表示オブジェクト管理装置、表示オブジェクト管理プログラム
【課題】仮想付箋紙の煩雑な表示を回避し、自由度の高い仮想付箋紙の作成操作を行う。
【解決手段】仮想付箋紙入力表示システムは、サーバーのCPUにより、SS5で貼付基準位置を取得し、SS10で新規の仮想付箋紙に記入するストロークデータを取得し、SS15でストロークデータを分割して変換し、SS25で新規貼付領域を初期的に設定し、SS30で貼付基準位置に位置する初期的な新規貼付領域が既存貼付領域と重複するかを判定し、SS50,SS60で貼付基準位置から重複する既存貼付領域までの間距離を検出し、SS55,SS65でこれら離間距離に基づいて、新規貼付領域が既存貼付領域と重複しないよう大きさを変更し、SS70で変更した新規貼付領域で新規の仮想付箋紙を貼付表示する。
【解決手段】仮想付箋紙入力表示システムは、サーバーのCPUにより、SS5で貼付基準位置を取得し、SS10で新規の仮想付箋紙に記入するストロークデータを取得し、SS15でストロークデータを分割して変換し、SS25で新規貼付領域を初期的に設定し、SS30で貼付基準位置に位置する初期的な新規貼付領域が既存貼付領域と重複するかを判定し、SS50,SS60で貼付基準位置から重複する既存貼付領域までの間距離を検出し、SS55,SS65でこれら離間距離に基づいて、新規貼付領域が既存貼付領域と重複しないよう大きさを変更し、SS70で変更した新規貼付領域で新規の仮想付箋紙を貼付表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上において文書情報を表示する表示オブジェクトの表示及び追記入力が可能な表示オブジェクト管理装置、及び表示オブジェクト管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、パーソナルコンピュータなどの情報機器の表示画面上において、文字列などの文書情報を記入した表示オブジェクトを仮想的な付箋紙として作成し表示するアプリケーション、又はWEBサービスが普及している。
【0003】
また、使用者が実際に筆記具でメモ用紙等に筆記したメモの記載内容を、スキャナやデジタルカメラなどで光学的に画像データとして取り込み、当該画像データを適宜に視認可能な大きさに調整して表示画面上の上記仮想付箋紙に表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−145887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、表示画面上に新規の仮想付箋紙を貼付表示する場合には、既存の仮想付箋紙の視認性を確保するようできるだけ重複しない配置で貼付表示する必要がある。しかしながら、表示画面上の所定箇所にすでに多数の仮想付箋紙が集中して貼付表示されている状態では、当該箇所において上述した重複を回避するよう新規の仮想付箋紙を貼付できる領域が狭い範囲に限定されてしまう。
【0006】
上記従来技術によれば、画像データとともに仮想付箋紙全体を縮小することで上記狭い範囲の限定領域に貼付表示することも可能である。しかし、この場合には当該画像データに記載されている手書きの文字画像も縮小されてしまうため、記載内容の視認性が低下して表示が煩雑となる。このような不都合を避けるためには、使用者の意図に反して他の余裕のある箇所に新規の仮想付箋紙を貼付表示させる必要があった。
【0007】
本発明の目的は、表示オブジェクトの煩雑な表示を回避して、自由度の高い表示オブジェクトの作成操作が可能な表示オブジェクト管理装置、及び表示オブジェクト管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、被筆記具への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置であって、前記表示手段の表示領域座標において、使用者により新規の表示オブジェクトを貼付表示する際に指定された貼付領域の基準位置を取得する貼付基準位置取得手段と、前記新規の表示オブジェクトに記入するデータとして、前記外部の操作端末からの前記位置情報の受信結果に基づき、前記電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得するストロークデータ取得手段と、前記ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換するデータ変換手段と、前記データ変換手段により変換された前記文字画像データ列の所定の表示倍率での列記長さに応じて、前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する初期領域設定手段と、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置に、前記初期領域設定手段で設定した初期的な大きさの前記新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の判定方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複するかを判定する重複判定手段と、前記重複判定手段が重複すると判定した場合に、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置から、前記重複判定手段が重複すると判定した前記既存貼付領域までの前記所定の判定方向での離間距離を検出する離間距離検出手段と、前記離間距離検出手段で検出した前記所定の判定方向での離間距離に基づいて、前記新規貼付領域が前記基準位置に位置した際に前記所定の判定方向で前記既存貼付領域と重複しないよう、前記新規貼付領域の大きさを変更する貼付領域変更手段と、前記貼付領域変更手段が変更した前記新規貼付領域の大きさで、前記文字画像データ列の全ての前記文字画像データが前記所定の表示倍率で列記可能である場合、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置で、当該新規貼付領域に前記全ての文字画像データを列記した前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本願第1発明においては、電子筆記具の被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示できる。
【0010】
表示手段には、その表示領域中において使用者が任意の位置に複数の表示オブジェクトを作成し、その存在領域中に任意の文字データをストロークデータの形態で入力して表示させることができる。なお、このストロークデータは、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して扱われる。また、新規の表示オブジェクトを作成して貼付する際には、既存の表示オブジェクトが貼付表示されている領域に重複しないよう貼付位置を制限することが望ましい。このように、表示手段は表示オブジェクトアプリケーションの表示に利用できる。
【0011】
そこで本願第1発明においては、貼付基準位置取得手段が、使用者により指定された新規の表示オブジェクトの貼付領域の基準位置を取得する。また、上記外部の操作端末からの位置情報の受信結果に基づいて、ストロークデータ取得手段が電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得する。また、データ変換手段が、ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換する。また、初期領域設定手段が、文字画像データ列を所定の表示倍率で所定間隔で並べた列記長さに応じて、新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する。
【0012】
ここで、上記基準位置に、初期的な大きさの新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の判定方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複しなければそのまま貼付表示できる。しかし、重複判定手段が重複すると判定した場合に、そのまま新規の表示オブジェクトを貼付表示すると、既存の表示オブジェクトに記入されている文字データが当該新規の表示オブジェクトに覆われて見えなくなる。
【0013】
そこで、離間距離検出手段によって、基準位置から、既存貼付領域までの所定の判定方向での離間距離を検出する。また、貼付領域変更手段が、この検出した離間距離に基づいて、新規貼付領域が基準位置に位置した際に上記所定の判定方向で既存貼付領域と重複しないように新規貼付領域の大きさを変更する。そして、新規貼付手段が、変更した新規貼付領域の大きさで、文字画像データ列の全ての文字画像データが所定の表示倍率で列記可能であるか否かを判定し、列記可能であれば基準位置に新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示する。
【0014】
これにより本願第1発明は、既存の表示オブジェクトと重複させることなく、文字画像データ列の表示倍率を維持したまま使用者が指定した基準位置に新規の表示オブジェクトを貼付表示できる。この結果、表示オブジェクトの煩雑な表示を回避して、自由度の高い表示オブジェクトの作成操作が可能となる。
【0015】
第2の発明は、上記第1発明において、前記データ変換手段は、前記ストロークデータを前記文字画像データ列に変換する際に前記文字画像データの列記方向を判定する列記方向判定手段を備えており、前記初期領域設定手段は、前記列記方向判定手段で判定した前記列記方向での前記文字画像データ列の列記長さが所定の初期長さに収まるよう、当該列記方向に対応する改行方向で改行して前記文字画像データを配置することで新規貼付領域の初期的な大きさを設定することを特徴とする。
【0016】
本願第2発明においては、データ変換手段が備える列記方向判定手段が、文字画像データの列記方向が横書きの場合の右方向であるか、縦書きの場合の下方向であるかを判定する。初期領域設定手段は、上記列記方向での文字画像データ列の列記長さが所定の初期長さに収まるよう、当該列記方向に対応する改行方向で改行して文字画像データを配置する。ここで改行方向は、上記列記方向が横書きの右方向である場合には下方向となり、上記列記方向が縦書きの下方向である場合には左方向となる。このようにして、列記方向と改行方向で全ての文字画像データを配置した場合の大きさを、新規貼付領域の初期的な大きさとして設定する。これにより、新規の表示オブジェクトを自然な矩形形状で初期的に設定でき、使用者がその貼付位置を指定する際にもその形状を想定した位置の指定が容易となる。
【0017】
第3の発明は、上記第2発明において、前記重複判定手段が重複すると判定した場合に、前記離間距離検出手段は、前記列記方向及び前記改行方向の両方を前記所定の判定方向としてそれぞれの前記離間距離を検出することを特徴とする。
【0018】
本願第3発明においては、離間距離検出手段が、上記基準位置から上記列記方向と上記改行方向の両方で離間距離を検出する。これにより、文字画像データ列が横書きである場合と縦書きである場合のそれぞれに適切に対応した離間距離の検出が可能となる。
【0019】
第4の発明は、上記第2又は第3発明において、データ変換手段は、1つの文節を構成する連続した複数の文字画像データを新たに1つの文字画像データとしてまとめることを特徴とする。
【0020】
本願第4発明においては、文字画像データ列の改行箇所においても1つの文節を構成する複数の文字画像データを引き離すことがないため、文字画像データ列を自然な区切りで改行して読ませることができる。
【0021】
また、上記目的を達成するために、第5の発明は、被筆記具への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置に備えられた制御手段に対し、前記表示手段の表示領域座標において、使用者により新規の表示オブジェクトを貼付表示する際に指定された貼付領域の基準位置を取得する貼付基準位置取得手順と、前記新規の表示オブジェクトに記入するデータとして、前記外部の操作端末からの前記位置情報の受信結果に基づき、前記電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得するストロークデータ取得手順と、前記ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換するデータ変換手順と、前記データ変換手順により変換された前記文字画像データ列の所定の表示倍率での列記長さに応じて、前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する初期領域設定手順と、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置に、前記初期領域設定手順で設定した初期的な大きさの前記新規貼付領域に新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複するかを判定する重複判定手順と、前記重複判定手順が重複すると判定した場合に、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置から、前記重複判定手順が重複すると判定した前記既存貼付領域までの前記所定の判定方向での離間距離を検出する離間距離検出手順と、前記離間距離検出手順で検出した前記所定の判定方向での離間距離に基づいて、前記新規貼付領域が前記基準位置に貼付表示した際に前記所定の判定方向で前記既存貼付領域と重複しないよう、前記新規貼付領域の大きさを変更する貼付領域変更手順と、前記貼付領域変更手順が変更した前記新規貼付領域の大きさで、前記文字画像データ列の全ての前記文字画像データが前記所定の表示倍率で列記可能である場合、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置で、当該新規貼付領域に前記全ての文字画像データを列記した前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付手順と、を実行させる。
【0022】
本願第5発明においては、表示オブジェクト管理装置が、電子筆記具の被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示できる。
【0023】
表示手段には、その表示領域中において使用者が任意の位置に複数の表示オブジェクトを作成し、その存在領域中に任意の文字データをストロークデータの形態で入力して表示させることができる。なお、このストロークデータは、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して扱われる。また、新規の表示オブジェクトを作成して貼付する際には、既存の表示オブジェクトが貼付表示されている領域に重複しないよう貼付位置を制限することが望ましい。このように、表示手段は表示オブジェクトアプリケーションの表示に利用できる。
【0024】
そこで本願第5発明においては、貼付基準位置取得手順が、使用者により指定された新規の表示オブジェクトの貼付領域の基準位置を取得する。また、上記外部の操作端末からの位置情報の受信結果に基づいて、ストロークデータ取得手順が電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得する。また、データ変換手順が、ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換する。また、初期領域設定手順が、文字画像データ列を所定の表示倍率で所定間隔で並べた列記長さに応じて、新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する。
【0025】
ここで、上記基準位置に、初期的な大きさの新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の判定方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複しなければそのまま貼付表示できる。しかし、重複判定手順が重複すると判定した場合に、そのまま新規の表示オブジェクトを貼付表示すると、既存の表示オブジェクトに記入されている文字データが当該新規の表示オブジェクトに覆われて見えなくなる。
