説明

表示システム

【課題】災害により停電が発生した場合でも、有用な情報の提供を安定的に行うことが可能となる表示システムを提供する。
【解決手段】太陽電池と、前記太陽電池により得られた電力を蓄電する蓄電装置と、前記太陽電池、前記蓄電装置及び商用電源から電力を供給される表示装置と、を備え、前記表示装置は、商用電源からの電源供給の停止時に前記表示装置を間欠稼動させる制御部を備える表示システムとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震や津波などの災害発生に対応した装置やシステムが従来から様々提案されている。例えば、特許文献1には、警告手段と、検出された緊急警報放送起動フラグ信号に同期して警告状態を示す制御信号を警告手段に伝送するデジタルテレビ受信機と、デジタルテレビ受信機よりの映像音声信号を必要に応じて視聴するためのテレビ受信機とを備えた緊急警報受信システムが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、太陽電池と、太陽電池で発電された電力を蓄電する蓄電体とを備え、緊急警報信号を受信すると、NHK(日本放送協会)などの放送局のラジオ放送を受信してスピーカから放送音声を発生させ、文字表示器に緊急警報発令を示す文字を表示させるような屋外用案内表示装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、災害時の緊急警報放送の受信機の電源としての蓄電池を備え、日常的には商用電源からの電力を蓄電池に蓄電を行い、蓄電池の蓄電量を災害時送電停止後送電が再開されるまでの間放送受信可能な蓄電量とした無線緊急警報放送専用受信機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−270138号公報(第5頁、第1図等)
【特許文献2】特開2004−318684号公報(第7頁、第3図等)
【特許文献3】特開平8−228160号公報(要約等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、災害により商用電源からの供給が停止される停電が発生した場合、上記特許文献1では、警告手段、デジタルテレビ受信機及びテレビ受信機への電源供給が停止されてしまい、各装置が動作できない状態となる。従って、警告手段による警告及びテレビ受信機による緊急警報放送の視聴が不可能となってしまう。
【0007】
また、災害により停電が発生した場合、上記特許文献2では、蓄電体によって動作は継続できるが、蓄電体に蓄電された電力を使い果たした場合にラジオ放送及び文字表示が停止されてしまう恐れがある。
【0008】
また、災害により停電が発生した場合、上記特許文献3では、蓄電池によって動作は継続できるが、想定を超えた長期にわたる停電が発生した場合は、蓄電池の電力が使い果たされて放送受信が不可能となる。
【0009】
上記問題点に鑑み、本発明は、災害により停電が発生した場合でも、有用な情報の提供を安定的に行うことが可能となる表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の或る態様の表示システムは、太陽電池と、
前記太陽電池により得られた電力を蓄電する蓄電装置と、
前記太陽電池、前記蓄電装置及び商用電源から電力を供給される表示装置と、を備え、
前記表示装置は、商用電源からの電源供給の停止時に前記表示装置を間欠稼動させる制御部を備えることを特徴としている。
【0011】
係る表示システムによれば、災害により停電が発生した場合でも、表示装置が間欠稼動されるので、蓄電装置の電力が使い果たされることを抑制し、安定的に表示装置の稼動を継続し、有用な情報を安定的に提供することができる。
【0012】
また、本発明の他の態様の表示システムは、太陽電池と、
前記太陽電池により得られた電力を蓄電する蓄電装置と、
前記太陽電池、前記蓄電装置及び商用電源から電力を供給される表示装置と、
商用電源からの電源供給の有無を検知する検知装置と、を備え、
商用電源からの電源供給の停止時に、前記表示装置が、前記太陽電池、前記蓄電装置及び商用電源のうち、前記太陽電池及び前記蓄電装置のみから電源供給を受けるように制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0013】
係る表示システムによれば、災害により停電が発生した場合でも、表示装置が太陽電池及び蓄電装置のみから電源供給を受けるので、安定的に表示装置の稼動を継続し、有用な情報を安定的に提供することができる。
