説明

表示パネル

【課題】タッチパネルの電極のパターンの目視を低減でき、該タッチパネルの座標検出精度を向上させた表示パネルの提供。
【解決手段】 表示領域上に静電容量タッチパネルを備える表示パネルであって、
前記静電容量タッチパネルは、絶縁層を介して交差された複数のX電極と複数のY電極を備え、
前記X電極および前記Y電極は、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、
平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置され、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間に前記X電極および前記Y電極に対してフローティングされたダミー電極が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示パネルに係り、特に、その表示領域上に静電容量タッチパネルを備える表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
このような表示パネルは、その表示領域が前記静電容量タッチパネル(以下、タッチパネルと称する)を通して目視でき、該表示領域の所定の箇所を前記タッチパネルのたとえば指等の接触によって指定することができる。
【0003】
前記タッチパネルは、複数のX電極と複数のY電極が絶縁膜を挟んで交差するように形成され、指の接触によって静電容量の変化を検出できるようになっている。すなわち、指が接触していない場合の容量(たとえばX電極容量Cx)と、静電容量Cfを有する指が接触した場合の容量(Cx+Cf)の差分を検出するようになっている。
【0004】
ここで、静電容量の変化の検出に、低電流源などを用いた検出回路を用いる場合、前記差分に相当する信号はCf/{Cx×(Cf+CX)}にほぼ比例するようになる。そして、この信号に基づいて接触位置の位置(座標)を重心処理等によって算出し、該表示パネルに情報が反映されるようになっている。
【0005】
このような構成からなるタッチパネルはたとえば下記特許文献1に開示がなされている。
【特許文献1】特開2003−511799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、前記タッチパネルの概略的な構成を示すと、図15に示すように、そのX電極XPは図中y方向に延在しx方向に並設される複数の電極からなり、Y電極YPは図中x方向に延在しy方向に並設される複数の電極からなっている。
【0007】
また、X電極XPは、その延在方向に菱形形状の幅広部(パッド部)と幅狭部(細線部)とが交互に並ぶようにして形成され、Y電極YPも、その延在方向に菱形形状の幅広部(パッド部)と幅狭部(細線部)とが交互に並ぶようにして形成されている。
【0008】
X電極XPのパッド部とY電極YPのパッド部は重畳することなく配置され、X電極XPとY電極YPの交差部はそれぞれの前記細線部の箇所においてなされるようになっている。
【0009】
X電極XPとY電極YPは、図15のm−n線における断面図である図16に示すように、絶縁層INSを介して基板TSB上に形成されている。なお、図中符号GRDは電極を保護するための保護層を示し、符号SLDはノイズの遮蔽を行うシールド層を示している。
【0010】
そして、タッチパネルの検出性能を向上させるため、平面的に観て、X電極XPのパッド部とY電極YPのパッド部との間にはある程度の間隔α(図16参照)をあけることが要求される。
【0011】
この場合、前記間隔αを広くとった場合、該間隔の部分と電極の形成部との光透過率の相異、あるいは図 に示したように縦構造の差から生じる反射特性の差により、X電極XPあるいはY電極YPのパターンが目視されてしまうという不都合が生じる。
【0012】
また、前記間隔αを狭くしようとし、製造におけるマスクずれによって、X電極XPとY電極YPとの重なりが生じた場合、電極容量(CxあるいはCy)が激増し、上述したCf/{Cx×(Cf+CX)}に比例する検出信号が小さくなってしまう不都合が生じる。また、X電極XPとY電極YPとの重なりがなくても、前記間隔αが極めて小さくなった場合、電極間のフリンジ容量が増加し、上述したと同様に不都合が生じ、タッチパネルの検出性能を悪化させてしまう。
【0013】
本発明の目的は、電極のパターンの目視を低減でき、座標検出精度を向上させたタッチパネルを備える表示パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0015】
(1)本発明による表示パネルは、たとえば、表示領域上に静電容量タッチパネルを備える表示パネルであって、
前記静電容量タッチパネルは、絶縁層を介して交差された複数のX電極と複数のY電極を備え、