【0026】
そこで、離間距離検出手順によって、基準位置から、既存貼付領域までの所定の判定方向での離間距離を検出する。また、貼付領域変更手順が、この検出した離間距離に基づいて、新規貼付領域が基準位置に位置した際に上記所定の判定方向で既存貼付領域と重複しないように新規貼付領域の大きさを変更する。そして、新規貼付手順が、変更した新規貼付領域の大きさで、文字画像データ列の全ての文字画像データが所定の表示倍率で列記可能であるか否かを判定し、列記可能であれば基準位置に新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示する。
【0027】
これにより本願第5発明は、既存の表示オブジェクトと重複させることなく、文字画像データ列の表示倍率を維持したまま使用者が指定した基準位置に新規の表示オブジェクトを貼付表示できる。この結果、表示オブジェクトの煩雑な表示を回避して、自由度の高い表示オブジェクトの作成操作が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、表示オブジェクトの煩雑な表示を回避して、自由度の高い表示オブジェクトの作成操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態の表示オブジェクト管理装置を備えた仮想付箋紙入力表示システムの概略的構成を示す図である。
【図2】書き込みパネルの使用時の様子を表す、概念的平面図及び概念的側面図である。
【図3】電子ペンの内部構成を表す概念的平面図である。
【図4】書き込みパネルの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図5】コイルシートの内部構成を表す概念的平面図である。
【図6】仮想付箋紙アプリケーションの表示例を表す図である。
【図7】書き込みパネルへのストロークデータの筆記入力例を表す図である。
【図8】貼付領域の初期設定について説明する図である。
【図9】新規貼付領域と既存貼付領域の重複について説明する図である。
【図10】列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離を表す図である。
【図11】初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが列記方向で重複する場合の変形手法を説明する図である。
【図12】変形後の新規貼付領域と既存貼付領域とが重複する場合と重複しない場合のそれぞれの処理を説明する図である。
【図13】初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが改行方向で重複する場合の変形手法を説明する図である。
【図14】縦書きの列記態様で、初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが列記方向と改行方向で重複するそれぞれの場合の変形手法を説明する図である。
【図15】サーバーのCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図16】文字画像データを1文字分でまとめた場合と、文節ごとにまとめた場合のそれぞれで改行した状態を表す図である。
【図17】各書き込みパネルがパーソナルコンピュータを備える仮想付箋紙入力表示システムの概略的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0031】
本発明の表示オブジェクト管理装置を備えた本実施形態における仮想付箋紙入力表示システムSは、図1に示すように、通信ネットワークNWを介して相互に情報を送受可能に接続された複数の書き込みパネル1とサーバー2、及び表示装置3とを有する。外部の操作端末である書き込みパネル1は、電子ペン11とパネル装置12とを有しており、使用者が電子筆記具である電子ペン11を利用してパネル装置12に筆記入力したストロークデータを電子的に入力するとともに、当該ストロークデータを記入した表示オブジェクトとしての仮想付箋紙の作成及び表示を行う操作端末である。表示オブジェクト管理装置であるサーバー2は、一般的なコンピュータで構成されて後述の仮想付箋紙アプリケーションを処理する情報処理機器であり、各書き込みパネル1から送信されたストロークデータと各種指令に基づいて作成された仮想付箋紙を管理し、それら仮想付箋紙を表示手段である表示装置3に表示する。表示装置3の表示画面上では、各書き込みパネル1の操作により作成された複数の仮想付箋紙が同一の仮想の掲示板上に貼付表示され、各書き込みパネル1のそれぞれの使用者が当該表示装置3の表示を共有して閲覧する。なお、図示する例では、各書き込みパネル1とサーバー2を接続する通信ネットワークNWがケーブルを介した有線ネットワークで構成されているが、他にも無線ネットワークを介して接続してもよい。
【0032】
パネル装置12は、図2(a)、図2(b)に示すように、液晶パネル13と、その裏側に重なるよう配置して一体に固定されているパネル本体14とを有している。被筆記具である液晶パネル13は、全体が磁界を通過可能に構成されており、その表示領域はパネル本体14とほぼ同等の大きさに形成されている。パネル本体14は、その内部に当該パネル本体14とほぼ同等の大きさのコイルシート100が備えられている。
【0033】
使用者は、電子ペン11を用いて液晶パネルの筆記面に手書きの所望の文字列等を筆記する。この筆記動作に対応した電子ペン11の移動により、筆記された筆記内容に対応した電子的な入力情報、すなわち後述のストロークデータが電子ファイルに保存される。
【0034】
使用者が書き込みパネル1を使用する際には、電子ペン11に備えられた図示しない電源スイッチがオンされる。電子筆記具である電子ペン11は、図3及び図4に示すように、永久磁石47と、磁界送信用コイル44及びコンデンサ45を備えた、位置信号生成手段であるLC発振回路41と、先端スイッチ42と、電子ペン11全体の制御を行う制御部46及び上記コンデンサ45が配置された制御基板40と、電池43とを有する。なお、磁界送信用コイルを備えた位置信号生成手段としては、上記LC発振回路41のような発振回路に限られず、共振回路でもよい。
【0035】
先端スイッチ42は、電子ペン11の先端の液晶パネル13への接触状態に応じて動作し、コイル44からの交番磁界(後述)の周波数を変更するための指令信号S0を、制御部46に対して出力するスイッチである。この先端スイッチ42は、使用者が文字等を筆記するために、電子ペン11の先端を液晶パネル13に押しつけた(ペンダウンした)ときにオンとなる。この場合、制御部46に対して指令信号S0が出力される。一方、使用者が文字等の筆記を止め、電子ペン11の先端を液晶パネル13から離した(ペンアップした)ときにオフとなる。この場合、制御部46に対して指令信号S0は出力されない。
【0036】
LC発振回路41は、移動位置検出用の位置信号である交番磁界(以下適宜、単に「磁界」と称する)を生成して出力するための回路である。LC発振回路41のコイル44は、永久磁石47に巻回するように配置されると共に、コンデンサ45と電気的に接続されており、LC発振回路41で生成された所定の周波数の磁界を発生する。LC発振回路41がコイル44から発生させる磁界の周波数は、先端スイッチ42のオン又はオフに応じた制御部46による制御に基づき、コンデンサ45の容量を変化させることにより変更される。すなわち、先端スイッチ42がオンの場合、上記指令信号S0が入力された制御部46が、コイル44から特定の周波数f1の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。一方、先端スイッチ42がオフの場合、上記指令信号S0が入力されていない制御部46が、コイル44から特定の周波数f2の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。コイル44から発生された磁界は、パネル本体14で検出される。なお、f1>f2とすることにより、離間周波数f2の磁界を発生する際の、電子ペン2での消費電力を低減することができる。
【0037】
電池43は、電子ペン2の電源スイッチがオンにされることで、制御部46やLC発振回路41等に電力を供給する。
【0038】
一方、パネル本体14は、図4に示すように、コイルシート100と、制御回路部20とを有する。なお、コイルシート100と制御回路部20とは、信号ラインを介して接続されている。
【0039】
コイルシート100は、図5に示すように、センスコイル部110を含む。すなわち、図5に示すように配置されたセンスコイル部110が例えば外形が長方形の薄板状に樹脂成形されて、コイルシート100が構成されている。
【0040】
センスコイル部110は、図5に示すように、x軸方向に配列されたm個のループ状のセンスコイルX1〜Xmと、y軸方向に配列されたn個のループ状のセンスコイルY1〜Ynとによって構成されている。なお、センスコイル部110を構成するm個のセンスコイルX1〜Xm及びn個のセンスコイルY1〜Ynのそれぞれは、電子ペン11のコイル44でそれぞれ発生された磁界を受信可能なコイルであり、各請求項記載の複数のコイルに相当する。センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとは、互いに直交した位置関係で配置されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、コイル面方向がメモ用紙11の筆記面の方向と略平行となっている。さらに、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、例えば表面に絶縁被膜層が形成された銅線によって形成されている。またさらに、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、図示及び説明を省略する引き出し線により後述するマルチプレクサ62に接続されている。そして、センスコイル部110のスキャン処理が開始され、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynが電子ペン11のコイル44で発生された磁界を受信することによって、言い換えれば、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynとコイル44で発生された磁界との電磁誘導によって、当該センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynには、起電力が発生する。すなわち、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、コイル44との磁気結合によって、信号S1(図4参照)を発生する。
【0041】
センスコイルX1〜Xmは、それぞれ、x軸方向の幅P1の辺とP1より長いy軸方向の長さP2の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルX1〜Xmのそれぞれは、所定の一定ピッチでx軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルX1〜Xmは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
【0042】
センスコイルY1〜Ynは、それぞれ、x軸方向の幅P3の辺とP3より短いy軸方向の長さP1の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルY1〜Ynのそれぞれは、所定の一定ピッチでy軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルY1〜Ynは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
【0043】
なお、図5では、視覚的にわかりやすくするよう、便宜上、センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとの各辺がそれぞれ重ならないようにしており、上記ピッチで配列された状態では図示されていない。また、図5では、後述するマルチプレクサ62に入る引き出し線を省略してセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの形状を図示している。
【0044】
図4に戻り、制御回路部20は、マイコン80と、マルチプレクサ62(以下適宜、「MUX62」と称する)と、増幅回路64と、整流回路66と、リミッタ68と、通信インターフェース69と、フラッシュメモリ70と、液晶パネル13とを備えている。
【0045】
マイコン80は、CPU80aと、ROM80bと、RAM80cと、その他のA/D変換機能部や割り込み機能部等とを、一つの集積回路として構成したものである。このマイコン80は、パネル本体で実行される各種の処理を制御し、その他の周辺回路の動作状態を制御する。
【0046】
MUX62は、マイコン80からのコイル選択信号S3に基づき、センスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynを1つずつ順番に選択する。そして、MUX62は、選択されたセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynにおいて発生された上記信号S1を入力し、対応する信号S11を増幅回路64に出力する。
【0047】
増幅回路64は、MUX62から入力される上記信号S11を増幅する。増幅回路64で増幅された信号S12すなわち電子ペン入力検知信号S12は、リミッタ68に入力される。リミッタ68は、増幅回路64から入力された信号S12を周波数及び位相情報だけのデジタル信号S15に処理してマイコン80の割り込み入力に入力する。マイコン80は、リミッタ68から入力された信号S15の周期をタイマー等により計測することにより、上記センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数を判定して、現在スキャンしているセンスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号と共にRAM80cに記憶する。
【0048】
また、増幅回路64で増幅された別の信号S13は、整流回路66に入力される。整流回路66は、増幅回路64から入力された信号S13を振幅検波した後、平滑化して直流信号に変換する。整流回路66で振幅検波された信号S14は、マイコン80に入力される。マイコン80は、前述したようにA/D変換機能を備えており、上記入力された振幅検波後の信号S14をデジタル信号に変換する。このとき、マイコン80の上記ROM80bには、各センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの検出レベルと、電子ペン11と液晶パネル13との接触点の座標データのオフセット値とを対応付けて記憶する位置座標テーブルが記憶されている(詳細な説明は省略する)。マイコン80は、上記デジタル信号に対し、位置座標テーブルを適用することにより、電子ペン11の位置情報、すなわち、x軸方向のx座標及びy軸方向のy座標を算出する。なお、算出された位置情報は後述の周辺回路70のフラッシュメモリ70に記憶される。
【0049】
また、マイコン80は、センスコイル部110のスキャン処理時にRAM80cに記憶した、最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号に基づき、当該コイル番号で表されるセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから得られる上記信号S1の周波数を検出する。これにより、当該コイル番号で表されるセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynで受信された磁界の周波数の値fを検出する。
【0050】