【0014】
また、商用電源からの電源供給の停止時に前記表示装置の表示部に公共放送の情報を表示させる表示制御部を更に備えるようにしてもよい。これにより、安定的に公共放送の情報を提供できる。
【0015】
また、外部に電源を供給するためのコンセントと、
商用電源からの電源供給の停止時に前記太陽電池及び前記蓄電装置からの電力による電源を前記コンセントに供給開始する電源供給部と、を備えるようにしてもよい。これにより、災害により停電が発生した場合でも、コンセントから緊急電源を供給可能となる。
【0016】
また、緊急警報放送が実施されたことを検知する緊急警報放送検知部と、
前記緊急警報放送検知部により前記緊急警報放送が実施されたことが検知されると、通常時の表示から公共放送の表示に前記表示装置の表示を切替える表示制御部と、を備えるようにしてもよい。これにより、災害が発生して緊急警報放送が実施された場合に、自動的に公共放送の表示に表示が切替るので、周辺への警告が可能となる。
【0017】
また、スピーカと、前記緊急警報放送検知部により前記緊急警報放送が実施されたことが検知されると、前記スピーカの出力の音量を通常時よりも上昇させる音量制御部と、を備えるようにしてもよい。これにより、災害が発生した場合に、通常時よりも音量を大きくして周辺に警告することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示システムによれば、災害により停電が発生した場合でも、有用な情報の提供を安定的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示システムの斜視図である。
【図2】図1に示す表示システムのA−A概略断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る表示システムのブロック図である。
【図4A】通常時の稼動スケジュールの一例を示す図である。
【図4B】停電時の稼動スケジュールの一例を示す図である。
【図5】停電時の公共放送表示の一例を示す図である。
【図6】太陽電池ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6に示す太陽電池ユニットの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る表示システム100の概略構造を示す斜視図を図1に示す。図1は、画像が表示される側(以下、正面側とする)から表示システム100を見た場合の斜視図である。なお、図1では、図中の上下方向が鉛直方向である。また、図1では図示の明確化のため、表示部の画像が表示される面に、ハッチングを付して表示している。本発明の一実施形態に係る表示システム100は、主に屋外の公共施設や公園などに設置されるものである。
【0021】
また、図1に示す表示システム100のA−A概略断面図を図2に示す。なお、図2は、車椅子に乗った利用者が利用する状態を示している。
【0022】
図1に示すように、表示システム100は、直方体状の本体部30と、本体部30の正面に略垂直な2つの側面(左側面、右側面)にそれぞれ接続されて本体部30を支持する直方体状の2つの支持部40L、40Rと、支持部40L、40Rの鉛直下方の面に設けられて表示システム100を支持する脚部42L、43L、42R、43Rと、本体部30の上方に接続部51(図2)を介して本体部30と接続される太陽電池ユニット45と、を備える。なお、脚部42L、43L、42R、43Rが備えられず、支持部40L、40Rが直接的に地面に設置されても構わない。
【0023】
本体部30は、内部で画像を表示する表示部8と、表示部8の正面側に配されるタッチパネル9と、本体部30の正面に設けられ表示部8に表示される画像を外部から視認可能にする窓部30Wと、表示システム100の正面側に存在する物体を検出する検出部10と、表示システム100の利用者が所有する携帯端末と通信する通信部11と、音を出力するスピーカ13と、を備えている。なお、本体部30が、内部を冷却する冷却装置(例えば、送風を行うファン等)を備えても構わない。
【0024】
表示部8は、本実施形態では液晶表示部としている。タッチパネル9は、窓部30Wから外部を臨むよう設けられ、利用者が触れた位置を検知するタッチセンサである。図1で図示しない本体部30内部に設けられた制御部(後述する図3の制御部4)は、利用者が触れたタッチパネル9の位置(表示部8に表示されている画像中の位置)に応じた画像を、表示部8に表示させる。また、制御部は、利用者がタッチパネル9に触れた時にスピーカ13に音を出力させてもよい。
