説明

表示パネルの輝度測定装置および輝度測定方法並びに表示装置

【課題】各表示素子と各画素との位置合わせを高精度で行うことなく、表示パネルの輝度分布データを簡易に取得できるようにする。
【解決手段】輝度測定装置は複数の表示素子が二次元格子状に配置された表示パネルの輝度を測定する。輝度測定装置は表示パネルの光学画像に応じた撮像信号を出力する撮像手段と、撮像手段から出力される撮像信号を用いて光学画像に応じた画像データを生成する画像データ生成手段と、画像データ生成手段により生成される画像データを用いて、表示パネルを構成する表示素子のうち同じタイミングに点灯する表示素子の個数と撮像手段の解像度とに応じて定められる測定領域内の輝度値を測定領域ごとに累積する累積手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)表示パネル、液晶表示パネル、SED(Surface-conductionElectron-emitter Display)等の表示パネルの輝度を測定する輝度測定装置および輝度測定方法並びに表示パネルを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL表示パネル、液晶表示パネル,SEDといった表示パネルを備えた表示装置が知られている。この種の表示装置は、表示パネルに輝度ムラ等による表示のムラが生じやすいため、従来、表示装置に関するムラを検出する技術が知られていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、ムラ欠陥検出方法が開示されている。この方法では、対象となる画素の周囲に配置された輝度比較画素の輝度値に基づきムラ成分を強調するフィルタを用いてムラ成分を強調することにより、面状に広がるムラを検出するようにしている。
【特許文献1】特開2006−145228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL表示パネル等の表示パネルを構成する表示素子は、それぞれの発光効率にばらつきがあるなどの理由から、表示パネルは全体として輝度ムラが生じる。
【0005】
しかしながら、表示素子同士の輝度ムラを抑えて、表示パネルを製造することは困難である。
【0006】
この点、各表示素子の輝度レベルに応じて表示信号のレベルを調整することにより、表示パネルで均一の輝度を実現することも可能である。そのためには、表示素子の輝度が表示パネル上、どのように分布しているかを示した輝度分布のデータが必要となる。輝度分布データは表示素子自体から取得することはできないため、各表示素子を発光させて表示パネルの発光状態を調査する必要がある。
【0007】
そのひとつの方法として、表示素子を発光させた上で、表示パネルをカメラで撮影するという方法がある。この方法によれば、カメラで撮影した画像から各画素のデータを得ることで輝度分布データを得ることができる。
【0008】
しかし、この方法では、発光している表示素子がカメラの撮影画像中のどこに対応するかを明らかにする必要があり、そのためには、表示パネルの各表示素子の位置とカメラの各画素の位置とが一致している必要がある。したがって、各表示素子とカメラの各画素との位置合わせを高精度で行わねばならない。表示パネルを効率的に生産するためには、この位置合わせを高精度で行うことなく、輝度分布データを簡易に取得できる技術が求められる。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、各表示素子と各画素との位置合わせを高精度で行うことなく、表示パネルの輝度分布データを簡易に取得できるようにした輝度測定装置および輝度測定方法並びに表示パネルを備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の表示素子が二次元格子状に配置された表示パネルの輝度を測定する輝度測定装置であって、表示パネルの光学画像に応じた撮像信号を出力する撮像手段と、撮像手段から出力される撮像信号を用いて光学画像に応じた画像データを生成する画像データ生成手段と、画像データ生成手段により生成される画像データを用いて、表示パネルを構成する表示素子のうち同じタイミングに点灯する表示素子の個数と撮像手段の解像度とに応じて定められる測定領域内の輝度値を測定領域ごとに累積する累積手段とを有する輝度測定装置を特徴とする。
【0011】