このようにして、マイコン80は、電子ペン11の上記ペンダウン状態に対応する周波数f1の磁界を受信している間と、上記ペンアップ状態に対応する周波数f2の磁界を受信している間のいずれにおいても電子ペン11の位置情報を算出できる。そして周波数の違いにより、その時点で電子ペン11が上記ペンアップ状態と上記ペンダウン状態のいずれの状態にあるかを判定できる。本実施形態の例では、このうちペンダウンの状態に対応する周波数f1の磁界を受信している間に算出された複数の位置情報の集合がそのまま、使用者により手書き入力されたストロークデータを構成する。
【0051】
通信インターフェース69は、フラッシュメモリ70に保存された複数の位置情報を含むストロークデータなどの各種情報を上記サーバー2に送信したり、またサーバー2から所定の情報を受信するためのインターフェースである。具体的には、通信インターフェース69は、例えばUniversal Serial Bus(USB)接続のためのUSBインターフェースや、無線又は有線のネットワークインターフェースである。
【0052】
フラッシュメモリ70には、電子ファイルが予め用意されており、マイコン80で算出された複数の位置情報に基づくストロークデータ等が、上記電子ファイルに書き込まれ、保存される。また、このフラッシュメモリには、当該書き込みパネルの固体を識別可能に割り当てられている端末IDを記憶しており、サーバー2へストロークデータを送信する際にはこの端末IDも併せて送信して、当該ストロークデータの送信元をサーバー2に識別させる。
【0053】
以上の構成のパネル本体14は、電子ペン11がペンダウン状態となっている間に、当該電子ペン11の位置情報に対応した液晶パネル13上の座標位置、つまり当該電子ペン11が当該液晶パネル13の表面上で接触している位置に点を描画してその軌跡を表示させることができる。これにより、電子ペン11の先端が液晶パネル13の筆記面上に実際に筆記記載したのと同等に、液晶パネル13にストロークデータを電子的に表示できる。
【0054】
(A)仮想付箋紙の表示と、その貼付領域の初期設定について
次に、本実施形態の仮想付箋紙入力表示システムSにおいて、サーバー2が処理する仮想付箋紙アプリケーションの表示装置3における表示例を図6に示す。図示する例では、表示装置3の表示領域座標Xs−Ysにおいて、書き込みパネル1の使用者がそれぞれ任意の位置に6つの仮想付箋紙301〜306を作成して貼付表示している。なお、2つの仮想付箋紙301,302と、2つの仮想付箋紙303,304と、2つの仮想付箋紙305,306は、それぞれ異なる使用者によって作成されており、各仮想付箋紙は作成した使用者別、つまり端末ID別に異なる色で表示されている。各仮想付箋紙301〜306は、それぞれ適宜調整された大きさの矩形形状に形成されており、上記書き込みパネル1に筆記入力されたストロークデータで表現される文書情報(図中では、いずれも「・・・」で略記)が記入されている。この文書情報は、複数の文字からなる通常の文字列で記入されてもよいし、それ以外にも使用者が任意に筆記入力した図形などをそのまま記入してもよい。
【0055】
このような仮想付箋紙アプリケーションを利用することで、使用者は断片的な文書情報を手書き入力による自由な筆記態様で表示装置3の表示画面上に一時的に表示させることができる。このように構成された仮想付箋紙入力表示システムSによれば、複数の使用者がそれぞれのアイデアを記載した仮想付箋紙301〜306を表示装置3に表示して、共通のテーマに基づく検討作業、いわゆるブレインストーミングなどに利用できる。
【0056】
図7は、書き込みパネル1へのストロークデータの筆記入力例を表しており、図示する書き込みパネル1の記入座標領域Xt−Ytは、上記図5のコイルシート100の有効座標領域に対応している。この記入座標領域Xt−Ytにおいて筆記入力されたストロークデータ(図示する例の「あいうえお」の文字列)は、図示するように、1文字単位で矩形枠で囲んで切り分けされ、それぞれが例えばビットマップ形式などの文字画像データに変換される。なお、図示する例では1文字分が1つの文字画像データに対応して分割されているが、これに限られず、上記矩形枠を囲む手法によっては複数文字分を1つの文字画像データに対応させるよう分割してもよい。つまり、1つの文字画像データは、画数単位ではなく文字数単位で分割、変換される。上記仮想付箋紙には、これら複数の文字画像データを記入順に並べた文字画像データ列が記入されることになるが、以下においてはこの場合も仮想付箋紙にストロークデータを記入するとして説明する。
【0057】
またこの例では、図8に示すように、各仮想付箋紙のそれぞれの左上の頂点の座標位置が、上記表示領域座標Xs−Ysにおける当該仮想付箋紙の貼付領域の基準位置である貼付基準位置(p,q)となり、当該仮想付箋紙の貼付領域においてこの貼付基準位置(p,q)を原点とした付箋紙座標Xf−Yfが設定されている。仮想付箋紙に記入されるストロークデータは、当該仮想付箋紙の付箋紙座標Xf−Yf上において、上記貼付基準位置(p,q)の近傍位置から上記文字画像データ列の各文字画像データを等間隔で並べ、それぞれ同じ所定の表示倍率で表示する。この所定の表示倍率は、書き込みパネルの上記記入座標領域Xt−Yt上で入力された各文字画像データを、上記表示領域座標Xs−Ys上で適宜見やすい大きさに拡大、縮小する倍率に設定され、同一の仮想付箋紙に記入表示する全ての文字画像データに一律に適用する。
【0058】
なお、日本語表記の場合には、図示するような横書き以外にも縦書きの列記態様があるが、これら列記態様の違いは横書きの場合に列記方向が右方向であるとし、縦書きの場合に列記方向が下方向であるとして区別する。ここで、上述したように、使用者が書き込みパネル1で筆記入力したストロークデータ自体が、上記記入座標領域Xt−Yt上で検出した電子ペン11の位置情報の集合で構成されているため、上記の列記方向は容易に判定できる。
【0059】
また、文字画像データの数、すなわち仮想付箋紙への記載文字数が多いためにそれらを所定間隔で並べた際の列記長さが不自然に長くなる場合には、適宜改行を行って複数行に渡って記入表示する。このとき、図示する例のように列記方向が右方向である場合、つまり横書きの列記態様である場合には、改行方向は下方向となる。また、列記方向が下方向である場合、つまり縦書きの列記態様である場合には、改行方向は左方向となる(縦書きの場合は、後述の図14参照)。このような改行によって、仮想付箋紙の列記方向の長さが、あらかじめ設定された所定の初期長さに収まるようにする。なお、上記の列記方向及び改行方向が、各請求項記載の所定の判定方向に相当する。
【0060】
以上のようにして、仮想付箋紙の付箋紙座標Xf−Yf上において改行方向への改行を適宜行いつつ、各文字画像データをそれぞれ同じ表示倍率で列記方向に等間隔で並べ、さらに上下左右の各縁部に所定間隔での余白を設けることで、当該文字画像データ列を記入する仮想付箋紙全体の貼付領域が初期的に設定される。このとき、当該貼付領域の横方向の幅をW、縦方向の高さをHとしたとき、図示する横書きの場合では、表示領域座標Xs−Ysにおける座標位置(p+W,q+H)、つまり貼付領域の右下の頂点の座標位置が、当該貼付領域の貼付領域終点位置(p+W,q+H)となる。
【0061】
新規に仮想付箋紙を作成して貼付表示する際には、上記のようにしてその貼付領域(以下、新規貼付領域という)が初期的に設定されるが、本実施形態ではこの初期設定された新規貼付領域が他の既存の仮想付箋紙の貼付領域(以下、既存貼付領域という)と重複する場合には、当該新規貼付領域を変形する。以下、その変形手法の詳細について、順を追って説明する。
【0062】
(B)貼付領域の重複判定と重複した場合の変形手法
使用者が新規の仮想付箋紙を作成する場合には、まずマウスなどの適宜のポインティングデバイス(図示省略)を利用して、上記貼付基準位置(p,q)を表示領域座標Xs−Ys中の任意の位置に指定する。このとき、仮想付箋紙どうしの重複を回避するために、貼付基準位置(p,q)は必ず既存の仮想付箋紙の貼付領域の外側で空いている範囲に指定することを前提とする。また、この貼付基準位置(p,q)の位置指定は、電子ペン11を上記ペンアップ状態に維持したまま移動操作することにより行ってもよい。
【0063】
次に、書き込みパネル1に筆記入力したストロークデータをサーバー2に送信する。サーバー2は、受信したストロークデータを文字画像データ列に変換し、上述した処理によってこの文字画像データ列を列記して表示可能な仮想付箋紙の新規貼付領域を初期的に設定する。
【0064】
ここで、図9(a)に示すように、貼付基準位置(p,q)に位置する初期設定の新規貼付領域が、他の既存貼付領域のいずれにも重複しない場合は、何ら問題なく当該新規貼付領域に上記ストロークデータを列記した新規の仮想付箋紙をそのまま貼付表示できる。なお、この図9以降においては、図示の煩雑を避けるため、仮想付箋紙に列記する文字画像データを通常のテキストの字体で表す。
【0065】
これに対して、図9(b)に示すように、貼付基準位置(p,q)に位置する初期設定の新規貼付領域が、他の既存貼付領域のいずれかに一部でも重複する場合は、そのまま新規の仮想付箋紙を貼付表示すると、被重複側の既存の仮想付箋紙に列記されているストロークデータが当該新規の仮想付箋紙に覆われて見えなくなる。本実施形態では、このような重複による視認性の低下を回避するために、新規貼付領域を適切に変形させる。なお、本実施形態において、この重複の判定は、新規貼付領域における列記方向と改行方向のそれぞれの末端の縁部(図示する横書きの例では右側縁部と下側縁部)での重複だけに着目する。また、上述したように、これら列記方向と改行方向は、ストロークデータの横書きと縦書きの列記態様によって決まる。
【0066】
また、重複が判定された場合でも、図9(b)に示すように、新規貼付領域での列記方向と改行方向のいずれか一方の末端の縁部(図示する例では右側縁部)だけが重複しているのであれば、当該新規貼付領域を変形して貼付表示できる可能性がある。しかし、図9(c)に示すように、新規貼付領域での列記方向と改行方向の両方向の末端の縁部(図示する例では右側縁部と下側縁部)でそれぞれ重複している場合には、当該新規貼付領域をどのように変形しても重複を回避する貼付表示ができないので、本実施形態では貼付表示自体が不可能であるとみなす。
【0067】
列記方向と改行方向のいずれか一方の末端の縁部だけが重複している場合には、以下の手法で新規貼付領域を変形する。まず、図10に示すように、表示領域座標Xs−Ysにおいて貼付基準位置(p,q)の位置から、列記方向と改行方向のそれぞれの方向で最も近くに位置している既存貼付領域の縁部までの離間距離を検出する。このとき離間距離の検出は、重複の有無に関係なく列記方向と改行方向の両方向で検出する。また、離間距離を検出する対象の縁部は、当該新規貼付領域での列記方向と改行方向の両方向の末端の縁部と重複する可能性のある位置の縁部である。つまり、貼付基準位置(p,q)から列記方向の逆方向(図示する横書きの場合の左方向)や、改行方向の逆方向(図示する横書きの場合の上方向)に位置している縁部や、通常の仮想付箋紙の貼付領域の大きさと比較して大きく離れている縁部は、離間距離の検出対象にしなくてよい。そして、この離間距離は、貼付基準位置(p,q)と検出対象の縁部の延長線との間の離間距離を検出する。なお、重複が判定されていない方向で何も既存貼付領域が存在していない場合には、表示領域座標Xs−Ysの縁部までの離間距離を検出する。
【0068】
そして、初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが列記方向で重複する場合には、図11に示すように、文字画像データを記入順で一文字ずつ列記方向に配置し、1行分の列記長さが上記検出した列記方向の離間距離内に収めるように調節する。このとき、列記方向の両端2箇所の余白も含めて収めるよう調節するとよい。このように1行分の列記長さを調節するたびに改行方向での改行を繰り返し、全ての文字画像データを配置できるよう新規貼付領域を変形する。ここで、図12に示すように、変形した結果の新規貼付領域の改行方向の長さ(図示する例の横書きの場合の高さH)が、上記検出した改行方向の離間距離を超える場合には、当該新規の仮想付箋紙の貼付表示自体が不可能であるとみなして貼付表示エラーを報知する。
【0069】
また、初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが改行方向で重複する場合には、図13に示すように、上記検出した改行方向の離間距離を、文字画像データの改行方向の長さ(図示する横書きの場合の高さ)で除算して配置可能行数(図示する例では2行)を算出する。このとき、改行方向の両端2箇所の余白も含めて収めるよう算出するとよい。このように算出した配置可能行数で、文字画像データの数、つまり記載文字数(図示する例では9文字)を除算し、各行で列記する文字数(図示する例では4文字又は5文字)を算出する。そして、算出した各行列記文字数で、1行目から順に文字画像データを列記方向に配置し、全ての文字画像データを配置できるよう新規貼付領域を変形する。また、この改行方向で重複する場合の変形においても、上記図12と同等の判定を行う。つまり、変形した結果の新規貼付領域の列記方向の長さが、上記検出した列記方向の離間距離を超える場合は、当該新規の仮想付箋紙の貼付表示自体が不可能であるとみなして貼付表示エラーを報知する(この場合は特に図示せず)。
【0070】
なお、上記図11〜図13で示した例の変形はいずれもストロークデータが横書きの場合であったが、縦書きの場合でも列記方向を下方向とし、改行方向を左方向とすることで同様の手法で新規貼付領域を変形できる。この場合には、図14に示すように、表示領域座標Xs−Ysにおける貼付領域の右上の頂点が貼付基準位置(p,q)となり、この近傍位置から上記文字画像データ列の各文字画像データを列記方向(下方向)に等間隔で並べ、それぞれ同じ所定の表示倍率で表示する。そして、表示領域座標Xs−Ysにおける座標位置(p−W,q+H)、つまり貼付領域の左下の頂点の座標位置が、当該貼付領域の貼付領域終点位置(p−W,q+H)となる。新規貼付領域が列記方向で既存貼付領域と重複する場合には、図14(a)に示すように変形でき、新規貼付領域が改行方向で既存貼付領域と重複する場合には、図14(b)に示すように変形できる。
【0071】
(C)本実施形態の制御処理
以上のような機能を実現するために、サーバー2の制御手段であるCPU(特に図示せず)で行われる制御処理の内容を、図15により順を追って説明する。
【0072】
図15において、このフローに示すサーバー2のCPUの処理は、例えばいずれかの書き込みパネル1の使用者が操作したことにより当該書き込みパネル1から新規の仮想付箋紙を作成する旨の指令を受信した場合に開始される。まずステップSS5で、CPUは、当該書き込みパネル1から表示領域座標Xs−Ysにおける貼付基準位置(p,q)を取得する。
【0073】
そして、ステップSS10に移り、CPUは、当該書き込みパネル1から引き続きストロークデータを取得する。
【0074】
そして、ステップSS15に移り、CPUは、上記ステップSS10で取得したストロークデータを文字画像データ列に変換する。
【0075】
そして、ステップSS20に移り、CPUは、上記ステップSS10で取得したストロークデータに含まれる複数の電子ペン11の位置情報に基づいて列記方向を判定する。
【0076】
そして、ステップSS25に移り、CPUは、上記ステップSS5で取得した貼付基準位置(p,q)と、上記ステップSS15で変換した文字画像データ列と、上記ステップSS20で判定した列記方向に基づいて、表示領域座標Xs−Ysにおける新規貼付領域を初期的に設定する。
【0077】
そして、ステップSS30に移り、CPUは、上記ステップSS25で設定した初期の新規貼付領域が他の既存貼付領域と重複するか否かを判定する。初期の新規貼付領域がいずれの既存貼付領域にも重複しない場合は、判定は満たされず、ステップSS75へ移る。一方、初期の新規貼付領域がいずれかの既存貼付領域に重複する場合は、判定が満たされ、ステップSS35へ移る。
【0078】
ステップSS35では、CPUは、上記ステップSS30で判定した重複が列記方向と改行方向の2方向で重複しているか否かを判定する。初期の新規貼付領域が2方向で既存貼付領域と重複する場合は、判定が満たされ、ステップSS40へ移る。
【0079】
ステップSS40では、CPUは、当該新規貼付領域をどのように変形しても重複を回避する貼付表示ができないとみなし、表示装置3の表示画面上での表示もしくは当該書き込みパネル1に報知信号を送信して貼付表示エラーを報知する。そして、このフローを終了する。