【0025】
検出部10は、例えば焦電センサやイメージセンサなどの物体を検出可能なセンサを少なくとも1つ備え、主として表示システム100の正面側に存在する人を検出する。制御部は、検出部10が人を検出するか否かに応じて、例えば表示部8やスピーカ13を制御する。
【0026】
具体的に例えば、制御部は、検出部10が所定時間人を検出しない場合、表示部8の表示をOFFにする(または、輝度を下げる)。また例えば、制御部は、検出部10が人を検出する場合、表示部8の表示をONにしたり(または、輝度を上げたり)、スピーカ13を制御して音声メッセージを出力したりする。なお、検出部10が人の特徴を検出可能(例えば、イメージセンサの撮像により取得した画像を処理することで、人の性別や年齢等を検出可能)であり、制御部が、その特徴に応じた画像を表示部8に表示させても構わない。
【0027】
通信部11は、例えばRFIDから成り、利用者の携帯端末(例えば、携帯電話)と通信し得る。例えば、制御部は、利用者が携帯端末を通信部11にかざして通信を開始したことを確認すると、通信部11と携帯端末とで所定のデータが送受信されるように、通信部11を制御する。
【0028】
利用者は、本体部30の正面側に設けられた窓部30Wや通信部11に向けて手を伸ばし、操作を行う。これは、車椅子に乗った利用者でも同様である。なお、窓部30Wや通信部11に限らず、ボタンなどの利用者の操作を受け付ける他の構成が、本体部30の正面側に設けられても構わない。
【0029】
支持部40L、40Rは、鉛直下方の内部に、おもり41L、41Rを備える。なお、支持部40L、40Rは、鉛直下方が相対的に重い構成であれば、おもり41L、41Rを備える構成に限らず、どのような構成としても構わない。
【0030】
支持部40Lは、本体部30の左側面に接続され、支持部40Rは、本体部30の右側面に接続される。また、支持部40L、40Rは、本体部30の下方、支持部40Lの右方、支持部40Rの左方で囲まれた空間が存在するように、本体部30を支持する。具体的に例えば、支持部40L、40Rの鉛直上方の部分が、本体部30の左側面及び右側面に、それぞれ接続される。
【0031】
また、本体部30の鉛直下方に設けられる空間は、車椅子の少なくとも一部の侵入を許すものである(詳細は後述)。換言すると、本体部30の正面側及び背面側の鉛直下方には、上記の空間を遮る部材が設けられない。具体的に例えば、本体部30の正面側及び背面側の鉛直下方には、表示システム100の一部を成すものが設置されず、正面側も背面側も開けている。
【0032】
また、支持部40L、40Rの鉛直下方の面において、表示システム100の正面側に脚部42L、42Rがそれぞれ接続される。同様に、支持部40L、40Rの鉛直下方の面において、表示システム100の背面側に脚部43L、43Rがそれぞれ接続される。
【0033】
図2に示すように、車椅子に乗った利用者Pは、本体部30の鉛直下方の空間に、自身の足(例えば、つま先から膝付近まで、場合によっては太ももまで)や車椅子の一部(例えば、足を置く部分など)を侵入させることができる。すると、車椅子に乗った利用者Pの上半身が、本体部30の正面に近づく。これにより、車椅子に乗った利用者Pは、顔や体を本体部30の正面に向けたままでも、手が窓部30W(タッチパネル9)や通信部11に届くようになり、表示システム100を操作可能になる。このように、本体部30の下方に空間を設けることで、車椅子に乗った利用者Pが、表示システム100を容易に操作することが可能になる。
【0034】
特に、車椅子に乗った利用者Pは、表示システム100を確認した後、そのまま表示システム100に向かって直進するだけで、表示システム100を操作することが可能になる。そのため、例えば車椅子に乗った利用者Pが、車椅子の方向を90度変更して顔を横に向けながら操作したりする必要を無くすことが可能になる。
【0035】
また、支持部40L、40Rは、鉛直下方が相対的に重い。そのため、本体部30の鉛直下方に空間を設けることで鉛直上方に移動する表示システム100の重心を、鉛直下方に戻すことが可能になる。したがって、表示システム100の転倒等を防止することが可能になる。
【0036】
