説明

表示パネルの製造方法およびフィルム貼付装置

【課題】ガラス屑を原因とする問題の発生を低減させることのできる表示パネルの製造方法とフィルム貼付装置を提供する。
【解決手段】ガラス基板を有する表示パネル1の分断工程において分断された表示パネル1にフィルムを貼付するフィルム貼付工程において、前記表示パネル1のフィルムを貼付する面を清掃する前に、前記分断工程において分断された面のエッジ部にガラス屑誘発部材22を当接させて基板処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のガラス基板を有する表示パネルの表面にフィルムが貼付された表示パネルの製造方法と、前記フィルムを貼付するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のガラス基板の間に液晶が封止され、前記ガラス基板の表面に偏光膜が貼付された液晶表示パネルの基本的な製造工程は、大別して、パターニング工程、配向処理工程、基板貼り合わせ・パネル分断工程、液晶注入・封止工程、および偏光膜貼付け工程の5つの製造工程から構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、従来の液晶表示パネルの製造方法の偏光膜貼付け工程における問題点を簡単に説明する。
【0004】
前記偏光膜貼り付け工程は、複数の個別の液晶表示パネルを一方向に配列させたスティック基板から分断された前記個別の液晶表示パネルの表裏面に偏光膜を貼り付ける工程である。
【0005】
この偏光膜貼付け工程においては、従来より、図4乃至図7に示すような偏光膜貼付装置1が利用されている。
【0006】
この偏光膜貼付装置1は、図4に示すように、平行配置された2枚の支持壁31間に数本の搬送ローラ32が液晶表示パネル1の搬送方向へ略等間隔に配列されており、図示しないモータ等の駆動装置を駆動させて各搬送ローラ32を所定の回転速度で回転させることにより、その上面に載置された液晶表示パネル1を搬送可能とされた搬送装置30を備えている。
【0007】
前記搬送装置30の液晶表示パネル1の搬送経路(以下、単に搬送経路という)は、上流側から順に、搬送される液晶表示パネル1の上面(一面)に偏光膜を貼付する第1貼付作業位置、搬送される液晶表示パネル1の表裏面を返す表裏転換位置(図示せず)、表裏を返して搬送される液晶表示パネル1の上面(他の一面)に偏光膜を貼付する第2貼付作業位置(図示せず)とされている。なお、本実施形態においては、前記搬送装置30は、前記表裏転換位置を境にして上流側に配設された搬送ローラ32と下流側に配設された搬送ローラ32は、異なる駆動装置によって回転駆動の開始と停止がなされるように構成されている。また、第1貼付作業位置と第2貼付作業位置の構成は同様とし、以下では、第1貼付作業位置の構成を代表的に説明する。
【0008】
前記第1貼付作業位置の搬送経路下方には、図5に示すように、搬送方向の上流側から順に、液晶表示パネル1の搬送方向の搬送される液晶表示パネル1の先端部を検出する第1センサS1乃至第3センサS3からなる3つのセンサSが配設されている。
【0009】
前記第3センサS3の直下流側には、昇降動作可能とされ、最上位において搬送経路内に先端部を位置させ、搬送される液晶表示パネル1の先端部を当接させて、液晶表示パネル1を所定の位置に停止可能とされたストッパ35が配設されている。このストッパ35は、前記第2センサS2による液晶表示パネル1の先端部の検出を上昇動作を開始する契機とし、搬送装置30の搬送ローラ32の回転駆動停止を降下動作を開始する契機とするように制御されている。
【0010】
なお、前記搬送装置30は、メインスイッチがON状態である間、前記第3センサS3による液晶表示パネル1の先端部の検出を搬送を停止する契機とし、後述する貼付ヘッド装置37の駆動停止、すなわち、偏光膜の貼付完了を再駆動開始の契機とするように制御されている。
【0011】
また、前記第1貼付作業位置には、図6に示すように、昇降動作および液晶表示パネル1の側部に対する接離動作可能とされ、搬送される液晶表示パネル1の側部に両側方から当接させて液晶表示パネル1を所定の位置にアライメントさせるガイド部材39が配設されている。前記ガイド部材39は、前記第3センサS3による液晶表示パネル1の先端部の検出を上昇および接近動作の組み合わせからなるアライメント動作を開始する契機とし、後述する貼付ヘッド装置37の駆動停止、すなわち、偏光膜の貼付完了を離間および下降動作を開始するの契機とするように制御されている。