前記X電極および前記Y電極は、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、
平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置され、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間に前記X電極および前記Y電極に対してフローティングされたダミー電極が形成されていることを特徴とする。
【0016】
(2)本発明による表示パネルは、たとえば、(1)の構成を前提とし、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間のダミー電極は、前記X電極のパッド部から前記Y電極のパッド部へかけて並設される複数の電極で構成されていることを特徴とする。
【0017】
(3)本発明による表示パネルは、たとえば、(1)、(2)のいずれかの構成を前提とし、前記ダミー電極はX電極と同層に形成されていることを特徴とする。
【0018】
(4)本発明による表示パネルは、たとえば、(1)、(2)のいずれかの構成を前提とし、前記ダミー電極はY電極と同層に形成されていることを特徴とする。
【0019】
(5)本発明による表示パネルは、たとえば、(2)の構成を前提とし、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間の複数のダミー電極は、X電極と同層に形成されるダミー電極とY電極と同層に形成されるダミー電極とからなることを特徴とする。
【0020】
(6)本発明による表示パネルは、たとえば、(1)の構成を前提とし、前記X電極と同層のダミー電極および前記Y電極と同層のダミー電極を有し、平面的に観た場合、前記X電極と同層のダミー電極と前記Y電極と同層のダミー電極は重ねられていることを特徴とする。
【0021】
(7)本発明による表示パネルは、たとえば、(1)ないし(6)のいずれかの構成を前提とし、X電極と同層にY電極のパッド部と重ねて配置されるダミー電極を、Y電極と同層にX電極のパッド部と重ねて配置されるダミー電極が形成されていることを特徴とする。
【0022】
(8)本発明による表示パネルは、たとえば、表示領域上に静電容量タッチパネルを備える表示パネルであって、
前記静電容量タッチパネルは、絶縁層を介して交差された複数のX電極と複数のY電極を備え、
前記X電極および前記Y電極は、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、
前記X電極および前記Y電極の各パッド部内の領域に前記X電極および前記Y電極に対してフローティングされたダミー電極が形成されていることを特徴とする。
【0023】
(9)本発明による表示パネルは、たとえば、(6)の構成を前提とし、平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置され、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間にフローティングされたダミー電極が形成されていることを特徴とする。
【0024】
(10)本発明による表示パネルは、たとえば、(9)の構成を前提とし、 前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間のダミー電極は、前記X電極のパッド部から前記Y電極のパッド部へかけて並設される複数の電極で構成されていることを特徴とする。
【0025】
(11)本発明による表示パネルは、たとえば、(9)、(10)のいずれかの構成を前提とし、前記ダミー電極はX電極と同層に形成されていることを特徴とする。
【0026】
(12)本発明による表示パネルは、たとえば、(9)、(12)のいずれかの構成を前提とし、前記ダミー電極はY電極と同層に形成されていることを特徴とする。
【0027】
(13)本発明による表示パネルは、たとえば、(9)の構成を前提とし、 前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間の複数のダミー電極は、X電極と同層に形成されるダミー電極とY電極と同層に形成されるダミー電極とからなることを特徴とする。
【0028】
(14)本発明による表示パネルは、たとえば、(9)の構成を前提とし、前記X電極と同層のダミー電極および前記Y電極と同層のダミー電極を有し、平面的に観た場合、前記X電極と同層のダミー電極と前記Y電極と同層のダミー電極は重ねられていることを特徴とする。
【0029】
(15)本発明による表示パネルは、たとえば、(8)ないし(14)のいずれかの構成を前提とし、X電極と同層にY電極のパッド部と重ねて配置されるダミー電極を、Y電極と同層にX電極のパッド部と重ねて配置されるダミー電極が形成されていることを特徴とする。
