説明

表示システム及びその表示方法

【課題】複数の表示装置を用いた各種情報の表示に係わる処理を分散して行なうようにした表示システム及びその表示方法を提供する。
【解決手段】階層的に接続され、所定の空間領域を管理空間領域として管理する複数の空間管理手段と、1又は複数のコンテンツを管理するコンテンツ管理手段と、表示領域上に各種情報を表示する複数の表示手段とを具備する表示システムであって、複数の空間管理手段の各々は、自身の下位に表示手段が接続されている場合に、表示手段からその表示領域の大きさを含む情報を空間情報として取得し、自身の下位に他の空間管理手段が接続されている場合に、他の空間管理手段からその管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として取得し、当該取得した空間情報を部分空間として自身が管理する管理空間領域内に配置し、管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として自身の上位に接続されている他の空間管理手段に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示装置を用いて各種情報を表示する表示システム及びその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地に離れて存在するメンバ同士が通信手段を使用して映像や音声で通信を行なうシステムが知られている。このようなシステムとしては、例えば、テレビ会議システムがある。テレビ会議システムでは、例えば、遠隔地に離れて存在する表示部において、会議で使用する資料を表示したり、またビデオカメラにより会議相手の映像を表示したりして擬似的に会議室を構成する。
【0003】
このようなテレビ会議システムに関しては、特許文献1に開示される技術が知られている。このシステムは、テレビ電話機を備えた複数のメンバ側端末と、これら複数のメンバ側端末と接続された1つのホスト側端末とから構成され、会議に際して、各メンバ側端末における出席者の画像を1つの画面上に分割して表示させる。
【特許文献1】特開平4−140990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点がある。
【0005】
複数のメンバ側端末が1つのホスト側端末に接続するため、ホスト側端末では、トランザクションが集中してしまい、それがボトルネックとなってしまう。これにより、会議に参加させることのできるメンバ側端末数の増加が困難となる。また、例えば、同時に複数のテレビ会議が開催されている場合に、それを統合して1つの会議とすることが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の表示装置を用いた各種情報の表示に係わる処理を分散して行なうようにした表示システム及びその表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による表示システムは、階層的に接続され、所定の空間領域を管理空間領域として管理する複数の空間管理手段と、1又は複数のコンテンツを管理するコンテンツ管理手段と、表示領域上に各種情報を表示する複数の表示手段とを具備し、前記複数の空間管理手段の各々は、自身の下位に表示手段が接続されている場合に、該表示手段からその表示領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する第1の取得手段と、自身の下位に他の空間管理手段が接続されている場合に、該他の空間管理手段からその管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得した空間情報を部分空間として自身が管理する管理空間領域内に配置する配置手段と、前記管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として自身の上位に接続されている他の空間管理手段に出力する出力手段とを具備し、前記コンテンツ管理手段は、前記空間管理手段のいずれかから該空間管理手段が管理する管理空間領域を取得する管理空間領域取得手段と、前記管理空間領域取得手段により取得した管理空間領域内にコンテンツを配置するコンテンツ配置手段とを具備し、前記複数の表示手段の各々では、前記管理空間領域内における自身の表示領域に対応する部分空間内に配置されたコンテンツの表示が行なわれることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、階層的に接続され、所定の空間領域を管理空間領域として管理する複数の空間管理手段と、1又は複数のコンテンツを管理するコンテンツ管理手段と、表示領域上に各種情報を表示する複数の表示手段とを具備する表示システムの表示方法であって、前記複数の空間管理手段の各々は、自身の下位に表示手段が接続されている場合に、該表示手段からその表示領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する第1の取得工程と、自身の下位に他の空間管理手段が接続されている場合に、該他の空間管理手段からその管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する第2の取得工程と、前記第1の取得工程又は前記第2の取得工程で取得した空間情報を部分空間として自身が管理する管理空間領域内に配置する配置工程と、前記管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