説明

表示パネルの駆動方法

【課題】人間の視覚特性に追従させた高品質な画像を表示することが可能な表示パネルの駆動方法を提供することを目的とする。
【解決手段】入力映像信号に応じた画像を表示する表示パネルと視聴者との間の視聴距離を測定し、かかる視聴距離に応じて、入力映像信号に基づく各画素毎の輝度レベルを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力映像信号に対応した画像を表示する表示パネルの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、薄型平面の表示パネルとしてプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)、あるいはエレクトロルミネセントディスプレイパネル(以下、ELDPと称する)を搭載した表示装置が知られている。これらPDP及びELDPにおいて各画素を担う発光素子は「点灯」及び「消灯」の2状態しかもたない。そこで、入力された映像信号に対応した中間調の輝度を得るべく、サブフィールド法を用いてPDP及びELDPの如き表示パネルを階調駆動するようにしている。
【0003】
サブフィールド法では、入力された映像信号における1フィールド表示期間を、夫々に輝度重みに対応した発光回数が割り当ててある複数のサブフィールドに分割する。ここで、表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて各サブフィールド毎に「点灯」及び「消灯」状態の内の一方の状態に設定し、各サブフィールド毎に「点灯」状態にある画素をそのサブフィールドに割り当てられている発光回数だけ発光させる。かかる駆動方法によれば、1フィールド表示期間内の各サブフィールドで実行された発光回数の合計により入力映像信号に対応した中間調の輝度が表現される。
【0004】
更に、近年、入力映像信号に基づき1画面毎に、各輝度毎の頻度を示す輝度頻度データを生成し、かかる輝度頻度データに基づいて全ての輝度領域を対象として、その頻度に応じてサブフィールドの数を調整するようにした駆動方法が提案された(例えば特許文献1参照)。かかる駆動方法により、頻度が大なる輝度を含む輝度区分領域ほどその輝度区分領域に割り当てるべきサブフィールドの数を多くすれば、入力映像信号に基づく画像の明るさに追従した良好な階調表現(滑らかな輝度変化)が為されるようになる。
【0005】
しかしながら、このような駆動方法を採用して画像表示を行っても、高品質な画像が視覚されない場合があった。
【特許文献1】特開2004−240103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、視覚上において高品質な表示画像を提供することが可能な表示パネルの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載による表示パネルの駆動方法は、表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、前記入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を表す輝度頻度データを生成し、前記輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成し、前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定し、前記視聴距離に応じて前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度を補正することにより補正累積輝度頻度データを生成し、前記補正累積輝度頻度データに基づいて、前記入力映像信号における各画素毎の輝度レベルを調整する。
【0008】
又、請求項4記載による表示パネルの駆動方法は、表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、前記入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を表す輝度頻度データを生成し、前記輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成し、前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定し、前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で最大の累積頻度よりも小であり且つ前記最大の累積頻度の90パーセント以上の値を有する所定の第1累積頻度に対応した輝度レベルを実質ピーク輝度レベルとして検出し、前記実質ピーク輝度レベル及び前記視聴距離に基づいて補正係数を算出し、前記補正係数に基づいて、前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整する。
【0009】
又、請求項7記載による表示パネルの駆動方法は、表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、前記入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を表す輝度頻度データを生成し、前記輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成し、前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定し、前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で最低の累積頻度よりも大であり且つ最大の累積頻度の10パーセント以下の値を有する所定の第1累積頻度に対応した輝度レベルを実質ボトム輝度レベルとして検出し、前記実質ボトム輝度レベル及び前記視聴距離に基づいて補正係数を算出し、前記補正係数に基づいて、前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整する。
【0010】
又、請求項10記載による表示パネルの駆動方法は、表示パネルの表示ライン各々に配置されている各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、前記入力映像信号に基づいて前記画素各々による発光時の負荷量を前記表示ライン毎に算出し、前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定し、前記表示ライン毎の前記負荷量及び前記視聴距離に基づいて補正係数を算出し、前記補正係数に基づいて、前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整する。
【0011】
又、請求項12記載による表示パネルの駆動方法は、表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、前記入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を表す輝度頻度データを生成し、前記輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成し、前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定すると共に前記表示パネルが設置されている空間の明るさを環境照度として検出し、前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で最大の累積頻度よりも小であり且つ前記最大の累積頻度の90パーセント以上の値を有する所定の第1累積頻度に対応した輝度レベルを実質ピーク輝度レベルとして検出し、前記入力映像信号によって示される画像1フレーム分毎の平均輝度に基づき前記表示パネルの表示画面から視覚される画面視覚輝度を求め、前記視聴距離に基づく混合比にて前記環境照度及び前記画面視覚輝度を混合することにより視聴環境下において視覚される順応輝度を求め、前記実質ピーク輝度レベルと前記順応輝度に基づいて補正係数を算出し、前記補正係数に基づいて、前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
入力映像信号に応じた画像を表示する表示パネルと視聴者との間の視聴距離を測定し、かかる視聴距離に基づき、この視聴環境下において視覚上最良となる表示画像が提供されるように、入力映像信号に基づく各画素毎の輝度レベルを補正する。ここで、かかる輝度レベル補正を実施するにあたり、本発明の第1の特徴による表示パネルの駆動方法では、先ず、入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成する。更に、この累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の累積頻度を上記視聴距離に応じて補正することにより補正累積輝度頻度データを生成する。そして、この補正累積輝度頻度データに基づいて、入力映像信号における各画素毎の輝度レベルを調整する。
【0013】
又、本発明の第2の特徴による表示パネルの駆動方法では、先ず、上記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で最大の累積頻度よりも僅かに小さい所定の累積頻度に対応した輝度レベルを実質ピーク輝度レベルとして検出する。そして、この実質ピーク輝度レベル及び視聴距離に基づいて、入力映像信号によって表される画素毎の輝度レベルを調整する。
【0014】
又、本発明の第3の特徴による表示パネルの駆動方法では、先ず、上記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で最低の累積頻度よりも僅かに大きい所定の累積頻度に対応した輝度レベルを実質ボトム輝度レベルとして検出する。そして、この実質ボトム輝度レベル及び視聴距離に基づいて、入力映像信号によって表される画素毎の輝度レベルを調整する。
【0015】
上述した如き、本発明の第1〜第3の特徴による表示パネル駆動方法に従った輝度レベル調整により、視聴距離が大なるほどコントラストの強調度合いを高めるべき補正を入力映像信号に対して施すのである。これにより、視聴距離が遠くなるほどコントラスト感に敏感になる一方、視聴距離が近い場合には、コントラスト感よりも輝度階調の表現能力に敏感になるという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像を提供することが可能となる。
【0016】
又、本発明の第4の特徴による表示パネルの駆動方法は、先ず、入力映像信号に基づいて画素各々による発光時の負荷量を表示ライン毎に算出する。そして、この表示ライン毎の負荷量及び視聴距離に基づいて、入力映像信号によって表される画素毎の輝度レベルを調整する。よって、かかる輝度レベル調整によれば、視聴距離が近い場合は表示画像が比較的明るく見えるので画面均一性の不足が目立つ一方、視聴距離が遠い場合は表示が暗く感じられてしまうという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像を提供することが可能となる。
【0017】
又、本発明の第5の特徴による表示パネルの駆動方法は、先ず、上述した如き視聴距離と共に、表示パネルが設置されている空間の明るさを環境照度として検出する。次に、入力映像信号によって示される画像1フレーム分毎の平均輝度に基づき表示パネルの表示画面から視覚される画面視覚輝度を求める。そして、視聴距離に基づく混合比にてこれら環境照度及び画面視覚輝度を混合することにより視聴環境下において視覚される順応輝度を求め、この順応輝度と上記実質ピーク輝度レベルとに基づいて、入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整する。かかる輝度レベル調整によれば、順応輝度が高いが故に表示画像が全体的に暗く視覚されてしまう一方、順応輝度が低いが故に表示画像が眩しく感じられるという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像を提供することが可能となる。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に基づく駆動方法に従って、表示パネルとしてのプラズマディスプレイパネルの駆動を行うプラズマディスプレイ装置の構成を示す図である。