【0030】
なお、本発明は以上の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した構成以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0031】
このような構成からなる表示パネルによれば、電極のパターンの目視を低減でき、座標検出精度を向上させたタッチパネルを備える表示パネルを得ることができる。
【0032】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。なお、各図および各実施例において、同一または類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0034】
〈実施例1〉
図1は、本発明による表示パネルの一実施例をタッチパネルおよびその駆動回路とともに示す構成図である。タッチパネル102は表示パネル(ディスプレイ)101の表示領域上に配置されている。該タッチパネル102は、絶縁膜(図示せず)を介してX電極XPとY電極YPを備える。X電極XPは図中y方向に延在しx方向に並設される複数の電極からなりx方向の座標を検出できるようになっている。Y電極YPは図中x方向に延在しy方向に並設される複数の電極からなりy方向の座標を検出できるようになっている。このタッチパネル102は前記X電極XPおよびY電極YPも含めて透明部材で形成され、該タッチパネル102を通して前記表示パネル101を目視できるようになっている。前記X電極XPおよびY電極YPは検出回路103に接続され、該検出回路103は各X電極XPと各Y電極YPの容量を検出するようになっている。操作者のたとえば指がタッチパネル102に接触していない場合のX電極XPおよびY電極YPのそれぞれの容量をCx、Cyとし、指の静電容量(容量変化分)をCfとすると、該指がタッチパネル102に接触した場合(以下、単に接触時と称する場合あり)、前記検出回路103はCx+CfあるいはCy+Cfの容量を検出するようになる。これに対し、指がタッチスクリーン102に接触していない場合(以下、単に非接触時と称する場合あり)、前記検出回路103はCx、Cyの容量を検出するようになる。また、前記検出回路103は、指の接触時と非接触時の容量差分をX電極XPおよびY電極YPの信号成分とし、この信号成分から該指の接触している箇所の座標を算出する。該座標の情報はシステム(CPU)104に転送され、入力情報に基づいた処理に応じ、表示制御装置105を介して前記表示パネル101に前記情報を反映する。
【0035】
図2は、前記検出回路103において、電流Iを出力する定電流源によって容量を検出する場合の、検出時間tと検出電圧Vとの関係を示す。図2に示すグラフの横軸は検出時間t、縦軸は検出電圧Vである。定電流源によりX電極XP、Y電極YPの容量は充電されるため、非接触時の傾きは1/Cxとなり、接触時の傾きは1/(Cx+Cf)となる。図2から明らかとなるように、接触時の電圧と非接触時の電圧は差が生じることになる。この差分をX電極XP、Y電極YPの信号成分とすると、たとえばX電極XPにおいて信号成分は、I×t×Cf/{Cx×(Cx+Cf)}となり、電極容量Cxに反比例する関係となる。このことは、電極容量CxまたはCyを小さくすることで、同じ静電容量でも信号成分を大きく取ることができ、信号ノイズ比を改善できることを意味する。
【0036】
図3は、前記タッチスパネル102の一実施例を示す平面図で、そのX電極XP、Y電極YPのそれぞれのパターンを明確に表している。また、図4(a)は図3のa−b線における断面図を示している。
【0037】
タッチパネル102は、図4(a)に示すように、透明基板TSBの主表面に、Y電極YP、このY電極YPをも被った絶縁膜INS、X電極XPが順次形成されている。また、X電極XPの上面には該X電極XPをも被って保護膜GRDが形成されている。透明基板TSBの裏面にはノイズをシールドするシールド層SLDが形成されている。
【0038】
Y電極YPは、たとえばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜からなり、図3において、図中x方向に延在しy方向に並設されて形成されている。Y電極YPは、それぞれ、その延在方向に幅広部(以下、パッド部と称する場合がある)と幅狭部(以下、細線部と称する場合がある)とが交互に並ぶようにして形成され、該幅広部は、たとえば、その両脇の前記幅狭部との接続部に角部が位置づけられる菱形形状をなしている。また、並設される他のX電極YPにおいて、それぞれの幅広部と幅狭部が図中y方向に並設されるように配置されている。
【0039】