として自身の上位に接続されている他の空間管理手段に出力する出力工程とを含む工程を実施し、前記コンテンツ管理手段は、前記空間管理手段のいずれかから該空間管理手段が管理する管理空間領域を取得する管理空間領域取得工程と、前記管理空間領域取得工程で取得した管理空間領域内にコンテンツを配置するコンテンツ配置工程とを含む工程を実施し、前記複数の表示手段の各々では、前記管理空間領域内における自身の表示領域に対応する部分空間内に配置されたコンテンツの表示が行なわれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の表示装置を用いた各種情報の表示に係わる処理を分散して行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係わる表示システム及びその表示方法の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(実施形態)
図1は、本発明の実施の一形態に係わる表示システムの構成の一例を示す図である。
【0012】
表示システムは、1又は複数のコンピュータを含んで構成される。コンピュータには、例えば、CPU等の主制御手段、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶手段が具備される。また、コンピュータには、ネットワークカード等の通信手段、キーボード、ディスプレイ又はタッチパネル等の入出力手段等、が具備されていてもよい。なお、これら各構成手段は、バス等により接続され、主制御手段が記憶手段に記憶されたプログラムを実行することで制御される。
【0013】
ここで、表示システムには、機能的な構成として、表示部(101−1〜101−6)101、部分空間管理部(102−1〜102−6)102、コンテンツ管理部103が具備される。図1の場合、表示部101、部分空間管理部102は、それぞれ複数設けられる。
【0014】
表示部101は、静止画、動画等の各種情報(例えば、映像)を表示領域上(画面)に表示する。表示部101各々は、部分空間管理部102に接続されている。表示部101は、空間情報(例えば、表示部101における表示可能な領域の大きさ)を部分空間管理部102に出力する。なお、図1では、表示部101が複数設けられているが、各表示部101が有する表示可能領域、解像度、色表現力等の性能はそれぞれ異なっていてもよい。
【0015】
部分空間管理部102は、階層的に接続されており、ツリー構造を有して構成される。部分空間管理部102には、複数の表示部101や他の部分空間管理部102が接続されている。部分空間管理部102には、自身(の下位)に接続されている表示部101及び部分空間管理部102から空間情報が入力される。なお、空間情報とは、表示部101及び部分空間管理部102の各々が持つ空間領域に係わる情報であり、少なくとも大きさを含む情報である。
【0016】
ここで、部分空間管理部102における機能的な構成の一例を図2に示す。部分空間管理部102には、機能的な構成として、部分空間配置部201、部分空間情報保持部202、空間情報出力部203、接続検知部204、空間情報取得部205が具備される。
【0017】
空間情報取得部205は、自身(の下位)に接続されている表示部101及び部分空間管理部102から入力される空間情報を取得する。すなわち、表示部101からはその表示領域の大きさを含む情報を空間情報として取得し(第1の取得)、部分空間管理部102からはその管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する(第2の取得)。例えば、部分空間管理部102−4の場合は、部分空間管理部(102−1、102−2)から空間情報の入力を受けそれを取得する。
【0018】
部分空間配置部201は、入力された空間情報に基づいて部分空間の配置を行なう。これにより、部分空間管理部102では、自身が管理する管理空間領域を構成する。
【0019】
部分空間情報保持部202は、部分空間配置部201により管理空間領域内に配置された1又は複数の部分空間に係わる情報(以下、部分空間情報と言う)を保持する。この部分空間情報のデータ形式の一例を図3に示す。
【0020】
部分空間情報は、部分空間管理部102により管理されている管理空間領域内に配置された部分空間各々に対応して保持される。部分空間情報には、各部分空間に対応して、空間領域ID601、空間領域座標602、空間領域Xサイズ603、空間領域Yサイズ604が保持される。空間領域ID601は、各部分空間を識別するための識別子を示す。空間領域座標602は、各部分空間の配置座標を示す。空間領域Xサイズ603は、各部分空間におけるX方向の大きさを示し、空間領域Yサイズ604は、各部分空間におけるY方向の大きさを示す。空間領域Xサイズ603及び空間領域Yサイズ604は、部分空間管理部102に入力される空間情報に基づき保持される。
【0021】
接続検知部204は、自身(部分空間管理部102)に接続されている他の部分空間管理部102があるか否かを検知する。この検知は、自身よりも上位に当たる部分空間管理部102に対して行なう。例えば、部分空間管理部102−4の場合は、部分空間管理部102−6を検知することになる。
【0022】