【0080】
一方、上記ステップSS35の判定において、初期の新規貼付領域が1方向でしか既存貼付領域と重複していない場合は、判定は満たされず、ステップSS45へ移る。
【0081】
ステップSS45では、CPUは、上記ステップSS20で判定した列記方向が右方向であるか否か、言い換えると横書きであるか否かを判定する。列記方向が右方向の横書きである場合、判定が満たされ、ステップSS50へ移る。
【0082】
ステップSS50では、CPUは、上記ステップSS5で取得した貼付基準位置(p,q)から右方向及び下方向での離間距離、つまり列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離を検出する。
【0083】
そして、ステップSS55に移り、CPUは、上記ステップSS50で検出した列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離と、上記ステップSS15で変換した文字画像データ列に基づいて、上述した(B)の手法により新規貼付領域を変形する。そして、ステップSS70に移る。
【0084】
一方、上記ステップSS45の判定において、列記方向が下方向の縦書きである場合、判定は満たされず、ステップSS60へ移る。
【0085】
ステップSS60では、CPUは、上記ステップSS5で取得した貼付基準位置(p,q)から下方向及び左方向での離間距離、つまり列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離を検出する。
【0086】
そして、ステップSS65に移り、CPUは、上記ステップSS60で検出した列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離と、上記ステップSS15で変換した文字画像データ列に基づいて、上述した(B)の手法により新規貼付領域を変形する。そして、ステップSS70に移る。
【0087】
ステップSS70では、CPUは、上記ステップSS55又は上記ステップSS65で変形された新規貼付領域が他の既存貼付領域と重複するか否かを判定する。変形後の新規貼付領域がいずれかの既存貼付領域に重複する場合は、判定が満たされ、ステップSS40へ移り、同様の手順を行う。
【0088】
一方、変形後の新規貼付領域がいずれの既存貼付領域にも重複しない場合は、判定は満たされず、ステップSS75へ移る。
【0089】
ステップSS75では、CPUは、その時点の新規貼付領域において改行方向への改行を適宜行いつつ、各文字画像データをそれぞれ同じ表示倍率で列記方向に等間隔で並べて記入表示した新規の仮想付箋紙を貼付表示する。そして、このフローを終了する。
【0090】
以上において、上記図15のフローにおけるステップSS5の手順が、各請求項記載の貼付基準位置取得手段及び貼付基準位置取得手順に相当し、ステップSS10の手順がストロークデータ取得手段及びストロークデータ取得手順に相当し、ステップSS15及びステップSS20の手順がデータ変換手段及びデータ変換手順に相当し、ステップSS25の手順が初期領域設定手段及び初期領域設定手順に相当し、ステップSS30の手順が重複判定手段及び重複判定手順に相当し、ステップSS50及びステップSS60の手順が離間距離検出手段及び離間距離検出手順に相当し、ステップSS55及びステップSS65の手順が貼付領域変更手段及び貼付領域変更手順に相当し、ステップSS70及びステップSS75の手順が新規貼付手段及び新規貼付手順に相当する。また、ステップSS20の手順が、列記方向判定手段に相当する。
【0091】
以上説明したように、本実施形態の仮想付箋紙入力表示システムSが備えるサーバー2においては、ステップSS50及びステップSS60の手順によって、貼付基準位置(p,q)から、既存貼付領域までの列記方向及び改行方向での離間距離を検出する。また、ステップSS55及びステップSS65の手順が、この検出した離間距離に基づいて、新規貼付領域が貼付基準位置(p,q)に位置した際に列記方向及び改行方向で既存貼付領域と重複しないように新規貼付領域の大きさを変更する。そして、ステップSS70及びステップSS75の手順が、変更した新規貼付領域の大きさで、文字画像データ列の全ての文字画像データが所定の表示倍率で列記可能であるか否かを判定し、列記可能であれば貼付基準位置(p,q)に新規貼付領域で新規の仮想付箋紙を貼付表示する。
【0092】
これにより本実施形態は、既存の仮想付箋紙と重複させることなく、文字画像データ列の表示倍率を維持したまま使用者が指定した基準位置に新規の仮想付箋紙を貼付表示できる。この結果、仮想付箋紙の煩雑な表示を回避して、自由度の高い仮想付箋紙の作成操作が可能となる。
【0093】
また、本実施形態では特に、ステップSS20の手順が、文字画像データの列記方向が横書きの場合の右方向であるか、縦書きの場合の下方向であるかを判定する。ステップSS25の手順は、列記方向での文字画像データ列の列記長さが所定の初期長さに収まるよう、当該列記方向に対応する改行方向で改行して文字画像データを配置する。このようにして、列記方向と改行方向で全ての文字画像データを配置した場合の大きさを、新規貼付領域の初期的な大きさとして設定する。これにより、新規の仮想付箋紙を自然な矩形形状で初期的に設定でき、使用者がその貼付基準位置(p,q)を指定する際にもその形状を想定した位置の指定が容易となる。
【0094】
また、本実施形態では特に、ステップSS50及びステップSS60の手順が、貼付基準位置(p,q)から列記方向と改行方向の両方で離間距離を検出する。これにより、文字画像データ列が横書きである場合と縦書きである場合のそれぞれに適切に対応した離間距離の検出が可能となる。
【0095】
なお、上記実施形態では、各文字画像データが1文字分に対応し、貼付領域内での列記及び改行がこの文字画像データ単位で行われた例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、図16に示すように、「今日はいい天気だ」の文例の文字画像データ列を記入する初期的な新規貼付領域が、「天」と「気」の間で既存貼付領域の縁部に重複する場合を考える。このとき、上記実施形態のように各文字画像データを1文字分に対応させて改行するよう新規貼付領域を変化させると、「天」と「気」の間で改行が行われてしまうため、文章としては不自然に区切られて表示される。しかし、図示する文例中における「今日」、「いい」、及び「天気」などのように1つの文節を構成する連続した複数の文字画像データを新たに1つの文字画像データとしてまとめた場合には、「いい」と「天気」の間で改行が行われる。
【0096】
上記実施形態のステップSS15の手順において、このように文字画像データを文節ごとにまとめるよう変換してもよく、この場合には文字画像データ列の改行箇所においても1つの文節を構成する複数の文字画像データを引き離すことがないため、文字画像データ列を自然な区切りで改行して読ませることができる。
【0097】
また、上記実施形態では、各書き込みパネル1が通信ネットワークを介してサーバー2に直接接続し、サーバー2が表示制御する1台の表示装置3を各使用者が共有して閲覧する構成としていたが、本発明はこれに限られない。他にも、図17に示すように、各書き込みパネル1がそれぞれ表示装置3を備えるパーソナルコンピュータPCに接続し、これらパーソナルコンピュータPCが通信ネットワークNWを介してサーバー2に接続した構成としてもよい。この場合には、サーバー2が全ての仮想付箋紙を貼付する仮想的な掲示板を管理し、複数のパーソナルコンピュータPCがこの仮想掲示板を共有表示してそれぞれで仮想付箋紙の入力作成の操作を行う。このように構成された仮想付箋紙入力表示システムS2によれば、互いに遠く離れた複数の使用者がそれぞれのアイデアを記載した仮想付箋紙を共有の仮想掲示板に貼付して、互いに閲覧できる。なお、この場合には、上記図15のフローの各手順を、サーバー2とパーソナルコンピュータPCとで適宜分担して処理してもよい。
【0098】
また、上述した各形態の仮想付箋紙入力表示システムS,S2は、複数の使用者が1つの仮想掲示板を共有するネットワークの構成であったが、本発明はこれに限られない。他にも、1つの書き込みパネル1と1台のパーソナルコンピュータPCを接続しただけのいわゆるスタンドアローンの構成としてもよい。なお、この場合には、サーバー2に代わってパーソナルコンピュータPCが上記図15のフローの全ての手順を処理する。
【0099】
また、上記実施形態では、ストロークデータを構成する電子ペン11の位置情報の検出を、当該電子ペン11側のコイル44と、パネル装置12側のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynとの間の磁気結合を利用したいわゆるアクティブ型磁気結合方式により行ったが、本発明はこれに限られない。他にも、パッシブ型磁気結合方式や、超音波方式、もしくは被筆記具であるメモ用紙11にあらかじめ印刷された点や模様を電子ペン2に備えたカメラで撮像してその点や模様の動きを検出する方式などにより電子ペン11の位置情報を検出してもよい(各方式の詳細な説明は省略する)。
【0100】
なお、以上において、図1、図4、図17等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0101】
また、図15に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0102】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0103】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0104】
1 手書きパネル(外部の操作端末)
2 サーバー
3 表示装置(表示手段)
11 電子ペン(電子筆記具)
12 パネル装置
13 液晶パネル(被筆記具)
14 パネル本体
41 LC発振回路
42 先端スイッチ
44 コイル
46 制御部
80a CPU
301〜308 仮想付箋紙(表示オブジェクト)
S,S1,S2 仮想付箋紙入力表示システム
,S3
X1〜Xm センスコイル(複数のコイル)
,Y1〜Yn
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上において文書情報を表示する表示オブジェクトの表示及び追記入力が可能な表示オブジェクト管理装置、及び表示オブジェクト管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、パーソナルコンピュータなどの情報機器の表示画面上において、文字列などの文書情報を記入した表示オブジェクトを仮想的な付箋紙として作成し表示するアプリケーション、又はWEBサービスが普及している。
【0003】
また、使用者が実際に筆記具でメモ用紙等に筆記したメモの記載内容を、スキャナやデジタルカメラなどで光学的に画像データとして取り込み、当該画像データを適宜に視認可能な大きさに調整して表示画面上の上記仮想付箋紙に表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−145887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、表示画面上に新規の仮想付箋紙を貼付表示する場合には、既存の仮想付箋紙の視認性を確保するようできるだけ重複しない配置で貼付表示する必要がある。しかしながら、表示画面上の所定箇所にすでに多数の仮想付箋紙が集中して貼付表示されている状態では、当該箇所において上述した重複を回避するよう新規の仮想付箋紙を貼付できる領域が狭い範囲に限定されてしまう。
【0006】
上記従来技術によれば、画像データとともに仮想付箋紙全体を縮小することで上記狭い範囲の限定領域に貼付表示することも可能である。しかし、この場合には当該画像データに記載されている手書きの文字画像も縮小されてしまうため、記載内容の視認性が低下して表示が煩雑となる。このような不都合を避けるためには、使用者の意図に反して他の余裕のある箇所に新規の仮想付箋紙を貼付表示させる必要があった。
【0007】
本発明の目的は、表示オブジェクトの煩雑な表示を回避して、自由度の高い表示オブジェクトの作成操作が可能な表示オブジェクト管理装置、及び表示オブジェクト管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、被筆記具への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置であって、前記表示手段の表示領域座標において、使用者により新規の表示オブジェクトを貼付表示する際に指定された貼付領域の基準位置を取得する貼付基準位置取得手段と、前記新規の表示オブジェクトに記入するデータとして、前記外部の操作端末からの前記位置情報の受信結果に基づき、前記電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得するストロークデータ取得手段と、前記ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換するデータ変換手段と、前記データ変換手段により変換された前記文字画像データ列の所定の表示倍率での列記長さに応じて、前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する初期領域設定手段と、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置に、前記初期領域設定手段で設定した初期的な大きさの前記新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の判定方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複するかを判定する重複判定手段と、前記重複判定手段が重複すると判定した場合に、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置から、前記重複判定手段が重複すると判定した前記既存貼付領域までの前記所定の判定方向での離間距離を検出する離間距離検出手段と、前記離間距離検出手段で検出した前記所定の判定方向での離間距離に基づいて、前記新規貼付領域が前記基準位置に位置した際に前記所定の判定方向で前記既存貼付領域と重複しないよう、前記新規貼付領域の大きさを変更する貼付領域変更手段と、前記貼付領域変更手段が変更した前記新規貼付領域の大きさで、前記文字画像データ列の全ての前記文字画像データが前記所定の表示倍率で列記可能である場合、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置で、当該新規貼付領域に前記全ての文字画像データを列記した前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本願第1発明においては、電子筆記具の被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示できる。
【0010】
表示手段には、その表示領域中において使用者が任意の位置に複数の表示オブジェクトを作成し、その存在領域中に任意の文字データをストロークデータの形態で入力して表示させることができる。なお、このストロークデータは、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して扱われる。また、新規の表示オブジェクトを作成して貼付する際には、既存の表示オブジェクトが貼付表示されている領域に重複しないよう貼付位置を制限することが望ましい。このように、表示手段は表示オブジェクトアプリケーションの表示に利用できる。
【0011】
そこで本願第1発明においては、貼付基準位置取得手段が、使用者により指定された新規の表示オブジェクトの貼付領域の基準位置を取得する。また、上記外部の操作端末からの位置情報の受信結果に基づいて、ストロークデータ取得手段が電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得する。また、データ変換手段が、ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換する。また、初期領域設定手段が、文字画像データ列を所定の表示倍率で所定間隔で並べた列記長さに応じて、新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する。
