説明

表現画像を3次元グラフィック環境の区分された領域に分配する装置および方法

データベース内の複数のデータオブジェクトの表現画像を、区分された3次元グラフィック環境内に分配する装置および方法について説明する。本装置および方法によると、環境は隔壁によって画定された領域に分割され、それらの隔壁上に表現画像のグループが分配され、表示される。概して、表現画像の分配は、所与の領域を画定する各隔壁について重み係数を判定し(22、23)、領域内の隔壁上に表示すべき表現画像の重み係数を判定し(21、31)、次いで画像重み係数と隔壁重み係数の比較に応じて画像を分配すること(23)とにより、行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元グラフィック環境のレイアウトを設計する技術に関し、特に本開示は表現画像を3次元グラフィック環境の区分された領域に分配する装置および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
データベースは多くの場合、製品、美術品、遺物、書籍などのような、多数の物品に関する情報を記憶するのに使用される。データベースは、その大きさが原因でデータベースに記憶された情報の検索や閲覧が困難になる場合がある。多くの用途において、とりわけ不慣れなコンピュータユーザや閲覧者にとって、それらのデータベースの閲覧を直観的かつ簡単な手順にすることが特に求められている。例えば、オンラインショッピングはその利便性が主な理由で人気を得てきた。特に、昼夜問わず何時でも自分の自宅や職場で快適に素早くショッピングを行なうことができる。その結果、多くの小売ストアがインターネット上にウェブサイトを持ち、ユーザが製品を選びそれを購入できるようにしている。しかしながら、そのウェブサイトで製品を見つけることがコンピュータの知識をあまり持たない一般の顧客にとって困難なものであれば、オンラインショッピングの利便性は大幅に減少することになる。
【0003】
3次元グラフィック環境は、情報やデータベースの閲覧や検索を直感的な方法で行なうのに利用されてきた(小売店のウェブサイトなどにおいて)。具体的には、3次元グラフィック環境を用いると、ユーザは仮想空間内を直観的に移動し、仮想空間内で物品を容易に見つけ出して閲覧することが可能になる。3次元グラフィック環境を作成するためには、環境を複数の3次元領域(例えば部屋など)に分割すなわち区分し、各領域内にオブジェクトの関連グループの表現画像を表示するのが一般的である。このように環境を区分し、区分した環境の中にオブジェクトを分配することにより、環境の中を移動するのが容易になるだけでなく、データベースのオブジェクトを閲覧するのも容易になる。
【0004】
現在、3次元グラフィック環境を区分し、区分された領域内に表現画像を分配するアルゴリズムは、区分された各領域内に配置される品目が変化しない静的区分環境に適するように設計されている。そのため、隔壁や隔壁に表示するための表現画像の分配は一度しか決める必要がなく、したがってアルゴリズムの複雑さは、ほとんど問題にならないか、全く問題にもならない。しかしながら、環境が絶えず再区分され、物品の数、グループ分け、配置などが変更される可能性がある動的区分環境の場合、区分および分配のアルゴリズムは、3次元グラフィック環境をレンダリングする全体のプロセスに与える影響を最小限にする必要がある。
【0005】
本発明は、データベース内の複数のオブジェクトを見るための3次元グラフィック環境を生成する装置および方法であり、詳しくは、美観的に美しく、論理的かつ簡単な方法で、表現画像を区分された環境の領域内に分配し、環境中の閲覧能力および移動を向上させる装置および方法である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
データベース内の複数のデータオブジェクトの表現画像を区分された3次元グラフィック環境の中に分配する装置および方法について説明する。具体的には、この環境は隔壁の組によって画定された複数の領域に分割され、隔壁の組の上に、または隔壁の組のすぐ近くに表示するための表現画像のグループが、領域内に分配される。