X電極XPは、たとえばITO等の透明導電膜からなり、図3において、図中y方向に延在しx方向に並設されて形成されている。X電極XPも、それぞれ、その延在方向に幅広部(以下、パッド部と称する)と幅狭部(以下、細線部と称する)とが交互に並ぶようにして形成され、該幅広部は、たとえば、その両脇の前記幅狭部との接続部に角部が位置づけられる菱形形状をなしている。ここで、X電極XPの幅広部は、図3に示すように、平面的に観た場合、前記Y電極YPの互いに隣接する4個の幅広部の間に、該4個の幅広部に囲まれるようにし、しかも、それらと重ねられることなく配置されている。このことから、並設される各X電極XPにおいて、それぞれの幅広部と幅狭部が図中x方向に並設されるように配置されている
なお、X電極XPとY電極YPは、図3に示すように、平面的に観た場合、X電極XPの幅狭部とY電極YPの幅狭部において交差するようになっている。
【0040】
また、菱形形状からなるX電極XPの幅広部は、その4辺のそれぞれにおいて、それらの辺に沿って形成された線状の電極(この明細書においてダミー電極XDと称する)を隣接させて配置させた構成となっている。このダミー電極XDは、前記X電極XPおよびY電極YPと電気的な接続はなされずに絶縁膜INS上あるいは絶縁膜ISN内に形成されることによって、フローティング状態(絶縁状態)で設けられたものとなっている。これらダミー電極XDは、後に詳述するように、X電極XP、Y電極YPのパターンの目視を低減させ、検出出力の増大を図る機能を有するようになっている。
【0041】
なお、このダミー電極XDは、互いに隣接するX電極XP、Y電極YPのパッド部の間にあって、該パッド部の辺が直線状となっているため、該ダミー電極XDの形状もそれに合わせた直線状となっている。しかし、前記パッド部の辺は必ずしも直線状でなく湾曲部を有していてもよく、この場合において、前記ダミー電極XDの形状もそれに合わせて湾曲部を有するようにしてもよい。
【0042】
そして、これらダミー電極XDは、図3に示すように、平面的に観た場合、X電極XPとY電極YPとの間に、該X電極XPとY電極YPのいずれにも重畳することなく配置されている。すなわち、図4(a)に示すように、X電極XPと前記ダミー電極XDとの間において距離αを、該ダミー電極XDとY電極YPとの間において距離αを確保するようになっている。換言すれば、X電極XPとY電極YPとの間隙部にダミー電極XDが配置され、このダミー電極XDは前記X電極XPあるいはY電極YPに対して距離αを隔てて形成されている。このαは前記ダミー電極XDの周辺に沿って変化する値ではなく一定であることが望ましい。
【0043】
なお、図4においては、前記ダミー電極XDの幅をβ、Y電極YPの幅広部の幅をγx、X電極XPの幅広部の幅を前記ダミー電極XDをも含めてγyで示している。ここで、たとえばγx=γyとなっている。
【0044】
このように構成したタッチパネル102において、たとえばX電極XPの容量は、図4(a)と対応する図4(b)に示すように、X電極XPの幅広部とシールド層SLDとの容量Cxs、ダミー電極XDとシールド層SLDとの容量Cds、X電極XPの幅広部とダミー電極XDとの容量Cxd、ダミー電極XDとY電極YPの幅広部との容量Cyd、X電極XPの幅広部とY電極YPの幅広部との容量Cxy、およびX電極XPとY電極YPとの交差容量(図示しない)の和となる。
【0045】
図5のグラフは、Y電極YPの幅広部の幅γx、X電極XPの幅広部の幅γyをそれぞれ44000μmとした場合の、図4(b)に示した各容量の合計(隣接間容量)をシミュレーションで求めた結果である。前記ダミー電極XDを設けなかった場合(XD:無、図15に示したパターン)、X電極XP(パッド部)とY電極YP(パッド部)の間の距離(電極間隔α)を狭めると反比例的に容量が増大することが判る。また、前記ダミー電極XDを設けた場合(XD:有)、図4(a)に示したαの値を前記電極間隔αと同じにした場合でも容量を半分近く低減させることができることが判る。
【0046】
図6は、図4(a)に示した構成において、たとえば指からなる導体NFGが接触した場合における容量変化を示した図である。前記導体NFGと各電極との間の容量Cfx、Cfd、Cfxの合計容量を前記検出回路103が検出することによって、容量変化分を算出する。この場合、ダミー電極DXは上述したようにフローティング状態にあるが、シールド層SLDとダミー電極DXとの間の容量Cds、Cfdのシリーズ容量を変化分として検出できることから、前記ダミー電極DXも前記導体NFGの検出に寄与できるようになる。
【0047】