太陽電池ユニット45は、太陽電池21A、21B、21C及び21Dと、第1アンテナA1及び第2アンテナA2と、設置台50とから成る。設置台50は、太陽電池21A、21B、21C及び21Dと、第1アンテナA1と、第2アンテナA2とが上面に設置される台座である。太陽電池21A〜21Dは、太陽光を受けて表示システム100の駆動電力を発電するものである。第1アンテナA1は、通常時に表示するコンテンツ(地域情報コンテンツや広告情報コンテンツなど)の放送電波を受信するアンテナであり、第2アンテナA2は地上デジタル放送波を受信するアンテナである。
【0037】
設置台50は、下底を表示システム100の正面側とし、上底を背面側とする台形形状の底面部50A(図2)と、底面部50Aの上底を上底として表示システム100の背面側へ傾いた台形形状の背面部50B(図2)と、底面部50Aの上底と下底を結ぶ斜辺と背面部50Bの上底と下底とを結ぶ斜辺とこれらの2つの斜辺を結ぶ辺とで囲まれた三角形状の左右側面部と、底面部50A、背面部50B及び左右側面部から形成される開口を閉じるように形成される設置部50C(図1、図2)と、を有しており、設置台50の内部は空洞としている。本体部30の上方に設けるには設置台50は軽量とすることが望ましいからである。
【0038】
設置部50Cに設けられる凹部に、太陽電池21A〜21Dと、第1アンテナA1と、第2アンテナA2とが設置される。第1アンテナA1及び第2アンテナA2は、設置部50Cの凹部の中央部50Dに配置される。太陽電池21A〜21Dは、第1アンテナA1及び第2アンテナA2を囲むように配置される。また、太陽電池21A〜21Dは、それぞれ長方形形状をしており、それぞれの一方の短辺が隣接する太陽電池の長辺の一部に対向するよう配置される。このような配置により、太陽電池21A〜21Dが効率良く太陽光を受光して発電できると共に、第1アンテナA1及び第2アンテナA2が効率良く電波を受信できる。
【0039】
また、四つの太陽電池21A〜21Dが第1アンテナA1及び第2アンテナA2を包囲する配置としたので、太陽光発電部がほぼ正方形の投影形状となり、その最大設置寸法を最小にできる。これにより、太陽光発電の効率を最大にすべく、太陽電池ユニット45の配置方位を表示画面方向に対して自由に変更できるような構成を採用する場合にメリットがある。具体的には、太陽電池ユニット45の配置方位をどのように変更しても、表示画面から前方への太陽電池ユニット45の突出量を抑えることができ、太陽電池ユニット45の重心位置がほぼ変化しないので表示システム100の転倒を抑えることもできる。
【0040】
なお、太陽電池ユニットについては、図6及び図7に示す太陽電池ユニット145を採用してもよい。太陽電池ユニット145においては、設置台150の上面中央部に開口が設けられ、その開口を塞ぐように正方形状のカバー部材151が設置台150の上面に取り付けられる。第1アンテナA1及び第2アンテナA2は、カバー部材151の下方に配置され、カバー部材151の下方に位置するベース部材152に取り付けられる。ここで、カバー部材151は、電波透過素材で構成される。アンテナはその方式によって個別の設置方位、迎角がある。よって、カバー部材151の下方に市販のアンテナを自由に設置できるようにすることで、アンテナの保護と共に、外観が整理され、景観性の向上と、清掃が容易となるメリットがある。また、正方形状のカバー部材151の下方にアンテナを配置する構成としたので、太陽電池ユニット145の配置方位を表示画面方向に対して自由に変更できるような構成とした場合であっても、アンテナの配置が容易になるというメリットがある。
【0041】
なお、図7では、第1アンテナA1及び第2アンテナA2が設置される面が設置台150の底面部に平行となっているが、これは一例であり、アンテナの設置面は受信が良好に行えるよう適宜変更が可能である。また、アンテナとしては、地上デジタル放送用のアンテナの他にも、例えばBS/CSの衛星放送受信用アンテナを用いてもよい。
【0042】
次に、本発明の一実施形態に係る表示システム100のブロック図を図3に示す。図3に示すように表示システム100は、表示装置20と、太陽電池21A〜21Dと、コントローラ22と、蓄電池23と、コンセント60と、を備えている。表示装置20は、第1アンテナA1と、第2アンテナA2と、第1受信部1と、第2受信部2と、蓄積部3と、制御部4と、表示制御部5、バックライト6及び表示パネル7から成る表示部8と、タッチパネル9と、検出部10と、通信部11と、電源供給部12と、スピーカ13と、デコーダ14と、アンプ15と、OSD(On Screen Display)部16と、を備えている。
【0043】
