説明

表示データ作成装置、表示データ作成方法、表示データ作成プログラム、および表示データ作成プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体

【課題】ユーザが高解像度データのレイアウトを認識した状態で詳細を見ることができる。
【解決手段】ディスプレイ装置0704の画面に表示するデータを作成する装置0703は、入力画像データから全体画像データを作成する全体画像データ作成処理部0706と、入力画像データから局所画像データを作成する局所画像データ作成処理部0709と、全体画像データ作成処理部0706により作成された全体画像データと局所画像データ作成処理部0709により作成された局所画像データとを合成して表示画像データを作成する表示画像データ作成処理部とを備える。装置0703においては、これらの処理部により、全体画像データと局所画像データをディスプレイ装置0704の画面に同時に重ねて表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示データ作成装置、表示データ作成方法、表示データ作成プログラム、および表示データ作成プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関し、特に、小さな表示領域または低解像度のディスプレイ環境で、ドキュメントや画像のレイアウトを把握しながら閲覧可能な表示データを提供する表示データ作成装置、表示データ作成方法、表示データ作成プログラム、および表示データ作成プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA(personal digital assistants)などの携帯端末の普及と性能向上に伴い、近年、これらの携帯端末で複雑な情報を扱うことが可能になってきた。従来技術では、これらの携帯端末をはじめとした小さな表示領域または低解像度のディスプレイ環境で、解像度の高いまたは複雑なレイアウトのドキュメントを閲覧する場合、文字を読みやすい大きさに拡大または縮小し、画面に表示できる領域をユーザに提示する手法が主に用いられていた。
【0003】
また、特許文献1(特開平4−128892号公報)で開示されている手法のように、全体画像と局所拡大画像を合成して表示していた。
【特許文献1】特開平4−128892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、主に用いられてきた文字を読みやすい大きさに拡大または縮小し、画面に表示できる領域をユーザに提示する手法は、ドキュメントの全体のどの個所を見ているのか直感的に分かりにくい欠点があった。
【0005】
また、特許文献1(特開平4−128892号公報)で開示されている手法では、全体の情報と局所情報の対応付けをユーザが行なわなければならないため、ユーザは全体の情報を読むことが出来なければ局所情報が全体のどの個所であるかを把握することができなくなる。
【0006】
また、特許文献1(特開平4−128892号公報)で開示されている手法では、全体情報と局所情報の重ね合わせによって、文字が読みにくくなっていた。
【0007】
それゆえに、この発明の目的は、表示データの視認性を向上させる表示データ作成装置、表示データ作成方法、表示データ作成プログラム、および表示データ作成プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、表示データにおいて入力データにおける局所データの位置を明示できる表示データ作成装置、表示データ作成方法、表示データ作成プログラム、および表示データ作成プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面に係る表示データ作成装置は、画面に表示するデータを作成する装置であって、入力データから局所データを作成する局所データ作成手段と、入力データの全体を示す全体データと局所データ作成手段により作成された局所データとを重ね合せることにより合成して画面に表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備えて、表示データ作成手段は、重ね合わせられる全体データと局所データとを異なる表示態様に設定する表示態様設定手段を有し、表示態様設定手段は、画面の各画素において、重ね合わせられる局所データと全体データとの対応の各画素値どうしを、所定比率で足し合わせることにより、異なる表示態様を設定し、所定比率は、局所データの解析に基づき可変に決定される。
【0010】
したがって、画面には入力データの全体を示す全体データと局所データとが重ね合わせられて表示されるとき、全体データと局所データは異なる表示態様にて表示されるから、表示態様の相違に基づいて両データを個々に視認するのが容易になる。
【0011】
したがって、全体データと局所データとが重ね合わされて表示されるときは、局所データと全体データとの対応する画素値それぞれを所定比率で足し合わせるから、局所データと全体データとを所定比率に従う濃度を呈して、すなわち表示濃度が異なるという表示態様で表示できる。所定比率は可変であるから、上述した表示濃度を可変調整できる。
【0012】
上述の表示データ作成装置は好ましくは所定比率は、局所データの画素値の和に基づいて算出される。
【0013】