【0012】
ここで、上記基準位置に、初期的な大きさの新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の判定方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複しなければそのまま貼付表示できる。しかし、重複判定手段が重複すると判定した場合に、そのまま新規の表示オブジェクトを貼付表示すると、既存の表示オブジェクトに記入されている文字データが当該新規の表示オブジェクトに覆われて見えなくなる。
【0013】
そこで、離間距離検出手段によって、基準位置から、既存貼付領域までの所定の判定方向での離間距離を検出する。また、貼付領域変更手段が、この検出した離間距離に基づいて、新規貼付領域が基準位置に位置した際に上記所定の判定方向で既存貼付領域と重複しないように新規貼付領域の大きさを変更する。そして、新規貼付手段が、変更した新規貼付領域の大きさで、文字画像データ列の全ての文字画像データが所定の表示倍率で列記可能であるか否かを判定し、列記可能であれば基準位置に新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示する。
【0014】
これにより本願第1発明は、既存の表示オブジェクトと重複させることなく、文字画像データ列の表示倍率を維持したまま使用者が指定した基準位置に新規の表示オブジェクトを貼付表示できる。この結果、表示オブジェクトの煩雑な表示を回避して、自由度の高い表示オブジェクトの作成操作が可能となる。
【0015】
第2の発明は、上記第1発明において、前記データ変換手段は、前記ストロークデータを前記文字画像データ列に変換する際に前記文字画像データの列記方向を判定する列記方向判定手段を備えており、前記初期領域設定手段は、前記列記方向判定手段で判定した前記列記方向での前記文字画像データ列の列記長さが所定の初期長さに収まるよう、当該列記方向に対応する改行方向で改行して前記文字画像データを配置することで新規貼付領域の初期的な大きさを設定することを特徴とする。
【0016】
本願第2発明においては、データ変換手段が備える列記方向判定手段が、文字画像データの列記方向が横書きの場合の右方向であるか、縦書きの場合の下方向であるかを判定する。初期領域設定手段は、上記列記方向での文字画像データ列の列記長さが所定の初期長さに収まるよう、当該列記方向に対応する改行方向で改行して文字画像データを配置する。ここで改行方向は、上記列記方向が横書きの右方向である場合には下方向となり、上記列記方向が縦書きの下方向である場合には左方向となる。このようにして、列記方向と改行方向で全ての文字画像データを配置した場合の大きさを、新規貼付領域の初期的な大きさとして設定する。これにより、新規の表示オブジェクトを自然な矩形形状で初期的に設定でき、使用者がその貼付位置を指定する際にもその形状を想定した位置の指定が容易となる。
【0017】
第3の発明は、上記第2発明において、前記重複判定手段が重複すると判定した場合に、前記離間距離検出手段は、前記列記方向及び前記改行方向の両方を前記所定の判定方向としてそれぞれの前記離間距離を検出することを特徴とする。
【0018】
本願第3発明においては、離間距離検出手段が、上記基準位置から上記列記方向と上記改行方向の両方で離間距離を検出する。これにより、文字画像データ列が横書きである場合と縦書きである場合のそれぞれに適切に対応した離間距離の検出が可能となる。
【0019】
第4の発明は、上記第2又は第3発明において、データ変換手段は、1つの文節を構成する連続した複数の文字画像データを新たに1つの文字画像データとしてまとめることを特徴とする。
【0020】
本願第4発明においては、文字画像データ列の改行箇所においても1つの文節を構成する複数の文字画像データを引き離すことがないため、文字画像データ列を自然な区切りで改行して読ませることができる。
【0021】
また、上記目的を達成するために、第5の発明は、被筆記具への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置に備えられた制御手段に対し、前記表示手段の表示領域座標において、使用者により新規の表示オブジェクトを貼付表示する際に指定された貼付領域の基準位置を取得する貼付基準位置取得手順と、前記新規の表示オブジェクトに記入するデータとして、前記外部の操作端末からの前記位置情報の受信結果に基づき、前記電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得するストロークデータ取得手順と、前記ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換するデータ変換手順と、前記データ変換手順により変換された前記文字画像データ列の所定の表示倍率での列記長さに応じて、前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する初期領域設定手順と、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置に、前記初期領域設定手順で設定した初期的な大きさの前記新規貼付領域に新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複するかを判定する重複判定手順と、前記重複判定手順が重複すると判定した場合に、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置から、前記重複判定手順が重複すると判定した前記既存貼付領域までの前記所定の判定方向での離間距離を検出する離間距離検出手順と、前記離間距離検出手順で検出した前記所定の判定方向での離間距離に基づいて、前記新規貼付領域が前記基準位置に貼付表示した際に前記所定の判定方向で前記既存貼付領域と重複しないよう、前記新規貼付領域の大きさを変更する貼付領域変更手順と、前記貼付領域変更手順が変更した前記新規貼付領域の大きさで、前記文字画像データ列の全ての前記文字画像データが前記所定の表示倍率で列記可能である場合、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置で、当該新規貼付領域に前記全ての文字画像データを列記した前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付手順と、を実行させる。
【0022】
本願第5発明においては、表示オブジェクト管理装置が、電子筆記具の被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示できる。
【0023】
表示手段には、その表示領域中において使用者が任意の位置に複数の表示オブジェクトを作成し、その存在領域中に任意の文字データをストロークデータの形態で入力して表示させることができる。なお、このストロークデータは、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して扱われる。また、新規の表示オブジェクトを作成して貼付する際には、既存の表示オブジェクトが貼付表示されている領域に重複しないよう貼付位置を制限することが望ましい。このように、表示手段は表示オブジェクトアプリケーションの表示に利用できる。
【0024】
そこで本願第5発明においては、貼付基準位置取得手順が、使用者により指定された新規の表示オブジェクトの貼付領域の基準位置を取得する。また、上記外部の操作端末からの位置情報の受信結果に基づいて、ストロークデータ取得手順が電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得する。また、データ変換手順が、ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換する。また、初期領域設定手順が、文字画像データ列を所定の表示倍率で所定間隔で並べた列記長さに応じて、新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する。
【0025】
ここで、上記基準位置に、初期的な大きさの新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の判定方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複しなければそのまま貼付表示できる。しかし、重複判定手順が重複すると判定した場合に、そのまま新規の表示オブジェクトを貼付表示すると、既存の表示オブジェクトに記入されている文字データが当該新規の表示オブジェクトに覆われて見えなくなる。
【0026】
そこで、離間距離検出手順によって、基準位置から、既存貼付領域までの所定の判定方向での離間距離を検出する。また、貼付領域変更手順が、この検出した離間距離に基づいて、新規貼付領域が基準位置に位置した際に上記所定の判定方向で既存貼付領域と重複しないように新規貼付領域の大きさを変更する。そして、新規貼付手順が、変更した新規貼付領域の大きさで、文字画像データ列の全ての文字画像データが所定の表示倍率で列記可能であるか否かを判定し、列記可能であれば基準位置に新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示する。
【0027】
これにより本願第5発明は、既存の表示オブジェクトと重複させることなく、文字画像データ列の表示倍率を維持したまま使用者が指定した基準位置に新規の表示オブジェクトを貼付表示できる。この結果、表示オブジェクトの煩雑な表示を回避して、自由度の高い表示オブジェクトの作成操作が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、表示オブジェクトの煩雑な表示を回避して、自由度の高い表示オブジェクトの作成操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態の表示オブジェクト管理装置を備えた仮想付箋紙入力表示システムの概略的構成を示す図である。
【図2】書き込みパネルの使用時の様子を表す、概念的平面図及び概念的側面図である。
【図3】電子ペンの内部構成を表す概念的平面図である。
【図4】書き込みパネルの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図5】コイルシートの内部構成を表す概念的平面図である。
【図6】仮想付箋紙アプリケーションの表示例を表す図である。
【図7】書き込みパネルへのストロークデータの筆記入力例を表す図である。
【図8】貼付領域の初期設定について説明する図である。
【図9】新規貼付領域と既存貼付領域の重複について説明する図である。
【図10】列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離を表す図である。
【図11】初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが列記方向で重複する場合の変形手法を説明する図である。
【図12】変形後の新規貼付領域と既存貼付領域とが重複する場合と重複しない場合のそれぞれの処理を説明する図である。
【図13】初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが改行方向で重複する場合の変形手法を説明する図である。
【図14】縦書きの列記態様で、初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが列記方向と改行方向で重複するそれぞれの場合の変形手法を説明する図である。
【図15】サーバーのCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図16】文字画像データを1文字分でまとめた場合と、文節ごとにまとめた場合のそれぞれで改行した状態を表す図である。
【図17】各書き込みパネルがパーソナルコンピュータを備える仮想付箋紙入力表示システムの概略的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0031】
本発明の表示オブジェクト管理装置を備えた本実施形態における仮想付箋紙入力表示システムSは、図1に示すように、通信ネットワークNWを介して相互に情報を送受可能に接続された複数の書き込みパネル1とサーバー2、及び表示装置3とを有する。外部の操作端末である書き込みパネル1は、電子ペン11とパネル装置12とを有しており、使用者が電子筆記具である電子ペン11を利用してパネル装置12に筆記入力したストロークデータを電子的に入力するとともに、当該ストロークデータを記入した表示オブジェクトとしての仮想付箋紙の作成及び表示を行う操作端末である。表示オブジェクト管理装置であるサーバー2は、一般的なコンピュータで構成されて後述の仮想付箋紙アプリケーションを処理する情報処理機器であり、各書き込みパネル1から送信されたストロークデータと各種指令に基づいて作成された仮想付箋紙を管理し、それら仮想付箋紙を表示手段である表示装置3に表示する。表示装置3の表示画面上では、各書き込みパネル1の操作により作成された複数の仮想付箋紙が同一の仮想の掲示板上に貼付表示され、各書き込みパネル1のそれぞれの使用者が当該表示装置3の表示を共有して閲覧する。なお、図示する例では、各書き込みパネル1とサーバー2を接続する通信ネットワークNWがケーブルを介した有線ネットワークで構成されているが、他にも無線ネットワークを介して接続してもよい。
【0032】
パネル装置12は、図2(a)、図2(b)に示すように、液晶パネル13と、その裏側に重なるよう配置して一体に固定されているパネル本体14とを有している。被筆記具である液晶パネル13は、全体が磁界を通過可能に構成されており、その表示領域はパネル本体14とほぼ同等の大きさに形成されている。パネル本体14は、その内部に当該パネル本体14とほぼ同等の大きさのコイルシート100が備えられている。
【0033】
使用者は、電子ペン11を用いて液晶パネルの筆記面に手書きの所望の文字列等を筆記する。この筆記動作に対応した電子ペン11の移動により、筆記された筆記内容に対応した電子的な入力情報、すなわち後述のストロークデータが電子ファイルに保存される。
【0034】
使用者が書き込みパネル1を使用する際には、電子ペン11に備えられた図示しない電源スイッチがオンされる。電子筆記具である電子ペン11は、図3及び図4に示すように、永久磁石47と、磁界送信用コイル44及びコンデンサ45を備えた、位置信号生成手段であるLC発振回路41と、先端スイッチ42と、電子ペン11全体の制御を行う制御部46及び上記コンデンサ45が配置された制御基板40と、電池43とを有する。なお、磁界送信用コイルを備えた位置信号生成手段としては、上記LC発振回路41のような発振回路に限られず、共振回路でもよい。
【0035】
先端スイッチ42は、電子ペン11の先端の液晶パネル13への接触状態に応じて動作し、コイル44からの交番磁界(後述)の周波数を変更するための指令信号S0を、制御部46に対して出力するスイッチである。この先端スイッチ42は、使用者が文字等を筆記するために、電子ペン11の先端を液晶パネル13に押しつけた(ペンダウンした)ときにオンとなる。この場合、制御部46に対して指令信号S0が出力される。一方、使用者が文字等の筆記を止め、電子ペン11の先端を液晶パネル13から離した(ペンアップした)ときにオフとなる。この場合、制御部46に対して指令信号S0は出力されない。
【0036】
