説明

表示制御装置、表示制御方法およびプログラム

【課題】透明ディスプレイを用いて背景が透過することによる利便性を得つつ表示特性をも向上させる。
【解決手段】観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御する表示制御部と、上記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部とを含み、上記表示制御部は、上記状態情報に応じて上記ディスプレイに表示させる表示を変化させる表示制御装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装置、表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)や透過型LCD(Liquid Crystal Display)を用いた透明ディスプレイは、観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側からの光が透過して観察され、例えば後背面の側の風景(以下、背景ともいう)を透過させながら画面を表示することが可能なディスプレイとして知られている。かかる透明ディスプレイを用いた技術として、例えば特許文献1には、携帯電話端末に設けられた透明ディスプレイを光学ファインダとして機能させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−183378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1などに記載の透明ディスプレイでは、表示内容によっては、背景が透過するために画面が見づらくなる場合がある。つまり、透明ディスプレイは、表示時に背景が透過することで通常のディスプレイにはない利便性を提供することが可能である一方、背景が透過するために表示の視認性や表現力といった表示特性が通常のディスプレイに及ばない場合がある。
【0005】
そこで、本開示では、透明ディスプレイを用いて背景が透過することによる利便性を得つつ表示特性をも向上させることが可能な、新規かつ改良された表示制御装置、表示制御方法およびプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御する表示制御部と、上記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部とを含み、上記表示制御部は、上記状態情報に応じて上記ディスプレイに表示させる表示を変化させる表示制御装置が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御することと、上記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得することと、上記状態情報に応じて上記ディスプレイに表示させる表示を変化させることとを含む表示制御方法が提供される。
【0008】
さらに、本開示によれば、観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御する機能と、上記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得する機能と、上記状態情報に応じて上記ディスプレイに表示させる表示を変化させる機能とをコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0009】
本開示によれば、状態情報取得部が取得する状態情報によって、ディスプレイの後背面の側の状態がどのようなものであるかが示される。この状態情報に基づいて、表示制御部がディスプレイの表示に変化を与える。ここでいう表示の変化は、輝度や向きなどの表示に関するパラメータの変化、または表示の内容の変化など、あらゆる種類の表示の変化を含む概念である。かかる変化よって、ディスプレイの表示は、そのときのディスプレイの後背面の側の状態に適応した表示になり、透明ディスプレイを用いて背景が透過することによる利便性が得られる一方で、視認性または表現力のような表示特性も向上する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、透明ディスプレイを用いて背景が透過することによる利便性を得つつ表示特性をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の第1の実施形態に係る電子機器の外観を示す図である。
【図2】本開示の第1の実施形態に係る電子機器の画面表示例を示す図である。
【図3】本開示の第1の実施形態に係る電子機器の概略的な機能構成を示すブロック図である。
【図4】本開示の第2の実施形態に係る電子機器の外観を示す図である。
【図5】本開示の第2の実施形態に係る電子機器の概略的な機能構成を示すブロック図である。
【図6】本開示の第3の実施形態に係る電子機器の外観を示す図である。
【図7】本開示の第4の実施形態に係る電子機器の外観を示す図である。
【図8】本開示の第5の実施形態に係る電子機器の外観を示す図である。
【図9】本開示の第6の実施形態に係る電子機器の外観を示す図である。
【図10】本開示の実施形態に係る電子機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態(開閉可能な透明ディスプレイを有する電子機器)
2.第2の実施形態(スライド可能な透明ディスプレイを有する電子機器)
3.第3の実施形態(着脱可能な透明ディスプレイを有する電子機器)
4.第4の実施形態(背景面にキーボードを有する電子機器)
5.第5の実施形態(背景面に太陽電池パネルを有する電子機器)
6.第6の実施形態(両面に対して開閉可能な透明ディスプレイを有する電子機器)
7.電子機器のハードウェア構成
8.実施形態のまとめ
9.補足
【0014】
(1.第1の実施形態)
まず、図1〜図3を参照して、本開示の第1の実施形態について説明する。本開示の第1の実施形態は、ヒンジによって本体に対して開閉可能な透明ディスプレイを有する電子機器100に係る実施形態である。図1は、電子機器100の外観を示す図である。図2は、電子機器100の画面表示例を示す図である。図3は、電子機器100の概略的な機能構成を示すブロック図である。
【0015】
(装置の外観)
図1を参照すると、電子機器100は、筐体の部分としてディスプレイ部101と本体部103とを有する。ディスプレイ部101と本体部103とは、ヒンジ105で係合され、ディスプレイ部101は本体部103に対して開閉可能である。(a)はディスプレイ部101が本体部103に対して閉じられた状態を示し、(b)はディスプレイ部101が本体部103に対して開かれた状態を示す。それぞれの状態においてディスプレイ部101に設けられるディスプレイ107をユーザが観察する向きが、模式的なユーザの視線によって示されている。
【0016】
電子機器100は、例えばタブレット型やノート型のPC(Personal Computer)、スマートフォン、携帯電話、携帯型ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器である。電子機器100は、(b)のようにディスプレイ部101が本体部103に対して開かれた状態で、ユーザによって把持されることが可能な電子機器であってもよい。この場合、ユーザは、周囲の風景などの任意の背景をディスプレイ107の表示に透過させることができる。
【0017】
ディスプレイ部101は、ディスプレイ107を有する。ディスプレイ107は、例えばOLEDまたは透過型LCDなどであり、観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせる透明ディスプレイである。なお、以下の説明では、後背面の側からの光の透過によって観察される像を、ディスプレイ107の背景ともいう。ディスプレイ107の片面または両面には図示しないタッチパネルが設けられ、ユーザのタッチ操作を取得可能であってもよい。ディスプレイ部101には、後述する表示制御部とディスプレイ107とを接続してディスプレイ107に画面を表示させるための配線などが格納される。
【0018】
本体部103は、背景面109を有する。背景面109は、例えば本体部103の表面のうち、(a)のようにディスプレイ部101が本体部103に対して閉じられた場合にディスプレイ107に重なり合い、ディスプレイ107の背景になる面である。背景面109のうち、少なくともディスプレイ107と重なり合う部分の色は、例えば黒色などの非透過色である。本体部103には、後述するCPU(Central Processing Unit)など、電子機器100の機能を実現するための各種回路などが格納される。
