説明

表示制御装置

【課題】複数の表示器のいずれかに異常等が生じた場合であっても、煩雑な作業を強いることなく、所望の情報を表示することを可能とする。
【解決手段】複数の表示器の表示制御を行う表示制御装置であって、表示器ごとに固有の物理番号と書き換え可能な論理番号とを設定した物理・論理テーブルと、各論理番号と表示内容との関係を規定したスケジュール情報とを記憶する記憶手段と、表示内容をあらわす表示データが入力された場合、表示データと物理・論理テーブルと前記スケジュール情報とに基づいて各表示器の表示内容を制御する制御手段と、所定の条件を満たす場合には、論理番号を書き換えることで、物理・論理テーブルに設定されている前記物理番号と前記論理番号との対応関係を更新する更新手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港の案内表示などに利用される複数の表示器の表示制御を行う表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空港などで採用されている表示システムは、複数の表示パネルから構成され、それぞれの表示パネルには、搭乗ゲートの案内情報、出発便や到着便などのフライト情報、航空会社などのコマーシャル情報など各種情報が表示される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図16は、従来の表示システム10の構成を示す図である。
表示システム10は、4つの表示パネル1−1〜1−4によって構成され、表示パネル1−1には案内情報、表示パネル1−2には第1フライト情報、表示パネル1−3には第2フライト情報、1−4にはコマーシャル情報が表示されている。各表示パネル1−1〜1−4は、有線ケーブル(物理的な配線)によって表示制御端末2に接続されている。表示制御端末2は、サーバ3から通信ネットワークを介して各表示パネル1−1〜1−4に表示すべき各種情報を受信するとともに、受信した各種情報を各表示パネル1−1〜1−4に表示する。
【0004】
ここで、表示パネル1−1〜1−4のいずれかに故障等が発生すると、故障等が発生した表示パネルには何も表示されなくなる。例えば、図17に示すように表示パネル1−2に故障が発生すると、該表示パネル1−2は無表示状態となる。表示パネル1−2に表示されるべき重要な情報(ここでは第1フライト情報)が長時間表示されないと、航空機を利用する旅客者の混乱を招いてしまう。
【0005】
このような混乱を避けるべく、従来は各表示パネルの物理的な配線を組み換え、表示パネル1−2に表示されていた第1フライト情報を表示パネル1−4に表示するなどして緊急対応していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−147469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の如く、表示パネル1−1〜1−4の物理的な配線を組み換えるためには煩雑な作業が必要となる。例えば、表示パネル1−2に表示されていた第1フライト情報を表示パネル1−4に表示するためには、メンテナンス作業者が表示パネル1−1〜1−4の設置現場に赴き、表示パネル1−2と表示パネル1−4の配線を組み換える等の作業が必要であった。
【0008】
本発明は以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、複数の表示器のいずれかに異常等が生じた場合であっても、煩雑な作業を強いることなく、所望の情報を表示することが可能な表示制御装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る表示制御装置は、複数の表示器の表示制御を行う表示制御装置であって、記表示器ごとに固有の物理番号と書き換え可能な論理番号とを設定した物理・論理テーブルと、前記各論理番号と表示内容との関係を規定したスケジュール情報とを記憶する記憶手段と、表示データが入力された場合、前記表示データと前記物理・論理テーブルと前記スケジュール情報とに基づいて各表示器の表示内容を制御する制御手段と、所定の条件を満たす場合には、前記論理番号を書き換えることで、前記物理・論理テーブルに設定されている前記物理番号と前記論理番号との対応関係を更新する更新手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、複数の表示器のいずれかに異常等が生じた場合であっても、煩雑な作業を強いることなく、所望の情報を表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る表示システムの概略構成を示す図である。
【図2】同実施形態に係る物理・論理対応テーブルの登録例を示す図である。
【図3】同実施形態に係るスケジュール情報を例示した図である。
【図4】同実施形態に係る入力端末の操作画面を例示した図である。
【図5】同実施形態に係る物理・論理対応テーブルの登録例を示す図である。
【図6】同実施形態に係る表示システムの概略構成を示す図である。