【0019】
図1において、プラズマディスプレイパネルとしてのPDP10は、放電ガスが封入されている放電空間を挟んで対向配置された前面透明基板及び背面基 板(図示せぬ)を備えている。前面透明基板上には2次元画面の横方向(水平方向)に夫々伸張して配列された行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Ynが形成されている。これら行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Ynは、夫々一対の行電極Xi及びYi(i:1〜n)にて、PDP10における第1〜第n表示ラインを担っている。背面基板上には、行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Yn各々と交叉するように、2次元表示画面の縦方向(垂直方向)に夫々伸張して配列された列電極D1〜Dmが形成されている。上記放電空間を含む各行電極対(X、Y)と列電極Dとの交叉部に、画素としての放電セル(表示セル)Pが形成される構造となっている。すなわち、PDP10には、第1行・第1列の放電セルP(1,1)〜第n行・第m列の放電セルP(n,m)からなる(n×m)個の放電セルPがマトリクス状に配列されているのである。
【0020】
A/D変換器1は、入力映像信号VDを各画素(放電セルP)毎にその輝度レベルを例えば8ビットで表す画素データDDに変換して輝度補正回路200に供給する。
【0021】
視聴距離センサ2は、例えば図2に示す如きプラズマディスプレイ装置の表示面11の周辺部、つまり画面枠12の表面上に設置されている。視聴距離センサ2は、PDP10における表示画面と、この表示画面に表示された画像を鑑賞すべく表示画面の前方に存在する視聴者との間の距離(以下、視聴距離と称する)を検出しその距離を示す視聴距離信号Leを輝度補正回路200に供給する。視聴距離センサ20は、例えば、熱線センサと超音波センサとから構成される。熱線センサは、表示画面の前方に存在する物体(床、壁、椅子等)又は人体から照射される遠赤外線の量を検出し、その検出量が所定量以上となる状態が一定期間継続した場合にのみ人体の存在を検知したことを示す人体検知信号を超音波センサに供給する。超音波センサは、この人体検知信号が供給されていない間において、少なくとも1度だけ表示画面の前方に向けて超音波を照射し、その反射波のパターンを非人体反射パターンとして記憶しておく。一方、上記人体検知信号が供給された際には、超音波センサは、表示画面の前方に向けて超音波を照射し、その反射波のパターン中から上記非人体反射パターンには存在しない反射波を人体反射波として抽出する。そして、超音波センサは、超音波の照射開始からこの人体反射が帰ってくるまでの遅延時間を測定し、かかる遅延時間に基づいて視聴距離を示す視聴距離信号Leを算出するのである。尚、視聴距離センサ2では、人体を検知する為に熱線センサを用いているが、これに限定されるものではない。要するに、人体の如き放射波発生源から放出される何らかの固有の放射波を検知可能なセンサにより、PDP10の前方に存在する人体を検知すれば良いのである。また、この視聴距離センサ2としては、視聴位置にマイクを設置し、プラズマディスプレイ装置に設けられたスピーカーから発せられる音をこのマイクが集音することにより、スピーカーからマイクまでの音の到達時間を検出して、その検出結果に基づいて視聴距離を検出する構成を用いてもよい。
【0022】
輝度補正回路200は、視聴距離センサ2から供給された視聴距離信号Le、及び1フレーム分の画素データDDによって示される輝度レベルに基づき、各画素毎の画素データDDに対して輝度補正処理を施す。そして、輝度補正回路200は、この輝度補正処理によって得られた輝度補正画素データPDをSFデータ生成回路3に供給する。尚、輝度補正回路200での詳細な動作については後述する。
【0023】
SFデータ生成回路3は、かかる輝度補正画素データPDに対し、先ず、誤差拡散処理及びディザ処理等からなる多階調化処理を施す。例えば、SFデータ生成回路3は、輝度補正画素データPDの上位ビット群を表示データ、残りの下位ビット群を誤差データと捉える。SFデータ生成回路3は、周辺画素各々に対応した画素データにおける上記誤差データを重み付け加算したものを、上記表示データに反映させることにより誤差拡散処理画素データを得る(誤差拡散処理)。次に、SFデータ生成回路3は、互いに隣接する複数の画素からなる画素群毎に、各画素に対応した上記誤差拡散処理画素データに夫々、互いに異なる係数値からなるディザ係数を夫々割り当てて加算し、その加算結果中の所定の上位ビット群を多階調化画素データとして得る(ディザ処理)。次に、SFデータ生成回路3は、上記多階調化画素データに基づき、図3に示す如きN個(N:整数)のサブフィールドSF1〜SF(N)各々において、放電セルPを点灯及び消灯モードの内のいずれの状態に設定するのかを各ビット毎に示すSFデータGDを生成する。SFデータ生成回路3は、各画素毎のSFデータGD各々を順次、SFメモリ4に供給する。
【0024】
SFメモリ4は、各画素毎のSFデータGDの各々を順次書き込み、1フレーム分の書き込みが終了する度に、以下の如き読み出し動作を行う。すなわち、SFメモリ4は、図3に示す如きサブフィールドSF1〜SF(N)各々において、1フレーム分のSFデータGD各々から、そのサブフィールドに対応したビット桁を分離して読み出し、夫々アドレスデータビットDBとしてアドレスドライバ6に供給する。
【0025】
駆動制御回路20は、図3に示す発光駆動シーケンスに従って、PDP10を駆動すべき各種駆動制御信号を、アドレスドライバ6、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8からなるパネルドライバに供給する。すなわち、駆動制御回路20は、1フレーム又は1フィールド表示期間(以下、単位表示期間と称する)毎に、図3に示すサブフィールドSF1〜SF(N)各々において、アドレス行程W及びサスティン行程Iに従った駆動を順次実施させるべき各種制御信号をパネルドライバに供給する。又、駆動制御回路20は、先頭のサブフィールドSF1に限り、アドレス行程Wに先立ち、リセット行程Rに従った駆動を実施させるべき各種制御信号をパネルドライバに供給する。パネルドライバ(アドレスドライバ6、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8)は、駆動制御回路20から供給された各種制御信号に応じた駆動パルスを生成してPDP10の列電極D、行電極X及びYに供給する。
【0026】
先ず、先頭のサブフィールドSF1のリセット行程Rでは、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8が、リセットパルスを全ての行電極X1〜Xn及び行電極Y1〜Ynに印加する。かかるリセットパルスの印加に応じて、全ての放電セルP内においてリセット放電が生起され、全放電セルP内には所定量の壁電荷が形成される。これにより、全ての放電セルPは点灯モードの状態に初期化される。又、サブフィールドSF1〜SF(N)各々のアドレス行程Wでは、アドレスドライバ6が、SFメモリ4から供給されたアドレスデータビットDBの論理レベルに対応したパルス電圧を有する画素データパルスを生成する。例えば、アドレスドライバ6は、アドレスデータビットDBが論理レベル1である場合には高電圧、論理レベル0である場合には低電圧の画素データパルスを生成する。そして、アドレスドライバ6は、かかる画素データパルスを1表示ライン分(m個)ずつの画素データパルス群として列電極D1〜Dmに印加する。更に、アドレス行程Wでは、Y電極ドライバ8が、各画素データパルス群の印加タイミングと同一タイミングにて、走査パルスを行電極Y1〜Ynへと順次印加して行く。この際、走査パルスが印加された行電極と、高電圧の画素データパルスが印加された列電極との交叉部の放電セルPにのみ選択的に放電が生じ、その放電セルP内に残存していた壁電荷が消去される。つまり、壁電荷を失った放電セルPは消灯モードに設定されるのである。一方、かかる放電が生起されなかった放電セルPはその直前までの状態、つまり点灯モード又は消灯モードの状態を維持する。
【0027】
サブフィールドSF1〜SF(N)各々のサスティン行程Iでは、X電極ドライバ7及びY電極ドライバ8が、各サブフィールドの輝度重みに対応した回数分だけ、行電極X1〜Xn及びY1〜Ynに対して交互に繰り返しサスティンパルスを印加する。かかるサスティンパルスが印加される度に、壁電荷が残留したままとなっている放電セルP、すなわち点灯モードの状態にある放電セルPがサスティン放電し、そのサスティン放電に伴う発光状態を維持する。
【0028】
以上の如き駆動により、単位表示期間毎に、入力映像信号VDによって示される輝度レベルに対応した数の分だけサスティン放電が繰り返し生起され、そのサスティン放電の総数に対応した輝度が視覚される。
【0029】
ここで、図1に示されるプラズマディスプレイ装置では、使用環境に対応した良好な表示画像を提供すべく、視聴距離センサ2によって検出された視聴距離信号Leに基づき、輝度補正回路200が入力映像信号VDに対して輝度補正処理を施すようにしている。
【0030】
図4は、かかる輝度補正回路200の構成の一例を示す図である。
【0031】
図4において、輝度ヒストグラム処理回路21は、上記画素データDDにて表現可能な輝度範囲である輝度レベル「0」〜「255」各々に対応付けされた記憶領域を備えており、各記憶領域には、その輝度レベルを表す画素データDDが供給された延べ回数、つまり頻度が記憶される。例えば、輝度ヒストグラム処理回路21は、1つの画素(1つの放電セルPに相当する)に対応した画素データDDが供給される度に、その画素データDDによって示される輝度レベルに対応した記憶領域に記憶されている数を「1」だけインクリメントする。ここで、1フレーム(又は1フィールド)分の画素データDDに対する上記処理が全て終了する度に、輝度ヒストグラム処理回路21は、各記憶領域に記憶されている値、つまり頻度を読み出し、夫々を図5に示す如く輝度レベル「0」〜「255」各々に対応付けして表す輝度ヒストグラムデータHid1として累積演算回路22に供給する。
【0032】
累積演算回路22は、輝度ヒストグラムデータHid1によって表される各輝度レベル「0」〜「255」各々毎の頻度を、低輝度に対応したものから(又は高輝度に対応したものから)順に累積加算する。ここで、累積演算回路22は、1つの輝度レベルに対応した頻度を累算加算する度に得られる累算加算結果を輝度レベル「0」〜「255」各々に対応した累積頻度とする。例えば、累積演算回路22は、先ず、輝度ヒストグラムデータHid1によって表される輝度レベル「0」での頻度を輝度レベル「0」に対応した累積頻度とする。次に、累積演算回路22は、この輝度レベル「0」に対応した累積頻度に、輝度レベル「1」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「1」に対応した累積頻度とする。次に、この輝度レベル「1」に対応した累積頻度に、輝度レベル「2」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「2」に対応した累積頻度とする。次に、この輝度レベル「2」に対応した累積頻度に、輝度レベル「3」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「3」に対応した累積頻度とする。累積演算回路22は、引き続き、上述した如き累積加算を順次実行することにより、輝度レベル「4」〜「255」に夫々対応した累積頻度を算出する。尚、最高輝度レベル「255」に対応した累積頻度は、必ずPDP10の全画素数である(n・m)となる。累積演算回路22は、これら輝度レベル「0」〜「255」各々と各累積頻度とを対応付けした輝度−累積頻度曲線を表す図6に示す如き累積輝度頻度系列AHid1を、平坦化処理回路23及び輝度調整回路24に供給する。