また、本発明は、複数の表示素子が二次元格子状に配置された表示パネルの輝度を測定する輝度測定方法であって、表示パネルの光学画像に応じた撮像信号を用いて光学画像に応じた画像データを生成し、画像データを用いて、表示パネルを構成する表示素子のうち同じタイミングに点灯する表示素子の個数と撮像信号を出力する撮像手段の解像度とに応じて定められる測定領域内の輝度値を測定領域ごとに累積する輝度測定方法を提供する。
【0012】
また、本発明は複数の表示素子が二次元格子状に配置された表示パネルと、複数の表示素子の一部の表示素子が二次元格子状に配置され、かつ配置されている表示素子の個数が縦横それぞれについて同じ複数の点灯ブロックすべてについて、各点灯ブロック内に配置される複数の表示素子のうち、点灯ブロック内での位置が同じ表示素子を1つだけ同じタイミングに点灯させる点灯制御手段とを有する表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
以上詳述したように、本発明によれば、各表示素子と各画素との位置合わせを高精度で行うことなく、表示パネルの輝度分布データを簡易に取得できるようにした輝度測定装置および輝度測定方法並びに表示パネルを備えた表示装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る輝度測定装置1を備えた輝度測定システム100の構成を示すブロック図である。輝度測定システム100は、輝度測定装置1と、表示装置30とを有し、両者が通信ケーブル10で接続された構成を有している。輝度測定装置1は動画を撮影するビデオカメラの構成を有し、表示装置30は有機ELの表示パネル31を有している。
【0016】
この輝度測定システム100では、図2に示すように、輝度測定装置1と表示装置30とが配置され、輝度測定装置1により、表示パネル31を含む撮影領域Rを撮影するようになっている。また、輝度測定装置1は位置が固定されているが、表示装置30はベルトコンベアー等の移動装置60に乗って位置が移動する。表示装置30が方向Sに沿って移動し、撮影基準点Aに到達した時点で移動装置60が停止し、その際、輝度測定装置1が撮影領域Rを撮影する。撮影終了後は移動装置60が移動し、別の表示装置30が撮影基準点Aに到達した時点で移動装置60が停止して撮影が行われる。
【0017】
そして、輝度測定装置1はレンズ2と、CCD(Charge Coupled Devices)3と、A/Dコンバータ4と、信号処理部5を有している。また、輝度測定装置1はコントローラ6と、データ記憶部7と、通信処理部8とを有している。
【0018】
輝度測定装置1では、レンズ2が被写体(本実施の形態では主に表示パネル31)の光学画像をCCD3(本実施の形態では解像度720×480としているが、その他の解像度でもよい)に結像する。CCD3が光学画像に応じたアナログの撮像信号を出力し、その撮像信号をA/Dコンバータ4がデジタル信号に変換する。また、信号処理部5がデジタル信号に画像処理を施して動画像データを生成する。生成された動画像データはコントローラ6の指示によりデータ記憶部7に記憶される。
【0019】
そして、輝度測定装置1では、コントローラ6が後述する輝度値測定処理を行うことにより、動画像データを用いて輝度値データを生成し、生成した輝度値データをデータ記憶部7に記憶させる。また、コントローラ6は通信処理部8に指示して、後述する点灯制御信号を通信ケーブル10を介して表示装置30に送信させている。
【0020】
ここで、コントローラ6はCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)を有し、CPUがROMに記憶されているプログラムにしたがいRAMに対するデータの読み書きを行いながら作動して輝度測定装置1の全体を制御するとともに、後述する輝度値測定処理を行い輝度値データを生成する。データ記憶部7はHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリなどで構成され、動画像データおよび輝度値データを記録する。通信処理部8はコントローラ6の指示にしたがい作動して表示装置30との間でデータ送受信を行う。
【0021】
表示装置30は、表示パネル31と、コントローラ32と、データ記憶部33および通信処理部34を有している。表示パネル31は、有機ELを用いた図3に示すように2次元格子状に配置された多数の表示素子eを有している。図3に示す表示パネル31は、横(水平)方向に1920個、縦(垂直)方向に1080個の表示素子eを有し、これらの表示素子eにより、解像度1920×1080の画像を表示する。