【0007】
本発明の方法によると、各画像は、その画像の元の縦横比を維持しつつ拡大縮小され、画像ごとに拡大縮小された寸法が得られる。次に、その拡大縮小された寸法に基づく画像重み係数、および各隔壁に関する表示寸法に基づく隔壁重み係数を判定する。ここで、表示寸法は、画像を表示する際に合わせる寸法に対応する。次いで、少なくとも1つの画像重み係数と各隔壁重み係数との比較に応じて、画像を連続した隔壁に分配する。
【0008】
本発明による装置は、画像の縦横比を維持しつつ画像を拡大縮小するための画像寸法拡大縮小器と、1)拡大縮小された対応する画像寸法に基づく画像重み係数、および2)隔壁に対応する表示寸法に基づく隔壁重み係数を判定するための重み係数生成器とを含む。画像分配器は、少なくとも1つの画像重み係数と隔壁重み係数のそれぞれとの比較に応じて、表現画像を各領域の連続した隔壁に分配する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
データベースのデータオブジェクトの表現画像を区分された3次元グラフィック環境の中に分配する装置および方法について説明する。環境は隔壁によって画定された領域に分割され、それらの隔壁の上、または隔壁のすぐ近くに、表現画像のグループが分配され、表示される。概して、表現画像の分配は、所与の領域を画定している隔壁について重み係数を判定し、それらの隔壁上または近くの領域内に表示すべき表現画像の重み係数を判定することにより、実施される。次いで、それらの画像重み係数を隔壁重み係数と比較し、隔壁重み係数に対応付けることにより、画像を分配する。
【0010】
本明細書の説明によると、データオブジェクトは、有形もしくは無形のオブジェクトまたは有形もしくは無形の要素に対応してデータベース内に記憶されるデータとして広く定義される。データオブジェクトの種類の例としては、画像データ、音声データ、ワープロデータ、ビデオデータ、および3Dモデルなどがあるが、それらに限定はしない。オブジェクトまたは要素の種類の例としては、映画ビデオ、CD、美術品、電子ワープロ文書、個人的な電子記録、およびコマーシャル製品カタログなどがあるが、それらに限定はしない。例えば、オブジェクトの種類が映画ビデオである場合、その種類の特定のオブジェクトは特定の映画である。
【0011】
さらに、各データオブジェクトは、メタデータと呼ばれる関連データを有する。このメタデータは、データオブジェクトそれ自体とは異なる他の任意のデータに対応し、そのデータオブジェクトを説明するか、または、データオブジェクトに関係する。各データオブジェクトは、異なる種類のメタデータを有する場合がある。例えば、オブジェクトの種類が映画ビデオである場合、メタデータの種類には、映画のタイトル、映画監督、映画の公開日、映画俳優、および映画のジャンル(例えば、コメディ、ドラマ)などに対応するデータが含まれる。一方、オブジェクトの種類が美術品である場合、メタデータの種類には、その美術品のタイトルおよび美術品の流派(例えば、モダン派、印象派)などが含まれる。メタデータは、データオブジェクトと共に記憶することもできるし、データオブジェクトと関連メタデータとの間にリンクを作るようにして個別に記憶してもよい。
【0012】
本発明によると、データベース内に記憶されたデータオブジェクトの表現画像が3次元グラフィック環境内に表示され、データベースを閲覧したいユーザに対し、それらのデータオブジェクトを直観的に見る機能が与えられる。本発明によると、表現画像は、データオブジェクトに関連する、またはデータオブジェクトを表すテキストラベル、自然画像、グラフィック画像、文書およびファイルフォルダの画像、ビデオ画像、3次元モデル、または任意の種類の視覚データとして具体化することができる。
【0013】