【0019】
ヒンジ105は、ディスプレイ部101を本体部103に対して開閉可能に係合する機構である。ヒンジ105には、一般的に電子機器で用いられる各種のヒンジを用いることが可能である。ヒンジ105には、後述するヒンジ回転角度センサが設けられる。ヒンジ回転角度センサは、ヒンジ105の回転角度を検出し、これをディスプレイ107の後背面の側の状態を示す状態情報として状態情報取得部に提供する。
【0020】
(表示例)
図2では、図1に示す(a)および(b)の場合のディスプレイ107の画面表示例が、(a)および(b)としてそれぞれ示されている。(a)では、ディスプレイ107にビデオプレイヤのアプリケーションが表示されている。(b)では、ディスプレイ107にAR(拡張現実:Augmented Reality)ナビゲーションのアプリケーションが表示されている。
【0021】
上述のように、(a)の場合、ディスプレイ部101は本体部103に対して閉じられており、ディスプレイ107は背景面109に重ね合わせられている。つまり、ディスプレイ107の背景は、非透過色の背景面109である。従って、この場合、ディスプレイ107は、背景が透過しないディスプレイ、すなわち通常のディスプレイと同様の表示をすることが可能である。これによって、ユーザは、ディスプレイ107に表示される画面を背景の変化に影響されず安定して視認することができる。また、ディスプレイ107がOLEDなどの自発光素子を用いた透明ディスプレイである場合に背景面109を黒い面にすれば、自発光素子を用いた透明ディスプレイでは表現が難しい黒色を表現でき、ディスプレイ107の表現力を向上させることができる。このような表示は、例えば動画1071のような画像を表示する際などに有効である。
【0022】
一方、(b)の場合、ディスプレイ部101は本体部103に対して開かれており、ディスプレイ107は背景面109には重ね合わせられていない。つまり、ディスプレイ107の背景は、ディスプレイ107の背後の風景である。従って、この場合、ディスプレイ107は、背景が透過する透明ディスプレイ特有の表示をすることが可能である。例えば、ディスプレイ107は、図示された例のように、AR技術を利用して、矢印1073、所要時間表示1075、方位表示1077などの情報を実際の風景に重畳して表示する。この場合、カメラなどを用いて風景画像を取得することなく、ディスプレイ107に透過している実際の風景に重畳させて情報を表示できるため、画像処理による処理負荷を軽減することができる。
【0023】
ここで、(a)の状態でユーザによって観察されるディスプレイ107の面を表面とするならば、(b)の状態でユーザによって観察されるディスプレイ107の面は裏面である。従って、ディスプレイ107には、(a)の状態では表面から観察するための画面が、(b)の状態では裏面から観察するための画像が、それぞれ表示されることになる。この場合、図1を合わせて参照するとわかるように、(a)の状態ではヒンジ105の側が上側になるが、(b)の状態ではヒンジ105の側が下側になる。つまり、(a)の状態と(b)の状態との間では、ディスプレイ107に表示される画面の上下が反転している。
【0024】
(機能構成)
図3を参照すると、電子機器100は、ディスプレイ107の表示を制御するための機能構成として、表示制御部151と、状態情報取得部153と、ヒンジ回転角度センサ105sとを有する。表示制御部151および状態情報取得部153は、例えば不揮発性メモリなどに格納されたプログラムを実行するCPU150によって実現される。なお、電子機器100の他の機能構成については、一般的な電子機器と同様の構成が用いられうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0025】
表示制御部151は、ディスプレイ107の表示を制御する。表示制御部151は、画面として表示する画像のデータをディスプレイ107に提供し、ディスプレイ107に画面を表示させる。表示制御部151は、状態情報取得部153が取得するディスプレイ107の後背面の側の状態を示す状態情報に応じて、ディスプレイ107の表示を変化させる。具体的には、後述するように、表示制御部151は、ディスプレイ107の表示の上下を反転させたり、表示の輝度を変化させたり、表示の内容を変化させたりする。表示の輝度を変化させる場合、表示制御部151は、ディスプレイ107の部分ごとに異なる値の輝度変化を与えてもよい。
【0026】
状態情報取得部153は、ディスプレイ107の後背面の側の状態を示す状態情報を取得し、これを表示制御部151に提供する。本実施形態において、状態情報は、ヒンジ回転角度センサ105sによって提供される。上述のように、ヒンジ回転角度センサ105sは、ディスプレイ107を有するディスプレイ部101と、ディスプレイ107の背景となりうる背景面109を有する本体部103とを開閉可能に係合するヒンジ105の回転角度を検出する。状態情報取得部153は、この回転角度の情報を、例えばディスプレイ107の背景が背景面109であるか否かの情報に変換して表示制御部151に提供してもよい。
【0027】
ここで、例えば、ヒンジ回転角度センサ105sは、図1(a)に示されるようにディスプレイ部101が本体部103に対して閉じている状態を基準にして、ヒンジ105の回転角度を検出する。この場合、図1(b)に示されるようにディスプレイ部101が本体部103に対して開くにつれて、ヒンジ105の回転角度θが大きくなる。この回転角度θが所定の閾値以下である場合、状態情報取得部153は、ディスプレイ107が背景面109に重ね合わせられており、ディスプレイ107の背景が背景面109であると判断する。一方、回転角度θが所定の閾値よりも大きい場合、状態情報取得部153は、ディスプレイ107が背景面109に重ね合わせられておらず、背後の風景を透過していると判断する。
【0028】
別の例として、状態情報取得部153は、第1および第2の2つの閾値を用いてもよい。この場合、第2の閾値は第1の閾値よりも大きい値でありうる。状態情報取得部153は、回転角度θが第1の閾値以下である場合に、ディスプレイ107が背景面109に重ね合わせられていると判断する。また、状態情報取得部153は、回転角度θが第2の閾値以上である場合にディスプレイ107が背景面109に重ね合わせられておらず、背景を透過していると判断する。回転角度θが第1の閾値と第2の閾値との中間にある場合、状態情報取得部153はディスプレイ部101が本体部103に対して開閉される途中のいわば中間の状態にあると判断し、表示制御部151はディスプレイ107の表示を一時的に消滅させる。これによって、ディスプレイ部101の開閉の途中でユーザがディスプレイ107を観察していない間にディスプレイ107に不要な表示がされることを防ぎ、例えば消費電力を削減することができる。
【0029】
さらに別の例として、表示制御部151および状態情報取得部153は、回転角度θの閾値判定に基づく制御に、ヒステリシス制御を用いてもよい。例えば、回転角度θの所定の閾値によってディスプレイ107が背景面109に重ね合わせられている場合とそうではない場合とを判別する場合に、回転角度θが次第に大きくなる場合(ディスプレイ部101が開かれてようとしている場合)には閾値θ1が、回転角度θが次第に小さくなる場合(ディスプレイ部101が閉じられようとしている場合)には閾値θ2が用いられるとする。この場合、閾値θ1は閾値θ2よりも大きい値でありうる。これによって、例えば、回転角度θが閾値の前後で微細に振動したような場合に、ディスプレイ107の表示が頻繁に変化してユーザに煩雑な印象を与えるのを防ぐことができる。
【0030】
(表示の制御例)
以上で図1〜図3を参照して説明した本開示の第1の実施形態における、表示制御部151によるディスプレイ107の表示の制御の例について、さらに説明する。本実施形態では、表示制御部151が、状態情報取得部153によって取得される状態情報に応じてディスプレイ107の表示を変化させる。状態情報は、具体的にはヒンジ105の回転角度であり、ディスプレイ107が背景面109に重ね合わせられているか否かを示す情報ともいえる。
【0031】
第1に、表示制御部151は、ディスプレイ107の後背面の側の状態に応じて、ディスプレイ107の表示の上下を反転させうる。具体的には、表示制御部151は、状態情報取得部153が取得したヒンジ105の回転角度から、ディスプレイ107の背景が背景面109であると判定された場合と、そうではない場合との間で、ディスプレイ107の表示の上下を反転させる。図2を参照して説明したように、本実施形態では、ディスプレイ107の背景が背景面109である場合と、ディスプレイ107の背景が背景面109ではない場合とでは、ディスプレイ107のユーザによって観察される面が異なる。従って、表示制御部151は、これら2つの場合の間でディスプレイ107の表示の上下を反転させ、それぞれの場合に画面が正しく視認されるようにする。
