説明

表示制御装置

【課題】 エリアの設定を工夫することにより、コンテントのレイアウトの自由度を大きくし、ユーザにとって把握し易い情報表示を行うことが可能な表示制御装置を提供する。
【解決手段】 コンテント管理部が、コンテントサイズを管理している。一方、エリア管理部が、エリアの最大サイズ及びデフォルトサイズを管理している。このとき、コンテントサイズがエリアの最大サイズ以下か否かを判断し(S161)、コンテントサイズがエリアの最大サイズを上回る場合には、(S161:NO)、そのエリアは割り当て対象から除外される。また、親エリアが存在する場合(S162:YES)、子エリアの合計サイズが親エリアの最大サイズを上回っているときは(S163:NO)、そのエリアは割り当て対象から除外される(S164)。表示レイアウト制御部は、コンテントサイズに合わせエリアを拡縮して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報などを車室内に用意された表示装置に表示する際、ユーザが把握し易いように表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の室内で提供される情報は、多岐にわたっている。例えば、車両の状態を示す車速、エンジン回転数、シフトポジション、燃料、水温などが挙げられる。また例えば、ナビゲーションのための地図、エアコンの設定情報、オーディオ情報などが挙げられる。近年では、運転支援のためのナイトビューや、車両内に持ち込んだ携帯端末の情報なども提供されるようになってきた。
【0003】
これらの情報を提供するための表示装置も、種々のものが搭載されるようになっており、ヘッドアップディスプレイや、ナビゲーションのための地図などが表示される液晶ディスプレイが挙げられる。また、車速などが表示されるメータパネルも液晶などの採用によって種々の情報を提供可能なものがあり、一種の表示装置と言える。
【0004】
このように提供される情報(以下「コンテント」という)が多くなってきていること、また、複数の表示装置が搭載されることから、どのコンテントをどの表示装置のどの領域(以下「エリア」という)に表示させるのかが、重要となってくる。
【0005】
従来、携帯端末が生成した複数の画面データを1つのディスプレイに対して割り当てる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、画面データ及び表示領域にそれぞれ優先度を割り当てて、優先度順に領域を決定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−140488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、コンテントのサイズがエリアのサイズよりも大きい場合には、コンテントが縮小して表示されるのが一般的である。そのため、見難い表示となる虞がある。
【0008】
また、エリアが固定的に設定されているため、コンテントのサイズが小さくなると、表示装置に余白部分が多くなってしまう。加えて、エリアが固定的に設定されていることで、自由度の高いレイアウトが実現できない。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エリアの設定を工夫することにより、コンテントのレイアウトの自由度を大きくし、ユーザにとって把握し易い情報表示を行うことが可能な表示制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の表示制御装置は、車両に搭載される表示装置の画面に表示領域として設定される複数のエリアに対し、表示対象となっているコンテントを割り当てて表示するものである。
【0011】
本発明の表示制御装置は、コンテント管理部、エリア管理部、コンテント割当制御部、及び、表示レイアウト制御部を備えている。
コンテント管理部は、情報表示に要するサイズであるコンテントサイズを対応付けてコンテントを管理する。コンテントサイズは、例えば縦及び横のピクセル数で規定される。
【0012】
また、エリア管理部は、エリアの拡大及び縮小が可能であることを前提に、エリアの最大サイズを対応付けてエリアを管理する。最大サイズも、例えば縦及び横のピクセル数で規定される。
【0013】
コンテント割当制御部は、コンテントサイズが最大サイズ以下である場合に、コンテントのエリアへの割り当てが可能であると判断する。コンテントサイズと最大サイズとの比較は、例えば縦及び横の両方について行われる。なお、縦及び横の一方について必ずコンテントがエリアに収まる場合には、他方についてのみ比較するようにしてもよい。
【0014】
表示レイアウト制御部は、エリアに割り当てられたコンテントを表示するにあたり、コンテントサイズに合わせエリアを拡大又は縮小して表示する。