3次元画像をレンダリングして表示するシステムの一例を図1に示す。このシステムは、グラフィックス処理ユニット10、レンダリングエンジン11、ユーザ出力12、ユーザ入力13、およびメモリ14を含む。グラフィックス処理ユニット10は、グラフィックスの画像処理の分野で既知のように、データオブジェクトデータ10Aを受け取り、該データオブジェクトの表現画像を含む3次元グラフィック環境に対応する3次元画像データ10Bを生成する。レンダリングエンジン11は、画像データ10Bを受け取ってレンダリングデータ11Aを生成し、ユーザ出力12を作動させる。例えば、レンダリングデータ11Aは、モニタ(図示せず)を作動させ、表現画像を含む3次元グラフィック環境を表示する。ユーザ入力13は、ユーザが3次元環境と対話できるようにするための、ユーザと3次元環境との間のインターフェースを提供する。例えば、ユーザ入力13により、ユーザは、表示されたカーソルをキーボードまたはマウスを用いて移動させることによる3次元環境内での視点の変更が可能になる。他の種類のユーザ入力13としては、ジョイスティックや感圧スクリーンなどが含まれるが、それらに限定はしない。グラフィックス処理ユニット10がデータオブジェクトの表現画像を生成してもよいし、表現画像データはメモリ14内に記憶され、データオブジェクトデータベースにリンクされてもよい。
【0014】
図2Aは、本発明の分配方法の第1の実施形態を示す。この方法では、1グループの表現画像が、3次元グラフィック環境内において隔壁によって画定された領域内に表示するために、分配される。図2Bは、高さおよび幅をそれぞれ有するN個の画像を示す。図2Cは、隔壁P1〜P6を有し、画像をそれらの隔壁の中に分配すべき、3次元グラフィック環境内の一領域Xを示す。ただし、隔壁P1〜P6は、共通の高さhPを有し、幅a〜fをそれぞれ有する。まず、各画像の寸法をその画像の元の縦横比を維持しつつ拡大縮小し、各画像の拡大縮小された寸法を得る(ブロック20)。例えば画像の拡大縮小は、全画像について共通の高さ(または幅)を選択し、それに応じて、画像の縦横比を維持しつつ幅(または高さ)を拡大縮小することによって行うことができる。3次元画像の場合、第3の寸法も比例して拡大縮小されることに注意して欲しい。例えば、幅Wlおよび高さHlを有する画像Ilの場合、選択された高さhに対し、下記の式1を用いて拡大縮小された幅
【0015】
【数1】

【0016】
を判定することができる。
【0017】
【数2】

【0018】
次に、この拡大縮小された寸法に基づいて、画像重み係数を判定する(図2Aのブロック21)。具体的には、各画像jについて画像重み係数WjIを判定する。ただし、j=1,2,…Nである。同様にして、各隔壁に関する表示寸法に基づいて、隔壁重み係数を判定する(図2Aのブロック22)。具体的には、各隔壁kについて隔壁重み係数WkPを判定する。ただし、k=1,2,…Mである。この開示によると、表示寸法は、画像を表示するときに合わせる寸法に対応する。例えば、画像を隔壁の横方向の寸法に合わせて表示する場合、表示寸法は隔壁の幅になる。あるいは、画像を隔壁の縦方向の寸法に合わせて表示する場合、表示寸法は隔壁の高さになる。最後に、少なくとも1つの画像重み係数を各隔壁重み係数と比較することにより、画像を隔壁に分配する(図2Aのブロック23)。
【0019】
図3は、本発明による画像の分配方法の第2の実施形態を示す。この方法では、まず画像をその画像の元の縦横比を維持しつつ拡大縮小し、拡大縮小された幅を得る(ブロック30)。一実施形態では、全画像の高さが隔壁の共通の高さhPよりも低い選択された高さhに設定される。画像は、それらの隔壁上またはその近くに分配されて表示されることになる。式1に従って、各画像Ilの縦横比を維持しつつ各画像の幅を拡大縮小し、拡大縮小された幅
【0020】
【数3】

【0021】
を得る。
【0022】
次に、画像重み係数を判定する(ブロック31)。各画像重み係数は、異なる1組の連続した画像に対応し、その連続した1組の画像の拡大縮小された幅を累積したものに比例する。最初のj個の画像の組を累積した画像重み係数WjIは、式2に従って判定される。ただし、j=1,2,…Nであり、最初のj個の画像を累積した組は画像I1からIjまでを含む。