【0032】
なお、図2の例では、ヒンジ105の側がディスプレイ107に表示される画面の上側または下側にあたるため、表示制御部151はディスプレイ107の表示の上下を反転させる。その一方で、例えばヒンジ105の側がディスプレイ107に表示される画面の右側または左側にあたる場合(ディスプレイ107が、図2の例のように横長ではなく縦長に配置されて用いられるような場合)、表示制御部151はディスプレイ107の表示の左右を反転させうる。
【0033】
第2に、表示制御部151は、ディスプレイ107の後背面の側の状態に応じて、ディスプレイ107の表示の輝度を変化させうる。具体的には、表示制御部151は、状態情報取得部153が取得したヒンジ105の回転角度から、ディスプレイ107の背景が背景面109であると判定された場合と、そうではない場合との間で、ディスプレイ107の表示の輝度を変化させる。上述のように、ディスプレイ107が非透過色の背景面109を背景にする場合とそうではない場合とでは、視認性や色の表現力など、ディスプレイ107の表示特性が異なる。従って、それぞれの場合でディスプレイ107の各画素の最適な輝度も異なる。表示制御部151は、この特性に合わせてディスプレイ107の表示の輝度を変化させ、それぞれの場合の背景に合わせた最適な表示を実現する。
【0034】
第3に、表示制御部151は、ディスプレイ107の後背面の側の状態に応じて、ディスプレイ107の表示内容を変化させうる。例えば、表示制御部151は、ディスプレイ107に図2(b)に示すようなAR情報の透過表示を含む画面が表示されている状態で、ヒンジ105の回転角度が変化し、ディスプレイ107の背景が背景面109に切り替わった場合、AR情報の透過表示を含む画面の表示を終了しうる。また、表示制御部151は、ディスプレイ107の背景が背景面109に切り替わった場合に、ディスプレイ107に透過する実際の風景にAR情報を重畳する画面から、電子機器100に設けられたカメラなどを用いて取得された風景画像にAR情報を重畳する画面へと表示内容を切り替えてもよい。
【0035】
(2.第2の実施形態)
次に、図4および図5を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。本開示の第2の実施形態は、スライド機構によって本体に対してスライド可能な透明ディスプレイを有する電子機器200に係る実施形態である。図4は、電子機器200の外観を示す図である。図5は、電子機器200の概略的な機能構成を示すブロック図である。
【0036】
(装置の外観)
図4を参照すると、電子機器200は、筐体の部分としてディスプレイ部201と本体部203とを有する。ディスプレイ部201と本体部203とは、スライド機構205で係合され、ディスプレイ部201は本体部203に対してスライド可能である。(a)はディスプレイ部201が本体部203の上面に重なり合っている状態を示し、(b)はディスプレイ部201が本体部203の上面に沿ってスライドして本体部203の上面からせり出した状態を示す。
【0037】
電子機器200は、例えばタブレット型やノート型のPC、スマートフォン、携帯電話、携帯型ゲーム機、PDAなどの電子機器である。電子機器200は、(b)のようにディスプレイ部201が本体部203の上面からせり出した状態で、ユーザによって把持されることが可能な電子機器であってもよい。この場合、ユーザは、周囲の風景などの任意の背景を、ディスプレイ部201に設けられるディスプレイ207の表示に透過させることができる。
【0038】
ディスプレイ部201は、ディスプレイ207を有する。ディスプレイ207は、例えばOLEDまたは透過型LCDなどを用いた透明ディスプレイである。ディスプレイ207の上面には図示しないタッチパネルが設けられ、ユーザのタッチ操作を取得可能であってもよい。ディスプレイ部201には、後述する表示制御部とディスプレイ207とを接続してディスプレイ207に画面を表示させるための配線などが格納される。
【0039】
本体部203は、背景面209を有する。背景面209は、例えば本体部203の表面のうち、(a)のようにディスプレイ部201が本体部203の上面に重なり合っている場合にディスプレイ207に重なり合い、ディスプレイ207の背景になる面である。背景面209のうち、少なくともディスプレイ207と重なり合う部分の色は、例えば黒色などの非透過色である。本体部203には、後述するCPUなど、電子機器200の機能を実現するための各種回路などが格納される。また、本体部203には、操作ボタン211などの操作部が設けられてもよい。
【0040】
スライド機構205は、ディスプレイ部201を本体部203に対してスライド可能に係合する機構である。スライド機構205には、例えば凸条と凹条とを組み合わせた機構のような、各種のスライド機構を用いることが可能である。スライド機構205には、ディスプレイ部201の位置を検出するスイッチ205sが設けられる。スイッチ205sは、例えば図示されているようにスライド機構205の端部付近に設けられ、ディスプレイ部201がスイッチ205sの位置までスライドすることで切り替わるスイッチでありうる。スイッチ205sは、検出の結果をディスプレイ207の状態を示す状態情報として後述する状態情報取得部に提供する。
【0041】
(表示例)
図4に示す(a)および(b)の場合にディスプレイ207に表示される画面は、例えば図2を参照して説明した(a)および(b)の画面と同様でありうる。
【0042】
つまり、(a)の場合、ディスプレイ部201は本体部203の上面に重なり合っており、ディスプレイ207は背景面209に重ね合わせられている。つまり、ディスプレイ207の背景は、非透過色の背景面209である。従って、この場合、ディスプレイ207は、背景が透過しないディスプレイ、すなわち通常のディスプレイと同様の表示をすることが可能である。
【0043】
一方、(b)の場合、ディスプレイ部201は本体部203の上面からせり出しており、ディスプレイ207は背景面209には重ね合わせられていない。つまり、ディスプレイ207の背景は、ディスプレイ207の背後の風景である。従って、この場合、ディスプレイ207は、背景が透過する透明ディスプレイ特有の表示をすることが可能である。
【0044】
なお、この第2の実施形態では、スライド機構205によって、ディスプレイ部201が移動するため、(a)の状態と(b)の状態との間で、ユーザによって観察されるディスプレイ207の面は変化しない。従って、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、(a)の状態と(b)の状態との間でディスプレイ207に表示される画面の上下を反転させなくてもよい。
【0045】
(機能構成)
図5を参照すると、電子機器200は、ディスプレイ207の表示を制御するための機能構成として、表示制御部251と、状態情報取得部253と、スイッチ205sとを有する。表示制御部251および状態情報取得部253は、例えば不揮発性メモリなどに格納されたプログラムを実行するCPU250によって実現される。なお、電子機器200の他の機能構成については、一般的な電子機器と同様の構成が用いられうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0046】
表示制御部251は、ディスプレイ207の表示を制御する。表示制御部251は、画面として表示する画像のデータをディスプレイ207に提供し、ディスプレイ207に画面を表示させる。表示制御部251は、状態情報取得部253が取得したディスプレイ207の後背面の側の状態を示す状態情報に応じて、ディスプレイ207の表示を変化させる。具体的には、後述するように、表示制御部251は、ディスプレイ207の表示の輝度を変化させたり、表示の内容を変化させたりする。表示の輝度を変化させる場合、表示制御部251は、ディスプレイ207の部分ごとに異なる値の輝度変化を与えてもよい。
【0047】
状態情報取得部253は、ディスプレイ207の後背面の側の状態を示す状態情報を取得し、これを表示制御部251に提供する。本実施形態において、状態情報は、スイッチ205sによって提供される。上述のように、スイッチ205sは、ディスプレイ207を有するディスプレイ部201と、ディスプレイ207の背景となりうる背景面209を有する本体部203とをスライド可能に係合するスライド機構205に設けられ、ディスプレイ部201の位置を検出する。状態情報取得部253は、この位置の情報を、例えばディスプレイ207の背景が背景面209であるか否かの情報に変換して表示制御部251に提供してもよい。