従来、エリアが固定的に設定されているため、それよりも大きなコンテントを配置しようとする場合、コンテントを縮小して表示することが必要になる。また、エリアが固定的に設定されているため、それよりも小さなコンテントを配置しようとする場合、エリアの余白部分が大きくなってしまう。
【0015】
これに対し、本発明では、エリアに最大サイズの属性を持たせ、コンテントに合わせてエリアを拡大又は縮小させて表示する。すなわち、大きなサイズのコンテントを配置する場合にはエリアが拡大され、小さなサイズのコンテントを配置する場合には、エリアが縮小される。このようにすれば、コンテントのレイアウトの自由度が大きくなり、ユーザにとって把握し易い情報表示を行うことができる。
【0016】
ところで、2つのコンテントを並べて配置しようとしたとき、一方のコンテントに合わせてエリアを拡大した場合、他方のコンテントに合わせてエリアが縮小されることで、大きさの違うコンテントをバランスよく配置できる。
【0017】
そこで、請求項2に示すように、エリア管理部は、所定のエリアを、単一のエリアとして管理可能であると共に、当該エリアを分割した複数のエリアとしても管理可能とし、単一エリアの下位層に複数のエリアが位置する階層データ構造を有する構成とすることが考えられる。この場合、コンテント割当制御部は、階層データ構造に基づき、エリアにコンテントを割り当てる際、同じ階層にあるエリアの合計サイズが一つ上の階層にあるエリアの最大サイズを越えない場合に、前記コンテントの前記エリアへの割り当てが可能であると判断する。このようにすれば、コンテントのレイアウトの自由度が大きくなるという効果が際だつ。また、階層データ構造を有するエリアに対しても、適切にコンテントを割り当てることができる。
【0018】
上記構成では、エリアの最大サイズをエリアに対応付けて管理していたが、請求項3に示すように、エリア管理部が、さらに、エリアのデフォルトサイズを対応付けてエリアを管理するようにしてもよい。この場合、表示レイアウト制御部は、デフォルトサイズ以下にエリアを縮小せず、エリアに割り当てられたコンテントを表示する。
【0019】
つまり、デフォルトサイズが設定されたエリアは、それ以上に縮小されないため、表示装置のうちの所定の場所を占有する。このようにすれば、デフォルトサイズを設定することで、コンテントを固定的な場所へ配置することができる。
【0020】
なお、コンテント及びエリアのサイズだけで表示レイアウトを決定した場合、それほど重要度の高くないコンテントが分不相応なエリアに配置されることが起こり得る。
そこで、請求項4に示すように、コンテント管理部は、さらに、情報の重要度を示す情報価値を対応付けてコンテントを管理し、エリア管理部は、さらに、場所的な重要度を示す領域価値を対応付けてエリアを管理するようにしてもよい。この場合、コンテント割当制御部は、さらに情報価値と領域価値とに基づき、コンテントをエリアに割り当てる。
【0021】
コンテント管理部は、情報の重要度を示す情報価値を対応付けてコンテントを管理する。例えば、緊急性の高いコンテントであれば、情報価値が相対的に大きくなるという具合である。
【0022】
また、エリア管理部は、場所的な重要度を示す領域価値を対応付けてエリアを管理する。例えば、ヘッドアップディスプレイといった走行中の視線移動が少ないエリアは、領域価値が相対的に大きくなるという具合である。
【0023】
そして、コンテント割当制御部によって、情報価値と領域価値とに基づき、コンテントがエリアに割り当てられる。例えば、エリアの領域価値を基準にし、コンテントの情報価値が領域価値を上回った場合に割り当てられるという具合である。また例えば、情報価値と領域価値とから評価値を算出し、この評価値が大きくなるように、コンテントをエリアに割り当てるという具合である。
【0024】
このようにすれば、情報価値と領域価値とのバランスによってコンテントがエリアに割り当てられるため、ユーザにとって把握し易い情報表示を行うことができる。
なお、上述したコンテントは、請求項5に示すように、コンテント管理部によって、車両内のネットワークを介して取得されることが考えられる。また、請求項6に示すように、新たに接続された外部機器から取得可能な構成としてもよい。ここでいう外部機器には、例えばスマートフォンなどの携帯電話機や、PDAと呼ばれる情報端末などが含まれる。つまり、コンテントに情報価値を対応付けて管理すれば、コンテントの種類によらず、同一のアルゴリズムでコンテントをエリアに割り当てることができる。
【0025】