【0023】
【数4】

【0024】
表1は、画像の連続した組に関する画像重み係数の例を示す。
【0025】
【表1】

【0026】
同様に、隔壁重み係数を判定する(ブロック32)。各隔壁重み係数は、異なる1組の連続した隔壁に対応し、その連続した隔壁の隔壁幅を累積したものに比例する。隔壁重み係数WkPは、隔壁のk個の連続した組について、式3に従って判定される。
【0027】
【数5】

【0028】
ただし、k=1,2,…Mであり、隔壁iは重みwiを有し、隔壁の各組は隔壁P1からPkまでを含む。図2Cに示す区分された領域は幅a〜fをそれぞれ有する隔壁P1〜P6を有し、この領域の場合、隔壁重み係数は以下の表2のようになる。
【0029】
【表2】

【0030】
上記のように、画像重み係数および隔壁重み係数は、すべて非負の数値であり、索引値の増加に従って減少することがない数値である。すなわち、W1I≦W2I≦…WNIであり、W1P≦W2P≦…WMPである。
【0031】
画像重み係数を隔壁重み係数と比較する。具体的には、各隔壁重み係数を所定の関数関係に従って1つの画像重み係数に対応付け(ブロック33)、それらの対応する画像重み係数に応じて画像を分配する。この関数関係に基づく重み係数の対応付けにより、区画領域内での画像重み(したがって画像)の分配のバランスを、その領域内の隔壁重みの分配に応じて効率的にとることができる。例えば、まず、式4に示すような第1の隔壁重み係数W1Pを少なくとも1つの画像重み係数と比較する。
【0032】
【数6】

【0033】
すなわち、W1I,W2I,…,WNIのうちの少なくとも1つをW1Pと比較し、次いで、この比較に応じて、画像をこの隔壁に分配する。同様に、W2Pを画像重み係数W1I,W2I,…,WNIのうちの少なくとも1つと比較し、次いで、この比較および既に分配された画像に応じて、画像をこの隔壁に分配する。
【0034】
一実施形態において、この関数関係は、画像重み係数のうちの1つと各隔壁重み係数との間の最小絶対差である。換言すると、各隔壁重み係数WlPを少なくとも1つの画像重み係数と比較する際、各隔壁について、所望の関数関係を満たす画像重み係数WkIは、|WkI−WlP|を最小にする画像重み係数に対応する。例えば、第1の隔壁重み係数W1Pを連続した画像重み係数W1I,W2I,…,WNIと比較したときに、次の関係、すなわち|W1I−W1P|>|W3I−W1P|、|W2I−W1P|>|W3I−W1P|、および|W4I−W1P|>|W3I−W1P|が認められたものと仮定する。画像重み係数が累積的なので、k=4よりも大きな索引値を有する画像重み係数はいずれも、絶対差が|W3I−W1P|よりも大きくなる。従って、画像重み係数W3Iが隔壁重み係数W1Pに対応付けられ、画像重み係数W3Iに対応する画像(すなわちI1、I2、およびI3)が隔壁重み係数W1Pに対応する隔壁に分配される。残りの隔壁についても、同様にして画像が分配される。上記例では、第2の隔壁重み係数W2Pが更に第3の画像重み係数W3Iに対応すると、第2の隔壁上には、画像が何も分配されないことに注意して欲しい。
【0035】
他の実施形態において、関数関係は、隔壁重み係数よりも小さい最大の画像重み係数である。したがって、図3に示した方法によると、ブロック33は、画像重み係数と隔壁重み係数を比較し、隔壁重み係数よりも小さい最大の画像重み係数に対応付けるように実施され、画像は、この重み係数の対応付けに応じて分配される。例えば、隔壁重み係数W1Pを画像重み係数W1I,W2I,…,WNIと比較したときに、次の関係、すなわちW1I<W1P、W2I<W1P、およびW3I>W1Pが認められたものと仮定する。したがって、W1Pよりも小さい最大の画像重み係数はW2Iであるから、W1PはW2Iに対応付けられる。その結果、画像I1と画像I2の結合重みが隔壁P1の重みよりも小さくなるので、画像I1および画像I2は隔壁P1に分配される。次の隔壁P2について考えると、累積隔壁重み係数W2Pを画像重み係数W1I,W2I,…,WNIのうちの少なくとも1つと比較して、対応付けを行なう。しかしながら、画像I1および画像I2はすでに割り当てられているので、W2Pは、まだ割り当てられていない画像に対応する画像重み係数、すなわちW3I,W4I,…,WNIと比較される。この場合、次の関係、すなわちW3I<W2P、W4I<W2P、W5I<W2P、およびW6I>W2Pが認められる。したがって、W2Pよりも小さい最大の画像重み係数はW5Iになる。したがって、画像I3、I4、およびI5は、隔壁P2に割り当てられる。