【図7】同実施形態に係る前処理を示すシーケンス図である。
【図8】同実施形態に係るテーブル更新処理を示す図である。
【図9】同実施形態に係る表示制御処理を示す図である。
【図10】変形例1に係る入力端末の操作画面を例示した図である。
【図11】変形例2に係る表示制御端末の構成を示す図である。
【図12】変形例3に係る表示パネルの構成を例示した図である。
【図13】同変形例に係る物理・論理対応テーブルの登録例を示す図である。
【図14】同変形例に係る物理・論理対応テーブルの登録例を示す図である。
【図15】同変形例に係る表示パネルの構成を例示した図である。
【図16】従来例の表示システムの構成を示す図である。
【図17】従来例の表示システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
A.本実施形態
(1)実施形態の構成
図1は、本実施形態に係る表示システム100の概略構成を示す図である。表示システム100は、空港などの旅客案内に利用される表示システムであり、サーバ110と、表示制御端末120と、複数の表示パネル130−1〜130−4と、入力端末140とを備えて構成されている。なお、以下の説明では、複数の表示パネル130−1〜130−4について、特に区別する必要がない場合には、単に表示パネル130と呼ぶ。また、本実施形態では4つの表示パネル130を備える場合を例示するが、複数の表示パネル130を備えるあらゆる態様に適用可能である。
【0014】
各表示パネル130は、例えばLED(発光ダイオード)やPDP(プラズマディスプレイ)
、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示器によって構成されている。各表示パネル130は、表示制御端末120による制御のもと、搭乗ゲートの案内情報、出発便や到着便などのフライト情報(本実施形態では第1フライト情報および第2フライト情報)、航空会社などのコマーシャル情報など、旅客案内に係わる各種情報を表示する。
【0015】
表示制御端末(表示制御装置)120は、既成のパーソナルコンピュータなどにより構成され、無線LANなどの通信ネットワークを介してサーバ110に接続されている。表示制御端末(制御手段)120は、サーバ110から送信される表示データ、物理・論理対応テーブル、スケジュール情報を受信するとともに、受信した各データに基づき各表示パネル130の表示制御を行う。
【0016】
表示データは、4つの表示パネル130−1〜130−4を利用して表示すべき内容(すなわち4画面分の表示内容)をあらわすデータである。なお、以下では説明の便宜上、案内情報(1画面分)、第1フライト情報(1画面分)、第2フライト情報(1画面分)、コマーシャル情報(1画面分)を含む表示データを想定する。
【0017】
物理・論理対応テーブルTAは、表示パネル130の論理番号と物理番号との対応をあらわすテーブルである。図2は、物理・論理対応テーブルTAの登録内容を例示した図である。
物理番号は、各表示パネル130に固定の番号であり、表示パネル130−1〜130−4には、予め物理番号「P1」〜「P4」が設定されている(図2参照)。一方、論理番号は、サーバ110によって書き換え可能(変更可能)な番号であり、初期状態(または全ての表示パネルに異常がない状態)において、表示パネル130−1〜130−4には論理番号「L1」〜「L4」が設定されている(図2参照)。
【0018】
スケジュール情報は、表示内容と論理番号との対応をあらわした情報である。図3は、スケジュール情報の一例を示しており、ここではスケジュール情報として、案内情報を論理番号「L1」に表示し、第1フライト情報を論理番号「L2」に表示し、第2フライト情報を論理番号「L3」に表示し、コマーシャル情報を論理番号「L4」に表示する、という内容が設定されている。なお、表示制御端末120の具体的な動作については後に詳述する。
【0019】
入力端末140は、例えば携帯型のコンピュータなどであり、無線LANなどの通信ネットワークを介してサーバ110に接続されている。入力端末140は、表示パネル130の状態(異常の有無)をサーバ110に通知する役割を担っている。メンテナンス作業者は、いずれかの表示パネル(以下では表示パネル130−2を想定)に異常が発生し、当該表示パネル130−2が表示できない状態(以下、閉塞状態)にあると判断すると、入力端末140を利用して表示パネル130−2が閉塞状態にある旨の入力を行う。
【0020】
具体的には、メンテナンス作業者は、図4に示すような入力端末140の操作画面SCに表示されるラジオボタンRBを利用して、各表示パネル130−1〜130−4のステータス(「使用中」または「閉塞中」)を選択する。例えば表示パネル130−2が閉塞状態にあり、他の表示パネル130−1、130−3、130−4が正常状態にある場合には、表示パネル130−3について「閉塞中」のラジオボタンRBを選択する一方、表示パネル130−1、130−3、130−4について「使用中」のラジオボタンRBを選択する。かかる操作がなされると、入力端末140からサーバ110へ表示パネル130−2が閉塞状態にある旨の通知が行われる。