また、エリアについても同様に、エリアに領域価値を対応付けて管理すれば、表示装置の種類によらず、同一のアルゴリズムでコンテントをエリアに割り当てることができる。そこで、請求項7に示すように、エリア管理部は、複数台の表示装置に対しエリアを管理することが考えられる。この場合、請求項8に示すように、エリア管理部は、表示装置の一部が着脱されると、管理するエリアを更新することが考えられる。例えば、表示装置がエリア情報を有する構成とすれば、着脱される表示装置からの情報によって、管理するエリアを更新するという具合である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】表示制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)はコンテント及びエリアに対応付けられる属性を示す説明図であり、(b)はコンテントとエリアとの対応関係を示す説明図である。
【図3】エリア管理部におけるエリアの階層データ構造を示す説明図である。
【図4】表示制御処理を示すフローチャートである。
【図5】表示制御処理におけるエリア除外処理を示すフローチャートである。
【図6】エリア除外処理を具体的に説明するための説明図である。
【図7】コンテントの配置を示す説明図である。
【図8】デフォルトサイズが設定されている場合のコンテントの配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態の表示制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
表示制御装置1は、制御部10を中心に構成されている。制御部10には、3台の表示装置21,22,23、及び、入出力IF30が接続されている。なお、以下では、3台の表示装置21〜23を区別するため、必要に応じて「A表示装置21」、「B表示装置22」、「C表示装置23」と記述する。
【0028】
3台のA〜Cの表示装置21〜23はそれぞれ、例えばヘッドアップディスプレイ、メータパネル、ナビゲーションのための地図などを表示する液晶表示装置などとして具現化される。ただし、これに限られるものではない。
【0029】
入出力IF30は、車両内のネットワーク(例えばCAN)に接続するための構成であり、入出力IF30を介し、表示制御装置1は、マルチメディアECU41、車速ECU42、エンジン回転数センサ43、各種ECU44、及び、各種センサ45に接続されている。各種ECU44には、例えばナビゲーションECUなどが含まれる。また、各種センサ45には、車室外の気温を検知する外気温センサやエンジン冷却水の温度を検知する水温センサなどが含まれる。
【0030】
このような構成により、表示制御装置1は、ネットワークを介して各種のコンテントを取得可能となっている。コンテントは、マルチメディアECU41から取得される「オーディオ情報」、車速ECU42から取得される「車速」、エンジン回転数センサ43から取得される「エンジン回転数」、各種ECU44に含まれるナビゲーションECUから取得される「地図」、各種センサ45に含まれる外気温センサから取得される「外気温」など様々である。
【0031】
制御部10は、コンテント管理部11、エリア管理部12、割当管理部13、コンテント割当制御部14、及び、表示レイアウト制御部15を有している。
コンテント管理部11は、上述した種々のコンテントを管理するための機能を有し、カテゴリーの異なるコンテントも同様に管理している。コンテント管理部11は、コンテントに対し、図2(a)に示すように、「情報価値」、「コンテントサイズ」及び「表示状態」の3つの属性を対応付けて管理する。
【0032】
ここで情報価値とは、コンテントの重要度を示すものである。情報価値は、「警告情報」など緊急性の高いコンテントほど一般的に高くなり、次に、走行状態に関わるコンテントである「車速」や「エンジン回転数」などが続く。ナビゲーションのための「地図」や「オーディオ情報」などのコンテントは、相対的に低い情報価値を有するものとなる。
【0033】
またコンテントサイズは、コンテントの表示に要する領域の大きさであり、例えば縦及び横のピクセル数で示される。
さらにまた表示状態は、そのコンテントが表示対象であるか否かを示す情報であり、表示対象であることを示す「アクティブ状態」又は表示対象でないことを示す「非アクティブ状態」のいずれかが設定される。
【0034】
具体的には、車両状況やユーザ操作に応じて「アクティブ状態」と「非アクティブ状態」とが切り替えられることが考えられる。例えば、シフトレンジがRの時は「バックモニタ」のコンテントが「アクティブ状態」となり、シフトレンジがR以外の時は「バックモニタ」のコンテントが「非アクティブ状態」になるという具合である。また例えば、ユーザがオーディオスイッチをオンにすると「オーディオ情報」のコンテントが「アクティブ状態」となり、オーディオスイッチをオフにすると「オーディオ情報」のコンテントが「非アクティブ状態」になるという具合である。