LC発振回路41は、移動位置検出用の位置信号である交番磁界(以下適宜、単に「磁界」と称する)を生成して出力するための回路である。LC発振回路41のコイル44は、永久磁石47に巻回するように配置されると共に、コンデンサ45と電気的に接続されており、LC発振回路41で生成された所定の周波数の磁界を発生する。LC発振回路41がコイル44から発生させる磁界の周波数は、先端スイッチ42のオン又はオフに応じた制御部46による制御に基づき、コンデンサ45の容量を変化させることにより変更される。すなわち、先端スイッチ42がオンの場合、上記指令信号S0が入力された制御部46が、コイル44から特定の周波数f1の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。一方、先端スイッチ42がオフの場合、上記指令信号S0が入力されていない制御部46が、コイル44から特定の周波数f2の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。コイル44から発生された磁界は、パネル本体14で検出される。なお、f1>f2とすることにより、離間周波数f2の磁界を発生する際の、電子ペン2での消費電力を低減することができる。
【0037】
電池43は、電子ペン2の電源スイッチがオンにされることで、制御部46やLC発振回路41等に電力を供給する。
【0038】
一方、パネル本体14は、図4に示すように、コイルシート100と、制御回路部20とを有する。なお、コイルシート100と制御回路部20とは、信号ラインを介して接続されている。
【0039】
コイルシート100は、図5に示すように、センスコイル部110を含む。すなわち、図5に示すように配置されたセンスコイル部110が例えば外形が長方形の薄板状に樹脂成形されて、コイルシート100が構成されている。
【0040】
センスコイル部110は、図5に示すように、x軸方向に配列されたm個のループ状のセンスコイルX1〜Xmと、y軸方向に配列されたn個のループ状のセンスコイルY1〜Ynとによって構成されている。なお、センスコイル部110を構成するm個のセンスコイルX1〜Xm及びn個のセンスコイルY1〜Ynのそれぞれは、電子ペン11のコイル44でそれぞれ発生された磁界を受信可能なコイルであり、各請求項記載の複数のコイルに相当する。センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとは、互いに直交した位置関係で配置されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、コイル面方向がメモ用紙11の筆記面の方向と略平行となっている。さらに、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、例えば表面に絶縁被膜層が形成された銅線によって形成されている。またさらに、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、図示及び説明を省略する引き出し線により後述するマルチプレクサ62に接続されている。そして、センスコイル部110のスキャン処理が開始され、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynが電子ペン11のコイル44で発生された磁界を受信することによって、言い換えれば、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynとコイル44で発生された磁界との電磁誘導によって、当該センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynには、起電力が発生する。すなわち、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、コイル44との磁気結合によって、信号S1(図4参照)を発生する。
【0041】
センスコイルX1〜Xmは、それぞれ、x軸方向の幅P1の辺とP1より長いy軸方向の長さP2の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルX1〜Xmのそれぞれは、所定の一定ピッチでx軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルX1〜Xmは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
【0042】
センスコイルY1〜Ynは、それぞれ、x軸方向の幅P3の辺とP3より短いy軸方向の長さP1の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルY1〜Ynのそれぞれは、所定の一定ピッチでy軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルY1〜Ynは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
【0043】
なお、図5では、視覚的にわかりやすくするよう、便宜上、センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとの各辺がそれぞれ重ならないようにしており、上記ピッチで配列された状態では図示されていない。また、図5では、後述するマルチプレクサ62に入る引き出し線を省略してセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの形状を図示している。
【0044】
図4に戻り、制御回路部20は、マイコン80と、マルチプレクサ62(以下適宜、「MUX62」と称する)と、増幅回路64と、整流回路66と、リミッタ68と、通信インターフェース69と、フラッシュメモリ70と、液晶パネル13とを備えている。
【0045】
マイコン80は、CPU80aと、ROM80bと、RAM80cと、その他のA/D変換機能部や割り込み機能部等とを、一つの集積回路として構成したものである。このマイコン80は、パネル本体で実行される各種の処理を制御し、その他の周辺回路の動作状態を制御する。
【0046】
MUX62は、マイコン80からのコイル選択信号S3に基づき、センスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynを1つずつ順番に選択する。そして、MUX62は、選択されたセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynにおいて発生された上記信号S1を入力し、対応する信号S11を増幅回路64に出力する。
【0047】
増幅回路64は、MUX62から入力される上記信号S11を増幅する。増幅回路64で増幅された信号S12すなわち電子ペン入力検知信号S12は、リミッタ68に入力される。リミッタ68は、増幅回路64から入力された信号S12を周波数及び位相情報だけのデジタル信号S15に処理してマイコン80の割り込み入力に入力する。マイコン80は、リミッタ68から入力された信号S15の周期をタイマー等により計測することにより、上記センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数を判定して、現在スキャンしているセンスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号と共にRAM80cに記憶する。
【0048】
また、増幅回路64で増幅された別の信号S13は、整流回路66に入力される。整流回路66は、増幅回路64から入力された信号S13を振幅検波した後、平滑化して直流信号に変換する。整流回路66で振幅検波された信号S14は、マイコン80に入力される。マイコン80は、前述したようにA/D変換機能を備えており、上記入力された振幅検波後の信号S14をデジタル信号に変換する。このとき、マイコン80の上記ROM80bには、各センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの検出レベルと、電子ペン11と液晶パネル13との接触点の座標データのオフセット値とを対応付けて記憶する位置座標テーブルが記憶されている(詳細な説明は省略する)。マイコン80は、上記デジタル信号に対し、位置座標テーブルを適用することにより、電子ペン11の位置情報、すなわち、x軸方向のx座標及びy軸方向のy座標を算出する。なお、算出された位置情報は後述の周辺回路70のフラッシュメモリ70に記憶される。
【0049】
また、マイコン80は、センスコイル部110のスキャン処理時にRAM80cに記憶した、最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号に基づき、当該コイル番号で表されるセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから得られる上記信号S1の周波数を検出する。これにより、当該コイル番号で表されるセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynで受信された磁界の周波数の値fを検出する。
【0050】
このようにして、マイコン80は、電子ペン11の上記ペンダウン状態に対応する周波数f1の磁界を受信している間と、上記ペンアップ状態に対応する周波数f2の磁界を受信している間のいずれにおいても電子ペン11の位置情報を算出できる。そして周波数の違いにより、その時点で電子ペン11が上記ペンアップ状態と上記ペンダウン状態のいずれの状態にあるかを判定できる。本実施形態の例では、このうちペンダウンの状態に対応する周波数f1の磁界を受信している間に算出された複数の位置情報の集合がそのまま、使用者により手書き入力されたストロークデータを構成する。
【0051】
通信インターフェース69は、フラッシュメモリ70に保存された複数の位置情報を含むストロークデータなどの各種情報を上記サーバー2に送信したり、またサーバー2から所定の情報を受信するためのインターフェースである。具体的には、通信インターフェース69は、例えばUniversal Serial Bus(USB)接続のためのUSBインターフェースや、無線又は有線のネットワークインターフェースである。
【0052】
フラッシュメモリ70には、電子ファイルが予め用意されており、マイコン80で算出された複数の位置情報に基づくストロークデータ等が、上記電子ファイルに書き込まれ、保存される。また、このフラッシュメモリには、当該書き込みパネルの固体を識別可能に割り当てられている端末IDを記憶しており、サーバー2へストロークデータを送信する際にはこの端末IDも併せて送信して、当該ストロークデータの送信元をサーバー2に識別させる。
【0053】
以上の構成のパネル本体14は、電子ペン11がペンダウン状態となっている間に、当該電子ペン11の位置情報に対応した液晶パネル13上の座標位置、つまり当該電子ペン11が当該液晶パネル13の表面上で接触している位置に点を描画してその軌跡を表示させることができる。これにより、電子ペン11の先端が液晶パネル13の筆記面上に実際に筆記記載したのと同等に、液晶パネル13にストロークデータを電子的に表示できる。
【0054】
(A)仮想付箋紙の表示と、その貼付領域の初期設定について
次に、本実施形態の仮想付箋紙入力表示システムSにおいて、サーバー2が処理する仮想付箋紙アプリケーションの表示装置3における表示例を図6に示す。図示する例では、表示装置3の表示領域座標Xs−Ysにおいて、書き込みパネル1の使用者がそれぞれ任意の位置に6つの仮想付箋紙301〜306を作成して貼付表示している。なお、2つの仮想付箋紙301,302と、2つの仮想付箋紙303,304と、2つの仮想付箋紙305,306は、それぞれ異なる使用者によって作成されており、各仮想付箋紙は作成した使用者別、つまり端末ID別に異なる色で表示されている。各仮想付箋紙301〜306は、それぞれ適宜調整された大きさの矩形形状に形成されており、上記書き込みパネル1に筆記入力されたストロークデータで表現される文書情報(図中では、いずれも「・・・」で略記)が記入されている。この文書情報は、複数の文字からなる通常の文字列で記入されてもよいし、それ以外にも使用者が任意に筆記入力した図形などをそのまま記入してもよい。
【0055】
このような仮想付箋紙アプリケーションを利用することで、使用者は断片的な文書情報を手書き入力による自由な筆記態様で表示装置3の表示画面上に一時的に表示させることができる。このように構成された仮想付箋紙入力表示システムSによれば、複数の使用者がそれぞれのアイデアを記載した仮想付箋紙301〜306を表示装置3に表示して、共通のテーマに基づく検討作業、いわゆるブレインストーミングなどに利用できる。
【0056】
図7は、書き込みパネル1へのストロークデータの筆記入力例を表しており、図示する書き込みパネル1の記入座標領域Xt−Ytは、上記図5のコイルシート100の有効座標領域に対応している。この記入座標領域Xt−Ytにおいて筆記入力されたストロークデータ(図示する例の「あいうえお」の文字列)は、図示するように、1文字単位で矩形枠で囲んで切り分けされ、それぞれが例えばビットマップ形式などの文字画像データに変換される。なお、図示する例では1文字分が1つの文字画像データに対応して分割されているが、これに限られず、上記矩形枠を囲む手法によっては複数文字分を1つの文字画像データに対応させるよう分割してもよい。つまり、1つの文字画像データは、画数単位ではなく文字数単位で分割、変換される。上記仮想付箋紙には、これら複数の文字画像データを記入順に並べた文字画像データ列が記入されることになるが、以下においてはこの場合も仮想付箋紙にストロークデータを記入するとして説明する。
【0057】
またこの例では、図8に示すように、各仮想付箋紙のそれぞれの左上の頂点の座標位置が、上記表示領域座標Xs−Ysにおける当該仮想付箋紙の貼付領域の基準位置である貼付基準位置(p,q)となり、当該仮想付箋紙の貼付領域においてこの貼付基準位置(p,q)を原点とした付箋紙座標Xf−Yfが設定されている。仮想付箋紙に記入されるストロークデータは、当該仮想付箋紙の付箋紙座標Xf−Yf上において、上記貼付基準位置(p,q)の近傍位置から上記文字画像データ列の各文字画像データを等間隔で並べ、それぞれ同じ所定の表示倍率で表示する。この所定の表示倍率は、書き込みパネルの上記記入座標領域Xt−Yt上で入力された各文字画像データを、上記表示領域座標Xs−Ys上で適宜見やすい大きさに拡大、縮小する倍率に設定され、同一の仮想付箋紙に記入表示する全ての文字画像データに一律に適用する。
【0058】
なお、日本語表記の場合には、図示するような横書き以外にも縦書きの列記態様があるが、これら列記態様の違いは横書きの場合に列記方向が右方向であるとし、縦書きの場合に列記方向が下方向であるとして区別する。ここで、上述したように、使用者が書き込みパネル1で筆記入力したストロークデータ自体が、上記記入座標領域Xt−Yt上で検出した電子ペン11の位置情報の集合で構成されているため、上記の列記方向は容易に判定できる。
【0059】
また、文字画像データの数、すなわち仮想付箋紙への記載文字数が多いためにそれらを所定間隔で並べた際の列記長さが不自然に長くなる場合には、適宜改行を行って複数行に渡って記入表示する。このとき、図示する例のように列記方向が右方向である場合、つまり横書きの列記態様である場合には、改行方向は下方向となる。また、列記方向が下方向である場合、つまり縦書きの列記態様である場合には、改行方向は左方向となる(縦書きの場合は、後述の図14参照)。このような改行によって、仮想付箋紙の列記方向の長さが、あらかじめ設定された所定の初期長さに収まるようにする。なお、上記の列記方向及び改行方向が、各請求項記載の所定の判定方向に相当する。
【0060】
以上のようにして、仮想付箋紙の付箋紙座標Xf−Yf上において改行方向への改行を適宜行いつつ、各文字画像データをそれぞれ同じ表示倍率で列記方向に等間隔で並べ、さらに上下左右の各縁部に所定間隔での余白を設けることで、当該文字画像データ列を記入する仮想付箋紙全体の貼付領域が初期的に設定される。このとき、当該貼付領域の横方向の幅をW、縦方向の高さをHとしたとき、図示する横書きの場合では、表示領域座標Xs−Ysにおける座標位置(p+W,q+H)、つまり貼付領域の右下の頂点の座標位置が、当該貼付領域の貼付領域終点位置(p+W,q+H)となる。
【0061】
新規に仮想付箋紙を作成して貼付表示する際には、上記のようにしてその貼付領域(以下、新規貼付領域という)が初期的に設定されるが、本実施形態ではこの初期設定された新規貼付領域が他の既存の仮想付箋紙の貼付領域(以下、既存貼付領域という)と重複する場合には、当該新規貼付領域を変形する。以下、その変形手法の詳細について、順を追って説明する。
【0062】
(B)貼付領域の重複判定と重複した場合の変形手法