【0021】
サーバ110は、大型コンピュータなどにより構成され、上述した表示データ、物理・論理管理テーブルTA、スケジュール情報などを作成し、無線LANなどの通信ネットワークを介して表示制御端末120に送信する。さらに、サーバ(更新手段)110は、入力端末140からいずれかの表示パネル130(例えば、表示パネル130−2)が閉塞状態にある旨の通知を受け取ると、この通知に従って物理・論理対応テーブルTAの登録内容を更新するとともに、更新後の物理・論理対応テーブルTAを表示制御端末120に送信する。
【0022】
例えば、サーバ110は、入力端末140から通信ネットワークを介して表示パネル130−2が閉塞状態にある旨の通知を受け取ると、閉塞状態にある表示パネル130−2の論理番号「L2」を「L0」に更新するとともに、表示パネル130−3の論理番号を「L3」から「L2」へ、表示パネル130−4の論理番号を「L4」から「L3」へそれぞれシフト(更新)する(図5参照)。ここで、論理番号「L0」は、閉塞状態を意味する論理番号であり、情報を表示できない表示パネル130に設定される論理番号である。
【0023】
サーバ110は、このようにして物理・論理対応テーブルTAに登録されている物理番号と論理番号の対応関係を更新すると、更新後の物理・論理対応テーブルTAを表示制御端末120に送信する。表示制御端末120は、この更新後の物理・論理対応テーブルTAを参照しながら表示制御を行うことで、表示パネル130−2に故障等が生じた後であっても、表示パネル130−2の表示内容を表示パネル130−3に表示することが可能となる(図6参照)。これにより、第1フライト情報といった重要な情報が長時間表示されず、航空機を利用する旅客者の混乱を招いてしまうといった問題を抑制することができる。また、メンテナンス作業者は、入力端末140を利用していずれの表示パネル130に異常が発生したか(すなわち閉塞状態となったか)を入力するだけで良く、物理的な配線を組み換える等の煩雑な作業は不要となる。なお、物理・論理対応テーブルの書き換えは、上記の如くもっとも表示順序の遅い表示内容(すなわち論理番号「4」の表示内容)が消去されるように設定しても良いが、例えばメンテナンス作業者が、入力端末140を利用していずれの情報を消去すべきか任意に設定(すなわち手動で選択)しても良い。
以下、本実施形態の動作について説明する。
【0024】
(2)実施形態の動作
【0025】
2−1.前処理
図7は、サーバ110および表示制御端末120による前処理を示すシーケンス図である。
サーバ110は、表示データを作成する前段階として、まず、図2に示すような物理・論理対応テーブルTAを生成する(ステップS1)。初期状態では、表示パネル130−1〜130−4には、物理番号「P1」〜「P4」が設定されるとともに、論理番号「L1」〜「L4」が設定される(図2参照)。
【0026】
さらに、サーバ110は、図3に示すような表示内容と論理番号との対応をあらわしたスケジュール情報を生成する(ステップS2)。本実施形態では、案内情報を論理番号「L1」に表示し、第1フライト情報を論理番号「L2」に表示し、第2フライト情報を論理番号「L3」に表示し、コマーシャル情報を論理番号「L4」に表示する、という内容のスケジュール情報がサーバ110によって生成される。サーバ110は、このように生成した物理・論理対応テーブルTAおよびスケジュール情報(以下、スケジュール情報等と総称)をメモリ(記憶手段)111に格納する(ステップS3)。
【0027】
一方、表示制御端末120は、電源投入などによる起動開始を契機として、サーバ110に対してスケジュール情報等のダウンロード要求を行う(ステップS4)。なお、本実施形態では起動開始をトリガとしてスケジュール情報等のダウンロード要求を行うが、例えば所定周期ごとに定期的にサーバ110にアクセスしてスケジュール情報等のダウンロード要求を行っても良い。
【0028】
サーバ110は、通信ネットワークを介して表示制御端末120からスケジュール情報等のダウンロード要求を受け取ると、メモリ111からスケジュール情報等を読み出し、これを表示制御端末120に返信する(ステップS5)。表示制御端末120は、サーバ110から通信ネットワークを介してスケジュール情報等を受信すると、これをメモリ(記憶手段)121に格納し(ステップS6)、処理を終了する。
【0029】
以上説明した前処理が終了すると、サーバ(生成手段)110は表示データの作成を開始する。詳述すると、サーバ110は4画面分の表示内容をあらわす表示データを作成し、これを表示制御端末120へ送信する。なお、本実施形態では、案内情報(1画面分)、第1フライト情報(1画面分)、第2フライト情報(1画面分)、コマーシャル情報(1画面分)を表示するための表示データを想定するが、これに限定する趣旨でないのはもちろんである。
【0030】
2−2.テーブル更新処理