【0035】
エリア管理部12は、表示領域としての複数のエリアを管理するための機能を有する。エリアは、A〜Cの3台の表示装置21〜23の画面に対して設定される。エリア管理部12は、A〜Cの3台の表示装置21〜23のエリアを同様に管理している。すなわち、A表示装置21のエリアもB表示装置22のエリアも区別なく管理している。ただし、エリア管理部12は、エリアに対し、図2(a)に示すように、「領域価値」、「デフォルトサイズ」及び「最大サイズ」の3つの属性を対応付けて管理する。
【0036】
ここで領域価値とは、エリアの重要度を示すものである。この領域価値は、視認性に優れたエリアほど一般的に高く設定される。例えば、フロントガラスを利用するヘッドアップディスプレイのエリアは、その領域価値が高くなるという具合である。
【0037】
またデフォルトサイズは、エリアのデフォルトの大きさであり、コンテントサイズと同様、例えば縦及び横のピクセル数で示される。一方、最大サイズは、エリアの最大の大きさであり、こちらも例えば縦及び横のピクセル数で示される。
【0038】
すなわち、本実施形態においては、エリアのサイズに一定範囲で幅がもたせてある。これにより、コンテントに合わせてエリアが拡大・縮小する。
なお、コンテントサイズが小さくなっても、エリアはデフォルトサイズよりも小さくなることはない。これにより、コンテントサイズによらず、デフォルトサイズ分のエリアを表示装置に確保することができる。これにより、後述するように、エリアを固定的に用いることができる。また、デフォルトサイズは「0」として設定されることがあり得る。
【0039】
また、エリア管理部12は、A〜Cの表示装置21〜23のエリアを階層データ構造で管理する。例えばA表示装置21のエリアを例に挙げて説明すると、図3に示す如くである。
【0040】
A表示装置21の表示領域は、図3(a)に示すように、画面全体を使用するaエリア、このaエリアを左右2つに分割したbエリア及びcエリア、さらに、bエリアを左右2つに分割したdエリア及びeエリア、cエリアを上下2つに分割したfエリア及びgエリアとして設定されているものとする。
【0041】
このとき、図3(b)に示すように、aエリアを最上位の階層のエリアとして管理する。aエリアの直下の階層にb及びcのエリアを管理し、b及びcのエリアの直下の階層にそれぞれ、d及びeのエリアとf及びgのエリアとを管理する。
【0042】
これにより、図3(c)に示すように、例えばbエリアにコンテントが割り当てられると、それよりも下の階層であるd及びeのエリアは使用不能と判断する。
本実施形態では、以上のようなコンテント管理部11及びエリア管理部12を有することにより、コンテント割当制御部14が、コンテントの情報価値とエリアの領域価値とを比較し、原則としてコンテントの情報価値がエリアの領域価値よりも大きくなっている場合にだけ、そのエリアにコンテントを割り当てる。なお、以下では適宜、情報価値及び領域価値をまとめて「価値」といい、コンテントサイズ及びエリアのデフォルトサイズ、最大サイズをまとめて「サイズ」という。
【0043】
コンテント割当制御部14は、コンテント及びエリアの「価値」に加え「サイズ」を考慮して、エリアに対するコンテントの割り当てを行う。表示レイアウト制御部15は、コンテントがエリアに割り当てられると、その後、それらのコンテントに合わせエリアを拡大及び縮小してコンテントを表示する。
【0044】
ところで、このようなコンテント及びエリアの属性に基づきコンテントをエリアに割り当てる処理は、いわば「動的な割り当て」処理と言える。これとは別に、一部のコンテントは予め定められた所定のエリアに割り当てられるようになっている。こちらはいわば「静的な割り当て」である。この予め定められたコンテントとエリアとの対応関係を管理するのが、割当管理部13である。
【0045】
割当管理部13は、図2(b)に示すように、例えばXコンテントとAエリア及びBエリアとの対応関係を有している。このときは、XコンテントはAエリア又はBエリアに割り当てられることになる。また例えば、YコンテントとCエリアとの対応関係を有している。このときは、YコンテントはCエリアに割り当てられることになる。
【0046】
次に、より具体的に、表示制御のための処理を説明する。図4は、表示制御処理を示すフローチャートである。この表示制御処理は、イグニッションキーがオンとなっている間、繰り返し実行されるものである。
【0047】
最初のS100では、価値変更処理を実行する。この処理は、車両の状況(本実施形態では走行中であるか停車中であるかという走行状況)に基づき、コンテントの情報価値及びエリアの領域価値を変更するものである。なお、本実施形態では価値変更処理を実行するものとしたが、この処理は必須のものではないため、別の形態として価値変更処理を省略することも考えられる。また、所定条件の成立時にだけ実行する構成としてもよい。