【0048】
ここで、スイッチ205sは、例えばスライド機構205の端部付近に設けられ、ディスプレイ部201がスイッチ205sの位置までスライドすることで切り替わるスイッチでありうる。例えばディスプレイ部201がスイッチ205sの位置までスライドしてきた場合にスイッチ205sがONになるとすると、状態情報取得部253は、スイッチ205sがONである場合に、ディスプレイ207が背景面209に重ね合わせられており、ディスプレイ207の背景が背景面209であると判断する。一方、状態情報取得部253は、スイッチ205sがOFFである場合に、ディスプレイ207が背景面209に重ね合わせられておらず、背景を透過していると判断する。
【0049】
別の例として、スイッチ205sは、スライド機構205の複数の位置に設けられてもよい。この場合、スイッチ205sは、例えば図4におけるスライド機構205の左下の端と右上の端近くとに2つ設けられうる。例えばディスプレイ部201がスイッチ205sの位置までスライドしてきた場合にスイッチ205sがONになるとすると、状態情報取得部253は、スイッチ205sが2つともONである場合に、ディスプレイ207が背景面209に重ね合わせられていると判断する。また、状態情報取得部253は、スイッチ205sが2つともOFFである場合に、ディスプレイ207が背景面209に重ね合わせられておらず、背後の風景を透過していると判断する。スイッチ205sのうちの一方(右上の端近く)がONであり、他方(左下の端)がOFFである場合、状態情報取得部253はディスプレイ部201が本体部203に対してスライドする途中の状態にあると判断し、表示制御部251はディスプレイ207の表示を一時的に消滅させる。これによって、ディスプレイ部201のスライドの途中でユーザがディスプレイ207を観察していない間にディスプレイ207に不要な表示がされることを防ぎ、例えば消費電力を削減することができる。
【0050】
(表示の制御例)
以上で図4および図5を参照して説明した本開示の第2の実施形態における、表示制御部251によるディスプレイ207の表示の制御の例について説明する。
【0051】
上述の通り、本実施形態では、スライド機構205に設けられたスイッチ205sによって検出されるディスプレイ部201の位置が状態情報をして取得される。また、本実施形態では、ディスプレイ207の背景が変化しても、ユーザによって観察されるディスプレイ207の面は変化しないため、表示制御部251は、ディスプレイ207の状態に応じてディスプレイ207の表示の上下または左右を反転させなくてよい。それ以外の、状態情報に応じたディスプレイ207の表示の輝度の変化、およびディスプレイ207の表示内容の変化について、表示制御部251による表示の制御は、上記の第1の実施形態における表示制御部151による表示の制御と同様である。
【0052】
(3.第3の実施形態)
次に、図6を参照して、本開示の第3の実施形態について説明する。本開示の第3の実施形態は、着脱機構によって本体への着脱が可能な透明ディスプレイを有する電子機器300に係る実施形態である。図6は、電子機器300の外観を示す図である。
【0053】
なお、この第3の実施形態に係る電子機器300の構成は、図6に示す着脱機構305およびスイッチ305sがスライド機構205およびスイッチ205sに代えて用いられる点で上記の第2の実施形態に係る電子機器200とは相違する。しかし、それ以外の部分については電子機器200と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0054】
(装置の外観)
図6を参照すると、電子機器300は、筐体の部分としてディスプレイ部301と本体部303とを有する。ディスプレイ部301と本体部303とは、着脱機構305によって係合され、ディスプレイ部301は本体部303に着脱可能である。(a)はディスプレイ部301が本体部303の上面に装着された状態を示し、(b)はディスプレイ部301が本体部303から取り外された状態を示す。
【0055】
電子機器300は、例えばタブレット型やノート型のPC、スマートフォン、携帯電話、携帯型ゲーム機、PDAなどの電子機器である。電子機器300は、(b)のように本体部303から取り外されたディスプレイ部301がユーザによって把持されることが可能な電子機器であってもよい。この場合、ユーザは、周囲の風景などの任意の背景を、ディスプレイ部301に設けられるディスプレイ207の表示に透過させることができる。
【0056】
ディスプレイ部301は、ディスプレイ207を有する。本実施形態において、ディスプレイ部301は本体部303と物理的に分離することが可能である。そのため、ディスプレイ部301には、本体部303にある表示制御部251とディスプレイ207とをBluetooth(登録商標)などの無線通信によって接続してディスプレイ207に画面を表示させるための通信回路などが格納されうる。
【0057】
本体部303は、背景面209を有する。本体部303には、CPUなど電子機器300の機能を実現するための各種回路に加えて、表示制御部251とディスプレイ207とを無線通信によって接続するための通信回路などが格納されうる。また、本体部203には、操作ボタン211などの操作部が設けられてもよい。
【0058】
着脱機構305は、ディスプレイ部301を本体部303に対して着脱可能に係合する機構である。着脱機構305には、例えば、ツメ部と凹部とを組み合わせた機構のような、各種の着脱機構を用いることが可能である。着脱機構305には、ディスプレイ部301の着脱状態を検出するスイッチ305sが設けられる。スイッチ305sは、例えば図示されているように着脱機構305の所定の部分に設けられ、ディスプレイ部301が本体部303に装着されることで切り替わるスイッチでありうる。スイッチ305sは、検出の結果をディスプレイ207の後背面の側の状態を示す状態情報として状態情報取得部253に提供する。
【0059】
(表示例)
図6に示す(a)および(b)の場合にディスプレイ207に表示される画面は、例えば図2を参照して説明した(a)および(b)の画面と同様でありうる。
【0060】
つまり、(a)の場合、ディスプレイ部301は本体部303の上面に装着されており、ディスプレイ207は背景面209に重ね合わせられている。つまり、ディスプレイ207の背景は、非透過色の背景面209である。従って、この場合、ディスプレイ207は、背景が透過しないディスプレイ、すなわち通常のディスプレイと同様の表示をすることが可能である。
【0061】
一方、(b)の場合、ディスプレイ部301は本体部203から取り外されており、ディスプレイ207は背景面209には重ね合わせられていない。つまり、ディスプレイ207の背景は、ディスプレイ207の裏側の風景である。従って、この場合、ディスプレイ207は、背景が透過する透明ディスプレイ特有の表示をすることが可能である。
【0062】
なお、この第3の実施形態では、ディスプレイ部301が本体部303から取り外された(b)の状態でユーザによって観察されるディスプレイ207の面は、(a)の状態で観察される面と同じ面でもありうるし、異なる面でもありうる。従って、本実施形態では、(a)の状態と(b)の状態との間で、第1の実施形態のようにディスプレイ207に表示される画面の上下または左右を反転させるケースもありうるし、第2の実施形態のように反転させないケースもありうる。
【0063】
(機能構成)
電子機器300の機能構成は、スイッチ205sに代えてスイッチ305sが用いられる点以外では、上記の第2の実施形態に係る電子機器200と同様である。
【0064】
スイッチ305sは、例えば着脱機構305のある部分に設けられ、ディスプレイ部301が着脱機構305に装着されることで切り替わるスイッチでありうる。例えばディスプレイ部301が本体部303に装着されている場合にスイッチ305sがONになるとすると、状態情報取得部253は、スイッチ305sがONである場合に、ディスプレイ207が背景面209に重ね合わせられており、ディスプレイ207の背景が背景面209であると判断する。一方、状態情報取得部253は、スイッチ305sがOFFである場合に、ディスプレイ207が背景面209に重ね合わせられておらず、背景を透過していると判断する。
【0065】