【0033】
平坦化量設定回路25は、視聴距離信号Leによって示される視聴距離を、図7に示す如き所定の変換関数CHに従って、累積輝度頻度系列AHid1によって表される輝度−累積頻度曲線を直線化させる(後述する)際の度合いを示す平坦化補正量Hisに変換し、これを平坦化処理回路23に供給する。尚、かかる変換関数CHによれば、視聴距離信号Leによって示される視聴距離が大、つまり遠くなるほど平坦化補正量Hisは小さくなる。
【0034】
平坦化処理回路23は、図6に示す如き累積輝度頻度系列AHid1によって表される輝度−累積頻度曲線に対して、上記平坦化補正量Hisが大なるほど、図6に示す如き1次直線累積輝度頻度系列FH(一点破線)に近づけるべき以下の如き処理を施して平坦化累積輝度頻度系列AHid2を得る。尚、1次直線累積輝度頻度系列FHとは、図6に示すように、最低輝度「0」に対応した累積頻度と、最高輝度「255」に対応した累積頻度とを直線で結ぶ1次直線上において想定される各輝度レベル毎の累積頻度の系列を表すものである。
【0035】
つまり、1次直線累積輝度頻度系列FHは、
累積頻度=[(PH−PL)/LMMAX]・LM+PL
H:累積輝度頻度系列AHid1によって表される最高の累積頻度
L:累積輝度頻度系列AHid1によって表される最低の累積頻度
LMMAX:累積輝度頻度系列AHid1での最高輝度(255)
LM:輝度レベル(0〜255)
にて定義されるものである。
【0036】
平坦化処理回路23は、先ず、累積輝度頻度系列AHid1によって表される各輝度レベル毎の累積頻度と、図6に示す如き1次直線累積輝度頻度系列FHによって表される各輝度レベル毎の累積頻度とを夫々同一輝度に対応したもの同士で減算して得られた差分値の系列を、図8に示す如き累積頻度差分値系列SKとして算出する。次に、平坦化処理回路23は、累積頻度差分値系列SKにおける負の値を有する累積頻度差分値に対しては、その値が小なるほど大なる係数を上記平坦化補正量Hisに乗算することにより各累積頻度差分値毎のシフト量SSを求め、このシフト量SSを累積頻度差分値に加算する。一方、累積頻度差分値系列SKにおける正の値を有する累積頻度差分値に対しては、その値が小なるほど小なる係数を上記平坦化補正量Hisに乗算することにより各累積頻度差分値毎のシフト量SSを求め、このシフト量SSを累積頻度差分値から減算する。上述した如きシフト量SSの加算及び減算処理により、平坦化処理回路23は、図8に示す如き平坦化累積頻度差分値系列SKH(一点鎖線にて示す)を求める。次に、平坦化処理回路23は、この平坦化累積頻度差分値系列SKHにて表される各輝度レベル毎の累積頻度差分値と、図6に示す如き1次直線累積輝度頻度系列FHにて表される各輝度レベル毎の累積頻度とを夫々同一輝度に対応したもの同士で加算することにより、図6に示す如き平坦化累積輝度頻度系列AHid2(破線にて示す)を生成して、輝度調整回路24に供給する。
【0037】
要するに、平坦化処理回路23は、累積輝度頻度系列AHid1にて表される各輝度レベル毎の累積頻度が図6に示す如き1次直線累積輝度頻度系列FHにて示される累積頻度よりも高い場合には、これを低下させるべき係数(1未満)を、AHid1における各輝度レベル毎の累積頻度各々に乗算する。この際、平坦化処理回路23は、視聴距離(Le)が大なるほど、その係数の値を大なる値に設定する。一方、累積輝度頻度系列AHid1にて表される各輝度レベル毎の累積頻度が1次直線累積輝度頻度系列FHにて示される累積頻度よりも低い場合には、平坦化処理回路23は、これを高めるべき係数(1より大)を、AHid1における各輝度レベル毎の累積頻度各々に乗算する。この際、平坦化処理回路23は、視聴距離(Le)が大なるほど、その係数の値を小なる値に設定する。
【0038】
以上の如き処理によれば、視聴距離(Le)が小なるほど、平坦化累積輝度頻度系列AHid2によって表される輝度−累積頻度曲線が、図6に示す如き1次直線累積輝度頻度系列FHに近づいた形態を有する平坦化累積輝度頻度系列AHid2が得られる。
【0039】
輝度調整回路24は、画素データDDによって表される各画素(放電セルP)毎の輝度レベルに対して以下の如き輝度調整処理を施すことにより、輝度補正画素データPDを求めこれを図1に示す如きSFデータ生成回路3に供給する。
【0040】
すなわち、輝度調整回路24は、先ず、図6に示す如き平坦化累積輝度頻度系列AHid2によって表される各輝度レベル毎の累積頻度を、その最大頻度(n・m)を最大輝度(入力映像信号VDによって表現可能な最大輝度)と一致させると共にその最低頻度を最低輝度レベル0と一致させる形態にて、輝度レベルを表す値(正規化輝度レベルと称する)に正規化する。そして、輝度調整回路24は、平坦化累積輝度頻度系列AHid2に基づき、画素データDDによって表される輝度レベルに対応した上記正規化輝度レベルを求め、そのレベルを表す画素データを上記輝度補正画素データPDとする。例えば、画素データDDによって表される輝度レベルが図6に示す如きL1である場合には、平坦化累積輝度頻度系列AHid2に基づき、この輝度レベルL1に対応した正規化輝度レベルL2を求める。そして、輝度調整回路24は、その正規化輝度レベルL2を表す画素データを輝度補正画素データPDとして、SFデータ生成回路3に供給するのである。
【0041】
従って、上述した如き構成を有する輝度補正回路200によれば、画素データDDによって表される輝度レベルが図6に示す如き中間輝度レベルLCよりも高い場合には、この画素データDDに対して、視聴距離(Le)が小なるほど、その輝度レベルを低下させるべき輝度調整が施された輝度補正画素データPDが得られる。一方、画素データDDによって表される輝度レベルが中間輝度レベルLCよりも低い場合には、視聴距離(Le)が小なるほど、この画素データDDに対して、その輝度レベルを増加させるべき輝度調整が施された輝度補正画素データPDが得られる。すなわち、輝度補正回路200は、供給された画素データDDに対して、視聴距離(Le)が小なるほど、各階調間の輝度差を小さくして輝度階調表現能力を高めるべき補正処理を施すのである。
【0042】
又、輝度補正回路200では、視聴距離(Le)が小なるほど、平坦化累積輝度頻度系列AHid2によって表される輝度−累積頻度曲線を、図6に示す如き1次直線累積輝度頻度系列FHの形態に近づけるべき補正を施すようにしている。この際、平坦化累積輝度頻度系列AHid2によって表される輝度−累積頻度曲線が、図6に示す如き1次直線累積輝度頻度系列FHの形態から遠ざかるほど、画素データDDによる輝度レベル(L1)に対する、輝度補正画素データPDによる輝度レベル(L2)の中間輝度レベルLCからの輝度差が大きくなる。つまり、コントラストの強調度合いが高まるのである。すなわち、輝度補正回路200では、画素データPCに対して視聴距離(Le)が大なるほどコントラストの強調度合いを高めるべき補正処理を施すのである。これにより、視聴距離が遠くなるほどコントラスト感に敏感になるという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像が提供されるようになる。この際、視聴距離が近い場合には、人間の視覚特性上、コントラスト感よりも輝度階調の表現能力に敏感になる。よって、この際、平坦化累積輝度頻度系列AHid2によって表される輝度−累積頻度曲線に対する直線化の度合いを高めることにより、コントラストの強調度合いを低下させる。これにより、各階調間の輝度差が小さくなって輝度階調表現能力が高まるようになるので、視聴距離が近いほど画像中の輝度変化に敏感になるという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像が提供されるようになる。
【0043】
尚、上述した如きコントラストの強調度合いを自動調整させるべく、画素データDDに対してピークACL(Automatic Contrast Limitter)処理を実施する場合には、視聴距離に応じてピークACL処理による輝度調整量を補正するようにしても良い。この際、ピークACL処理とは、1フレーム分の入力映像信号におけるピーク輝度が表示装置において表現可能な輝度範囲内の最高輝度となるように、1フレーム分の全画素に夫々対応した画素データに対して輝度調整処理を施すことにより、コントラストの強調を行うようにしたものである。
【0044】
図9は、輝度補正回路200においてピークACL処理を実施する場合に、図4に示される構成に代わり採用される輝度補正回路200の内部構成の一例を示す図である。
【0045】
図9において、輝度ヒストグラム処理回路26は、画素データDDにて表現可能な輝度範囲である輝度レベル「0」〜「255」各々に対応付けされた記憶領域を備えており、各記憶領域には、その輝度レベルを表す画素データDDが供給された延べ回数、つまり頻度が記憶される。例えば、輝度ヒストグラム処理回路26は、1つの画素(1つの放電セルPに相当する)に対応した画素データDDが供給される度に、その画素データDDによって示される輝度レベルに対応した記憶領域に記憶されている数を「1」だけインクリメントする。ここで、1フレーム(又は1フィールド)分の画素データDDに対する上記処理が全て終了する度に、輝度ヒストグラム処理回路26は、各記憶領域に記憶されている値、つまり頻度を読み出し、夫々を図10に示す如く輝度レベル「0」〜「255」各々に対応付けして表す輝度ヒストグラムデータHidとして累積演算回路27に供給する。
【0046】
累積演算回路27は、かかる輝度ヒストグラムデータHidによって表される各輝度レベル「0」〜「255」各々毎の頻度を、低輝度に対応したものから(又は高輝度に対応したものから)順に累積加算する。ここで、累積演算回路27は、1つの輝度レベルに対応した頻度を累算加算する度に得られる累算加算結果を輝度レベル「1」〜「255」各々に対応した累積頻度とする。例えば、累積演算回路27は、先ず、輝度ヒストグラムデータHidによって表される輝度レベル「0」での頻度と、輝度レベル「1」での頻度との加算結果を、輝度レベル「1」に対応した累積頻度とする。次に、この輝度レベル「1」に対応した累積頻度に、輝度レベル「2」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「2」に対応した累積頻度とする。次に、この輝度レベル「2」に対応した累積頻度に、輝度レベル「3」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「3」に対応した累積頻度とする。累積演算回路27は、引き続き、上述した如き累積加算を順次実行することにより、輝度レベル「4」〜「255」に夫々対応した累積頻度を算出する。尚、最高輝度レベル「255」に対応した累積頻度は、必ずPDP10の全画素数である(n・m)となる。累積演算回路27は、これら輝度レベル「1」〜「255」各々と各累積頻度とを対応付けした輝度−累積頻度曲線を表す図11に示す如き累積輝度頻度系列AHid3を、実質ピーク輝度検出回路28及び変曲点検出回路29に供給する。
【0047】