上述の表示データ作成装置は好ましくは所定比率は、局所データから検出されるエッジ情報に基づいて決定されるから、エッジ情報が多い局所データすなわち複雑な文字または図の局所データと、エッジ情報の少ない局所データすなわち単調な文字または図の局所データとで、所定比率を異ならせることができる。
【0014】
上述の表示データ作成装置は好ましくは所定比率は、局所データの文字の情報に基づいて決定されるから、文字の情報が多い局所データずなわち文字の判読が比較的困難な局所データと、文字の情報が少ない局所データすなわち文字の判読が比較的容易な局所データとで、所定比率を異ならせることができる。
【0015】
上述の表示データ作成装置は好ましくは所定比率は、局所データの画素値と背景の画素値との差分の和に基づいて算出される。
【0016】
上述の表示データ作成装置は好ましくは所定比率は、局所データの画素のうち、当該画素値と背景の画素値との差分が閾値以上の画素の数に基づいて算出される。
【0017】
上述の表示データ作成装置は好ましくは所定比率は、局所データの画素のうち、当該画素値が閾値以上の画素の数に基づいて算出される。
【0018】
上述の表示データ作成装置は好ましくは所定比率は、局所データの文字の量に基づいて算出される。
【0019】
上述の表示データ作成装置では好ましくは表示データ作成手段は、画面の全表示領域を全体データに対応付けたときに、全体データにおける局所データの位置に相当する全表示領域における位置を特定するための位置特定データを作成して、表示データに含める位置特定データ作成手段をさらに有する。
【0020】
したがって、局所データとともに位置特定データも表示されるから、局所データを確認しながら、該局所データは入力データのおよそどこに位置するデータであるかも確認できる。
【0021】
また、入力データの解像度よりも画面の解像度が低い場合でも、上述のように局所データの入力データにおけるレイアウトを把握しながら局所データを閲覧できる。
【0022】
この発明のさらなる他の局面に係る表示データ作成方法は、予め準備された画面に表示するデータを作成する方法であって、入力データから局所データを作成する局所データ作成ステップと、入力データの全体を示す全体データと前記局所データ作成ステップにより作成された局所データとを重ね合せて画面に表示するための表示データを作成する表示データ作成ステップとを備えて、表示データ作成ステップは、重ね合わせられる全体データと局所データとを異なる表示態様に設定する表示態様設定ステップを有し、表示態様設定ステップでは、画面の各画素において、重ね合わせられる局所データと全体データとの対応の各画素値どうしを、所定比率で足し合わせることにより、異なる表示態様を設定し、所定比率は、前記局所データの解析に基づき可変に決定される。
【0023】
したがって、画面には入力データの全体を示す全体データと局所データとが重ね合わせられて表示されるとき、全体データと局所データは異なる表示態様にて表示されるから、表示態様に相違に基づいて両データを個々に視認するのが容易になる。
【0024】
この発明のさらなる他の局面では、上述の表示データ作成方法をコンピュータに実行させるための表示データ作成プログラムが提供される。
【0025】
この発明のさらなる他の局面では、上述の表示データ作成プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、画面には入力データの全体を示す全体データと局所データとが重ね合わせられて表示されるとき、全体データと局所データは異なる表示態様にて表示されるから、表示態様の相違に基づいて両データを個々に視認するのが容易になる。
【0027】
また、画面の全表示領域において該局所データの入力データの全体における位置に相当する位置を特定する位置特定データが作成されて、局所データとともに表示されるから、局所データを確認しながら、該局所データは入力データのおよそどこに位置するデータであるかのレイアウトも確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、各実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1および第2の実施の形態の画像表示データ作成装置の構成を示す図であり、図2はこの発明の各実施の形態に係る画像表示データ作成装置が搭載されるコンピュータの構成図である。各実施の形態に係る画像表示データ作成装置は、デスクトップ型コンピュータ、PDAなどの携帯型コンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置などの画面に情報を表示する機能を有したコンピュータに搭載される。
【0029】
図2を参照してコンピュータは、CRT(陰極線管)または液晶などからなるモニタ110、該コンピュータ自体を集中的に制御するためのCPU(中央処理装置の略)122、ROM(Read Only Memory)またはRAM(ランダムアクセスメモリの略)を含んで構成されるメモリ124、固定ディスク126、FD(フレキシブルディスク)132が着脱自在に装着されて、装着されたFD132をアクセスするFD駆動装置130、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)142が着脱自在に装着されて、装着されたCD−ROM142をアクセスするCD−ROM駆動装置140、キーボード150、マウス160、ペンタブレット170、インターネットなどを含む各種の通信ネットワーク182と該コンピュータとを通信接続するための通信インターフェィス180を含む。これらの各部はバスを介して通信接続される。