使用者が新規の仮想付箋紙を作成する場合には、まずマウスなどの適宜のポインティングデバイス(図示省略)を利用して、上記貼付基準位置(p,q)を表示領域座標Xs−Ys中の任意の位置に指定する。このとき、仮想付箋紙どうしの重複を回避するために、貼付基準位置(p,q)は必ず既存の仮想付箋紙の貼付領域の外側で空いている範囲に指定することを前提とする。また、この貼付基準位置(p,q)の位置指定は、電子ペン11を上記ペンアップ状態に維持したまま移動操作することにより行ってもよい。
【0063】
次に、書き込みパネル1に筆記入力したストロークデータをサーバー2に送信する。サーバー2は、受信したストロークデータを文字画像データ列に変換し、上述した処理によってこの文字画像データ列を列記して表示可能な仮想付箋紙の新規貼付領域を初期的に設定する。
【0064】
ここで、図9(a)に示すように、貼付基準位置(p,q)に位置する初期設定の新規貼付領域が、他の既存貼付領域のいずれにも重複しない場合は、何ら問題なく当該新規貼付領域に上記ストロークデータを列記した新規の仮想付箋紙をそのまま貼付表示できる。なお、この図9以降においては、図示の煩雑を避けるため、仮想付箋紙に列記する文字画像データを通常のテキストの字体で表す。
【0065】
これに対して、図9(b)に示すように、貼付基準位置(p,q)に位置する初期設定の新規貼付領域が、他の既存貼付領域のいずれかに一部でも重複する場合は、そのまま新規の仮想付箋紙を貼付表示すると、被重複側の既存の仮想付箋紙に列記されているストロークデータが当該新規の仮想付箋紙に覆われて見えなくなる。本実施形態では、このような重複による視認性の低下を回避するために、新規貼付領域を適切に変形させる。なお、本実施形態において、この重複の判定は、新規貼付領域における列記方向と改行方向のそれぞれの末端の縁部(図示する横書きの例では右側縁部と下側縁部)での重複だけに着目する。また、上述したように、これら列記方向と改行方向は、ストロークデータの横書きと縦書きの列記態様によって決まる。
【0066】
また、重複が判定された場合でも、図9(b)に示すように、新規貼付領域での列記方向と改行方向のいずれか一方の末端の縁部(図示する例では右側縁部)だけが重複しているのであれば、当該新規貼付領域を変形して貼付表示できる可能性がある。しかし、図9(c)に示すように、新規貼付領域での列記方向と改行方向の両方向の末端の縁部(図示する例では右側縁部と下側縁部)でそれぞれ重複している場合には、当該新規貼付領域をどのように変形しても重複を回避する貼付表示ができないので、本実施形態では貼付表示自体が不可能であるとみなす。
【0067】
列記方向と改行方向のいずれか一方の末端の縁部だけが重複している場合には、以下の手法で新規貼付領域を変形する。まず、図10に示すように、表示領域座標Xs−Ysにおいて貼付基準位置(p,q)の位置から、列記方向と改行方向のそれぞれの方向で最も近くに位置している既存貼付領域の縁部までの離間距離を検出する。このとき離間距離の検出は、重複の有無に関係なく列記方向と改行方向の両方向で検出する。また、離間距離を検出する対象の縁部は、当該新規貼付領域での列記方向と改行方向の両方向の末端の縁部と重複する可能性のある位置の縁部である。つまり、貼付基準位置(p,q)から列記方向の逆方向(図示する横書きの場合の左方向)や、改行方向の逆方向(図示する横書きの場合の上方向)に位置している縁部や、通常の仮想付箋紙の貼付領域の大きさと比較して大きく離れている縁部は、離間距離の検出対象にしなくてよい。そして、この離間距離は、貼付基準位置(p,q)と検出対象の縁部の延長線との間の離間距離を検出する。なお、重複が判定されていない方向で何も既存貼付領域が存在していない場合には、表示領域座標Xs−Ysの縁部までの離間距離を検出する。
【0068】
そして、初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが列記方向で重複する場合には、図11に示すように、文字画像データを記入順で一文字ずつ列記方向に配置し、1行分の列記長さが上記検出した列記方向の離間距離内に収めるように調節する。このとき、列記方向の両端2箇所の余白も含めて収めるよう調節するとよい。このように1行分の列記長さを調節するたびに改行方向での改行を繰り返し、全ての文字画像データを配置できるよう新規貼付領域を変形する。ここで、図12に示すように、変形した結果の新規貼付領域の改行方向の長さ(図示する例の横書きの場合の高さH)が、上記検出した改行方向の離間距離を超える場合には、当該新規の仮想付箋紙の貼付表示自体が不可能であるとみなして貼付表示エラーを報知する。
【0069】
また、初期設定の新規貼付領域と既存貼付領域とが改行方向で重複する場合には、図13に示すように、上記検出した改行方向の離間距離を、文字画像データの改行方向の長さ(図示する横書きの場合の高さ)で除算して配置可能行数(図示する例では2行)を算出する。このとき、改行方向の両端2箇所の余白も含めて収めるよう算出するとよい。このように算出した配置可能行数で、文字画像データの数、つまり記載文字数(図示する例では9文字)を除算し、各行で列記する文字数(図示する例では4文字又は5文字)を算出する。そして、算出した各行列記文字数で、1行目から順に文字画像データを列記方向に配置し、全ての文字画像データを配置できるよう新規貼付領域を変形する。また、この改行方向で重複する場合の変形においても、上記図12と同等の判定を行う。つまり、変形した結果の新規貼付領域の列記方向の長さが、上記検出した列記方向の離間距離を超える場合は、当該新規の仮想付箋紙の貼付表示自体が不可能であるとみなして貼付表示エラーを報知する(この場合は特に図示せず)。
【0070】
なお、上記図11〜図13で示した例の変形はいずれもストロークデータが横書きの場合であったが、縦書きの場合でも列記方向を下方向とし、改行方向を左方向とすることで同様の手法で新規貼付領域を変形できる。この場合には、図14に示すように、表示領域座標Xs−Ysにおける貼付領域の右上の頂点が貼付基準位置(p,q)となり、この近傍位置から上記文字画像データ列の各文字画像データを列記方向(下方向)に等間隔で並べ、それぞれ同じ所定の表示倍率で表示する。そして、表示領域座標Xs−Ysにおける座標位置(p−W,q+H)、つまり貼付領域の左下の頂点の座標位置が、当該貼付領域の貼付領域終点位置(p−W,q+H)となる。新規貼付領域が列記方向で既存貼付領域と重複する場合には、図14(a)に示すように変形でき、新規貼付領域が改行方向で既存貼付領域と重複する場合には、図14(b)に示すように変形できる。
【0071】
(C)本実施形態の制御処理
以上のような機能を実現するために、サーバー2の制御手段であるCPU(特に図示せず)で行われる制御処理の内容を、図15により順を追って説明する。
【0072】
図15において、このフローに示すサーバー2のCPUの処理は、例えばいずれかの書き込みパネル1の使用者が操作したことにより当該書き込みパネル1から新規の仮想付箋紙を作成する旨の指令を受信した場合に開始される。まずステップSS5で、CPUは、当該書き込みパネル1から表示領域座標Xs−Ysにおける貼付基準位置(p,q)を取得する。
【0073】
そして、ステップSS10に移り、CPUは、当該書き込みパネル1から引き続きストロークデータを取得する。
【0074】
そして、ステップSS15に移り、CPUは、上記ステップSS10で取得したストロークデータを文字画像データ列に変換する。
【0075】
そして、ステップSS20に移り、CPUは、上記ステップSS10で取得したストロークデータに含まれる複数の電子ペン11の位置情報に基づいて列記方向を判定する。
【0076】
そして、ステップSS25に移り、CPUは、上記ステップSS5で取得した貼付基準位置(p,q)と、上記ステップSS15で変換した文字画像データ列と、上記ステップSS20で判定した列記方向に基づいて、表示領域座標Xs−Ysにおける新規貼付領域を初期的に設定する。
【0077】
そして、ステップSS30に移り、CPUは、上記ステップSS25で設定した初期の新規貼付領域が他の既存貼付領域と重複するか否かを判定する。初期の新規貼付領域がいずれの既存貼付領域にも重複しない場合は、判定は満たされず、ステップSS75へ移る。一方、初期の新規貼付領域がいずれかの既存貼付領域に重複する場合は、判定が満たされ、ステップSS35へ移る。
【0078】
ステップSS35では、CPUは、上記ステップSS30で判定した重複が列記方向と改行方向の2方向で重複しているか否かを判定する。初期の新規貼付領域が2方向で既存貼付領域と重複する場合は、判定が満たされ、ステップSS40へ移る。
【0079】
ステップSS40では、CPUは、当該新規貼付領域をどのように変形しても重複を回避する貼付表示ができないとみなし、表示装置3の表示画面上での表示もしくは当該書き込みパネル1に報知信号を送信して貼付表示エラーを報知する。そして、このフローを終了する。
【0080】
一方、上記ステップSS35の判定において、初期の新規貼付領域が1方向でしか既存貼付領域と重複していない場合は、判定は満たされず、ステップSS45へ移る。
【0081】
ステップSS45では、CPUは、上記ステップSS20で判定した列記方向が右方向であるか否か、言い換えると横書きであるか否かを判定する。列記方向が右方向の横書きである場合、判定が満たされ、ステップSS50へ移る。
【0082】
ステップSS50では、CPUは、上記ステップSS5で取得した貼付基準位置(p,q)から右方向及び下方向での離間距離、つまり列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離を検出する。
【0083】
そして、ステップSS55に移り、CPUは、上記ステップSS50で検出した列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離と、上記ステップSS15で変換した文字画像データ列に基づいて、上述した(B)の手法により新規貼付領域を変形する。そして、ステップSS70に移る。
【0084】
一方、上記ステップSS45の判定において、列記方向が下方向の縦書きである場合、判定は満たされず、ステップSS60へ移る。
【0085】
ステップSS60では、CPUは、上記ステップSS5で取得した貼付基準位置(p,q)から下方向及び左方向での離間距離、つまり列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離を検出する。
【0086】
そして、ステップSS65に移り、CPUは、上記ステップSS60で検出した列記方向と改行方向のそれぞれの離間距離と、上記ステップSS15で変換した文字画像データ列に基づいて、上述した(B)の手法により新規貼付領域を変形する。そして、ステップSS70に移る。
【0087】
ステップSS70では、CPUは、上記ステップSS55又は上記ステップSS65で変形された新規貼付領域が他の既存貼付領域と重複するか否かを判定する。変形後の新規貼付領域がいずれかの既存貼付領域に重複する場合は、判定が満たされ、ステップSS40へ移り、同様の手順を行う。
【0088】
一方、変形後の新規貼付領域がいずれの既存貼付領域にも重複しない場合は、判定は満たされず、ステップSS75へ移る。
【0089】
ステップSS75では、CPUは、その時点の新規貼付領域において改行方向への改行を適宜行いつつ、各文字画像データをそれぞれ同じ表示倍率で列記方向に等間隔で並べて記入表示した新規の仮想付箋紙を貼付表示する。そして、このフローを終了する。
【0090】
以上において、上記図15のフローにおけるステップSS5の手順が、各請求項記載の貼付基準位置取得手段及び貼付基準位置取得手順に相当し、ステップSS10の手順がストロークデータ取得手段及びストロークデータ取得手順に相当し、ステップSS15及びステップSS20の手順がデータ変換手段及びデータ変換手順に相当し、ステップSS25の手順が初期領域設定手段及び初期領域設定手順に相当し、ステップSS30の手順が重複判定手段及び重複判定手順に相当し、ステップSS50及びステップSS60の手順が離間距離検出手段及び離間距離検出手順に相当し、ステップSS55及びステップSS65の手順が貼付領域変更手段及び貼付領域変更手順に相当し、ステップSS70及びステップSS75の手順が新規貼付手段及び新規貼付手順に相当する。また、ステップSS20の手順が、列記方向判定手段に相当する。
【0091】
以上説明したように、本実施形態の仮想付箋紙入力表示システムSが備えるサーバー2においては、ステップSS50及びステップSS60の手順によって、貼付基準位置(p,q)から、既存貼付領域までの列記方向及び改行方向での離間距離を検出する。また、ステップSS55及びステップSS65の手順が、この検出した離間距離に基づいて、新規貼付領域が貼付基準位置(p,q)に位置した際に列記方向及び改行方向で既存貼付領域と重複しないように新規貼付領域の大きさを変更する。そして、ステップSS70及びステップSS75の手順が、変更した新規貼付領域の大きさで、文字画像データ列の全ての文字画像データが所定の表示倍率で列記可能であるか否かを判定し、列記可能であれば貼付基準位置(p,q)に新規貼付領域で新規の仮想付箋紙を貼付表示する。
【0092】
これにより本実施形態は、既存の仮想付箋紙と重複させることなく、文字画像データ列の表示倍率を維持したまま使用者が指定した基準位置に新規の仮想付箋紙を貼付表示できる。この結果、仮想付箋紙の煩雑な表示を回避して、自由度の高い仮想付箋紙の作成操作が可能となる。
【0093】
また、本実施形態では特に、ステップSS20の手順が、文字画像データの列記方向が横書きの場合の右方向であるか、縦書きの場合の下方向であるかを判定する。ステップSS25の手順は、列記方向での文字画像データ列の列記長さが所定の初期長さに収まるよう、当該列記方向に対応する改行方向で改行して文字画像データを配置する。このようにして、列記方向と改行方向で全ての文字画像データを配置した場合の大きさを、新規貼付領域の初期的な大きさとして設定する。これにより、新規の仮想付箋紙を自然な矩形形状で初期的に設定でき、使用者がその貼付基準位置(p,q)を指定する際にもその形状を想定した位置の指定が容易となる。
【0094】
また、本実施形態では特に、ステップSS50及びステップSS60の手順が、貼付基準位置(p,q)から列記方向と改行方向の両方で離間距離を検出する。これにより、文字画像データ列が横書きである場合と縦書きである場合のそれぞれに適切に対応した離間距離の検出が可能となる。
【0095】
なお、上記実施形態では、各文字画像データが1文字分に対応し、貼付領域内での列記及び改行がこの文字画像データ単位で行われた例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、図16に示すように、「今日はいい天気だ」の文例の文字画像データ列を記入する初期的な新規貼付領域が、「天」と「気」の間で既存貼付領域の縁部に重複する場合を考える。このとき、上記実施形態のように各文字画像データを1文字分に対応させて改行するよう新規貼付領域を変化させると、「天」と「気」の間で改行が行われてしまうため、文章としては不自然に区切られて表示される。しかし、図示する文例中における「今日」、「いい」、及び「天気」などのように1つの文節を構成する連続した複数の文字画像データを新たに1つの文字画像データとしてまとめた場合には、「いい」と「天気」の間で改行が行われる。
【0096】
上記実施形態のステップSS15の手順において、このように文字画像データを文節ごとにまとめるよう変換してもよく、この場合には文字画像データ列の改行箇所においても1つの文節を構成する複数の文字画像データを引き離すことがないため、文字画像データ列を自然な区切りで改行して読ませることができる。
【0097】
また、上記実施形態では、各書き込みパネル1が通信ネットワークを介してサーバー2に直接接続し、サーバー2が表示制御する1台の表示装置3を各使用者が共有して閲覧する構成としていたが、本発明はこれに限られない。他にも、図17に示すように、各書き込みパネル1がそれぞれ表示装置3を備えるパーソナルコンピュータPCに接続し、これらパーソナルコンピュータPCが通信ネットワークNWを介してサーバー2に接続した構成としてもよい。この場合には、サーバー2が全ての仮想付箋紙を貼付する仮想的な掲示板を管理し、複数のパーソナルコンピュータPCがこの仮想掲示板を共有表示してそれぞれで仮想付箋紙の入力作成の操作を行う。このように構成された仮想付箋紙入力表示システムS2によれば、互いに遠く離れた複数の使用者がそれぞれのアイデアを記載した仮想付箋紙を共有の仮想掲示板に貼付して、互いに閲覧できる。なお、この場合には、上記図15のフローの各手順を、サーバー2とパーソナルコンピュータPCとで適宜分担して処理してもよい。