【0022】
これらの表示素子eは、図3に示すように、横16個および縦8個を1つの点灯ブロックMとし、点灯ブロックMごとに表示素子eの点灯が制御される。
【0023】
図3に示すように、表示パネル31は解像度が1920×1080なので、横方向に120個(1920/16=120)の点灯ブロックM(M1〜M120)が配置され、縦方向には135個(1080/8=135)の点灯ブロックが配置され、合計で16200個の点灯ブロックMが配置されている。なお、図3に示すW1,W2・・・W120は横幅を示し、いずれも表示素子16個分に相当している。また、H1,H2・・・H135は縦幅を示し、いずれも表示素子8個分に相当している。図3では、図示の都合上、点灯ブロックMの境界を一部太線で表示している。
【0024】
そして、表示パネル31は、輝度測定装置1から入力する点灯制御信号にしたがい点灯する。点灯制御信号は、点灯させる表示素子eの表示パネル31内での位置を示す座標データを有している。この座標データは、すべての点灯ブロックMについて、点灯ブロックMごと、点灯ブロックM内の位置が同じ表示素子eを1つずつ指定する形で生成されている。そして、座標データは、すべての点灯ブロックMについて、点灯させる表示素子eを点灯パターンにしたがい順次切り換えるようにして生成されている。
【0025】
点灯パターンとは、各点灯ブロックM内の複数の表示素子eをどのように点灯させるかを意味している。例えば、最初に最上ラインの左上の表示素子eを点灯させ、次にその1つ横の表示素子eを点灯させ、その次はその右隣の表示素子eを点灯させ、といった内容を点灯パターンという。点灯パターンはこのほかにもあるが、すべての点灯ブロックMについて同じ内容になっている必要がある。
【0026】
この座標データの生成は輝度測定装置1のコントローラ6により行われているが、表示装置30のコントローラ32が行ってもよい。座標データを生成するとともに、表示素子eを点灯させるための点灯制御信号を、座標データを用いて生成することにより、コントローラ6、コントローラ32は点灯制御手段としての機能を備えることになる。
【0027】
そうすると、例えば、ある点灯タイミング(第1の点灯タイミング)では、点灯ブロックM1の表示素子e1−1と、点灯ブロックM2の表示素子e2−1と、・・・点灯ブロックM120の表示素子e120−1・・・が同じタイミングに点灯する。他の点灯ブロックMについても最上ラインの左上の表示素子eが点灯する。また、次の点灯タイミング(第2の点灯タイミング)では、点灯ブロックM1では表示素子e1−2、点灯ブロックM2の表示素子e2−2といった右隣の表示素子eが点灯する。他の点灯ブロックMについても同様である。なお、図3では、第1の点灯タイミングで点灯する表示素子に斜線を施している。
【0028】
コントローラ32は、CPU,ROM,RAMを有し、CPUがROMに記憶されているプログラムにしたがいRAMに対するデータの読み書きを行いながら作動して表示装置30の全体を制御する。データ記憶部33はHDDやフラッシュメモリなどで構成され、画像表示に必要なデータを記録する。通信処理部34はコントローラ32の指示にしたがい作動して通信処理部8との間でデータの送受信を行う。
【0029】
次に、以上の構成を有する輝度測定システム100における輝度値測定処理について説明する。輝度値測定処理は図7に示すフローチャートに沿ってコントローラ6が制御している。
【0030】
コントローラ6は輝度値測定処理を開始すると、S1に動作を進め、撮影を開始する。次に、コントローラ6はS2に動作を進め、通信処理部8に指示して点灯制御信号を表示装置30宛てに送信させる。すると、この点灯制御信号を表示装置30の通信処理部34が受信してコントローラ32に出力する。コントローラ32は点灯制御信号に含まれる座標データに対応する表示素子を前述の要領で点灯させる。
【0031】
そして、コントローラ6はS3に動作を進め、動画像データを生成する。この場合、表示パネル31の光学画像をレンズ2が取り込みCCD3に結像する。CCD3はその光学画像に応じた撮像信号を出力し、この撮像信号をA/Dコンバータ4がデジタル信号に変換し、信号処理部5がデジタル信号に画像処理を施して動画像データを生成する。
【0032】