【0030】
コンピュータには、カセット形式の磁気テープが着脱自在に装着されて磁気テープをアクセスする磁気テープ装置が設けられても良い。
【0031】
図1を参照して、画像表示データ作成装置0703は接続される画像入力装置0701より入力画像データと、接続されるユーザ操作入力装置0702からユーザの操作情報とを受取り、表示画像データを作成して接続されるディスプレイ装置0704に出力する。画像入力装置0701は図2のコンピュータに接続される装置であり、ここでは通信インターフェィス180を介して接続される装置である。ユーザ操作入力装置0702は図2のキーボード150、マウス160、ペンタブレット170などに相当する。ディスプレイ装置0704は図2のモニタ110に相当する。
【0032】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、ユーザが全体画像データと局所画像データの表示度合いを手動で指定する画像表示データ作成装置が示される。
【0033】
画像表示データ作成装置0703は、入力画像データバッファ0705、全体画像データ作成処理部0706、全体画像データバッファ0707、制御部0708、局所画像データ作成処理部0709、局所画像データバッファ0710、表示画像データ作成処理部0711および表示画像データバッファ0712を備える。
【0034】
入力画像データバッファ0705は、画像入力装置0701から入力された画像データを格納する。全体画像データ作成処理部0706は入力画像データバッファ0705から入力画像を読取り全体画像データを出力する。全体画像データバッファ0707は全体画像データ作成処理部0706から出力された全体画像データを格納する。制御部0708はユーザ操作入力装置0702から入力された情報に伴い表示画像データの作成を制御する。局所画像データ作成処理部0709は入力画像データバッファ0705から入力画像データを読取り、局所画像データを作成し出力する。局所画像データバッファ0710は局所画像データ作成処理部0709から出力された局所画像データを格納する。
【0035】
表示画像データ作成処理部0711は全体画像データバッファ0707から全体画像データを、局所画像データバッファ0710から局所画像データをそれぞれ読込み、制御部0708からの制御情報に従って、表示画像データを作成し出力する。表示画像データバッファ0712は表示画像データ作成処理部0711から出力された表示画像データを格納する。
【0036】
入力画像データバッファ0705、全体画像データバッファ0707、局所画像データバッファ0710および表示画像データバッファ0712は、図2には示されないがフラッシュメモリ、メモリ124、固定ディスク126などのRAMによって実現される。全体画像データ作成処理部0706、制御部0708、局所画像データ作成処理部0709および表示画像データ作成処理部0711は、たとえばそれぞれ独立した回路または図2のコンピュータのCPU122の図示されない演算処理回路によって実現される仮想回路、すなわちCPU122により実行されるプログラムにより実現されるとしてもよい。
【0037】
図3には第1の実施の形態の画像表示データ作成装置の処理の流れが示される。ここでは、入力画像データに対応の入力画像の横方向、縦方向の大きさをそれぞれXSIZE,YSIZEとする。ディスプレイ装置0704の表示サイズの横方向、縦方向の大きさをそれぞれXDISPLAYSIZE,YDISPLAYSIZEとする。
【0038】
動作が開始され画像入力装置0701から入力画像データを受取り、入力画像データバッファ0705に格納する(S0801、S0802)。
【0039】
全体画像データ作成処理部0706は、入力画像データバッファ0705から入力画像データを受取り、入力画像データを表示サイズと同じ大きさとなるように横方向に(XDISPLAYSIZE/XSIZE)倍、縦方向に(YDISPLAYSIZE/YSIZE)倍に拡大または縮小処理を行なったものを全体画像データとして出力する(S0803)。
【0040】
拡大または縮小処理は線形補完を用いたが、線形補完に限定されない。全体画像データ0101の例を図4に示す。
【0041】
全体画像データ作成処理部0706から出力された全体画像データを全体画像データバッファ0707に格納する(S0804)。
【0042】
制御部0708の初期値設定を行なう(S0805)。制御部0708で管理する変数は、局所画像データの左上点の入力画像データでの位置(xposition,yposition)、縮尺arate、局所画像データと全体画像データの足し合わせの比率を示す合成比率orateである。初期値として、(xposition,yposition)=(0,0)、arate=1、orate=0.8に設定したが、これら値は一例であって、これ以外の値であってもよい。
【0043】
上述の局所画像データに特化した変数は局所画像データの左上点の入力画像データでの位置(xposition,yposition)、縮尺arateに限定されるものではなく、局所画像の入力画像での位置関係とその大きさが定まるのであればよい。たとえば、縮尺の代わりに局所画像データの入力画像データでの右下点の位置を用いてもかまわない。