実質ピーク輝度検出回路28は、各フレーム毎の累積輝度頻度系列AHid3中から、図11に示す如き予め設定された累積頻度HCに対応した輝度レベルを実質的なピーク輝度として検出し、その輝度レベルを示す実質ピーク輝度信号PYを輝度調整ゲイン算出回路30に供給する。尚、累積頻度HCとは、最大累積頻度(n・m)のc%(90≦c<100)の値である。すなわち、実質ピーク輝度検出回路28では、最大累積頻度よりも所定値だけ小なる累積頻度(HC)に対応した輝度レベルを、実質的なピーク輝度(PY)として検出するのである。
【0048】
変曲点検出回路29は、上記累積輝度頻度系列AHid3中から、図11に示す如き予め設定された累積頻度HBに対応した輝度レベルを変曲点輝度として検出し、その輝度レベルを示す変曲点輝度信号Bを輝度調整回路32に供給する。尚、累積頻度HBは、最大累積頻度(n・m)のb%(b<c)の値とする。
【0049】
補正量設定回路31は、視聴距離信号Leによって示される視聴距離を、図12に示す如き所定の変換関数CORに従って、輝度調整ゲイン(後述する)に対する補正量を示す補正量PGCORに変換し、これを輝度調整ゲイン算出回路30に供給する。尚、かかる変換関数CORによれば、視聴距離信号Leによって示される視聴距離が大、つまり遠くなるほど補正量PGCORは大きくなる。
【0050】
輝度調整ゲイン算出回路30は、図13に示す如きゲイン算出1次関数Fに基づき、実質ピーク輝度信号PYから輝度調整ゲイン値を示す輝度調整ゲイン信号PGを算出し、これを輝度調整回路32に供給する。上記ゲイン算出1次関数Fは、図13に示す如く、実質ピーク輝度信号PYによって表されるピーク輝度がこのプラズマディスプレイ装置によって表現可能な最大輝度PYMAXと等しくなる場合には、最低の輝度調整ゲイン値(例えば「1」)が得られ、その実質ピーク輝度(PY)が低くなるにつれ、大なる輝度調整ゲインが得られるような関数である。
【0051】
ここで、輝度調整ゲイン算出回路30は、上記補正量PGCORによって示される補正量が大なるほど、負の傾きが大なるゲイン算出1次関数Fを用いて輝度調整ゲイン(PG)の算出を行う。例えば、輝度調整ゲイン算出回路30は、補正量PGCORが比較的大なる場合には図13に示されるゲイン算出1次関数FUP、小なる場合には図13に示されるゲイン算出1次関数FDNを用いて輝度調整ゲイン(PG)の算出を行う。この際、補正量PGCORは、図12に示すように、視聴距離(Le)に比例したものである。従って、実質ピーク輝度(PY)が低くなるほど大なる輝度調整ゲイン(PG)が得られると共に、その輝度調整ゲイン(PG)は、視聴距離(Le)が大なるほど大きくなるのである。
【0052】
輝度調整回路32は、画素データDDが上記変曲点輝度信号Bにて示される輝度レベル以上の輝度レベルを表す場合には、この画素データDDによって表される輝度レベルに、上記輝度調整ゲイン信号PGにて示される輝度調整ゲインを乗算する。そして、輝度調整回路32は、かかる乗算によって得られた輝度レベルを表す輝度補正画素データPDを生成し、これを図1に示す如きSFデータ生成回路3に供給する。尚、輝度調整回路32は、画素データDDが上記変曲点輝度信号Bにて示される輝度レベル未満の輝度レベルを表す場合には、この画素データDDをそのまま上記輝度補正画素データPDとしてSFデータ生成回路3に供給する。
【0053】
図9に示される構成によれば、図13に示す如く、補正量PGCORが大なるほど、つまり視聴距離(Le)が大なるほど、所定輝度レベル(変曲点輝度信号Bにて示される輝度レベル)以上の輝度レベルを表す画素データDDに対する輝度調整ゲイン(PG)が大きくなる。よって、画素データDDに対して、高い輝度レベルをより高輝度にするという高輝度強調処理が施される。これにより、視聴距離(Le)が大なるほど画像のコントラストの強調度合いが高まるようになるので、視聴距離が離れるほどコントラスト感に敏感になるという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像が提供されるようになる。この際、視聴距離が近い場合には、輝度調整ゲイン(PG)が小さくなるのでコントラストの強調度合いが低下し、各階調間の輝度差が小さくなる。つまり、各階調間の輝度差が小さくなる分だけ輝度階調の表現能力が高まるので、視聴距離が近いほど画像中の輝度変化に敏感になるという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像が提供されるようになる。
【0054】
ここで、図9に示す輝度補正回路200では、ピークACL処理において各フレーム毎のピーク輝度を検出するにあたり、1フレーム分の入力映像信号中から最大輝度を直接検出するのではなく、図11に示す如く、累積輝度頻度系列AHid3中から所定の累積頻度HCに対応した輝度レベル(PY)を実質的なピーク輝度として検出するようにしている。すなわち、各フレーム毎に算出された累積輝度頻度系列AHid3中から、最大の累積頻度(n・m)よりも所定値だけ小なる累積頻度HCに対応した輝度レベル(PY)をピーク輝度として検出するようにしているのである。これは、1フレーム分の入力映像信号中から直接、ピーク輝度を検出した場合に生じる以下の如き不自然な表示状態を防止させる為である。すなわち、字幕やニュース速報等の高輝度なバナー(bunner)が突然画像フレーム内に現れたときに、1フレーム分の入力映像信号中から直接、ピーク輝度を検出すると、このバナー領域での輝度レベルがピーク輝度として検出されることになる。よって、このバナー領域での輝度レベルに対応した輝度調整ゲイン(PG)にて、1フレーム分の各画素データDDに対して輝度調整を施すと、例え時間変化に伴う輝度変化の少ない画像が表示されていても、バナーの表示開始時点及び終了時点で画面全体の輝度レベルが突然変化するという、いわゆる画面のちらつきが生じてしまうのである。
【0055】
これに対して、図9に示す如き輝度補正回路200では、累積輝度頻度系列AHid3中から、最大累積頻度よりも所定値だけ小なる累積頻度HCに対応した輝度レベル(PY)を実質的なピーク輝度としている。すなわち、1フレーム分の入力映像信号(画素データDD)における実際のピーク輝度よりも僅かに小なる輝度レベルが実質的なピーク輝度となり、字幕やニュース速報等が表示されるバナー領域の如き比較的狭い領域での輝度レベルはピーク輝度検出の対象とはならない。よって、このようなバナー領域が突然画面内に現れる場合にも、画面のちらつきを生じさせることなく、ピークACL処理を実施することが可能となる。
【0056】
又、輝度補正回路200によるピークACL処理では、入力映像信号に基づく各フレーム毎の実質ピーク輝度(PY)が、図1に示すプラズマディスプレイ装置において表現可能な最大輝度となるように、各画素データDDに対して輝度調整処理がなされる。よって、図11に示す如き実質ピーク輝度レベル(PY)〜最大輝度レベル「255」の間に含まれる輝度レベルは全て一律に、プラズマディスプレイ装置において表現可能な最大輝度として表現されることになる。これにより、実質ピーク輝度レベル(PY)〜最大輝度レベル「255」の範囲内で表示される画像領域は、「白つぶれ」として表示されてしまうこととなる。この「白つぶれ」は、視聴距離(Le)が小なるほど、鑑賞者に認識されやすく、違和感を生じさせる。そこで、図9に示される輝度補正回路200では、図13に示すように、補正量PGCORが小、つまり視聴距離(Le)が小なるほど、輝度調整ゲイン(PG)を小さくすることにより、この「白つぶれ」の発生を抑制している。一方、視聴距離(Le)が大なるほど、この「白つぶれ」は認識されにくいので、逆にコントラスト感を高めるべく、輝度調整ゲイン(PG)を大きくするのである。
【0057】
又、輝度補正回路200では、入力映像信号(画素データDD)における図11に示す如き所定の変曲点輝度(B)以上の輝度レベルをピークACL処理の対象としている。よって、頻度が多くなる中間輝度レベルでは入力映像信号によって示される輝度レベルがそのまま維持されるので、全輝度レベルをピークACL処理の対象とする場合に比べて、階調再現性を保ちながらもコントラスト感を高めることが可能となる。
【0058】
更に、所定の変曲点輝度(B)以上の一部の高輝度レベルのみを対象としてピークACLを実行するようにしているので、全輝度レベルをピークACL処理の対象とする場合に比べて、高輝度化に伴う消費電力の増加を抑制しながら、コントラスト感を高めることが可能となる。
【0059】
又、図9に示される輝度補正回路200では、上述したように所定の変曲点輝度(B)以上の輝度レベルを有する画素データDDをピークACL処理の対象としたが、全輝度レベルをピークACL処理の対象としても良い。又、上述した如き全輝度レベルを対象としたピークACL処理を実施するにあたり、輝度調整回路32は、図13に示す如きゲイン算出1次関数Fに基づいて算出した輝度調整ゲイン(PG)を各画素データDDに乗算するのではなく、その値を加算することにより輝度補正画素データPDを生成するようにしても良い。
【0060】
尚、図9に示される輝度補正回路200では、表示画像全体のコントラストを強調させるべく、画素データDDに対して、高い輝度レベルをより高輝度に調整すべきピークACL処理を施すようにしているが、低い輝度レベルをより低輝度に調整すべき処理を行うようにしても良い。
【0061】
図14は、コントラストを強調するにあたり、画素データDDに対して、低い輝度レベルをより低輝度に調整する黒伸張処理を施す場合に採用される輝度補正回路200の構成を示す図である。
【0062】
図14において、輝度ヒストグラム処理回路36は、画素データDDにて表現可能な輝度範囲である輝度レベル「0」〜「255」各々に対応付けされた記憶領域を備えており、各記憶領域には、その輝度レベルを表す画素データDDが供給された延べ回数、つまり頻度が記憶される。例えば、輝度ヒストグラム処理回路36は、1つの画素(1つの放電セルPに相当する)に対応した画素データDDが供給される度に、その画素データDDによって示される輝度レベルに対応した記憶領域に記憶されている数を「1」だけインクリメントする。ここで、1フレーム(又は1フィールド)分の画素データDDに対する上記処理が全て終了する度に、輝度ヒストグラム処理回路36は、各記憶領域に記憶されている値、つまり頻度を読み出し、夫々を図10に示す如く輝度レベル「0」〜「255」各々に対応付けして表す輝度ヒストグラムデータHidとして累積演算回路37に供給する。
【0063】
累積演算回路37は、かかる輝度ヒストグラムデータHidによって表される各輝度レベル「0」〜「255」各々毎の頻度を、低輝度に対応したものから(又は高輝度に対応したものから)順に累積加算する。ここで、累積演算回路37は、1つの輝度レベルに対応した頻度を累算加算する度に得られる累算加算結果を輝度レベル「1」〜「255」各々に対応した累積頻度とする。例えば、累積演算回路37は、先ず、輝度ヒストグラムデータHidによって表される輝度レベル「0」での頻度と、輝度レベル「1」での頻度との加算結果を、輝度レベル「1」に対応した累積頻度とする。次に、この輝度レベル「1」に対応した累積頻度に、輝度レベル「2」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「2」に対応した累積頻度とする。次に、この輝度レベル「2」に対応した累積頻度に、輝度レベル「3」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「3」に対応した累積頻度とする。累積演算回路37は、引き続き、上述した如き累積加算を順次実行することにより、輝度レベル「4」〜「255」に夫々対応した累積頻度を算出する。尚、最高輝度レベル「255」に対応した累積頻度は、必ずPDP10の全画素数である(n・m)となる。累積演算回路37は、これら輝度レベル「1」〜「255」各々と各累積頻度とを対応付けした輝度−累積頻度曲線を表す図15に示す如き累積輝度頻度系列AHid4を、実質ボトム輝度検出回路38及び変曲点検出回路39に供給する。
【0064】