【0012】
さらに、前記第1貼付作業位置における液晶表示パネル1の停止位置の直上部には、図示しない貼付ローラや偏光膜吸着プレート等を備えた貼付ヘッド装置37が配設されている。
【0013】
また、前記停止位置の直前部には、図7に示すように、粘着シートを巻回したロールを摺動回転自在に支持した状態で昇降動作可能とされ、下降した状態において前記粘着シートを液晶表示パネル1の上面に面接触させて、偏光膜を貼付する面を清掃可能とされた清掃ローラ42が配設されている。前記清掃ローラ42は、その上流側に配設された前記第1センサS1による液晶表示パネル1の先端部の検出を下降動作を開始する契機とし、前記第3センサS3による液晶表示パネル1の先端部の検出を上昇動作を開始する契機とするように制御されている。
【0014】
そして、このような構成とされた偏光膜貼付装置1を利用して個々の液晶表示パネル1に偏光膜を貼付する場合、まず、前記搬送装置30のメインスイッチをONとして搬送ローラ32を所定の回転速度で回転させ、その上面に液晶表示パネル1を1枚ずつ載置する。
【0015】
搬送装置30に載置された液晶表示パネル1が、前記第1貼り付け作業位置へ搬送され、前記第1センサS1が液晶表示パネル1の先端部を検出すると、前記清掃ローラ42が下降して、搬送される液晶表示パネル1の上面に粘着シートを面接触させる。そして、液晶表示パネル1の搬送に従動回転することにより、偏光膜の貼付面である上面に付着する塵埃を粘着シートに粘着させ、前記上面を清掃する。
【0016】
その後、粘着シートによって塵埃が除去された状態で搬送される液晶表示パネル1の先端部を前記第2センサが検出すると、前記ストッパ35が上昇動作を開始し、最上位において搬送経路内に先端部を位置させて停止する。
【0017】
また、さらに前記液晶表示パネル1が搬送されると、前記液晶表示パネル1はその先端部を前記ストッパ35に当接させる。このとき、前記第3センサS3が前記液晶表示パネル1の先端部を検出すると、前記搬送装置30の搬送ローラ32は回転駆動を停止し、前記ストッパ35は下降を開始する。それとともに、前記ガイド部材39が、上昇した後、搬送された液晶表示パネル1に近接する一連の動作を開始し、液晶表示パネル1の側部に両側方から当接して、液晶表示パネル1を所定の位置にアライメントさせる。
【0018】
また、前記第3センサが前記液晶表示パネル1の先端部を検出すると、前記清掃ローラ42も上昇する。
【0019】
この状態で、前記貼付ヘッド装置37の動作を開始させて、第1貼付け作業位置にアライメントされた液晶表示パネル1の上面に、前記偏光膜吸着プレートに吸着されている偏光膜を貼付する。
【0020】
そして、前記貼付ヘッド装置37による偏光膜の貼付が完了したら、前記ガイド部材39が液晶表示パネル1から離間した後、下降する一連の作動を開始するとともに、前記搬送ローラ32の回転駆動を再開させる。
【0021】
そして、搬送経路における下流側となる前記表裏転換位置へ搬送して前記液晶表示パネル1の表裏面を返し、再び、搬送装置30の搬送ローラ32の上面に液晶表示パネル1を1枚ずつ載置して、第2貼付け作業位置へ搬送し、液晶表示パネル1の他の面にも、第1貼付け作業位置における作業と同様に偏光膜を貼付して、液晶表示パネル1を完成させる。
【0022】
【特許文献1】特開2001−154177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、この偏光膜貼付装置1を用いた偏光膜の貼付け作業中、前記ガイド部材39が液晶表示パネル1の側部に当接してアライメントを行なう際に、ガラスの切り屑状の異物(以下、ガラス屑という)Gがエッジ部から発生し、液晶表示パネル1の表面に付着することがあった。
【0024】
前記ガラス屑Gは、液晶表示パネル1の分断時の残留応力が1つの原因と考えられ、分断作業から相当時間経過前の分断面に当接することで発生し易く、前記応力が沈静化した後や、他の部材との接触等によって残留応力が除去されるとともに一旦ガラス屑Gを発生させた後は、発生し難いことがわかっている。前記沈静化は、分断作業から相当時間経過させることで可能であるが、分断した液晶表示パネル1を相当時間、保管するスペースや、時間が必要となり、生産性、作業性効率が劣る。