なお、輝度測定システム100では、動画像データの生成周期(撮影周期)と、表示パネル31における表示素子eの点灯周期とを一致させ、輝度測定装置1が表示素子eの1回の点灯につき1フレームの動画像データを生成すればよい。輝度値データの精度を上げるためには、表示素子eの1回の点灯につき、輝度測定装置1が複数フレームの動画像データを生成することが好ましい。
【0033】
次に、コントローラ6はS4に動作を進め、座標データが表示素子eの最終点灯位置に相当するか否かを判定し、座標データが最終点灯位置に相当するときはS6に動作を進め、そうでなければS5を実行したのち、S2に戻る。コントローラ6はS5に動作を進めると、点灯パターンに応じて座標データを更新して表示素子eの点灯位置を切り換える。
【0034】
そして、S6では、コントローラ6が輝度値データ生成手段としての動作を行い、後述の手順で輝度値データを生成し、生成した輝度値データを後続のS7でデータ記憶部7に記憶させて(セーブして)からS8に動作を進める。コントローラ6はS8で撮影を終了すると輝度値測定処理が終了する。
【0035】
ここで、コントローラ6が輝度値データを生成するときの手順について図4,5,6を参照して説明する。図4は撮影された動画像データを用いて表示される動画像Iの1フレームの画像を示す図、図5は図4における測定領域P1を示す図、図6は測定領域P1を通るライン上の輝度値を模式的に示す図である。
【0036】
前述のとおり、表示装置30では、点灯ブロックMごとに同じ位置の表示素子eが点灯しているので、撮影される動画像Iは図4に示すように、表示素子eの点灯部分を示す円形画像Cが一定間隔で2次元格子状に配置された画像になる。
【0037】
表示素子eの点灯によって放出される光は輝度測定装置1に到達した時点である程度の広がりをもっている。しかしながら、前述のとおり、表示素子eは点灯ブロックMごとに1つずつしか点灯せず、飛び飛びの状態で点灯する。この点灯ブロックMをある程度の大きさで決めておけば、点灯した表示素子eの光が隣の表示素子eの点灯による光に混じることの影響を解消できると考えられる。その場合、個々の円形画像Cは1つの表示素子eの点灯によるものと考えられる。しかも、点灯する表示素子e同士の間隔は、横方向、縦方向とも一定の値に設定されているから、各円形画像Cがどの点灯ブロックMに対応しているかを割り出すことが可能である。表示素子eの点灯パターンも、すべての点灯ブロックMについて同じ内容に決められているから、対応する点灯ブロックMを割り出せば、点灯している表示素子eを特定することもできる。
【0038】
そこで、輝度測定装置1は次の要領で輝度値データを生成する。まず、動画像Iに含まれる円形画像Cを検出するため、コントローラ6が検出手段としての動作を行い、周囲の領域よりも輝度値が高い領域(高輝度領域)を検出する。検出される高輝度領域は円形画像Cに対応し、点灯ブロックMの個数分だけ検出される。
【0039】
次に、各高輝度領域から最も輝度値の高い部分を検出する。これを最高輝度位置C0とする。そして、コントローラ6が測定領域決定手段としての動作を行い、最高輝度位置C0を中心として次の大きさの領域を求め、その求めた領域を測定領域P1として決定する。
【0040】
ここで、測定領域P1は表示素子eの輝度値測定のための輝度値の累積が行われる領域であって、点灯ブロックMの個数(すなわち、同じタイミングに点灯する表示素子数)と、CCD3の解像度とに応じて求められる。
【0041】
前述のとおり、点灯ブロックMの個数は横に120個、縦に135個であるが、CCD3の解像度は横720×縦480である。したがって、横方向では、1つの点灯ブロックMに対してCCD3を6個割り当てることができ(720/120=6)、縦方向では、1つの点灯ブロックMに対してCCD3を3.5個割り当てることができる(480/135≒3.5)。そうすると、各表示素子eの発光をCCD3が横×縦で6×3.5個のごとに検出する、と考えることができる。そこで、本実施の形態では、図5に示すように、測定領域P1の横幅t1は6画素、縦幅t2は3.5画素に設定している。
【0042】