空間情報出力部203は、自身(部分空間管理部102)が管理する管理空間領域の大きさを計算し、その結果を新たな空間情報として出力する。空間情報出力部203では、自身よりも上位に当たる部分空間管理部102に空間情報を出力する。この空間情報の出力は、接続検知部204による検知結果に基づき行なわれる。具体的には、他の部分空間管理部102が接続されていない場合には、空間情報の出力を行なわない。例えば、部分空間管理部102−4の場合は、部分空間管理部102−6に空間情報を出力することになり、また、例えば、部分空間管理部102−6の場合は、空間情報の出力は行なわないことになる。
【0023】
図4は、空間情報出力部203により出力される空間情報の一例を示す図である。空間情報は、例えば、2つのフィールドより構成される。具体的には、自身(部分空間管理部102)が管理する管理空間領域のX方向の大きさを示す空間領域Xサイズ501と、自身が管理する管理空間領域のY方向の大きさを示す空間領域Yサイズ502とから構成される。
【0024】
図5は、部分空間管理部102が管理する管理空間領域の一例を示す図である。
【0025】
ここで、部分空間402(402−1、402−2)は、部分空間管理部102が表示部101又は部分空間管理部102から入力された空間情報に基づいて作成した空間領域である。部分空間管理部102は、部分空間配置部201において、1又は複数の部分空間402を配置し、自身(部分空間管理部102)が管理する管理空間領域401を構成する。
【0026】
図1に戻り、コンテンツ管理部103は、1又は複数のコンテンツ104を統一座標系内に配置する。コンテンツ管理部103は、部分空間管理部102に論理的に接続されている。なお、コンテンツは、文章(テキスト)、音楽、画像、映像等を幅広く含むデジタルデータである。
ここで、コンテンツ管理部103における機能的な構成の一例を図6に示す。コンテンツ管理部103には、機能的な構成として、コンテンツ取得部301、管理空間領域取得部302、コンテンツ配置部303、コンテンツ情報保持部304、コンテンツ情報出力部305が具備される。
【0027】
コンテンツ取得部301は、コンテンツ104を取得する。なお、ここで取得するコンテンツ104は、コンテンツ自体であってもよいし、また、その他の情報が含まれていてもよい。
【0028】
管理空間領域取得部302は、部分空間管理部102から当該部分空間管理部102が管理する管理空間領域を取得する。なお、この管理空間領域の取得では、当該管理空間領域内に含まれる部分空間も取得される。
【0029】
コンテンツ配置部303は、管理空間領域内、より詳細には、部分空間内にコンテンツを配置する。
【0030】
コンテンツ情報保持部304は、コンテンツに係わる情報(以下、コンテンツ情報と言う)を保持する。図7は、コンテンツ情報保持部304により保持されるコンテンツ情報のデータ形式の一例を示す図である。コンテンツ情報は、各コンテンツに対応して保持されている。コンテンツ情報には、各コンテンツに対応して、コンテンツID801、コンテンツ形式802、コンテンツ配置座標803、コンテンツXサイズ804、コンテンツYサイズ805が保持される。コンテンツID801は、各コンテンツを識別するための識別子を示す。コンテンツ形式802は、各コンテンツのデータ形式を示す。コンテンツ配置座標803は、各コンテンツの配置座標を示す。コンテンツXサイズ804は、各コンテンツにおけるX方向の空間的大きさを示し、コンテンツYサイズ805は、各コンテンツにおけるY方向の空間的大きさを示す。
【0031】
図8は、コンテンツ配置部303により管理空間領域内へ配置されたコンテンツ104の一例を示す図である。管理空間領域701は、管理空間領域取得部302により取得された空間領域である。702(702−1〜702−3)は、コンテンツ配置部303により配置されたコンテンツである。
【0032】
コンテンツ情報出力部305は、コンテンツとその配置情報とを出力する。表示部101各々は、このコンテンツ情報出力部305から出力される情報に基づいて自身が対応する部分空間内に配置されたコンテンツを表示する。例えば、コンテンツ情報出力部305からコンテンツとその配置情報との入力を受けた部分空間管理部102は、その下位に接続された部分空間管理部102へその情報を提供する。この繰り返しにより、最下層に設けられた部分空間管理部102にコンテンツとその配置情報とが入力される。最下層に設けられた部分空間管理部102は、その入力された情報に基づいて表示情報を作成し、それを表示部101へ出力する。その結果として、表示部101各々では、上述したコンテンツの表示を行なうことになる。なお、表示部101各々への表示情報の入力は、これ以外の方法で実現されてもよく、その方法は特に問わない。例えば、部分空間管理部102が保持する管理空間領域に係わる情報と、コンテンツ情報出力部305から出力される情報とに基づいて表示情報を作成する処理部を設けて、上述した表示を実現するようにしてもよい。
【0033】
図9は、図5に示す管理空間領域に対して図8に示す配置がなされたコンテンツをマッピングした場合の一例を示す図である。
【0034】
902(902−1〜902−3)は、部分空間を示す。部分空間902各々は、管理空間領域901を構成する部分空間管理部102よりも下位に接続された表示部101や部分空間管理部102が有する空間領域(表示領域、管理空間領域)に相当する。903(903−1〜903−3)は、管理空間領域901に配置されたコンテンツを示す。部分空間902とコンテンツ903とが重なった領域が、例えば、表示部101へ出力される。仮に、部分空間902−2が表示部101−1に対応する空間領域であるとすれば、表示部101−1には、コンテンツ903−2の一部が表示されることになる。