別の例として、スイッチ305sは、着脱機構305の複数の位置に設けられてもよい。この場合、スイッチ305sは、例えば図6における2つの着脱機構305のそれぞれに設けられうる。例えばディスプレイ部301が本体部303に装着されている場合にスイッチ305sがONになるとすると、状態情報取得部253は、スイッチ305sが2つともONである場合に、ディスプレイ207が背景面209に重ね合わせられていると判断する。また、状態情報取得部253は、スイッチ305sが2つともOFFである場合に、ディスプレイ207が背景面209に重ね合わせられておらず、背景を透過していると判断する。スイッチ305sのうちの一方がONであり、他方がOFFである場合、状態情報取得部253はディスプレイ部301が本体部303に装着される途中、またはディスプレイ部301が本体部303から取り外される途中の状態にあると判断し、表示制御部251はディスプレイ207の表示を一時的に消滅させる。これによって、ディスプレイ部301の装着または取り外しの途中でユーザがディスプレイ207を観察していない間にディスプレイ207に不要な表示がされることを防ぎ、例えば消費電力を削減することができる。
【0066】
(表示の制御例)
以上で図6を参照して説明した本開示の第3の実施形態における、表示制御部251によるディスプレイ207の表示の制御の例について説明する。
【0067】
上述の通り、本実施形態では、ディスプレイ207の背景が変化した場合、ユーザによって観察されるディスプレイ207の面が変化する場合としない場合とがありうる。そのため、表示制御部251が、ディスプレイ207の状態に応じてディスプレイ207の表示の上下または左右を反転させる場合とさせない場合とがある。それ以外の、状態情報に応じたディスプレイ207の表示の輝度の変化、およびディスプレイ207の表示内容の変化について、表示制御部251による表示の制御は、上記の第1の実施形態における表示制御部151による表示の制御と同様である。
【0068】
(4.第4の実施形態)
次に、図7を参照して、本開示の第4の実施形態について説明する。本開示の第4の実施形態は、ヒンジによって本体に対して開閉可能な透明ディスプレイを有する電子機器400に係る実施形態である。図7は、電子機器400の外観を示す図である。
【0069】
電子機器400は、背景面409にキーボード409aおよびタッチパッド409bを有する点を除いては、上記の第1の実施形態に係る電子機器100と同様の構成を有する。かかる共通部分については、詳細な説明を省略する。
【0070】
図7を参照すると、電子機器100では、本体部103の背景面409にキーボード409aおよびタッチパッド409bが設けられる。キーボード409aは、いわゆるハードウェアキーボードであり、一般的に電子機器に用いられる各種の構成を採用することが可能である。タッチパッド409bは、ユーザの接触を検出する入力装置であり、これも一般的に用いられる各種の構成を採用することが可能である。
【0071】
ここで、この第4の実施形態において、(b)の状態でのディスプレイ107の表示は、上記の第1の実施形態と同様である。一方、(a)の状態でのディスプレイ107の表示は、ディスプレイ107の背景になる背景面409に設けられたキーボード409aとタッチパッド409bとに対応した表示制御がされる点で、上記の第1の実施形態とは異なる。つまり、(a)では、キーボード409aとタッチパッド409bとがディスプレイ107に透過して見えている状態になるため、これらを考慮した表示制御が実行される。
【0072】
キーボード409aでは、それぞれのキーが出っ張った形状になっており、またキーには例えば“Q”、“W”、“E”などの文字が表示されている。また、タッチパッド409bは、背景面409よりも窪んだ形状になっていたり、接触操作が可能な領域を示すために周辺の背景面409とは異なる色であったりする。このような形状や色彩がディスプレイ107を透過してユーザに視認されると、上記の第1の実施形態のように背景面が無地の平面である場合に比べて、(a)の状態でのディスプレイ107の表示の視認性や表現力が低下したり、ユーザに違和感を与えたりする場合がある。
【0073】
そこで、表示制御部151は、ディスプレイ107の後背面の側の状態に応じて表示の輝度を変化させるときに、上記のキーボード409aおよびタッチパッド409bの形状や色彩をキャンセルするようにディスプレイ107の部分ごとに異なる値の輝度変化を設定する。これによって、ディスプレイ107の表示の視認性や表現力が向上し、(a)の状態でディスプレイ107を観察するユーザが、キーボード409aやタッチパッド409bをあまり意識しないようにすることができる。
【0074】
なお、キーボード409aやタッチパッド409bが周辺の背景面409と同様の不透過色、例えば黒色であれば、上記のような表示制御部151の制御がなくても、(a)の状態でのディスプレイ107の表示の視認性や表現力は、(b)の状態に比べて十分向上する。例えばキーボード409aの文字をイルミネーション表示にして、(a)の状態ではこのイルミネーション表示を消すようにすれば、キーボード409aが設けられていることによるディスプレイ107の表示への影響をより低減できる。しかしながら、上記のような表示制御部151の制御をすることによって、(a)の状態でのディスプレイ107の表示の視認性や表現力は一段と向上しうる。
【0075】
(5.第5の実施形態)
次に、図8を参照して、本開示の第5の実施形態について説明する。本開示の第5の実施形態は、ヒンジによって本体に対して開閉可能な透明ディスプレイを有する電子機器500に係る実施形態である。図8は、電子機器500の外観を示す図である。
【0076】
電子機器500は、背景面509に太陽電池パネル509aを有する点を除いては、上記の第1の実施形態に係る電子機器100と同様の構成を有する。かかる共通部分については、詳細な説明を省略する。
【0077】
図8を参照すると、電子機器100では、背景面509に太陽電池パネル509aが設けられる。太陽電池パネル509aは、太陽電池のパネルであり、太陽光などの光を受けて発電する。太陽電池パネル509aは、背景面509の全体に配置されてもよいし、その一部に配置されてもよい。太陽電池パネル509aには、図示されている例に関わらず、各種の太陽電池パネルを用いることが可能である。
【0078】
ここで、この第5の実施形態において、(b)の状態でのディスプレイ107の表示は、上記の第1の実施形態と同様である。一方、(a)の状態でのディスプレイ107の表示は、ディスプレイ107の背景になる背景面509に設けられた太陽電池パネル509aに対応した表示制御がされる点で、上記の第1の実施形態とは異なる。つまり、(a)では、太陽電池パネル509aがディスプレイ107に透過して見えている状態になるため、これを考慮した表示制御が実行される。
【0079】
太陽電池パネル509aでは、例えば結晶部分とフレーム部分とで材質が異なり、従って色彩や光沢などが異なる。このような色彩や光沢がディスプレイ107を透過してユーザに視認されると、上記の第1の実施形態のように背景面が無地の平面である場合に比べて、(a)の状態でのディスプレイ107の表示の視認性や表現力が低下したり、ユーザに違和感を与えたりする場合がある。
【0080】
そこで、表示制御部151は、ディスプレイ107の後背面の側の状態に応じて表示の輝度を変化させるときに、上記の太陽電池パネル509aの色彩や光沢をキャンセルするようにディスプレイ107の部分ごとに異なる値の輝度変化を設定する。これによって、ディスプレイ107の表示の視認性や表現力が向上し、(a)の状態でディスプレイ107を観察するユーザが、太陽電池パネル509aをあまり意識しないようにすることができる。
【0081】
なお、太陽電池パネル509aが周辺の背景面509と同様の不透過色、例えば黒色であれば、上記のような表示制御部151の制御がなくても、(a)の状態でのディスプレイ107の表示の視認性や表現力は、(b)の状態に比べて十分向上する。しかしながら、上記のような表示制御部151の制御をすることによって、(a)の状態でのディスプレイ107の表示の視認性や表現力は一段と向上しうる。
【0082】
(6.第6の実施形態)
次に、図9を参照して、本開示の第6の実施形態について説明する。本開示の第6の実施形態は、ヒンジによって本体の両面に対して開閉可能な透明ディスプレイを有する電子機器600に係る実施形態である。図9は、電子機器600の外観を示す図である。
【0083】
電子機器600は、本体部103の両面にそれぞれ背景面409と背景面509とを有する点を除いては、上記の第1の実施形態に係る電子機器100と同様の構成を有する。また、背景面409は、上記の第4の実施形態に係る電子機器400の背景面409と同様の面である。さらに、背景面509は、上記の第5の実施形態に係る電子機器500の背景面509と同様の面である。かかる共通部分については、詳細な説明を省略する。
【0084】