【0044】
通常、制御部0708はユーザからの入力情報を受けて動作するが、ここでの初期化設定はユーザからの入力情報の代わりに設定するものである。
【0045】
制御部0708で、ユーザからの入力を受けてパラメータの値を変更する(S0806)。
【0046】
局所画像データ作成処理部0709にて、入力画像データバッファ0705から入力画像データを受取り、制御部0708で指定された情報により、局所画像データを作成し、出力する(S0807)。
【0047】
局所画像データ作成処理は、入力画像データの(xposition,yposition)から、横方向に(XDISPLAYSIZE/arate)、縦方向に(YDISPLAYSIZE/arate)の大きさを抜き出した画像を作成し、その抜き出した画像をarate倍に拡大または縮小処理したものを局所画像データとするものである。
【0048】
ここでは、拡大縮小処理は線形補完を用いたが、他のどのような拡大縮小手法を用いてもよい。局所画像データ0301の例を図5に示す。
【0049】
局所画像データ作成処理部0709から出力された局所画像データを局所画像データバッファ0710に格納する(S0808)。
【0050】
表示画像データ作成処理部0711は、全体画像データバッファ0707と局所画像データバッファ0710からそれぞれ全体画像データと局所画像データを読取り、これらを用いて制御部0708で指定された情報により、表示画像データを作成し、出力する(S0809)。
【0051】
座標(x,y)における全体画像データの画素値value1(x,y)と局所画像データの画素値value2(x,y)、表示画像データの画素値value3(x,y)としたとき、value3(x,y)=orate×value2(x,y)+(1-orate)×value1(x,y)となるように表示画像データを作成し(この段階での表示画像データ0401を図6に示す。)、そこに枠のデータを付け加える。該枠は、全体画像データにおける局所画像データの位置に相当するディスプレイ装置0704の全表示領域における位置を特定するためのものである。
【0052】
合成比率orateが0より大きく、1より小さい場合は表示画像データは例えば図7に示した画像のように全体画像データと局所画像データが同時に表示される。図5の枠0501が先に述べた全体画像データでの局所画像データの位置を示す枠に相当する。また、全体画像データと局所画像データの関係をさらに分かりやすくするために表示画像データについての枠0502のように外枠を追加し、全体画像データでの枠0501に対応する局所画像データの枠としてもよい。また、表示画像データの例を図6に示すように対応枠を付け加えなくてもかまわない。
【0053】
合成比率orateが0のとき、表示画像データは例えば図8に示すように局所画像データの枠0201を含む全体画像データ0202が表示される。合成比率orateが1のとき、表示画像データは例えば図9に示すように局所画像データが表示される。
【0054】
合成比率orateの範囲に制限を加えると、全体画像データと局所画像データが常に表示されているように設定することも可能である。
【0055】
図7、図8および図9の枠0501、0201および0601は、左上点(xposition×XDISPLAYSIZE/XSIZE,yposition×YDISPLAYSIZE/YSIZE)、右下点((xposition+XDISPLAYSIZE/arate)×XDISPLAYSZE/XSIZE,(yposition+YDISPLAYSIZE/arate)×YDISPLAYSZE/XSIZE)に位置する長方形である。
【0056】
また、局所画像データの枠の情報を表示画像データに加えるかどうかを指示する情報を、制御部0708の管理に加えるとユーザが動的に枠の表示の有無を指定することも可能となる。
【0057】
表示画像データ作成処理部0711で作成された表示画像データを表示画像データバッファ0712に格納し(S0810)、表示画像データバッファ0712に格納された表示画像データをディスプレイ装置0704に出力する(S0811)。
【0058】
その後、制御部0708にてユーザ操作入力装置0702から入力を検出する(S0812)。ユーザ操作入力装置0702からの入力が終了要求であった場合、終了処理を行ない、他の場合はS0806以降の処理を再度行なう(S0813、S0814)。
【0059】
本実施の形態によれば、図6または図7のように全体画像データと局所画像データが重ね合せて表示されるとき、両データの表示態様は合成比率orateによる濃度により異ならせることができるから、両データの文字などの画像を区別して視認することが可能となる。また、図7に示すように局所画像データと全体画像データの位置関係を示す枠0502と0501とを表示することにより、全体画像データの文字が小さくても局所画像データの位置と全体のレイアウトを把握しながら閲覧できる。
【0060】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、図1の画像表示データ作成装置において全体画像データと局所画像データの表示度合いを自動で制御する機能が提供される。
【0061】