このように構成したタッチパネル102は、ダミー電極XDを設けることによって、X電極XPのパッド部とダミー電極XDとの離間距離α、ダミー電極XDとY電極YPとの離間距離αを小さくした状態での電極容量Cxを小さく抑えることができる。したがって、電極容量Cxに反比例する信号成分を充分に得ることができ、また、該ダミー電極XDも信号検出に寄与できることから、タッチパネル102の検出精度を向上させることができる。このことから、容量の増大を憂えることなく、X電極XPのパッド部とダミー電極XDとの離間距離α、ダミー電極XDとY電極YPとの離間距離αの値を小さくすることができる。このため、X電極XP、Y電極YPのそれぞれのパターンを目視し難くすることができる。
【0048】
上述した実施例では、ダミー電極は、X電極XPと同層にして形成したものである。しかし、これに限定されることはなく、Y電極YPと同層にして形成してもよい。同様の効果が得られるからである。
【0049】
また、さらに、X電極XPと同層に、さらに、Y電極YPと同層に、それぞれダミー電極を形成するようにしてもよい。この場合、平面的に観た場合、X電極XPに隣接するダミー電極XDと、Y電極YPに隣接するダミー電極YDは重なることなく、隙間を有して隣接して配置されることが望ましい。
【0050】
また、上述した実施例では、X電極XPのパッド部およびY電極YPのパッド部は、いずれも菱形形状としたものである。しかし、これに限定されることはなく、任意の形状としてもよい。そして、このことは以下に説明する実施例においても同様である。
【0051】
さらに、上述した実施例では、Y電極YPを透明基板TSB上に、X電極XPを絶縁層INS上に形成したものである。しかし、これに限定されることはなく、逆であってもよい。そして、このことは以下に説明する実施例においても同様である。
【0052】
〈実施例2〉
図7は、前記タッチパネル102の他の実施例を示す平面図で、図3と対応した図となっている。図8は、図7のc−d線における断面図である。
【0053】
図7において、図3と異なる構成は、まず、X電極XPのパッド部の各辺に隣接して形成されるダミー電極XDは、前記パッド部の各辺に交差する方向に2個並設されて設けられていることにある。さらに、Y電極YPにおいても、そのパッド部の各辺に隣接してダミー電極YDが設けられ、該ダミー電極YDは、前記パッド部の各辺に交差する方向に2個並設されて設けられている。このようにした場合でも、実施例1に示したと同様の効果が得られる。
【0054】
なお、ダミー電極の数は3個以上であってもよいし、このような複数のダミー電極は、X電極XP、Y電極YPのうち一方の電極と同層に形成しても同様である。
【0055】
〈実施例3〉
図9は、前記タッチパネル102の他の実施例を示す平面図で、図3と対応した図となっている。図10は、図9のe−f線における断面図である。
【0056】
図3の場合と比較して異なる構成は、X電極XPのパッド部の中央に、該X電極XPと電気的に絶縁されたフローティング状態のダミー電極DX(図中符号XDcで示す)が形成されていることにある。また、Y電極YPのパッド部の中央に、該Y電極YPと電気的に絶縁されたフローティング状態のダミー電極DY(図中符号YDcで示す)が形成されていることにある。
【0057】
このように構成することによって、たとえばX電極XPにおいて、シールド層SLDとX電極XPとの間の容量Cxsの値を減少させることができる。したがって、電極容量Cxを小さくでき、信号成分を改善することができる。また、X電極XPのパッド部の中央のダミー電極XDc上に、指等の導体が来た場合でも、該指の接触による容量変化分を検出できるようになる。
【0058】
この実施例では、X電極XP、Y電極YPのいずれにおいても、それらのバッド部の中央にダミー電極を形成したものであるが、X電極XP、Y電極YPのうち一方にダミー電極を形成するようにしてもよい。
【0059】
また、この実施例は、実施例2に示した構成に適用でき、さらに実施例4以降の構成にも適用することができる。
【0060】
また、X電極XP、Y電極YPの領域内に上述のようなダミー電極XDc、YDcを設けることは、それ自体に上述したような効果を奏することから、この適用にあって、X電極XPおよびY電極YPの間のダミー電極XD、YDを設けない構成とすることもできる。
【0061】
〈実施例4〉
図11は、前記タッチパネル102の他の実施例を示す平面図で、図3と対応した図となっている。図12は、図11のg−h線における断面図である。
【0062】
図3の場合と比較して異なる構成は、まず、X電極XPと同層に、Y電極YPのパッド部と重畳する領域にも該Y電極YPのパッド部とほぼ同じ大きさのフローティング状態のダミー電極XD(図中符号XDpで示す)を設けていることにある。当該ダミー電極YDpは、X電極XPのバッド部に隣接して形成される上述のダミー電極YDとは、その外側に別個に設けられたダミー電極YDpとなっている。また、Y電極YPと同層に、X電極XPのパッド部および該パッド部に隣接して配置されるダミー電極XDと、重畳させるようにして、それらと同大、同形のフローティング状態のダミー電極YD(図中符号YDp)を設けていることにある。