図9を参照すると、電子機器600では、(a)のようにディスプレイ107が背景面409に重なり合った状態から、ヒンジ105を回転させると、(b)のように背景面409側でディスプレイ部101が本体部103に対して開いた状態になる。(b)の状態から、さらにヒンジ105を回転させると、(c)のように背景面509側でディスプレイ部101が本体部103に対して開いた状態になる。(c)の状態から、さらにヒンジ105を回転させると、(d)のようにディスプレイ107が背景面509に重なり合った状態になる。それぞれの状態においてディスプレイ部101に設けられるディスプレイ107をユーザが観察する向きが、模式的なユーザの視線によって示されている。
【0085】
つまり、本実施形態において、ヒンジ105の回転角度θは、ほぼ0°〜360°の値をとりうる。図示された例では、回転角度θが0°に近い場合に、ディスプレイ107は背景面409に重なり合った状態(a)になり、回転角度θが360°に近い場合に、ディスプレイ107は背景面509に重なり合った状態(d)になる。
【0086】
従って、本実施形態において、表示制御部151は、上記のそれぞれの状態に応じてディスプレイ107の表示を制御する。具体的には、(a)の状態で、表示制御部151は、背景面409にあるキーボード409aおよびタッチパッド409bの形状や色彩をキャンセルするようにディスプレイ107の表示の輝度を変化させる。(b)の状態で、表示制御部151は、ディスプレイ107に裏側の風景が透過している場合に適した輝度に表示の輝度を変化させる。また、表示制御部151は、(a)の状態と(b)の状態との間でディスプレイ107の表示の上下を反転させる。表示制御部151は、(a)の状態と(b)の状態との間でディスプレイ107の表示内容を変更してもよい。
【0087】
さらに、(c)の状態で、図示された例のように(b)の状態とは異なる側からディスプレイ107が観察される場合、表示制御部151は、(b)の状態と(c)の状態との間でディスプレイ107の表示の左右を反転させる。(d)の状態で、表示制御部は、背景面509にある太陽電池パネル509aの色彩や光沢をキャンセルするようにディスプレイ107の表示の輝度を変化させる。また、表示制御部151は、(c)の状態と(d)の状態との間でディスプレイ107の表示の上下を反転させる。表示制御部151は、(c)の状態と(d)の状態との間でディスプレイ107の表示内容を変更してもよい。
【0088】
一方、状態情報取得部153は、ヒンジ105の回転角度θについての複数の閾値を用いて、上記の(a)〜(d)の状態を判別する。例えば、状態情報取得部153は、回転角度θについて、(a)の状態と(b)の状態とを判別するための第1の閾値と、(b)の状態と(c)の状態とを判別するための第2の閾値と、(c)の状態と(d)の状態との第3の閾値とを用いうる。図示された例では、第1の閾値が0°に近い値であり、第2の閾値が180°に近い値であり、第3の閾値が360°に近い値でありうる。この第6の実施形態においても、上記の第1の実施形態と同様に、状態情報取得部153はそれぞれの状態の中間の状態を定義し、表示制御部151は中間の状態でディスプレイ107の表示を一時的に消滅させてもよい。さらに、回転角度θの閾値判定に基づく制御に、ヒステリシス制御が用いられてもよい。
【0089】
(7.電子機器のハードウェア構成)
図10を参照して、本開示の実施形態に係る電子機器のハードウェア構成の一例について説明する。図10は、電子機器900のハードウェア構成を示すブロック図である。電子機器900は、上記の各実施形態に係る電子機器100,200,300,400,500,600を実現しうる電子機器である。
【0090】
電子機器900は、ディスプレイ901、タッチパネル903、キーボード905、太陽電池907、不揮発性メモリ909、CPU911、RAM(Random Access Memory)913およびバッテリ915を含む。これらの構成要素は、例えばバス線や給電線などによって相互に接続される。
【0091】
ディスプレイ901は、上記各実施形態でのディスプレイ107,207に対応する表示装置である。ディスプレイ901は、OLEDまたは透過型LCDなどを用いた透明ディスプレイであり、CPU911の制御に従って画像を表示する。
【0092】
タッチパネル903は、上記各実施形態でディスプレイ901の表面に設けられうる入力装置である。タッチパネル903は、ユーザの接触を電子機器900に対する操作入力として取得する。
【0093】
キーボード905は、第4および第6の実施形態でのキーボード409aに対応する入力装置である。他の実施形態では、キーボード905は設けられなくてもよい。電子機器900には、キーボード905とともに、またはこれに代えて、タッチパッドや操作ボタンなどの他の入力装置が設けられてもよい。
【0094】
太陽電池907は、第5および第6の実施形態での太陽電池パネル509aに対応する。他の実施形態では、太陽電池907は設けられなくてもよい。太陽電池907は、太陽光などの光を受けて発電し、電力をバッテリ915に供給する。
【0095】
不揮発性メモリ909は、上記各実施形態でCPU150,250が動作するためのプログラムなど、電子機器900において用いられる各種の情報を格納するためのメモリである。電子機器900は、不揮発性メモリ909とともに、HDD(Hard Disk Drive)などのストレージ装置や、各種のリムーバブル記録媒体の読み書きのためのドライブを有していてもよい。
【0096】
CPU911は、上記各実施形態でのCPU150,250に対応する。CPU911は、不揮発性メモリ909などに格納されたプログラムを実行することによってディスプレイ901を含む電子機器900の各部を制御する。
【0097】
RAM913は、CPU911が動作するためのプログラムや、CPU911の演算のパラメータなどを一時的に記憶する。
【0098】
バッテリ915は、電子機器900の各部に電力を供給する。電子機器900が太陽電池907を有する場合、バッテリ915は太陽電池907から電力の供給を受ける。それ以外の場合、バッテリ915は外部からの給電によって電力を供給される。
【0099】
以上、電子機器900のハードウェア構成の一例について説明した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素は、本技術が実施される時々の技術レベルに応じて、適宜変更されうる。
【0100】
(8.実施形態のまとめ)
(1)以上で説明した本開示の実施形態は、観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御する表示制御部と、ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部とを含み、表示制御部は、状態情報に応じてディスプレイに表示させる表示を変化させる表示制御装置に関する。
【0101】
実施形態の説明において、表示制御装置は、電子機器100,200,300,400,500,600として例示された。また、背景が透過するディスプレイは、透明ディスプレイであるディスプレイ107,207として例示された。表示制御部は、表示制御部151,251として例示された。状態情報は、ヒンジ回転角度センサ105s、スイッチ205s,305sによって提供される情報として例示された。状態情報取得部は、状態情報取得部153,253として例示された。
【0102】
上記の構成によれば、後背面の側の状態が変化しうる透明ディスプレイの表示において、後背面の側の状態に応じて表示の輝度、向きまたは内容などを変化させることで、視認性または表現力のような表示特性を向上させることができる。
【0103】
(2)本開示の実施形態において、状態情報取得部は、ディスプレイの後背面が第1の面に対向している第1の状態とディスプレイの後背面が第1の面に対向していない第2の状態とを示す情報を含む状態情報を取得し、表示制御部は、状態情報が第1の状態を示す場合と第2の状態を示す場合との間でディスプレイに表示させる表示を変化させうる。
【0104】
実施形態の説明において、第1の面は、背景面109,209,409,509として例示された。また、第1の状態は、ディスプレイ部101が本体部103に対して閉じられた状態、ディスプレイ部201が本体部203の上面に重なり合っている状態、およびディスプレイ部301が本体部303に装着されている状態として例示された。第2の状態は、ディスプレイ部101が本体部103に対して開かれた状態、ディスプレイ部201が本体部203の上面からせり出した状態、およびディスプレイ部301が本体部303から取り外された状態として例示された。
【0105】
上記の構成によれば、ディスプレイの背景が第1の面になった状態、つまりディスプレイの後背面が所定の背景面に対向している場合に、その背景面に合わせて表示を変化させることによって、透明ディスプレイを背景が透過しない通常のディスプレイと同様に用いて、表示の視認性や表現力を向上させることができる。