【0098】
また、上述した各形態の仮想付箋紙入力表示システムS,S2は、複数の使用者が1つの仮想掲示板を共有するネットワークの構成であったが、本発明はこれに限られない。他にも、1つの書き込みパネル1と1台のパーソナルコンピュータPCを接続しただけのいわゆるスタンドアローンの構成としてもよい。なお、この場合には、サーバー2に代わってパーソナルコンピュータPCが上記図15のフローの全ての手順を処理する。
【0099】
また、上記実施形態では、ストロークデータを構成する電子ペン11の位置情報の検出を、当該電子ペン11側のコイル44と、パネル装置12側のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynとの間の磁気結合を利用したいわゆるアクティブ型磁気結合方式により行ったが、本発明はこれに限られない。他にも、パッシブ型磁気結合方式や、超音波方式、もしくは被筆記具であるメモ用紙11にあらかじめ印刷された点や模様を電子ペン2に備えたカメラで撮像してその点や模様の動きを検出する方式などにより電子ペン11の位置情報を検出してもよい(各方式の詳細な説明は省略する)。
【0100】
なお、以上において、図1、図4、図17等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0101】
また、図15に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0102】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0103】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0104】
1 手書きパネル(外部の操作端末)
2 サーバー
3 表示装置(表示手段)
11 電子ペン(電子筆記具)
12 パネル装置
13 液晶パネル(被筆記具)
14 パネル本体
41 LC発振回路
42 先端スイッチ
44 コイル
46 制御部
80a CPU
301〜308 仮想付箋紙(表示オブジェクト)
S,S1,S2 仮想付箋紙入力表示システム
,S3
X1〜Xm センスコイル(複数のコイル)
,Y1〜Yn
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被筆記具への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置であって、
前記表示手段の表示領域座標において、使用者により新規の表示オブジェクトを貼付表示する際に指定された貼付領域の基準位置を取得する貼付基準位置取得手段と、
前記新規の表示オブジェクトに記入するデータとして、前記外部の操作端末からの前記位置情報の受信結果に基づき、前記電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得するストロークデータ取得手段と、
前記ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換するデータ変換手段と、
前記データ変換手段により変換された前記文字画像データ列の所定の表示倍率での列記長さに応じて、前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する初期領域設定手段と、
前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置に、前記初期領域設定手段で設定した初期的な大きさの前記新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の判定方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複するかを判定する重複判定手段と、
前記重複判定手段が重複すると判定した場合に、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置から、前記重複判定手段が重複すると判定した前記既存貼付領域までの前記所定の判定方向での離間距離を検出する離間距離検出手段と、
前記離間距離検出手段で検出した前記所定の判定方向での離間距離に基づいて、前記新規貼付領域が前記基準位置に位置した際に前記所定の判定方向で前記既存貼付領域と重複しないよう、前記新規貼付領域の大きさを変更する貼付領域変更手段と、
前記貼付領域変更手段が変更した前記新規貼付領域の大きさで、前記文字画像データ列の全ての前記文字画像データが前記所定の表示倍率で列記可能である場合、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置で、当該新規貼付領域に前記全ての文字画像データを列記した前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付手段と、
を有することを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示オブジェクト管理装置において、
前記データ変換手段は、前記ストロークデータを前記文字画像データ列に変換する際に前記文字画像データの列記方向を判定する列記方向判定手段を備えており、
前記初期領域設定手段は、前記列記方向判定手段で判定した前記列記方向での前記文字画像データ列の列記長さが所定の初期長さに収まるよう、当該列記方向に対応する改行方向で改行して前記文字画像データを配置することで新規貼付領域の初期的な大きさを設定する
ことを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項3】
請求項2記載の表示オブジェクト管理装置において、
前記重複判定手段が重複すると判定した場合に、前記離間距離検出手段は、前記列記方向及び前記改行方向の両方を前記所定の判定方向としてそれぞれの前記離間距離を検出する
ことを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の表示オブジェクト管理装置において、
データ変換手段は、1つの文節を構成する連続した複数の文字画像データを新たに1つの文字画像データとしてまとめる
ことを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項5】
被筆記具への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置に備えられた制御手段に対し、
前記表示手段の表示領域座標において、使用者により新規の表示オブジェクトを貼付表示する際に指定された貼付領域の基準位置を取得する貼付基準位置取得手順と、
前記新規の表示オブジェクトに記入するデータとして、前記外部の操作端末からの前記位置情報の受信結果に基づき、前記電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得するストロークデータ取得手順と、
前記ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換するデータ変換手順と、
前記データ変換手順により変換された前記文字画像データ列の所定の表示倍率での列記長さに応じて、前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する初期領域設定手順と、
前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置に、前記初期領域設定手順で設定した初期的な大きさの前記新規貼付領域に新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複するかを判定する重複判定手順と、
前記重複判定手順が重複すると判定した場合に、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置から、前記重複判定手順が重複すると判定した前記既存貼付領域までの前記所定の判定方向での離間距離を検出する離間距離検出手順と、
前記離間距離検出手順で検出した前記所定の判定方向での離間距離に基づいて、前記新規貼付領域が前記基準位置に貼付表示した際に前記所定の判定方向で前記既存貼付領域と重複しないよう、前記新規貼付領域の大きさを変更する貼付領域変更手順と、
前記貼付領域変更手順が変更した前記新規貼付領域の大きさで、前記文字画像データ列の全ての前記文字画像データが前記所定の表示倍率で列記可能である場合、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置で、当該新規貼付領域に前記全ての文字画像データを列記した前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付手順と、
を実行させるための表示オブジェクト管理プログラム。
【請求項1】
被筆記具への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置であって、
前記表示手段の表示領域座標において、使用者により新規の表示オブジェクトを貼付表示する際に指定された貼付領域の基準位置を取得する貼付基準位置取得手段と、
前記新規の表示オブジェクトに記入するデータとして、前記外部の操作端末からの前記位置情報の受信結果に基づき、前記電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得するストロークデータ取得手段と、
前記ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換するデータ変換手段と、
前記データ変換手段により変換された前記文字画像データ列の所定の表示倍率での列記長さに応じて、前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する初期領域設定手段と、
前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置に、前記初期領域設定手段で設定した初期的な大きさの前記新規貼付領域で新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の判定方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複するかを判定する重複判定手段と、
前記重複判定手段が重複すると判定した場合に、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置から、前記重複判定手段が重複すると判定した前記既存貼付領域までの前記所定の判定方向での離間距離を検出する離間距離検出手段と、
前記離間距離検出手段で検出した前記所定の判定方向での離間距離に基づいて、前記新規貼付領域が前記基準位置に位置した際に前記所定の判定方向で前記既存貼付領域と重複しないよう、前記新規貼付領域の大きさを変更する貼付領域変更手段と、
前記貼付領域変更手段が変更した前記新規貼付領域の大きさで、前記文字画像データ列の全ての前記文字画像データが前記所定の表示倍率で列記可能である場合、前記貼付基準位置取得手段で取得した前記基準位置で、当該新規貼付領域に前記全ての文字画像データを列記した前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付手段と、
を有することを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示オブジェクト管理装置において、
前記データ変換手段は、前記ストロークデータを前記文字画像データ列に変換する際に前記文字画像データの列記方向を判定する列記方向判定手段を備えており、
前記初期領域設定手段は、前記列記方向判定手段で判定した前記列記方向での前記文字画像データ列の列記長さが所定の初期長さに収まるよう、当該列記方向に対応する改行方向で改行して前記文字画像データを配置することで新規貼付領域の初期的な大きさを設定する
ことを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項3】
請求項2記載の表示オブジェクト管理装置において、
前記重複判定手段が重複すると判定した場合に、前記離間距離検出手段は、前記列記方向及び前記改行方向の両方を前記所定の判定方向としてそれぞれの前記離間距離を検出する
ことを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の表示オブジェクト管理装置において、
データ変換手段は、1つの文節を構成する連続した複数の文字画像データを新たに1つの文字画像データとしてまとめる
ことを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項5】
被筆記具への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記具における位置情報を外部の操作端末から受信するとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置に備えられた制御手段に対し、
前記表示手段の表示領域座標において、使用者により新規の表示オブジェクトを貼付表示する際に指定された貼付領域の基準位置を取得する貼付基準位置取得手順と、
前記新規の表示オブジェクトに記入するデータとして、前記外部の操作端末からの前記位置情報の受信結果に基づき、前記電子筆記具による筆記内容に対応したストロークデータを取得するストロークデータ取得手順と、
前記ストロークデータを、1文字分乃至複数文字分の文字画像データ単位で分割して記入順に並べた文字画像データ列に変換するデータ変換手順と、
前記データ変換手順により変換された前記文字画像データ列の所定の表示倍率での列記長さに応じて、前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付領域の初期的な大きさを設定する初期領域設定手順と、
前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置に、前記初期領域設定手順で設定した初期的な大きさの前記新規貼付領域に新規の表示オブジェクトを貼付表示した場合に、当該新規貼付領域が所定の方向で他の既存の表示オブジェクトの既存貼付領域と重複するかを判定する重複判定手順と、
前記重複判定手順が重複すると判定した場合に、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置から、前記重複判定手順が重複すると判定した前記既存貼付領域までの前記所定の判定方向での離間距離を検出する離間距離検出手順と、
前記離間距離検出手順で検出した前記所定の判定方向での離間距離に基づいて、前記新規貼付領域が前記基準位置に貼付表示した際に前記所定の判定方向で前記既存貼付領域と重複しないよう、前記新規貼付領域の大きさを変更する貼付領域変更手順と、
前記貼付領域変更手順が変更した前記新規貼付領域の大きさで、前記文字画像データ列の全ての前記文字画像データが前記所定の表示倍率で列記可能である場合、前記貼付基準位置取得手順で取得した前記基準位置で、当該新規貼付領域に前記全ての文字画像データを列記した前記新規の表示オブジェクトを貼付表示する新規貼付手順と、
を実行させるための表示オブジェクト管理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図17】
【公開番号】特開2012−203643(P2012−203643A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67512(P2011−67512)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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