実質ボトム輝度検出回路38は、図15に示す如き累積輝度頻度系列AHid4中から、予め設定された累積頻度Hdに対応した輝度レベルを実質的な最低輝度として検出し、その輝度レベルを示す実質ボトム輝度信号BYを輝度調整係数算出回路40に供給する。尚、累積頻度Hdとは、最大累積頻度(n・m)のd%(d<10)の値とする。
【0065】
変曲点検出回路39は、上記累積輝度頻度系列AHid4中から、図15に示す如き予め設定された累積頻度Heに対応した輝度レベルを変曲点輝度として検出し、その輝度レベルを示す変曲点輝度信号Eを輝度調整回路42に供給する。尚、累積頻度Heは、最大累積頻度(n・m)のe%(d<e≦50)の値とする。
【0066】
補正量設定回路41は、視聴距離信号Leによって示される視聴距離を、図16に示す如き所定の変換関数CORKに従って、輝度調整係数(後述する)に対する補正量を示す補正量KGCORに変換し、これを輝度調整係数算出回路40に供給する。尚、かかる変換関数CORKによれば、視聴距離信号Leによって示される視聴距離が大、つまり遠くなるほど補正量KGCORは大きくなる。
【0067】
輝度調整係数算出回路40は、図17に示す如き調整係数算出1次関数Gに基づき、実質ボトム輝度信号BYから輝度調整係数を示す輝度調整係数信号KVを算出し、これを輝度調整回路42に供給する。尚、上記調整係数算出1次関数Gは、図17に示す如く、実質ボトム輝度信号BYによって表される最低輝度がこのプラズマディスプレイ装置によって表現可能な最低輝度0と等しくなる場合には、最低の輝度調整係数が得られ、その実質ボトム輝度(BY)が高くなるにつれ、大なる輝度調整係数が得られるような関数である。又、輝度調整係数算出回路40は、上記補正量KGCORによって示される補正量が大なるほど、傾きが大なる調整係数算出1次関数Gを用いて輝度調整係数(KV)の算出を行う。例えば、輝度調整係数算出回路40は、補正量KGCORが比較的大なる場合には図17に示されるゲイン算出関数GUP、小なる場合には図17に示されるゲイン算出関数GDNを用いて輝度調整係数(KV)の算出を行う。この際、補正量KGCORは、図16に示すように、視聴距離(Le)に比例したものである。従って、実質ボトム輝度(BY)が高くなるほど大なる輝度調整係数(KV)が得られると共に、その輝度調整係数(KV)は、視聴距離(Le)が大なるほど大きくなるのである。
【0068】
ピーク輝度検出回路43は、画素データDD各々の1フレーム分毎に、その1フレーム内で最も高い輝度レベルを示す画素データDDを検出し、かかる輝度レベルをピーク輝度として示すピーク輝度信号PKを輝度調整回路42に供給する。
【0069】
輝度調整回路42は、画素データDDが上記変曲点輝度信号Eにて示される輝度レベル以下の輝度レベルを表す場合には、画素データDDによって示される輝度レベルに対して下記の如き黒伸張化演算を施すことにより、輝度補正画素データPDを求め、これを図1に示す如きSFデータ生成回路3に供給する。
【0070】
PD=PK−(PK−DD)・KV
PK:ピーク輝度信号PKによって示されるピーク輝度
KV:輝度調整係数信号KVによって示される輝度調整係数 尚、輝度調整回路42は、画素データDDが上記変曲点輝度信号Eにて示される輝度レベルより高い輝度レベルを表す場合には、この画素データDDをそのまま上記輝度補正画素データPDとしてSFデータ生成回路3に供給する。
【0071】
図14に示される構成によれば、図17に示す如く、補正量KGCORが大なるほど、つまり視聴距離(Le)が大なるほど、所定輝度レベル(変曲点輝度信号Eにて示される輝度レベル)以下の低輝度を表す画素データDDに対する輝度調整係数(KV)が大きくなる。従って、上記黒伸張化演算によれば、輝度調整係数(KV)が大きくなるほど、輝度補正画素データPDによって示される輝度レベルは低くなる。すなわち、画素データDDに対して、低い輝度レベルをより低輝度にするという、いわゆる黒伸張処理が施されるのである。これにより、視聴距離(Le)が大なるほど画像のコントラストの強調度合いが高まるようになるので、視聴距離が離れるほどコントラスト感に敏感になるという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像が提供されるようになる。この際、視聴距離(Le)が近い場合には、輝度調整係数(KV)が小さくなるのでコントラストの強調度合いが低下し、各階調間の輝度差が小さくなる。よって、各階調間の輝度差が小さくなる分だけ輝度階調の表現能力が高まるので、視聴距離が近いほど画像中の輝度変化に敏感になるという人間の視覚特性に追従させた良好な表示画像が提供されるようになる。
【0072】
ここで、図14に示す輝度補正回路200では、上述した如き黒伸張処理を実施すべく各フレーム毎のボトム輝度を検出するにあたり、1フレーム分の入力映像信号中から直接、最低輝度を検出するのではなく、図15に示す如く、累積輝度頻度系列AHid4中から、最大累積頻度(n・m)のd%(d<10)となる累積頻度Hdに対応した輝度レベル(BY)を実質的なボトム輝度として検出するようにしている。これは、1フレーム分の入力映像信号中から直接、最低輝度を検出した場合に生じる以下の如き不自然な表示状態を防止させる為である。すなわち、例えば黒色を背景とする字幕やニュース速報等のバナー(bunner)が突然画像フレーム内に現れたときに、1フレーム分の入力映像信号中から直接、最低輝度を検出すると、このバナー領域での黒色背景に対応した輝度レベル0が最低輝度として検出されることになる。よって、このバナー領域での輝度レベル0に対応した輝度調整係数(KV)にて、1フレーム分の各画素データDDに対して輝度調整を施すと、例え時間変化に伴う輝度変化の少ない画像が表示されていても、バナーの表示開始時点及び終了時点で画面全体の輝度レベルが突然変化するという、いわゆる画面のちらつきが生じてしまうのである。
【0073】
これに対して、図14に示す如き輝度補正回路200では、図15に示すように、累積輝度頻度系列AHid4中から、最低累積頻度0よりも所定値だけ大なる累積頻度Hdに対応した輝度レベル(BY)を実質的なボトム輝度としている。すなわち、1フレーム分の入力映像信号(画素データDD)における実際のボトム輝度よりも僅かに高い輝度レベルが実質的なボトム輝度となり、字幕やニュース速報等が表示されるバナー領域の如き比較的狭い領域での輝度レベルはボトム輝度検出の対象とはならない。よって、このようなバナー領域が突然画面内に現れる場合にも、画面のちらつきを生じさせることなく、黒伸張処理を実施することが可能となる。
【0074】
又、輝度補正回路200による黒伸張処理では、入力映像信号に基づく各フレーム毎の実質ボトム輝度(BY)が、図1に示すプラズマディスプレイ装置において表現可能な最低輝度となるように、各画素データDDに対して輝度調整がなされる。よって、図15に示す如き実質ボトム輝度(BY)〜最低輝度レベル「0」の間に含まれる輝度レベルは全て一律に、プラズマディスプレイ装置において表現可能な最低輝度として表現されることになる。これにより、図15に示す如き実質ボトム輝度(BY)〜最低輝度レベル「0」の範囲内で表示される画像領域は、「黒つぶれ」として表示されてしまうこととなる。この「黒つぶれ」は、視聴距離(Le)が小なるほど、鑑賞者に認識されやすく、違和感を生じさせる。そこで、図14に示される輝度補正回路200では、図17に示すように、補正量KGCORが小、つまり視聴距離(Le)が小なるほど、輝度調整係数(KV)を小さくすることにより、黒伸張処理による輝度低下量を抑えて、「黒つぶれ」の発生を防止している。一方、視聴距離(Le)が大なるほど、この「黒つぶれ」は認識されにくいので、逆にコントラスト感を高めるべく、輝度調整係数(KV)を大きくすることにより、黒伸張処理による輝度低下量を増加させるのである。
【0075】
又、図14に示す輝度補正回路200では、入力映像信号(画素データDD)における図15に示す如き所定の変曲点輝度(E)以下の輝度レベルを黒伸張処理の対象としている。よって、頻度が多くなる中間輝度レベルでは入力映像信号によって示される輝度レベルがそのまま維持されるので、全輝度レベルを黒伸張処理の対象とする場合に比べて、階調再現性を保ちながらもコントラスト感を高めることが可能となる。
【0076】
尚、図14に示される輝度補正回路200では、上述したように所定の変曲点輝度(E)以下の輝度レベルを有する画素データDDを黒伸張処理の対象としたが、全輝度レベルを黒伸張処理の対象としても良い。又、上述した如き全輝度レベルを対象とした黒伸張処理を実施するにあたり、輝度調整回路42は、画素データDDに対して、
PD=DD−KV
なる黒伸張演算処理を施すことにより輝度補正画素データPDを求めるようにしても良い。すなわち、1フレーム分の画素データDD各々によって表される輝度レベルに対して、一律にその輝度レベルを上記輝度調整係数(KV)の分だけ低下させるべきオフセットを掛けるのである。
【実施例2】
【0077】
図18は、本発明による駆動方法に従ってプラズマディスプレイパネルの駆動を行うプラズマディスプレイ装置の他の構成を示す図である。
【0078】
図18に示されるプラズマディスプレイ装置では、図1に示される輝度補正回路200に代わり、画像中の縞状の歪みであるストリーキングを抑制させるべき輝度補正を行う輝度補正回路300を採用したものである。ストリーキングは、表示ライン毎に発光負荷が異なる場合に、発光負荷が大なる表示ラインほどサスティンパルス電圧の低下が大きくなることから生じる表示ライン単位での輝度バラツキ現象である。
【0079】
尚、図18において、輝度補正回路300を採用した点を除く他の構成は、図1に示すものと同一であるので、以下に、輝度補正回路300の動作を中心にその動作を説明する。
【0080】
図19は、かかる輝度補正回路300の内部構成を示す図である。
【0081】
図19において、駆動データ生成回路301は、A/D変換器1から供給された画素データDDに対し、先ず、誤差拡散処理及びディザ処理等からなる多階調化処理を施す。例えば、駆動データ生成回路301は、画素データDDの上位ビット群を表示データ、残りの下位ビット群を誤差データと捉える。この際、駆動データ生成回路301は、周辺画素各々に対応した画素データにおける上記誤差データを重み付け加算したものを、上記表示データに反映させることにより誤差拡散処理画素データを得る(誤差拡散処理)。次に、互いに隣接する複数の画素からなる画素群毎に、各画素に対応した上記誤差拡散処理画素データに夫々、互いに異なる係数値からなるディザ係数を夫々割り当てて加算し、その加算結果中の所定の上位ビット群を多階調化画素データとして得る(ディザ処理)。そして、駆動データ生成回路301は、上記多階調化画素データに基づき、図3に示す如きN個(N:整数)のサブフィールドSF1〜SF(N)各々において、放電セルPを点灯及び消灯モードの内のいずれの状態に設定するのかを各ビット毎に示す駆動データGDDを生成して順次、セル数算出回路302及び補正係数生成回路303に供給する。例えば、駆動データGDDの第1〜第Nビットは夫々サブフィールドSF1〜SF(N)の各々に対応しており、そのビット桁が論理レベル1である場合には、このビット桁に対応したサブフィールドSFにおいて放電セルPを点灯モード状態に設定する一方、論理レベル0である場合には消灯モード状態に設定することを表す。
【0082】
セル数算出回路302は、駆動データ生成回路301から供給された駆動データGDDに基づき、各サブフィールド毎に、PDP10における各表示ライン毎に点灯モード状態に設定される放電セルPの合計数を各発光色(赤、青、緑)毎に計数し、その計数値LN(i,c)を示す計数データLNを補正因子生成回路304に供給する。かかるLN(i,c)において、iは、サブフィールド番号を示し、cは、放電セルPの発光色(R,GまたはB)を示す。この際、各表示ライン毎にその表示ラインに属する放電セルP各々の内で点灯モード状態に設定される放電セルの数が大きい程、その表示ラインの負荷が大きくなる。尚、本実施例では、計数値LN(i,c)そのものが負荷として算出されているが、本発明ではこれに限定されない。たとえば、計数値LN(i,c)の代わりに、計数値LN(i,c)に対応するインピーダンスなどの値を負荷としてもよい。
