローラと、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項3】
前記モーターコントローラは、前記第1圧力センサーで測定された圧力によって前記立上管内部の排出ガスの量を感知し、前記モーターの駆動を制御することを特徴とする、請求項2に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項4】
前記複数本の支管のそれぞれには、前記排出ガスが逆流するのを防止する逆流防止ダンパーと放火ダンパーのうち少なくとも一つが設置されることを特徴とする、請求項1に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項5】
前記複数個の支管のそれぞれには、リントをフィルタリングするリントフィルタと、一酸化炭素をフィルタリングする一酸化炭素フィルタのうち少なくとも一つが設置されることを特徴とする、請求項1に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項6】
前記リントフィルタの前方には、前記支管内部の圧力を感知する第2圧力センサーをさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項7】
前記第2圧力センサーで測定された圧力によって前記リントフィルタの目詰まりを感知するフィルタコントローラをさらに備えることを特徴とする、請求項6に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項8】
前記フィルタコントローラは、前記測定された圧力と基準圧力とを比較し、前記リントフィルタの目詰まりを感知することを特徴とする、請求項7に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項9】
前記フィルタコントローラは、前記リントフィルタが詰まった場合に、この事実を視覚的または聴覚的に使用者に知らせることを特徴とする、請求項8に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項10】
前記立上管の下部には、前記排出ガスの凝縮時に発生する水を排水する排水構造を備えることを特徴とする、請求項1に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項11】
前記立上管の下部には、外部と連通する外気管を備えることを特徴とする、請求項10に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項12】
前記複数本の支管は、下向きに傾斜して前記立上管に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項13】
前記複数本の支管のうち少なくとも一つは、各世帯別に備えられた衣類乾燥機の排出ガスを前記立上管に導く乾燥機用支管からなることを特徴とする、請求項1に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項14】
前記複数個の支管のうち少なくとも一つは、前記乾燥機用支管と連結される台所用支管または浴室用支管からなることを特徴とする、請求項13に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項15】
前記台所用支管または浴室用支管には、衣類乾燥機の排出ガスが逆流するのを防止する逆流防止ダンパーが設置されることを特徴とする、請求項14に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項16】
前記台所用支管または浴室用支管には、放火ダンパーをさらに備えることを特徴とする、請求項15に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項17】
前記乾燥機用支管には、定風量ダンパーが設置されることを特徴とする、請求項14に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項18】
前記乾燥機用支管には、リントをフィルタリングするリントフィルタ及び一酸化炭素をフィルタリングする一酸化炭素フィルタのうち少なくとも一つが設置されることを特徴とする、請求項17に記載の集合住宅の排気構造。
【請求項19】
一つ以上の衣類乾燥機本体と、
前記衣類乾燥機の排出口と建物に形成された支管とを連結する一つ以上のガス排出管と、
を備えてなることを特徴とする、衣類乾燥機。
【請求項20】
前記ガス排出管には、リントをフィルタリングするリントフィルタ及び一酸化炭素をフィルタリングする一酸化炭素フィルタのうち少なくとも一つが設置されることを特徴とする、請求項19に記載の衣類乾燥機。
【請求項21】
前記リントフィルタの前方には、前記ガス排出管内部の圧力を測定する圧力センサーをさらに備えることを特徴とする、請求項20に記載の衣類乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−121415(P2008−121415A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290972(P2007−290972)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】