【0106】
なお、本技術において、状態情報は、ディスプレイの後背面が所定の背景面に対向していることを示す情報を必ずしも含まなくてもよい。例えば、表示制御装置は、その時々のディスプレイの後背面の側の状態をカメラなどで認識し、それに合わせて表示を変化させてもよい。かかる構成によっても、透明ディスプレイの表示特性の向上が実現されうる。
【0107】
(3)本開示の実施形態において、状態情報取得部は、ディスプレイを有する第1の部分を第1の面を有する第2の部分に係合させディスプレイが第1の面に重ね合わせられた状態である第1の状態とディスプレイが第1の面から離れた状態である第2の状態とを切り替える係合機構の動作状態の情報を状態情報として取得しうる。
【0108】
実施形態の説明において、第1の部分は、ディスプレイ部101,201,301として例示された。また、第2の部分は、本体部103,203,303として例示された。係合機構は、ヒンジ105、スライド機構205、着脱機構305として例示された。係合機構の動作状態は、ヒンジ105の回転角度、スライド機構205によってスライドしたディスプレイ部201の位置、着脱機構305によるディスプレイ部301の着脱状態として例示された。なお、本明細書の記載における“ディスプレイが第1の面に重ね合わせられた状態”は、ディスプレイと第1の面とが密着している場合のみならず、ディスプレイを透過して第1の面が視認可能な範囲でディスプレイと第1の面とが接近している場合をも含みうる。
【0109】
上記の構成によれば、機械的な構造によって透明ディスプレイが特定の背景に重ね合わせられた状態とそうではない状態とが切り替えられる場合に、切り替えのための機構の動作状態を状態情報として用いることによって、容易にディスプレイの後背面の側の状態を認識することができる。
【0110】
なお、本技術において、状態情報は、必ずしも機構の動作状態の情報でなくてもよい。例えば、状態情報は、ディスプレイ部などに設けられたカメラによって、ディスプレイに対面している物体を認識することによって取得されてもよい。このとき、背景面に設けられたQRコード(登録商標)のような所定のコードを読み取ることによって、ディスプレイ部の背景面が認識されてもよい。また、別の例として、状態情報は、ディスプレイ部と本体部とにそれぞれ設けられた端子を用いたデータ通信によって取得されてもよい。
【0111】
(4)本開示の実施形態において、第2の状態は、ディスプレイの後背面が特定の面に対向していない状態でありうる。
【0112】
実施形態の説明において、ディスプレイ部101,201,301が本体部103,203,303に重ね合わせられていない状態が、ここでいう第2の状態にあたる。
【0113】
上記の構成によれば、ディスプレイの背景が背後の風景である場合に、その状態に合わせて表示を変化させることによって、例えばAR技術によって得られる情報を実際の風景に重畳させて表示するなど、透明ディスプレイの特性を活用した表示ができる。
【0114】
(5)本開示の実施形態において、第2の状態は、ディスプレイの後背面が第1の面とは異なる第2の面に対向している状態でありうる。
【0115】
実施形態の説明において、ここでいう第1の面および第2の面は、第6の実施形態における背景面409および背景面509として例示された。また、第1の状態および第2の状態は、同じく第6の実施形態において、ディスプレイ107が背景面409に重ね合わせられた状態および背景面509に重ね合わせられた状態として例示された。
【0116】
上記の構成によれば、ディスプレイの背景が、表面の状態が異なる2つの面の間で変化しうる場合に、それぞれの背景に合わせて表示を変化させることによって、それぞれの背景での表示の視認性や表現力を向上させることができる。
【0117】
(6)本開示の実施形態において、状態情報取得部は、第1の状態および第2の状態とは異なる第3の状態を示す情報を含む状態情報を取得し、表示制御部は、状態情報が第3の状態を示す場合に、状態情報が第1の状態または第2の状態を示す場合のいずれとも異なる変化をディスプレイの表示に与えうる。
【0118】
実施形態の説明において、第3の状態は、ヒンジ105の回転角度θが第1の閾値と第2の閾値との中間にある状態、複数設けられたスイッチ205s,305sの一方がONであり他方がOFFである状態、および第6の実施形態における(b)および(c)の状態として例示された。
【0119】
上記の構成によれば、ディスプレイの後背面の側の状態をより細かく認識することができ、それぞれの状態に応じてより適切に表示を制御することができる。
【0120】
(7)本開示の実施形態において、第3の状態は、ディスプレイの後背面の側の状態が第1の状態と第2の状態との間で変化する過程にある中間の状態であり、表示制御部は、状態情報が第3の状態を示す場合に、ディスプレイの表示を一時的に消滅させうる。
【0121】
実施形態の説明において、ここでいう第3の状態は、ヒンジ105の回転角度θが第1の閾値と第2の閾値との中間にある状態、複数設けられたスイッチ205s,305sの一方がONであり他方がOFFである状態として例示された。
【0122】
上記の構成によれば、ディスプレイの背景が変化している中間の状態が、ユーザがディスプレイを観察している可能性が低い状態と推定される場合に、ディスプレイの表示が一時的に消滅することで、消費電力を削減できる。また、所定の後背面の側の状態ではない状態ではディスプレイの表示をしないことによって、ディスプレイの表示が不自然な状態になることを防ぐこともできうる。
【0123】
(8)本開示の実施形態において、表示制御部は、状態情報が第1の状態を示す場合に第1の面のパターンまたはテクスチャに応じてディスプレイに表示させる表示を変化させうる。
【0124】
実施形態の説明において、第1の面のパターンまたはテクスチャは、背景面409に設けられたキーボード409aおよびタッチパッド409bの形状や色彩、ならびに背景面509に設けられた太陽電池パネル509aの色彩や光沢として例示された。
【0125】
上記の構成によれば、透明ディスプレイの後背面に対向する面に何らかの部材が配置されているような場合に、例えばその部材のパターンやテクスチャをキャンセルするようにディスプレイの表示の輝度を変化させることによって、表示の視認性や表現力を向上させることができる。
【0126】
なお、背景面のパターンまたはテクスチャは、予め情報として保持されていてもよいし、ディスプレイ部などに設けられたカメラを用いた物体認識によって判別されてもよい。また、背景面に設けられうる部材は、実施形態の説明において例示されたキーボード、タッチパネル、および太陽電池パネルには限られず、各種の部材でありうる。例えば、背景面には電子ペーパーが設けられてもよい。この場合、表示制御部は、背景面にある電子ペーパーの表示と協調した表示をするようにディスプレイの表示を制御しうる。電子ペーパーの表示も、パターンまたはテクスチャの一種といえる。
【0127】
(9)本開示の実施形態において、表示制御部は、状態情報に応じてディスプレイの表示の輝度を変化させうる。
【0128】
上記の構成によれば、例えば、ディスプレイの後背面が所定の背景面に対向している場合とそうではない場合とのそれぞれにおいて最適な輝度を設定することができ、ディスプレイの表示特性が向上しうる。
【0129】
(10)本開示の実施形態において、表示制御部は、状態情報に応じてディスプレイの表示の上下または左右を反転させうる。
【0130】
上記の構成によれば、ディスプレイの後背面の状態が変化するとともにユーザがディスプレイを観察する向きも変化する場合に、ディスプレイの表示を反転させることによってこの変化に対応することができる。
【0131】
(11)本開示の実施形態において、表示制御部は、状態情報に応じてディスプレイの表示内容を変化させうる。
【0132】
上記の構成によれば、例えばディスプレイの後背面が所定の背景面に対向している場合とそうではない場合との間でAR技術によって得られる情報の表示の仕方を変更するなどして、表示内容をその時々のディスプレイの背景により適応したものにすることができる。
【0133】
(9.補足)
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0134】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御する表示制御部と、
前記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部と
を備え、
前記表示制御部は、前記状態情報に応じて前記ディスプレイに表示させる表示を変化させる表示制御装置。