次に、コントローラ6が累積手段としての動作を行い、測定領域P1ごと測定領域P1内に含まれる画素の輝度値をすべて累積する。測定領域P1内を通るライン上の画素の輝度値Lを図示すると、図6に示すようになるので、この輝度値Lを測定領域P1内に含まれる画素すべてについて累積する。この累積で得られる累積輝度値が個々の表示素子eの発光により得られる輝度に相当する。コントローラ6は、以上の手順を動画像Iに現われるすべての測定領域P1について行って、それぞれの測定領域P1すべてについて累積輝度値を求め、さらに求めた累積輝度値を用いて輝度値データを生成する。この場合、コントローラ6は輝度値データ生成手段としての動作を行い、各累積輝度値を対応する表示素子eの位置データと関連付けて輝度値データを生成する。
【0043】
そして、コントローラ6は、輝度値データの生成手順を点灯タイミングごとに行えば、すべての表示素子eの発光により得られる輝度を示す輝度値データが得られることになる。
【0044】
各点灯ブロックMには128個(16×8=128)の表示素子eが存在するので、動画像データの生成および輝度値データの生成を128回行えば、すべての表示素子eの輝度値データが得られる。これには、輝度測定装置1の撮影周期が30f/sの場合、1フレームあたり1回の点灯を行うとして、128/30≒4.3秒程度要する。
【0045】
以上の実施形態では、輝度測定装置1から点灯制御信号を出力しており、その点灯制御信号に点灯させる表示素子の位置示す座標データを含めていたが、点灯制御信号は座標データを含めることなく送信してもよい。この場合、点灯制御信号は表示素子eの点灯タイミングを表示装置30に通知する意味を有する信号となる。座標データはコントローラ32によって更新すればよい。
【0046】
また、輝度測定装置1から点灯制御信号を出力せず、表示装置30がコントローラ32の制御にしたがい各表示素子eを点灯させるとともに、表示素子eの点灯タイミングを示すタイミング信号を輝度測定装置1に送信してもよい。
【0047】
この場合、輝度測定装置1では、図9に示すフローチャートに沿って輝度値測定処理を行う。このフローチャートでは、コントローラ6がS2の代わりにS9を実行する。そのS9では、コントローラ6がタイミング信号入力手段としての動作を行い表示装置30から送信されるタイミング信号を入力するまでコントローラ6が処理を待機し、タイミング信号を入力するとS3に動作を進める。S3では、コントローラ6が図7と同様に処理を実行する。その後、コントローラ6がS10に動作を進め、最終のタイミング信号を受信したか否かを判定し、最終タイミング信号を受信したときはS6、S7、S8を図7の場合と同様に実行し、そうでなければS9に戻る。このようにしても、前述の同様の輝度値データが得られる。
【0048】
さらに、輝度測定装置1のコントローラ6が表示装置30の点灯を検出したタイミングで動画像データの生成および輝度値データの生成を行うようにしてもよい。また、輝度測定装置1と表示装置30とが通信ケーブル10で接続されているが、双方が無線で通信を行うようにしてもよい。
【0049】
輝度測定装置1と表示装置30との位置関係は、CCD3の画素および表示素子e単位にみると必ずしも明確でなく、あいまいなこともあるが、前述のようにして、表示素子eの点灯状態を輝度測定装置1により撮影し、その撮影で得られる動画像データを用いて測定領域P1内の輝度値を累積すれば、各点灯ブロックMの表示素子eの輝度を示すデータが得られる。また、得られた累積輝度値は、対応する表示素子eの位置データと関連付けることも可能である。したがって、輝度測定システム100では、輝度測定装置1と表示装置30との位置合わせを高精度で行わなくても、輝度分布データを簡易に取得することができる。
【0050】
また、表示パネル31と解像度の異なる表示パネルについても、同じ輝度測定システム100を用いて輝度値データを取得することができる。本実施の形態は、有機EL表示パネル以外の例えば液晶表示パネルやSEDといった表示パネルについても適用することができる。
【0051】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係る輝度測定装置を備えた輝度測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】輝度測定装置と表示装置との位置関係を模式的に示した図である。
【図3】表示パネルを構成する表示素子の配置を示す図である。
【図4】撮影された動画像の1フレームを示す図である。
【図5】図4における測定領域を示す図である。
【図6】測定領域を通るライン上の輝度値を示す図である。