【0063】
これにより、X電極XPが形成された層のパターンとY電極YPが形成された層のパターンがほぼ同じとなり、それらは重畳されたものとなる。このことは、各層において光学的構造を同じにできる(反射率の差を低減できる)ことを意味し、X電極XP、Y電極YPのそれぞれのパターンを目視し難くできる効果を奏する。
【0064】
〈実施例5〉
図13は、前記タッチパネル102の他の実施例を示す平面図で、図11と対応した図となっている。図14は、図13のi−j線における断面図である。
【0065】
図11の場合と比較して異なる構成は、たとえばX電極XPのパッド部の面積をY電極YPのパッド部の面積よりも小さく構成していることにある。X電極XP、Y電極YPのそれぞれのパッド部の面積比率を変えるようにしても座標検知ができるからである。
【0066】
この場合、図13において、X電極XPのパッド部の絶縁膜INSを介した下層に重畳してダミー電極YDpが形成されているが、このダミー電極YDpの面積は前記X電極XPのパッド部の面積とほぼ同様となっている。また、Y電極YPのパッド部の絶縁膜INSを介した上層に重畳してダミー電極XDpが形成されているが、このダミー電極XDpの面積は前記Y電極YPのパッド部の面積とほぼ同様となっている。
【0067】
なお、実施例5は、実施例4の構成を前提としてX電極XP、Y電極YPのそれぞれのパッド部の面積比率を変えて構成したものである。しかし、これに限定されず、実施例1ないし実施例3のうちのいずれかの構成を前提としてX電極XP、Y電極YPのそれぞれのパッド部の面積比率を変えるようにしてもよい。
【0068】
また、実施例5は、X電極XPのパッド部の面積をY電極YPのパッド部の面積よりも小さく構成したものである。しかし、これに限定はされず、Y電極YPのパッド部の面積をX電極XPのパッド部の面積よりも小さく構成するようにしてもよい。
【0069】
なお、実施例1ないし5では、平面的に観た場合、X電極XPのパッド部とY電極YPのパッド部の間に複数のダミー電極を設ける場合、該X電極XPのパッド部からY電極YPのパッド部への方向へ並設させるようにしたものである。しかし、これに限定されることはなく、該方向と直交する方向に並設させるようにしてもよい。
【0070】
以上、実施例を用いて本発明を説明してきたが、これまでの各実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。また、それぞれの実施例で説明した構成は、互いに矛盾しない限り、組み合わせて用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による表示パネルの一実施例の概略を示す構成図である。
【図2】図1に示すタッチパネルの接触時と非接触時における容量変化を説明するグラフである。
【図3】前記タッチパネルの一実施例を示す平面図である。
【図4】図3のa−b線における断面図と電極間に発生する容量を示す図である。
【図5】ダミー電極の有無に応じた隣接間容量をシミュレーションによって求めたグラフである。
【図6】図1に示すタッチパネルの接触時における容量変化分を示した図である。
【図7】前記タッチパネルの他の実施例を示す平面図である。
【図8】図7のc−d線における断面図である。
【図9】前記タッチパネルの他の実施例を示す平面図である。
【図10】図9のe−f線における断面図である。
【図11】前記タッチパネルの他の実施例を示す平面図である。
【図12】図11のg−h線における断面図である。
【図13】前記タッチパネルの他の実施例を示す平面図である。
【図14】図13のi−j線における断面図である。
【図15】従来のタッチパネルの一例の平面図である。
【図16】図15のm−n線における断面図である。
【符号の説明】
【0072】
101……表示パネル(ディスプレイ)、102……タッチパネル、103……検出回路、104……システム(CPU)、105……表示制御装置、XP……X電極、YP……Y電極、XD、YD……ダミー電極、TSB……透明基板、INS……絶縁層、GRD……保護層、SLD……シールド層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域上に静電容量タッチパネルを備える表示パネルであって、
前記静電容量タッチパネルは、絶縁層を介して交差された複数のX電極と複数のY電極を備え、
前記X電極および前記Y電極は、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、