【0048】
次のS110では、コンテントリストを作成する。この処理は、その属性である表示状態が「アクティブ状態」となっているコンテントを抽出し、情報価値の大きい順に並べ替えるものである。なお、この処理は、コンテント管理部11の機能として実現される。なお、ここでは、N個のコンテントが並べ替えられたものとする。
【0049】
次のS120では、コンテントを示す変数nを「1」として初期化する。この変数nがインクリメントされる毎に、1番目のコンテント→2番目のコンテント→3番目のコンテント→・・・という具合に処理されることになる。
【0050】
続くS130では、エリアを探索する。この処理は、未だコンテントが割り当てられていない全てのエリアを探索するものである。
次のS140では、階層データ構造に基づきエリアを除外する。この処理は、コンテントが割り当てられていないエリアであっても、階層データ構造で上位に位置するエリアに対しコンテントが割り当てられている場合に、そのエリアを除外するものである。例えば図3(c)に示したように、bエリアにコンテントが割り当てられている場合、d及びeのエリアが除外されるという具合である。
【0051】
続くS150では、割当管理に基づきエリアを除外する。具体的には、割当管理部13に記憶された対応関係に基づき、コンテントとエリアとの対応関係にないエリアを除外する。
【0052】
次のS160では、エリア除外処理を行う。この処理は、コンテントサイズ及びエリアの最大サイズに基づきエリアを除外するものである。図5は、エリア除外処理を示すフローチャートである。
【0053】
最初のS161では、コンテントがエリアの最大サイズ以下か否かを判断する。ここでコンテントがエリアの最大サイズ以下であると判断された場合(S161:YES)、S162へ移行する。一方、コンテントがエリアの最大サイズを上回っている場合(S161:NO)、S164にて当該エリアを除外し、その後、エリア除外処理を終了する。
【0054】
S162では、親エリアが存在するか否かを判断する。この処理は、割り当て対象となっているエリアの一つ上の階層のエリアが存在するか否かを判断するものである。ここで親エリアが存在すると判断された場合(S162:YES)、S163へ移行する。一方、親エリアが存在しないと判断された場合(S162:NO)、エリア除外処理を終了する。
【0055】
S163では、親エリアの最大サイズ以下か否かを判断する。この処理は、対象となっているエリアを含む子エリアの合計サイズが、上位階層のエリアの最大サイズ以下となっているか否かを判断するものである。ここで親エリアの最大サイズ以下であると判断された場合(S163:YES)、S162からの処理を繰り返す。これにより、さらに、上位階層のエリアについての判断が行われることになる。一方、親エリアの最大サイズを上回っている場合(S163:NO)、S164にて割り当て対象となっているエリアを除外し、その後、エリア除外処理を終了する。
【0056】
このエリア除外処理に対する理解を容易にするため、具体例を挙げてここで説明しておく。なお、以下の例では、説明を煩雑にしないために、エリアの横方向のサイズについて説明する。縦方向のサイズについても同様となる。
【0057】
図6に示すように、bエリアにコンテンツを割り当てる場合を考える。このとき、最初に、コンテントがbエリアの最大サイズ以下か否かを判断する(図5中のS161)。ここでbエリアの最大サイズ以下である場合には(S161:YES)、次に親エリアがあるか否かを判断する(S162)。図6の例では、bエリアの上位階層にaエリアが存在するため、ここで肯定判断される。続いて、子エリアの合計サイズが親エリアの最大サイズ以下か否かを判断する(S163)。このとき、図6(a)に示すように、子エリアであるbエリア及びcエリアの合計サイズがaエリアである親エリアの最大サイズ以下となっている場合(S163:YES)、コンテントの割り当てエリアとしてbエリアが候補となる。一方、図6(b)に示すように、子エリアであるbエリア及びcエリアの合計サイズがaエリアである親エリアの最大サイズを上回っている場合(S163:NO)、bエリアが除外される(S164)。
【0058】
なお、S163で肯定判断された場合にS162からの処理を繰り返すのは、図6(c)に示すように、さらに下位の階層のdエリアへの割り当てを考える場合、上位階層のbエリアとの関係だけでなく、さらに上位階層のaエリアとの関係も判断するためである。具体的には、dエリア及びeエリア(孫エリア)の合計サイズがbエリア(子エリア)の最大サイズ以下であるか否かを判断し(S163)、その後、bエリアの上位階層があるか否かを判断して(S162)、bエリア及びcエリア(子エリア)の合計サイズがaエリア(親エリア)の最大サイズ以下であるか否かを判断する(S163)。すなわち、下位階層にあるエリアを対象とする場合、一つ上の階層のエリアに収まるか否かを繰り返し判断していく。