図8は、サーバ110によって間欠的に実行されるテーブル更新処理を示すフローチャートである。
サーバ110は、入力端末140からいずれかの表示パネル130が閉塞状態にある旨の通知を受け取ると(ステップS11)、その通知内容に基づき、閉塞状態にある表示パネル(ここでは、表示パネル130−2を想定)を特定する(ステップS12)。なお、入力端末140は、閉塞状態にある表示パネルを特定する情報(例えばパネルIDなど)を含めてサーバ110に通知を行う。
【0031】
そして、サーバ(更新手段)110は、表示パネル130−2に表示されていた内容を、残りのいずれかの表示パネル130(ここでは表示パネル130−3)に表示するために、論理・物理対応テーブルTAに登録されている表示パネル130−2(=閉塞状態にある表示パネル)の論理番号「L2」を「L0」に更新するとともに、表示パネル130−3の論理番号を「L3」から「L2」へ、表示パネル130−4の論理番号を「L4」から「L3」へそれぞれシフト(更新)する(図5参照;ステップS13)。そして、サーバ(送信手段)110は、更新後の物理・論理対応テーブルTAを表示制御端末120に送信し(ステップS14)、処理を終了する。なお、サーバ110は、更新後の物理・論理対応テーブルTAを表示制御端末120に送信する代わりに、物理・論理対応テーブルTAの更新内容をあらわす情報(テーブル更新情報)を表示制御端末120に送信しても良い。
【0032】
2−3.表示制御処理
図9は、表示制御端末120によって実行される表示制御処理を示すフローチャートである。
表示制御端末120は、サーバ110からデータを受信すると、受信したデータが表示データであるか、または物理・論理対応テーブルTAであるかを判断する(ステップS31)。表示制御端末(更新手段)120は、サーバ110から受信したデータが物理・論理対応テーブルTAであると判断すると、メモリ121に既に格納されている物理・論理対応テーブルTAを、受信した物理・論理対応テーブルTAに書き換え(ステップS32)、処理を終了する。
【0033】
一方、表示制御端末120は、受信したデータが表示データであると判断すると、メモリ121に格納されているスケジュール情報、及び物理・論理対応テーブルTAを参照する(ステップS33)。そして、表示制御端末120は、スケジュール情報及び物理・論理対応テーブルTAの登録内容に従って、各表示パネル130に情報を表示する。ここで、メモリ121に格納されている物理・論理対応テーブルTAが未だ更新されていない場合(例えば図2に示すような場合)には、表示パネル130−1〜130−4には、それぞれ案内情報、第1フライト情報、第2フライト情報、コマーシャル情報が表示される(図1参照)。
【0034】
これに対し、メモリ121に格納されている物理・論理テーブルTAが更新されている場合(例えば図5に示すような場合)には、閉塞状態にある表示パネル130−2は何も表示されないものの、表示パネル130−1には案内情報が表示される一方、表示パネル130−3、130−4には、それぞれ第1フライト情報、第2フライト情報がシフト表示されることとなる(図6参照)。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、物理・論理対応テーブルTAの論理番号を更新することで、いずれかの表示パネルが閉塞状態となった後においても、残りの表示パネルを利用して閉塞状態となった表示パネルの表示内容を表示することが可能となる(図6参照)。これにより、重要な情報が長時間表示されず、航空機を利用する旅客者の混乱を招いてしまうといった問題を抑制することが可能となる。
【0036】
B.変形例
<変形例1>
上述した本実施形態では、物理・論理対応テーブルの書き換えについて、もっとも表示順序の遅い表示内容(すなわち論理番号「4」の表示内容)が消去されるように設定したが(図5参照)、例えばメンテナンス作業者が、入力端末140を利用していずれの情報を消去すべきか(別言すれば、いずれの情報を表示すべきか)を任意に設定しても良い。
【0037】
図10は、入力端末140の操作画面を例示する図である。メンテナンス作業者は、例えば、表示パネル130−2が閉塞状態にあることを発見すると、表示パネル130−2についてラジオボタン「閉塞中」を選択するとともに、プルダウンメニューPMを利用して残りの表示パネル130−1、130−3、130−4に表示する情報を任意に設定する。かかる構成によれば、メンテナンス作業者がどの情報をどの表示パネル130に表示するかを任意に選択できるため、重要な情報を確実に表示することができる。
【0038】
また、別の方法として、例えば表示すべき各情報に優先順位を設定しておいても良い。一例を挙げて説明すると、第1フライト情報を「優先順位1」に設定し、第2フライト情報を「優先順位2」に設定し、案内情報を「優先順位3」に設定し、コマーシャル情報を「優先順位4」に設定し、これを表示制御端末120のメモリ121に格納しておく。ここで、例えば表示パネル130−2が閉塞状態になった場合には、表示制御端末120は、残りの表示パネル130−1、130−3、130−4を利用して優先順位の高い3つの情報を表示するように制御する。このような方法によって重要な情報を確実に表示するようにしても良い。