図10には第2の実施の形態の画像表示データ作成装置の処理の流れが示される。図10の処理の流れと図3のそれとを比較して異なる点は、処理S0808と処理S0809の間に、全体画像データと局所画像データの重ね合わせ表示における濃度を制御するオーバーレイ濃度制御処理S0909を追加した点にある。他の処理は、図3に示したのと同様なので、ここでは説明を省略する。
【0062】
動作において、処理S0801〜S0808が前述と同様に実行された後、オーバーレイ濃度制御処理において、制御部0708で、局所画像データバッファ0710から局所画像データを読取り、局所画像データと全体画像データの合成比率orateを決定する(S0909)。
【0063】
具体的には、局所画像データと全体画像データの合成比率orateは、局所画像データの重要性の程度に基づき決定される。たとえば、局所画像データの重要性が高いほど合成比率orateは高くなり、逆に重要性が低いほど合成比率orateは低くなる。または、合成比率orateは局所画像データおよび全体画像データのうちの一方データに対する他方データの重要性の程度に基づき決定されてもよい。局所画像データの方が重要性が高ければ合成比率orateを高い値に設定し、局所画像データを重視した合成処理を行ない、逆の場合は合成比率orateを低い値に設定し、全体画像データを重視した合成処理を行なう。
【0064】
その結果、局所画像データが重要な場合は、全体画像データの濃度は薄くなり局所画像データの濃度が濃くなりはっきり見やすく表示され、局所画像データが重要でない場合、局所画像データの濃度は薄くなり、全体画像データの濃度が濃くなりはっきり見やすく表示される。
【0065】
合成比率orateの演算は、局所画像データの画素値の和SUMを用いて、orate=(255×XDISPLAYSIZE×YDISPLAYSIZE)/SUMと、算出される。
【0066】
この演算は一例でありこれに限定されず、局所画像データの閾値TH以上の画素値をカウントした結果をカウント数Nを基として、orate=N/(XDISPLAYSIZE×YDISPLAYSIZE)と、演算してもかまわない。
【0067】
また、上述の合成比率orateの演算は、入力画像データの背景が白であることを前提としているが、背景色との差分の和を用いれば、任意の背景色で用いることができる。
【0068】
また、同様に閾値TH以上の画素値をカウント数を用いる場合でも、背景色との差分でTHを設定し、カウント数を用いれば、任意の背景色で用いることができる。
【0069】
また、局所画像データのエッジの多さを基準として、エッジが多ければ合成比率orateを大きくし、エッジが少なければ合成比率orateを小さくしてもよい。これにより、エッジが多い画像は変化に富んで複雑な画像といえるから、濃度は濃く表示されて、複雑な画像でもはっきりと確認できる。
【0070】
また、局所画像データの文字の多さを基準として、文字が多ければ合成比率orateを大きくし、文字が少なければ合成比率orateを小さくしてもよい。これにより、文字が多い画像は狭い間隔で多量の文字が表示されて比較的に細かい文字となっているが、濃度は濃く表示されるから、細かい文字であってもはっきりと確認できて判読できる。
【0071】
その後は、図3の処理S0809〜S0814が同様に実行される。
本実施の形態によれば、画像表示データ作成装置は、局所画像データの重要性を解析し、動的に全体画像データと局所画像データの合成比率orateを調節する機能を有しているから、局所画像データが重要な個所では、レイアウトを示す全体画像データの表示は薄くなり、逆に局所画像データが重要でない個所では、レイアウトを示す全体画像データの表示を濃くすることにより、全体画像データと局所画像データの重ね合わせによって読みにくくなることが回避されている。
【0072】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、ディスプレイ装置0704の画面を全表示領域を入力画像データの全体に対応付けたときに、入力画像データにおける局所画像データに相当する全表示領域における位置を特定する枠が表示される。
【0073】
本実施の形態によれば、第1および第2の実施の形態であげた画像表示データ作成装置に比べると、局所画像データの入力画像データに対するレイアウトが大まかにしか把握できないが、全体画像データと局所画像データとの重ね合わせがないため、局所画像データを認識しやすいという特徴がある。
【0074】
図11は、第3の実施の形態の画像表示データ作成装置の構成を表す図である。図11を参照して、画像表示データ作成装置1003は接続する画像入力装置1001より入力画像データと接続するユーザ操作入力装置1002からユーザの操作情報を受取り、表示画像データを接続するディスプレイ装置1004に出力する。
【0075】
画像表示データ作成装置1003は入力画像データバッファ1005、局所画像データ作成処理部1006、局所画像データバッファ1007、制御部1008、表示画像データ作成処理部1009、および表示画像データバッファ1010を備える。
【0076】
入力画像データバッファ1005は、画像入力装置1001から入力された画像データを格納する。局所画像データ作成処理部1006は局所画像データバッファ1005から入力画像データを読取り局所画像データを作成して出力する。
【0077】