【0059】
図4の説明に戻り、S170では、エリアに対しコンテントを割り当てる。この処理は、S160までで対象となったエリアのうち、コンテントの情報価値を下回るエリアでかつ最も領域価値の大きなエリアへコンテントを割り当てるものである。
【0060】
続くS180では、変数nがコンテントの個数Nに等しいか否かを判断する。この処理は、全てのコンテントを処理したか否かを判断するものである。ここでn=Nである場合(S180:YES)、S190へ移行する。一方、n≠Nである場合(S180:NO)、すなわち処理していないコンテントがあるうちは、S200にて変数nをインクリメントし、S130からの処理を繰り返す。
【0061】
S190では、コンテントを表示する。この処理は、割り当てられたエリアにコンテントを表示するものである。具体的には、コンテントの属性であるコンテントサイズに合わせて、エリアを拡縮して表示する。これを図7及び図8に基づいて説明する。なお、図7及び図8では、斜線を施した部分がコンテントであることを示している。
【0062】
例えば、図3(a)に示すように、親エリアaに子エリアb,cが設定されている場合を考える。このとき、子エリアb,cの最大サイズは共に親エリアaの最大サイズと同じであり、子エリアb,cのデフォルトサイズは共に「0」であるとする。
【0063】
このとき、子エリアbに比較的コンテンツサイズの大きなコンテントが割り当てられると、図7(b)に示すように、子エリアbのサイズが拡大され、子エリアcのサイズが縮小された表示レイアウトで表示されるという具合である。そして、子エリアbに対し、親エリアaと同等のサイズのコンテントが配置された場合には、図7(a)に示すように、子エリアcが表示されない状態となる。
【0064】
一方、子エリアcに比較的コンテンツサイズの大きなコンテントが割り当てられると、図7(c)に示すように、子エリアcのサイズが拡大され、子エリアbのサイズが縮小された表示レイアウトで表示されるという具合である。そして、子エリアcに対し、親エリアaと同等のサイズのコンテントが配置された場合には、図7(d)に示すように、子エリアbが表示されない状態となる。
【0065】
また例えば、図3(a)の例で、子エリアbの最大サイズは親エリアaの最大サイズと同じであり、子エリアbのデフォルトサイズが、図8(a)に示すような大きさであるとする。一方、子エリアcのデフォルトサイズは「0」であるとする。
【0066】
このときは、子エリアbにコンテントが割り当てられなくても子エリアbの場所は確保されるため、子エリアcに割り当てられたコンテントは、子エリアbにコンテントが割り当てられない場合を含め、割り当てられたコンテントがデフォルトサイズを下回る場合には、同じ場所に表示される(図8(a)〜(c)参照)。また、子エリアbに対し、親エリアaと同等のサイズのコンテントが配置された場合には、図8(d)に示すように、子エリアcが表示されない状態となる。
【0067】
次に本実施形態の表示制御装置1が発揮する効果を説明する。
本実施形態では、コンテント管理部11が、コンテントの表示に要する領域の大きさであるコンテントサイズをコンテントに対応付けて管理している。一方、エリア管理部12が、エリアの最大サイズ及びデフォルトサイズをエリアに対応付けて管理している。このとき、エリア除外処理において、コンテントサイズがエリアの最大サイズ以下か否かを判断し(図5中のS161)、コンテントサイズがエリアの最大サイズを上回る場合には、(S161:NO)、そのエリアは割り当て対象から除外される。その後、表示レイアウト制御部15は、コンテントサイズに合わせエリアを拡縮して表示する(S190)。
【0068】
従来、エリアが固定的に設定されているため、それよりも大きなコンテントを配置しようとする場合、コンテントを縮小して表示することが必要になる。また、エリアが固定的に設定されているため、それよりも小さなコンテントを配置しようとする場合、エリアの余白部分が大きくなってしまう。
【0069】
これに対し、本実施形態では、エリアの属性に「最大サイズ」を設定し、コンテントサイズに合わせてエリアのサイズが動的に変化するようにした(図7参照)。すなわち、大きなサイズのコンテントを配置する場合にはエリアが拡大され、小さなサイズのコンテントを配置する場合には、エリアが縮小される。これにより、コンテントのレイアウトの自由度が大きくなり、ユーザにとって把握し易い情報表示を行うことができる。
【0070】