【0025】
前述のように、従来においても、前記清掃ローラ42を利用して液晶表示パネル1の貼付面の清掃を行なうが、清掃ローラ42が当接するのは液晶表示パネル1の貼付面であって分断面が位置する側面ではないため、清掃ローラ42の当接によってはガラス屑Gは発生せず、図5や図6に示すように、その清掃後に行われるアライメント時のガイド部材39の当接によって前記ガラス屑Gが発生し、液晶表示パネル1の表面に付着してしまうのが現状であった。
【0026】
そして、その状態で液晶表示パネル1に偏光膜を貼付すると、液晶表示パネル1のガラス基板と偏光膜との間にガラス屑Gが挟まれたり、ガラス屑Gによってガラス基板に傷がついてしまう虞がある。
【0027】
そこで、本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ガラス屑を原因とする問題の発生を低減させることのできる表示パネルの製造方法とフィルム貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前述した目的を達成するため、本発明の表示パネルの製造方法は、ガラス基板を有する表示パネルの分断工程において分断された表示パネルにフィルムを貼付するフィルム貼付工程において、前記表示パネルのフィルムを貼付する面を清掃する前に、前記分断工程において分断された面のエッジ部にガラス屑誘発部材を当接させて基板処理を行なうことを特徴とする。
【0029】
本発明の表示パネルの製造方法によれば、ガラス屑誘発部材を表示パネルのエッジ部に当接させることにより、積極的にガラス屑を発生させ、その後、基板表面の洗浄を行なって前記ガラス屑を除去することで、フィルムを異物を介在させずに表示パネルの表面に貼付することが可能となる。
【0030】
また、本発明のフィルム貼付装置は、分断された表示パネルを1枚ずつ搬送可能とされた搬送装置による前記表示パネルの搬送経路上に、上流側から順に、搬送される表示パネルのエッジ部に当接可能とされたガラス屑誘発部材を有するガラス屑誘発装置と、前記表示パネルのフィルムを貼付する表面を清掃する清掃装置と、前記表示パネルにフィルムを貼付する貼付ヘッド装置とを配設したことを特徴とする。
【0031】
本発明のフィルム貼付装置によれば、前記分断工程において分断された面のエッジ部にガラス屑誘発部材を当接させてガラス屑を強制的に発生させ、前記表示パネルのフィルムを貼付する面を清掃して前記ガラス屑を除去した後で、フィルムを異物を介在させずに表示パネルの表面に貼付することが可能となる。
【0032】
また、前記ガラス屑誘発部材を前記表示パネルのエッジ部に当接した状態で回転可能とされたローラとすることで、表示パネルの搬送を妨げることなく、ガラス屑の誘発を行なうことができる。ここで、表示パネルのエッジ部とは、表示パネルを分断するための分断線を形成した面のエッジ部であり、該エッジ部に分断線形成時の応力が残留している。
【0033】
そして、前記ローラの外周面に前記表示パネルのエッジ部を当接させるための断面V字状とされた切り溝を周方向に形成することで、前記ローラを表示パネルのエッジ部に確実に当接させることができ、また、厚さ寸法の異なる表示パネルにも対応可能となる。
【0034】
さらに、前記搬送経路におけるガラス屑誘発部材の下流側に、搬送される表示パネルの表面を吸引清掃するバキューム装置を備えることで、表示パネルの偏光膜の貼付面に乗り上げたガラス屑を前記バキューム装置で吸引し、除去することができる。
【0035】
またさらに、前記ガラス屑誘発装置は、前記ローラの外周面をブロー清掃するエアブロー装置を備えることで、ローラに付着するガラス屑をエアブロー装置でブローし、除去することができる。
【発明の効果】
【0036】
このように、本発明の表示パネルの製造方法およびフィルム貼付装置によれば、ガラス屑を原因とする問題の発生を低減させて、表示パネルの生産性および作業性を向上させることができるといった優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本実施形態の液晶表示パネル1の製造方法は、フィルムの1種である偏光膜の貼付け工程において、以下の構成を備えた偏光膜貼付装置11を使用し、前記液晶表示パネル1の偏光膜を貼付する面を清掃する前に、前記分断工程において分断された面のエッジ部にガラス屑誘発部材を当接させて基板処理を行なう。