【0036】
画像および隔壁のインデックス付けおよび順序付けは必ずしも固定される必要がなく、画像を隔壁に最良に分配するために変更してもよいことに注意して欲しい。
【0037】
図4は、3次元グラフィック環境の中に領域を画定する隔壁に対し表現画像を分配する装置の一実施形態を示す。この装置は、画像寸法拡大縮小器40、重み係数生成器41、および画像分配器42を含む。画像寸法拡大縮小器40は、画像の寸法40Aを受け取り、新しく拡大縮小された寸法41Aを生成する。重み係数発生器41は、拡大縮小された寸法41Aに応じて画像重み係数42Aを生成するとともに、隔壁の寸法41Bに応じて隔壁重み係数42Bを生成する。画像分配器42は、画像重み係数と隔壁重み係数とを比較し、その画像重み係数と隔壁重み係数との比較に応じて画像を分配する。図4に示す装置は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのいずれの組み合わせで実施してもよいものと解釈しなければならない。
【0038】
本発明の方法の他の実施形態では、「Layout Design Apparatus and Method for Three-Dimensional Graphical Environments」と題した同時係属の出願(2001年10月30日に出願され、本出願の譲受人に譲渡された、代理人整理番号第10014330号)に記載されているように、まず3次元グラフィック環境をデータオブジェクトメタデータに従って領域に区分し、次いでメタデータに従ってグループ分けされた画像を、図2Aまたは図3に示したような方法に従って対応する各領域に分配する。
【0039】
図5Aは、3次元グラフィック環境を区分し、区分された3次元環境の領域の中へ画像を分配する方法の一実施形態を示す。この方法では、オブジェクトのデータベースを、オブジェクトのメタデータから導出された階層ツリーで表現することにより、3次元グラフィック環境を区分する(ブロック50)。未分割の3次元グラフィック環境に対応する領域に、所定のノードを事前に割り当てる(ブロック51)。次いで、その所定のノードから開始して、ツリー内で少なくとも2つの子ノードを有する各親ノードに対応する各領域について、その領域を子ノードのそれぞれに対応する複数の領域へと、その領域がその子ノードの重みに比例するようにして、再帰的に分割する(ブロック52)。
【0040】
図5Bは、階層ツリーで表現されたデータベースの例を示す。このツリーは、複数のノード54、55A、55B、56A〜56C、56D〜56F、および57を含む。それらのツリーのノードは、ツリー内の他のノードとの関係に応じて、親ノードに分類されることも、子ノードに分類されることもある。例えば、ノード54は子ノード55Aおよび55Bに対して親ノードであり、ノード55Aは子ノード56A〜56Cに対して親ノードであり、ノード55Bは子ノード56D〜56Fに対して親ノードである。ノード57は、データベース内のデータオブジェクトのうちの1つにそれぞれ対応するデータオブジェクトノードである。したがって、ノード56A〜56Fはそれぞれ、対応する1グループのデータオブジェクト子ノードの親ノードになっている。
【0041】