また、本実施形態では、エリア管理部12が、図3(b)に示したエリアの階層データ構造を有している。そして、エリア除外処理では、親エリアが存在するか否かを判断し(図5中のS162)、親エリアが存在する場合(S162:YES)、子エリアの合計サイズが親エリアの最大サイズを上回っているときは(S163:NO)、エリアを除外する(S164)。このようにして最上位階層のエリアに到達するまで(S162:NO)、このような判断を繰り返す(S163:YES,S162)。これにより、コンテントのレイアウトの自由度が大きくなるという効果が際だつ。また、階層データ構造を有するエリアに対しても、適切にコンテントを割り当てることができる。
【0071】
さらにまた、本実施形態では、エリア管理部12がエリアのデフォルトサイズを各エリアに対応付けて管理している。また、表示レイアウト制御部15は、このデフォルトサイズを考慮したコンテントの表示を行う。具体的には、図8(a)〜(c)に示したように、コンテントが配置されない場合を含めコンテントサイズがエリアbのデフォルトサイズを下回る場合には、当該デフォルトサイズでエリアbの場所を確保する。これにより、エリアcに割り当てられる特定のコンテントを同じ場所に表示することができる。
【0072】
また、本実施形態では、そのエリアの領域価値とコンテントの情報価値とを比較し、情報価値が領域価値を上回っている場合に、エリアにコンテントを割り当てる(図4中のS180)。これにより、情報価値と領域価値とのバランスによってコンテントがエリアに割り当てられるため、ユーザにとって把握し易い情報表示を行うことができる。
【0073】
さらにまた、本実施形態では、車両内のネットワークを介して、種々のコンテントが取得される(図1参照)。このとき、コンテント管理部11は、種々のコンテントに対し「情報価値」、「コンテントサイズ」及び「表示状態」を対応付けて同様に管理する。これにより、コンテントの種類によらず、同一のアルゴリズムでコンテントをエリアに割り当てることができる。
【0074】
同様に、本実施形態では、A〜Cの表示装置21〜23の複数のエリアに対し「領域価値」、「デフォルトサイズ」及び「最大サイズ」を対応付けて当該エリアを管理する。これにより、表示装置21〜23が異なっていても、同一のアルゴリズムでコンテントを割り当てるべきエリアを判断することができる。
【0075】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施することができる。
(イ)例えば、コンテント及びエリアをその属性のみで管理することによって、コンテントの種類によらず、また、表示装置21〜23の区別によらず、コンテントのエリアへの割り当てが同一のアルゴリズムで可能となることは既に述べた。
【0076】
したがって、上記実施形態の表示制御装置1では、例えば、A〜Cの表示装置21〜23のいずれかが故障した場合など、エリア管理部12が管理情報を更新することで、アルゴリズムを変更することなく、コンテントのエリアへの割り当てが可能となる。
【0077】
同様に、図1に示すように、D表示装置50を追加して接続することも容易である。この場合も、エリア管理部12がD表示装置50に合わせて管理情報を更新するようにすればよい。D表示装置50は、例えばスマートフォンなどの携帯電話機や、PDAと呼ばれる情報端末などであることが例示される。このときは、D表示装置50自体からエリアに関する情報を取得することが考えられる。また、D表示装置50からコンテント管理部11がコンテントを取得するようにすることも考えられる。
【0078】
(ロ)また、上記実施形態では走行中か否かという車両の走行状況に基づき情報価値及び領域価値を変更しているが、例えば低速走行、高速走行などもっと細かな走行状況に応じて価値を変更するようにしてもよいし、また例えば運転者の負荷などを算出可能なシステムと共に用い、当該運転者の負荷などを考慮して価値を変更するようにしてもよい。
【0079】
(ハ)上記実施形態では、情報価値が高いコンテントから順に、当該情報価値を下回る領域価値を有するエリアのうち、領域価値が最も高いエリアへ割り当てている(図4中のS170)。
【0080】
これに対し、例えば、領域価値が2番目あるいはそれ以降のエリアへコンテントを割り当てるようにすることも考えられる。このようにすれば、緊急性の高いコンテントが「アクティブ状態」になったとき、領域価値の高いエリアが空いているため、当該エリアを利用してそのコンテントを迅速に表示することが可能となる。
【0081】
また、情報価値と領域価値とから評価値を算出するようにし、当該評価値の高いコンテントとエリアとの組合せを採用するようにしてもよい。例えば評価値は、情報価値及び領域価値にそれぞれ重み付けをして加算したものとすることが考えられる。
【0082】