平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置され、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間に前記X電極および前記Y電極に対してフローティングされたダミー電極が形成されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間のダミー電極は、前記X電極のパッド部から前記Y電極のパッド部へかけて並設される複数の電極で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記ダミー電極はX電極と同層に形成されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項4】
前記ダミー電極はY電極と同層に形成されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項5】
前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間の複数のダミー電極は、X電極と同層に形成されるダミー電極とY電極と同層に形成されるダミー電極とからなることを特徴とする請求項2に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記X電極と同層のダミー電極および前記Y電極と同層のダミー電極を有し、平面的に観た場合、前記X電極と同層のダミー電極と前記Y電極と同層のダミー電極は重ねられていることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
X電極と同層にY電極のパッド部と重ねて配置されるダミー電極を、Y電極と同層にX電極のパッド部と重ねて配置されるダミー電極が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項8】
表示領域上に静電容量タッチパネルを備える表示パネルであって、
前記静電容量タッチパネルは、絶縁層を介して交差された複数のX電極と複数のY電極を備え、
前記X電極および前記Y電極は、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成され、
前記X電極および前記Y電極の各パッド部内の領域に前記X電極および前記Y電極に対してフローティングされたダミー電極が形成されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項9】
平面的に観た場合に、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部は重畳することなく配置され、前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間にフローティングされたダミー電極が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間のダミー電極は、前記X電極のパッド部から前記Y電極のパッド部へかけて並設される複数の電極で構成されていることを特徴とする請求項9に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記ダミー電極はX電極と同層に形成されていることを特徴とする請求項9、10のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項12】
前記ダミー電極はY電極と同層に形成されていることを特徴とする請求項9、12のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項13】
前記X電極のパッド部と前記Y電極のパッド部の間の複数のダミー電極は、X電極と同層に形成されるダミー電極とY電極と同層に形成されるダミー電極とからなることを特徴とする請求項9に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記X電極と同層のダミー電極および前記Y電極と同層のダミー電極を有し、平面的に観た場合、前記X電極と同層のダミー電極と前記Y電極と同層のダミー電極は重ねられていることを特徴とする請求項9に記載の表示パネル。
【請求項15】
X電極と同層にY電極のパッド部と重ねて配置されるダミー電極を、Y電極と同層にX電極のパッド部と重ねて配置されるダミー電極が形成されていることを特徴とする請求項8ないし14のいずれかに記載の表示パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−205321(P2009−205321A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45538(P2008−45538)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】