また、ノード54〜56はそれぞれ、データオブジェクトノード57を分類するのに使用される様々なメタデータの種類に対応する。例えば、ノード55は、製品の機能の種類に対応し、計算型製品と画像処理型製品とを含む。計算型製品ノードの下にあるのは、ノートブック、ハンドヘルド、およびデスクトップを含む、機器型ノードの第1の集合である。画像処理型製品ノードの下にあるのは、スキャナ、プリンタ、およびカメラを含む、機器型ノードの第2の集合である。それらの機器型ノードのそれぞれの下にあるのは、データベース内のデータオブジェクトに対応した実際の各製品である。
【0042】
ツリーの各ノードは、そのノードに関連付けられたデータオブジェクトの重み付けによって決まる重みを有する。所与のノードの重みは、そのツリー内の連続した経路を全てデータオブジェクトノードまで下方にたどり、その連続した経路に沿ってその所与のノードに関連付けられたデータオブジェクトの重みを結合したものを判定することにより判定される。例えば、この例において各データオブジェクトノードの重みが1であると仮定した場合、ノード56Aの重みはW=4であり、ノード56Bの重みはW=2であり、ノード56Cの重みはW=3であり、ノード56Dの重みはW=4であり、ノード56Eの重みはW=2であり、ノード56Fの重みはW=5である。したがって、ノード55Aおよび55Bのそれぞれからデータオブジェクトノード57までツリー内の連続した経路を全てたどることにより、ノード55Aの重みはW=9になり、ノード55Bの重みはW=11になる。ノードは、ユーザの好みやシステムのデフォルト設定、またはその他のノード重み付け方法に従って、さまざまな方法で重み付けすることができる点に注意して欲しい。例えば、オブジェクトノードの重みは1より大きくてもよく、オブジェクトノード以外のノード(例えば54〜56)の中には、それに関連付けられたデータオブジェクトの重みとは無関係の重み要素を更に有しているものがあってもよい。そのため、ノードの重み判定は、そのノードに関連するデータオブジェクトの重みだけでなく、ツリーのノードを最初に重み付けする方法によっても異なる場合がある。その他、ノードの重みは、そのノードに関連するデータオブジェクトの重みに間接的に関係する場合もある。
【0043】
図5Cは、図5Bに示した階層ツリーを用い、本発明の方法に従って区分された3次元グラフィック環境のレイアウトに対応する2次元領域の例である。この例では、データベースのオブジェクトを電気製品、それらの機能、および機器タイプからなる3つのメタデータの種類に従ってグループ分けすることにより、オブジェクトのデータベースをメタデータから導出された階層ツリーで表現する。次に、ツリーの最上位のノードであるノード54を未分割の3次元グラフィック環境に事前に割り当てる。この例の場合、未分割の3次元環境は、頂点A、I、J、D(図5C)によって画定された2次元領域58に対応する。ノード54は、ノード55Aおよび55Bを含む少なくとも2つの子ノードを有する親ノードである。子ノード55Aおよび55Bは、重みW=9およびW=11をそれぞれ有する。次に、ノード54から開始して、領域58を隔壁58Aで分割し、ノード55Aおよび55Bの重みにそれぞれ比例した2つの領域を形成する。一方の領域は計算型製品に対応し、他方の領域は画像処理型製品に対応する。具体的には、計算型製品に対応する領域は領域58全体の9/20であり、画像処理型製品に対応する領域は領域58全体の11/20である。同様に、ツリー内の次の親ノードであるノード55Aに関連する計算型製品領域(図5C)は、隔壁59Aおよび59Bにより、ノード56A〜56Cの重みに応じて比例分割される。また、最後の親ノード55Bに関連付けられた画像処理型製品領域(図5C)は、隔壁60Aおよび60Bにより、ノード56D〜56Fの重みに応じて比例分割される。
【0044】
ブロック50〜52(図5A)に従って3次元グラフィック環境を区分した後、グループ分けされた表現画像を、図2Aまたは図3に示す方法に従って、メタデータに従って領域内に分配する(ブロック53)。例えば、図5Bおよび図5Cの場合、データオブジェクトノード57は、ツリーのメタデータグループ分けに従ってグループ分けされる。メタデータに関連してグループ分けされたノードの表現画像は、環境の区分に応じて、その環境内の特定の領域に関連付けられる。例えば、図5Cに示すように、親ノード56A(ノートブック製品に対応する)の4つの子オブジェクトノードが、頂点ABFE(図5C)によって画定された領域に関連付けられる。したがって、ノートブック製品データオブジェクトノードに関連付けられたデータオブジェクトの表現画像は、図2Aまたは図3に示す方法に従って、その領域内に分配される。