【0083】
補正因子生成回路304は、上記計数データLNに基づいて、各表示ライン毎に各発光色毎の補正因子データSGを算出する。具体的には、補正因子データSGは、3×M個のSF補正因子SG(i,c)(i:サブフィールド番号、c:R,BまたはG)のデータからなり、SF補正因子SG(i,c)は、たとえば、下記式(1)に従って算出される。
【0084】
【数1】

【0085】
α(i,c):正の重み係数
R(i):実効負荷
m:1表示ラインに属する放電セルPの総数
ω:べき指数(例えば「2」)
ここで、上式(1)中、実効負荷R(i)は、たとえば、以下の式(1A)で与えられる。
【0086】
【数2】

【0087】
尚、β(i,R),β(i,G),β(i,B)は、正の重み係数であり、各色毎の蛍光体の輝度飽和特性や色純度、劣化特性などの特性に基づいて定められる係数である。この際、係数β(i,R),β(i,G),β(i,B)と実効負荷R(i)は、以下の束縛条件(1B),(1C)に従うことが望ましい。
【0088】
【数3】

【0089】
又、上式(1)に代わり、上式(1)で与えられる値を用いて算出される値、たとえばSG(i,c)の1/2乗をSF補正因子として使用してもよい。上式(1)によれば、処理対象である表示ライン(以下、カレント表示ラインと称する。)内の全ての放電セルPが点灯モード状態に設定される場合にはSF補正因子SG(i,c)は最小値「1」となり、全ての放電セルPが消灯モード状態に設定される場合にはSF補正因子SG(i,c)は最大値「1+α(i,c)」となる。したがって、負荷が大きい程にSF補正因子SG(i,c)は小さく、負荷が小さい程にSF補正因子SG(i,c)は大きくなる。
【0090】
補正係数生成回路303は、補正因子生成回路304から供給された補正因子データSGと、駆動データ生成回路301から供給された駆動データGDDとに基づき、各表示ライン内の発光色cにて発光する第Q列目の放電セルPに対応する補正係数G(Q,c)(Q=1〜mの整数)を算出する。なお、駆動データGDDは、駆動データ生成回路301から遅延回路(図示せず)を経て補正係数生成回路303に供給される。補正係数G(Q,c)は、たとえば、以下の式(2)に従って算出される。
【0091】
【数4】

【0092】
1/γ:べき指数(例えば1/2)
g(Q,c):1フィールド当たりの補正因子(フィールド補正因子)
尚、g(Q,c)は、次の式(2A)で与えられる。
【0093】
【数5】

【0094】
又、上式(2A)中、係数EN(i)、CF(i)はそれぞれ次式(2B)、(2C)で与えられる。
【0095】
【数6】

【0096】
T(i):i番目サブフィールドSFiのサスティン期間又はサスティン放電回数
B(i):補正対象の放電セルPのモード状態(点灯又は消灯)を示す値
よって、係数CF(i)は、1フィールドにおいてi番目サブフィールドのサスティン期間またはサスティン放電回数が占める割合を意味する。なお、全てのEN(i)の値がゼロのときは、CF(i)=0と定義する。
【0097】
補正係数生成回路303は、上述した如く算出された補正係数G(Q,c)を示す係数データCDを乗算器305に供給する。
【0098】
抑制係数算出回路306は、視聴距離信号Leによって示される視聴距離を、図20に示す如き所定の変換関数COLに従って、ストリーキング補正を弱めるべき度合いを示す抑制係数Kに変換し、これを乗算器305に供給する。
【0099】
乗算器305は、上記係数データCDによって示される補正係数G(Q,c)に、抑制係数Kを乗算した乗算結果をストリーキング補正係数KCDとして乗算器307に供給する。
【0100】
遅延メモリ308は、画素データDDを1表示ラインに相当する時間だけ遅延させたものを乗算器307及び加算器309に夫々供給する。
【0101】
乗算器307及び加算器309は、以下の式(3)に従った演算により、輝度調整画素データPDを算出する。
【0102】
【数7】

【0103】
上記PD(Q,c)は、カレント表示ラインにおいて発光色cを持つQ番目放電セルPに対応する画素データDDの輝度値(階調値)を示している。なお、上式(3)は、次式(3A)に変形され得るので、上式(3)に従った構成の代わりに、次式(3A)に従った構成を採用してもよい。
【0104】
【数8】

【0105】
上述した如き構成によれば、例えばカレント表示ライン内の全ての放電セルPが発光する場合、つまり負荷が最大になる場合には、画素データDDの輝度に対する補正量は最小になり、この画素データDDは、輝度値の補正が為されずにそのまま輝度調整画素データPDとして送出される。一方、カレント表示ライン内の全ての放電セルPが発光しない場合、つまり負荷が最小となる場合には輝度値の補正量は最大になる。
【0106】
すなわち、輝度補正回路300は、各表示ライン毎にその表示ラインでの発光負荷量が大なるほど小なる補正量にて、この表示ラインに対応した画素データDDに対して輝度レベルの調整を施すのである。よって、輝度補正回路300によれば、各表示ラインの発光負荷量の差異に伴う表示ライン単位での輝度バラツキを小、つまりストリーキングを抑制させるように、各表示ライン毎に且つ放電セルPの発光色毎に、画素データDDに対して輝度調整が為されるのである。輝度補正回路300は、かかる輝度調整によって得られた輝度調整画素データPDをSFデータ生成回路3に供給する。SFデータ生成回路3は、かかる輝度調整画素データPDに対して、上記駆動データ生成回路301と同一の処理を施すことにより、図3に示す如きN個のサブフィールドSF1〜SF(N)各々において、放電セルPを点灯及び消灯モードの内のいずれの状態に設定するのかを各ビット毎に示すSFデータGDを生成する。
【0107】
従って、図18に示されるプラズマディスプレイ装置においては、放電セルPにおけるR,G,Bの蛍光体毎に輝度飽和特性が異なっていても、色ずれを生じさせることなくストリーキングの抑制が為されるようになる。
【0108】
ここで、輝度補正回路300では、上述した如きストリーキングを抑制させるべき輝度補正を行うにあたり、視聴距離(Le)が大ほど、その補正量を小さくさせるべき抑制係数Kを、補正係数G(Q,c)を示す係数データCDに乗算するようにしている。
【0109】
すなわち、視聴距離が近い場合は表示画像が比較的明るく見えるので、画面均一性の不足が目立つことになる。よって、このように視聴距離が近い場合には、明るさが均一な画面となるストリーキング補正を強めるべく、小なる抑制係数Kを係数データCDに乗算する。一方、視聴距離が遠い場合は、ストリーキング補正によって画面均一性が改善される効果よりも、表示が暗くなってしまう弊害の方が目立つ。そこで、このように視聴距離が遠い場合には、表示画像が必要以上に暗くなってしまうことを防止すべく、大なる抑制係数Kを係数データCDに乗算する。ストリーキング補正を弱める。
【0110】
よって、図19に示す如き輝度補正回路300によれば、ストリーキングを抑制させるべき輝度補正を行いつつも、表示画像の輝度低下を抑えた良好な画像が提供されるようになる。
【実施例3】
【0111】
図21は、本発明による駆動方法に従ってプラズマディスプレイパネルの駆動を行うプラズマディスプレイ装置の他の構成を示す図である。
【0112】
図21に示されるプラズマディスプレイ装置は、図1に示される構成に照度センサ2aを追加すると共に、図1に示される輝度補正回路200に代わり、人間の順応輝度に追従させた輝度補正を行う輝度補正回路400を採用したものである。尚、順応輝度とは、その視聴環境下において視聴者がPDP10の表示画面を眺めた際に視覚される輝度のことである。例えば、順応輝度が高い(明るい)ほど、人間の目のダイナミックレンジは明るい方の感度が高くなり、表示画像が全体的に暗く見えてしまう一方、順応輝度が低い(暗い)ほど表示画像が眩しく感じられるようになる。
【0113】
尚、図21において、照度センサ2a及び輝度補正回路400を採用した点を除く他の構成は、図1に示すものと同一である。よって、以下に、照度センサ2a及び輝度補正回路400を中心にその動作を説明する。
【0114】
照度センサ2aは、例えば図2に示すように、プラズマディスプレイ装置本体の表示面11の周辺部、つまり画面枠12の表面上に設置されている。照度センサ2aは、このプラズマディスプレイ装置が設置されている空間の明るさ(以下、環境照度と称する)を検出し、この明るさを示す環境照度信号Yを輝度補正回路400に供給する。尚、環境照度には、このプラズマディスプレイ装置の画面から発せられる光の影響は含まれていないものとする。
【0115】
図22は、かかる輝度補正回路400の内部構成を示す図である。
【0116】
図22において、輝度ヒストグラム処理回路406は、画素データDDにて表現可能な輝度範囲である輝度レベル「0」〜「255」各々に対応付けされた記憶領域を備えており、各記憶領域には、その輝度レベルを表す画素データDDが供給された延べ回数、つまり頻度が記憶される。例えば、輝度ヒストグラム処理回路406は、1つの画素(1つの放電セルPに相当する)に対応した画素データDDが供給される度に、その画素データDDによって示される輝度レベルに対応した記憶領域に記憶されている数を「1」だけインクリメントする。ここで、1フレーム(又は1フィールド)分の画素データDDに対する上記処理が全て終了する度に、輝度ヒストグラム処理回路406は、各記憶領域に記憶されている値、つまり頻度を読み出し、夫々を図10に示す如く輝度レベル「0」〜「255」各々に対応付けして表す輝度ヒストグラムデータHidとして累積演算回路407に供給する。
【0117】
累積演算回路407は、かかる輝度ヒストグラムデータHidによって表される各輝度レベル「0」〜「255」各々毎の頻度を、低輝度に対応したものから(又は高輝度に対応したものから)順に累積加算する。ここで、累積演算回路407は、1つの輝度レベルに対応した頻度を累算加算する度に得られる累算加算結果を輝度レベル「1」〜「255」各々に対応した累積頻度とする。例えば、累積演算回路407は、先ず、輝度ヒストグラムデータHidによって表される輝度レベル「0」での頻度と、輝度レベル「1」での頻度との加算結果を、輝度レベル「1」に対応した累積頻度とする。次に、この輝度レベル「1」に対応した累積頻度に、輝度レベル「2」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「2」に対応した累積頻度とする。次に、この輝度レベル「2」に対応した累積頻度に、輝度レベル「3」での頻度を加算した加算結果を輝度レベル「3」に対応した累積頻度とする。累積演算回路27は、引き続き、上述した如き累積加算を順次実行することにより、輝度レベル「4」〜「255」に夫々対応した累積頻度を算出する。尚、最高輝度レベル「255」に対応した累積頻度は、必ずPDP10の全画素数である(n・m)となる。累積演算回路407は、これら輝度レベル「1」〜「255」各々と各累積頻度とを対応付けした輝度−累積頻度曲線を表す図11に示す如き累積輝度頻度系列AHid3を、実質ピーク輝度検出回路408及び変曲点検出回路409に供給する。
【0118】
実質ピーク輝度検出回路408は、各フレーム毎の累積輝度頻度系列AHid3中から、図11に示す如き予め設定された累積頻度HCに対応した輝度レベルを実質的なピーク輝度として検出し、その輝度レベルを示す実質ピーク輝度信号PYを輝度調整ゲイン算出回路410に供給する。尚、累積頻度HCとは、最大累積頻度(n・m)のc%(90≦c<100)の値とする。
【0119】