太陽電池21A〜21Dは、受光した太陽光を光電変換することにより発電を行う。コントローラ22は、太陽電池21A〜21Dが発電した電力を表示装置20及び蓄電池23へ供給する。蓄電池23は、例えばリチウムイオンバッテリ(バッテリパック)である。リチウムイオンバッテリは、小型化かつ高電圧を実現できる。
【0044】
原則的に、コントローラ22は、太陽電池21A〜21Dが発電した電力の大部分をそのまま表示装置20へ供給する。そして、余剰電力(太陽電池21A〜21Dによる発電電力と表示装置20の消費電力の差分電力)を蓄電池23へ供給する。また、夜間や雨天時等の日射量が少ない場合には、コントローラ22は、蓄電池23から表示装置20へ電力供給がなされるように制御する。即ち、蓄電池23に蓄えられた電力は、コントローラ22経由で表示装置20へ供給される。
【0045】
第1アンテナA1は、外部のコンテンツサーバ(例えば、ASPサーバ、パソコンなど)あるいは放送局から無線通信(例えば、WiMAX、IEEE802.11b/gなどの方式)により送信される信号を受信するアンテナである。第1受信部1は、第1アンテナA1で受信した信号に対し復調処理などを行う信号処理部などを備える。例えば、無線信号がOFDM方式により変調されて伝送されたMPEG2−TS形式の信号であれば、第1受信部1はOFDM復調を行い、MPEG2−TS信号を抽出する。抽出されたMPEG2−TS信号は、蓄積部3へ出力される。第1受信部1の出力により蓄積部3に保存されるコンテンツは、通常時に表示パネル7に表示させるコンテンツ(地域情報コンテンツや広告情報コンテンツ等)となる。
【0046】
第2アンテナA2は、地上デジタル放送を放送する放送局から地上デジタル放送波を受信するアンテナである。第2受信部2は、第2アンテナA2で受信した信号に対し復調処理などを行う信号処理部などを備える。第2受信部2で抽出された映像音声データは蓄積部3に出力される。また、第2受信部2は、第2アンテナA2で受信した信号から復調処理においてTMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)信号を抽出する。TMCC信号には起動制御ビットが含まれ、これを監視することにより緊急警報放送(EWS)の実施を監視できる。
【0047】
蓄積部3は、第1受信部1及び第2受信部2により抽出されたコンテンツを保存する。コンテンツがリアルタイムコンテンツである場合(受信したコンテンツを即時に表示パネル7で表示するような場合)、蓄積部3はバッファメモリとして機能する(第2受信部2が出力するコンテンツはリアルタイムコンテンツに該当する)。コンテンツがユーザの操作に応じて表示されるコンテンツ、あるいは予め設定されたタイムスケジュールに基づいて表示されるコンテンツである場合、蓄積部3はストレージメディアとして機能する(第1受信部1が出力するコンテンツはこれらのコンテンツに該当する)。
【0048】
デコーダ14は、蓄積部3に保存されたコンテンツをデコードし、映像データを表示制御部5に出力し、音声データをアンプ15に出力する。OSD部16は、OSD画像を生成し、生成されたOSD画像をデコーダ14の映像出力に重畳させる。
【0049】
表示制御部5は、表示パネル7における表示制御を行う。具体的には、入力される映像データに応じて、表示パネル7の各画素に対応する液晶の変調を行う。表示制御部5は高速な処理を必要とするため、制御部4とは別に設けられた専用のハードウェア回路により実現される。
【0050】
表示パネル7は、実際に画像の表示を行う部分であり、本実施形態では液晶表示パネルが用いられている。液晶表示パネルは、表示する画像の内容に応じてパネルの各画素に対応する液晶がオン・オフ(またはその中間状態)駆動される。
【0051】
バックライト6は、表示パネル7に白色光を照射する。バックライト6は、例えば冷陰極管(CCFL)、LED光源が用いられる。低消費電力化のためにはLED光源を用いることが望ましい。
【0052】
アンプ15は、デコーダ14から入力される音声データをD/A変換及び増幅し、スピーカ13に出力する。これにより、スピーカ13からコンテンツの音声が出力される。
【0053】
電源供給部12は、太陽電池21A〜21D及び蓄電池23からコントローラ22を介して供給される直流電力をDC/DC変換し、変換により得られた直流電源をバックライト6及び表示パネル7を始めとする表示装置20の各部へ供給する。また、電源供給部12は、商用電源から供給される交流電力(例えばAC100V)をAC/DC変換し、変換により得られた直流電源をバックライト6及び表示パネル7を始めとする表示装置20の各部へ供給もする。
【0054】