【0039】
<変形例2>
また、上述した本実施形態では、メンテナンス作業者が入力端末140を利用して閉塞状態にある表示パネル130をサーバ110に通知したが、例えば閉塞状態にある表示パネル130を自動で検知し、サーバ110に通知しても良い。
図11は、変形例2に係る表示制御端末120の構成を示す図である。表示制御端末120には、各表示パネル130が閉塞状態にあるか否かを判断するための閉塞検知センサ(判定手段)123が設けられている。閉塞検知センサ123は、表示パネル駆動用の各表示ドライバ122−1〜122−4と各表示パネル130−1〜130−4の間に設けられた電流センサISにより検知される各電流値と、電流閾値等とを比較することにより、各表示パネル130が閉塞状態にあるか否かを検知する。表示制御端末120は、例えば表示パネル130−2に流れる電流値が電流閾値を下回っていることから、表示パネル130−2が閉塞状態にあると判断すると、その旨をサーバ110に通知する。かかる構成によれば、メンテナンス作業者が入力端末140を利用して閉塞状態にある表示パネル130を特定する等の作業は不要となり、より簡易かつ迅速に閉塞状態にある表示パネル130をサーバ110に通知することができる。なお、閉塞検知センサ123は、表示制御端末120に組み込むことなく、別体構成としても良いのはもちろんである。
【0040】
<変形例3>
また、本実施形態では、4つの表示パネル130にそれぞれ別の情報を表示する場合について説明したが、例えば複数の表示パネル130を利用して1つの情報を表示する場合にも適用可能である。
図12は、変形例3に係る表示パネル130の構成を例示した図である。
図12に示すように、変形例3においては8つの表示パネル130−1〜130−8によって構成されており、上段の表示パネル(表示器群)130−1〜130−4を使って1つのフライト情報(例えば、直近のフライト情報など;以下、直近フライト情報)が表示され、下段の表示パネル(表示器群)130−5〜130−8を使って1つのフライト情報(例えば、後続のフライト情報;以下、後続フライト情報)が表示される。
【0041】
かかる構成において、例えば上段の表示パネル130−3に異常が生じて閉塞状態になると、上段の全ての表示パネル130−1〜130−4を使って表示している直近フライト情報から重要な情報が欠落してしまい、もはや意味をなさないもの(すなわち、旅客者に正確な情報を伝えられないもの)となってしまう。
【0042】
そこで、このような場合には、以下に説明するように上段の全ての表示パネル130−1〜130−4を閉塞状態としつつ、下段の全ての表示パネル130−5〜130−8を使って表示している後続フライト情報を消去する代わりに直近フライト情報を表示する。
【0043】
図13は表示パネル130−3に異常が発生する前の物理・論理対応テーブル(更新前)TAの登録内容を例示した図であり、図14は表示パネル130−3に異常が発生した後の物理・論理対応テーブル(更新後)TAの登録内容を例示した図である。
表示パネル130−3に異常が発生する前は、表示パネル130−1〜130−8のそれぞれに物理番号「P1」〜「P8」と論理番号「L1」〜「L8」が設定される(図13参照)。
一方、表示パネル130−3に異常が発生すると、上段の表示パネル130−1〜130−4の全てを閉塞状態とするために、表示パネル130−1〜130−4の論理番号「L1」〜「L4」は全て「L0」に更新される。さらに、下段の表示パネル130−5〜130−8の表示内容(ここでは後続フライト情報)を消去する代わりに、この下段の表示パネル130−5〜130−8に上段の表示パネル130−1〜130−4の表示内容(ここでは直近フライト情報)を表示するべく、表示パネル130−5〜130−8の論理番号「L5」〜「L8」は「L1」〜「L4」に更新される(図14参照)。なお、サーバ110および表示制御端末(更新手段)120による物理・論理対応テーブルTAの更新動作は、上述した本実施形態と同様に説明することができるため、これ以上の説明は割愛する。
【0044】
かかる構成によれば、後続フライト情報は表示されないものの、旅客者等にとって最も重要な直近フライト情報を確実に表示パネル130に表示することが可能となる(図15参照)。
【0045】
C.その他
上述した本実施形態では、サーバ110と表示制御端末120とを別体構成としたが、例えば表示制御端末120にサーバ110の機能を搭載するなどして一体構成としても良い。また、本実施形態では、表示パネル130のいずれかに異常が生じた場合に、物理・論理対応テーブルTAの登録内容を更新する等の処理を実行したが、表示パネル130のいずれかに異常が生じたか否かにかかわらず、所定の条件を満たす場合に物理・論理対応テーブルTAの登録内容を更新しても良い。さらに、本実施形態に係る表示システム100は、空港のみならず、バスターミナルや駅など、複数の表示パネルを備えたあらゆる表示システムにも適用可能である。