局所画像データバッファ1007は局所画像データ作成処理部1006から出力された局所画像データを格納する。制御部1008はユーザ操作入力装置1002から入力された情報に伴い表示画像データの作成を制御する。表示画像データ作成処理部1009は局所画像データバッファ1007から局所画像データを読込み、制御部1008からの制御情報にしたがって、表示画像データを作成し出力する。表示画像データバッファ1010は表示画像データ作成処理部1009から出力された表示画像データを格納する。
【0078】
入力画像データバッファ1005、局所画像データバッファ1007および表示画像データバッファ1010は、図2の図示されないフラッシュメモリ、図2のメモリ124、図2の固定ディスク126などのRAMによって実現されて、局所画像データ作成処理部1006、制御部1008および表示画像データ作成処理部1009は、たとえばそれぞれ独立した回路、または、たとえば図2のコンピュータのCPU122の演算処理回路によってプログラムが実行されることにより実現される仮想回路によって実現される。
【0079】
図12は第3の実施の形態の画像表示データ作成装置の処理の流れを示したものである。ここでは入力画像の横方向、縦方向の大きさをそれぞれXSIZE,YSIZEとする。ディスプレイ装置1004の全表示領域のサイズの横方向、縦方向の大きさをそれぞれXDISPLAYSIZE,YDISPLAYSIZEとする。
【0080】
動作が開始されると(S1101)、画像入力装置1001から入力画像データを受取り、入力画像データバッファ1005に格納して(S1102)、制御部1008の初期値設定を行なう(S1103)。
【0081】
制御部1008で管理する変数は、局所画像データの左上点の入力画像データでの位置(xposition,yposition)、縮尺arateである。
【0082】
上で挙げた局所画像データに特化した変数は局所画像データの左上点の入力画像データでの位置(xposition,yposition)、縮尺arateに限定されるものではなく、局所画像データの入力画像データでの位置関係とその大きさが定まるのであればたとえば、縮尺の代わりに局所画像データの入力画像データでの右下点の位置のような変数を用いてもかまわない。
【0083】
通常、制御部1008はユーザからの入力情報を受けて動作するが、ここでの初期化設定はユーザからの入力情報の代わりに設定するものである。
【0084】
制御部1008で、ユーザからの入力を受けてパラメータの値を変更する(S1104)。
【0085】
局所画像データ作成処理部1006にて、入力画像データバッファ1005から入力画像データを受取り、制御部1008で指定された情報により、局所画像データを作成し出力する(S1105)。
【0086】
局所画像データ作成処理は、入力画像データの(xposition,yposition)から、横方向に(XDISPLAYSIZE/arate)、縦方向に(YDISPLAYSIZE/arate)の大きさを抜き出した画像を作成し、その抜き出した画像を縮尺arate倍に拡大縮小処理したものを局所画像データとするものである。ここでは、拡大縮小処理は線形補完を用いたが、他のどのような拡大縮小手法を用いてもよい。局所画像データの例を図5に示す。
【0087】
局所画像データ作成処理部1006から出力された局所画像データを局所画像データバッファ107に格納する(S1106)。
【0088】
表示画像データ作成処理部1009は、局所画像データバッファ1007から局所画像データを読取り、制御部1008で指定された情報により、枠を追加した表示画像データを作成し出力する(S1107)。
【0089】
枠は、左上点(xposition×XDISPLAYSIZE/XSIZE,yposition×YDISPLAYSIZE/YSIZE)、右下点((xposition+XDISPLAYSIZE/arate)×XDISPLAYSZE/XSIZE,(yposition+YDISPLAYSIZE/arate)×YDISPLAYSZE/XSIZE)に位置する長方形で示される。
【0090】
この枠は、表示領域全体を入力画像データに対応付けたときに、表示されている局所画像データに対応の位置である領域を示している。このときの表示画像データの例を図9に示す。
【0091】
図9では枠0601が先に述べた全体画像データでの局所画像データの位置を示す枠に相当する。また、入力画像データと局所画像データの関係をさらに分かりやすくするために表示画像データ0602のように外枠を追加し、枠0601に対応する局所画像データの枠としてもよい。
【0092】
表示画像作成処理部1009から出力された表示画像データを表示画像データバッファ1010に格納して(S1108)、表示画像データバッファ1010に格納された表示画像データをディスプレイ装置1004に出力する(S1109)。
【0093】
その後、制御部1008にてユーザ操作入力装置1002から入力を検出する(S1110)。ユーザ操作入力装置1002からの入力が終了要求であった場合、終了処理を行ない、他の場合はS1104以降の処理を再度行なう(S1111、S1112)。
【0094】
本実施の形態によれば、図9に示すように、全体画像データを表示しないで、画面の全表示領域を入力画像データに対応するものと見立てて、表示領域(全体画像データ)において局所画像データに対応する位置を枠0601で表示することにより、局所画像データと全体画像データとを重ね合わせずとも、ユーザは入力画像データにおける局所画像データの位置を、すなわち全体のどの個所を閲覧しているかを、大まかに把握できる。