【0045】
図2Bには隔壁が接した状態で図示されているが、領域を画定する隔壁間には、例えば、他の領域への出入口を表すギャップがあってもよいものと解釈すべきである。さらに、領域の形状が必ずしも矩形である必要は無いことに注意して欲しい。さらに、説明した方法および装置の例は、各隔壁について横方向一行の画像または縦方向一列の画像を分配するものであったが、一枚の隔壁について、複数ライン(必ずしも横方向または縦方向である必要はない)の画像を分配することもできるものと解釈すべきである。その場合、上で述べたように、対応付けられた重み係数画像および隔壁重み係数に従って画像を分配した後、さらに各隔壁に割り当てられた画像をそれら隔壁に対応する下位区分の隔壁に分配することができる。
【0046】
また、領域Xを画定するために図2Bに示すような方法で隔壁が配置される必要は、必ずしもないと解釈すべきである。例えば、隔壁は、互いに相手の上に積み重ねたり、斜めに積み重ねたりしてもよく、直接接続されず、接していなくてもよい。
【0047】
さらに、図2A、図3、および図5Aに記した方法によると、画像を拡大縮小して、拡大縮小された寸法が判定されると考えられる。しかしながら、1つの共通の寸法に対して全画像を拡大縮小する必要は必ずしもなく、拡大縮小を行なう必要が全くないこともある。例えば、共通寸法以下の寸法を有する画像は拡大する必要がなく、それ以外の画像が全て共通寸法に縮小される。
【0048】
この実施形態では、オブジェクトがメタデータに従ってグループ分けされ、領域がオブジェクトのメタデータグループ分けに従って区分されるため、隔壁によって画定される領域のサイズは、その領域内に分配すべきオブジェクト数に適合したサイズに自動的に設定される(環境全体のサイズに、その中に分配される全てのオブジェクトを収容するようなサイズが選択されるものと仮定した場合)。これにより、ブロック53(図5A)に従って表現画像を分配する際に、隔壁の表示寸法がその隔壁内に表示すべき画像のグループを収容するのに十分な大きさになることが保証される。
【0049】
上記の説明では、本発明を完全に理解してもらう目的で、多数の具体的な詳細について説明した。しかしながら、当業者であれば、本発明を実施する上でそれらの特定の詳細を用いる必要が必ずしもないことは、明らかであろう。その他、既知の技術については、本発明を不必要に分かりにくくすることを避けるため、詳細に説明していない。
【0050】
また、本発明の要素は特定の実施形態と共に説明されているが、当然ながら、本発明は他にも様々な方法で実施できることができる。したがって、例示目的で図示・説明した特定の実施形態に限定の意図は全くない。それら特定の実施形態の詳細を参照することに、本発明にとって重要だと考えられる特徴のみを列挙した特許請求の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】3次元グラフィック環境をレンダリングして表示する従来技術のシステムを示す図である。
【図2A】3次元グラフィック環境において表現画像を隔壁によって画定された領域内に分配するための、本発明による方法の第1の実施形態を示す図である。
【図2B】異なる寸法を有する複数の画像の例を示す図である。
【図2C】隔壁によって画定された領域の例を示す図である。
【図3】3次元グラフィック環境において表現画像を隔壁によって画定された領域内に分配するための、本発明による方法の第2の実施形態を示す図である。
【図4】3次元グラフィック環境において表現画像を隔壁によって画定された領域内に分配するための、本発明による装置の一実施形態を示す図である。
【図5A】3次元グラフィック環境を区分し、その環境内に画像を分配する際の、本発明の一実施形態を示す図である。