(2)前記状態情報取得部は、前記ディスプレイの後背面が第1の面に対向している第1の状態と前記ディスプレイの後背面が前記第1の面に対向していない第2の状態とを示す情報を含む前記状態情報を取得し、
前記表示制御部は、前記状態情報が前記第1の状態を示す場合と前記第2の状態を示す場合との間で前記ディスプレイに表示させる表示を変化させる、前記(1)に記載の表示制御装置。
(3)前記状態情報取得部は、前記ディスプレイを有する第1の部分を前記第1の面を有する第2の部分に係合させ前記ディスプレイが前記第1の面に重ね合わせられた状態である前記第1の状態と前記ディスプレイが前記第1の面から離れた状態である前記第2の状態とを切り替える係合機構の動作状態の情報を前記状態情報として取得する、前記(2)に記載の表示制御装置。
(4)前記第2の状態は、前記ディスプレイの後背面が特定の面に対向していない状態である、前記(2)または(3)に記載の表示制御装置。
(5)前記第2の状態は、前記ディスプレイの後背面が前記第1の面とは異なる第2の面に対向している状態である、前記(2)または(3)に記載の表示制御装置。
(6)前記状態情報取得部は、前記第1の状態および前記第2の状態とは異なる第3の状態を示す情報を含む前記状態情報を取得し、
前記表示制御部は、前記状態情報が前記第3の状態を示す場合に、前記状態情報が前記第1の状態または前記第2の状態を示す場合のいずれとも異なる変化を前記ディスプレイの表示に与える、前記(2)〜(5)のいずれか1項に記載の表示制御装置。
(7)前記第3の状態は、前記ディスプレイの後背面の側の状態が前記第1の状態と前記第2の状態との間で変化する過程にある中間の状態であり、
前記表示制御部は、前記状態情報が前記第3の状態を示す場合に、前記ディスプレイの表示を一時的に消滅させる、前記(6)に記載の表示制御装置。
(8)前記表示制御部は、前記状態情報が前記第1の状態を示す場合に前記第1の面のパターンまたはテクスチャに応じて前記ディスプレイに表示させる表示を変化させる、前記(2)〜(7)のいずれか1項に記載の表示制御装置。
(9)前記表示制御部は、前記状態情報に応じて前記ディスプレイの表示の輝度を変化させる、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の表示制御装置。
(10)前記表示制御部は、前記状態情報に応じて前記ディスプレイの表示の上下または左右を反転させる、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の表示制御装置。
(11)前記表示制御部は、前記状態情報に応じて前記ディスプレイの表示内容を変化させる、前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の表示制御装置。
(12)観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御することと、
前記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得することと、
前記状態情報に応じて前記ディスプレイに表示させる表示を変化させることと
を含む表示制御方法。
(13)観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御する機能と、
前記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得する機能と、
前記状態情報に応じて前記ディスプレイに表示させる表示を変化させる機能と
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0135】
100,200,300,400,500,600 電子機器
101,201,301 ディスプレイ部
103,203,303 本体部
105 ヒンジ
205 スライド機構
305 着脱機構
107,207 ディスプレイ
109,209,409,509 背景面
150 CPU
151,251 表示制御部
153,253 状態情報取得部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御する表示制御部と、
前記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部と
を備え、
前記表示制御部は、前記状態情報に応じて前記ディスプレイに表示させる表示を変化させる表示制御装置。
【請求項2】
前記状態情報取得部は、前記ディスプレイの後背面が第1の面に対向している第1の状態と前記ディスプレイの後背面が前記第1の面に対向していない第2の状態とを示す情報を含む前記状態情報を取得し、
前記表示制御部は、前記状態情報が前記第1の状態を示す場合と前記第2の状態を示す場合との間で前記ディスプレイに表示させる表示を変化させる、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記状態情報取得部は、前記ディスプレイを有する第1の部分を前記第1の面を有する第2の部分に係合させ前記ディスプレイが前記第1の面に重ね合わせられた状態である前記第1の状態と前記ディスプレイが前記第1の面から離れた状態である前記第2の状態とを切り替える係合機構の動作状態の情報を前記状態情報として取得する、請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記第2の状態は、前記ディスプレイの後背面が特定の面に対向していない状態である、請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記第2の状態は、前記ディスプレイの後背面が前記第1の面とは異なる第2の面に対向している状態である、請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記状態情報取得部は、前記第1の状態および前記第2の状態とは異なる第3の状態を示す情報を含む前記状態情報を取得し、
前記表示制御部は、前記状態情報が前記第3の状態を示す場合に、前記状態情報が前記第1の状態または前記第2の状態を示す場合のいずれとも異なる変化を前記ディスプレイの表示に与える、請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記第3の状態は、前記ディスプレイの後背面の側の状態が前記第1の状態と前記第2の状態との間で変化する過程にある中間の状態であり、
前記表示制御部は、前記状態情報が前記第3の状態を示す場合に、前記ディスプレイの表示を一時的に消滅させる、請求項6に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記状態情報が前記第1の状態を示す場合に前記第1の面のパターンまたはテクスチャに応じて前記ディスプレイに表示させる表示を変化させる、請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記状態情報に応じて前記ディスプレイの表示の輝度を変化させる、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記状態情報に応じて前記ディスプレイの表示の上下または左右を反転させる、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記状態情報に応じて前記ディスプレイの表示内容を変化させる、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項12】
観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御することと、
前記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得することと、
前記状態情報に応じて前記ディスプレイに表示させる表示を変化させることと
を含む表示制御方法。
【請求項13】
観察するユーザが存在する側の面である観察面の裏側にある後背面の側から入射した光を、透過させて該ユーザに観察可能とさせるディスプレイの表示を制御する機能と、
前記ディスプレイの後背面の側の状態を示す状態情報を取得する機能と、
前記状態情報に応じて前記ディスプレイに表示させる表示を変化させる機能と
をコンピュータに実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−15788(P2013−15788A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150433(P2011−150433)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】