【0038】
ここで、図1乃至図3は、本実施形態における偏光膜貼付装置11を示す。なお、以下では、前述した従来の偏光膜貼付装置11と同一の構成については説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0039】
本実施形態の偏光膜貼付装置11においては、図1に示すように、前記第1貼付作業位置の搬送方向における上流側に、ガラス屑誘発装置21が配設されている。
【0040】
詳しくは、前記ガラス屑誘発装置21は、搬送経路における前記清掃ローラ42の上流側に配設されており、搬送される液晶表示パネル1のエッジ部に当接可能とされた一対のガラス屑誘発部材22を備えており、前記ガラス屑誘発部材22の搬送方向における上流側には、搬送される液晶表示パネル1の先端部を検出する感知センサSが配設されている。
【0041】
前記ガラス屑誘発部材22は、図2および図3に示すように、予め調整された高さ位置において、図示しない接離機構によって搬送される液晶表示パネル1に対する側方からの接離動作を可能とされている。なお、ガラス屑誘発部材22は、処理対象の液晶表示パネル1の機種が変わり、その厚さ寸法が変わる場合に、駆動前のセッティングとして、高さ調節を行なうようにするものとする。
【0042】
前記ガラス屑誘発部材22は、前記液晶表示パネル1の側方においてエッジ部に当接した状態で、図示しない駆動装置により、前記搬送ローラ32の回転と同調して回転可能とされたローラとされており、そのローラの外周面には、前記液晶表示パネル1のエッジ部を当接させるための断面V字状とされた切り溝23が周方向に形成されている。なお、本実施形態においては、前記ローラは、硬度90度(ショアA)の高硬度ゴムで形成する。また、エッジ部にガラス屑を適度に発生させるためには、斜め方向から応力をかけるほうが好ましい。すなわち、断面V字状の切り溝23で当接することにより、斜め方向から応力をかけることになり、ガラス屑が発生しやすくなり好適である。
【0043】
そして、前記ガラス屑誘発部材22は、前記感知センサSによる液晶表示パネル1の先端部の検出を、接近動作と回転動作を開始する契機とし、前述の前記第3センサS3による液晶表示パネル1の先端部の検出を、離間動作と回転動作を停止する契機とするように制御されている。
【0044】
また、前記ガラス屑誘発装置21は、前記ガラス屑誘発部材22のローラの外周面の前記切り溝23に付着するガラス屑Gをブロー清掃するエアブロー装置25を備えている。本実施形態において、前記エアブロー装置25は、前記ガラス屑誘発部材としてのローラの反搬送経路側の前記切り溝23近傍に吹き出し口26を位置させて、前記接離機構に一体に形成されている。
【0045】
また、本実施形態においては、前記ガラス屑誘発部材22の配設位置における搬送経路の下方には、液晶表示パネル1から脱落するガラス屑Gやエアブロー装置25によってブローされたガラス屑Gを回収するガラス屑受け27が配設されている。
【0046】
さらに、前記搬送経路におけるガラス屑誘発部材22の直下流側であって前記搬送経路の上方には、液晶表示パネル1の搬送方向に直交する幅方向以上の寸法とされ、液晶表示パネル1の表面に対向させて形成された図示しない吸引口を有する、第1の清掃装置としてのバキューム装置28が配設されている。なお、第2の清掃装置は前記清掃ローラ42である。
【0047】
前記エアブロー装置25およびバキューム装置28はともに、前記感知センサSによる液晶表示パネル1の先端部の検出を駆動を開始する契機とし、前述の前記第3センサS3による液晶表示パネル1の先端部の検出を駆動を停止する契機とするように制御されている。
【0048】
次に、前述のガラス屑誘発装置21を備えた構成とされた偏光膜貼付装置1を利用して個々の液晶表示パネル1に偏光膜を貼付する本実施形態の液晶表示パネル1の製造方法について説明する。
【0049】
まず、前記搬送装置30のメインスイッチをONとして搬送ローラ32を所定の回転速度で回転させ、その上面に液晶表示パネル1を1枚ずつ載置する。
【0050】
搬送装置30に載置された液晶表示パネル1は、前記ガラス屑誘発装置21の配置位置へ搬送される。
【0051】
その際、前記感知センサが液晶表示パネル1の先端部を検出すると、ローラ状とされた前記ガラス屑誘発部材22は、前記液晶表示パネル1の搬送速度と同調して回転を開始するとともに、前記接離機構の駆動によって、液晶表示パネル1に対する近接を開始する。また、前記バキューム装置28およびエアブロー装置25もそれぞれの駆動を開始する。