【図5B】階層ツリーで表現されたオブジェクトのデータベースを示す図である。
【図5C】図5Aに示した方法に従って区分された3次元グラフィック領域を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベース内の1グループのオブジェクトの表現画像を、3次元グラフィック環境内の複数の隔壁によって画定された領域内に表示するために、分配する方法であって、
各画像について、元の縦横比を維持しつつその画像を拡大縮小し、拡大縮小された寸法を得ることと(21)、
拡大縮小された寸法に基づいて画像重み係数を判定することと(22)、
各隔壁に関連する表示寸法に基づいて隔壁重み係数を判定することと(23)、
少なくとも1つの画像重み係数と各隔壁重み係数との比較に応じて、連続した隔壁に画像を分配することと(24)
からなる方法。
【請求項2】
前記画像を分配することは、所定の関数関係に従って各隔壁重み係数を1つの画像重み係数に対応付けることを更に含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記拡大縮小された寸法が画像の幅であり(30)、前記表示寸法が隔壁の幅である(31)、請求項1の方法。
【請求項4】
前記関数関係が各隔壁重み係数よりも小さい最大の画像重み係数である、請求項1の方法。
【請求項5】
前記関数関係が前記画像重み係数と各隔壁重み係数とのい間の絶対差を最小にする画像重み係数である、請求項1の方法。
【請求項6】
画像は、画像の高さを全て前記隔壁の共通の高さ以下の高さである共通の高さに設定することにより、拡大縮小される、請求項1の方法。
【請求項7】
データベース内の複数のデータオブジェクトの表現画像を3次元グラフィック環境内に表示する方法であって、
オブジェクトのデータベースをオブジェクトメタデータから導出されたオブジェクトノードを含む階層ツリーで表現し(50)、前記環境を隔壁によって画定された複数の領域へと、該領域がオブジェクトノードの重みに比例するようにして再帰的に区分することにより(51,52)、前記環境を区分することと、
表現画像のグループを前記複数の領域のそれぞれの中に分配することと
からなり、前記分配することは、
前記グループ内の各画像について、該画像の元の縦横比を維持しつつ拡大縮小された寸法を得て(30)、
拡大縮小された幅に基づいて前記画像のグループについて画像重み係数を判定し(31)、
各隔壁の隔壁幅に基づいて隔壁重み係数を判定し(32)、
所定の関数関係に応じて各隔壁重み係数を1つの画像重み係数に対応付けることにより前記画像のグループを連続した隔壁に分配すること(33)、
によって実施される、方法。
【請求項8】
前記関数関係は、各隔壁重み係数よりも小さい最大の画像重み係数である、請求項6の方法。
【請求項9】
前記関数関係は、前記画像重み係数と各隔壁重み係数との間の絶対差を最小にする画像重み係数である、請求項6の方法。
【請求項10】
画像は、画像の高さを全て前記隔壁の共通高さ以下の高さである共通の高さに設定することにより、拡大縮小される、請求項6の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2006−504150(P2006−504150A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−540940(P2003−540940)
【出願日】平成14年10月29日(2002.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2002/034578
【国際公開番号】WO2003/038760
【国際公開日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願人】(398038580)ヒューレット・パッカード・カンパニー (91)
【氏名又は名称原語表記】HEWLETT−PACKARD COMPANY
【Fターム(参考)】