【0035】
ここで、図10、図11及び図12を用いて、図1に示す表示システムにおける動作の一例について説明する。まず、図10を用いて、部分空間管理部102における動作について説明する。なお、図10では、ある一つの部分空間管理部102の動作に着目して説明を行なう。図1に示す通り、表示システムは、複数の部分空間管理部102が階層的に接続されて構成される。つまり、表示システムの動作は、階層的に接続された複数の部分空間管理部102が動作することによって実現される。そのため、ある一つの部分空間管理部102の動作を説明することで、本実施形態における表示システムの動作は自明となる。
【0036】
この処理は、例えば、部分空間管理部102が起動すると開始される(表示システムの起動時であってもよい)。この処理が開始すると、部分空間管理部102は、空間情報取得部205において、まず、自身(の下位)に接続されている表示部101若しくは他の部分空間管理部102から空間情報(501、502)を取得する(S100)。この処理は繰り返し実施され、接続されている全ての表示部101、部分空間管理部102から空間情報の取得が行なわれる(S101でNO)。
【0037】
空間情報の取得が済むと、部分空間管理部102は、部分空間配置部201において、当該取得した空間情報に基づき部分空間の配置を行なう。これにより、部分空間管理部102は、自身が管理する管理空間領域を構成する(S102)。そして、部分空間管理部102は、部分空間情報保持部202において、1又は複数の部分空間に係わる配置情報、すなわち、部分空間情報を上記図3で説明したデータ形式で保持する(S103)。
【0038】
ここで、部分空間管理部102は、自身が管理している管理空間領域の大きさを計算する(S104)。この計算が済むと、部分空間管理部102は、接続検知部204において、自身(の上位)に接続されている他の部分空間管理部102の有無を検知する(S105)。この結果、接続されている他の部分空間管理部102がなければ(S105でNO)、この処理を終了する。接続されている他の部分空間管理部102があれば(S105でYES)、部分空間管理部102は、空間情報出力部203において、空間情報を出力した後(S106)、この処理を終了する。
【0039】
次に、図11を用いて、部分空間管理部102が管理する管理空間領域の構成が変更される場合の動作の一例について説明する。なお、管理空間領域の構成の変更は、例えば、自身(部分空間管理部102)が管理する管理空間領域に新たに表示部101が追加又は削除されたり、また、自身が管理する管理空間空間を変更したりする場合に実施される。すなわち、表示部101や他の部分空間管理部102から入力される空間情報の変化に伴ってこの処理は開始される。
【0040】
この処理が開始されると、部分空間管理部102は、自身(の下位)に接続されている表示部101又は他の部分空間管理部102が削除されたか判断を行なう。この判断は、例えば、以前(例えば、直前)に入力された空間情報の入力先等を保持しておき、その情報と比較すればよい。
【0041】
この結果、表示部101又は部分空間管理部102の削除でなければ(S200でNO)、表示部101又は部分空間管理部102の追加若しくは変更であると判断する。そして、新規に接続されたり、また大きさが変更等されたり等した表示部101又は部分空間管理部102から空間情報を取得する(S201)。空間情報の取得は、空間情報に変更のある全ての表示部101又は部分空間管理部102からの空間情報の取得が終了するまで繰り返し行なわれる(S202でNO)。
【0042】
変更のある全ての空間情報の取得が済むと、部分空間管理部102は、部分空間情報保持部202に保持された既存の部分空間情報を読み出す(S203)。ここで、部分空間管理部102は、部分空間配置部201において、当該読み出した部分空間情報と、S201で取得した変更のある空間情報とに基づいて部分空間の再配置処理を行ない、自身が管理する管理空間領域を再構成する(S204)。そして、部分空間管理部102は、部分空間情報保持部202において、部分空間情報を上記図3で説明したデータ形式で保持する(S205)。
【0043】
ここで、部分空間管理部102は、自身が管理している管理空間領域の大きさを計算する(S206)。この計算が済むと、部分空間管理部102は、自身が管理する管理空間領域の大きさに変更があるか否かを判断し、変更がなければ(S207でNO)、この処理を終了する。変更があれば、接続検知部204において、自身(の上位)に接続されている他の部分空間管理部102の有無を検知する。この結果、接続されている他の部分空間管理部102がなければ(S208でNO)、この処理を終了する。接続されている他の部分空間管理部102があれば(S208でYES)、空間情報出力部203において、管理空間領域の大きさ等を含む情報を空間情報として出力した後(S209)、この処理を終了する。
【0044】
また、S200の処理において、表示部101又は他の部分空間管理部102の削除であると判断された場合には(S200でYES)、部分空間管理部102は、部分空間情報保持部202に保持された部分空間情報を読み出す(S211)。そして、部分空間管理部102は、当該部分空間情報から当該削除された表示部101又は部分空間管理部102に該当する部分空間の配置情報を削除する(S212)。以降の処理は、上記処理と同様となるため、その説明については省略する。
【0045】