【図7】輝度値測定処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図8】別の輝度値測定処理の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1…輝度測定装置、2…レンズ、3…CCD、6,32…コントローラ、30…表示装置、31…表示パネル、100…輝度測定システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示素子が二次元格子状に配置された表示パネルの輝度を測定する輝度測定装置であって、
前記表示パネルの光学画像に応じた撮像信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される前記撮像信号を用いて前記光学画像に応じた画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記画像データ生成手段により生成される前記画像データを用いて、前記表示パネルを構成する前記表示素子のうち同じタイミングに点灯する表示素子の個数と前記撮像手段の解像度とに応じて定められる測定領域内の輝度値を前記測定領域ごとに累積する累積手段とを有する輝度測定装置。
【請求項2】
前記累積手段により累積された累積輝度値を用いて、前記複数の表示素子それぞれの輝度を示す輝度値データを生成する輝度値データ生成手段を更に有する請求項1記載の輝度測定装置。
【請求項3】
前記画像データを用いて他の領域よりも輝度値の高い高輝度領域を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記高輝度領域内で前記輝度値の最も高い最高輝度値を示す最高輝度位置を中心として前記測定領域を決める測定領域決定手段とを更に有し、
前記累積手段は、前記測定領域決定手段により決定された前記測定領域内の輝度値を累積する請求項1または2記載の輝度測定装置。
【請求項4】
前記表示素子の点灯するタイミングを示すタイミング信号を入力するタイミング信号入力手段と、
前記タイミング信号入力手段が前記タイミング信号を入力したときに、前記画像データ生成手段、前記累積手段および前記輝度値データ生成手段を作動させて前記輝度値データを生成させる撮影制御手段とを更に有する請求項1〜3のいずれか一項記載の輝度測定装置。
【請求項5】
前記複数の表示素子の一部の表示素子が二次元格子状に配置され、かつ配置されている表示素子の個数が縦横それぞれについて同じ複数の点灯ブロックすべてについて、各点灯ブロック内に配置される前記複数の表示素子のうち、前記点灯ブロック内での位置が同じ表示素子を1つだけ同じタイミングに点灯させる点灯制御信号を前記表示パネルに出力する点灯制御手段を更に有する請求項1〜4のいずれか一項記載の輝度測定装置。
【請求項6】
複数の表示素子が二次元格子状に配置された表示パネルの輝度を測定する輝度測定方法であって、
前記表示パネルの光学画像に応じた撮像信号を用いて前記光学画像に応じた画像データを生成し、
前記画像データを用いて、前記表示パネルを構成する前記表示素子のうち同じタイミングに点灯する表示素子の個数と前記撮像信号を出力する撮像手段の解像度とに応じて定められる測定領域内の輝度値を前記測定領域ごとに累積する輝度測定方法。
【請求項7】
複数の表示素子が二次元格子状に配置された表示パネルと、
前記複数の表示素子の一部の表示素子が二次元格子状に配置され、かつ配置されている表示素子の個数が縦横それぞれについて同じ複数の点灯ブロックすべてについて、各点灯ブロック内に配置される前記複数の表示素子のうち、前記点灯ブロック内での位置が同じ表示素子を1つだけ同じタイミングに点灯させる点灯制御手段とを有する表示装置。
【請求項8】
前記点灯制御手段が前記表示素子を点灯させるタイミングを示すタイミング信号を外部に出力するタイミング信号出力手段を更に有する請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
前記点灯制御手段は、前記複数の点灯ブロックすべてについて、点灯させる前記表示素子を順次切り換える請求項7または8記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−156704(P2009−156704A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335002(P2007−335002)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】