また、電源供給部12は、コントローラ22から供給される直流電力をDC/AC変換し、変換により得られた交流電源をコンセント60に供給することも可能である。これにより、コンセント60に接続された外部の電気機器に緊急電源を供給できる。なお、コンセント60は、例えば本体部30(図1)の背面側に設けるとよい。
【0055】
次に、災害発生に対応した表示システム100の各種動作について説明する。
【0056】
<停電時の独立電源モード動作>
通常時は例えば図4Aに示すように、7時から21時まで表示装置20は14時間連続して稼動される。この場合、制御部4は、タイマ(不図示)により現在時刻が7時になったことを検知すると、コントローラ22から供給される直流電力及び商用電源から供給される交流電力による直流電源を表示装置20の各部に供給開始するよう電源供給部12を制御する。そして、制御部4は、現在時刻が21時になったことを検知すると、表示装置20の各部への直流電源供給を停止するよう電源供給部12を制御する。
【0057】
商用電源からの交流電力供給が停止される停電が発生した場合、表示装置20は太陽電池21A〜21D及び蓄電池23からの電力のみで稼動する独立電源モードへ移行する。具体的には、商用電源からの交流電力供給が停止されたことを電源供給部12からの信号に基づき制御部4が検知すると、制御部4は、例えば図4Bに示すように7時から22時半まで毎時刻30分ずつ表示装置20を間欠稼動させる制御を開始する。この制御では、制御部4は、7時から22時半までの毎時刻になったことを検知すると、コントローラ22から供給される直流電力による直流電源を表示装置20の各部に供給開始するよう電源供給部12を制御する。そして、制御部4は、電源供給開始から30分経過したことを検知すると、表示装置20の各部への直流電源供給を停止するよう電源供給部12を制御する。
【0058】
また、表示装置20が間欠稼動を開始すると(即ち、表示装置20の各部への電源供給が開始されると)、制御部4は、公共放送(例えばNHKなど)のチャンネルを選局するよう第2受信部2に指令し、間欠稼動の間表示パネル7に公共放送の映像が表示される。このとき、OSD部16が特定のOSD画像を生成して、表示パネル7に公共放送の映像に重畳して独立電源モード・間欠稼動で動作している旨、稼動スケジュール及び公共放送から情報を提供する旨などを表示してもよい(例えば図5の表示70)。
【0059】
なお、上記のように地上デジタル放送の公共放送を表示する他、例えば衛星放送による避難場所への誘導を表示するようにしてもよい。このようにブロードキャストで送信される情報の表示は、公共放送の情報の表示に該当する。
【0060】
このような動作によれば、地震などの災害により停電が発生した場合でも、表示装置20が間欠稼動されるので蓄電池23の電力を使い果たすことを抑制し、安定的に公共放送の情報などを継続して提供することができる。また、停電により情報から断絶された被災者に対して公共放送の情報などを提供することで、パニックを抑制し、秩序ある行動を促すことができる。つまり、情報不足による2次災害を抑制できる。
【0061】
なお、図4A及び図4Bに示した稼動スケジュールはあくまで一例であって、仕様等により変更が可能である。
【0062】
また、上記では、停電発生後、独立電源モードに移行し、間欠稼動開始後に公共放送の選局を行っているが、これに代えて、停電発生後、独立電源モードに移行し、間欠稼動を開始せずに公共放送の選局を行ってもよい。また、停電発生後、直ちに公共放送の選局を行い、その後に独立電源モードに移行してもよい。なお、災害発生直後、公共放送(例えばNHK)では、災害に関する放送番組を放送するのが通常であると考えられる。従って、停電発生後に公共放送の選局を行えば、災害情報が表示部8に表示されることとなる。
【0063】
<停電時の緊急電源供給>
制御部4は、商用電源からの交流電力供給が停止されたことを電源供給部12からの信号に基づき検知すると、コントローラ22からの直流電力による交流電源をコンセント60に供給開始するよう電源供給部12を制御する。
【0064】
これにより、災害により停電が発生した場合でも、コンセント60に外部の電気機器を接続すれば、電気機器に緊急電源を供給することが可能となる。
【0065】
<緊急警報時の警告動作>