続いて、図12を用いて、コンテンツ管理部103によるコンテンツ104の配置処理について説明する。この処理は、上記図10で説明した処理が終了後、行なわれる。
【0046】
この処理が開始されると、コンテンツ管理部103は、管理空間領域取得部302において、上記図10で説明した処理により構成された管理空間領域を部分空間管理部102から取得する(S300)。また、コンテンツ管理部103は、コンテンツ取得部301において、複数のコンテンツ104の中からいずれかのコンテンツを選択的に取得する(S301)。そして、コンテンツ配置部303において、当該取得したコンテンツをS300で取得した管理空間領域内に配置する(S302)。取得した全てのコンテンツの配置処理が終了するまでS301及びS302の処理を繰り返す(S303でNO)。
【0047】
コンテンツの配置が済むと(S303でYES)、コンテンツ管理部103は、コンテンツ情報保持部304において、コンテンツに係わる情報、すなわち、コンテンツ情報を上記図7で説明したデータ形式で保持する(S304)。そして、コンテンツ情報出力部305において、コンテンツとその配置情報とを出力した後(S305)、この処理を終了する。なお、ここでは、説明を省略するが、コンテンツの配置が変更又は追加された場合、コンテンツ情報出力部305は、その変更又は追加に対応して、その変更又は追加を反映させた情報を出力することになる。
【0048】
以上説明したように本実施形態によれば、部分空間管理部102において、表示部101各々が持つ表示空間領域を管理し、この部分空間管理部102を階層的に接続してシステムを構築する。そのため、複数の表示装置を用いた各種情報の表示に係わる処理を分散(例えば、複数装置に分散)して実現できるため、例えば、ハードウェア資源の制約を受けずに、共有可能な統一された座標系を構築することができる。
【0049】
これにより、例えば、従来では物理的な通信回線により情報を共有していたが、物理的な媒体から切離して情報を共有することが可能となる。また、例えば、統一座標系が複数の部分空間管理部102により構成されるため、これら複数の部分空間管理部102により分散して共有表示に係わる処理を実施できるので、物理的な制限によるボトルネックが解消される。また、例えば、共通の座標系内で複数のテレビ会議を開催した場合、同時に開催中のテレビ会議を1つのテレビ会議として構築することもできる。
【0050】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0051】
なお、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体等としての実施態様を採ることもできる。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0052】
また、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置に内蔵されたコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することにより実施形態の機能が達成される場合をも含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したコンピュータプログラムである。
【0053】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OS(Operating System)に供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0054】
コンピュータプログラムを供給するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0055】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0056】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0057】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0058】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU(Central Processing Unit)などが実際の処理の一部又は全部を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の一形態に係わる表示システムの構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示す部分空間管理部102における機能的な構成の一例を示す図である。
【図3】図2に示す部分空間情報保持部202により保持される部分空間情報のデータ形式の一例を示す図である。
【図4】図2に示す空間情報出力部203により出力される空間情報の一例を示す図である。
【図5】図1に示す部分空間管理部102により管理される管理空間領域の一例を示す図である。
【図6】図1に示すコンテンツ管理部103における機能的な構成の一例を示す図である。
【図7】図6に示すコンテンツ情報保持部304により保持されるコンテンツ情報のデータ形式の一例を示す図である。
【図8】図6に示すコンテンツ配置部303により管理空間領域内へ配置されたコンテンツ104の一例を示す図である。
【図9】図5に示す管理空間領域に対して図8に示す配置がなされたコンテンツをマッピングした場合の一例を示す図である。