なお、上記実施形態における表示装置21〜23が「表示装置」に相当し、表示制御装置1が「表示制御装置」に相当し、コンテント管理部11が「コンテント管理部」に相当し、エリア管理部12が「エリア管理部」に相当し、コンテント割当制御部14が「コンテント割当制御部」に相当し、表示レイアウト制御部15が「表示レイアウト制御部」に相当する。
【0083】
また、図4中のS100及びS110の処理が「コンテント管理部」の機能としての処理に相当し、S120〜S180の処理が「コンテント割当制御部」の機能としての処理に相当し、S190の処理が「表示レイアウト制御部」の機能としての処理に相当する。
【符号の説明】
【0084】
1…表示制御装置
10…制御部
11…コンテント管理部
12…エリア管理部
13…割当管理部
14…コンテント割当制御部
15…表示レイアウト制御部
21,22,23,50…表示装置
30…入出力IF
41…マルチメディアECU
42…車速ECU
43…エンジン回転数センサ
44…各種ECU
45…各種センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される表示装置の画面に表示領域として設定される複数のエリアに対し、表示対象となっているコンテントを割り当てて表示する表示制御装置であって、
情報表示に要するサイズであるコンテントサイズを対応付けて前記コンテントを管理するコンテント管理部と、
前記エリアの拡大及び縮小が可能であることを前提に、前記エリアの最大サイズを対応付けて前記エリアを管理するエリア管理部と、
前記コンテントサイズが前記最大サイズ以下である場合に、前記コンテントの前記エリアへの割り当てが可能であると判断するコンテント割当制御部と、
前記エリアに割り当てられたコンテントを表示するにあたり、前記コンテントサイズに合わせ前記エリアを拡大又は縮小して表示する表示レイアウト制御部と、
を備えていることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記エリア管理部は、所定のエリアを、単一のエリアとして管理可能であると共に、当該エリアを分割した複数のエリアとしても管理可能であって、前記単一エリアの下位層に前記複数のエリアが位置する階層データ構造を有しており、
前記コンテント割当制御部は、前記階層データ構造に基づき、前記エリアに前記コンテントを割り当てる際、同じ階層にあるエリアの合計サイズが一つ上の階層にあるエリアの最大サイズを越えない場合に、前記コンテントの前記エリアへの割り当てが可能であると判断すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示制御装置において、
前記エリア管理部は、さらに、エリアのデフォルトサイズを対応付けて前記エリアを管理しており、
前記表示レイアウト制御部は、前記デフォルトサイズ以下に前記エリアを縮小せず、前記エリアに割り当てられたコンテントを表示すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の表示制御装置において、
前記コンテント管理部は、さらに、情報の重要度を示す情報価値を対応付けて前記コンテントを管理し、
前記エリア管理部は、さらに、場所的な重要度を示す領域価値を対応付けて前記エリアを管理しており、
前記コンテント割当制御部は、さらに前記情報価値と前記領域価値とに基づき、前記コンテントを前記エリアに割り当てること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の表示制御装置において、
前記コンテント管理部は、前記コンテントを車両内のネットワークによって取得すること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の表示制御装置において、
前記コンテント管理部は、新たに接続された外部機器から前記コンテントを取得可能であること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の表示制御装置において、
前記エリア管理部は、複数台の表示装置に対し前記エリアを管理していること
を特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示制御装置において、
前記エリア管理部は、前記表示装置の一部が着脱されると、管理するエリアを更新すること
を特徴とする表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114188(P2013−114188A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262249(P2011−262249)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】