【0052】
そして、前記ガラス屑誘発部材22は、搬送される液晶表示パネル1の側方において、前記切り溝23内に液晶表示パネル1のエッジ部を当接させつつ、前記搬送ローラ32の回転と同調して回転する。なお、前記ガラス屑誘発部材22の回転は、前記液晶表示パネル1との接触による従動としてもよい。
【0053】
このとき、液晶表示パネル1のエッジ部にガラス屑誘発部材22が当接することにより、ガラス屑Gが誘発される。そして、前記液晶表示パネル1の下面側におけるエッジ部に発生したガラス屑Gは、その自重により前記ガラス屑受け内27に回収される。また、前記ガラス屑誘発部材22に付着した状態のガラス屑Gは、エアブロー装置25の駆動によってブローされ、前記ガラス屑誘発部材22の表面から除去され、前記ガラス屑受け27内に回収される。また、ガラス屑誘発部材22であるローラに断面V字状の切り溝23を形成したことで、液晶表示パネル1の厚さが異なっても、液晶表示パネル1のエッジ部に確実に当接させることができる。さらに、断面V字状の切り溝23により、液晶表示パネル1の表側のエッジ部と裏側のエッジ部とを同時に当接させることができ、工程の簡略化が図れる。
【0054】
また、前記液晶表示パネル1が搬送されると、前記バキューム装置28は前記吸引口から液晶表示パネル1の偏光膜の貼付面に乗り上げたガラス屑Gを吸引し、除去する。このように、ガラス屑Gを吸引して除去する構成とすることにより、液晶表示パネル1のガラス基板をガラス屑Gが傷つける可能性が低くなり、生産性を向上させることができる。
【0055】
そして、ガラス屑Gを強制的に発生させ、除去する一連の基板処理が終わった状態の液晶表示パネル1は、前記第1貼り付け作業位置へ搬送され、従来と同様にして偏光膜の貼付がなされる。
【0056】
すなわち、前記第1貼り付け作業位置において、前記第1センサが液晶表示パネル1の先端部を検出すると、第2の清掃装置としての前記清掃ローラ42が下降して、搬送される液晶表示パネル1の上面に粘着シートを面接触させる。そして、液晶表示パネル1の搬送に従動回転することにより、偏光膜の貼付面である上面に付着する塵埃等を粘着シートに粘着させ、前記上面を清掃する。
【0057】
その後、粘着シートによって塵埃等が除去された状態で搬送される液晶表示パネル1の先端部を前記第2センサが検出すると、前記ストッパ35が上昇動作を開始し、最上位において搬送経路内に先端部を位置させて停止する。
【0058】
また、さらに前記液晶表示パネル1が搬送されると、前記液晶表示パネル1はその先端部を前記ストッパ35に当接させる。このとき、前記第3センサS3が前記液晶表示パネル1の先端部を検出すると、前記搬送装置30の搬送ローラ32は回転駆動を停止し、前記ストッパ35は下降を開始する。また、本実施形態においては、前記ガラス屑誘発部材22も回転駆動を停止して液晶表示パネル1の搬送経路からの離間動作を開始し、バキューム装置28およびエアブロー装置25も駆動を停止する。それとともに、前記ガイド部材39が、上昇した後、搬送された液晶表示パネル1に近接する一連の動作を開始し、液晶表示パネル1の側部に両側方から当接して、液晶表示パネル1を所定の位置にアライメントさせる。
【0059】
また、前記第3センサが前記液晶表示パネル1の先端部を検出すると、前記清掃ローラ42も上昇する。
【0060】
この状態で、前記貼付ヘッド装置37の駆動を開始させて、第1貼付け作業位置にアライメントされた液晶表示パネル1の上面に、前記偏光膜吸着プレートに吸着されている偏光膜を貼付する。
【0061】
そして、前記貼付ヘッド装置37による偏光膜の貼付が完了したら、前記ガイド部材39の離間と、下降の一連の動作を開始するとともに、前記搬送ローラ32の回転駆動を再開させる。
【0062】
そして、搬送経路における下流側となる前記表裏転換位置へ液晶表示パネル1を搬送して前記液晶表示パネル1の表裏面を返し、再び、搬送装置30の搬送ローラ32の上面に液晶表示パネル1を1枚ずつ載置して、第2貼付け作業位置へ搬送し、液晶表示パネル1の他の面にも、第1貼付け作業位置における作業と同様に偏光膜を貼付して、液晶表示パネル1を完成させる。
【0063】