通常時に制御部4は、第2受信部2により抽出されるTMCC信号に含まれる起動制御ビットを監視している。起動制御ビットが緊急警報放送(EWS)の実施を示していることを制御部4が検知すると、制御部4は、第2受信部2に公共放送(例えばNHKなど)のチャンネルを選局するよう指令し、通常時のコンテンツ表示から公共放送の表示に表示パネル7の表示を切替える。このとき、制御部4は、アンプ15を制御してスピーカ13の出力の音量を通常時よりも上昇させる。これにより、スピーカ13から公共放送の音声が通常時よりも大きな音量で出力される。なお、このように大きくされた音量で警報音を出力するようにしてもよい。
【0066】
これにより、地震や津波などの災害が発生した場合に、自動的に公共放送に表示を切替え、公共放送の音声を通常時よりも大きな音量で出力するので、周辺に警告することができる。なお、緊急警報放送の実施を検知してから一定時間が経過すると、制御部4は、通常時のコンテンツ表示に表示を戻すと共に、アンプ15を制御してスピーカ13の出力を通常時の音量に戻す。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変更が可能である。
【0068】
例えば本発明に係る表示装置としては液晶表示装置に限らず、プラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等の自発光型表示装置を適用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 第1受信部
2 第2受信部
3 蓄積部
4 制御部
5 表示制御部
6 バックライト
7 表示パネル
8 表示部
9 タッチパネル
10 検出部
11 通信部
12 電源供給部
13 スピーカ
14 デコーダ
15 アンプ
16 OSD部
20 表示装置
21A〜21D 太陽電池
22 コントローラ
23 蓄電池
30 本体部
45、145 太陽電池ユニット
50、150 設置台
60 コンセント
100 表示システム
151 カバー部材
152 ベース部材
A1 第1アンテナ
A2 第2アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、
前記太陽電池により得られた電力を蓄電する蓄電装置と、
前記太陽電池、前記蓄電装置及び商用電源から電力を供給される表示装置と、を備え、
前記表示装置は、商用電源からの電源供給の停止時に前記表示装置を間欠稼動させる制御部を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
太陽電池と、
前記太陽電池により得られた電力を蓄電する蓄電装置と、
前記太陽電池、前記蓄電装置及び商用電源から電力を供給される表示装置と、
商用電源からの電源供給の有無を検知する検知装置と、を備え、
商用電源からの電源供給の停止時に、前記表示装置が、前記太陽電池、前記蓄電装置及び商用電源のうち、前記太陽電池及び前記蓄電装置のみから電源供給を受けるように制御する制御部を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項3】
商用電源からの電源供給の停止時に前記表示装置の表示部に公共放送の情報を表示させる表示制御部を更に備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
外部に電源を供給するためのコンセントと、
商用電源からの電源供給の停止時に前記太陽電池及び前記蓄電装置からの電力による電源を前記コンセントに供給開始する電源供給部と、を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
緊急警報放送が実施されたことを検知する緊急警報放送検知部と、
前記緊急警報放送検知部により前記緊急警報放送が実施されたことが検知されると、通常時の表示から公共放送の表示に前記表示装置の表示を切替える表示制御部と、を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
スピーカと、
前記緊急警報放送検知部により前記緊急警報放送が実施されたことが検知されると、前記スピーカの出力の音量を通常時よりも上昇させる音量制御部と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の表示システム。

【図1】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−255847(P2012−255847A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127695(P2011−127695)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】