【0046】
また、実施形態において示した各処理のステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。さらに本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。さらにまた、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。また、本発明に係るソフトウェアの開発支援プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【符号の説明】
【0047】
100…表示システム、110…サーバ、111,121…メモリ、120…表示制御端末、130…表示パネル、140…入力端末、TA…物理・論理対応テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示器の表示制御を行う表示制御装置であって、
前記表示器ごとに固有の物理番号と書き換え可能な論理番号とを設定した物理・論理テーブルと、前記各論理番号と表示内容との関係を規定したスケジュール情報とを記憶する記憶手段と、
前記表示内容をあらわす表示データが入力された場合、前記表示データと前記物理・論理テーブルと前記スケジュール情報とに基づいて各表示器の表示内容を制御する制御手段と、
所定の条件を満たす場合には、前記論理番号を書き換えることで、前記物理・論理テーブルに設定されている前記物理番号と前記論理番号との対応関係を更新する更新手段と
を具備することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記更新手段は、閉塞状態にある表示器に表示されていた内容が、残りのいずれかの表示器に表示されるように前記論理番号を書き換える、ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記各表示器が閉塞状態にあるか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記更新手段は、前記判定手段によっていずれかの表示器が閉塞状態にあると判定された場合に、当該閉塞状態の表示器に表示されていた内容が、残りのいずれかの表示器に表示されるように前記論理番号を書き換える、ことを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記複数の表示器は、複数のグループの表示器群を構成し、
いずれかの表示器が閉塞状態にある場合に、当該閉塞状態の表示器が含まれるグループの表示器群のすべての表示器を閉塞状態にし、かつ、当該グループの表示器群によって表示されていた内容が、残りのいずれかのグループの表示器群によって表示されるように前記論理番号を書き換える、ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項5】
複数の表示器と、
前記複数の表示器の表示制御を行う表示制御装置と、
前記表示制御装置に表示データを送信するサーバとを備えた表示システムであって、
前記サーバは、
前記表示データを生成する生成手段と、
前記表示器ごとに固有の物理番号と書き換え可能な論理番号とを設定した物理・論理テーブルと、前記各論理番号と表示内容との関係を規定したスケジュール情報とを記憶する記憶手段と、
所定の条件を満たす場合には、前記論理番号を書き換えることで、前記物理・論理テーブルに設定されている前記物理番号と前記論理番号との対応関係を更新する更新手段と、
前記物理・論理テーブルおよび前記スケジュール情報を前記表示制御装置に送信する送信手段とを備え、
前記表示制御装置は、
前記サーバから受信する前記表示データと前記物理・論理テーブルと前記スケジュール情報とに基づいて各表示器の表示内容を制御する制御手段を具備する、ことを特徴とする表示システム。
【請求項6】
複数の表示器の表示制御を行う表示制御方法であって、
前記表示器ごとに固有の物理番号と書き換え可能な論理番号とを設定した物理・論理テーブルと、前記各論理番号と表示内容との関係を規定したスケジュール情報とを記憶手段に記憶するステップと、
前記表示内容をあらわす表示データを入力するステップと、
入力された前記表示データと、前記物理・論理テーブルと、前記スケジュール情報とに基づいて各表示器の表示内容を制御するステップと、
所定の条件を満たす場合には、前記論理番号を書き換えることで、前記物理・論理テーブルに設定されている前記物理番号と前記論理番号との対応関係を更新するステップと
を含む表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−158626(P2011−158626A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18991(P2010−18991)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】