このように、前記分断工程において分断された面のエッジ部にガラス屑誘発部材22を当接させてガラス屑Gを強制的に発生させた後に、前記液晶表示パネル1の偏光膜を貼付する面を清掃し、偏光膜を貼付する手順とすることにより、ガラス屑Gを原因とする問題の発生を低減させて、液晶表示パネル1の生産性および作業性を向上させることができる。
【0064】
また、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0065】
例えば、前述の実施形態においては、液晶表示パネルの偏光膜の貼付面を清掃する清掃装置として、バキューム装置と清掃ローラの双方を備えた場合を説明したが、いずれか一方の清掃装置のみを備えた構成とすることも可能である。
【0066】
また、各装置の駆動制御(シーケンス制御)は前述の契機による制御に限らず、円滑な搬送、基板処理および偏光膜貼付が行える駆動制御であればよい。
【0067】
さらに、表示パネルとしては、有機EL表示パネルやプラズマ表示パネルであってもよい。有機EL表示パネルにおいては貼付するフィルムは反射防止のためのλ/4板などがある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の表示パネルの製造方法に用いる偏光膜貼付装置の一実施形態における各装置の配置関係を示す模式的平面図
【図2】図1の偏光膜貼付装置におけるガラス屑誘発装置の配置関係を示す模式的平面図
【図3】図2のIII−III断面図
【図4】従来の偏光膜貼付装置の一例における各装置の配置関係を示す模式的平面図
【図5】図4の偏光膜貼付装置における各装置の配置関係(一部については動作方向)を示す模式的平面図
【図6】図5のVI−VI断面図(一部については動作方向)
【図7】図5のVII−VII断面図(一部については動作方向)
【符号の説明】
【0069】
1 液晶表示パネル
11 偏光膜貼付装置
21 ガラス屑誘発装置
22 ガラス屑誘発部材
23 切り溝
25 エアブロー装置
26 吹き出し口
27 ガラス屑受け
28 バキューム装置
30 搬送装置
31 支持壁
32 搬送ローラ
35 ストッパ
37 貼付ヘッド装置
39 ガイド部材
42 清掃ローラ
S センサ
S0 感知センサ
S1 第1センサ
S2 第2センサ
S3 第3センサ
G ガラス屑

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を有する表示パネルの分断工程において分断された表示パネルにフィルムを貼付するフィルム貼付工程において、前記表示パネルのフィルムを貼付する面を清掃する前に、前記分断工程において分断された面のエッジ部にガラス屑誘発部材を当接させて基板処理を行なうことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項2】
分断された表示パネルを1枚ずつ搬送可能とされた搬送装置による前記表示パネルの搬送経路上に、上流側から順に、搬送される表示パネルのエッジ部に当接可能とされたガラス屑誘発部材を有するガラス屑誘発装置と、前記表示パネルの偏光膜を貼付する表面を清掃する清掃装置と、前記表示パネルにフィルムを貼付する貼付ヘッド装置とを配設したことを特徴とするフィルム貼付装置。
【請求項3】
前記ガラス屑誘発部材は、搬送される前記表示パネルのエッジ部に当接した状態で回転可能とされたローラである請求項2に記載のフィルム貼付装置。
【請求項4】
前記ローラの外周面には、前記液晶表示パネルのエッジ部を当接させるための断面V字状とされた切り溝が周方向に形成されている請求項3に記載のフィルム貼付装置。
【請求項5】
前記搬送経路におけるガラス屑誘発部材の下流側に、搬送される表示パネルの表面を吸引清掃するバキューム装置を備える請求項2乃至4のいずれか1項に記載のフィルム貼付装置。
【請求項6】
前記ガラス屑誘発装置は、前記ローラの外周面をブロー清掃するエアブロー装置を備える請求項3乃至5のいずれか1項に記載のフィルム貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−272103(P2007−272103A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100199(P2006−100199)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】