順応輝度算出回路411は、先ず、1フレーム分毎の画素データDDに基づき、視聴者がPDP10の表示画面を眺めた際に実際に視覚される輝度(以下、画面視覚輝度と称する)を以下の如く算出する。すなわち、入力映像信号VDに基づく1フレーム画像の平均輝度が一定であっても、その画像中のピーク輝度が高い場合には低い場合に比して明るい画像に感じられる。つまり、ピーク輝度が高くなるほど、画面視覚輝度が高くなるのである。そこで、かかる画面視覚輝度を求めるべく、順応輝度算出回路411は、1フレーム分毎の画素データDDに基づき、画像1フレーム(又は1フィールド)分毎の平均輝度APL及びピーク輝度YPKを検出する。次に、順応輝度算出回路411は、図23(a)に示す如き1次関数αに基づき、ピーク輝度YPKから画面視覚輝度補正値CCを算出する。そして、順応輝度算出回路411は、図23(b)に示す如き1次関数βに基づき、上記平均輝度APLから画面視覚輝度を表す画面視覚輝度信号YDSPを算出する。この際、順応輝度算出回路411は、図23(b)に示すように、上記1次関数βの傾きを画面視覚輝度補正値CCに基づいて設定する。すなわち、画面視覚輝度補正値CCが所定値と一致する場合には、図23(b)において実線にて示す1次関数βに基づき画面視覚輝度信号YDSPを算出する。又、画面視覚輝度補正値CCが所定値よりも大なる場合には両者の差分値に対応した分だけ1次関数β(実線にて示す)の傾きを増加させた1次関数β1(一点鎖線にて示す)に基づき画面視覚輝度信号YDSPを算出する。一方、画面視覚輝度補正値CCが所定値よりも小なる場合には両者の差分値に対応した分だけ1次関数β(実線にて示す)の傾きを低下させた1次関数β3(波線にて示す)に基づき画面視覚輝度信号YDSPを算出する。すなわち、画像1フレーム分の平均輝度APLをその画像中のピーク輝度YPKに応じて補正することにより、視聴者が視覚することになる表示画面の輝度、いわゆる画面視覚輝度(YDSP)を求めるのである。
【0120】
そして、順応輝度算出回路411は、照度センサ2aから供給された環境照度信号Y、視聴距離センサ2から供給された視聴距離信号Le、及び上記画面視覚輝度信号YDSPに基づき、その視聴環境において視聴者がPDP10の表示画面を眺めた際に視覚される順応輝度Laを以下の演算式に基づいて算出して補正量設定回路412に供給する。
【0121】
La={Y・Le+YDSP(Le(MAX)−Le)}/Le(MAX)
Le(MAX):画像認識が可能な最大の視聴距離
すなわち、順応輝度算出回路411は、視聴距離(Le)に基づく混合比にて環境照度(Y)と画面視覚輝度(YDSP)とを混合することにより、視聴環境(環境照度、視聴距離)をも考慮して、視聴者がPDP10の表示画面を眺めた際に実際に視覚される輝度(La)を求めるのである。順応輝度算出回路411は、かかる順応輝度Laを補正量設定回路412に供給する。
【0122】
補正量設定回路412は、上記順応輝度Laを、図24に示す如き所定の変換関数CORaに従って、輝度調整ゲイン(後述する)に対する補正量を示す補正量PGCORに変換し、これを輝度調整ゲイン算出回路410に供給する。尚、かかる変換関数CORaによれば、順応輝度Laが大なるほど補正量PGCORは大きくなる。
【0123】
輝度調整ゲイン算出回路410は、図25に示す如きゲイン算出1次関数Fに基づき、実質ピーク輝度検出回路408から供給された実質ピーク輝度信号PYに対応した輝度調整ゲイン信号PGを算出し、これを輝度調整回路413に供給する。上記ゲイン算出1次関数Fは、図25に示す如く、実質ピーク輝度信号PYによって表されるピーク輝度がこのプラズマディスプレイ装置によって表現可能な最大輝度PYMAXと等しくなる場合には、最低の輝度調整ゲイン値(例えば「1」)が得られ、その実質ピーク輝度PYが低くなるにつれ、大なる輝度調整ゲインが得られるような関数である。
【0124】
ここで、輝度調整ゲイン算出回路410は、上記補正量PGCORによって示される補正量が大なるほど、負の傾きが大なるゲイン算出1次関数Fに基づき輝度調整ゲインPGの算出を行う。例えば、輝度調整ゲイン算出回路410は、補正量PGCORが比較的大なる場合には図25に示されるゲイン算出1次関数FUP、小なる場合には図25に示されるゲイン算出1次関数FDNに基づいて、輝度調整ゲインPGの算出を行う。この際、補正量PGCORは、図24に示すように、順応輝度Laに比例したものである。従って、実質ピーク輝度PYが低くなるほど大なる輝度調整ゲインPGが得られると共に、その輝度調整ゲインPGは、順応輝度Laが高いほど大きくなるのである。
【0125】
変曲点検出回路409は、図11に示す如く、累積演算回路407から供給された累積輝度頻度系列AHid3中から予め設定された累積頻度HBに対応した輝度レベルを変曲点輝度として検出し、その輝度レベルを示す変曲点輝度信号Bを輝度調整回路413に供給する。尚、累積頻度HBは、最大累積頻度(n・m)のb%(b<c)の値とする。
【0126】
輝度調整回路413は、画素データDDが上記変曲点輝度信号Bにて示される輝度レベル以上の輝度レベルを表す場合には、この画素データDDによって表される輝度レベルに、上記輝度調整ゲイン信号PGにて示される輝度調整ゲインを乗算する。そして、輝度調整回路413は、かかる乗算によって得られた輝度レベルを表す輝度補正画素データPDを生成し、これを図21に示す如きSFデータ生成回路3に供給する。尚、輝度調整回路413は、画素データDDが上記変曲点輝度信号Bにて示される輝度レベル未満の輝度レベルを表す場合には、この画素データDDをそのまま輝度補正画素データPDとしてSFデータ生成回路3に供給する。
【0127】
以上の如き構成を有する輝度補正回路400によれば、順応輝度Laに応じて、図9に示される輝度補正回路200と同様なピークACL処理が画素データDDに対して施される。すなわち、図25に示す如く、補正量PGCORが大なるほど、つまり順応輝度Laが高いほど、所定輝度レベル(変曲点輝度信号Bにて示される輝度レベル)以上の輝度レベルを表す画素データDDに対する輝度調整ゲインPGが大きくなる。よって、表示画像が全体的に暗く視覚されてしまうという順応輝度が高い状況では表示画像全体を明るくすべき輝度調整が自動的に施される一方、表示画像が眩しく感じられるという順応輝度が低い状況では表示画像全体を暗くすべき輝度調整が自動的に施されるのである。これにより、鑑賞者の順応輝度に拘わらずに、常に、見やすい表示画像を提供することが可能になる。
【0128】
ここで、図22に示す輝度補正回路400では、ピークACL処理を実施すべく各フレーム毎のピーク輝度を検出するにあたり、1フレーム分の入力映像信号中から最大輝度を直接検出するのではなく、図11に示す如く、累積輝度頻度系列AHid3中から所定の累積頻度HCに対応した輝度レベルPYを実質的なピーク輝度として検出するようにしている。すなわち、各フレーム毎に算出された累積輝度頻度系列AHid3中から、最大の累積頻度(n・m)よりも所定値だけ小なる累積頻度HCに対応した輝度レベルをピーク輝度として検出するようにしているのである。これは、1フレーム分の入力映像信号中から直接、ピーク輝度を検出した場合に生じる以下の如き不自然な表示状態を防止させる為である。すなわち、字幕やニュース速報等の高輝度なバナー(bunner)が突然画像フレーム内に現れたときに、1フレーム分の入力映像信号中から直接、ピーク輝度を検出すると、このバナー領域での輝度レベルがピーク輝度として検出されることになる。よって、このバナー領域での輝度レベルに対応した輝度調整ゲイン(PG)にて、1フレーム分の各画素データDDに対して輝度調整を施すと、例え時間変化に伴う輝度変化の少ない画像が表示されていても、バナーの表示開始時点及び終了時点で画面全体の輝度レベルが突然変化するという、いわゆる画面のちらつきが生じてしまうのである。
【0129】
これに対して、図22に示す輝度補正回路400では、累積輝度頻度系列AHid3中から、最大累積頻度よりも所定値だけ小なる累積頻度HCに対応した輝度レベルを実質的なピーク輝度としている。すなわち、1フレーム分の入力映像信号(画素データDD)における実際のピーク輝度よりも僅かに小なる輝度レベルが実質的なピーク輝度となり、字幕やニュース速報等が表示されるバナー領域の如き比較的狭い領域での輝度レベルはピーク輝度検出の対象とはならない。よって、このようなバナー領域が突然画面内に現れる場合にも、画面のちらつきを生じさせることなく、ピークACL処理を実施することが可能となる。
【0130】
又、輝度補正回路400によるピークACL処理では、入力映像信号に基づく各フレーム毎の実質ピーク輝度PYが、プラズマディスプレイ装置において表現可能な最大輝度となるように、各画素データDDに対して輝度調整処理がなされる。よって、図11に示す如き実質ピーク輝度レベルPY〜最大輝度レベル「255」の間に含まれる輝度レベルは全て一律に、プラズマディスプレイ装置において表現可能な最大輝度として表現されることになる。これにより、実質ピーク輝度レベルPY〜最大輝度レベル「255」の範囲内で表示される画像領域は、「白つぶれ」として表示されてしまうこととなる。この「白つぶれ」は、順応輝度Laが低いほど、鑑賞者に認識されやすく、違和感を生じさせる。そこで、図22に示される輝度補正回路400では、図25に示すように、補正量PGCORが小、つまり順応輝度Laが小なるほど、輝度調整ゲインPGを小さくすることにより、この「白つぶれ」の発生を抑制している。一方、順応輝度Laが大なるほど、この「白つぶれ」は認識されにくいので、逆にコントラスト感を高めるべく、輝度調整ゲインPGを大きくするのである。
【0131】
又、輝度補正回路400では、入力映像信号(画素データDD)における図11に示す如き所定の変曲点輝度(B)以上の輝度レベルをピークACL処理の対象としている。よって、頻度が多くなる中間輝度レベルでは入力映像信号によって示される輝度レベルがそのまま維持されるので、全輝度レベルをピークACL処理の対象とする場合に比べて、階調再現性を保ちながらもコントラスト感を高めることが可能となる。
【0132】
更に、所定の変曲点輝度(B)以上の一部の高輝度レベルのみを対象としてピークACLを実行するようにしているので、全輝度レベルをピークACL処理の対象とする場合に比べて、高輝度化に伴う消費電力の増加を抑制しながら、コントラスト感を高めることが可能となる。
【0133】
又、図22に示される輝度調整回路400では、上述したように所定の変曲点輝度(B)以上の輝度レベルを有する画素データDDをピークACL処理の対象としたが、全輝度レベルをピークACL処理の対象としても良い。又、上述した如き全輝度レベルを対象としたピークACL処理を実施するにあたり、輝度調整回路413は、図25に示す如きゲイン算出1次関数Fに基づいて算出した輝度調整ゲインPGを各画素データDDに乗算するのではなく、その値を加算することにより輝度補正画素データPDを生成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明に基づくプラズマディスプレイ装置の概略構成を示す図である。
【図2】視聴距離センサ2及び照度センサ2aの設置箇所の一例を示す図である。
【図3】PDP10を駆動する際の発光駆動シーケンスの一例を示す図である。
【図4】図1に示される輝度補正回路200の内部構成の一例を示す図である。
【図5】輝度ヒストグラム処理回路21において生成された輝度ヒストグラムデータHid1によって表される各輝度レベル毎の頻度の一例を示す図である。
【図6】累積演算回路22によって生成された累積輝度頻度系列AHid1、及び累積平坦化処理回路23の動作を表す図である。
【図7】視聴距離Leに対応した平坦化量Hisを求める為の変換関数CHの一例を示す図である。
【図8】平坦化処理回路23の動作を説明する為の図である。
【図9】輝度補正回路200の内部構成の他の一例を示す図である。
【図10】輝度ヒストグラム処理回路(26、36、406)において生成された輝度ヒストグラムデータHidによって表される各輝度レベル毎の頻度の一例を示す図である。
【図11】累積演算回路(27、407)によって生成された累積輝度頻度系列AHid3の一例を示す図である。