【図10】図1に示す表示システムにおける動作の一例を示す第1のフローチャートである。
【図11】図1に示す表示システムにおける動作の一例を示す第2のフローチャートである。
【図12】図1に示す表示システムにおける動作の一例を示す第3のフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
101 表示部
102 部分空間管理部
103 コンテンツ管理部
104 コンテンツ
201 部分空間配置部
202 部分空間情報保持部
203 空間情報出力部
204 接続検知部
205 空間情報取得部
301 コンテンツ取得部
302 管理空間領域取得部
303 コンテンツ配置部
304 コンテンツ情報保持部
305 コンテンツ情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層的に接続され、所定の空間領域を管理空間領域として管理する複数の空間管理手段と、
1又は複数のコンテンツを管理するコンテンツ管理手段と、
表示領域上に各種情報を表示する複数の表示手段と
を具備し、
前記複数の空間管理手段の各々は、
自身の下位に表示手段が接続されている場合に、該表示手段からその表示領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する第1の取得手段と、
自身の下位に他の空間管理手段が接続されている場合に、該他の空間管理手段からその管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得した空間情報を部分空間として自身が管理する管理空間領域内に配置する配置手段と、
前記管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として自身の上位に接続されている他の空間管理手段に出力する出力手段と
を具備し、
前記コンテンツ管理手段は、
前記空間管理手段のいずれかから該空間管理手段が管理する管理空間領域を取得する管理空間領域取得手段と、
前記管理空間領域取得手段により取得した管理空間領域内にコンテンツを配置するコンテンツ配置手段と
を具備し、
前記複数の表示手段の各々では、
前記管理空間領域内における自身の表示領域に対応する部分空間内に配置されたコンテンツの表示が行なわれる
ことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記配置手段は、
前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得した空間情報が、以前に取得した空間情報と変化している場合には、前記自身が管理する管理空間領域内における1又は複数の部分空間を再配置する
ことを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項3】
前記空間管理手段は、
自身の上位に接続されている他の空間管理手段の有無を検知する検知手段
を更に具備し、
前記出力手段は、
前記検知手段により他の空間管理手段が検知された場合に、前記空間情報の出力を行なう
ことを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項4】
前記複数の表示手段の各々では、
前記コンテンツ配置手段により前記管理空間領域内へのコンテンツの配置の変更又は追加が行なわれた場合に、該変更又は追加に伴った表示が行なわれる
ことを特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項5】
階層的に接続され、所定の空間領域を管理空間領域として管理する複数の空間管理手段と、1又は複数のコンテンツを管理するコンテンツ管理手段と、表示領域上に各種情報を表示する複数の表示手段とを具備する表示システムの表示方法であって、
前記複数の空間管理手段の各々は、
自身の下位に表示手段が接続されている場合に、該表示手段からその表示領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する第1の取得工程と、
自身の下位に他の空間管理手段が接続されている場合に、該他の空間管理手段からその管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として取得する第2の取得工程と、
前記第1の取得工程又は前記第2の取得工程で取得した空間情報を部分空間として自身が管理する管理空間領域内に配置する配置工程と、
前記管理空間領域の大きさを含む情報を空間情報として自身の上位に接続されている他の空間管理手段に出力する出力工程とを含む工程を実施し、
前記コンテンツ管理手段は、
前記空間管理手段のいずれかから該空間管理手段が管理する管理空間領域を取得する管理空間領域取得工程と、
前記管理空間領域取得工程で取得した管理空間領域内にコンテンツを配置するコンテンツ配置工程とを含む工程を実施し、
前記複数の表示手段の各々では、
前記管理空間領域内における自身の表示領域に対応する部分空間内に配置されたコンテンツの表示が行なわれる
ことを特徴とする表示システムの表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−26876(P2010−26876A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189039(P2008−189039)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】