【0095】
上述の各実施の形態は、ワードプロセッサ、テキストエディタ、ドローツールなどのためのドキュメント(文書データ)の表示に際して、該ドキュメントを画像として扱うことにより適用することができる。
【0096】
また、フォントなどのオブジェクトデータを含むドキュメントの拡大または縮小処理は画像処理で行なう必要はなく、ほぼ同等の解像度のフォントなどのオブジェクトデータがあればそれを代替として用いてもかまわない。
【0097】
また、各実施の形態の画像表示データ作成装置は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA、電子ブック機器などの各種端末、情報の表示機能を有してコンピュータ制御される各種家電製品に組み込んで用いることができる。
【0098】
また、各実施の形態の画像表示データ作成装置は、通信を用いてサーバとクライアントで処理することも可能である。例えば、入力画像データバッファ0705(1005)、全体画像データ作成処理部0706、制御部0708(1008)、および局所画像データ作成処理部0709(1006)をサーバ側に、全体画像データバッファ0707、局所画像データバッファ0710(1007)、表示画像データ作成処理部0711(1009)、および表示画像データバッファ0712(1010)をクライアント側で実現することにより、データ量の小さい全体画像データと局所画像データの通信で閲覧を行なうことができるため、入力画像データをそのままダウンロードする方式と比べ、快適に閲覧することができる。
【0099】
(第4の実施の形態)
次に実施の形態4について説明する。
【0100】
以上説明した処理機能は、プログラムで実現される。本実施の形態では、このプログラムはコンピュータで読取可能な記録媒体に格納される。
【0101】
本実施の形態では、この記録媒体として、図2に示されているコンピュータで処理が行なわれるために必要なメモリ、たとえばメモリ124のようなそのものがプログラムメディアであってもよいし、また外部記憶装置として磁気テープ装置およびCD−ROM駆動装置140などのプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体である磁気テープまたはCD−ROM142が挿入されることで読取可能なプログラムメディアであってもよい。いずれの場合においても、格納されているプログラムはCPU122がアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいはいずれの場合もプログラムが一旦読出されて、読出されたプログラムは、図2の所定のプログラム記憶エリア、たとえばメモリ124のプログラム記憶エリアにロードされて、CPU122により読出されて実行される方式であってもよい。このロード用のプログラムは、予め当該コンピュータに格納されているものとする。
【0102】
ここで、上述したプログラムメディアはコンピュータ本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、FD132や固定ディスク126などの磁気ディスクやCD−ROM142/MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable and Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的なプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0103】
また、本実施の形態においては、図2のコンピュータはインターネットを含む通信ネットワーク182と接続可能な構成が採用されているから、通信ネットワーク182からプログラムがダウンロードされて流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワーク182からプログラムがダウンロードされる場合には、ダウンロード用プログラムは予め当該コンピュータ本体に格納しておくか、あるいは別の記録媒体から予め当該コンピュータ本体にインストールされるものであってもよい。
【0104】
なお記録媒体に格納されている内容としてはプログラムに限定されず、データであってもよい。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第1および第2の実施の形態の画像表示データ作成装置の構成を示す図である。
【図2】各実施の形態に係る画像表示データ作成装置が搭載されるコンピュータの構成図である。
【図3】第1の実施の形態の画像表示データ作成装置の処理フローチャートである。
【図4】全体画像データの一例を示す図である。
【図5】局所画像データの一例を示す図である。
【図6】全体画像データと局所画像データを同時に表示した状態を示す図である。
【図7】全体画像データと局所画像データを同時に表示し、枠を追加した状態を示す図である。
【図8】全体画像データに枠を追加した状態を示す図である。
【図9】局所画像データに枠を追加した状態を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の画像表示データ作成装置の処理フローチャートである。