【図12】視聴距離Leに対応した補正量PGCORを求める為の変換関数CORの一例を示す図である。
【図13】輝度調整ゲイン算出回路30の動作を説明する為の図である。
【図14】輝度補正回路200の内部構成の他の一例を示す図である。
【図15】累積演算回路37によって生成された累積輝度頻度系列AHid4の一例を示す図である。
【図16】視聴距離Leに対応した補正量KGCORを求める為の変換関数CORKの一例を示す図である。
【図17】輝度調整係数算出回路40の動作を説明する為の図である。
【図18】プラズマディスプレイ装置の概略構成の他の一例を示す図である。
【図19】図18に示されるプラズマディスプレイ装置における輝度補正回路300の内部構成を示す図である。
【図20】視聴距離Leに対応した抑制係数Kを求める為の変換関数COLの一例を示す図である。
【図21】プラズマディスプレイ装置の概略構成の他の一例を示す図である。
【図22】図21に示されるプラズマディスプレイ装置における輝度補正回路400の内部構成を示す図である。
【図23】順応輝度算出回路411の動作を説明する為の図である。
【図24】順応輝度Laに対応した補正量PGCORを求める為の変換関数CORaの一例を示す図である。
【図25】輝度調整ゲイン算出回路410の動作を説明する為の図である。
【主要部分の符号の説明】
【0135】
2 視聴距離センサ
2a 照度センサ
10 PDP
200,300,400 輝度補正回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、
前記入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を表す輝度頻度データを生成し、
前記輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成し、
前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定し、
前記視聴距離に応じて前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度を補正することにより補正累積輝度頻度データを生成し、
前記補正累積輝度頻度データに基づいて、前記入力映像信号における各画素毎の輝度レベルを調整することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項2】
前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度の系列を、前記視聴距離に応じた分だけ、
累積頻度=[(PH−PL)/LMMAX]・LM+PL
H:前記累積輝度頻度データによって表される最高の累積頻度
L:前記累積輝度頻度データによって表される最低の累積頻度
LMMAX:前記累積輝度頻度データにおける最大輝度レベル
LM:輝度レベル(0〜LMMAX
にて各輝度レベル毎の累積頻度が表される1次直線累積輝度頻度系列に近づけるべき補正を前記累積輝度頻度データに施すことにより前記補正累積輝度頻度データを生成することを特徴とする請求項1記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項3】
前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度が前記1次直線累積輝度頻度系列によって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度よりも高い場合には、前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度を低下させるべき補正を行う一方、前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度が前記1次直線累積輝度頻度系列によって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度よりも低い場合には、前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度を高めるべき補正を行うことを特徴とする請求項2記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項4】
表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、
前記入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を表す輝度頻度データを生成し、
前記輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成し、
前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定し、
前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で最大の累積頻度よりも小であり且つ前記最大の累積頻度の90パーセント以上の値を有する所定の第1累積頻度に対応した輝度レベルを実質ピーク輝度レベルとして検出し、
前記実質ピーク輝度レベル及び前記視聴距離に基づいて補正係数を算出し、
前記補正係数に基づいて、前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項5】
前記視聴距離が大きいほど、前記画素毎の輝度レベルを高くすべき調整を促す前記補正係数が算出されることを特徴とする請求項4に記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項6】
前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で前記第1累積頻度よりも小なる所定の第2累積頻度に対応した輝度レベルを変曲点輝度レベルとして検出し、
前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルの内で前記変曲点輝度レベル以上の輝度レベルに対してのみ、前記補正係数に基づく輝度レベルの調整を行うことを特徴とする請求項4に記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項7】
表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、
前記入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を表す輝度頻度データを生成し、
前記輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成し、
前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定し、
前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で最低の累積頻度よりも大であり且つ最大の累積頻度の10パーセント以下の値を有する所定の第1累積頻度に対応した輝度レベルを実質ボトム輝度レベルとして検出し、
前記実質ボトム輝度レベル及び前記視聴距離に基づいて補正係数を算出し、
前記補正係数に基づいて、前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項8】
前記視聴距離が大きいほど、前記画素毎の輝度レベルを低くすべき調整を促す前記補正係数が算出されることを特徴とする請求項7に記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項9】
前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で前記第1累積頻度よりも大なる所定の第2累積頻度に対応した輝度レベルを変曲点輝度レベルとして検出し、
前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルの内で前記変曲点輝度レベル以下の輝度レベルに対してのみ、前記補正係数に基づく輝度レベルの調整を行うことを特徴とする請求項7に記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項10】
表示パネルの表示ライン各々に配置されている各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、
前記入力映像信号に基づいて前記画素各々による発光時の負荷量を前記表示ライン毎に算出し、
前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定し、
前記表示ライン毎の前記負荷量及び前記視聴距離に基づいて補正係数を算出し、
前記補正係数に基づいて、前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項11】
前記視聴距離が小なるほど、前記画素毎の輝度レベルを低くすべき調整を促す前記補正係数が算出されることを特徴とする請求項10に記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項12】
表示パネルの各画素を入力映像信号に応じて選択的に発光させることにより階調表示を行う表示パネルの駆動方法であって、
前記入力映像信号によって表されるフレーム単位の輝度分布における各輝度レベル毎の画素の頻度を表す輝度頻度データを生成し、
前記輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記頻度を輝度レベル順に累積することにより各輝度レベル毎の累積頻度を表す累積輝度頻度データを生成し、
前記表示パネルとその前方の視聴者との間の距離を視聴距離として測定すると共に前記表示パネルが設置されている空間の明るさを環境照度として検出し、
前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で最大の累積頻度よりも小であり且つ前記最大の累積頻度の90パーセント以上の値を有する所定の第1累積頻度に対応した輝度レベルを実質ピーク輝度レベルとして検出し、
前記入力映像信号によって示される画像1フレーム分毎の平均輝度に基づき前記表示パネルの表示画面から視覚される画面視覚輝度を求め、
前記視聴距離に基づく混合比にて前記環境照度及び前記画面視覚輝度を混合することにより視聴環境下において視覚される順応輝度を求め、
前記実質ピーク輝度レベルと前記順応輝度に基づいて補正係数を算出し、
前記補正係数に基づいて、前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルを調整することを特徴とする表示パネルの駆動方法。
【請求項13】
前記順応輝度が大きいほど、前記画素毎の輝度レベルを高くすべき調整を促す前記補正係数が算出されることを特徴とする請求項12に記載の表示パネルの駆動方法。
【請求項14】
前記累積輝度頻度データによって表される各輝度レベル毎の前記累積頻度各々の内で前記第1累積頻度よりも大なる所定の第2累積頻度に対応した輝度レベルを変曲点輝度レベルとして検出し、
前記入力映像信号によって表される前記画素毎の輝度レベルの内で前記変曲点輝度レベル以下の輝度レベルに対してのみ、前記補正係数に基づく輝度レベルの調整を行うことを特徴とする請求項12に記載の表示パネルの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−122506(P2009−122506A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297853(P2007−297853)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】