【図11】第3の実施の形態の画像表示データ作成装置の構成を示す図である。
【図12】第3の実施の形態の画像表示データ作成装置の処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
0703,1003 画像表示データ作成装置、0706 全体画像データ作成処理部、0709,1006 局所画像データ作成処理部、0711,1009 表示画像データ作成処理部、0501,0502,0201,0601,0602 枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に表示するデータを作成する装置であって、
入力データから局所データを作成する局所データ作成手段と、
前記入力データの全体を示す全体データと前記局所データ作成手段により作成された前記局所データとを重ね合せることにより合成して前記画面に表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備えて、
前記表示データ作成手段は、
重ね合わせられる前記全体データと前記局所データとを異なる表示態様に設定する表示態様設定手段を有し、
前記表示態様設定手段は、前記画面の各画素において、重ね合わせられる前記局所データと前記全体データとの対応の各画素値どうしを、所定比率で足し合わせることにより、前記異なる表示態様を設定し、
前記所定比率は、前記局所データの解析に基づき可変に決定される、表示データ作成装置。
【請求項2】
前記所定比率は、前記局所データの画素値の和に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1に記載の表示データ作成装置。
【請求項3】
前記所定比率は、前記局所データから検出されるエッジ情報に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1に記載の表示データ作成装置。
【請求項4】
前記所定比率は、前記局所データの文字の情報に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1に記載の表示データ作成装置。
【請求項5】
前記所定比率は、前記局所データの画素値と背景の画素値との差分の和に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1に記載の表示データ作成装置。
【請求項6】
前記所定比率は、前記局所データの画素のうち、当該画素値と背景の画素値との差分が閾値以上の画素の数に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1に記載の表示データ作成装置。
【請求項7】
前記所定比率は、前記局所データの画素のうち、当該画素値が閾値以上の画素の数に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1に記載の表示データ作成装置。
【請求項8】
前記所定比率は、前記局所データの文字の量に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1に記載の表示データ作成装置。
【請求項9】
前記表示データ作成手段は、
前記画面の全表示領域を前記全体データに対応付けたときに、前記全体データにおける前記局所データの位置に相当する前記全表示領域における位置を特定するための位置特定データを作成して、前記表示データに含める位置特定データ作成手段をさらに有する、請求項1から8のいずれかに記載の表示データ作成装置。
【請求項10】
予め準備された画面に表示するデータを作成する方法であって、
入力データから局所データを作成する局所データ作成ステップと、
前記入力データの全体を示す全体データと前記局所データ作成ステップにより作成された前記局所データとを重ね合せて前記画面に表示するための表示データを作成する表示データ作成ステップとを備えて、
前記表示データ作成ステップは、
重ね合わせられる前記全体データと前記局所データとを異なる表示態様に設定する表示態様設定ステップを有し、
前記表示態様設定ステップでは、前記画面の各画素において、重ね合わせられる前記局所データと前記全体データとの対応の各画素値どうしを、所定比率で足し合わせることにより、前記異なる表示態様を設定し、
前記所定比率は、前記局所データの解析に基づき可変に決定される、表示データ作成方法。
【請求項11】
請求項10に記載の前記表示データ作成方法をコンピュータに実行させるための表示データ作成プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の前記表示データ作成プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−20517(P2009−20517A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180333(P2008−180333)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【分割の表示】特願2002−167554(P2002−167554)の分割
【原出願日】平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】